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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-15
(45)【発行日】2023-12-25
(54)【発明の名称】車両ランプモジュール及び車両ランプ
(51)【国際特許分類】
   F21S 41/36 20180101AFI20231218BHJP
   F21S 41/147 20180101ALI20231218BHJP
   F21S 41/24 20180101ALI20231218BHJP
   F21S 41/25 20180101ALI20231218BHJP
   F21S 41/47 20180101ALI20231218BHJP
   F21S 41/663 20180101ALI20231218BHJP
   F21V 5/04 20060101ALI20231218BHJP
   F21V 5/08 20060101ALI20231218BHJP
   F21V 7/08 20060101ALI20231218BHJP
   F21V 7/07 20060101ALI20231218BHJP
   F21V 7/09 20060101ALI20231218BHJP
   F21S 41/33 20180101ALI20231218BHJP
   F21W 102/155 20180101ALN20231218BHJP
   F21W 102/17 20180101ALN20231218BHJP
   F21W 102/20 20180101ALN20231218BHJP
【FI】
F21S41/36
F21S41/147
F21S41/24
F21S41/25
F21S41/47
F21S41/663
F21V5/04 650
F21V5/08
F21V7/08
F21V7/07
F21V7/09 500
F21V7/09 400
F21S41/33
F21W102:155
F21W102:17
F21W102:20
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022528106
(86)(22)【出願日】2020-03-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-18
(86)【国際出願番号】 CN2020080903
(87)【国際公開番号】W WO2021109361
(87)【国際公開日】2021-06-10
【審査請求日】2022-05-13
(31)【優先権主張番号】201911228170.4
(32)【優先日】2019-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520372939
【氏名又は名称】▲華▼域▲視▼▲覺▼科技(上▲海▼)有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ ▲潔▼
【審査官】塩治 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-039110(JP,A)
【文献】特開2017-103189(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0186952(US,A1)
【文献】中国実用新案第206555898(CN,U)
【文献】特開2009-301980(JP,A)
【文献】特開2010-176981(JP,A)
【文献】特開2017-212037(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105570794(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21K 9/00- 9/90
F21S 2/00-45/70
F21V 1/00- 8/00
F21V 9/00-15/04
F21W 102/155
F21W 102/17
F21W 102/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズ(4)と、一端にカットオフライン構造(31)を有する遮光板(3)と、ロービームアセンブリと、ハイビームアセンブリと、を備え、前記ロービームアセンブリから発する光線は、前記遮光板(3)によってカットオフされてから、前記レンズ(4)へ放射されてロービームパターンとなることに適しており、前記ハイビームアセンブリから発する光線は、前記遮光板(3)によってカットオフされてから、前記レンズ(4)へ放射されて明暗カットオフラインの上方のメインハイビームパターンとなることに適している車両ランプモジュールであって、
補助ハイビームアセンブリをさらに備え、前記補助ハイビームアセンブリから発する光線は、前記遮光板(3)によってカットオフされてから、前記レンズ(4)へ放射されて、明暗カットオフラインの下方の補助ハイビームパターンとなることに適している、ことを特徴とする車両ランプモジュール。
【請求項2】
前記ロービームパターン、メインハイビームパターン、及び補助ハイビームパターンは全て明暗カットオフラインを有する配光パターンであり、前記ロービームアセンブリ、ハイビームアセンブリ、及び補助ハイビームアセンブリのそれぞれにより発生される前記ロービームパターン、メインハイビームパターン、及び補助ハイビームパターンはハイビームパターンとして合成可能である、ことを特徴とする請求項1に記載の車両ランプモジュール。
【請求項3】
前記ロービームアセンブリは、ロービーム集光素子(11)と光源とを備え、前記ハイビームアセンブリは、ハイビーム集光素子(21)と光源とを備え、前記補助ハイビームアセンブリは、補助ハイビーム集光素子(23)と光源とを備える、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の車両ランプモジュール。
【請求項4】
前記ロービーム集光素子(11)、ハイビーム集光素子(21)、及び補助ハイビーム集光素子(23)は、光線を前記遮光板(3)のカットオフライン構造(31)に集光可能であり、前記遮光板(3)のカットオフライン構造(31)は前記レンズ(4)の焦点領域に位置する、ことを特徴とする請求項3に記載の車両ランプモジュール。
【請求項5】
前記ロービーム集光素子(11)、ハイビーム集光素子(21)、及び補助ハイビーム集光素子(23)は、それぞれ、ロービームリフレクタ、ハイビームリフレクタ、及び補助リフレクタであり、このロービームリフレクタ、ハイビームリフレクタ、及び補助リフレクタのそれぞれの近焦点箇所に光源が設けられ、それぞれの遠焦点は前記遮光板(3)のカットオフライン構造(31)に位置する、ことを特徴とする請求項3又は4に記載の車両ランプモジュール。
【請求項6】
前記ロービームリフレクタと前記補助リフレクタは接続されて双曲面リフレクタとなり、前記ハイビームリフレクタの反射面と前記双曲面リフレクタの反射面は対向配置される、ことを特徴とする請求項5に記載の車両ランプモジュール。
【請求項7】
前記ロービームリフレクタの反射面は、前記ハイビームリフレクタの反射面、補助リフレクタの反射面とそれぞれ対向配置される、ことを特徴とする請求項5又は6に記載の車両ランプモジュール。
【請求項8】
前記ロービーム集光素子(11)はロービームリフレクタであり、前記ハイビーム集光素子(21)、補助ハイビーム集光素子(23)、及び遮光板(3)はハイビーム一体型集光器(5)として集積される、ことを特徴とする請求項3~7のいずれか一項に記載の車両ランプモジュール。
【請求項9】
前記ハイビーム一体型集光器(5)には、入光部(52)、通光部(58)及び出光部が順次設けられるか、又は一体成形され、前記通光部(58)の上面に上部全反射面(53)が形成され、前記通光部(58)の下面に下部全反射面(54)が形成され、
前記出光部には第1出光部(55)と第2出光部(56)が形成され、
前記上部全反射面(53)と前記第2出光部(56)は交差してカットオフライン構造(57)を形成する、ことを特徴とする請求項8に記載の車両ランプモジュール。
【請求項10】
前記ハイビーム一体型集光器(5)の入光部(52)に光源が設けられ、前記ハイビーム一体型集光器(5)のカットオフライン構造(57)は前記レンズ(4)の焦点箇所に位置する、ことを特徴とする請求項8又は9に記載の車両ランプモジュール。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載の車両ランプモジュールを備える、ことを特徴とする車両ランプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両照明装置に関し、具体的には、車両ランプモジュールに関する。さらに、本発明は車両ランプに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車用ヘッドランプは、照明の有効距離が50mのロービームランプと、照明の有効距離が150mのハイビームランプとを備え、両方は切り替えて使用され、車両前方の道路を照明する。ハイビームは、角度が高く距離が遠く、視線を高くし、観察視野を広げることができ、ロービームは、角度が低く距離が近いので、相手運転者が眩しくないようにする。すれ違う時にハイビームランプを使用すると、相手運転者は強い光のため路面がよく見えず、車両の正確な位置を判断できず、結果として、事故が発生する確率が高くなる。
【0003】
従来技術では、ロービームパターンは従来の遮光板で形成することができる。光源から発する発散光は、リフレクタで反射された後、リフレクタの近焦点付近に集光され、遮光板で遮蔽されて明暗カットオフラインを形成し、コリメートレンズで路面に結像され、駆動機構で遮光板を離間させてハイビームパターンとなる。構造を簡素化するために、遮光板を離間させることなくロービームパターンとハイビームパターンを切り替えることができる車両ランプの構造が多数登場している。出願日が2016年8月31日、出願番号が201610773448.6の中国発明特許では、ロービーム光線を発する必要がある場合、LED光源の上部光源を点灯すればロービーム光線を発することができ、LED光源の上部光源と下部光源を同時に点灯すればハイビーム光線を発することができる、新規なLEDロー・ハイ一体型ヘッドランプの投影用バルブが開示されている。しかし、この構造では、遮光板が切り替わらず、ハイビームはロービーム光線とハイビーム光線が重畳して合成され、ハイビームを合成したハイビーム光線は明らかに明るさが強いため、合成されたハイビームには明らかな明るさの勾配が認められ、運転者に一定の干渉性を与える。
【0004】
上記の解決手段におけるハイビームの明るさの不均一の問題に対して、出願日が2013年3月13日、出願番号が201310080226.2の発明特許は、コリメータレンズの局所入射面の屈折方向を変えることにより、ハイビーム光線の一部を、ロービーム明暗カットオフラインの下方に照射する動力車照明装置の光モジュールを開示しており、しかし、このようなコリメータレンズの特殊な構造は、ロービームが利用できるレンズの入射面の面積を減少させ、レンズの小型化の要求や傾向に合致せず、また、上記の方法はレンズの設計、製造及び検出の難度を高めるだけでなく、ロービーム光線が非コリメート入射面に照射されて明暗カットオフラインの上方に照射されることを避けなければならず、これによっても車両ランプユニットの安定性を低下させることを招く。
【0005】
ユーザーのニーズの高まりに伴い、車両ランプモジュールは複雑な遮光板駆動機構を省略する必要があるとともに、明るさがより均一なハイビーム及びロービームを提供する必要があることを克服する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の第1態様が解決しようとする技術的課題は、ハイビームの配光パターンの明暗カットオフライン境界をフェードし、明るさがより均一なハイビームを提供できる車両ランプモジュールを提供することである。
【0007】
本発明の第2態様が解決しようとする技術的課題は、ハイビームの配光パターンの明暗カットオフライン境界をフェードし、明るさがより均一なハイビームを提供できる車両ランプを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成させるために、本発明の第1態様は、
レンズと、一端にカットオフライン構造を有する遮光板と、ロービームアセンブリと、ハイビームアセンブリとを備え、前記ロービームアセンブリから発する光線は、前記遮光板によってカットオフされてから、前記レンズへ放射されてロービームパターンとなることに適しており、前記ハイビームアセンブリから発する光線は、前記遮光板によってカットオフされてから、前記レンズへ放射されて明暗カットオフラインの上方のメインハイビームパターンとなることに適している車両ランプモジュールであって、
補助ハイビームアセンブリをさらに備え、前記補助ハイビームアセンブリから発する光線は、前記遮光板によってカットオフされてから、前記レンズへ放射されて、明暗カットオフラインの下方の補助ハイビームパターンとなることに適している車両ランプモジュールを提供する。
【0009】
好ましくは、前記ロービームパターン、メインハイビームパターン、及び補助ハイビームパターンは全て明暗カットオフラインを有する配光パターンであり、前記ロービームアセンブリ、ハイビームアセンブリ、及び補助ハイビームアセンブリのそれぞれにより発生される前記ロービームパターン、メインハイビームパターン、及び補助ハイビームパターンはハイビームパターンとして合成可能である
【0010】
好ましくは、前記ロービームアセンブリは、ロービーム集光素子と、光源とを備え、前記ハイビームアセンブリは、ハイビーム集光素子と、光源とを備え、前記補助ハイビームアセンブリは、補助ハイビーム集光素子と、光源とを備える。
【0011】
さらに好ましくは、前記ロービーム集光素子、ハイビーム集光素子、及び補助ハイビーム集光素子は、光線を前記遮光板のカットオフライン構造に集光可能であり、前記遮光板のカットオフライン構造は前記レンズの焦点領域に位置する。
【0012】
好ましくは、前記ロービーム集光素子、ハイビーム集光素子、及び補助ハイビーム集光素子は、それぞれ、ロービームリフレクタ、ハイビームリフレクタ、及び補助リフレクタであり、このロービームリフレクタ、ハイビームリフレクタ、及び補助リフレクタのそれぞれの近焦点箇所に光源が設けられ、それぞれの遠焦点は前記遮光板のカットオフライン構造に位置する。
【0013】
本発明の1つの好ましい構造形態として、前記ロービームリフレクタと前記補助リフレクタは接続されて双曲面リフレクタとなり、前記ハイビームリフレクタの反射面と前記双曲面リフレクタの反射面は対向配置される。
【0014】
本発明の別の好ましい構造形態として、前記ロービームリフレクタの反射面は、前記ハイビームリフレクタの反射面、補助リフレクタの反射面とそれぞれ対向配置される。
【0015】
本発明のさらなる好ましい構造形態として、前記ロービーム集光素子はロービームリフレクタであり、前記ハイビーム集光素子、補助ハイビーム集光素子、及び遮光板はハイビーム一体型集光器として集積される。
【0016】
具体的には、前記ハイビーム一体型集光器には、入光部、通光部及び出光部が順次設けられるか、又は一体成形され、前記通光部の上面に上部全反射面が形成され、前記通光部の下面に下部全反射面が形成され、前記出光部には第1出光部と第2出光部が形成され、前記上部全反射面と前記第2出光部は交差してカットオフライン構造を形成する。
【0017】
代表的には、前記ハイビーム一体型集光器の入光部に光源が設けられ、前記ハイビーム一体型集光器のカットオフライン構造は前記レンズの焦点箇所に位置する。
【0018】
本発明の第2態様は、第1態様の技術的解決手段に記載のいずれかの車両ランプモジュールを備える車両ランプを提供する。
【発明の効果】
【0019】
上記基本的な技術的解決手段では、本発明の車両ランプモジュールは、ハイビームパターンとロービームパターンを効率的に切り替えることができるだけでなく、明暗カットオフラインの下の補助ハイビームパターンを形成するために補助ハイビームアセンブリを増設する。従来技術に係る車両ランプモジュールによって形成されるハイビームには明らかな明るさの勾配が認められ、一方、本発明の車両ランプモジュールは、補助ハイビームアセンブリによって従来技術におけるハイビームの暗い領域を補光することで、明るさがより均一なハイビームパターンを提供することができる。
【0020】
本発明の他の利点や好ましい実施形態の技術的効果については、以下の具体的な実施形態においてさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の車両ランプモジュールの第1実施例の構造模式図及びロービーム光路の模式図である。
図2】本発明の車両ランプモジュールの第1実施例の構造模式図及びハイビーム光路の模式図である。
図3】本発明の車両ランプモジュールの第1実施例の構造模式図及び補助ハイビーム光路の模式図である。
図4】本発明の車両ランプモジュールの第2実施例の構造模式図及びロービーム光路の模式図である。
図5】本発明の車両ランプモジュールの第2実施例の構造模式図及びハイビーム光路の模式図である。
図6】本発明の車両ランプモジュールの第2実施例の構造模式図及び補助ハイビーム光路の模式図である。
図7】本発明の車両ランプモジュールの第3実施例の構造模式図及びロービーム光路の模式図である。
図8】本発明の車両ランプモジュールの第3実施例の構造模式図及びハイビーム光路の模式図である。
図9図7のA部の部分拡大図である。
図10】本発明の車両ランプモジュールのロービームパターンの模式図である。
図11】本発明の車両ランプモジュールのメインハイビームパターンの模式図である。
図12】本発明の車両ランプモジュールの補助ハイビームパターンの模式図である。
図13】本発明の車両ランプモジュールがハイビームアセンブリ及び補助ハイビームアセンブリを起動させて形成されたハイビームパターンの模式図である。
図14】本発明の車両ランプモジュールがロービームアセンブリ、ハイビームアセンブリ及び補助ハイビームアセンブリを起動させて形成されたハイビームパターンの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の具体的な実施形態を詳細に説明する。なお、ここで説明される具体的な実施形態は本発明を説明、解釈するために過ぎず、本発明を限定するものではない。
【0023】
なお、本発明の説明においては、別に明確な規定や限定がない限り、「接続」、「設置」という用語は広義に解釈すべきであり、例えば、固定して接続してもよいし、取り外し可能に接続してもよいし、一体に接続してもよい。直接接続してもよいし、中間部材を介して間接的に接続してもよいし、2つの素子の内部が連通するか、又は2つの素子が相互作用関係を有するようにしてもよい。当業者であれば、具体的な状況に応じて上記用語の本発明での具体的な意味を理解することができる。
【0024】
なお、本発明の下述した技術的解決手段の説明において、方位の用語は車両ランプモジュール自体を方位の基準として定義され、ここで、光路出射方向において、レンズ4が所在する一端は前、これと対向する一端は後とされ、この「上」、「下」とは、車両ランプモジュール自体に備える上、下の方位を意味するが、実際に取り付ける際に、車両ランプモジュールの車両内への配置位置が異なることから、様々な配置方位が考えられ、実際の取り付け状態を考慮して、車両ランプモジュール自体を基準として、方位用語を解釈すべきであり、車両ランプモジュール自体の方位に対する限定は、本発明の特許範囲を制限するものではない。
【0025】
図1図8に示すように、本発明の基本的な実施形態にかかる車両ランプモジュールは、レンズ4と、一端にカットオフライン構造31を有する遮光板3と、ロービームアセンブリと、ハイビームアセンブリとを備え、ロービームアセンブリから発する光線は、前記遮光板3のカットオフライン構造31によってカットオフされてから、レンズ4へ放射されて図10に示すロービームパターンとなり、ハイビームアセンブリから発する光線は、前記遮光板3のカットオフライン構造31によってカットオフされてから、レンズ4へ放射されて明暗カットオフラインの上方の、図11に示すようなメインハイビームパターンとなり、この車両ランプモジュールは補助ハイビームアセンブリをさらに備え、補助ハイビームアセンブリから発する光線は、遮光板3のカットオフライン構造31によってカットオフされてから、レンズ4へ放射されて明暗カットオフラインの下方の、図12に示すような補助ハイビームパターンとなる。
【0026】
従来の車両ランプモジュールでも、ハイビームとロービームの切り替えが可能であるが、形成されるハイビームパターンには明らかな欠陥が存在し、すなわち、明暗カットオフラインの上方のハイビームの明るさが明暗カットオフラインの下方の明るさよりも強く、明暗カットオフラインより下の部分がハイビーム分布のダークゾーンとなり、ハイビームパターンには明暗カットオフラインのような形状の明るさの勾配が生じ、これにより、ハイビームによる路面照明効果を損なうだけでなく、安全上のリスクがあり、また、ハイビーム又はロービーム光線の一部を屈折又は反射することにより、当この光線を明暗カットオフラインの下へ導いてハイビームのダークゾーンを補光するように上記従来技術を改良した車両ランプモジュールもあるが、このような方法は、調光が困難であり、しかも車両ランプモジュールの光学素子の一部の製造難度が高まる。
【0027】
本発明の車両ランプモジュールは、ロービームアセンブリと、ハイビームアセンブリと、補助ハイビームアセンブリとを備え、ロービームアセンブリが起動され、ロービームアセンブリから発するロービーム光線は遮光板3へ放射され、ロービーム光線の一部は遮光板3で遮断され、残りのロービーム光線は遮光板3のカットオフライン構造31から出射され、レンズ4で屈折され、明暗カットオフラインの下方のロービームパターンとなり、ハイビームアセンブリが起動され、ハイビームアセンブリから発するハイビーム光線は、遮光板3で反射され、レンズ4で屈折されて、明暗カットオフラインの上方のメインハイビームパターンとなり、このメインハイビームの明るさはロービームの明るさよりも強く、補助ハイビームアセンブリが起動され、補助ハイビームアセンブリから発する光線は、遮光板3へ放射され、光線の一部は遮光板3で遮断され、残りの光線は遮光板3のカットオフライン構造31から出射され、レンズ4で屈折され、明暗カットオフラインの下方の補助ハイビームパターンとなり、この補助ハイビームパターンはハイビーム分布のダークゾーンを補光し、ハイビームの明るさ及びハイビームの明るさの均一性を向上させることができる。
【0028】
図10図14に示すように、ロービームパターン、メインハイビームパターン、及び補助ハイビームパターンは、全て明暗カットオフラインを有する配光パターンであり、補助ハイビームの配光パターンは、一般的なハイビームの配光パターンにおけるダークゾーンの形状に適合し、補助ハイビームパターンはこのロービームパターン、メインハイビームパターンとともに明るさが均一なハイビームとして合成され得る。
【0029】
具体的には、ロービームアセンブリは、ロービーム集光素子11と、光源とを備え、ハイビームアセンブリは、ハイビーム集光素子21と、光源とを備え、補助ハイビームアセンブリは、補助ハイビーム集光素子23と、光源とを備え、これらのうち、光源としては、LED発光チップ、OLED発光チップやレーザ光源に基づく発光チップが使用されてもよく、ロービーム集光素子11、ハイビーム集光素子21、補助ハイビーム集光素子23としては、楕円形リフレクタ又は放物面リフレクタが使用されてもよく、又は、集光器が使用されることも光線を集める役割を果たすことができる。
【0030】
好ましくは、ロービーム集光素子11、ハイビーム集光素子21、及び補助ハイビーム集光素子23は、光源から発する光線のほとんどを遮光板3のカットオフライン構造31上又はカットオフライン構造31付近に集め、遮光板3のカットオフライン構造31は前記レンズ4の焦点上又は焦点付近にあり、このように位置決めすると、光線の利用率を向上させ、より明瞭な配光パターンを形成することができる。
【0031】
さらに、ロービーム集光素子11、ハイビーム集光素子21、及び補助ハイビーム集光素子23は全てリフレクタであり、それぞれ、ロービームリフレクタ、ハイビームリフレクタ、及び補助リフレクタと呼ばれ、上記リフレクタは、楕円形リフレクタ又は放物面リフレクタを使用してもよい。このロービームリフレクタ、ハイビームリフレクタ、及び補助リフレクタのそれぞれの近焦点には、ロービーム光源12、ハイビーム光源22及び補助ハイビーム光源24は対応して設けられ、上記リフレクタのそれぞれの遠焦点は全て前記遮光板3のカットオフライン構造31上にあり、なお、リフレクタは、光線入射点である近焦点と光線出射点である遠焦点との2つの焦点を有する。ロービームリフレクタ、ハイビームリフレクタ、補助リフレクタ、遮光板3及びレンズ4の相対位置をこのように配置すると、光線の利用率が高まり、形成されるパターンがさらに明瞭になる。
【0032】
1つの具体的な構造形態として、図1図3に示すように、ロービームリフレクタと補助リフレクタは、接続されて組み立てられ、又は一体成形されて双曲面リフレクタとなり、ハイビームリフレクタの反射面とこの双曲面リフレクタの反射面は対向配置される。なお、ハイビームリフレクタの反射面とこの双曲面リフレクタの反射面は対向配置されることは、上記2つの反射面が完全と対向して配置される場合に限定されるものではなく、この双曲面リフレクタから反射される光線は遮光板3の上面へ、ハイビームリフレクタから反射される光線は遮光板3の下面へ放射できれば、上記双曲面リフレクタの反射面とハイビームリフレクタの反射面は対向配置される状態であるとみなせる。このような構造では、ロービームリフレクタと補助リフレクタは双曲面リフレクタとして集積されることにより、車両ランプモジュールの光学素子の数を減少させ、この双曲面リフレクタを一体成形することができ、このように、生産効率が高まり、生産コストが低下し、調光の難度が低減する。
【0033】
別の具体的な構造形態として、図4図6に示すように、ロービームリフレクタの反射面は、それぞれ、ハイビームリフレクタの反射面、補助リフレクタの反射面と対向配置される。このような構造形態では、この車両ランプモジュールの径方向寸法を減少させることができる。
【0034】
さらなる具体的な構造形態として、図7図9に示すように、ロービーム集光素子11はロービームリフレクタであり、ハイビーム集光素子21、補助ハイビーム集光素子23、及び遮光板3はハイビーム一体型集光器5として集積され、このようにして、車両ランプモジュールの寸法を小さくし、車両ランプモジュールの光学素子の数を減少させることができ、また、ハイビーム一体型集光器5は一体成形することができるため、生産効率が高まり、生産コストが低下する。上記の複数の光学素子を集積して1つの光学素子とすると、ハイビーム集光素子21、補助ハイビーム集光素子23及び遮光板3の、車両ランプモジュールにおける相対位置を調整する必要がなくなり、これにより、車両ランプモジュールの組立の難度や調光の難度がさらに低下する。
【0035】
具体的には、ハイビーム一体型集光器5は透明な中実光導体であり、このハイビーム一体型集光器5には、入光部52、通光部及び出光部が順次設けられるか、一体成形される。これらのうち、入光部52は、凹溝と後へ突出されている入光面とを有し、全体ハイビーム光源51はこの凹溝に配置され、このような構造によれば、全体ハイビーム光源51から発する光線は効率よく集められ、光源の利用率の向上に有利であり、通光部の上面に上部全反射面53が形成され、通光部の下面に、外へ突出されている下部全反射面54が形成され、光線は、上部全反射面53及び下部全反射面54で反射されると、ハイビーム一体型集光器5のカットオフライン構造57の領域へ集まり、出光部には第1出光部55と第2出光部56が形成され、補助ハイビームを形成するための光線は第1出光部55から出射され、メインハイビームを形成するための光線は第2出光部56から出射され、上部全反射面53と第2出光部56は交差してカットオフライン構造57となる。ロービームリフレクタの遠焦点がこのハイビーム一体型集光器5のカットオフライン構造57上又はこのカットオフライン構造57の付近領域にあるようにハイビーム一体型集光器5に対するロービームリフレクタの相対位置が調整されると、このロービームリフレクタによって集められた光線はこのカットオフライン構造57へ放射され、カットオフライン構造57によってカットオフされてから、レンズ4で屈折され、ロービームパターンとなり、第1出光部55及び第2出光部56から出射された光線はカットオフライン構造57によってカットオフされてから、レンズ4で屈折され、それぞれ補助ハイビームパターン及びメインハイビームパターンとなる。
【0036】
好ましくは、ハイビーム一体型集光器5のカットオフライン構造57はレンズ4の焦点にあり、このように構成すれば、より明瞭なパターンが形成され、もちろん、このカットオフライン構造57はレンズ4の焦点付近にあってもよい。
【0037】
図1図3に示すように、本発明の好ましい実施形態にかかる車両ランプモジュールは、ロービームリフレクタ、ハイビームリフレクタ及び補助ハイビームリフレクタの3つの楕円形リフレクタを備え、このロービームリフレクタ、ハイビームリフレクタ、及び補助ハイビームリフレクタの焦点には、それぞれ、ロービーム光源12、ハイビーム光源22及び補助ハイビーム光源24が設けられ、このロービームリフレクタ、ハイビームリフレクタ及び補助ハイビームリフレクタの遠焦点は全て遮光板3のカットオフライン構造31領域にあり、レンズ4の焦点は遮光板3のカットオフライン構造31付近にあり、これらのうち、ロービームリフレクタ及び補助ハイビームカップは一体成形されて双曲面リフレクタとしてもよい。このような構造では、ロービーム光源12が起動されて、ロービーム光源12から発するロービーム光線は遮光板3へ放射され、ごく少ない部分の光線は遮光板3の上反射面で反射され、ほとんどの光線は遮光板3のカットオフライン構造31から出射され、レンズ4で屈折されて、明暗カットオフラインの下方のロービームパターンとなり、ハイビーム光源22が起動されて、ハイビーム光源22から発するハイビーム光線は遮光板3の下反射面で反射されてレンズ4に到達し、レンズ4で屈折され、明暗カットオフラインの上方のメインハイビームパターンとなり、このメインハイビームの明るさがロービームの明るさよりも強く、補助ハイビーム光源24、補助ハイビーム光源24が起動されて発する光線は遮光板3へ放射され、光線の一部は遮光板3の上反射面で反射され、残りの光線は遮光板3のカットオフライン構造31から出射され、レンズ4で屈折されて、明暗カットオフラインの下方の補助ハイビームパターンとなる。図10図14に示すように、明暗カットオフラインの下方の補助ハイビームとロービームが重畳し、明暗カットオフラインの上方のメインハイビームとともにハイビームが合成され、このようにして、本発明に係る車両ランプモジュールは、補助ハイビームを利用して明暗カットオフラインより下のハイビームのダークゾーンを補光することで、明るさがより高く、明るさがより均一なハイビームを提供し、また、ロービーム光源12、ハイビーム光源22や補助ハイビーム光源24の明るさを調整することにより、重畳して形成されたハイビームの明るさをより均一なものとすることができ、さらに調光方法が簡単である。
【0038】
図7図9に示すように、本発明のさらなる好ましい実施形態にかかる車両ランプモジュールは、ロービームリフレクタと、ハイビーム一体型集光器5とを備え、このロービームリフレクタの近焦点にロービーム光源12が設けられ、遠焦点はハイビーム一体型集光器5のカットオフライン構造57上又はこのカットオフライン構造57付近にあり、ハイビーム一体型集光器5の入光部52の凹溝内には全体ハイビーム光源51が設けられ、カットオフライン構造57はレンズ4の焦点と重なるか、又はレンズ4の焦点付近にある。ロービームがオンにされると、ロービーム光源12が起動され、このロービームリフレクタによって集められた光線はこのカットオフライン構造57へ放射され、一部の光線はハイビーム一体型集光器5の通光部の上部全反射面53へ放射されて下向きに屈折され、残りの光線はレンズ4に直接放射されてロービームパターンとなり、全体ハイビーム光源51が起動され、全体ハイビーム光源51から発する光線は、通光部の上部全反射面53及び下部全反射面54で反射されてから、第1出光部55及び第2出光部56から出射され、ハイビーム一体型集光器5のカットオフライン構造57付近に集められ、第1出光部55から出射された光線は明暗カットオフラインより下の補助ハイビームパターンとなり、第2出光部56から出射された光線は明暗カットオフラインよりも上のメインハイビームパターンとなり、また、ロービーム光源12及び全体ハイビーム光源51が起動されると、明るさが均一なハイビームが重畳形成される。このような構造によれば、車両ランプモジュールの光学素子の数をさらに減少させ、車両ランプモジュールの体積を小さくし、ハイビーム集光素子21、補助ハイビーム集光素子24及び遮光板3の代わりにハイビーム一体型集光器5を使用することにより、車両ランプモジュールの調光の難度が低減し、その組立速度が速くなる。
【0039】
本発明の車両ランプは、上記技術的解決手段に記載の光学モジュールを備え、上記の全ての実施例の全部の技術的解決手段を採用しているため、少なくとも上記実施例の技術的解決手段による全ての有益な効果を有する。
【0040】
以上、図面を参照して本発明の好ましい実施形態を詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明の技術的構想の範囲を逸脱せずに、本発明の技術的解決手段について、それぞれの具体的な技術的特徴を任意の適切な方式で組み合わせることを備える、様々な簡単な変形を行ってもよい。不要な重複を避けるために、本発明では、様々な組み合わせについて別途説明しない。このような簡単な変形や組み合わせも本発明で開示された内容とみなすべきであり、これらは全て本発明の特許範囲に属する。
【符号の説明】
【0041】
11 ロービーム集光素子
12 ロービーム光源
21 ハイビーム集光素子
22 ハイビーム光源
23 補助ハイビーム集光素子
24 補助ハイビーム光源
3 遮光板
31 カットオフライン構造
4 レンズ
5 ハイビーム一体型集光器
51 全体ハイビーム光源
52 入光部
53 上部全反射面
54 下部全反射面
55 第1出光部
56 第2出光部
57 カットオフライン構造
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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