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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-15
(45)【発行日】2023-12-25
(54)【発明の名称】血圧測定用の電子機器
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/0225 20060101AFI20231218BHJP
   A61B 5/022 20060101ALI20231218BHJP
【FI】
A61B5/0225 B
A61B5/022 300F
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2022535673
(86)(22)【出願日】2020-12-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-13
(86)【国際出願番号】 CN2020133294
(87)【国際公開番号】W WO2021115173
(87)【国際公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-07-22
(31)【優先権主張番号】201911274421.2
(32)【優先日】2019-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】503433420
【氏名又は名称】華為技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI TECHNOLOGIES CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Huawei Administration Building, Bantian, Longgang District, Shenzhen, Guangdong 518129, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133569
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 進
(72)【発明者】
【氏名】夏 ▲嵐▼
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼ 黄▲偉▼
(72)【発明者】
【氏名】黄 振▲龍▼
(72)【発明者】
【氏名】傅 小▲ユ▼
(72)【発明者】
【氏名】周 林峰
【審査官】高松 大
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-114015(JP,A)
【文献】特開2006-081667(JP,A)
【文献】特開2019-122534(JP,A)
【文献】中国実用新案第211934039(CN,U)
【文献】国際公開第2018/099389(WO,A1)
【文献】中国実用新案第207679435(CN,U)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0019950(KR,A)
【文献】米国特許第06251080(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0335282(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0049342(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0025400(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0021612(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第109998509(CN,A)
【文献】特開2004-254717(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/0225
A61B 5/022
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
血圧測定用の電子機器であって、測定アセンブリと、エアバッグと、前記測定アセンブリと前記エアバッグとの間に接続された流体管路とを備え、前記測定アセンブリは、流体ポンプおよび圧力センサを備え、前記流体ポンプは、第1の流体管路を介して前記エアバッグに接続され、前記圧力センサは、第2の流体管路を介して前記エアバッグに接続され、前記第1の流体管路は、前記エアバッグに接続された第1のノズルを有し、前記第2の流体管路は、前記エアバッグに接続された第2のノズルを有し、前記第1のノズルおよび前記第2のノズルは、前記エアバッグの同じ側に位置し、前記第1のノズルおよび前記第2のノズルの一方の開口方向は、他方の開口方向から離れているので、前記第1のノズルおよび前記第2のノズルは、互いに離れており、
前記第1の流体管路および前記第2の流体管路の一方は、外側管部を構成し、他方は内側管部を構成し、前記外側管部は前記内側管部の外側にスリーブ付けされており、前記内側管部の外壁と前記外側管部の内壁との間には隙間がある、血圧測定用の電子機器。
【請求項2】
前記第1の流体管路および前記第2の流体管路の少なくとも一方は、前記エアバッグ内に延在する内蔵管部を有し、前記第1のノズルおよび前記第2のノズルの少なくとも一方は、前記エアバッグ内に位置する、請求項1に記載の血圧測定用の電子機器。
【請求項3】
前記第1のノズルおよび前記第2のノズルの一方は、前記エアバッグ内に延在して懸架され、他方は、前記エアバッグの内壁と同一平面である、請求項2に記載の血圧測定用の電子機器。
【請求項4】
前記内蔵管部は、屈曲部を備え、前記屈曲部よりも前に位置する前記内蔵管部の管部と、前記屈曲部よりも後に位置する前記内蔵管部の管部とは、挟角を有する、請求項2または3に記載の血圧測定用の電子機器。
【請求項5】
前記屈曲部よりも前に位置する前記内蔵管部の前記管部は、前記屈曲部よりも後に位置する前記内蔵管部の前記管部に対して直交している、請求項4に記載の血圧測定用の電子機器。
【請求項6】
前記内蔵管部は、前記第1の流体管路に位置し、前記第2の流体管路は、前記エアバッグの前記内壁と同一平面の位置まで延在している、請求項2から5のいずれか一項に記載の血圧測定用の電子機器。
【請求項7】
前記内蔵管部は、可撓性管部であり、前記内蔵管部は、前記エアバッグの前記内壁に取り付けられている、請求項6に記載の血圧測定用の電子機器。
【請求項8】
前記内蔵管部は、硬質管部であり、前記内蔵管部は、前記エアバッグに懸架され、前記第1のノズルと前記エアバッグの前記内壁との間に間隔がある、請求項6に記載の血圧測定用の電子機器。
【請求項9】
前記第1の流体管路の管部は、一体構造である、請求項8に記載の血圧測定用の電子機器。
【請求項10】
前記内蔵管部は、前記第2の流体管路に位置し、前記第1の流体管路は、前記エアバッグの前記内壁と同一平面の位置まで延在している、請求項2から5のいずれか一項に記載の血圧測定用の電子機器。
【請求項11】
前記内蔵管部は、前記エアバッグに懸架され、前記第2のノズルと前記エアバッグの前記内壁との間には間隔がある、または
前記内蔵管部は、前記エアバッグの前記内壁に取り付けられている、
請求項10に記載の血圧測定用の電子機器。
【請求項12】
前記血圧測定用の電子機器が人体に装着されたとき、前記エアバッグにおける前記第2のノズルの位置は、前記人体の動脈の位置に対応する、請求項11に記載の血圧測定用の電子機器。
【請求項13】
前記内蔵管部は、硬質管部である、請求項10から12のいずれか一項に記載の血圧測定用の電子機器。
【請求項14】
前記第2の流体管路の管部は、一体構造である、請求項13に記載の血圧測定用の電子機器。
【請求項15】
流体弁と、第3の流体管路とをさらに備え、前記第3の流体管路の第1の端部は、前記流体弁に接続され、前記第3の流体管路の第2の端部は、前記エアバッグに接続されている、請求項1から14のいずれか一項に記載の血圧測定用の電子機器。
【請求項16】
前記第3の流体管路の前記第2の端部は、前記第1の流体管路に接続されている、請求項15に記載の血圧測定用の電子機器。
【請求項17】
前記第1の流体管路の少なくとも一部の管部は、潰れ可能な可撓性管部であり、前記第3の流体管路の前記第2の端部は、前記第2の流体管路に接続されている、請求項15に記載の血圧測定用の電子機器。
【請求項18】
前記血圧測定用の電子機器は、本体と手首ストラップとをさらに備え、前記手首ストラップは、前記本体に接続され、前記測定アセンブリは、前記本体の筐体内に配置され、前記エアバッグは、前記手首ストラップ上に配置されている、請求項1から17のいずれか一項に記載の血圧測定用の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2019年12月12日に中国特許庁に出願した「血圧測定用の電子機器」という名称の中国特許出願第201911274421.2号の優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願は、電子機器の分野に関し、特に、血圧測定用の電子機器に関する。
【背景技術】
【0003】
現代の人々が健康にますます注目するにつれて、ますます多くのウェアラブル機器または他の電子機器が血圧測定機能と統合され、いつでもどこでも人体の血圧などの生理学的指標を監視する。
【0004】
現在、血圧測定機能付き機器は、通常、オシロメトリック法による測定を行う。具体的には、オシロメトリック法では、被験者の動脈がエアバッグによって圧迫され、被験者の動脈の血圧がエアバッグに影響を与えることで、エアバッグ内の空気圧が変動する。エアバッグ内の空気圧の変動状況が取得された後、被験者の血圧などの指標が算出されることができる。例えば、従来の端末機器は、具体的には、エアバッグ、膨張に使用される流体ポンプ、およびエアバッグ内の圧力を測定するために使用されるセンサなどの構成要素を含む。流体ポンプおよび圧力センサは、それぞれ対応する空気流路を介してエアバッグに接続されており、流体ポンプに対応する空気供給口とセンサに対応する吸気口とは、通常、並列に配置されており、エアバッグに空気を供給する機能と、エアバッグ内の空気をセンサに流す機能と、をそれぞれ実現する。
【0005】
しかしながら、ウェアラブル機器は通常小型であるため、空気流路のポート間の間隔は小さい。測定中、流体ポンプが空気をエアバッグに供給するときに空気流の衝撃が発生し、それによってセンサによる測定を妨げ、測定精度に影響を及ぼす可能性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本出願は、高い血圧測定精度を実現するための血圧測定用の電子機器を提供する。
【0007】
本出願は、測定アセンブリと、エアバッグと、測定アセンブリとエアバッグとの間に接続された流体管路とを含む、血圧測定用の電子機器を提供する。測定アセンブリは、流体ポンプおよび圧力センサを含む。流体ポンプは、第1の流体管路を介してエアバッグに接続される。圧力センサは、第2の流体管路を介してエアバッグに接続される。第1の流体管路は、エアバッグに接続された第1のノズルを有する。第2の流体管路は、エアバッグに接続される第2のノズルを有する。第1のノズルおよび第2のノズルは、エアバッグの同じ側に位置し、第1のノズルおよび第2のノズルの一方の開口方向が他方の開口方向から離れているため、第1のノズルおよび第2のノズルは互いに離れている。このように、血圧測定用の電子機器における流体ポンプがエアバッグに流体を供給するとき、流体ポンプから来る流体は圧力センサのノズルから離れる方向に流れ、流体ポンプのノズルと圧力センサのノズルとの間には特定の間隔があり、その結果、圧力センサのノズルは流体の直接の衝撃を受けず、衝撃や影響が小さくなりやすい。これにより、圧力センサによる検出に影響による流体の衝撃を防止でき、高い血圧測定精度を実現できる。
【0008】
任意選択の実施態様では、第1の流体管路および第2の流体管路の一方は、外側管部を形成し、他方は内側管部を形成する。外側管部は、内側管部の外側にスリーブが装着され、内側管部の外壁と外側管部の内壁との間には隙間がある。入れ子式流体管路とエアバッグとの間の接合部は小さい空間を占めるため、その結果、エアバッグおよび血圧測定用の電子機器全体はより小型の構造を有し、それによって血圧測定用の電子機器の小型化および携帯が容易になる。
【0009】
任意選択の実施態様では、第1の流体管路および第2の流体管路の少なくとも一方は、エアバッグ内に延在する内蔵管部を有し、その結果、第1のノズルおよび第2のノズルの少なくとも一方はエアバッグ内に配置される。このようにして、内蔵管部はエアバッグ内に延在し、その結果、2つのノズル間に大きな間隔が存在し得る。エアバッグ内に延在する第1のノズルまたは第2のノズルの方向のみが、2つのノズルを互いに遠ざけるように制御される必要がある。流体配管の構造は簡単である。
【0010】
任意選択の実施態様では、第1のノズルおよび第2のノズルの一方は、エアバッグ内に延在して懸架され、他方はエアバッグの内壁と同一平面にある。このように、エアバッグの内部空間が限られている場合には、ノズルのうちの1つをエアバッグの内壁と同一平面の位置に配置することで、第2のノズルと第1のノズルとを可能な限り離間させることができる。これにより、第1のノズルから突入する空気流が、第2のノズルに与える影響を低減することができる。
【0011】
任意選択の実施態様では、内蔵管部は屈曲部を含み、屈曲部の前に位置する内蔵管部の管部と、屈曲部の後に位置する内蔵管部の管部との間に挟角がある。このようにして、流体ポンプの空気流が第1のノズルから突入するとき、空気流は第2のノズルに直接影響を及ぼさない。さらに、第1の流体管路は延伸部を有するため、第1のノズルと第2のノズルとの間には特定の間隔がある。これにより、第2のノズルでの安定した吸気を保証することができ、その結果、圧力センサは、検出を実行するときに小さな干渉を受ける。
【0012】
任意選択の実施態様では、屈曲部の前に位置する内蔵管部の管部は、屈曲部の後に位置する内蔵管部の管部に対して直交している。これにより、第1の流体管路内の空気流の空気流速度が低下し、第2のノズルに対する第1のノズルの影響が低減される。
【0013】
任意選択の実施態様では、内蔵管部は、第1の流体管路に配置され、第2の流体管路は、エアバッグの内壁と同一平面の位置まで延在する。
【0014】
任意選択の実施態様では、内蔵管部は可撓性管部であり、内蔵管部はエアバッグの内壁に取り付けられる。このようにして、内蔵管部は、エアバッグの内壁から外れることなく、エアバッグの膨張または収縮に応じて移動および変形することができる。加えて、第1の流体管路は、エアバッグ内に硬質突起を形成することなく、エアバッグの変形に伴ってそれに応じて膨張または潰れることができ、それによって、被験者の快適な着用を保証する。
【0015】
任意選択の実施態様では、内蔵管部は硬質管部である。内蔵管部は、エアバッグ内に懸架されており、第1のノズルとエアバッグの内壁との間には間隔がある。このようにして、内蔵管部は特定の硬質性を有する。内蔵管部は、エアバッグの内壁まで延在した後、内蔵管部の屈曲や可撓性の潰れによってエアバッグの内壁に取り付けられることなく、その形態を維持し、エアバッグの内壁から特定の間隔を保つことができる。
【0016】
任意選択の実施態様では、第1の流体管路の管部は一体構造を有する。このようにして、第1の流体管路全体を均一に製造および成形することができ、それによって組み立ておよび製造の困難さを低減する。
【0017】
任意選択の実施態様では、内蔵管部は、第2の流体管路に配置され、第1の流体管路は、エアバッグの内壁と同一平面の位置まで延在する。
【0018】
任意選択の実施態様では、内蔵管部はエアバッグ内に懸架され、第2のノズルとエアバッグの内壁との間に間隔があるか、または内蔵管部はエアバッグの内壁に取り付けられる。このようにして、第1の流体管路の場合と同様に、第2の流体管路の内蔵管部は、エアバッグ内の異なる位置に延在してもよい。
【0019】
任意の実施態様では、血圧測定用の電子機器が人体に装着されたとき、エアバッグ内の第2のノズルの位置は、人体の動脈の位置に対応する。動脈は第2のノズルに近いため、第2のノズルでの空気圧変化は動脈内の血液衝撃に適時に応答し、圧力センサによる検出は迅速かつ直接的である。また、第2のノズルでの圧力変化がエアバッグの他の部分の影響を受けにくくなり、それにより、検出精度が向上する。このようにして、第2のノズルは、動脈の近くの位置でエアバッグ圧力変化状況を収集することができ、その結果、圧力センサによる検出は、高い応答速度および高い精度を有する。
【0020】
任意選択の実施態様では、内蔵管部は硬質管部である。このようにして、内部空間の縮小によりエアバッグが第2の流体管路を押圧しても、第2の流体管路の内蔵管部は依然として元の形状および断面積を保持するため、それにより、第2の流体管路内の通常の空気流が維持され、エアバッグが潰れて圧力センサによる正常な検出が妨げられることが防止される。
【0021】
任意選択の実施態様では、第2の流体管路の管部は一体構造を有する。このようにして、第2の流体管路を均一に製造および成形することができ、それによって組み立ておよび製造の困難さを低減する。
【0022】
任意選択の実施態様では、血圧測定用の電子機器は、流体弁と、第3の流体管路とをさらに含む。第3の流体管路の第1の端部は流体弁に接続され、第3の流体管路の第2の端部はエアバッグに接続される。流体弁を使用することにより、膨張したエアバッグを収縮させることができ、圧力センサは収縮中のエアバッグ圧力変化状態を検出して、血圧の測定値を取得する。
【0023】
任意選択の実施態様では、第3の流体管路の第2の端部は、第1の流体管路に接続される。このように、流体管路とエアバッグとの間の接合部が占める空間が小さいため、限られたエアバッグの表面空間を有効に活用することができ、それにより、エアバッグおよび血圧測定用の電子機器全体の小型化およびコンパクト化が容易になる。加えて、第3の流体管路内の空気流は第2の流体管路と干渉しないため、圧力センサによる検出への影響は小さい。
【0024】
任意選択の実施態様では、第1の流体管路の少なくともいくつかの管部は、潰れることができる可撓性管部であり、第3の流体管路の第2の端部は、第2の流体管路に接続される。このようにして、流体ポンプが動作していないときに圧力変化によって第1の流体管路が潰れる場合でも、第3の流体管路は依然として、収縮動作を保証するために正常に通気を実行することができる。
【0025】
任意選択の実施態様では、血圧測定用の電子機器は、本体と手首ストラップとをさらに含む。手首ストラップは本体に接続され、測定アセンブリは本体の筐体内に配置され、エアバッグは手首ストラップ上に配置される。このように、血圧測定用の電子機器は、着用者の手首、上腕、または別の身体部位に装着される手首ストラップを用いて、着用者の血圧を測定することができる。
【0026】
血圧測定用の電子機器は、具体的には、エアバッグと、測定アセンブリとを備える。測定アセンブリは、処理ユニットと、流体ポンプと、圧力センサとを含む。流体ポンプおよびセンサは両方とも、処理ユニットに電気的に接続されている。流体管路は、流体ポンプとエアバッグとの間に接続された第1の流体管路と、圧力センサとエアバッグとの間に接続された第2の流体管路とを含む。第1の流体管路は、エアバッグに接続された第1のノズルを有し、第2の流体管路は、エアバッグに接続された第2のノズルを有する。第1のノズルおよび第2のノズルのうちの一方のノズルの開口方向が他方のノズルの開口方向から離れることにより、第1のノズルおよび第2のノズルは互いに離れる。このように、血圧測定用の電子機器における流体ポンプがエアバッグに流体を供給するとき、第1のノズルから突入する流体は、第2のノズルから離れる方向に流れ、第1のノズルと第2のノズルとの間には特定の間隔があるため、第2のノズルは、流体の直接的な衝撃を受けず、衝撃や影響が小さくなりやすい。これにより、圧力センサによる検出に影響による流体の衝撃を防止でき、高い血圧測定精度を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本出願の一実施形態に係る、電子機器がウェアラブル機器である場合の血圧測定用の電子機器の概要を示す概略図である。
図2図1の血圧測定用の電子機器が人体の手首に装着された状態を示す概略図である。
図3a図1の血圧測定用の電子機器の内部構造の概略図である。
図3b図1の血圧測定用の電子機器の別の内部構造の概略図である。
図4図1の血圧測定用の電子機器における、測定アセンブリの一部の内部構造を示す、ブロック図である。
図5a】電子機器が血圧測定を行っていない場合の図1の血圧測定用の電子機器の側面図である。
図5b図1の血圧測定用の電子機器の血圧測定状態の側面図である。
図6a】血圧測定用の電子機器による測定中のエアバッグ圧力変化の概略図である。
図6b】血圧測定用の電子機器による測定中に形成されるエアバッグ圧力脈波の波形の概略図である。
図6c】血圧測定用の電子機器による測定中に得られた圧力脈波の包絡線の概略図である。
図7】本出願の一実施形態による血圧測定用の電子機器の構造の概略図である。
図8】流体流路内の図7の流体の流れ状態の概略図である。
図9図7の血圧測定用の電子機器における流体管路とエアバッグとの接合領域の具体的構造を示す概略図である。
図10図7の第1の流体管路および第2の流体管路の入れ子構造の概略図である。
図11図7の血圧測定用の電子機器における第1のノズルと第2のノズルとの相対位置を示す概略図である。
図12】本出願の一実施形態による血圧測定用の別の電子機器の構造の概略図である。
図13図12の血圧測定用の電子機器における流体管路とエアバッグとの接合領域の具体的構造を示す概略図である。
図14】本出願の一実施形態による血圧測定用の第3の電子機器の構造の概略図である。
図15】流体流路内の図14の流体の流れ状態の概略図である。
図16図14の血圧測定用の電子機器における流体管路とエアバッグとの接合領域の具体的構造を示す概略図である。
図17図14の血圧測定用の電子機器による測定中の第2のノズルの位置の概略図である。
図18】本願の一実施形態による血圧測定用の第4の電子機器の構造の概略図である。
図19図18の血圧測定用の電子機器における流体管路とエアバッグとの接合領域の具体的構造を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本出願の実施形態を説明する前に、本出願の技術的解決策を理解しやすくするために、本出願の実施形態に含まれる基本概念および用語を最初に説明する。
【0029】
血圧(blood pressure,BP):血管内を血液が流れる際に、単位面積当たりに血管側壁に作用する側圧。血圧は、血流の主な推進力である。人体の血圧は正常な変動範囲内に保つ必要があり、過度に高いまたは低い血圧は、人間の健康に悪影響を及ぼす。血圧は、様々な血管に起因する動脈血圧、静脈血圧、および毛細血圧と呼ばれる。人体測定における血圧は、一般に動脈血圧である。
【0030】
オシロメトリック法による血圧測定。血液が流れる際に血管壁に衝突することによる振動に介して血管壁から出る脈波包絡線が求められ、脈波包絡線と動脈圧との関係を用いて血圧値が求められる。オシロメトリック法は、具体的には、振幅係数法、波形特性法などを含み得る。具体的には、測定時には、エアバッグ等が人の手足に巻きつけられ、エアバックが加圧され、エアバッグの圧力下での人体内部の血液の衝撃による振動や圧力を検出する。
【0031】
現在、人々が健康をより重要視するにつれて、人々は血圧などの人体指標の測定にますます注目している。いつでもどこでも血圧を測定するために、電子血圧計または血圧測定機能付きの他の電子機器が広く使用されている。機器の携帯性と測定精度とのバランスをとるために、電子血圧計や血圧測定機能付き電子機器は、通常、オシロメトリック法により血圧を測定する。説明の便宜上、以下の説明では、電子血圧計と血圧測定機能付き電子機器とをまとめて血圧測定用の電子機器と称する。血圧測定用の電子機器には、電子血圧計、携帯電話、インテリジェントなウェアラブル機器などが含まれるが、これらに限定されないことが理解されよう。
【0032】
以下の説明では、血圧測定用の電子機器がウェアラブル機器である例を用いる。図1は、本願の一実施形態に係る電子機器がウェアラブル機器である場合の血圧測定用の電子機器の概要を示す概略図である。図2は、図1の血圧測定用の電子機器が人体の手首に装着された状態を示す概略図である。図1および図2に示すように、血圧測定用の電子機器100がウェアラブル機器である場合、血圧測定用の電子機器100は、本体20および手首ストラップ10等の構成要素を有する。本体20は、手首ストラップ10等を用いて、着用者の手首や上腕、その他の身体部位に装着されてもよい。この場合、血圧測定用の電子機器は、血圧測定機能やウェアラブル機器の別の一般的な機能などを実行してもよい。
【0033】
図3aは、図1の血圧測定用の電子機器の内部構造の概略図である。図3bは、図1の血圧測定用の電子機器の別の内部構造の概略図である。図3aおよび図3bに示すように、オシロメトリック法によって血圧を測定するために、血圧測定用の電子機器100は、一般に、エアバッグ1、測定アセンブリ2、およびエアバッグ1と測定アセンブリ2との間に接続された流体流路30など、の構成要素を含むことができる。図3aの血圧測定用の電子機器100では、エアバッグ1は、血圧測定用の電子機器100内の筐体201の底部まで延在しており、流体流路30は筐体201の底部を介してエアバッグ1に接続されている。図3bの血圧測定用の電子機器100では、エアバッグ1は、筐体201側にのみ延在しており、流体流路30は筐体201側を介してエアバッグ1に接続されている。
【0034】
エアバッグ1は、血圧測定用の電子機器100において、人体に直接作用する構成要素である。エアバッグ1は、複数の異なる構造および形態を有していてもよく、例えば、カフまたは手首ストラップ10に取り付けられていてもよい。この場合、エアバッグ1は、被検者の手足を取り囲み巻きつけられてもよく、例えば、被検者の上腕や手首に巻きつけられる。エアバッグ1は、主として可撓性材料からなる。したがって、エアバッグ1が膨張すると、エアバッグ1の大きさが変化し、それに伴ってエアバッグ1の外壁が被検者の手足を押圧する。電子機器の種類に応じて、エアバッグ1は独立した構造であってもよいし、血圧測定用の電子機器の別の構造に取り付けられていてもよい。例えば、血圧測定用の電子機器がスマートウオッチやスマートバンドである場合、それに対応して、エアバッグ1をスマートウオッチの手首バンドやスマートバンドの本体に配置してもよい。例えば、図1および図2に示すように、エアバッグ1は、手首ストラップ10の内側、具体的には、手首ストラップ10のユーザの手足に接する側に配置されてもよい。
【0035】
血圧測定用の電子機器100内の主な機能要素として、測定アセンブリ2は、具体的にはウェアラブル機器の本体20内に配置されてもよく、例えば、本体20の筐体201内に収容される。測定アセンブリ2は、処理ユニット20、流体ポンプ21、圧力センサ22、および流体弁23などの様々な構成要素を含むことができる。処理ユニット20は、制御およびデータ処理機能を有する構成要素であってもよく、様々なインターフェースおよびラインを使用して血圧測定用の電子機器100全体の様々な部分を接続し、血圧測定用の電子機器100の様々な機能を実行し、データを処理して、血圧測定用の電子機器100の動作の全体的な監視を実行する。例えば、処理ユニット20は、中央処理装置(Central Processing Unit、CPU)、グラフィックス処理ユニット(Graphics Processing Unit、GPU)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(Field Programmable Gate Array、FPGA)、またはマイクロ・コントローラ・ユニット(Micro Controller Unit、MCU)であってもよい。任意選択で、処理ユニット20は、独立したモジュールであってもよく、または血圧測定用の電子機器の制御回路もしくは別の構成要素と統合されてもよい。流体ポンプ21、流体弁23、および圧力センサ22はすべて、測定アセンブリ2内の処理ユニット20に電気的に接続されており、その結果、処理ユニット20は、流体ポンプ1および流体弁23の動作を制御し、圧力センサ22によって検出された圧力信号を受信することができる。処理ユニットの制御信号を受信するために、流体ポンプ21および流体弁23は両方とも電気的に制御される要素であり、処理ユニット20に電気的に接続される。
【0036】
任意選択の方法で、流体ポンプ21は、モータ211およびポンプ本体212などの構成要素を含むことができる。ポンプ本体212は、ピストンまたはインペラを使用することにより、前進する流体を駆動することができ、モータ211と処理ユニット20とは電気的に接続されたままである。加えて、このシナリオでは、流体弁23は電磁弁であってもよく、圧力センサ22は圧電抵抗圧力センサなどであってもよい。したがって、モータ211、圧力センサ22、および流体弁23は、信号送信および制御を実施するために、すべて処理ユニット20に電気的に接続されてもよい。
【0037】
流体ポンプ21、圧力センサ22、および流体弁23をエアバッグ1に接続するために、流体流路30が測定アセンブリ2とエアバッグ1との間に設けられる。流体流路30は、硬質または可撓性のシールされた管路によって形成されてもよい。流体流路30およびエアバッグ1を通って流れる流体は、一般に空気であってもよい。測定アセンブリ2内の異なる構成要素を接続するために、流体流路30は、エアバッグ1と流体ポンプ21との間に接続された空気供給流路、エアバッグ1と流体弁23との間に接続された収縮流路、エアバッグ1と圧力センサ22との間に接続された検出流路などを含むことができる。測定アセンブリ2内の流体ポンプ21、圧力センサ22、および流体弁23は、エアバッグ1に別々に接続される必要があるので、それに対応して、複数の流体流路30が存在してもよく、異なる空気流路が異なる要素を接続してもよい。図3の流体流路は、測定アセンブリ2内の構成要素とエアバッグ1との間の全体的な接続状態を示すためのものにすぎないことに留意されたい。流体流路の具体的な形状および実装形態については、以下の具体的なシナリオの説明を参照されたい。
【0038】
流体流路30は、血圧測定用の電子機器100内の他の構成要素と組み合わされてもよいことが理解され得る。例えば、エアバッグ1と測定アセンブリ2との間にコネクタが配置されてもよく、コネクタに流体流路30が設けられる。
【0039】
血圧測定用の電子機器は、血圧測定動作を行うことに加えて、さらに他の機能を有してもよいことが理解できる。これに対応して、血圧測定用の電子機器は、他の構成要素または構造を含んでもよく、これらの構成要素および構造一部または全部が、測定アセンブリ2内に配置されてもよい。
【0040】
以下では、血圧測定用の電子機器がウェアラブル機器である例を用いて、血圧測定用の電子機器の別の可能な部分的な内部構造について説明する。図4は、図1の血圧測定用の電子機器における測定アセンブリの一部の内部構造を示すブロック図である。図4に示すように、ウェアラブル機器の様々な機能および動作を実施するために、処理ユニット20、流体ポンプ21、および圧力センサ22などの構成要素に加えて、ウェアラブル機器の測定アセンブリは、無線周波数(Radio Frequency、RF)ユニット110、メモリ120、別の入力機器130、画面140、別のセンサ150、音声回路160、I/Oサブシステム170、および電源180を、さらに含むことができる。当業者は、図4に示すウェアラブル機器構造がウェアラブル機器に対する制限を構成しないことを理解することができる。ウェアラブル機器は、図に示されているものより多いまたは少ない構成要素を含んでもよく、またはいくつかの構成要素が組み合わされてもよく、または異なる構成要素レイアウトがあってもよい。
【0041】
測定アセンブリ2の全体的な構造を理解しやすくするために、以下では、図3を参照して、測定アセンブリ2の構成要素について詳細に説明する。
【0042】
RFユニット110は、情報の送受信処理または呼処理において、信号を送受信するように構成することができる。具体的には、基地局のダウンリンク情報を受信した後、RFユニット110は、ダウンリンク情報を処理するためにプロセッサ180に送信する。さらに、RFユニット110は、アップリンクデータを基地局に送信する。通常、RFユニット110はアンテナ111に接続され、アンテナ111を用いてネットワークや別の機器と通信する。RFユニット111は、少なくとも一つの増幅器、トランシーバ、カプラ、低雑音増幅器(Low Noise Amplifier、LNA)、デュプレクサ等を含むが、これらに限定されない。
【0043】
メモリ120は、ソフトウェア・プログラムおよびモジュールを格納するように構成され得る。処理ユニット20は、メモリ120に格納されたソフトウェア・プログラムおよびモジュールを実行して、ウェアラブル機器の様々な機能アプリケーションおよびデータ処理を実行する。メモリ120は、主にプログラム記憶領域とデータ記憶領域とを含むことができる。プログラム記憶領域は、オペレーティング・システム、少なくとも1つの機能(音声再生機能や画像表示機能など)によって必要とされるアプリケーション・プログラムなどを格納できる。データ記憶領域は、ウェアラブル機器を使用するプロセスにおいて作成されたデータ(音声データまたは電話帳など)などを格納できる。また、メモリ120は、高速ランダム・アクセス・メモリを含むことができ、不揮発性メモリ、例えば、少なくとも1つの磁気ディスク記憶装置、フラッシュ記憶装置、または別の揮発性固体記憶装置をさらに含むことができる。
【0044】
ウェアラブル機器が表示および入力などの対話型操作を実行できるようにするために、ウェアラブル機器は、別の入力機器130、画面140、別のセンサ150、音声回路160などを含む。別の入力機器130は、入力された数字または文字情報を受信し、携帯電話100のユーザ設定および機能制御に関するキー信号入力を生成するように、構成され得る。別の入力機器130は、I/Oサブシステム170内の別の入力機器のコントローラ171に接続され、別の入力機器のコントローラ171の制御下で処理ユニット20と対話を行う。画面140は、ユーザによって入力された情報またはユーザに提供された情報、およびウェアラブル機器の様々なメニュー、を表示するように構成されてもよく、ユーザからの入力をさらに受信してもよい。具体的には、画面140は、表示パネル141、タッチパネル142などを含むことができる。さらに、ウェアラブル機器に含まれる別のセンサ150は、ウェアラブル機器の周囲環境のパラメータ情報、着用者の人間の生理学的情報など、を認識および感知することができる。具体的には、別のセンサ150は、ウェアラブル機器の周囲環境のパラメータ情報を感知するために、光学センサ、動きセンサ、ジャイロスコープ、気圧計、湿度計、温度計、赤外線センサなどを含むことができる。
【0045】
I/Oサブシステム170は、外部入出力機器を制御するように構成され、I/Oサブシステム170内の表示コントローラ173は、画面140から信号を受信し、および/または画面140に信号を送信する。画面140がユーザ入力を検出した後、表示コントローラ173は、マンマシン対話を実施するために、検出されたユーザ入力を画面140に表示されたユーザ・インターフェース・オブジェクトとの対話に変換する。センサ・コントローラ172は、1つまたは複数のセンサ150から信号を受信し、かつ/または1つまたは複数のセンサ150に信号を送信することができる。
【0046】
さらに、測定アセンブリ2は、各構成要素に電力を供給する電源180と、別の構成要素または構造とをさらに含む。ここでは詳細を再度説明しない。
【0047】
このような一体構造の血圧測定用の電子機器で被験者の血圧を測定する際には、まず、エアバッグ1が被験者の手足に巻きつけられた後、流体ポンプ21を用いてエアバッグ1を膨張させることにより、エアバッグ1の外壁が被験者の血管を圧迫する。図5aは、電子機器が血圧測定を行わないときの図1の血圧測定用の電子機器の側面図である。図5bは、血圧測定状態の図1の血圧測定用の電子機器の側面図である。図5aおよび図5bに示すように、流体流路30が筐体201の底部を介してエアバッグ1に接続されている、血圧測定用の電子機器の構造を例に挙げる。血圧測定時には、エアバッグ1の膨張に伴ってエアバッグ1の大きさが変化する。この場合、手首ストラップ10の内側に配置されたエアバッグ1は、橈骨動脈cの血管を圧迫するために、ユーザの手首40に対して、ユーザの手首40の周方向に力を及ぼす。そのため、橈骨動脈cの血管内の血液は血管壁に衝撃を与え、エアバッグ内の空気圧を変動させる。図6aは、血圧測定用の電子機器による測定時のエアバッグ圧力変化の概略図である。図6aに示すように、エアバッグ1を特定の圧力(図中160mm Hg)まで膨張させた後、エアバッグ1は徐々に収縮され、定格圧力(図中50mm Hg)に達するまで、エアバッグ1内の圧力を徐々に低下させる。エアバッグ1が収縮している間、血液は血圧の作用下で血管壁に衝撃を与える。そのため、衝撃の作用下では、エアバッグ1内の気圧は滑らかには変化せず、小さな範囲で数回変動する。圧力センサ22は、検出流路を介して空気圧の変動を検出し、その後の処理のために処理ユニット20に変動を送信することができる。図6bは、血圧測定用の電子機器による測定中に形成される、エアバッグ圧力脈波の波形の概略図である。図6bに示すように、空気圧の変動を求めた後、処理ユニット20は、エアバッグ1の圧力に重畳された変動信号を信号処理および演算により抽出し、圧力脈波を求めてもよい。図6cは、血圧測定用の電子機器による測定中に得られた圧力脈波の包絡線の概略図である。図6cに示すように、処理ユニット20が圧力脈波に対して包絡処理および対応する変換を行った後、測定中の被検者の血圧変化を求めることができ、収縮期圧や拡張期圧などの血圧情報が、圧力脈波から抽出され得る。測定が完了した後、処理ユニット20は、流体弁23が開かれるように制御して、エアバッグ1が収縮流路を通って収縮し、被検者に対する圧力を解放する。
【0048】
上記の測定プロセスから、血圧測定用の電子機器100が測定を実施するとき、流体ポンプ21はエアバッグ1を膨張させる必要があり、圧力センサ22が検出流路を介してエアバッグ1に接続されて、エアバッグ1内の圧力変化状態を検出することが分かる。しかしながら、圧力センサ22の測定プロセス全体において、エアバッグ1は、膨張から収縮までの完全な膨張および収縮プロセスを経る。膨張および収縮プロセスにおいて、特に膨張プロセスにおいて、流体ポンプ21は、空気供給管路を介してエアバッグ1を加圧し、空気供給管路およびエアバッグ1に特定の空気流衝撃を引き起こす。しかしながら、従来の血圧測定用の電子機器、例えば電子血圧計では、空気供給管路の空気供給口と検出管路の吸気口とが並列に配置され、2つの口が互いに近接して配置されている。したがって、流体ポンプ21に起因する空気流の衝撃は、検出管路の吸気口付近の空気圧に影響を及ぼし、それによって圧力センサによる正常な検出を妨げ、血圧測定用の電子機器100による血圧検出の精度に影響を及ぼす。
【0049】
したがって、本出願は、血圧測定用の電子機器を提供する。血圧測定用の電子機器が被験者の血圧を検出するとき、流体ポンプ21の膨張による空気流の衝撃が小さく、電子機器内の圧力センサ22の測定精度が高い。本出願における血圧測定用の電子機器をさらに説明するために、以下では、例として異なるシナリオを使用して血圧測定用の電子機器の具体的な構造および様々な可能な実装形態を詳細に説明する。
【0050】
シナリオ1
図7は、本出願の一実施形態に係る血圧測定用の電子機器の概略構成図である。図7に示すように、本出願で提供される血圧測定用の電子機器100は、具体的には、エアバッグ1および測定アセンブリ2などの異なる構成要素を含む。測定アセンブリ2は、血圧測定用の電子機器100の本体20内に配置され、測定アセンブリ2は、処理ユニット20、流体ポンプ21、および圧力センサ22を含む。流体ポンプ21およびセンサ22は、両方とも処理ユニット20に電気的に接続され、処理ユニット20の制御下で対応する動作または検出動作を実行する。エアバッグ1と測定アセンブリ2との間の接続を実施するために、血圧測定用の電子機器は、流体管路をさらに含む。エアバッグ1と異なる構成要素と間には、複数の流体管路が接続されている。具体的には、流体管路は、流体ポンプ21とエアバッグ1との間に接続された第1の流体管路3と、圧力センサ22とエアバッグ1との間に接続された第2の流体管路4とを含む。第1の流体管路3は、エアバッグ1に接続された第1のノズル301を有し、第2の流体管路4は、エアバッグ1に接続された第2のノズル401を有する。第1のノズル301および第2のノズル401のうちの一方のノズルの開口方向が、他方のノズルの開口方向から離れることにより、第1のノズル301および第2のノズル401は互いに離れる。
【0051】
この場合、第1の流体管路3および第2の流体管路4の少なくとも一方の一部の管部は、エアバッグ1内に延在している。したがって、第1のノズル301および第2のノズル401の少なくとも一方は、エアバッグ1内に延在している。第1の流体管路3または第2の流体管路4の管部であって、エアバッグ1内に延在する管部は、内蔵管部として画定されてもよい。
【0052】
具体的には、第1のノズル301および第2のノズル401の両方がエアバッグ1内に延在してもよい。または、第1のノズル301または第2のノズル401の一方が、エアバッグ1内に延在してもよく、他方がエアバッグ1の内壁に接続される。第1のノズル301および第2のノズル401の両方が、エアバッグ1内に延在している場合、第1のノズル301および第2のノズル401の開口方向は、互いに離れていてもよい。しかし、第1のノズル301および第2のノズル401の一方のみが、エアバッグ1内に延在している場合、他方はエアバッグ1の内壁に接続されているため、開口方向が固定されている。この場合、エアバッグ1内に延在する第1のノズル301、または第2のノズル401の方向のみを制御して、2つのノズルが互いに離れるようにすればよい。流体管路3の構造は簡単である。説明を容易にするために、第1のノズル301および第2のノズル401の一方が、エアバッグ1内に延在し、他方がエアバッグ1の内壁にのみ接続される例が、以下の説明で使用される。
【0053】
具体的には、この実施形態では、第1の流体管路3のいくつかの管路がエアバッグ1内に延在してもよく、それに対応して、第1の流体管路3の第1のノズル301もエアバッグ1内に配置されてもよい。第2の流体管路4の管部はエアバッグ1内に延在しておらず、第2の流体管路4の第2のノズル401は、第2のノズル401がエアバッグ1の内壁に接続される位置まで延在している。この場合、第2のノズル401の開口方向は、エアバッグ1の内側であり、第1のノズル301の開口方向は第2のノズル401から離れており、第1のノズル301と第2のノズル401とは離れている。
【0054】
血圧測定用の電子機器を小型で携帯可能にするために、第1の流体管路3および第2の流体管路4を、エアバッグ1の同じ側に接続してもよい。具体的には、第1の流体管路3および第2の流体管路4は、概して平行または略平行であり、第1の流体管路3および第2の流体管路4は、同じ方向または同様の方向に沿ってエアバッグ1に接続されている。この場合、第2のノズル401の開口方向は、第2の流体管路4の延伸方向と一致する。第1のノズル301の開口方向を第2のノズル401から遠ざけるために、第1の流体管路3のうちエアバッグ1内に延在する管部は、屈曲部を有していてもよい。このようにして、第1の流体管路3の屈曲部から第1のノズル301までの管部と第1の流体管路3の別の管部との間には挟角があり、その結果、第1のノズル301の向きは、第1の流体管路3の元の延伸方向とは異なり得る。明らかに、第2の流体管路4および第1の流体管路3は同じ方向または同様の方向に沿ってエアバッグ1に接続されているので、第2のノズル401と第1のノズル301との間にも挟角があり、すなわち、第1のノズル301および第2のノズル401の向きは互いに互い違いになっている。この場合、第1のノズル301の向きと、第1のノズル301と第2のノズル401との間のラインの方向との間にも挟角があり、挟角の値は、0°より大きく180°未満であってもよい。
【0055】
さらに、第1のノズル301と第2のノズル401とを遠ざけるためには、第1のノズル301と第2のノズル401とを遠ざけてもよい。この場合、第1のノズル301の開口方向がエアバッグ1の側方であるため、第2のノズル401は、第1のノズル301の開口方向から遠い側に配置されてもよい。例えば、第1の流体管路3がエアバッグ1内に延在した後、第1の流体管路3は、エアバッグ1の第1の側、すなわち図に示す方向Aに向かって曲げられてもよい。このように、第1のノズル301もこの方向を向いている。第2の流体管路4の第2のノズル401は、第1の流体管路3が面する側ではなくエアバッグ1の第2の側、すなわち図に示す方向Bに面する位置にあってもよい。この場合、第1のノズル301の向きと、第1のノズル301と第2のノズル401との間のラインの方向との間には、略90°の挟角があることが分かる。第1のノズル301の開口方向が第2のノズル401から離れているため、流体ポンプ21がエアバッグ1に流体を供給する際、第1のノズル301から突入する流体は、第2のノズル401から離れる方向に流れ、第2のノズル401は、流体の直接の衝撃を受けず、衝撃や影響が小さくなりやすい。これにより、流体の衝撃が圧力センサ22による検出に影響を及ぼすことを防止できる。
【0056】
また、第1のノズル301の開口方向が第2のノズル401から離れているため、第1の流体管路3がエアバッグ内を延在する際に、第1のノズル301と第2のノズル401との間隔を大きくすることができ、第1のノズル301から突入する空気流が第2のノズル401に与える影響を低減することができる。
【0057】
具体的には、前述の説明から、第1の流体管路3のいくつかの管部がエアバッグ1内に延在しており、これらの管部は屈曲部を有しているため、第1のノズル301の開口方向は、第1の流体管路3の元の延伸方向とは異なることが分かる。ただし、第2の流体管路4は、エアバッグ1の内壁にのみ接続されており、エアバッグ1内には延在していない。この場合、第2のノズル401の向きは、エアバッグ1内に延在し、第2の流体管路4の元の延伸方向と一致すると考えることができる。このため、第1のノズル301の開口方向、すなわち流体ポンプ21の排気方向は、第2のノズル401から離れているため、流体ポンプ21の空気流が第1のノズル301から突入したときに、流体ポンプ21の空気流が第2のノズル401に直接影響を与えることはない。さらに、第1の流体管路3は延伸部を有するので、第1のノズル301と第2のノズル401との間には特定の間隔がある。これにより、第2のノズル401での安定した吸気を確保することができるため、圧力センサ22は、検出を行う際に小さな干渉を受けることになる。
【0058】
任意選択的に、第2のノズル401の縁部は、エアバッグ1の内壁と同一平面にある。これにより、第2のノズル401とエアバッグ1との間の位置決めおよび接続が容易になる。また、エアバッグ1の内部空間が限られている場合には、第2のノズル401をエアバッグ1の内壁と同一平面の位置に配置することで、第2のノズル401と第1のノズル301とを可能な限り離間させることができる。これにより、第1のノズル301から突入する空気流が、第2のノズル401に与える影響を低減することができる。
【0059】
任意選択の実施態様では、第1の流体管路3および第2の流体管路4は入れ子にされてもよい。具体的には、第1の流体管路3と第2の流体管路4とは、同じ位置でエアバッグ1の内部に接続されている。
【0060】
具体的には、血圧測定用の電子機器200では、第1の流体管路3の収容を容易にするために、第2の流体管路4のうちエアバッグ1に近い一部の管部の内径を大きくして、第1の流体管路3を第2の流体管路4の管部の内側に配置することができる。これにより、第1の流体管路3が内側管部を形成し、第2の流体管路4が外側管部を形成し、内側管部と外側管部との間に、流体が流通可能な隙間を形成することができる。第1の流体管路3と第2の流体管路4とに流体を別々に流入させるために、第1の流体管路3と第2の流体管路4とは互いに接続されていない。この場合、第2の流体管路4は第2のノズル401を介してエアバッグ1に接続されているため、第1の流体管路3の第1の端部は、第2のノズル401を介してエアバッグ1内に延在し、第1のノズル301とエアバッグ1内に延在する別の管部とを形成することができる。第1の流体管路3の他の端部は、第2の流体管路4の管壁を貫通して流体ポンプ21に接続されている。
【0061】
理解を容易にするために、図7に示す血圧測定用の電子機器における流体の流れ方向について詳細に説明する。図8は、流体流路内の図7の流体の流れ状態の概略図である。図8に示すように、流体ポンプ21は、流体を駆動して第1の流体管路3に沿って流し、第1のノズル301を介してエアバッグ1に流入させる。しかし、エアバッグ1内は高圧であるため、エアバッグ1内の流体は、圧力を受けて第2のノズル401を通って第2の流体管路4に流入し、圧力センサ22に到達する。これにより、圧力センサ22は、圧力を検出できる。エアバッグが収縮する場合、流体弁23が開かれ、第1の流体管路3のいくつかの管部が流体を流出させることができる管路として機能し、流体の流れ方向はエアバッグ1が膨張するときとは反対であり、その結果、流体は流体管路に沿って流体弁23から流出する。
【0062】
図9は、図7の血圧測定用の電子機器における流体管路とエアバッグとの接合領域の具体的構造を示す概略図である。図10は、図7の第1の流体管路および第2の流体管路の入れ子構造の概略図である。図9および図10に示すように、第2の流体管路4の内部に配置される第1の流体管路3の管部は、第1の管部31と画定されてもよい。第1の管部31と、第1の管部31の周囲に位置する第2の流体管路4の管部との間には特定の隙間があり、その隙間を通って流体が第2の流体管路4に流入することができることが理解されよう。第1の管部31と周辺管部との間の隙間の形状は、第1の管部31と第2の流体管路ライン4との相対位置に基づいて変化してもよい。例えば、第1の管部31の周方向と第2の流体管路4の内壁との間には隙間がある。このようにして、第1の管部31と第2の流体管路4との間に環状隙間が形成され、エアバッグ1内の空気は、環状隙間を通って第2の流体管路4に入り、圧力センサ22に到達することができる。
【0063】
このようにして、第1の流体管路3および第2の流体管路4の一部の管部は入れ子にされ、その結果、第1の流体管路3および第2の流体管路4はエアバッグ1上の同じ位置に接続され、言い換えれば、第1の流体管路3および第2の流体管路4は、エアバッグ1上の同じ接続点に接続される。第1の流体管路3と第2の流体管路4とを並べて配置する場合と比較して、入れ子状流体管路とエアバッグ1との接合部が占めるスペースが小さいため、エアバッグ1および血圧測定用の電子機器全体がよりコンパクトな構造となり、血圧測定用の電子機器の小型化および携帯化が容易となる。
【0064】
第1の流体管路3は、一部の管部がエアバッグ1内に延在し、エアバッグ1の側方に屈曲している。エアバッグ1内に延在する第1の流体管路3の管部は、第2の管部32であってもよい。第2の管部32と第1の管部31とは順次接続されており、第2のノズル401から離れて配置された第1のノズル301が、第2の管部32の端部に、形成されている。この場合、第2の管部32は、第1の流体管路3の内蔵管部である。第1のノズル301は、エアバッグ1の内壁に対して複数の異なる位置を有していてもよく、例えば、エアバッグ1の内壁に近接して取り付けられていてもよく、エアバッグ1の内壁との間隔が大きくてもよい。本実施形態では、第1のノズル301がエアバッグ1の内壁に取り付けられている例を用いて説明する。
【0065】
具体的には、図9に示すように、内蔵管部としての第2の管部32は、エアバッグ1の内側に延伸する第1の延伸部321および第2の延伸部322を有している。第1の延伸部321および第2の延伸部322は、排気方向に沿って順に配置されている。第1の延伸部321は、第1の管部31に接続されている。第1のノズル301は、第2の延伸部322の端部に位置しており、第1の延伸部321と第2の延伸部322とは、第1の屈曲部323を介して接続されている。第1の屈曲部323は、第1のノズル301の開口方向が直接的にA側となるように、エアバッグ1の側方、例えば図中のA側に向けて屈曲されている。
エアバッグ1は、異なる方向を向いた複数の内壁を有すことができ、流体管路に接続されたエアバッグ1の側面の内壁は、第1の内壁11として画定されてもよい。第1の延伸部321は、エアバッグ1の内壁内に延伸された直後に、A側に向けて折り曲げられている。このように、第2の延伸部322および第1のノズル301は、いずれも第1の内壁11に取り付けられ、第1の内壁11に支持され得る。血圧測定用の電子機器が動作すると、第1のノズル301から流体が高速で突入する。この場合、第2の延伸部322および第1のノズル301は、第1の内壁11によって支持され得る。これにより、空気流等の流体の衝撃を受けてエアバッグ1内に延伸する第1の流体管路3の延伸部(第1の延伸部321および第2の延伸部322を含む管部)に、例えば、揺れや振動、さらには排気方向の変化等の現象が発生することが防止され、それにより、血圧測定用の電子機器の動作時の安定性が向上し、測定精度が向上する。また、当業者であれば、第2の延伸部322の延伸の長さが異なる場合に、第1のノズル301が、エアバッグ1の異なる箇所に配置されてもよいことを理解できる。例えば、第1のノズル301は、エアバッグ1の内壁の方向に延在し、第1の内壁11の方向とは異なる別の方向の内壁に取り付けられてもよい。
【0066】
第1のノズル301が第2のノズル401に与える影響を低減するために、第1の延伸部321および第2の延伸部322は、直交または略直交する角度に維持されてもよい。本実施形態では、第1の延伸部321と第2の延伸部322とは、互いに直交している。この場合、第1の延伸部321の延伸方向は、第1の管部31の延伸方向と平行、言い換えれば、第2の流体管路4と平行であってもよく、第2の延伸部322は、第1の延伸部321と直交するA側に向かって延在している。第2の延伸部322の延伸方向は、第1の延伸部321および第2のノズル401の両方の向きに対して、直交していることが理解できる。図11は、図7の血圧測定用の電子機器における第1のノズルと第2のノズルとの相対位置を示す概略図である。図11に示すように、エアバッグ1の長さ方向、すなわちC方向において、第1のノズル301は第2の管部32を通ってエアバッグ1内に延在しているので、第1のノズル301と第2のノズル401との間には特定の間隔がある。この場合、第2の延伸部322の長さは、第1のノズル301と第2のノズル401との間隔と略等しくてもよい。
【0067】
図7から図11に示す構造では、第1の内壁11に第2の屈曲部312が接続されており、第1のノズル301は第1の内壁11に支持されている。具体的には、第2の屈曲部312は、接着剤12を用いて第1の内壁11に接着されてもよいし、別の固定構造を用いて第1の内壁11に固定されてもよい。第2の屈曲部312の管部全体が第1の内壁11に固定されてもよいし、第2の屈曲部312が第1の内壁11に確実かつ強固に固定され得、かつ、第1のノズル301が流体の衝撃を受けたときに振動や姿勢変化等の現象が生じないことを条件として、第2の屈曲部312が、第1の内壁11に間隔をおいて配置された複数の固定点を用いて固定されてもよい。
【0068】
第1のノズル301がエアバッグ1の内壁に取り付けられる場合、エアバッグ1は可撓性材料で作られているため、第1の流体管路3がエアバッグ1の正常な変形を妨げないようにするために、任意選択的に、エアバッグ1内に延伸する第1の流体管路3の延伸部、すなわち第2の管部32は、弾性変形可能な可撓性管部(例えば、図6の破線は、管壁の境界を示す)であってもよい。これにより、第2の延伸部322および第1のノズル301は、エアバッグ1の第1の内壁11から外れることなく、エアバッグ1の膨張または収縮に伴って移動し変形することができる。加えて、第1の流体管路3は、エアバッグ1内に硬質の突出部を形成することなく、エアバッグ1の変形に応じて膨張または潰れることができ、それによって被験者の快適な着用を保証する。
【0069】
第2の管部32は、複数の異なる可撓性材料から構成されてもよい。例えば、第2の管部32は、エマルジョン管であってもよいし、ゴム管であってもよい。これはここで限定されない。
【0070】
第1の流体管路3および第2の流体管路4が入れ子になっている場合、第1の流体管路3および第2の流体管路4が内部流体圧力下で互いに影響を及ぼすのを防止するために、任意選択的に、第1の流体管路3の第1の管部31およびエアバッグの外側に位置する第2の流体管路4の管部は、容易に変形しない硬質管部であってもよい。これにより、第1の流体管路3に大きな空気流の衝撃があったとしても、第1の流体管路3の管壁は元の形状を維持することができ、第2の流体管路4は安定した状態となる。このことが、第2の流体管路4内の流体が第1の流体管路3の作用力や外部環境にさらされる際の圧力変化現象を回避し、それによって、圧力センサの検出精度を向上させ、血圧値の正確な測定や表示が容易となる。加えて、エアバッグ1の外側に位置する第1の流体管路3および第2の流体管路4の管部は、硬質管部であり、それによって、測定アセンブリ2とエアバッグ1との間の管接続を維持するのに役立ち、血圧測定用の電子機器の構造強度を改善する。
【0071】
当業者は、エアバッグ1の外側に位置する第1の流体管路3および第2の流体管路4の管部が、流体管路内の安定した状態を確保しながら、特定の弾性歪み能力を有することができることを理解することができる。この場合、第1の流体管路3および第2の流体管路4のこれらの管部は、良好な支持性能と特定の弾性変形能力の両方を有することができ、動作中の空気流の衝撃のいくらかのエネルギーを吸収し、その結果、空気流管路は動作中に安定した動作状態を有し、それによって血圧測定用の電子機器の正常動作を保証する。任意選択的に、エアバッグ1の外側に位置する第1の流体管路3および第2の流体管路4の管部は、骨格ゴムまたは特定の支持能力を有する別の可撓性材料で作られてもよい。
【0072】
第2の流体管路4に入る空気流を緩衝し、圧力センサに対する空気流の影響の干渉を低減するために、第2の流体管路4内の空気流を緩衝するための構造もあり得る。任意選択の実施態様では、第2の流体管路4は、少なくとも1/2の屈曲部41を有することができる。
【0073】
具体的には、第2の流体管路4が第2の屈曲部41を有しているため、第2の屈曲部41の手前に位置する第2の流体管路4の管部と、第2の屈曲部41の後に位置する第2の流体管路4の管部との間に挟角が存在する。第2の流体管路4を空気流が通過する過程で、第2の屈曲部41に空気流が遭遇すると、第2の屈曲部41の管壁に空気流が衝突し、空気流の衝撃エネルギーが消費され、それによって、圧力センサに空気流が到達する際の衝撃が緩和される。
【0074】
良好な緩衝効果を達成するために、第2の屈曲部41は大きな屈曲角度を有してもよい。任意選択的に、第2の屈曲部41の屈曲角度は、約90度に維持されてもよい。具体的には、第2の屈曲部41よりも前に位置する管部と、第2の屈曲部41よりも後に位置する管部とは、互いに直交している。このように、空気流が第2の屈曲部41を通過する際に空気流の向きが大きく変化するため、空気流の衝撃を良好に緩衝して減衰させることができる。
【0075】
任意選択的に、一つ以上の第2の屈曲部41があってもよい。複数の第2の屈曲部41が存在する場合、空気が第2の流体管路4に入った後、複数の異なる第2の屈曲部41を介して空気の向きが複数回変化し、空気の衝撃エネルギーを複数回消費して、それにより、良好な緩衝効果を得ることができる。
【0076】
また、血圧測定用の電子機器の検出処理では、エアバッグ1が膨張して被験者の手足に押し当てられた後にゆっくりと収縮するので、圧力センサは、その過程での空気圧の衝撃による圧力変動を検出する。エアバッグ1に対する収縮動作を実施するために、血圧測定用の電子機器は収縮用の流体弁23を含み、これに対応して、流体管路は、流体弁23とエアバッグ1との間に接続された第3の流体管路5を含む。エアバッグ1を収縮させる必要があるとき、流体弁23を開くことができ、エアバッグ1内の空気が第3の流体管路5および流体弁23を通って流出する。この実施形態では、流体弁23を制御するために、流体弁23は電磁弁であってもよく、流体弁23は血圧測定用の電子機器内の処理ユニットに電気的に接続され、その結果、流体弁の開閉は処理ユニットの制御命令によって制御される。
【0077】
第3の流体管路5も、他の流体管路と同様の構造を有する。例えば、任意の実施態様では、第3の流体管路5は、第3のノズルを介してエアバッグ1に接続されてもよい。
【0078】
血圧測定用の電子機器がエアバッグ1の収縮動作を行うとき、第3の流体管路5内の空気流は遅く、気流速度は遅い。そのため、第3の流体管路5内の空気流が圧力センサの検出精度に与える影響が小さく、第3の流体管路5の配置方法や構造にも制約が少ない。この場合、任意選択的に、第3のノズルおよび第2のノズル401は、同様の構造を有してもよい。具体的には、第3のノズルも、第2のノズル401と同様に、例えば第1の内壁11において、第3のノズルがエアバッグ1の内壁と接続する箇所まで延在してもよい。この場合、第3のノズルの縁部は、第1の内壁11と同一平面であってもよい。
【0079】
さらに、第3の流体管路5内の空気流の影響は小さいため、別の任意の方法では、第3の流体管路5は、代替的に、いくつかの管路を別の流体管路と共有してもよい。例えば、第3の流体管路5は、第1の流体管路3または第2の流体管路4と管路を共有してもよい。本実施形態では、第1のノズル301および第1の流体管路3の一部の管部が可撓性材料で構成されているため、第1の流体管路3に接続された流体ポンプ21が作動していないときに、第1のノズル301および第1のノズル301に接続された管部が潰れ、エアバッグ内の空気が第1の流体管路3に入ることが妨げられる可能性がある。そこで、本実施形態では、第3の流体管路5が正常に通気を行うことができるように、第3の流体管路5と第2の流体管路4とが、一部の管部(例えば、エアバッグ1に接続される第2の流体管路4の一部の管部)を共用する例を用いて説明する。この場合、第3の流体管路5および第2の流体管路4は、それぞれ流体弁23および流体ポンプ21に接続される。また、第3の流体管路5と第2の流体管路4は、エアバッグ1に向かって延在する過程で1つの管部に合流し、この管部は、第1のノズル301を介してエアバッグ1に接続される。
【0080】
この場合、第3の流体管路5および第2の流体管路4が両方とも、第2のノズル401を介してエアバッグ1に接続されているため、流体管路とエアバッグ1との接合部が占める空間が小さく、限られたエアバッグ1の表面空間を有効に活用することができ、エアバッグおよび血圧測定用の電子機器全体の小型化およびコンパクト化が容易となる。
【0081】
任意選択の実施態様では、エアバッグ1の外側に位置する第3の流体管路5の管部は、容易に変形しない硬質管部であってもよい。第3の流体管路5の材料は、骨格ゴムまたは特定の支持能力を有する別の可撓性材料であってもよい。
【0082】
この実施形態では、血圧測定用の電子機器は、具体的には、エアバッグと、測定アセンブリとを含む。測定アセンブリは、処理ユニットと、流体ポンプと、圧力センサとを含む。流体ポンプおよびセンサは両方とも、処理ユニットに電気的に接続されている。流体管路は、流体ポンプとエアバッグとの間に接続された第1の流体管路と、圧力センサとエアバッグとの間に接続された第2の流体管路とを含む。第1の流体管路は、エアバッグに接続された第1のノズルを有し、第2の流体管路は、エアバッグに接続された第2のノズルを有する。第1のノズルおよび第2のノズルのうちの一方のノズルの開口方向が他方のノズルの開口方向から離れることにより、第1のノズルおよび第2のノズルは互いに離れる。このように、血圧測定用の電子機器における流体ポンプがエアバッグに流体を供給するとき、第1のノズルから突入する流体は、第2のノズルから離れる方向に流れ、第1のノズルと第2のノズルとの間には特定の間隔があるため、第2のノズルは、流体の直接的な衝撃を受けず、衝撃や影響が小さくなりやすい。これにより、圧力センサによる検出に影響による流体の衝撃を防止でき、高い血圧測定精度を実現できる。
【0083】
シナリオ2
血圧測定用の電子機器では、第1のノズルと第2のノズルとの間隔を大きくして、圧力センサへの空気流の影響を低減してもよい。例えば、前述の実施形態における第1のノズルをエアバッグの内壁に取り付ける方法に加えて、第1のノズルは、代替的に、エアバッグの内壁から特定の間隔を有する位置に延長されてもよい。図12は、本願の一実施形態による血圧測定用の別の電子機器の構造の概略図である。図12に示すように、このシナリオで提供される血圧測定用の電子機器200の全体構造、機能、および動作原理は、前述のシナリオにおける血圧測定用の電子機器のものと同様である。ここでは詳細を再度説明しない。違いは、このシナリオで血圧測定用の電子機器200では、第2の流体管路4の第2のノズル401が、エアバッグ1の内壁と同一平面の位置にあることにある。エアバッグ1内に延在する第1の流体管路3の一部において、屈曲および方向変化が生じる位置は、エアバッグ1の内壁から特定の間隔を有し、その結果、第1のノズル301とエアバッグ1の内壁との間に特定の間隔が存在する。
【0084】
このシナリオでは、第1の流体管路3と第2の流体管路4とを入れ子にする方法が使用されることに留意されたい。第1の流体管路3および第2の流体管路4の具体的な構造および入れ子方法については、シナリオ1の説明を参照されたい。
【0085】
血圧測定用の電子機器200の第2の流体管路4において、第2のノズル401は、エアバッグ1内に延在しておらず、エアバッグ1の内壁と同一平面である。例えば、第2のノズル401の縁部は、エアバッグ1の第1の内壁11と同一平面であってもよい。この場合、第1のノズル301もエアバッグ1の第1の内壁11に取り付けられていれば、第1のノズル301の開口方向は第2のノズル401から離れているが、第1のノズル301と第2のノズル401との間隔は小さい。したがって、第1のノズル301と第2のノズル401との間の距離を増加させるために、第1のノズル301とこの側のエアバッグ1の内壁、すなわち第1の内壁11との間に特定の間隔を設けることができる。
【0086】
図13は、図12の血圧測定用の電子機器における流体管路とエアバッグとの接合領域の具体的構造を示す概略図である。図13に示すように、第1の流体管路3に関して、第1の流体管路3の第1の管部31は、第2の流体管路4内に入れ子になっており、エアバッグ1内に延在する第1の流体管路3の内蔵管部は、第2の管部32であってもよい。第2の管部32は、排気方向に沿って順次接続された第1の延伸部321と第2の延伸部322とを有し、第1のノズル301は第2の延伸部322の端部に位置し、第1の延伸部321と第2の延伸部322とは、第1の屈曲部323を介して接続されている。第2の管部32では、エアバッグ1内に延在した後、第1の延伸部321は、エアバッグ1の第1の内壁11から特定の間隔を空けた位置まで延伸し続け、第1の延伸部321と第2の延伸部322との間に位置する第1の屈曲部323も、エアバッグ1の内壁から間隔を空けている。この場合、第1の屈曲部323に接続された第2の延伸部322と、第2の延伸部322の端部に位置する第1のノズル301とは、エアバッグ1の第1の内壁11から対応する間隔を有している。この場合、第2のノズル401がエアバッグ1の内壁に配置されているため、第1のノズル301と第2のノズル401との間に特定の間隔があってもよく、第1のノズル301と第2のノズル401との間の間隔は、第2の管部32の各部の長さおよび方向によって決定されてもよい。具体的には、シナリオ1と比較して、第1のノズル301と第2のノズル401との間の間隔は、第2の延伸部322の長さaと、第1の延伸部321の長さbとによって決定される。
【0087】
任意選択で、第1の延伸部321は、エアバッグ1の中央領域まで延伸してもよい。この場合、第2の管部32における第1の屈曲部323は、エアバッグ1における各方向の内壁から特定の間隔を有している。このように、第1のノズル301から突入する空気流は、エアバッグ1の内壁への衝撃が小さい。このため、エアバッグ1の内壁に位置する第2のノズル401も衝撃が小さく、測定精度の向上に寄与する。
【0088】
例えば、この実施形態では、第1の延伸部321および第2の流体管路4は、互いに平行または略平行であってもよく、第2の延伸部322と第1の延伸部321との間に略直角の屈曲角度が形成される。この場合、第1のノズル301と第2のノズル401と第1の屈曲部323との間には、略直角三角形が形成されてもよく、第1のノズル301と第2のノズル401との間隔は、第2の管部32における各個別管部の長さよりも大きい。
【0089】
また、第1の延伸部321および第2の延伸部322は、他の異なる方向に向けられてもよい。例えば、第2の延伸部322は、第1のノズル301と第1の内壁11との間隔を広げるように、第1の内壁11から離れる方向に延伸してもよい。当業者は、第1の延伸部321と第2の延伸部322との間の屈曲角度が90度以上であり、その結果、第1のノズル301と第2のノズル401との間に大きな間隔が存在することを理解することができる。
【0090】
第1の流体管路3の第1のノズル301とエアバッグ1の内壁との間に常に特定の間隔があることを保証するために、任意選択の方法で、第1の流体管路3の第2の管部32は、硬質管路であってもよい。具体的には、エアバッグ1は、引き込み可能な材料から形成され、第2の管部32は、骨格ゴムまたは特定の支持能力を有する他の材料から形成されてもよい。この場合、エアバッグ1は空気圧の変化に伴って収縮または膨張することができ、第2の管部32は特定の硬質性を有する。第2の管部32は、エアバッグ1の内壁まで延在した後、第2の管部32の屈曲や可撓性の潰れによってエアバッグ1の内壁に取り付けられることなく、その形態を維持し、エアバッグ1の内壁との間に特定の間隔を保つことができる。
【0091】
第1の流体管路3の製造プロセスを簡略化するために、任意選択的に、第2の管部32および第1の管部31を含む第1の流体管路3全体は、具体的には図12に示すように、骨格ゴムまたは同様の特性を有する別の同じ材料で作られてもよい。このようにして、第1の流体管路3を均一に製造して成形することができ、組み立てや製造の困難性を低減することができる。
【0092】
さらに、任意選択的に、第2の流体管路4全体はまた、骨格ゴムまたは別の同様の材料で作られてもよく、その結果、第1の流体管路3および第2の流体管路4は両方とも同じプロセスを使用して製造され、製造プロセスは単純であり、コストは低い。
【0093】
流体管路が、流体弁23とエアバッグ1との間に接続された第3の流体管路5を含む場合、任意の方法で、第3の流体管路5は、代替的に、いくつかの管路を別の流体管路と共有してもよく、例えば、管路を第1の流体管路3または第2の流体管路4と共有してもよい。例えば、圧力センサ22に対する流体弁23の影響を低減するために、本実施形態では、第3の流体管路5と第1の流体管路3とが、一部の管部(例えば、エアバッグ1に接続される第1の流体管路3の一部の管部)を共用する例を用いて説明する。この場合、第3の流体管路5および第1の流体管路3は、それぞれ流体弁23および流体ポンプ21に接続される。また、第3の流体管路5と第1の流体管路3とは、エアバッグ1に向かって延在する過程で1つの管部に組み合わされ、管部は第1のノズル301を介してエアバッグ1に接続される。第1の流体管路3は、硬質管部で構成されており、通気が妨げられるような現象(例えば、潰れ)が生じないために、第3の流体管路5の通気性を確保することができる。また、第3の流体管路5および第1の流体管路3は、いずれも第1のノズル301を介してエアバッグ1に接続されているため、流体管路とエアバッグ1との接合部が占める空間が小さく、限られたエアバッグ1の表面空間を有効に活用することができ、エアバッグおよび血圧測定用の電子機器全体の小型化およびコンパクト化が容易となる。
【0094】
この実施形態では、血圧測定用の電子機器は、測定アセンブリ、エアバッグ、および流体管路などの構成要素を含み、第1の流体管路の第1のノズルの向きは、第2の流体管路の第2のノズルの向きから離れている。エアバッグ内に延在する第1の流体管路の一部において、屈曲および方向変化が生じる位置は、エアバッグの内壁から特定の間隔を有し、その結果、第1のノズルとエアバッグの内壁との間に特定の間隔が存在する。このようにして、第1のノズルから突入する空気流は、エアバッグの内壁への影響を小さくする。このため、エアバッグの内壁に位置する第2のノズルも衝撃が小さく、測定精度の向上に寄与する。
【0095】
シナリオ3
圧力センサに対する流体ポンプの空気流の影響を低減するために、第1の流体管路がエアバッグ内に延在する方法に加えて、第2の流体管路がエアバッグ内に代替的に延在してもよい。図14は、本出願の一実施形態に係る血圧測定用の第3の電子機器の概略構成図である。図14に示すように、このシナリオで提供される血圧測定用の電子機器400の全体構造、機能、および動作原理は、前述の実施形態と同様である。ここでは詳細を再度説明しない。前述の実施形態のシナリオとの違いは、このシナリオでは、第2の流体管路4がエアバッグ1内に延在するいくつかの管部を有することができ、第1の流体管路3がエアバッグ1内に延在しないことにある。
【0096】
具体的には、第1の流体管路3の管部は、エアバッグ1に接続されているだけであり、エアバッグ1内には延在していない。このようにして、第1の流体管路3の第1のノズル301は、第1のノズル301がエアバッグ1の内壁に接続される位置まで延在する。この場合、第1のノズル301の開口方向は、エアバッグ1の内側である。これに対応して、第1のノズル30と第2の流体管路4の第2のノズル401とを遠ざけておくために、第2のノズル401の開口方向を第1のノズル301から遠ざけてもよい。
【0097】
このシナリオでは、第1のノズル301と第2のノズル401とが入れ子になる配置方法も使用されてもよい。このように、第1のノズル301と第2のノズル401とがエアバッグ1の同じ部位に接続されることにより、エアバッグ1の限られたスペースを有効に活用して、エアバッグ1および血圧測定用の電子機器400全体の体積を小さくし、血圧測定用の電子機器400の小型化および携帯化を容易にすることができる。
【0098】
具体的には、次の配置方法が用いられてもよい:第2のノズル401が第1のノズル301の内側に配置され、第2のノズル401の外壁と第1のノズル301の内壁との間には間隔がある。この場合、第2の流体管路4の一端は、第1のノズル301を通ってエアバッグ内に延在し、第2のノズル401と、第2の流体管路4のエアバッグ1内に延在する部分とを構成することができる。第2の流体管路4の他の端部は、第1の流体管路3の管壁を貫通し、圧力センサ22に接続されている。理解を容易にするために、以下で、図14の流体の流れ方向を詳細に説明する。図15は、流体流路内の図14の流体の流れ状態の概略図である。図15に示すように、前述のシナリオと同様に、流体ポンプ21は、流体を駆動して第1の流体管路3に沿って流れ、第1のノズル301を通ってエアバッグ1に入る。しかし、エアバッグ1内は高圧であるため、エアバッグ1内の流体は、圧力の作用下で第2のノズル401を通って第2の流体管路4に流入し、圧力センサ22に到達する。これにより、圧力センサ22は、圧力を検出できる。エアバッグが収縮する場合、流体弁23が開かれる。この場合、第1の流体管路3の一部の管部が流出管路となり、エアバッグの膨張時と流体の流れ方向が逆方向となるため、流体は流体管路に沿って流体弁23から流出する。
【0099】
図16は、図14の血圧測定用の電子機器における流体管路とエアバッグとの接合領域の具体的構造を示す概略図である。図14から図16に示すように、第2の流体管路4の一部の管部は、第1の流体管路3と入れ子状になっており、第2の流体管路4のうち第1の流体管路3に囲まれた管部は、第3の管部42と画定されてもよい。第2の流体管路4は、一部の管部がエアバッグ1内に延在し、エアバッグ1の側方に屈曲している。エアバッグ1内に延在する第2の流体管路4の内蔵管部は、第4の管部43であってもよい。第4の管部43と第3の管部42とは、順次接続されている。
【0100】
任意選択の実施態様では、内蔵管部として機能する第4の管部43は、第3の延伸部431および第4の延伸部432を含むことができる。第3の延伸部431および第4の延伸部432は、第2の流体管路4における空気流の流れ方向に沿って順に配置されている。第3の延伸部431と第4の延伸部432とは、第3の屈曲部433を介して接続されている。
【0101】
図16に示すように、第2のノズル401は、第3の延伸部431の端部に位置しており、第3の延伸部431の第2のノズル401から離れている端部は、第3の屈曲部433を介して第4の延伸部432に接続されている。シナリオ1と同様に、第3の屈曲部433は、エアバッグ1の側面、例えば、A側に向かって曲げられ、その結果、第1のノズル301の開口方向は、A側に向かう。エアバッグ1は、異なる方向を向いた複数の内壁を有してもよく、流体管路に接続されたエアバッグ1の側面の内壁は、第1の内壁11として画定されてもよい。エアバッグ1の内壁まで延伸した後、第4の延伸部432はA側に曲げられる。このようにして、第2のノズル401の開口方向は、第1のノズル301の開口方向と異なることができる。第2のノズル401とエアバッグ1の内壁との間には、複数の異なる相対位置があってもよい。例えば、任意選択の実施態様では、図13および図14に示すように、第3の延伸部431および第2のノズル401は両方とも、第1の内壁11に取り付けられ、第1の内壁11によって支持されてもよい。この場合、エアバッグ1の内壁を利用して第2のノズル401を良好に固定して配置することで、第2のノズル401が揺れ等の検出精度に影響を及ぼす問題を防止することができる。任意選択で、第3の延伸部431は、接着剤13等を用いて第1の内壁11に固定されてもよい。
【0102】
加えて、第2のノズル401と第1のノズル301との間の距離を増加させるために、別の任意の方法では、代替的に、第2のノズル401と第1の内壁11との間に特定の間隔があってもよい。第2のノズル401と第1の内壁11との間に間隔があり、第1のノズル301が第1の内壁11と同一平面の位置にある場合、第2のノズル401と第1のノズル301との間の距離が大きいため、第2のノズル401の位置に空気流が到達したときに、第1のノズル301から突入する空気流の速度が低下する。これにより、空気流の影響が圧力センサによる正常な検出に影響を及ぼすことが防止され、測定精度が確保される。この場合、第2の流体管路4における第3の延伸部431、第4の延伸部432、および、第2のノズル401の具体的な構造は、シナリオ2における第1の流体管路3の構造と同様であってよい。ここでは詳細を再度説明しない。
【0103】
本実施形態では、第3の延伸部431および第2のノズル401の両方が第1の内壁11に取り付けられている例を用いて説明する。第2のノズル401に対する第1のノズル301の影響を低減するために、第3の延伸部431および第4の延伸部432は、直交または略直交する角度に維持されてもよい。本実施形態では、第3の延伸部431と第4の延伸部432とは、互いに直交している。この場合、第4の延伸部432の延伸方向は、第1のノズル301の延伸方向と平行であってもよく、第3の延伸部431は、第4の延伸部432と直交する方向に延伸し、第1のノズル301と略直交する。
【0104】
第2のノズル401に接続された第2の流体管路4は圧力センサに接続されているので、任意選択の実施態様では、エアバッグ1内の第2のノズル401の位置は、被検者の動脈の位置に対応することができる。
【0105】
具体的には、エアバッグ1が被検者の手足に巻きつけられた場合、被検者の手足の動脈は、エアバッグの一部に近接して取り付けられる。第2のノズル401がエアバッグ1内の部分に位置するとき、動脈が第2のノズル401に近いため、第2のノズル401における空気圧変化は、動脈内の血液衝撃に適時に応答し、圧力センサによる検出は迅速かつ直接的である。また、第2のノズル401の圧力変化が、エアバッグ1の他の部位の影響を受けにくくなり、検出精度が向上する。このようにして、第2のノズル401は、動脈の近くの場所でエアバッグ圧力変化状況を収集することができ、その結果、圧力センサによる検出は、高い応答速度および高い精度を有する。
【0106】
図17は、図14の血圧測定用の電子機器による測定中の第2のノズルの位置の概略図である。図17に示すように、具体的には、血圧測定用の電子機器300が被検者の手首に配置されている場合、エアバッグ1上の第2のノズル401の位置は、被検者の橈骨動脈cの位置に対応していてもよい。この場合、エアバッグ1は、被検者の手首を取り囲み、第2の流体管路4は、エアバッグ1内に延在した後で、手首を取り巻く周方向(エアバッグの長さ方向であってもよい)に沿って延在し、第2のノズル401が被検者の橈骨動脈cまたはその近傍に位置するようにしてもよい。
【0107】
さらに、第2の流体管路4が空気流の衝撃を緩衝することを可能にするために、任意の方法で、エアバッグ1の外側に位置する第2の流体管路4の一部もまた、第2の屈曲部41を有することができる。第2の流体管路4と第1の流体管路3との間に入れ子状管部があるため、第2の流体管路4の第2の屈曲部41は、入れ子状管部を超えて配置され、2つの流体管路間の相互干渉を回避する。具体的には、第2の流体管路4の第2の屈曲部41は、第3の管部42と圧力センサ22との間に位置していてもよい。第2の屈曲部41の前に位置する第2の流体管路4の管部と、第2の屈曲部41の後に位置する第2の流体管路4の管部との間には挟角があり、その結果、第2の屈曲部41を通過する空気流は、第2の流体管路4の管壁と衝突し、それによって空気流のエネルギーを消費し、衝撃を低減する。
【0108】
また、第2のノズル401は、主にエアバッグ1内の空気が第2の流体管路4に流入するために用いられ、第2のノズル401自体は空気流を発生させない。エアバッグ1の収縮時には、エアバッグ1の内部空間が連続的に縮小する。この場合、エアバッグ1の内部に位置する第2の流体管路4の第4の管部43が十分な支持能力を有していないと、エアバッグ1の押圧によって第2のノズル401が変形してしまい、第2のノズル401の断面積が小さくなってしまう。この場合、第2の流体管路4およびエアバッグ1における正常な空気流が阻害され、圧力センサによる正常な検出にさらに影響を与える。
【0109】
エアバッグ1の変形が第2のノズル401の通常の通気に影響を及ぼすのを防止するために、任意選択的に、エアバッグ1内に配置された第2の流体管路4の第4の管部43は、硬質管路である。このようにして、内部空間の縮小によりエアバッグ1が第2の流体管路4を押圧しても、第4の管部43および第2のノズル401は、元の形状および断面積を保持したままであり、第2の流体管路4内の通常の空気流を維持する。具体的には、エアバッグ1内に位置する第2の流体管路4の延伸部は、骨格ゴムまたは当業者によって一般的に使用される別の耐変形性材料で作られてもよい。これはここで限定されない。
【0110】
加えて、前述のシナリオと同様に、エアバッグ1に対して収縮動作を実行するために、血圧測定用の電子機器400は、流体弁23と、流体弁23とエアバッグ1との間に接続された第3の流体管路5とをさらに含む。第3の流体管路5の様々な可能な実装形態および構造は、前述の実施形態における第3の流体管路のものと同様である。ここでは詳細を再度説明しない。
【0111】
流体管路とエアバッグ1との間の接続点の数を減らすために、第3の流体管路5は、いくつかの管部を別の流体管路と共有することができる。この実施形態では、任意選択の方法で、第3の流体管路5の第1の端部を第1の流体管路3に接続することができ、その結果、第3の流体管路5および第1の流体管路3はいくつかの管部を共有し、両方とも第1のノズル301を介してエアバッグに接続される。第3の流体管路5の第2の端部は、流体弁23に接続されている。第3の流体管路5および第1の流体管路3は、いずれも第1のノズル301を介してエアバッグ1に接続されているため、流体管路とエアバッグ1との接合部が占める空間が小さく、限られたエアバッグ1の表面空間を有効に活用することができ、エアバッグ1および血圧測定用の電子機器300全体の小型化およびコンパクト化が容易となる。また、第3の流体管路5内の空気流は、第2の流体管路2と干渉しないため、圧力センサ22による検出への影響が小さい。
【0112】
この実施形態では、血圧測定用の電子機器は、測定アセンブリ、エアバッグ、および流体管路などの構成要素を含み、流体管路内の第1のノズルおよび第2のノズルの向きは、互いに離れている。第2の流体管路のいくつかの管部は、第1の流体管路内に入れ子になっており、第2の流体管路のいくつかの管部は、エアバッグ内に延在し、エアバッグの側面に向かって曲げられている。このように、血圧測定用の電子機器における流体ポンプがエアバッグに流体を供給するとき、第1のノズルから突入する流体は、第2のノズルから離れる方向に流れ、第1のノズルと第2のノズルとの間には特定の間隔があるため、第2のノズルは、流体の直接的な衝撃を受けず、衝撃や影響が小さくなりやすい。これにより、圧力センサによる検出に影響による流体の衝撃を防止でき、高い血圧測定精度を実現できる。
【0113】
シナリオ4
第2の流体管路のいくつかの管部がエアバッグ内に延在しているが、第1の流体管路がエアバッグ内に延在していない場合、エアバッグ内に延在する第2の流体管路の管部はまた、エアバッグの内壁から特定の間隔を有する位置まで延在してもよい。図18は、本願の一実施形態に係る第4の血圧測定用の電子機器の概略構成図である。図18に示すように、このシナリオで提供される血圧測定用の電子機器400の全体構造、機能、および動作原理は、前述のシナリオにおける血圧測定用の電子機器のものと同様である。ここでは詳細を再度説明しない。シナリオ3との違いは、このシナリオの血圧測定用の電子機器では、第1の流体管路3の第1のノズル301が、エアバッグ1の内壁と同一平面の位置に配置されている点である。エアバッグ1内に延在する第2の流体管路4の一部において、屈曲が生じる箇所は、エアバッグ1の内壁に取り付けられておらず、エアバッグ1の内壁から特定の間隔を有しており、その結果、第2のノズル401とエアバッグ1の内壁との間に特定の間隔が存在する。
【0114】
第1のノズル301は、エアバッグ1内には延在しておらず、エアバッグ1の内壁と同一平面の位置にある。この場合、第1のノズル301と第2のノズル401との間の間隔を広げるために、第2のノズル401と、流体管に接続されたエアバッグ1の内壁、すなわち第1の内壁11との間に特定の間隔があってもよい。図19は、図18の電子機器における流体管路とエアバッグとの接合領域の具体的構造を示す概略図である。具体的には、図19に示すように、エアバッグ1内に延在する第2の流体管路4の第4の管部43において、エアバッグ1内に延伸した後、第4の延伸部432は、エアバッグ1の第1の内壁11から特定の間隔を有する位置まで延伸しつつける。第4の延伸部432の端部に位置する第3の屈曲部433と、第3の屈曲部433に接続される第3の延伸部431も、エアバッグ1の内壁からの対応する間隔を有する。この場合、第1のノズル301がエアバッグ1の内壁に配置されているため、第1のノズル301と第2のノズル401との間に特定の間隔があってもよい。具体的には、シナリオ3と比較して、第1のノズル301と第2のノズル401との間隔は、第3の延伸部の長さdと第4の延伸部の長さeとの両方によって決定される。
【0115】
任意選択的に、第4の延伸部432は、エアバッグ1の中央領域まで延在してもよく、その結果、第3の屈曲部433は、エアバッグ1の各方向において内壁から特定の間隔を有する。この場合、第2のノズル401もエアバッグ1の中央領域に位置し、第1のノズル301から遠く離れているため、正確な圧力値を収集することができる。
【0116】
例えば、シナリオ2と同様に、この実施形態では、第4の延伸部432および第1の流体管路3は、互いに平行または略平行であってもよく、第3の延伸部431と第4の延伸部432との間に、略直角の屈曲角度が形成される。
【0117】
また、第3の延伸部431および第4の延伸部432は、他の異なる方向に向けられてもよい。例えば、第4の延伸部432は、第2のノズル401と第1の内壁11との間隔を広げるように、第1の内壁11から離れる方向に延伸してもよい。当業者は、第3の延伸部431と第4の延伸部432との間の屈曲角度が90度以上であってもよく、その結果、第1のノズル301と第2のノズル401との間に大きな間隔が存在することを理解することができる。
【0118】
エアバッグ1の変形が第2のノズル401の通常の通気に影響を及ぼすのを防止するために、シナリオ3と同様に、任意選択的に、エアバッグ1内に配置された第2の流体管路4の第4の管部43は、硬質管路であってもよい。このようにして、内部空間の縮小によりエアバッグ1が第2の流体管路4を押圧しても、第4の管部43および第2のノズル401は、元の形状および断面積を保持したままであり、第2の流体管路4内の通常の空気流を維持する。また、第4の管部43が硬質管路である場合には、第2のノズル401の位置変化を避けるために、第2のノズル401とエアバッグ1の内壁との間にも常に間隔を確保してもよい。具体的には、エアバッグ1内に位置する第2の流体管路4の延伸部は、骨格ゴムまたは当業者によって一般的に使用される別の耐変形性材料で作られてもよい。これはここで限定されない。
【0119】
任意選択的に、第2の流体管路4全体は、骨格ゴムまたは同様の特性を有する別の材料で作られてもよい。このようにして、第2の流体管路4を均一に製造して成形することができ、組み立てや製造の困難性を低減することができる。
【0120】
さらに、任意選択的に、第1の流体管路3全体はまた、骨格ゴムまたは他の同様の材料で作られてもよく、その結果、第1の流体管路3および第2の流体管路4は両方とも同じプロセスを使用して製造され、製造プロセスは単純であり、コストは低い。
【0121】
この実施形態では、血圧測定用の電子機器は、測定アセンブリ、エアバッグ、および流体管路などの構成要素を含み、流体管路内の第1のノズルおよび第2のノズルの向きは、互いに離れている。第2の流体管路のいくつかの管部は、第1の流体管路内に入れ子になっており、第2の流体管路のいくつかの管部は、エアバッグ内に延在し、エアバッグの側面に向かって曲げられている。エアバッグ内に延在する第2の流体管路の一部において、屈曲および方向変化が生じる位置は、エアバッグの内壁から特定の間隔を有し、その結果、第1のノズルとエアバッグの内壁との間に特定の間隔が存在する。このように、第2のノズルは、第1のノズルから遠く離れており、小さな空気流の影響を受け、それによって測定精度を向上させるのに役立つ。
【符号の説明】
【0122】
1 エアバッグ
2 測定アセンブリ
3 第1の流体管路
4 第2の流体管路
5 第3の流体管路
11 第1の内壁
12 接着剤
13 接着剤
20 処理ユニット
21 流体ポンプ
22 圧力センサ
23 流体弁
30 流体管路
31 第1の管部
32 第2の管部
41 第2の屈曲部
42 第3の管部
43 第4の管部
110 RF回路
111 アンテナ
120 メモリ
130 別の入力装置
140 画面
141 表示パネル
142 タッチパネル
150 別のセンサ
160 音声回路
170 I/Oサブシステム
171 別の入力機器のコントローラ
172 センサ・コントローラ
173 表示コントローラ
201 筐体
301 第1のノズル
321 第1の延伸部
322 第2の延伸部
323 第1の屈曲部
401 第2のノズル
431 第3の延伸部
432 第4の延伸部
433 第3の屈曲部
501 本体
502 手首ストラップ
503 手首
100、200、300、400 血圧測定用の電子機器
c 橈骨動脈
図1
図2
図3a
図3b
図4
図5a
図5b
図6a
図6b
図6c
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19