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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-15
(45)【発行日】2023-12-25
(54)【発明の名称】筐体、電池パック及び装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 1/04 20190101AFI20231218BHJP
   H01M 50/209 20210101ALI20231218BHJP
   H01M 50/242 20210101ALI20231218BHJP
   H01M 50/249 20210101ALI20231218BHJP
【FI】
B60K1/04 Z
H01M50/209
H01M50/242
H01M50/249
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022540861
(86)(22)【出願日】2020-12-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-13
(86)【国際出願番号】 CN2020139626
(87)【国際公開番号】W WO2021196772
(87)【国際公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-07-01
(31)【優先権主張番号】202010244822.X
(32)【優先日】2020-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522021826
【氏名又は名称】江▲蘇▼▲時▼代新能源科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】JIANGSU CONTEMPORARY AMPEREX TECHNOLOGY LIMITED
【住所又は居所原語表記】No.1000 Chengbei Road, Kunlun Street, Liyang City, Changzhou, Jiangsu 213300, China
(74)【代理人】
【識別番号】100167689
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 征二
(72)【発明者】
【氏名】姜利文
(72)【発明者】
【氏名】▲許▼金▲梅▼
(72)【発明者】
【氏名】方伍▲梅▼
【審査官】福田 信成
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-193289(JP,A)
【文献】特開2017-193288(JP,A)
【文献】特開2017-196952(JP,A)
【文献】特開2018-131133(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0393459(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 1/04
H01M 50/209
H01M 50/242
H01M 50/249
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池パック(P)に用いられる筐体(M)であって、
電池を収容するための収容室(11)を形成するフレーム部材(1)と、
前記フレーム部材(1)を自動車に取り付けるのに用いられ、且つ前記フレーム部材(1)の外周に接続される固定部材(3)と、
前記固定部材(3)を保護するように前記フレーム部材(1)に接続され、少なくとも一部の前記固定部材(3)が収容される中空部(23)を含む保護部材(2)と、
を備え、
前記保護部材(2)は、前記中空部(23)を形成するように、互いに接続される第1の保護部材(21)と第2の保護部材(22)を備える、
筐体(M)。
【請求項2】
前記第1の保護部材(21)は、前記第2の保護部材(22)から離れる方向に突出して設けられ、対応する前記第2の保護部材(22)の一部とともに前記中空部(23)を形成する第1の突起部(211)を含む、
請求項1に記載の筐体(M)。
【請求項3】
前記第2の保護部材(22)は、前記第1の保護部材(21)に向けて突出して設けられる第2の突起部(222)を含む、
請求項1又は2に記載の筐体(M)。
【請求項4】
前記第2の突起部(222)は、前記第1の保護部材(21)に貼り合せるように設けられる、
請求項に記載の筐体(M)。
【請求項5】
前記固定部材(3)は、前記筐体(M)を固定し、且つ前記中空部(23)に収容される取り付け部(31)を含む、
請求項1~のいずれか1項に記載の筐体(M)。
【請求項6】
前記取り付け部(31)の頂部は、前記保護部材(2)に貼り合せるように設けられ、及び/又は、
前記取り付け部(31)の底部は、前記保護部材(2)に貼り合せるように設けられる、
請求項に記載の筐体(M)。
【請求項7】
前記取り付け部(31)は、前記第1の保護部材(21)に向けて突出して設けられ、且つ前記第1の保護部材(21)との間には隙間を有する第3の突起部(311)を含む、
請求項又はに記載の筐体(M)。
【請求項8】
請求項1~のいずれか1項に記載の筐体(M)と、
前記筐体(M)の前記収容室(11)内に収容される電池と、
を備える、
電池パック(P)。
【請求項9】
電気エネルギーを提供するための請求項に記載の電池パック(P)を備える、
装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2020年3月31日に提出された名称が「筐体、電池パック及び装置」である中国特許出願202010244822.Xの優先権を主張し、該出願の全ての内容は、引用により本願に組み込まれている。
【0002】
本願は、電池技術分野に関し、特に筐体、電池パック及び装置に関する。
【背景技術】
【0003】
新エネルギー自動車の市場需要は、新エネルギー自動車の急速な発展を促した。電池パックの構造の設計には、設計の信頼性を確保する必要がある。一般的に、電池パックの取り付け部分は、電池パックの境界に属し、電池パックの性能と完全性を保証することは、車両全体の安全性にとって極めて重要である。しかし、関連技術における電池パックの取り付け部分は、電池パックの外部に露出しているため、自動車が暴走したり衝突したりした場合、この部分も最も失効しやすい部分であり、さらに電池パックが押圧されてしまい、電池パック及び車両全体の安全性能が低下となっている。
【発明の概要】
【0004】
本願は、筐体、電池パック及び装置を提供し、車両全体が衝突した時に電池パックの取り付け部分が失効しやすい問題を緩和する。
【0005】
本願の実施例の第1の態様は、
収容室を形成するためのフレーム部材と、
前記筐体を取り付け、且つ前記フレーム部材に接続される固定部材と、
前記フレーム部材に接続し、且つ少なくとも一部の前記固定部材が収容される中空部を含む保護部材と、を含み、
前記保護部材は、前記中空部を形成するように互いに接続される第1の保護部材と第2の保護部材を含む、
筐体を提供する。
【0006】
中空部付きの保護部材を設けることにより、自動車が側突押圧されても、保護部材が先に押圧され、保護部材が押圧力を受けるとともに、保護部材に中空部が設けられ、押圧力に対して吸収と緩衝の役割を果たし、側突押圧に抵抗する能力を向上させ、電池パックの性能と完全性を効果的に保証する。車両全体衝突時に電池パックの取り付け部分が失効しやすい問題を緩和し、電池パックと車両全体の安全性能を向上させる。
【0007】
また、第1の保護部材と第2の保護部材は、別体で設けられ、一体成形された保護部材に比べて、強度が高い利点を有し、第1の保護部材と第2の保護部材は、それぞれ独立して設けられ、且つ第1の保護部材と第2の保護部材の接続箇所は、高い押圧力を受けることができ、さらに保護部材の側突押圧に抵抗する能力を大幅に向上させる。
【0008】
いくつかの実施例において、固定部材は、フレーム部材の外周に接続される。
【0009】
固定部材は、フレーム部材の外周に接続され、保護部材は、フレーム部材に接続するのに用いられ、且つ保護部材が有する中空部に、少なくとも一部の固定部材を収容し、さらに、固定部材と保護部材は、何れもフレーム部材の外周に接続され、自動車が側突押圧されても、保護部材が先に押圧され、保護部材は、押圧力を受けるとともに、保護部材に中空部が設けられ、側突押圧力に対して吸収と緩衝の役割を果たし、側突押圧に抵抗する能力を向上させ、電池パックの性能と完全性を効果的に保証することができる。
【0010】
いくつかの実施例において、前記第1の保護部材は、前記第2の保護部材から離れる方向に突出して設けられ、、対応する前記第2の保護部材の一部とともに前記中空部を形成する第1の突起部を含む。
【0011】
本実施例において、第1の突起部が第2の保護部材から離れる方向に突出して設けられることにより、固定部材を収容するための中空部を形成することが容易であり、同時に第1の突起部を設けることにより、第1の保護部材の強度を向上させることができるため、さらに保護部材全体の強度を向上させ、さらに側突押圧に抵抗する能力を向上させ、電池パックの性能と完全性を効果的に保証する。
【0012】
いくつかの実施例において、前記第2の保護部材は、前記第1の保護部材に向けて突出して設けられる第2の突起部を含む。
【0013】
本実施例は、第2の突起部を設けることにより、第2の保護部材の強度を向上させることができ、さらに保護部材全体の強度を向上させ、同時に第2の突起部が第1の保護部材に向けて突出して設けられ、保護部材全体の体積を減少し、電池パック全体の体積を減少することができる。
【0014】
いくつかの実施例において、前記第2の突起部は、前記第1の保護部材に貼り合せるように設けられる。
【0015】
本実施例において、第2の突起部は第1の保護部材に貼り合せるように設けられるにより、貼り合せ箇所の強度を向上させることができ、側突押圧が発生した後、当該箇所の保護部材が変形しにくくなり、側突押圧に抵抗する能力を向上させ、電池パックの安全性能が保証される。
【0016】
いくつかの実施例において、前記固定部材は、前記筐体を固定し、前記中空部に収容される取り付け部を含む。
【0017】
本実施例における取り付け部は、筐体を自動車に取り付け、且つ中空部に収容され、側突押圧が発生した後、中空部を設けることにより緩衝の役割を果たすことができ、取り付け部が直接衝突されることを避けることができ、電池パックの側突押圧に抵抗する能力を向上させる。
【0018】
いくつかの実施例において、前記取り付け部の頂部は、前記保護部材に貼り合せるように設けられ、及び/又は、前記取り付け部の底部は、前記保護部材に貼り合せるように設けられる。
【0019】
本実施例において、取り付け部の頂部又は底部は、保護部材に貼り合せるように設けられ、中空部を支持する役割を果たすことができる。
【0020】
又は、取り付け部の頂部と底部は、何れも保護部材に貼り合せるように設けられる。取り付け部は中空部に位置しているため、取り付け部は保護部材に貼り合せるように設けることにより、中空部を支持する役割を果たすことができるとともに、保護部材の強度を強化することもできる。
【0021】
前記取り付け部は、前記第1の保護部材に向けて突出して設けられ、且つ前記第1の保護部材との間には隙間を有する第3の突起部を含む。
【0022】
本実施例において、第3の突起を設けることにより、取り付け部の強度を向上させることができ、第3の突起部の突出方向は、第1の突起部の突出方向と一致し、保護部材のスペースを節約することができる。
【0023】
第3の突起部と第1の保護部材との間には隙間を有し、当該隙間は、ブッシュを取り付けるのに用いられる。
【0024】
本願の実施例の第2の態様は、前記筐体と、前記筐体の前記収容室内に収容される電池と、含む電池パックを提供する。
【0025】
本実施例における電池パックは上記筐体を含むため、電池パックの性能と完全性を効果的に保証し、車両全体衝突時に電池パックの取り付け部分が失効しやすい問題を緩和し、電池パックと車両全体の安全性能を向上させる。
【0026】
本願の実施例の第3の態様は、電気エネルギーを提供するための電池パックを含む装置を提供する。
【発明の効果】
【0027】
本実施例における装置は、上記電池パックを採用したため、電池パックの性能と完全性を効果的に保証し、車両全体衝突時に電池パックの取り付け部分が失効しやすい問題を緩和し、電池パックと車両全体の安全性能を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
本願の実施例の技術案をより明確に説明するために、以下に、本願の実施例に必要な図面を簡単に説明する。明らかに、以下の図面は、本願のいくつかの実施例のみである。当業者であれば、創造的労働をしない前提で、さらに図面に基づいて他の図面を得ることができる。
【0029】
図1】本願の実施例に係る装置の構造模式図である。
図2】本願の実施例に係る電池パックの構造模式図である。
図3】本願の実施例に係る筐体の構造模式図である。
図4】本願の実施例に係る筐体の下面図である。
図5図4に示したAーAの断面図である。
図6】本願の実施例に係る筐体のフレーム部材の構造模式図である。
図7図6に示した一部拡大図である。
図8】本願の実施例に係る筐体の第1の保護部材の上面図である。
図9】本願の実施例に係る筐体の第2の保護部材の下面図である。
図10図9に示した一部拡大図である。 図面において、図面は実際の比率で描かれていない。
【符号の説明】
【0030】
P 電池パック
L 電池モジュール
M 筐体
1 フレーム部材
11 収容室
12 補強板
13 クロスメンバ
14 サイドメンバ
2 保護部材
21 第1の保護部材
211 第1の突起部
211a 第1の貫通孔
212 第4の突起部
213 第1の接続部材
22 第2の保護部材
221 メンバ本体
222 第2の突起部
222a 本体
222b 延伸部
223 第2の貫通孔
224 第2の接続部材
23 中空部
3 固定部材
31 取り付け部
311 第3の突起部
312 第3の貫通孔
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面及び実施例を参照して本願の実施形態をさらに詳細に説明する。以下、実施例の詳細な説明及び図面は、本願の原理を例示的に説明するために用いられるが、本願の範囲を限定するものではない。即ち、本願は、説明した実施例に限定されない。
【0032】
説明すべきものとして、本願の説明において、特に説明がない限り、「複数」の意味は二つ以上である。用語「上」、「下」、「左」、「右」、「内」、「外」などが指示する方位又は位置関係は、本願を説明しやすく、説明を簡略化するためのみであり、示された装置又は素子が特定の方位を有し、特定の方位で構造・操作しなければならないことを指示又は暗示するものではないため、本願を限定するものと理解すべきではない。また、用語「第1」、「第2」、「第3」などは、単に説明の目的で用いられ、相対的な重要性を指示又は暗示することとは理解できない。「垂直」は、厳密な意味での垂直ではなく、誤差の許容範囲内にある。「平行」は、厳密な意味での平行ではなく、誤差の許容範囲内にある。
【0033】
次の説明に使用される方向用語は、いずれも図面に示す方向であり、本願の具体的な構造を限定するものではない。また、説明すべきものとして、本願の説明において、明確な規定及び限定がない限り、用語「取り付け」、「接続」、「連続」は、広義に理解されるべきである。例えば、固定接続であってもよく、取り外し可能な接続であってもよく、又は一体的な接続であってもよく、また、直接接続であってもよく、中間媒体を介する間接接続であってもよい。当業者であれば、具体的な状況に応じて上記用語の本願における具体的な意味を理解することができる。
【0034】
一つの具体的な実施例において、以下に、具体的な実施例によって図面に基づいて本願をより詳しく説明する。
【0035】
図1は、本願の実施例に係る装置の構造模式図であり、図2は、本願の実施例に係る電池パックPの構造模式図である。図1図2に示すように、本願の実施例は、装置を提供し、当該装置は、車両、エネルギー貯蔵キャビネット、船舶、小型航空機等の移動機器であってもよく、当該装置は、装置へ駆動力を提供するための動力源を含む。ここで、当該装置の駆動力は、全て電気エネルギーであってもよく、電気エネルギーと他のエネルギー(例えば機械エネルギー)を含んでもよく、当該動力源は、電池モジュールL(又は、電池パックP)であってもよく、電池モジュールL(又は、電池パックP)とエンジン等であってもよい。したがって、電池モジュールL(又は、電池パックP)を使用して電気エネルギーを提供することができる装置であれば、何れも本願の保護範囲内にある。
【0036】
車両を例として、本願の実施例における車両は、新エネルギー自動車であってもよく、当該新エネルギー自動車は、純粋な電気自動車であってもよく、ハイブリッド自動車やレンジエクステンダー式自動車であってもよい。当該車両は、電池パックPと車両本体を含むことができ、当該電池パックPは、車両本体に設けられ、当該車両本体には、駆動モータがさらに設けられ、且つ駆動モータは電池パックPに電気的に接続され、電池パックPにより電気エネルギーを提供し、駆動モータは、伝動機構によって車両本体の車輪に接続されることで、車両の走行を駆動する。具体的には、当該電池パックPは、車両本体の底部に水平に設けられてもよい。
【0037】
図2に示すように、本実施例に係る電池パックPは、筐体Mと、筐体Mに設けられた電池モジュールLとを含む。電池モジュールLは、複数の電池を含み、ここで、電池は、繰り返し充放電可能な二次電池であってもよく、複数の電池は、筐体Mの内チャンバに位置し、当該内チャンバに互いに積み重ねて設けられ、積み重ね方向は、長手方向、幅方向又は高さ方向であってもよい。
【0038】
電池は、電極アセンブリ、トップカバーアセンブリ及びケースを含む。ケースは、六面体の形状であってもよく、他の形状であってもよく、且つ当該ケースの内部に電極アセンブリと電解液を収容するためのキャビティが形成される。電極アセンブリは、正極シート、負極シート、セパレータによって巻回され又は積層されて形成される。ケースの一端は開口し、電極アセンブリは、当該開口を介してケースのキャビティに配置させることができ、且つキャビティ内には、複数の電極アセンブリが設けられ、複数の電極アセンブリが互いに積み重ねることができる。ケースは、例えばアルミニウム又はアルミニウム合金等の金属材料を含んでもよく、プラスチック等の絶縁材料を含んでもよい。
【0039】
可能な設計において、筐体Mは、頂部が開放された構造であり、サイズが筐体Mの頂部の開口のサイズに相当し且つボルト等の固定部材を介して開口に固定することができる上筐蓋を含む。同時に、筐体Mのシート性を高めるために、上筐蓋と筐体Mの間にシールを設置することもできる。
【0040】
筐体Mは、アルミニウム、アルミニウム合金又は他の金属材料で製造されてもよく、筐体Mは、複数の電池を収容できる収容室11を有し、複数の電池は、電池モジュールLを形成することができ、電池モジュールLは、筐体M内に電池パックPの長手方向(X)に沿って並列設けられてもよく、電池パックPの幅方向(Y)に沿って並列設けられてもよく、且つ各電池モジュールLと筐体Mは固定されている。
【0041】
関連技術において、電池パックPの取り付け部分は、電池パックPの境界に属し、車両全体衝突時にこの部分が最も失効しやすいが、取り付け部分は、電池パックPの外部に露出し、保護用の保護構造がないため、自動車が暴走したり衝突したりした場合、取り付け部分も最も衝突しやすくて変形し、同時に筐体Mが押圧され、さらに電池モジュールLが押圧されてしまい、危険が発生しやすく、安全性能が低下となっている。
【0042】
図3は、本願の実施例に係る筐体Mの構造模式図であり、図4は、本願の実施例に係る筐体Mの下面図であり、図5は、図4に示したAーAの断面図である。図3図5に示すように、本実施例は、電池パックPに用いられる筐体Mを提供し、収容室11を形成するためのフレーム部材1と、筐体Mを取り付け、且つフレーム部材1に接続されるための固定部材3と、フレーム部材1に接続し、且つ少なくとも一部の固定部材3を収容する中空部23を含む保護部材2と、を含む。中空部23付きの保護部材2の設置により、車両全体衝突時に電池パックPの取り付け部分が失効しやすい問題を緩和し、電池パックPと車両全体の安全性能を向上させる。
【0043】
固定部材3は、フレーム部材1を自動車に取り付けるのに用いられ、即ち、電池パックPの取り付け部分であり、自動車の側突押圧が発生した場合、固定部材3が押圧され、さらにフレーム部材1と電池モジュールLが押圧され、そのため、中空部23付きの保護部材2を設けて、保護部材2の中空部23によって少なくとも一部の固定部材3を収容し、固定部材3を保護する。従って、側突押圧が発生した後、保護部材2が先に押圧され、保護部材2は押圧力を受けるとともに、保護部材2に中空部23が設けられ、押圧力に対して吸収と緩衝の役割を果たし、側突押圧に抵抗する能力を向上させ、電池パックPの性能と完全性を効果的に保証し、車両全体の安全性を向上させる。
【0044】
ここで、筐体Mの高さ方向(H)に沿って、フレーム部材1の底部には、電池モジュールLを支持し、強化の役割を果たす補強板12が設けられる。同時に、固定部材3は、補強板12が箱体Mの幅方向(Y)に沿って延伸した構造であり、自動車の側突押圧が発生した後、保護部材2が押圧され、固定部材3も押圧されるが、固定部材3は、補強板12に力を伝達し、フレーム部材1が電池モジュールLへの押圧を緩和することができ、さらに電池パックPの安全性能を向上させる。
【0045】
可能な設計において、箱体Mは、フレーム部材1を、電池モジュールLを収容できる複数の収容室11に分けられるクロスメンバ13と、サイドメンバ14とを含む。同時に、クロスメンバ13とサイドメンバ14は、それぞれ電池モジュールLに固定するように接続され、電池モジュールLは、筐体Mの収容室11に固定され、電池モジュールLの弛みを回避する。
【0046】
図8は、本願の実施例に係る筐体Mの第1の保護部材21の上面図であり、図9は、本願の実施例に係る筐体Mの第2の保護部材22の下面図であり、図10は、図9に示した一部拡大図である。図8図10に示すように、本願の実施例における保護部材2は、第1の保護部材21と第2の保護部材22を含み、中空部23を形成するように、第1の保護部材21と第2の保護部材22は互いに接続される。筐体Mの高さ方向(H)に沿って、第1の保護部材21と第2の保護部材22は上下設けられ、固定部材3を収容するための中空部23を形成する。第1の保護部材21と第2の保護部材22は別体で設けられ、一体成形された保護部材2に比べて、強度が高い利点を有し、第1の保護部材21と第2の保護部材22は、それぞれ独立して設けられ、且つ第1の保護部材21と第2の保護部材22の接続箇所は、高い押圧力を受けて、さらに保護部材2の側突押圧に抵抗する能力を大幅に向上させる。
【0047】
ここで、第1の保護部材21は、第1の接続部材213を含み、第2の保護部材22は、第2の接続部材224を含み、第1の接続部材213と第2の接続部材224を接続して保護部材2を形成し、2つの接続部材を設けることにより、保護部材2が押圧力に耐えられる能力を向上させることができる。同時に、第1の接続部材213と第2の接続部材224は、それぞれフレーム部材1に固定するように接続され、それぞれ第1の保護部材21と第2の保護部材22を筐体Mに固定し、構造の強度を向上させる。
【0048】
可能な設計において、第1の保護部材21は、第2の保護部材22から離れる方向に突出して設けられる第1の突起部211を含み、第1の突起部211と対応する第2の保護部材22の一部は、中空部23を形成する。第1の突起部211が第2の保護部材22から離れる方向に突出して設けられることにより、固定部材3を収容するための中空部23を形成しやすく、同時に、第1の突起部211を設けることにより、第1の保護部材21の強度を向上させ、さらに保護部材2全体の強度を向上させ、さらに側突押圧に抵抗する能力を向上させ、電池パックPの性能と完全性を効果的に保証することができる。
【0049】
具体的には、第2の保護部材22は、第1の保護部材21に向けて突出して設けられる第2の突起部222を含む。第2の突起部222を設けることにより、第2の保護部材22の強度を向上させ、さらに保護部材2全体の強度を向上させることができるとともに、第2の突起部222が第1の保護部材21に向けて突出して設けることにより、保護部材2全体の体積を減少し、電池パックP全体の体積を減少することができる。
【0050】
さらに、第2の突起部222は、第1の保護部材21に貼り合せるように設けられ、貼り合せ箇所の強度を向上させることができ、側突押圧が発生した後、当該箇所での保護部材2が変形しにくくなり、側突押圧に抵抗する能力を向上させ、電池パックPの安全性能が保証される。
【0051】
図10に示すように、第2の突起部222は、本体222aと延伸部222bを含み、且つ本体222aと延伸部222bとが連通し、本体222aは、筐体Mの長手方向(X)に沿って延伸し、延伸部222bは、筐体Mの幅方向(Y)に沿って延伸し、延伸部222bを設けることにより、保護部材2のエネルギー吸収と緩衝の作用を強化し、側突押圧に抵抗する能力を向上させることができる。
【0052】
図5に示すように、第2の保護部材22は、第1の突起部211に対応して設けられ、固定部材3を収容するための中空部23を形成する梁本体221をさらに含む。第1の保護部材21は、第1の突起部211と間隔を空けて設けられる第4の突起部212をさらに含み、第4の突起部212は、第2の突起部222に貼り合わせるように設けられ、保護部材2の強度を向上させる。
【0053】
図6は、本願の実施例に係る筐体Mのフレーム部材1の構造模式図であり、図7は、図6に示した一部拡大図である。図6図7に示すように、固定部材3は、筐体Mを固定するための取り付け部31を含み、取り付け部31は、中空部23に収容する。取り付け部31は、筐体Mを自動車に取り付けるのに用いられ、取り付け部31は、中空部23に収容され、側突押圧が発生した後、中空部23を設けることにより、緩衝の役割を果たすことができ、取り付け部31が直接衝突されることを避け、電池パックPの側突押圧に抵抗する能力を向上させる。
【0054】
具体的には、取り付け部31は、第1の保護部材21に向けて突出して設けられる第3の突起部311を含み、且つ第3の突起部311と第1の保護部材21との間には、隙間を有し、空いた隙間は、ブッシュの取付に用いられる。同時に、第3の突起部311を設けることにより、取り付け部31の強度を向上させることができ、第3の突起部311の突出方向は、第1の突起部211の突出方向と一致し、保護部材2のスペースを節約することができる。
【0055】
さらに、取り付け部31の頂部又は底部は、保護部材2に貼り合せるように設けられ、中空部23を支持する役割を果たすことができる。又は、取り付け部31の頂部と底部は、何れも保護部材2に貼り合せるように設けられる。取り付け部31は、中空部23に位置しているため、取り付け部31は保護部材2に貼り合せるように設けることにより、中空部23を支持する役割を果たすことができ、同時に保護部材2の強度を強化することもできる。
【0056】
取り付け部31は、折り曲げ構造であり、取り付け部31の強度をさらに向上させることができる。
【0057】
図7図9に示すように、第1の突起部211には、第1の貫通孔211aが設けられ、第2の保護部材22には、第2の貫通孔223が設けられ、第3の突起部311には、第3の貫通孔312が設けられ、第1の貫通孔211a、第2の貫通孔223及び第3の貫通孔312は対応して設けられ、ボルトを貫通させるのに用いられ、電池パックPを自動車に取り付ける。
【0058】
いくつかの実施例において、図4図6からわかるように、固定部材3は、フレーム部材1の外周に接続される。
【0059】
固定部材3は、フレーム部材1の外周に接続され、保護部材2は、フレーム部材1に接続するのに用いられ、且つ保護部材2が有する中空部は、少なくとも一部の固定部材3を収容し、さらに、固定部材3と保護部材2は、何れもフレーム部材1の外周に接続され、自動車が側突押圧されても、保護部材2が先に押圧され、保護部材2は、押圧力を受け、同時に保護部材2には、中空部23が設けられ、側突押圧力に対して吸収と緩衝の役割を果たし、側突押圧に抵抗する能力を向上させ、電池パックPの性能と完全性を効果的に保証することができる。
【0060】
好ましい実施例を参照して本願を説明したが、本願の範囲を逸脱しない状況において、様々な改良を行うことができ、その中の部材を等価物で置き換えることができる。特に、構造の衝突がない限り、各実施例に記載されている各技術的特徴は、何れも任意の方法で組み合わせることができる。本願は、本明細書に開示された特定の実施例に限定されず、特許請求の範囲内に含まれる全ての技術的解決手段を含む。
図1
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