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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-15
(45)【発行日】2023-12-25
(54)【発明の名称】フィルタケーブル
(51)【国際特許分類】
   H01P 1/20 20060101AFI20231218BHJP
   H01P 3/06 20060101ALI20231218BHJP
   H01B 11/00 20060101ALI20231218BHJP
【FI】
H01P1/20 Z
H01P3/06
H01B11/00 J
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022547317
(86)(22)【出願日】2020-04-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-27
(86)【国際出願番号】 CN2020084367
(87)【国際公開番号】W WO2021207867
(87)【国際公開日】2021-10-21
【審査請求日】2022-08-03
(73)【特許権者】
【識別番号】520440515
【氏名又は名称】韓 宇南
【氏名又は名称原語表記】HAN,Yunan
【住所又は居所原語表記】No.304, Unit 1, Building 2, Jiulongshan Community, Guangqu Road, Chaoyang District Beijing 100022 China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】韓 宇南
【審査官】白井 亮
(56)【参考文献】
【文献】特表2003-520542(JP,A)
【文献】特開2004-296454(JP,A)
【文献】特開2008-028468(JP,A)
【文献】特開平04-282511(JP,A)
【文献】特開2006-295792(JP,A)
【文献】特開2017-041839(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01P 1/20
H01P 3/06
H01B 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルタケーブルであって、芯線を含み、前記芯線は、絶縁基板と前記絶縁基板を囲む第1導体層を含み、前記第1導体層は第1エッチングパターンを有し、前記第1エッチングパターンは前記フィルタケーブルの軸方向に沿って分布し、前記第1エッチングパターンは前記フィルタケーブルを第1フィルタ回路と等価になり、フィルタ機能を実現するために使用される、ことを特徴とするフィルタケーブル。
【請求項2】
前記第1エッチングパターンは、前記フィルタケーブルの軸方向に沿って周期的または非周期的に分布する、ことを特徴とする請求項1に記載のフィルタケーブル。
【請求項3】
前記第1エッチングパターンのエッチング領域はくり抜かれるか、または絶縁材料が充填される、ことを特徴とする請求項1に記載のフィルタケーブル。
【請求項4】
前記第1導体層は前記絶縁基板にメッキされるか、または前記第1導体層は前記絶縁基板に包み込まれる、ことを特徴とする請求項1に記載のフィルタケーブル。
【請求項5】
前記第1エッチングパターンは、複数組のカスケードパターンを含み、
各組の前記カスケードパターンはそれぞれ前記フィルタケーブルの軸方向に沿って開設された第1凹型パターン、第2凹型パターンおよび第3凹型パターンを有し、前記第3凹型パターンは前記第2凹型パターンの外側を囲み、前記第2凹型パターンは前記第1凹型パターンの外側を囲む、ことを特徴とする請求項1に記載のフィルタケーブル。
【請求項6】
複数組のカスケードパターンの寸法が完全に同一に設定されていない、ことを特徴とする請求項5に記載のフィルタケーブル。
【請求項7】
前記第1エッチングパターンは、ヒルベルトフラクタル構造を有するパターンを含む、ことを特徴とする請求項1に記載のフィルタケーブル。
【請求項8】
前記芯線を囲む第1充填層、前記第1充填層を囲む第2導体層をさらに含み、前記第2導体層は第2エッチングパターンを有し、前記第2エッチングパターンは前記フィルタケーブルの軸方向に沿って分布し、前記第2エッチングパターンは前記フィルタケーブルを第2フィルタ回路と等価になり、フィルタ機能を実現するために使用される、ことを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載のフィルタケーブル。
【請求項9】
前記第2エッチングパターンの形状は前記第1エッチングパターンの形状と完全に同じであり、または、前記第2エッチングパターンの形状は前記第1エッチングパターンの形状と完全に異なる、ことを特徴とする請求項8に記載のフィルタケーブル。
【請求項10】
前記第2導体層を囲む第2充填層、前記第2充填層を囲むシールド層をさらに含み、前記シールド層に接地端子が設けられている、ことを特徴とする請求項8に記載のフィルタケーブル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、ケーブルの技術分野に関し、特にフィルタケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
ケーブルは産業の「血管・神経」と呼ばれ、情報技術からインテリジェンスに至るまで、軍事・民生用電子機器の発展が進む中で、電磁環境影響の分野で新たな問題や課題を抱えている。情報戦下の戦場は、次第に陸・海・空・宇宙・電気の5つの次元からなる複合戦場となり、「電気」には核EMP、高出力マイクロ波兵器、EMP爆弾、電子ジャミング、電子対策など、戦場を取り巻く複雑な電磁環境も含まれる。無線機器の急速な普及に伴い、民生用のインテリジェントな電子機器も、そのライフサイクルを通じて、より複雑な電磁環境に直面している。ケーブルは電子機器内や電子機器間の重要な相互接続部品であり、通電導体としてEMI(電磁妨害)を発生するだけでなく、周囲の電磁波を放射・受信し、電子機器のEMC(電磁両立性)の問題を引き起こす。これらの問題に対処するため、複雑な電磁環境下にある機器同士や機器内の接続には、シールドケーブルや集中型フィルタが使用されている。具体的には以下の例を挙げる。
【0003】
シールドケーブルは、一般に単一または一体型のシールド層、機器のシェルグランドに接続されたコネクタを介してシールド層、そこにシールドがないフィルタリング機能である。
【0004】
同軸ケーブルは、電磁波シールド性があるため、広い周波数帯域でインピーダンスが一定で位相が安定するが、フィルタリング機能はない。
【0005】
光の全反射により低損失で信号を伝送し、干渉も大幅に低減する光ファイバーは、比較的複雑な光・光電変化デバイスのデバイス内・デバイス間の相互接続にまだあまり使われている。
【0006】
フィルタ磁気リング、磁気リングを通したケーブルは、ラインの高周波干渉信号を抑制し、欠点はより重く、曲げることができず、使用環境要件が高いことである。
【0007】
低温焼成セラミックスフィルタ、多層フィルタは、一般に移動体通信端末に使用され、利点は非常に小さいサイズであり、欠点は品質係数が低いことと挿入損失が大きいことである。
【0008】
このことから分かるように、関連技術において、シールドケーブルや同軸線は、シールド性を持つがフィルタリングができず、ケーブルや機器の周囲には複雑な電磁環境が分布しているため、集中型フィルタリング方式による磁気リングや低温焼成セラミックフィルタなどの構造では、分散型干渉問題にうまく対処できず、集中型フィルタリング方式は、接続の両端での電磁波干渉の結合により、分散型の複雑な電磁環境効果におけるフィルタリングの効果を著しく低下させる可能性があり、集中型フィルタリング方式の構造の設置箇所では、両端の相互干渉を避けるために、両端を高度にアイソレートする必要があり、使用条件が厳しく、集中型フィルタリング構造の設置には大きなスペースと重量が必要であり、適用範囲が限定される。
【0009】
以上のように、複雑な電磁環境におけるさまざまな問題にうまく対処し、シンプルで合理な構造設計を持つデバイスが、この関連技術には欠けている。
【発明の概要】
【0010】
本出願の目的は、複雑な電磁環境の様々な問題によりうまく対処でき、構造設計がシンプルで合理的な装置がないという問題を解決するためのフィルタケーブルを提供することである。
【0011】
本出願の目的は、以下の技術的解決手段によって実現され得る。
フィルタケーブルは、芯線を含み、前記芯線は、絶縁基板と前記絶縁基板を囲む第1導体層を含み、前記第1導体層は第1エッチングパターンを有し、前記第1エッチングパターンは前記フィルタケーブルの軸方向に沿って分布し、前記第1エッチングパターンは前記フィルタケーブルを第1フィルタ回路とになり、フィルタ機能を実現するために使用される。
【0012】
可能な設計では、前記第1エッチングパターンは、前記フィルタケーブルの軸方向に沿って周期的または非周期的に分布する。
【0013】
可能な設計では、前記第1エッチングパターンのエッチング領域はくり抜かれるか、または絶縁材料が充填される。
【0014】
可能な設計では、前記第1導体層は前記絶縁基板にメッキされるか、または前記第1導体層は前記絶縁基板に包み込まれる。
【0015】
可能な設計では、前記第1エッチングパターンは、複数組のカスケードパターンを含み、
各組の前記カスケードパターンはそれぞれ前記フィルタケーブルの軸方向に沿って開設された第1凹型パターン、第2凹型パターンおよび第3凹型パターンを有し、前記第3凹型パターンは前記第2凹型パターンの外側を囲み、前記第2凹型パターンは前記第1凹型パターンの外側を囲む。
【0016】
可能な設計では、複数組のカスケードパターンの寸法が完全に同一に設定されていない。
【0017】
可能な設計では、前記第1エッチングパターンは、ヒルベルトフラクタル構造を有するパターンを含む。
【0018】
可能な設計では、前記芯線を囲む第1充填層、前記第1充填層を囲む第2導体層をさらに含み、前記第2導体層は第2エッチングパターンを有し、前記第2エッチングパターンは前記フィルタケーブルの軸方向に沿って分布し、前記第2エッチングパターンは前記フィルタケーブルを第2フィルタ回路と等価になり、フィルタ機能を実現するために使用される。
【0019】
可能な設計では、前記第2エッチングパターンの形状は前記第1エッチングパターンの形状と完全に同じであり、または、前記第2エッチングパターンの形状は前記第1エッチングパターンの形状と完全に異なる。
【0020】
可能な設計では、前記第2導体層を囲む第2充填層、前記第2充填層を囲むシールド層をさらに含み、前記シールド層に接地端子が設けられている。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本出願の一実施例によって提供されるフィルタケーブルの構造概略図である。
図2】本出願の別の実施例によって提供される第1エッチングパターンの構造概略図である。
図3】本出願の別の実施例によって提供される第1エッチングパターンの構造概略図である。
図4】本出願の別の実施例によって提供されるフィルタケーブルのフィルタリング効果の概略図である。
図5】本出願の別の実施例によって提供されるフィルタケーブルのフィルタリング効果の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本出願の目的、技術的解決手段および利点をより明確にするために、以下、添付図面を参照して本出願をより詳細に説明する。
【実施例
【0023】
図1を参照すると、図1は本出願の一実施例によって提供されるフィルタケーブルの構造概略図である。
【0024】
図1に示すように、本実施例によって提供されるフィルタケーブルは芯線を含み、芯線は絶縁基板11と絶縁基板11を囲む第1導体層12を含み、第1導体層12は第1エッチングパターンを有し、前記第1エッチングパターンは前記フィルタケーブルの軸方向に沿って分布し、前記第1エッチングパターンは前記フィルタケーブルを第1フィルタ回路とになり、フィルタ機能を実現するために使用される。
【0025】
第1エッチングパターンはフィルタケーブルの軸方向に沿って絶縁基板全体に分散し、具体的に、第1エッチングパターンはフィルタケーブルの軸方向に沿って周期的または非周期的に分布している。
【0026】
本出願の実施例は、複雑な電磁環境の様々な問題をよりうまく対処できるフィルタケーブルを提供し、このフィルタケーブルでは、従来の銅単線による芯線構造に代えて、絶縁基板を設け、絶縁基板に第1導体層を設け、該第1導体層は第1エッチングパターンを有し、該第1エッチングパターンはフィルタケーブルを必要なフィルタ回路と等価になり、フィルタ機能を実現し、第1側面によれば、ケーブル自身の構造芯線でフィルタリングを実現しているため、他の部品を追加する必要がなく、構造がシンプルで、体積が小さく、重量が軽く、ケーブル自身を自由に曲げることができ、設置が容易で、適用範囲がより広く、他の部品の使用による一連の問題を回避することもでき、第2側面によれば、第1エッチングパターンはケーブルに分布しているため、ケーブル全体は良好なフィルタリング特性を有し、分散した電磁波環境に対応する上で、より効果的であり、第3側面によれば、フィルタ回路の入力端と出力端がフィルタケーブルの両端に分散されているため、大きな結合がなく、フィルタリング効果がより良く、第4側面によれば、フィルタケーブル中の芯線は絶縁基板を採用しているため、導体材料を節約しながら軽量化を実現する。
【0027】
本出願によって提供されるフィルタケーブルは、電子機器間の相互接続、電子機器と電源装置の相互接続、電子機器内のモジュール間の相互接続、知能ロボット内のモジュール間の相互接続、知能CNC工作機械の内外の相互接続、その他電力や信号を有線で伝送する場合、特に電磁環境が複雑な環境で相互接続を必要とするシナリオに幅広く適用できる。
【0028】
なお、フィルタケーブル中の芯線の数は実際のニーズに応じて設定され得、1つまたは複数を含んでもよい。
【0029】
実際に適用する場合、芯線中の第1導体層は様々な方法で絶縁基板に設置することができ、例えば第1導体層は絶縁基板にメッキ(電気メッキなど)され得、また、第1導体層は絶縁基板に包み込まれてもよく、このような状況では、第1導体層は絶縁基板と同じ熱膨張係数を有し、曲がりにくく、環境温度の影響を受けにくく、安定性により優れている。また、絶縁基板の形状は中実の円筒形であってもよく、他の必要な形状であってもよい。
【0030】
具体的に実施するとき、第1エッチングパターンは具体的に様々な構造を有し、以下2つの可能な構造を挙げるが、これらに限定されない。
【0031】
構造1
本実施例では、図2に示すように、第1エッチングパターン120は複数組のカスケードパターン121を含み、各組のカスケードパターン121はそれぞれフィルタケーブルの軸方向に沿って開設された第1凹型パターン1211、第2凹型パターン1212および第3凹型パターン1213を含み、第3凹型パターン1213は第2凹型パターン1212の外側を囲み、第2凹型パターン1212は第1凹型パターン1211の外側を囲む。第3凹型パターン1213と第2凹型パターン1212は間隔を空けて、第2凹型パターン1212と第1凹型パターン1211は間隔を空けて配置されている。
【0032】
図2から分かるように、凹型パターンは凹型開口に対向する底辺、および該底辺に隣接する2つの側辺を有し、底辺と2つの側辺はすべてエッチング領域であり、凹型パターンの寸法、つまり底辺と2つの側辺の寸法(辺の長さと幅)は、実際のニーズに応じて設定され得る。その中で、2つの側辺の長さは等しい。
【0033】
図2から分かるように、各組のカスケードパターンは近接する3本の凹型折り線を有するため、各凹型の長さはストップバンドを構成し、複数の凹型は複数の周波数点を有するストップバンドを構成し、その数がある程度重畳してローパス効果を生み出す。各凹型の等価回路はインダクタLとコンデンサCが並列に接続された共振回路を形成し、抵抗機能を有する。インダクタとコンデンサの値の大きさは、凹型の合計長さ(つまり底辺と2つの側辺の長さの和)および幅(つまり各辺の幅)に比例し、複数の凹型の位置関係も各凹型の等価インダクタとコンデンサに影響を及ぼす。
【0034】
図2に示すように、複数組のカスケードパターンの寸法は完全に同じではなく、実施するとき、実際のニーズに応じて各凹型パターンの寸法を調整して、所望のフィルタリング効果を得る。
【0035】
なお、カスケードパターンの組の数も限定されず、フィルタのニーズに応じて設定すればよい。
【0036】
構造2
本実施例では、図3に示すように、第1エッチングパターン120は、ヒルベルトフラクタル構造を有するパターンを含む。図3から分かるように、該パターンはある線幅のヒルベルト曲線で形成されたエッチングパターンである。第1エッチングパターンの寸法は、フィルタケーブル径方向の断面に沿ったパターン全体の幅、フィルタケーブルの軸方向の断面に沿ったヒルベルトフラクタル構造の線分の幅であり、所望のフィルタリング効果を得るために、該寸法は実際のニーズに応じて設定すればよい。
【0037】
以上、2つの可能な第1エッチングパターンの具体的な構造を挙げるが、実施するとき、様々な所望のフィルタ回路の効果を得るために、必要に応じて様々な構造のパターンを設定してもよく、実現され得るフィルタ回路は、ローパスフィルタ回路、バンドパスフィルタ回路、抵抗フィルタ回路またはハイパスフィルタ回路などを含み得る。
【0038】
具体的に実施するとき、フィルタケーブルのフィルタリング効果をさらに高めるために、可能な設計では、図1に示すように、フィルタケーブルは芯線を囲む第1充填層21、第1充填層21を囲む第2導体層22をさらに含んでもよく、第2導体層22は第2エッチングパターンを有し、第2エッチングパターンはフィルタケーブルの軸方向に沿って分布し、第2エッチングパターンはフィルタケーブルを第2フィルタ回路と等価になり、フィルタ機能を実現するように使用される。本実施例では、芯線外部に第2導体層22がさらに設けられ、第2導体層22にも第2エッチングパターンが設けられることで、フィルタリング効果をより高める。
【0039】
実施するとき、第2エッチングパターンの形状は第1エッチングパターンの形状と完全に同じであり、または、第2エッチングパターンの形状は第1エッチングパターンの形状と完全に異なってもよく、実際のニーズに応じて柔軟に設定して、所望のフィルタリング効果を得ることができればよい。
【0040】
なお、第2導体層は単層であってもよく、複数層のサブ導体層を設けてもよく、複数層のサブ導体層を設けると、各サブ導体層は互いに絶縁に配置され、例えば充填層によって絶縁を実現してもよい。
【0041】
理解できるように、図1に示すように、上記のフィルタケーブルは、第2導体層22を囲む第2充填層31、第2充填層31を囲むシールド層32をさらに含んでもよく、シールド層32に接地端子が設けられている。このように、フィルタケーブルのフィルタ機能とシールド機能を組み合わせて、複雑な電磁環境によりうまく対処でき、さらに性能を向上させることができる。
【0042】
その中で、接地端子はフィルタケーブルの両端に設けてもよく、フィルタケーブルの両端にあるエアラインプラグで機器の筐体を接続することで接地され得、もちろん、フィルタケーブルの中間に複数の接地端子を設けてマルチポイント接地を実現してもよい。
【0043】
同様に、シールド層は単層であってもよく、複数層のシールド層を設けてもよく、複数層のサブシールド層を設けると、各サブシールド層は互いに絶縁され、例えば充填層によって絶縁を実現してもよい。
【0044】
もちろん、第2導体層を設けないと、シールド層を第1充填層に直接に設ければよい。
【0045】
フィルタケーブルを保護するために、図1に示すように、フィルタケーブルに、シールド層32の外部にある外部保護カバー4が設けられる。外部保護カバーはフィルタケーブルの最も外層でフィルタケーブルを物理的に保護し、フィルタケーブルの使用寿命を延長するための構造である。
【0046】
なお、図1では例示的にフィルタケーブルの構造を示したが、ここに限定されず、他の構造であってもよい。
【0047】
以下、フィルタケーブルの各層構造の材料を説明する。
具体的に実施するとき、芯線中の絶縁基板の材料はケブラー、テフロン(登録商標)などの絶縁材料であってもよく、これらの材料は従来の銅材料よりも軽く、ケーブルの軽量化に有利である。もちろん、他の材料であってもよいが、ここで詳細に記載されていない。第1導体層の材料は金属、金属合金、金属合金と金属メッキ層または導電性高分子、例えば純銅、銀でメッキした銅または銀でメッキしたスチールクラッド銅などを含むが、これらに限定されない。実施するとき、芯線の構造はケブラー線に銀をメッキし、銀メッキ層に第1エッチングパターンをエッチングしてもよく、ポリテトラフルオロエチレンの外側にポリイミド薄膜または液晶ポリマー(Liquid Cystal Polymer 、LCP)薄膜などの柔軟な媒体を巻き付けて作製したフレキシブルプリント配線板などであってもよい。
【0048】
第2導体層は第1導体層と同じ材料であってもよく、ここで詳細な説明を繰り返さない。
【0049】
芯線と第2導体層の代表的な実施形態はポリイミド薄膜またはLCP薄膜などの柔軟な媒体で作成したフレキシブルプリント配線板である。フレキシブルプリント配線板は優れた電気性能と良好な加工性能を有するため、柔軟な媒体基板を使用して必要な芯線と第2導体層を設計及び作製でき、様々な特性のフィルタケーブルに適用され得る。
【0050】
シールド層は銅銀メッキテープ、超軽量銀メッキ金属編組層、銅ニッケルメッキ編組層または銅銀メッキ編組メッシュを含むが、これらに限定されない。
【0051】
各充填層の材料はポリテトラフルオロエチレンまたはポリエチレンであるが、これらに限定されない。実施するとき、第2充填層はポリテトラフルオロエチレンまたはポリエチレンなどの絶縁材料を巻き付けまたは発泡押し出しして第2導体層の外側に均一に設置すればよい。
【0052】
外部保護カバーの材料はポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、フッ素化エチレンプロピレンポリマー、シリコーンゴム、ポリウレタン、ステンレススチール、RADOX、ネオプレンまたは低煙ハロゲンフリー材などを含むが、これらに限定されない。
【0053】
以下、具体的な適用シーンを例にして、本出願によって提供されるフィルタケーブルをより詳細に説明する。
【0054】
シーン1では、ローパスフィルタを実現するために、図2に示される第1エッチングパターンを使用し、具体的には以下のとおりである。
【0055】
ポリイミド薄膜基板に4組のカスケードパターンを有する銅層を第1導体層として設け、フィルタケーブルの絶縁基板に包み込まれ、フィルタケーブルのローパスフィルタ機能を実現する。また、第1導体層の外部にシールド層が包み込まれ、もちろん、シールド層と第1導体層は充填層を介して絶縁される。図2の1組のカスケードパターンを共振ユニットとする構造図が示す、構造パラメータの代表値は、ポリイミド薄膜基板の比誘電率ε=3.8、誘電損失正接値tanδ=0.008、基板寸法:長さL×幅W×高さHsub=15.5mm×4mm×0.0254mmである。共振ユニットの寸法:各辺の幅w=0.25mm、隣接する凹型パターンの間隔距離s=0.2mmであり、凹型パターンの各辺長さ:第3凹型パターンの底辺の長さL=3.4mm、第3凹型パターンの側辺の長さL=2.57mm、第2凹型パターンの底辺の長さL=2.5mm、第2凹型パターンの側辺の長さL=1.87mm、第1凹型パターンの底辺の長さL=1.6mm、第1凹型パターンの側辺の長さL=1.74mmである。隣接するカスケードパターン間の間隔L=1.33mmである。フィルタケーブルの半径が小さいと、フィルタの共振周波数がより低くなり、効果がより良好になる。代表的な絶縁基板の半径は0.53mm、シールド層の半径は2.4mmである。本実施例の構造で実現されるフィルタケーブルは非常に強い遷移帯域(TB)、超広いストップバンド(SB)と非常に高いストップバンド性能を有し、本実施例で提出された4組のカスケード共振ユニットを有する第1導体層は、15.5mm×0.4mm×0.0254mmのコンパクトな寸法を有し、図4に示すように、本実施例のフィルタケーブルが実現する挿入損失(つまりインサーションロス)効果図から分かるように、本実施例のフィルタケーブルはローパスフィルタケーブルであり、長さが約0.1mのフィルタケーブルが実現する挿入損失効果が0~3GHzで挿入損失が0.5dB未満であり、3.5-12GHzの挿入損失が10dBよりも大きい。図4では、横座標は周波数を示し、単位がGHz(つまりGH)であり、縦座標は挿入損失を示し、単位がdBである。
【0056】
シーン2では、実現するローパスフィルタは、図3に示される第1エッチングパターンを使用し、具体的には以下のとおりである。
【0057】
本シーンでは、シーン1と異なり、図3に示されるパターンを使用し、W=5.19mmであり、第1エッチングパターンはフィルタケーブル径方向の断面の長さW=4.875mm、L=24.8mmであり、フィルタケーブルの軸方向の断面に沿ったヒルベルトフラクタル構造の線分の幅W=0.325mmである。該構造のフィルタケーブルによって、図5に示されるフィルタリング効果が実現され得、図5では、周波数を周期として周期的損失を形成する。周波数が高くなると、減衰が徐々に大きくなる。実際に使用するとき、フラクタル構造はケーブルで直列に接続されるため、挿入損失がさらに増加し、より良好なローパスフィルタリング効果を得ることができる。
【0058】
本明細書の説明において、「一実施例」、「いくつかの実施例」、「例示」、「具体的な例示」、または「いくつかの例示」などの参照用語は、該実施例または例示で説明された具体的な特徴、構造、材料または特性は本出願の少なくとも1つの実施例または例示に含まれることを意味する。本明細書では、上記の用語の例示的な説明は必ずしも同じ実施例または例示を示すものではない。そして、説明される具体的な特徴、構造、材料または特性を任意の1つまたは複数の実施例または例示で適切に組み合わせることができる。
【0059】
以上、本出願の実施例を詳細に説明したが、上記実施例は例示であり、本出願を限定するものとして解釈されず、当業者は、本出願の範囲で上記実施例を変更、修正、置換および変形することができる。
図1
図2
図3
図4
図5