(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-15
(45)【発行日】2023-12-25
(54)【発明の名称】電子南京錠
(51)【国際特許分類】
E05B 67/18 20060101AFI20231218BHJP
E05B 47/00 20060101ALI20231218BHJP
E05B 49/00 20060101ALN20231218BHJP
【FI】
E05B67/18
E05B47/00 J
E05B47/00 R
E05B49/00 K
(21)【出願番号】P 2022575404
(86)(22)【出願日】2021-06-16
(86)【国際出願番号】 FI2021050452
(87)【国際公開番号】W WO2022003236
(87)【国際公開日】2022-01-06
【審査請求日】2022-12-07
(32)【優先日】2020-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(73)【特許権者】
【識別番号】597098121
【氏名又は名称】アブロイ オサケ ユキチュア
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラーティカイネン、ユハ
【審査官】野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】実公昭58-038126(JP,Y2)
【文献】特開2011-069152(JP,A)
【文献】特開2007-231721(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0204664(US,A1)
【文献】米国特許第08904833(US,B1)
【文献】米国特許第03793856(US,A)
【文献】特開平10-184154(JP,A)
【文献】米国特許第03636738(US,A)
【文献】国際公開第2015/049680(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第107524357(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第110439377(CN,A)
【文献】再公表特許第2017/103989(JP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 67/18
E05B 47/00
E05B 49/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子南京錠であって、本体(2)と、シャックル(3)と、を備え、前記本体が、ラッチ部(7)と、カムピース(5)と、電子アクチュエータ(4)と、を有し、前記電子アクチュエータが、前記ラッチ部(7)を施錠状態から解放するために前記カムピース(5)を回転させ、かつ前記ラッチ部(7)を前記施錠状態に保持するために前記カムピース(5)を回転させるように配設され、前記施錠状態において、前記ラッチ部(7)が、前記電子南京錠を開放するために前記シャックル(3)の移動を防止し、前記カムピース(5)が、カバー部(5A)と、シャフト部(5B)と、を備え、前記カバー部が、前記シャフト部のための中央穴(12)と、前記カバー部の表面上の凹部(10)と、を有し、前記シャフト部(5B)が、前記中央穴(12)に挿入されたシャフトピン(15)と、前記電子アクチュエータ(4)と接触するように配設された接続部(19)と、を有し、前記カムピースが、前記シャフトピン(15)と前記カバー部(5A)の間にばね(9)を追加的に備え、前記ばねが、第1の端部(9A)と、第2の端部(9B)と、を備え、前記第1の端部(9A)が、前記カバー部(5A)と接触するように配設され、前記第2の端部が、前記シャフト部(5B)と接触するように配設され、前記ばねが、前記電子アクチュエータの回転力を前記シャフトピン(15)から前記カバー部(5A)に前記施錠状態の方向に伝達するように配設されていることを特徴とし、
前記シャフト部が、前記シャフトピン(15)の表面上及び/又は前記接続部(19)の表面上に少なくとも1つの凸部(17)を更に備え、前記凸部が、前記ラッチ部を解放するために、前記電子アクチュエータの回転力を前記シャフトピン(15)から前記カバー部(5A)に伝達するように配設され、
前記ばねが外力によって張力をかけられている場合、前記ばねが、前記電子アクチュエータの前記回転力に抗して、前記カバー部(5A)を回転させることを可能にするように更に配設され
、
前記中央穴(12)が、前記少なくとも1つの凸部(17)のための少なくとも1つの凹部(12A)を備え、前記凹部(12A)が、前記凸部(17)よりも広く、
前記カバー部(5A)が、前記ばねの前記第1の端部(9A)のための穴(11)を備え、前記穴が、前記ばねの前記端部(9A)と前記カバー部との間で回転力を伝達するための側部表面(11A)を有する、電子南京錠。
【請求項2】
前記シャフトピン(15)が、前記ばねの前記第2の端部(9B)のための溝(16)又は穴を備えることを特徴とする、請求項
1に記載の電子南京錠。
【請求項3】
前記接続部(19)が、伝達表面(19A)を備え、前記伝達表面(19A)を介して、前記シャフト部(5B)が、前記電子アクチュエータ(4)と接触するように配設されていることを特徴とする、請求項
2に記載の電子南京錠。
【請求項4】
前記伝達表面(19A)が、少なくとも1つの凹部及び/又は凸部を備えることを特徴とする、請求項
3に記載の電子南京錠。
【請求項5】
前記接続部(19)の直径が、前記シャフトピン(15)の直径よりも広い一方で、両方の直径が、前記シャフトピンの長手方向軸に対して垂直であることを特徴とする、請求項
4に記載の電子南京錠。
【請求項6】
前記電子南京錠が、前記電子アクチュエータ(4)と前記接続部(19)との間に別個の動力伝達部(6)を備えることを特徴とする、請求項
5に記載の電子南京錠。
【請求項7】
前記ラッチ部(7)が、ボール又はピンであり、前記ピンの端部が、半球状であることを特徴とする、請求項
6に記載の電子南京錠。
【請求項8】
前記電子アクチュエータ(4)が、電気モータ又はソレノイドであることを特徴とする、請求項
7に記載の電子南京錠。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子南京錠に関する。本発明は、特に、電子アクチュエータが、ラッチ部を施錠状態から解放するためにカムピースを回転させるように配設されている、電子南京錠に関する。ラッチ部が施錠状態から解放されるとき、電子南京錠を開放することができる。
【0002】
従来技術
従来技術の電子南京錠は、施錠を開放するために電子アクチュエータを使用することが多い。電子南京錠は、実施方法に応じて、異なる方法で開放コードを受信することができる。開放コードは、例えば、携帯電話から、Bluetooth接続を介して、又はいくつかの他の無線ネットワークを介して、電子南京錠に入力することができる。RFIDテクノロジー又はNFCテクノロジーも使用することができる。電子南京錠はまた、開放コードを入力するためのキーボード若しくはタッチスクリーンを有することができるか、又は鍵は、例えば指紋識別子を有する。正しい開放コードが電子南京錠に入力されると、鍵内の電子アクチュエータが施錠を解放し、それによって南京錠を開放することができる。施錠が解放されると、南京錠シャックルを閉鎖位置から開放位置に移動させることができ、すなわち、南京錠を開放することができる。
【0003】
電子アクチュエータは、例えば、南京錠のカムピースを回転させるように配設された電気モータとすることができる。カムピースは、南京錠が施錠されているときに、ラッチ部をシャックルの対向穴に対して保持する部分である。電子南京錠が正しい開放コードを受信すると、電子アクチュエータは、カムピースを回転させ(通常90度)、カムピースの凹部がラッチ部のそばにくるようにする。このため、ラッチ部は、シャックルの対向穴から離れることができ、すなわち、施錠状態が解放され、電子南京錠を開放することができる。電子南京錠が施錠されると、シャックルは、閉鎖位置にあり、電子アクチュエータは、カムピースを施錠位置に回転させ、それによって、ラッチ部をシャックルの対向穴に対して保持する。ラッチ部は、通常ボールである。
【0004】
電子アクチュエータを有する既知の電子南京錠ソリューションは、国際公開第2018/184070号、米国特許第2013/276487号、中国特許206158371号、及び国際特許2019/223522に提示されている。
【0005】
上記のような電子南京錠では、電子南京錠を施錠するためにカムピースを回転させるときに、電子アクチュエータが壊れることがある。シャックルを開放位置に移動させようとするジャークが、シャックルに同時に方向付けられる場合、ラッチ部は、カムピースの凹部内に戻り始め、次に、カムピースを、電子アクチュエータの回転力に抗して回転させる。カムピースが、電子アクチュエータの回転方向とは逆方向に回転すると、電子アクチュエータは、破損することがある。
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、電子南京錠が施錠されているときに、電子南京錠の電子アクチュエータが破壊する可能性を排除するか、又は少なくとも大幅に低減する電子南京錠を提供することである。これは、独立請求項に提示される方法で達成される。従属請求項は、本発明の異なる実施形態を提示する。
【0007】
本発明による電子南京錠は、本体2と、シャックル3と、を備える。本体は、ラッチ部7と、カムピース5と、電子アクチュエータ4と、を有する。電子アクチュエータは、ラッチ部7を施錠状態から解放するためにカムピース5を回させ、ラッチ部7を施錠状態に保持するためにカムピース5を回転させるように配設されている。施錠状態では、ラッチ部7は、電子南京錠を開放するためにシャックル3が移動するのを防止する。カムピース5は、カバー部5Aと、シャフト部5Bと、を備える。カバー部は、シャフト部のための中央穴12と、カバー部の表面上の凹部10と、を有する。シャフト部5Bは、シャフトピン15を有し、シャフトピン15は中央穴12に挿入されている。シャフト部はまた、接続部19を有し、接続部19は、電子アクチュエータ4と接触するように配設されている。カムピースは、ばね9を更に備え、ばね9は、シャフトピン15とカバー部5Aとの間にある。ばねは、第1の端部9Aと、第2の端部9Bと、を備える。第1の端部9Aは、カバー部5Aと接触するように配設されている。第2の端部9Bは、シャフト部5Bと接触するように配設されている。ばねは、電子アクチュエータの回転力をシャフトピン15からカバー部5Aに上記施錠状態の方向に伝達するように配設されている。
【0008】
シャフト部は、シャフトピン15の表面上及び/又は接続部19の表面上に少なくとも1つの凸部17を更に備える。この凸部は、ラッチ部を解放するために、電子アクチュエータの回転力をシャフトピン15からカバー部5Aに伝達するように配設されている。ばねは、シャフトピン15からカバー部5Aへの電子アクチュエータの回転力に抗してカバー部5Aを回転させることを可能にするように更に配設されている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
以下では、添付の図面を参照して本発明をより詳細に説明する。
【0010】
【
図1】開放されたときの本発明による電子南京錠の例を示す。
【
図2】本発明による電子南京錠のカムピースの例を示す。
【
図6】施錠された本発明による電子南京錠の例を示す。
【
図10】電子南京錠を施錠するときに外側に引っ張るジャークがシャックルに方向付けられたときの、本発明による電子南京錠の例を示す。
【
図14】シャックルに方向付けられたジャークの開始部における本発明による電子南京錠の例示的な例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本発明による電子南京錠1の例を示す。
図1は、電子南京錠が開放され、シャックルが、
図1が示すよりも更に高く持ち上げられ得る状況を示す。
【0012】
本発明による電子南京錠は、本体2と、シャックル3と、を備える。本体は、ラッチ部7と、カムピース5と、電子アクチュエータ4と、を有する。電子アクチュエータは、ラッチ部7を施錠状態から解放するためにカムピース5を回させ、ラッチ部7を施錠状態に保持するためにカムピース5を回転させるように配設されている。施錠状態では、ラッチ部7は、電子南京錠を開放するためにシャックル3が移動するのを防止する。施錠状態が、
図6に示されている。シャックル3は、ラッチ部のための穴3Aを有する。施錠状態では、ラッチ部7は、シャックル穴3A内に部分的にあり、それにより、シャックルが本体2に対して引き抜かれるのを防止する。このため、電子南京錠は、施錠される。
【0013】
電子南京錠1の本体2は、南京錠の異なる部分のための空間(穿孔など)を有する。これらの空間は、明確にするために、
図1においてはより詳細には示されていない。電子南京錠はまた、シャックルが完全に本体内にあるかどうかを示すために、インジケータ13、14など、上述の部分以外の部分を備え、それによって、電子南京錠を電子アクチュエータ4で施錠することができる。電子アクチュエータ及びカムピースは、それらのために確保された空間/穿孔内で本体に入れられ、蓋部8で鍵本体内に保持される。蓋部は、例えば、外ねじを装備したシリンダであり、別個の施錠ネジ(図示せず)で本体に施錠される。図は、電子南京錠のすべての部分を示しているわけではない。図は、本発明を説明するために必要である部分を示す。
【0014】
電子アクチュエータ4は、カムピース6に直接接続することができるため、電子アクチュエータは、カムピースを回転させることができる。電子アクチュエータは、電子南京錠の施錠を開放するために、又は電子南京錠を施錠するために、カムピースを回転させることができる。電子南京錠はまた、電子アクチュエータ4とシャフト部5Bとの間に別個の動力伝達部6を備えることができる。このため、動力伝達部6は、電子アクチュエータを回転させる力をカムピース5に伝達する。動力伝達部はまた、他の機能を備えることができる。それは、例えば、ブロック機構としても機能することができる。ブロック機構は、電子アクチュエータによるカムピースの回転を可能にするが、本体2に対してカムピース5のいかなる他の回転も防止しようとする。
【0015】
本発明によるカムピース5の一実施形態が、
図2に示されている。カムピース5は、カバー部5Aと、シャフト部5Bと、を備える。カバー部は、シャフト部のための中央穴12と、カバー部の表面上の凹部10と、を有する。シャフト部5Bは、アクスルピン15を有し、アクスルピン15は、中央穴12に挿入されている。シャフト部はまた、接続部19を有し、接続部19は電子アクチュエータ4と接触するように配設されている。接続部19の直径は、
図2に示すように、シャフトピンの直径よりも広くすることができる。接続部19及びシャフトピン15の両方の直径は、シャフトピンの長手方向軸Xに対して垂直である。カムピースは、ばね9を更に備え、ばね9は、シャフトピン15とカバー部5Aとの間にある。このため、ばねもまた、中央穴12に配置される。図では、ばねは、ねじりばねのような形状のコイルばねであるが、別のタイプのばねとすることもできる。
【0016】
ばねは、第1の端部9Aと、第2の端部9Bと、を備える。第1の端部9Aは、カバー部5Aと接触するように配設されている。第2の端部9Bは、シャフト部5Bと接触するように配設されている。ばねは、電子アクチュエータの回転力をアクスルピン15からカバー部5Aに上記施錠状態の方向に伝達するように配設されている。言い換えれば、ばねは、シャフトピンを回転させる電子アクチュエータの回転力を、ばねの第1の端部9Aを介してカバー部5Aに伝達して、カバー部5Aを施錠位置に回転させるように配設されている。
【0017】
シャフト部は、シャフトピン15の表面上及び/又は接続部19の表面上に少なくとも1つの凸部17を更に備える。この凸部は、ラッチ部を解放するために、電子アクチュエータの回転力をシャフトピン15からカバー部5Aに伝達するように配設されている。言い換えれば、電子南京錠の施錠が開放されると、電子アクチュエータ4は、(直接又は動力伝達部6を介して)接続部19を回転させ、そのうちの1つ又は複数の凸部17、18は、その回転力をカバー部5Aに伝達する。このため、電子南京錠を開放するために使用される力は、少なくとも1つの凸部17、18を介して伝達され、施錠するために使用される力は、ばね9を介して伝達される。
図2の実施形態では、2つの凸部が、接続部19に対してシャフトピン15の基部に配置されている。
【0018】
ばねは、更に、シャフトピン15からカバー部5Aへの電子アクチュエータの回転力に抗してカバー部5Aを回転させることを可能にするように配設されている。このような状況は、シャックルを開放位置に移動させようとするジャークが同時にシャックルに方向付けられる場合に起こり得る。開放位置では、ターゲットにシャックルを挿入することができ、それにより、電子南京錠が施錠されているときに、ターゲットを施錠することができる。
【0019】
図3~
図5は、
図1の実施形態の断面図を示す。
図3から、ばね9の第2の端部がシャフトピンに対してどのように配設されているかを見ることができる。シャフトピン15は、ばねの第2の端部9Bのための溝16又は穴を備えることができる。溝16は、
図2に示すように、シャフトピンをその自由端側で接続部19に向かう途中で分割することができる。このように、ばねの取り付けは容易である。図の実施形態では、ばねの第2の端部9Bは、シャフトピンの直径の方向にあるが、例えば、シャフトピンの長手方向軸Xの方向にあることもでき、それによって、シャフトピンは、ばねの第2の端部のための(穿孔などの)穴を有する。一方、カバー部5Aは、ばねの第1の端部9Aのための穴11を備える。穴は、ばねの端部9Aとカバー部5Aとの間で回転力を伝達するための側部表面11Aを有する。
【0020】
図4は、電子南京錠が開放状態であるときに、ラッチ部7がカバー部5Aの凹部10内にどのようにあるかを示す。
図3及び
図5は、回転方向Aを示し、その方向に回転することによって、シャフトピン15は、凸部17、18を介して、電子アクチュエータの回転力をカバー部5Aに伝達する。言い換えれば、電子南京錠は、シャフト部5Bを、及び、このため、カバー部5Aもまた、開放回転方向Aに回転させることによって、電子アクチュエータで開放される。このため、ばね9は、回転力を伝達しない。
図3及び
図5はまた、電子南京錠が施錠される方向に回転することによる、第2の回転方向Kを示す。
【0021】
図6は、施錠された電子南京錠を示す。
図7~
図8は、
図6の実施形態の断面図を示す。
図6及び
図8は、ラッチ部7がどのようにシャックルの穴3A内に部分的にあり、カバー部の凹部10がどのようにラッチ部に向いていないかを示す。このため、カバー部5Aは、ラッチ部をシャックルの穴3Aに対して保持し、電子南京錠は施錠状態にある。
図7及び
図9は、電子南京錠の施錠に向かう回転方向Kを示す。図から分かるように、ばね9は、(ばねの端部9A、9Bを介して)回転力をシャフトピン15からカバー部5Aに伝達している。既に述べたように、回転力は、電子アクチュエータ4からシャフトピン15に伝達される。凸部17、18又はシャフト部5Bの凸部は、
図9で分かるように、施錠方向Kに回転力を伝達しない。中央穴12は、上記少なくとも1つの凸部17のための少なくとも1つの凹部12Aを備える。1つ又は複数の凹部12Aは、1つ又は複数の凸部17、18よりも広い。
図7及び
図9はまた、電子南京錠を開放するための開放回転方向Aを示す。
【0022】
図10~
図14は、シャフト部(及びシャフトピン15)を回転方向Kに回転させることによって、電子南京錠が電子アクチュエータ4で施錠され、それによってカバー部5Aもばね9を介して回転する状況を示す。シャックルを開放位置に移動させようとするジャークが、同時に、N方向にシャックルに方向付けられている。このため、ラッチ部7は、カバー部5Aの凹部10に向かって後退しようとし、今度は、電子アクチュエータがカバー部を回転させる方向とは反対の方向(すなわち、開放方向A)に、カバー部を回転させる。このため、大きな応力が、電子アクチュエータに方向付けられ、電子アクチュエータを破壊し得る。
【0023】
しかしながら、ばね9は、そのような状況において、シャフトピンが電子アクチュエータによって施錠方向Kに回転されるように回転しても、カバー部が開放方向Aに回転することを可能にする。このため、力の一部がばね9を引っ張るため、ジャークの力の一部のみが電子アクチュエータに方向付けられる。
図11~
図13は、ばね9がジャーク又は他の外力により引っ張られ、カバー部5Aが電子アクチュエータの回転方向Kとは反対の回転方向Aに回転している状況を示す。
【0024】
図14は、ジャークによって引き起こされるシャックルの移動が、どのようにラッチ部7をカバー部5Aに向かって移動させるN1かを示す。凹部10を介して、ジャークの力は、カバー部を回転方向Aに回転させる。
図14は、ジャークの開始段階を示す。
図11~
図13は、ばね9がどのように外力(ジャーク)を受け止め、カバー部5Aを回転方向Aに回転させることを可能にしたかを示す。中央穴12の凹部12Aは、
図13が示すように、外力によるこの回転を可能にするように設計されている。中央穴の凹部12Aの幅は、電子アクチュエータの回転方向Kへの回転とは反対の回転方向Aへのカバー部の回転に必要な幅よりも広くないことが望ましい。一方、中央穴の1つ又は複数の凹部12Aはまた、より広くすることができる。
【0025】
本発明による電子南京錠は、多くの異なる方法で実装され得る。例えば、カムピース5の部分の様々な実施形態が存在し得る。
図2が示すように、接続部19は、伝達表面19Aを備え、伝達表面19Aを介して、シャフト部5Bが電子アクチュエータ4と接触するように配設されている。伝達表面19Aは、少なくとも1つの凹部及び/又は凸部を備える。このため、伝達表面の形状は、異なる実施形態を有し得る。
【0026】
ラッチ部7は、ボール又はピンであり、ピンの端部は、半球状である。電子アクチュエータ4は、電気モータ又はソレノイドとすることができる。電気モータを使用することは、通常、より単純であるが、カムピースの回転は、ソレノイドでも行うことができる。このため、電子アクチュエータ4は、ソレノイドの移動(ソレノイドのピンの移動など)を回転運動に伝達するための何らかの種類の動力伝達機構を有する。電子南京錠の開放及び施錠(開放コード、鍵施錠準備完了、施錠コマンドの入力)は、他の既知の方法で実施されるため、この文脈ではこれ以上詳細には説明しない。
【0027】
本発明による解決策は、シャックルを電子南京錠の本体から引き離す外力が閉鎖段階でシャックルに方向付けられる場合、電気モータなど、電子南京錠の電子アクチュエータの破壊を効果的に防止する。
【0028】
本発明による電子南京錠は、上記の説明から分かるように、多くの異なる方法で実現され得る。このため、本発明は、本明細書に提示される例に限定されず、独立請求項の範囲内で異なる方法で実装され得る。