(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-15
(45)【発行日】2023-12-25
(54)【発明の名称】車両解析システムおよび車両解析方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/01 20060101AFI20231218BHJP
G01B 11/16 20060101ALI20231218BHJP
G08G 1/056 20060101ALI20231218BHJP
E01D 22/00 20060101ALI20231218BHJP
【FI】
G08G1/01 D
G01B11/16 Z
G08G1/056
E01D22/00 A
(21)【出願番号】P 2023056634
(22)【出願日】2023-03-30
(62)【分割の表示】P 2020535488の分割
【原出願日】2019-02-26
【審査請求日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】P 2018149602
(32)【優先日】2018-08-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】594128913
【氏名又は名称】株式会社長大
(73)【特許権者】
【識別番号】000204284
【氏名又は名称】太陽誘電株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菊地 英一
(72)【発明者】
【氏名】井口 威生
(72)【発明者】
【氏名】清水 宏郎
【審査官】貞光 大樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-27468(JP,A)
【文献】特開2000-39309(JP,A)
【文献】特開2009-237805(JP,A)
【文献】特開2017-25662(JP,A)
【文献】特開2017-75821(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
E01D 22/00
G01B 11/16
B61L 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
橋梁における車両の走行方向の2点間の伸縮量を測定するセンサ装置と、
前記センサ装置により測定された前記2点間の前記伸縮量に基づき、
前記車両の通過を検出する解析装置と、
を備え、
前記センサ装置は、
前記橋梁における第1点に固定された第1部材と、
固定端が前記橋梁における前記第1点から走行方向に離間した第2点に固定され、自由端が前記第1部材の少なくとも一部と走行方向に重なる位置に配置された片持梁である第2部材と、
前記第1部材と前記第2部材の自由端との相対位置の変位を検出し、検出した前記変位を前記伸縮量として出力する変位検出装置と、
を有する車両解析システム。
【請求項2】
前記変位検出装置は、
前記第1部材または前記第2部材の一方に取り付けられた光学素子と、
前記第1部材または前記第2部材の前記光学素子が取り付けられていない他方に取り付けられ、前記光学素子に対して光を照射する発光部および前記光学素子により透過または反射された光を受光する受光部と、
前記受光部により検出された光の変化に基づき前記第1部材と前記第2部材との相対位置の変位を表す信号を前記伸縮量として出力する検出回路と、
を含む請求項1に記載の車両解析システム。
【請求項3】
前記センサ装置は、前記橋梁における主桁の下面に取り付けられる
請求項1または2に記載の車両解析システム。
【請求項4】
前記センサ装置は、前記橋梁における走行方向の中心よりも端部側に取り付けられる
請求項1から3の何れか1項に記載の車両解析システム。
【請求項5】
前記解析装置は、前記橋梁における所定の位置を前記車両が通過した時刻を検出する
請求項1から4の何れか1項に記載の車両解析システム。
【請求項6】
前記解析装置は、前記橋梁を通過した前記車両の速度を検出する
請求項1から4の何れか1項に記載の車両解析システム。
【請求項7】
前記解析装置は、前記橋梁を通過した前記車両の重量を検出する
請求項1から4の何れか1項に記載の車両解析システム。
【請求項8】
センサ装置により、橋梁における車両の走行方向の2点間の伸縮量を測定し、
前記センサ装置により測定された前記2点間の前記伸縮量に基づき、
前記車両の通過を検出し、
前記センサ装置は、
前記橋梁における第1点に固定された第1部材と、
固定端が前記橋梁における前記第1点から走行方向に離間した第2点に固定され、自由端が前記第1部材の少なくとも一部と走行方向に重なる位置に配置された片持梁である第2部材と、
前記第1部材と前記第2部材の自由端との相対位置の変位を検出し、検出した前記変位を前記伸縮量として出力する変位検出装置と、
を有する車両解析方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両解析システムおよび車両解析方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、橋梁は、5年に1回程度、目視により点検がされている。橋梁の安全性をより高めるためには、例えば橋梁を走行する車両を常時モニタリングし、モニタリング結果に基づき橋梁の将来の状態等を予測して、橋梁を計画的に管理する必要がある。
【0003】
特許文献1には、交通路の横断方向における車両の走行位置を歪計を用いて検出する技術が記載されている。特許文献2には、車両が橋梁を通過する際の床版の歪みを歪計を用いて検出する技術が記載されている。特許文献3には、車両が橋梁を通過する際の床版の歪みを歪計を用いて検出し、検出した歪みに基づき車両の重量を算出する技術が記載されている。特許文献4には、車両が橋梁を通過する際の床版の歪みを歪計を用いて検出し、通過する車両の特性を検出する技術が記載されている。特許文献5には、橋梁における車両の通行を検出することを目的とした変位量計測装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-025662号公報
【文献】特開2017-027468号公報
【文献】特開2017-075821号公報
【文献】特開2006-084404号公報
【文献】特開2017-106769号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、橋梁を管理する人員および予算は限られている。このため、橋梁を走行する車両を少ない人員および低コストでモニタリングする必要があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、橋梁における通過する車両に関する情報を低コストで精度良く検出する車両解析システムおよび車両解析方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る車両解析システムは、橋梁における車両の走行方向の2点間の伸縮量を測定するセンサ装置と、前記センサ装置により測定された前記2点間の前記伸縮量に基づき、前記車両の通過を検出する解析装置と、を備え、前記センサ装置は、前記橋梁における第1点に固定された第1部材と、固定端が前記橋梁における前記第1点から走行方向に離間した第2点に固定され、自由端が前記第1部材の少なくとも一部と走行方向に重なる位置に配置された片持梁である第2部材と、前記第1部材と前記第2部材の自由端との相対位置の変位を検出し、検出した前記変位を前記伸縮量として出力する変位検出装置と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、橋梁における通過する車両に関する情報を精度良く検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態に係る車両検出システムを示す図である。
【
図2】
図2は、解析装置の機能構成を示す図である。
【
図3】
図3は、橋梁を横から見たときの複数のセンサ装置の配置を示す図である。
【
図4】
図4は、橋梁を上から見たときの複数のセンサ装置の配置を示す図である。
【
図5】
図5は、コンクリート橋を幅員方向に切断した面を模式的に示す図である。
【
図6】
図6は、鉄橋を幅員方向に切断した面を模式的に示す図である。
【
図7】
図7は、センサ装置および橋梁の主桁の一部分を示す図である。
【
図8】
図8は、変位検出装置を第1部材および第2部材とともに示す図である。
【
図9】
図9は、ハーフミラーを含まない検出器における発光部および受光部の配置を示す図である。
【
図10】
図10は、橋梁を横から見たときの第1センサ装置および第2センサ装置の配置を示す図である。
【
図11】
図11は、車両が橋梁に進入した直後の橋梁における各位置の伸縮量を示す図である。
【
図12】
図12は、第1センサ装置により測定された伸縮量が0となる場合の橋梁における各位置の伸縮量を示す図である。
【
図13】
図13は、第1センサ装置により測定された伸縮量が最大となる場合の橋梁における各位置の伸縮量を示す図である。
【
図14】
図14は、第2センサ装置により測定された伸縮量が最大となる場合の橋梁における各位置の伸縮量を示す図である。
【
図15】
図15は、車両が橋梁を通過した場合の、第1センサ装置および第2センサ装置により測定された伸縮量の変化を示す図である。
【
図16】
図16は、橋梁を上から見たときの、第1センサ装置、第2センサ装置、第3センサ装置および第4センサ装置の配置を示す図である。
【
図17】
図17は、車両が第1通行帯を通過した場合の第1センサ装置および第2センサ装置により測定された伸縮量の変化を示す図である。
【
図18】
図18は、車両が第1通行帯を通過した場合の第3センサ装置および第4センサ装置により測定された伸縮量の変化を示す図である。
【
図19】
図19は、車両が第2通行帯を通過した場合の第1センサ装置および第2センサ装置により測定された伸縮量の変化を示す図である。
【
図20】
図20は、車両が第2通行帯を通過した場合の第3センサ装置および第4センサ装置により測定された伸縮量の変化を示す図である。
【
図21】
図21は、解析装置のハードウェア構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら実施形態に係る車両検出システム10について説明する。
【0011】
図1は、実施形態に係る車両検出システム10を示す図である。車両検出システム10は、橋梁における車両の通過を検出する。
【0012】
車両検出システム10は、複数のセンサ装置20と、収集装置22と、送信装置24と、データ蓄積装置26と、解析装置30とを備える。
【0013】
複数のセンサ装置20のそれぞれは、橋梁に取り付けられる。それぞれのセンサ装置20は、取り付けられた位置において、橋梁における走行方向の2点間距離の変化量(2点間の伸縮量)を測定する。2点間距離は、例えば、数10センチメートル程度である。変化量(伸縮量)は、例えば、数ナノメートルから数100ナノメートル程度である。
【0014】
収集装置22は、複数のセンサ装置20のそれぞれにより測定された2点間の伸縮量を、測定した時刻に対応付けて収集する。例えば、収集装置22は、複数のセンサ装置20のそれぞれにより測定された伸縮量を、所定のサンプル間隔毎に連続的に取得する。例えば、数ミリ秒間隔毎に伸縮量を取得する。また、例えば、収集装置22は、常時(例えば、24時間連続して)、複数のセンサ装置20のそれぞれにより測定された伸縮量を取得する。
【0015】
送信装置24は、収集装置22により収集された情報をネットワークを介してデータ蓄積装置26に送信する。ネットワークは、有線であっても、無線であっても、有線と無線とが混在していてもよい。ネットワークは、例えば、LAN(Local Area Network)、VPN(Virtual Private Network)またはLANがルータを介して接続されたWAN(Wide Area Network)である。また、ネットワークは、インターネットまたは電話通信回線等を含んでいてもよい。
【0016】
データ蓄積装置26は、送信装置24から受信した情報を記憶する。データ蓄積装置26は、ネットワークに接続可能なサーバ装置等のコンピュータである。
【0017】
解析装置30は、データ蓄積装置26に蓄積された情報を読み出す。そして、解析装置30は、読み出した複数のセンサ装置20のそれぞれにより測定された2点間の伸縮量に基づき車両の通過を検出する。例えば、解析装置30は、橋梁における所定の位置を車両が通過した時刻、通過した車両の速度、通過した車両の移動方向、通過した車両の重量、および、通過した車両が走行した通行帯を検出する。
【0018】
解析装置30は、ネットワークに接続可能なサーバ装置等のコンピュータである。解析装置30は、データ蓄積装置26と同一の筐体内に設けられていてもよい。解析装置30は、1台のコンピュータであってもよいし、クラウドシステムのように複数台のコンピュータにより構成されていてもよい。
【0019】
図2は、解析装置30の機能構成を示す図である。解析装置30は、波形取得部32と、通過時刻検出部34と、速度検出部36と、移動方向検出部38と、重量検出部40と、通行帯判定部42と、出力部44とを有する。
【0020】
波形取得部32は、データ蓄積装置26に記憶された複数のセンサ装置20のそれぞれにより測定された信号から、車両が橋梁を通過したときの信号波形を抽出する。具体的には、波形取得部32は、車両が橋梁に進入してから車両が橋梁から退出するまでの期間を含む信号波形を抽出する。
【0021】
通過時刻検出部34は、抽出した信号波形を解析して、橋梁における所定の位置を車両が通過した時刻を検出する。例えば、通過時刻検出部34は、橋梁へ車両が進入した時刻、橋梁における予め定められた位置を車両が通過した時刻、および、橋梁から車両が退出した時刻を検出する。
【0022】
速度検出部36は、抽出した信号波形を解析して、橋梁を通過した車両の速度を検出する。例えば、速度検出部36は、橋梁を通過した車両の平均速度、および、橋梁における予め定められた位置を車両が通過した時の速度を検出する。
【0023】
移動方向検出部38は、抽出した信号波形を解析して、橋梁を通過した車両の移動方向を検出する。例えば、移動方向検出部38は、橋梁を通過した車両が、橋梁における第1方向(例えば上り方向)に移動したか、または、車両が、第1方向とは反対の第2方向(例えば下り方向)に移動したかを検出する。
【0024】
重量検出部40は、抽出した信号波形を解析して、橋梁を通過した車両の重量を検出する。例えば、重量検出部40は、橋梁を通過した車両が、小型であるか、中型であるか、または、大型であるかを判別する。
【0025】
通行帯判定部42は、抽出した信号波形を解析して、車両が走行した通行帯を判定する。例えば、通行帯判定部42は、第1通行帯(例えば、上り専用車線)を車両が走行したか、または、第1通行帯とは異なる第2通行帯(例えば、下り専用車線)を車両が走行したかを判定する。
【0026】
出力部44は、通過時刻検出部34、速度検出部36、移動方向検出部38、重量検出部40および通行帯判定部42による検出結果および判定結果を外部装置に出力する。例えば、出力部44は、モニタ装置に検出結果および判定結果を出力する。
【0027】
なお、解析装置30による、より具体的な処理内容の詳細については、後でさらに詳細に説明する。
【0028】
図3は、橋梁を横から見たときの複数のセンサ装置20の配置を示す図である。複数のセンサ装置20は、橋梁における走行方向の中心よりも端部側に取り付けられる。複数のセンサ装置20は、例えば、橋梁における下側の面であって、橋台の近傍に取り付けられる。これにより、作業者は、橋梁が完成した後であっても、複数のセンサ装置20を橋梁に容易に取り付けることができる。
【0029】
図4は、橋梁を上から見たときの複数のセンサ装置20の配置を示す図である。複数のセンサ装置20は、2つのセンサ装置20を一組とし、組毎に橋梁に取り付けられる。一組の2つのセンサ装置20は、橋梁における幅員方向に同一の位置であって、橋梁における走行方向に異なる位置に取り付けられる。一組とされた2つのセンサ装置20は、例えば、一般的な車両の半分程度の間隔で配置される。これにより、一組の2つのセンサ装置20は、車両が通過したときに、近似した波形で位相のずれた信号波形を出力することができる。
【0030】
なお、本実施形態においては、橋梁における走行方向の一方の端部側に2つのセンサ装置20の組を取り付けているが、橋梁における両方の端部のそれぞれに2つのセンサ装置20の組を取り付けてもよい。
【0031】
図5は、コンクリート橋を幅員方向に切断した面を模式的に示す図である。橋梁は、床版52と、複数の主桁54とを備える。複数のセンサ装置20は、橋梁における何れかの主桁54の下面56に取り付けられる。コンクリート橋の場合、センサ装置20は、主桁54の下面56にボルト等により取り付けられる。
【0032】
また、収集装置22は、防水および防塵のための筐体内に収納される。収集装置22を収納した筐体は、隣接する2つの主桁54を架け渡すように取り付けられた溝型鋼58の上に載置される。溝型鋼58は、隣接する2つの主桁54の下面56に、両端がボルトにより取り付けられている。これにより、収集装置22は、複数のセンサ装置20のそれぞれから出力された信号を収集することができる。なお、送信装置24は、橋梁に取り付けられていても、橋梁に近接した支柱等に取り付けられていてもよい。
【0033】
図6は、鉄橋を幅員方向に切断した面を模式的に示す図である。鉄橋の場合、センサ装置20は、主桁54における下フランジ60の下面56に、磁石等により取り付けられる。また、鉄橋の場合、溝型鋼58は、隣接する2つの主桁54における下フランジ60の上面に、両端が載せられている。さらに、溝型鋼58は、下フランジ60に例えば磁石により取り付けられてもよい。
【0034】
図7は、センサ装置20および橋梁の主桁54の一部分を示す図である。センサ装置20は、橋梁の主桁54の下面56における第1点62と第2点64との間の距離の変化量(伸縮量)を測定する。
【0035】
第1点62および第2点64は、橋梁における幅員方向に対して同一、走行方向に対して異なる位置である。第1点62と第2点64との間は、数10センチメートル程度である。本実施形態においては、35センチメートルである。センサ装置20は、第1点62と第2点64との間における走行方向の距離の変化(伸縮量)を、例えば数ナノメートルから数百ナノメートルの単位で測定する。
【0036】
センサ装置20は、第1部材66と、第2部材68と、変位検出装置70とを有する。
【0037】
第1部材66は、支持部66aと梁部66bとを有する片持梁である。支持部66aの一端は、第1点62に固定される固定端66cである。支持部66aは、第1点62から、主桁54の下面56に対して垂直方向の下側に所定距離伸びる。梁部66bは、支持部66aにおける固定端66cとは反対側の端部から、走行方向の第2点64側に所定距離伸びる。梁部66bにおける支持部66aに接続されていない側の端部は、何れの部材とも接続されない自由端66dである。本実施形態において、第1部材66の自由端66dは、第1点62と第2点64との間を結ぶ線の略中心の近傍に配置される。
【0038】
第2部材68は、支持部68aと梁部68bとを有する片持梁である。支持部68aの一端は、第2点64に固定される固定端68cである。支持部68aは、第2点64から、主桁54の下面56に対して垂直方向の下側に所定距離伸びる。梁部68bは、支持部68aにおける固定端68cとは反対側の端部から、走行方向の第1点62側に所定距離伸びる。梁部68bにおける支持部68aに接続されていない側の端部は、何れの部材とも接続されない自由端68dである。本実施形態において、第2部材68の自由端68dは、第1点62と第2点64との間を結ぶ線の略中心の近傍に配置される。
【0039】
ここで、第1部材66の自由端66dおよび第2部材68の自由端68dとは、機械的な干渉が生じず、走行方向に重複した位置に配置される。これにより、第1部材66の自由端66dおよび第2部材68の自由端68dは、主桁54の下面56に対して垂直する方向に対向した位置に配置される。そして、第1点62と第2点64との間の距離が変化した場合、第1部材66の自由端66dと第2部材68の自由端68dとの相対位置は、走行方向にずれる。
【0040】
なお、
図7に示したセンサ装置20は、第1部材66および第2部材68の両方が片持梁である構成であった。しかし、第2部材68が片持梁であって、第1部材66は片持梁でなくてもよい。この場合、第2部材68は、自由端68dが第1部材66の少なくとも一部と、機械的な干渉はせずに、走行方向に重なる位置に配置される。このような構成であっても、第1点62と第2点64との間の距離が変化した場合、第1部材66と第2部材68の自由端68dとの相対位置は、走行方向にずれる。
【0041】
変位検出装置70は、第1部材66の自由端66dと第2部材68の自由端68dとが対向した部分に設けられる。変位検出装置70は、第1部材66の自由端66dと第2部材68の自由端68dとの相対位置の変位を検出する。そして、変位検出装置70は、検出した変位を、橋梁における走行方向の2点間の伸縮量として出力する。
【0042】
図8は、変位検出装置70を第1部材66および第2部材68とともに示す図である。変位検出装置70は、光学素子72と、検出器74とを含む。
【0043】
光学素子72は、第1部材66の自由端66dまたは第2部材68の自由端68dの一方に取り付けられる。検出器74は、第1部材66の自由端66dまたは第2部材68の自由端68dのうち、光学素子72が取り付けられていない他方に取り付けられる。
【0044】
光学素子72は、走行方向に対する光の照射位置に応じて、反射光量(または透過光量)が変化する光学部材である。例えば、光学素子72は、走行方向に所定の間隔の複数の光吸収材(ストライプ)が表面に塗布されたミラーである。また、光学素子72は、走行方向に所定の間隔の複数の光学スリット(ストライプ)が形成された回折格子であってもよい。
【0045】
検出器74は、ハーフミラー76と、発光部78と、受光部80と、検出回路82とを含む。ハーフミラー76は、照射された光の一部を反射し、他の一部を透過する。
【0046】
発光部78は、光学素子72に対してハーフミラー76を介して光を照射する。受光部80は、光学素子72により反射された光をハーフミラー76を介して受光する。検出回路82は、受光部80により検出された光の光量変化に基づき第1部材66と第2部材68との相対位置の変位を表す信号を、伸縮量として出力する。
【0047】
光学素子72に照射される光の位置は、第1部材66と第2部材68との相対位置の走行方向の位置のずれに応じて、走行方向にずれる。光学素子72には走行方向にストライプが形成されているので、光学素子72の反射光量は、光の照射位置の走行方向のずれに応じて増減する。具体的には、光学素子72の反射光量は、光学素子72に照射される光の位置がストライプの間隔分ずれると、光量の増減が1周期する。従って、例えば、検出回路82は、受光部80から出力された信号の増減をカウントすることにより、第1部材66と第2部材68との相対位置の変化量を取得することができる。
【0048】
また、変位検出装置70は、互いのストライプが1/4周期ずれた2つの光学素子72と、2つ光学素子72に対応する2つの発光部78および2つの受光部80とを含んでもよい。これにより、2つの受光部80は、第1部材66と第2部材68との相対位置の変化に対して1/4周期位相のずれた2つの周期信号を出力することができる。従って、例えば、検出回路82は、2つの信号の値に基づき、第1部材66と第2部材68との相対位置の変化方向、および、ストライプの周期より短い間隔での、第1部材66と第2部材68との相対位置の変化量を検出することができる。
【0049】
また、
図8の例では、光学素子72は、光を反射する構成となっている。これに代えて、光学素子72は、光を透過する構成であってもよい。この場合、光学素子72は、走行方向に対する光の照射位置に応じて、透過光量が変化する。例えば、光学素子72は、走行方向に所定の間隔の複数の光吸収材(ストライプ)が表面に塗布されたガラスまたはプラスチック等であってもよい。このような場合、受光部80は、光学素子72を透過した光を受光する。
【0050】
また、検出器74は、ハーフミラー76を含まない構成であってもよい。
図9は、ハーフミラー76を含まない検出器74における発光部78および受光部80の配置を示す図である。ここで、検出器74は、第1部材66に設けられるとする。また、光学素子72は、第2部材68に設けられるとする。そして、第1部材66における、光学素子72の幅員方向の中心に対向する位置を、Pとする。このような場合、発光部78は、第1部材66における、Pから、幅員方向に所定距離ずれた位置に配置される。また、受光部80は、Pから、幅員方向に発光部78とは反対側に所定距離ずれた位置に配置される。発光部78は、光学素子72の幅員方向の中心へと向かう方向に、光を出射する。光学素子72は、発光部78からの光が所定の角度で入射され、入射された光を受光部80の方向に反射する。そして、受光部80は、光学素子72により反射された光を受光する。このような検出器74は、
図8に示した構成と同様の機能を有することができる。
【0051】
このような構成の変位検出装置70は、橋梁における主桁54の下面56に取り付けることができる。例えば、変位検出装置70は、歪計のように橋梁に伸縮部材を埋め込んだりせずに、外部から取り付けることができる。これにより、変位検出装置70は、完成済みの橋梁に対して後から取り付けることができる。また、変位検出装置70は、橋梁の強度を低下させずに、取り付けることができる。また、変位検出装置70は、取り付け後にも容易にメンテナンスをすることもできる。
【0052】
また、このような構成の変位検出装置70は、片持梁を用いて2点間の距離の変化を光センサにより検出する。これにより、変位検出装置70は、簡単な構成でコストの小さい部材を用いて、橋梁における非常に小さい伸縮を精度良く検出することができる。
【0053】
図10は、橋梁を横から見たときの第1センサ装置112および第2センサ装置114の配置を示す図である。第1センサ装置112および第2センサ装置114は、橋梁に取り付けられた複数のセンサ装置20のうちの一組である。
【0054】
第1センサ装置112および第2センサ装置114は、橋梁における幅員方向に同一の位置に配置され、走行方向に異なる位置に配置される。第1センサ装置112は、第2センサ装置114よりも、走行方向の中心側に配置される。
【0055】
図10の例では、第2センサ装置114は、橋長が26.5mの橋梁に対して、端部から3mの位置に配置される。また、
図10の例では、第1センサ装置112と第2センサ装置114との間の距離は、1.8mである。
【0056】
ここで、車両が橋梁を通過する場合、橋梁における車両の直下の部分には、引っ張る力が加わる。従って、橋梁における車両の直下の部分は、走行方向に伸びる。反対に、橋梁における車両から最も離れた部分には、圧縮する力が加わる。従って、橋梁における車両から最も離れた部分は、走行方向に縮む。
【0057】
例えば、車両が第1方向に橋梁を移動したとする。第1方向は、第1センサ装置112および第2センサ装置114が配置された端部とは反対側の端部から、第1センサ装置112および第2センサ装置114が配置された端部側へと移動する方向である。この場合、橋梁における走行方向の各位置は、
図11~
図14に示すように伸縮する。
【0058】
図11は、車両が橋梁に進入した直後の橋梁における各位置の伸縮量を示す図である。車両が橋梁に進入した直後、第1センサ装置112および第2センサ装置114と反対側の端部は、最も伸びる。車両が橋梁に進入した直後、第1センサ装置112および第2センサ装置114の側の端部は、縮む。
【0059】
図12は、第1センサ装置112により測定された伸縮量が0となる場合の橋梁における各位置の伸縮量を示す図である。車両が橋梁の略中心に位置する場合、橋梁における車両の直下の部分は、最も伸びる。車両が橋梁の略中心に位置する場合、橋梁の両方の端部は、最も縮む。
【0060】
また、橋梁の中心近傍の所定の場所に車両が位置する場合、橋梁における第1センサ装置112が設置された部分は、伸縮量が0となる。この場合、第1センサ装置112により測定される伸縮量は、0となる。
【0061】
図13は、第1センサ装置112により測定された伸縮量が最大となる場合の橋梁における各位置の伸縮量を示す図である。橋梁における第1センサ装置112の近傍における所定の場所に車両が位置する場合、橋梁における第1センサ装置112が設置された部分は、最も伸びる。この場合、第1センサ装置112により測定される伸縮量は、最大値となる。
【0062】
図14は、第2センサ装置114により測定された伸縮量が最大となる場合の橋梁における各位置の伸縮量を示す図である。橋梁における第2センサ装置114の近傍における所定の場所に車両が位置する場合、橋梁における第2センサ装置114が設置された部分は、最も伸びる。この場合、第2センサ装置114により測定される伸縮量は、最大値となる。
【0063】
以上の
図11~
図14に示した橋梁の特性は、第1センサ装置112および第2センサ装置114の配置が固定されている場合、車両の重量または車両の速度に関わらず不変であると推定される。
【0064】
図15は、車両が橋梁を第1方向に移動した場合の、第1センサ装置112により測定された伸縮量の時間変化(A)および第2センサ装置114により測定された伸縮量の時間変化(B)を示す図である。
【0065】
車両が第1方向に移動する場合、第1センサ装置112により測定される伸縮量は、
図15のAの波形に示すように変化する。すなわち、第1センサ装置112により測定される伸縮量は、0から変化を開始し(S11)、徐々に減少し(S12)、ある時点で最小となる(S13)。続いて、第1センサ装置112により測定される伸縮量は、増加し(S14)、0をクロスし(S15)、ある点において最大となる(S16)。伸縮量の最大値は、V
1である。続いて、第1センサ装置112により測定される伸縮量は、減少し(S17)、最後に0となり変化を終了する(S18)。
【0066】
車両が第1方向に移動する場合、第2センサ装置114により測定される伸縮量は、
図15のBの波形に示すように変化する。すなわち、第2センサ装置114により測定される伸縮量は、0から変化を開始し(S21)、徐々に減少し(S22)、ある時点で最小となる(S23)。続いて、第2センサ装置114により測定される伸縮量は、増加し(S24)、0をクロスし(S25)、ある点において最大となる(S26)。伸縮量の最大値は、V
2である。第2センサ装置114により測定される伸縮量は、減少し(S27)、最後に0となり変化を終了する(S28)。
【0067】
また、車両が第1方向とは逆方向の第2方向に移動したとする。車両が第2方向に移動した場合、第1センサ装置112により測定される伸縮量の変化波形は、時間方向の正負が反転した波形となる。同様に、車両が第2方向に移動した場合、第2センサ装置114により測定される伸縮量の変化波形も、時間方向の正負が反転した波形となる。
【0068】
(移動方向)
図15の波形を見ると、車両が第1方向に移動している場合、第1センサ装置112により測定される伸縮量の変化は、第2センサ装置114により測定される伸縮量の変化より早い。また、車両が第2方向に移動している場合、第1センサ装置112により測定される伸縮量の変化は、第2センサ装置114により測定される伸縮量の変化より早いと推定される。
【0069】
従って、解析装置30の移動方向検出部38は、第1センサ装置112により測定される伸縮量が最大となる時刻(S16)と、第2センサ装置114により測定される伸縮量が最大となる時刻(S26)との順序により、車両の移動方向を判定する。より具体的には、解析装置30の移動方向検出部38は、第1センサ装置112により測定される伸縮量が最大となるタイミング(S16)が、第2センサ装置114により測定される伸縮量が最大となるタイミング(S26)より早い場合、車両が第1方向に移動していると判定する。また、解析装置30の移動方向検出部38は、第2センサ装置114により測定される伸縮量が最大となるタイミング(S26)が、第1センサ装置112により測定される伸縮量が最大となるタイミング(S16)より早い場合、車両が第2方向に移動していると判定する。
【0070】
なお、解析装置30は、伸縮量が最大となるタイミングに代えて、伸縮量が最小となるタイミングを比較して、車両の移動方向を判定してもよい。また、解析装置30は、伸縮量が最大となるタイミングに代えて、伸縮量が0クロスするタイミングを比較して、車両の移動方向を判定してもよい。
【0071】
(進入時刻)
第1センサ装置112および第2センサ装置114により測定される伸縮量の変化開始タイミング(S11およびS21)は、同時である。第1センサ装置112および第2センサ装置114により測定される伸縮量の変化開始タイミングは、車両が橋梁の端部に進入したタイミングと推定される。従って、解析装置30の通過時刻検出部34は、第1センサ装置112および第2センサ装置114により測定される伸縮量の変化開始タイミングに基づき、車両の橋梁への進入時刻を検出する。
【0072】
(退出時刻)
第1センサ装置112および第2センサ装置114により測定される伸縮量の変化終了タイミング(S18およびS28)は、同時である。第1センサ装置112および第2センサ装置114により測定される伸縮量の変化終了タイミングは、車両が橋梁の端部から退出したタイミングと推定される。従って、解析装置30の通過時刻検出部34は、第1センサ装置112および第2センサ装置114により測定される伸縮量の変化終了タイミングに基づき、車両の橋梁からの退出時刻を検出する。
【0073】
(通過時間、平均速度)
解析装置30の速度検出部36は、車両の橋梁からの退出時刻(S18およびS28)から、車両の橋梁への進入時刻(S11およびS21)を減じることにより、車両の橋梁の通過時間を算出する。また、橋梁の橋長は、既知である。従って、解析装置30の速度検出部36は、橋長を通過時間で除算することにより、車両の速度を算出する。またこの測定を複数回繰り返したデータで平均値を取ることにより、車両の平均速度を算出する。
【0074】
(中間位置の通過時刻)
第1センサ装置112により測定される伸縮量が0クロスするタイミング(S15)における車両の位置(第1中間位置)は、車両の速度および車両の重量に関わらず一定であると推定される。また、第2センサ装置114により測定される伸縮量が0クロスするタイミング(S25)における車両の位置(第2中間位置)は、車両の速度および車両の重量に関わらず一定であると推定される。
【0075】
解析装置30は、測定処理に先だって(例えば測定の準備段階において)、第1中間位置を取得する。例えば、測定処理に先だって、解析装置30は、第1センサ装置112により測定された伸縮量が0となったタイミングにおける車両の位置(第1中間位置)を、カメラにより撮像した画像と第1センサ装置112の信号波形から算出しておく。そして、測定時において、解析装置30の通過時刻検出部34は、第1センサ装置112により測定される伸縮量が0をクロスするタイミングに基づき、車両が第1中間位置を通過した時刻を検出する。
【0076】
解析装置30は、測定処理に先だって、第2中間位置を取得する。例えば、測定処理に先だって、解析装置30は、第2センサ装置114により測定された伸縮量が0となったタイミングにおける車両の位置(第2中間位置)を、カメラにより撮像した画像と第2センサ装置114の信号波形から算出しておく。そして、測定時において、解析装置30の通過時刻検出部34は、第2センサ装置114により測定される伸縮量が0をクロスするタイミングに基づき、車両が第2中間位置を通過した時刻を検出する。
【0077】
(最大位置の通過時刻)
第1センサ装置112により測定される伸縮量が最大となるタイミング(S16)における車両の位置(第1最大位置)は、車両の速度および車両の重量に関わらず一定であると推定される。また、第2センサ装置114により測定される伸縮量が最大となるタイミング(S26)における車両の位置(第2最大位置)は、車両の速度および車両の重量に関わらず一定であると推定される。
【0078】
解析装置30は、測定処理に先だって、第1最大位置を取得する。例えば、測定処理に先だって、解析装置30は、第1センサ装置112により測定された伸縮量が最大となるタイミングにおける車両の位置(第1最大位置)を、カメラにより撮像された画像と第1センサ装置112の信号波形から算出しておく。そして、測定時において、解析装置30の通過時刻検出部34は、第1センサ装置112により測定される伸縮量が最大となるタイミングに基づき、車両が第1最大位置を通過した時刻を検出する。
【0079】
解析装置30は、測定処理に先だって、第2最大位置を取得する。例えば、測定処理に先だって、解析装置30は、第2センサ装置114により測定された伸縮量が最大となるタイミングにおける車両の位置(第2最大位置)を、カメラにより撮像された画像と第2センサ装置114の信号波形から算出しておく。そして、測定時において、解析装置30の通過時刻検出部34は、第2センサ装置114により測定される伸縮量が最大となるタイミングに基づき、車両が第2最大位置を通過した時刻を検出する。
【0080】
なお、解析装置30は、伸縮量が最大となるタイミングに車両の位置に代えて、第1センサ装置112または第2センサ装置114により測定された伸縮量が最小となるタイミングにおける車両の位置(第1最小位置または第2最小位置)を検出してもよい。そして、解析装置30の通過時刻検出部34は、伸縮量が最小となるタイミングに基づき、車両が第1最小位置または第2最小位置を通過した時刻を検出してもよい。
【0081】
(車両速度)
解析装置30の速度検出部36は、車両が第2最大位置を通過した時刻(S26)から、車両が第1最大位置を通過した時刻(S16)を減じることにより、第1最大位置から第2最大位置までの通過時間を算出する。また、解析装置30は、第1最大位置および第2最大位置を予め取得している。解析装置30の速度検出部36は、第2最大位置から第1最大位置を減じた距離を、第1最大位置から第2最大位置までの通過時間で除算することにより、車両の速度を算出する。
【0082】
(重量)
第1センサ装置112により測定される伸縮量の最大値(V1)は、通過する車両の重量に応じて変化すると推定される。
【0083】
そこで、測定処理に先だって、解析装置30は、第1センサ装置112により測定される伸縮量の最大値(V1)と、車両の重量の関係とを取得する。例えば、解析装置30は、複数の車両のそれぞれについて、カメラにより撮像された画像に基づき、橋梁を通過する車両の重量の種別(例えば、小型車、中型車および大型車)を判定する。さらに、解析装置30は、複数の車両のそれぞれについての判定結果と、その車両が通過したときの第1センサ装置112により測定された伸縮量の最大値(V1)との対応関係を作成する。そして、解析装置30は、作成した対応関係に基づき、車両の重量を区切る閾値を生成する。例えば、解析装置30は、小型車と中型車とを区切る閾値と、中型車と大型車とを区切る閾値とを生成する。これにより、解析装置30は、第1センサ装置112により測定される伸縮量の最大値(V1)と車両の重量との関係を取得することができる。
【0084】
そして、測定時において、解析装置30の重量検出部40は、第1センサ装置112により測定される伸縮量の最大値(V1)と、予め作成した対応関係とに基づき、通過した車両の重量(例えば、小型車、中型車または大型車)を検出する。
【0085】
なお、解析装置30は、第1センサ装置112により測定される伸縮量の最大値(V1)に代えて、第2センサ装置114により測定される伸縮量の最大値(V2)を用いて、通過した車両の重量を検出してもよい。この場合も、測定処理に先だって、解析装置30は、同様に、橋梁を通過する車両の重量の種別と、第2センサ装置114により測定される伸縮量の最大値(V2)との対応関係を作成する。そして、測定時において、解析装置30の重量検出部40は、第2センサ装置114により測定される伸縮量の最大値(V2)と、予め作成した対応関係とに基づき、通過した車両の重量を検出する。
【0086】
図16は、橋梁を上から見たときの第1センサ装置112、第2センサ装置114、第3センサ装置116および第4センサ装置118の配置を示す図である。第1センサ装置112および第2センサ装置114は、橋梁に取り付けられた複数のセンサ装置20のうちの一組である。第3センサ装置116および第4センサ装置118は、橋梁に取り付けられた複数のセンサ装置20のうちの一組である。
【0087】
第3センサ装置116および第4センサ装置118は、橋梁における幅員方向に同一の位置に配置され、走行方向に異なる位置に配置される。第3センサ装置116は、第4センサ装置118よりも、走行方向の中心側に配置される。
【0088】
また、第1センサ装置112および第3センサ装置116は、走行方向に同一位置に配置される。また、第2センサ装置114および第4センサ装置118は、走行方向に同一位置に配置される。
【0089】
また、第1センサ装置112および第2センサ装置114の組は、第1通行帯に設けられる。第3センサ装置116および第4センサ装置118の組は、第2通行帯に設けられる。
【0090】
第1通行帯は、車両が第1方向に走行しなければならない通行帯である。第2通行帯は、車両が第2方向に走行しなければならない通行帯である。
【0091】
図17は、車両が第1通行帯を第1方向に走行した場合の第1センサ装置112および第2センサ装置114により測定された伸縮量の変化を示す図である。車両が第1通行帯を第1方向に走行した場合、第1センサ装置112および第2センサ装置114により測定された伸縮量は、
図17に示すように、減少し、最小値となり、増加し、0クロスを通過し、最大値となり、減少する波形となる。
【0092】
図18は、車両が第1通行帯を第1方向に走行した場合の第3センサ装置116および第4センサ装置118により測定された伸縮量の変化を示す図である。車両が第1通行帯を第1方向に走行した場合、第3センサ装置116および第4センサ装置118により測定された伸縮量は、
図18に示すように、第1センサ装置112および第2センサ装置114と同様に、減少し、最小値となり、増加し、0クロスを通過し、最大値となり、減少する波形となる。
【0093】
しかし、車両が第1通行帯を第1方向に走行した場合、第3センサ装置116および第4センサ装置118により測定された伸縮量は、第1センサ装置112および第2センサ装置114により測定された伸縮量と比較して、最大値および最小値の振幅が小さく、ノイズも多い。
【0094】
図19は、車両が第2通行帯を第2方向に走行した場合の第1センサ装置112および第2センサ装置114により測定された伸縮量の変化を示す図である。車両が第2通行帯を第2方向に走行した場合、第1センサ装置112および第2センサ装置114により測定された伸縮量は、
図19に示すように、増加し、最大値となり、0クロスを通過し、最小値となり、増加する波形となる。
【0095】
図20は、車両が第2通行帯を第2方向に走行した場合の第3センサ装置116および第4センサ装置118により測定された伸縮量の変化を示す図である。車両が第2通行帯を第2方向に走行した場合、第3センサ装置116および第4センサ装置118により測定された伸縮量は、
図20に示すように、第1センサ装置112および第2センサ装置114と同様に、増加し、最大値となり、0クロスを通過し、最小値となり、増加する波形となる。
【0096】
しかし、車両が第2通行帯を第2方向に走行した場合、第3センサ装置116および第4センサ装置118により測定された伸縮量は、第1センサ装置112および第2センサ装置114により測定された伸縮量と比較して、最大値および最小値の振幅が大きく、且つ、ノイズも小さい。
【0097】
図17から
図20に示したように、車両が第1通行帯を第1方向に走行した場合、第1センサ装置112により測定された伸縮量の波形は、第3センサ装置116により測定された伸縮量の波形より、最大値および振幅が大きく、ノイズも小さい。また、車両が第2通行帯を第1方向に走行した場合、第3センサ装置116により測定された伸縮量の波形は、第1センサ装置112により測定された伸縮量の波形より、最大値および振幅が大きく、ノイズも小さい。第2センサ装置114と第4センサ装置118との関係も同様である。
【0098】
そこで、解析装置30の通行帯判定部42は、第1センサ装置112により測定された伸縮量の最大値と、第3センサ装置116により測定された伸縮量の最大値との大小に基づき、橋梁を通過した車両が走行した通行帯を検出する。なお、解析装置30の通行帯判定部42は、第2センサ装置114により測定された伸縮量の最大値と、第4センサ装置118により測定された伸縮量の最大値との大小に基づき、橋梁を通過した車両が走行した通行帯を検出してもよい。
【0099】
以上のように、解析装置30は、読み出した複数のセンサ装置20のそれぞれにより測定された2点間の伸縮量に基づき車両の通過を検出することができる。例えば、解析装置30は、橋梁における所定の位置を車両が通過した時刻、通過した車両の速度、通過した車両の移動方向、通過した車両の重量、および、通過した車両が走行した通行帯を検出することができる。
【0100】
(解析装置30のハードウェア構成)
図21は、解析装置30のハードウェア構成を示す図である。解析装置30は、一例として、一般のコンピュータと同様のハードウェア構成により実現される。解析装置30は、CPU(Central Processing Unit)201と、操作装置202と、表示装置203と、ROM(Read Only Memory)204と、RAM(Random Access Memory)205と、記憶装置206と、通信装置207と、バス209とを備える。各部は、バス209により接続される。
【0101】
CPU201は、RAM205の所定領域を作業領域としてROM204または記憶装置206に予め記憶された各種プログラムとの協働により各種処理を実行し、解析装置30を構成する各部の動作を統括的に制御する。また、CPU201は、ROM204または記憶装置206に予め記憶されたプログラムとの協働により、操作装置202、表示装置203および通信装置207等を動作させる。
【0102】
操作装置202は、タッチパネル、マウスやキーボード等の入力デバイスであって、ユーザから操作入力された情報を指示信号として受け付け、その指示信号をCPU201に出力する。
【0103】
表示装置203は、LCD(Liquid Crystal Display)等の表示部である。表示装置203は、CPU201からの表示信号に基づいて、各種情報を表示する。例えば、表示装置203は、橋梁における所定の位置を車両が通過した時刻、通過した車両の速度、通過した車両の移動方向、通過した車両の重量、および、通過した車両が走行した通行帯を表示する。
【0104】
ROM204は、解析装置30の制御に用いられるプログラムおよび各種設定情報等を書き換え不可能に記憶する。RAM205は、SDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)等の揮発性の記憶媒体である。RAM205は、CPU201の作業領域として機能する。
【0105】
記憶装置206は、フラッシュメモリ等の半導体による記憶媒体、磁気的または光学的に記録可能な記憶媒体等の書き換え可能な記録装置である。記憶装置206は、解析装置30の制御に用いられるプログラムを記憶する。
【0106】
通信装置207は、他の装置とデータの送受信をする。また、通信装置207は、ネットワークを介してサーバ等とデータの送受信をしてもよい。
【0107】
本実施形態の解析装置30で実行されるプログラムは、例えば、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納され、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供される。また、本実施形態の解析装置30で実行されるプログラムは、持ち運び可能な記憶媒体等に予め組み込んで提供されてもよい。
【0108】
本実施形態の解析装置30で実行されるプログラムは、波形取得モジュールと、通過時刻検出モジュールと、速度検出モジュールと、移動方向検出モジュールと、重量検出モジュールと、通行帯判定モジュールと、出力モジュールとを含むモジュール構成となっている。CPU201(プロセッサ)は、記憶媒体等からこのようなプログラムを読み出して、上記各モジュールをRAM205(主記憶装置)にロードする。そして、CPU201(プロセッサ)は、このようなプログラムを実行することにより、波形取得部32、通過時刻検出部34、速度検出部36、移動方向検出部38、重量検出部40、通行帯判定部42および出力部44として機能する。なお、波形取得部32、通過時刻検出部34、速度検出部36、移動方向検出部38、重量検出部40、通行帯判定部42および出力部44の一部または全部がハードウェアにより構成されていてもよい。
【0109】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。実施形態は、種々の変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0110】
10 車両検出システム
20 センサ装置
22 収集装置
24 送信装置
26 データ蓄積装置
30 解析装置
32 波形取得部
34 通過時刻検出部
36 速度検出部
38 移動方向検出部
40 重量検出部
42 通行帯判定部
44 出力部
52 床版
54 主桁
56 下面
58 溝型鋼
60 下フランジ
62 第1点
64 第2点
66 第1部材
68 第2部材
70 変位検出装置
72 光学素子
74 検出器
76 ハーフミラー
78 発光部
80 受光部
82 検出回路
112 第1センサ装置
114 第2センサ装置
116 第3センサ装置
118 第4センサ装置