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特許7404579患者インターフェースのための調節可能なヘッドギアチュービング
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-15
(45)【発行日】2023-12-25
(54)【発明の名称】患者インターフェースのための調節可能なヘッドギアチュービング
(51)【国際特許分類】
   A61M 16/08 20060101AFI20231218BHJP
   A61M 16/06 20060101ALI20231218BHJP
【FI】
A61M16/08 300Z
A61M16/06 Z
【請求項の数】 30
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023067945
(22)【出願日】2023-04-18
(62)【分割の表示】P 2022076174の分割
【原出願日】2017-01-23
(65)【公開番号】P2023089217
(43)【公開日】2023-06-27
【審査請求日】2023-05-18
(31)【優先権主張番号】62/281,322
(32)【優先日】2016-01-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/330,371
(32)【優先日】2016-05-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】PCT/AU2017/050044
(32)【優先日】2017-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(31)【優先権主張番号】2016901163
(32)【優先日】2016-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(73)【特許権者】
【識別番号】500046450
【氏名又は名称】レスメド・プロプライエタリー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ミヒール・コーイ
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー・ジョエル・ベントレー
(72)【発明者】
【氏名】イゴール・ベシック
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・トーマス・バーナム
(72)【発明者】
【氏名】アーロン・サミュエル・デヴィッドソン
(72)【発明者】
【氏名】プリヤンシュ・グプタ
(72)【発明者】
【氏名】キリリー・ミシェル・ハスカード
(72)【発明者】
【氏名】ライアン・マイケル・カークパトリック
(72)【発明者】
【氏名】ルーク・エマニュエル・クリンケンバーグ
(72)【発明者】
【氏名】ディミトリ・マルコ・モーラー
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ・サミュエル・オームロッド
(72)【発明者】
【氏名】ジェラルド・マイケル・ラマリー
(72)【発明者】
【氏名】ルパート・クリスチャン・シェイナー
(72)【発明者】
【氏名】ビシャヴジョト・シン
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・ジェームズ・スミス
(72)【発明者】
【氏名】ロックラン・ヴォン・モガー
(72)【発明者】
【氏名】ポール・デリック・ワトソン
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・マーク・ワイス
(72)【発明者】
【氏名】ハドリー・ホワイト
【審査官】山田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0325219(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0102456(US,A1)
【文献】特表2010-512193(JP,A)
【文献】特表2008-541955(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 16/08
A61M 16/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用時において患者の呼吸サイクル全体を通じて空気流れを周囲空気圧力に対して少なくとも4cmH Oの治療圧力で密閉送達するための患者インターフェースであって、前記患者インターフェースは、
クッションアセンブリであって、
前記治療圧力へ加圧可能であるプレナムチャンバであって、一対のプレナムチャンバ入口ポートを含み、前記一対のプレナムチャンバ入口ポートのそれぞれが、前記患者による呼吸のための前記治療圧力の前記空気流れを受容するようにサイズ取りされ、かつ構成されている、プレナムチャンバと、
使用時に患者の顔に対して、かつ患者の鼻の周りで、接触するとともにシールを形成するように構成された鼻シール形成構造であって、使用時に前記患者の鼻孔に前記治療圧力の前記空気流れを送達するように構成された鼻用孔を有し、前記プレナムチャンバに接合される、鼻シール形成構造と、
を備える、クッションアセンブリと、
前記クッションアセンブリを前記患者の頭部上の治療的に有効な位置に保持するように構成された位置決めおよび安定化構造と、
を備え、
前記位置決めおよび安定化構造は、
2つのガス送達管であって、前記2つのガス送達管のそれぞれが、前記クッションアセンブリを介して前記患者の気道への入口へ前記空気流れを送達するように前記一対のプレナムチャンバ入口ポートのうち対応する方に第1端部で接続され、前記2つのガス送達管のそれぞれが、使用時に前記患者の前記頭部の対応する側部上に位置付けられるように構成されており、前記2つのガス送達管のそれぞれが、使用時に前記患者の前記頭部の耳基底上点の上方の前記患者の前記頭部の少なくとも一領域と接触するように構築および配置されており、前記2つのガス送達管のそれぞれが、使用時に前記患者の前記頭部に対して略後方方向において突出しているタブを有し、前記タブが穴部を有する、2つのガス送達管と、
前記空気流れを前記患者の前記気道へ送達するために、使用時に前記2つのガス送達管を空気回路と流体接続するように構成された接続ポートであって、前記接続ポートは、使用時に前記患者の前記頭部の上方に配置されるように構成された接続ポートと、
長さ調節可能な後ストラップであって、前記長さ調節可能な後ストラップの端部が、前記長さ調節可能な後ストラップを前記ガス送達管に取り外し可能に接続するように前記タブの前記穴部を通過するように構成されており、使用時に前記患者の前記頭部の後方部分の周りを通過するように構成された長さ調節可能な後ストラップと、
前記2つのガス送達管のそれぞれを少なくとも部分的に覆う弾性材料から構成されたスリーブであって、前記スリーブは、一対のサイドホールを備え、前記ガス送達管のそれぞれのタブは、前記サイドホールのうち対応する方を通って延在する、スリーブと、
を備える、患者インターフェース。
【請求項2】
前記弾性材料は、弾性布地であることを特徴とする請求項1に記載の患者インターフェース。
【請求項3】
前記接続ポートにおいて前記位置決めおよび安定化構造に回転可能に接続された第1端および前記空気回路に接続されるように構成されたスイベルを有する第2端を含むエルボーをさらに備え、
前記エルボーは、前記接続ポートの周りで360度回転可能であり、前記スイベルは、前記エルボーの前記第2端の周りで360度回転可能であり、前記エルボーは、前記空気流れを前記空気回路から前記接続ポートを介して前記ガス送達管へ方向付けるように構成されることを特徴とする請求項1または2に記載の患者インターフェース。
【請求項4】
前記スリーブは、中心孔を備え、前記接続ポートは、前記エルボーの第1端が前記接続ポートにおいて前記位置決めおよび安定化構造に回転可能に接続できるように、前記中心孔を通して露出されることを特徴とする請求項3に記載の患者インターフェース。
【請求項5】
前記長さ調節可能な後ストラップは、使用時に患者頭部の後頭骨の後部に載置されるかまたは患者頭部の後頭骨の後部を覆うように構成されていることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項6】
前記プレナムチャンバは、前記プレナムチャンバ内で前記治療圧力を維持するようなサイズおよび形状とされた複数の通気孔であって、前記プレナムチャンバ内から周囲への呼気ガスの排出が可能となるように構成された複数の通気孔を備えることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項7】
前記クッションアセンブリは、前記プレナムチャンバ内で前記治療圧力を維持するようなサイズおよび形状とされた複数の通気孔であって、前記プレナムチャンバ内から周囲への呼気ガスの排出が可能となるように構成された複数の通気孔を備えることを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項8】
前記鼻シール形成構造は、シリコーンから構成されることを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項9】
前記プレナムチャンバは、シェルを備えることを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項10】
前記クッションアセンブリは、使用時に前記患者の口の周りをシールするように構成された口シール形成構造であって、使用時に前記患者の口に前記治療圧力の前記空気流れを送達するように構成された口用孔を有する口シール形成構造をさらに備え、前記口シール形成構造は、前記プレナムチャンバと接合されることを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項11】
前記口シール形成構造は、シリコーンから構成されることを特徴とする請求項10に記載の患者インターフェース。
【請求項12】
前記鼻シール形成構造および前記口シール形成構造は、一体に形成されていることを特徴とする請求項10または11に記載の患者インターフェース。
【請求項13】
前記鼻シール形成構造および前記口シール形成構造は、取り外し可能に取り付けられていることを特徴とする請求項10または11に記載の患者インターフェース。
【請求項14】
前記治療圧力の前記空気流れの不存在下で前記患者が周囲から呼吸することを可能にするように構成された窒息防止弁をさらに備えることを特徴とする請求項10~13のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項15】
前記位置決めおよび安定化構造は、前記口シール形成構造に間接的に接続されるように、前記患者の頭の後ろおよび前記患者の耳の下を通過するように構成された、長さ調節可能な下側ストラップをさらに備えることを特徴とする請求項10~14のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項16】
前記下側ストラップは、前記2つのガス送達管に接続されていないことを特徴とする請求項15に記載の患者インターフェース。
【請求項17】
前記2つのガス送達管のそれぞれは、使用時に前記患者の対応する頬領域にわたって延びるように構成されることを特徴とする請求項1~16のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項18】
前記2つのガス送達管のそれぞれは、使用時に前記患者の対応する眼と前記患者の対応する耳との間に延びるように構成されることを特徴とする請求項1~17のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項19】
前記長さ調節可能な後ストラップは、ループ材料およびフック材料部分を備え、前記ループ材料および前記フック材料部分は、前記長さ調節可能な後ストラップを前記タブに取り外し可能に接続するように構成されることを特徴とする請求項1~18のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項20】
前記ガス送達管のそれぞれは、蛇腹部を備え、前記蛇腹部は、前記ガス送達管の隣接する部分よりも大きな可撓性を有することを特徴とする請求項1~19のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項21】
前記2つのガス送達管のそれぞれは、各蛇腹部の長さに沿って幅および直径において変化することを特徴とする請求項20に記載の患者インターフェース。
【請求項22】
前記2つのガス送達管のそれぞれは、蛇腹部の一方の端部における前記2つのガス送達管のそれぞれの幅および直径が前記蛇腹部の他方の端部における前記2つのガス送達管のそれぞれの前記幅および前記直径より小さくなっているように、各蛇腹部の長さに沿ってテーパー状になっていることを特徴とする請求項20または21に記載の患者インターフェース。
【請求項23】
各蛇腹部は、前記ガス送達管のうち対応する方のタブと前記接続ポートとの間に位置することを特徴とする請求項20~22のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項24】
前記スリーブは、各蛇腹部を覆うことを特徴とする請求項20~23のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項25】
各蛇腹部は、使用中に患者の顔から離間するように前記ガス送達管のうち対応する方に位置決めされることを特徴とする請求項20~24のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項26】
各蛇腹部は、使用中に患者の対応する頬から離間するように前記ガス送達管のうち対応する方に位置決めされることを特徴とする請求項20~25のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項27】
前記2つのガス送達管のそれぞれは、比較的可撓性の材料から構成されていることを特徴とする請求項1~26のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項28】
前記比較的可撓性の材料は、シリコーンであることを特徴とする請求項27に記載の患者インターフェース。
【請求項29】
前記スリーブは、単一の弾性材料シートから構成されることを特徴とする請求項1~28のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項30】
前記スリーブは、共に接続された複数の弾性材料シートから構成されることを特徴とする請求項1~28のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1 関連出願への相互参照
本出願は、米国仮出願第62/281,322号/および米国仮出願第62/330,371号の恩恵を主張する。本明細書中、同文献の全体を参考のため援用する。
【0002】
2 連邦支援の研究または開発に関する陳述
適用無し
【0003】
3 共同研究開発に対する団体名
適用無し
【0004】
4 配列表
適用無し
【0005】
5 技術の背景
5.1 技術の分野
本技術は、呼吸関連疾患の検出、診断、治療、予防および改善のうち1つ以上に関する。本技術はまた、医療デバイスまたは装置と、その使用とに関する。
【0006】
本技術の特定の形態は、呼吸治療、呼吸関連疾患の予防および改善に用いられる患者インターフェースに関する。
【0007】
5.2 関連技術の説明
5.2.1 ヒトの呼吸器系およびその疾患
身体の呼吸器系は、ガス交換を促進させる。鼻および口腔は、患者の気道への入口を形成する。
【0008】
これらの気道は、一連の分岐する管を含み、これらの管は、肺の奥深くに進むほど狭く、短くかつ多数になる。肺の主要な機能はガス交換であり、空気から酸素を静脈血中へ取り入れさせ、二酸化炭素を退出させる。気管は、右および左の主気管支に分かれ、これらの主気管支はさらに分かれて、最終的に終末細気管支となる。気管支は、伝導のための気道を構成するものであり、ガス交換には関与しない。気道がさらに分割されると呼吸細気管支となり、最終的には肺胞となる。肺の肺胞領域においてガス交換が行われ、この領域を呼吸領域と呼ぶ。以下を参照されたい:非特許文献1。
【0009】
一定範囲の呼吸器疾患が存在している。特定の疾患は、特定の発症(例えば、無呼吸、呼吸低下および過呼吸)によって特徴付けられ得る。
【0010】
閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)は、睡眠呼吸障害(SDB)の一形態であり、睡眠時の上通気道の閉鎖または閉塞などの発症によって特徴付けられる。これは異常に小さい上気道と、舌の領域の筋緊張の通常の喪失、睡眠時の軟口蓋および後口咽頭壁の正常損失の組み合わせの結果である。このような状態に起因して、罹患患者の呼吸停止が典型的には30~120秒にわたり、ときには一晩に200~300回も呼吸が停止する。その結果、日中の眠気が過度になり、心血管疾患および脳損傷の原因になり得る。この症候は一般的な疾患であり、特に中年の過体重の男性に多いが、患者に自覚症状は無い。特許文献1を参照されたい。
【0011】
チェーン・ストークス呼吸(CSR)は、別の形態の睡眠呼吸障害である。CSRは、患者の呼吸調節器の疾患であり、CSRサイクルとして知られる換気の漸増および漸減が交互に周期的に続く。CSRは、動脈血の脱酸素および再曝気の繰り返しによって特徴付けられる。反復低酸素症のため、CSRは有害であり得る。患者によっては、CCRは、重症不眠、交感神経活動の増加、および後負荷の増加の原因となる、反復性睡眠覚醒を随伴する。特許文献2を参照されたい。
【0012】
呼吸不全とは、呼吸器障害の総称であり、患者の需要を満たすための充分な酸素吸気または充分なCO2呼気を肺が行うことができていないことを指す。呼吸不全は、以下の疾患のうちいくつかまたは全てを包含し得る。
【0013】
呼吸不全(一種の呼吸不全)の患者は、運動時に異常な息切れを経験することがある。
【0014】
肥満過換気症候群(OHS)は、低換気の原因が他に明確に無い状態における、重症肥満および覚醒時慢性高炭酸ガス血症の組み合わせとして定義される。症状には、呼吸困難、起床時の頭痛と過剰な日中の眠気が含まれる。
【0015】
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、特定の共通する特性を有する下気道疾患のグループのうちのいずれも包含する。これには空気の動きに対する抵抗の増加、呼吸の呼気相の延長および肺における正常な弾性の減少が含まれる。COPDの例として、気腫および慢性気管支炎がある。COPDの原因としては、慢性喫煙(第一危険因子)、職業被ばく、空気汚染および遺伝因子がある。症状を挙げると、労作時の呼吸困難、慢性咳および痰生成がある。
【0016】
神経筋疾患(NMD)は、内在筋病理を直接介してまたは神経病理を間接的に介して筋肉機能を損なう多数の疾病および病気を包含する広範な用語である。NMD患者の中には、進行性の筋肉障害によって特徴付けられる者もあり、結果的に歩行不可能、車椅子への束縛、嚥下困難、呼吸筋力低下に繋がり、最終的には呼吸不全による死亡に繋がる。神経筋肉障害は、以下の急速進行性と緩徐進行性とに区分され得る:(i)急速進行性障害:数ヶ月かけて悪化する筋肉障害によって特徴付けられ、数年内に死亡に繋がる(例えば、ティーンエージャーにおける筋萎縮性側索硬化症(ALS)およびデュシェンヌ筋ジストロフィー(DMD));(ii)可変性または緩徐進行性障害:数年かけて悪化する筋肉障害によって特徴付けられ、平均余命が若干低減するだけである(例えば、肢帯、顔面肩甲上腕型および筋強直性筋ジストロフィー)。NMDにおける呼吸不全症状を以下に挙げる:全身衰弱の増加、嚥下障害、労作および安静時の呼吸困難、疲労、眠気、起床時の頭痛、および集中および気分の変化の困難。
【0017】
胸壁障害は、胸郭変形の1つのグループであり、呼吸筋肉と胸郭との間の連結の無効性の原因となる。これらの障害は、拘束性障害によって主に特徴付けられ、長期の炭酸過剰性呼吸不全の可能性を共有する。脊柱側弯症および/または脊柱後側弯症は、深刻な呼吸不全を引き起こし得る。呼吸不全の症状を以下に挙げる:労作時の呼吸困難、末梢浮腫、起座呼吸、反復性胸部感染症、起床時の頭痛、疲労、睡眠の質の低下、および食欲不振。
【0018】
このような状態を治療または改善するために、一定範囲の治療が用いられている。さらに、その他の点では健常人も、呼吸器疾患の予防治療を有利に利用することができる。しかし、これらにおいては、複数の欠陥がある。
【0019】
5.2.2 治療法
持続的気道陽圧(CPAP)療法が、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)の治療において用いられている。その作用機構としては、例えば軟口蓋および舌を押して後口咽頭壁へ前進または後退させることなどにより、持続的気道陽圧療法が空気圧スプリントとして機能し、これにより上気道の閉鎖を防止し得る。CPAP治療によるOSAの治療は自発的なものであり得るため、このような患者が治療の提供に用いられるデバイスについて以下のうち1つ以上に気づいた場合、患者が治療を遵守しないことを選択する可能性がある:不快、使用困難、高価、美観的な魅力の無さ。
【0020】
非侵襲的換気(NIV)は、換気補助を上気道を通じて患者へ提供して、呼吸機能の一部または全体を行うことにより患者の呼吸の補助および/または身体中の適切な酸素レベルの維持を提供する。換気補助が、非侵襲的患者インターフェースを介して提供される。NIVは、OHS、COPD、NMD、および胸壁障害などの形態のCSRおよび呼吸不全の治療に用いられている。いくつかの形態において、これらの治療の快適性および有効性が向上し得る。
【0021】
侵襲的換気(IV)は、自身で有効に呼吸することができなくなった患者に対して換気補助を提供し、気管切開管を用いて提供され得る。いくつかの形態において、これらの治療の快適性および有効性が向上し得る。
【0022】
5.2.3 治療システム
これらの治療は、治療システムまたはデバイスによって提供され得る。このようなシステムおよびデバイスは、症状を治療することなく診断するためにも、用いられ得る。
【0023】
治療システムは、呼吸圧力治療デバイス(RPTデバイス)、空気回路、加湿器、および患者インターフェースを含み得る。
【0024】
5.2.3.1 患者インターフェース
患者インターフェースは、例えば気道入口への空気流れを提供することにより呼吸装具へのインターフェースを装着者へ提供するために、用いられ得る。空気流れは、鼻および/または口腔へのマスク、口腔への管、または患者気管への気管切開管を介して提供され得る。適用される療法に応じて、患者インターフェースは、例えば患者の顔の領域との密閉部を形成し得、これにより、療法実行のための雰囲気圧力と共に充分な分散の圧力において(例えば、例えば雰囲気圧力に対して約10cmHOの陽圧において)ガス送達を促進する。酸素送達などの他の治療形態において、患者インターフェースは、約10cmHOの陽圧において気道へのガス供給の送達を促進するのに充分な密閉を含まない場合がある。
【0025】
特定の他のマスクシステムは、本分野において機能的に不適切であり得る。例えば、純然たる装飾目的のマスクの場合、適切な圧力を維持することができない場合がある。水中水泳またはダイビングに用いられるマスクシステムは、外部からのより高い圧力からの水侵入から保護することと、周囲よりも高い圧力において内部の空気を維持しないこととを行うように、構成され得る。
【0026】
特定のマスクは、本技術において臨床的に好ましく無い場合があり得る(例えば、マスクが鼻を介して気流を遮断し、口を介した気流のみを通過させる場合)。
【0027】
特定のマスクにおいて、患者がマスク構造の一部を口に挿入し、唇を介して密閉状態を生成および維持しなければならない場合、本技術において不快であるかまたは非実際的である場合がある。
【0028】
特定のマスクは、睡眠時(例えば、横向きにベッドに寝て枕の上に頭を置いた状態で睡眠する場合)における使用においては非実際的である場合がある。
【0029】
患者インターフェースの設計においては、複数の課題がある。顔は、複雑な三次元形状を有する。鼻および頭のサイズおよび形状は、個人によって大きく異なる。頭部には骨、軟骨および軟組織が含まれるため、顔の異なる領域は、機械的力に対して異なる反応を示す。すなわち、顎部または下顎は、頭蓋骨の他の骨に相対して動き得る。頭部全体は、呼吸治療期間を通じて動き得る。
【0030】
これらの課題に起因して、いくつかのマスクの場合、特に装着時間が長い場合または患者がシステムに不慣れである場合、押しつけがましい、美観的に望ましくない、コストが高い、フィット感が悪い、使用が困難、および不快感があるなどの理由のうち1つ以上がある。誤ったサイズのマスクが用いられた場合、コンプライアンスの低下、快適性の低下および患者予後の低下に繋がり得る。飛行士専用のマスク、個人用保護装具(例えば、フィルターマスク)、SCUBAマスクの一部として設計されたマスク、または麻酔投与用マスクは、その元々の用途には耐えられるものの、このようなマスクの場合、長時間(例えば、数時間)にわたって装着するには望ましくないほど不快な場合がある。このような不快感に起因して、治療に対する患者のコンプライアンスが低下する可能性がある。これは、マスクを睡眠時に装着する必要がある場合、特に当てはまる。
【0031】
CPAP治療は、患者が治療を承諾している場合、特定の呼吸疾患の治療においては極めて効果的である。マスクが不快である場合または使用が難しい場合、患者は、治療を承諾しない場合がある。患者はマスクを定期的に洗浄するよう推奨されることが多いため、マスクの清浄が難しい(例えば、組立または分解が困難である場合)、患者は、マスクを清浄することができず、患者のコンプライアンスに影響が出る場合がある。
【0032】
他の用途(例えば、飛行士)用のマスクの場合、睡眠呼吸障害の治療の使用には不適である場合があるため、睡眠呼吸障害の治療の使用のために設計されたマスクは、他の用途に適している場合がある。
【0033】
これらの理由のめ、睡眠時のCPAP送達のための患者インターフェースは、明瞭な分野を形成する。
【0034】
5.2.3.1.1 シール形成部分
患者インターフェースは、シール形成部分を含み得る。患者インターフェースは、患者の顔と直接接触するため、シール形成部分の形状および構成は、患者インターフェースの有効性および快適性に直接影響を持ち得る。
【0035】
患者インターフェースは、使用時にシール形成部分を顔と係合させる場所の設計意図に従って、部分的に特徴付けられ得る。患者インターフェースの一形態において、シール形成部分は、各左鼻孔および右鼻孔と係合する2つのサブ部分を含み得る。患者インターフェースの一形態において、シール形成部分は、使用時において双方の鼻孔を包囲する単一の要素を含み得る。このような単一の要素は、例えば顔の上唇領域および鼻ブリッジ領域上に載置されるように、設計され得る。患者インターフェースの一形態において、シール形成部分は、使用時に例えば顔の下唇領域上に密閉を形成することにより口領域を包囲する要素を含み得る。患者インターフェースの一形態において、シール形成部分は、使用時に双方の鼻孔および口腔領域を包囲する単一の要素を含み得る。これらの異なる種類の患者インターフェースは、その製造業者によって鼻マスク、フルフェイスマスク、鼻枕、鼻パフおよび口鼻マスクなどの多様な名称によって公知であり得る。口鼻マスクは、前額支持部無しにコンパクトフルフェイスマスクを含み得る。あるいは口鼻マスクは、鼻と口の入口の周囲を密閉するフルフェイスマスクを含み得、鼻シールは側鼻軟骨の下を密閉するクレードルを含む。
【0036】
患者の顔の一領域において有効であり得るシール形成部分は、例えば患者の顔の異なる形状、構造、変化性および感受性領域に起因して、別の領域において不適切であり得る。例えば、患者の前額上に載置される水泳用ゴーグルの密閉部は、患者の鼻上における使用には不適切である場合がある。
【0037】
特定のシール形成部分は、広範囲の異なる顔形状およびサイズに対して1つの設計が適合し、快適でありかつ有効になるように、大量製造用に設計され得る。密閉部を形成するためには、患者の顔の形状と、大量製造された患者インターフェースのシール形成部分との間の不整合がある範囲まで、一方または双方を適合させる必要がある。
【0038】
1つの種類のシール形成部分は、患者インターフェースの周囲を包囲して延び、シール形成部分が患者の顔に対向して係合している状態で力が患者インターフェースへ付加された際、患者の顔を密閉することを意図する。このシール形成部分は、空気または流体充填クッションを含み得るか、または、ゴムなどのエラストマーによって構成された弾力性のある密閉要素の成形されたかまたは形成された表面を含み得る。この種のシール形成部分により、フィット感が不適切である場合、シール形成部分と顔との間に隙間が発生し、密閉を達成するには、患者インターフェースを顔に押しつけるためにさらなる力が必要になる。
【0039】
別の種類のシール形成部分は、陽圧がマスク内に付加された際に患者の顔に対して自己気密作用を提供するように、マスクの周囲の周辺に配置された薄材のフラップシールを使用する。先述の種類のシール形成部分と同様に、顔とマスクとの間の整合が良くない場合、密閉を達成するために必要なさらなる力が必要になり得るか、またはマスクから漏洩が発生し得る。さらに、シール形成部分の形状が患者の形状と整合しない場合、使用時においてシール形成部分に折り目または座屈が発生し、漏洩の原因になる。
【0040】
別の種類のシール形成部分は、例えば鼻孔中へ挿入される摩擦嵌め要素を含み得るが、これらのシール形成部分を不快であると感じる患者も存在する。
【0041】
別の形態のシール形成部分は、密閉を達成するために接着部を用い得る。患者の中には、常に接着部を自身の顔に貼り付けるかまたは取り外すことが不便であると感じる患者もいる。
【0042】
一定範囲の患者インターフェースシール形成部分の技術について、(ResMed Limitedへ譲渡された以下の特許出願:特許文献3、特許文献4、特許文献5)に開示がある。
【0043】
鼻枕の一形態が、Puritan Bennettによって製造されたAdam回路において見受けられる。別の鼻枕または鼻パフが、Puritan-Bennett Corporationへ譲渡された特許文献6の主題になっている。
【0044】
ResMed Limitedは、鼻枕を用いた以下の製品を製造している:SWIFT(登録商標)鼻枕マスク、SWIFT(登録商標)II鼻枕マスク、SWIFT(登録商標)LT鼻枕マスク、SWIFT(登録商標)FX鼻枕マスクおよびMIRAGELIBERTY(登録商標)フルフェイスマスク。ResMed Limitedへ譲渡された以下の特許出願において、鼻枕マスクの実施例についての記載がある:特許文献7(特に、ResMed LimitedのSWIFT(登録商標)鼻枕の様相を記載)、特許文献8(特に、ResMed LimitedのSWIFT(登録商標)LT鼻枕の様相を記載);特許文献9および特許文献10(特に、ResMed LimitedのMIRAGE LIBERTY(登録商標)フルフェイスマスクの様相を記載);特許文献11(特に、ResMed LimitedのSWIFT(登録商標)FX鼻枕の様相を記載)。
【0045】
5.2.3.1.2 位置決めおよび安定化
陽圧空気治療に用いられる患者インターフェースのシール形成部分は、密閉を妨害する空気圧力の対応する力を受ける。そのため、シール形成部分を位置決めすることと、顔の適切な部分に対して密閉を維持することとを行うために、多様な技術が用いられている。
【0046】
1つの技術において、接着部が用いられる。例えば、米国特許出願公開US2010/0000534号を参照されたい。しかし、接着部を用いた場合、不快感がある場合がある。
【0047】
別の技術において、1つ以上のストラップおよび/または安定化ハーネスが用いられる。多数のこのようなハーネスの場合、フィット感が悪い、かさばる、不快および扱いにくいなどの点のうち1つ以上が当てはまる。患者の頭部に装着される設計の場合、このようなハーネスは、ヘッドギアと呼ばれ得る。
【0048】
5.2.3.1.3 加圧空気用導管
一種の治療システムにおいて、加圧空気の流れは、空気回路中の導管を通じて患者インターフェースへ提供される。この導管は、患者インターフェースが使用時に患者の顔上に位置決めされているときに導管が患者インターフェースから前方において患者の顔から離隔方向に延びるように、患者インターフェースへ流体接続する。これはときどき、「エレファントトランク」型のインターフェースとも呼ばれ得る。
【0049】
患者の中には、このようなインターフェースを目障りと感じる者もおり、その結果装着を止めた場合、患者コンプライアンスが低下する。さらに、患者の顔の前方において導管をインターフェースに接続した場合、寝具と絡まり易くなる可能性がある。
【0050】
5.2.3.1.4 シール形成構造の位置決め/安定化に用いられる加圧空気用導管
これらの問題に対処しようとする別の種類の治療システムに含まれる患者インターフェースにおいては、患者気道への加圧空気の送達を担う管が、患者インターフェースのシール形成部分を患者の顔の適切な部分へ位置決めおよび安定配置するためのヘッドギアの一部としても機能する。この種の患者インターフェースは、「ヘッドギアチュービング」または「導管ヘッドギア」を用いたものとも呼ばれ得る。このような患者インターフェースを用いると、呼吸圧力治療デバイスからの加圧空気流れを提供する空気回路中の導管を患者の顔の前方以外の位置にある患者インターフェースへ提供することができる。このような治療システムの一例について、特許文献12に開示がある。本明細書中、同文献の内容を参考のため援用する。同文献において、導管は、使用時において患者頭部の上部上に位置決めされたポートを通じて患者インターフェース中の管へ接続する。
【0051】
Philips社のDreamWear(登録商標)鼻マスクは、このようなヘッドギアチュービングを含む。このマスクの1つの問題として、ヘッドギア管の長さを調節できない点がある。そのため、DreamWear(登録商標)マスクは、顔の大きさが異なる患者に対応するために、異なるサイズで供給される。しかし、その場合、DreamWear(登録商標)マスクの製造において複雑性およびコストの増加と、パッケージング増大との原因になる。さらに、別個のサイズのマスクを供給した場合、頭部サイズが異なる患者に対応できる範囲(例えば、提供されるマスクサイズ間に患者の頭部サイズが収まるかまたは収まらないか)が制限される。
【0052】
ヘッドギアチュービングを用いた患者インターフェースを用いると、いくつかの利点が得られ得る(例えば、(目障りかつ不快になる場合があり得るような)患者の顔前方において患者インターフェースへ接続する導管を回避すること)。しかし、ヘッドギアチュービングを用いた患者インターフェースは、患者が眠っているときに患者が長時間装着する場合に、患者の顔との有効なシールを形成しつつ快適であることが望ましい。
【0053】
5.2.3.2 呼吸圧力治療(RPT)デバイス
空気圧生成器は、広範な用途(例えば、工業規模通気システム)において公知である。しかし、医療用途のための空気圧生成器は、より一般的な空気圧生成器(例えば、医療機器の信頼性要件、サイズ要件および重量要件)では満足できない特定の要件を有する。加えて、医療治療向けに設計されたデバイスであっても、以下のうち1つ以上に関連して欠陥を免れない場合がある:快適性、ノイズ、使いやすさ、有効性、サイズ、重量、製造可能性、コストおよび信頼性。
【0054】
睡眠呼吸障害の治療に用いられる1つの公知のRPTデバイスとして、S9睡眠治療システム(製造元:ResMed Limited)がある。RPTデバイスの別の実施例として、人工呼吸器がある。人工呼吸器(例えば、成人および小児用人工呼吸器のResMed Stellar(登録商標)シリーズ)の場合、複数の状態(例を非限定的に挙げると、NMD、OHSおよびCOPD)の治療のための一定範囲のための患者のための侵襲的および非侵襲的な非依存的呼吸のための補助を提供し得る。
【0055】
5.2.3.3 加湿器
空気流れの送達を加湿無しで行った場合、気道の乾燥に繋がり得る。加湿器をRPTデバイスおよび患者インターフェースと共に用いた場合、加湿ガスが生成されるため、鼻粘膜の乾燥が最小化され、患者気道の快適性が増加する。加えて、より冷涼な気候においては、概して患者インターフェースの周囲の顔領域へ温風を付加すると、冷風の場合よりも快適性が高まる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0056】
【文献】米国特許第4944310号明細書
【文献】米国特許第6532959号明細書
【文献】国際公開第1998/004310号
【文献】国際公開第2006/074513号
【文献】国際公開第2010/135785号
【文献】米国特許第4782832号明細書
【文献】国際公開第2004/073778号
【文献】米国特許出願公開第2009/0044808号明細書
【文献】国際公開第2005/063328号
【文献】国際公開第2006/130903号
【文献】国際公開第2009/052560号
【文献】米国特許出願公開第2007/0246043号明細書
【文献】米国特許第6044844号明細書
【文献】米国特許第7866944号明細書
【文献】米国特許第8638014号明細書
【文献】米国特許第8636479号明細書
【文献】国際公開第2013/020167号
【文献】米国特許第8733349号
【非特許文献】
【0057】
【文献】「Respiratory Physiology」, by John B. West, Lippincott Williams & Wilkins, 9th edition published 2011
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0058】
6 技術の簡単な説明
本技術は、呼吸器疾患の診断、改善、治療または予防において用いられる医療機器の提供に関連し、これらの医療機器は、向上した快適性、コスト、有効性、使い易さおよび製造可能性のうち1つ以上を有する。
【課題を解決するための手段】
【0059】
本技術の第1の態様は、呼吸器疾患の診断、改善、治療または予防に用いられる装置に関連する。
【0060】
本技術の特定の形態の一態様は、呼吸治療についての患者のコンプライアンスを向上させる方法および/または装置を提供することである。
【0061】
本技術の一形態は、加圧された呼吸可能なガスの供給を患者気道の入口へ送達させるための患者インターフェースを含む。
【0062】
本技術の一形態の別の態様は、シール形成構造を患者頭部上の治療的に有効な位置に保持するための位置決めおよび安定化構造を含む。シール形成構造は、使用時において患者の呼吸サイクル全体において空気流れを周囲空気圧力に対して少なくとも4cmHOの治療圧力において密閉送達するために、患者の気道への入口を包囲する患者の顔の領域とのシールを形成するように構築および配置され得る。位置決めおよび安定化構造は、空気流れをシール形成構造を介して患者の気道の入口へ送達させるための少なくとも1つのガス送達管を含み得る。少なくとも1つのガス送達管は、使用時に患者頭部の耳基底上点の上方の患者頭部の少なくとも一領域と接触するように、構築および配置され得る。位置決めおよび安定化構造は、位置決めおよび安定化構造が異なるサイズの頭部にフィットされるのを可能にするために少なくとも1つのガス送達管の長さの調節のための調節機構を含み得る。位置決めおよび安定化構造は、付勢機構を含み得る。この付勢機構は、使用時にシール形成構造を患者の気道の入口へ推進させるための付勢力を少なくとも1つのガス送達管の長さのうち少なくとも一部に沿って付与する。
【0063】
本技術の一形態の別の態様は、周囲空気圧力を超える少なくとも4cmHOの治療圧力まで加圧可能なプレナムチャンバを含む患者インターフェースを含む。プレナムチャンバは、患者による呼吸のための治療圧力において空気流れを受容するようなサイズおよび構造にされたプレナムチャンバ入口ポートを含み得る。患者インターフェースは、患者の気道への入口を包囲する患者の顔の領域に対してシールを形成するような構築および配置されたシール形成構造を含み得、これにより、上記治療圧力における空気流れが少なくとも患者の鼻孔への入口に送達される。シール形成構造は、使用時に患者の呼吸サイクル全体においてプレナムチャンバ内において治療圧力を維持するように、構築および配置され得る。患者インターフェースは、使用時に空気流れへ接続された空気回路へ流体接続する接続ポートを含み得る。接続ポートは、使用時に患者頭部の上部、側部または後部の近隣に配置され得る。患者インターフェースは、シール形成構造を患者頭部上の治療的に有効な位置に保持するための位置決めおよび安定化構造を含み得る。位置決めおよび安定化構造は、空気流れをシール形成構造を介して患者の気道の入口へ送達させるための少なくとも1つのガス送達管を含み得る。少なくとも1つのガス送達管は、使用時に患者頭部の耳基底上点の上方の患者頭部の少なくとも一領域と接触するように、構築および配置され得る。位置決めおよび安定化構造は、位置決めおよび安定化構造が異なるサイズの頭部にフィットされるのを可能にするために少なくとも1つのガス送達管の長さの調節のための調節機構を含み得る。位置決めおよび安定化構造は、付勢機構を含み得る。この付勢機構は、使用時にシール形成構造を患者の気道の入口へ推進させるための付勢力を少なくとも1つのガス送達管の長さのうち少なくとも一部に沿って付与する。
【0064】
本技術の一形態の別の態様は、シール形成構造を患者頭部上の治療的に有効な位置に保持するための位置決めおよび安定化構造を含む。シール形成構造は、使用時において患者の呼吸サイクル全体において空気流れを周囲空気圧力に対して少なくとも4cmHOの治療圧力において密閉送達するために、患者の気道への入口を包囲する患者の顔の領域とのシールを形成するように構築および配置され得る。位置決めおよび安定化構造は、少なくとも1つのタイを含み得る。少なくとも1つのタイは、使用時に患者頭部と接触するように構成され得る。少なくとも1つのタイは、空気流れをシール形成構造を介して患者の気道の入口へ送達させるための少なくとも1つのガス送達管を含み得る。少なくとも1つのガス送達管は、使用時に患者頭部の耳基底上点の上方の患者頭部の少なくとも一領域を覆うように構築および配置され得る。位置決めおよび安定化構造は、異なるサイズの頭部にフィットさせるための位置決めおよび安定化構造を可能にするための少なくとも1つのタイの調節のための調節機構を含み得る。位置決めおよび安定化構造は、使用時に調節機構が患者の顔と接触しないように位置決めされるように、構成され得る。
【0065】
本技術の一形態の別の態様は、周囲空気圧力を超える少なくとも4cmHOの治療圧力まで加圧可能なプレナムチャンバを含む患者インターフェースを含む。プレナムチャンバは、患者による呼吸のための治療圧力において空気流れを受容するようなサイズおよび構造にされたプレナムチャンバ入口ポートを含み得る。患者インターフェースは、患者の気道への入口を包囲する患者の顔の領域に対してシールを形成するような構築および配置されたシール形成構造を含み得、これにより、上記治療圧力における空気流れが少なくとも患者の鼻孔への入口に送達される。シール形成構造は、使用時に患者の呼吸サイクル全体においてプレナムチャンバ内において治療圧力を維持するように、構築および配置され得る。患者インターフェースは、使用時に空気流れへ接続された空気回路へ流体接続する接続ポートを含み得る。接続ポートは、使用時に患者頭部の上部、側部または後部の近隣に配置され得る。患者インターフェースは、シール形成構造を患者頭部上の治療的に有効な位置に保持するための位置決めおよび安定化構造を含み得る。位置決めおよび安定化構造は、少なくとも1つのタイを含み得る。少なくとも1つのタイは、使用時に患者頭部と接触するように構成され得る。少なくとも1つのタイは、空気流れをシール形成構造を介して患者の気道の入口へ送達させるための少なくとも1つのガス送達管を含み得る。少なくとも1つのガス送達管は、使用時に患者頭部の耳基底上点の上方の患者頭部の少なくとも一領域を覆うように構築および配置され得る。位置決めおよび安定化構造は、異なるサイズの頭部にフィットさせるための位置決めおよび安定化構造を可能にするための少なくとも1つのタイの調節のための調節機構を含み得る。位置決めおよび安定化構造は、使用時に調節機構が患者の顔と接触しないように位置決めされるように、構成され得る。
【0066】
本技術の一形態の別の態様は、周囲空気圧力を超える少なくとも4cmHOの治療圧力まで加圧可能なプレナムチャンバを含む患者インターフェースを含む。プレナムチャンバは、患者による呼吸のための治療圧力において空気流れを受容するようなサイズおよび構造にされたプレナムチャンバ入口ポートを含み得る。患者インターフェースは、患者の気道への入口を包囲する患者の顔の領域に対してシールを形成するような構築および配置されたシール形成構造を含み得、これにより、上記治療圧力における空気流れが少なくとも患者の鼻孔への入口に送達される。シール形成構造は、使用時に患者の呼吸サイクル全体においてプレナムチャンバ内において治療圧力を維持するように、構築および配置され得る。患者インターフェースは、シール形成構造を患者頭部上の治療的に有効な位置に保持するための位置決めおよび安定化構造を含み得る。位置決めおよび安定化構造は、使用時に患者頭部の耳基底上点の上方の患者頭部の領域を覆うように構築および配置された第1の管部を含み得る。位置決めおよび安定化構造は、使用時に患者頭部の後頭骨の後部に載置されるかまたは患者頭部の後頭骨の後部を覆うタイ部を含み得る。患者インターフェースは、患者が呼気したガスが連続的にプレナムチャンバ内部から周囲へ連続的に流れることを可能にするための通気構造を含み得る。通気構造は、使用時にプレナムチャンバ内の治療圧力を維持するようなサイズおよび形状にされる。第1の管部は、患者によって呼吸される空気流れのうち少なくとも一部を導通させるように、構成され得る。第1の管部は、使用時に張りつめた状態になるように、構成され得る。第1の管部は、長さ方向の調節機構を含み得る。
【0067】
本技術の一形態の別の態様は、シール形成構造を患者頭部上の治療的に有効な位置に保持するための位置決めおよび安定化構造を含む。シール形成構造は、使用時において患者の呼吸サイクル全体において空気流れを周囲空気圧力に対して少なくとも4cmHOの治療圧力において密閉送達するために、患者の気道への入口を包囲する患者の顔の領域とのシールを形成するように構築および配置され得る。位置決めおよび安定化構造は、使用時に患者頭部の耳基底上点の上方の患者頭部の領域を覆うように構築および配置された第1の導管部を含み得る。位置決めおよび安定化構造は、使用時に患者頭部の後頭骨の後部に載置されるかまたは患者頭部の後頭骨の後部を覆うタイ部を含み得る。第1の導管部は、患者によって呼吸される空気流れのうち少なくとも一部を導通させるように、構成され得る。第1の導管部は、使用時に張りつめた状態になるように、構成され得る。第1の導管部は、長さ方向の調節機構を含み得る。
【0068】
本技術の一形態の別の態様は、周囲空気圧力を超える少なくとも4cmHOの治療圧力まで加圧可能なプレナムチャンバを含む患者インターフェースを含む。プレナムチャンバは、患者による呼吸のための治療圧力において空気流れを受容するようなサイズおよび構造にされたプレナムチャンバ入口ポートを含み得る。患者インターフェースは、患者の気道への入口を包囲する患者の顔の領域に対してシールを形成するような構築および配置されたシール形成構造を含み得、これにより、上記治療圧力における空気流れが少なくとも患者の鼻孔への入口に送達される。シール形成構造は、使用時に患者の呼吸サイクル全体においてプレナムチャンバ内において治療圧力を維持するように、構築および配置され得る。患者インターフェースは、治療圧力を空気流れにおいて密閉送達するためにシール形成構造を患者頭部上の治療的に有効な位置に保持するための弾力を提供する位置決めおよび安定化構造を含み得る。位置決めおよび安定化構造は、タイを含み得る。タイは、少なくともタイの一部が使用時に患者頭部の耳基底上点の上方の患者頭部の領域を覆うように、構築および配置され得る。タイは、空気流れをシール形成構造を介して患者の気道の入口へ送達させるための長さが調節可能なガス送達管を含み得る。ガス送達管は、使用時に患者頭部の一部と接触するように構成され得る。位置決めおよび安定化構造は、付勢機構を含み得る。この付勢機構は、使用時にシール形成構造を患者の気道の入口へ推進させるために、長さが調節可能なガス送達管へ付勢力を付加する。
【0069】
本技術の一形態の別の態様は、シール形成構造を患者頭部上の治療的に有効な位置に保持するための位置決めおよび安定化構造を含む。シール形成構造は、使用時において患者の呼吸サイクル全体において空気流れを周囲空気圧力に対して少なくとも4cmHOの治療圧力において密閉送達するために、患者の気道への入口を包囲する患者の顔の領域とのシールを形成するように構築および配置され得る。位置決めおよび安定化構造は、タイを含み得る。タイは、少なくともタイの一部が使用時に患者頭部の耳基底上点の上方の患者頭部の領域を覆うように、構築および配置され得る。タイは、空気流れをシール形成構造を介して患者の気道の入口へ送達させるための長さが調節可能なガス送達管を含み得る。ガス送達管は、使用時に患者頭部の一部と接触するように構成され得る。位置決めおよび安定化構造は、付勢機構を含み得る。この付勢機構は、使用時にシール形成構造を患者の気道の入口へ推進させるために、長さが調節可能なガス送達管へ付勢力を付加する。
【0070】
本技術の一形態の別の態様は、空気流れを周囲空気圧力に対して連続的に陽圧において患者インターフェースのシール形成構造によって形成された患者の気道への入口へ密閉された様態で送達するための可膨張性の位置決めおよび安定化構造を含み、使用時において患者の睡眠時の患者の呼吸周期全体において周囲空気圧力よりも高い約4cmHO~約30cmHOの範囲の治療圧力を維持し、睡眠時呼吸障害が改善されるように構成される。位置決めおよび安定化構造は、空気流れをシール形成構造を介して患者の気道の入口へ送達させるための少なくとも1つのガス送達管を含み得る。位置決めおよび安定化構造は、位置決めおよび安定化構造の寸法調節を可能にするの調節機構も含み得る。位置決めおよび安定化構造は、調節機構および推進シール形成構造へ患者の気道の入口へ向かって移動させるための付勢力を付与する付勢機構も含み得る。
【0071】
本技術の一形態の別の態様は、加圧空気の供給を周囲空気圧力に対して連続的に陽圧において患者の気道の入口へ送達するための患者インターフェースを含む。この患者インターフェースは、使用時において患者の睡眠時の患者の呼吸周期全体において周囲空気圧力よりも高い約4cmHO~約30cmHOの範囲の治療圧力を維持し、睡眠時呼吸障害が改善されるように構成される。患者インターフェースは、使用時に加圧空気の供給へ接続された空気回路へ流体接続するための接続ポートを含み得る。接続ポートは、使用時に患者頭部の上部、側部または後部の近隣に配置される。患者インターフェースは、患者の気道への入口を包囲する領域を密閉するシール形成構造も含み得る。患者インターフェースは、シール形成構造によって形成されたシールを維持するための可膨張性の位置決めおよび安定化構造も含み得る。位置決めおよび安定化構造は、空気流れをシール形成構造を介して患者の気道の入口へ送達させるための少なくとも1つのガス送達管を含み得る。
【0072】
本技術の関連形態の別の態様は、患者インターフェースを含む。この患者インターフェースは、位置決めおよび安定化構造の寸法調節を可能にするための調節機構を含む位置決めおよび安定化構造を含む。
【0073】
本技術の関連形態の別の態様は、患者インターフェースを含む。この患者インターフェースは、調節機構へ付勢力を付加し、シール形成構造を患者の気道の入口へと推進させるための付勢機構を含む。
【0074】
本技術の一形態の別の態様は、空気流れを周囲空気圧力に対して連続的に陽圧において患者インターフェースのシール形成構造によって形成された患者の気道への入口へ密閉された様態で送達するための可膨張性の位置決めおよび安定化構造を含み、使用時において患者の睡眠時の患者の呼吸周期全体において周囲空気圧力よりも高い約4cmHO~約30cmHOの範囲の治療圧力を維持し、睡眠時呼吸障害が改善されるように構成される。位置決めおよび安定化構造は、空気流れをシール形成構造を介して患者の気道の入口へ送達させるための少なくとも1つのガス送達管を含み得る。位置決めおよび安定化構造は、位置決めおよび安定化構造の寸法調節を可能にする調節機構も含み得る。位置決めおよび安定化構造は、使用時に調節機構が患者の頬領域と接触しないように位置決めされるように、構成され得る。
【0075】
本技術の一形態の別の態様は、加圧空気の供給を周囲空気圧力に対して連続的に陽圧において患者の気道の入口へ送達するための患者インターフェースを含む。この患者インターフェースは、使用時において患者の睡眠時の患者の呼吸周期全体において周囲空気圧力よりも高い約4cmHO~約30cmHOの範囲の治療圧力を維持し、睡眠時呼吸障害が改善されるように構成される。患者インターフェースは、位置決めおよび安定化構造を含み得る。位置決めおよび安定化構造は、空気流れをシール形成構造を介して患者の気道の入口へ送達させるための少なくとも1つのガス送達管を含み得る。位置決めおよび安定化構造は、位置決めおよび安定化構造の寸法調節を可能にする調節機構も含み得る。位置決めおよび安定化構造は、使用時に調節機構が患者の頬領域と接触しないように位置決めされるように、構成され得る。
【0076】
本技術の特定の形態の別の態様は、呼吸疾患の治療のためのシステムである。本システムは、本技術の他の態様のうちいずれか1つ以上による患者インターフェースと、空気回路と、陽圧における空気源とを含む。
【0077】
本技術の一形態の別の態様は、意図される装着者の形状に対して相補的である周辺形状と共に成形または他の場合に構築された患者インターフェースである。
【0078】
本技術の特定の形態の別の態様は、患者インターフェースである。この患者インターフェースは、使用時に患者の口腔を露出させるように構成されたシール形成構造を含む。
【0079】
本技術の特定の形態の別の態様は、患者インターフェースである。この患者インターフェースは、使用時にシール形成構造の一部が口腔に進入することが無いように構成されたシール形成構造を含む。
【0080】
本技術の特定の形態の別の態様は、患者インターフェースである。この患者インターフェースは、シール形成構造が患者の気道の内部に延びないように構成されたシール形成構造を含む。
【0081】
本技術の特定の形態の別の態様は、患者インターフェースである。この患者インターフェースは、使用時にシール形成構造がオトガイ隆起領域の下側に延びないように構成されたシール形成構造を含む。
【0082】
本技術の特定の形態の別の態様は、使用時に患者の眼を露出させるように構築および配置された患者インターフェースである。
【0083】
本技術の特定の形態の別の態様は、停電時に患者が周囲空気を呼吸することを可能にするように構築および配置された患者インターフェースである。
【0084】
本技術の特定の形態の別の態様は、患者インターフェースである。この患者インターフェースは、患者の鼻の鼻ブリッジ領域と接触すること無く患者の鼻の下側上にシールを形成するように構成されたシール形成構造を含む。
【0085】
本技術の特定の形態の別の態様は、患者インターフェースである。この患者インターフェースは、通気部およびプレナムチャンバを含む。患者インターフェースは、プレナムチャンバ内部からのガスが通気部を介して周囲へ移動することができるように、構築および配置される。
【0086】
本技術の特定の形態の別の態様は、患者インターフェースである。この患者インターフェースは、患者が患者インターフェースの使用時に横向きまたは側臥位睡眠位置にて快適に横たわることができるように、構築および配置される。
【0087】
本技術の特定の形態の別の態様は、患者インターフェースである。この患者インターフェースは、患者が患者インターフェースの使用時に仰臥位睡眠位置にて快適に横たわることができるように、構築および配置される。
【0088】
本技術の特定の形態の別の態様は、患者インターフェースである。この患者インターフェースは、患者が患者インターフェースの使用時に腹臥位睡眠位置にて快適に横たわることができるように、構築および配置される。
【0089】
本技術の特定の形態の一態様は、例えば医療トレーニングを受けたことの無い人、あまり器用ではない人や洞察力の欠いた人、またはこの種の医療デバイスの使用経験が限られた人にとって使い易い医療デバイスである。
【0090】
本技術の一形態の一態様は、患者の家庭において例えば石けん水などによって洗浄することが可能な患者インターフェースであり、特殊な清浄器具は不要である。本技術の一形態の一態様は、患者の家庭において例えば石けん水などによって洗浄することが可能な加湿器タンクであり、特殊な清浄器具は不要である。
【0091】
もちろん、上記様態の一部は、本技術の下位様態を形成し得る。また、下位態様および/または態様のうち多様な1つを多様に組み合わせることができ、本技術のさらなる態様または下位態様も構成し得る。
【0092】
本技術の他の特徴は、以下の詳細な説明、要約、図面および特許請求の範囲中に含まれる情報に鑑みれば明らかになる。
【0093】
7 図面の簡単な説明
本技術を、添付図面中に非限定的に一実施例として例示する。図面中、類似の参照符号は、以下の類似の要素を含む:
【図面の簡単な説明】
【0094】
図1A】患者インターフェース3000を装着している患者1000を含むシステムを示す図である。このシステムは、鼻枕の形態をとり、RPTデバイス4000から供給される陽圧の空気を受容する。RPTデバイス4000からの空気は、加湿器5000によって加湿され、空気回路4170に沿って患者1000へと移動する。同床者1100も図示される。
図1B】患者インターフェース3000を装着している患者1000を含むシステムを示す図である。このシステムは、鼻マスクの形態をとり、RPTデバイス4000から供給される陽圧の空気を受容する。RPTデバイスからの空気は、加湿器5000によって加湿され、空気回路4170に沿って患者1000へと移動する。
図1C】患者インターフェース3000を装着している患者1000を含むシステムを含む図である。患者インターフェース3000は、フルフェイスマスクの形をとり、陽圧の空気供給をRPTデバイス4000から受容する。RPTデバイスからの空気は、加湿器5000によって加湿され、空気回路4170に沿って患者1000へと移動する。
図2A】鼻腔および口腔、喉頭、声帯ひだ、食道、気管、気管支、肺、肺胞嚢、心臓および横隔膜を含むヒト呼吸器系の概要を示す。
図2B図2Bは、鼻腔、鼻骨、外側鼻軟骨、大鼻翼軟骨、鼻穴、上唇、下唇、喉頭、硬口蓋、軟口蓋、口咽頭、舌、喉頭蓋、声帯ひだ、食道および気管を含むヒトの上気道の図である。
図2C】上唇、上唇紅、下唇紅、下唇、口の幅、内眼角、鼻翼、鼻唇溝および口角点を含む表面解剖学的構造のいくつかの特徴を含む顔の正面図である。上側、下側、ラジアル内方およびラジアル外方の方向も記載される。
図2D】眉間、セリオン、鼻尖点、鼻下点、上唇、下唇、スプラメントン、鼻堤、鼻翼頂上点、耳基底上点および耳基底下点を含む表面解剖学的構造のいくつかの特徴を含む頭部の側面図である。上側および下側と、前方および後方との方向も記載される。
図2E】頭部のさらなる側面図である。フランクフォート水平および鼻唇角の大まかな位置が記載されている。冠状面も記載される。
図2F】鼻唇溝、下唇、上唇紅、鼻孔、鼻下点、鼻柱、鼻尖点、鼻孔の主軸および矢状面を含むいくつかの特徴を含む鼻の底面図である。
図3A】本技術の特定の形態による位置決めおよび安定化構造3300を含む患者インターフェース3000を示す図である。
図3B】本技術の特定の形態による位置決めおよび安定化構造3300を含む患者インターフェース3000を示す図である。
図3C】本技術の特定の形態による位置決めおよび安定化構造3300を含む患者インターフェース3000を示す図である。
図3D】本技術の特定の形態による位置決めおよび安定化構造3300を含む患者インターフェース3000を示す図である。
図3E】本技術の特定の形態による位置決めおよび安定化構造3300を含む患者インターフェース3000を示す図である。
図3F図3C図3Dおよび図3Eに示す患者インターフェース3000の平面図である。
図3G図3Fに示す患者インターフェース3000の一部の断面図である。
図3H】患者インターフェース3000のヘッドギア管3350の縦断面を示す図である。
図3I】患者インターフェース3000のヘッドギア管3350の例示的な力伸長特性のプロットを示すグラフである。
図3J図3C図3Dおよび図3Eに示す患者インターフェースが患者によって装着されている様子の側面図であり、接続ポート3600は、中心位置(想像線)、前方位置および後方位置にある。
図3K図3C図3Dおよび図3Eに示す患者インターフェースが1つの頭部サイズの患者によって装着され、より大きな頭部サイズの患者によって装着される(想像線)様子を示す側面図である。
図3L図3C図3Dおよび図3Eに示す患者インターフェースが患者によって装着されている様子の側面図であり、調節機構3360が中心に位置決めされ、前方および後方に位置決めされている(想像線)。
図4A】本技術の特定の形態による患者インターフェース3000のクッションアセンブリ3150を示す図である。
図4B】本技術の特定の形態による患者インターフェース3000のクッションアセンブリ3150を示す図である。
図4C】本技術の特定の形態による患者インターフェース3000のクッションアセンブリ3150を示す図である。
図4D】本技術の特定の形態による患者インターフェース3000のクッションアセンブリ3150を示す図である。
図4E】本技術の特定の形態による患者インターフェース3000のクッションアセンブリ3150を示す図である。
図5】患者インターフェース3000を示す図であり、本技術の一形態による折り畳み部3364およびストラップ3390を有する位置決めおよび安定化構造3300を含む。
図5A図5の患者インターフェース3000の折り畳み部3364の断面図であり、回転折り畳み部3366は、隣接する管部3368上へ異なるレベルまで折り畳まれる。
図5B図5の患者インターフェース3000の折り畳み部3364の断面図であり、回転折り畳み部3366は、隣接する管部3368上へ異なるレベルまで折り畳まれる。
図6】患者インターフェース3000を示す図であり、本技術の一形態による可撓性管3350を含む位置決めおよび安定化構造3300を含む。
図7A】本技術の特定の形態による第1の管部3370および第2の管部3372を有する位置決めおよび安定化構造3300を含む患者インターフェース3000を示す図である。
図7B】本技術の特定の形態による第1の管部3370および第2の管部3372を有する位置決めおよび安定化構造3300を含む患者インターフェース3000を示す図である。
図7C】本技術の特定の形態による第1の管部3370および第2の管部3372を有する位置決めおよび安定化構造3300を含む患者インターフェース3000を示す図である。
図8】患者インターフェース3000の部分を示す図であり、本技術の一形態による別個に調節可能な第1の管部3370および第2の管部3372を有する位置決めおよび安定化構造3300を含む。
図9】患者インターフェースの部分を示す図であり、本技術の一形態による第1の管部3370および第2の管部3372を有する位置決めおよび安定化構造3300を含む。
図10A】患者インターフェース3000を示す図であり、本技術の一形態による調節機構3360を有する位置決めおよび安定化構造3300を含む。
図10B】患者インターフェース3000を示す図であり、本技術の一形態によるねじ式管部3380および3382を有する位置決めおよび安定化構造3300を含む。
図11】患者インターフェース3000を示す図であり、本技術の一形態による交換可能な管部3385および3386を有する位置決めおよび安定化構造3300を含む。
図12】患者インターフェース3000を示す図であり、本技術の一形態による挿入可能な管部3387を有する位置決めおよび安定化構造3300を含む。
図13】患者インターフェースのための管3350の部分を示す図であり、本技術の一形態による引き延ばし可能な管部3355を含む。
図14】患者インターフェース3000を示す図であり、本技術の一形態によるバンド3395を有する位置決めおよび安定化構造3300を含む。
図15】患者インターフェースの一部を示す図であり、本技術の一形態による交換可能なループ挿入部材3410および3411を含む。
図16】患者インターフェースの一部を示す図であり、本技術の一形態による可膨張性のループ挿入部材3420を含む。
図17】患者インターフェース3000を示す図であり、本技術の一形態による蛇腹管部3362および弾性スリーブ3340を有する位置決めおよび安定化構造3300を含む。
図18】本技術の一形態によるRPTデバイスを示す図である。
図19A】本技術の一形態による加湿器の等角図である。
図19B】本技術の一形態による加湿器の等角図であり、加湿器リザーバ5110を加湿器リザーバドック5130から除去した様子を示す。
【発明を実施するための形態】
【0095】
8 本技術の実施例の詳細な説明
本技術についてさらに詳細に説明する前に、本技術は、本明細書中に記載される異なり得る特定の実施例に限定されるのではないことが理解されるべきである。本開示中に用いられる用語は、本明細書中に記載される特定の実施例を説明する目的のためのものであり、限定的なものではないことも理解されるべきである。
【0096】
以下の記載は、1つ以上の共通の特性および/または特徴を共有し得る多様な実施例に関連して提供される。任意の1つの実施例の1つ以上の特徴は、別の実施例または他の実施例の1つ以上の特徴と組み合わせることが可能であることが理解されるべきである。加えて、これらの実施例のうちのいずれかにおける任意の単一の特徴または特徴の組み合わせは、さらなる実施例を構成し得る。
【0097】
8.1 治療法
図1Aに示すような一形態において、本技術は、呼吸器疾患の治療方法を含む。本方法は、患者1000の気道の入口へ陽圧を付加するステップを含む。
【0098】
8.2 治療システム
一形態において、本技術は、呼吸障害の治療のための装置またはデバイスを含む。装置またはデバイスは、加圧空気を患者インターフェース3000への空気回路4170を介して患者1000へ供給するRPTデバイス4000を含み得る。図1A図1Bおよび図1Cに示す治療システムは、異なる形態の患者インターフェース3000を用いる。
【0099】
8.3 患者インターフェース
図3Aを参照して、本技術の一態様による非侵襲的患者インターフェース3000は、以下の機能様態を含む:クッションアセンブリ3150、位置決めおよび安定化構造3300、および空気回路4170への接続のための接続ポート3600。いくつかの形態において、機能様態が、1つ以上の物理的コンポーネントによって提供され得る。いくつかの形態において、1つの物理的コンポーネントは、1つ以上の機能様態を提供し得る。
【0100】
クッションアセンブリ3150は、シール形成構造3100およびプレナムチャンバ3200を含む。使用時において、プレナムチャンバ3200は空気回路4170から陽圧での空気供給を受容し、シール形成構造3100は、気道への陽圧での空気供給を促進するように、患者の気道への入口周囲の領域を密閉するように配置される。
【0101】
8.3.1 シール形成構造
本技術の一形態において、シール形成構造3100は、シール形成表面を提供し、クッション機能をさらに提供し得る。
【0102】
本技術によるシール形成構造3100は、柔らかく、可撓性でありかつ弾力性のある材料(例えば、シリコーン)から構成され得る。
【0103】
シール形成構造3100は非侵襲的であり得る(すなわち、患者の気道の内部へと延びない)。本技術のいくつかの形態において、シール形成構造3100のいかなる部分も使用時において患者の口に進入することはない。本技術のいくつかの形態において、シール形成構造3100は、使用時において患者の口を露出させたままにするように構成される。本技術のいくつかの形態において、シール形成構造3100は、使用時において患者の目を覆わない。
【0104】
一形態において、シール形成構造3100は、密閉フランジおよび支持フランジを含む。密閉フランジは、厚さが約1mm未満(例えば、約0.25mm~約0.45mm)の比較的肉薄の部材を含む。この部材は、プレナムチャンバ3200の縁部長さの周囲に延びる。支持フランジは、密閉フランジよりも比較的肉厚であり得る。支持フランジは、密閉フランジと、プレナムチャンバ3200の周縁部との間に配置され、周辺長さの周囲の少なくとも一部に延びる。支持フランジは、バネ様要素であるかまたはバネ様要素を含み、密閉フランジを使用時に座屈しないように支持するよう機能する。使用時において、密閉フランジは、プレナムチャンバ3200中のシステム圧力に容易に応答してその下側上に作用して、面と緊密な密閉係合を形成させ得る。
【0105】
図1A中に示す一形態において、非侵襲的患者インターフェース3000のシール形成部分は、一対の鼻パフまたは鼻枕を含む。各鼻パフまたは鼻枕は、患者の鼻の各鼻孔との密閉を形成するように構成および配置される。鼻枕患者インターフェース3000も図3Aに示す。
【0106】
本技術の一態様による鼻枕は、円錐台を含む。円錐台のうち少なくとも一部は、患者の鼻の下側、柄部、円錐台の下側上の可撓性領域上に密閉を形成し、円錐台を柄部へ接続させる。加えて、本技術の鼻枕が接続される構造は、柄部のベースに隣接する可撓性領域を含む。可撓性領域は、自在接合構造を促進するように機能し得る。自在接合構造は、円錐台の変位および角度双方と、鼻枕が接続される構造との相互移動に対応する。例えば、円錐台は、柄部が接続された構造に向かって軸方向に変位し得る。
【0107】
一形態において、非侵襲的患者インターフェース3000は、使用時において患者の顔の上唇領域(すなわち、上唇)、鼻ブリッジ領域、および頬領域上に密閉を形成するシール形成部分を含む。例えば図1Bに示した患者インターフェース3000がこの場合である。このシール形成部分は、空気供給または呼吸可能なガスを単一のオリフィスを介して患者1000の双方の鼻孔へ送達させる。この種のシール形成構造は、「鼻クッション」または「鼻マスク」とも呼ばれ得る。
【0108】
別の形態において、シール形成構造は、使用時に鼻孔の周囲の鼻下側および任意選択的に上唇とシールを形成するように構成される。この種のシール形成構造は、「鼻クレードルクッション」または「サブ鼻マスク」とも呼ばれ得る。シール形成構造の形状は、患者の鼻の下側に整合するかまたは患者の鼻の下側を近密に追随するように構成され得る(すなわち、シール形成構造のプロファイルおよび角度は、患者の鼻唇角度と実質的に平行であり得る)。鼻クレードルクッションの一形態において、シール形成構造は、2つのオリフィスを規定する中隔部材を含む。これら2つのオリフィスはそれぞれ、使用時に空気または呼吸可能なガスを患者鼻孔のうち異なる1つへ供給する。中隔部材は、使用時に患者の鼻柱と接触するかまたは患者の鼻柱をシールするように、構成され得る。本技術のいくつかの形態において、シール形成構造3100は、患者の鼻の鼻ブリッジ領域と接触すること無く患者の鼻の下側とのシールを形成するように、構成される。
【0109】
一形態において、非侵襲的患者インターフェース3000は、患者の顔の顎領域、鼻ブリッジ領域、および頬領域上に密閉を形成するシール形成部分を含む。例えば図1Cに示した患者インターフェース3000がこの場合である。このシール形成部分は、空気供給または呼吸可能なガスを単一のオリフィスを通じて患者1000の双方の鼻孔および口腔へ送達させる。この種のシール形成構造は、「フルフェイスマスク」とも呼ばれ得る。
【0110】
別の形態において、非侵襲的患者インターフェース3000は、鼻シール形成構造3170と、口腔シール形成構造3180とを含む。鼻シール形成構造3170は、鼻クッションまたは鼻クレードルクッションの形態をとり、口腔シール形成構造3180は、使用時に患者口腔周囲にシールを形成するように構成される(これは、「口腔クッション」または「口腔マスク」とも呼ばれ得る)。このようなマスクにおいて、空気または呼吸可能なものは、使用時に別個のオリフィスを通じて患者の鼻孔および患者の口腔へ供給される。この種のシール形成構造3100は、「口鼻マスク」と呼ばれ得る。一形態において、鼻シール形成構造3170および口腔シール形成構造3180は、単一のコンポーネントとして一体形成される。これは、例えば図4A図4Bおよび図4Cに示すクッションアセンブリ3150の場合に当てはまる。あるいは、鼻シール形成構造3170および口腔シール形成構造3180を別個に形成してもよく、例えば各クッションへ取り付けられたフレームを相互接続することにより、直接的または間接的に共に取り付けられるように構成される。例えば、鼻シール形成構造3170および口腔シール形成構造3180は、モジュール式に取り外した後に再度取り付けられるように、構成され得る。これにより、患者インターフェースを患者および/または医師が望むように口鼻マスクから鼻マスクまたはサブ鼻マスクへ機能変換するかその逆を行うことが可能になる。これは、例えば図4Dおよび図4Eに示すクッションアセンブリ3150に当てはまる。
【0111】
本技術のいくつかの形態において、シール形成構造3100は、使用時にシール形成構造が患者頭部のオトガイ隆起領域の下側に延びないように構成される。
【0112】
他に明記無き限り、本技術による患者インターフェースの実施形態は、上記種類のシール形成構造のうちいずれかを含み得る。
【0113】
本技術の特定の形態において、シール形成構造3100は、特定のサイズの顔の頭部および/または形状に対応するように構成される。例えば、一形態のシール形成構造3100は、小さなサイズの頭部ではなく、大きなサイズの頭部に適している。別の実施例において、一形態のシール形成構造3100は、大きなサイズの頭部ではなく、小さなサイズの頭部に適している。
【0114】
8.3.2 プレナムチャンバ
プレナムチャンバ3200は、使用時において、加圧呼吸可能なガスを受容し、周囲圧力を超える圧力で加圧される。本技術のいくつかの形態において、プレナムチャンバ3200は、使用時にシールが形成される領域において平均的な人の顔の表面輪郭に対して相補的である形状の縁部3210を有する。使用時において、プレナムチャンバ3200の周辺縁部は、顔の隣接する表面に近接して位置決めされる。顔との実際の接触は、シール形成構造3100によって提供される。シール形成構造3100は、使用時においてプレナムチャンバ3200の縁部全体の周りに延び得る。
【0115】
プレナムチャンバ3200は、患者インターフェース3000の別の部分からのガスを受容するようなサイズおよび構造にされたプレナムチャンバ入口ポートを通じて加圧呼吸可能なガスを受容し得る。
【0116】
8.3.3 位置決めおよび安定化構造
本技術の患者インターフェース3000のシール形成構造3100は、使用時において位置決めおよび安定化構造3300によって密閉位置において保持され得る。位置決めおよび安定化構造3300は、患者インターフェース3000密閉位置において保持するために患者の頭部に係合することから、「ヘッドギア」とも呼ばれることができる。
【0117】
本技術の一形態において、患者が睡眠時に装着されるように構成された位置決めおよび安定化構造3300が提供される。一実施例において、位置決めおよび安定化構造3300は、装置の感知される嵩または実際の嵩を低減するように、ロープロファイルまたは断面厚さを有する。
【0118】
位置決めおよび安定化構造3300は少なくとも1つのタイを含み得る。タイは、張力に抵抗するように設計された構造として理解され得る。使用時に、タイは、張力下にある位置決めおよび安定化構造3300の部分である。いくつかのタイは、上記するように、この張力の結果得られる弾力を付加する。タイは、シール形成構造3100を患者頭部上の治療的に有効な位置に維持するように機能し得る。本技術の特定の形態において、位置決めおよび安定化構造3300は、以下に述べるように、ヘッドギア管3350および/またはヘッドギアストラップの形態のタイを含み得る。
【0119】
8.3.3.1 ヘッドギアチュービング
図3Aに示す本技術の形態において、位置決めおよび安定化構造3300は、空気回路4170の部分を形成する導管から受容された加圧空気を例えばプレナムチャンバ3200およびシール形成構造3100を通じてRPTデバイスから患者の気道へ送達させる少なくとも1つの管3350を含む。これらの管3350は、患者インターフェースのシール形成構造3100to患者の顔の適切な部分(例えば、鼻および/または口腔)に位置決めおよび安定配置するための患者インターフェース3000のヘッドギア3300の一体部分である。その結果、加圧空気流れを提供する空気回路4170の導管を、人によっては目障りになり得る患者の顔の前方以外の位置において患者インターフェースの接続ポート3600へ接続することが可能になる。
【0120】
加圧空気を空気回路4170から患者の気道へ送達させるために空気を管3350を通じて収容および移動させることが可能であるため、位置決めおよび安定化構造3300は、可膨張性のものとして記述され得る。可膨張性の位置決めおよび安定化構造3300は、位置決めおよび安定化構造3300の全コンポーネントを膨張可能とすることを必要としないことが理解される。
【0121】
本技術の特定の形態において、患者インターフェース3000は、患者頭部の上部、側部または後部の近隣に配置される接続ポート3600を含み得る。例えば、図3Aに示す本技術の形態において、接続ポート3600は、患者頭部の上に配置される。接続ポートが患者の顔の前方に配置されていない患者インターフェースの場合、導管が顔前方の患者インターフェースへ接続されている場合に目障りかつ不快と感じる患者が存在するため、有利であり得る。例えば、顔前方の患者インターフェースへ接続する導管は、特に使用時に導管が患者インターフェースから下方に延びている場合、寝具またはベッドリネンと絡まり易い場合がある。使用時において接続ポートが患者頭部の上方の近隣に配置された患者インターフェースを用いた本技術の形態によれば、患者が以下の位置のうち1つ以上において横たわるかまたは眠った場合により容易またはより快適になり得る:側方または横方向位置、仰臥位位置(すなわち、顔を上に向けた仰向けの状態)、および腹臥位位置(すなわち、顔を下向きにしたうつぶせの状態)。さらに、導管を患者インターフェース前方に接続した場合、管引き摺りとして知られる問題の原因になり得る。管引き摺りにおいては、導管から患者インターフェースに対して望ましくない牽引力が発生し得、その結果、顔から引きずり下ろされる原因となる。
【0122】
図3Aの例において、少なくとも1つの管3350は、患者の頬領域上および患者の耳上の接続ポート3600からクッションアセンブリ3150間(すなわち、使用時に患者頭部の上顎領域を覆うクッションアセンブリ3150へ接続する管3350の一部と、患者頭部上の耳基底上点の上方の患者頭部の領域を覆う管3350の一部との間)に延びる。
【0123】
図3Aに示す本技術の形態において、位置決めおよび安定化構造3300は、2つの管3350を含む。各管は、使用時に患者頭部の異なる側部上に配置され、各頬領域を通じて(患者頭部上の耳基底上点の上方の)各耳の上方から患者頭部の上部の接続ポート3600へ延びる。この技術形態の場合、患者が横向きに寝ており、管のうち1つが圧縮されて当該管に沿ったガス流れが遮断または部分的に遮断された場合に、その他の管が開口したままであり、加圧ガスを患者に記載供給できるため、有利であり得る。技術の他の実施形態において、患者インターフェースは、異なる数の管(例えば、1つの管または3つ以上の管)を含み得る。患者インターフェースが1つの管3350を有する一例において、単一の管3350は、使用時に患者頭部の片側(例えば、一方の頬領域上に)配置され、ストラップは、位置決めおよび安定化構造3300の部分を形成し、患者インターフェース3000を患者頭部上に固定することを支援するために、使用時に患者頭部の他方側(例えば、他方の領域上)に配置される。
【0124】
図3Aに示す本技術の形態において、これら2本の管3350は、上端において相互に流体接続され、接続ポート3600へ流体接続される。一実施形態において、これら2つの管は一体形成され、他の実施形態において、これらの管は、別個のコンポーネントであり、使用時に相互接続され、例えば洗浄または保存時には接続解除され得る。別個の管が用いられる場合、これらの管は相互に間接的に接続され得、例えば、それぞれ、管3350へそれぞれ流体接続可能な2本の導管アームと、接続ポート3600として機能しかつ使用時に空気回路4170へ接続可能な第3の導管アームまたは開口部とを有するT型導管へ接続され得る。
【0125】
これらの管3350は、エラストマー材料(例えば、シリコーン)などの半剛性材料によって形成され得る。これらの管は、自然な事前形成された形状を持ち得、管へ力が付加された場合に屈曲または移動して別の形状をとり得る。例えば、これらの管は、頭部上部と鼻または口領域との間の患者頭部の外形に似た形状の弧状または曲線状を概してとり得る。
【0126】
図3Aに示す本技術の例示的形態は、管3350を有する。これらの管3350は、患者頭部の上部周囲において、頭部上部上の接続ポート3600へ接続する管3350の上端から、矢状面の湾曲が少しも無い状態で後方ヘッドギアストラップ3310が管3350へ接続する地点へ曲線状に延びる。後方ヘッドギアストラップ3310が管3350へ接続する地点と、鼻下側の患者の気道の前方のクッションアセンブリ3150と接続する管3350の下端との間において、管3350は、患者の耳と眼との間において頬領域にわたって前方に曲線状に延びる。管3350のこの部分の湾曲部の半径は、60~100mmの範囲内(例えば、70~90mm(例えば、80mm))であり得る。管3350の下端と、後方ヘッドギアストラップ3310が管3350へ接続する部分とは、65~90°の範囲(例えば、75~80°)の角度に対し得る。
【0127】
本技術の特定の形態において、管3350の1つ以上の部位は、1つ以上の硬質化要素または補剛要素によって硬質化され得る。硬質化要素の例を以下に挙げる:管3350のうち、他の部分よりも比較的肉厚の部分、管3350のうち、他の部分を形成する材料よりも比較的高剛性の材料から形成された部分、および管の一部の内部、外部に取り付けられたかまたは埋設された剛性部材。このような硬質化要素を用いた場合、使用時における位置決めおよび安定化構造3300の機能様態の制御が支援される(例えば、管3350に力が付加された場合に管3350が変形する可能性が高い場合、管3350に力が付加された場合に管3350の形状が維持される可能性が高い場合)。このような硬質化要素を管3350内のどこに配置するかを選択することにより、患者インターフェース3000の装着時における快適性の促進が支援され得、使用時におけるシール形成構造における良好なシール維持が支援され得る。硬質化要素または補剛要素は、位置決めおよび安定化構造3300内に配置され得る。位置決めおよび安定化構造3300は、比較的高重量のシール形成構造(例えば、フルフェースまたは口鼻クッションアセンブリ)を支持するように構成される。
【0128】
図3Aに示す本技術の形態中の管3350の長さは、15~30cm(例えば、20~27cm)である。一実施形態において、管の長さは、25cmである。管の長さは、典型的な患者の頭部の寸法に適するように選択される(例えば、例えば図3Aに示すように頭部の側部を下方に延びおよび患者の頬領域上に延びる概して弧状の経路をたどる際に管3350の上端が管3350の下端がクッションアセンブリ3150へ接続する患者の気道への開口部の近隣の領域へ配置される頭部の上部の近隣の領域間の距離)。以下により詳細に述べるように、患者インターフェース3000は、本技術のいくつかの形態において管3350の長さを変化させることができかつ上記長さが収縮、伸長または中立状態の管へ適用され得るように、構成される。管3350の長さは、患者インターフェース3000中の他のコンポーネントの長さ(例えば、管3350の上端が接続されるT字型導管のアーム長さ)に依存することが理解される。
【0129】
患者インターフェース3000を個々の患者にフィットさせるレベルは、管3350の長さの変更によって変更することができ、代替的にまたは追加的には、患者頭部上の患者インターフェース3000の位置の変更によって変更することができる。例えば、位置決めおよび安定化構造3300を患者頭部上の後方方向または前方方向に移動させることにより、特定の長さの管3350を有する患者インターフェース3000を患者によりフィットするように調節することができる。接続ポート3600をさらに前方(すなわち、前方方向)に位置決めすると、特定の長さの管3350を有する患者インターフェース3000を、接続ポート3600をさらに後方に(すなわち、後方方向)に配置した場合よりもより大きな頭部にフィットさせることが可能になる。
【0130】
本技術の特定の形態において、患者インターフェース3000は、接続ポート3600を患者頭部の上部にわたる一定範囲の位置に配置することが可能なように、構成され、これにより、患者インターフェース3000を個々の患者の快適性またはフィット感に適した位置に配置することが可能になる。患者頭部上の接続ポート3600の位置と無関係にクッションアセンブリ3150が患者の顔との有効なシールを形成するようにこれを達成することが可能な1つの方法として、患者インターフェース3000の上部の動きを患者インターフェース3000の下部から結合解除させる方法がある。このような分離は、例えばヘッドギア管3350の部品を患者インターフェース3000の他の部品に相対して容易に移動または撓むことを可能にする機構を用いて、達成することができる。以下、このような機構について説明する。
【0131】
本技術の特定の形態において、患者インターフェース3000は、接続ポート3600が患者頭部の上点に概ね配置されるように、構成される。接続ポート3600は、矢状面内に配置され得、冠状面に平行な面内の耳基底上点と共にアラインされ得る。耳基底上点を図2D中に示す。以下に述べるように、本技術のいくつかの形態において、ヘッドギア3300は、異なる位置で装着されるように構成され、すなわち、接続ポート3600は、耳基底上点から前方20mmまたは後方20mm周囲までの矢状面内の患者頭部の上部の近隣に配置され得る。
【0132】
管3350の断面形状は、例えば特許文献13に記載のような円形、楕円形、卵形、D字型形状または角丸長方形であり得る。本明細書中、同文献を参考のため援用する。患者の顔または頭部の他の部分に対向かつ接触する側上の管の平坦な表面を示す断面形状は、例えば円形断面を持つ管の場合よりも、より快適に装着され得る。
【0133】
管3350の断面幅および/または高さは、8~25mm(例えば、10~20mm)であり得る。管がD字型断面を有するいくつかの形態において、例えば図3Hに示すヘッドギアチュービング3350の長手方向断面の場合、管の幅は、15~25mm(例えば20mm)であり、高さは8~15mm(例えば10mm)である。高さは、患者の顔から離隔方向の管の寸法(すなわち、患者と接触する側3348と、患者と接触しない側3349の最外部との間の距離)とみなされ得、幅は、患者頭部の表面にわたる寸法とみなされ得る。管3350を形成する材料の断面厚さは、0.8~1.6mm(例えば、1.0~1.5mm(例えば1.3mm))であり得る。
【0134】
図3Hに示すD字型の断面管3350は、患者と接触する側3348の側面に位置する曲線状縁部3347を有する。患者の皮膚と接触するかまたは患者の皮膚の近隣にある曲線状縁部により、患者インターフェース3000の装着時の快適性が増すことと、患者の皮膚上の跡残りまたは炎症が回避されることとが支援される。管をD字型断面プロファイルにすると、他の形状の外形の場合より、座屈にも強くなる。
【0135】
特許文献13に記載のように、管3350は、使用時に圧壊した場合(例えば、患者の顔と枕との間において圧壊した場合)において、管を通過する呼吸可能なガスの流れを回避するために、圧壊にも耐え得る。管中の加圧ガスは、使用時の管3350の圧壊を回避するかまたは少なくとも制限するためのスプリントとして機能し得るため、圧壊に耐える管は、全ての場合において必要なわけではない。圧壊に耐える管を用いると、単一の管3350のみが存在する場合において、有利であり得る。なぜならば、使用時に単一の管が遮断されると、ガス流れが制限され、治療が停止するかまたはその有効性が低下するからである。
【0136】
2本の管3350は、その下端においてクッションアセンブリ3150へ流体接続される。本技術の特定の形態において、管3350と、クッションアセンブリ3150との間の接続は、患者が2つの剛性コンポーネントを信頼性の高い様態で容易に接続することができるような2つの剛性コンポーネントの接続により、達成される。「確認可能なクリック音」や類似の音による触覚フィードバックを用いると、患者によって使用が容易であり得、また、管が正しくクッションアセンブリ3150へ接続されたことを患者が知ることもできる。一形態において、管3350はシリコーンから形成され、シリコーン管3350の下端は、例えばポリプロピレンから形成された剛性コネクタへオーバーモールドされる。剛性コネクタは、クッションアセンブリ3150上の雌噛み合いフィーチャへ接続するように構成された雄噛み合いフィーチャを含み得るが、雄/雌フィーチャは、他の様態で配置されてもよい。
【0137】
別の実施形態において、圧縮シールは、管3350をクッションアセンブリ3150へ接続させるために用いられる。例えば、弾性の可撓性(例えば、シリコーン)管3350を剛性コネクタ無しで用いる場合、管3350を若干圧縮して直径を低減させて、プレナムチャンバ3200中のポート中に押し込むことができるようにする必要があり得、シリコーンの固有の弾性により管3350を外方に押圧して、管3350をポート中に気密にシールする。管3350とポートとの間の係合が剛性対剛性型の係合である場合、周辺密閉フランジなどの圧力活性シールが用いられ得る。加圧ガスが管3350を通じて供給されると、密閉フランジは、管と、プレナムチャンバ3200のポートの内周面との間の接合に対して推進されて、両者間のシールを促進させる。ポートが柔軟であり、剛性コネクタが管3350へ提供されると、上記したような圧力活性シールは、接続が気密であることを確認するためにも用いられ得る。
【0138】
本技術のいくつかの形態において、同様の接続機構が、接続ポート3600を規定するかまたは接続ポート3600へ接続可能なT字型の上部材により管3350へ流体接続する際に用いられ得る。一実施形態において、接続ポート3600において接続されたスイベルエルボーは回転可能であるため、この回転により、管3350の挿入先であるポートのサイズを増減させるポートサイズ調節機構を駆動させ、圧縮力の増減を通じて管のフィットを向上させ、意図しない漏洩を低減させる。
【0139】
8.3.3.2 ヘッドギアストラップ
本技術の特定の形態において、位置決めおよび安定化構造3300は、少なくとも1つのヘッドギアストラップを含む。これらのヘッドギアストラップは、管3350に加えて、シール形成構造3100を患者の気道への入口に対して位置決めおよび安定配置するように機能する。
【0140】
8.3.3.2.1 ヘッドギアストラップの位置
一例において、例えば図3Aに示すように、位置決めおよび安定化構造3300は、後ヘッドギアストラップ3310を含む。後ストラップ3310は、患者頭部の各側部上に配置されかつ患者頭部の後方を通過する(例えば、使用時に患者頭部の後頭骨の後部を覆うかまたは被覆する)2本の管3350間に接続される。後ストラップ3310は、患者の耳の上方の各管へ接続する。他の実施形態において、例えば口鼻マスクの場合、位置決めおよび安定化構造3300は、1つ以上の下側ヘッドギアストラップをさらに含む。これらの下側ヘッドギアストラップは、管間を接続し、患者の耳の下側を通過し、患者頭部の後ろ側を通過する。
【0141】
本技術の一形態において、位置決めおよび安定化構造3300は、顎ストラップ3320を含む。顎ストラップ3320は、例えば図10Aおよび図10Bに示すように、使用時に患者の顎の下側に延びる。顎ストラップ3320は、ヘッドギア管3350へ接続してもよいし、あるいは、別の実施形態において、クッションアセンブリ3150またはクッションアセンブリへ動作可能に接続されたフレームアセンブリへ接続してもよい。
【0142】
本技術の特定の形態は、上記したように安定性増加のための複数のヘッドギアストラップを含み得る(例えば、後ストラップ、側部ヘッドギアストラップおよび顎ストラップ)。
【0143】
本技術の特定の形態において、位置決めおよび安定化構造3300は、ヘッドギアストラップをシール形成構造3100へ接続させるための機構を含む。ヘッドギアストラップは、シール形成構造3100へ直接的または間接的に接続され得る。図3Aに示す患者インターフェース3000の場合、例えば後方ストラップ3310へ接続するように構成されたタブ3345は、各ヘッドギア管3350から外方に概して後方方向に突出する。これらのタブ3345は、後ストラップ3310の端部を受容するための穴部を内部に有する。
【0144】
本技術のいくつかの形態において、後ストラップ3310は調節可能である。例えば、図3Cに示す患者インターフェースの場合、後ストラップ3310は、使用時に各タブ3345中の穴部を通じてねじ込まれる。タブ3345間の後ストラップ3310の長さは、より多数またはより少数の後ストラップ3310をタブ3345の片方または双方を通じて引くことにより、調節され得る。後ストラップ3310を例えばフックアンドループ締結手段を用いてタブ3345中の穴部を通過させることにより、後ストラップ3310を自身へ固定することができる。そのため、後ストラップ3310は、異なる頭部サイズにフィットするように調節することができる。本技術のいくつかの形態において、後ストラップ3310のヘッドギア管3350または患者頭部に相対する角度は、異なる位置における患者頭部周囲にフィットするように調節することができる。このような調節可能性により、ヘッドギア3300が異なる頭部形状およびサイズに対応することが支援される。
【0145】
本技術のいくつかの形態において、後ストラップ3345は、タブ3345の位置においてヘッドギア管3350を少なくとも部分的に後方(例えば、後方)方向に牽引するための力をヘッドギア管3350へ付与する。後ストラップ3310は、ヘッドギア管3350を少なくとも部分的に内方(例えば、後方)方向に牽引するための力もヘッドギア管3350へ付与し得る。この力の大きさは、タブ3345間の後ストラップ3310の長さを変更することにより、調節され得る。
【0146】
図3Cに示す形態などの本技術のいくつかの形態において、後ストラップ3310からヘッドギア管3350へ付加される力の方向を変更してもよい。この方向は、後ストラップ3310のヘッドギア管3350または患者頭部に相対する角度を調節することにより変更してもよい。本技術のいくつかの形態において、後ストラップ3310からヘッドギア管3350へ力が付与される位置は、後ストラップ3310がヘッドギア管3350へ固定される位置を調節することにより、変更され得る。
【0147】
後ストラップ3310からヘッドギア管3350へ付加される力の大きさおよび方向を調節することが可能であると、ヘッドギア3300が一定範囲の頭部サイズおよび頭部形状に対応することが可能になるため、有利であり得る。後ストラップ3310により、ヘッドギア管3350中の力のバランスが保持され得、これにより、快適性を保持しつつ、ヘッドギアが自身の形状を維持することおよび患者の顔に対する有効シールを得ることが支援され得る。
【0148】
本技術のいくつかの形態において、患者による装着時において、タブ3345の近隣のヘッドギア管3350上の点は、ヘッドギアが患者頭部へ固定された状態を保持する機能を持つ(以下にさらに詳述する)付勢機構に起因して、概して上方の(例えば、上方)力をヘッドギア管3350の上部から受容する。さらに、タブ3345の近隣のヘッドギア管3350上の点は、シール形成構造3150を上方に推進させて患者の鼻内へと移動させる機能を持つ付勢機構から発生した概して前方の(例えば、前方)かつ下方(例えば、下方)の力を受容し得る。確実なフィットおよび有効なシールに必要な力の方向および大きさは、例えば頭部形状およびサイズの差に起因して異なり得る頭部上の位置決めおよび安定化構造3300の位置に基づいて、患者間において異なり得る。本技術のいくつかの形態において、後ストラップ3310が調節可能であるため、有効なソールを維持しつつヘッドギア3300を快適な位置に保持するように、一定範囲の頭部形状およびサイズに対して力のバランスをとることが可能になる。
【0149】
例えば、前方(例えば、前方)方向においてヘッドギア管3350のうちタブ3345の近隣の部位上にかかる大きな力のバランスをとるために、タブ3345中のスロットを通じてより多数の後ストラップ3310を牽引することにより後ストラップ3310を調節することができ、これにより後ストラップ3310の長さを短くすることができ、後ストラップ3310が弾性である場合、ヘッドギア管3350に対して後方(例えば、後方)方向により大きな力が付加される。同様に、一定範囲の頭部形状およびサイズに対してヘッドギア管3350のうちタブ3345の近隣の部位上に作用する力の垂直成分および水平成分双方のバランスをとるために、後ストラップ3310の角度を必要に応じて調節することができる。
【0150】
8.3.3.2.2 ヘッドギアストラップの形態
一実施例において、位置決めおよび安定化構造3300は、矩形断面を有する少なくとも1つのストラップ3310を含む。一実施例において、位置決めおよび安定化構造3300は、少なくとも1つの平坦ストラップを含む。別の例において、位置決めおよび安定化構造3300は、少なくとも1つのストラップ3310を含む。これらのストラップ3310のプロファイルには、快適性向上と、ヘッドギアストラップによる患者の跡または炎症の危険性の低減とのために、1つ以上の曲線状縁部が含まれている。
【0151】
本技術の一形態において、位置決めおよび安定化構造3300は、布地患者接触層、発泡材料内側層および布地外側層の積層物から構成されたストラップ3310を含む。一形態において、発泡材料は、湿気(例えば、汗)がストラップ3310を通過できるような多孔性である。一形態において、布地外側層は、フック材料部分と係合するループ材料を含む。フック材料部分は、ストラップ3310の遠位部に配置してもよい。
【0152】
本技術の特定の形態において、位置決めおよび安定化構造3300は、伸張可能である(例えば、弾力性と共に伸張可能である)ストラップ3310を含む。例えば、ストラップ3310は、使用時にはピンと張った状態にされて、シール形成構造3100を患者の顔の一部と密着させる力を方向付けるように、構成され得る。一実施例において、ストラップは、タイとして構成され得る。本技術の他の形態において、位置決めおよび安定化構造3300は、ストラップの長さを変更するように調節することが可能なストラップ3310を含む。例えば、ストラップ調節機構(例えば、フックアンドループ締結具)により、ストラップ3310を管3350へ接続することができる。調節可能なストラップ3310により、患者インターフェース3000の他の調節フィーチャへさらなる調節可能性を付与することができ、患者の快適性およびフィット性が向上する。本技術のいくつかの形態において、位置決めおよび安定化構造の他の部分から提供される調節可能レベルとは、患者インターフェース3000はストラップ3310無しでも充分に調節可能であることを意味する。
【0153】
本技術の特定の形態において、位置決めおよび安定化構造3300は、屈曲可能であり例えば非剛性であるストラップ3310を含む。本態様の利点として、患者が睡眠時に体を横たえたときにストラップ3310がより快適になっている点がある。
【0154】
本技術の特定の形態において、位置決めおよび安定化構造3300は、スプリットによって分離された2つ以上のストラップバンドを含むストラップ3310を含む。患者インターフェース設計によっては、分割ストラップ3310により、患者インターフェース3000が特に安定した様態で患者頭部上にアンカー固定され得る。
【0155】
本技術の特定の形態において、位置決めおよび安定化構造3300は、特定のサイズの頭部および/または形状の顔に対応するように構成された保持力を提供する。例えば、位置決めおよび安定化構造3300の一形態により、小さなサイズの頭部ではなく、大きなサイズの頭部に適した保持力が提供される。別の実施例において、位置決めおよび安定化構造3300の一形態により、大きなサイズの頭部ではなく、小さなサイズの頭部に適した保持力が提供される。
【0156】
8.3.3.3 ヘッドギアチュービング調節機構
本技術の特定の形態において、位置決めおよび安定化構造3300は、調節機構3360を含む。調節機構3360は、位置決めおよび安定化構造3300を寸法調節することが可能なように、構成される。少なくとも1つの実施形態において、調節機構3360は、特に接続ポート3600とシール形成構造3100との間の位置決めおよび安定化構造3300の長さ調節(例えば、タイ(例えばヘッドギアチュービング3350)の長さ調節)を可能にし得る。追加的にまたは代替的に、調節機構3360は、位置決めおよび安定化構造3300を屈曲可能に調節できるように構成される(例えば、ヘッドギアチュービング3350の屈曲)。調節機構3360により、患者インターフェース3000の患者頭部に対するフィット感を向上させるように患者インターフェース3000を調節することが可能になり、これにより、患者インターフェース3000を異なるサイズの頭部にフィットさせることが可能になる。患者にフィットする患者インターフェースは、装着も快適にできるため、安定性も高まり得、シール破損の可能性が低減し、快適なレベルのヘッドギア張力により、患者の気道の入口への密閉構造が維持される。これらの要素により、治療への患者コンプライアンスが向上し、治療結果も向上する。調節機構は、調節のための複数の機構を含み得ることが理解される。例えば、以下に述べる調節機構の組み合わせは、本技術のいくつかの形態においてヘッドギアへ設けられ得る。
【0157】
例えば、調節機構3360により、患者インターフェース3000のサイズおよび/または形状の調節が可能になり得る。本技術の一形態において、接続ポート3600とシール形成構造3100との間の管3350の長さが調節され得る。
【0158】
本技術のいくつかの形態において、調節機構3360により、患者インターフェース3000が広範囲の患者にフィットするように患者インターフェース3000のサイズを100mmまで調節することが可能になり得る。例えば、調節機構3360により、管3350の合計長さを100mmまで調節することができ得る。本技術の一形態において、管3350の合計長さを80mmまで調節することができる。例えば、使用時に患者の顔の各側に配置される管3350の長さを40mmまで調節することができ得る。
【0159】
患者インターフェース3000は、プレナムチャンバ3200内の陽圧ガスから付与される力に対向してクッションアセンブリ3150と患者の顔との密閉関係を保持するように位置決めおよび安定化構造3300が患者の顔上へ力を付与した場合、その力は、おおよそ一定であるかまたは患者インターフェース3000が対応することが可能な一定範囲のサイズにわたって所定の制限内であるような構成および構築され得る。このことについて、以下により詳細に説明する。
【0160】
調節機構3360の異なる形態について、以下に説明する。いくつかの形態において、調節機構3360は、ヘッドギアチュービング3350の部分として含まれ、他の形態において、調節機構3360は、ヘッドギアチュービング3350から離隔位置にある。本技術の特定の形態は、以下に述べるような複数の調節機構3360を含み得る。
【0161】
本技術のいくつかの形態において、調節機構3360は、患者インターフェース3000が患者に快適性および治療有効性をもたらすようにフィットさせることができる(すなわち、患者または他の人により調節される)ように、手動で調節されるように構成される。他の形態において、調節機構3360は、患者にフィットするように自動的に調節されるように、構成される。自動調節機構を用いた場合、患者に対して患者インターフェース3000が不正確または不快にフィットする可能性が低下するため、有利であり得る。一方、患者によっては、患者インターフェースのフィット感を自分で変更することができることを好む場合もある。
【0162】
本技術のいくつかの形態において、患者インターフェース3000は、シール形成構造3100の異なる形態を交換可能に位置決めおよび安定化構造3300と接続することができるように、構成される。シール形成構造3100の異なる形態は、異なるサイズおよび重量のシール形成構造を含み得る。例えば、口鼻クッションは、鼻クッションよりも高重量であり得る。本技術のこのような形態において、手動調節機構を用いた場合、使用されているシール形成構造の種類に適合するように機構を初期設定できるという利点が得られ得る。例えば、比較的高重量のシール形成構造により位置決めおよび安定化構造3100が下方方向が牽引される傾向を弱めるために比較的高重量のシール形成構造が用いられる場合、よりきつめのフィット感が得られるように手動調節機構を設定すればよい。同様の考慮事項が、患者の口腔の動き(例えば、大口を開ける動き)に晒されるシール形成構造に当てはまり得る。
【0163】
8.3.3.3.1 折り畳み/蛇腹ヘッドギア管
本技術の特定の形態において、調節機構3360は、1つ以上の折り畳み部位、プリーツ、波型模様またはベローズを有する管3350を含む。すなわち、折り畳み部位プリーツ、波型模様またはベローズは、調節機構3360を含む。各折り畳み部位が先ず第1の折り畳み構成になると、各管3350の長さは、折り畳み部位が第2の折り畳まれていない構成になった際の長さと異なる。
【0164】
図3Aに示す患者インターフェース3000は、蛇腹管部3362を含む管3350を含む。蛇腹管部3362は、蛇腹無しの管3350の長さ間に設けられる。蛇腹管部3362は、複数の襞またはベローズを含む。これらの襞またはベローズは、個別に折り畳むかまたは展開することができるしあるいは協働して蛇腹管部3362およびよって各管3350を短尺化または長尺化させることもできる。蛇腹管部3362中の襞は、管3350の異なる側部上の度を変更することにより、拡張(伸長)または収縮させることができる。例えば、患者頭部に最も近接する管3350の側部上の蛇腹襞を患者頭部から最も離隔位置にある蛇腹襞よりも高程度に収縮させると、管3350の湾曲が増す。その結果、管3350の形状および長さを変化させることが可能になり、これにおり、患者インターフェースを患者特有の頭部サイズおよび頭部形状にフィットするように調節することも支援される。
【0165】
本技術の特定の形態において、蛇腹管部3362により、患者インターフェース3000の管3350の長さを一定範囲の異なる長さを通じて連続的に調節することが可能になる。いくつかの実施形態において、各蛇腹管部の長さは、連続的に調節可能であり得る。連続的調節を提供する蛇腹部分などの調節機構は、広範囲の頭部サイズに快適にフィットし得る。これと対照的に、個別長さ間の調節を提供する調節機構の場合、最適なフィット感を得るためには個別長さ選択肢のうち2つの選択肢間にある長さを必要とする患者に対しては、快適なフィット感が低下し得る。
【0166】
本技術のいくつかの形態において、管3350を複数の蛇腹管部3362を所定の位置に含む。これらの蛇腹管部3362はそれぞれ、蛇腹無しの管3350の長さによって分離される。
【0167】
本技術のいくつかの形態において、蛇腹管部3350は、管3350の比較的直線状の部位内に設けられる。これにより、加圧ガスが管3350を通過した際に蛇腹部分3350が直線化する傾向が回避される。蛇腹部分3350が直線化した場合、患者頭部上の患者インターフェースの位置が変化し得、シール安定性および/またはフローインピーダンスに悪影響を及ぼし得る。
【0168】
図3Bに示す本技術の形態において、患者インターフェース3000は、蛇腹管部3362を含む管3350を含む。蛇腹管部3362は、図3Aに示す蛇腹管部3362よりも長尺である。図3Bに示す本技術の形態において、蛇腹管部3362は、ヘッドギアストラップ3310が管3350へ接続する地点と、管3350の上端が接続ポート3600へ接続する地点との間において、各管3350の長さの大部分にわたって延びる。例えば、蛇腹管部3362は、ヘッドギアストラップ3310が管3350へ接続される点の真上に下端を持ち得、管3350が接続ポート3600へ接続される点に上端を持ち得る。より長尺の蛇腹管部にすると、管3350の伸展性も増し得る。あるいは、蛇腹管部3362中の蛇腹襞数を増加することによって伸展性を高めてもよい。伸展性が増した場合、この範囲の頭部サイズにわたって良好なシールが確保されるように所望のレベルの保持力を患者の顔に付与しつつ、患者インターフェース3000において多数の患者を広範囲の頭部サイズにフィットさせることができるため、有利であり得る。
【0169】
図3C図3Dおよび図3Eに示す本技術の形態において、患者インターフェース3000は、図3Bに示す患者インターフェース3000と同様である。1つの違いとして、蛇腹管部3362の構成である。図3C図3Dおよび図3Eに示す本技術の形態において、蛇腹管部3362の幅および直径は、各蛇腹管部3362の長さに沿って異なる。より詳細には、蛇腹管部3362は、各蛇腹管部3362の一端における管の幅および直径が各蛇腹管部3362の他端における管の幅および直径よりも小さくなるように、テーパー状に形成される。さらにより詳細に、(蛇腹管部3362が接続ポート3600へ接続される)各蛇腹管部3362の上端の幅および直径は、(蛇腹管部3362が蛇腹無しに管3350の一部へ接続される)各蛇腹管部3362の下端の幅および直径よりも大きく、蛇腹管部3362の幅および直径は、上端と下端との間において徐々に増加し、概して直線状である。蛇腹管部3362のテーパー状形状を図3Fにも示す。図3Fは、図3C図3Dおよび図3Eおよび図3Gの患者インターフェース3000の平面図である。図3Gは、線3G~3Gに沿った断面中の図3Fの患者インターフェース3000を示す。蛇腹管部3362をテーパー状形状にすることにより、空気経路の断面プロファイルの不連続性を低減するような様態で接続ポート3600が管3350の蛇腹を含まない下側長さへ流体接続されるため、インピーダンス増大を低減しかつ管3350に沿った流体流れを促進させるような円滑な移行が可能になる。
【0170】
調節機構3360のための蛇腹管部3362の1つの利点として、他の調節機構と比較して、蛇腹管部は、長手方向においてより容易に曲線状になるかまたは屈曲および伸展することができる点がある。図3Jは、参照符号の末尾に「a」、「b」および「c」が付与された患者頭部上の3つの異なる位置においてヘッドギア3300が装着されている様子を示す。図3Jに示すように、蛇腹管部3362a、3362bおよび3362cは、異なるレベルまで曲線状にされており、蛇腹管部3362aは、患者頭部上において前方に曲線状にされ、蛇腹管部3362bは、後方/前方方向において湾曲が小さくなっており、蛇腹管部3362cは、患者頭部上において実質的に湾曲が無い状態である。
【0171】
本技術のいくつかの形態において、蛇腹管部3362は、ヘッドギア管3350の前方および後方(例えば、前方および後方)側上において異なる量で伸展することができる。すなわち、蛇腹管部3362を形成する壁部は、管の片側において比較的より収縮し(例えば、より多く折り畳まれ)得、管の他方側において比較的より大きく伸展し(例えば、より少なく折り畳まれ)得、これにより、管中の屈曲または曲線形状が促進される。この効果を図3Lに示す。図示のように、蛇腹管部3362の壁部は、蛇腹管部3362aの場合(すなわち、ヘッドギアが冠状面の前方の患者頭部上に装着された場合)において、後方よりも前方においてより小さく伸展(例えば、より大きく座屈)する。蛇腹管部3362は前方方向において曲線状になることが可能であるため、(ヘッドギア管が剛性である場合のように)クッションアセンブリ3150を前方に回転させて患者の顔との密閉接触から外す必要無く、ヘッドギア3300が前方位置において装着可能であることが支援される。ヘッドギア管3350が前方方向または後方方向において曲線状になることが可能であるため、接続ポート3600をクッションアセンブリ3150から接続解除することが支援される。蛇腹管部3362cの前側と後側との間の蛇腹管部3362cの伸展量の差(すなわち、ヘッドギア3300が患者頭部上の後方位置に装着されている場合)は、蛇腹管部3362aの前側と後側との間の蛇腹管部3362aの伸展量の差(すなわち、ヘッドギア3300が患者頭部上の前方位置に装着されている場合)よりも小さい。このような蛇腹により、ヘッドギア管3350が後方に装着された場合の直線状(または曲線状)になる度合いを小さくすることができる。
【0172】
一形態において、患者インターフェース3000の各側の蛇腹管部3362は、完全拡張構成においては、完全収縮構成のときよりもおよそ40mmだけ長尺になる。
【0173】
本技術の他の形態において、蛇腹管部3362は、管3350の長さの異なる部位において配置され得る。蛇腹管部3362が患者頭部の上部および/または上側(すなわち、患者頭部の耳基底上点の上方の患者頭部の領域)と接触するように蛇腹管部3362が管3350の長さに沿った位置に配置される、図3Aおよび図3Bに示す患者インターフェース3000の1つの利点として、蛇腹管部3362が患者の頬領域と接触しない点がある。その結果、使用時に蛇腹管部が患者の頬領域と接触した場合に発生し得る不快感が回避される。
【0174】
蛇腹管部3362は、特に大きく伸長している場合に座屈し易い。そのため、蛇腹管部3362に起因して管3350が詰まる結果、患者への呼吸可能なガスの送達が制限されるかまたは回避される危険性が生じる。本技術のいくつかの形態において、患者インターフェース3000は、蛇腹管部3362の座屈を回避するかまたは少なくとも特性するように構成された1つ以上の構造を含む。一実施形態において、患者インターフェース3000は、1つ以上の高剛性リングまたは半剛性リングを含む。これらのリングは、蛇腹管部3362へ設けられ、管3350の周囲に円周方向に配置される。例えば、これらのリングは、蛇腹管部3362の内側に配置してもよいし、あるいは、蛇腹管部3362と共にモールド(例えばコモールドまたはオーバーモールド)してもよい。別の実施形態において、座屈抑制のための螺旋要素が、蛇腹管部3362に沿って設けられる。このような実施形態において、テープとして知られる各螺旋巻きのピッチ間の材料部分により、管へ弾性が付与され得る。テープは、弾性材料によって形成してもよいし、あるいは、管へ収縮のための充分な張力を付与できるくらいの適切なレベルの弾性が得られるような構造にしてもよい。他の実施形態において、蛇腹管部3362と共に形成される蛇腹管サブ部分は、より肉厚であるか、または、座屈抑制のために他の蛇腹管サブ部分よりもより高合成の材料によって構成される。
【0175】
本技術の別の形態において、患者インターフェースは、管3350を含む調節機構3360を含む。管3350は、管3350の隣接する部分を長手方向に折り畳むための1つ以上の円周方向折り目を有する。円周方向の折り目が折り畳み構成にある場合、管の長さが、管の隣接長さを覆う。管の形成元となる材料の剛性は、(例えば、患者インターフェースの典型的な使用時において管に付与される力よりも大きな)実質的な力によって引き離されない限り管が折り畳み構成に留まる傾向となるように、構成され得る。あるいは、患者インターフェースは、管を折り畳み構成に維持する手段(例えば、クリップ)を含み得る。別の実施形態において、管を折り畳み構成に維持するために管が折り畳まれた際、重ね合わされた折り畳み部位間を(磁石が引き離されない限り)アライメントさせる磁石が管中に埋設される。
【0176】
図5に示す患者インターフェース3000は、折り畳み部3364を含む調節機構3360を含む。折り畳み部3364は、第1の管壁部位3366を含む。第1の管壁部位3366は、隣接する管部上に回転することにより、隣接する管部3368上に異なるレベルで折り畳むことができる。図5Aおよび図5Bは、図5に示す患者インターフェース3000の折り畳み部3364の断面図である。図5Aにおいて、回転折り畳み部3366は、図5B中において折り畳まれたレベルよりも高レベルで隣接管部3368上へ折り畳まれるため、折り畳み部3364が図5Bに示す構成にある際の管3350の長さは、折り畳み部3364が図5Aに示す構成にある際の管3350の長さよりも長くなる。図5Aおよび図5Bから分かることとして、折り畳み部3364の位置において、管3350の3つの層が相互に重複するが、重複した管部の長さは、図5Aの構成と図5Bの構成との間で異なる。回転折り畳み部3366は、管3350の他の部分よりも肉薄の管壁の局所的部分を含み得る。
【0177】
患者インターフェース3000の位置決めおよび安定化構造3300の折り畳み調節機構3360の別の形態を図6に示す。本技術の本実施形態において、管3350は、接続ポート3600から管端部3352へ伸展する。管端部3352は、患者インターフェース3000のクッションアセンブリ3150へ接続するように構成される。管3350は、自身の長さに沿って概して波状の形状を持ち、少なくとも1つの曲線状部位(例えば、曲線状部位3353A、3353B)を含む。管3350は、各管がより小さなまたはより大きな頭部それぞれにフィットすることができるようにするために曲線状部位が湾曲を増加させるかまたは湾曲を低減させるくらいの充分な可撓性を持つ材料によって形成される。例えば、これらの管は、ショア硬度計上の硬度が40デュロメータであるメタシリコンによって形成され得る。
【0178】
図6に示す本技術の形態において、患者頭部の片側上の管3350は、上端において接続ポート3600から離隔方向の概して前方-後方方向においてかつヘッドギアストラップ3310が管3350へ取り付けられる点の近隣の患者頭部側における概して下方方向において伸展して、上側曲線状部位3353Aの位置縁部が患者頭部の上側部をほぼ覆い、後方側の曲線状部位の前方側および内部上の曲線状部位の外側部の外部が設けられる。ヘッドギアストラップ3310が管3350へ取り付けられる点の下側に、管3350は、概して下側方向に伸展し、前方方向に若干前方の曲線状になる。下側曲線状部位3353Bは、使用時に患者の頬領域の概して上方に配置される。管3350の下端は、前方方向において概して水平に患者の頬上を伸展して、クッションアセンブリ3150へ接続する管端部3352へ延びる。管3350の下端は、若干下方に方向付けられ得る(すなわち、いくつかの患者によって装着された場合に若干下方方向に伸展する)。患者の頬領域上に概して配置された下側曲線状部位3353Bは、曲線状部位の外部を後側に有し、曲線状部位の内部を前側に有する。
【0179】
図6中の管3350の下部は、使用時に管3350が患者の眼から離隔方向に概して配置されるように構築および構成され、これにより、管3350が患者の視野に入らないかまたは入ったとしても少なくとも最小限になるようになる。これは、下側曲線状部位3353Bの頂点または最大湾曲点が使用時に患者の頬領域の後方領域上に配置されるように管3350の下部を構築することにより、達成され得る。
【0180】
図6中図示していないが、患者の顔の左側に配置された管3350は、患者の顔の右側上において管3350に対して対照的に構築される。他の形態において、管3350は、患者の顔の各側上の異なる構造を持ち得る。
【0181】
8.3.3.3.2 テレスコピック型ヘッドギア管
本技術の特定の形態において、調節機構3360は、第1の管部3370を有する管3350を含む。第1の管部3370は、第2の管部3372に相対してテレスコピック的に移動可能である。
【0182】
図7Aに示す患者インターフェース3000は、第1の管部3370および第2の管部3372を含む調節機構3360を含む。第1の管部3370および第2の管部3372は、相互にテレスコピック的にスライドする。図7Aの実施形態において、第1の管部3370は接続ポート3600へ接続されるため、患者インターフェースが装着されたときにおいて第1の管部よりも患者頭部上において高い位置に配置される。第2の管部3372は、第1の管部3370よりも小さな直径を有する(すなわち、内側にフィット)し、患者インターフェースが装着された際に患者頭部上の下側に配置された管3350の一部へ固定的に接続される。第1の管部3370は、第1の管部3370と第2の管部3372との間のテレスコピック的動きを通じて第2の管部3372を被覆するものとして、記述され得る。
【0183】
本技術の特定の形態において、患者インターフェースは、管固定機構を含む。管固定機構は、第1の管部3370および第2の管部3372を複数の別個の位置に相互に固定する。例えば、図7Aに示す本技術の形態において、第2の管部3372は、外面上の複数の隆起リブ3374を含み、第1の管部3370は、1つ以上の突起または戻り止め(図示せず)を含む。これらの突起または戻り止めは、リブ3374と連動して第1の管部3370および第2の管部3372を複数の相対的長手方向位置において保持して、管3350の長さの調節を可能にする。本技術の他の形態において、これらの管部は、他の連動機構(例えば、1つ以上の突起または戻り止めと連動する1つ以上の溝部または穴部)を用いて複数の別個の位置へ固定され得る。これらの溝部は、第1の管部または第2の管部の表面上に設けられ得、第1の管部または第2の管部のうち他方の表面上には、使用時に溝部と連動するような位置に突起が設けられることが理解される。
【0184】
一形態において、図7Bの患者インターフェース3000は、第1の管部3370および第2の管部3372を含む。調節機構3360を含む。第1の管部3370および第2の管部3372は、相互にテレスコピック的にスライドする。第1の管部3370は、第2の管部3372の外面上にスライドし得る。第2の管部3372は、患者インターフェース3000が装着されたときに第1の管部3370よりも患者頭部の下側上に配置される(すなわち、第2の管部3372は、第1の管部3370の下流に設けられる)。患者インターフェース3000は、2つの類似するこのような調節機構3360を有し、これらの調節機構3360のうち1つは、使用時に患者頭部の各側に配置される。
【0185】
患者インターフェース3000は、上側管部材3351を含む。上側管部材3351は、使用時に患者頭部の上部上に配置される。患者頭部の各側上の第1の管部3370は、上側管部材3351の一部として一体形成される。接続ポート3600は上側管部材3351へ設けられ、例えば上側管部材3351は、その中心部位の上側中の開口部を有する。
【0186】
患者頭部の各側上の第1の管部3370は、第1のまたは上側のタブ3371を含み得、第2の管部3372は、第2のまたは下側のタブ3373を含み得る。第2のタブ3373は、第1のタブ3371へ押圧され得る。例えば、ユーザは、親指を第2のタブ3373上におき、人差し指を第1のタブ3371上におき、第2のタブ3373が第1のタブ3371へと移動するようにこれら2つのタブをつまみ得る。第2のタブ3373を第1のタブ3371へと移動させると、第1の管部3370および第2の管部3372がテレスコピック的にスライドして、ヘッドギア管3350が短尺化される。第2のタブ3373を第1のタブ3371から離隔方向に移動させると、第1の管部3370および第2の管部3372がテレスコピック的にスライドして、ヘッドギア管3350が長尺化される。
【0187】
第2のタブ3373を第1の管3370の周辺縁部へとスライドさせると、第2のタブ3373が周辺縁部と接触したときに管3350のさらなる短尺化を回避するための停止部として機能する。
【0188】
図7Bに示す患者インターフェース3000の第2の管部3372は、使用時に患者頭部の側部および患者の頬領域上に接触するように配置された管3350の長さと一体形成される。患者インターフェース3000を快適に装着できかつ一定範囲の患者頭部の形状に適合できるようにするために、(第2の管部3370が一体部分である)管3350の下部は、エラストマー材料(例えば、シリコーン)などの半剛性材料によっって形成され得る。これとは対照的に、上側管部材3351(およびその結果第1の管部3370)は、比較的剛性の材料から形成され得る。
【0189】
管部が比較的可撓性材料から形成された患者インターフェースを比較的剛性の材料から形成された管部へとテレスコピック的に移動させた1つのあり得る結果として、内側管部が外側管部へと押圧されると、比較的可撓性の材料から構成された管部が座屈し得る。その結果、管3350の長さの調節し易さに影響が発生し得る。図7Bに示す患者インターフェース3000は、この問題に対処するための硬質化部材3379を含む。硬質化部材3379は、使用時に第1の管部3370の内外から移動する第2の管部3372の部分の剛性を増加させる機能をする。図示の実施形態において、硬質化部材3379は、第2の管部3372それぞれの上側へ設けられた比較的剛性の材料の長さである。硬質化部材3379は、第2の管部3372の外側に取り付けてもよいし、あるいは、第2の管部3372の一部としてモールド(例えばコモールドまたはオーバーモールド)してもよい。本技術の特定の形態において、各硬質化部材3379は、各第2の管部3372上のタブ3373の上側上のタブ3373と一体形成され得る。
【0190】
図7Bの患者インターフェースは、患者インターフェース3000が装着されたときの快適性を向上させるために、上側管部材3351の患者と接触する側上にパッド付き部材3330を含む。1つ以上のパッド付き部材3330は、他に明記無き限り、本明細書中に記載の患者インターフェース3000の形態のうちいずれかの位置決めおよび安定化構造3300のいずれかの部分へ設けられ得る。例えば、パッド付き部材3330は、患者インターフェースの装着をより快適にするために、管3350の一部として設けられ得る。パッド付き部材3330は、例えばモールド(例えば、コモールドまたはオーバーモールド)または接着により、管3350の一部へ恒久的に取り付けられ得る。あるいは、パッド付き部材3330は、例えばフックアンドループ型締結材料または締結具を用いて管3350へ取り外し可能に取り付けられ得る。パッド付き部材3330は使用時に患者頭部と接触するため、汚損する場合がある。パッド付き部材3330を洗浄および/または交換のために取り外すことが可能であると、有利であり得る。
【0191】
本技術の別の形態を図7Cに示す。この形態において、患者インターフェース3000は、第2の管部3372を含む。第2の管部3372は、第1の管部3370の外面上にテレスコピック的にスライドする。すなわち、他の管部の内側にテレスコピック的にフィットする管部は、使用時に患者頭部上の他の管部よりも高い位置に配置される。
【0192】
図7Cの実施形態において、第1の管部3370は、比較的剛性である。第2の管部3372は、比較的剛性のリング部材3384をその上端に含む。リング部材3384は、第2の管部3372の上端内の開口部を包囲する。第2のタブ3373は、リング部材3384へ設けられ得る(例えば、リング部材3384と一体形成される)。第1の管部3370および第2の管部3372はどちらとも比較的剛性の材料によって形成されるため、座屈無しに相互にテレスコピック的に移動することができる。よって、図7Cに示す患者インターフェース3000は、管3350の同一長さの伸長を可能にしつつ、図7Bに関連して述べるような硬質化部材の必要性を回避し得る。
【0193】
管3350のテレスコピック調節の別の形態を図8に示す。本実施形態において、管3350の第2の管部3372は、テレスコピック的にラチェット機構3376と共に第1の管部3370に相対してスライドする。ラチェット機構により、例えばボタン3378の押圧によりラチェット機構が解放されない限り、テレスコピック的に移動可能な第1の管部および第2の管部が一方向または両方向相互に動く事態が回避または抑制される。ボタン3378はそれぞれ、ロック部材(図示せず)へ動作可能に接続される。このロック部材(図示せず)は、第ボタン3378が押圧されない限り、第2の管部3372上の溝部または突起(例えば、リブ3374)と連動する。
【0194】
ラチェット機構3376の別の形態が、図7Cに示す本技術の形態に示される。本形態において、ラチェット機構3376は、第2の管部3372の頭部接触側へ設けられたトング3397を含む。トング3397は、下端において第2の管部3372へ接続され、概して第2の管部3372の長さに沿って伸展する。トング3397は、自身の上端においてフリーであり、自身の上側において突起を有する。第1の管部3370は、自身の頭部接触側において複数の溝部3398を含む。トング3397の端部上の突起は、第1の管部3370および第2の管部3372を相対位置に保持するために、溝部3398それぞれと選択的に噛み合うように構成される。管3350は、概してD字型の断面を持ち得、「D」の字のうち平坦な部分が患者に接触する。ラチェット機構3376は、患者インターフェース3000の頭部接触側(例えば図7Cの場合のように)上に有利に配置され得る。なぜならば、トングおよび溝部ラチェット機構3376は、管3350の比較的平坦な領域上に設けられた場合、ラチェット機構内において噛み合った曲線状面が大きい場合よりもより大きな接触面積を提供するため、より有効であり得るからである。
【0195】
本技術の別の形態において、ボタン3378は、管3350の側上に配置されたタブを含む。これらのタブは、連動機構を解放させるように内方に締めつけられ、テレスコピック管部の相互移動を可能にする。これらのタブは、第2の管部3372を包囲する隙間または窓部を第1の管部3370に含み得、これにより、患者または臨床医は、第2の管部3372の一部を締めつけて、連動を解放させることができる。あるいは、隙間を1つ以上のオーバーモールドされたボタンによって被覆してもよい。これらのボタンを押圧すると、第2の管部3372が締めつけられて、連動を解放させることができる。隙間をオーバーモールドボタンによって被覆するかまたは調節機構3360中の隙間を無くすようにすると、快適性を損なうような患者の髪が調節機構3360中に絡まる可能性が低減する。1つの例示的な実施形態において、調節機構3360の構成は、第2の管部3372の上端におけるリング部材3384の側部が内方に押圧されると、第2の管部3372と第1の管部3370との間の連動フィーチャが解放され、管部間のテレスコピック動きが可能になるような構成である。例えば、リング部材3384は、シリコーンオーバーモールドの硬質プラスチックピンチボタンと、自身の内側上面上の1つ以上の突起とを含み得るため、第1の管部3370の上面上の溝部との連動が可能になり、これにより、リング部材3384が側部において内方に締めつけられると、突起および溝部が連動係合から押し出される。
【0196】
図8の患者インターフェースは、位置決めおよび安定化構造3300の患者と接触する側上にパッド付き部材3330を含むため、患者インターフェース3000の装着時における快適性が向上する。
【0197】
管3350のテレスコピック調節の別の形態を図9に示す。本実施形態において、管3350は、相互にスライドする複数の入れ子型の同心管部3375a、3375bおよび3375cを含む。各入れ子型の同心管部3375は、隣接する入れ子型の同心管部3375を各入れ子型の同心管部3375に相対してテレスコピック的に伸展または退避させることにより、全体的に露出させるかまたは全体的に被覆することができる。これらの入れ子型の同心管部は、全体的に伸展したかまたは収縮した位置において自身の位置を保持するように相互に(例えばスナップフィット機構を介して)連動する。いくつかの実施形態において、入れ子型の同心管部3375は、中間位置にて保持され得る(すなわち、全体的には伸展または退避していない)。
【0198】
図9に示す実施形態において、各入れ子型の同心管部は、管3350の長さを示す視覚インジケータ3377がマーク付けされる。管部が露出されたとき、例えば「S」は小3377a、「M」は中3377b、「L」は大3377cを示す。他の形態のインジケータを用いてもよい(例えば、数値インジケータまたは色付きインジケータ)。エンボスメントなどの物理的インジケータを用いてもよく、その場合、薄暗い照明の部屋において患者が眠るときに有利であり得る。入れ子型の同心管部3375a~3375cは、所定の順序で伸展または退避するように、構成され得る。
【0199】
本技術の他の形態は、他の様態で相互に結合された複数のテレスコピック管部から形成された管3350を含む。例えば、各管3350は、両側に2つの外側管部を備えた中心内側管部を含み得る。中心内側管部は、使用時にこれら2つの外側管部それぞれの内外においてテレスコピック的にスライドする。あるいは、中心管部は、2つの外側管部の外部に設けてもよい。
【0200】
他の形態のテレスコピック的に調節可能なヘッドギア管において、他のサイズインジケータの形態が設けられ得る。特定の形態において、これら2つの管部間のテレスコピック動き時において第2の管部3372を包囲する管3350の第1の管部3370は、窓部または隙間を含み得る。この窓部または隙間を通じて、このようにして設けられた管3350のサイズを示す第2の管部3372上の視覚インジケータ3377を視認することができる。
【0201】
ヘッドギア管3350のための別のテレスコピック調節機構3360を図10Aに示す。本実施形態において、歯またはピニオン3383を含む調節機構3360によりヘッドギア管3350の長さを調節することができる。歯またはピニオン3383が回転されると、管3350の隣接する第1の管部3370および第2の管部3372のリブ付きまたはラック型部位がテレスコピック的に移動し、これにより管3350の長さが変更される。第1の管部3370のクッションアセンブリ3150との接続は、一体的、恒久的または取り外し可能に行われ得る。図10Aに示す実施形態において、調節機構3360は、ヘッドギア管3350の下端に配置される。例えば、調節機構3360は、クッションアセンブリ3150に隣接して設けられ得る。図10Aに示す実施形態において、歯またはピニオン3383が回転すると、管3350の下端は、クッションアセンブリ3150に相対してテレスコピック的に移動する。
【0202】
本技術の別の形態において、調節機構3360は接続ポート3600へ配置され、スイベルエルボーが歯またはピニオンへ設けられて、エルボーが回転すると、ヘッドギア管部が相互に相対的に移動するかまたはT字型の接続ポート部材に対して移動する。所望の配置構成が達成される場合、エルボーの回転を回避または制限するためのロックが設けられ得る。
【0203】
第1の管部および第2の管部の別個の数の相対的位置がテレスコピック調節機構によって提供される場合、より多数の位置により、より多数の調節位置が可能になり、患者へのフィット感向上が促進されることが理解される。いくつかの実施形態において、3個、4個、5個、6個またはそれ以上の調節位置が設けられる。
【0204】
本技術の特定の形態において、テレスコピック管部は、相対的に移動しかつ連続的様態で調節されるように構成される(すなわち、管部の相対的位置は、別個の位置に制限されない)。その結果、管3350の長さをより大きくカスタマイズすることが可能になる。
【0205】
連続的に調節可能な長さを有する管3350の一例を図10Bに示す。図10Bにおいて、管部3372は、第1のねじ式部位3382を第1の管部3370上に含む。第1のねじ式部位3382は、第2の管部3372上の第2のねじ式部位3380とねじ係合される。ねじ式部位のうち1つを他方に対して回転させると、回転動きを関連付けられた管部の相対的な長手方向動きを変換することにより、管3350の長さが調節される。ねじ式部位のうち片方または双方は、その各管部の他方の部分への回転係合へ接続され、これにより、ねじ式部位が回転しても、管3350の残り部分は回転しない。包囲されたかまたはより小さな直径の第1のねじ式部位3372が、管3350の下端上に設けられ得る(すなわち、(図10Bに示すように)クッションアセンブリ3150へまたは管3350の上端へ接続された管3350の部分(すなわち、管3350のうち接続ポート3600へ接続された部分))。支台またはねじ制限部材(図示せず)が、ねじ式部分が使用時にねじが外されて取り外される事態を回避するために、ねじ式部分のうち1つの一端へ設けられ得る。
【0206】
本技術の一形態において、ねじ機構がより粗い調節機構に加えて微調節機構として設けられるが、この微調節機構は、例えば本明細書中に記載のその他の調節機構のうちいずれかであり得る。一般的に、本明細書中に記載される調節機構のうちいずれかは、第2の調節機構よりもより微細な調節が可能な第1の調節機構との組み合わせにおいて用いられ得る。
【0207】
本技術の別の実施形態において、管3350のテレスコピックスライド部分は、片方または両方のスライド部分のスライド面上のリブを通じて摩擦接触において保持される。あるいは、1つ以上のOリングをテレスコピック的にスライドする管部間に設けてもよい。これらのリブまたはOリングは、患者インターフェースの通常使用時において管部を所望の位置に保持するための充分な摩擦力と共に管部を保持するが、充分な長手方向調節力の適用時にその相対的位置を調節することが可能になる。
【0208】
本技術の別の形態において、テレスコピック管部は、他の固定機構を用いて所定位置に固定され得る。一例において、ストラップの長さは、ストラップへ設けられたフックアンドループ締結具材料の一部と共に、テレスコピック管部のうちの1つへ取り付けられる。このストラップは、その他のテレスコピック管部へ設けられた(所望の位置における部分を固定するための)フックアンドループ締結具材料の相補的部位へ固定され得、これにより、管3350の長さの調節が可能になる。
【0209】
1つ以上の管部が他の管部に対してテレスコピック的に移動可能である本技術の上記の実施形態において、これらの管部は、実質的に密閉された様態でテレスコピック的に係合されるため、患者インターフェースからの呼吸可能なガスの漏洩量が低下することが理解される。これが達成される様態は、テレスコピック係合の性質に応じて異なるが、1つ以上のOリングまたは他のシーリング部材が典型的には設けられ得る。
【0210】
図7Bに示す患者インターフェース3000の場合、例えば、Oリングが第1の管部3370の下端の内面上へ設けられる。例えば、Oリングは、第1の管部3370の下端の内面上のスロット中に設けられ得る。Oリングは、第2の管部3372の上端の外面と密閉接触する。本技術の他の形態において、Oリングは、第2の管部3372の上端の外面上へ設けられ得る。一例において、Oリングは、硬質化部材3379へ設けてもよいし、あるいは硬質化部材3379と一体形成してもよい。
【0211】
テレスコピック的に移動する第1の管部と第2の管部との間の密閉接触の構成および構造は、シールの品質と、第1の管部および第2の管部の調節のし易さとの間のバランスを達成するように、適切な摩擦レベルが得られるように選択され得る。本技術のいくつかの形態において(例えば図7Bに示す患者インターフェース3000)、第1の管部3370と第2の管部3372との間の最小の保持力はおよそ10Nであり得、最大保持力はおよそ20Nであり得ることが分かっている。保持力が所定の最小量未満である場合、例えば患者によって揺すられた場合または患者の屈曲によりあるいは管3350を陽圧ガスが流れた結果、第1のおよび第2の管部が余りにも離隔方向に移動しやすすぎる場合があり得、管3350の長さが患者インターフェース3000の通常使用時に偶発的に調節される場合がある。保持力が所定の最大量を超えた場合、患者が第1の管部および第2の管部を移動させて管3350の長さを調節することが過度に困難になる場合がある。
【0212】
本技術の別の形態において、第1の管3370または第2の管部3372の内側または外面は、1つ以上の移動可能なフラップシール、リップシールまたは圧縮性ガスケットシールを含み得る。別の形態において、干渉と呼吸圧力治療とが干渉しないように、第1の管部3370と第2の管部3372との間の漏洩が制御され得る。一形態において、制御された漏洩は、さらなる洗い流し通気部として機能し得る。
【0213】
1つ以上の管部が他の管部に相対してテレスコピック的に移動可能である本技術の上記形態において、患者インターフェース3000は、第1の管部3370および第2の管部3372が離隔する事態を回避するための1つ以上の端止めを含み得る。一形態において、内側管部はフランジを自身の端に含み、外側管部は、管部の最大伸長においてフランジと隣接する内面上に端止めを含む。
【0214】
スイベルエルボーについて述べてきたが、管引き摺り力の結合解除を増大させるために6度の自由度を可能にする球窩エルボーを代わりに用いてもよい。
【0215】
8.3.3.3.3 モジュール式管部
図11に示す患者インターフェース3000において、調節機構3360は、交換可能な管部3385の形態をとる。交換可能な管部3385は、患者インターフェース3000から取り外すことが可能であり、第1の管部またはモジュール3385に対して異なる長さを有する交換用管部3386と交換することができる。交換可能なおよび交換用管部3385および3386は、管モジュールとして記述され得る。
【0216】
図11の例において、交換可能な管部3385は、T字型管部材を含む。このT字型管部材は、使用時に交換可能な管部3385が管3350および空気回路4170それぞれへ流体接続するように、3つのポートを有する。例えば、交換可能な管部3385の上側の中心ポートは、接続ポート3600へ接続するかまたは接続ポート3600を含むように、構成される。例えば、交換可能な管部3385は、使用時において患者頭部上に配置され得る。
【0217】
管部3385は、患者インターフェース3000のその他の部分から分離することができ、交換用管部3386aおよび3386bと交換することができる。交換用管部3386aおよび3386bが有する管部は、交換可能な管部3385に対する量を異ならせることにより、接続ポート3600から外方に伸展する。任意の数の交換用管部が設けられ得るが、図11の実施形態において、患者インターフェース3000は、「小型」、「中型」および「大型」の交換可能な部位を含む。
【0218】
図12に示す本技術の形態において、患者インターフェース3000は、1つ以上の管挿入部材3387aおよび3387bを含む。これらの管挿入部材3387aおよび3387bは、管の長さを変化させるように管3350へ選択的に流体接続されるように、構成される。例えば、管挿入部材3387aおよび3387bは、管3350の有効長さを変化させるように管3350とクッションアセンブリ3150との間において流体接続されるように、構成される。別の実施形態において、管挿入部材は、例えば管3350と接続ポート3600との間の管3350の上端において、患者インターフェースの他の部分へ接続され得る。各管挿入部材3387は、サイズ表示でマーク付けされ得る(例えば、「M」は「中」を表し、「L」は「大」を表す)。1つのサイズの患者インターフェースを、管挿入部材を挿入せずに達成することができる。
【0219】
8.3.3.3.4 切断可能な管
本技術の別の実施形態において、管3350は、所望の長さに切断され得る。患者または臨床医が管3350のうちどこを切断するかを決定することを支援するために、これらの管は、患者インターフェースを異なるサイズの頭部にフィットさせるために管のうちどこを切断すべきかを示すインジケータを1つ以上含み得る。例えば、切断すべき場所を示す線または打抜き穴を管3350の直径周囲に設ければよい。各線または打抜き穴に対し、例えば「小」、「中」または「大」のサイズのマークが付与され得る。管3350上の切断用マークは、クッションアセンブリ3150へ接続するように構成された管の下端上かまたは接続ポート3600へ接続するように構成された管の上端上へ設けられ得る。
【0220】
一実施形態において、患者インターフェースに対し、管3350を切断するように構成された切断具が供給される。
【0221】
患者インターフェースのサイズに合わせて管3350を切断した場合の不利点として、管を誤って過度に短く切断してしまった場合、管の切断された部分の交換が困難になり得る点がある。
【0222】
8.3.3.3.5 引き延ばし可能な管
本技術の特定の形態において、調節機構は、引き延ばし可能な材料によって形成されたヘッドギア管3350の1つ以上の引き延ばし可能な部分3355を含む。引き延ばし可能な部分により、管3350の長さを異なるサイズの患者頭部に合わせて連続的に調節することが可能になる。管の一部は、管を構成する材料(例えば、引き延ばし可能な材料によって構成された場合)、その構成(例えば、図3Aに示す蛇腹管部3362は、その構成によって引き延ばし可能である)またはこれら双方によって引き延ばし可能であり得ることが理解される。
【0223】
図13に示すヘッドギア管3350が有する管3355の比較的引き延ばし可能な部分は、管3354の1つ以上の引き延ばし不可能であるかまたはあまり引き延ばし可能ではない部分へ接続される。所望の長さが達成された場合、固定機構3356が管3350を所定位置に保持するために設けられ得る。固定機構3356は、引き延ばし可能な部分3355の片側上の一定長さの管3350上に取り付けられた第1の固定部材3357と、引き延ばし可能な部分3355の他方側上の一定長さの管3350へ取り付けられた第2の固定部材3358とを含み得る。第1の固定部材3357および第2の固定部材3358は、任意の適切な機構(例えば、インターロッキングクリップ、磁石接続、フックアンドループ締結具)によって共に接続されるように構成される。固定部材3358のうち1つは、その他の固定部材3357が固定部材3358へ接続され得る複数の部位を含み得るため、管3350を所望の長さで固定することが可能になる。
【0224】
別の実施形態において、固定機構は設けられず、引き延ばし可能な部分3355の弾性収縮により、一定長さの管3350が自動的に達成される。
【0225】
管3355の引き延ばし可能な部分は、あまり引き延ばし可能ではない部分3354よりも肉薄の部分を含み得る。代替的にまたは追加的に、管3355の引き延ばし可能な部分は、あまり引き延ばし可能ではない部分3354よりも軟性でありかつ/またはあまり引き延ばし可能ではない部分3354よりも低いデュロメータ値を有する材料から形成された部分を含み得る。
【0226】
一実施形態において、管3355の引き延ばし可能な部分は、厚さが長さに沿って低下していく断面厚さを有する。例えば、断面厚さは、段階的な長手方向断面において低下し得る。あるいは、管部3355の断面厚さは、より肉厚の長手方向断面とより肉薄の長手方向断面との間において交互し得る。異なる断面厚さの部分間の表面転移は、平滑であってもよいしあるいは突発的であってもよい。異なる断面厚さの領域は、異なる剛性および/またはデュロメータ値を持ち得る。異なる断面厚さの領域は、同じ材料から形成してもよいし、あるいは異なる材料から形成してもよい。管3355の引き延ばし可能な部分の構造を異なる材料および異なる断面厚さを用いて選択することにより、管3350の特定の部分を他の部分よりも可撓性になるように設計することができる。その結果、使用時に特に個人間のサイズ差が大きい患者の解剖学的構造部分上に配置される管3350の部分を他の部分よりも可撓性にすることにより、患者インターフェースを異なる患者にフィットさせることを支援することができる。追加的にまたは代替的に、管3355の引き延ばし可能な部分は、呼吸可能なガス流れに対する患者インターフェースのインピーダンスを呼吸治療システム(例えば、所望のガス流量)に合わせて構成することができるように、使用時に所定の最小アパチャ領域を実質的に維持するように設計され得る。
【0227】
8.3.3.3.6 異なる管接続位置
本技術の特定の形態において、管3350は、接続ポート3600と調節対象となるシール形成構造3100との間の流体経路の有効長さを可能にする複数の様態で接続することができる。
【0228】
特定の形態において、各管3350は、管部材によって形成された流体経路の長さを変化させるように複数の位置において流体接続させることが可能な2つ以上の別個の管部材を含む。一形態において、第1の管部材は、複数のポートを片側に沿って含み、第2の管部材は、第2の管部材の片側から突出しかつ第1の管部材中の選択されたポートと噛み合って第1の管部材および第2の管部材を流体接続させる1つ以上の管を含む。第1の管部材および第2の管部材によって形成される管3350の長さは、第2の管部材上の突出する管をどのポートに接続させるかを選択することにより、調節することができる。接続ポートおよび突出する管に隣接する第1の管部材および第2の管部材の端部は、呼吸可能なガスが各管部材のみを通過し、意図的に漏洩することが無いように密閉される。また、第1の管部材の片側上のポートに自動閉鎖弁に備えてもよく、その場合、これらのポートが第2の管部材へ接続されていない場合のガス漏洩が回避される。
【0229】
本技術のいくつかの形態において、複数の管接続が、接続ポートおよび/またはクッションアセンブリ3150に設けられる。例えば、プレナムチャンバ3200は、管3350が選択的に流体接続され得る各側上に2つ以上のポートを含み得る。これらのポートは、どのポートに管を接続させるかの調節により、患者インターフェースをフィットさせる患者のサイズが変化するように、配置され得る。例えば、1つのポートは、使用時に別のポートよりも患者の顔に接近するように、配置され得る。患者の顔により接近している管3350へ接続させると、患者の顔から離隔位置にあるポートへ管3350を接続させた場合よりも、より大きな患者頭部に対応することができる。
【0230】
8.3.3.3.7 患者インターフェースループの変更
本技術の特定の形態に含まれる患者インターフェース3000において、位置決めおよび安定化構造3300は、使用時に患者頭部の一部を包囲するように構成されたループを規定する。本技術のいくつかの形態において、例えば1つ以上のタイにより、患者頭部の部分を包囲するループが規定され得る。例えば、図3Aに示す実施形態において、ループが、管3350およびクッションアセンブリ3150によって規定される。これらのコンポーネントによって生成されるループ内において、患者インターフェース3000が装着されると、患者頭部が配置される。
【0231】
本技術のいくつかの形態において、接続ポート3600と、クッションアセンブリ3150のシール形成構造3100との間の位置決めおよび安定化構造は、このループのサイズの調節によって調節される。このループを調節することにより、患者インターフェースを異なるサイズの患者に合わせて個別調節することが可能になる。上記の実施形態において、管3350の長さを変更することによってループサイズを変更する方法を示した。以下、ループサイズを調節するための他の機構を用いた実施形態について説明する。
【0232】
8.3.3.3.8 ループ調節機構
本技術の特定の形態において、患者インターフェース3000は、ループ調節機構を含む。このループ調節機構は、ループサイズを調節するために位置決めおよび安定化構造3300の2つの領域を共に保持する位置を調節するように、動作することができる。
【0233】
図5において、患者インターフェース3000は、管3350間に接続されたストラップ3390を含む。ストラップ3390は、使用時に患者頭部の上部またはその近隣を通過するように、接続ポート3600の下側の患者インターフェース3000の上端へ向かって配置される。ストラップ3390は、患者頭部の上部を収容するように、上方に曲線状に形成され得る。ストラップ3390は、可撓性材料、剛性材料または半剛性材料によって形成され得る。
【0234】
本実施形態において、患者インターフェース3000の装着時に患者頭部を包囲する患者インターフェース3000のループは、ストラップ3390、クッションアセンブリ3150、およびストラップ3390とクッションアセンブリ3150との間に接続される管3350の部分によって規定される。このループのサイズは、ストラップの調節によって調節することができる。患者インターフェースは、ストラップ調節機構3391を含む。ストラップ調節機構3391により、ストラップ3390の長さを調節することができる。ストラップ調節機構3391は、ストラップ3390の2つの部分間の調節可能な締結アタッチメントを含み得る。例えば、ストラップ3390の1つの部分は、ループを通過し得る。このループは、ストラップ3390のその他の部分の端部へ取り付けられかつフックアンドループ材料を用いてストラップ3390へ取り付けられる。あるいは、これら2つのストラップ部分は、複数の異なる位置において接続可能なポッパーまたはインターロック部材を用いて共に接続され得る。別の実施形態において、ストラップ3390の2つの部分はそれぞれ、ピニオンまたは歯と係合するラック部位を含む。ストラップ3390の長さは、この歯を回転させることによって調節することができる。別の実施形態において、ストラップ3390のこれら2つの部分は、相互にテレスコピック的にスライド可能であり、連動機構、磁石または摩擦係合を介して所定位置に固定され得る。
【0235】
さらに別の実施形態において、ストラップ3390の一端または両端は、ストラップ3390を片方または両方の管3350へ接続される位置を変更できるように、調節可能なストラップ接続機構によって管3350へ接続され得る。
【0236】
本技術の別の形態を図14に示す。本形態において、患者インターフェース3000は、バンド3395を含む。バンド3395は、管3350の上端(すなわち、接続ポート3600に最も近接する管端部)の周囲に配置される。バンド3395は、管3350をその上端において保持し、管3350の位置により、患者インターフェース3000の装着時において患者頭部の一部を包囲する管3350によって部分的に規定されるループのサイズが決定される。使用時において、バンド3395を管3395に沿って移動させて、管3350を共に保持する位置を変更することができるため、患者インターフェース3000によって規定されるループのサイズを変更することができる。バンド3395を管3350に沿って接続ポート3600へと移動させると、患者インターフェースがより大きな頭部にフィットできるように、ループのサイズが大きくなる。
【0237】
バンドと管との間の摩擦レベル増大により、使用時に管3350が容易に詳報移動して緩まないように、バンド3395を管3350周囲にきつめに固定することができる。例えば、バンド3395は、ゴムまたは他の高摩擦材料から形成され得る。あるいは、患者インターフェースは、バンドを位置に固定するための機構を含み得る。例えば、複数の隆起および/または突起が管3350の外側縁部上に設けられ得、(管3350の隆起/突起と連動し、バンドを所定位置に固定するための)1つ以上の戻り止めがバンド3395の内面上に設けられ得る。これらの戻り止めは、所望のときにバンドを管3350に沿って移動させることを可能にする適切な機構により、隆起/突起から係合解除され得る。
【0238】
別の実施形態において、これら2つの管3350の上側部分は、クラスプロッカーまたはジッパーによって共に固定される。例えば、クラスプロッカーの一列の歯が1つの管3350上に取り付けられ得、クラスプロッカーの別の列の歯が他方の管3350上に取り付けられ得る。スライダーは、これらの歯列間において移動可能であるため、これら2つの管3350を共に保持する位置を調節して、患者インターフェース3000によって形成されるループサイズを変更することができ、これにより異なる頭部サイズの患者に対応することができる。
【0239】
8.3.3.3.9 ループインサート
本技術の特定の形態において、位置決めおよび安定化構造3300は、1つ以上のループ挿入部材を含む。これらのループ挿入部材は、患者インターフェース3000の別の部分へ固定される(例えば、管3350へ直接的または間接的に固定される)ように構成される。ループ挿入部材(単数または複数)は、使用時に患者頭部の部分を包囲するループを少なくとも部分的に規定するように固定されるように、構成される。ループ挿入部材のサイズを調節するかまたはループ挿入部材を異なるサイズのループ挿入部材と交換することにより、異なるサイズの患者頭部に対応できるようにループサイズを調節することができる。
【0240】
本技術の一形態を図15に示す。本形態において、患者インターフェース3000は、ループ挿入部材3410を含む。ループ挿入部材3410は、管3350および接続ポート3600の下側に接続され、使用時に患者頭部と管3350および接続ポート3600との間に配置される。ループ挿入部材3410は、ループ挿入部材が存在しない場合に管3350によって形成されるループのサイズと比較して、患者頭部の一部を包囲するループのサイズを変化させる機能をする。
【0241】
ループ挿入部材3410は、管3350へ取り外し可能に取り付けられる。そのため、ループ挿入部材3410を取り外し、1つ以上の交換ループ挿入部材3411a、3411bまたは3411cと交換することができる。交換ループ挿入部材3411a、3411bまたは3411cは、ループ挿入部材3410とサイズが異なり、ループ挿入部材を選択することにより、患者頭部の一部を包囲するループのサイズを調節することができ、その結果、患者インターフェースを患者により快適かつより確実にフィットするように適合させることが可能になる。ループ挿入部材3410および3411を取り外すことができる場合、洗浄できる点においても有利である。
【0242】
ループ挿入部材は、使用時に管を3350患者頭部から間隔を空けて配置することが可能な剛性材料または半剛性材料から形成され得るため、患者頭部を包囲するループの形状を変化させることができる。一定の弾性および柔軟性を有する材料を用いると、装着時における快適性が増し得る(例えば、泡状物質またはゲル材料)。ループ挿入部材は装着時において患者の髪または皮膚と接触するため、ループ挿入部材は、容易に洗浄することが可能な材料によって形成することが好ましい。
【0243】
図15に示すループ挿入部材3410および3411は、概してU字型状であり、「U」という字の頂点は、使用時において接続ポート3600の下側の患者頭部の上部に配置される。その結果、患者インターフェースを患者頭部の上部の形状に適合させることが支援される。他の実施形態において、異なる形状の挿入部材が用いられる。例えば、挿入部材は、患者頭部の小さな領域と接触するように構成された短尺の直線状パッドを含み得る。異なるサイズの交換挿入部材3411は、異なる厚さ、異なる長さおよび/または異なる湾曲レベルを持ち得る。各挿入部材の患者接触面は、用いられる挿入部材に関係無く、患者頭部形状に適合するような同一または類似のものであればよい。
【0244】
ループ挿入部材3410および3411は、締結機構により管3350へ取り付けられる。一実施形態において、締結機構は、フックアンドループ材料を含む。このフックアンドループ材料は、管3350の下側と、ループ挿入部材3410および3411の上側とに取り付けられる。他の実施形態において、ループ挿入部材3410および3411を管3350へ接続させるために、ポッパー、半球形状、クラスプロッカーまたは磁石が用いられる。
【0245】
図15の実施形態において、患者インターフェース3000は単一のループ挿入部材3410を含み、交換ループ挿入部材3411は、単一のコンポーネントまたはモノリシックのコンポーネントである。他の実施形態において、複数のループ挿入部材が、管3350へ任意のタイミングで取り付けられ得る。例えば、複数のループ挿入部材を管3350の長さに沿って取り付けられることで、患者頭部の異なる部分を管3350から間隔を空けて配置させる複数のスペーサとして機能させることができる。別の実施形態において、複数のループ挿入部材3410および交換ループ挿入部材3411が任意のタイミングで管3350上に取り付けられ得る。例えば、異なるサイズのループ挿入部材を入れ子状に配置することができる。これを達成するために、例えば上記したループ挿入部材接続機構のいずれかを用いて、ループ挿入部材3410および3411を相互に接続させることができる。
【0246】
図16に示す本技術の形態において、患者インターフェース3000は、可膨張性のループ挿入部材3420を含む。可膨張性のループ挿入部材3420は、管3350の内面上に設けられたブラダーを含み得る。ブラダーは、シール可能な開口部を有する。この開口部内外において空気を出入りさせることにより、ブラダーのサイズを変化させることができ、その結果、使用時に患者頭部の部分を包囲する患者インターフェース3000によって規定されたループのサイズを調節することができる。一実施形態において、患者インターフェースは、ポンプボタンを含む。このポンプボタンを繰り返し押圧すると、弁を通じて空気がブラダー中に導入される。
【0247】
図16に示す形態において、患者インターフェースは、単一のU字型ブラダー3420を含む。このU字型ブラダー3420は、患者頭部のいずれかの側の患者頭部の上部にある各管3350へ接続される。ブラダー3420の厚さは、ブラダー膨張時における患者頭部の表面から離隔方向への管3350の対称的動きに対応できるよう、患者頭部の上部において最大になり得る。他の実施形態において、複数の可膨張性のブラダーが管3350上に取り付けられる。これらの可膨張性のブラダーは、集合的にまたは個別に膨張させることができる。個別に可膨張性のブラダーにより、例えばブラダーを頭部の片側上において他方側よりも大きく膨張させることにより、患者が患者インターフェースのフィット感を所望に変更することが可能になる。
【0248】
8.3.3.3.10 ヘッドギアチュービングの寸法調節の大きさ
上記したように、位置決めおよび安定化構造3300は、患者に合わせて異なった位置に配置されたヘッドギアチュービング3350の上部と共に装着されるように、構成され得る。例えば、使用時における患者頭部の接続ポート3600の位置は、矢状面において一定範囲の前方位置/後方位置内において変化し得る。患者頭部の円周を包囲する様態でフィットするヘッドギアチュービング3350は、ヘッドギアチュービング3350がさらに後方に装着された場合と比較してヘッドギアチュービング3350の上部がより前方に装着された場合、より小さくなり得る。いくつかの形態において、位置決めおよび安定化構造3300により、頭部サイズが大きな患者がヘッドギアの上部をより前方(例えば、前方)の位置において自身の頭部上に装着することが可能になり、よって、調節機構3360が大きな頭部サイズに対応するために必要となる長さ調節の大きさが低減する。
【0249】
図3Jは、本技術の一形態による患者インターフェース3000a、3000bおよび3000cの3つの図示を示す。患者インターフェース3000の各図示は、比較のために患者頭部上の異なる位置において図示されている。患者インターフェース3000bは、中心位置において実線で図示され、患者インターフェース3000aおよび3000cは想像線で図示され、それぞれ前方および後方に装着されている。図3Jの図示それぞれにおいて、調節機構3360は、実質的に同じ長さを有する。すなわち、調節機構3360は、「a」、「b」および「c」が付与された図示間において伸展または収縮しない。調節機構3360の長さの変化が無い場合、患者インターフェース3000a(前方位置)は、前方に装着されているため、より大きな頭部(想像線で図示)にフィットすることができる。同様に、患者インターフェース3000c(後方位置)は、同一長さの調節機構3360により、より小さな頭部(想像線で図示)に適切にフィットすることができる。
【0250】
図3J中の1つの図示において、「b」が付与された参照符号によって示すように、患者がヘッドギアを中心位置において装着している。この中心位置において、調節機構3360bおよび接続ポート3600bは垂直方向に概してアライメントされる。接続ポート3600bは、前方-後方軸において中心に配置される。すなわち、接続ポート3600bは、概して前方(例えば、前方)の位置または概して後方(例えば、後方)の位置ではなく中心位置に配置される。接続ポート3600bは、患者頭部の上点に配置される。接続ポート3600bは、矢状面内に配置され得、冠状面に平行な面内において耳基底上点とアライメントされる。耳基底上点を図2D中に示す。
【0251】
図3J中の別の図示において、「a」が付与された参照符号によって示すように、患者は、ヘッドギアチュービング3350bの位置と比較して比較的前方(例えば、前方)位置においてヘッドギアチュービング3350aを装着している。この構成において、接続ポート3600aは、調節機構3360aの概して前方に配置される。この位置において、接続ポート3600aは、耳基底上点の前方である。図J中の別の図示において、「c」が付与された参照符号によって示すように、患者は、ヘッドギアチュービング3350bの位置と比較して比較的後方(例えば、後方)位置においてヘッドギアチュービング3350cを装着している。この構成において、接続ポート3600cは、調節機構3360cの概して後方に配置される。この構成において、接続ポート3600cは、耳基底上点の後方にある。
【0252】
図3J中のヘッドギア3300aによって示す位置において装着されると、ヘッドギアチュービング3350aは、患者頭部のより小さな円周周囲に概してフィットして、位置決めおよび安定化構造3300を比較的前方の位置において装着することが可能になり、より大きな頭部(想像線で示す)の患者に対応することが可能になる。同様に、図3J中の位置決めおよび安定化構造3300cによって示す位置において装着された場合、ヘッドギアチュービング3350cは、患者頭部のより大きな円周の周囲において概してフィットするため、位置決めおよび安定化構造3300を比較的後方の位置において装着することが可能になるため、より小さな頭部(想像線で示す)の患者に対応することが可能になる。位置決めおよび安定化構造3300は、患者頭部サイズ、頭部形状、個人的選好などの要素に応じて、概して前方の位置と概して後方の位置との間の連続的範囲の位置において装着され得る。いくつかの形態において、本技術位置決めおよび安定化構造3300は、接続ポート3600が使用時に頭部の上点において中心位置からおよそ20mm前方(例えば、前方)までかつ中心位置からおよそ20mm後方(例えば、後方)までの位置において配置されるように、装着されるように構成される。本技術のいくつかの形態において、ヘッドギア管3350の上部(例えば、後ストラップ3310の上方の部位)は、(下部または調節不可能な管部3363(例えば、後ストラップ3310の下側の部位)において対応する動きが実質的に無い状態で)前方方向または後方方向において撓むか、屈曲するかまたは動くように構成される。本技術の他の形態において、上部および下部は、(必ずしも同一程度ではないが)共に移動し得る。後ストラップ3310は、調節不可能な管部3363の動きを回避またはそのような動きに抵抗するように、構成され得る。例えば、ヘッドギア管3350の上部を(後ストラップ3310を緩めること無く)患者頭部上に前方に移動させることにより、ヘッドギア管3350の上部を調節不可能な管部3363と比較してより大きく移動させることが必要になり得る。
【0253】
位置決めおよび安定化構造3300を異なる前方位置/後方位置において別個に装着することが可能であることと別に、本技術のいくつかの形態において、ヘッドギアチュービング調節機構3360により、位置決めおよび安定化構造3300を異なるサイズの頭部にフィットさせることが可能になる。ヘッドギアチュービング調節機構3360は、ヘッドギアチュービング3350の所定の量の長さ調節を可能にするように、構成され得る。ヘッドギアチュービング3350の長さ調節量は、位置決めおよび安定化構造3300の対応するように構成された一定範囲の頭部サイズに少なくとも部分的に基づいて決定され得る。本技術のいくつかの形態において、調節機構3360により、位置決めおよび安定化構造3300のいずれかの側部上においてヘッドギア管3350の長さをおよそ10mmと50mmとの間の量だけ増加させることが可能になり得る。本技術のいくつかの形態において、長さ増加は、20mm~40mmの量だけいずれかの側において行われ得る。本技術のいくつかの形態において、行われる長さ増加は、実質的に25mm、30mm、35mmまたは40mmのうちいずれか1つであり、いずれかの側において行われる。
【0254】
図3Kに示す患者インターフェース3000は、位置決めおよび安定化構造3300を含む。位置決めおよび安定化構造3300は、参照符号3360によって示す第1の構成においてヘッドギア管3350およびヘッドギア管調節機構を有する。調節機構3360も第2の構成において想像線で示し、参照符号3360’によって示す。調節機構3360の第1の構成において、ヘッドギア3300は、1つのサイズ頭部の患者の周囲にフィットし、調節機構3360’の第2の構成において、ヘッドギア3300は、より大きな頭部の患者の周囲にフィットする。本技術のこの形態において、調節機構3360’により、より大きな頭部周囲にフィットするようにヘッドギア管3350の長さを伸長させることが可能になる。図3Kに示すように、調節機構3360/3360’により、ヘッドギアが中心位置において装着され(例えば、接続ポート3600/3600’は、前方または後方ではなく頭部の上点上において中心に配置され)つつ、ヘッドギアを異なる頭部サイズに対応するように調節する(かまたは調節される)ことが可能になる。
【0255】
本技術のいくつかの形態において、調節機構3360により、ヘッドギア3300が前方位置、中心位置および/または後方位置において装着されたときにヘッドギア管3350を長さ調節することも可能になる。図3Lに示す患者インターフェース3000は、ヘッドギア3300を含む。ヘッドギア3300は、「a」、「b」および「c」が付与された参照符号によって示されるような患者頭部上の3つの位置において装着される。位置決めおよび安定化構造3300aは、前方位置において装着され、位置決めおよび安定化構造3300bは、中心位置において装着され、位置決めおよび安定化構造3300cは、後方位置に装着される。すなわち、接続ポート3600aは患者頭部上の前方位置にあり、接続ポート3600bは中心位置にあり、接続ポート3600cは後方位置にある。前方位置において、ヘッドギア管3350aは、ヘッドギア管3350bが中心位置の周囲にフィットする円周と比較して、患者頭部のより小さな円周の周囲にフィットする。このより小さな円周に対応するために、調節機構3360aを前方位置に設けることにより、ヘッドギア管3350の長さを低減させる(かまたは伸長を低減させる)ことが可能になる。後方位置において、ヘッドギア管3350cがフィットする患者頭部の円周は、中心位置における円周よりも大きい。このより大きな円周に対応するために、調節機構3360cにより、ヘッドギア管3350の長さを中心位置におけるその長さに比して長くすることが可能になる。
【0256】
位置決めおよび安定化構造3300を装着することが可能な異なる位置と、調節機構3360によって可能となる異なる量の長さ調節との組み合わせにより、患者にとって調節選択肢の多様性が広がる。このような多様性により、シール形成構造3150の患者の顔に対する充分なシールを可能にしつつ、位置決めおよび安定化構造3300が広範囲の頭部形状およびサイズに(過度の不快感無く)対応することが可能になり得る。いくつかの実施形態において、調節機構3360により、長さ調節の大きさを小さくすることができる。なぜならば、より大きな頭部サイズの患者は、大きな頭部サイズに対応するために調節機構3360のみに頼るのではなく、ヘッドギアチュービング3350の上部を前方位置において装着することができるからである。他の実施形態において、調節機構3360により、長さ調節の大きさを大きくすることができ、より大きな頭部サイズの患者は、ヘッドギアチュービング3350の上部をさらに前方において装着できるため、患者インターフェース3000をより広範囲の頭部サイズに適合させることが可能になる。
【0257】
8.3.3.4 ヘッドギアチュービング調節機構の位置
患者の不快感の原因となる患者インターフェースのフィーチャを回避することが一般的に望ましい。そのため、患者インターフェースは、患者の皮膚と接触するいくつかのコンポーネントと共に設計され得、患者の皮膚と実際に接触するコンポーネントは、柔軟かつ/または平滑であり得る。頬領域は、患者インターフェースの装着時において患者不快感の原因になるものとして知られている。
【0258】
上記したような位置決めおよび安定化構造の調節を可能にする機構は、患者の顔または頭部(特に、頬領域)と接触した際に患者の不快感の原因となるフィーチャを含み得る。そのため、本技術の特定の形態に含まれる位置決めおよび安定化構造は、患者インターフェースの装着時において、調節機構またはその一部が患者の皮膚または髪の領域と接触しないように配置される(例えば、患者の顔と接触しないかまたは患者の頬領域と接触しないように配置される)ように、構成される。本技術のいくつかの形態において、調節機構は、患者の耳の上方に(すなわち、患者頭部の耳基底上点の上方または患者頭部の上部の近隣に)配置される。本技術のこれらの形態において、ヘッドギア管は、調節不可能なヘッドギア管部を含む。この調節不可能なヘッドギア管部は、使用時に患者の顔に隣接する位置に配置される(すなわち、患者インターフェースの使用時において調節不可能なヘッドギア管部が患者の顔と接触し得る位置に配置される)。例えば、いくつかの形態において、調節不可能なヘッドギア管部は、装着されたとき、患者の頬領域に隣接して配置される。本技術のいくつかの形態において、調節不可能なヘッドギア管部のみが患者の頬領域に隣接するか、患者頭部の耳基底上点の下方に来るか、患者頭部の上顎領域を被覆する。
【0259】
調節不可能なヘッドギア管部は、使用時において寸法的に調節されるように特に構成された部分である、(すなわち、調節機構は、調節不可能なヘッドギア管部の一部を形成しない)ことが理解される。だからといって、例えば過度な力が付与されたときに調節不可能なヘッドギア管部を寸法的に調節することが可能であることは除外されない。しかし、調節不可能なヘッドギア管部の位置は、使用時に調節してもよい。本技術のいくつかの形態において、調節不可能なヘッドギア管部は軸方向長さが実質的に調節不可能であり得るが、撓み、屈曲、直線状化などの他の様態によって調節可能でもあり得る。例えば、図3Lに示すように、調節不可能なヘッドギア管部3363a、3363bおよび3363cは、調節機構3360a、3360bおよび3360cによって可能となる異なる伸長量により位置決めおよび安定化構造3300が頭部上に装着される異なる位置が促進されるように、異なる範囲まで屈曲または曲線状になるように構成される。
【0260】
調節機構を患者の視野外に配置した場合、閉所恐怖症または視界が遮られる感覚を回避できる点においても、有用であり得る。
【0261】
図3A図3B図3C図3D図3Eおよび図3Fに示す患者インターフェース3000の形態の場合、例えば、蛇腹部分3362は、両耳または片耳の高さとレベル頭部および調節不可能なヘッドギア管部3363の頭頂部または頭部の頂との間において、患者頭部のいずれかの側に配置される。レベル頭部および調節不可能なヘッドギア管部3363は、ヘッドギア管の下端(すなわち、患者の装着時における下端)を形成し、装着時において患者の頬領域に隣接して(または患者の頬領域を被覆して)配置される。調節不可能なヘッドギア管部3363の他の例を、図5図7A図7B図7Cおよび図17に示す。
【0262】
本技術の特定の形態において、調節不可能なヘッドギア管部3363は、患者インターフェース3000の使用時においてクッションアセンブリ3150と患者の顔との間に適切なシールを維持することを支援するように、構成される。そのためには、調節不可能なヘッドギア管部3363の可撓性(または剛性)を選択できるようにして、使用時における一定の動きおよび個々の患者が患者インターフェース3000を装着する位置の一定の変動に対応できるだけの充分な可撓性を備えつつ、使用時に調節不可能なヘッドギア管部3363が容易に変形しないような充分な剛性を備えるようにする必要があり得る。
【0263】
後方ヘッドギアストラップ3310を用いると、患者頭部の上のヘッドギア管3350は安定するものの、特に後方ヘッドギアストラップ3310がヘッドギア管3350に接触する点から比較的離れた点においては、ヘッドギア管3350の下端はより自由に動き易くなる。ヘッドギア管3350の下端の可撓性が過度に高い場合、クッションアセンブリ3150が患者の顔から離隔方向に前方回転する傾向が出てくるため、シール性が妨害される。ヘッドギア管3350の下端(すなわち、図3A図3B図3C図3D図3E図3F図5図7A図7B図7Cおよび図17に示す本技術の形態中の調節不可能なヘッドギア管部3363)の剛性を高めることにより、このような前方回転による影響を軽減することができる。この議論の目的のため、ヘッドギア管3350の下端を、後方ヘッドギアストラップ3310が各ヘッドギア管3350へ接続される点の下方(すなわち、患者インターフェース300が患者を装着された際の下方)に配置されるヘッドギア管3350の部分とみなす。なぜならば、この点は、患者頭部上において安定しているため、ヘッドギア管3350のこの点の下側における任意の動きに対するピボットポイントとして機能し得るからである。他の配置構成のヘッドギアストラップを用いた場合、有効ピボットポイントの位置も異なることが理解される。
【0264】
同様の理由のため、本技術のいくつかの形態において、ヘッドギア管3350の下端を任意の調節機構からフリーにすると有利であり得る。後方ヘッドギアストラップ3310がヘッドギア管3350へ接続される点において蛇腹部分を例えばヘッドギア管3350上に設けた場合、当該蛇腹部分は動き発生時において座屈および屈曲し、自然なピボットとして機能する傾向になるため、クッションアセンブリが移動することがあり得るため、患者の顔とのシールが妨害され得る。
【0265】
さらに、ヘッドギア管3350(これは、本議論の目的のため、後方ヘッドギアストラップ3310が各ヘッドギア管3350へ接続される点よりも上(すなわち、上方)に配置されたヘッドギア管3350の部分とみなされる)の上部に調節機構3360を設けた場合、ヘッドギア管3350の上側および下部を結合解除させることが支援されるため、上部(使用時または患者頭部上への患者インターフェース3000の位置の変動に起因する)が動いても、患者の顔とのシール妨害の原因になり得る過度の力がクッションアセンブリ3150上にかかることが無くなる。詳細には、ヘッドギア管3350の長さを伸展させることが可能な調節機構3360を用いると、ヘッドギア管3350の下端において調節不可能なヘッドギア管部3363が直線状になる事態の回避が支援される。なぜならば、この種の調節機構3360を用いれば、患者インターフェース3000の下端を患者頭部に相対して上下に(すなわち、下方向および上方向に)移動させることが可能になるからである。また、調節不可能なヘッドギア管部3363が過度に直線状になりかつ/または伸長した場合、クッションアセンブリ3150が前方に回転し得るため、患者の顔とのシールが妨害され得る。
【0266】
本技術のいくつかの形態において、調節不可能なヘッドギア管部3363(またはヘッドギア管3350の下端)の湾曲半径も、ヘッドギア管3350の上端の動きのレベルに影響を与える。湾曲半径が大きくなるほど、ヘッドギア管3350の上側と下端との間の分離効果も大きくなるため、クッションアセンブリ3150の顕著な前方回転およびその結果生じるシール性損失を引き起こすこと無く、ヘッドギア管3350の上端を移動させることが可能になる。
【0267】
本技術のいくつかの形態において、調節機構3360を接続ポート3600の近隣においてヘッドギア管3350の上部に配置することにより、調節機構によってもたらされる伸長および屈曲を通じて接続を分離させることが可能になるため、頭部上における管引き摺り軽減が支援され得る。
【0268】
本技術のいくつかの形態において、調節機構3360をクッションアセンブリ3150から間隔を空けて配置されたヘッドギア管3350の上部上に設けた場合、ヘッドギア管3350の伸長の差に起因するクッションアセンブリ3150への影響が低下し得る。例えば、患者頭部のいずれかの側上の調節機構3360の伸長および/または調節機構3360から患者頭部のいずれかの側付与される任意の力の不均衡による影響を薄めることが可能になる。このような影響が有る場合、クッションアセンブリ3150によって患者の顔に形成されるシールに妥協が生じ得る。
【0269】
本技術の他の形態において、調節機構は、患者インターフェースのクッションアセンブリ3150の近隣に配置され得、プレナムチャンバのサイズおよび管3350が管3350の下端から患者の皮膚から離隔位置にあるプレナムチャンバへ接続されるポートの位置(およびよって調節機構)に起因して、患者の顔から間隔を空けて配置され得る。図10Bに示す本技術の形態は、使用時に調節機構が患者の顔から間隔を空けて配置される患者インターフェース3000の1つのこのような例である。
8.3.3.5 ヘッドギアチュービング付勢機構
【0270】
本技術の特定の形態において、位置決めおよび安定化構造3300は、付勢機構を含む。この付勢機構は、使用時においてシール形成構造3100を推進させて患者の顔へ向かって(すなわち、(シール形成構造3100がシールされる)患者の気道への入口を包囲する領域へ向かって)移動させる機能をする。よって、付勢機構は、患者インターフェース3000の使用時においてシール形成構造3100が患者の顔と良好なシールを提供することと、患者インターフェースが陽圧ガスを患者へ供給したときにシールの保持を促進することとを支援する機能を持つ。本技術のいくつかの形態において、付勢機構は、調節機構3360に作用する(すなわち、付勢力を付与する)。プレナムチャンバ3200が加圧されると、患者インターフェース3000のクッションアセンブリ3150が患者の顔から離隔方向に移動する傾向が発生する。クッションアセンブリ3150を患者の顔へ付勢または推進させる機能を持つ付勢機構は、シールを維持するためにこの傾向を無効化する。
【0271】
本技術のいくつかの形態において、付勢機構は、ヘッドギア管3350の長さの少なくとも一部に沿って付勢力を付与して、使用時にシール形成構造を患者の気道の入口へと推進させる機能を持つ。このような形態において、ヘッドギア管3350またはその一部は、使用時において張りつめた状態になる。いくつかの形態において、付勢機構は、ヘッドギアチュービング3350の一部として含まれ、他の形態において、付勢機構は、ヘッドギアチュービング3350と別個である。
【0272】
付勢機構は、特定の患者頭部にフィットするように患者インターフェースを自動調節することも支援し得る。
【0273】
8.3.3.5.1 付勢機構から付加される力の大きさ
付勢機構は好適には、過度の力の付加を回避しつつ使用時における良好なシールを維持するように、充分な内方の(すなわち、患者の気道開口部への)力を付加するように構成される。過度の力が付加された場合、シール形成構造3100が圧縮され得、そのジオメトリが変化し得るため、構造の一部が患者の顔から離隔方向に移動し、シール形成構造からガスが漏洩する原因になり得る。さらに、患者インターフェースから患者の顔上に過度の力がかかるのを回避すると、快適性が促進され、患者の顔上の赤い跡、擦り剥けまたは発汗が回避される。
【0274】
本技術のいくつかの形態において、付勢機構から提供される受容可能な力は、位置決めおよび安定化構造3300の各側上において0.5~4Nであり得る。いくつかの形態において、受容可能な力は、1~3.5Nであり得る。約2Nの力は、受容可能なものとしてみなされ得る。本技術のいくつかの形態において、位置決めおよび安定化構造3300は、フルフェースまたは口鼻クッションアセンブリの形態のシール形成構造3100(例えば、図4A図4Eに示すシール形成構造3100)を支持するように構成される。本技術のいくつかの形態において、フルフェースまたは口鼻シール形成構造3100は、サイズがより大きいため、他の形態のシール形成構造(例えば、鼻クレードルまたは鼻枕)よりも高重量である。位置決めおよび安定化構造3300は、過度の不快感を引き起こすこと無く有効なシールを維持するための充分に高い力によりクッションアセンブリ3150を患者の顔中に付勢しつつ、その重量を吸収するかまたはより高重量のシール形成構造3100の牽引を無効化する相応により高い付勢力を提供するように、構成される。さらに、患者がリラックスした場合または下顎を移動させた場合(「大口を開ける」として知られる)、フルフェースまたは口鼻シール形成構造3100は、下向き(例えば、下方の)力を受け得る。位置決めおよび安定化構造3100は、大口を開けた際に受ける下方力を相殺することにより、大口を開けることによる影響を考慮するようにも構成することができる。
【0275】
本技術のいくつかの形態において、位置決めおよび安定化構造3300は、異なるサイズのシール形成構造(例えば、比較的小さいかまたは軽量のシール形成構造(例えば、鼻クレードルクッションアセンブリ)および比較的大型または高重量のシール形成構造(例えば、口鼻クッションアセンブリ))を交換可能に受容するように、構成される。この位置決めおよび安定化構造が含み得る付勢機構は、いずれの種類のシール形成構造に対して(不快感を引き起こすほどの過度ではないにしろ)充分強力な付勢力を付与することにより、双方の種類のシール形成構造を支持するように構成される。
【0276】
本技術のいくつかの形態において、位置決めおよび安定化構造3300は、鼻クレードルまたはフルフェイスマスクに対して(不快感を引き起こすほど過度ではないにしろ)有効なシールを維持できるだけの充分な範囲の大きさの力を複数の調節構成において提供するように、構成される。
【0277】
本技術のいくつかの形態において、付勢機構は、ヘッドギアチュービングを患者頭部の周囲にフィットさせるように推進させる力をヘッドギア管3350またはその一部へ付与するように、構成される。この付勢機構は、所定の範囲内の大きさの力を提供するように、構成され得る。このような所定の範囲は、ヘッドギア3300が快適でありかつシール形成構造3100と患者の顔との充分なシールを維持できる大きさに限定され得る。付勢機構は、充分な力に必要な最小な力未満の力でシール形成構造3100を推進させて患者の顔と密閉接触させるように構成され得る。すなわち、この力は、最小シーリング力以上であり得る。付勢機構は、患者によって快適とみなされる最大の力を超えない力によりヘッドギアチュービング3350を推進させて患者頭部にフィットさせるように構成され得る。すなわち、この力は、最大の快適な力以下であり得る。
【0278】
本技術のいくつかの形態において、各ヘッドギア管3350は、ヘッドギア管3350の伸長と、付勢機構からヘッドギア管3350へ付与される力との間の関係に起因する力伸長特性を含む。代替的にまたは追加的に、力伸長特性は、付勢機構からヘッドギア管3350へ付与される力と、ヘッドギア管3350の伸長との間の関係に起因し得る。「伸長」という用語は、ヘッドギア管の全体的長さの変化を指し、ヘッドギア管3350の全体的長さの変化が発生する任意の様態または調節機構の物理的構造を意味しないことが理解される。
【0279】
本技術の特定の形態において、付勢機構は、ヘッドギア管3350またはその一部を所定の長さ(例えば、調節機構による調節前の長さ)へ戻す傾向となる付勢力をヘッドギア管3350上へ提供し得る。本技術のいくつかの形態において、付勢機構は、ヘッドギア管3350上に回復力を付与する。
【0280】
上記したように、本技術のいくつかの形態による患者インターフェース3000の調節機構3360により、ヘッドギア管3350の長さ調節が可能になる。いくつかの実施形態において、付勢力とヘッドギア管3350の伸長との間の関係が存在する場合、ヘッドギア管3350が第1の伸長量まで(例えば、第1の伸展長さまで)伸長した場合、付勢機構から付加される力は、最小シーリング力以上になる。さらに、ヘッドギア管3350が第2の伸長量まで(例えば、第2の伸展長さまで)伸長した場合、付勢機構から付加される力は、最大の快適性以下になる。さらに、第1の伸長量と第2の伸長量との間の伸長量が有る場合、付勢機構から付加される力は、最小シーリング力と最大快適性との間になり得る。
【0281】
本技術のいくつかの形態において、ヘッドギア管3350は、力伸長特性を含み得る。この力伸長特性において、ヘッドギア管3350が第1の伸長量まで(例えば、付勢機構から少なくとも最小シーリング力が得られる伸長量まで)調節された場合、位置決めおよび安定化構造3300は、所定の最小頭部サイズに対応することができる。同様に、ヘッドギア管3350が第2の伸長量まで(例えば、付勢機構からさらに最大快適性が得られなくなる伸長量まで)調節された場合、位置決めおよび安定化構造3300は、所定の最大頭部サイズに対応することができる。第1の伸長量と第2の伸長量との間の伸長の場合、位置決めおよび安定化構造3300は、最小の頭部サイズと最大の所定の頭部サイズとの間の頭部サイズに対応することができる。所定の最小頭部サイズは、特定のカテゴリの人の例えば5パーセンタイルの頭部サイズであり得、所定の最大頭部サイズは、特定のカテゴリの人の例えば95パーセンタイルの頭部サイズであり得る。位置決めおよび安定化構造3300が対応することが可能な最小頭部サイズおよび最大頭部サイズを決定するために、他の測定/範囲が用いられ得ることが理解される。
【0282】
図3Iに示す力伸長プロット6000は、本技術の一形態による患者インターフェース3000のヘッドギア管3350の力伸長特性6300を示す。力伸長プロット6000に示す水平伸長軸6100および垂直力軸6200は、ヘッドギア管3350の長さと、その結果付勢機構から付与される力との間の関係を示す。
【0283】
ヘッドギア管3350の3つの伸長を伸長軸6100上に示す:すなわち、ゼロの伸長6105、5パーセンタイルの頭部サイズ(例えば、所定の最小頭部サイズ)に対応するために必要な伸長に対応する第1の伸長量6110、および95パーセンタイルの頭部サイズ(例えば、所定の最大頭部サイズ)に対応するために必要な伸長に対応する第2の伸長量6120。2つの力の大きさが力軸6200上に示される:すなわち、最小シーリング力6210および最大快適性6220。
【0284】
本技術のこの例示的な形態において、ヘッドギア管3350に含まれる力伸長特性6300において、付勢手段から付加される力は、第1の伸長量6110と第2の伸長量6120との間の範囲内の伸長全体において、最小シーリング力6210を超えかつ最大快適性6220を下回る。すなわち、対応可能な頭部サイズの範囲全体において、過度の付勢力に起因する不快感を引き起こすこと無く、充分なシールを維持することができる。
【0285】
本技術のいくつかの形態において、伸長と付勢力との間の関係は、直接比例しない場合があることが理解される。例えば、本技術のいくつかの形態において、初期の伸長段階においては力は比較的大きく増加し得るが、最小の所定の頭部サイズおよび最大の所定の頭部サイズに対応するために必要な伸長範囲における力の変動はほとんど無い。制限内における力が変化する様態に関係無く最小頭部サイズと最大頭部サイズとの間の伸長範囲全体において力の大きさを最小シール力と最大快適性との間に留まらせておけば、有効なシールを不快感無く達成することができる。
【0286】
8.3.3.5.2 付勢機構の位置
本技術のいくつかの形態において、付勢機構は、シール形成構造3100と、接続ポート3600との間において機能する。例えば、付勢機構は、シール形成構造3100と接続ポート3600との間に接続される患者インターフェースのコンポーネントを含み、シール形成構造3100を概して接続ポート3600の方向および/または管3350の長さに沿った長手方向に推進させ得る。
【0287】
8.3.3.5.3 付勢機構の形態
付勢機構は、複数の形態をとり得る。本技術のいくつかの形態において、付勢機構は、調節機構と別個の機構であり、上記したような位置決めおよび安定化構造の調節を可能にする。このような形態において、調節機構は、付勢機構が患者の顔に対するシーツを推進させる機能を提供しつつ、患者インターフェースを患者頭部にフィットするように調節することを可能にする。他の形態において、付勢機構および調節機構は、患者インターフェースと同じフィーチャによって少なくとも部分的に設けられ、上記した調節および付勢は、これらの同じフィーチャによって行われる異なる機能である。
【0288】
本技術のいくつかの形態において、付勢機構は、弾性または弾性部材あるいはアセンブリを含む。いくつかの形態において、弾性または弾性部材あるいはアセンブリは、シール形成構造3100と接続ポート3600との間に接続される。例えば、弾性または弾性部材あるいはアセンブリは、管3350とプレナムチャンバ3200との間の管3350または接続アセンブリおよび/または管3350と接続ポート3600との間の接続アセンブリの一部として含まれるかまたは管3350とプレナムチャンバ3200との間の管3350または接続アセンブリおよび/または管3350と接続ポート3600との間の接続アセンブリへ接続される。
【0289】
例えば、図3A図3B図3C図3Dおよび図3Eに示す本技術の形態において、付勢機構は、蛇腹管部3362を含む。蛇腹管部3362は、圧縮位置へ付勢されるように構成される。その結果、蛇腹管部3362は、使用時にシール形成構造3100を患者の顔無いに牽引する機能をする。
【0290】
本技術のいくつかの形態において、蛇腹管部3362の伸長と、ヘッドギア管3350へ付与される回復力との間の関係が存在する。この回復力は、蛇腹管部3362内における張力であり得る。蛇腹管部3362は、図3Iに関連して述べる力伸長特性と同様の力伸長特性を持ち得る。
【0291】
蛇腹管部3362は、位置決めおよび安定化構造3300が所定の最小頭部サイズ(例えば、5パーセンタイルの頭部サイズ)に対応することが可能な第1の伸長量まで伸展するように設計され得、また、位置決めおよび安定化構造3300が所定の最大頭部サイズ(例えば、95パーセンタイル頭部サイズ)に対応することが可能な第2の伸長量まで伸展するように設計され得る。蛇腹管部3362は、第1の伸長量において張力が患者の顔に対してシール形成構造3100の適切なシールを生成するために必要な最小の力を超えるように、設計され得る。第2の伸長量において、蛇腹管部3362は、張力が患者にとって快適とみなされる最大の力を超えないように、設計され得る。このようにして、位置決めおよび安定化構造3300は、一定範囲の頭部サイズに対応することができ、これにより、力に起因する不快感を引き起こすこと無く全範囲において充分なシールを生成する。
【0292】
本技術の特定の形態において、蛇腹管部3362は、上記したような力伸長特性蛇腹管部3362を提供する蛇腹のプロファイルを含み得る。図3Gに示すように、蛇腹管部3362は、壁を含み得る。この壁は、内側谷部が曲線状でありかつ外側山部が平坦である波状反復パターンを有する蛇腹プロファイルを有する。外側の平坦な山部により、患者頭部に対して快適に配置することが可能な平滑な平坦面を得ることができる。蛇腹管部3362は、蛇腹を形成するようにヘッドギア管3350の壁内に形成された複数のリブを含み得る。これらのリブは、図3Gに示すように内方に伸展し得る。代替的にまたは追加的に、蛇腹管部3362は、複数の溝部を含み得る。
【0293】
蛇腹管部3362のプロファイルは、所望の力伸長特性を達成するように変化し得る。例えば、リブのピッチ(例えば、蛇腹波の山/谷)は、より伸展性のある蛇腹管部3362が得られる(例えば、所与の力において概してより大きな伸長が得られる)ように、低減され得る。さらに、より伸展可能な蛇腹管部3362が得られるように、リブ高さ(例えば、蛇腹波形の振幅)を増加させてもよい。あるいは、リブピッチの増大またはリブ高さの低減により、より伸展性の低い蛇腹管部3362を設けてもよい。
【0294】
追加的にまたは代替的に、伸展性向上のために、より長尺の蛇腹管部3362を設けてもよい。これは、例えば蛇腹管部3362の壁中に形成されるリブ数を増加させることにより、可能になり得る。
【0295】
追加的にまたは代替的に、蛇腹管部3362の壁厚さを低減させることでより伸展可能な蛇腹管部3362を得てもよいし、あるいは蛇腹管部3362の壁厚さを増大させることにより高剛性の蛇腹管部3362を得てもよい。
【0296】
追加的にまたは代替的に、蛇腹管部3362を形成する材料は、所定の力伸長特性の提供を支援するものを選択すればよい。本技術の一形態において、材料は、50デュロメータのシリコーンである。他の材料および/またはデュロメータ値も選択され得る(例えば、40デュロメータのシリコーン)。
【0297】
追加的にまたは代替的に、異なる伸長量を達成するために、異なる蛇腹プロファイル形状が蛇腹管部3362へ用いられ得る。例えば、プロファイルを規定する壁が概してより多く折り畳まれた蛇腹管部3362を用いた場合、より伸展可能な蛇腹管部3362が得られ得る。
【0298】
蛇腹管部3362の構成は、その長さに沿って異なり得る。例えば図3Gに示すような本技術のいくつかの形態において、リブ高さは、接続ポート3600から離隔方向(例えば、調節不可能なヘッドギア管部3363に向かう方向)において蛇腹管部3362の長さに沿って低減する。リブ高さは、例えば0~6mm、0~5mm、0~4mm、1~5mmなどの範囲内において変化し得る。あるいは、リブ高さは、例えば、2mm、3mm、4mmなどの値に一定にしてもよい。壁厚さは、蛇腹管部3362の長さに沿って実質的に一定にしてもよいし、あるいは変化させてもよい。本技術のいくつかの形態において、壁厚さは、0.5mm~1.2mmの範囲内であり得る(例えば、0.6mm~1mmまたは0.8mm)。リブピッチは、3.5~5mmの範囲内であり得る(例えば、3.8~4.5mmまたは4.2mm)。
【0299】
本技術の他の形態において、蛇腹管部3362の形状および構成は、上記において例示したパラメータと異なる。
【0300】
図13に示す本技術の形態において、管3355の比較的引き延ばし可能な部分は、伸縮的にまたは弾性的に変形可能であり、非伸縮状態に戻る傾向を有する。そのため、使用時において管3355の比較的引き延ばし可能な部分は、シール形成構造3100を患者の顔内に牽引する機能を持つ。あるいは、伸縮時に非伸縮状態に戻る傾向を持つ弾性材料から管3350を完全に形成してもよい。
【0301】
本技術の別の形態を図17に示す。本形態において、患者インターフェース3000は、管3350を被覆する1つ以上の弾性スリーブ3340を含む。弾性スリーブ3340は、管3350を部分的に被覆し得、例えば、以下に述べるようにスリーブ3340中に穴が設けられ得ることが理解される。あるいは、ヘッドギア管は、弾性スリーブと、内側ガス送達導管を被覆する弾性スリーブを備えた内側ガス送達導管とをどちらとも含むものとしてみなされ得る。弾性スリーブ3340は、任意の伸縮性、弾性または引き延ばし可能な材料から形成され得る(例えば、エラスタンなどの弾性布地は、伸縮したときに元のサイズおよび形状に戻る傾向を持つ)。
【0302】
弾性スリーブ3340は、蛇腹管部3362をそれぞれ含む管3350を被覆する。蛇腹管部3362は、圧縮位置まで付勢してもよいし、付勢しなくてもよい。蛇腹管部3362の存在により、弾性スリーブ3340がクッションアセンブリ3150のシール形成構造3100を患者の顔中にシールを向上させるように牽引する機能を果たしつつ、患者インターフェース3000が個々の患者にフィットするように管3350の長さを調節することが可能になる。
【0303】
弾性スリーブ3340は、単一の弾性材料シートを含んでもよいし、あるいは、共に接続された(例えば、縫製されたかまたは接着された)複数の弾性材料シートから形成してもよい。あるいは、患者インターフェース3000は、複数の別個の弾性スリーブを含み得、例えば1つのスリーブが各管3350を被覆し得る。
【0304】
弾性スリーブ3340は、患者インターフェースの部分がスリーブを通過することを可能にする開口部を含み得る。例えば、弾性スリーブは、後方または側方の開口部3342を含み得る。これらの開口部3342を通じて、後方ヘッドギアストラップ3310が管3350へ接続される。追加的にまたは代替的に、スリーブは、上開口部3343を含み得る。上開口部3343を通じて、空気回路4170が接続ポート3600へ接続するかまたは接続ポート3600が突出し得る。ヘッドギア管3350は、開口部3342を通じて患者頭部と接触し得る。
【0305】
管3350の蛇腹管部3362は、使用時に患者の皮膚または髪と接触した場合、不快感の原因になり得る。患者は、蛇腹が実際には不快感増大の原因になっていない場合でも、蛇腹部分を目障りと感じるかまたは今後の装着に不快感を覚えてしまう場合もあり、そのような事態は望ましくない。蛇腹部分3362を弾性スリーブ3340で被覆すれば、これらの問題が回避される。快適性の利点を提供するために、いくつかの実施形態において非弾性スリーブが用いられ得る。このスリーブの場合、患者と接触した場合に不快ではない軟性材料によって形成できるという利点がある。
【0306】
弾性スリーブ3340は、使用時に患者の髪または皮膚と接触する可能性があるため、患者の天然油で汚れやすい。そのため、弾性スリーブ3340は、簡単に洗える布地などの材料から形成すると有利であり得る。患者による弾性スリーブ3340の洗浄を容易にするために、弾性スリーブ3340を患者インターフェース3000の残り部分から取り外すことが可能であり得る。例えば、スリーブは、スリーブを取り外す際に係合解除することが可能な管3350上へスリーブを固定する機構を含み得る。例えば、弾性スリーブ3340は、管3350を包囲し得、クリップ、ポッパー、フックアンドループ材料または他の適切な締結具により自身へ接続し得る。
【0307】
本技術のいくつかの形態において、弾性スリーブ3340は、患者の顔から湿気を逃がすことを支援する材料または織物から形成される。その結果、患者が患者インターフェースの装着時に発汗した際の快適性の維持が支援され得る。
【0308】
本技術の他の形態において、弾性スリーブは、上記したような他の調節機構を含む位置決めおよび安定化機構の管または他の部分を含み得る。スリーブは、外観が複雑または医療的であるため患者インターフェースの装着意欲を削ぐ可能性のある機構またはコンポーネントを被覆する点において、有利であり得る。
【0309】
本技術の他の形態において、テレスコピック的に調節可能なヘッドギア管は、テレスコピック的に移動可能なヘッドギア管部(例えば、バネ)を収縮させるように機能する付勢機構を含み得る。
【0310】
手動で調節可能な調節機構により付勢力も提供する(例えば、図7Cに示す調節機構3360)場合の利点として、比較的高重量のシール形成構造および比較的軽量のシール形成構造双方をモジュール式設計で(すなわち、異なる種類のシール形成構造を交換することが可能な様態で)サポートすることが可能である点がある。例えば、図7Cに示す実施形態のクッションアセンブリ3150をより高重量の口鼻クッションアセンブリと交換する場合、患者は、口鼻クッションの重量を相殺しかつクッションが下方に垂れ下がるかまたは患者の下顎の動きによって下方に押圧されるように、ヘッドギア管3350の長さをより短尺の構成へ手動調節しすることができる。
【0311】
8.3.4 通気部
一形態において、患者インターフェース3000に含まれる通気部は、呼気ガスの(例えば、二酸化炭素(CO2)のプレナムチャンバ内部から周囲への)連続的流動または洗い流しを可能にすることで患者がこのようなガスを再呼吸する危険性を低減させるように、構築および配置される。すなわち、通気部により、患者の呼気したCO2を患者インターフェースの外部へ流動させることが可能になる。この通気部は、プレナムチャンバ内の治療圧力を維持するようなサイズおよび形状にされる。
【0312】
本技術による一形態の通気部は、複数の穴(例えば、約20個~約80個の穴または約40個~約60個の穴または約45個~約55個の穴)を含む。
【0313】
通気部は、プレナムチャンバ3200内に配置され得る。あるいは、通気部は、患者インターフェースの別の部分(例えば、プレナムチャンバ3200と接続ポート3600を流体接続する管3350)内に配置され得る。
【0314】
8.3.5 結合解除構造(単数または複数)
一形態において、患者インターフェース3000は、少なくとも1つの結合解除構造(例えば、スイベルまたは球窩)を含む。この結合解除構造は、空気回路4170の導管が患者インターフェース3000に相対して移動することおよびシール形成構造3100と患者の顔との間のシールの不安定化の危険性を低下させることが可能になるように、接続ポート3600またはその近隣に配置され得る。
【0315】
8.3.6 接続ポート
接続ポート3600は、空気回路4170への接続を可能にする。図3および図5図17に示す本技術の実施形態において、例えば、接続ポートは、患者インターフェース3000が装着される際に患者頭部上に配置される。他の実施形態において、接続ポートは、使用時に患者頭部の上部、側部または後部の近隣に配置されるように構成される。接続ポートが患者の顔の前方に配置されない患者インターフェースの場合、患者によっては導管が顔の前方の患者インターフェースに接続すると目障りかつ不快に感じられるため、有利であり得る。例えば、顔前方の患者インターフェースへ接続する導管の場合、特に使用時に導管が患者インターフェースから下方に伸展する場合、寝具と絡まり易い可能性がある。
【0316】
8.3.7 前額支持部
一形態において、患者インターフェース3000は、前額支持部を含む。この前額支持部は、使用時において患者の前額領域と接触して患者頭部上の患者インターフェースを支持し、密閉構造の患者の顔との密閉接触を維持することを支援する。
【0317】
8.3.8 窒息防止弁
本技術のいくつかの形態において、患者インターフェース3000は、停電時に患者が周囲空気を呼吸することを可能にするように、構築および配置される。一形態において、患者インターフェース3000は、窒息防止弁を含む。
【0318】
8.3.9 ポート
本技術の一形態において、患者インターフェース3000は、プレナムチャンバ3200内の量へのアクセスを可能にする1つ以上のポートを含む。一形態において、これにより、臨床医が補充酸素を供給することが可能になる。一形態において、これにより、プレナムチャンバ3200内のガス(例えば、圧力)の特性を直接測定することが可能になる。
【0319】
8.4 RPTデバイス
本技術の一態様によるRPTデバイス4000(図4Aに示すような)は、機械コンポーネントおよび空気圧式コンポーネント4100、電気部品4200を含み、1つ以上のアルゴリズム4300を実行するように構成される。RPTデバイスは、外部ハウジング4010を持ち得る。外部ハウジング4010は、上部4012および下部4014の2つの部分によって形成される。さらに、外部ハウジング4010は、1つ以上のパネル(単数または複数)4015を含み得る。RPTデバイス4000は、RPTデバイス4000の1つ以上の内部コンポーネントを支持するシャーシ4016を含む。RPTデバイス4000は、ハンドル4018を含み得る。
【0320】
空気圧RPTデバイス4000の空気圧経路は、1つ以上の空気回路アイテム(例えば、入口空気フィルタ4112、入口マフラー4122、空気を陽圧で供給することが可能な圧力生成器4140(例えば、送風機4142)、出口マフラー4124)ならびに1つ以上の変換器4270(例えば、圧力センサ4272および流量センサ4274)を含み得る。
【0321】
空気経路アイテムのうち1つ以上は、空気圧ブロック4020と呼ばれる取り外し可能な一体構造内に配置され得る。空気圧ブロック4020は、外部ハウジング4010内に配置され得る。一形態において、空気圧ブロック4020は、シャーシ4016によって支持されるかまたはシャーシ4016の一部として形成される。
【0322】
RPTデバイス4000は、電源4210、1つ以上の入力デバイス4220、中央コントローラ4230、治療デバイスコントローラ4240、圧力生成器4140、1つ以上の保護回路4250、メモリ4260、変換器4270、データ通信インターフェース4280、および1つ以上の出力デバイス4290を有することができる。電気部品4200は、単一のプリント回路基板アセンブリ(PCBA)4202上に取り付けられ得る。一代替形態において、RPTデバイス4000は、1つよりも多くのPCBA4202を含み得る。
【0323】
8.4.1 RPTデバイス機械および空気圧式コンポーネント
RPTデバイスは、以下のコンポーネントのうち1つ以上を一体ユニット中に含み得る。一代替形態において、以下のコンポーネントのうち1つ以上が、それぞれの別個のユニットとして配置され得る。
【0324】
8.4.1.1 空気フィルタ
本技術の一形態によるRPTデバイスは、空気フィルタ4110または複数の空気フィルタ4110を含み得る。
【0325】
一形態において、入口空気フィルタ4112は、圧力生成器4140の空気圧経路上流の始まり部に配置される。
【0326】
一形態において、出口空気フィルタ4114(例えば抗菌ファクタ)は、空気圧ブロック4020の出口と、患者インターフェース3000との間に配置される。
【0327】
8.4.1.2 圧力生成器
本技術の一形態において、空気の流れまたは供給を陽圧において生成する圧力生成器4140は、制御可能な送風機4142である。例えば、送風機4142は、ボリュート内に収容された1つ以上のインペラを備えたブラシレスDCモータ4144を含み得る。送風機は、空気供給の送達を例えば約120リットル/分までの速度で、約4cmHO~約20cmHOの範囲の陽圧で、または他の形態において約30cmHOまで行うことができる。送風機については、以下の特許または特許出願のうちいずれか1つに記載があり得る。本明細書中、同文献全体を参考のため援用する:特許文献14、特許文献15、特許文献16、および特許文献17。
【0328】
圧力生成器4140は、治療デバイスコントローラ4240の制御下にある。
【0329】
他の形態において、圧力生成器4140は、ピストン駆動ポンプ、高圧源(例えば、圧縮空気リザーバ)へ接続された圧力調節器、またはベローズであり得る。
【0330】
8.4.1.3 空気回路
本技術の一態様による空気回路4170は、使用時において空気流れが2つのコンポーネント(例えば、RPTデバイス4000および患者インターフェース3000)間に移動するように、構築および配置された導管またはチューブである。
【0331】
詳細には、空気回路4170は、RPTデバイス4000の出口および患者インターフェース3000と流体接続し得る。空気回路は、空気送達管または導管と呼ばれ得る。いくつかの場合において、吸息および呼息のための回路の別個の肢があり得る。他の場合において、単一の肢が用いられる。
【0332】
いくつかの形態において、空気回路4170は、(例えば空気温度の維持または上昇のために)空気回路中の空気を加熱するように構成された1つ以上の加熱要素を含み得る。加熱要素は、加熱ワイヤ回路の形態をとり得、1つ以上の変換器(例えば、温度センサー)を含み得る。一形態において、加熱ワイヤ回路は、空気回路4170の軸周囲にらせん状に巻かれ得る。加熱要素は、コントローラ(例えば、中央コントローラ4230)と連通し得る。加熱ワイヤ回路を含む空気回路4170の一実施例について、特許文献18に記載がある。本明細書中、同文献全体を参考のため援用する。
【0333】
8.5 加湿器
8.5.1 加湿器の概要
本技術の一形態において、患者へ送達されるべき空気またはガスの絶対湿度を周囲空気に相対して変化させるための加湿器5000が提供される(例えば、図5Aに示すようなもの)。典型的には、加湿器5000は、患者気道へ送達される前に空気流れの(周囲空気に相対する)絶対湿度を増加させかつ温度を増加させるために、用いられる。
【0334】
加湿器5000は、加湿器リザーバ5110と、空気流れを受容する加湿器入口5002と、加湿された空気流れを送達させるための加湿器出口5004とを含み得る。図5Aおよび図5Bに示すようないくつかの形態において、加湿器リザーバ5110の入口および出口はそれぞれ、加湿器入口5002および加湿器出口5004であり得る。加湿器5000は、加湿器ベース5006をさらに含み得る。加湿器ベース5006は、加湿器リザーバ5110を受容するように適合され得、加熱要素5240を含み得る。
【0335】
8.6 用語集
本技術の開示目的のため、本技術の特定の形態において、以下の定義のうち1つ以上が適用され得る。本技術の他の形態において、別の定義も適用され得る。
【0336】
8.6.1 一般
空気:本技術の特定の形態において、空気は大気を意味し得、本技術の他の形態において、空気は、他の呼吸可能なガスの組み合わせ(例えば、酸素を豊富に含む大気)を意味し得る。
【0337】
雰囲気:本技術の特定の形態において、「雰囲気」という用語は、(i)治療システムまたは患者の外部、および(ii)治療システムまたは患者を直接包囲するものを意味するものとしてとられるべきである。
【0338】
例えば、加湿器に対する雰囲気湿度とは、加湿器を直接包囲する空気の湿度であり得る(例えば、患者が睡眠をとっている部屋の内部の湿度)。このような雰囲気湿度は、患者が睡眠をとっている部屋の外部の湿度と異なる場合がある。
【0339】
別の実施例において、雰囲気圧力は、身体の直接周囲または外部の圧力であり得る。
【0340】
特定の形態において、雰囲気(例えば、音響)ノイズは、例えばRPTデバイスから発生するかまたはマスクまたは患者インターフェースから発生するノイズ以外の、患者の居る部屋の中のバックグラウンドノイズレベルとみなすことができる。雰囲気ノイズは、部屋の外の発生源から発生し得る。
【0341】
自動的な気道陽圧(APAP)療法:SDB発症の兆候の存在または不在に応じて、例えば、呼吸間に最小限界と最大限界との間で治療圧力を自動的に調節することが可能なCPAP療法。
【0342】
持続的気道陽圧(CPAP)療法:治療圧力が患者の呼吸サイクルを通じてほぼ一定である呼吸圧療法。いくつかの形態において、気道への入口における圧力は、呼息時において若干上昇し、吸息時において若干低下する。いくつかの形態において、圧力は、患者の異なる呼吸サイクル間において変動する(例えば、部分的な上気道閉塞の兆候の検出に応答して増加され、部分的な上気道閉塞の通知の不在時において低減される)。
【0343】
流量:単位時間あたりに送出される空気の瞬時の量(または質量)。流量とは、瞬間の量を指し得る。場合によっては、流量について言及した場合、スカラー量(すなわち、大きさのみを有する量)を指す。他の場合において、流量について言及した場合、ベクトル量(すなわち、大きさおよび方向両方を持つ量)を指す。流量には、符号Qが付与され得る。「流量」を簡略的に「流れ」と呼ぶ場合もある。
【0344】
患者の呼吸の実施例において、流量は、患者の呼吸サイクルの吸気部分に対してノミナルに陽圧であり得るため、患者の呼吸サイクルの呼気部分に対して負であり得る。合計流量Qtは、RPTデバイスから退出する空気の流量である。通気流量Qvは、吐き出されたガスの流出を可能にするために通気部から退出する空気の流量である。漏洩流量Qlは、患者インターフェースシステムまたは他の場所からの漏洩の流量である。呼吸流量Qrは、患者の呼吸器系中に受容される空気の流量である。
【0345】
漏洩:「漏洩」という用語は、意図しない空気流れとしてとられる。一実施例において、漏洩は、マスクと患者の顔との間のシールが不完全であることに起因して発生し得る。別の実施例において、漏洩は、周囲に対するスイベルエルボーにおいて発生し得る。
【0346】
ノイズ伝導(音響):本文書において、伝導ノイズとは、空気圧経路(例えば、空気回路および患者インターフェースおよびその内部の空気)によって患者へ搬送されるノイズを指す。一形態において、伝導ノイズは、空気回路の端部における音圧レベルを測定することにより、定量化され得る。
【0347】
ノイズ放射(音響):本文書において、放射ノイズとは、周囲空気によって患者へ搬送されるノイズを指す。一形態において、放射ノイズは、当該対象の音響パワー/圧力レベルをISO3744に従って測定することにより、定量化され得る。
【0348】
ノイズ通気(音響):本文書において、通気ノイズとは、任意の通気(例えば、患者インターフェース中の通気穴)を通じた空気流れにより生成されるノイズを指す。
【0349】
患者:呼吸器疾患に罹患しているかまたはしていない人。
【0350】
圧力:単位面積あたりの力。圧力は、多様な単位で表現測定され得る(例えば、cmHO、g-f/cm、及びヘクトパスカル)。1cmHOは、1g-f/cmに等しく、およそ0.98ヘクトパスカルである。本明細書において、他に明記無き限り、圧力はcmHOの単位で付与される。
【0351】
患者インターフェース中の圧力には記号Pmが付与され、現時点においてマスク圧力Pmが達成すべき目標値を表す治療圧力には記号Ptが付与される。
【0352】
呼吸圧力治療(RPT):雰囲気に対して典型的には陽圧である治療圧力における空気供給の気道入口への付加。
【0353】
人工呼吸器:患者が呼吸動作の一部または全てを行い際に圧力補助を提供する機械的デバイス。
【0354】
8.6.1.1 材料
シリコーンまたはシリコーンエラストマー:合成ゴム。本明細書において、シリコーンについて言及される場合、液体シリコーンゴム(LSR)または圧縮成形シリコーンゴム(CMSR)を指す。市販のLSRの一形態として、Dow Corningによって製造されるSILASTIC(この登録商標下において販売される製品群に含まれる)がある。別のLSR製造業者として、Wackerがある。他に逆の明記無き限り、例示的形態のLSRのASTMD2240によって測定した場合のショアA(またはタイプA)押込み硬さは、約35~約45である。
【0355】
ポリカーボネート:典型的には、ビスフェノールAカーボネートの透明な熱可塑性ポリマーである。
【0356】
8.6.1.2 機械的特性
弾性:弾性変形時にエネルギーを吸収することおよび除荷時にエネルギーを解放することが可能な材料の能力。
・「弾性」:除荷時に実質的に全てのエネルギーを解放する。例えば特定のシリコーンおよび熱可塑性エラストマーを含む。
【0357】
硬度:材料自体の変形に抵抗する能力(例えば、ヤング係数または規格化されたサンプルサイズ上において測定された押込硬さスケールによって記述されたもの)。
・「軟性」材料は、シリコーンまたは熱可塑性エラストマー(TPE)を含み得、例えば指圧力下において容易に変形し得る。
・「硬質」材料は、ポリカーボネート、ポリプロピレン、鋼またはアルミニウムを含み得、例えば指圧力下において容易に変形し得ない。
【0358】
構造または構成要素の剛度(または剛性):構造または構成要素が負荷を受けたときに変形に抵抗する能力。負荷は、力またはモーメントであり得る(例えば、圧縮、伸張、屈曲またはねじれ)。構造または構成要素は、異なる方向において異なる抵抗を提供し得る。
・「フロッピー」構造または構成要素:自重を支持させられた際に比較的短期間(例えば、1秒)以内に形状を変化させる(例えば、屈曲する)構造または構成要素。
・「剛性」の構造または構成要素:使用時において典型的に遭遇する負荷を受けた際に実質的に形状変化の無い構造または構成要素。このような用途の実施例として、患者インターフェースを例えばおよそ20~30cmHOの圧力の負荷において患者の気道への入口に対して密閉した様態でセットアップおよび維持することがあり得る。
【0359】
一実施例として、I形ばりは、第2の直交方向と比較した第1の方向において、異なる曲げ剛性(曲げ負荷に対する抵抗)を含み得る。別の実施例において、構造または構成要素は、第1の方向においてはフロッピーであり得、第2の方向においては剛性であり得る。
【0360】
8.6.2 呼吸サイクル
無呼吸:いくつかの定義によれば、無呼吸とは、所定の閾値を下回った流れが例えば10秒間の継続期間にわたって継続した場合に発生したと言われる。閉塞性無呼吸とは、患者の労作にもかかわらず、何らかの気道閉塞により空気の流れが許されないときに発生すると言われる。中枢性無呼吸とは、気道が開通しているにも関わらず呼吸努力の低下または呼吸努力の不在に起因して無呼吸が検出された状態を指すと言われる。混合無呼吸とは、呼吸努力の低下または不在が気道閉塞と同時発生した状態を指すと言われる。
【0361】
呼吸速度:患者の自発呼吸速度であり、通常は毎分あたりの呼吸回数で測定される。
【0362】
負荷サイクル:吸息時間Tiの合計呼吸時間Ttotに対する比。
【0363】
労作(呼吸):呼吸努力は、呼吸しようとしている人の自発呼吸によって行われる動きを指すと言われる。
【0364】
呼吸サイクルの呼気部分:呼気流れの開始から吸気流れの開始までの期間。
【0365】
流量制限:流量制限は、患者による労作の増大が流量の対応する増大を引き起こさない患者の呼吸における状況であると解釈される。呼吸サイクルの吸気部分において流量制限が発生した場合、当該流量制限は吸気流量制限と称することができる。呼吸サイクルの呼気部分において流量制限が発生した場合、当該流量制限は呼気流量制限と称することができる。
【0366】
流れ制限吸気の波形の種類:
(i) 平坦化:上昇の後に比較的平坦な部位が続いた後、下降が発生すること。
(ii) M字型:立ち上がりにおいて1つおよび立ち下がりにおいて1つの2つの局所的ピークを持ち、これら2つのピークの間に比較的平坦な部位がある。
(iii) 椅子状:単一の局所的ピークを持ち、このピークが立ち上がり部分に発生した後、比較的平坦な部位が続く。
(iv) 逆椅子状:比較的平坦な部位の後に単一の局所的ピークが続き、このピークが立ち下がり部分に発生する。
【0367】
呼吸低下:一部の定義によれば、呼吸低下は、流れの中断ではなく、流れの低下を意味する。一形態において、閾値速度を下回った流れ低下が継続期間にわたって続いた場合、呼吸低下が発生したと言われる。呼吸努力の低下に起因して呼吸低下が検出された場合、中枢性呼吸低下が発生したと言われる。成人の一形態において以下のうちいずれかが発生した場合、呼吸低下と見なされ得る:
(i)患者呼吸の30%の低下が少なくとも10秒+関連する4%の脱飽和、または、
(ii)患者呼吸の(50%未満の)低下が少なくとも10秒間継続し、関連して脱飽和が少なくとも3%であるかまたは覚醒が発生する。
【0368】
過呼吸:流れが通常の流量よりも高いレベルまで増加すること。
【0369】
呼吸サイクルの吸気部分:吸気流れの開始から呼気流れの開始までの期間が、呼吸サイクルの吸気部分としてとられる。
【0370】
開通性(気道):気道が開いている度合いまたは気道が開いている範囲。気道開通性とは、開口である。気道開通性の定量化は、例えば、開通性を示す値(1)と、閉鎖(閉塞)を示す値(0)で行われ得る。
【0371】
呼気終末陽圧(PEEP):肺中の大気を越える圧力であり、呼気終了時に存在する。
【0372】
ピーク流量(Qpeak):呼吸流れ波形の吸気部分における流量最大値。
【0373】
呼吸気流量、空気流量、患者の空気流量、呼吸気空気流量(Qr):これらの用語は、RPTデバイスの呼吸空気流量の推定を指すものとして理解され得、通常リットル/分で表される患者の実際の呼吸流量である「真の呼吸流量」または「真の呼吸気流量」と対照的に用いられる。
【0374】
1回換気量(Vt):余分な努力をせずに通常の呼吸時に吸い込まれたかまたは吐き出された空気の量である。
【0375】
(吸息)時間(Ti):呼吸流量波形の吸気部分の継続期間。
【0376】
(呼息)時間(Te):呼吸流量波形の呼気部分の継続期間。
【0377】
(合計)時間(Ttot):呼吸流量波形の一つの吸気部分の開始と呼吸流量波形の次の吸気部分の開始との間の合計継続期間。
【0378】
典型的な最近の換気:所定の時間スケールにわたる換気Ventの直近値が密集する傾向となる換気値(すなわち、換気の直近値の中心の傾向の度合い)。
【0379】
上気道閉塞(UAO):部分的な上気道閉塞および合計上気道閉塞両方を含む。上気道上の圧力差の増加(スターリングレジスタ挙動)と共に流量がわずかに増加するかまたは低下し得る流量制限の状態と関連し得る。
【0380】
換気(Vent):患者の呼吸器系によって行われるガス交換率の測定。換気の測定は、単位時間あたりの吸気および呼気流のうち片方または双方を含み得る。1分あたりの体積として表される場合、この量は、「分換気」と呼ばれることが多い。分換気は、単に体積として付与されることもあり、1分あたりの体積として理解される。
【0381】
8.6.3 換気
適応サーボ人工呼吸器(ASV):一定の目標換気を持つのではなく変更が可能なサーボ人工呼吸器。変更可能な目標換気は、患者の何らかの特性(例えば、患者の呼吸特性)から学習され得る。
【0382】
バックアップレート:人工呼吸器のパラメータであり、(自発呼吸努力によってトリガされない場合に)人工呼吸器から患者へ送達される最小呼吸速度(典型的には、1分あたりの呼吸数)を確立させる。
【0383】
サイクル:人工呼吸器の吸気フェーズの終了。自発呼吸をしている患者へ人工呼吸器から呼吸を送達する場合、呼吸サイクルの吸気部分の終了時において、当該人工呼吸器は、呼吸送達を停止するようサイクルされると言われる。
【0384】
呼気の気道陽圧(EPAP):、人工呼吸器が所与の時期に達成しようとする所望のマスク圧力の生成のために、呼吸内において変化する圧力が付加される基本圧力。
【0385】
終了時呼気圧力(EEP):呼吸の呼気部分の終了時において人工呼吸器が達成しようとする所望のマスク圧力。圧力波形テンプレートΠ(Φ)が呼気終了時にゼロの値である(すなわち、Φ=1のときにΠ(Φ)=0である場合)、EEPはEPAPに等しい。
【0386】
吸息の気道陽圧(IPAP):呼吸の吸気部分時に人工呼吸器が達成しようとする最大の所望のマスク圧力。
【0387】
圧力補助:人工呼吸器吸気時における当該人工呼吸器呼気時における圧力増加を示す数であり、吸気時の最大値と、基本圧力との間の圧力差を主に意味する(例えば、PS=IPAP‐EPAP)。いくつかの文脈において、圧力補助とは、(人工呼吸器が実際に達成する差ではなく)人工呼吸器が達成しようとする差を意味する。
【0388】
サーボ人工呼吸器:患者換気を有しかつ目標換気を有する人工呼吸器であり、患者換気を目標換気に近づけるために圧力補助レベルを調節する。
【0389】
自発/タイミング(S/T):自発呼吸している患者の呼吸の開始を検出しようとする、人工呼吸器または他のデバイスのモード。しかし、デバイスが所定期間の間に呼吸を検出できない場合、デバイスは、呼吸送達を自動的に開始する。
【0390】
スイング:圧力補助に相当する用語。
【0391】
トリガ:人工呼吸器が自発呼吸する患者へ空気の呼吸を送達する場合、患者自身が呼吸周期の呼吸部分を開始したとき、当該人工呼吸器が呼吸送達を行うようトリガされたと言う。
【0392】
典型的な最近の換気:典型的な最近の換気Vtypは、一定の所定の時間スケールにわたって最近の換気測定が密集する傾向となる一定範囲の値である。例えば、最近の履歴にわたる換気測定の中心的傾向の測定は、典型的な最近の換気の適切な値であり得る。
【0393】
8.6.4 解剖学的構造
8.6.4.1 顔の解剖学的構造
翼(Ala):外部の外壁または各鼻穴の「翼」(複数形:alar)
【0394】
Alare:鼻翼上の最外側の点。
【0395】
翼曲率(または鼻翼頂上)点:各翼の曲線状基準線における最後方点であり、翼および頬の結合によって形成される折り目において見受けられる。
【0396】
耳介:耳の視認できる部分全体。
【0397】
(鼻)骨格:鼻の骨格は、鼻骨、上顎骨の前頭突起および前頭骨の鼻部分を含む。
【0398】
(鼻)軟骨格:鼻の軟骨格は、中隔軟骨、外側軟骨、大軟骨および小軟骨を含む。
【0399】
鼻柱:鼻孔を分離する皮膚片であり、鼻尖点から上唇へ延びる。
【0400】
鼻柱角度:鼻穴の中点を通じて引かれる線と、鼻下点と交差しつつフランクフルト水平に対して垂直に引かれる線との間の角度。
【0401】
フランクフォート水平面:眼窩縁の最下側点から左耳点へ延びる線。耳点は、ノッチ上側から耳介の耳珠への最も深い点である。
【0402】
眉間:軟組織中に配置され、前額部の正中矢状において最も顕著な点。
【0403】
外側鼻軟骨:軟骨の概して三角形の板。その上側周縁は鼻骨および上顎骨の前頭突起へ取り付けられ、その下側周縁は大鼻翼軟骨へ接続される。
【0404】
唇、下側(下唇:labrale inferius):
【0405】
唇、上側(上唇:labrale superius):
【0406】
大鼻翼軟骨:軟骨の板であり、外側鼻軟骨の下側に配置される。これは、鼻孔の前方部分の周囲において曲線状になる。その後端は、3つまたは4つの翼の小軟骨を含む強靱な線維膜により、上顎骨の前頭突起へ接続される。
【0407】
鼻孔(鼻穴):概して楕円体の翼穴であり、鼻腔への入口を形成する。鼻孔(nares)の単数形は鼻孔(naris)(鼻穴)である。これらの鼻孔は、鼻中隔によって分離される。
【0408】
鼻唇溝または鼻唇折り目:皮膚の折り目または溝であり、鼻の各側から口腔の角部へ延びて、頬を上唇から分離させる。
【0409】
鼻唇角:鼻柱と上唇との間の角度であり、鼻下点と交差する。
【0410】
耳基底下点:耳介の顔の皮膚への取り付けの最低点。
【0411】
耳基底上点:耳介の顔の皮膚への取り付けの最高点。
【0412】
鼻尖点:鼻の最も突出した点または先端であり、頭部の部分の残り部分の側面図中に確認され得る。
【0413】
人中:鼻中隔の下側境界から上唇領域中の唇の上部へ延びる正中線溝。
【0414】
ポゴニオン:軟組織上に配置された、顎の最前方中点。
【0415】
(鼻)堤:鼻堤は、鼻の正中線隆起であり、セリオンから鼻尖点へ延びる。
【0416】
矢状面:前方(前)から後方(後)へ続く垂直面であり、本体を右半分および左半分に分割する。
【0417】
セリオン:軟組織上に配置された、前頭鼻骨縫合の領域上の最も凹状の点である。
【0418】
中隔軟骨(鼻):鼻中隔軟骨は、隔膜の一部であり、鼻腔の前部分を分割する。
【0419】
鼻翼最下点:翼ベースの下側周縁における点であり、翼ベースは上(上)唇の皮膚と接合する。
【0420】
鼻下点:軟組織上に配置され、鼻柱が正中矢状における上唇と合体する点。
【0421】
スプラメンターレ:下唇中点と軟組織ポゴニオンとの間の下唇の正中線中の最も凹状の点。
【0422】
8.6.4.2 頭蓋骨の解剖学的構造
前頭骨:前頭骨は、前額部として知られる領域に対応する大型垂直部分である前頭鱗を含む。
【0423】
下顎:下顎は、下側顎部を形成する。オトガイ隆起は、顎部の骨隆起であり、顎を形成する。
【0424】
上顎骨:上顎骨は、上側顎部を形成し、下顎の下側および眼窩の下側に配置される。上顎骨の前頭突起は、鼻の側部によって上方に突出し、その外側境界の部分を形成する。
【0425】
鼻骨:鼻骨は、2つの小さな長方形骨であり、個人によってサイズおよび形態が異なる。鼻骨は、顔の中間部分および上部分に並んで配置され、その接合により鼻の「ブリッジ」を形成する。
【0426】
鼻根点:前頭骨および2本の鼻骨の交差であり、眼と鼻のブリッジの上側との間に直接設けられた凹領域である。
【0427】
後頭骨:後頭骨は、頭蓋の裏および下側部分に配置される。後頭骨は、楕円穴である大後頭孔を含み、この穴を通じて、頭蓋内腔が椎管と連痛する。大後頭孔の後側の曲面板は、後頭鱗である。
【0428】
眼窩:頭蓋骨中の骨空洞であり、眼球を含む。
【0429】
頭頂骨:頭頂骨は、相互に接合されると頭蓋の頂部および側部を形成する骨である。
【0430】
側頭骨:側頭骨は、頭蓋骨のベースおよび側部上に配置され、こめかみとして知られる顔の部分を支持する。
【0431】
頬骨:顔に含まれる2つの頬骨は、顔の上側部分および外側部分中に配置され、頬の隆起を形成する。
【0432】
8.6.4.3呼吸器系の解剖学的構造
横隔膜:シート状の筋肉であり、胸郭下部上に延びる。横隔膜は、心臓、肺および肋骨を含む胸腔を腹腔から分離させる。横隔膜が収縮すると、胸腔の容量が増加し、肺中に空気が引き込まれる。
【0433】
喉頭:声帯ひだを収容する喉頭または発声器であり、咽頭の下部(下咽頭)を気管へ接続させる。
【0434】
肺:ヒトにおける呼吸臓器。肺の伝導性ゾーンは、気管、気管支、気管支、および終末細気管支を含む。呼吸領域は、呼吸細気管支、肺胞管および肺胞を含む。
【0435】
鼻腔:鼻腔(または鼻窩)は、顔の中央の鼻の上方および後方の空気が充填された大きな空間である。鼻腔は、鼻中隔と呼ばれる垂直フィンによって2つに分割される。鼻腔の側部には、鼻甲介または鼻介骨と呼ばれる3つの水平伸長物がある。鼻腔の前方には鼻があり、後方は後鼻孔を介して鼻咽頭内に繋がる。
【0436】
咽頭:鼻腔の直接下側(下方)に配置されかつ食道および喉頭の上方に配置された咽喉の部分。咽頭は、従来から以下の3つの部分へ区分される:鼻咽頭(上咽頭)(咽頭の鼻部分)、口咽頭(中咽頭)(咽頭の口部分)、および咽喉(下咽頭)。
【0437】
8.6.5 患者インターフェース
窒息防止弁(AAV):マスクシステムの構成要素またはサブアセンブリであり、フェールセーフ様態での雰囲気中への開口により、患者による過度のCO2の再呼吸の危険性を低減させる。
【0438】
エルボー:エルボーは、内部を移動する空気の流れの軸を方向付けて、角度を通じて方向を変化させる構造の実施例である。一形態において、角度はおよそ90度であり得る。別の形態において、角度は、90度超過または未満であり得る。エルボーは、ほぼ円形の断面を持ち得る。別の形態において、エルボーは、楕円または矩形の断面を持ち得る。特定の形態において、エルボーは、噛み合い構成要素に対して例えば約360度で回転可能であり得る。特定の形態において、エルボーは、噛み合いコンポーネントから例えばスナップ接続を介して取り外すことが可能であり得る。特定の形態において、エルボーは、製造時にワンタイムスナップを介して噛み合いコンポーネントへ組み付けることが可能である一方、患者が取り外すことはできない。
【0439】
フレーム:フレームは、ヘッドギアを接続する2つ以上の点間の引張荷重を支持するマスク構造を意味するものとしてとられる。マスクフレームは、マスク中の非気密負荷支持構造であり得る。しかし、いくつかの形態のマスクフレームは、気密であってもよい。
【0440】
ヘッドギア:ヘッドギアは、頭部上において使用されるように設計された、一形態の位置決めおよび安定化構造を意味するものとしてとられる。例えば、ヘッドギアは、患者インターフェースを呼吸治療の送達のために患者の顔上の所定位置に配置および保持するように構成された1つ以上の支柱、タイおよび補剛材の集合を含み得る。いくつかのタイは、柔らかい可撓性の弾性材料(例えば、発泡材料および布地の層状複合材)によって形成される。
【0441】
膜:膜は、典型的には肉薄の要素を意味するものとしてとられ、好適には屈曲に対して実質的に抵抗せずかつ伸縮に対しては抵抗する。
【0442】
プレナムチャンバ:マスクプレナムチャンバは、空間の容積を少なくとも部分的に封入する壁を有する患者インターフェースの一部を意味するものとしてとられ、容積中の空気は、加圧されて使用時において気圧を超える。シェルは、マスクプレナムチャンバの壁の一部を形成し得る。
【0443】
シール:名詞(「シール」)として用いられる場合は構造を指し得、動詞(「密閉(する)」)として用いられる場合はその効果を指し得る。2つの要素は、別個の「シール」要素自体を必要とすることなく両者間において「シール」するかまたは「密閉」効果を得るように、構築および/または配置され得る。
【0444】
シェル:シェルは、屈曲、引っ張りおよび圧縮剛性を有する曲線状の比較的肉薄構造を意味するものとしてとられる。例えば、マスクの曲線状構造壁は、シェルであり得る。いくつかの形態において、シェルはファセットされ得る。いくつかの形態において、シェルは気密であり得る。いくつかの形態において、シェルは気密でない場合もある。
【0445】
補剛材:補剛材は、別の構成要素の剛軟度を少なくとも1つの方向において増加させるように設計された構造構成要素を意味するものとしてとられる。
【0446】
支柱:支柱は、別の構成要素の圧縮抵抗を少なくとも1つの方向において増加させるように設計された構造構成要素を意味するものとしてとられる。
【0447】
スイベル(名詞):構成要素のサブアセンブリであり、共通軸の周囲において好適には独立して好適には低トルク下において回転するように構成される。一形態において、スイベルは、少なくとも360度の角度で回転するように構成され得る。別の形態において、スイベルは、360度未満の角度で回転するように構成され得る。空気送達導管の文脈において用いられる場合、構成要素のサブアセンブリは好適には、一対組み合わせの円筒導管を含む。使用時において、スイベルからの空気漏れはほとんど無い。
【0448】
タイ(名詞):張力に抵抗するように設計された構造。
【0449】
通気部:(名詞):マスクまたは導管の内部の周囲空気への空気流れを可能にする構造であり、吐き出されたガスの臨床的に有効な洗い流しを可能にする。例えば、臨床的に有効な洗い流しにおいては、約10リットル/分~約100リットル/分の流量がマスク設計および治療圧力に応じて用いられ得る。
【0450】
8.7 他の注意事項
本特許文書の開示の一部は、著作権保護が与えられる内容を含む。著作権所有者は、何者かが本特許文書または本特許開示をファックスにより再生しても、特許庁の特許ファイルまたは記録に記載されるものであれば目的のものであれば異論は無いが、その他の目的については全ての著作権を保持する。
【0451】
他に文脈から明確に分かる場合および一定の範囲の値が提供されていない限り、下限の単位の1/10、当該範囲の上限と下限の間、および記載の範囲の他の任意の記載の値または介入値に対する各介入値は本技術に包含されることが理解される。介入範囲中に独立的に含まれるこれらの介入範囲の上限および下限が記載の範囲における制限を特に超えた場合も、本技術に包含される。記載の範囲がこれらの制限のうち1つまたは双方を含む場合、これらの記載の制限のいずれかまたは双方を超える範囲も、本技術に包含される。
【0452】
さらに、本明細書中に値(単数または複数)が本技術の一部として具現される場合、他に明記無き限り、このような値が近似され得、実際的な技術的実行が許容または要求する範囲まで任意の適切な有効桁までこのような値を用いることが可能であると理解される。
【0453】
他に明記しない限り、本明細書中の全ての技術用語および科学用語は、本技術が属する分野の当業者が一般的に理解するような意味と同じ意味を持つ。本明細書中に記載の方法および材料に類似するかまたは等しい任意の方法および材料を本技術の実践または試験において用いることが可能であるが、限られた数の例示的方法および材料が本明細書中に記載される。
【0454】
特定の材料が構成要素の構築に好適に用いられるものとして記載されているが、特性が類似する明白な代替的材料が代替物として用いられる。さらに、それとは反対に記載無き限り、本明細書中に記載される任意および全ての構成要素は、製造可能なものとして理解されるため、集合的にまたは別個に製造され得る。
【0455】
本明細書中及び添付の特許請求の範囲において用いられるように、単数形である「a」、「an」および「the」は、文脈から明らかにそうでないことが示されない限り、その複数の均等物を含む点に留意されたい。
【0456】
本明細書中に記載される公開文献は全て、これらの公開文献の対象である方法および/または材料の開示および記載、参考のために援用される。本明細書中に記載の公開文献は、本出願の出願日前のその開示内容のみのために提供するものである。本明細書中のいずれの内容も、本技術が先行特許のためにこのような公開文献に先行していない、認めるものと解釈されるべきではない。さらに、記載の公開文献の日付は、実際の公開文献の日付と異なる場合があり、個別に確認が必要であり得る。
【0457】
「comprises」および「comprising」という用語は、要素、構成要素またはステップを非排他的な意味合いで指すものとして解釈されるべきであり、記載の要素、構成要素またはステップが明記されていない他の要素、構成要素またはステップと共に存在、利用または結合され得ることを示す。
【0458】
詳細な説明において用いられる見出しは、読者の便宜のためのものであり、本開示または特許請求の範囲全体において見受けられる内容を制限するために用いられるべきではない。これらの見出しは、特許請求の範囲または特許請求の範囲の制限の範囲の解釈において用いられるべきではない。
【0459】
本明細書中の技術について、特定の実施例を参照して述べてきたが、これらの実施例は本技術の原理および用途を例示したものに過ぎないことが理解されるべきである。いくつかの場合において、用語および記号は、本技術の実施に不要な特定の詳細を示し得る。例えば、「first(第1の)」および「second(第2の)」(など)という用語が用いられるが、他に明記無き限り、これらの用語は任意の順序を示すことを意図しておらず、別個の要素を区別するために用いられる。さらに、本方法におけるプロセスステップについての記載または例示を順序付けて述べる場合があるが、このような順序は不要である。当業者であれば、このような順序が変更可能でありかつ/またはその様態を同時にまたはさらに同期的に行うことが可能であることを認識する。
【0460】
よって、本技術の意図および範囲から逸脱することなく、例示的な実施例において多数の変更例が可能であり、また、他の配置構成が考案され得ることが理解されるべきである。
【0461】
さらに、本発明では以下の例を含むことも好ましい。
[項1]
シール形成構造を患者頭部上の治療的に有効な位置に保持するための位置決めおよび安定化構造であって、前記シール形成構造は、使用時において前記患者の呼吸サイクル全体において空気流れを周囲空気圧力に対して少なくとも4cmH2Oの治療圧力において密閉送達するために、前記患者の気道への入口を包囲する前記患者の顔の領域とのシールを形成するように構築および配置され、前記位置決めおよび安定化構造は:
前記空気流れを前記シール形成構造を介して前記患者の気道の入口へ送達させるための少なくとも1つのガス送達管であって、前記少なくとも1つのガス送達管は、使用時に前記患者頭部の耳基底上点の上方の前記患者頭部の少なくとも一領域と接触するように構築および配置される、少なくとも1つのガス送達管と;
異なるサイズの頭部にフィットさせるための前記位置決めおよび安定化構造を可能にするための前記少なくとも1つのガス送達管の調節のための調節機構と;
使用時に前記シール形成構造を前記患者の気道の前記入口へ推進させるための付勢力を前記少なくとも1つのガス送達管の長さのうち少なくとも一部に沿って付与する付勢機構と、
を含む、位置決めおよび安定化構造。
[項2]
前記少なくとも1つのガス送達管は前記調節機構を含む、項1に記載の位置決めおよび安定化構造。
[項3]
前記少なくとも1つのガス送達管は前記付勢機構を含む、項1または2に記載の位置決めおよび安定化構造。
[項4]
使用時に加圧空気の供給へ接続された空気回路へ流体接続する接続ポートをさらに含み、前記接続ポートは、使用時に患者頭部の上部、側部または後部の近隣に配置される、項1~3のうちいずれか一項に記載の位置決めおよび安定化構造。
[項5]
前記付勢機構は、前記シール形成構造と前記接続ポートとの間に設けられた弾性部材を含む、項4に記載の位置決めおよび安定化構造。
[項6]
前記弾性部材は弾性スリーブを含み、前記ガス送達管は、前記弾性スリーブおよび内側ガス送達導管を含み、前記弾性スリーブは前記内側ガス送達導管を被覆する、項5に記載の位置決めおよび安定化構造。
[項7]
前記弾性部材は、弾性材料から形成された前記ガス送達管の一部を含む、項5に記載の位置決めおよび安定化構造。
[項8]
前記弾性部材は、蛇腹構造を有する前記ガス送達管の一部を含む、項5に記載の位置決めおよび安定化構造。
[項9]
前記調節機構は、前記蛇腹構造を含む、項8に記載の位置決めおよび安定化構造。
[項10]
前記蛇腹構造を有するガス送達管の一部は、使用時において前記患者頭部の耳基底上点の上方の前記患者頭部の領域と接触して配置される、項8または9に記載の位置決めおよび安定化構造。
[項11]
前記調節機構により、前記少なくとも1つのガス送達管の長さを連続的長さ範囲にわたって調節することが可能になる、項1~10のうちいずれか一項に記載の可膨張性の位置決めおよび安定化構造。
[項12]
前記ガス送達管は、第1の管部および第2の管部を含み、前記第1の管部は、前記管の長さを調節するように前記第2の管部に相対してテレスコピック的に移動可能である、項1~11のうちいずれか一項に記載の位置決めおよび安定化構造。
[項13]
前記患者インターフェースは、第1の管部と第2の管部との間の相対的なテレスコピック的動きを促進させる1つ以上のタブを含む、項12に記載の位置決めおよび安定化構造。
[項14]
前記患者インターフェースは、前記第1のおよび第2の管部を相対的に複数の別個の位置に固定する管部固定機構を含む、項12または項13に記載の位置決めおよび安定化構造。
[項15]
前記ガス送達管は、前記折り畳み部が折り畳み構成にあるときの前記ガス送達管の長さが前記折り畳み部が折り畳まれていない構成にあるときの前記ガス送達管の長さと異なるような折り畳み部を含む、項1~14のうちいずれか一項に記載の位置決めおよび安定化構造。
[項16]
前記ガス送達管は、蛇腹構造を有する前記ガス送達管の一部中に複数の折り畳み部を含む、項15に記載の位置決めおよび安定化構造。
[項17]
前記調節機構は、前記ガス送達管の引き延ばし可能な部分を含む、項1~16のうちいずれか一項に記載の位置決めおよび安定化構造。
[項18]
前記調節機構は第1の管部を含み、前記第1の管部は、取り外し可能であり、前記第1の管部と異なる長さを有する第2の管部と交換可能である、項1~17のうちいずれか一項に記載の位置決めおよび安定化構造。
[項19]
前記調節機構は、1つ以上の管挿入部材を含み、前記1つ以上の管挿入部材は、前記ガス送達管の長さを変化させるように前記ガス送達管へ選択的に流体接続されるように構成される、項1~18のうちいずれか一項に記載の位置決めおよび安定化構造。
[項20]
前記ガス送達管は、異なるサイズの患者頭部にフィットさせるために前記ガス送達管のうちどこを切断すべきかを示す複数のインジケータを含む、項1~19のうちいずれか一項に記載の位置決めおよび安定化構造。
[項21]
前記調節機構は、前記位置決めおよび安定化構造を異なるサイズの頭部にフィットさせるために前記少なくとも1つのガス送達管を屈曲可能に調節することを可能にするように構成される、項1~19のうちいずれか一項に記載の位置決めおよび安定化構造。
[項22]
前記位置決めおよび安定化構造は、使用時に前記調節機構が患者の顔と接触しないように位置決めされるように構成される、項1~21のうちいずれか一項に記載の位置決めおよび安定化構造。
[項23]
前記位置決めおよび安定化構造は、使用時に前記調節機構が患者の頬領域と接触しないように配置されるように構成される、項22に記載の位置決めおよび安定化構造。
[項24]
前記調節機構は、使用時に前記患者頭部の耳基底上点の上方に配置される、項23に記載の位置決めおよび安定化構造。
[項25]
前記位置決めおよび安定化構造は、使用時に患者の頬領域にわたって伸展する、項1~24のうちいずれか一項に記載の位置決めおよび安定化構造。
[項26]
前記位置決めおよび安定化構造は、前記患者頭部の耳基底上点の下方の前記少なくとも1つのガス送達管の長さ調節を可能にする任意の機構を含まない、項1~25のうちいずれか一項に記載の位置決めおよび安定化構造。
[項27]
前記位置決めおよび安定化構造は、使用時に患者の頬領域にわたって伸展する前記少なくとも1つのガス送達管の長さ調節を可能にする任意の機構を含まない、項26に記載の位置決めおよび安定化構造。
[項28]
前記位置決めおよび安定化構造は、前記接続ポートと前記シール形成構造との間に流体接続された2つのガス送達管を含み、各ガス送達管は、使用時に前記患者の頬領域のうち1つにわたって伸展し、前記2つのガス送達管は、前記患者頭部の異なる側部上に設けられる、項25~27のうちいずれか一項に記載の位置決めおよび安定化構造。
[項29]
前記接続ポートは、使用時に前記患者頭部の上部に設けられる、項4に従属する場合の項4~28のうちいずれか一項に記載の位置決めおよび安定化構造。
[項30]
前記位置決めおよび安定化構造は、使用時に前記患者の眼と患者の耳との間に伸展する、項29に記載の位置決めおよび安定化構造。
[項31]
前記位置決めおよび安定化構造は、前記2つのガス送達管間に接続された後ストラップを含み、使用時に前記患者頭部の後方を通過するように構成される、項29に記載の位置決めおよび安定化構造。
[項32]
前記2つのガス送達管間の前記後ストラップの長さは調節可能である、項31に記載の位置決めおよび安定化構造。
[項33]
前記後ストラップの各ガス送達管に対する角度は調節可能である、項31または項32に記載の位置決めおよび安定化構造。
[項34]
前記位置決めおよび安定化構造は、使用時に前記後ストラップが前記ガス送達管のうち1つへ接続される点の上方に配置される調節機構を含み、前記位置決めおよび安定化構造は、使用時に前記後ストラップが前記ガス送達管のうち1つへ接続される点の下方に配置される前記少なくとも1つのガス送達管の長さ調節を可能にする任意の機構を含まない、項31~33のうちいずれか一項に記載の位置決めおよび安定化構造。
[項35]
患者インターフェースであって:
周囲空気圧力を超える少なくとも4cmH2Oの治療圧力へ加圧可能であるプレナムチャンバであって、上記プレナムチャンバは、治療圧力における空気流れを患者の呼吸のために受容するようなサイズおよび構造にされたプレナムチャンバ入口ポートを含む、プレナムチャンバと;
患者の気道への入口を包囲する患者の顔領域に対してシールを形成するように構築および配置されたシール形成構造であって、これにより、上記治療圧力における空気流れが少なくとも患者の鼻孔への入口に送達され、シール形成構造は、使用時において患者の呼吸サイクル全体において上記治療圧力をプレナムチャンバ内に維持するように構築および配置される、シール形成構造と;
使用時に前記空気流れへ接続された空気回路へ流体接続する接続ポートであって、前記接続ポートは、使用時に患者頭部の上部、側部または後部の近隣に配置される、接続ポートと;
前記シール形成構造を前記患者頭部上の治療的に有効な位置に保持するための位置決めおよび安定化構造であって、前記位置決めおよび安定化構造が:
空気流れを前記シール形成構造を介して前記患者の気道の入口へ送達させるための少なくとも1つのガス送達管であって、前記少なくとも1つのガス送達管は、使用時に前記患者頭部の耳基底上点の上方の前記患者頭部の少なくとも一領域と接触するように構築および配置される、少なくとも1つのガス送達管;
異なるサイズの頭部にフィットさせるための前記位置決めおよび安定化構造を可能にするための前記少なくとも1つのガス送達管の調節のための調節機構;及び
使用時に前記シール形成構造を前記患者の気道の前記入口へ推進させるための付勢力を前記少なくとも1つのガス送達管の長さのうち少なくとも一部に沿って付与する付勢機構、を含む、位置決めおよび安定化構造と、
を含む、患者インターフェース。
[項36]
呼吸疾患の治療のためのシステムであって、前記システムは:
項35に記載の患者インターフェース;
空気回路;および
周囲空気圧力に対して陽圧を持つ空気源
を含む、システム。
[項37]
シール形成構造を患者頭部上の治療的に有効な位置に保持するための位置決めおよび安定化構造であって、前記シール形成構造は、使用時において前記患者の呼吸サイクル全体において空気流れを周囲空気圧力に対して少なくとも4cmH2Oの治療圧力において密閉送達するために、前記患者の気道への入口を包囲する前記患者の顔の領域とのシールを形成するように構築および配置され、前記位置決めおよび安定化構造は:
少なくとも1つのタイであって、前記少なくとも1つのタイは、使用時に前記患者頭部と接触するように構成され、前記少なくとも1つのタイは:
前記空気流れを前記シール形成構造を介して前記患者の気道の入口へ送達させるための少なくとも1つのガス送達管であって、前記少なくとも1つのガス送達管は、使用時に前記患者頭部の耳基底上点の上方の前記患者頭部の少なくとも一領域を覆うように構築および配置される、少なくとも1つのガス送達管を含む、少なくとも1つのタイと;
異なるサイズの頭部にフィットさせるための前記位置決めおよび安定化構造を可能にするための前記少なくとも1つのタイの調節のための調節機構と、を含み、
前記位置決めおよび安定化構造は、使用時に前記調節機構が患者の顔と接触しないように位置決めされるように構成される、位置決めおよび安定化構造。
[項38]
前記少なくとも1つのガス送達管は、前記調節機構を含む、項37に記載の位置決めおよび安定化構造。
[項39]
前記少なくとも1つのガス送達管は、前記付勢機構を含む、項37または38に記載の位置決めおよび安定化構造。
[項40]
使用時に加圧空気の供給へ接続された空気回路へ流体接続するための接続ポートをさらに含み、前記接続ポートは、使用時に患者頭部の上部、側部または後部の近隣に配置される、項37~39のうちいずれか一項に記載の位置決めおよび安定化構造。
[項41]
前記位置決めおよび安定化構造は、使用時に前記調節機構が患者の頬領域と接触しないように配置されるように、構成される、項37~40のうちいずれか一項に記載の位置決めおよび安定化構造。
[項42]
使用時に前記調節機構は前記患者頭部の耳基底上点の上方に配置される、項37~41のうちいずれか一項に記載の位置決めおよび安定化構造。
[項43]
前記位置決めおよび安定化構造は、使用時に前記シール形成構造を前記患者の気道の前記入口を包囲する前記領域へ推進させるための付勢力を前記少なくとも1つのガス送達管の長さのうち少なくとも一部に沿って付与する付勢機構を含む、項37~42のうちいずれか一項に記載の位置決めおよび安定化構造。
[項44]
前記付勢機構は、前記シール形成構造と前記接続ポートとの間に設けられた弾性部材を含む、項43に記載の位置決めおよび安定化構造。
[項45]
前記弾性部材は弾性スリーブを含み、前記ガス送達管は、前記弾性スリーブおよび内側ガス送達導管を含み、前記弾性スリーブは前記内側ガス送達導管を被覆する、項44に記載の位置決めおよび安定化構造。
[項46]
前記弾性部材は、弾性材料から形成された前記ガス送達管の一部を含む、項44に記載の位置決めおよび安定化構造。
[項47]
前記弾性部材は、蛇腹構造を有する前記ガス送達管の一部を含む、項44に記載の位置決めおよび安定化構造。
[項48]
前記調節機構は、前記蛇腹構造を含む、項47に記載の位置決めおよび安定化構造。
[項49]
前記蛇腹構造を有するガス送達管の一部は、使用時に前記患者頭部の耳基底上点の上方の前記患者頭部の領域と接触して配置される、項47または48に記載の位置決めおよび安定化構造。
[項50]
前記少なくとも1つのガス送達管は、自身の長さに沿って波状の形状を有する、項37~49のうちいずれか一項に記載の位置決めおよび安定化構造。
[項51]
前記調節機構により、前記少なくとも1つのタイの長さの調節が可能になる、項37~49のうちいずれか一項に記載の位置決めおよび安定化構造。
[項52]
前記調節機構により、前記少なくとも1つのタイの長さを連続的長さ範囲を通じて調節することが可能になる、項51に記載の位置決めおよび安定化構造。
[項53]
前記調節機構により、前記少なくとも1つのガス送達管の長さの調節が可能になる、項37~52のうちいずれか一項に記載の位置決めおよび安定化構造。
[項54]
前記ガス送達管は、第1の管部および第2の管部を含み、前記第1の管部は、前記ガス送達管の長さを調節するために前記第2の管部に相対してテレスコピック的に移動可能である、項52または項53に記載の位置決めおよび安定化構造。
[項55]
前記患者インターフェースは、第1の管部と第2の管部との間の相対的なテレスコピック的動きを促進するための1つ以上のタブを含む、項54に記載の位置決めおよび安定化構造。
[項56]
前記患者インターフェースは、前記第1のおよび第2の管部複数の別個の位置において相互に固定するための管部固定機構を含む、項54または項55に記載の位置決めおよび安定化構造。
[項57]
前記ガス送達管は、前記折り畳み部が折り畳み構成にあるときの前記ガス送達管の長さが前記折り畳み部が折り畳まれていない構成にあるときの前記ガス送達管の長さと異なるように折り畳み部を含む、項37~56のうちいずれか一項に記載の位置決めおよび安定化構造。
[項58]
前記ガス送達管は、蛇腹構造を有する前記ガス送達管の一部中に複数の折り畳み部を含む、項57に記載の位置決めおよび安定化構造。
[項59]
前記調節機構は、前記ガス送達管の引き延ばし可能な部分を含む、項37~58のうちいずれか一項に記載の位置決めおよび安定化構造。
[項60]
前記調節機構は第1の管部を含み、前記第1の管部は、取り外し可能であり、前記第1の管部と異なる長さを有する第2の管部と交換することができる、項37~59のうちいずれか一項に記載の位置決めおよび安定化構造。
[項61]
前記調節機構は、前記ガス送達管の長さを変化させるように前記ガス送達管へ選択的に流体接続されるように構成された1つ以上の管挿入部材を含む、項37~60のうちいずれか一項に記載の位置決めおよび安定化構造。
[項62]
前記ガス送達管は、異なるサイズの患者頭部にフィットさせるために前記ガス送達管のどこを切断すべきかを示す複数のインジケータを含む、項37~61のうちいずれか一項に記載の位置決めおよび安定化構造。
[項63]
前記調節機構は、前記位置決めおよび安定化構造を異なるサイズの頭部にフィットさせるように前記少なくとも1つのガス送達管を屈曲可能に調節することが可能なように構成される、項37~62のうちいずれか一項に記載の位置決めおよび安定化構造。
[項64]
前記少なくとも1つのタイは、使用時に前記患者頭部の一部を包囲するように構成されたループを規定し、前記少なくとも1つのガス送達管は、前記ループのうち少なくとも一部を規定し、前記位置決めおよび安定化構造は、前記少なくとも1つのタイのうち2つの領域が前記ループのサイズを調節するように共に保持される位置を調節するように動作可能であるループ調節機構を含む、項37~63のうちいずれか一項に記載の位置決めおよび安定化構造。
[項65]
前記少なくとも1つのタイは、使用時に前記患者頭部の一部を包囲するように構成されたループを規定し、前記少なくとも1つのガス送達管は、前記ループのうち少なくとも一部を規定し、前記位置決めおよび安定化構造は、使用時に前記少なくとも1つのガス送達管へ直接的または間接的に固定されるように構成されたループ挿入部材を含み、前記ループ挿入部材は、前記ループのうち少なくとも一部を規定する、項37~62のうちいずれか一項に記載の位置決めおよび安定化構造。
[項66]
前記ループ挿入部材は可膨張性である、項65に記載の位置決めおよび安定化構造。
[項67]
前記ループ挿入部材は、前記ループのサイズ調節のために異なるサイズの交換ループ挿入部材と交換されるように構成される、項65または項66に記載の位置決めおよび安定化構造。
[項68]
前記調節機構は、使用時に前記患者頭部の耳基底上点の上方に配置される、項37~67のうちいずれか一項に記載の位置決めおよび安定化構造。
[項69]
前記位置決めおよび安定化構造は、使用時に患者の頬領域にわたって伸展する、項37~68のうちいずれか一項に記載の位置決めおよび安定化構造。
[項70]
前記位置決めおよび安定化構造は、前記患者頭部の耳基底上点の下方の前記少なくとも1つのタイの長さ調節を可能にするための任意の機構を含まない、項37~69のうちいずれか一項に記載の位置決めおよび安定化構造。
[項71]
前記位置決めおよび安定化構造は、使用時に患者の頬領域にわたって伸展する前記少なくとも1つのタイの長さ調節を可能にする任意の機構を含まない、項70に記載の位置決めおよび安定化構造。
[項72]
前記位置決めおよび安定化構造は、前記接続ポートと前記シール形成構造との間に流体接続される2つのガス送達管を含み、各ガス送達管は、使用時に前記患者の頬領域のうち1つにわたって伸展し、前記2つのガス送達管は、前記患者頭部の異なる側部上にある、項69~71のうちいずれか一項に記載の位置決めおよび安定化構造。
[項73]
前記接続ポートは、使用時に前記患者頭部の上部上に配置される、項40に従属する場合の項40~72のうちいずれか一項に記載の位置決めおよび安定化構造。
[項74]
前記位置決めおよび安定化構造は、使用時に前記患者の眼と患者の耳との間に伸展する、項73に記載の位置決めおよび安定化構造。
[項75]
前記少なくとも1つのタイは、前記2つのガス送達管の間に接続される後ストラップを含み、使用時に前記患者頭部の後部の周囲を通過するように構成される、項72に記載の位置決めおよび安定化構造。
[項76]
前記2つのガス送達管間の前記後ストラップの長さは調節可能である、項75に記載の位置決めおよび安定化構造。
[項77]
前記後ストラップの各ガス送達管に対する角度は調節可能である、項75または項76に記載の位置決めおよび安定化構造。
[項78]
前記位置決めおよび安定化構造は、使用時に前記後ストラップが前記ガス送達管のうち1つへ接続される点の上方に配置される調節機構を含み、前記位置決めおよび安定化構造は、使用時に前記後ストラップが前記ガス送達管のうち1つへ接続される点の下側に配置される前記少なくとも1つのタイの調節を可能にする任意の機構を含まない、項75~77のうちいずれか一項に記載の位置決めおよび安定化構造。
[項79]
患者インターフェースであって:
周囲空気圧力を超える少なくとも4cmH2Oの治療圧力へ加圧可能であるプレナムチャンバであって、上記プレナムチャンバは、治療圧力における空気流れを患者の呼吸のために受容するようなサイズおよび構造にされたプレナムチャンバ入口ポートを含む、プレナムチャンバと;
患者の気道への入口を包囲する患者の顔領域に対してシールを形成するように構築および配置されたシール形成構造であって、これにより、上記治療圧力における空気流れが少なくとも患者の鼻孔への入口に送達され、シール形成構造は、使用時において患者の呼吸サイクル全体において上記治療圧力をプレナムチャンバ内に維持するように構築および配置される、シール形成構造と;
使用時に前記空気流れへ接続された空気回路へ流体接続する接続ポートであって、前記接続ポートは、使用時に患者頭部上部、側部または後部の近隣に配置される、接続ポートと;
前記シール形成構造を前記患者頭部上の治療的に有効な位置に保持するための位置決めおよび安定化構造であって、前記位置決めおよび安定化構造が:
少なくとも1つのタイであって、前記少なくとも1つのタイは、使用時に前記患者頭部と接触するように構成され、前記少なくとも1つのタイは:
前記空気流れを前記シール形成構造を介して前記患者の気道の入口へ送達させるための少なくとも1つのガス送達管であって、前記少なくとも1つのガス送達管は、使用時に前記患者頭部の耳基底上点の上方の前記患者頭部の少なくとも一領域を覆うように構築および配置される、少なくとも1つのガス送達管を含む、少なくとも1つのタイと;
異なるサイズの頭部にフィットさせるための前記位置決めおよび安定化構造を可能にするための前記少なくとも1つのタイの調節のための調節機構と、
を含み、
前記位置決めおよび安定化構造は、使用時に前記調節機構が患者の顔と接触しないように位置決めされるように構成される、位置決めおよび安定化構造と、
を含む、患者インターフェース。
[項80]
呼吸疾患の治療のためのシステムであって、前記システムは:
項79に記載の患者インターフェース;
空気回路;および
周囲空気圧力に対して陽圧を持つ空気源
を含む、システム。
[項81]
患者インターフェースであって:
周囲空気圧力を超える少なくとも4cmH2Oの治療圧力へ加圧可能であるプレナムチャンバであって、上記プレナムチャンバは、治療圧力における空気流れを患者の呼吸のために受容するようなサイズおよび構造にされたプレナムチャンバ入口ポートを含む、プレナムチャンバと;
患者の気道への入口を包囲する患者の顔領域に対してシールを形成するように構築および配置されたシール形成構造であって、これにより、上記治療圧力における空気流れが少なくとも患者の鼻孔への入口に送達され、シール形成構造は、使用時において患者の呼吸サイクル全体において上記治療圧力をプレナムチャンバ内に維持するように構築および配置される、シール形成構造と;
前記シール形成構造を前記患者頭部上の治療的に有効な位置に保持するための位置決めおよび安定化構造であって、
使用時に前記患者頭部の耳基底上点の上方の前記患者頭部の領域を覆うように構築および配置された第1の管部;および
使用時に前記患者頭部の前記後頭骨の後部に載置されるかまたは前記患者頭部の前記後頭骨の後部を覆うタイ部を含む位置決めおよび安定化構造
を含む、位置決め構造と、
前記患者が呼気したガスが連続的に前記プレナムチャンバ内部から周囲へ連続的に流れることを可能にする通気構造であって、前記通気構造は、使用時に前記プレナムチャンバ内の前記治療圧力を維持するようなサイズおよび形状にされる、通気構造と、
を含み、
前記第1の管部は、前記患者によって呼吸される前記空気流れのうち少なくとも一部を導通させるように構成され、
前記第1の管部は、使用時に張りつめた状態になるように構成され、
前記第1の管部は、長さ方向の調節機構を含む、患者インターフェース。
[項82]
前記位置決めおよび安定化構造は第2の管部を含み、前記第2の管部は、使用時に前記患者頭部の上顎領域を覆いかつ使用時に前記プレナムチャンバへ接続するように構成される、項81に記載の患者インターフェース。
[項83]
前記患者インターフェースは、空気供給を受容することおよび前記空気供給を前記第1の管部へ送達させることを行うように構成された接続ポートをさらに含む、項81または82に記載の患者インターフェース。
[項84]
前記接続ポートは、使用時に前記患者頭部の上部上に配置されるように構築および配置される、項83に記載の患者インターフェース。
[項85]
前記位置決めおよび安定化構造は、前記接続ポートへ接続することおよび使用時に前記患者頭部の耳基底上点の上方の前記患者頭部の領域を覆うことを行うように構成された第3の管部を含む、項81~84のうちいずれか一項に記載の患者インターフェース。
[項86]
前記位置決めおよび安定化構造は、使用時に前記患者頭部の上顎領域を覆うことおよび使用時に前記プレナムチャンバへ接続することを行うように構成された第4の管部を含む、項81~85のうちいずれか一項に記載の患者インターフェース。
[項87]
前記シール形成構造は、使用時に前記患者の口腔を露出させるように構成される、項81~86のうちいずれか一項に記載の患者インターフェース。
[項88]
前記シール形成構造は、前記シール形成構造のいずれの部分も使用時に前記口腔に進入しないように構成される、項81~87のうちいずれか一項に記載の患者インターフェース。
[項89]
前記シール形成構造は、前記シール形成構造が前記患者の気道の内部に延びないように構成される、項81~88のうちいずれか一項に記載の患者インターフェース。
[項90]
前記シール形成構造は、使用時に前記シール形成構造がオトガイ隆起領域の下側に延びないように構成される、項81~89のうちいずれか一項に記載の患者インターフェース。
[項91]
前記患者インターフェースは、前記プレナムチャンバが使用時に前記眼を被覆しないように構築および配置される、項81~90のうちいずれか一項に記載の患者インターフェース。
[項92]
シール形成構造を患者頭部上の治療的に有効な位置に保持するための位置決めおよび安定化構造であって、前記シール形成構造は、使用時において前記患者の呼吸サイクル全体において空気流れを周囲空気圧力に対して少なくとも4cmH2Oの治療圧力において密閉送達するために、前記患者の気道への入口を包囲する前記患者の顔の領域とのシールを形成するように構築および配置され、前記位置決めおよび安定化構造は:
使用時に前記患者頭部の耳基底上点の上方の前記患者頭部の領域を覆うように構築および配置された第1の導管部;および
使用時に前記患者頭部の前記後頭骨の後部に載置されるかまたは前記患者頭部の前記後頭骨の後部を覆うタイ部
を含み、
前記第1の導管部は、前記患者によって呼吸される前記空気流れのうち少なくとも一部を導通させるように構成され、
前記第1の導管部は、使用時に張りつめた状態になるように構成され、
前記第1の導管部は、長さ方向の調節機構を含む、位置決めおよび安定化構造。
[項93]
患者インターフェースであって:
周囲空気圧力を超える少なくとも4cmH2Oの治療圧力へ加圧可能であるプレナムチャンバであって、上記プレナムチャンバは、治療圧力における空気流れを患者の呼吸のために受容するようなサイズおよび構造にされたプレナムチャンバ入口ポートを含む、プレナムチャンバと;
患者の気道への入口を包囲する患者の顔領域に対してシールを形成するように構築および配置されたシール形成構造であって、これにより、上記治療圧力における空気流れが少なくとも患者の鼻孔への入口に送達され、シール形成構造は、使用時において患者の呼吸サイクル全体において上記治療圧力をプレナムチャンバ内に維持するように構築および配置される、シール形成構造と;
前記治療圧力を前記空気流れにおいて密閉送達するためにシール形成構造を患者頭部上の治療的に有効な位置に保持するための弾力を提供する位置決めおよび安定化構造であって、前記位置決めおよび安定化構造は:
タイであって、前記タイは、少なくとも前記タイの一部が使用時に前記患者頭部の耳基底上点の上方の前記患者頭部の領域を覆うように構築および配置され、前記タイは、前記空気流れを前記シール形成構造を介して前記患者の気道の入口へ送達させるための長さが調節可能なガス送達管を含み、前記ガス送達管は、使用時に前記患者頭部の一部と接触するように構成される、タイ;および
使用時に前記シール形成構造を前記患者の気道の前記入口へ推進させるために、前記長さが調節可能なガス送達管へ付勢力を付加する付勢機構
を含む、位置決めおよび安定化構造と、
を含む、患者インターフェース。
[項94]
前記長さが調節可能なガス送達管は、引き延ばし可能な部位を含む、項93に記載の患者インターフェース。
[項95]
前記引き延ばし可能な部位は、前記引き延ばし可能な部位が使用時に患者の顔との接触を回避するように構成される、項94に記載の患者インターフェース。
[項96]
前記引き延ばし可能な部位は、前記引き延ばし可能な部位が使用時に前記患者頭部の耳基底上点の上方に配置されるように構成される、項95に記載の患者インターフェース。
[項97]
前記引き延ばし可能な部位は、蛇腹構造を含む、項94~96のうちいずれか一項に記載の患者インターフェース。
[項98]
前記蛇腹構造は1つ以上の弾性部位を含み、前記1つ以上の弾性部位は、使用時に前記ガス送達管の長さ調節を可能にするように伸縮するように構成される、項97に記載の患者インターフェース。
[項99]
前記蛇腹構造は1つ以上の弾性部位を含み、前記1つ以上の弾性部位は、前記長さが調節可能なガス送達管上へ前記付勢力を付与するように退避するように構成される、項97または98に記載の患者インターフェース。
[項100]
前記長さが調節可能なガス送達管は、使用時に前記患者頭部上の前記長さが調節可能なガス送達管の位置調節を可能にするための屈曲可能な部位をさらに含む、項93~99のうちいずれか一項に記載の患者インターフェース。
[項101]
前記屈曲可能な部位は、前記屈曲可能な部位が使用時に前記患者頭部の耳基底上点の上方に配置されるように、構成される、項100に記載の患者インターフェース。
[項102]
前記屈曲可能な部位は、使用時に前記シール形成構造の前記患者の顔から離隔方向への動きから前記長さが調節可能なガス送達管の位置調節を結合解除させるように構成される、項101に記載の患者インターフェース。
[項103]
前記屈曲可能な部位は、1つ以上の弾性部位を含む、項100~102のうちいずれか一項に記載の患者インターフェース。
[項104]
シール形成構造を患者頭部上の治療的に有効な位置に保持するための位置決めおよび安定化構造であって、前記シール形成構造は、使用時において前記患者の呼吸サイクル全体において空気流れを周囲空気圧力に対して少なくとも4cmH2Oの治療圧力において密閉送達するために、前記患者の気道への入口を包囲する前記患者の顔の領域とのシールを形成するように構築および配置され、前記位置決めおよび安定化構造は:
タイであって、前記タイは、少なくとも前記タイの一部が使用時に前記患者頭部の耳基底上点の上方の前記患者頭部の領域を覆うように構築および配置され、前記タイは、前記空気流れを前記シール形成構造を介して前記患者の気道の入口へ送達させるための長さが調節可能なガス送達管を含み、前記ガス送達管は、使用時に前記患者頭部の一部と接触するように構成される、タイ;および
使用時に前記シール形成構造を前記患者の気道の前記入口へ推進させるために、前記長さが調節可能なガス送達管へ付勢力を付加する付勢機構
を含む、位置決めおよび安定化構造。
【符号の説明】
【0462】
1000 患者
1100 同床者
3000 患者インターフェース
3100 シーリングまたはシール形成構造
3150 クッションアセンブリ
3170 鼻シール形成構造
3180 口シール形成構造
3200 プレナムチャンバ
3210 プレナムチャンバ縁部
3300 位置決めおよび安定化構造/ヘッドギア
3310 ヘッドギアストラップ
3320 顎ストラップ
3330 パッド付き部材
3340 弾性スリーブ
3342 側方の開口部
3343 上開口部
3345 タブ
3347 曲線状縁部
3348 患者と接触する側
3349 患者と接触しない側
3350 ヘッドギア管
3351 上側管部材
3352 管端部
3353A 上側曲線状部位
3353B 下側曲線状部位
3354 あまり引き延ばし可能ではない管部
3355 より引き延ばし可能な管部
3356 固定機構
3357 第1の固定部材
3358 第2の固定部材
3360 調節機構
3362 蛇腹管部
3363 調節不可能なヘッドギア管部
3364 折り畳み部
3366 管壁折り畳み/回転折り畳み部
3368 隣接する管部
3370 第1の管部
3371 第1のタブ
3372 第2の管部
3373 第2のタブ
3374 リブ
3375 入れ子型の同心管部
3376 ラチェット機構
3377 視覚インジケータ
3378 ボタン
3379 硬質化部材
3380 第1のねじ式部位
3382 第2のねじ式部位
3383 ピニオン
3384 リング部材
3385 交換可能な管部
3386 交換用管部
3387 管挿入部材
3390 ストラップ
3391 ストラップ調節機構
3395 バンド
3397 トング
3398 溝部
3410 ループ挿入部材
3411 交換ループ挿入部材
3420 可膨張性のループ挿入部材
3600 接続ポート
3744 ISO
4000 RPTデバイス
4010 外部ハウジング
4012 上側部位
4014 部位
4015 パネル
4016 シャーシ
4018 ハンドル
4020 空気圧ブロック
4100 空気圧式コンポーネント
4110 空気フィルタ
4112 入口空気フィルタ
4114 出口空気フィルタ
4122 入口マフラー
4124 出口マフラー
4140 圧力生成器
4142 制御可能な送風機
4144 空気回路
4200 電気部品
4202 プリント回路基板アセンブリ(PCBA)
4210 電源
4220 入力デバイス
4230 中央コントローラ
4240 治療デバイスコントローラ
4250 保護回路
4260 メモリ
4270 変換器
4272 圧力センサ
4274 流量センサ
4280 データ通信インターフェース
4290 出力デバイス
4300 アルゴリズム
5000 加湿器
5002 加湿器入口
5004 加湿器出口
5006 加湿器ベース
5110 加湿器リザーバ
5130 加湿器リザーバドック
5240 加熱要素
6000 力伸長プロット
6100 伸長軸
6105 ゼロ伸長
6110 第1の伸長量
6120 第2の伸長量
6200 力軸
6210 最小シーリング力
6220 最大快適性
6300 力伸長特性
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図3G
図3H
図3I
図3J
図3K
図3L
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図7C
図8
図9
図10A
図10B
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19A
図19B