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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-15
(45)【発行日】2023-12-25
(54)【発明の名称】水素燃焼式ダクトバーナ
(51)【国際特許分類】
   F23D 14/22 20060101AFI20231218BHJP
   F23D 14/20 20060101ALI20231218BHJP
   F23L 9/00 20060101ALI20231218BHJP
【FI】
F23D14/22 E
F23D14/20
F23L9/00
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023151300
(22)【出願日】2023-09-19
【審査請求日】2023-09-19
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 裕也
【審査官】河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】実開平4-122922(JP,U)
【文献】特開2000-240909(JP,A)
【文献】米国特許第4767319(US,A)
【文献】実開平6-30630(JP,U)
【文献】特開2004-225966(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/099591(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23D 14/22
F23D 14/20
F02C 6/00
F23L 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素噴出口から水素ガスを保炎空間へ噴出させる水素噴出ヘッダと、
前記水素噴出ヘッダの水素噴出口を挟んだ両側から、水素ガスの噴出方向に対して前記保炎空間の下流端の開口が広がるように延出配置された一対の空気噴出プレートと、
前記一対の空気噴出プレートの各々に設けられ、前記保炎空間へ空気を噴出させる空気噴出ノズルと、
前記水素ガスの噴出方向に延出されて前記保炎空間の内壁の一部を構成し、一対の前記空気噴出プレート間を連結する一対のサイドプレートと、
前記一対のサイドプレートから連続する前記開口の端部を覆い、少なくとも1の前記空気噴出ノズルからの空気噴出方向の延長線と重なるように配置された一対の閉塞板と、
を備えた、水素燃焼式ダクトバーナ。
【請求項2】
前記閉塞板は、前記水素噴出口からの水素噴出方向の延長線と重ならないように配置されている、請求項1に記載の水素燃焼式ダクトバーナ。
【請求項3】
前記水素噴出ヘッダの長手方向の両端の各々1/10以上の領域は、前記水素噴出口が形成されない水素非噴出部とされている、
請求項1に記載の水素燃焼式ダクトバーナ。
【請求項4】
前記空気噴出プレートの水素ガスの噴出上流側の少なくとも3/5の領域は、前記空気噴出ノズルが形成されない空気非噴出部とされている、
請求項1に記載の水素燃焼式ダクトバーナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の開示する技術は、水素燃焼式ダクトバーナに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ダクト内に熱風を発生させる熱風発生バーナを配置して熱風を供給するダクトバーナが用いられている。ダクトバーナは、燃料噴出ヘッダ、空気噴出プレート、サイドプレートを有している(特許文献1参照)。
【0003】
ところで、近年、脱炭素燃料として水素ガスが注目されているが、水素ガスは、都市ガスと比べて、燃焼速度が速く、火炎温度が高い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-286282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のようなダクトバーナの燃料として水素ガスを使用した場合、火炎によりバーナ部品の赤熱(異常過熱)が生じやすく、バーナ部品の熱損傷や劣化が生じるという問題がある。
【0006】
本開示は上記事実を考慮し、水素燃焼によるバーナ部品の赤熱による熱損傷を抑制する、水素燃焼式ダクトバーナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1態様の水素燃焼式ダクトバーナは、水素噴出口から水素ガスを保炎空間へ噴出させる水素噴出ヘッダと、前記水素噴出ヘッダの水素噴出口を挟んだ両側から、水素ガスの噴出方向に対して前記保炎空間の下流端の開口が広がるように延出配置された一対の空気噴出プレートと、前記一対の空気噴出プレートの各々に設けられ、前記保炎空間へ空気を噴出させる空気噴出ノズルと、前記水素ガスの噴出方向に延出されて前記保炎空間の内壁の一部を構成し、一対の前記空気噴出プレート間を連結する一対のサイドプレートと、前記一対のサイドプレートから連続する前記開口の端部を覆い、少なくとも1の前記空気噴出ノズルからの空気噴出方向の延長線と重なるように配置された一対の閉塞板と、を備えている。
【0008】
第1態様の水素燃焼式ダクトバーナは、水素噴出口から水素ガスを保炎空間へ噴出させる水素噴出ヘッダを有し、水素噴出口を挟んだ両側から、水素ガスの噴出方向に対して開口が広がるように、一対の空気噴出プレートが延出配置されている。そして、一対の空気噴出プレートの各々には、保炎空間へ空気を噴出させる空気噴出ノズルが形成されている。また、保炎空間の一部の内壁を構成するサイドプレートが、一対の空気噴出プレート間を連結するように設けられている。さらに、一対のサイドプレートから連続する開口の端部を覆う一対の閉塞板が設けられている。
【0009】
水素噴出口からは、保炎空間へ水素ガスが噴出され、空気噴出ノズルからは、保炎空間へ空気が噴出される。水素ガスと空気は混合され、水素ガスは保炎空間で燃焼する。閉塞板は、少なくとも1の空気噴出ノズルからの空気噴出方向の延長線と重なるように配置されているので、当該空気噴出ノズルから噴出された空気は閉塞板へ当たり、サイドプレートに沿って保炎空間の上流側へ戻る流れができる。この空気流れにより、サイドプレートの温度上昇が抑制され、水素燃焼による熱損傷を抑制することができる。
【0010】
第2態様の水素燃焼式ダクトバーナは、第1態様の水素燃焼式ダクトバーナにおいて、前記閉塞板は、前記水素噴出口からの水素噴出方向の延長線と重ならないように配置されている。
【0011】
第2態様の水素燃焼式ダクトバーナによれば、水素噴出口から噴出された水素ガスが直接閉塞板に当たることがないため、水素ガス燃焼による火炎でのサイドプレートの温度上昇を抑制することができる。
【0012】
第3態様の水素燃焼式ダクトバーナは、第1態様または第2の態様の水素燃焼式ダクトバーナにおいて、前記水素噴出ヘッダの長手方向の両端の各々1/10以上の領域は、前記水素噴出口が形成されない水素非噴出部とされている。
【0013】
第3態様の水素燃焼式ダクトバーナによれば、水素噴出ヘッダの長手方向端部には水素非噴出部が形成されているので、水素ガス燃焼による火炎がサイドプレートから離れた位置で形成され、サイドプレートの温度上昇を抑制することができる。
【0014】
第4態様の水素燃焼式ダクトバーナは、第1態様~第3の態様のいずれか1項の水素燃焼式ダクトバーナにおいて、前記空気噴出プレートの水素ガスの噴出上流側の少なくとも3/5の領域は、前記空気噴出ノズルが形成されない空気非噴出部とされている。
【0015】
第4態様の水素燃焼式ダクトバーナによれば、空気噴出プレートの水素ガスの噴出上流側3/5の領域からは、空気が噴出されないので、水素ガスの燃焼位置を開口外側にずらすことができる。これにより、水素噴出ヘッダ、一対の空気噴出プレート、一対のサイドプレートの温度上昇が抑制され、水素燃焼による熱損傷を抑制することができる。
【発明の効果】
【0016】
本開示によれば、水素燃焼によるバーナ部品の赤熱(異常過熱)による熱損傷を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本実施形態の水素燃焼式熱風バーナを用いた熱風乾燥システムの概略構成を示す図である。
図2】本実施形態の水素燃焼式熱風バーナの斜視図である。
図3】本実施形態の水素燃焼式熱風バーナの正面図である。
図4図2のA-A線の断面図である。
図5図2のB-B線の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本開示の実施形態を詳細に説明する。
【0019】
図1には、本実施形態の水素燃焼式熱風バーナ20を用いた熱風乾燥システム10の概略構成が示されている。熱風乾燥システム10は、乾燥炉12、循環ダクト14を備えている。乾燥炉12には、水素燃焼式熱風バーナ20で発生させた熱風が供給され、炉内において被乾燥物に対し熱風乾燥が行われる。乾燥炉12には、排気路12Aが接続されており、炉内のガスが一部排気される。
【0020】
循環ダクト14は、乾燥炉12を経由してガスが内部で循環する経路を構成している。循環ダクト14内のガスGは、不図示の循環ファンにより循環されている。循環ダクト14内には、乾燥炉12の上流側に水素燃焼式熱風バーナ20が配設されている。
【0021】
水素燃焼式熱風バーナ20は、水素ガスを空気中の酸素で燃焼させ、この燃焼により生じた燃焼ガスを噴出して熱風を発生させるものである。水素燃焼式熱風バーナ20は、水素噴出ヘッダ22、空気噴出筒30を備えている。水素噴出ヘッダ22には、水素ガス供給管P1が接続されており、水素ガス供給管P1から水素噴出ヘッダ22へ水素ガスが供給される。空気噴出筒30には、空気供給管P2が接続されており、空気供給管P2から空気噴出筒30へ空気が供給される。
【0022】
水素噴出ヘッダ22は、空気噴出筒30の内部に配置され、図2及び図3に示されるように、水素噴出側に長方形状の水素噴出プレート24が配置されている。水素噴出プレート24には、長尺方向に一列に複数の水素噴出口24Aが形成されている。水素噴出口24Aは、水素噴出プレート24の長尺方向の両端部には形成されていない。この、水素噴出プレート24において水素噴出口24Aが形成されていない部分を「水素非噴出部26」と称する。水素非噴出部26の長尺方向の長さS1は、水素噴出プレート24の長尺方向の全体の長さS0の1/10以上、3/8以下であることが好ましい。これにより、水素ガスは、後述する一対のサイドプレート40から離れた中央部から噴出される。本実施形態では、水素非噴出部26の長尺方向の長さS1は、水素噴出プレート24の長尺方向の全体の長さS0の1/4程度とされている。
【0023】
図2に示されるように、空気噴出筒30は、一面を開口とする箱状の外壁32を備え、外壁32から離れた内部に水素噴出ヘッダ22が配設されている。水素噴出プレート24(水素噴出ヘッダ22)の水素噴出口24Aを挟んだ上部及び下部からは、一対の空気噴出プレート34が水素ガスの噴出方向外側に向かって延出配置されている。一対の空気噴出プレート34は、互いの距離が、水素ガスの噴出方向の外側に向かうにつれて広がるように配置されている。一対の空気噴出プレート34の各々の延出先端には、上側、下側に各々折り曲げられたフランジ部35が形成されている。フランジ部35の上端、下端は、外壁32に連結されている。
【0024】
水素噴出プレート24(水素噴出ヘッダ22)の水素噴出口24Aを挟んだ左右の両端からは、一対のサイドプレート40が水素ガスの噴出方向外側に向かって延出配置されている。一対のサイドプレート40の各々の延出先端は、外壁32に連結されている。
【0025】
空気噴出筒30の内部には、外壁32、水素噴出ヘッダ22、一対の空気噴出プレート34、一対のサイドプレート40により区画された空気室31が形成されている。また、空気噴出筒30の内部で、水素噴出プレート24の水素ガス噴出外側には、一対の空気噴出プレート34、一対のサイドプレート40に囲まれた、保炎空間Rが形成されている。保炎空間Rは、水素ガス噴出方向の外側に向かって上下方向が徐々に広がり、空気噴出筒30の外側へ開口する開口部R0が形成されている。開口部R0が保炎空間Rの下流端となる。保炎空間Rは、外部から囲まれていることにより、火炎を維持する機能を有すると共に、水素ガスの噴出方向へ火炎を誘導している。
【0026】
一対の空気噴出プレート34の内の上側空気噴出プレート34Aには、空気室31から保炎空間Rへ空気を噴出する、複数の上側空気噴出ノズル36Aが形成されている。複数の上側空気噴出ノズル36Aは、本実施形態では、上側空気噴出プレート34Aの延出方向に2列、左右方向に12個が並ぶように形成されている。
【0027】
図3にも示されるように、上側空気噴出ノズル36Aは、上側空気噴出プレート34Aの延出方向の開口部R0側にのみ形成されており、水素噴出プレート24側には形成されていない。この、上側空気噴出プレート34Aにおいて上側空気噴出ノズル36Aが形成されていない部分を「空気非噴出部38A」と称する。空気非噴出部38Aの延出方向の長さL1は、上側空気噴出プレート34Aの延出方向の全体の長さL0の3/5以上、4/5以下であることが好ましい。これにより、空気は、保炎空間Rの奥側(水素噴出プレート24側)からは噴出されない。本実施形態では、空気非噴出部38Aの延出方向の長さL1は、保炎空間Rに露出している上側空気噴出プレート34Aの延出方向の全体の長さL0の3/5程度とされている。
【0028】
上側空気噴出ノズル36Aは、図5に示されるように、上側空気噴出プレート34Aのプレート面の法線方向Hに対して、空気噴出方向D1が開口部R0の外側へ傾斜するように設けられている。すなわち、上側空気噴出ノズル36Aは、上側空気噴出プレート34Aを左右方向から見て、開口部R0側の上側空気噴出プレート34Aのプレート面に対し、空気噴出方向D1が90°未満の傾斜角度θ1で設定されている。
【0029】
なお、空気噴出方向D1は、上側空気噴出ノズル36Aの中心軸の空気噴出方向D1の延長線上に下側空気噴出プレート34Bが配置されず、当該延長線が開口部R0より外側に延出されるように設定されることが好ましい。また、傾斜角度θ1は、30°以上60°以下であることが好ましい。本実施形態では、空気噴出方向D1の傾斜角度θ1は、45°とされている。
【0030】
一対の空気噴出プレート34の内の下側空気噴出プレート34Bにも、空気室31から保炎空間Rへ空気を噴出する、複数の下側空気噴出ノズル36Bが形成されている。複数の下側空気噴出ノズル36Bは、本実施形態では、下側空気噴出プレート34Bの延出方向に2列、左右方向に12個が並ぶように形成されている。
【0031】
図2-4に示されるように、下側空気噴出ノズル36Bは、下側空気噴出プレート34Bの延出方向の水素噴出プレート24側には形成されていない。この、下側空気噴出プレート34Bにおいて下側空気噴出ノズル36Bが形成されていない部分を「空気非噴出部38B」と称する。空気非噴出部38Bの延出方向の長さL2は、下側空気噴出プレート34Bの延出方向の全体の長さL0の3/5以上、4/5以下であることが好ましい。これにより、空気は、保炎空間Rの奥側(水素噴出プレート24側)からは噴出されない。本実施形態では、空気非噴出部38Bの延出方向の長さL2は、保炎空間Rに露出している下側空気噴出プレート34Bの延出方向の全体の長さL0の3/5程度とされている。
【0032】
下側空気噴出ノズル36Bは、図5に示されるように、下側空気噴出プレート34Bのプレート面の法線方向Hに対して、空気噴出方向D2が開口部R0の外側へ傾斜するように設けられている。すなわち、下側空気噴出ノズル36Bは、下側空気噴出プレート34Bを左右方向から見て、開口部R0側の下側空気噴出プレート34Bのプレート面に対し、空気噴出方向D2が90°未満の傾斜角度θ2で設定されている。
【0033】
なお、空気噴出方向D2は、下側空気噴出ノズル36Bの中心軸の空気噴出方向D2の延長線上に上側空気噴出プレート34Aが配置されず、当該延長線が開口部R0より外側に延出されるように設定されることが好ましい。また、傾斜角度θ2は、30°以上60°以下であることが好ましい。本実施形態では、空気噴出方向D2の傾斜角度θ2は、45°とされている。
【0034】
開口部R0の左右端部には、開口部R0の一部を覆う一対の板状の閉塞板44が設けられている。水素ガスの噴出上流側から見て、一対の閉塞板44の内の右閉塞板44Aは、開口部R0の水素ガスの噴出上流側から見て右端部を覆うように設けられている。右閉塞板44Aは、開口部R0側から見て、少なくとも左端に形成された上側空気噴出ノズル36A及び下側空気噴出ノズル36Bを覆う位置に配設されている。また、右閉塞板44Aは、開口部R0側から見て、水素噴出口24Aと重なり合わない位置(水素噴出口24Aを覆わない位置)に配設されている。
【0035】
また、一対の閉塞板44の内の左閉塞板44Bは、開口部R0の水素ガスの噴出上流側から見て左端部を覆うように設けられている。左閉塞板44Bは、開口部R0側から見て、少なくとも右端形成された上側空気噴出ノズル36A及び下側空気噴出ノズル36Bを覆う位置に配設されている。また、左閉塞板44Bは、開口部R0側から見て、水素噴出口24Aと重なり合わない位置(水素噴出口24Aを覆わない位置)に配設されている。
【0036】
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
【0037】
熱風乾燥システム10の稼働は、循環ダクト14内で気体を循環させつつ、水素燃焼式熱風バーナ20で熱風を発生させる。水素燃焼式熱風バーナ20での熱風発生時には、水素ガス供給管P1から水素噴出ヘッダ22へ水素ガスを供給し、空気供給管P2から空気噴出筒30へ空気を供給し、不図示の着火装置により着火が行われる。
【0038】
水素ガスは、水素噴出口24Aから噴出され、空気は空気噴出ノズル36から噴出される。水素ガスと空気とが混合されて燃焼し、燃焼により熱風となった燃焼ガスが乾燥炉12へ供給され、乾燥炉12での乾燥に供される。
【0039】
本実施形態の水素燃焼式熱風バーナ20では、上側空気噴出ノズル36A及び下側空気噴出ノズル36Bからは、開口部R0の外側へ向かって空気が噴出される。したがって、水素噴出口24Aから噴出された水素ガスとの混合は、上側空気噴出ノズル36A及び下側空気噴出ノズル36Bが形成されている位置よりも保炎空間Rの外側となる。これにより、上側空気噴出ノズル36A及び下側空気噴出ノズル36Bからの空気の噴出方向が、空気噴出プレート34のプレート面に対して法線方向の場合と比較して、水素ガスの燃焼位置を開口外側へずらすことができ、保炎空間R内の温度の過度な上昇を抑制することができる。
【0040】
また、本実施形態では、上側空気噴出ノズル36A及び下側空気噴出ノズル36Bを、上側空気噴出プレート34A、下側空気噴出プレート34Bの延出方向の開口部R0側にのみ形成しており、空気非噴出部38A、38Bを設けている。これにより、上側空気噴出プレート34A、下側空気噴出プレート34Bの全面に上側空気噴出ノズル36A及び下側空気噴出ノズル36Bを設けた場合と比較して、水素ガスの燃焼位置を開口外側へずらすことができ、保炎空間R内の温度の過度な上昇を抑制することができる。
【0041】
また、本実施形態では、上側空気噴出ノズル36Aの中心軸の空気噴出方向D1の延長線上に下側空気噴出プレート34Bが配置されず、下側空気噴出ノズル36Bの中心軸の空気噴出方向D2の延長線上に上側空気噴出プレート34Aが配置されていない。したがって、水素ガスの燃焼炎が、直接上側空気噴出プレート34A、下側空気噴出プレート34Bへ吹き付けられず、上側空気噴出プレート34A、下側空気噴出プレート34Bの過度な温度上昇を抑制することができる。
【0042】
また、本実施形態では、水素噴出口24Aを、水素噴出プレート24の中央部に形成し、水素噴出プレート24の長尺方向の両端部に水素非噴出部26を設けている。これにより、一対のサイドプレート40から離れた位置から水素ガスが噴出され、一対のサイドプレート40の過度な温度上昇を抑制することができる。
【0043】
また、本実施形態では、一対の閉塞板44を設けている。水素噴出口24Aは、閉塞板44と重なり合っておらず、左右方向の端部に設けられた空気噴出ノズル36から噴出された空気が閉塞板44に当たるため、閉塞板44に当たった空気は上流側へ戻り、サイドプレート40に沿って空気流が発生する。したがって、サイドプレート40の近傍において、過度な温度上昇を抑制することができる。
【0044】
なお、本実施形態では、上側空気噴出プレート34A、下側上側空気噴出プレート34Bの水素ガスの噴出上流側に空気噴出ノズルが形成されない空気非噴出部38A、38Bを形成したが、必ずしも空気非噴出部38A、38Bを形成しなくてもよい。
【0045】
また、本実施形態では、上側空気噴出ノズル36A、下側空気噴出ノズル36Bについて、プレート面に対して、空気噴出方向D1、D2が開口部R0の外側へ傾斜するように設けたが、空気噴出方向D1、D2をプレート面の法線方向に向けてもよい。
【符号の説明】
【0046】
20 水素燃焼式熱風バーナ
22 水素噴出ヘッダ
24A 水素噴出口
34 空気噴出プレート
36 空気噴出ノズル
38A、38B 空気非噴出部
40 サイドプレート
44 閉塞板44
R 保炎空間
R0 開口部(開口)
【要約】
【課題】水素燃焼によるバーナ部品の赤熱(異常過熱)による熱損傷を抑制する。
【解決手段】水素燃焼式ダクトバーナ20は、水素噴出口24Aから水素ガスを保炎空間Rへ噴出させる水素噴出ヘッダ22と、水素噴出ヘッダ22の水素噴出口24Aを挟んだ両側から、水素ガスの噴出方向に対して保炎空間Rの下流端の開口が広がるように延出配置された一対の空気噴出プレート34と、一対の空気噴出プレート34の各々に設けられ、保炎空間Rへ空気を噴出させる空気噴出ノズル36と、保炎空間Rの内壁の一部を構成し、一対の空気噴出プレート34間を連結する一対のサイドプレート40と、一対のサイドプレート40から連続する開口の端部を覆い、少なくとも1の空気噴出ノズル36からの空気噴出方向の延長線と重なるように配置された一対の閉塞板44と、を備えている。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5