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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-15
(45)【発行日】2023-12-25
(54)【発明の名称】バッテリーパックの診断方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 25/72 20060101AFI20231218BHJP
   G01N 27/82 20060101ALI20231218BHJP
【FI】
G01N25/72 F
G01N27/82
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023515360
(86)(22)【出願日】2021-11-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-03
(86)【国際出願番号】 KR2021017119
(87)【国際公開番号】W WO2022108399
(87)【国際公開日】2022-05-27
【審査請求日】2023-03-07
(31)【優先権主張番号】10-2020-0158167
(32)【優先日】2020-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ヘ・ユン・ベ
(72)【発明者】
【氏名】キョン・チュン・ミン
【審査官】鴨志田 健太
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/074161(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/166840(WO,A1)
【文献】特開2000-286314(JP,A)
【文献】特開2013-036975(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0059803(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 25/72
G01N 27/82
H01L 21/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリーセルとワイヤーとをボンディング接続してバッテリーパックを製造するバッテリーパック製造ステップと、
前記ワイヤーを介して前記バッテリーセルを充放電するバッテリーセル充放電ステップと、
前記バッテリーパックの熱画像を撮像するバッテリーパック熱画像撮像ステップと、
前記撮像された熱画像データから前記バッテリーセルとワイヤーとがボンディングされた個所のボンディング状態を読み取る熱画像読取りステップと、
前記バッテリーパックの磁場画像を撮像するバッテリーパック磁場画像撮像ステップと、
前記撮像された磁場画像データから前記バッテリーセルとワイヤーとがボンディングされた個所のボンディング状態を読み取る磁場画像読取りステップと、
前記熱画像読取りステップにおいて生成された熱画像読取り結果情報と、前記磁場画像読取りステップにおいて生成された磁場画像読取り結果情報とを組み合わせて前記バッテリーセルとワイヤーとがボンディングされた個所のボンディング状態を最終的に判断するワイヤーボンディング状態不良判断ステップと、
を含むバッテリーパックの診断方法。
【請求項2】
前記バッテリーパック熱画像撮像ステップは、
前記ワイヤーが位置する所定の平面を撮像して熱画像を生成し、
前記撮像された熱画像のピクセルサイズは、前記ワイヤーの太さ及び前記ワイヤーがボンディングされた個所のサイズのうちの少なくともどちらか一方よりも小さくなるように定められた所定のピクセルサイズである請求項1に記載のバッテリーパックの診断方法。
【請求項3】
前記熱画像読取りステップは、
前記撮像された熱画像内から所定の輪郭線を抽出して前記バッテリーセルとワイヤーとがボンディングされた個所の形状を生成する熱画像輪郭線生成ステップと、
前記撮像された熱画像データから前記バッテリーセルとワイヤーとがボンディングされた個所の温度を高温及び低温のうちのどちらか一方として読み取るボンディング済み個所温度読取りステップと、
前記バッテリーセルとワイヤーとがボンディングされた個所の温度が所定の基準温度よりも高温の場合、当該個所のボンディング状態を非正常接続-確定状態と判断するボンディング済み個所非正常接続判断ステップと、
前記バッテリーセルとワイヤーとがボンディングされた個所の温度が前記基準温度よりも低温の場合、当該個所のボンディング状態を正常接続-みなし状態と判断するボンディング済み個所正常接続-みなし判断ステップと、
前記ボンディングされた個所の位置情報及びボンディング状態をマッチングして熱画像読取り結果情報を生成する熱画像読取り結果情報生成ステップと、
を含む請求項1に記載のバッテリーパックの診断方法。
【請求項4】
前記バッテリーパック磁場画像撮像ステップは、
前記熱画像を撮像した平面と同一の所定の平面を撮像して磁場画像を生成し、
前記撮像された磁場画像のピクセルサイズは、撮像された熱画像のピクセルサイズに対応するように定められた所定のピクセルサイズである請求項2に記載のバッテリーパックの診断方法。
【請求項5】
前記磁場画像読取りステップは、
前記熱画像読取りステップにおいて抽出した輪郭線を用いて、前記撮像された磁場画像内にバッテリーセルとワイヤーとがボンディングされた個所の形状を生成する磁場画像輪郭線生成ステップと、
前記撮像された磁場画像データから前記バッテリーセルとワイヤーとがボンディングされた個所の磁場の強さを読み取るボンディング済み個所磁場強さ読取りステップと、
前記バッテリーセルとワイヤーとがボンディングされた個所の磁場の強さが所定の基準強さよりも大きい場合、当該個所のボンディング状態を正常接続-確定状態と判断するボンディング済み個所正常接続判断ステップと、
前記バッテリーセルとワイヤーとがボンディングされた個所の磁場の強さが前記基準強さよりも小さい場合、当該個所のボンディング状態を非正常接続-みなし状態と判断するボンディング済み個所非正常接続-みなし判断ステップと、
前記ボンディングされた個所の位置情報及びボンディング状態をマッチングして磁場画像読取り結果情報を生成する磁場画像読取り結果情報生成ステップと、
を含む請求項3に記載のバッテリーパックの診断方法。
【請求項6】
前記ワイヤーボンディング状態不良判断ステップは、
前記熱画像読取り結果情報と前記磁場画像読取り結果情報とを照らし合わせて、前記バッテリーセルとワイヤーとがボンディングされた個所のボンディング状態を正常接続、非正常接続、及び非正常断線の中から選ばれたいずれか一つの状態と最終的に判断することを特徴とする請求項5に記載のバッテリーパックの診断方法。
【請求項7】
前記ワイヤーボンディング状態不良判断ステップは、
前記熱画像読取り結果情報と前記磁場画像読取り結果情報とを照らし合わせて、
前記バッテリーセルとワイヤーとがボンディングされた個所のボンディング状態が非正常接続-確定の場合、当該個所のボンディング状態を非正常接続状態と最終的に判断し、
前記バッテリーセルとワイヤーとがボンディングされた個所のボンディング状態が正常接続-確定の場合、当該個所のボンディング状態を正常接続状態と最終的に判断し、
前記バッテリーセルとワイヤーとがボンディングされた個所のボンディング状態が正常接続-みなし及び非正常接続-みなしの場合、当該個所のボンディング状態を非正常断線状態と最終的に判断することを特徴とする請求項6に記載のバッテリーパックの診断方法。
【請求項8】
前記バッテリーセル充放電ステップを行う最中に、
前記バッテリーパック熱画像撮像ステップと、前記バッテリーパック磁場画像撮像ステップと、を同時に行うことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載のバッテリーパックの診断方法。
【請求項9】
前記バッテリーセル充放電ステップを行う最中に、
前記バッテリーパック熱画像撮像ステップと、前記バッテリーパック磁場画像撮像ステップと、を所定の時間差をおいて所定の順番にて行うことを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載のバッテリーパックの診断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリーパックの診断方法に係り、さらに詳しくは、バッテリーパックに備えられている複数のバッテリーセル及びこれらを接続する複数本のワイヤー同士の間のボンディング状態を正確に診断することのできるバッテリーパックの診断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
バッテリーパックは、複数のバッテリーセルをハウジングに収納し、バスバー及びワイヤーにて複数のバッテリーセルを接続して製造する。このようなバッテリーパックは、バッテリーセルとワイヤーとがボンディングされた個所に不良が生じる場合がある。
【0003】
このように、バッテリーセルとワイヤーとがボンディングされた個所に不良が生じると、当該バッテリーセルは、充放電に際して内部抵抗の変化が甚だしく生じる。例えば、充電に際して、当該バッテリーセルは、その周りの正常バッテリーセルよりも高い電圧が形成され、放電状態で、当該バッテリーセルは、その周りの正常バッテリーセルよりも低い電圧が形成される。
【0004】
また、当該バッテリーセルの充放電を行い続けると、バッテリーパックの全体の出力が低下し、当該バッテリーセルにおいて短絡が生じて発火してしまうという不都合がある。このため、バッテリーパックの製造段階において、バッテリーセルとワイヤーとがボンディングされた個所のボンディング状態に対する検査を行って、ボンディングされた個所のボンディング状態を診断しなければならない。
【0005】
しかしながら、一つのバッテリーパック内には数百個以上のバッテリーセルが収納され、これらを接続するワイヤーの本数もまた数百本以上になる。したがって、これらがボンディングされた個所のボンディング状態を一々に正確に検査するのに難点がある。
【0006】
本発明の背景となる技術は、下記の特許文献に掲載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】韓国公開特許第10-2019-0011096号公報
【文献】韓国公開特許第10-2020-0056715号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、バッテリーパックに備えられている複数のバッテリーセル及びこれらを接続する複数本のワイヤー同士の間のボンディング状態を正確に診断することのできるバッテリーパックの診断方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施形態に係るバッテリーパックの診断方法は、バッテリーセルとワイヤーとをボンディング接続してバッテリーパックを製造するバッテリーパック製造ステップと、前記ワイヤーを介して前記バッテリーセルを充放電するバッテリーセル充放電ステップと、前記バッテリーパックの熱画像を撮像するバッテリーパック熱画像撮像ステップと、撮像された熱画像データからバッテリーセルとワイヤーとがボンディングされた個所のボンディング状態を読み取る熱画像読取りステップと、前記バッテリーパックの磁場画像を撮像するバッテリーパック磁場画像撮像ステップと、撮像された磁場画像データからバッテリーセルとワイヤーとがボンディングされた個所のボンディング状態を読み取る磁場画像読取りステップと、前記熱画像読取りステップにおいて生成された熱画像読取り結果情報と、前記磁場画像読取りステップにおいて生成された磁場画像読取り結果情報とを組み合わせてバッテリーセルとワイヤーとがボンディングされた個所のボンディング状態を最終的に判断するワイヤーボンディング状態不良判断ステップと、を含む。
【0010】
前記バッテリーパック熱画像撮像ステップは、前記ワイヤーが位置する所定の平面を撮像して熱画像を生成し、撮像された熱画像のピクセルサイズは、前記ワイヤーの太さ及び前記ワイヤーがボンディングされた個所のサイズのうちの少なくともどちらか一方よりも小さくなるように定められた所定のピクセルサイズであってもよい。
【0011】
前記熱画像読取りステップは、撮像された熱画像内から所定の輪郭線を抽出してバッテリーセルとワイヤーとがボンディングされた個所の形状を生成する熱画像輪郭線生成ステップと、撮像された熱画像データからバッテリーセルとワイヤーとがボンディングされた個所の温度を高温及び低温のうちのどちらか一方として読み取るボンディング済み個所温度読取りステップと、バッテリーセルとワイヤーとがボンディングされた個所の温度が所定の基準温度よりも高温の場合、当該個所のボンディング状態を非正常接続-確定状態と判断するボンディング済み個所非正常接続判断ステップと、バッテリーセルとワイヤーとがボンディングされた個所の温度が前記基準温度よりも低温の場合、当該個所のボンディング状態を正常接続-みなし状態と判断するボンディング済み個所正常接続-みなし判断ステップと、ボンディングされた個所の位置情報及びボンディング状態をマッチングして熱画像読取り結果情報を生成する熱画像読取り結果情報生成ステップと、を含んで構成されてもよい。
【0012】
前記バッテリーパック磁場画像撮像ステップは、前記熱画像を撮像した平面と同一の所定の平面を撮像して磁場画像を生成し、撮像された磁場画像のピクセルサイズは、撮像された熱画像のピクセルサイズに対応するように定められた所定のピクセルサイズであってもよい。
【0013】
前記磁場画像読取りステップは、前記熱画像読取りステップにおいて抽出した輪郭線を用いて、撮像された磁場画像内にバッテリーセルとワイヤーとがボンディングされた個所の形状を生成する磁場画像輪郭線生成ステップと、撮像された磁場画像データからバッテリーセルとワイヤーとがボンディングされた個所の磁場の強さを読み取るボンディング済み個所磁場強さ読取りステップと、バッテリーセルとワイヤーとがボンディングされた個所の磁場の強さが所定の基準強さよりも大きければ、当該個所のボンディング状態を正常接続-確定状態と判断するボンディング済み個所正常接続判断ステップと、バッテリーセルとワイヤーとがボンディングされた個所の磁場の強さが前記基準強さよりも小さければ、当該個所のボンディング状態を非正常接続-みなし状態と判断するボンディング済み個所非正常接続-みなし判断ステップと、ボンディングされた個所の位置情報及びボンディング状態をマッチングして磁場画像読取り結果情報を生成する磁場画像読取り結果情報生成ステップと、を含んで構成されてもよい。
【0014】
前記ワイヤーボンディング状態不良判断ステップは、前記熱画像読取り結果情報と前記磁場画像読取り結果情報とを照らし合わせて、バッテリーセルとワイヤーとがボンディングされた個所のボンディング状態を正常接続、非正常接続及び非正常断線のうちから選ばれたいずれか一つの状態と最終的に判断することを特徴としてもよい。
【0015】
前記ワイヤーボンディング状態不良判断ステップは、前記熱画像読取り結果情報と前記磁場画像読取り結果情報とを照らし合わせて、バッテリーセルとワイヤーとがボンディングされた個所のボンディング状態が非正常接続-確定の場合、当該個所のボンディング状態を非正常接続状態と最終的に判断し、バッテリーセルとワイヤーとがボンディングされた個所のボンディング状態が正常接続-確定の場合、当該個所のボンディング状態を正常接続状態と最終的に判断し、バッテリーセルとワイヤーとがボンディングされた個所のボンディング状態が正常接続-みなし及び非正常接続-みなしの場合、当該個所のボンディング状態を非正常断線状態と最終的に判断することを特徴としてもよい。
【0016】
前記バッテリーセル充放電ステップを行う最中に、前記バッテリーパック熱画像撮像ステップと、前記バッテリーパック磁場画像撮像ステップと、を同時に行うことを特徴としてもよい。
【0017】
前記バッテリーセル充放電ステップを行う最中に、前記バッテリーパック熱画像撮像ステップと、前記バッテリーパック磁場画像撮像ステップと、を所定の時間差をおいて所定の順番にて行うことを特徴としてもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明の実施形態によれば、バッテリーパックの熱画像を読み取った結果と、バッテリーパックの磁場画像を読み取った結果とを組み合わせることにより、バッテリーパックに備えられているバッテリーセル及びここに接続されたワイヤーの間のボンディング状態を正確に診断することができる。したがって、ボンディング状態が不良なワイヤーが診断結果リストから抜けてしまうことを防ぐことができる。すなわち、熱画像のみを読み取ったり、磁場画像のみを読み取ったりする場合に比べて、ボンディング状態を正確に診断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態に係るバッテリーパックの診断方法の手順図である。
図2】本発明の実施形態に係るバッテリーパックの製造ステップを例示的に示す模式図である。
図3】それぞれ本発明の実施形態に係るバッテリーパック製造ステップを例示的に示す模式図である。
図4】本発明の実施形態に係るバッテリーセル充放電ステップを例示的に示す模式図である。
図5】本発明の実施形態に係るバッテリーパック熱画像撮像ステップを例示的に示す模式図である。
図6】本発明の実施形態に係る熱画像読取りステップを説明するための概念図である。
図7】本発明の実施形態に係るバッテリーパック磁場画像撮像ステップを例示的に示す模式図である。
図8】本発明の実施形態に係る磁場画像読取りステップを説明するための概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面に基づいて、本発明の実施形態についてさらに詳しく説明する。しかしながら、本発明は以下に開示される実施形態に何ら限定されるものではなく、異なる様々な形態に具体化され、単にこれらの実施形態は本発明の開示を完全たるものにし、通常の知識を有する者に発明の範囲を完全に知らせるために提供されるものである。図面は、本発明の実施形態を正確に説明するために大きさが誇張されてもよく、図中、同じ符号は、同じ構成要素を指し示す。
【0021】
以下、添付図面に基づいて、本発明の実施形態について詳しく説明する。
【0022】
1.本発明の実施形態に係るバッテリーパックの診断方法
【0023】
図1は、本発明の実施形態に係るバッテリーパックの診断方法の手順図である。
【0024】
図1に示すように、本発明の実施形態に係るバッテリーパックの診断方法は、バッテリーパック製造ステップ(S100)と、バッテリーセル充放電ステップ(S200)と、バッテリーパック熱画像撮像ステップ(S300)と、熱画像読取りステップ(S400)と、バッテリーパック磁場画像撮像ステップ(S500)と、磁場画像読取りステップ(S600)と、ワイヤーボンディング状態不良判断ステップ(S700)とを含む。
【0025】
1.1.バッテリーパック製造ステップ(S100)
【0026】
図2及び図3はそれぞれ、本発明の実施形態に係るバッテリーパック製造ステップを例示的に示す模式図である。
【0027】
バッテリーパック製造ステップは、バッテリーセル30とワイヤーWとをボンディング接続してバッテリーパックBを製造するステップである。バッテリーパック製造ステップは、バッテリーセル収納ステップ(S110)と、ワイヤーボンディングステップ(S120)と、を含んでいてもよい。
【0028】
1.1.1.バッテリーセル収納ステップ(S110)
【0029】
図2を参照すると、バッテリーセル収納ステップにおいては、バッテリーパックハウジング10と、バッテリーセルホルダー20と、複数のバッテリーセル30と、バスバー40とを用意する。次いで、バッテリーパックハウジング10にバッテリーセルホルダー20を収納し、バッテリーセルホルダー20に複数のバッテリーセル30を収納してもよい。なお、複数のバッテリーセル30にバスバー40を載置してもよい。
【0030】
ここで、バッテリーパックハウジング10は、内部が上方に開かれた四角い筒形状であってもよい。いうまでもなく、バッテリーパックハウジング10の形状は、種々に変更可能である。バッテリーセルホルダー20は、複数のバッテリーセル30を固定可能な種々の材質及び形状に設けられてもよい。バッテリーセル30は、上下方向に延設された円筒状の二次電池セルであってもよい。いうまでもなく、バッテリーセル30は、様々な形状の缶型二次電池セルであってもよい。バッテリーセル30は、所定の配列をなすように水平方向に並べられてもよい。
【0031】
1.1.2.ワイヤーボンディングステップ(S120)
【0032】
図3を参照すると、ワイヤーボンディングステップにおいては、複数のバッテリーセル30とバスバー40とを接続するように、バスバー40に形成された複数の貫通孔Hに複数本のワイヤーWをそれぞれ配置した後、ワイヤーボンディングを行って複数本のワイヤーWのそれぞれの一方の端と複数のバッテリーセル30とをそれぞれ接続し、バスバー40と複数本のワイヤーWのそれぞれの他方の端とを接続することにより、バッテリーパックBを製造してもよい。
【0033】
このとき、バッテリーセル30とワイヤーWとがボンディングされた個所に損傷が生じることにより、ワイヤーWの一方の端とバッテリーセル30とが正常的に接触されなくなる虞がある。このため、ボンディングされた個所の面積が非正常的に小さくなる虞がある。なお、ボンディングされた個所が完全に途切れてしまう虞もある。
【0034】
いうまでもなく、バスバー40とワイヤーWの他方の端とがボンディングされた個所にも損傷が生じる虞があり、当該個所が完全に途切れてしまう虞もある。このような場合にも、下記のステップを通して同一の方式によりボンディングされた個所のボンディング状態の不良を判断してもよい。
【0035】
1.2.バッテリーセル充放電ステップ(S200)
【0036】
図4は、本発明の実施形態に係るバッテリーセル充放電ステップを例示的に示す模式図である。
【0037】
図4を参照すると、バッテリーセル充放電ステップは、ワイヤーを介してバッテリーセルを充放電するステップである。バッテリーセル充放電ステップは、製造されたバッテリーパックBを支持部50に載置するステップと、ワイヤーWを介してバッテリーセル30と接続されているバッテリーパックBの入出力端子(図示せず)に充放電器60を接続するステップと、充放電器60を用いてバッテリーパックB内のバッテリーセル30を充電または放電するステップとを含んでいてもよい。
【0038】
ここで、充放電器60は、所定の充電源(図示せず)及び所定の放電ロッド(図示せず)を組み込んでいてもよい。充放電器60を用いてバッテリーセル30を充電または放電する間に、入出力端子とワイヤーWとバッテリーセル30とを通る電流の流れが形成される。このとき、バッテリーセル30とワイヤーWとがボンディングされた個所に損傷があれば、非正常的な電流の流れが形成されるか、あるいは、電流の流れが形成されない虞がある。
【0039】
例えば、バッテリーセル30とワイヤーWとがボンディングされた個所が損傷されることにより、その面積が非正常的に小さくなった場合、ボンディングされた個所の抵抗が増加し、非正常的な電流の流れが形成されてしまう虞がある。この場合、当該個所に電流が通電する間に、当該個所の温度が周りよりも高く形成されてしまう虞がある。
【0040】
また、バッテリーセル30とワイヤーWとがボンディングされた個所が完全に途切れてしまう場合、電流の流れが形成されなくなる虞がある。
【0041】
一方、バッテリーセル30とワイヤーWとがボンディングされた個所が損傷されていない場合と、バッテリーセル30とワイヤーWとがボンディングされた個所が完全に途切れてしまう場合、当該個所の温度は、損傷された個所の温度に比べて相対的に低くなる虞がある。
【0042】
さらに、バッテリーセル30とワイヤーWとがボンディングされた個所が損傷されたり完全に途切れてしまったりすると、当該個所の電流の強さは、周りよりも低くなったり零(0)になったりする虞があり、当該個所の磁場の強さは、周りよりも低くなる虞がある。
【0043】
一方、バッテリーセル30とワイヤーWとがボンディングされた個所が損傷されていない場合には、当該個所に電流が流れる間に、当該個所の電流の強さが上記の場合と比べて相対的に高くなる虞があり、したがって、磁場の強さもまた相対的に高くなる虞がある。
【0044】
1.3.バッテリーパック熱画像撮像ステップ(S300)
【0045】
図5は、本発明の実施形態に係るバッテリーパック熱画像撮像ステップを例示的に示す模式図である。
【0046】
バッテリーパック熱画像撮像ステップは、バッテリーパックBの熱画像を撮像するステップである。バッテリーパック熱画像撮像ステップは、バッテリーパックBを支持部50に載置し、支持部50の上に熱画像撮像手段70を位置させるステップと、熱画像撮像手段70を用いて、ワイヤーWが位置する所定の平面の熱画像、例えば、バッテリーパックBの上面の熱画像を撮像するステップと、を含んでいてもよい。
【0047】
例えば、バッテリーパックBが支持可能な上面を備える支持部50の上にバッテリーパックBを載置した後、診断部80と接続されている熱画像撮像手段70をバッテリーパックBの上側に移動させてもよい。なお、熱画像撮像手段70の焦点面に所定の焦点面の配列をなしている複数の検出素子(図示せず)を用いて、バッテリーパックBの上面から放出される赤外線を検出して、バッテリーパックBの上面の熱画像を撮像してもよい。
【0048】
このとき、撮像された熱画像のピクセルサイズは、ワイヤーWのサイズに対応するように定められた所定のピクセルサイズであってもよい。例えば、撮像された熱画像においてワイヤーWが区別できるように、撮像された熱画像のピクセルサイズは、ワイヤーWの太さ及びワイヤーWがボンディングされた個所のサイズのうちの少なくともどちらか一方よりも小さいように定められた所定のピクセルサイズであってもよい。
【0049】
いうまでもなく、撮像された熱画像のピクセルサイズは、バッテリーセル30の直径よりも小さい所定のピクセルサイズであってもよい。
【0050】
1.4.熱画像読取りステップ(S400)
【0051】
図6は、本発明の実施形態に係る熱画像読取りステップを説明するための概念図である。
【0052】
熱画像読取りステップは、撮像された熱画像データDB1からバッテリーセル30とワイヤーWとがボンディングされた個所のボンディング状態を読み取るステップである。このようなステップは、診断部80において行ってもよい。
【0053】
ここで、熱画像読取りステップは、撮像された熱画像内から所定の輪郭線を抽出して、バッテリーセル30とワイヤーWとがボンディングされた個所の形状を生成する熱画像輪郭線生成ステップと、熱画像データDB1からバッテリーセル30とワイヤーWとがボンディングされた個所の温度を高温及び低温のうちのどちらか一方として読み取るボンディング済み個所温度読取りステップと、バッテリーセルとワイヤーとがボンディングされた個所の温度が高温の場合、当該個所のボンディング状態を非正常接続-確定状態と判断するボンディング済み個所非正常接続判断ステップと、バッテリーセルとワイヤーとがボンディングされた個所の温度が低温の場合、当該個所のボンディング状態を正常接続-みなし状態と判断するボンディング済み個所正常接続-みなし判断ステップと、ボンディングされた個所の位置情報及びボンディング状態をマッチングして熱画像読取り結果情報を生成する熱画像読取り結果情報生成ステップとを含んでいてもよい。
【0054】
さらに具体的には、撮像された熱画像内から所定の輪郭線を抽出する。例えば、バッテリーセル30を充放電する間に、所定の熱がバッテリーセル30、バスバー40、及びワイヤーWにおいてそれぞれ生成されて周りに伝搬される。このとき、バッテリーセル30、バスバー40、及びワイヤーWはそれぞれ、所定の異なるサイズと材質及び物性を有していてもよく、これらを撮像して熱画像を見ると、その境界面において微細な温度の違いが生じる可能性があることが分かり、温度の違いによる輪郭線が生成される可能性がある。
【0055】
このため、撮像された熱画像内から所定の輪郭線を抽出してバッテリーセル30とワイヤーWとがボンディングされた個所の形状を生成し、これを通じて、ワイヤーWがボンディングされた個所に相当するピクセルをそうではないピクセルと区別することができる。このため、撮像した熱画像内からワイヤーWがボンディングされた個所が分かる。
【0056】
次いで、撮像された熱画像P1のピクセルを温度に応じて仕分ける。すなわち、撮像された熱画像P1のピクセルを所定の基準温度よりも高温TであるピクセルA1、A2、及びそれよりも低温Tであるピクセルに仕分ける。高温T及び低温Tはそれぞれ、所定の温度範囲に定められてもよい。例えば、基準温度よりも低い低温Tは、例えば、所定の温度範囲であってもよく、高温Tは、低温Tよりも高い所定の温度範囲であってもよい。
【0057】
基準温度は、例えば、バスバー40とワイヤーWとバッテリーセル30とが正常的にワイヤーボンディングされて接続された状態で、バッテリーセル30を充放電したときのワイヤーWの表面温度の範囲であってもよい。このとき、このような表面温度は、理論的に計算してもよく、あるいは、常温もしくは標準温度の下でバッテリーセル30の充放電を行いながら、バッテリーセル30と接続されたワイヤーWの温度を繰り返し測定する所定の実験を通じて求めてもよい。
【0058】
次いで、高温TのピクセルA1、A2を低温のピクセルから区別して、高温TのピクセルA1、A2を包み込むように閉曲線(図示せず)を形成する。次いで、閉曲線内にワイヤーWが位置するか否かを確認する。すなわち、ワイヤーWがボンディングされた個所に相当するピクセルをそうではないピクセルから区別するように熱画像P1内から抽出された輪郭線と、高温TのピクセルA1、A2を包み込むように形成された閉曲線とが重なり合うか否かを確認し、これらが重なり合うと、閉曲線内にワイヤーWが位置するということを確認することができる。
【0059】
次いで、閉曲線内に位置するワイヤーWがボンディングされた個所の位置情報を取得する。例えば、閉曲線内に位置するワイヤーWがボンディングされた個所の位置情報は、熱画像撮像手段70の配設高さ、配設角度、画角及び解像度X-Yと、バッテリーパックBの上面の高さ及び上面の面積を用いて所定の座標の形式として求めてもよい。これと同様に、閉曲線の外に位置するワイヤーWがボンディングされた個所の位置情報もまた取得してもよい。
【0060】
次いで、閉曲線内に位置するワイヤーWのボンディングされた個所を非正常接続-確定状態と判断する。なお、閉曲線の外に位置するワイヤーWのボンディングされた個所を正常接続-みなし状態と判断する。
【0061】
1.5.バッテリーパック磁場画像撮像ステップ(S500)
【0062】
図7は、本発明の実施形態に係るバッテリーパック磁場画像撮像ステップを例示的に示す模式図である。
【0063】
図7を参照すると、バッテリーパック磁場画像撮像ステップは、バッテリーパックBの磁場画像を撮像するステップである。
【0064】
ターゲットに電流及び磁場を同時に印加すると、ターゲットの磁化状態が特定の角度を形成し、この角度を用いて、電流を生じさせる磁場サイズを測定することができる。なお、ターゲットにレーザー光を入射させてその反射光を収集して強さを検出し、検出された反射光の強さに基づいて、磁場の強さを算出することができる。この他にも、各種の磁気センサーを用いて磁場の強さを求めることができ、これから磁場画像を生成することができる。
【0065】
例えば、バッテリーパックBの磁場画像は、所定の磁気センサーの配列を有する磁場画像撮像手段90を用いて撮像してもよい。このようなバッテリーパック磁場画像撮像ステップは、支持部50の上に磁場画像撮像手段90を位置させるステップと、磁場画像撮像手段90を用いてワイヤーWが位置する所定の平面の磁場画像を撮像するステップと、を含んでいてもよい。
【0066】
例えば、磁場画像撮像手段90をバッテリーパックBの上面に位置させた後、水平方向にスキャンしながら、バッテリーパックBの上面の磁場画像を撮像してもよい。すなわち、熱画像を撮像した平面と同一の所定の平面を撮像して磁場画像を生成する。このとき、撮像された磁場画像のピクセルサイズは、撮像された熱画像のピクセルサイズに対応するように定められた所定のピクセルサイズであってもよい。具体的に、磁場画像のピクセルサイズと熱画像のピクセルサイズとが同じであってもよい。
【0067】
一方、上述したバッテリーパック熱画像撮像ステップとバッテリーパック磁場画像撮像ステップは、バッテリーセル充放電ステップを行う最中に行われるが、このとき、これらのステップは、同時に行われてもよい。このため、同じ時間帯の同じ面積の熱画像と磁場画像を得ることができる。いうまでもなく、バッテリーパック熱画像撮像ステップと、バッテリーパック磁場画像撮像ステップは、所定の時間差をおいて所定の順番にて行ってもよい。
【0068】
1.6.磁場画像読取りステップ(S600)
【0069】
図8は、本発明の実施形態に係る磁場画像読取りステップを説明するための概念図である。
【0070】
図8を参照すると、磁場画像読取りステップは、撮像された磁場画像データDB2からバッテリーセルとワイヤーとがボンディングされた個所のボンディング状態を読み取るステップであって、診断部80において行ってもよい。
【0071】
このような磁場画像読取りステップは、熱画像読取りステップにおいて抽出した輪郭線を用いて、撮像された磁場画像内にバッテリーセル30とワイヤーWがボンディングされた個所の形状を生成する磁場画像輪郭線生成ステップと、撮像された磁場画像データDB2からバッテリーセルとワイヤーとがボンディングされた個所の磁場の強さを読み取るボンディング済み個所磁場強さ読取りステップと、バッテリーセルとワイヤーとがボンディングされた個所の磁場の強さが所定の基準強さよりも大きい場合、当該個所のボンディング状態を正常接続-確定状態と判断するボンディング済み個所正常接続判断ステップと、バッテリーセルとワイヤーとがボンディングされた個所の磁場の強さが上述した基準強さよりも小さい場合、当該個所のボンディング状態を非正常接続-みなし状態と判断するボンディング済み個所非正常接続-みなし判断ステップと、ボンディングされた個所の位置情報及びボンディング状態をマッチングして磁場画像読取り結果情報を生成する磁場画像読取り結果情報生成ステップとを含んでいてもよい。
【0072】
すなわち、所定の解像度X-Yにて撮像された磁場画像P2のピクセルは、磁場の強さに応じて異なる色もしくは明度に区別されて表されてもよく、磁場の強さが基準強さよりも大きな所定の範囲の強さmに相当するピクセルと、磁場の強さが基準強さよりも小さな所定の範囲の強さmに相当するピクセルと、に仕分けることができる。このため、熱画像読取りステップにおいて抽出した輪郭線を用いて、撮像された磁場画像P2内にバッテリーセル30とワイヤーWとがボンディングされた個所の形状を生成し、磁場の強さが基準強さよりも大きなピクセルを取り囲む閉曲線(図示せず)を生成し、閉曲線内にワイヤーWのボンディングされた個所が位置する否かを確認し、閉曲線内のワイヤーWの位置情報とその外のワイヤーWの位置情報を取得する。磁場の強さは、マイクロテスラ(μT)の単位であってもよい。基準強さは、バスバー40とワイヤーWとバッテリーセル30とが正常的にワイヤーボンディングされて接続された状態で、バッテリーセル30を充放電しながらワイヤーWから測定した磁場の強さの範囲であってもよい。このとき、このような基準強さは、理論的に計算してもよく、常温もしくは標準温度の下でバッテリーセル30の充放電を行いながら、バッテリーセル30と接続されたワイヤーWから生成される磁場の強さを繰り返し測定する所定の実験を通じて求めてもよい。
【0073】
そして、閉曲線内に位置するワイヤーWのボンディングされた個所を正常接続-確定状態と判断し、その残りを非正常接続-みなし状態と判断する。
【0074】
1.7.ワイヤーボンディング状態不良判断ステップ(S700)
【0075】
ワイヤーボンディング状態不良判断ステップは、診断部80において行われるが、熱画像読取りステップにおいて生成された熱画像読取り結果情報と、磁場画像読取りステップにおいて生成された磁場画像読取り結果情報とを組み合わせて、バッテリーセルとワイヤーとがボンディングされた個所のボンディング状態を最終的に判断するステップである。
【0076】
具体的には、ワイヤーボンディング状態不良判断ステップは、熱画像読取り結果情報と磁場画像読取り結果情報とを照らし合わせて、バッテリーセルとワイヤーとがボンディングされた個所のボンディング状態を正常接続、非正常接続、及び非正常断線のうちから選ばれたいずれか一つの状態と最終的に判断してもよい。
【0077】
すなわち、熱画像読取り結果情報と磁場画像読取り結果情報とを照らし合わせて、バッテリーセルとワイヤーとがボンディングされた個所のボンディング状態が非正常接続-確定の場合、当該個所のボンディング状態を非正常接続状態と最終的に判断してもよい。
【0078】
例えば、バッテリーセルとワイヤーとがボンディングされた個所のボンディング状態が非正常接続-確定であるということは、当該個所の温度が高温であることを意味する、すなわち、当該個所の温度が高温であるときには、磁場画像読取り結果とは無関係に、当該個所のボンディング状態を非正常接続状態と最終的に判断する。
【0079】
また、熱画像読取り結果情報と磁場画像読取り結果情報とを照らし合わせて、バッテリーセルとワイヤーとがボンディングされた個所のボンディング状態が正常接続-確定の場合、当該個所のボンディング状態を正常接続状態と最終的に判断する。
【0080】
例えば、バッテリーセルとワイヤーとがボンディングされた個所のボンディング状態が正常接続-確定であるということは、当該個所の磁場の強さが高いということを意味する。このときには、熱画像読取り結果とは無関係に、当該個所のボンディング状態を正常接続状態と最終的に判断する。
【0081】
一方、熱画像読取り結果情報と磁場画像読取り結果情報とを照らし合わせて、バッテリーセルとワイヤーとがボンディングされた個所のボンディング状態が正常接続-みなし及び非正常接続-みなしの場合、当該個所のボンディング状態を非正常断線状態と最終的に判断してもよい。
【0082】
すなわち、バッテリーセルとワイヤーとがボンディングされた個所が完全に途切れてしまう場合、温度の違いだけでその状態を確定し難く、磁場画像だけでもその状態を確定し難い。
【0083】
例えば、ボンディングされた個所が完全に途切れてしまった部分と、ボンディングされた個所が正常である部分は、発熱がないか、あるいは、発熱の度合いが相対的に小さな部分であり、その温度が常温に大きく影響を受けるため、これらを温度的に区別し難い。
【0084】
さらに、ボンディングされた個所が損傷された部分の磁場の強さと、ボンディングされた個所が完全に途切れてしまった部分の磁場の強さは、そのサイズが小さいため、これらを正確に区別し難い。
【0085】
しかしながら、本発明の実施形態のように、熱画像読取り結果情報と磁場画像読取り結果情報とを照らし合わせて、バッテリーセルとワイヤーとがボンディングされた個所のボンディング状態が正常接続-みなし状態及び非正常接続-みなし状態の両方ともに含まれることを確認することにより、いわば、これらの状態を熱的に及び磁場の強さ的に相互検証することにより、当該個所の状態が非正常断線状態であることを正確に最終的に判断することができる。
【0086】
本発明の上記の実施形態は本発明の説明のためのものであり、本発明の限定のためのものではない。本発明の上記の実施形態に開示されている構成と方式は、互いに結合したり交差したりして種々の形態に変形される筈であり、これらの変形例もまた、本発明の範囲に収まるものとみなせるということに留意すべきである。すなわち、本発明は、特許請求の範囲及びこれと均等な技術的思想の範囲内において互いに異なる種々の形態に具体化される筈であり、本発明が該当する技術分野における業者は、本発明の技術的思想の範囲内において種々の実施形態が採用可能であるということが理解できる筈である。
【符号の説明】
【0087】
10:バッテリーパックハウジング
20:バッテリーセルホルダー
30:バッテリーセル
40:バスバー
50:支持部
60:充放電器
70:熱画像撮像手段
80:診断部
90:磁場画像撮像手段
H:孔
W:ワイヤー
DB1:撮像された熱画像データ
DB2:撮像された磁場画像データ
P1:撮像された熱画像
P2:撮像された磁場画像
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8