(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】L-グルホシネートの製造方法
(51)【国際特許分類】
C07F 9/30 20060101AFI20231219BHJP
C07F 9/48 20060101ALI20231219BHJP
C07F 9/6584 20060101ALI20231219BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20231219BHJP
【FI】
C07F9/30
C07F9/48 CSP
C07F9/6584
C07B61/00 300
(21)【出願番号】P 2022544805
(86)(22)【出願日】2021-07-20
(86)【国際出願番号】 CN2021107238
(87)【国際公開番号】W WO2022077989
(87)【国際公開日】2022-04-21
【審査請求日】2022-07-22
(31)【優先権主張番号】202011093594.7
(32)【優先日】2020-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522225099
【氏名又は名称】リアー ケミカル カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】LIER CHEMICAL CO., LTD.
(73)【特許権者】
【識別番号】522225103
【氏名又は名称】グァンアン リアー ケミカル カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】GUANGAN LIER CHEMICAL CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】リウ, ヨンジアン
(72)【発明者】
【氏名】カイ, ジエ
(72)【発明者】
【氏名】シュー, ミン
(72)【発明者】
【氏名】リウ, ティンイン
(72)【発明者】
【氏名】チョウ, レイ
(72)【発明者】
【氏名】ゼン, ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】チェン, ケ
(72)【発明者】
【氏名】イン, インスイ
【審査官】中村 政彦
(56)【参考文献】
【文献】特開平01-249786(JP,A)
【文献】米国特許第03846374(US,A)
【文献】国際公開第2020/145627(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07F 9/00
C07B 61/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
L-グルホシネート(I)を調製する方法であって、
【化1】
a)式(II)の化合物から式(III)の化合物を調製するステップと
【化2】
b)式(III)の化合物からL-グルホシネートを調製するステップと
を含み、
Xはハロゲンであり;
Yは、-OR
1または-N(R
2)(R
3)であり;
R
1、R
2およびR
3は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~6のアルキル、置換もしくは非置換の炭素数2~6のアルケニル、置換もしくは非置換の炭素数2~6のアルキニル、置換もしくは非置換の炭素数3~10のシクロアルキル、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール、または置換もしくは非置換の炭素数2~10のヘテロアリールであるか、または-Si(R
4)(R
5)(R
6)であり;
R
4、R
5およびR
6は、それぞれ独立して、1~6個の炭素原子を有する置換もしくは非置換アルキル、または6~20個の炭素原子を有する置換もしくは非置換アリールであり;且つ
アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリールおよびヘテロアリール基の置換基は、それぞれ独立して、ハロゲン、カルボキシル、アミノ、ニトロ、シアノ、1~6個の炭素原子を有するアルキル、6~10個の炭素原子を有するアリール、または3~10個の炭素原子を有するシクロアルキルである、方法。
【請求項2】
ステップa)が、以下のステップc):
式(II)の化合物を式(IV)の化合物と反応させることによって式(V)の化合物を調製するステップ
【化3】
を含むことを特徴とし、
Halはハロゲンであり;
XおよびYは請求項1で定義された通りであり;
R
7は、水素、置換もしくは非置換の炭素数1~6のアルキル、置換もしくは非置換の炭素数2~6のアルケニルまたは置換もしくは非置換の炭素数2~6のアルキニルであり、アルキル、アルケニルおよびアルキニル基の置換基は、それぞれ独立して、ハロゲン、カルボキシル、アミノ、ニトロ、シアノ、炭素数1~6のアルキル、炭素数6~10のアリールまたは炭素数3~10のシクロアルキルである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップa)が、ステップc)の後に、式(V)の化合物を式(III)の化合物に変換するステップd)を含むことを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
Yが-OR
1であり、R
1がメチル、エチル
、n-プロピル、イソプロピ
ル、n-ブチル、イソブチル
、tert-ブチ
ル、アミル、ヘキシル、ベンジル、フェニルまたはナフチ
ルであることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
R
7がメチル、エチル、プロピル、ブチル、アミルまたはヘキシ
ルであることを特徴とする、請求項2~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
ステップc)において、反応温度が-30℃~30℃であることを特徴とする、請求項2~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
ステップc)において、式(II)の化合物対式(IV)の化合物のモル比が1:(0.5~10)であることを特徴とする、請求項2~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
ステップc)が塩基の存在下で行われることを特徴とする、請求項2~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
ステップc)で使用される塩基が有機塩基またはアンモニアであることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
ステップc)において、有機塩基が、有機アミン、ピリジン又は複素環中の1個以上の炭素原子に結合した1~3個の置換基を有するピリジン誘導体、及びピペリジン又は複素環中の1個以上の炭素原子に結合した1~3個の置換基を有するピペリジン誘導体からなる群から選択されることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
有機塩基が、トリエチルアミン、ピペリジンおよびピリジンからなる群から選択されることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
ステップd)において、式(V)の化合物を50℃~150℃の温度で式(III)の化合物に変換することを特徴とする、請求項3~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
ステップc)およびステップd)がワンポットプロセスであることを特徴とする、請求項3~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
ステップb)が、酸触媒の存在下で式(III)の化合物を加水分解することによって行われることを特徴とする、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
酸触媒が塩酸、酢酸またはルイス酸であることを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
ステップb)において、反応温度が20℃~200
℃であることを特徴とする、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
ステップb)において、反応温度が60℃~120℃または90℃~100℃であることを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
L-グルホシネートが、50%超の鏡像体過剰率(ee)値を有することを特徴とする、請求項1から
17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
L-グルホシネートが90%超のee値を有することを特徴とする、請求項
18に記載の方法。
【請求項20】
L-グルホシネート(I)を調製する方法であって、
式(III)の化合物からL-グルホシネート(I)を調製する反応を含むことを特徴とし、
【化4】
Yは請求項1で定義した通りで
ある、方法。
【請求項21】
前記反応は酸触媒の存在下で加水分解により行われる、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記酸触媒は塩酸、酢酸またはルイス酸である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記反応は20℃~200℃の温度で行われる、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
化合物であって、
前記化合物は式(V)の化合物であり、
【化5】
Xはハロゲンであり;
Yは、-OR
1または-N(R
2)(R
3)であり;
R
1、R
2およびR
3は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~6のアルキル、置換もしくは非置換の炭素数2~6のアルケニル、置換もしくは非置換の炭素数2~6のアルキニル、置換もしくは非置換の炭素数3~10のシクロアルキル、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール、または置換もしくは非置換の炭素数2~10のヘテロアリールであるか、または-Si(R
4)(R
5)(R
6)であり;
R
4、R
5およびR
6は、それぞれ独立して、1~6個の炭素原子を有する置換もしくは非置換アルキル、または6~20個の炭素原子を有する置換もしくは非置換アリールであり;
R
7は、水素、置換もしくは非置換の炭素数1~6のアルキル、置換もしくは非置換の炭素数2~6のアルケニル、または置換もしくは非置換の炭素数2~6のアルキニルであり;
アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリールおよびヘテロアリール基の置換基は、それぞれ独立して、ハロゲン、カルボキシル、アミノ、ニトロ、シアノ、1~6個の炭素原子を有するアルキル、6~10個の炭素原子を有するアリール、または3~10個の炭素原子を有するシクロアルキルであり
;
あるいは
、前記化合物は式(III)の化合物であり、
【化6】
Yは、-OR
1または-N(R
2)(R
3)であり、ただし、Yは-OEtではなく;
R
1、R
2およびR
3は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~6のアルキル、置換もしくは非置換の炭素数2~6のアルケニル、置換もしくは非置換の炭素数2~6のアルキニル、置換もしくは非置換の炭素数3~10のシクロアルキル、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール、または置換もしくは非置換の炭素数2~10のヘテロアリールであるか、または-Si(R
4)(R
5)(R
6)であり;
R
4、R
5およびR
6は、それぞれ独立して、1~6個の炭素原子を有する置換もしくは非置換アルキル、または6~20個の炭素原子を有する置換もしくは非置換アリールであり;
アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリールおよびヘテロアリール基の置換基は、それぞれ独立して、ハロゲン、カルボキシル、アミノ、ニトロ、シアノ、1~6個の炭素原子を有するアルキル、6~10個の炭素原子を有するアリール、または3~10個の炭素原子を有するシクロアルキルで
ある、化合物。
【請求項25】
式(V)の化合物は、
【化7】
からなる群から選択される、請求項24に記載の化合物。
【請求項26】
式(III)の化合物は、
【化8】
からなる群から選択される、請求項24に記載の化合物。
【請求項27】
式(III)の化合物を調製する方法であって、
式(III)の化合物が式(II)の化合物から調製されることを特徴とし、
【化9】
Xはハロゲンであり;
Yは、-OR
1または-N(R
2)(R
3)であり;
R
1、R
2およびR
3は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~6のアルキル、置換もしくは非置換の炭素数2~6のアルケニル、置換もしくは非置換の炭素数2~6のアルキニル、置換もしくは非置換の炭素数3~10のシクロアルキル、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール、または置換もしくは非置換の炭素数2~10のヘテロアリールであるか、または-Si(R
4)(R
5)(R
6)であり;
R
4、R
5およびR
6は、それぞれ独立して、1~6個の炭素原子を有する置換もしくは非置換アルキル、または6~20個の炭素原子を有する置換もしくは非置換アリールであり;且つ
アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリールおよびヘテロアリール基の置換基は、それぞれ独立して、ハロゲン、カルボキシル、アミノ、ニトロ、シアノ、1~6個の炭素原子を有するアルキル、6~10個の炭素原子を有するアリール、または3~10個の炭素原子を有するシクロアルキルである、方法。
【請求項28】
前記方法は、式(II)の化合物を式(IV)の化合物と反応させることによって式(V)の化合物を調製するステップ
【化10】
を含むことを特徴とし、
Halはハロゲンであり;
XおよびYは請求項
27で定義された通りであり;
R
7は、水素、置換もしくは非置換の炭素数1~6のアルキル、置換もしくは非置換の炭素数2~6のアルケニルまたは置換もしくは非置換の炭素数2~6のアルキニルであり、アルキル、アルケニルおよびアルキニル基の置換基は、それぞれ独立して、ハロゲン、カルボキシル、アミノ、ニトロ、シアノ、炭素数1~6のアルキル、炭素数6~10のアリールまたは炭素数3~10のシクロアルキルである、請求項
27に記載の方法。
【請求項29】
前記方法は、式(V)の化合物が調製された後に、式(V)の化合物を式(III)の化合物に変換するステップを含む、請求項
28に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[発明の属する技術分野]
本発明は、L-グルホシネートの調製方法に関する。
【0002】
[背景技術]
グルホシネートは、1980年代にHoechstによって開発された、特定の全身作用を有する、非常に強力な、広範囲に使用され、低毒性の、非選択的(滅菌剤)有機リン除草剤である。これは、一年生又は多年生の双子葉雑草及びイネ科雑草を防除することができる。グルホシネートは、2つの(L-およびD-)鏡像異性体を有する。L-グルホシネートの除草活性は、ラセミ体DL-グルホシネートのものの2倍強力である。
【0003】
既存の調製方法は、複雑なプロセスおよび高いコストを有する。したがって、L-グルホシネートを調製するための低コストの方法を開発する必要がある。
【0004】
[発明の内容]
本発明は、L-グルホシネート(I)を調製する方法であって、
【化1】
a)式(II)の化合物から式(III)の化合物を調製するステップと
【化2】
b)式(III)の化合物からL-グルホシネートを調製するステップと
を含み、
Xはハロゲンであり;
Yは、-OR
1または-N(R
2)(R
3)であり;
R
1、R
2およびR
3は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~6のアルキル、置換もしくは非置換の炭素数1~6のアルケニル(好ましくは、置換もしくは非置換の炭素数2~6のアルケニル)、置換もしくは非置換の炭素数1~6のアルキニル(好ましくは、置換もしくは非置換の炭素数2~6のアルキニル)、置換もしくは非置換の炭素数3~10のシクロアルキル、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール、または置換もしくは非置換の炭素数2~10のヘテロアリールであるか、または-Si(R
4)(R
5)(R
6)であり;
R
4、R
5およびR
6は、それぞれ独立して、1~6個の炭素原子を有する置換もしくは非置換アルキル、または6~20個の炭素原子を有する置換もしくは非置換アリールであり;且つ
アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリールおよびヘテロアリール基の置換基は、それぞれ独立して、ハロゲン、カルボキシル(-COOH)、アミノ(-NH
2)、ニトロ(-NO
2)、シアノ(-CN)、1~6個の炭素原子を有するアルキル、6~10個の炭素原子を有するアリール、または3~10個の炭素原子を有するシクロアルキルである、方法を提供する。
【0005】
さらに、上記ステップa)は、以下のステップc):
式(II)の化合物を式(IV)の化合物と反応させることによって式(V)の化合物を調製するステップ
【化3】
を含み、
Halはハロゲンであり;
XおよびYは上記で定義された通りであり;
R
7は、水素、置換もしくは非置換の炭素数1~6のアルキル、置換もしくは非置換の炭素数1~6のアルケニル(好ましくは、置換もしくは非置換の炭素数2~6のアルケニル)または置換もしくは非置換の炭素数1~6のアルキニル(好ましくは、置換もしくは非置換の炭素数2~6のアルキニル)であり、アルキル、アルケニルおよびアルキニル基の置換基は、それぞれ独立して、ハロゲン、カルボキシル、アミノ、ニトロ、シアノ、炭素数1~6のアルキル、炭素数6~10のアリールまたは炭素数3~10のシクロアルキルである。
【0006】
ステップc)において、式(IV)の化合物は、式(VI)の化合物および式(VII)の化合物から系中で調製され得、次いで、反応に関与し得る。
【化4】
式中、Halはハロゲンであり、R
7は上記で定義された通りである。
【0007】
ステップc)において、生成物は、任意の供給順序で首尾よく得ることができる。例えば、式(II)の化合物を式(IV)の化合物に添加してもよく、または式(IV)の化合物を式(II)の化合物に添加してもよい。
【0008】
ステップc)において、反応は、溶媒の非存在下または有機溶媒の存在下で起こり得、有機溶媒は、クロロベンゼンから選択され得る。
【0009】
ステップc)において、反応は、式(II)の化合物の塩(例えば、塩酸塩)を用いて円滑に進行し得る。
【0010】
さらに、上記ステップa)は、ステップc)の後に、式(V)の化合物を式(III)の化合物に変換するステップd)を含む。
【0011】
また、上記Yは-OR1であり、R1はメチル、エチル、プロピル(例えば、n-プロピル、イソプロピル)、ブチル(例えば、n-ブチル、イソブチルまたはtert-ブチル)、アミル、ヘキシル、ベンジル、フェニルまたはナフチルであり、好ましくはエチル、n-プロピル、イソプロピルまたはn-ブチルであり、より好ましくはエチルである。
【0012】
また、上記R7は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、アミルまたはヘキシルであり、好ましくはエチルである。
【0013】
さらに、上記ステップc)において、反応温度は-30℃~30℃、例えば、-10℃~20℃、-10℃~10℃であり、好ましい温度は-10℃である。反応時間は0.1~20時間であってよい。
【0014】
また、上記ステップc)において、反応温度は-30℃~30℃である。
【0015】
さらに、上記ステップc)において、式(II)の化合物対式(IV)の化合物のモル比は1:(0.5~10)である。
【0016】
さらに、上記ステップc)は、塩基の存在下で行われる。
【0017】
さらに、上記ステップc)で使用される塩基は、有機塩基またはアンモニアである。
【0018】
さらに、上記ステップc)において、有機塩基は、有機アミン、ピリジンまたは複素環中の1個以上の炭素原子に結合した1~3個の置換基を有するピリジン誘導体、およびピペリジンまたは複素環中の1個以上の炭素原子に結合した1~3個の置換基を有するピペリジン誘導体からなる群から選択される。
【0019】
さらに、上記ステップc)において、有機塩基は、トリエチルアミン、ピペリジンおよびピリジンからなる群から選択される。
【0020】
さらに、上記ステップc)において、式(II)の化合物対式(IV)の化合物のモル比は1:(0.5~10)である。わずかに過剰(例えば、5%~10%過剰)の式(IV)の化合物は、反応の収率に有利である。
【0021】
さらに、上記ステップd)は、50℃~150℃の温度で式(V)の化合物を式(III)の化合物に変換することを含む。60℃~120℃または90℃から100℃の温度が好ましい。反応時間は0.5~40時間であってよい。
【0022】
ステップd)は、例えば、1,4-ジオキサン、アセトニトリル、1,2-ジクロロエタン、テトラヒドロフランまたはクロロベンゼンである有機溶媒の存在下で行うことができ、好ましい有機溶媒はクロロベンゼンである。
【0023】
さらに、上記ステップc)およびステップd)は、ワンポットプロセスであり、すなわち、式(V)の中間体化合物は分離されない。
【0024】
さらに、上記ステップb)は、酸触媒の存在下で式(III)の化合物を加水分解することにより行われる。
【0025】
また、酸触媒は、塩酸、酢酸又はルイス酸である。
【0026】
さらに、上記ステップb)において、反応温度は20℃~200℃である。60℃~120℃または90℃から100℃の温度が好ましい。
【0027】
さらに、L-グルホシネートは、50%超の鏡像体過剰率(ee)値を有する。
【0028】
さらに、L-グルホシネートは、90%超のee値を有する。
【0029】
本発明の方法は、L-グルホシネートの調製に適しており、高い光学純度を有するL-グルホシネートを高い収率で得ることができる。
【0030】
いくつかの実施形態において、本発明は、L-グルホシネート(I)を調製する方法であって、式(III)の化合物からL-グルホシネート(I)を調製する反応を含むことを特徴とし、
【化5】
Yは上記で定義した通りであり;
好ましくは、前記反応は酸触媒の存在下で加水分解により行われ、前記酸触媒は好ましくは塩酸、酢酸またはルイス酸であり;且つ
好ましくは、前記反応は20℃~200℃の温度で行われる、方法を提供する。
【0031】
いくつかの実施形態において、本発明は、式(V)の化合物を提供する。
【化6】
式中、Xはハロゲンであり;
Yは、-OR
1または-N(R
2)(R
3)であり;
R
1、R
2およびR
3は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~6のアルキル、置換もしくは非置換の炭素数1~6のアルケニル(好ましくは、置換もしくは非置換の炭素数2~6のアルケニル)、置換もしくは非置換の炭素数1~6のアルキニル(好ましくは、置換もしくは非置換の炭素数2~6のアルキニル)、置換もしくは非置換の炭素数3~10のシクロアルキル、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール、または置換もしくは非置換の炭素数2~10のヘテロアリールであるか、または-Si(R
4)(R
5)(R
6)であり;
R
4、R
5およびR
6は、それぞれ独立して、1~6個の炭素原子を有する置換もしくは非置換アルキル、または6~20個の炭素原子を有する置換もしくは非置換アリールであり;
R
7は、水素、置換もしくは非置換の炭素数1~6のアルキル、置換もしくは非置換の炭素数1~6のアルケニル(好ましくは、置換もしくは非置換の炭素数2~6のアルケニル)、または置換もしくは非置換の炭素数1~6のアルキニル(好ましくは、置換もしくは非置換の炭素数2~6のアルキニル)であり;
アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリールおよびヘテロアリール基の置換基は、それぞれ独立して、ハロゲン、カルボキシル、アミノ、ニトロ、シアノ、1~6個の炭素原子を有するアルキル、6~10個の炭素原子を有するアリール、または3~10個の炭素原子を有するシクロアルキルであり;且つ
好ましくは、式(V)の化合物は、
【化7】
からなる群から選択される。
【0032】
いくつかの実施形態において、本発明は、式(III)の化合物を提供する。
【化8】
式中、Yは、-OR
1または-N(R
2)(R
3)であり、ただし、Yは-OEtではなく;
R
1、R
2およびR
3は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~6のアルキル、置換もしくは非置換の炭素数1~6のアルケニル(好ましくは、置換もしくは非置換の炭素数2~6のアルケニル)、置換もしくは非置換の炭素数1~6のアルキニル(好ましくは、置換もしくは非置換の炭素数2~6のアルキニル)、置換もしくは非置換の炭素数3~10のシクロアルキル、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール、または置換もしくは非置換の炭素数2~10のヘテロアリールであるか、または-Si(R
4)(R
5)(R
6)であり;
R
4、R
5およびR
6は、それぞれ独立して、1~6個の炭素原子を有する置換もしくは非置換アルキル、または6~20個の炭素原子を有する置換もしくは非置換アリールであり;
アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリールおよびヘテロアリール基の置換基は、それぞれ独立して、ハロゲン、カルボキシル、アミノ、ニトロ、シアノ、1~6個の炭素原子を有するアルキル、6~10個の炭素原子を有するアリール、または3~10個の炭素原子を有するシクロアルキルであり;且つ
好ましくは、式(III)の化合物は、
【化9】
からなる群から選択される。
【0033】
定義
他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての技術用語および科学用語は、当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有することが意図される。本明細書で使用される技術への言及は、当業者に明らかであるそれらの技術の変形または同等の技術の置換を含む、当技術分野で一般に理解されるような技術を指すことが意図される。以下の用語は、当業者によって容易に理解されると考えられるが、それにもかかわらず、以下の定義は、本発明をよりよく例示するために示される。
【0034】
本明細書で使用される場合、「含有する」、「含む」、「備える」、「有する」、または「関連する」という用語、ならびに本明細書で使用される他の変形は、包括的またはオープンエンドであり、追加の列挙されていない要素または方法ステップを除外しない。
【0035】
本明細書中で使用される場合、用語「アルキル」は、直鎖または分枝鎖の飽和脂肪族炭化水素として定義される。いくつかの態様において、アルキルは、1~12個、例えば1~6個の炭素原子を有する。例えば、本明細書中で使用される場合、用語「1~6個の炭素原子を有するアルキル」は、1~6個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖の基(例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-アミル、イソアミル、ネオアミル、またはn-ヘキシル)をいい、これは、必要に応じて、1個以上(例えば、1~3個)の適切な置換基(例えば、ハロゲン(この時点で、この基は、「ハロアルキル」と呼ばれる)(例えば、CH2F、CHF2、CF3、CCl3、C2F5、C2Cl5、CH2CF3、CH2Clまたは-CH2CH2CF3など)で置換されている。用語「1~4個の炭素原子を有するアルキル」は、1~4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖の脂肪族炭化水素鎖(すなわち、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチルまたはtert-ブチル)をいう。
【0036】
本明細書で使用される場合、「アルケニル」という用語は、1つまたは複数の二重結合を含有し、2~6個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖の一価ヒドロカルビル(「C2-6アルケニル」)を指す。アルケニルは、例えば、ビニル、1-プロペニル、2-プロペニル、2-ブテニル、3-ブテニル、2-ペンテニル、3-ペンテニル、4-ペンテニル、2-ヘキセニル、3-ヘキセニル、4-ヘキセニル、5-ヘキセニル、2-メチル-2-プロペニルおよび4-メチル-3-ペンテニルである。本発明の化合物がアルケニル基を含有する場合、化合物は、純粋なE(entgegen)形態、純粋なZ(zusammen)形態、またはそれらの任意の混合物として存在し得る。
【0037】
本明細書で使用される場合、「アルキニル」という用語は、1つまたは複数の三重結合を含有し、好ましくは2、3、4、5または6個の炭素原子を有する一価ヒドロカルビル、例えば、エチニルまたはプロピニルを表す。
【0038】
本明細書で使用される場合、「シクロアルキル」という用語は、飽和単環式または多環式(例えば、二環式)炭化水素環(例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニルなどの単環式、またはスピロ、縮合もしくは架橋環系を含む二環式(ビシクロ[1.1.1]ペンチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、ビシクロ[3.2.1]オクチルまたはビシクロ[5.2.0]ノニル、デカヒドロナフタレンなど))を指し、これは、1個または複数(例えば、1~3個)の好適な置換基で任意選択で置換されている。シクロアルキルは、好ましくは3~10個の炭素原子を有する。例えば、「C3-6シクロアルキル」という用語は、3~6個の環形成炭素原子を有する飽和単環式または多環式(例えば、二環式)炭化水素環(例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、またはシクロヘキシル)を指し、これは、1つ以上(例えば、1~3つ)の好適な置換基、例えば、メチル置換シクロプロピルで任意に置換される。
【0039】
本明細書で使用される場合、「アリール」という用語は、共役π電子系を有する全炭素単環式または縮合環多環式芳香族基を指す。例えば、本明細書中で使用される場合、用語「6~20個の炭素原子を有するアリール」とは、6~20個の炭素原子を含む芳香族基(例えば、フェニルまたはナフチル)をいう。アリールは、1個以上(例えば、1~3個)の適切な置換基(例えば、ハロゲン、-OH、-CN、-NO2、およびC1-6アルキル)で必要に応じて置換される。
【0040】
本明細書で使用される場合、「ヘテロアリール」という用語は、5、6、8、9、10、11、12、13または14個の環原子、特に1または2または3または4または5または6または9または10個の炭素原子を有し、同じであっても異なっていてもよい少なくとも1つのヘテロ原子(O、NまたはSなど)を含有する一価の単環式、二環式または三環式芳香族環系を指す。さらに、各場合において、それはベンゾ縮合していてもよい。 特に、ヘテロアリールは、チエニル、フリル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、トリアゾリル、チアジアゾリルなど、およびそれらのベンゾ誘導体;ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニルなど、およびそれらのベンゾ誘導体からなる群から選択される。。
【0041】
本明細書中で使用される場合、用語「ハロゲン」は、F、Cl、BrまたはIを含むと定義される。
【0042】
本明細書で使用される場合、「置換された」という用語は、指定された原子上の1個または複数(例えば、1個、2個、3個、または4個)の水素が、示された基からの選択物で置き換えられていることを意味するが、ただし、存在する状況下での指定された原子の通常の原子価を超えず、置換により安定な化合物がもたらされるものとする。置換基および/または変数の組み合わせは、そのような組み合わせが安定な化合物をもたらす場合にのみ許容される。
【0043】
[発明を実施するための形態]
以下の実施例で使用されるクロロホモセリンアルキルエステルは、CN110845347Aに開示されているものと同様の方法によって調製することができる。残りの試薬(例えば、MDPおよびMDEP)は全て市販されている。
【0044】
(実施例1)
【化10】
(1)MCPの調製
【化11】
クロロベンゼン(300g)中のジエチルメチルホスホナイト(MDEP、68.8g、455.4mmol、0.53当量、及び純度90%)の溶液を、窒素雰囲気下、-10℃で丸底フラスコに添加し、クロロベンゼン(200g)中のジクロロ(メチル)ホスファン(MDP、54.4g、455.4mmol、0.53当量、及び純度98%)の溶液を、1d/sの滴下速度で定圧漏斗を通して滴下した。滴下終了後、10分間撹拌を続け、第1中間体MCPを得た。
1H NMR (D
2O外部標準, 43 MHz) δ: 3.92-2.96 (m, 2 H), 1.31 (d, J =12.8 Hz, 3 H), 0.84 (t,J =7.0 Hz, 3 H).
【0045】
(2)MPAの調製
分離せずに、クロロホモセリンエチルエステル(150g,867.5mmol,1.0当量、純度96%,ee値99%)とトリメチルアミン(107.5g、1041mmol、1.2当量、純度98%)をクロロベンゼン(500g)に溶かした溶液を4d/sの速度で滴下した。滴下終了後、30分間攪拌を続けた後、室温まで昇温し、1時間攪拌した。GCおよびMS検出は、出発物質クロロホモセリンエチルエステルの反応が完了したことを示し、第2の中間体MPAが得られた。
【0046】
(3)MPOの調製
分離せずに、反応溶液を90℃に加温し、反応を12時間進行させた。混合物を室温まで自然冷却し、吸引濾過した。濾過ケーキをクロロベンゼン(150mL×3)で洗浄し、濾液を回転蒸発させてクロロベンゼンを除去し、それによってMPOを得た。
【0047】
(4)L-グルホシネート塩酸塩の調製
100mLの濃塩酸(36%)をMPOに添加し、90℃に加熱し、反応を10時間進行させた。溶媒を回転蒸発により除去し、200mLの濃塩酸(36%)を補充し、反応を90℃で10時間継続した。MSは、中間体が消失したことを示した。反応混合物を室温まで自然冷却させ、溶媒を回転蒸発により除去した。その後、95%エタノール(300mL)を加え、粗生成物が完全に溶解するまで還流した後、自然冷却して結晶化させ、濾過し、乾燥させて、L-グルホシネート塩酸塩(白色結晶、126.3gのL-グルホシネート、収率:80%、97%ee)を得た。
【0048】
生成物の構造を特徴づけるデータを以下に示す。
MS(ESI): m/z [M+H]+ C5H13NO4Pの計算値:182.06; 実測値:182.1.
1H NMR (D2O,400MHz) δ: 4.08 (t, J = 6.2 Hz, 1 H), 2.11 (dddd, J = 14.6, 11.0, 8.7, 6.0 Hz, 2H), 1.99-1.73 (m, 2 H), 1.44 (d, J = 14.2 Hz, 3 H).
13C NMR (D2O、100 MHz) δ: 171.0, 52.8, 52.6, 25.5, 24.6,22.6, 22.5, 13.9, 13.0.
【0049】
(実施例2)
【化12】
(1)MCPの調製
MCPを、実施例1のステップ(1)に記載されるのと同じ方法によって調製した。
【0050】
(2)MPA-Buの調製
分離せずに、クロロホモセリンブチルエステル(178.7g、867.5mmol、1.0当量、94%、ee値99%)とトリメチルアミン(107.5g、1041mmol、1.2当量、98%)のクロロベンゼン(500g)溶液を4d/sの滴下速度で滴下した。滴下終了後、30分間攪拌を続けた後、室温まで昇温し、1時間攪拌した。GCおよびMS検出は、出発物質クロロホモセリンブチルエステルの反応が完了したことを示し、第2の中間体MPA-Buが得られた。
MS(ESI): m/z[M+H]+ C11H24ClNO3Pの計算値: 284.12; 実測値:284.1.
【0051】
(3)MPO-Buの調製
分離せずに、反応溶液を90℃に加温し、反応を12時間進行させた。混合物を室温まで自然冷却し、吸引濾過した。濾過ケーキをクロロベンゼン(150mL×3)で洗浄し、濾液を回転蒸発させてクロロベンゼンを除去し、それによってMPO-Buを得た。
MS(ESI): m/z[M+H]+ C9H19NO3Pの計算値: 220.11; 実測値:220.1.
1H NMR (400MHz, CDCl3) δ4.15 (dtd, J = 17.1, 11.0, 6.6 Hz, 2 H), 4.01 (d, J =5.7 Hz, 1 H), 2.47-2.05 (m, 2 H), 1.71-1.58 (m, 4 H), 1.35 (h, J = 7.4 Hz, 2H), 1.23 (d, J = 13.5 Hz, 3 H), 0.91 (t, J = 7.4 Hz, 3 H).
13C NMR (100MHz, CDCl3) δ169.9, 65.9, 53.1, 30.6, 28.4, 24.2, 19.1, 16.4, 13.8.
31P NMR (160 MHz, CDCl3) δ37.8.
【0052】
(4)L-グルホシネート塩酸塩の調製
100mLの濃塩酸(36%)をMPO-Buに添加し、90℃に加熱し、反応を10時間進行させた。溶媒を回転蒸発により除去し、200mLの濃塩酸(36%)を補充し、反応を90℃で10時間継続した。MSは、中間体が消失したことを示した。反応混合物を室温まで自然冷却させ、溶媒を回転蒸発により除去した。その後、95%エタノール(300mL)を加え、粗生成物が完全に溶解するまで還流した後、自然冷却して結晶化させ、濾過し、乾燥させて、L-グルホシネート塩酸塩(白色結晶、119.4gのL-グルホシネート、収率:76%、95%ee)を得た。
【0053】
生成物の構造を特徴づけるデータを以下に示す。
MS(ESI): m/z[M+H]+ C5H13NO4Pの計算値: 182.06; 実測値: 182.1.
1H NMR (400 MHz,D2O) δ: 4.08 (t, J = 6.2 Hz, 1 H), 2.11 (dddd, J = 14.6,11.0, 8.7, 6.0 Hz, 2 H), 1.99-1.73 (m, 2 H), 1.44 (d, J = 14.2 Hz, 3 H).
13C NMR (400 MHz,D2O) δ: 171.0, 52.8, 52.6, 25.5, 24.6, 22.6, 22.5, 13.9,13.0.
【0054】
(実施例3)
【化13】
(1)MCPの調製
MCPを、実施例1のステップ(1)に記載されるのと同じ方法によって調製した。
【0055】
(2)MPA-iPrの調製
分離せずに、クロロホモセリンイソプロピルエステル(81.8g、433.8mmol、1.0当量、純度95%、ee値99%)とトリエチルアミン(53.8g、520.5mmol、1.2当量、純度98%)のクロロベンゼン(500g)溶液を4d/sの滴下速度で滴下した。滴下終了後、30分間攪拌を続けた後、室温まで昇温し、1時間攪拌した。GCおよびMS検出は、出発物質クロロホモセリンイソプロピルエステルの反応が完了したことを示し、第2の中間体MPA-iPrが得られた。
MS(ESI): m/z[M+H]+ C10H22ClNO3Pの計算値: 270.10; 実測値: 270.1.
【0056】
(3)MPO-iPrの調製
分離せずに、反応溶液を90℃に加温し、反応を12時間進行させた。混合物を室温まで自然冷却し、吸引濾過した。濾過ケーキをクロロベンゼン(150mL×3)で洗浄し、濾液を回転蒸発させてクロロベンゼンを除去し、それによってMPO-iPrを得た。
MS(ESI): m/z[M+H]+ C8H16NO3Pの計算値: 206.09; 実測値: 206.1.
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 4.99-4.90 (m, 1 H), 4.10 (ddd, J = 10.8, 7.3,3.8 Hz, 1 H), 3.63 (d, J = 11.5 Hz, 1 H), 2.50-2.38 (m, 1 H), 2.14-2.02 (m, 1H), 1.84 (ddd, J = 14.3, 7.7, 4.7 Hz, 1 H), 1.77-1.67 (m, 4 H), 1.20-1.18 (m, 6H).
31P NMR (160 MHz, CDCl3) δ 54.4.
【0057】
(4)L-グルホシネート塩酸塩の調製
100mLの濃塩酸(36%)をMPO-iPrに添加し、90℃に加熱し、反応を10時間進行させた。溶媒を回転蒸発により除去し、100mLの濃塩酸(36%)を補充し、反応を90℃で10時間継続した。MSは、中間体が消失したことを示した。反応混合物を室温まで自然冷却させ、溶媒を回転蒸発により除去した。その後、95%エタノール(150mL)を加え、粗生成物が完全に溶解するまで還流した後、自然冷却して結晶化させ、濾過し、乾燥させて、L-グルホシネート塩酸塩(白色結晶、64.4gのL-グルホシネート、収率:82%、99%ee)を得た。
【0058】
本明細書に記載されたものに加えて、前述の記載に従って、本発明に対する種々の改変が当業者に明らかである。このような改変は、添付の特許請求の範囲内にあることが意図される。本明細書に引用される各参考文献(全ての特許、特許出願、学術論文、書籍、及び任意の他の開示を含む)は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。