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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】柱梁接合構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/58 20060101AFI20231219BHJP
   E04B 1/21 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
E04B1/58 505A
E04B1/21 B
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019236404
(22)【出願日】2019-12-26
(65)【公開番号】P2021105273
(43)【公開日】2021-07-26
【審査請求日】2022-10-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】油川 健樹
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 伸一
(72)【発明者】
【氏名】藤田 進
【審査官】小澤 尚由
(56)【参考文献】
【文献】実開昭51-147911(JP,U)
【文献】特開平08-120779(JP,A)
【文献】特開2008-274570(JP,A)
【文献】米国特許第05682717(US,A)
【文献】特開2002-242300(JP,A)
【文献】特開2004-293180(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/58
E04B 1/21
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱と、
平面視にて十字状に配置されるとともに、各々の梁端部が前記柱の上面にそれぞれ載置される4本のプレキャスト梁と、
4本の前記プレキャスト梁の前記梁端部によって囲まれた空間内に打設されるコンクリートと、
を備え、
前記梁端部には、該梁端部と隣り合う他の前記梁端部との隙間を塞ぐコンクリート突出部が設けられ、
前記コンクリート突出部は、前記梁端部の側面から突出するとともに、隣り合う他の前記梁端部の側面と対向する対向面を有する、
柱梁接合構造。
【請求項2】
互いに対向する一対の前記梁端部と隣り合う他の前記梁端部は、一対の前記梁端部にそれぞれ設けられた前記コンクリート突出部の間に配置される、
請求項1に記載の柱梁接合構造
【請求項3】
前記柱の上端部には、外側へ張り出すとともに、上面に前記梁端部が載置される受け部が設けられる、
請求項1又は請求項2に記載の柱梁接合構造
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、柱梁接合構造に関する。
【背景技術】
【0002】
柱の上面の外周部に4本のプレキャストコンクリート梁(以下、「プレキャスト梁」という)の梁端部を載置し、これらの梁端部で囲まれた空間内にコンクリートを打設することにより、柱と4本のプレキャスト梁とを接合する柱梁接合構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平2-0115430号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された柱梁接合構造では、隣り合うプレキャスト梁の梁端部間にL形型枠をそれぞれ設置するため、施工に手間がかかる。
【0005】
本発明は、上記の事実を考慮し、柱とプレキャスト梁とを接合する際の施工性を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1態様に係る柱梁接合構造は、柱と、平面視にて十字状に配置されるとともに、各々の梁端部が前記柱の上面にそれぞれ載置される4本のプレキャスト梁と、4本の前記プレキャスト梁の前記梁端部によって囲まれた空間内に打設されるコンクリートと、を備え、前記梁端部には、該梁端部と隣り合う他の前記梁端部との隙間を塞ぐコンクリート突出部が設けられる。
【0007】
第1態様に係る柱梁接合構造によれば、4本のプレキャスト梁は、平面視にて、十字状に配置される。これらのプレキャスト梁の梁端部は、柱の上面にそれぞれ載置される。そして、4本のプレキャスト梁の梁端部によって囲まれた空間内に、コンクリートが打設される。これにより、柱とプレキャスト梁とが接合される。
【0008】
ここで、プレキャスト梁の梁端部には、当該梁端部と隣り合う他の梁端部との隙間を塞ぐコンクリート突出部が設けられる。これにより、4本のプレキャスト梁の梁端部によって囲まれた空間内にコンクリートを打設したときに、隣り合う梁端部の隙間からコンクリートが漏れることが抑制される。つまり、コンクリート突出部は、型枠として機能する。
【0009】
したがって、本発明では、型枠の仮設や撤去作業が低減されるため、柱とプレキャスト梁とを接合する際の施工性が向上する。
【0010】
第2態様に係る柱梁接合構造は、第1態様に係る柱梁接合構造において、前記コンクリート突出部は、前記梁端部の側面から突出するとともに、隣り合う他の前記梁端部の側面と対向する対向面を有する。
【0011】
第2態様に係る柱梁接合構造によれば、コンクリート突出部は、前記プレキャスト梁の梁端部の側面から突出する。また、コンクリート突出部は、対向面を有する。対向面は、隣り合う他の梁端部の側面と対向する。この対向面と隣り合う他の梁端部の側面との間に、例えば、バックアップ材(目地材)等を設けることにより、施工誤差を吸収しつつ、隣り合う梁端部の隙間を塞ぐことができる。
【0012】
第3態様に係る柱梁接合構造は、第1態様又は第2態様に係る柱梁接合構造において、互いに対向する一対の前記梁端部と隣り合う他の前記梁端部は、一対の前記梁端部にそれぞれ設けられた前記コンクリート突出部の間に配置される。
【0013】
第3態様に係る柱梁接合構造によれば、互いに対向する一対の梁端部と隣り合う他の梁端部は、この一対の梁端部にそれぞれ設けられたコンクリート突出部の間に配置される。これにより、一対の梁端部にそれぞれ設けられたコンクリート突出部によって、一対の梁端部と他の梁端部との隙間が塞がれる。そのため、本発明では、他の梁端部にコンクリート突出部を設ける必要がない。したがって、他の梁端部の製作性が向上する。
【0014】
第4態様に係る柱梁接合構造は、第1態様第3態様の何れか1つに係る柱梁接合構造において、前記柱の上端部には、外側へ張り出すとともに、上面に前記梁端部が載置される受け部が設けられる。
【0015】
第4態様に係る柱梁接合構造によれば、柱の上端部には、外側へ張り出す受け部が設けられる。この受け部の上面に、4本のプレキャスト梁の梁端部が載置される。これにより、4本のプレキャスト梁の梁端部によって囲まれた空間が広がるため、例えば、空間内での配筋作業等が容易になる。したがって、施工性が向上する。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、本発明に係る柱梁接合構造によれば、本発明は、上記の事実を考慮し、柱とプレキャスト梁とを接合する際の施工性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】一実施形態に係る柱梁接合構造が適用されたコンクリート柱及び4本のプレキャスト梁を示す図2の1-1線断面図である。
図2図1の2-2線断面図である。
図3図2に示されるプレキャスト梁上にトップコンクリートを形成するとともに、コンクリート柱上に柱梁仕口部を形成した状態を示す断面図である。
図4】一実施形態に係る柱梁接合構造の変形例が適用されたコンクリート柱及び4本のプレキャスト梁を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら、一実施形態に係る柱梁接合構造について説明する。
【0019】
(柱梁接合構造)
図1には、本実施形態に係る柱梁接合構造10が適用されたコンクリート柱20、及び4本のコンクリート梁30が示されている。4本のコンクリート梁30は、平面視にて、十字状に配置されており、各々の梁端部がコンクリート柱20の上面20Uに載置されている。
【0020】
コンクリート柱20と4本のコンクリート梁30とは、柱梁仕口部20S(図3参照)を介して接合されている。柱梁仕口部20Sは、4本のコンクリート梁30の梁端部によって囲まれた空間R内にコンクリートを打設することにより形成されている。以下、コンクリート柱20、及びコンクリート梁30の構成について詳説する。
【0021】
(コンクリート柱)
図2に示されるように、コンクリート柱20は、例えば、工場等において、プレキャストコンクリートによって形成されている。このコンクリート柱(プレキャスト柱)20には、複数の柱主筋22及びせん断補強筋24が埋設されている。
【0022】
図3に示されるように、複数の柱主筋22は、コンクリート柱20の外周部に、コンクリート柱20の材軸方向に沿って配筋されている。また、複数の柱主筋22は、コンクリート柱20の上面20Uから上方へ延出し、柱梁仕口部20Sに埋設されている。さらに、複数の柱主筋22の上端部には、定着体26がそれぞれ設けられている。これらの定着体26は、柱梁仕口部20Sに埋設されている。
【0023】
複数のせん断補強筋24は、コンクリート柱20の材軸方向に間隔を空けて配筋されている。また、複数のせん断補強筋24は、コンクリート柱20の上面20Uから上方へ延出する複数の柱主筋22の周囲にも配筋されている。これらのせん断補強筋24は、柱梁仕口部20Sに埋設されている。
【0024】
なお、コンクリート柱20の柱主筋22には、コンクリート柱20上に立てられる他の柱の柱主筋を接続しても良い。
【0025】
コンクリート柱20の上端部(柱頭部)には、受け部28が設けられている。受け部28は、プレキャストコンクリートによってコンクリート柱20と一体に形成されている。この受け部(張出し部)28は、コンクリート柱20の上端部から外側へ張り出している。また、受け部28は、コンクリート柱20の上端部の全周に亘って設けられており、コンクリート柱20の上端部から四方へ張り出している。
【0026】
受け部28は、コンクリート柱20の上面20Uの外周部を形成している。この受け部28によって、コンクリート柱20の上面20Uの面積が広げられている。また、受け部28上には、4本のコンクリート梁30の梁端部が載置されている。
【0027】
なお、本実施形態では、受け部28の上面とコンクリート柱20の上面20Uとが面一とされているが、受け部28の上面とコンクリート柱20の上面20Uとは、面一でなくても良い。つまり、受け部28の上面とコンクリート柱20の上面20Uとの間には、段差が形成されても良い。
【0028】
(コンクリート梁)
コンクリート梁30は、その下部を構成するプレキャストコンクリート梁40と、その上部を構成するトップコンクリート50とを有している。プレキャストコンクリート梁(以下、「プレキャスト梁」という)40は、例えば、工場等において、ハーフプレキャストコンクリートによって形成されている。
【0029】
プレキャスト梁40の梁端部は、コンクリート柱20の受け部28上に載置されている。これにより、4本のプレキャスト梁40の梁端部によって囲まれた空間Rが広げられるとともに、空間R内に形成される柱梁仕口部20Sの断面積が広げられている。
【0030】
なお、本実施形態では、柱梁仕口部20Sの断面積がコンクリート柱20の断面積と同じになるように、受け部28上に4本のプレキャスト梁40の梁端部がそれぞれ載置されているが、柱梁仕口部20Sの断面積とコンクリート柱20の断面積とは異なっていても良い。
【0031】
プレキャスト梁40には、複数の下端梁主筋42及びせん断補強筋44が埋設されている。下端梁主筋42は、プレキャスト梁40の下端側に、プレキャスト梁40の材軸方向に沿って配筋されている。また、下端梁主筋42は、プレキャスト梁40の端面40Aから突出し、柱梁仕口部20Sに埋設されている。この下端梁主筋42は、スリーブ等の機械式継手46を介して、他のプレキャスト梁40の下端梁主筋42と接続されている。
【0032】
プレキャスト梁40の端面40Aには、凹状のコッター48が形成されている。このコッター48により、柱梁仕口部20Sとコンクリート梁30との間のせん断力の伝達効率が高められている。なお、コッター48は、適宜省略可能である。
【0033】
複数のせん断補強筋44は、プレキャスト梁40の材軸方向に間隔を空けて配筋されている。これらのせん断補強筋44の上部は、プレキャスト梁40の上面40Uから上方へそれぞれ突出されている。このプレキャスト梁40の上面40Uには、トップコンクリート50が設けられている。
【0034】
トップコンクリート50は、プレキャスト梁40の上面40Uにコンクリート(現場打ちコンクリート)を打設することにより形成されている。このトップコンクリート50には、プレキャスト梁40の上面40Uから突出する複数のせん断補強筋44の上部が埋設されている。
【0035】
また、トップコンクリート50には、複数の上端梁主筋52が埋設されている。複数の上端梁主筋52は、プレキャスト梁40の材軸方向に沿って配筋されている。これらの上端梁主筋52は、トップコンクリート50と柱梁仕口部20Sとに亘って配筋されている。
【0036】
ここで、図1で前述したように、4本のコンクリート梁30は、平面視にて十字状に配置されている。この4本のコンクリート梁30のうち、2本のコンクリート梁30は、コンクリート柱20上で、所定方向(矢印X方向)に対向して配置されている。また、4本のコンクリート梁30のうち、他の2本のコンクリート梁30は、コンクリート柱20上で、所定方向と交差する交差方向(矢印Y方向)に対向して配置されている。
【0037】
なお、以下では、説明の便宜上、所定方向に対向する2本のプレキャスト梁40を、一対の第一プレキャスト梁40Xとし、交差方向に対向する2本のプレキャスト梁40を、一対の第二プレキャスト梁40Yとする。
【0038】
(コンクリート突出部)
第一プレキャスト梁40Xの梁端部には、一対のコンクリート突出部60が設けられている。一対のコンクリート突出部60は、プレキャストコンクリートによって第一プレキャスト梁40Xの梁端部に一体に形成されている。この一対のコンクリート突出部60によって、第一プレキャスト梁40Xの梁端部と、第二プレキャスト梁40Yの梁端部との隙間が塞がれている。
【0039】
具体的には、一対のコンクリート突出部60は、第一プレキャスト梁40Xの両側の側面40Sに設けられている。各コンクリート突出部60は、平面視にて矩形状に形成されており、梁端部の側面40Sから外側へ突出している。また、各コンクリート突出部60は、梁端部の下端から上端に亘って設けられている。
【0040】
また、一対の第一プレキャスト梁40Xのうち、一方の第一プレキャスト梁40Xに設けられた一対のコンクリート突出部60と、他方の第一プレキャスト梁40Xに設けられた一対のコンクリート突出部60とは、所定方向(矢印X方向)に対向している。そして、所定方向に対向するコンクリート突出部60の間に、第二プレキャスト梁40Yの梁端部が配置されている。換言すると、第二プレキャスト梁40Yの梁端部の両側に、一対の第一プレキャスト梁40Xのコンクリート突出部60がそれぞれ配置されている。
【0041】
コンクリート突出部60は、対向面60Aを有している。対向面60Aは、第一プレキャスト梁40Xの端面40Aを形成している。この対向面60Aによって、梁端部の端面40Aの幅が広げられている。
【0042】
所定方向に対向するコンクリート突出部60の対向面60Aは、第二プレキャスト梁40Yの梁端部の両側に配置されている。各対向面60Aは、第二プレキャスト梁40Yの梁端部の側面40Sと対向している。また、対向面60Aと第二プレキャスト梁40Yの側面40Sとの間には、例えば、バックアップ材(目地材)が設けられている。この対向面60Aは、バックアップ材(目地材)を介して第二プレキャスト梁40Yの側面40Sと接合されている。これにより、第一プレキャスト梁40Xの梁端部と、第二プレキャスト梁40Yの梁端部との隙間が塞がれている。
【0043】
なお、本実施形態では、コンクリート突出部60の対向面60Aと第一プレキャスト梁40Xの端面40Aとが面一とされているが、コンクリート突出部60の対向面60Aと第一プレキャスト梁40Xの端面40Aとは、面一でなくても良い。つまり、コンクリート突出部60の対向面60Aと第一プレキャスト梁40Xの端面40Aとの間には、段差が形成されても良い。
【0044】
(作用)
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0045】
図1に示されるように、本実施形態に係る柱梁接合構造10によれば、一対の第一プレキャスト梁40X、及び一対の第二プレキャスト梁40Yは、平面視にて、十字状に配置されている。これらの第一プレキャスト梁40X及び第二プレキャスト梁40Yの梁端部は、コンクリート柱20の上面20Uの外周部にそれぞれ載置されている。そして、一対の第一プレキャスト梁40X、及び一対の第二プレキャスト梁40Yの梁端部によって囲まれた空間R内に、コンクリートを打設することにより柱梁仕口部20S(図3参照)が形成されている。この柱梁仕口部20Sを介して、一対の第一プレキャスト梁40X、及び一対の第二プレキャスト梁40Yとコンクリート柱20とが接合されている。
【0046】
ここで、第一プレキャスト梁40Xの梁端部には、一対のコンクリート突出部60が設けられている。この一対のコンクリート突出部60によって、第一プレキャスト梁40Xの梁端部と、第二プレキャスト梁40Yの梁端部との隙間が塞がれている。
【0047】
これにより、4本の第一プレキャスト梁40X及び第二プレキャスト梁40Yの梁端部によって囲まれた空間R内にコンクリートを打設したときに、隣り合う梁端部の隙間からコンクリートが漏れることが抑制される。つまり、コンクリート突出部60は、型枠として機能する。
【0048】
したがって、本実施形態では、型枠の仮設や撤去作業が低減されるため、コンクリート柱20とプレキャスト梁40とを接合する際の施工性が向上する。
【0049】
また、コンクリート突出部60は、第一プレキャスト梁40Xの側面40Sから突出している。このコンクリート突出部60の対向面60Aは、第二プレキャスト梁40Yの梁端部の側面40Sと対向している。また、対向面60Aは、バックアップ材(目地材)等を介して第二プレキャスト梁40Yの側面40Sと接合されている。これにより、施工誤差等を吸収しつつ、隣り合う第一プレキャスト梁40X及び第二プレキャスト梁40Yの梁端部の隙間を塞ぐことができる。
【0050】
また、一対の第一プレキャスト梁40Xの梁端部には、所定方向に対向するコンクリート突出部60がそれぞれ設けられている。そして、所定方向に対向するコンクリート突出部60の間に、第二プレキャスト梁40Yの梁端部が配置されている。これにより、所定方向に対向するコンクリート突出部60によって、第一プレキャスト梁40Xの梁端部と第二プレキャスト梁40Yの梁端部との隙間が塞がれている。
【0051】
このように本実施形態では、第一プレキャスト梁40Xの梁端部にのみコンクリート突出部60が設けられており、第二プレキャスト梁40Yの梁端部にはコンクリート突出部が設けられていない。したがって、第二プレキャスト梁40Yの製作性が向上する。
【0052】
さらに、コンクリート柱20の上端部には、外側へ張り出す受け部28が設けられている。この受け部28によって、コンクリート柱20の上面20Uが広げられている。このコンクリート柱20の上面20Uに、第一プレキャスト梁40X及び第二プレキャスト梁40Yの梁端部がそれぞれ載置されている。
【0053】
これにより、4本の第一プレキャスト梁40X及び第二プレキャスト梁40Yの梁端部によって囲まれた空間Rが広がるため、例えば、空間R内での配筋作業等が容易になる。したがって、施工性が向上する。
【0054】
また、本実施形態では、4本の第一プレキャスト梁40X及び第二プレキャスト梁40Yの梁端部を受け部28上に載置することにより、柱梁仕口部20Sの断面積がコンクリート柱20の断面積と同じに設定されている。これにより、コンクリート柱20と柱梁仕口部20Sとの間の応力伝達が良好になる。したがって、柱梁仕口部20Sに対する補強等を軽減することができる。
【0055】
(変形例)
次に、上記実施形態の変形例について説明する。
【0056】
上記実施形態では、所定方向に対向する一対の第一プレキャスト梁40Xにコンクリート突出部60をそれぞれ設けたが、上記実施形態はこれに限らない。例えば、図4に示される変形例では、一対の第一プレキャスト梁40X及び一対の第二プレキャスト梁40Yの梁端部に、コンクリート突出部60がそれぞれ設けられている。
【0057】
なお、図4では、理解を容易にするために、コンクリート柱20、第一プレキャスト梁40X、及び第二プレキャスト梁40Yの図示を簡略化している。
【0058】
コンクリート突出部60は、第一プレキャスト梁40Xの梁端部の片側の側面40Sにのみ設けられており、隣り合う第二プレキャスト梁40Yの梁端部との隙間を塞いでいる。これと同様に、コンクリート突出部60は、第二プレキャスト梁40Yの梁端部の片側の側面40Sにのみ設けられており、隣り合う第一プレキャスト梁40Xの梁端部との隙間を塞いでいる。
【0059】
このようにコンクリート突出部60は、第一プレキャスト梁40X及び第二プレキャスト梁40Yの少なくとも一方に設けることができる。
【0060】
また、上記実施形態では、第一プレキャスト梁40X及び第二プレキャスト梁40Yがハーフプレキャストコンクリートによって形成されるが、第一プレキャスト梁及び第二プレキャスト梁は、フルプレキャストコンクリートによって形成されても良い。
【0061】
また、上記実施形態では、受け部28がコンクリート柱20の上端部から四方へ張り出すが、上記実施形態はこれに限らない。例えば、コンクリート柱20の上端部から受け部を一方へのみ張り出し、この受け部上に1本のプレキャスト梁の梁端部を載置しても良い。この場合、他の3本のプレキャスト梁の梁端部は、受け部上ではなく、コンクリート柱の上面上に載置される。また、受け部は、省略可能である。
【0062】
また、コンクリート柱20は、鉄筋コンクリート造に限らず、鉄骨鉄筋コンクリート造であっても良い。さらに、柱は、コンクリート柱に限らず、鉄骨柱やFCT(Concrete Filled Steel Tube)であっても良い。
【0063】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に限定されるものでなく、一実施形態及び各種の変形例を適宜組み合わせて用いても良いし、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0064】
10 柱梁接合構造
20 コンクリート柱
20U 上面
28 受け部
40 プレキャストコンクリート梁(プレキャスト梁)
40X 第一プレキャスト梁(プレキャスト梁)
40Y 第二プレキャスト梁(プレキャスト梁)
40S 側面(プレキャスト梁の梁端部の側面)
60 コンクリート突出部
60A 対向面(コンクリート突出部の対向面)
R 空間(4本のプレキャスト梁の梁端部によって囲まれた空間)
図1
図2
図3
図4