(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】バッテリー診断装置及び方法
(51)【国際特許分類】
H01M 10/48 20060101AFI20231219BHJP
G01R 31/389 20190101ALI20231219BHJP
G01R 31/387 20190101ALI20231219BHJP
G01R 31/392 20190101ALI20231219BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
H01M10/48 P
H01M10/48 301
G01R31/389
G01R31/387
G01R31/392
H02J7/00 Q
(21)【出願番号】P 2022554333
(86)(22)【出願日】2021-10-12
(86)【国際出願番号】 KR2021014053
(87)【国際公開番号】W WO2022080837
(87)【国際公開日】2022-04-21
【審査請求日】2022-09-09
(31)【優先権主張番号】10-2020-0131451
(32)【優先日】2020-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウー、キュン-ファ
(72)【発明者】
【氏名】ベ、ユン-ジュン
(72)【発明者】
【氏名】チャ、エー-ミン
【審査官】佐藤 卓馬
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-103351(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0054177(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0024545(KR,A)
【文献】韓国登録特許第10-1583373(KR,B1)
【文献】韓国登録特許第10-2152572(KR,B1)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0083214(KR,A)
【文献】国際公開第2020/090143(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/48
G01R 31/389
G01R 31/387
G01R 31/392
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリーの放電容量及び温度を測定する測定部と、
前記バッテリーに対して生成されたインピーダンスプロファイルに基づいて前記バッテリーのオーム抵抗を決定するオーム抵抗決定部と、
前記測定部によって測定されたバッテリーの放電容量と参照容量を比較して容量変化率を算出し、前記オーム抵抗決定部によって決定されたオーム抵抗と参照抵抗を比較して抵抗変化率を算出し、算出された抵抗変化率と基準抵抗変化率との大きさ比較によって前記バッテリーの内部ガスの発生程度を判断し、算出された容量変化率と基準容量変化率との大きさ比較によって前記バッテリーの内部ガスの発生原因を判断する制御部と、を含む、バッテリー診断装置。
【請求項2】
前記オーム抵抗決定部は、
前記測定部によって測定された前記バッテリーの温度が所定の期間の間に基準温度以上である場合、前記バッテリーに対して生成されたインピーダンスプロファイルに基づいて前記オーム抵抗を決定する、請求項1に記載のバッテリー診断装置。
【請求項3】
前記バッテリーは、
前記所定の期間の間に前記基準温度以上に維持された後、第1時点で完全充電され、前記第1時点で完全充電された後、第2時点で完全放電されるように構成され、
前記測定部は、
前記第1時点で完全充電されたバッテリーが前記第2時点で完全放電されるまでの前記バッテリーの放電容量を測定する、請求項2に記載のバッテリー診断装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記算出された抵抗変化率が前記基準抵抗変化率以上であれば、前記バッテリーの内部ガスが基準量以上に発生したと判断し、
前記算出された抵抗変化率が前記基準抵抗変化率未満であれば、前記バッテリーの内部ガスが前記基準量未満に発生したと判断する、請求項1から3のいずれか一項に記載のバッテリー診断装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記算出された容量変化率が前記基準容量変化率以上であれば、前記内部ガスの発生原因を前記バッテリーの負極の副反応に判断し、
前記算出された容量変化率が前記基準容量変化率未満であれば、前記内部ガスの発生原因を前記負極の副反応以外の他の原因に判断する、請求項4に記載のバッテリー診断装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記内部ガスの発生程度及び前記内部ガスの発生原因に基づいて前記バッテリーの状態を診断する、請求項5に記載のバッテリー診断装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記内部ガスが前記基準量未満に発生したと判断された場合、前記バッテリーの状態を正常状態に診断する、請求項5または6に記載のバッテリー診断装置。
【請求項8】
前記制御部は、
前記内部ガスが前記他の原因によって前記基準量以上に発生したと判断された場合、前記バッテリーの状態を第1警告状態に診断し、前記バッテリーに対する上限温度を減少させる、請求項5から7のいずれか一項に記載のバッテリー診断装置。
【請求項9】
前記制御部は、
前記内部ガスが前記負極の副反応によって前記基準量以上に発生したと判断された場合、前記バッテリーの状態を第2警告状態に診断し、前記バッテリーに対する上限温度及び上限C-rateのうち少なくとも一つを減少させる、請求項5から8のいずれか一項に記載のバッテリー診断装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載のバッテリー診断装置と、
前記バッテリーに交流電流を出力し、前記交流電流の出力結果によって前記バッテリーのインピーダンスを実部と虚部との対応関係として示すインピーダンスプロファイルを生成し、生成されたインピーダンスプロファイルを前記バッテリー診断装置に出力するEIS部と、を含む、バッテリー診断システム。
【請求項11】
前記バッテリーの温度が基準温度以上になるように前記バッテリーの温度を上昇させるヒーティング部と、
前記バッテリーを充電及び放電する充放電部と、をさらに含む、請求項10に記載のバッテリー診断システム。
【請求項12】
請求項1から9のいずれか一項に記載のバッテリー診断装置を含む、バッテリーパック。
【請求項13】
バッテリーの温度を測定する温度測定段階と、
前記バッテリーに対して生成されたインピーダンスプロファイルに基づいて前記バッテリーのオーム抵抗を決定するオーム抵抗決定段階と、
前記バッテリーの放電容量を測定する放電容量測定段階と、
前記放電容量測定段階で測定されたバッテリーの放電容量と参照容量を比較して容量変化率を算出する容量変化率算出段階と、
前記オーム抵抗決定段階で決定されたオーム抵抗と参照抵抗を比較して抵抗変化率を算出する抵抗変化率算出段階と、
算出された抵抗変化率と基準抵抗変化率との大きさ比較によって前記バッテリーの内部ガスの発生程度を判断する内部ガス発生程度判断段階と、
算出された容量変化率と基準容量変化率との大きさ比較によって前記バッテリーの内部ガスの発生原因を判断する内部ガス発生原因判断段階と、を含む、バッテリー診断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリー診断装置及び方法に関し、より詳しくは、バッテリーの内部ガスの発生程度及び発生原因が診断可能なバッテリー診断装置及び方法に関する。
【0002】
本出願は、2020年10月12日出願の韓国特許出願第10-2020-0131451号に基づく優先権を主張し、該当出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
最近、ノートブックPC、ビデオカメラ、携帯電話などのような携帯用電子製品の需要が急増し、電気自動車、エネルギー貯蔵用蓄電池、ロボット、衛星などの開発が本格化するにつれ、反復的な充放電の可能な高性能バッテリーについての研究が活発に進行しつつある。
【0004】
現在、商用化したバッテリーとしては、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池、リチウムバッテリーなどがあり、このうち、リチウムバッテリーは、ニッケル系のバッテリーに比べてメモリー効果がほとんど起こらず、充放電が自由で、自己放電率が非常に低くてエネルギー密度が高いという長所から脚光を浴びている。
【0005】
バッテリーは、退化するにつれ、内部ガスの発生を伴う多様な副反応が発生し、このような副反応が持続されて内部ガス量が許容値を上回ると、バッテリーの接合部がオープンされてEOL(End of life)状態に到達するようになる。
【0006】
したがって、バッテリーの状態を診断するためには、内部ガス量に対する測定が必要であるが、従来には非破壊的な方式でバッテリーの内部ガス量を測定することが困難であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、バッテリーのインピーダンスプロファイルに基づいて非破壊的にバッテリーの内部ガスの発生程度及び発生原因を診断するバッテリー診断装置及び方法を提供することを目的とする。
【0008】
本発明の他の目的及び長所は、下記の説明によって理解でき、本発明の実施例によってより明らかに理解されるであろう。また、本発明の目的及び長所は、特許請求の範囲に示される手段及びその組合せによって実現することができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一面によるバッテリー診断装置は、バッテリーの放電容量及び温度を測定するように構成された測定部と、前記バッテリーに対して生成されたインピーダンスプロファイルに基づいて前記バッテリーのオーム抵抗を決定するように構成されたオーム抵抗決定部と、前記測定部によって測定されたバッテリーの放電容量と参照容量を比較して容量変化率を算出し、前記オーム抵抗決定部によって決定されたオーム抵抗と参照抵抗を比較して抵抗変化率を算出し、算出された抵抗変化率と基準抵抗変化率との大きさ比較によって前記バッテリーの内部ガスの発生程度を判断し、算出された容量変化率と基準容量変化率との大きさ比較によって前記バッテリーの内部ガスの発生原因を判断するように構成された制御部と、を含み得る。
【0010】
前記オーム抵抗決定部は、前記測定部によって測定された前記バッテリーの温度が所定の期間の間に基準温度以上である場合、前記バッテリーに対して生成されたインピーダンスプロファイルに基づいて前記オーム抵抗を決定するように構成され得る。
【0011】
前記バッテリーは、前記所定の期間の間に前記基準温度以上に維持された後、第1時点で完全充電され、前記第1時点で完全充電された後、第2時点で完全放電されるように構成され得る。
【0012】
前記測定部は、前記第1時点で完全充電されたバッテリーが前記第2時点で完全放電されるまでの前記バッテリーの放電容量を測定するように構成され得る。
【0013】
前記制御部は、前記算出された抵抗変化率が前記基準抵抗変化率以上であれば、前記バッテリーの内部ガスが基準量以上に発生したと判断するように構成され得る。
【0014】
前記制御部は、前記算出された抵抗変化率が前記基準抵抗変化率未満であれば、前記バッテリーの内部ガスが前記基準量未満に発生したと判断するように構成され得る。
【0015】
前記制御部は、前記算出された容量変化率が前記基準容量変化率以上であれば、前記内部ガスの発生原因を前記バッテリーの負極の副反応として判断するように構成され得る。
【0016】
前記制御部は、前記算出された容量変化率が前記基準容量変化率未満であれば、前記内部ガスの発生原因を前記負極の副反応以外の他の原因と判断するように構成され得る。
【0017】
前記制御部は、前記内部ガスの発生程度及び前記内部ガスの発生原因に基づいて前記バッテリーの状態を診断するように構成され得る。
【0018】
前記制御部は、前記内部ガスが前記基準量未満に発生したと判断された場合、前記バッテリーの状態を正常状態に診断するように構成され得る。
【0019】
前記制御部は、前記内部ガスが前記他の原因によって前記基準量以上に発生したと判断された場合、前記バッテリーの状態を第1警告状態に診断し、前記バッテリーに対する上限温度を減少させるように構成され得る。
【0020】
前記制御部は、前記内部ガスが前記負極の副反応によって前記基準量以上に発生したと判断された場合、前記バッテリーの状態を第2警告状態に診断し、前記バッテリーに対する上限温度及び上限C-rateのうち少なくとも一つを減少させるように構成され得る。
【0021】
本発明の他面によるバッテリー診断システムは、本発明の一面によるバッテリー診断装置と、前記バッテリーに交流電流を出力し、前記交流電流の出力結果によって前記バッテリーのインピーダンスを実部と虚部との対応関係として示すインピーダンスプロファイルを生成し、生成されたインピーダンスプロファイルを前記バッテリー診断装置に出力するように構成されたEIS部と、を含み得る。
【0022】
本発明のさらに他面によるバッテリー診断システムは、前記バッテリーの温度が基準温度以上になるように前記バッテリーの温度を上昇させるように構成されたヒーティング部と、前記バッテリーを充電及び放電するように構成された充放電部と、をさらに含み得る。
【0023】
本発明のさらに他面によるバッテリーパックは、本発明の一面によるバッテリー診断装置を含み得る。
【0024】
本発明のさらに他面によるバッテリー診断方法は、バッテリーの温度を測定する温度測定段階と、前記バッテリーに対して生成されたインピーダンスプロファイルに基づいて前記バッテリーのオーム抵抗を決定するオーム抵抗決定段階と、バッテリーの放電容量を測定する放電容量測定段階と、前記測定段階で測定されたバッテリーの放電容量と参照容量を比較して容量変化率を算出する容量変化率算出段階と、前記オーム抵抗決定段階で決定されたオーム抵抗と参照抵抗を比較して抵抗変化率を算出する抵抗変化率算出段階と、算出された抵抗変化率と基準抵抗変化率との大きさ比較によって前記バッテリーの内部ガスの発生程度を判断する内部ガス発生程度判断段階と、算出された容量変化率と基準容量変化率との大きさ比較によって前記バッテリーの内部ガスの発生原因を判断する内部ガス発生原因判断段階と、を含み得る。
【発明の効果】
【0025】
本発明の一面によると、非破壊的な方式によってバッテリーの内部ガスの発生程度と発生原因を診断することができる。
【0026】
本発明の効果は上述した効果に制限されず、言及されていない本発明の他の効果は請求範囲の記載から当業者により明らかに理解されるだろう。
【0027】
本明細書に添付される次の図面は、本発明の望ましい実施例を例示するものであり、発明の詳細な説明とともに本発明の技術的な思想をさらに理解させる役割をするため、本発明は図面に記載された事項だけに限定されて解釈されてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の一実施例によるバッテリー診断装置を概略的に示した図である。
【
図2】本発明の一実施例によるインピーダンスプロファイルを概略的に示した図である。
【
図3】本発明の一実施例によるバッテリー診断装置によって算出された容量変化率の一例を示した図である。
【
図4】本発明の一実施例によるバッテリー診断装置によって算出された抵抗変化率の一例を示した図である。
【
図5】発明の一実施例によるバッテリー診断装置によって診断されるバッテリーの状態を概略的に示した図である。
【
図6】本発明の他の実施例によるバッテリー診断システムを概略的に示した図である。
【
図7】本発明の一実施例によるバッテリー診断装置を含むバッテリーパックの例示的構成を示した図である。
【
図8】本発明のさらに他の実施例によるバッテリー診断方法を概略的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施例を詳しく説明する。これに先立ち、本明細書及び特許請求の範囲に使われた用語や単語は通常的や辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応ずる意味及び概念で解釈されねばならない。
【0030】
したがって、本明細書に記載された実施例及び図面に示された構成は、本発明のもっとも望ましい一実施例に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを代弁するものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解せねばならない。
【0031】
また、本発明に関連する公知の機能または構成についての具体的な説明が、本発明の要旨をぼやかすと判断される場合、その説明を省略する。
【0032】
第1、第2などのように序数を含む用語は、多様な構成要素のうちいずれか一つを残りと区別する目的として使用され、このような用語によって構成要素が限定されることではない。
【0033】
なお、明細書の全体にかけて、ある部分が、ある構成要素を「含む」とするとき、これは特に反する記載がない限り、他の構成要素を除くことではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0034】
また、明細書に記載の「制御部」のような用語は、少なくとも一つの機能や動作を処理する単位を示し、これはハードウェアやソフトウェア、またはハードウェアとソフトウェアとの結合せにより具現され得る。
【0035】
さらに、明細書の全体に亘って、ある部分が他の部分と「連結(接続)」されているとするとき、これは、「直接的に連結(接続)」されている場合のみならず、その中間に他の素子を介して「間接的に連結(接続)」されている場合も含む。
【0036】
以下では、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施例を説明する。
【0037】
図1は、本発明の一実施例によるバッテリー診断装置100を概略的に示した図である。
【0038】
図1を参照すると、本発明の一実施例によるバッテリー診断装置100は、測定部110と、オーム抵抗決定部120及び制御部130を含み得る。
【0039】
測定部110は、バッテリーの放電容量及び温度を測定するように構成され得る。
【0040】
ここで、バッテリーは、負極端子及び正極端子を備え、物理的に分離可能な一つの独立したバッテリーセルを意味し得る。一例で、パウチ型リチウムポリマーセル一つがバッテリーとして看做され得る。また、バッテリーは、一つ以上のバッテリーセルが直列及び/または並列で接続されて備えられたバッテリーモジュールであり得る。但し、ここでは、説明の便宜のために、バッテリーは独立したセルを意味することに説明する。
【0041】
例えば、測定部110は、バッテリーの放電電流を測定することで、所定の時間の間のバッテリーの放電容量を測定し得る。
【0042】
また、測定部110はバッテリーと接続され、バッテリーの現在温度を測定し得る。
【0043】
オーム抵抗決定部120は、前記バッテリーに対して生成されたインピーダンスプロファイルに基づいて前記バッテリーのオーム抵抗を決定するように構成され得る。
【0044】
図2は、本発明の一実施例によるインピーダンスプロファイルを概略的に示した図である。
【0045】
図2を参照すると、インピーダンスプロファイルは、Xを実部Zreに設定し、Yを虚部-Zimに設定したときのX-Y平面グラフとして示され得る。
図2の実施例において、バッテリーのオーム抵抗Roは、インピーダンスプロファイルの開始抵抗値であり得る。具体的には、インピーダンスプロファイルにおいて、虚部-Zimの値が0であるときの実部Zreの抵抗値がバッテリーのオーム抵抗Roであり得る。オーム抵抗Roは、公知の因子であることから、オーム抵抗Roそのものについての説明は省略する。
【0046】
例えば、バッテリーのインピーダンスプロファイルは、バッテリー診断装置100の外部で生成され得る。そして、オーム抵抗決定部120は、外部から生成されたバッテリーのインピーダンスプロファイルを直接受信するか、またはバッテリーのインピーダンスプロファイルが保存されたメモリーにアクセスしてインピーダンスプロファイルを獲得し得る。
【0047】
そして、オーム抵抗決定部120は、受信したインピーダンスプロファイルから開始抵抗値を決定し、決められた開始抵抗値をバッテリーのオーム抵抗に決定し得る。
【0048】
制御部130は、前記測定部110によって測定されたバッテリーの放電容量と参照容量を比較して容量変化率を算出するように構成され得る。
【0049】
ここで、参照容量は、BOL(Beginning of life)状態のバッテリーが完全充電された状態で完全放電するまでのバッテリーの放電容量であり得る。例えば、参照容量は、BOL状態のバッテリーがSOC(State of charge)100%から0%まで放電される間に測定されたバッテリーの放電容量であり得る。
【0050】
具体的に、制御部130は、参照容量に対する参照容量と、測定されたバッテリーの放電容量との差の割合を計算して、バッテリーの容量変化率を算出できる。例えば、制御部130は、「(参照容量-測定されたバッテリーの放電容量)÷参照容量×100」の数式を計算することで、バッテリーの容量変化率を算出し得る。
【0051】
図3は、本発明の一実施例によるバッテリー診断装置100によって算出された容量変化率の一例を示した図である。
【0052】
例えば、
図3の実施例において、制御部130は、第1~第5バッテリーB1、B2、B3、B4、B5に対する容量変化率を算出し得る。ここで、参照容量は、第1~第5バッテリーB1~B5の各々に対して予め設定され得る。即ち、第1バッテリーB1に対する第1参照容量及び第2バッテリーB2に対する第2参照容量が予め設定され得る。また、第3バッテリーB3に対する第3参照容量及び第4バッテリーB4に対する第4参照容量が予め設定され得る。また、第5バッテリーB5に対する第5参照容量が予め設定され得る。
【0053】
即ち、制御部130は、予め設定された一つの参照容量を用いて第1~第5バッテリーB1~B5の容量変化率を算出せず、対応する参照容量と測定されたバッテリーの放電容量との差を計算して第1~第5バッテリーB1~B5の各々の容量変化率を算出し得る。したがって、制御部130によって算出されたバッテリーの容量変化率には、各々のバッテリーの退化度が反映され得る。
【0054】
例えば、
図3の実施例において、第1バッテリーB1の容量変化率は3.17%であり、第2バッテリーB2の容量変化率は2.5%であり得る。また、第3バッテリーB3の容量変化率は2.83%であり、第4バッテリーB4の容量変化率は3.67%であり得る。また、第5バッテリーB5の容量変化率は6.33%であり得る。
【0055】
制御部130は、前記オーム抵抗決定部120によって決められたオーム抵抗と参照抵抗を比較して抵抗変化率を算出するように構成され得る。
【0056】
ここで、参照抵抗は、BOL状態のバッテリーに対して予め測定された抵抗値であり得る。より望ましくは、参照抵抗はBOL状態のバッテリーがSOC100%であるときに測定されたオーム抵抗値であり得る。
【0057】
具体的には、制御部130は、参照抵抗に対して、測定されたバッテリーのオーム抵抗と参照抵抗との差の割合を計算し、バッテリーに対する抵抗変化率を算出し得る。例えば、制御部130は、「(測定されたバッテリーのオーム抵抗-参照抵抗)÷参照抵抗×100」の数式を計算し、バッテリーに対する抵抗変化率を算出し得る。
【0058】
図4は、本発明の一実施例によるバッテリー診断装置100によって算出された抵抗変化率の一例を示した図である。
【0059】
例えば、
図4の実施例において、制御部130は、第1~第5バッテリーB1~B5の抵抗変化率を算出し得る。参照容量と同様に、参照抵抗も第1~第5バッテリーB1~B5の各々に対して予め設定され得る。即ち、第1バッテリーB1に対する第1参照抵抗及び第2バッテリーB2に対する第2参照抵抗が予め設定され得る。また、第3バッテリーB3に対する第3参照抵抗及び第4バッテリーB4に対する第4参照抵抗が予め設定され得る。また、第5バッテリーB5に対する第5参照抵抗が予め設定され得る。そして、制御部130は、対応する参照抵抗とバッテリーのオーム抵抗に基づき、第1~第5バッテリーB1~B5の各々の抵抗変化率を算出し得る。
【0060】
例えば、
図4の実施例において、第1バッテリーB1の抵抗変化率は16.4%であり、第2バッテリーB2の抵抗変化率は17.1%であり得る。また、第3バッテリーB3の抵抗変化率は16.1%であり、第4バッテリーB4の抵抗変化率は24.2%であり得る。また、第5バッテリーB5の抵抗変化率は25.2%であり得る。
【0061】
制御部130は、算出された抵抗変化率と基準抵抗変化率との大きさ比較によって前記バッテリーの内部ガスの発生程度を判断するように構成され得る。
【0062】
具体的には、前記制御部130は、前記算出された抵抗変化率が前記基準抵抗変化率以上であれば、前記バッテリーの内部ガスが基準量以上に発生したと判断し得る。また、前記制御部130は、前記算出された抵抗変化率が前記基準抵抗変化率未満であれば、前記バッテリーの内部ガスが前記基準量未満に発生したと判断し得る。ここで、バッテリーの内部ガスが基準量未満に発生する場合は、バッテリーの内部ガスが基準量未満に発生する場合及び内部ガスが発生ししない場合を共に含み得る。
【0063】
例えば、
図4の実施例において、基準抵抗変化率が20%に予め設定されたと仮定する。第1~第3バッテリーB1~B3の抵抗変化率は、基準抵抗変化率より小さいため、制御部130は第1~第3バッテリーB1~B3の内部ガスが基準量未満に発生したと判断し得る。そして、第4及び第5バッテリーB4、B5の抵抗変化率は、基準抵抗変化率より大きいため、制御部130は第4及び第5バッテリーB4、B5の内部ガスが基準量以上に発生したと判断し得る。
【0064】
制御部130は、算出された容量変化率と基準容量変化率との大きさ比較によって前記バッテリーの内部ガスの発生原因を判断するように構成され得る。
【0065】
具体的には、前記制御部130は、前記算出された容量変化率が前記基準容量変化率以上であれば、前記内部ガス発生原因を前記バッテリーの負極の副反応として判断するように構成され得る。より望ましくは、前記制御部130は、前記算出された容量変化率が前記基準容量変化率以上であれば、前記内部ガスの発生原因を前記バッテリーの負極及び電解質の副反応として判断するように構成され得る。
【0066】
また、前記制御部130は、前記算出された容量変化率が前記基準容量変化率未満であれば、前記内部ガスの発生原因を前記負極の副反応以外の他の原因と判断するように構成され得る。例えば、他の原因としては、バッテリーの正極の副反応などが含まれ得る。
【0067】
例えば、
図3の実施例において、基準容量変化率が5%に予め設定されたと仮定する。第1~第4バッテリーB1、B2、B3、B4の容量変化率は、基準容量変化率より小さいため、制御部130は、第1~第4バッテリーB1、B2、B3、B4の内部ガスは、他の原因によって発生したと判断し得る。そして、第5バッテリーB5の容量変化率は、基準容量変化率より大きいため、制御部130は、第5バッテリーB5の内部ガスは、当該バッテリーの負極の副反応によって発生したと判断し得る。
【0068】
即ち、本発明の一実施例によるバッテリー診断装置100は、バッテリーの内部ガスが基準量以上に発生したか否かと、バッテリーの内部ガスが如何なる副反応に起因して発生したかを判断可能である。特に、バッテリー診断装置100は、バッテリーの負極の副反応に起因したバッテリーの内部ガス発生を非破壊的に診断可能であるという長所がある。
【0069】
例えば、再使用のために収集された一つ以上のバッテリーの状態を診断する場合、本発明の一実施例によるバッテリー診断装置100が用いられ得る。バッテリー診断装置100は、一つ以上のバッテリーの各々に対する内部ガスの発生程度及び発生原因を非破壊的に診断できる。これによって、本発明の一実施例によると、バッテリーのオーム抵抗及び放電容量に基づいてバッテリーの内部ガスの発生程度及び発生原因が迅速かつ簡便に診断可能であるため、収集されたバッテリーの再使用の可否が迅速かつ正確に判断可能である。
【0070】
一方、バッテリー診断装置100に備えられた制御部130は、本発明で行われる多様な制御ロジッグを実行するために、当業界に知られたプロセッサー、ASIC(application-specific integrated circuit、特定用途向け集積回路)、他のチップセット、論理回路、レジスター、通信モデム、データ処理装置などを選択的に含み得る。また、制御ロジッグがソフトウェアとして具現されるとき、制御部130は、プログラムモジュールの集合として具現され得る。この際、プログラムモジュールはメモリーに保存され、制御部130によって実行され得る。メモリーは、制御部130の内部または外部にあってもよく、公知の多様な手段で制御部130と接続され得る。
【0071】
また、
図1を参照すると、バッテリー診断装置100は、保存部140をさらに含み得る。保存部140は、バッテリー診断装置100の各構成要素が動作及び機能を行うのに必要なデータやプログラム、または動作及び機能が行われる過程で生成されるデータなどを保存し得る。保存部140は、データを記録、消去、更新及び読出可能な公知の情報保存手段であれば、その種類は特に制限されない。一例として、情報保存手段には、RAM、フラッシュメモリー(登録商標)、ROM、EEPROM、レジスターなどが挙げられる。また、保存部140は、制御部130によって実行可能なプロセスが定義されたプログラムコードを保存し得る。
【0072】
例えば、保存部140は、各々のバッテリーに対する参照容量、参照抵抗を保存し得る。また、保存部140は、バッテリーのインピーダンスプロファイルを保存し得る。この場合、オーム抵抗決定部120は、保存部140にアクセスしてバッテリーのインピーダンスプロファイルを獲得し得る。
【0073】
望ましくは、前記オーム抵抗決定部120は、前記測定部110によって測定された前記バッテリーの温度が所定の期間の間に基準温度以上である場合、前記バッテリーに対して生成されたインピーダンスプロファイルに基づいて前記オーム抵抗を決定するように構成され得る。
【0074】
ここで、所定の期間は、バッテリーのオーム抵抗の変化がバッテリーの内部ガスの発生と関連を有するように、バッテリーの温度が基準温度以上に維持されるべき最小期間であり得る。即ち、短すぎる期間の間にバッテリーの温度を基準温度以上に維持すると、発生するバッテリーの内部ガスはバッテリーのオーム抵抗の変化に関連しないことがある。これによって、本発明のバッテリーの温度を基準温度以上に所定の期間の間に維持することで、バッテリーのオーム抵抗の変化とバッテリーの内部ガスの発生程度とを関連付けて判断可能である。
【0075】
例えば、基準温度は40~60℃のいずれかに設定され得る。望ましくは、基準温度は40℃に設定され得る。また、所定の期間は3日~8日のいずれかに設定され得る。望ましくは、所定の期間は3日に設定され得る。
【0076】
具体的に例を挙げると、基準温度が40℃に設定され、所定の期間が3日に設定されたと仮定する。オーム抵抗決定部120は、測定部110によって測定されたバッテリーの温度が40℃以上に3日間維持された場合、当該バッテリーに対するインピーダンスプロファイルを獲得して当該バッテリーに対するオーム抵抗を決定し得る。
【0077】
一般的に、バッテリーのSOC及び温度が高いほど、バッテリーの内部ガスの発生量が増加し得る。即ち、本発明の一実施例によるバッテリー診断装置100は、バッテリーの再使用の可否を判断するための一環として、内部ガスの発生程度及び発生原因を診断するために、基準温度以上に所定の期間の間に維持されたバッテリーを対象にして診断を行い得る。
【0078】
また、望ましくは、バッテリーは、初期にSOC100%の状態に完全充電され得る。そして、完全充電されたバッテリーが所定の期間の間に基準温度以上に維持され得る。即ち、所定の期間の間、完全充電されたバッテリーは次第に自然放電され得るが、バッテリーの温度は、基準温度以上に維持されるように構成され得る。
【0079】
そして、オーム抵抗決定部120と同様に、測定部110も所定の期間の間に温度が基準温度以上に維持されたバッテリーのみに対して放電容量を測定し、制御部130は、当該バッテリーのみに対して内部ガスの発生程度及び発生原因を診断し得る。
【0080】
ここで、前記バッテリーは、前記所定の期間の間に前記基準温度以上に維持された後である第1時点でさらに完全充電され、前記第1時点で完全充電された後、第2時点で完全放電されるように構成され得る。望ましくは、前記測定部110は、前記第1時点で完全充電されたバッテリーが前記第2時点で完全放電されるまでの前記バッテリーの放電容量を測定するように構成され得る。
【0081】
例えば、前述した実施例のようにバッテリーの温度が40℃以上に3日間維持された後、第1時点でバッテリーはSOC100%まで完全充電され得る。そして、第1時点以後の第2時点でバッテリーはSOC0%まで完全放電され得る。測定部110は、第1時点から第2時点までバッテリーの放電容量を測定し得る。そして、制御部130は、測定部110によって測定された放電容量に基づいてバッテリーの容量変化率を算出し得る。即ち、制御部130は、バッテリーの非可逆容量の損失率を算出し得る。
【0082】
即ち、バッテリー診断装置100は、バッテリーの内部ガスが発生し得る試験環境を組成するために、完全充電されたバッテリーが所定の期間の間に基準温度以上に維持された場合に限り、バッテリーの内部ガスが発生するか否か、発生するなら、如何なる原因によって発生するかを判断し得る。
【0083】
以下では、バッテリー診断装置100が、診断されたバッテリーの内部ガス発生程度及び発生原因からバッテリーの状態を診断する実施例について具体的に説明する。
【0084】
前記制御部130は、前記内部ガスの発生程度及び前記内部ガスの発生原因に基づいて前記バッテリーの状態を診断するように構成され得る。
【0085】
以下では、説明の便宜のために、制御部130によって判断され得るバッテリーの状態は、正常状態、第1警告状態、及び第2警告状態であることに説明する。但し、制御部130によって判断され得るバッテリーの状態は、バッテリーの内部ガスの発生程度及び発生原因によってより細分化され得る。例えば、制御部130は、算出されたバッテリーの抵抗変化率を複数の区間に区分された基準抵抗範囲と比較してバッテリーの内部ガスの発生程度を具体的に細分化して診断し得る。また、制御部130は、算出されたバッテリーの容量変化率を複数の区間に区分された基準容量範囲と比較してバッテリーの内部ガスの発生原因をより具体的に細分化して診断し得る。そして、細分化されて診断された内部ガスの発生程度及び発生原因によってバッテリーの状態はより多様な面で具体的に診断可能であることに留意する。
【0086】
図5は、本発明の一実施例によるバッテリー診断装置100によって診断されるバッテリーの状態を概略的に示した図である。
【0087】
図5を参照すると、前記制御部130は、前記内部ガスが前記基準量未満に発生したと判断された場合、前記バッテリーの状態を正常状態に診断するように構成され得る。
【0088】
即ち、完全充電されたバッテリーが所定の期間の間に基準温度以上の状況に置かれていても、内部ガスが基準量未満に発生した場合、制御部130は、バッテリーの状態を正常状態に診断し得る。そして、制御部130は、このようなバッテリーを再使用可能のバッテリーに分類し得る。
【0089】
また、
図5を参照すると、前記制御部130は、前記内部ガスが前記他の原因によって前記基準量以上に発生したと判断された場合、前記バッテリーの状態を第1警告状態に診断するように構成され得る。そして、制御部130は、バッテリーを再使用可能のバッテリーに分類し得る。
【0090】
その後、制御部130は、第1警告状態に診断されたバッテリーの内部ガスの発生量を減少させるために、前記バッテリーに対する上限温度を減少させるように構成され得る。即ち、第1警告状態に診断されたバッテリーは、許容可能な上限温度が減少するように制御部130によって設定され得る。つまり、第1警告状態に診断されたバッテリーが再使用される場合、当該バッテリーに対して許容可能な上限温度は、制御部130によって設定された温度に制限され得る。
【0091】
また、
図5を参照すると、前記制御部130は、前記内部ガスが前記負極の副反応によって前記基準量以上に発生したと判断された場合、前記バッテリーの状態を第2警告状態に診断するように構成され得る。そして、制御部130は、バッテリーを再使用可能のバッテリーに分類し得る。
【0092】
その後、制御部130は、第2警告状態に診断されたバッテリーの内部ガスの発生量を減少させるために、前記バッテリーに対する上限温度及び上限C-rateのうち少なくとも一つを減少させるように構成され得る。即ち、第2警告状態に診断されたバッテリーは、許容可能な上限温度及び許容可能な上限C-rateのうち少なくとも一つが減少するように制御部130によって設定され得る。望ましくは、制御部130は、第2警告状態に診断されたバッテリーの内部ガスの発生量を効果的に減少させるために、前記バッテリーに対する上限温度及び上限C-rateを共に減少させ得る。即ち、第2警告状態に診断されたバッテリーが再使用される場合、当該バッテリーに対して許容可能な上限温度及び上限C-rateのうち少なくとも一つは、制御部130によって設定された値に制限され得る。
【0093】
具体的には、制御部130は、内部ガス発生程度が基準量以上であるバッテリーの状態を警告状態に診断し、内部ガスの発生量を減少させるために上限温度及び/または上限C-rateを減少させ得る。
【0094】
要するに、制御部130は、正常状態、第1警告状態または第2警告状態に診断されたバッテリーを再使用可能のバッテリーに分類し得る。また、制御部130は、第1警告状態または第2警告状態に診断されたバッテリーの駆動を適切に制限することで、再使用時においてバッテリーの内部ガスの発生量を減少させ得る。
【0095】
このように、本発明の一実施例によるバッテリー診断装置100は、バッテリーの内部ガスの発生程度及び発生原因に基づき、再使用の可否に焦点を合わせてバッテリーの状態を診断し得る。また、再使用時における内部ガスの発生を減少させるために、各々のバッテリーは、診断された状態に基づいて駆動が制限され得る。これによって、バッテリー診断装置100は、バッテリーの再使用の可否が判断可能であるだけでなく、バッテリーをより長く使用できるように適切な制御条件を設定できるという長所がある。
【0096】
図6は、本発明の他の実施例によるバッテリー診断システム10を概略的に示した図である。
【0097】
図6を参照すると、バッテリー診断システム10は、本発明の一実施例によるバッテリー診断装置100及びEIS部200を含み得る。
【0098】
EIS部200は、前記バッテリーに交流電流を出力し、前記交流電流の出力結果によって前記バッテリーのインピーダンスを実部Zre及び虚部-Zimとの対応関係として示すインピーダンスプロファイルを生成するように構成され得る。
【0099】
具体的には、EIS部200は、電気化学的インピーダンス分光法(Electrochemical Impedance Spectroscopy;EIS)を実施するための構成であり得る。したがって、EIS部200は、バッテリーに微小な交流電流を印加してバッテリーのインピーダンスを計測し、インピーダンスを実部Zreと虚部-Zimとの対応関係を示すインピーダンスプロファイルを生成し得る。
【0100】
例えば、バッテリーの温度が基準温度以上である場合、EIS部200によって測定されるバッテリーのインピーダンスは、温度の影響で不正確であり得る。これによって、EIS部200は、バッテリーの温度が常温に類似になったときのバッテリーのインピーダンスを測定し得る。
【0101】
EIS部200は、生成されたインピーダンスプロファイルを前記バッテリー診断装置100に出力するように構成され得る。
【0102】
例えば、EIS部200は、生成したインピーダンスプロファイルをバッテリー診断装置100のオーム抵抗決定部120に送信し得る。
【0103】
他の例で、EIS部200は、生成したインピーダンスプロファイルをバッテリー診断装置100の保存部140に送信し得る。この場合、オーム抵抗決定部120は、保存部140にアクセスして、EIS部200によって生成されたインピーダンスプロファイルを獲得し得る。
【0104】
また、
図6を参照すると、バッテリー診断システム10は、ヒーティング部300及び充放電部400をさらに含み得る。
【0105】
ヒーティング部300は、前記バッテリーの温度が基準温度以上になるように前記バッテリーの温度を上昇させるように構成され得る。即ち、ヒーティング部300は、バッテリーが所定の期間の間に基準温度以上を維持するようにバッテリーの温度を上昇及び維持させ得る。
【0106】
充放電部400は、バッテリーと接続されてバッテリーを充電または放電するように構成され得る。
【0107】
例えば、充放電部400によってバッテリーは初期時点で完全充電され得る。そして、所定の期間の間にヒーティング部300によってバッテリーの温度が基準温度以上に維持され得る。充放電部400は、所定の期間が経過した後である第1時点でバッテリーをさらに完全充電し得る。即ち、第1時点でバッテリーのSOCは100%であり得る。そして、充放電部400は、第1時点以後の第2時点でバッテリーを完全放電し得る。即ち、第2時点でバッテリーのSOCは0%であり得る。測定部110は、第1時点から第2時点までバッテリーの放電容量を測定し得る。そして、制御部130は、バッテリーの内部ガスの発生程度、内部ガスの発生原因及び状態を診断し得る。
【0108】
したがって、バッテリー診断システム10は、バッテリーの内部ガスが発生され得る試験条件を満たすことで、バッテリーの再使用の可否を診断できるという長所がある。
【0109】
一方、バッテリーの内部ガスが基準量以上に発生したと判断され、内部ガスの発生原因が負極の副反応以外の他の原因に診断されることに備え、バッテリー診断装置100は、バッテリーの内部ガスの発生原因を具体的に診断するために追加診断を行い得る。即ち、バッテリー診断装置100は、バッテリーの状態が第1警告状態に判断されることに備え、バッテリーの内部ガスの発生原因を具体的に診断するために追加診断を行い得る。
【0110】
測定部110は、バッテリーの電圧をさらに測定するように構成され得る。望ましくは、測定部110は、所定の期間の間に基準温度以上に維持されたバッテリーの電圧を測定し得る。より望ましくは、測定部110は、バッテリーの開路電圧(Open circuit voltage;OCV)を測定し得る。
【0111】
制御部130は、前記測定部110によって測定されたバッテリーの電圧と参照電圧を比較して電圧変化量を算出するように構成され得る。
【0112】
ここで、参照電圧は、BOL状態のバッテリーに対して予め測定された電圧値であり得る。より望ましくは、参照電圧は、BOL状態のバッテリーのSOCが100%であるときに測定された開路電圧値であり得る。
【0113】
具体的には、制御部130は、参照電圧と測定されたバッテリーの電圧との差を計算し、バッテリーに対する電圧変化量を算出し得る。例えば、制御部130は、「参照電圧-測定されたバッテリーの電圧」の数式を計算し、バッテリーに対する電圧変化量を算出し得る。
【0114】
そして、制御部130は、算出された電圧変化量が基準電圧変化量以上であれば、バッテリーの内部ガスの発生原因を正極の副反応として判断するように構成され得る。
【0115】
また、制御部130は、バッテリーの内部ガスが正極の副反応によって基準量以上に発生したと判断された場合、バッテリーの状態を第3警告状態に診断するように構成され得る。そして、制御部130は、バッテリーを再使用可能のバッテリーに分類し得る。
【0116】
その後、制御部130は、第3警告状態に診断されたバッテリーの内部ガスの発生量を減少させるために、バッテリーに対する上限温度及び上限SOCのうち少なくとも一つを減少させるように構成され得る。即ち、第3警告状態に診断されたバッテリーは、許容可能な上限温度及び上限SOCのうち少なくとも一つが減少するように制御部130によって設定され得る。即ち、第3警告状態に診断されたバッテリーが再使用される場合、当該バッテリーに対して許容可能な上限温度及び/または上限SOCは、制御部130によって設定された値に制限され得る。
【0117】
本発明によるバッテリー診断装置100は、BMS(Battery Management System)に適用可能である。即ち、本発明によるBMSは、上述したバッテリー診断装置100を含み得る。このような構成において、バッテリー診断装置100の各構成要素のうち少なくとも一部は、従来のBMSに含まれた構成の機能を補完または追加することで具現され得る。
【0118】
また、本発明によるバッテリー診断装置100は、バッテリーパックに備えられ得る。即ち、本発明によるバッテリーパックは、上述したバッテリー診断装置100及び一つ以上のバッテリーを含み得る。また、バッテリーパックは、電装品(リレー、ヒューズなど)及びケースなどをさらに含み得る。
【0119】
図7は、本発明のさらに他の実施例によるバッテリーパック1の例示的構成を概略的に示した図である。
図7を参照すると、バッテリーパック1には、バッテリー診断装置100、EIS部200、ヒーティング部300及び充放電部400が備えられ得る。即ち、バッテリーパック1には、バッテリー診断システム10が含まれ得る。
【0120】
例えば、
図7の実施例において、バッテリー診断装置100は、第1~第4センシングラインSL1、SL2、SL3、SL4と接続され得る。望ましくは、第1~第4センシングラインSL1、SL2、SL3、SL4は、バッテリー診断装置100の測定部110と接続され得る。
【0121】
測定部110は、第1センシングラインSL1を介してバッテリーBの温度を測定し得る。
【0122】
また、測定部110は、第2センシングラインSL2を介してバッテリーBの正極放電容量を測定し、第3センシングラインSL3を介してバッテリーBの負極放電容量を測定し得る。そして、測定部110は、測定されたバッテリーBの正極放電容量と負極放電容量との差を算出し、バッテリーBの放電容量を測定し得る。
【0123】
また、測定部110は、第4センシングラインSL4を介して電流測定素子Aと接続され得る。ここで、電流測定素子Aは、電流計またはシャント抵抗であり得る。これによって、測定部110は、第4センシングラインSL4を介してバッテリーBの電流を測定し得る。
図7では、望ましい実施例として電流測定素子AがバッテリーBの負極とバッテリーパック1の負極端子P-との間に備えられた実施例を示したが、電流測定素子Aは、バッテリーBの正極とバッテリーパック1の正極端子P+との間にも備えられ得ることに留意する。
【0124】
EIS部200は、一端がバッテリーパック1の正極端子P+とバッテリーBの正極との間に接続され、他端がバッテリーパック1の負極端子P-とバッテリーBの負極との間に接続され得る。そして、EIS部200は、微小な交流電流を出力した後、バッテリーBのインピーダンスを測定し得る。その後、EIS部200は、バッテリーBのインピーダンスプロファイルを生成してバッテリー診断装置100に送信し得る。
【0125】
ヒーティング部300の一端はバッテリーBの正極に接続され、他端はバッテリーBの負極に接続され得る。そして、ヒーティング部300の動作は、バッテリー診断装置100(特に、制御部130)によって制御され、ヒーティング部300が動作されると、バッテリーBの温度が上昇し得る。
【0126】
充放電部400の一端は、バッテリーパック1の正極端子P+に接続され、他端は、バッテリーパック1の負極端子P-に接続され得る。他の実施例で、充放電部400は、ヒーティング部300と同様に、一端がバッテリーBの正極に直接接続され、他端がバッテリーBの負極に直接接続され得る。充放電部400の動作は、バッテリー診断装置100(特に、制御部130)によって制御され、充放電部400が動作されると、バッテリーBが充電または放電され得る。
【0127】
例えば、充放電部400によってバッテリーBは、完全充電され得る。そして、ヒーティング部300によってバッテリーBの温度が基準温度以上に所定の期間の間に維持され得る。その後、バッテリー診断装置100によってバッテリーBの内部ガスの発生程度、内部ガスの発生原因及び状態が診断され得る。
【0128】
図8は、本発明のさらに他の実施例によるバッテリー診断方法を概略的に示した図である。
【0129】
ここで、バッテリー診断方法の各段階は、バッテリー診断装置100によって行われ得る。以下では、説明の便宜のために、前述した内容と重複する内容は簡略に説明するか、または省略する。
【0130】
図8を参照すると、本発明の一実施例によるバッテリー診断方法は、温度測定段階S100、オーム抵抗決定段階S200、放電容量測定段階S300、容量変化率算出段階S400、抵抗変化率算出段階S500、内部ガス発生程度判断段階S600及び内部ガス発生原因判断段階S700を含む。
【0131】
温度測定段階S100は、バッテリーの温度を測定する段階であって、測定部110によって行われ得る。
【0132】
例えば、
図1及び
図7を参照すると、測定部110は、第1センシングラインSL1を介してバッテリーと接続され得る。そして、測定部110は、第1センシングラインSL1を介してバッテリーの温度を測定し得る。
【0133】
オーム抵抗決定段階S200は、前記バッテリーに対して生成されたインピーダンスプロファイルに基づいて前記バッテリーのオーム抵抗を決定する段階であって、オーム抵抗決定部120によって行われ得る。
【0134】
例えば、オーム抵抗決定部120は、外部からバッテリーに対して生成されたインピーダンスプロファイルを直接受信するか、または保存部140にアクセスして保存部140に保存された前記インピーダンスプロファイルを獲得し得る。そして、オーム抵抗決定部120は、インピーダンスプロファイルからバッテリーのオーム抵抗を決定し得る。
【0135】
望ましくは、オーム抵抗決定部120は、測定部110によって測定されたバッテリーの温度が基準温度以上であり、このような状態が所定の期間の間に維持されたバッテリーのみに対してオーム抵抗を決定し得る。
【0136】
放電容量測定段階S300は、前記バッテリーの放電容量を測定する段階であって、測定部110によって行われ得る。
【0137】
望ましくは、所定の期間の間に基準温度以上の温度に維持されたバッテリーは、前記所定の期間が経過した後、さらに完全充電され得る。その後、完全充電されたバッテリーは完全放電され得る。測定部110は、完全充電されたバッテリーが完全放電される過程で、バッテリーの放電容量を測定し得る。
【0138】
例えば、
図1及び
図7を参照すると、測定部110は、第4センシングラインSL4を介して電流測定素子Aと接続され得る。そして、測定部110は、電流測定素子Aを介してバッテリーの放電容量を測定し得る。
【0139】
容量変化率算出段階S400は、前記放電容量測定段階S300で測定されたバッテリーの放電容量と参照容量を比較して容量変化率を算出する段階であって、制御部130によって行われ得る。
【0140】
例えば、制御部130は、「(参照容量-測定されたバッテリーの放電容量)÷参照容量×100」の数式を計算することで、バッテリーの容量変化率を算出し得る。
【0141】
抵抗変化率算出段階S500は、前記オーム抵抗決定段階S200で決定されたオーム抵抗と参照抵抗を比較して抵抗変化率を算出する段階であって、制御部130によって行われ得る。
【0142】
例えば、制御部130は、「決定されたオーム抵抗-参照抵抗)÷参照抵抗×100」の数式を計算することで、バッテリーの抵抗変化率を算出し得る。
【0143】
内部ガス発生程度判断段階S600は、算出された抵抗変化率と基準抵抗変化率との大きさ比較を通じて前記バッテリーの内部ガス発生程度を判断する段階であって、制御部130によって行われ得る。
【0144】
例えば、算出された抵抗変化率が基準抵抗変化率以上であれば、制御部130は、バッテリーの内部ガスが基準量以上に発生したと判断し得る。逆に、算出された抵抗変化率が基準抵抗変化率未満であれば、制御部130は、バッテリーの内部ガスが基準量未満に発生したと判断し得る。
【0145】
内部ガス発生原因判断段階S700は、算出された容量変化率と基準容量変化率との大きさ比較を通じて前記バッテリーの内部ガスの発生原因を判断する段階であって、制御部130によって行われ得る。
【0146】
例えば、算出された容量変化率が基準容量変化率以上であれば、制御部130は、バッテリーの内部ガスがバッテリーの負極の副反応によって発生したと判断し得る。逆に、算出された容量変化率が基準容量変化率未満であれば、制御部130は、バッテリーの内部ガスがバッテリーの負極の副反応以外の他の原因によって発生したと判断し得る。
【0147】
さらに、
図8には図示していないが、バッテリー診断方法は、内部ガス発生原因判断段階S700の後、バッテリー状態診断段階をさらに含み得る。
【0148】
バッテリー状態診断段階は、前記内部ガス発生程度及び前記内部ガス発生原因に基づいて前記バッテリーの状態を診断する段階であって、制御部130によって行われ得る。
【0149】
図5を参照すると、制御部130は、内部ガスの発生程度及び発生原因に基づいてバッテリーの状態を、正常状態、第1警告状態、または第2警告状態に診断し得る。
【0150】
例えば、制御部130は、正常状態、第1警告状態または第2警告状態に診断されたバッテリーを再使用可能のバッテリーに分類し得る。また、制御部130は、第1警告状態または第2警告状態に診断されたバッテリーの駆動を適切に制限することで、再使用時においてバッテリーの内部ガスの発生量を減少させ得る。
【0151】
また、バッテリー状態診断段階の後、バッテリーが第1警告状態に判断された場合に限ってバッテリーの内部ガスの発生原因をより具体的に確認するための追加診断段階が行われ得る。
【0152】
追加診断段階は、バッテリーの内部ガスの発生原因が正極の副反応によることであるか否かを診断する段階であって、制御部130によって行われ得る。
【0153】
以上で説明した本発明の実施例は、必ずしも装置及び方法を通じて具現されることではなく、本発明の実施例の構成に対応する機能を実現するプログラムまたはそのプログラムが記録された記録媒体を通じて具現され得、このような具現は、本発明が属する技術分野における専門家であれば、前述した実施例の記載から容易に具現できるはずである。
【0154】
以上、本発明を限定された実施例と図面によって説明したが、本発明はこれに限定されず、本発明の属する技術分野で通常の知識を持つ者によって本発明の技術思想と特許請求の範囲の均等範囲内で多様な修正及び変形が可能であることは言うまでもない。
【0155】
また、上述の本発明は、本発明が属する技術分野における通常の知識を持つ者によって本発明の技術思想から脱しない範囲内で多様な置換、変形及び変更が可能であるため、上述の実施例及び添付された図面によって限定されず、多様な変形が行われるように各実施例の全部または一部を選択的に組み合わせて構成可能である。
【符号の説明】
【0156】
1 バッテリーパック
10 バッテリー診断システム
100 バッテリー診断装置
110 測定部
120 オーム抵抗決定部
130 制御部
140 保存部
200 EIS部
300 ヒーティング部
400 充放電部