(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】点滴スタンド用連結具及び連結用補助具
(51)【国際特許分類】
A61M 5/14 20060101AFI20231219BHJP
A61G 5/10 20060101ALI20231219BHJP
A61J 1/16 20230101ALI20231219BHJP
【FI】
A61M5/14 532
A61G5/10
A61J1/16 D
(21)【出願番号】P 2019128440
(22)【出願日】2019-07-10
【審査請求日】2022-04-15
(31)【優先権主張番号】P 2018227883
(32)【優先日】2018-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】511286274
【氏名又は名称】株式会社ニシウラ
(73)【特許権者】
【識別番号】592159999
【氏名又は名称】株式会社ケンコー・トキナー
(74)【代理人】
【識別番号】100118393
【氏名又は名称】中西 康裕
(72)【発明者】
【氏名】西浦 伸忠
(72)【発明者】
【氏名】山中 徹
【審査官】川上 佳
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第89/002235(WO,A1)
【文献】特開2014-068908(JP,A)
【文献】英国特許出願公開第02368520(GB,A)
【文献】特開2013-111220(JP,A)
【文献】登録実用新案第3014483(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/14
A61G 5/10
A61J 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャスター付き点滴スタンドに着脱自由に接続される第1クランプと、
移動用器具に着脱自由に接続可能な第2クランプと、
前記第1クランプが一端側に、前記第2クランプが他端側に保持される連結棒と、
を備えた点滴スタンド用連結具であって、
前記第2クランプは、自由方向に回動する球体と、1軸に回転回動する1軸回転体と、からなる第2回転部を介して前記連結棒に回転可能に保持されており、
前記第1クランプが前記点滴スタンドに接続され、前記第2クランプが前記移動用器具に接続された状態で、前記点滴スタンドが前記第2回転部により回転可能であ
り、
前記第2回転部は、前記球体の自由回動と前記1軸回転体の1軸回転のロックとロック解除の切り替え同時に操作を行うロックツマミを備えていることを特徴とする点滴スタンド用連結具。
【請求項2】
前記第1クランプは、自由方向に回動する球体と、1軸に回転回動する1軸回転体と、からなる第1回転部を介して前記連結棒に保持されることを特徴とする請求項1に記載の点滴スタンド用連結具。
【請求項3】
前記第1回転部は、
前記球体の自由回動と前記1軸回転体の1軸回転のロックとロック解除の切り替え操作を同時に行うロックツマミと、
を備えたことを特徴とする請求項2に記載の点滴スタンド用連結具。
【請求項4】
前記第2クランプは、取り付け角度を直角に変えるL型取付金具を介して前記第2回転部に取り付けられることを特徴とする請求項1に記載の点滴スタンド用連結具。
【請求項5】
前記第2クランプは、車椅子である前記移動用器具のハンドルに取り付けられることを特徴とする請求項4に記載の点滴スタンド用連結具。
【請求項6】
請求項1に記載の点滴スタンド用連結具を使って、前記点滴スタンドとストレッチャからなる前記移動用器具との連結を行う際に用いられること特徴とする連結用補助具。
【請求項7】
前記連結用補助具は、固定軸部と、前記固定軸部と直交する取付軸部と、からなることを特徴とする請求項6に記載の連結用補助具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は点滴スタンド用連結具及び連結用補助具に関する。詳しくは、点滴スタンドを主として車椅子、他にリハビリ歩行器やストレッチャなどの移動用器具にも連結する点滴スタンド用連結具及び連結用補助具に関する。
【背景技術】
【0002】
医療施設では点滴中の患者が車椅子で移動することがある。患者にキャスター付きの点滴スタンドを握らせて車椅子で移動すると事故が発生した時に責任の問題が発生する。また、車椅子を押す人が点滴スタンドを握ると、本来両手で車椅子を押さなければならないのに片手で車椅子を押すことになる。そこで、車椅子で移動するときは点滴スタンドを人が持たなくてもよいように、キャスター付きの点滴スタンドを移動用器具に連結する点滴スタンド用連結具が考えられる。
【0003】
従来の点滴スタンド用連結具には、車椅子に対するキャスター付きの点滴スタンドの位置が前部、後部、側部と種々ある。特許文献1は前部の例であり、特許文献2は後部の例であり、特許文献3は側部の例である。
【0004】
ところで、狭い廊下や人が多い場所や、狭い間口を移動するときは、点滴スタンドの位置が車椅子の前後にあった方がよい。また、奥行きが短いエレベータやトイレでは点滴スタンドの位置が車椅子の側部にあった方がよい。
【0005】
しかしながら、特許文献1、2の点滴スタンド用連結具は車椅子の前後と側部あるいは後部と側部との位置移動ができない。特許文献3の点滴スタンド用連結具は柔軟なフレキシブルシャフトを曲げて点滴スタンド用連結具と車椅子の間隔を狭めることが段落番号0032に記載されているが、点滴スタンド用連結具が車椅子の前後と側部あるいは後部と側部との位置移動をすることの記載がない。
【0006】
これに対して、非特許文献1の点滴スタンド用連結具は、点滴スタンドを車椅子に対して回転移動させる回転部を設け、点滴スタンド用連結具が車椅子の後部と側部の位置移動をする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2016-49244号公報
【文献】特開2017-94043号公報
【文献】特許6186034号公報
【非特許文献】
【0008】
【文献】プロメディカル株式会社ホームページ、三菱金属工業株式会社製カチャっと君every[2018年11月21日検索]インターネット〈http://www.promedi.co.jp/news/archives/1〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、非特許文献1の車椅子への取付方法は、回転部を支える長い支柱の両端を車椅子の上方のハンドルと、車椅子の下方の水平フレームに取り付けるものである。このために、点滴スタンド用連結具が大型となる。また、車椅子に取り付ける長い支柱が必要となることから、別の車椅子に取り付ける場合には、この支柱を取り外して別の車椅子取り付けるか、別の車椅子にもこの支柱を準備しておく必要があり、病院内での使い勝手が非常に悪い(なお、パンフレットには、利用者自身による別の車椅子への付け替えができない旨が記載されている)。
【0010】
また、回転部は、円柱面を摺動する軸回転となっている。このため、その回転軸が床面に対して垂直でなければ、点滴スタンドが床面に沿ってなめらかに回転することができない。ところが、一般的な車椅子のハンドルは通常傾斜しているものが多く、また、ハンドルの傾斜角が規格等で統一されているわけではないため、ハンドルと下方の水平フレームとが平行とはならず、回転部の回転軸を垂直に取り付けることが容易ではなく、また取付用の支柱が複雑な構造となってしまう。
【0011】
また、下方の水平フレームの位置や形状はさまざまであるので、下方の水平フレームの位置が合わなかったりして、ハンドルと下方の水平フレームに取り付けることができない車椅子がある。更に、車椅子によっては、この下方の水平フレームがないものもある。
【0012】
また、点滴スタンド用連結具を点滴スタンド側に収納することができれば、他の車椅子やストレッチャなどに点滴スタンド用連結具を使用することが容易であるが、非特許文献1の点滴スタンド用連結具は点滴スタンド側に収納することができない。
【0013】
そこで、本発明は、点滴スタンド用連結具を移動用器具の後部と側部に位置移動ができ、かつ取り付け容易な小型の点滴スタンド用連結具及び連結用補助具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するため、本発明の点滴スタンド用連結具は、点滴スタンドに着脱自由に接続される第1クランプと、移動用器具に着脱自由に接続可能な第2クランプと、前記第1クランプが一端側に、前記第2クランプが他端側に保持される連結棒と、を備えた点滴スタンド用連結具であって、前記第2クランプは、自由方向に回動する球体と、1軸に回転回動する1軸回転体からなる第2回転部を介して前記連結棒に回転可能に保持されており、前記第1クランプが前記点滴スタンドに接続され、前記第2クランプが前記移動用器具に接続された状態で、前記点滴スタンドが前記第2回転部により回転可能であることを特徴とする。
【0015】
これにより、第1クランプは、自由方向に回動する球体と、1軸に回転回動する1軸回転体からなる第2回転部により回転可能であるので、点滴スタンドを移動用器具の周りに移動可能である。例えば、狭い廊下では点滴スタンドを車椅子の後ろ側に移動させ、奥行きが短いエレベータでは点滴スタンドを車椅子の横側に移動させることが素早く容易にできる。また、第2回転部は、球体による自由回動と、1軸回転体による回転回動を行うことができるため、連結棒が傾斜していたとしても、点滴スタンドの位置を移動させる際、点滴スタンドの状態が安定している。
【0016】
また、本発明の点滴スタンド用連結具は、前記第1クランプが、自由方向に回動する球体と、1軸に回転回動する1軸回転体からなる第1回転部を介して前記連結棒に保持されることを特徴とする。
【0017】
これにより、第1クランプと第2クランプの高さや向きの変更が可能であるので、車椅子を含む多種の移動用器具に点滴スタンド用連結具を適用することができる。また、収納時、第2クランプを移動用器具から外し、連結棒を回転させて第2クランプを点滴スタンドに保持させることにより、連結具を点滴スタンドに収容することができる。また、例えば、病院内の傾斜している廊下を通過するような場合でも、第1回転部により、点滴スタンドの状態を傾斜に追随させることができ、点滴スタンドを安定させることができる。
【0018】
また、本発明の点滴スタンド用連結具は、前記第1回転部及び前記第2回転部が、前記球体の自由回動と前記1軸回転体の1軸回転のロックとロック解除の切り替え操作を同時に行うロックツマミと、を備えたことを特徴とする。
【0019】
第1クランプと第2クランプの高さや向きの変更を行う際に、ロックツマミの操作で第1回転部及び第2回転部の自由回動と1軸回転を、ロックしたり、ロック解除したりするので、取り付けや、移動用器具に対する点滴スタンドの位置移動操作が容易である。第1回転部及び第2回転部にそれぞれロックツマミがあるので、そのロックやロック解除の操作がし易く、患者の視野内でその操作ができる。
また、本発明の点滴スタンド用連結具は、前記第2クランプが、車椅子である前記移動用器具のハンドルに取り付けられることを特徴とする。
【0020】
これにより、車椅子にはハンドルが備わっているので、使用者にとって取付位置がわかりやすく、複数の使用者間で取付位置を統一化した運用を行うことができる。また、例えば、第2回転部のロックツマミを操作する際に、患者を視野範囲に入れたままで操作を行うことができるので、注意しながら点滴スタンドの回転操作を行うことができる。
【0021】
また、本発明の点滴スタンド用連結具は、前記第2クランプが、取り付け角度を直角に変えるL型取付金具を介して前記第2回転部に取り付けられることを特徴とする。
【0022】
これにより、車椅子のハンドルの下にあるブレーキと第2クランプとの接触を簡単に回避できる。また、点滴スタンドを車椅子の側面や後方に回転移動させる時の主な回転動作を、第2回転部の1軸回転体による1軸回転によって行うことができ、主な回転動作を球体による自由回動により行う場合に比べ、使用者はスムーズに点滴スタンドの回転移動を行うことができる。なお、この点については、発明者による検証結果に基づくものである。
【0023】
また、本発明の連結用補助具は、本発明の前記点滴スタンド用連結具を使って、前記点滴スタンドとストレッチャからなる前記移動用器具との連結を行う際に用いられること特徴とする。これにより、第2クランプでの接続が困難なストレッチャであっても、本発明の点滴スタンド用連結具を使って点滴スタンドとストレッチャとの連結を行うことがきる。なお、連結用補助具は、具体的には、もともとストレッチャに備わっている点滴スタンド取付部に固定して使用される。
【0024】
また、本発明の連結用補助具は、固定軸部と、前記固定軸部と直交する取付軸部と、からなることを特徴とする。これにより、取付軸部をストレッチャの外側に向けておくことができるため、ストレッチャで運ばれる患者から点滴スタンド用連結部を離しておくことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の第1実施形態の外観の要部を示す正面図である。
【
図4】Aは第1回転部のロックツマミを通る断面図であり、BはAと直角の断面図である。
【
図5】点滴スタンド用連結具の第1クランプが車椅子のハンドルに連結された状態での、第2クランプの回転を示す正面図である。
【
図6】Aは不使用時の点滴スタンド用連結具が点滴スタンドに収容されている状態を示す撮像であり、BはAの第1クランプが点滴スタンドから外されて車椅子に連結されている状態を示す撮像である。
【
図7】Aは点滴スタンドが車椅子の側面に近接した位置に移動された状態を示す撮像であり、Bは点滴スタンドが車椅子の側面の離間した位置に移動された状態を示す撮像である。
【
図8】Aは点滴スタンドが車椅子の後方の離間した位置に移動された状態を示す撮像であり、Bは点滴スタンドが車椅子の後方の接近した位置に移動された状態を示す撮像である。
【
図9】第1クランプがリハビリ歩行器の支柱に連結された点滴スタンド用連結具の第2クランプの回転を示す平面図である。
【
図10】Aは連結用補助具の正面図であり、Bはその平面図であり、Cはその右側面図である。
【
図11】Aは連結前のストレッチャの撮像であり、B、Cは異なる方向から撮影した連結用補助具が固定されたストレッチャの撮像である。
【
図12】A、B、Cは、それぞれ異なる方向から撮影した点滴スタンドと連結したストレッチャの撮像である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、実施形態及び図面を参照にして本発明を実施するための形態を説明するが、以下に示す実施形態は、本発明をここに記載したものに限定することを意図するものではなく、本発明は特許請求の範囲に示した技術思想を逸脱することなく種々の変更を行ったものにも均しく適用し得るものである。なお、この明細書における説明のために用いられた各図面においては、各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各部材毎に縮尺を異ならせて表示しており、必ずしも実際の寸法に比例して表示されているものではない。
【0027】
[実施形態1]
図1~
図4を用いて、実施形態の点滴スタンド用連結具100の要部の構成を説明する。
図1は点滴スタンド用連結具100の正面図である。
図2はその平面図である。
図3はその側面図である。
図4Aはロックツマミ26を通る第1回転部の断面図であり、
図4Bは
図4Aと直角な断面図である。なお、本実施形態の点滴スタンド用連結具100は、キャスター付き点滴スタンドDを移動用器具である車椅子Wに連結するものである。
【0028】
図1、
図2に示すように、点滴スタンド用連結具100は、連結棒1と、連結棒1の一端側に順次取り付けられる第1回転部2、第1クランプ3と、連結棒1の他端側に順次取り付けられる第2回転部4、L型取付具5、第2クランプ6と、からなる。これらの構成部品の材料は主として表面加工されたアルミニウムやアクリルからなる。また、連結棒1は、直径が24mm、長さが250mmの棒である。
【0029】
第1回転部2は、上下左右自由な方向に回動する球体22と、1軸に回転回動する1軸回転体25からなる。より具体的には、
図4に示すように、第1回転部2は、パネル21と、球体22と、台座23と、連結ネジ24と、1軸回転体25と、ロックツマミ26と、抜け止めピン27と、分力板28と、からなる。
【0030】
パネル21は、
図4において上方の半球部211と下方の円筒部212からなる。この半球部211は球体22を、円筒部212は1軸回転体25を収容する。パネル21の半球部211の先端は、開口しており、球体22の連結ボス221がここから露出している。
そして、球体22の球面222が半球部211の内面211aと接して自由方向の軸で摺動することで、球体22が自由回動可能となる。
【0031】
また、露出したボス221に台座23が連結ネジ24で固着されており、この連結ネジ24の雄ネジ241が台座23から露出することで、連結棒1との接続が行われている。
【0032】
1軸回転体25は、摺動部251と蓋部252からなる。この摺動部251は、パネル21の円筒部212に収容されて円筒部212の内面212aと接して上下に摺動可能となっており、また、1軸で360度、回転可能となっている。
【0033】
また、摺動部251には凹の球面である押圧面253が形成されており、摺動部251が上方に摺動することにより、押圧面253が球体22の球面222を上方に押圧するようになっている。また、摺動部251の下方には溝254が形成されており、パネル21の円筒部212の側面の下方から差し込まれた抜け止めピン27が溝254に嵌入することにより、1軸回転体25がパネル21から抜けないようになっている。
【0034】
蓋部252は、パネル21の円筒部212の下方を塞ぐとともに、中央に連結雌ネジ255が形成されている。そして、この連結雌ネジ225により第1クランプ3との接続が行われている。
【0035】
ロックツマミ26は、雄ネジが形成されたシャフト261を備えている。このシャフト261の先端は、円錐面262になっている。そして、シャフト261の円錐面262は、パネル21の円筒部212の側面に設けられた貫通雌ネジ213からパネル21の内部に入る。そして、シャフト261との当接を避けるため、1軸回転体25の摺動部251には、空部256が形成されており、この空部256の上方は傾斜する分力面257になっている。
そして、1軸回転体25の分力面257とロックツマミ26の円錐面262の間に、分力板28が傾斜して配設されている。
【0036】
このような構成により、
図4Aで、ロックツマミ26の円錐面262がパネル21内方向に螺入されると、分力板28を介した分力によって、1軸回転体25が上方に摺動することなる。この時、押圧面253によって球体22が上方に押圧される。これにより、1軸回転体25と球体22とが、パネル21の半球部211の内面211aとロックツマミ26のシャフト261で挟まれることとなり、球体22の自由回動と1軸回転体25の1軸回転がロックツマミ26でロックされる。
【0037】
このように、第1回転部2では、球体22の自由回動と1軸回転体25の1軸回転とが、1つのロックツマミ26によって、ロックとロック解除の操作を行うことができる。
【0038】
また、
図4Aに示すように、パネル21の半球部211の先端は、球体22の連結ボス221の寸法よりも大きめに開口している。このため、台座23は、左右にθ1(約25度)ずつ球体22の回転軸を振らすことができる。
【0039】
また、
図1、
図4Bに示すように、パネル21の上部には連結ボス221の当接を避ける切欠きである溝214が形成されている。このため、台座23は、左右にθ2(約90度)ずつ球体22の回転軸を振らすことができる。
【0040】
なお、本実施形態の第1回転部2における自由方向に回動する球体22は、所謂自由雲台(又は3D雲台など)と呼ばれたりする回転体と同様であり、1軸に回転回動する1軸回転体25は、自由雲台における球体の回転とは別に横方向の回転軸を設けた回転体と同様である。
【0041】
また、本実施形態において第2回転部4は、第1回転部2と同一形状の共通部品となっている。具体的には、第2回転部4は、自由方向に回動する球体42と、1軸に回転回動する1軸回転体45からなる。その他の具体的な構成は、第1回転部2と同様であることから、その説明を省略する。そして、第1回転部2の球体22は、連結棒1の一端に固着されており、第2回転部4の球体42は連結棒1の他端に固着された構成となっている。
【0042】
次に、第1クランプ3は、フレーム31と、第1握手33と、第2握手34と、掴みネジ36とからなる。このフレーム31は、第1回転部2の1軸回転体25に固着される「コ」の字形状(U字に近い形状)となっている。また、第1握手33と第2握手34は、フレーム31の対面を貫通する2本の第1軸32によって回動自在に一端をそれぞれ軸支されている。また、掴みネジ36は、第1握手33の他端に第2軸35で回動自在に軸支されている。
【0043】
ここで、第1握手33と第2握手34とは、回動して点滴スタンドDの垂直な支柱D1を挟んで掴むものであり、それぞれの挟む部分にはアクリルのV字状の当接部37を備えている。なお、当接部37は、合成樹脂のアクリルのように樹脂製のもので形成することで、点滴スタンドDの支柱D1を傷付け難くなっている。
【0044】
そして、第1握手33と第2握手34とで点滴スタンドDの支柱D1を挟んだ状態で、第1握手33に軸支された掴みネジ36が、第2握手34の切欠き溝38に嵌入される。そして、第2握手34に設けられたストッパ39に当接する位置で、掴みネジ36が螺入される。これにより、挟んだ状態の第1握手33と第2握手34の距離を掴みネジ36が縮めて第1クランプ3を点滴スタンドDに強固に固着させる。
【0045】
なお、第1握手33と第2握手34が挟む寸法は、掴みネジ36によって変更可能であるので、掴むパイプの直径が異なってもよい。また、2つのV字状の当接部37で挟んで掴むので、掴むパイプの断面が必ずしも円形でなくてもよい。また、第1クランプ3の形状は、当然ながら本実施形態に限定されるものではなく、点滴スタンドDの支柱D1に着脱自在に接続できる形状であれば、他の形状でも構わない。
【0046】
また、本実施形態において第2クランプ6は、第1クランプ3と同一形状の共通部品となっており、具体的な構成についてはその説明を省略する。そして、第2クランプ6は、L型取付具5を介して第2回転部4と接続している。
【0047】
このL型取付具5は、第2クランプ6の取り付け角度を直角に変えて第2回転部4に接続するためのものである。L型取付具5は、
図1、
図2に示すように、互いに直角の第1取付面51と第2取付面52を有するL字形であり、補強リブ53を備えている。そして、この第1取付面51は、第2回転部4の1軸回転体45に固着されている。また、第2取付面52は第2クランプ6のフレーム61に固着されている。
【0048】
このように、本実施形態の点滴スタンド用連結具100は、長さが250mmの連結棒1の一端に第1回転部2の上下左右に自由回動する球体22を固着し、この連結棒1の他端に第2回転部4の上下左右に自由回動する球体42を固着している。
【0049】
また、点滴スタンド用連結具100は、第1回転部2の1軸回転する1軸回転体25に第1クランプ3を固着しており、また、第2回転部4の1軸回転する1軸回転体45にL型取付具5の第1取付面51を固着し、第1取付面51と直角なL型取付具5の第2取付面52に第2クランプ6のフレーム61を固着している。
【0050】
また、点滴スタンド用連結具100では、第1回転部2と第2回転部4の自由回動と1軸回転とが、それぞれ1つのロックツマミ26、46によって、ロックとロック解除の操作を行うことができるようになっている。
【0051】
このように、本実施形態の点滴スタンド用連結具100は、小型で、多くの回転箇所を有しているので、様々な取り付けができ、操作部が少ないので操作が簡単である。
【0052】
次に
図5を用いて、点滴スタンドDが、点滴スタンド用連結具100によって車椅子Wに接続された場合の、点滴スタンドDの移動について説明する。
図5に示すように、第1クランプ3が点滴スタンドDの支柱D1に取り付けられ、第2クランプ6が車椅子WのハンドルW1に取り付けられる。
【0053】
まず、車椅子Wに対する点滴スタンドDの位置を変えたいときがある。例えば、狭い廊下や間口の狭い通路では、点滴スタンドDを車椅子Wの後方に移動させたい。また、奥行きの短いエレベータでは、点滴スタンドDを車椅子Wの側面に移動させたい。また、病室や診察室では、その部屋に応じた位置に点滴スタンドDを移動させたい。このような場合を想定すると、点滴スタンドDは、車椅子Wに対してなるべく広い範囲で回転移動できることが好ましい。
【0054】
本実施形態の点滴スタンド用連結具100は、第2回転部4の球体42による自由回動と1軸回転体45による1軸回転のロックが解除された状態であれば、1軸回転体45の1軸回転によって、第1クランプ3側が360度回転可能となる。従って、車椅子Wに対する点滴スタンドDの位置を、車椅子Wの後方或は車椅子Wの側面等、自由に位置を変えることができる。
【0055】
ところで、車椅子WのハンドルW1に取り付けた第2クランプ6の取り付け高さと、点滴スタンドDの支柱D1へ取り付けた第1クランプ3の取り付け高さとがほぼ同じであれば、連結棒1は水平な状態であることから、上述のように1軸回転体45の1軸回転のみで点滴スタンドD側を360度回転させることができる。
【0056】
一方、車椅子のハンドルW1は、その多くが
図5に示す傾斜角θ3のように傾いている(
図5のハンドルW1の傾斜角θ3は、10度を示している)。また、点滴スタンドDの支柱D1への第1クランプ3の取り付け高さは、現場の使用者によってさまざまな位置が想定される。
【0057】
このため、連結棒1は水平な状態とはならず、通常
図5に示すように傾斜した状態となっている。この時、第2回転部4の1軸回転体45の1軸回転だけでは、点滴スタンドDの位置を変えた際に、点滴スタンドDの状態が不安定になってしまう。
【0058】
しかしながら、第2回転部4には球体42による自由回転も備わっているので、連結棒1が傾斜していたとしても、
図5に示すように点滴スタンドDの位置を変えても点滴スタンドDの状態が安定している。
【0059】
また、点滴スタンド用連結具100は、車椅子W側の第2回転部4だけでなく、点滴スタンドD側の第1回転部2も、自由方向に回動する球体22と、1軸に回転回動する1軸回転体25を備えている。従って、
図5に示すように点滴スタンドDの位置を変えても点滴スタンドDがより一層安定している。また、病院内の廊下には途中で傾斜している場所があることもある。このような傾斜があったとしても、点滴スタンド用連結具100の第1回転部2により、点滴スタンドDの状態を傾斜に追随させることができ、点滴スタンドDを安定させることができる。
【0060】
このような構成の本実施形態の点滴スタンド用連結具100は、第2回転部4のロックツマミ46を操作して球体42による自由回動と1軸回転体45による1軸回転のロックを解除するのみで、点滴スタンドDを車椅子Wに当たるまでの広範囲で、側面や後方に回転移動させることができる。
【0061】
また、点滴スタンドDを携えて車椅子Wが移動中のときは、第1回転部2、第2回転部4のロックツマミ26、46はいずれもロック状態であることが好ましい。これは、もしロックされていないと、移動中に点滴スタンドDと車椅子Wの相対的な位置が変化して点滴漏れが発生する恐れがあるためである。特に、車椅子Wがカーブするときは相対的な位置が変化し易い。本実施形態の点滴スタンド用連結具100は、1つのロックツマミ26、46の操作のみでロックとロック解除ができるので、点滴スタンドDを携えた車椅子Wの移動に最適である。
【0062】
なお、本実施形態においては、点滴スタンド用連結具100の第2クランプ6が、車椅子WのハンドルW1に取り付けられる。第2クランプ6は、車椅子の他の部分に取り付けることも可能である。しかしながら、本発明者による検証によると第2クランプ6の車椅子Wへの取付位置は、車椅子WのハンドルW1が好ましい。
【0063】
これは、どのような車椅子WであってもハンドルW1は備わっているので、使用者にとって取付位置がわかりやすく、複数の使用者間で取付を行う位置を統一できるからである。また、点滴スタンドDが車椅子Wを押す人の傍に位置するため、点滴スタンドDが突然傾いた場合等、不測の事態にも対応できる。また、ハンドル1に取り付けてあれば、点滴用のバックから伸びるチューブが邪魔になったり、チューブの長さが足りなかったりというようなことも生じ難い。また、ロックツマミ46の操作の際に、患者を視野範囲に入れたままで操作を行うことができるので、注意しながら点滴スタンドDの回転操作を行うことができる。
【0064】
また、第2クランプ6を車椅子WのハンドルW1に取り付ける際には、第2クランプ6がハンドルW1の下に位置するブレーキと接触しないようにする必要がある。この点、点滴スタンド用連結具100は、第2クランプ6が、第2クランプ6の取り付け角度を直角に変えるL型取付具5を介して第2回転部4と接続しているので、第2クランプ6とブレーキとが干渉しない。
【0065】
また、第2クランプ6がL型取付具5を介して第2回転部4と接続する点滴スタンド用連結具100は、
図5のように用いた場合に、点滴スタンドDを車椅子Wの側面や後方に回転移動させる時の主な回転動作は、第2回転部4の1軸回転体45による1軸回転によって行われることになる。
【0066】
一方、L型取付具5を用いない構成の点滴スタンド用連結具や、点滴スタンド用連結具100を車椅子WのハンドルW1以外に取り付けた場合、点滴スタンドDを車椅子Wの側面や後方に回転移動させる時の主な回転動作が、第2回転部4の球体42による自由回動によって行われることがある。本発明者の様々な試作品による検証によると、本実施形態の点滴スタンド用連結具100のように、点滴スタンドDを車椅子Wの側面や後方に回転移動させる時の主な回転動作が、第2回転部4の1軸回転体45による1軸回転によって行われた方が使用者にとって、スムーズに操作を行うことができ、非常に好評であることがわかった。したがって、第2クランプ6がL型取付具5を介して第2回転部4と接続する本実施形態である点滴スタンド用連結具100の構成が好ましい。
【0067】
次に、
図6~
図8は本実施形態の点滴スタンド用連結具100の実際の使用例を示す撮像である。
図6Aは不使用時の点滴スタンド用連結具100が点滴スタンドDに収容されている状態を示す撮像であり、
図6Bは
図6Aの第1クランプ3が点滴スタンドDから外されて車椅子Wに連結されている状態を示す撮像である。
【0068】
図6Aに示すように、点滴スタンド用連結具100は、第1回転部2、第2回転部4の1軸回転と自由回動により、不使用時に第1クランプ3を点滴スタンドDから外すことなく、点滴スタンドDに収容しておくことができる。従って、使用者は、点滴スタンド用連結具100の使用時に点滴スタンドDへの接続と車椅子Wへの接続という二つの動作を行う必要がない。つまり、
図6Bのように使用するときは、第1クランプ3は点滴スタンドDに付いたままであるので、点滴スタンドDへの取り付け動作が不要となる。
【0069】
また、第1回転部2、第2回転部4は、自由回転と1軸回転がともに1つのロックツマミ26、46でロックとロック解除の操作ができるので、点滴スタンド用連結具100の収容や装着が簡単である。
【0070】
図7A、
図7B、
図8A、
図8Bは点滴スタンドDが車椅子Wの側面から後方へと徐々に回転移動されることを示す撮像である。このように広範囲で点滴スタンドDが移動できるので、点滴スタンド用連結具100は、種々の状況に対応することができる。また、ハンドルW1近傍のロックツマミ46の操作は、容易であり、目線の変化が少ないので安全性が高い。
【0071】
上述の実施形態の点滴スタンド用連結具100の使用例は、移動用器具の一つである車椅子Wへの連結であったが、本実施形態の点滴スタンド用連結具100はこの使用方法に限定するものではない。連結棒1の両端に自由回動と1軸回転をする第1回転部2、第2回転部4を備えているので多種の移動用器具に適用することが可能である。
【0072】
例えば、リハビリ歩行器の支柱R1への連結であってもよい。
図9はこの使用例を示す平面図であり、第1クランプ3が点滴スタンドDの支柱D1に連結され、第2クランプ6がリハビリ歩行器の支柱R1に連結される。このような、垂直な2本の支柱D1、R1間の連結であっても、第2回転部4のロックツマミ46のロック解除することで、第1クランプ3は、回転可能な角度θ5(θ5は、θ2×2=180度)の範囲で移動可能である。これにより、点滴スタンドDをリハビリ歩行器の側面から前後、あるいは前後から側面へ回転移動させることが可能となる。
【0073】
なお、
図9では、点滴スタンドDの支柱D1と、リハビリ歩行器の支柱R1は、何れも垂直な支柱として示している。しかしながら、点滴スタンド用連結具100であれば、リハビリ歩行器の支柱R1は垂直である必要はないので、リハビリ歩行器の他の支柱に点滴スタンド用連結具100を連結しても構わない。また、支柱D1と支柱R1とを点滴スタンド用連結具100で連結した際、点滴スタンド用連結具100の連結棒1は、水平状態である必要はない。従って、点滴スタンド用連結具100であれば、支柱D1と支柱R1のそれぞれの接続位置(高さ)を気にすることなく連結することができる。
また、本発明の点滴スタンド用連結具は、連結棒に伸縮機能を持たせることもできる。
【0074】
[実施形態2]
次に点滴スタンド用連結具100の使用例として、ストレッチャへの連結について説明する。ストレッチャへの連結の場合にも、点滴スタンド用連結具100は、第1クランプ3が点滴スタンドDの支柱D1に連結され、第2クランプ6がストレッチャ側に連結される。
【0075】
ところで、ストレッチャにはそもそも点滴スタンド(ガートル架)が直接取り付けられるように所謂ガートル受けと呼ばれるような点滴スタンド取付部が設けられている。従って、ストレッチャに設けられている点滴スタンド取付部を使えば、わざわざ点滴スタンド用連結具100を用いて点滴スタンドDを連結する必要がないようにも思われる。
【0076】
しかしながら、ストレッチャの点滴スタンド取付部を使って、ストレッチャに直接点滴スタンドを取り付けてしまうと、ストレッチャで移動後、ベッドに患者を移すような場合、ストレッチャから点滴スタンドを取り外して、新たに点滴スタンドを設置する必要がある。
【0077】
また、近年の医療の高度化に伴い、点滴スタンドには単に点滴用パックが吊り下げられるだけでなく、輸液ポンプやシリンジポンプと呼ばれるような医療機器や、様々な情報を表示するモニタのような医療機器が取り付けられる。このような医療機器が取り付けられている点滴スタンドを、患者の頭の近くに取り付けてしまうと、患者が恐怖を感じたり、思わぬ事故が発生したりするおそれがある。
【0078】
このような理由から、点滴スタンドのストレッチャへの直接の取付は、あまり行われていないのが現実であり、点滴スタンド用連結具100を使用して点滴スタンドDをストレッチャへ連結するメリットは非常に大きい。
【0079】
そこで、本発明者はストレッチャ側の取付位置について検討を行った。しかしながら、ストレッチャ側に、実施形態1で説明した車椅子WのハンドルW1に該当するような支柱や、リハビリ歩行器の支柱R1に該当するような適切な取付位置があればよいが、本発明者がストレッチャ側の取付位置を探したところ、適切な取付位置のないストレッチャがあった。
【0080】
例えば、古いタイプのストレッチャであれば、ストレッチャのマット(患者載置面)の下側にキャスタと連結する円筒状のフレームがあったりするので、そのフレームに取り付けることが可能である。一方、最近のストレッチャは、高機能化や強度等の理由から古いタイプにみられる円筒状のフレームが少なかったり、用いられていなかったりするストレッチャも多い。
【0081】
そこで、本発明者は、ストレッチャ本体ではなく、ストレッチャに備わっている点滴スタンド取付部を利用することを考え、まず初めに点滴スタンド用連結具100の連結用補助具として(何も取り付けていない状態の)点滴スタンドを点滴スタンド取付部に取り付け、その点滴スタンドからなる連結用補助具に点滴スタンド用連結具100の第2クランプ6を連結することで、点滴スタンドDとストレッチャとの連結を行った。
【0082】
しかしながら、連結用補助具として用いる点滴スタンドは、通常の点滴スタンドよりも細くなっており、点滴スタンド用連結具100の第2クランプ6を連結するとしっかり安定して連結することができなかった。また、当然ながら、連結用補助具としての点滴スタンドは、過剰に長いため、患者に圧迫感を与えてしまう。
【0083】
そこで、本発明者は、次に点滴スタンド用連結具100に専用の連結用補助具70を用いて点滴スタンドDとストレッチャとの連結を行った。この連結用補助具70は、点滴スタンド用連結具100を使って、点滴スタンドDとストレッチャSとの連結を行う際に用いるものであり、
図10にその構造を示す。
図10Aは連結用補助具70の正面図であり、
図10Bはその平面図であり、
図10Cはその右側面図である。
【0084】
連結用補助具70は、具体的には、
図10のようにL字状をしており、固定軸部71と、この固定軸部71の端部から直交するように伸びる取付軸部75からなる。
【0085】
固定軸部71は、金属製の円柱状の部材であり、その先端側が4面にカットされ、4つの固定面72が形成されている。この固定軸部71は、具体例を後述するが、ストレッチャSに設けられている点滴スタンド取付部に挿入され、ストレッチャSの固定ネジと固定面72により固定される。
【0086】
取付軸部75は、樹脂製の円柱状の部材であり、点滴スタンド用連結具100の第2クランプ6が接続される。取付軸部75は、第2クランプ6の抜け防止として端部にリブ76が形成されている。
【0087】
なお、より具体的には、本実施形態の連結用補助具70は、固定軸部71と取付軸部75が中間部77を介して一体化されたものとなっている。しかしながら、連結用補助具70は、このような構成に限定されるものではなく、固定軸部71と、この固定軸部71と直交する取付軸部75を備える構成であれば、他の構成を採用することができる。例えば、連結用補助具70は、固定軸部71の中間に直交する取付軸部75が設けられている構成でもよい。
【0088】
次に、この連結用補助具70を用い、点滴スタンド用連結具100による点滴スタンドDとストレッチャSとの連結について
図11、12に示す実際の撮像により説明する。なお、
図11Aは連結前のストレッチャSの画像であり、
図11B、
図11Cは異なる方向から撮影した連結用補助具70が固定されたストレッチャSの画像である。また、
図12A~Cは、異なる方向から撮影した点滴スタンドDと連結したストレッチャSの画像である。
【0089】
まず、
図11Aに示すストレッチャSに設けられている点滴スタンド取付部S1を利用する。この点滴スタンド取付部S1は、先に説明したように本来はストレッチャSに点滴スタンド(ガートル架)を直接取り付けるために設けられているものである。また、この点滴スタンド取付部S1は、通常貫通孔で構成されている。なお、点滴スタンド取付部S1の位置や数は、ストレッチャSにより異なる。
【0090】
次に、
図11B、Cに示すように、このストレッチャSの点滴スタンド取付部S1に連結用補助具70の固定軸部71を挿入し、ストレッチャSの固定ネジS2を回して固定軸部71の固定面72と当接させることで、連結用補助具70は固定される。
【0091】
なお、
図11、12に示す連結用補助具70は、固定軸部71と取付軸部75とを連結する中間部77にカバー77aを掛けている。このカバー77aは、実際の使用を想定し、中間部77での接触による怪我や破損を防ぐために装着されている。
【0092】
また、取付軸部75がストレッチャSの外側に向けて固定されている。取付軸部75を外側に向けておくことで、ストレッチャSで運ばれる患者から点滴スタンド用連結具100を少しでも離すことができるが、このことは患者に対する恐怖感を緩和する上で重要である。
【0093】
次に、
図12A~Cに示すように、連結用補助具70の取付軸部75に点滴スタンド用連結部100の第2クランプ6を接続する。この時、第2クランプ6は取付軸部75に対してどのように接続しても構わないが、
図12に示すように、第2クランプ6を上にして第2回転部4が下に位置するように接続すると、第2クランプ6の掴みネジの操作が容易である。また、ストレッチャSから患者を載せたり降ろしたりする必要があることからストレッチャSには患者載置面の昇降機構が備わっていが、このようなストレッチャSの昇降動作に対しても、第1回転部2の球体22の回動と第2回転部4の球体42の回動によりスムーズに追従することが可能となる。
【0094】
このように、点滴スタンドDとストレッチャSとの連結の際に、点滴スタンド用連結具100とともに連結用補助具70を用いることで、どのようなストレッチャであっても簡単に接続することでき、また点滴スタンドDのスムーズな移動を実現させることができる。
【0095】
また、本実施形態の連結用補助具70のように、固定軸部71から直交するように取付軸部75が伸びる構成は、先に説明した実施形態1の車椅子WのハンドルW1と同じように取付軸部75がほぼ水平な方向になることから、点滴スタンドDをストレッチャSの周りで回転移動させる際に、スムーズな動作となる。
【符号の説明】
【0096】
100:点滴スタンド用連結具
1:連結棒
11:蓋
2:第1回転部
3:第1クランプ
4:第2回転部
5:L型取付具
6:第2クランプ
22、42:球体
25、45:1軸回転体
26、46:ロックツマミ
70:連結用補助具
71:固定軸部
75:取付軸部
D:点滴スタンド
D1:支柱
W:車椅子
W1:ハンドル
S:ストレッチャ