(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】タイヤ
(51)【国際特許分類】
B60C 19/00 20060101AFI20231219BHJP
B60C 1/00 20060101ALI20231219BHJP
C08L 9/06 20060101ALI20231219BHJP
C08L 9/00 20060101ALI20231219BHJP
C08K 3/04 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
B60C19/00 J
B60C1/00 Z
C08L9/06
C08L9/00
C08K3/04
(21)【出願番号】P 2019052903
(22)【出願日】2019-03-20
【審査請求日】2022-01-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】松本 典大
【審査官】市村 脩平
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-502194(JP,A)
【文献】特開2008-230143(JP,A)
【文献】特開2009-260684(JP,A)
【文献】特開2005-047016(JP,A)
【文献】特開2005-096423(JP,A)
【文献】国際公開第2018/036038(WO,A1)
【文献】特開2006-168472(JP,A)
【文献】特表2019-533260(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C1/00-19/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品、及び、該電子部品を被覆するゴム組成物を有する電子モジュールと、該電子モジュールに隣接する隣接ゴム部材とを備え、
前記ゴム組成物と、前記隣接ゴム部材とは、異なるゴム組成物であり、
前記ゴム組成物と、前記隣接ゴム部材とは、60℃における複素弾性率E*の差が2.0MPa以下であり、
前記ゴム組成物において、ゴム成分100質量部に対するカーボンブラックの含有量が10~50質量部であり、
前記ゴム組成物の体積が500~10000mm
3であり、
前記ゴム組成物の915MHzにおける比誘電率が7以下であるタイヤ。
【請求項2】
前記ゴム組成物と、前記隣接ゴム部材とは、60℃における複素弾性率E*の差が1.0~2.0MPaである請求項1記載のタイヤ。
【請求項3】
前記ゴム組成物と、前記隣接ゴム部材とは、ゴム成分100質量%中のイソプレン系ゴムの含有量の差が20質量%以下、スチレンブタジエンゴムの含有量の差が20質量%以下、ブタジエンゴムの含有量の差が20質量%以下である請求項1
又は2記載のタイヤ。
【請求項4】
前記ゴム組成物のゴム成分100質量%中、イソプレン系ゴムの含有量が30~100質量%、スチレンブタジエンゴム及びブタジエンゴムの合計含有量が0~70質量%である請求項1
~3のいずれかに記載のタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤにRFID(Radio Frequency Identifier)タグ等の電子部品を装着する際、電子部品を被覆するゴム組成物として、比誘電率が低いゴム組成物を用いることで、電子部品の可読性が良好となることが知られている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、耐久性の面で更なる改善が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、前記課題を解決し、耐久性と、RFIDタグ等の電子部品の可読性とをバランスよく改善できるタイヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、電子部品、及び、該電子部品を被覆するゴム組成物を有する電子モジュールと、該電子モジュールに隣接する隣接ゴム部材とを備え、前記ゴム組成物と、前記隣接ゴム部材とは、60℃における複素弾性率E*の差が2.0MPa以下であり、前記ゴム組成物において、ゴム成分100質量部に対するカーボンブラックの含有量が10~50質量部であり、前記ゴム組成物の体積が500~10000mm3であり、前記ゴム組成物の915MHzにおける比誘電率が7以下であるタイヤに関する。
【0006】
前記ゴム組成物と、前記隣接ゴム部材とは、ゴム成分100質量%中のイソプレン系ゴムの含有量の差が20質量%以下、スチレンブタジエンゴムの含有量の差が20質量%以下、ブタジエンゴムの含有量の差が20質量%以下であることが好ましい。
【0007】
前記ゴム組成物のゴム成分100質量%中、イソプレン系ゴムの含有量が30~100質量%、スチレンブタジエンゴム及びブタジエンゴムの合計含有量が0~70質量%であることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、電子部品、及び、該電子部品を被覆するゴム組成物を有する電子モジュールと、該電子モジュールに隣接する隣接ゴム部材とを備え、前記ゴム組成物と、前記隣接ゴム部材とは、60℃における複素弾性率E*の差が2.0MPa以下であり、前記ゴム組成物において、ゴム成分100質量部に対するカーボンブラックの含有量が10~50質量部であり、前記ゴム組成物の体積が500~10000mm3であり、前記ゴム組成物の915MHzにおける比誘電率が7以下であるタイヤであるので、耐久性と、電子部品の可読性とをバランスよく改善できる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明のタイヤは、電子部品、及び、該電子部品を被覆するゴム組成物を有する電子モジュールと、該電子モジュールに隣接する隣接ゴム部材とを備え、前記ゴム組成物と、前記隣接ゴム部材とは、60℃における複素弾性率E*の差が2.0MPa以下であり、前記ゴム組成物において、ゴム成分100質量部に対するカーボンブラックの含有量が10~50質量部であり、前記ゴム組成物の体積が500~10000mm3であり、前記ゴム組成物の915MHzにおける比誘電率が7以下である。
【0010】
ゴム組成物(トッピングゴム組成物)及び隣接ゴム部材において、複素弾性率E*の差を所定の範囲とすることで、これらの界面での応力集中が抑制され、耐久性が向上する。また、トッピングゴム組成物の誘電率及び体積を所定の範囲とすることで、電子モジュールにおけるノイズや電波障害の発生が抑制され、電子部品の可読性が向上する。これらの作用により、耐久性と、RFIDタグ等の電子部品の可読性とがバランスよく改善されると推測される。
【0011】
上記タイヤは、電子部品、及び、該電子部品を被覆するゴム組成物(トッピングゴム組成物)を有する電子モジュールを備える。
【0012】
電子部品としては、例えば、RFIDタグ等を使用できる。RFIDタグは特に限定されず、パッシブタブ、アクティブタブ、セミアクティブタブのいずれであってもよく、(株)村田製作所、(株)日立ハイテクマテリアルズ、インターメック社等の製品を使用できる。
【0013】
トッピングゴム組成物が含有するゴム成分としては、イソプレン系ゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)、スチレン-イソプレン-ブタジエン共重合ゴム(SIBR)等のジエン系ゴムが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、イソプレン系ゴム、SBR、BRが好ましい。
【0014】
イソプレン系ゴムとしては、イソプレンゴム(IR)、天然ゴム(NR)、エポキシ化天然ゴム(ENR)等を使用できる。NRは、脱タンパク質天然ゴム(DPNR)、高純度天然ゴム(UPNR)等の改質NRであってもよい。
【0015】
イソプレン系ゴムを含有する場合、ゴム成分100質量%中のイソプレン系ゴムの含有量は、好ましくは30質量%以上、より好ましくは35質量%以上であり、また、好ましくは100質量%以下、より好ましくは70質量%以下、更に好ましくは65質量%以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
【0016】
SBRとしては特に限定されず、例えば、乳化重合スチレンブタジエンゴム(E-SBR)、溶液重合スチレンブタジエンゴム(S-SBR)等を使用できる。SBRは、非変性SBR、変性SBRのいずれであってもよい。
【0017】
変性SBRとしては、シリカ等の充填剤と相互作用する官能基を有するSBRであればよく、例えば、SBRの少なくとも一方の末端を、上記官能基を有する化合物(変性剤)で変性された末端変性SBR(末端に上記官能基を有する末端変性SBR)や、主鎖に上記官能基を有する主鎖変性SBRや、主鎖及び末端に上記官能基を有する主鎖末端変性SBR(例えば、主鎖に上記官能基を有し、少なくとも一方の末端を上記変性剤で変性された主鎖末端変性SBR)や、分子中に2個以上のエポキシ基を有する多官能化合物により変性(カップリング)され、水酸基やエポキシ基が導入された末端変性SBR等が挙げられる。
【0018】
上記官能基としては、例えば、アミノ基、アミド基、シリル基、アルコキシシリル基、イソシアネート基、イミノ基、イミダゾール基、ウレア基、エーテル基、カルボニル基、オキシカルボニル基、メルカプト基、スルフィド基、ジスルフィド基、スルホニル基、スルフィニル基、チオカルボニル基、アンモニウム基、イミド基、ヒドラゾ基、アゾ基、ジアゾ基、カルボキシル基、ニトリル基、ピリジル基、アルコキシ基、水酸基、オキシ基、エポキシ基等が挙げられる。なお、これらの官能基は、置換基を有していてもよい。なかでも、アミノ基(好ましくはアミノ基が有する水素原子が炭素数1~6のアルキル基に置換されたアミノ基)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1~6のアルコキシ基)、アルコキシシリル基(好ましくは炭素数1~6のアルコキシシリル基)が好ましい。
【0019】
変性SBRとして、特に下記式で表される化合物(変性剤)により変性されたSBRが好適である。
【化1】
(式中、R
1、R
2及びR
3は、同一又は異なって、アルキル基、アルコキシ基、シリルオキシ基、アセタール基、カルボキシル基(-COOH)、メルカプト基(-SH)又はこれらの誘導体を表す。R
4及びR
5は、同一又は異なって、水素原子又はアルキル基を表す。R
4及びR
5は結合して窒素原子と共に環構造を形成してもよい。nは整数を表す。)
【0020】
上記式で表される化合物(変性剤)により変性された変性SBRとしては、なかでも、溶液重合のスチレンブタジエンゴム(S-SBR)の重合末端(活性末端)を上記式で表される化合物により変性されたSBR(特開2010-111753号公報に記載の変性SBR等)が好適に用いられる。
【0021】
R1、R2及びR3としてはアルコキシ基が好適である(好ましくは炭素数1~8、より好ましくは炭素数1~4のアルコキシ基)。R4及びR5としてはアルキル基(好ましくは炭素数1~3のアルキル基)が好適である。nは、好ましくは1~5、より好ましくは2~4、更に好ましくは3である。また、R4及びR5が結合して窒素原子と共に環構造を形成する場合、4~8員環であることが好ましい。なお、アルコキシ基には、シクロアルコキシ基(シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(フェノキシ基、ベンジルオキシ基等)も含まれる。
【0022】
上記変性剤の具体例としては、2-ジメチルアミノエチルトリメトキシシラン、3-ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン、2-ジメチルアミノエチルトリエトキシシラン、3-ジメチルアミノプロピルトリエトキシシラン、2-ジエチルアミノエチルトリメトキシシラン、3-ジエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、2-ジエチルアミノエチルトリエトキシシラン、3-ジエチルアミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。なかでも、3-ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン、3-ジメチルアミノプロピルトリエトキシシラン、3-ジエチルアミノプロピルトリメトキシシランが好ましい。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0023】
変性SBRとしては、以下の化合物(変性剤)により変性された変性SBRも好適に使用できる。変性剤としては、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル等の多価アルコールのポリグリシジルエーテル;ジグリシジル化ビスフェノールA等の2個以上のフェノール基を有する芳香族化合物のポリグリシジルエーテル;1,4-ジグリシジルベンゼン、1,3,5-トリグリシジルベンゼン、ポリエポキシ化液状ポリブタジエン等のポリエポキシ化合物;4,4’-ジグリシジル-ジフェニルメチルアミン、4,4’-ジグリシジル-ジベンジルメチルアミン等のエポキシ基含有3級アミン;ジグリシジルアニリン、N,N’-ジグリシジル-4-グリシジルオキシアニリン、ジグリシジルオルソトルイジン、テトラグリシジルメタキシレンジアミン、テトラグリシジルアミノジフェニルメタン、テトラグリシジル-p-フェニレンジアミン、ジグリシジルアミノメチルシクロヘキサン、テトラグリシジル-1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサン等のジグリシジルアミノ化合物;
【0024】
ビス-(1-メチルプロピル)カルバミン酸クロリド、4-モルホリンカルボニルクロリド、1-ピロリジンカルボニルクロリド、N,N-ジメチルカルバミド酸クロリド、N,N-ジエチルカルバミド酸クロリド等のアミノ基含有酸クロリド;1,3-ビス-(グリシジルオキシプロピル)-テトラメチルジシロキサン、(3-グリシジルオキシプロピル)-ペンタメチルジシロキサン等のエポキシ基含有シラン化合物;
【0025】
(トリメチルシリル)[3-(トリメトキシシリル)プロピル]スルフィド、(トリメチルシリル)[3-(トリエトキシシリル)プロピル]スルフィド、(トリメチルシリル)[3-(トリプロポキシシリル)プロピル]スルフィド、(トリメチルシリル)[3-(トリブトキシシリル)プロピル]スルフィド、(トリメチルシリル)[3-(メチルジメトキシシリル)プロピル]スルフィド、(トリメチルシリル)[3-(メチルジエトキシシリル)プロピル]スルフィド、(トリメチルシリル)[3-(メチルジプロポキシシリル)プロピル]スルフィド、(トリメチルシリル)[3-(メチルジブトキシシリル)プロピル]スルフィド等のスルフィド基含有シラン化合物;
【0026】
エチレンイミン、プロピレンイミン等のN-置換アジリジン化合物;メチルトリエトキシシラン、N,N-ビス(トリメチルシリル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N,N-ビス(トリメチルシリル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N,N-ビス(トリメチルシリル)アミノエチルトリメトキシシラン、N,N-ビス(トリメチルシリル)アミノエチルトリエトキシシラン等のアルコキシシラン;4-N,N-ジメチルアミノベンゾフェノン、4-N,N-ジ-t-ブチルアミノベンゾフェノン、4-N,N-ジフェニルアミノベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジフェニルアミノ)ベンゾフェノン、N,N,N’,N’-ビス-(テトラエチルアミノ)ベンゾフェノン等のアミノ基及び/又は置換アミノ基を有する(チオ)ベンゾフェノン化合物;4-N,N-ジメチルアミノベンズアルデヒド、4-N,N-ジフェニルアミノベンズアルデヒド、4-N,N-ジビニルアミノベンズアルデヒド等のアミノ基及び/又は置換アミノ基を有するベンズアルデヒド化合物;N-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-2-ピロリドン、N-フェニル-2-ピロリドン、N-t-ブチル-2-ピロリドン、N-メチル-5-メチル-2-ピロリドン等のN-置換ピロリドンN-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-2-ピペリドン、N-フェニル-2-ピペリドン等のN-置換ピペリドン;N-メチル-ε-カプロラクタム、N-フェニル-ε-カプロラクタム、N-メチル-ω-ラウリロラクタム、N-ビニル-ω-ラウリロラクタム、N-メチル-β-プロピオラクタム、N-フェニル-β-プロピオラクタム等のN-置換ラクタム類;の他、
【0027】
N,N-ビス-(2,3-エポキシプロポキシ)-アニリン、4,4-メチレン-ビス-(N,N-グリシジルアニリン)、トリス-(2,3-エポキシプロピル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリオン類、N,N-ジエチルアセトアミド、N-メチルマレイミド、N,N-ジエチル尿素、1,3-ジメチルエチレン尿素、1,3-ジビニルエチレン尿素、1,3-ジエチル-2-イミダゾリジノン、1-メチル-3-エチル-2-イミダゾリジノン、4-N,N-ジメチルアミノアセトフェン、4-N,N-ジエチルアミノアセトフェノン、1,3-ビス(ジフェニルアミノ)-2-プロパノン、1,7-ビス(メチルエチルアミノ)-4-ヘプタノン等を挙げることができる。なかでも、アルコキシシランにより変性された変性SBRが好ましい。
なお、上記化合物(変性剤)による変性は公知の方法で実施可能である。
【0028】
SBRとしては、例えば、住友化学(株)、JSR(株)、旭化成(株)、日本ゼオン(株)等により製造・販売されているSBRを使用できる。
【0029】
SBRを含有する場合、ゴム成分100質量%中のSBRの含有量は、好ましくは30質量%以上、より好ましくは35質量%以上であり、また、好ましくは70質量%以下、より好ましくは65質量%以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
【0030】
BRとしては特に限定されず、高シス含量のBR、低シス含量のBR、シンジオタクチックポリブタジエン結晶を含有するBR等を使用できる。BRは、非変性BR、変性BRのいずれでもよく、変性BRとしては、前述の官能基が導入された変性BRが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。BRのシス含量は90質量%以上(好ましくは95質量%以上)が好適である。
なお、シス含量は、赤外吸収スペクトル分析法によって測定できる。
【0031】
BRとしては、例えば、宇部興産(株)、JSR(株)、旭化成(株)、日本ゼオン(株)等の製品を使用できる。
【0032】
BRを含有する場合、ゴム成分100質量%中のBRの含有量は、好ましくは30質量%以上、より好ましくは35質量%以上であり、また、好ましくは70質量%以下、より好ましくは65質量%以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
【0033】
SBR及び/又はBRを含有する場合、ゴム成分100質量%中のSBR及びBRの合計含有量は、好ましくは30質量%以上、より好ましくは35質量%以上であり、また、好ましくは70質量%以下、より好ましくは65質量%以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
【0034】
トッピングゴム組成物が含有するカーボンブラックとしては特に限定されず、N134、N110、N220、N234、N219、N339、N330、N326、N351、N550、N762等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0035】
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)は、好ましくは110m2/g以上、より好ましくは130m2/g以上、更に好ましくは140m2/g以上であり、また、好ましくは220m2/g以下、より好ましくは180m2/g以下、更に好ましくは160m2/g以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、カーボンブラックのN2SAは、JIS K6217-2:2001に準拠して測定される値である。
【0036】
カーボンブラックとしては、例えば、旭カーボン(株)、キャボットジャパン(株)、東海カーボン(株)、三菱化学(株)、ライオン(株)、新日化カーボン(株)、コロンビアカーボン社等の製品を使用できる。
【0037】
カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、10~50質量部であればよいが、ゴム強度の観点から、好ましくは15質量部以上、より好ましくは25質量部以上であり、また、比誘電率の観点から、好ましくは40質量部以下、より好ましくは35質量部以下である。
【0038】
トッピングゴム組成物は、シリカを含有してもよい。
シリカとしては、例えば、乾式法シリカ(無水ケイ酸)、湿式法シリカ(含水ケイ酸)等が挙げられるが、シラノール基が多いという理由から、湿式法シリカが好ましい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0039】
シリカの窒素吸着比表面積(N2SA)は、好ましくは150m2/g以上、より好ましくは180m2/g以上であり、また、好ましくは260m2/g以下、より好ましくは240m2/g以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、シリカの窒素吸着比表面積は、ASTM D3037-81に準じてBET法で測定される値である。
【0040】
シリカとしては、例えば、デグッサ社、ローディア社、東ソー・シリカ(株)、ソルベイジャパン(株)、(株)トクヤマ等の製品を使用できる。
【0041】
シリカを含有する場合、ゴム成分100質量部に対するシリカの含有量は、好ましくは10質量部以上であり、また、好ましくは80質量部以下、より好ましくは60質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
【0042】
トッピングゴム組成物は、シリカとともにシランカップリング剤を含有してもよい。
シランカップリング剤としては、特に限定されず、例えば、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4-トリエトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(4-トリメトキシシリルブチル)トリスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4-トリエトキシシリルブチル)ジスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2-トリメトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4-トリメトキシシリルブチル)ジスルフィド、3-トリメトキシシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2-トリエトキシシリルエチル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3-トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド等のスルフィド系、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、2-メルカプトエチルトリエトキシシラン等のメルカプト系、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニル系、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ系、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のグリシドキシ系、3-ニトロプロピルトリメトキシシラン、3-ニトロプロピルトリエトキシシラン等のニトロ系、3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-クロロプロピルトリエトキシシラン等のクロロ系等があげられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0043】
シランカップリング剤を含有する場合、シランカップリング剤の含有量は、シリカ100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上であり、また、好ましくは20質量部以下、より好ましくは15質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
【0044】
トッピングゴム組成物は、粘着性樹脂を含有してもよい。
粘着性樹脂としては、タイヤ工業において慣用されるフェノール系樹脂、アルキルフェノール系樹脂、テルペン系樹脂、クマロン系樹脂、インデン系樹脂、クマロンインデン系樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ロジン系樹脂、ジシクロペンタジエン系樹脂(DCPD系樹脂)等の芳香族炭化水素系樹脂、C5系樹脂、C8系樹脂、C9系樹脂、C5/C9系樹脂等の脂肪族炭化水素系樹脂や、これらの水素添加物等が挙げられる。市販品としては、丸善石油化学(株)、住友ベークライト(株)、ヤスハラケミカル(株)、東ソー(株)、Rutgers Chemicals社、BASF社、アリゾナケミカル社、日塗化学(株)、(株)日本触媒、JXTGエネルギー(株)、日本ゼオン(株)、ハリマ化成(株)、東亞合成(株)、荒川化学工業(株)、田岡化学工業(株)等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0045】
粘着性樹脂を含有する場合、粘着性樹脂の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは5質量部以上であり、また、好ましくは30質量部以下、より好ましくは20質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
【0046】
トッピングゴム組成物は、オイルを含んでもよい。
オイルとしては、例えば、プロセスオイル、植物油脂、又はその混合物が挙げられる。プロセスオイルとしては、例えば、パラフィン系プロセスオイル、アロマ系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル等を用いることができる。植物油脂としては、ひまし油、綿実油、あまに油、なたね油、大豆油、パーム油、やし油、落花生油、ロジン、パインオイル、パインタール、トール油、コーン油、こめ油、べに花油、ごま油、オリーブ油、ひまわり油、パーム核油、椿油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、桐油等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0047】
オイルを含有する場合、オイルの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上であり、また、好ましくは50質量部以下、より好ましくは30質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
【0048】
トッピングゴム組成物は、ワックスを含んでもよい。
ワックスとしては、特に限定されず、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の石油系ワックス;植物系ワックス、動物系ワックス等の天然系ワックス;エチレン、プロピレン等の重合物等の合成ワックス等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、石油系ワックスが好ましく、パラフィンワックスがより好ましい。
【0049】
ワックスとしては、例えば、大内新興化学工業(株)、日本精蝋(株)、精工化学(株)等の製品を使用できる。
【0050】
ワックスを含有する場合、ワックスの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上であり、また、好ましくは20質量部以下、より好ましくは10質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
【0051】
トッピングゴム組成物は、老化防止剤を含んでもよい。
老化防止剤としては、例えば、フェニル-α-ナフチルアミン等のナフチルアミン系老化防止剤;オクチル化ジフェニルアミン、4,4′-ビス(α,α′-ジメチルベンジル)ジフェニルアミン等のジフェニルアミン系老化防止剤;N-イソプロピル-N′-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-(1,3-ジメチルブチル)-N′-フェニル-p-フェニレンジアミン、N,N′-ジ-2-ナフチル-p-フェニレンジアミン等のp-フェニレンジアミン系老化防止剤;2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリンの重合物等のキノリン系老化防止剤;2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、スチレン化フェノール等のモノフェノール系老化防止剤;テトラキス-[メチレン-3-(3′,5′-ジ-t-ブチル-4′-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン等のビス、トリス、ポリフェノール系老化防止剤等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、p-フェニレンジアミン系老化防止剤が好ましい。
【0052】
老化防止剤としては、例えば、精工化学(株)、住友化学(株)、大内新興化学工業(株)、フレクシス社等の製品を使用できる。
【0053】
老化防止剤を含有する場合、老化防止剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上であり、また、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
【0054】
トッピングゴム組成物は、ステアリン酸を含有してもよい。
ステアリン酸としては、従来公知のものを使用でき、例えば、日油(株)、NOF社、花王(株)、富士フイルム和光純薬(株)、千葉脂肪酸(株)等の製品を使用できる。
【0055】
ステアリン酸を含有する場合、ステアリン酸の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上であり、また、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
【0056】
トッピングゴム組成物は、酸化亜鉛を含有してもよい。
酸化亜鉛としては、従来公知のものを使用でき、例えば、三井金属鉱業(株)、東邦亜鉛(株)、ハクスイテック(株)、正同化学工業(株)、堺化学工業(株)等の製品を使用できる。
【0057】
酸化亜鉛を含有する場合、酸化亜鉛の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上であり、また、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
【0058】
トッピングゴム組成物は、硫黄を含有してもよい。
硫黄としては、ゴム工業において一般的に用いられる粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄、可溶性硫黄等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0059】
硫黄としては、例えば、鶴見化学工業(株)、軽井沢硫黄(株)、四国化成工業(株)、フレクシス社、日本乾溜工業(株)、細井化学工業(株)等の製品を使用できる。
【0060】
硫黄を含有する場合、硫黄の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上であり、また、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
【0061】
トッピングゴム組成物は、加硫促進剤を含有してもよい。
加硫促進剤としては、2-メルカプトベンゾチアゾール、ジ-2-ベンゾチアゾリルジスルフィド、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド等のチアゾール系加硫促進剤;テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラベンジルチウラムジスルフィド(TBzTD)、テトラキス(2-エチルヘキシル)チウラムジスルフィド(TOT-N)等のチウラム系加硫促進剤;N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N-t-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N-オキシエチレン-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N-オキシエチレン-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N′-ジイソプロピル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド等のスルフェンアミド系加硫促進剤;ジフェニルグアニジン、ジオルトトリルグアニジン、オルトトリルビグアニジン等のグアニジン系加硫促進剤を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、スルフェンアミド系加硫促進剤が好ましい。
【0062】
加硫促進剤を含有する場合、加硫促進剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上であり、また、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
【0063】
上記トッピングゴム組成物には、前記成分の他、タイヤ工業において一般的に用いられている添加剤、例えば、有機過酸化物;炭酸カルシウム、タルク、アルミナ、クレー、水酸化アルミニウム、マイカ等の充填剤;等を更に配合してもよい。これらの添加剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、0.1~200質量部が好ましい。
【0064】
トッピングゴム組成物は、例えば、前記各成分をオープンロール、バンバリーミキサー等のゴム混練装置を用いて混練し、その後加硫する方法等により製造できる。
【0065】
混練条件としては、加硫剤及び加硫促進剤以外の添加剤を混練するベース練り工程では、混練温度は、通常100~180℃、好ましくは120~170℃である。加硫剤、加硫促進剤を混練する仕上げ練り工程では、混練温度は、通常120℃以下、好ましくは85~110℃である。また、加硫剤、加硫促進剤を混練した組成物は、通常、プレス加硫等の加硫処理が施される。加硫温度としては、通常140~190℃、好ましくは150~185℃である。加硫時間は、通常5~60分、好ましくは40~60分である。
【0066】
電子モジュールは、例えば、シート状等に成形した未加硫のトッピングゴム組成物で電子部品を挟み、その後加硫する方法等により製造できる。電子部品としてRFIDタグを使用する場合、RFIDモジュールが得られる。
【0067】
電子モジュールにおいて、電子部品を被覆するゴム組成物(トッピングゴム組成物)の体積は、500~10000mm3であればよいが、電子部品の可読性の観点から、好ましくは1000mm3以上、より好ましくは1400mm3以上であり、また、タイヤの重量バランスの観点から、好ましくは5000mm3以下、好ましくは3500mm3以下である。
【0068】
トッピングゴム組成物の比誘電率は、7以下であればよいが、電子部品の可読性の観点から、好ましくは6以下である。下限は特に限定されないが、好ましくは3以上である。
なお、比誘電率は、加硫後、周波数915MHzの条件で測定したものである。
【0069】
トッピングゴム組成物と、電子モジュールに隣接する隣接ゴム部材とは、60℃における複素弾性率E*の差が2.0MPa以下であるという関係を満たす。隣接ゴム部材が複数存在する場合、複数の隣接ゴム部材の少なくとも1つが上記関係を満たしていればよく、隣接ゴム部材の全てが上記関係を満たすことが好ましい。
【0070】
トッピングゴム組成物の複素弾性率E*と、隣接ゴム部材の複素弾性率E*との差は、2MPa以下であればよいが、耐久性の観点から、好ましくは1.5以下、より好ましくは1以下であり、0であってもよい。
なお、複素弾性率E*は、加硫後、60℃で測定したものである。
【0071】
トッピングゴム組成物の複素弾性率E*は、好ましくは2MPa以上、より好ましくは3MPa以上であり、また、好ましくは10MPa以下、より好ましくは8MPa以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
【0072】
隣接ゴム部材の複素弾性率E*は、好ましくは2MPa以上、より好ましくは3MPa以上であり、また、好ましくは10MPa以下、より好ましくは8MPa以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
【0073】
トッピングゴム組成物と、隣接ゴム部材とは、ゴム成分100質量%中のイソプレン系ゴムの含有量の差、スチレンブタジエンゴムの含有量の差、ブタジエンゴムの含有量の差が、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは5質量%以下、特に好ましくは1質量%以下であり、0質量%であってもよい。上記範囲内であれば、トッピングゴム組成物と隣接ゴム部材との界面での応力集中が更に抑制され、優れた耐久性が得られる。
【0074】
隣接ゴム部材は、トッピングゴム組成物と同様の成分(薬品)を含有することができる。各成分の好適な量もトッピングゴム組成物と同様である。
【0075】
タイヤにおいて、電子モジュールを配置する場所は特に限定されないが、例えば、ショルダー部からリムフランジ接触部の間に配置することができ、サイドウォール部の内側が好ましい。
【0076】
本発明のタイヤは、上記トッピングゴム組成物等を用いて通常の方法で製造される。
すなわち、上記トッピングゴム組成物を、未加硫の段階で所望の形状に押出し加工し、電子部品を被覆した後、他のタイヤ部材とともに、タイヤ成型機上にて通常の方法で成形することにより、未加硫タイヤを形成する。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧することによりタイヤを得る。
【0077】
上記タイヤは、空気入りタイヤ、エアレス(ソリッド)タイヤのいずれであってもよいが、空気入りタイヤであることが好ましい。また、上記タイヤは、乗用車用タイヤ、トラック・バス用タイヤ、二輪車用タイヤ、競技用タイヤ等に用いられ、特に乗用車用タイヤに好適である。
【実施例】
【0078】
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
【0079】
以下に、実施例及び比較例で用いた各種薬品について説明する。
IR:ニッポールIR 2200,日本ゼオン(株)製
BR:宇部興産(株)製のウベポールBR150B
SBR:JSR(株)製のSL552
カーボンブラック:キャボットジャパン社製シヨウブラックN234(N2SA:145m2/g)
シリカ:東ソー・シリカ(株)製のニプシルAQ(N2SA:200m2/g)
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華1号
ステアリン酸:日油(株)製のステアリン酸「椿」
老化防止剤:老化防止剤:大内新興化学工業(株)製のノクラック6C(N-フェニル-N’-(1,3-ジメチルブチル)-p-フェニレンジアミン)(6PPD)
硫黄:軽井沢硫黄(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤:大内新興化学工業(株)製のノクセラーCZ(N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
【0080】
(実施例及び比較例)
下記表Aに示す配合内容に従い、(株)神戸製鋼所製の1.7Lバンバリーミキサーを用いて、硫黄及び加硫促進剤以外の材料を150℃の条件下で5分間混練りし、混練り物を得た。次に、得られた混練り物に硫黄及び加硫促進剤を添加し、オープンロールを用いて、80℃の条件下で5分間練り込み、未加硫のトッピングゴム組成物を得た。
下記表Bに示す配合内容に従い、(株)神戸製鋼所製の1.7Lバンバリーミキサーを用いて、硫黄及び加硫促進剤以外の材料を150℃の条件下で5分間混練りし、混練り物を得た。次に、得られた混練り物に硫黄及び加硫促進剤を添加し、オープンロールを用いて、80℃の条件下で5分間練り込み、未加硫の隣接ゴム部材を得た。
未加硫のトッピングゴム組成物をシート状に成形し、該シートでRFIDタグを挟んだものと、サイドウォールの形状に成形した未加硫の隣接ゴム部材とを貼り合わせた後、他のタイヤ部材を更に貼り合わせ、150℃の条件下で50分間プレス加硫し、試験用タイヤ(サイズ:205/55R16)を得た。
【0081】
得られた試験用タイヤを用いて下記評価を行い、結果を表1~8に示した。なお、各表の指数の基準は以下のとおりである。
表1、2:実施例1-1
表3、4:実施例2-1
表5、6:実施例3-1
表7、8:実施例4-1
【0082】
<粘弾性試験(複素弾性率)>
試験用タイヤのトッピングゴム組成物、隣接ゴム部材の各々から切り出した試験片について、(株)上島製作所製のスペクトロメーターを用いて、60℃、周波数10Hz、初期歪10%、動歪1%の条件で複素弾性率E*を測定した。
【0083】
<剥離試験(接着耐久性)>
試験用タイヤのトッピングゴム組成物及び隣接ゴム部材の接着面を含む領域を切り出した試験片について、JIS K6256-2に準じて、接着面の剥離抗力を測定し、基準を100として指数表示した(接着耐久性指数)。数値が大きいほど、接着面の剥離抗力が強く、耐久性に優れることを示す。80以上であれば良好である。
【0084】
<引張試験(ゴム強度)>
試験用タイヤのトッピングゴム組成物、隣接ゴム部材の各々から切り出した試験片について、(株)島津製作所製オートグラフを用いて、JIS K6251に準じて、室温にて500mm/分の速度で試験を行い、破断時強度、破断時伸びを測定した。そして、各配合の破壊エネルギー(破断時強度×破断時伸び/2)を算出し、基準を100として指数表示した(ゴム強度指数)。数値が大きいほど、ゴム強度が高く、耐久性に優れることを示す。80以上であれば良好である。
【0085】
<比誘電率>
試験用タイヤのトッピングゴム組成物から切り出した試験片について、アンリツ(株)製のMS46122Aを用いて、プローブ法にて、23℃、周波数915MHzの条件で、比誘電率を測定した。
【0086】
<RFIDタグ可読性>
(株)デンソーウェーブ社製のRFID読み取り装置BHT-1200を用いて、試験用タイヤ中のRFIDタグを読み取り、基準の読み取り距離を100として指数表示した(RFIDタグ可読性指数)。数値が大きいほど、読み取り距離が長く、RFIDタグ可読性に優れることを示す。80以上であれば良好である。
【0087】
<タイヤバランス>
試験用タイヤを(株)イヤサカ製のタイヤバランス測定装置に取り付け、そのアンバランス重量を測定し、基準のアンバランス重量の逆数を100として指数表示した(タイヤバランス指数)。数値が大きいほど、アンバランス重量が小さく、タイヤバランスに優れることを示す。80以上であれば良好である
【0088】
<高速耐久性>
試験用タイヤをドラム試験機に取り付け、時速200km、荷重500kg、温度23℃、タイヤ内圧2.0MPaの条件で走行させ、タイヤ損傷に至った走行距離を、基準を100として指数表示した(高速耐久性指数)。数値が大きいほど、走行距離が長く、耐久性に優れることを示す。80以上であれば良好である。
【0089】
【0090】
【0091】
【0092】
【0093】
【0094】
【0095】
【0096】
【0097】
【0098】
【0099】
表1~8より、実施例は、耐久性、及び、電子部品の可読性(RFIDタグ可読性)の両方が良好な水準であり、また、タイヤバランスも良好であった。