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特許7404632出力回路、回路装置、発振器、電子機器及び移動体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】出力回路、回路装置、発振器、電子機器及び移動体
(51)【国際特許分類】
   H03K 19/0175 20060101AFI20231219BHJP
   H01L 21/822 20060101ALI20231219BHJP
   H01L 27/04 20060101ALI20231219BHJP
   H03K 19/0185 20060101ALN20231219BHJP
【FI】
H03K19/0175 220
H01L27/04 B
H01L27/04 F
H03K19/0185 210
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2019062584
(22)【出願日】2019-03-28
(65)【公開番号】P2020162086
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2022-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】神崎 実
【審査官】工藤 一光
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-192548(JP,A)
【文献】特開2013-165382(JP,A)
【文献】特開平1-174116(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03K19/0175-19/0185
H03B5/00-5/42
H01L21/822-21/8249
H01L27/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1クロック信号とイネーブル信号との論理演算に基づく第1論理回路出力信号を出力する第1論理回路と、
第1キャパシターと、
前記第1論理回路出力信号が、前記第1キャパシターを介して入力される第1バッファー回路と、
前記第1バッファー回路の出力信号である第1バッファー回路出力信号に基づいて、第1出力クロック信号を出力するドライバー回路と、
を含み、
前記第1論理回路は、前記イネーブル信号が非アクティブのとき、前記第1論理回路出力信号を、前記第1バッファー回路の入力ノードである第1バッファー回路入力ノードと同じ論理レベルに設定することを特徴とする出力回路。
【請求項2】
請求項1に記載の出力回路において、
前記第1バッファー回路は、
前記第1論理回路出力信号が前記第1キャパシターを介して入力される第1インバーターと、
前記第1バッファー回路入力ノードを、前記第1インバーターの出力信号の論理反転レベルに設定することでラッチ動作を行う第1ラッチ回路と、
を有することを特徴とする出力回路。
【請求項3】
請求項1に記載の出力回路において、
前記第1クロック信号に対して差動の第2クロック信号と前記イネーブル信号の論理反転信号との論理演算に基づく第2論理回路出力信号を出力する第2論理回路と、
第2キャパシターと、
前記第2論理回路出力信号が、前記第2キャパシターを介して入力される第2バッファー回路と、
を含み、
前記ドライバー回路は、前記第1バッファー回路出力信号と、前記第2バッファー回路の出力信号である第2バッファー回路出力信号とに基づいて、前記第1出力クロック信号と、前記第1出力クロック信号に対して差動の第2出力クロック信号とを出力し、
前記第2論理回路は、前記イネーブル信号が非アクティブのとき、前記第2論理回路出力信号を、前記第2バッファー回路の入力ノードである第2バッファー回路入力ノードと同じ論理レベルに設定することを特徴とする出力回路。
【請求項4】
請求項3に記載の出力回路において、
前記第1バッファー回路は、
前記第1論理回路出力信号が前記第1キャパシターを介して入力される第1インバーターと、
前記第1バッファー回路入力ノードを、前記第1インバーターの出力信号の論理反転レベルに設定することでラッチ動作を行う第1ラッチ回路と、
を有し、
前記第2バッファー回路は、
前記第2論理回路出力信号が前記第2キャパシターを介して入力される第2インバーターと、
前記第2バッファー回路入力ノードを、前記第2インバーターの出力信号の論理反転レベルに設定することでラッチ動作を行う第2ラッチ回路と、
を有することを特徴とする出力回路。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の出力回路において、
前記第1論理回路は、前記第1クロック信号と前記イネーブル信号の否定論理積を、前記第1論理回路出力信号として出力するNAND回路であり、
前記第2論理回路は、前記第2クロック信号と、前記イネーブル信号の論理反転信号との否定論理和を、前記第2論理回路出力信号として出力するNOR回路であることを特徴とする出力回路。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の出力回路において、
前記ドライバー回路は、PECL(Positive Emitter Coupled Logic)規格の前記第1出力クロック信号を出力することを特徴とする出力回路。
【請求項7】
請求項6に記載の出力回路において、
前記ドライバー回路は、電源ノードと前記出力回路の第1出力ノードとの間に設けられ、ゲートに前記第1バッファー回路出力信号が入力される第1ドライバー用N型トランジスターを有することを特徴とする出力回路。
【請求項8】
請求項3乃至5のいずれか一項に記載の出力回路において、
前記ドライバー回路は、LVDS(Low Voltage Differential Signaling)規格の前記第1出力クロック信号及び前記第2出力クロック信号を出力することを特徴とする出力回路。
【請求項9】
請求項8に記載の出力回路において、
前記ドライバー回路は、
電源ノードと第1ノードとの間に設けられる定電流回路と、
前記第1ノードと、前記出力回路の第1出力ノードとの間に設けられ、ゲートに前記第1バッファー回路出力信号又は前記第2バッファー回路出力信号が入力される第1ドライバー用P型トランジスターと、
前記第1出力ノードとグランドノードとの間に設けられ、ゲートに前記第1バッファー回路出力信号又は前記第2バッファー回路出力信号が入力される第1ドライバー用N型トランジスターと、
前記第1ノードと、前記出力回路の第2出力ノードとの間に設けられ、ゲートに前記第2バッファー回路出力信号又は前記第1バッファー回路出力信号が入力される第2ドライバー用P型トランジスターと、
前記第2出力ノードと前記グランドノードとの間に設けられ、ゲートに前記第2バッファー回路出力信号又は前記第1バッファー回路出力信号が入力される第2ドライバー用N型トランジスターと、
を有することを特徴とする出力回路。
【請求項10】
請求項3乃至5のいずれか一項に記載の出力回路において、
前記ドライバー回路は、HCSL(High-speed Current Steering Logic)規格の前記第1出力クロック信号及び前記第2出力クロック信号を出力することを特徴とする出力回路。
【請求項11】
請求項10に記載の出力回路において、
前記ドライバー回路は、
電源ノードと第1ノードとの間に設けられる定電流回路と、
前記第1ノードと、前記出力回路の第1出力ノードとの間に設けられ、ゲートに前記第1バッファー回路出力信号又は前記第2バッファー回路出力信号が入力される第1ドライバー用N型トランジスターと、
前記第1ノードと、前記出力回路の第2出力ノードとの間に設けられ、ゲートに前記第2バッファー回路出力信号又は前記第1バッファー回路出力信号が入力される第2ドライバー用N型トランジスターと、
を有することを特徴とする出力回路。
【請求項12】
請求項1に記載の出力回路において、
前記第1バッファー回路は、
前記第1出力クロック信号のハイレベルに対応した第1電圧が入力される第1電圧ノードと、前記第1バッファー回路の出力ノードである第1バッファー回路出力ノードとの間に電気的に直列接続される第1P型トランジスター及び第2P型トランジスターと、
前記第1出力クロック信号のローレベルに対応した第2電圧が入力される第2電圧ノードと、前記第1バッファー回路出力ノードとの間に電気的に直列接続される第1N型トランジスター及び第2N型トランジスターと、
前記第1電圧ノードと前記第1バッファー回路出力ノードとの間に設けられる第3P型トランジスターと、
前記第2電圧ノードと前記第1バッファー回路出力ノードとの間に設けられる第3N型トランジスターと、
前記第1電圧ノードと前記第1バッファー回路入力ノードとの間に設けられる第4P型トランジスターと、
前記第2電圧ノードと前記第1バッファー回路入力ノードとの間に設けられる第4N型トランジスターと、
を有し、
前記第1論理回路は、前記第1論理回路出力信号を、前記第1キャパシターを介して、前記第2P型トランジスター及び前記第2N型トランジスターのゲートに出力し、
前記第1P型トランジスター及び前記第3N型トランジスターのゲートには、前記イネーブル信号が非アクティブであるときローレベルであり且つ前記イネーブル信号がアクティブであるときハイレベルである第1出力イネーブル信号が、入力され、
前記第1N型トランジスター及び前記第3P型トランジスターのゲートには、ハイレベルが入力され、
前記第4P型トランジスター及び前記第4N型トランジスターのゲートは、前記第1バッファー回路出力ノードに電気的に接続されることを特徴とする出力回路。
【請求項13】
振動子を発振させる発振回路と、
請求項1乃至12のいずれか一項に記載され、前記発振回路の発振信号に基づいて前記第1出力クロック信号を出力する出力回路と、
を含むことを特徴とする回路装置。
【請求項14】
請求項13に記載の回路装置と、
前記振動子と、
を含むことを特徴とする発振器。
【請求項15】
請求項13に記載の回路装置と、
前記回路装置からの前記第1出力クロック信号により動作する処理装置と、
を含むことを特徴とする電子機器。
【請求項16】
請求項13に記載の回路装置と、
前記回路装置からの前記第1出力クロック信号により動作する処理装置と、
を含むことを特徴とする移動体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出力回路、回路装置、発振器、電子機器及び移動体等に関する。
【背景技術】
【0002】
発振器等のクロック信号を出力するデバイスは、クロック信号を外部デバイスに出力する出力回路を含んでいる。出力回路は、クロック信号の伝送経路における負荷を駆動する。出力回路の従来技術は例えば特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1には、PECL規格のクロック信号を出力する出力回路が開示されている。この出力回路は、入力クロック信号をバッファリングするインバーターと、インバーターの出力信号がゲートに入力されるN型トランジスターと、を含む。インバーターは、PECL規格のクロック信号におけるハイレベルとローレベルに対応したゲート電圧により動作する。N型トランジスターは、電源ノードと、出力回路の出力ノードとの間に設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-192548号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1では、PECL規格のクロック信号におけるハイレベルとローレベルは、電源電圧を基準として出力されるため、電源電圧に依存して変動する。一方、インバーターには回路装置内の発振回路から入力クロック信号が入力される。発振回路は、例えば、回路装置の内部電源である電圧レギュレーターで生成される電圧(レギュレーター電圧)によって動作することが想定される。このとき、インバーターは、レギュレーター電圧に等しい振幅の入力クロック信号を、電源電圧に依存したPECL規格のクロック信号に、レベルシフトする。レベルシフト後に適正なクロック信号を得るためには、レギュレーター電圧と電源電圧の変動範囲に制約が生じるため、特許文献1の構成では様々な電圧仕様に対応するのが難しいという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、第1クロック信号が入力され、イネーブル信号がアクティブであるとき前記第1クロック信号に基づくクロック信号を出力する第1論理回路と、第1キャパシターと、前記第1論理回路の出力信号である第1論理回路出力信号が、前記第1キャパシターを介して入力される第1バッファー回路と、前記第1バッファー回路の出力信号である第1バッファー回路出力信号に基づいて、第1出力クロック信号を出力するドライバー回路と、を含み、前記第1論理回路は、前記イネーブル信号が非アクティブのとき、前記第1論理回路出力信号を、前記第1バッファー回路の入力ノードである第1バッファー回路入力ノードと同じ論理レベルに設定する出力回路に関係する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】出力回路の第1構成例。
図2】出力回路の動作を説明する波形図。
図3】本実施形態に対する比較例の波形図。
図4】論理回路の詳細構成例。
図5】論理回路の詳細構成例。
図6】出力回路の第2構成例。
図7】出力回路の第3構成例。
図8】出力回路の第4構成例。
図9】電圧生成回路の構成例。
図10】回路装置及び発振器の構成例。
図11】発振器の第1の構造例。
図12】発振器の第2の構造例。
図13】電子機器の構成例。
図14】移動体の構成例。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお以下に説明する本実施形態は特許請求の範囲に記載された内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが必須構成要件であるとは限らない。
【0009】
1.出力回路
図1は、出力回路80の第1構成例である。出力回路80は論理回路101、102とキャパシター111、112とバッファー回路121、122とドライバー回路150とを含む。論理回路101、102はそれぞれ第1論理回路、第2論理回路である。キャパシター111、112はそれぞれ第1キャパシター、第2キャパシターである。バッファー回路121、122はそれぞれ第1バッファー回路、第2バッファー回路である。
【0010】
なお本実施形態における接続は電気的な接続である。電気的な接続は、電気信号が伝達可能に接続されていることであり、電気信号による情報の伝達が可能となる接続である。電気的な接続は能動素子等を介した接続であってもよい。
【0011】
論理回路101には、クロック信号CK1とイネーブル信号ENとが入力される。クロック信号CK1は第1クロック信号である。論理回路101は、イネーブル信号ENがアクティブであるとき、クロック信号CK1に基づく信号CXを出力する。信号CXは第1論理回路出力信号である。クロック信号CK1に基づく信号CXは、クロック信号CK1又はクロック信号CK1の論理反転信号である。論理回路101は、例えばNAND回路である。即ち論理回路101は、クロック信号CK1とイネーブル信号ENの否定論理積を、信号CXとして出力する。この場合、クロック信号CK1に基づく信号CXは、クロック信号CK1の論理反転信号である。
【0012】
バッファー回路121には、信号CXがキャパシター111を介して入力される。即ち、キャパシター111の一端は論理回路101の出力ノードNXに接続され、キャパシター111の他端はバッファー回路121の入力ノードNSに接続される。入力ノードNSは第1バッファー回路入力ノードである。論理回路101がキャパシター111の一端に信号CXを出力することで、信号SSがキャパシター111の他端から入力ノードNSに入力される。バッファー回路121は信号SSをバッファリングすることで信号SGを出力する。信号SGは第1バッファー回路出力信号であり、信号SSの論理反転信号である。
【0013】
ドライバー回路150は、信号SGに基づいてクロック信号CKQ1を出力する。クロック信号CKQ1は、第1出力クロック信号である。ドライバー回路150は、電源ノードNVDと出力ノードNQ1との間に設けられるN型トランジスターTDNA1を含む。出力ノードNQ1は第1出力ノードである。N型トランジスターTDNA1は第1ドライバー用N型トランジスターである。N型トランジスターTDNA1のドレインは電源ノードNVDに接続され、ソースは出力ノードNQ1に接続され、ゲートはバッファー回路121の出力ノードNGに接続される。TDNA1のしきい値電圧をVthとすると、クロック信号CKQ1のハイレベルはVGH-Vth-ΔVHであり、ローレベルはVGL-Vth-ΔVLである。ここで、ΔVH及びΔVLは、TDNA1に流れる電流値に遺族する電圧(オーバードライブ電圧)である。
【0014】
論理回路101には、図10で後述する電圧レギュレーター90からレギュレーター電圧VREGが供給され、論理回路101は、レギュレーター電圧VREGを電源電圧として動作する。即ち、論理回路101が出力する信号CXのハイレベルは、レギュレーター電圧VREGであり、信号CXのローレベルは、グランド電圧である。
【0015】
バッファー回路121には、図10で後述する電圧生成回路85から電圧VGH、VGLが供給され、バッファー回路121は、電圧VGH、VGLを電源電圧として動作する。電圧VGHは第1電圧であり、電圧VGLは第2電圧であり、VGH>VGLである。クロック信号CKQ1はPECL(Positive Emitter Coupled Logic)規格のクロック信号であり、その論理レベルは電源電圧VDDを基準として規定されている。PECL規格におけるクロック信号CKQ1のハイレベルをVDD-αHとし、ローレベルをVDD-αLとする。このとき、VGH-Vth-ΔVH=VDD-αH、VGL-Vth-ΔVL=VDD-αLから、VGH=VDD-αH+Vth+ΔVH、VGL=VDD-αL+Vth+ΔVLである。即ち、バッファー回路121が出力する信号SGのハイレベルは、電圧VGH=VDD-αH+Vth+ΔVHであり、ローレベルは、電圧VGL=VDD-αL+Vth+ΔVLである。
【0016】
本実施形態では、論理回路101とバッファー回路121の間にキャパシター111が設けられており、論理回路101はキャパシター111を介して信号CXをバッファー回路121に出力する。これにより、キャパシター111が信号CXのDC成分をカットするので、バッファー回路121の入出力間において、レギュレーター電圧VREG及びグランド電圧から電圧VGH、VGLへのレベルシフトを伴わない。このため、レベルシフトが行われる場合に比べて、レギュレーター電圧VREGと電圧VGH、VGLの変動範囲を自由に設定できる。上述のようにVGH、VGLが電源電圧VDDに依存するので、電圧VGH、VGLの変動範囲を自由に設定できることは、電源電圧VDDとレギュレーター電圧VREGが、様々な電圧仕様に対応できるということである。
【0017】
本実施形態のようにキャパシター111によりDCカットを行う場合、適正なクロック信号CKQ1を得るためにはキャパシター111の両端で信号論理レベルが同一になっている必要がある。
【0018】
そこで本実施形態では、論理回路101は、イネーブル信号ENが非アクティブのとき、信号CXを信号SSと同じ論理レベルに設定する。具体的には、イネーブル信号ENが非アクティブのとき、論理回路101はハイレベルの信号CXを出力し、バッファー回路121は入力ノードNSの信号SSをハイレベルに設定する。イネーブル信号ENが非アクティブからアクティブになると、論理回路101がクロック信号CK1を信号CXとして出力するが、キャパシター111の両端において信号CXと信号SSが同じ論理レベルからスタートするので、適正な論理レベルの信号が伝送される。これにより、適正なクロック信号CKQ1が得られる。この点の詳細については、図3等で後述する。
【0019】
また本実施形態のようにキャパシター111によりDCカットを行うと、クロック信号CK1が低周波数である場合にキャパシター111の他端が一次的に不定状態になる可能性がある。キャパシター111の他端が一次的に不定状態になると、適正なクロック信号CKQ1を得られない可能性がある。
【0020】
そこで本実施形態では、バッファー回路121は、インバーター141とラッチ回路131とを有する。
【0021】
インバーター141には、論理回路101からの信号CXがキャパシター111を介して入力される。即ち、キャパシター111の他端の信号SSがインバーター141に入力される。インバーター141は、信号SSの論理反転信号を信号SGとして出力する。
【0022】
ラッチ回路131は、バッファー回路121の入力ノードNSを、インバーター141の出力信号の論理反転レベルに設定することでラッチ動作を行う。即ち、ラッチ回路131は、インバーター141の出力信号である信号SGがローレベルのとき、キャパシター111の他端の信号SSをハイレベルに設定し、信号SGがハイレベルのとき、信号SSをローレベルに設定する。
【0023】
本実施形態によれば、ラッチ回路131がラッチ動作を行うことで、キャパシター111の他端の信号SSが設定される。これにより、クロック信号CK1が低周波数である場合であっても、キャパシター111の他端が不定状態にならないため、適正なクロック信号CKQ1が得られる。
【0024】
以上のように、本実施形態によれば、キャパシター111を設けたことで電源電圧VDDについて様々な電圧仕様に対応できる。そして、キャパシター111の両端で信号の論理レベルを同一にすること、及びラッチ回路131を設けたことで、適正なクロック信号CKQ1を出力できる。
【0025】
次に論理回路102とバッファー回路122について説明する。なお図1では出力回路80が差動のクロック信号CKQ1、CKQ2を出力するが、図6で後述するように出力回路80がシングルエンドのクロック信号CKQ1を出力してもよい。その場合、論理回路102とバッファー回路122、及びN型トランジスターTDNA2を省略可能である。
【0026】
論理回路102には、クロック信号CK2と反転イネーブル信号ENXとが入力される。クロック信号CK2は第2クロック信号である。反転イネーブル信号ENXは、イネーブル信号ENの論理反転信号である。論理回路102は、イネーブル信号ENがアクティブであるとき、クロック信号CK2を信号CXBとして出力する。信号CXBは第2論理回路出力信号である。クロック信号CK2に基づく信号CXBは、クロック信号CK2又はクロック信号CK2の論理反転信号である。論理回路102は、例えばNOR回路である。即ち論理回路102は、クロック信号CK2と反転イネーブル信号ENXの否定論理和を、信号CXBとして出力する。この場合、クロック信号CK2に基づく信号CXBは、クロック信号CK2の論理反転信号である。
【0027】
バッファー回路122には、信号CXBがキャパシター112を介して入力される。即ち、キャパシター112の一端は論理回路102の出力ノードNXBに接続され、キャパシター112の他端はバッファー回路122の入力ノードNSBに接続される。入力ノードNSBは第2バッファー回路入力ノードである。論理回路102がキャパシター112の一端に信号CXBを出力することで、信号SSBがキャパシター112の他端から入力ノードNSBに入力される。バッファー回路122は信号SSBをバッファリングすることで信号SGBを出力する。信号SGBは第2バッファー回路出力信号であり、信号SSBの論理反転信号である。
【0028】
ドライバー回路150は、信号SGBに基づいてクロック信号CKQ2を出力する。クロック信号CKQ2は、第2出力クロック信号であり、クロック信号CKQ1の論理反転信号である。ドライバー回路150は、電源ノードNVDと出力ノードNQ2との間に設けられるN型トランジスターTDNA2を含む。出力ノードNQ2は第2出力ノードである。N型トランジスターTDNA2は第2ドライバー用N型トランジスターである。N型トランジスターTDNA2のドレインは電源ノードNVDに接続され、ソースは出力ノードNQ2に接続され、ゲートはバッファー回路122の出力ノードNGBに接続される。
【0029】
論理回路102は、レギュレーター電圧VREGを電源電圧として動作する。またバッファー回路122は、電圧VGH、VGLを電源電圧として動作する。クロック信号CKQ1、CKQ2は、PECL規格の差動クロック信号である。
【0030】
論理回路102は、イネーブル信号ENが非アクティブのとき、信号CXBを信号SSBと同じ論理レベルに設定する。具体的には、イネーブル信号ENが非アクティブのとき、論理回路102はローレベルの信号CXBを出力し、バッファー回路122は入力ノードNSBの信号SSBをローレベルに設定する。入力ノードNSBは第2バッファー回路入力ノードである。
【0031】
具体的には、バッファー回路122は、インバーター142とラッチ回路132とを有する。
【0032】
インバーター142には、論理回路102からの信号CXBがキャパシター112を介して入力される。即ち、キャパシター112の他端の信号SSBがインバーター142に入力される。インバーター142は、信号SSBの論理反転信号を信号SGBとして出力する。
【0033】
ラッチ回路132は、バッファー回路122の入力ノードNSBを、インバーター142の出力信号の論理反転レベルに設定することでラッチ動作を行う。即ち、ラッチ回路132は、インバーター142の出力信号である信号SGBがローレベルのとき、キャパシター112の他端の信号SSBをハイレベルに設定し、信号SGBがハイレベルのとき、信号SSBをローレベルに設定する。
【0034】
以上の本実施形態によれば、キャパシター112を設けたことで電源電圧VDDについて様々な電圧仕様に対応できる。そして、キャパシター112の両端で信号の論理レベルを同一にすること、及びラッチ回路132を設けたことで、適正なクロック信号CKQ2を出力できる。
【0035】
次に、図2図3に示す波形図を用いて、出力回路80の動作を説明する。なお以下ではアクティブをハイレベルとし、非アクティブをローレベルとするが、アクティブと論理レベルの対応はこれに限定されない。また以下ではローレベルを「L」とも記載し、ハイレベルを「H」とも記載する。
【0036】
図2は、図1に示す出力回路80の波形図である。クロック信号CKQ1、CKQ2の出力が停止された状態となっている期間を、出力停止期間TSTOPとする。また、クロック信号CKQ1、CKQ2が出力される状態となっている期間を、通常動作期間TNORMALとする。
【0037】
出力停止期間TSTOPにおいて、EN=HXB=Lであり、ENX=SL=Hである。なお信号HXB、SLは、出力停止期間TSTOPにおいてクロック信号CKQ1、CKQ2の論理レベルを固定するための信号である。ここでは固定機能の概略を説明し、バッファー回路の詳細構成を後述する際に固定機能の実現構成を説明する。
【0038】
EN=Lのとき、論理回路101はCX=Hを出力する。ENX=Hのとき、論理回路102はCXB=Lを出力する。図2では、出力停止期間TSTOPにおいてCK1=L、CK2=Hとなっているが、CK1、CK2の論理レベルに関わらずCX=H、CXB=Lとなる。
【0039】
出力停止期間TSTOPにおいて、ラッチ回路131は、キャパシター111の他端をSS=Hに設定する。具体的には、SL=Hのとき、バッファー回路121は出力ノードNGをSG=Lに固定する。インバーター141の出力信号がSG=Lとなるので、ラッチ回路131は、SG=Lを論理反転させたSS=Hを、キャパシター111の他端に設定する。これによりCX=SS=Hとなり、キャパシター111の両端で論理レベルが同じになる。また、出力停止期間TSTOPにおいて、バッファー回路122は、キャパシター112の他端をSSB=Lに設定する。具体的には、HXB=Lのとき、バッファー回路122は出力ノードNGBをSGB=Hに固定する。インバーター142の出力信号がSGB=Hとなるので、ラッチ回路132は、SGB=Hを論理反転させたSSB=Lを、キャパシター112の他端に設定する。これによりCXB=SSB=Lとなり、キャパシター112の両端で論理レベルが同じになる。
【0040】
SG=Lのとき、ドライバー回路150はCKQ1=Lを出力する。またSG=Hのとき、ドライバー回路150はCKQ2=Hを出力する。このように、バッファー回路121、122の出力信号である信号SG、SGBの論理レベルが、信号HXB、SLによって固定されることで、クロック信号CKQ1、CKQ2の論理レベルが固定される。
【0041】
通常動作期間TNORMALにおいて、EN=HXB=Hであり、ENX=SL=Lである。このとき、論理回路101はクロック信号CK1の論理反転信号を信号CXとして出力する。論理回路102はクロック信号CK2の論理反転信号を信号CXBとして出力する。
【0042】
信号SSは、信号CXと同じくクロック信号CK1の論理反転信号となる。インバーター141は、信号SSの論理反転信号を出力するので、クロック信号CK1と同じ論理レベルの信号SGを出力する。ドライバー回路150は、信号SGと同じ論理レベル、即ちクロック信号CK1と同じ論理レベルのクロック信号CKQ1を出力する。また信号SSBは、信号CXBと同じくクロック信号CK2の論理反転信号となる。インバーター142は、信号SSBの論理反転信号を出力するので、クロック信号CK2と同じ論理レベルの信号SGBを出力する。ドライバー回路150は、信号SGBと同じ論理レベル、即ちクロック信号CK2と同じ論理レベルのクロック信号CKQ2を出力する。
【0043】
上述したように、出力停止期間TSTOPにおいて、キャパシター111の両端においてCX=SS=Hとなっているため、通常動作期間TNORMALにおいて最初に信号CXがハイレベルからローレベルになったとき、信号SSもハイレベルからローレベルになる。同様に、出力停止期間TSTOPにおいて、キャパシター112の両端においてCXB=SSB=Lとなっているため、通常動作期間TNORMALにおいて最初に信号CXBがローレベルからハイレベルになったとき、信号SSBもローレベルからハイレベルになる。このように、出力停止期間TSTOPにおいてキャパシター111、112の両端の論理レベルを同一にしたことで、通常動作期間TNORMALにおいて信号を適正に伝送できる。
【0044】
図3は、本実施形態に対する比較例の波形図である。図3には、図1において論理回路101及び論理回路102の両方をNAND回路にした場合の波形図を示す。論理回路102にはクロック信号CK2及びイネーブル信号ENが入力されるものとする。
【0045】
図3に示すように、出力停止期間TSTOPにおいて論理回路102はCXB=Hを出力する。図2で説明したように、信号HXBによってSGB=Hに固定されるので、ラッチ回路132は、SSB=Lを設定する。即ち、キャパシター112の一端がCXB=Hであるにも関わらず、キャパシター112の他端がSSB=Lとなっており、キャパシター112の両端で論理レベルが異なる。
【0046】
この場合、通常動作期間TNORMALにおいて信号CXBが最初にハイレベルからローレベルになったとき、キャパシター112の他端の信号SSBがローレベルから更に引き下げられる。即ち信号SSBは電圧VGLから更に低い電圧となる。信号CXBがハイレベルになっても信号SSBがローレベル、即ち電圧VGLに戻るだけなので、信号SSBは常に電圧VGL以下になる。この信号SSBが入力されたインバーター142は、ハイレベルの信号SGBを出力するので、信号SGBがハイレベルに固定され、クロック信号CKQ2がハイレベルに固定される。
【0047】
このように、比較例では出力停止期間TSTOPにおいてキャパシター112の両端で論理レベルが異なるので、通常動作期間TNORMALにおいて適切なクロック信号CKQ2が得られない。一方、図2で説明した本実施形態の出力回路80によれば、出力停止期間TSTOPにおいてキャパシター111、112の両端で論理レベルが同一なので、通常動作期間TNORMALにおいて適切なクロック信号CKQ1、CKQ2が得られる。
【0048】
次に、図1に戻り、バッファー回路121、122の詳細構成例について説明する。まずバッファー回路121の詳細構成例を説明する。
【0049】
インバーター141は、P型トランジスターTP2とN型トランジスターTN2とを含む。ラッチ回路131はP型トランジスターTP4とN型トランジスターTN4とを含む。バッファー回路121は、P型トランジスターTP1、TP3とN型トランジスターTN1、TN3とを更に含む。TP1~TP4は第1~第4P型トランジスターであり、TN1~TN4は第1~第4N型トランジスターである。
【0050】
P型トランジスターTP1、TP2は、ノードNGHと出力ノードNGとの間に直列接続される。ノードNGHは、電圧VGHが入力される第1電圧ノードである。出力ノードNGは第1バッファー回路出力ノードである。具体的には、P型トランジスターTP1のソースはノードNGHに接続され、P型トランジスターTP1のドレインはP型トランジスターTP2のソースに接続される。P型トランジスターTP2のドレインは出力ノードNGに接続される。
【0051】
N型トランジスターTN1、TN2は、ノードNGLと出力ノードNGとの間に直列接続される。ノードNGLは、電圧VGLが入力される第2電圧ノードである。具体的には、N型トランジスターTN1のソースはノードNGLに接続され、N型トランジスターTN1のドレインはN型トランジスターTN2のソースに接続される。N型トランジスターTN2のドレインは出力ノードNGに接続される。
【0052】
P型トランジスターTP3は、ノードNGHと出力ノードNGとの間に設けられる。具体的には、P型トランジスターTP3のソースはノードNGHに接続され、P型トランジスターTP3のドレインは出力ノードNGに接続される。
【0053】
N型トランジスターTN3は、ノードNGLと出力ノードNGとの間に設けられる。具体的には、N型トランジスターTN3のソースはノードNGLに接続され、N型トランジスターTN3のドレインは出力ノードNGに接続される。
【0054】
P型トランジスターTP4は、ノードNGHと入力ノードNSとの間に設けられる。具体的には、P型トランジスターTP4のソースはノードNGHに接続され、P型トランジスターTP4のドレインは入力ノードNSに接続される。
【0055】
N型トランジスターTN4は、ノードNGLと入力ノードNSとの間に設けられる。具体的には、N型トランジスターTN4のソースはノードNGLに接続され、N型トランジスターTN4のドレインは入力ノードNSに接続される。
【0056】
論理回路101は、信号CXをキャパシター111を介してP型トランジスターTP2及びN型トランジスターTN2のゲートに出力する。これにより、信号CXがキャパシター111を介してインバーター141に入力される。
【0057】
P型トランジスターTP1及びN型トランジスターTN3のゲートには、信号SLが入力される。信号SLは第1出力イネーブル信号である。図2に示すように、イネーブル信号ENがローレベルであるとき信号SLはハイレベルであり、イネーブル信号ENがハイレベルであるとき信号SLはローレベルである。N型トランジスターTN1及びP型トランジスターTP3のゲートには、ハイレベルの信号HXが入力される。信号HXは、出力停止期間TSTOP及び通常動作期間TNORMALにおいてハイレベルである。
【0058】
出力停止期間TSTOPにおいて、SL=H、HX=Hなので、TP1、TP3がオフであり、TN1、TN3がオンである。TP1がオフなのでインバーター141の出力ノードNGとノードNGH間はハイインピーダンスとなる。またTP3がオフであり、TN3がオンなので、出力ノードNGがSG=Lに固定され、CKQ1=Lとなる。
【0059】
通常動作期間TNORMALにおいて、SL=L、HX=Hなので、TP1、TN1がオンであり、TP3、TN3がオフである。TP1、TN1がオンなのでインバーター141が動作状態となる。またTP3、TN3がオフなので、信号SGの論理レベルは固定されず、インバーター141が信号SGを出力する。
【0060】
P型トランジスターTP4及びN型トランジスターTN4のゲートは、出力ノードNGに接続される。即ち、TP4、TN4のゲートには信号SGが入力される。SG=LのときTP4がオンであり、TN4がオフなので、TP4を介して入力ノードNSがSS=Hに設定される。SG=HのときTP4がオフであり、TN4がオンなので、TN4を介して入力ノードNSがSS=Lに設定される。このようにして、ラッチ回路131の機能が実現される。
【0061】
次に、バッファー回路122の詳細構成例を説明する。インバーター142は、P型トランジスターTP6とN型トランジスターTN6とを含む。ラッチ回路132はP型トランジスターTP8とN型トランジスターTN8とを含む。バッファー回路122は、P型トランジスターTP5、TP7とN型トランジスターTN5、TN7とを更に含む。TP5~TP8は第4~第8P型トランジスターであり、TN5~TN8は第5~第8N型トランジスターである。
【0062】
P型トランジスターTP5、TP6は、ノードNGHと出力ノードNGBとの間に直列接続される。出力ノードNGBは第2バッファー回路出力ノードである。具体的には、P型トランジスターTP5のソースはノードNGHに接続され、P型トランジスターTP5のドレインはP型トランジスターTP6のソースに接続される。P型トランジスターTP6のドレインは出力ノードNGBに接続される。
【0063】
N型トランジスターTN5、TN6は、ノードNGLと出力ノードNGBとの間に直列接続される。具体的には、N型トランジスターTN5のソースはノードNGLに接続され、N型トランジスターTN5のドレインはN型トランジスターTN6のソースに接続される。N型トランジスターTN6のドレインは出力ノードNGBに接続される。
【0064】
P型トランジスターTP7は、ノードNGHと出力ノードNGBとの間に設けられる。具体的には、P型トランジスターTP7のソースはノードNGHに接続され、P型トランジスターTP7のドレインは出力ノードNGBに接続される。
【0065】
N型トランジスターTN7は、ノードNGLと出力ノードNGBとの間に設けられる。具体的には、N型トランジスターTN7のソースはノードNGLに接続され、N型トランジスターTN7のドレインは出力ノードNGBに接続される。
【0066】
P型トランジスターTP8は、ノードNGHと入力ノードNSBとの間に設けられる。具体的には、P型トランジスターTP8のソースはノードNGHに接続され、P型トランジスターTP8のドレインは入力ノードNSBに接続される。
【0067】
N型トランジスターTN8は、ノードNGLと入力ノードNSBとの間に設けられる。具体的には、N型トランジスターTN8のソースはノードNGLに接続され、N型トランジスターTN8のドレインは入力ノードNSBに接続される。
【0068】
論理回路102は、信号CXBをキャパシター112を介してP型トランジスターTP6及びN型トランジスターTN6のゲートに出力する。これにより、信号CXBがキャパシター112を介してインバーター142に入力される。
【0069】
P型トランジスターTP5及びN型トランジスターTN7のゲートには、ローレベルの信号SLBが入力される。信号SLBは、出力停止期間TSTOP及び通常動作期間TNORMALにおいてローレベルである。N型トランジスターTN5及びP型トランジスターTP7のゲートには、信号HXBが入力される。信号HXBは第2出力イネーブル信号である。図2に示すように、イネーブル信号ENがローレベルであるとき信号HXBはローレベルであり、イネーブル信号ENがハイレベルであるとき信号HXBはハイレベルである。
【0070】
出力停止期間TSTOPにおいて、SLB=L、HXB=Lなので、TP5、TP7がオンであり、TN5、TN7がオフである。TN5がオフなのでインバーター142の出力ノードNGBとノードNGL間はハイインピーダンスとなる。またTP7がオンであり、TN7がオフなので、出力ノードNGBがSGB=Hに固定され、CKQ2=Hとなる。
【0071】
通常動作期間TNORMALにおいて、SLB=L、HXB=Hなので、TP5、TN5がオンであり、TP7、TN7がオフである。TP5、TN5がオンなのでインバーター142が動作状態となる。またTP7、TN7がオフなので、信号SGBの論理レベルは固定されず、インバーター142が信号SGBを出力する。
【0072】
P型トランジスターTP8及びN型トランジスターTN8のゲートは、出力ノードNGBに接続される。即ち、TP8、TN8のゲートには信号SGBが入力される。SGB=LのときTP8がオンであり、TN8がオフなので、TP8を介して入力ノードNSBがSSB=Hに設定される。SGB=HのときTP8がオフであり、TN8がオンなので、TN8を介して入力ノードNSBがSSB=Lに設定される。このようにして、ラッチ回路132の機能が実現される。
【0073】
2.論理回路の詳細構成例
図4は、論理回路101の詳細構成例である。図5は、論理回路102の詳細構成例である。上述したように、論理回路101はNAND回路であり、論理回路102はNOR回路である。
【0074】
図4に示すように、論理回路101は、P型トランジスターTAP1~TAP3とN型トランジスターTAN1~TAN3とを含む。
【0075】
P型トランジスターTAP1、TAP2は、ノードNREGと出力ノードNXとの間に直列接続される。ノードNREGには、レギュレーター電圧VREGが供給される。N型トランジスターTAN1、TAN2は、グランドノードNGNと出力ノードNXとの間に直列接続される。P型トランジスターTAP3は、ノードNREGと出力ノードNXとの間に接続される。N型トランジスターTAN3は、グランドノードNGNと出力ノードNXとの間に接続される。
【0076】
P型トランジスターTAP2及びN型トランジスターTAN2のゲートには、クロック信号CK1が入力される。P型トランジスターTAP1及びN型トランジスターTAN3のゲートには、グランド電圧が入力される。N型トランジスターTAN1及びP型トランジスターTAP3のゲートには、イネーブル信号ENが入力される。
【0077】
P型トランジスターTAP1はオンであり、N型トランジスターTAN3はオフである。これにより、P型トランジスターTAP2、TAP3及びN型トランジスターTAN1、TAN2がNAND回路と等価な構成となる。
【0078】
図5に示すように、論理回路102は、P型トランジスターTBP1~TBP3とN型トランジスターTBN1~TBN3とを含む。接続構成は図4と同様であるため、説明を省略する。但し、各トランジスターのゲートに入力される信号が図4と異なる。
【0079】
即ち、P型トランジスターTBP2及びN型トランジスターTBN2のゲートには、クロック信号CK2が入力される。N型トランジスターTBN1及びP型トランジスターTBP3のゲートには、レギュレーター電圧VREGが入力される。P型トランジスターTBP1及びN型トランジスターTAN3のゲートには、反転イネーブル信号ENXが入力される。
【0080】
N型トランジスターTBN1はオンであり、P型トランジスターTBP3はオフである。これにより、P型トランジスターTBP1、TBP2及びN型トランジスターTBN2、TBN3がNOR回路と等価な構成となる。
【0081】
図4図5の詳細構成例によれば、NAND回路である論理回路101と、NOR回路である論理回路102とを、同一構成の回路で実現できる。これにより、論理回路101におけるクロック信号CK1の伝搬遅延と、論理回路102におけるクロック信号CK2の伝搬遅延とを同一にできる。クロック信号CK1、CK2の伝搬遅延が揃うことで、差動クロック信号であるクロック信号CKQ1、CKQ2の特性を向上できる。例えば差動クロック信号における正確なクロスポイントを実現できる。
【0082】
3.出力回路の第2~第4構成例
出力回路80の構成は図1に限定されず、クロック信号の規格に応じた種々の構成を想定できる。以下、その例を示す。なお以下では、既に説明した構成要素には同一の符号を付し、その構成要素についての説明を適宜に省略する。
【0083】
図6は、出力回路80の第2構成例である。図6では、出力回路80は、PECL規格のクロック信号であり且つシングルエンドのクロック信号を出力する。
【0084】
出力回路80は、論理回路101とキャパシター111とバッファー回路121とドライバー回路150とを含む。ドライバー回路150はN型トランジスターTDNA1を含む。これらの構成及び動作は図1等で説明した通りであるため、説明を省略する。
【0085】
図7は、出力回路80の第3構成例である。図7では、出力回路80は、LVDS(Low Voltage Differential Signaling)規格のクロック信号CKQ1、CKQ2を出力する。
【0086】
出力回路80は、論理回路101、102とキャパシター111、112とバッファー回路121、122と、ドライバー回路150とを含む。ドライバー回路150は、定電流回路ISBとP型トランジスターTDPB1、TDPB2とN型トランジスターTDNB1、TDNB2と抵抗ROSとを含む。TDPB1、TDPB2、TDNB1、TDNB2は、それぞれ第1ドライバー用P型トランジスター、第2ドライバー用P型トランジスター、第1ドライバー用N型トランジスター、第2ドライバー用N型トランジスターである。
【0087】
定電流回路ISBは、電源ノードNVDとノードN1との間に設けられる。ノードN1は第1ノードである。定電流回路ISBは例えばカレントミラー回路等により実現できる。
【0088】
P型トランジスターTDPB1は、ノードN1と出力ノードNQ1との間に設けられる。P型トランジスターTDPB1のゲートには、信号SGBが入力される。具体的には、P型トランジスターTDPB1のソースはノードN1に接続され、ドレインは出力ノードNQ1に接続される。
【0089】
N型トランジスターTDNB1は、出力ノードNQ1とノードN2との間に設けられる。N型トランジスターTDNB1のゲートには、信号SGBが入力される。具体的には、N型トランジスターTDNB1のドレインは出力ノードNQ1に接続され、ソースはノードN2に接続される。ノードN2は第2ノードである。抵抗ROSの一端がノードN2に接続され、他端がグランドノードに接続される。
【0090】
P型トランジスターTDPB2は、ノードN1と出力ノードNQ2との間に設けられる。P型トランジスターTDPB2のゲートには、信号SGが入力される。具体的には、P型トランジスターTDPB2のソースはノードN1に接続され、ドレインは出力ノードNQ2に接続される。
【0091】
N型トランジスターTDNB2は、出力ノードNQ2とノードN2との間に設けられる。N型トランジスターTDNB2のゲートには、信号SGが入力される。具体的には、N型トランジスターTDNB2のドレインは出力ノードNQ2に接続され、ソースはノードN2に接続される。
【0092】
なお、バッファー回路121、122に供給される電圧VGH、VGLは、LVDS規格に対応した電圧である。即ち、電圧VGH、VGLは、LVDS規格のクロック信号における中心電圧1.25Vに対して対称な電圧である。例えば、VGH=2V、VGL=0.5Vと設定される。これにより、バッファー回路121、122及びドライバー回路150が1.25Vに対して対称に動作するので、差動クロック信号であるクロック信号CKQ1、CKQ2の特性を向上できる。例えば差動クロック信号における正確なクロスポイントを実現できる。
【0093】
図8は、出力回路80の第4構成例である。図8では、出力回路80は、HCSL(High-speed Current Steering Logic)規格のクロック信号CKQ1、CKQ2を出力する。
【0094】
出力回路80は、論理回路101、102とキャパシター111、112とバッファー回路121、122と、ドライバー回路150とを含む。ドライバー回路150は、定電流回路ISBとN型トランジスターTDNC1、TDNC2とを含む。TDNC1、TDNC2は、それぞれ第1ドライバー用N型トランジスター、第2ドライバー用N型トランジスターである。
【0095】
定電流回路ISCは、電源ノードNVDとノードN1との間に設けられる。ノードN1は第1ノードである。定電流回路ISCは例えばカレントミラー回路等により実現できる。
【0096】
N型トランジスターTDNC1は、ノードN1と出力ノードNQ1との間に設けられる。N型トランジスターTDNC1のゲートには、信号SGが入力される。具体的には、N型トランジスターTDNC1のドレインはノードN1に接続され、ソースは出力ノードNQ1に接続される。
【0097】
N型トランジスターTDNC2は、ノードN1と出力ノードNQ2との間に設けられる。N型トランジスターTDNC2のゲートには、信号SGBが入力される。具体的には、N型トランジスターTDNC2のドレインはノードN1に接続され、ソースは出力ノードNQ2に接続される。
【0098】
なお、バッファー回路121、122に供給される電圧VGH、VGLは、N型トランジスターTDNC1、TDNC2をオン又はオフする電圧であり、例えばVGH=2V、VGL=0Vである。
【0099】
4.電圧生成回路
図9は、出力回路80の第1構成例において、電圧VGH、VGLを生成する電圧生成回路85の構成例である。電圧生成回路85は、基準電圧出力回路193と第1電圧出力回路191と第2電圧出力回路192とを含む。
【0100】
基準電圧出力回路193は、電圧V1、V2を出力する。電圧V1は、電圧VGHに対応した電圧である。クロック信号がPECL規格である場合、そのハイレベルの電圧に電圧V1が対応し、ローレベルの電圧にV2が対応する。基準電圧出力回路193は、電源ノードNVDとグランドノードNGNとの間に直列接続された抵抗RE1、RE2及び定電流回路ISEを含む。抵抗RE1、RE2の間のノードから電圧V1が出力され、抵抗RE2と定電流回路ISEの間のノードから電圧V2が出力される。
【0101】
第1電圧出力回路191は、電圧V1に基づいて電圧VGHを出力する。第1電圧出力回路191は、演算増幅器OPG1とN型トランジスターTG1と定電流回路ISG1とを含む。N型トランジスターTG1と定電流回路ISG1は、電源ノードNVDとグランドノードNGNとの間に接続される。演算増幅器OPG1の非反転入力ノードには、電圧V1が入力される。演算増幅器OPG1の反転入力ノードには、N型トランジスターTG1と定電流回路ISG1の間のノードが接続される。この構成により、演算増幅器OPG1は、電圧VGH=V1+Vth+ΔVHを出力する。VthはN型トランジスターTG1のしきい値電圧である。
【0102】
第2電圧出力回路192は、電圧V2に基づいて電圧VGLを出力する。第2電圧出力回路192は、演算増幅器OPG2とN型トランジスターTG2と定電流回路ISG2とを含む。N型トランジスターTG2と定電流回路ISG2は、電源ノードNVDとグランドノードNGNとの間に接続される。演算増幅器OPG2の非反転入力ノードには、電圧V2が入力される。演算増幅器OPG2の反転入力ノードには、N型トランジスターTG2と定電流回路ISG2の間のノードが接続される。この構成により、演算増幅器OPG2は、電圧VGL=V2+Vth+ΔVLを出力する。VthはN型トランジスターTG2のしきい値電圧である。
【0103】
5.回路装置、発振器
図10は、本実施形態の出力回路80を含む回路装置20及び発振器4の構成例である。発振器4は、回路装置20と振動子10とを含む。振動子10は回路装置20に電気的に接続されている。例えば振動子10及び回路装置20を収納するパッケージの内部配線、ボンディングワイヤー又は金属バンプ等を用いて、振動子10と回路装置20は電気的に接続されている。
【0104】
振動子10は、電気的な信号により機械的な振動を発生する素子である。振動子10は、例えば水晶振動片などの振動片により実現できる。具体的には、カット角がATカットやSCカットなどの厚みすべり振動する水晶振動片などにより実現できる。振動子10は、例えば厚みすべり振動型以外の振動片や、水晶以外の材料で形成された圧電振動片などの種々の振動片により実現してもよい。例えば、SAW(Surface Acoustic Wave)共振子や、シリコン基板を用いて形成されたMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)振動子等を採用してもよい。
【0105】
回路装置20は、IC(Integrated Circuit)と呼ばれる集積回路装置である。例えば回路装置20は、半導体プロセスにより製造されるICであり、半導体基板上に回路素子が形成された半導体チップである。回路装置20は、発振回路30と制御回路50と出力回路80と電圧生成回路85と電圧レギュレーター90と端子T1、T2、TCK1、TCK2とを含む。なお、本実施形態は図10の構成に限定されず、その構成要素の一部を省略したり、他の構成要素を追加したりする等の種々の変形実施が可能である。例えば、回路装置20は、種々の設定データを記憶する不揮発性メモリーを更に含んでもよい。或は、制御回路50が発振周波数の温度補償を行う場合には、回路装置20が温度センサーを更に含んでもよい。
【0106】
端子T1、T2、TCK1、TCK2は回路装置20の例えばパッドである。端子T1は、振動子10の一端に電気的に接続され、端子T2は、振動子10の他端に電気的に接続される。例えば振動子10及び回路装置20を収納するパッケージの内部配線、ボンディングワイヤー又は金属バンプ等を用いて、振動子10と端子T1、T2は電気的に接続されている。端子TCK1、TCK2は、回路装置20により生成されたクロック信号CKQ1、CKQ2が出力される端子である。端子TCK1、TCK2は、発振器4の外部接続用の外部端子に電気的に接続されている。例えばパッケージの内部配線、ボンディングワイヤー又は金属バンプ等を用いて、端子TCK1、TCK2と外部端子は電気的に接続されている。そして発振器4の外部端子は外部デバイスに電気的に接続される。
【0107】
電圧レギュレーター90は、電源電圧VDDをレギュレートすることでレギュレーター電圧VREGを生成する。電圧レギュレーター90は、例えば、演算増幅器と抵抗とを含む負帰還回路により実現できる。
【0108】
発振回路30は振動子10を発振させる回路である。例えば発振回路30は、端子T1及び端子T2に電気的に接続され、振動子10を発振させることで発振信号OSCを出力する。発振回路30としては、例えばピアース型、コルピッツ型、インバーター型又はハートレー型などの種々のタイプの発振回路を用いることができる。
【0109】
出力回路80は、波形整形回路81とレベルシフター82とドライバー回路150とを含む。
【0110】
波形整形回路81は、発振信号OSCに基づいてクロック信号CK1、CK2を生成する。例えば、波形整形回路81は、発振信号OSCから矩形波のクロック信号を生成する回路と、矩形波のクロック信号を差動クロック信号に変換することでクロック信号CK1、CK2を出力する回路と、を含む。或は、波形整形回路81は、矩形波のクロック信号を分周する分周回路を更にふくんでもよい。この場合、分周クロック信号が差動クロック信号に変換される。
【0111】
レベルシフター82は、図1等で説明した論理回路101、102及びバッファー回路121、122に対応する。
【0112】
ドライバー回路150は、図1等で説明したように、バッファー回路121、122からの信号SG、SGBに基づいてクロック信号CKQ1、CKQ2を出力する。
【0113】
制御回路50は、回路装置20における種々の制御を行う。制御回路50は、レベルシフター82を制御する。具体的には、制御回路50は、レベルシフター82にイネーブル信号EN、反転イネーブル信号ENX、信号SL、信号HX、信号SLB及び信号HXBを出力する。また制御回路50は、発振回路30を制御する。例えば、制御回路50は発振周波数の温度補償を行う。即ち、制御回路50は、発振周波数の温度特性をキャンセル又は低減する処理を行う。温度補償を実現する手法としては、例えば多項式を近似する温度補償電圧を生成する手法、又はフラクショナルN-PLL回路の小数分周比を温度に応じて制御する手法、又はデジタルシンセサイザーを用いる手法等を想定できる。なお、温度補償を実現する手法については図11図12においても説明している。本実施形態の出力回路80は、図11図12の回路装置20、21の一方又は両方に適用できる。
【0114】
次に本実施形態の発振器4の構造例を説明する。図11に発振器4の第1の構造例を示す。発振器4は、振動子10と、回路装置20と、振動子10及び回路装置20を収容するパッケージ15を有する。パッケージ15は、例えばセラミック等により形成され、その内側に収容空間を有しており、この収容空間に振動子10及び回路装置20が収容されている。収容空間は気密封止されており、望ましくは真空に近い状態である減圧状態になっている。パッケージ15により、振動子10及び回路装置20を衝撃、埃、熱、湿気等から好適に保護することができる。
【0115】
パッケージ15はベース16とリッド17を有する。具体的にはパッケージ15は、振動子10及び回路装置20を支持するベース16と、ベース16との間に収容空間を形成するようにベース16の上面に接合されたリッド17とにより構成されている。そして振動子10は、ベース16の内側に設けられた段差部に端子電極を介して支持されている。また回路装置20は、ベース16の内側底面に配置されている。具体的には回路装置20は、能動面がベース16の内側底面に向くように配置されている。能動面は回路装置20の回路素子が形成される面である。また回路装置20のパッドである端子にバンプBMPが形成されている。そして回路装置20は、バンプBMPを介してベース16の内側底面に支持される。バンプBMPは例えば金属バンプであり、導電性を有する。このバンプBMPやパッケージ15の内部配線や端子電極などを介して、振動子10と回路装置20が電気的に接続される。また回路装置20は、バンプBMPやパッケージ15の内部配線を介して、発振器4の外部端子18、19に電気的に接続される。外部端子18、19は、パッケージ15の外側底面に形成されている。外部端子18、19は、外部配線を介して外部デバイスに接続される。外部配線は、例えば外部デバイスが実装される回路基板に形成される配線などである。これにより外部デバイスに対してクロック信号などを出力できるようになる。
【0116】
なお図11では、回路装置20の能動面が下方に向くように回路装置20がフリップ実装されているが、本実施形態はこのような実装には限定されない。例えば回路装置20の能動面が振動子10に対向するように回路装置20を実装してもよい。
【0117】
図12に発振器4の第2の構造例を示す。図12の発振器4は、振動子10と回路装置20と回路装置21を含む。また発振器4は、振動子10及び回路装置20を収容するパッケージ15と、パッケージ15及び回路装置21を収容するパッケージ5を含む。パッケージ15、パッケージ5は、各々、第1パッケージ、第2パッケージである。
【0118】
そして本実施形態では、パッケージ15に収容される回路装置20が第1温度補償処理を行い、パッケージ5に収容される回路装置21が第2温度補償処理を行う。例えば振動子10及び回路装置20がパッケージ15に収容されることで、例えばアナログ方式の第1温度補償処理を行う温度補償型の発振器14が構成される。そして、アナログ方式の第1温度補償処理を行う発振器14と、デジタル方式の第2温度補償処理を行う回路装置21とがパッケージ5に収容されることで、高精度のクロック信号を生成する発振器4が構成される。回路装置21は、デジタル方式で微調整の第2温度補償処理を行う補正ICと呼ぶこともできる。
【0119】
具体的にはパッケージ5は、例えばセラミック等により形成され、その内側に収容空間を有している。この収容空間に、振動子10及び回路装置20がパッケージ15に収容された発振器14と、回路装置21とが収容されている。パッケージ5により、回路装置21及び発振器14を衝撃、埃、熱、湿気等から好適に保護することができる。
【0120】
パッケージ5はベース6とリッド7を有する。具体的にはパッケージ5は、発振器14及び回路装置21を支持するベース6と、ベース6との間に収容空間を形成するようにベース6の上面に接合されたリッド7とにより構成されている。ベース6は、その内側に、上面に開口する第1凹部と、第1凹部の底面に開口する第2凹部を有する。回路装置21は、第1凹部の底面に支持されている。例えば回路装置21は、端子電極を介して底面の段差部に支持されている。また発振器14は、第2凹部の底面に支持されている。例えば発振器14は、端子電極を介して底面の段差部に支持されている。またベース6は、第2凹部の底面に開口する第3凹部を有しており、この第3凹部に回路部品12が配置される。配置される回路部品12としては、例えばコンデンサーや温度センサーなどを想定できる。
【0121】
回路装置21は、例えばボンディングワイヤーBWや、段差部に形成された端子電極や、パッケージ5の内部配線を介して、発振器14の端子に電気的に接続される。これにより発振器14からのクロック信号や温度検出信号を回路装置21に入力できるようになる。また回路装置21は、ボンディングワイヤーBWや、段差部に形成された端子電極や、パッケージ5の内部配線を介して、発振器4の外部端子8、9に電気的に接続される。外部端子8、9は、パッケージ5の外側底面に形成されている。外部端子8、9は、外部配線を介して外部デバイスに接続される。外部配線は、例えば外部デバイスが実装される回路基板に形成される配線などである。これにより外部デバイスに対してクロック信号などを出力できるようになる。なお発振器14の端子と外部端子8、9を電気的に接続するようにしてもよい。
【0122】
なお図12では発振器14の上方向に回路装置21を配置しているが、発振器14の下方向に回路装置21を配置するようにしてもよい。ここで上方向はパッケージ5の底面からリッド7に向かう方向であり、下方向はその反対方向である。また発振器14の側方に回路装置21を設けてもよい。即ち発振器4の上面視において発振器14と回路装置21とが並ぶように配置する。
【0123】
次に回路装置21について説明する。回路装置21は、発振器14で生成されたクロック信号である第1発振器クロック信号が、基準クロック信号として入力されるクロック信号生成回路を含む。そしてクロック信号生成回路が生成したクロック信号が、発振器4の出力クロック信号として外部に出力される。例えば回路装置21のクロック信号生成回路は、発振器14からの第1発振器クロック信号が基準クロック信号として入力されるフラクショナル-N型のPLL回路により構成される。このPLL回路は、第1発振器クロック信号である基準クロック信号と、PLL回路の出力クロック信号を分周回路により分周したフィードバッククロック信号との位相比較を行う。そしてデルタシグマ変調回路を用いて小数の分周比を設定することで、フラクショナル-N型のPLL回路が実現される。また回路装置21が含む制御回路が、温度補償データに基づいて、PLL回路に設定される分周比データの補正処理を行うことで、第2温度補償処理が実現される。またクロック信号生成回路を、ダイレクトデジタルシンセサイザーにより構成してもよい。この場合には、第1発振器クロック信号を基準クロック信号として動作するダイレクトデジタルシンセサイザーに対して、温度補償データにより補正された周波数制御データを入力することで、第2温度補償処理が実現される。
【0124】
図12の発振器4によれば、振動子10を発振させる回路装置20が第1温度補償処理を行うことで、第1回路装置である回路装置20から出力される第1発振器クロック信号の周波数温度特性での周波数変動量を小さくできる。そして第2回路装置である回路装置21が、回路装置20からの第1発振器クロック信号に基づいてクロック信号を生成する際に第2温度補償処理を行う。このように回路装置20により第1温度補償処理を行った後に、回路装置21により第2温度補償処理を行うことで、温度計測結果の揺らぎなどを原因とする周波数のマイクロジャンプを小さくすることなどが可能になり、発振器4のクロック周波数の高精度化等を実現できるようになる。また図12の発振器4では、回路装置20に設けられる温度センサーを用いて第1温度補償処理を行うと共に、この温度センサーの温度検出信号が、回路装置20から出力されて回路装置21に入力されるようにしてもよい。そして回路装置21が、入力された温度検出信号に基づいて第2温度補償処理を行ってもよい。このようにすれば、回路装置20での第1温度補償処理と、回路装置21での第2温度補償処理を、同じ温度センサーからの温度検出信号に基づいて行うことが可能になるため、より適正な温度補償処理を実現できるようになる。この場合に回路装置20に内蔵される温度センサーと振動子10との距離は、当該温度センサーと回路装置21との距離よりも短くなる。従って、デジタル方式の温度補償処理を行うことで発熱量が多い回路装置21と、振動子10との距離を離すことができ、回路装置21の発熱が温度センサーの温度検出結果に及ぼす悪影響を低減できる。従って、振動子10についての温度を、回路装置20に内蔵される温度センサーを用いて、より正確に計測することが可能になる。
【0125】
6.電子機器、移動体
図13に、本実施形態の回路装置20を含む電子機器500の構成例を示す。電子機器500は、本実施形態の回路装置20と、回路装置20の発振回路30の発振信号に基づくクロック信号により動作する処理装置520を含む。具体的には電子機器500は、本実施形態の回路装置20を有する発振器4を含み、処理装置520は、発振器4からのクロック信号に基づいて動作する。また電子機器500は、アンテナANT、通信インターフェース510、操作インターフェース530、表示部540、メモリー550を含むことができる。なお電子機器500は図13の構成に限定されず、これらの一部の構成要素を省略したり、他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。
【0126】
電子機器500は、例えば基地局又はルーター等のネットワーク関連機器、距離、時間、流速又は流量等の物理量を計測する高精度の計測機器、生体情報を測定する生体情報測定機器、或いは車載機器などである。生体情報測定機器は例えば超音波測定装置、脈波計又は血圧測定装置等である。車載機器は自動運転用の機器等である。また電子機器500は、頭部装着型表示装置や時計関連機器などのウェアラブル機器、ロボット、印刷装置、投影装置、スマートフォン等の携帯情報端末、コンテンツを配信するコンテンツ提供機器、或いはデジタルカメラ又はビデオカメラ等の映像機器などであってもよい。
【0127】
また電子機器500としては、5Gなどの次世代移動通信システムに用いられる機器がある。例えば次世代移動通信システムの基地局、リモートレディオヘッド(RRH)又は携帯通信端末などの種々の機器に本実施形態の回路装置20を用いることができる。次世代移動通信システムでは、時刻同期等のために高精度のクロック周波数が要望されており、高精度のクロック信号を生成できる本実施形態の回路装置20の適用例として好適である。
【0128】
通信インターフェース510は、アンテナANTを介して外部からデータを受信したり、外部にデータを送信する処理を行う。プロセッサーである処理装置520は、電子機器500の制御処理や、通信インターフェース510を介して送受信されるデータの種々のデジタル処理などを行う。処理装置520の機能は、例えばマイクロコンピューターなどのプロセッサーにより実現できる。操作インターフェース530は、ユーザーが入力操作を行うためのものであり、操作ボタンやタッチパネルディスプレイなどにより実現できる。表示部540は、各種の情報を表示するものであり、液晶や有機ELなどのディスプレイにより実現できる。メモリー550は、データを記憶するものであり、その機能はRAMやROMなどの半導体メモリーにより実現できる。
【0129】
図14に、本実施形態の回路装置20を含む移動体の例を示す。移動体は、本実施形態の回路装置20と、回路装置20の発振回路30の発振信号に基づくクロック信号により動作する処理装置220を含む。具体的には移動体は、本実施形態の回路装置20を有する発振器4を含み、処理装置220は、発振器4からのクロック信号に基づいて動作する。本実施形態の回路装置20は、例えば、車、飛行機、バイク、自転車、或いは船舶等の種々の移動体に組み込むことができる。移動体は、例えばエンジンやモーター等の駆動機構、ハンドルや舵等の操舵機構、各種の電子機器を備えて、地上や空や海上を移動する機器・装置である。図14は移動体の具体例としての自動車206を概略的に示している。自動車206には、本実施形態の回路装置20が組み込まれる。具体的には、移動体である自動車206は、制御装置208を含み、制御装置208は、本実施形態の回路装置20を含む発振器4と、発振器4により生成されたクロック信号に基づき動作する処理装置220を含む。制御装置208は、例えば車体207の姿勢に応じてサスペンションの硬軟を制御したり、個々の車輪209のブレーキを制御する。例えば制御装置208により、自動車206の自動運転を実現してもよい。なお本実施形態の回路装置20が組み込まれる機器は、このような制御装置208には限定されず、自動車206等の移動体に設けられるメーターパネル機器やナビゲーション機器などの種々の車載機器に組み込むことが可能である。
【0130】
以上に説明したように本実施形態の出力回路は、第1論理回路と第1キャパシターと第1バッファー回路とドライバー回路と、を含む。第1論理回路は、第1クロック信号が入力され、イネーブル信号がアクティブであるとき第1クロック信号に基づくクロック信号を出力する。第1バッファー回路は、第1論理回路の出力信号である第1論理回路出力信号が、第1キャパシターを介して入力される。ドライバー回路は、第1バッファー回路の出力信号である第1バッファー回路出力信号に基づいて、第1出力クロック信号を出力する。第1論理回路は、イネーブル信号が非アクティブのとき、第1論理回路出力信号のレベルを、第1バッファー回路の入力ノードである第1バッファー回路入力ノードと同じ論理レベルに設定する。
【0131】
本実施形態によれば、第1論理回路出力信号が第1キャパシターを介して第1バッファー回路に入力されるので、第1論理回路出力信号が第1キャパシターによりDCカットされる。これにより、第1論理回路の電源と第1バッファー回路の電源に様々な電圧を用いることができるので、様々な電圧仕様に対応できる。また、イネーブル信号が非アクティブのとき第1論理回路出力信号が第1バッファー回路入力ノードと同じ論理レベルに設定されるので、第1キャパシターの両端で信号の論理レベルが同一になる。これにより、第1バッファー回路に適正な信号レベルが入力されるようになるので、出力回路が適正な第1クロック信号を出力できる。
【0132】
また本実施形態では、第1バッファー回路は、第1インバーターと第1ラッチ回路とを含んでもよい。第1インバーターは、第1論理回路出力信号が第1キャパシターを介して入力されてもよい。第1ラッチ回路は、第1バッファー回路入力ノードを、第1インバーターの出力信号の論理反転レベルに設定することでラッチ動作を行ってもよい。
【0133】
第1論理回路出力ノードと第1バッファー回路入力ノードの間に第1キャパシターが設けられるので、第1クロック信号が低周波数である場合に第1バッファー回路入力ノードが一次的に不定状態となるおそれがある。この点、本実施形態によれば第1ラッチ回路がラッチ動作を行うことで、第1バッファー回路入力ノードの論理レベルが設定される。
【0134】
また本実施形態では、出力回路は、第2論理回路と第2キャパシターと第2バッファー回路とを含んでもよい。第2論理回路は、第1クロック信号に対して差動の第2クロック信号が入力され、イネーブル信号がアクティブのとき第2クロック信号に基づくクロック信号を出力してもよい。第2バッファー回路は、第2論理回路の出力信号である第2論理回路出力信号が、第2キャパシターを介して入力されてもよい。ドライバー回路は、第1バッファー回路出力信号と、第2バッファー回路の出力信号である第2バッファー回路出力信号とに基づいて、第1出力クロック信号と第2出力クロック信号とを出力してもよい。第2出力クロック信号は、第1出力クロック信号に対して差動のクロック信号であってもよい。第2バッファー回路は、イネーブル信号が非アクティブのとき、第2論理回路出力信号のレベルを、第2バッファー回路の入力ノードである第2バッファー回路入力ノードと同じ論理レベルに設定してもよい。
【0135】
このようにすれば、第2論理回路出力信号が第2キャパシターを介して第2バッファー回路に入力されるので、第2論理回路出力信号が第2キャパシターによりDCカットされる。これにより、第2論理回路の電源と第2バッファー回路の電源に様々な電圧を用いることができるので、様々な電圧仕様に対応できる。また、イネーブル信号が非アクティブのとき第2バッファー回路入力ノードが第2論理回路出力信号と同じ論理レベルに設定されるので、第2キャパシターの両端で信号の論理レベルが同一になる。これにより、第2バッファー回路に適正な信号レベルが入力されるようになるので、出力回路が適正な第2クロック信号を出力できる。
【0136】
また本実施形態では、第1バッファー回路は、第1インバーターと第1ラッチ回路とを含んでもよい。第1インバーターは、第1論理回路出力信号が第1キャパシターを介して入力されてもよい。第1ラッチ回路は、第1バッファー回路入力ノードを、第1インバーターの出力信号の論理反転レベルに設定することでラッチ動作を行ってもよい。第2バッファー回路は、第2インバーターと第2ラッチ回路とを含んでもよい。第2インバーターは、第2論理回路出力信号が第2キャパシターを介して入力されてもよい。第2ラッチ回路は、第2バッファー回路入力ノードを、第2インバーターの出力信号の論理反転レベルに設定することでラッチ動作を行ってもよい。
【0137】
第2論理回路出力ノードと第2バッファー回路入力ノードの間に第2キャパシターが設けられるので、第2クロック信号が低周波数である場合に第2バッファー回路入力ノードが一次的に不定状態となるおそれがある。この点、本実施形態によれば第2ラッチ回路がラッチ動作を行うことで、第2バッファー回路入力ノードの論理レベルが設定される。
【0138】
また本実施形態では、第1論理回路はNAND回路であってもよい。NAND回路は、第1クロック信号とイネーブル信号の否定論理積を、第1論理回路出力信号として出力してもよい。第2論理回路はNOR回路であってもよい。NOR回路は、第2クロック信号と、イネーブル信号の論理反転信号との否定論理和を、第2論理回路出力信号として出力してもよい。
【0139】
第1出力クロック信号と第2出力クロック信号は差動であるため、イネーブル信号が非アクティブのとき第1出力クロック信号と第2出力クロック信号を差動の状態で停止することが望ましい。本実施形態によれば、第1論理回路がハイレベルを出力し、第2論理回路がローレベルを出力する。このとき、第1インバーターはローレベルを出力し、第2インバーターはハイレベルを出力するので、第1出力クロック信号と第2出力クロック信号を差動の状態で停止できる。そして、第1キャパシターの両端の論理レベルが同一になる。同様に、第2キャパシターの両端の論理レベルが同一になる。
【0140】
また本実施形態では、ドライバー回路は、PECL規格の第1出力クロック信号を出力してもよい。
【0141】
PECL規格のクロック信号は、電源電圧を基準に出力される。一方、第1論理回路の電源としては、例えば回路装置の内部電源等を採用してもよい。本実施形態によれば、第1論理回路出力信号が第1キャパシターを介して第1バッファー回路に入力されるので、第1論理回路の電源と、PECL規格のクロック信号の基準である電源電圧とについて、様々な電圧仕様に対応できる。
【0142】
また本実施形態では、ドライバー回路は、第1ドライバー用N型トランジスターを有してもよい。第1ドライバー用N型トランジスターは、電源ノードと出力回路の第1出力ノードとの間に設けられ、ゲートに第1バッファー回路出力信号又は第2バッファー回路出力信号が入力されてもよい。
【0143】
このようにすれば、PECL規格の第1出力クロック信号を出力するドライバー回路を、実現できる。
【0144】
また本実施形態では、ドライバー回路は、LVDS規格の第1出力クロック信号及び第2出力クロック信号を出力してもよい。
【0145】
本実施形態では、ドライバー回路は、LVDS規格に規定された電圧のクロック信号を出力する。このとき、第1バッファー回路及び第2バッファー回路は、クロック信号の電圧に応じた適正な電源で動作することが望ましい。本実施形態によれば、第1論理回路出力信号が第1キャパシターを介して第1バッファー回路に入力され、第2論理回路出力信号が第2キャパシターを介して第2バッファー回路に入力されるので、LVDS規格のクロック信号に応じて、様々な電圧仕様に対応できる。
【0146】
また本実施形態では、ドライバー回路は、定電流回路と第1ドライバー用P型トランジスターと第1ドライバー用N型トランジスターと第2ドライバー用P型トランジスターと第2ドライバー用N型トランジスターとを有してもよい。定電流回路は、電源ノードと第1ノードとの間に設けられてもよい。第1ドライバー用P型トランジスターは、第1ノードと、出力回路の第1出力ノードとの間に設けられ、ゲートに第1バッファー回路出力信号又は第2バッファー回路出力信号が入力されてもよい。第1ドライバー用N型トランジスターは、第1出力ノードとグランドノードとの間に設けられ、ゲートに第1バッファー回路出力信号又は第2バッファー回路出力信号が入力されてもよい。第2ドライバー用P型トランジスターは、第1ノードと、出力回路の第2出力ノードとの間に設けられ、ゲートに第2バッファー回路出力信号又は第1バッファー回路出力信号が入力されてもよい。第2ドライバー用N型トランジスターは、第2出力ノードとグランドノードとの間に設けられ、ゲートに第2バッファー回路出力信号又は第1バッファー回路出力信号が入力されてもよい。
【0147】
このようにすれば、LVDS規格の第1出力クロック信号及び第2出力クロック信号を出力するドライバー回路を、実現できる。
【0148】
また本実施形態では、ドライバー回路は、HCSL規格の第1出力クロック信号及び第2出力クロック信号を出力してもよい。
【0149】
本実施形態では、ドライバー回路は、HCSL規格に規定された電圧のクロック信号を出力する。このとき、第1バッファー回路及び第2バッファー回路は、クロック信号の電圧に応じた適正な電源で動作することが望ましい。本実施形態によれば、第1論理回路出力信号が第1キャパシターを介して第1バッファー回路に入力され、第2論理回路出力信号が第2キャパシターを介して第2バッファー回路に入力されるので、HCSL規格のクロック信号に応じて、様々な電圧仕様に対応できる。
【0150】
また本実施形態では、ドライバー回路は、定電流回路と第1ドライバー用N型トランジスターと第2ドライバー用N型トランジスターとを含んでもよい。定電流回路は、電源ノードと第1ノードとの間に設けられてもよい。第1ドライバー用N型トランジスターは、第1ノードと、出力回路の第1出力ノードとの間に設けられ、ゲートに第1バッファー回路出力信号又は第2バッファー回路出力信号が入力されてもよい。第2ドライバー用N型トランジスターは、第1ノードと、出力回路の第2出力ノードとの間に設けられ、ゲートに第2バッファー回路出力信号又は第1バッファー回路出力信号が入力されてもよい。
【0151】
このようにすれば、HCSL規格の第1出力クロック信号及び第2出力クロック信号を出力するドライバー回路を、実現できる。
【0152】
また本実施形態では、第1バッファー回路は、第1P型トランジスター及び第2P型トランジスターと、第1N型トランジスター及び第2N型トランジスターと、第3P型トランジスターと、第3N型トランジスターと、第4P型トランジスターと、第4N型トランジスターと、を有してもよい。第1P型トランジスター及び第2P型トランジスターは、第1出力クロック信号のハイレベルに対応した第1電圧が入力される第1電圧ノードと、第1バッファー回路の出力ノードである第1バッファー回路出力ノードとの間に電気的に直列接続されてもよい。第1N型トランジスター及び第2N型トランジスターは、第1出力クロック信号のローレベルに対応した第2電圧が入力される第2電圧ノードと、第1バッファー回路出力ノードとの間に電気的に直列接続されてもよい。第3P型トランジスターは、第1電圧ノードと第1バッファー回路出力ノードとの間に設けられてもよい。第3N型トランジスターは、第2電圧ノードと第1バッファー回路出力ノードとの間に設けられてもよい。第4P型トランジスターは、第1電圧ノードと第1バッファー回路入力ノードとの間に設けられてもよい。第4N型トランジスターは、第2電圧ノードと第1バッファー回路入力ノードとの間に設けられてもよい。第1論理回路は、第1論理回路出力信号を、第1キャパシターを介して、第2P型トランジスター及び第2N型トランジスターのゲートに出力してもよい。第1P型トランジスター及び第3N型トランジスターのゲートには、イネーブル信号が非アクティブであるときローレベルであり且つイネーブル信号がアクティブであるときハイレベルである第1出力イネーブル信号が、入力されてもよい。第1N型トランジスター及び第3P型トランジスターのゲートには、ハイレベルが入力されてもよい。第4P型トランジスター及び第4N型トランジスターのゲートは、第1バッファー回路出力ノードに電気的に接続されてもよい。
【0153】
このようにすれば、第1バッファー回路出力信号がローレベルのとき、第4P型トランジスターがオンであり、第4N型トランジスターがオフである。これにより、第4P型トランジスターを介して第1バッファー回路入力ノードがハイレベルに設定される。第1バッファー回路出力信号がハイレベルのとき、第4P型トランジスターがオフであり、第4N型トランジスターがオンである。これにより、第4N型トランジスターを介して第1バッファー回路入力ノードがハイレベルに設定される。このように、第4P型トランジスター及び第4N型トランジスターにより第1ラッチ回路の機能が実現される。また本実施形態によれば、イネーブル信号が非アクティブのとき、第1P型トランジスター及び第1N型トランジスターがオンなので、第1インバーターが動作状態となる。このように、第1P型トランジスター及び第1N型トランジスターにより第1インバーターの機能が実現される。
【0154】
また本実施形態の回路装置は、振動子を発振させる発振回路と、上記のいずれかに記載され、発振回路の発振信号に基づいて第1出力クロック信号を出力する出力回路と、を含む。
【0155】
また本実施形態の発振器は、上記の回路装置と、振動子と、を含む。
【0156】
また本実施形態の電子機器は、上記の回路装置と、回路装置からの第1出力クロック信号により動作する処理装置と、を含む。
【0157】
また本実施形態の移動体は、上記の回路装置と、回路装置からの第1出力クロック信号により動作する処理装置と、を含む。
【0158】
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本開示の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本開示の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また本実施形態及び変形例の全ての組み合わせも、本開示の範囲に含まれる。また出力回路、回路装置、発振器、電子機器及び移動体等の構成及び動作等も、本実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0159】
4…発振器、5…パッケージ、6…ベース、7…リッド、8,9…外部端子、10…振動子、12…回路部品、14…発振器、15…パッケージ、16…ベース、17…リッド、18,19…外部端子、20,21…回路装置、30…発振回路、50…制御回路、80…出力回路、81…波形整形回路、82…レベルシフター、85…電圧生成回路、90…電圧レギュレーター、101,102…論理回路、111,112…キャパシター、121,122…バッファー回路、131,132…ラッチ回路、141,142…インバーター、150…ドライバー回路、191…第1電圧出力回路、192…第2電圧出力回路、193…基準電圧出力回路、206…自動車、207…車体、208…制御装置、209…車輪、220…処理装置、500…電子機器、510…通信インターフェース、520…処理装置、530…操作インターフェース、540…表示部、550…メモリー、ANT…アンテナ、BMP…バンプ、BW…ボンディングワイヤー、CK1,CK2…クロック信号、CKQ1,CKQ2…クロック信号、EN…イネーブル信号、ENX…反転イネーブル信号、ISB,ISC…定電流回路、N1,N2…ノード、NGN…グランドノード、NQ1,NQ2…出力ノード、NS,NSB…入力ノード、NVD…電源ノード、VDD…電源電圧、VGH,VGL…電圧、VREG…レギュレーター電圧
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