(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】液体吐出ヘッド
(51)【国際特許分類】
B41J 2/14 20060101AFI20231219BHJP
B41J 2/18 20060101ALI20231219BHJP
B41J 2/145 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
B41J2/14 603
B41J2/14 605
B41J2/14 609
B41J2/18
B41J2/145
(21)【出願番号】P 2019069604
(22)【出願日】2019-04-01
【審査請求日】2022-03-04
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】水野 泰介
【審査官】小野 郁磨
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-199040(JP,A)
【文献】特開2015-101034(JP,A)
【文献】特開2018-154095(JP,A)
【文献】特開2018-154085(JP,A)
【文献】特開2016-190430(JP,A)
【文献】特開2011-167855(JP,A)
【文献】特開2013-184372(JP,A)
【文献】米国特許第10016991(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に配列された複数の第1ノズル孔から成る第1ノズル孔列と、
前記第1ノズル孔列に対して前記第1方向と交差する第2方向に間隔を空けて、前記第1方向に配列された複数の第2ノズル孔から成る第2ノズル孔列と、
液体を前記第1ノズル孔から吐出させる吐出圧力が付与される第1圧力室と、
前記液体を前記第2ノズル孔から吐出させる吐出圧力が付与される第2圧力室と、
複数の前記第1圧力室及び複数の前記第2圧力室に連通しているマニホールドと、を備え、
前記マニホールドは、
複数の前記第1圧力室と連通している第1流路と、
前記第1流路に設けられ且つ前記液体が外部から流入する第1開口と、
複数の前記第2圧力室と連通している第2流路と、
前記第2流路に設けられ且つ前記液体が外部へ流出する第2開口と、
前記第1流路の一端と前記第2流路の一端とを互いに連通させている第1連通路と、
前記第1流路の他端と前記第2流路の他端とを互いに連通させている第2連通路と、を有し
、
前記第1連通路及び前記第2連通路は、前記第1方向に沿って前記第1流路及び前記第2流路から離れるに伴い前記第1方向に対する傾斜角度が大きく且つ前記第2方向に対する傾斜方向が小さくなり、互いに離隔する方向へ凸状となるように、湾曲しており、
前記マニホールドの上面には、下方へ突出する突起が設けられており、
前記突起は、前記第1流路において前記第1開口から前記第1連通路及び前記第2連通路のそれぞれの連通路に向かうに従って、前記第1流路の延伸方向に直交する方向において中央に近づくように延びている、液体吐出ヘッド。
【請求項2】
第1方向に配列された複数の第1ノズル孔から成る第1ノズル孔列と、
前記第1ノズル孔列に対して前記第1方向と交差する第2方向に間隔を空けて、前記第1方向に配列された複数の第2ノズル孔から成る第2ノズル孔列と、
液体を前記第1ノズル孔から吐出させる吐出圧力が付与される第1圧力室と、
前記液体を前記第2ノズル孔から吐出させる吐出圧力が付与される第2圧力室と、
複数の前記第1圧力室及び複数の前記第2圧力室に連通しているマニホールドと、を備え、
前記マニホールドは、
複数の前記第1圧力室と連通している第1流路と、
前記第1流路に設けられ且つ前記液体が外部から流入する第1開口と、
複数の前記第2圧力室と連通している第2流路と、
前記第2流路に設けられ且つ前記液体が外部へ流出する第2開口と、
前記第1流路の一端と前記第2流路の一端とを互いに連通させている第1連通路と、
前記第1流路の他端と前記第2流路の他端とを互いに連通させている第2連通路と、を有し
、
前記第1連通路及び前記第2連通路は、前記第1方向に沿って前記第1流路及び前記第2流路から離れるに伴い前記第1方向に対する傾斜角度が大きく且つ前記第2方向に対する傾斜方向が小さくなり、互いに離隔する方向へ凸状となるように、湾曲しており、
前記マニホールドの上面には、下方へ突出する突起が設けられており、
前記突起は、前記第2流路において前記第2開口から前記第1連通路及び前記第2連通路のそれぞれの連通路に向かうに従って、前記第2流路の延伸方向に直交する方向において中央から離れるように延びている、液体吐出ヘッド。
【請求項3】
前記第1ノズル孔、前記第2ノズル孔、前記第1圧力室、前記第2圧力室及び前記マニホールドを有し、前記第1開口が同じ前記液体のタンクに接続された第1ユニット及び第2ユニットを備え、
前記第1ユニットの前記第1ノズル孔列及び前記第2ノズル孔列、並びに、前記第2ユニットの前記第1ノズル孔列及び前記第2ノズル孔列が互いに平行となるようにして、前記第1ユニット及び前記第2ユニットは、前記第2方向に並べられている、請求項1
または2に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項4】
前記第1方向において前記第1ノズル孔と前記第2ノズル孔とが交互に配列されており、
前記第1ユニットの前記第1ノズル孔及び前記第2ノズル孔、並びに、前記第2ユニットの前記第1ノズル孔及び前記第2ノズル孔が前記第1方向において同一間隔で配置されている、請求項
3に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項5】
前記第1連通路及び前記第2連通路のそれぞれの連通路の延伸方向に直交する断面の面積は、前記第1流路及び前記第2流路のそれぞれの流路の延伸方向に直交する断面の面積より小さい、請求項1~
4のいずれか一項に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項6】
前記流路における前記連通路との接続部分の断面形状は、前記連通路の断面形状に漸近する形状を有している、請求項
5に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項7】
前記第1開口と前記第2開口とは、複数の前記第1圧力室及び複数の前記第2圧力室の周囲を取り囲んでいる前記マニホールドの中心点を中心に点対称に配置されている、請求項1~
6のいずれか一項に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項8】
前記第1開口は、前記第1流路において当該第1流路の延伸方向の中央に配置され、
前記第2開口は、前記第2流路において当該第2流路の延伸方向の中央に配置されている、請求項1~
7のいずれか一項に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項9】
前記第1開口の中心は、前記第1流路の延伸方向に直交する方向における中央よりも前記第1圧力室側の反対側に設けられており、
前記第2開口の中心は、前記第2流路の延伸方向に直交する方向における中央よりも前記第2圧力室側の反対側に設けられている、請求項1~
8のいずれか一項に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項10】
内部空間が前記第1開口と連通する第1ポートは、前記第1流路に近づくほど拡径している、請求項1~
9のいずれか一項に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項11】
内部空間が前記第2開口と連通する第2ポートは、前記第2流路から離れるほど縮径している、請求項1~
10のいずれか一項に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項12】
前記突起は、前記第1流路及び前記第2流路の少なくともいずれか一方の流路において前記流路の延伸方向に沿って延びている、請求項
1~11のいずれかに記載の液体吐出ヘッド。
【請求項13】
前記突起は、互いに間隔を空けて配置された複数の凸状部を有している、請求項
1~12のいずれか一項に記載の液体吐出ヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出ヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の液体吐出ヘッドを有する装置として、特許文献1の液体噴射ヘッドは、液体を噴射するノズルと、ノズルに連通する圧力発生室と、複数の圧力発生室が連通するマニホールドと、液体噴射ヘッド外に設けられたタンク内の液体をマニホールドに供給する流入路と、液体をマニホールドから流出させてタンクへ導く流出路と、を具備している。マニホールドは、第1の方向に延び、この両側のそれぞれに流入路及び流出路が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の液体噴射ヘッドでは、液体が流入路からマニホールドを介して流出路に流れている間に、液体に含まれる顔料等の成分が沈降し、第1の方向において液体に濃度差が生じてしまう。このため、第1の方向に直交する第2の方向に、液体噴射ヘッドを走査しながら液体をノズルから噴射すると、これにより形成された画像において第1の方向の下流側ほど濃度が薄くなってしまう。よって、隣接する画像において、濃度が濃い部分と濃度が薄い部分とが互いに接するため、画像の品質低下を招いてしまう。
【0005】
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、液体の濃度差を低減することができる液体吐出ヘッドを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様に係る液体吐出ヘッドは、第1方向に配列された複数の第1ノズル孔から成る第1ノズル孔列と、前記第1方向に配列された複数の第2ノズル孔から成る第2ノズル孔列と、液体を前記第1ノズル孔から吐出させる吐出圧力が付与される第1圧力室と、前記液体を前記第2ノズル孔から吐出させる吐出圧力が付与される第2圧力室と、複数の前記第1圧力室及び複数の前記第2圧力室に連通しているマニホールドと、を備え、前記第1方向において前記第1ノズル孔と前記第2ノズル孔とが交互に配列されており、前記マニホールドは、複数の前記第1圧力室と連通している第1流路と、前記第1流路に設けられ且つ前記液体が外部から流入する第1開口と、複数の前記第2圧力室と連通している第2流路と、前記第2流路に設けられ且つ前記液体が外部へ流出する第2開口と、前記第1流路と前記第2流路とを互いに連通させている第1連通路及び第2連通路と、を有している。
【0007】
この構成によれば、各開口が各流路に設けられているため、各流路において延伸方向における各開口からの長さが短くなる。これにより、液体が流れている間に含有物が沈降していき、液体の濃度が薄くなる状態においても、各流路における液体の濃度差を小さく抑えることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、以上に説明した構成を有し、液体の濃度差を低減することができる液体吐出ヘッドを提供することができるという効果を奏する。
【0009】
本発明の上記目的、他の目的、特徴、及び利点は、添付図面参照の下、以下の好適な実施態様の詳細な説明から明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施の形態1に係る液体吐出ヘッドを備える液体吐出装置を概略的に示す図である。
【
図2】
図1の液体吐出ヘッドを上側から視た概略図である。
【
図3】
図2のA-A線に沿って切断したヘッドの断面図である。
【
図4】
図1の液体吐出装置により吐出されたドットを示す図である。
【
図5】本発明の変形例1に係る液体吐出ヘッドを上側から視た概略図である。
【
図6】本発明の変形例2に係る液体吐出ヘッドを上側から視た概略図である。
【
図7】本発明の変形例3に係る液体吐出ヘッドの断面図である。
【
図8】本発明の実施の形態2に係る液体吐出ヘッドを上側から視た概略図である。
【
図9】本発明の実施の形態3に係る液体吐出ヘッドを上側から視た概略図である。
【
図10】
図9のB-B線に沿って切断したヘッドの断面図である。
【
図11】本発明の変形例4に係る液体吐出ヘッドを上側から視た概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0012】
(実施の形態1)
<液体吐出装置の構成>
本発明の実施形態1に係る液体吐出ヘッド(以下、「ヘッド」と称する。)20を備える液体吐出装置10は、液体を吐出する装置である。以下では、液体吐出装置10を、インク等の液体をインクジェットプリンタに適用した例について説明するが、液体吐出装置10はこれに限定されない。
【0013】
液体吐出装置10は、
図1に示すように、ラインヘッド方式が採用され、プラテン11、搬送部、ヘッドユニット16、貯留タンク12及び制御部13を備えている。但し、液体吐出装置10はラインヘッド方式に限定されず、例えば、シリアルヘッド方式等の他の方式も採用し得る。
【0014】
プラテン11は、平板部材であり、上面に用紙14が配置され、その用紙14とヘッドユニット16との距離を決める。なお、プラテン11よりもヘッドユニット16側を上側と称し、その反対側を下側と称するが、液体吐出装置10の配置はこれに限定されない。
【0015】
搬送部は、例えば、2つの搬送ローラ15、及び、搬送モータ(図示せず)を有する。2つの搬送ローラ15は、搬送方向にプラテン11を互いの間に挟み、平行に配置されており、搬送モータに連結されている。この搬送モータが駆動されると、搬送ローラ15が回転し、プラテン11上の用紙14が搬送方向に搬送される。
【0016】
ヘッドユニット16は、用紙14が搬送される方向(搬送方向)に直交する方向(直交方向)における用紙14の長さ以上の長さを有している。ヘッドユニット16には、複数のヘッド20が設けられている。
【0017】
ヘッド20は、流路形成体と容積変更部の積層体を有している。流路形成体は、内部に液体流路が形成され、下面(吐出面31a)に複数のノズル孔21aが開口している。容積変更部は、駆動されて、液体流路の容積を変更する。このとき、ノズル孔21aでは、メニスカスが振動し、液体が吐出される。なお、ヘッド20の詳細に関しては後述する。
【0018】
貯留タンク12は、インクの種類ごとに設けられている。例えば、4つの貯留タンク12には、ブラック、イエロー、シアン、マゼンタのインクがそれぞれ貯留されている。この貯留タンク12のインクは、対応するノズル孔21aに供給される。
【0019】
制御部13は、CPU等の演算部、RAM及びROM等の記憶部、及び、ASIC等のドライバICを備えている。制御部13では、CPUが、各種要求及びセンサの検出信号を受けて、RAMに各種データを記憶させると共に、ROMに記憶されたプログラムに基づいて各種の実行指令をASICへ出力する。ASICは、この指令に基づいて、各ドライバICを制御し対応する動作を実行する。これにより、搬送モータ及び容積変更部が駆動される。
【0020】
例えば、制御部13は、ヘッドユニット16の吐出動作、及び、用紙14の搬送動作等を実行する。吐出動作では、ヘッドユニット16のノズル孔21aからインクが吐出される。また、搬送動作では、用紙14が搬送方向に所定量毎搬送される。吐出動作と共に搬送動作が実行されて、印刷処理が進む。
【0021】
<ヘッドの構成>
ヘッド20は、上述のように、流路形成体及び容積変更部を備えている。
図2及び
図3に示すように、流路形成体は複数のプレートの積層体であり、容積変更部は圧電素子50及び振動板38を有している。
【0022】
複数のプレートは、ノズルプレート31、第1流路プレート32、第2流路プレート33及び収容プレート34を含んでいる。これらのプレートは、この順で積層方向に積層されている。
【0023】
各プレートには、大小様々な孔及び溝が形成されている。各プレートが積層された流路形成体の内部では孔及び溝が組み合わされて、例えば、複数のノズル40a、40b、複数の個別流路及びマニホールド60が液体流路として形成されている。マニホールド60は、第1流路61及び第2流路62を有している。この各部の詳細については後述する。
【0024】
ノズルプレート31には、複数の第1ノズル40a及び複数の第2ノズル40bが積層方向に貫通し形成されている。ノズルプレート31の吐出面31aには、第1ノズル40aの開口(第1ノズル孔41a)が第1方向に並んで第1ノズル列を形成し、第2ノズル40bの開口(第2ノズル孔41b)が第1方向に並んで第2ノズル列を形成している。
【0025】
なお、第1方向は、積層方向に直交した方向であって、搬送方向に沿っていてもよいし、搬送方向に傾斜していてもよい。また、第2方向は、積層方向に直交し且つ第1方向に交差(例えば、直交)する方向であって、走査方向に沿っていてもよいし、走査方向に傾斜していてもよい。
【0026】
第1ノズル列及び第2ノズル列は第2方向に間隔を空けて、互いに平行に配置されている。また、第1ノズル孔41aと第2ノズル孔41bは、第1方向に互い違いに配列されていてもよいし、第2方向に並んで配置されていてもよい。
【0027】
個別流路は、第1ノズル40a及び第1流路61に接続される第1個別流路、及び、第2ノズル40b及び第2流路62に接続される第2個別流路を有している。第1個別流路及び第2個別流路は、第2方向において、第1ノズル40a及び第2ノズル40bが互いに隣接し、第1流路61及び第2流路62がこれらを互いの間に挟むように配置されている。
【0028】
第1個別流路は、絞り流路43、第1圧力室44a及びディセンダ45を有し、これらはこの順に配置されている。第2個別流路は、絞り流路43、第2圧力室44b及びディセンダ45を有し、これらはこの順に配置されている。なお、第1圧力室44a及び第2圧力室44bは、第2方向において互いの間に間隔を空けて、配列領域Cにおいて第1方向に配列されている。
【0029】
第1流路プレート32には、第1流路61、第2流路62、絞り流路43及びディセンダ45が設けられている。ディセンダ45は、第1流路プレート32を積層方向に貫通し、上端が圧力室44a、44bに接続され、下端がノズル40a、40bに接続されている。
【0030】
第1流路61及び第2流路62は、第1流路プレート32の下面から窪み、第1方向に延びている。第1流路61は、その延伸方向に直交する断面がL字形状であって、その下部において第1ノズル40a側に突出する突出部分61aを有している。第2流路62は、その延伸方向に直交する断面がL字形状であって、その下部において第2ノズル40b側に突出する突出部分62aを有している。
【0031】
第1流路61及び第2流路62の下側開口は、ダンパー膜37により覆われている。ダンパー膜37は、可撓性を有するフィルム状部材であって、変形することによって各流路61、62の液体の圧力変動を抑制している。
【0032】
絞り流路43は、突出部分61a、62aから上方へ延び、第1流路プレート32を積層方向に貫通し、上端が圧力室44a、44bに接続されている。
【0033】
第2流路プレート33には、圧力室44a、44bが設けられている。圧力室44a、44bは、第2流路プレート33の下面から窪んで、第2方向に延び、一端が絞り流路43に接続され、他端がディセンダ45に接続されている。
【0034】
第2流路プレート33において圧力室44a、44bの上方には、振動板38が設けられる。なお、振動板38は、第2流路プレート33とは別のプレートにより形成されていてもよい。この場合、圧力室44a、44bは積層方向に第2流路プレート33を貫通し、振動板38は第2流路プレート33上に積層されて、圧力室44a、44bの上側開口を覆っていてもよい。
【0035】
収容プレート34には、圧電素子50を収容する第1収容空間46が形成されている。第1収容空間46は、圧力室44a、44bの上に重なるように配置されており、収容プレート34の下面から窪んで、第1方向に延びている。また、収容プレート34上には、ドライバIC55が搭載された電子回路が配置されている。
【0036】
圧電素子50は、共通電極51、圧電層52及び個別電極53を含み、振動板38上にこの順で配置されている。個別電極53は、圧力室44a、44b毎に設けられ、圧力室44a、44b上に配置されている。共通電極51は、振動板38の全面を覆っている。このとき、1つの個別電極53、共通電極51及び両電極で挟まれた部分の圧電層52(活性部)により、1つの圧電素子50が構成される。
【0037】
個別電極53は、ドライバIC55に電気的に接続されている。このドライバIC55は、制御部13(
図1)から制御信号を受けて、駆動信号(電圧信号)を生成し、個別電極53に印加する。これに対し、共通電極51は、常にグランド電位に保持されている。
【0038】
駆動信号に応じて、圧電層52の活性部が、2つの電極51、53と共に面方向に伸縮する。これに応じて、振動板38が協働して変形し、圧力室44a、44bの容積を増減する方向に変化する。これにより、圧力室44a、44bに、液体をノズル40a、40bから吐出させる吐出圧力が付与される。
【0039】
<マニホールドの構成>
マニホールド60は、複数の個別流路に液体を供給する共通流路であって、複数の個別流路に接続されている。マニホールド60は、第1流路61、第2流路62、第1開口63、第2開口64、第1連通路65及び第2連通路66を有している。
【0040】
第1流路61は複数の第1個別流路に接続され、第2流路62は複数の第2個別流路に接続されている。第1流路61及び第2流路62は、第1方向において圧力室44a、44bの配列領域Cよりも長く延び、第2方向において互いの間に第1個別流路及び第2個別流路を挟むように配置されている。第1流路61及び第2流路62は、第1方向における寸法が互いに等しく、第1方向に直交する断面積が互いに等しい。
【0041】
第1開口63は、第1方向における第1流路61の中央に配置されている。第1開口63は、第1流路プレート32の上部に設けられた第1孔部を介して第1ポート71の内部空間に接続されている。
【0042】
第1ポート71は、例えば、円筒形状であって、第1孔部の周囲を取り囲むように第1流路プレート32の上面に取り付けられ、第1流路プレート32の上面から上方へ突出している。これにより、第1流路61は第1開口63を介して第1ポート71の内部空間と連通している。なお、第1ポート71は第1流路プレート32と一体的に形成されていてもよい。
【0043】
第2開口64は、第1方向における第2流路62の中央に配置されている。第2開口64は、第1流路プレート32の上部に設けられた第2孔部を介して第2ポート72の内部空間が接続されている。
【0044】
第2ポート72は、例えば、円筒形状であって、第2孔部の周囲を取り囲むように第1流路プレート32の上面に取り付けられ、第1流路プレート32の上面から上方へ突出している。これにより、第2流路62は第2開口64を介して第2ポート72の内部空間と連通している。なお、第2ポート72は第1流路プレート32と一体的に形成されていてもよい。
【0045】
第1開口63及び第2開口64は、第2方向に延びる同一直線上に配置されており、サイズ及び形状が互いに等しい。また、第1開口63は、第1流路61において第2方向における第1圧力室44a側の反対側に配置され、第2開口64は、第2流路62において第2方向における第2圧力室44b側の反対側に配置されている。
【0046】
第1連通路65は第1流路61の一端及び第2流路62の一端に接続され、第2連通路66は第1流路61の他端及び第2流路62の他端に接続されている。これにより、第1流路61及び第2流路62は、第1連通路65及び第2連通路66を介して互いに連通している。
【0047】
第1連通路65及び第2連通路66は、例えば、樹脂製の形成部材35により形成されており、この形成部材35は第1流路プレート32に固定されている。なお、形成部材35は第1流路プレート32と一体的に形成されていてもよい。
【0048】
第1連通路65は、その中心軸に直交する断面積が、第1流路61及び第2流路62の各断面積よりも小さい。第2連通路66は、その中心軸に直交する断面積が、第1流路61及び第2流路62の各断面積よりも小さい。第1連通路65の断面積及び第2連通路66の断面積は互いに等しい。
【0049】
第1連通路65及び第2連通路66は、第1流路61及び第2流路62のそれぞれの流路から離れるに伴い、第1方向から第2方向に傾斜方向を変えるように湾曲している。このため、第1連通路65及び第2連通路66は、互いに離隔する方向へ凸状となるように湾曲しており、各流路61、62を挟んで線対称に形成されている。
【0050】
このように、第1流路61、第2流路62、第1連通路65及び第2連通路66により形成されるマニホールド60は、積層方向に対して直交する方向(第1方向及び第2方向を含む方向)において、第1圧力室44a及び第2圧力室44bの周囲を取り囲むように配置されている。この積層方向に沿って視た場合、マニホールド60の中心点60aを中心に点対称な位置に、第1開口63及び第2開口64は配置されている。
【0051】
<マニホールドにおける液体の流れ>
図2に示すように、第1ポート71は供給配管81によりサブタンク80に接続され、供給配管81には加圧ポンプ83が設けられている。第2ポート72は帰還配管82によりサブタンク80に接続され、帰還配管82には負圧ポンプ84が設けられている。このサブタンク80は、例えば、ヘッド20上に配置されており、貯留タンク12(
図1)に接続されている。
【0052】
各ポンプ83、84が駆動されると、液体は、サブタンク80から供給配管81を通り第1ポート71の内部空間を介して第1開口63から第1流路61の中央に流入する。この際、液体は、第1流路61よりも上側から第1流路61に流入し、第1流路61において下方へ流れ底面に衝突する。このため、液体に含まれる顔料等の含有物が拡散され、含有物の沈殿が低減される。
【0053】
そして、液体は、第1方向における中央から両端に向かって分流し、第1方向に流れていく。ここで、液体の一部は、第1個別流路に流入し、ここで、絞り流路43、第1圧力室44a及びディセンダ45をこの順で流通し、第1ノズル40aに至り、この第1ノズル孔41aから吐出される。
【0054】
残る液体は、第1流路61の一端から第1連通路65に流入すると共に、第1流路61の他端から第2連通路66に流入する。そして、液体は、湾曲する各連通路65、66に沿って流れる。これにより、液体の流れの方向が、第1方向の一方側、第2方向及び第1方向の他方側へ徐々に変化するため、液体はスムーズに各連通路65、66を流通し、気泡を排出することができる。
【0055】
そして、液体は、各連通路65、66から第2流路62に流入し、第1方向における両端から中央に向かって流れる。ここで、液体の一部は、第2個別流路に流入し、ここで、絞り流路43、第2圧力室44b及びディセンダ45をこの順で流通し、第2ノズル40bに至り、この第2ノズル孔41bから吐出される。
【0056】
残る液体のうち、第1連通路65から流通した液体と、第2連通路66から流通した液体とは、第2流路62の中央で合流する。これにより、液体の含有物が拡散されて、含有物の沈殿が低減される。
【0057】
そして、液体は、第2流路62の中央から第2開口64及び第2ポート72の内部空間を介して流出し、帰還配管82を通りサブタンク80へ戻る。これにより、個別流路に流入しなかった液体は、サブタンク80とマニホールド60との間を循環する。
【0058】
<印刷処理>
印刷処理では、吐出動作、走査動作及び搬送動作が行われる。各ノズル40a、40bから液体が吐出される吐出動作によって、用紙14(
図1)上において、
図4に示すように、第1列の第1ノズル孔41aから吐出される液体のドット(第1ドットt1)が第1方向に並び、第2列の第2ノズル孔41bから吐出される液体のドット(第2ドットt2)が第1方向に並ぶ。
【0059】
また、吐出動作と共に、ヘッド20が走査方向(第2方向)に移動する走査動作が行われる。これにより、第1ドットt1及び第2ドットt2が第2方向に形成されていき、部分画像iが作成される。
【0060】
そして、用紙14が搬送方向(第1方向)に所定距離、搬送されてから、吐出動作及び走査動作が実行される。このようにして、部分画像iが第1方向に並んでいき、全体画像が作成されていく。
【0061】
<作用、効果>
ヘッド20では、マニホールド60は、第1流路61、第1開口63、第2流路62、第2開口64、第1連通路65及び第2連通路66を有している。第1流路61は複数の第1圧力室44aと連通し、第1開口63は、第1流路61に設けられ且つ液体が外部から流入する。第2流路62は、複数の第2圧力室44bと連通し、第2開口64は第2流路62に設けられ且つ液体が外部へ流出する。第2連通路66は第1流路61の一端と第2流路62の一端とを互いに連通させ、第2連通路66は第1流路61の他端と第2流路62の他端とを互いに連通させている。
【0062】
このようなマニホールド60では、液体が流れている間に液体の含有物が沈降していき、液体の濃度が薄くなっていく。これに対し、第1開口63が第1流路61に設けられ、第2開口64が第2流路62に設けられている。このため、各流路61、62において第1方向における各開口63、64からの距離を短くすることにより、液体の濃度差を小さくすることができる。
【0063】
このため、各流路61、62からノズル孔41a、41bを介して吐出される液体により形成される部分画像iにおいて、第1方向の濃度差を小さく抑えることができる。さらに、第1方向に並ぶ部分画像iどうしの濃度変化も小さく抑え、全体画像における部分画像iどうしの境目も目立たなくすることができる。この結果、液体の濃度差による画像の品質低下を抑制することができる。
【0064】
また、液体は第1流路61から第2流路62に流れるため、第1流路61における液体の濃度が第2流路62における液体の濃度よりも濃くなる。但し、第1流路61及び第2流路62が第2方向に並ぶ。
【0065】
この第1流路61に連通する複数のノズル孔41aから吐出される液体による第1ドットt1は、第2流路62に連通するノズル孔41bから吐出される液体による第2ドットt2よりも濃い。また、第1方向に配列された複数の第1ドットt1において、第1方向の中央に近いほど、第1ドットt1は濃くなる。第1方向に配列された複数の第2ドットt2は、第1方向に配列される。複数の第2ドットt2において、第1方向の中央に近いほど、第2ドットt2は薄くなる。
【0066】
但し、濃い第1ドットt1が薄い第2ドットt2を補完する。よって、液体の濃度差による画像の品質低下を抑制することができる。
【0067】
さらに、仮に、開口63、64が連通路65、66に設けられると、これらを連通するために、連通路65、66のサイズは開口63、64のサイズに応じて大きくなってしまう。これに対し、このヘッド10では、開口63、64が連通路65、66に設けられない。このため、連通路65、66は、開口63、64のサイズ及び位置に制限されず、サイズを小さくすることができる。また、第1ノズル孔列及び第2ノズル孔列に対して1つのマニホールド60であるため、ヘッド20をコンパクト化することができる。
【0068】
ヘッド20では、第1連通路65及び第2連通路66は、互いに離隔する方向へ凸状となるように湾曲している。この構成によれば、液体は、湾曲した各連通路65、66に沿って滞留する事なく流れ、気泡を排出することができる。
【0069】
ヘッド20では、第1連通路65及び第2連通路66のそれぞれの連通路の延伸方向に直交する断面の面積は、第1流路61及び第2流路62のそれぞれの流路の延伸方向に直交する断面の面積より小さい。この構成によれば、連通路65、66における液体の流速を流路61、62よりも高め、気泡を連通路65、66から流路61、62を介して第2開口64から外部へ排出することができる。
【0070】
ヘッド20では、第1連通路65の断面積及び第2連通路66の断面積を互いに等しくし、第1流路61の断面積及び第2流路62の断面積を互いに等しくしている。この構成によれば、第1連通路65及び第2連通路66における流路抵抗を互いに等しく、第1流路61及び第2流路62における流路抵抗を互いに等しくなる。これにより、第1流路61において第1開口63からの距離に応じた液体の濃度変化と、第2流路62において第2開口64からの距離に応じた液体の濃度変化とを等しくすることができる。
【0071】
ヘッド20では、第1開口63は、第1流路61において当該第1流路61の延伸方向の中央に配置されている。また、第2開口64は、第2流路62において当該第2流路62の延伸方向の中央に配置されている。この構成によれば、第1方向において開口63、64からの流路61、62の長さが長くなるのを抑制し、第1方向における液体の濃度差を小さく抑えることができる。
【0072】
ヘッド20では、第1開口63の中心63aは、第1流路61の延伸方向に直交する方向における中央よりも第1圧力室44a側の反対側に設けられている。第2開口64の中心64aは、第2流路62の延伸方向に直交する方向における中央よりも第2圧力室44b側の反対側に設けられている。
【0073】
例えば、仮に開口63、64を流路61、62において第2方向における圧力室44a、44b側に設けると、第2方向における圧力室44a、44b側の反対側において液体が滞留してしまう。これに対し、開口63、64を圧力室44a、44b側の反対側に設けることにより、ここの液体の滞留を低減することができる。また、ノズル40a、40bからの液体の吐出に応じて、液体は流路61、62から圧力室44a、44b側に流入するため、流路61、62における圧力室44a、44b側では液体が流れ、液体の滞留を抑制することができる。
【0074】
<変形例1>
変形例1に係るヘッド20では、
図5に示すように、第1流路161における連通路65、66との接続部分の断面形状は、連通路65、66の断面形状に漸近する形状を有していてもよい。第2流路162における連通路65、66との接続部分の断面形状は、連通路65、66の断面形状に漸近する形状を有していてもよい。これ以外の構成及び作用、効果は上記と同様であるため、その説明を省略する。
【0075】
例えば、流路161、162は、直管部167、及び、第1方向において互いの間に直管部167を挟む一対の縮径部168を有している。直管部167は、配列領域Cに配置され、第1方向において断面積が変化せず一定である。
【0076】
一方の縮径部168は第1方向において配列領域Cよりも一端側に設けられ、他方の縮径部168は第1方向において配列領域Cよりも他端側に設けられている。各縮径部168は、配列領域Cから一端側及び他端側のそれぞれに向かって小さくなっており、小径端、及び、小径端よりも寸法が大きい大径端を有している。大径端は、直管部167の端に接続され、直管部167と同じサイズ及び形状を有している。小径端は、各連通路65、66の端に接続され、各連通路65、66と同じサイズ及び形状を有している。
【0077】
このような縮径部168により直管部167から連通路65、66に向かって連続的に縮径しており、直管部167と縮径部168との間、及び、縮径部168と連通路65、66との間に段差及び角部が設けられない。このため、液体は縮径部168に沿って直管部167と連通路65、66との間を淀みなく流れ、含有物の拡散及び気泡の排出を円滑に行うことができる。
【0078】
<変形例2>
変形例2に係るヘッド20では、
図6に示すように、第1開口163と第2開口164とは、複数の第1圧力室44a及び複数の第2圧力室44bの周囲を取り囲んでいるマニホールド60の中心点60aを中心に点対称に配置されていてもよい。これ以外の構成及び作用、効果は上記と同様であるため、その説明を省略する。
【0079】
すなわち、
図2では、第2方向においてマニホールド60の中心点60aを挟むように第1開口63及び第2開口64が配置されていた。但し、第1開口163及び第2開口164は中心点60aを中心に点対称な位置であれば、これに限定されない。例えば、
図6に示すように、第1方向において、第1開口163が第2開口164よりも第2連通路66側に配置されていてもよい。この場合、第1開口163の中心点163a、中心点60a及び第2開口164の中心点164aが同一直線上にこの順で並ぶ。
【0080】
この構成によれば、第1方向において開口163、164から端までの流路61、62の長さが長くなるのを抑制し、第1方向における液体の濃度差を小さく抑えることができる。さらに、第1開口163及び第2開口164は、第1方向における位置がずれ、第2方向において同一直線上に並ばない。このため、第1開口163上に設けられた第1ポート71、及び、第2開口164上に設けられ第2ポート72に配管を接続し易い。
【0081】
<変形例3>
変形例3に係るヘッド20では、
図7に示すように、内部空間が第1開口63と連通する第1ポート171は、第1流路61に近づくほど拡径していてもよい。内部空間が第2開口64と連通する第2ポート172は、第2流路62から離れるほど縮径していてもよい。これ以外の構成及び作用、効果は上記と同様であるため、その説明を省略する。
【0082】
このように、第1ポート171は、その第1上端開口171aの寸法が第1下端開口171bの寸法よりも小さい。このため、第1ポート171は、例えば、円錐台等の切頭錐体形状であって、第1上端開口171aから第1下端開口171bに向かって断面積が大きくなるように直線状に傾斜している。
【0083】
第1下端開口171bが第1孔部を介して第1流路61の第1開口63に接続され、第1ポート171の内部空間は第1開口63を介して第1流路61に連通している。これにより、第1ポート171内から第1流路61に流入した流れの向きは、下方に加えて、これに直交する方向も有する。このため、液体は第1流路61において広い範囲に拡散し、流れを均等化することができる。
【0084】
また、第2ポート172は、その第2上端開口172aの寸法が第2下端開口172bの寸法よりも小さい。このため、第2ポート172は、例えば、円錐台等の切頭錐体形状であって、第2下端開口172bから上端開口172aに向かって断面積が小さくなるように直線状に傾斜している。
【0085】
第2下端開口172bが第2孔部を介して第2流路62の第2開口64に接続され、第2ポート172の内部空間は第2開口64を介して第2流路62に連通している。これにより、第2流路62から第2ポート172内へ流れる際、第2ポート172の縮径に伴って流速が速まっていく。このため、気泡を第2流路62から効率よく排出することができる。
【0086】
(実施の形態2)
実施の形態2に係るヘッド20では、
図8に示すように、第1ユニット21及び第2ユニット22は第2方向に並べられていてもよい。これ以外の構成及び作用、効果は上記と同様であるため、その説明を省略する。
【0087】
具体的には、第1ユニット21は、第1ノズル孔41af、第2ノズル孔41bf、第1圧力室44af、第2圧力室44bf及びマニホールド60fを有している。マニホールド60fは、第1流路61f、第1開口63f、第2流路62f、第2開口64f、第1連通路65f及び第2連通路66fを有している。
【0088】
第2ユニット22は、第1ノズル孔41as、第2ノズル孔41bs、第1圧力室44as、第2圧力室44bs及びマニホールド60sを有している。マニホールド60sは、第1流路61s、第1開口63s、第2流路62s、第2開口64s、第1連通路65s及び第2連通路66sを有している。
【0089】
第1ユニット21及び第2ユニット22は、第2方向に互いに隣接して並べられている。ここで、第2方向において、第1流路61fと第2流路62sとの間に、第2流路62f及び第1流路61sが互いに隣接するように、第1ユニット21及び第2ユニット22は配置される。
【0090】
また、第1開口63f及び第1開口63sが同じ液体のサブタンク80の供給口に接続され、第2開口64f及び第2開口64sが同じ液体のサブタンク80の排出口に接続されている。開口63f、63s、64f、64sは、同じサブタンク80に接続されていてもよいし、同じ種類の液体の異なるサブタンク80に接続されていてもよい。このため、同じ種類の液体が第1開口63f、63sに供給され、マニホールド60f、60sを通り、第2開口64f、64sから排出される。
【0091】
さらに、第1ノズル孔41afの第1ノズル孔列及び第2ノズル孔41bfの第2ノズル孔列、並びに、第1ノズル孔41asの第1ノズル孔列及び第2ノズル孔41bsの第2ノズル孔列は、第2方向においてこの順で並び、互いに平行に配列されている。
【0092】
第1ユニット21では、第1方向において第1ノズル孔41afと第2ノズル孔41bfとが交互に配列されている。第2ユニット22では、第1方向において第1ノズル孔41asと第2ノズル孔41bsとが交互に配列されている。
【0093】
各ノズル列において第1方向に並ぶ第n番目(n:自然数)の第1ノズル孔41af、第2ノズル孔41bs、第2ノズル孔41bf及び第1ノズル孔41asは、第1方向にいてこの順で並び、同一間隔dで配置されている。なお、第1ユニット21の第1ノズル孔41af及び第2ノズル孔41bs、並びに、第2ユニット22の第1ノズル孔41as及び第2ノズル孔41bsが第1方向において同一間隔で配置されていれば、第1方向におけるノズル孔の順番はこれに限定されない。
【0094】
つまり、第1方向において互いに隣接する第1ノズル孔41afと第2ノズル孔41bsとの第1方向の間隔はdである。第1方向において互いに隣接する第2ノズル孔41bsと第2ノズル孔41bfとの第1方向の間隔はdである。第1方向において互いに隣接する第2ノズル孔41bfと第1ノズル孔41asとの第1方向の間隔はdである。
【0095】
そして、第n番目の配列における第1ノズル孔41asと、第n+1番目の配列における第1ノズル孔41afとが、第1方向に隣接する。この第1方向の間隔もdである。このように、第1ノズル孔41af、第2ノズル孔41bs、第2ノズル孔41bf及び第1ノズル孔41asは、第1方向に所定間隔d毎に並び、第2方向に重ならないように配置されている。
【0096】
これにより、ノズル孔41a、41bから吐出された液体によるドットは、第1方向に等間隔に並び、画像が形成される。よって、画像において第1方向における色ムラ等を低減することができる。
【0097】
また、1つのユニットよりも2つのユニット21、22を用いることにより、ノズル孔41af、41bf、41as、41bsの間隔dを狭くすることができる。よって、画像におけるドットの高密度化が図られる。
【0098】
さらに、第1ユニット21において第1方向において第1ノズル孔41af及び第2ノズル孔41bfは、等間隔2dで交互に並ぶ。また、第2ユニット22において第1方向に沿って第1ノズル孔41as及び第2ノズル孔41bsは、等間隔2dで交互に並ぶ。このため、各ユニット21、22を単体で用いることもでき、また、第1ユニット21と第2ユニット22とを組み合わせて用いることもできる。これにより、製品コストの増加を抑制することができる。
【0099】
なお、実施の形態2に係るヘッド20において、変形例1~3の少なくともいずれかの構成を適用してもよい。
【0100】
(実施の形態3)
実施の形態3に係るヘッド20では、
図9及び
図10に示すように、マニホールド60の上面には、下方へ突出する突起が設けられていてもよい。これ以外の構成及び作用、効果は上記と同様であるため、その説明を省略する。
【0101】
具体的には、突起は、第1流路61に設けられた第1突起91、及び、第2流路62に設けられた第2突起92を有している。第1突起91と第2突起92とは、互いに同じ寸法及び形状を有していてもよい。
【0102】
第1突起91は、第1開口63と第1連通路65との間において第1方向に延び、また、第1開口63と第2連通路66との間において第1方向に延びている。第2突起92は、第2開口64と第1連通路65との間において第1方向に延び、また、第2開口64と第2連通路66との間において第1方向に延びている。
【0103】
第1突起91は、第1方向において第1開口63の中心63aに重なるように配置され、第2突起92は、第1方向において第2開口64の中心64aに重なるように配置されている。なお、第1突起91は第2方向において第1流路61の中心に配置され、第2突起92は第2方向において第2流路62の中心に配置されていてもよい。
【0104】
第1突起91は複数の第1凸状部93を有し、複数の第1凸状部93は第1方向に間隔を空けながら配列されている。第2突起92は複数の第2凸状部94を有し、複数の第2凸状部94は第1方向に間隔を空けながら配列されている。各凸状部93、94は、第2方向よりも第1方向に長く延びている。
【0105】
このように、突起91、92は流路61、62の上面から下方へ突出している。これにより、液体は、突起91、92に沿って流路61、62の下方へ流れるため、液体の含有物の沈降を軽減し、液体の濃度差を低減することができる。
【0106】
また、突起91、92は流路61、62において流路61、62の延伸方向(第1方向)に沿って延びている。これにより、突起91、92に沿って液体がマニホールド60の延伸方向へ流れるため、この流れにより気泡が流路61、62を移動するため、気泡の滞留を抑制することができる。
【0107】
さらに、突起91、92は、互いに間隔を空けて配置された複数の凸状部93、94を有している。これにより、隣接する凸状部93の間隔、並びに、隣接する凸状部94の間隔に気泡を通して排出することができる。
【0108】
なお、上記構成では、第1突起91が第1流路61に設けられ、且つ、第2突起92が第2流路62に設けられていた。これに対し、第1突起91が第1流路61に設けられ、且つ、第2突起92が第2流路62に設けられていなくてもよい。又は。第1突起91が第1流路61に設けられず、且つ、第2突起92が第2流路62に設けられていてもよい。
【0109】
<変形例4>
変形例4に係るヘッド20では、
図11に示すように、第1突起191は、第1流路61において第1開口63から第1連通路65及び第2連通路66のそれぞれの連通路に向かうに従って、第1流路61の延伸方向に直交する方向において中央に近づくように延びていてもよい。これ以外の構成及び作用、効果は上記と同様であるため、その説明を省略する。
【0110】
具体的には、第1突起191は、2組の対の第1突起191e、191fを有している。一方の一対の第1突起191e、191fは、第1方向において第1開口63と第1連通路65との間に配置されている。他方の一対の第1突起191e、191fは、第1開口63と第2連通路66との間に配置されている。
【0111】
一対の第1突起191e及び第1突起191fは、上方から視たとき、上下方向に直交する方向(第1方向及び第2方向を含む方向)において、V字状に配置されている。一対の第1突起191e及び第1突起191fは、第2方向に間隔を空けて配置されており、この間隔が第1開口63から各連通路65、66に向かって狭くなるように配置されている。
【0112】
第1突起191eにおいて、複数の第1凸状部193eは、第1方向と第2方向との間の傾斜方向において、間隔を空けながら直線上に配列されている。第1突起191fにおいて、複数の第1凸状部193fは、第1方向と第2方向との間の傾斜方向において、間隔を空けながら直線上に配列されている。第1凸状部193e及び第1凸状部193fは、互いに同じサイズ及び形状を有し、第2方向において互いに並ぶように配置されている。
【0113】
このように、第1突起191は、第1流路61において第1開口63側から連通路65、66側に向かって第2方向の中央側に近づくように延びている。この中央側ほど液体の流れが速い。このため、気泡は、中央に向かって延びる第1突起191に沿って流れが速い中央に寄せられるため、効率よく第1流路61から排出される。
【0114】
<変形例5>
変形例5に係るヘッド20では、
図11に示すように、第2突起192は、第2流路62において第2開口64から第1連通路65及び第2連通路66のそれぞれの連通路に向かうに従って、第2流路62の延伸方向に直交する方向において中央から離れるように延びていてもよい。これ以外の構成及び作用、効果は上記と同様であるため、その説明を省略する。
【0115】
具体的には、第2突起192は、2組の対の第2突起192e、192fを有している。一方の一対の第2突起192e、192fは、第1方向において第2開口64と第1連通路65との間に配置されている。他方の一対の第2突起192e、192fは、第1方向において第2開口64と第2連通路66との間に配置されている。
【0116】
一対の第2突起192e及び第2突起192fは、上方から視たとき、上下方向に直交する方向において、V字状に配置されている。一対の第2突起192e、192fは、第2方向に間隔を空けて配置されており、この間隔が各連通路65、66側から第2開口64側に向かって狭くなるように配置されている。
【0117】
第2突起192eにおいて、複数の第2凸状部194eは、第1方向と第2方向との間の傾斜方向において、間隔を空けながら同一直線上に配列されている。第2突起192fにおいて、複数の第2凸状部194fは、第1方向と第2方向との間の傾斜方向において、間隔を空けながら同一直線上に配列されている。第2凸状部194e及び第2凸状部194fは、互いに同じサイズ及び形状を有し、第2方向において互いに並ぶように配置されている。
【0118】
このように、第2突起192e、192fは、第2流路62において連通路65、66側から第2開口64側に向かって第2方向の中央側に近づくように延びている。この中央側ほど液体の流れが速い。このため、連通路65、66から第2流路62に流入した気泡は、第2突起192に沿って第2開口64側へ流れながら、流れが速い中央に寄せられる。よって、気泡を効率よく第2流路62から第2開口64を介して外部へ排出することができる。
【0119】
なお、実施の形態3に係るヘッド20において、変形例1~3及び実施の形態2の少なくともいずれかの構成を適用してもよい。また、変形例5に係るヘッド20において変形例4の構成を適用してもよい。
【0120】
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施の形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
【産業上の利用可能性】
【0121】
本発明の液体吐出ヘッドは、液体の濃度差を低減することができる液体吐出ヘッド等として有用である。
【符号の説明】
【0122】
20 :ヘッド(液体吐出ヘッド)
21 :第1ユニット
22 :第2ユニット
41a :第1ノズル孔
41af :第1ノズル孔
41as :第1ノズル孔
41b :第2ノズル孔
41bf :第2ノズル孔
41bs :第2ノズル孔
44a :第1圧力室
44af :第1圧力室
44as :第1圧力室
44b :第2圧力室
44bf :第2圧力室
44bs :第2圧力室
60 :マニホールド
60a :中心点
60f :マニホールド
60s :マニホールド
61 :第1流路
61f :第1流路
61s :第1流路
62 :第2流路
62f :第2流路
62s :第2流路
63 :第1開口
63f :第1開口
63s :第1開口
64 :第2開口
64f :第2開口
64s :第2開口
65 :第1連通路
65f :第1連通路
65s :第1連通路
66 :第2連通路
66f :第2連通路
66s :第2連通路
80 :サブタンク(タンク)
91 :第1突起(突起)
92 :第2突起(突起)
93 :第1凸状部(凸状部)
94 :第2凸状部(凸状部)
161 :第1流路
162 :第2流路
163 :第1開口
164 :第2開口
171 :第1ポート
172 :第2ポート
191 :第1突起(突起)
191e :第1突起(突起)
191f :第1突起(突起)
192 :第2突起(突起)
192e :第2突起(突起)
192f :第2突起(突起)
193e :第1凸状部(凸状部)
193f :第1凸状部(凸状部)
194e :第2凸状部(凸状部)
194f :第2凸状部(凸状部)