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特許7404642印字装置、及び、当該印字装置を用いる自動取引装置
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  • 特許-印字装置、及び、当該印字装置を用いる自動取引装置 図1
  • 特許-印字装置、及び、当該印字装置を用いる自動取引装置 図2
  • 特許-印字装置、及び、当該印字装置を用いる自動取引装置 図3
  • 特許-印字装置、及び、当該印字装置を用いる自動取引装置 図4
  • 特許-印字装置、及び、当該印字装置を用いる自動取引装置 図5
  • 特許-印字装置、及び、当該印字装置を用いる自動取引装置 図6
  • 特許-印字装置、及び、当該印字装置を用いる自動取引装置 図7
  • 特許-印字装置、及び、当該印字装置を用いる自動取引装置 図8
  • 特許-印字装置、及び、当該印字装置を用いる自動取引装置 図9
  • 特許-印字装置、及び、当該印字装置を用いる自動取引装置 図10
  • 特許-印字装置、及び、当該印字装置を用いる自動取引装置 図11
  • 特許-印字装置、及び、当該印字装置を用いる自動取引装置 図12
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】印字装置、及び、当該印字装置を用いる自動取引装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 11/14 20060101AFI20231219BHJP
   G07D 11/32 20190101ALI20231219BHJP
【FI】
B41J11/14
G07D11/32
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019072508
(22)【出願日】2019-04-05
(65)【公開番号】P2020168825
(43)【公開日】2020-10-15
【審査請求日】2022-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129067
【弁理士】
【氏名又は名称】町田 能章
(74)【代理人】
【識別番号】100183162
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 義文
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 隆嗣
(72)【発明者】
【氏名】久下 英七
(72)【発明者】
【氏名】佐渡 真治
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-349665(JP,A)
【文献】特開平10-016339(JP,A)
【文献】特開2005-040988(JP,A)
【文献】特開2013-119249(JP,A)
【文献】特開平08-150761(JP,A)
【文献】特開2000-351481(JP,A)
【文献】特開2005-231121(JP,A)
【文献】特開平09-193491(JP,A)
【文献】特開平11-291572(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 11/00-11/70
G07D 11/00-13/00
G07F 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印字用媒体の搬送方向と直交する方向に移動可能な印字ヘッドと、
前記印字用媒体の厚み方向に移動可能なプラテンと、
前記印字ヘッドと前記プラテンの動作を制御する制御部と、
前記印字用媒体の搬送方向に対する前記プラテンの上流側と下流側とのいずれか一方又は双方に、前記印字用媒体の搬送をガイドする搬送ガイドと、を備え、
前記制御部は、
前記印字ヘッドの位置に応じて、前記プラテンの高さを少なくとも3段階に変化させるものであって、かつ、
前記印字用媒体が前記搬送ガイドから前記プラテンに向かって移動する場合に、前記プラテンの高さを上流側の前記搬送ガイドよりも低くし、
前記印字用媒体が前記プラテンから前記搬送ガイドに向かって移動する場合に、前記プラテンの高さを下流側の前記搬送ガイドよりも高くし、かつ前記印字用媒体が前記搬送ガイドから前記プラテンに向かって移動する場合よりも前記プラテンの高さを高くし、
前記印字用媒体が前記搬送ガイドから前記プラテンに向かって移動する場合と前記印字用媒体が前記プラテンから前記搬送ガイドに向かって移動する場合との間において、前記印字用媒体に印字する場合に、前記印字用媒体が前記プラテンから前記搬送ガイドに向かって移動する場合よりも前記プラテンの高さを高くする
ことを特徴とする印字装置。
【請求項2】
請求項1に記載の印字装置において、
さらに、前記印字ヘッドと一体になって移動するプレート部材と、
前記プレート部材と当接することにより前記プラテンを上下動させる突当部材と、を備え、
前記プレート部材の前記突当部材と当接する当接部位は、複数段の階段面状の形状を呈しており、
前記制御部は、前記印字ヘッドの停止位置に応じて前記突当部材に対する前記プレート部材の当接部位との当接位置を変化させることで、前記プラテンの高さを複数段階に変化させる
ことを特徴とする印字装置。
【請求項3】
請求項1に記載の印字装置において、
さらに、前記印字ヘッドと一体になって移動するプレート部材と、
前記プレート部材と当接することにより前記プラテンを上下動させる突当部材と、を備え、
前記プレート部材の前記突当部材と当接する当接部位は、傾斜面状の形状を呈しており、
前記制御部は、前記印字ヘッドの停止位置に応じて前記突当部材に対する前記プレート部材の当接部位との当接位置を変化させることで、前記プラテンの高さを非段階的に変化させる
ことを特徴とする印字装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の印字装置と、
表示操作部と、を有する
ことを特徴とする自動取引装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印字装置、及び、当該印字装置を用いる自動取引装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ドットインパクト方式の印字装置は、メディアフォロー方式の構造を採用した場合に、印字を行う際の高さ位置と用紙を搬送する際の高さ位置とでプラテンを移動させる構造になっていた(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。ここで、メディアフォロー方式の構造とは、用紙を搬送する際に印字ヘッドを退避させる構造を意味している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-231121号公報
【文献】特開2013-119249号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の印字装置は、プラテンの前後にそれぞれ搬送ガイドが配置されており、搬送ガイドとプラテンとの継ぎ目(合わせ目)で用紙が引っ掛かり易くなっていた。そのため、用紙ジャムの発生を誘発する可能性がある、という課題があった。
【0005】
本発明は、前記した課題を解決するためになされたものであり、用紙ジャムの発生を抑制する印字装置、及び、当該印字装置を用いる自動取引装置を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、第1発明は、印字装置であって、印字用媒体の搬送方向と直交する方向に移動可能な印字ヘッドと、前記印字用媒体の厚み方向に移動可能なプラテンと、前記印字ヘッドと前記プラテンの動作を制御する制御部と、前記印字用媒体の搬送方向に対する前記プラテンの上流側と下流側とのいずれか一方又は双方に、前記印字用媒体の搬送をガイドする搬送ガイドと、を備え、前記制御部は、前記印字ヘッドの位置に応じて、前記プラテンの高さを少なくとも3段階に変化させるものであって、かつ、前記印字用媒体が前記搬送ガイドから前記プラテンに向かって移動する場合に、前記プラテンの高さを上流側の前記搬送ガイドよりも低くし、前記印字用媒体が前記プラテンから前記搬送ガイドに向かって移動する場合に、前記プラテンの高さを下流側の前記搬送ガイドよりも高くし、かつ前記印字用媒体が前記搬送ガイドから前記プラテンに向かって移動する場合よりも前記プラテンの高さを高くし、前記印字用媒体が前記搬送ガイドから前記プラテンに向かって移動する場合と前記印字用媒体が前記プラテンから前記搬送ガイドに向かって移動する場合との間において、前記印字用媒体に印字する場合に、前記印字用媒体が前記プラテンから前記搬送ガイドに向かって移動する場合よりも前記プラテンの高さを高くする構成とする。
【0008】
また、第発明は、自動取引装置であって、第1発明の印字装置と、表示操作部と、を有する構成とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、用紙ジャムの発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態1に係る印字装置を内蔵する自動取引装置の全体構成を示す斜視図である。
図2】用紙取込時の実施形態1に係る印字装置の側面図である。
図3】用紙取込時の実施形態1に係る印字装置の背面図である。
図4】実施形態1に係る印字装置に用いた平行リンクの背面図である。
図5】用紙排出時の実施形態1に係る印字装置のプラテン高さ調節機構の状態を示す側面図である。
図6】用紙排出時の実施形態1に係る印字装置のプラテン高さ調節機構の状態を示す背面図である。
図7】印字時の実施形態1に係る印字装置のプラテン高さ調節機構の状態を示す側面図である。
図8】印字時の実施形態1に係る印字装置のプラテン高さ調節機構の状態を示す背面図である。
図9】実施形態1に係る印字装置におけるプラテンの動作説明図(1)である。
図10】実施形態1に係る印字装置におけるプラテンの動作説明図(2)である。
図11】実施形態2に係る印字装置のプラテン高さ調節機構の背面図である。
図12】実施形態2に係る印字装置のプラテン高さ調節機構の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」と称する)について詳細に説明する。なお、各図は、本発明を十分に理解できる程度に、概略的に示してあるに過ぎない。よって、本発明は、図示例のみに限定されるものではない。また、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
【0012】
[実施形態1]
<自動取引装置の構成>
以下、図1を参照して、本実施形態1に係る印字装置8を内蔵する自動取引装置1の構成について説明する。図1は、本実施形態1に係る印字装置を内蔵する自動取引装置1の全体構成を示す斜視図である。
【0013】
なお、本実施形態では、前後左右上下(図1参照)の各方向は、使用者から見た方向を基準にしている。例えば、自動取引装置1の使用者が対峙する側を前とし、その反対側を後として説明する。また、自動取引装置1に対峙した使用者から見た左、右、上、下の各方向をそれぞれ左、右、上、下として説明する。
【0014】
自動取引装置1は、利用者の操作に応じて自動的に取引を実行する装置であり、ドット印字方式を利用する印字装置8を内蔵する装置である。ここでは、自動取引装置1が、例えば、金融機関や流通機関で用いられているATM(Automatic Teller Machine:現金自動預け払い機)として構成されている場合を想定して説明する。ただし、自動取引装置1は、出金専用のキャッシュディスペンサであってもよい。
【0015】
図1に示すように、本実施形態1に係る自動取引装置1は、媒体取扱部2、表示操作部3、通帳挿入排出口4、紙幣入出金部5、硬貨入出金部6、及び、ハンドセット7を有している。
媒体取扱部2は、カードやレシート等の各種媒体を取り扱う部位である。
表示操作部3は、各種情報を表示するとともに、利用者による操作を受け付ける部位である。
通帳挿入排出口4は、通帳が挿入及び排出される開口部である。
紙幣入出金部5は、紙幣が投入及び排出される部位である。
硬貨入出金部6は、硬貨が投入及び排出される部位である。
ハンドセット7は、遠隔地にいる行員等と会話するための受話器である。
【0016】
媒体取扱部2には、カード挿入排出口2aとレシート排出口2bとが設けられている。
カード挿入排出口2aは、カードが挿入及び排出される開口部である。
レシート排出口2bは、取引結果等が印字されたレシートが排出される開口部である。
【0017】
自動取引装置1は、通帳挿入排出口4の奥に、通帳に対して印字処理を行う印字装置8と、その制御部CLを有している。印字装置8は、ドットインパクト方式のプリンタである。
【0018】
<印字装置の構成>
以下、図2乃至図4を参照して、印字装置8の構成について説明する。図2は、用紙取込時の印字装置8の側面図である。図3は、用紙取込時の印字装置8の背面図である。図4は、印字装置8に用いた平行リンク26の背面図である。なお、図3図4は背面図であるため、左右が逆向きで示されている。
【0019】
ここでは、印字用媒体が通帳挿入排出口から挿入される通帳や伝票等であるものとして説明する。以下、通帳や伝票等を総称して「用紙」と称する。以下の説明で「用紙取込」とは、通帳挿入排出口4から装置の内部に用紙を取り込む動作を意味している。また、「用紙排出」とは、通帳挿入排出口4から装置の外部に用紙を排出する動作を意味している。
【0020】
図2に示すように、印字装置8は、印字ヘッド11と、搬送ローラ12と、プラテン13と、搬送ガイド14a,14bと、プラテン高さ調節機構20と、制御部CL(図1参照)と、を備えている。
【0021】
印字ヘッド11は、ドットピンを内蔵し、ドットピンで印字を行う機構である。印字ヘッド11は、プラテン13と平行に配置され、かつ、用紙99(印字用媒体)の搬送方向と直交する方向に移動可能な構成になっている。
搬送ローラ12は、用紙99を搬送する部材である。搬送ローラ12は、搬送路の上下に設けられており、用紙99を挟持して搬送する。
【0022】
プラテン13は、用紙99を印字ヘッド11に押し付ける部材である。プラテン13は、上下方向(用紙99の厚み方向)に移動可能な構成になっている。
搬送ガイド14a,14bは、用紙99を搬送する際の支持部材である。搬送ガイド14aは、プラテン13よりも前側に設けられている。搬送ガイド14bは、プラテン13よりも後側に設けられている。
プラテン高さ調節機構20は、プラテン13の高さを調節する機構である。プラテン高さ調節機構20の詳細については、後記する。
制御部CL(図1参照)は、印字ヘッド11や搬送ローラ12等の動作を制御する。
【0023】
印字ヘッド11の下端側壁には、回転可能なヘッドローラ11aが取り付けられている。ヘッドローラ11aは、印字ヘッド11がプラテン13に当接することを防止するために設けられている。ヘッドローラ11aは、印字ヘッド11の下端よりも若干下にはみ出しており、印字ヘッド11にプラテン13が近づいたときに、印字ヘッド11よりも先にプラテン13(厳密には、プラテン13に載置された用紙99)に当接する。
【0024】
プラテン13は、搬送ガイド14aとの継ぎ目33(図9及び図10参照)が下に傾斜して垂れ下げる形状になっている。また、搬送ガイド14aは、プラテン13との継ぎ目34(図9及び図10参照)が下に傾斜して垂れ下げる形状になっている。搬送ガイド14aの継ぎ目34とプラテン13の継ぎ目33は、櫛歯状に形成されており、互いの中に入り込んだ入れ子構造になっている。
【0025】
図3に示すように、印字装置8は、スライドシャフト16と、モータプーリ17と、駆動ベルト18と、を備えている。なお、図2では、モータプーリ17と駆動ベルト18の記載を省略している。
【0026】
スライドシャフト16は、用紙99の搬送方向と直交する方向に延在するように配置された棒状の部材である。スライドシャフト16は、軸方向に印字ヘッド11を移動可能に支持する。印字ヘッド11は、駆動ベルト18を介してモータプーリ17と接続されている。印字ヘッド11は、モータプーリ17が回転することで、スライドシャフト16に沿って駆動ベルト18と共に移動する。
【0027】
プラテン高さ調節機構20は、プレート部材21と、突当部材22と、を備えている。
【0028】
プレート部材21は、複数段(図示例では、3段)の段差部STを有しており、この段差部STは突当部材22が突き当てられる被当接部材である。プレート部材21は、印字ヘッド11に設けられており、印字ヘッド11と一体になって移動する。
【0029】
段差部STは、突当部材22の先端部(上端部)と当接する当接部位である。図3に示す例では、段差部STは、最も下方向に突出する(最も高さが高い)側から順番に、1段目の段差ST1と、2段目の段差ST2と、3段目の段差ST3と、を有している。1段目の段差ST1は、用紙取込時に突当部材22の先端部(上端部)と当接する当接部位である。2段目の段差ST2は、用紙排出時に突当部材22の先端部(上端部)と当接する当接部位である。3段目の段差ST3は、印字時に、プラテン13をヘッドローラ11aの方向に押し付けるために使用される。なお、プレート部材21をカムブロックと呼び、突当部材22をカムフォロワーと呼ぶ場合もある。
【0030】
突当部材22は、先端部(上端部)がプレート部材21の当接部位である段差部STと当接する。印字ヘッド11が移動することにより、段差部STは突当部材22の先端部(上端部)と摺動しながら、段差部STの形状に合わせて突当部材22を上下動させる部材である。突当部材22は、プラテン13と一体になっており、突当部材22が上下動することで、プラテン13も上下動するようになっている。突当部材22の先端部(上端部)は、「レ」字状(鋭角状)に折り曲げられており、段差部STとの間の摩擦が低減されるように、折り曲げ箇所に緩いカーブが付けられている。ただし、突当部材22の形状は、この形状に限定されない。突当部材22は、後記するスプリング29によってプラテン13とともに常に上方向に付勢されている。
【0031】
本実施形態では、図2及び図3に示すように、用紙取込時に、段差部STの1段目の段差ST1が突当部材22の先端部に突き当る。これにより、印字装置8は、1段目の段差ST1で用紙取込時のプラテン13の高さを規定する。
【0032】
また、図5及び図6に示すように、用紙排出時に、段差部STの2段目の段差ST2が突当部材22の先端部に突き当る。これにより、印字装置8は、2段目の段差ST2で用紙排出時のプラテン13の高さを規定する。
【0033】
また、図7及び図8に示すように、印字時に、段差部STの3段目の段差ST3が突当部材22の先端部と対向する。このとき、3段目の段差ST3は突当部材22の先端部に突き当らない状態になっている。これは、3段目の段差ST3が突当部材22の先端部に対向する位置まで印字ヘッド11が移動したときに、プラテン13が上昇することで、3段目の段差ST3が突当部材22の先端部に当接するよりも先にヘッドローラ11aがプラテン13(厳密には、プラテン13に載置された用紙99)に当接するからである。このような印字装置8は、印字時に、プラテン13(厳密には、プラテン13に載置された用紙99)をヘッドローラ11aに突き当ることで、プラテン13の高さを規定する。したがって、3段目の段差ST3は、印字時のプラテン13の高さを規定するものではない。
【0034】
図8に示す隙間Tは、印字時においてプラテン13(厳密には、プラテン13に載置された用紙99)がヘッドローラ11aに突き当った際に形成される、3段目の段差ST3と突当部材22との間の距離を示している。プレート部材21は、印字時にこの隙間Tが形成される形状に形成されている。なお、図8は、用紙99が最も薄い媒体である場合の例を示している。隙間Tの値は用紙99の厚さに応じて変動する。
【0035】
図4に示すように、印字装置8(図3参照)は、平行リンク26と、スプリング29と、を備えている。平行リンク26は、プラテン13の姿勢を水平方向に維持しつつ上下方向に移動可能に保持する機構である。スプリング29は、プラテン13を上方向に付勢する部材である。
【0036】
図4に示す例では、平行リンク26は、ベース部材27と2つのリンク部材28とを備えている。
ベース部材27は、左右のベース部材回転軸27aでそれぞれリンク部材28と連結されている。また、ベース部材27はスプリング29と連結する連結部27bを備えている。
2つのリンク部材28は、それぞれ回転軸28aで平行リンク26の周囲に設けられた図示せぬフレームに軸支され、プラテン回転軸28bでプラテン13と連結されている。これにより、2つのリンク部材28は、それぞれ回転軸28aを中心に回動すると共に、ベース部材回転軸27aとプラテン回転軸28bとにより、それぞれベース部材27とプラテン13に対しても回動するように構成されている。
【0037】
図4に示す例では、スプリング29は、引張スプリングで構成されている。スプリング29は、右側のフックが平行リンク26の周囲に設けられたフレーム30に連結され、左側のフックが連結部27bに連結されている。スプリング29は、連結部27bを介してベース部材27全体を右方向に引っ張るように付勢している。これにより、2つのリンク部材28が、回転軸28aを中心にして時計周り方向に回動する。その結果、印字装置8は、プラテン13の姿勢を水平方向に維持しながら、スプリング29によりプラテン13は上方向に付勢される。なお、図4に示す例では、印字装置8は、スプリング29として引張スプリングを用いている。しかしながら、印字装置8は、圧縮スプリングやトーションスプリング等を用いて、プラテン13を上方向に付勢する構造にしてもよい。
【0038】
<印字装置の動作>
以下、図2乃至図10を参照して、印字装置8の構成について説明する。図5は、用紙取込時のプラテン高さ調節機構20の状態を示す側面図である。図6は、用紙取込時のプラテン高さ調節機構20の状態を示す背面図である。図7は、印字時のプラテン高さ調節機構20の状態を示す側面図である。図8は、印字時のプラテン高さ調節機構20の状態を示す背面図である。図9及び図10は、プラテン13の動作説明図である。なお、図6図8は背面図であるため、左右が逆向きで示されている。
【0039】
印字装置8は、待機中の状態において、予め設定されたホームポジションに印字ヘッド11を配置している。ここでは、ホームポジションがプレート部材21の2段目の段差ST2を突当部材22の先端部に当接させた位置に設定されているものとして説明する。ただし、ホームポジションは、例えば、プレート部材21の1段目の段差ST1を突当部材22の先端部に当接させた位置であってもよい。
【0040】
ここで、自動取引装置1が通帳挿入排出口4から内部に用紙99を取り込んで用紙99に印字を行うものとする。その際に、図2及び図3に示すように、印字装置8は、用紙取込時に、印字ヘッド11をホームポジションから左方向に移動させる。このとき、図3に示すように、プレート部材21の1段目の段差ST1が突当部材22の先端部に当接する。これにより、印字装置8は、全動作の中で最も低い位置にプラテン13を降下させる。ただし、この動作は、ホームポジションがプレート部材21の1段目の段差ST1を突当部材22の先端部に当接させた位置に設定されている場合は不要である。
【0041】
図9は、このときの状態を示している。すなわち、図9に示すように、印字装置8は、用紙取込時に、用紙99を矢印A11の方向に搬送する際に、プレート部材21の1段目の段差ST1を突当部材22の先端部に当接させる(図3参照)ことで、プラテン13を搬送ガイド14aよりも低い位置(矢印B11参照)に配置する。
【0042】
これにより、印字装置8は、用紙99の搬送の上流側となる搬送ガイド14aの継ぎ目34の高さよりも低い位置に、プラテン13の継ぎ目33を配置する。つまり、このとき、印字装置8は、プラテン13の高さを、上流側の搬送ガイド14aの高さよりも低い位置に設定する。その結果、印字装置8は、仮に用紙99の先端部分が垂れ下がることがあったとしても、用紙99の先端部分を引っ掛かることなく搬送ガイド14aの継ぎ目34とプラテン13の継ぎ目33の上を通過させることができる。
【0043】
その後、印字装置8は、搬送ローラ12で用紙99を後方向に搬送する。その際に、用紙99の先端部分が搬送ガイド14aの継ぎ目34とプラテン13の継ぎ目33の上を通過する。
【0044】
その後、用紙99がプラテン13の上の所定位置に到達すると、印字装置8は、印字動作を行う。このとき、印字装置8は、図7及び図8に示す状態になる。
【0045】
例えば、図8に示すように、印字ヘッド11は、印字時に、印字ヘッド11を左右方向に移動させながら、印字ヘッド11を駆動して印字動作を行う。このとき、印字ヘッド11は、プレート部材21の3段目の段差ST3が突当部材22の先端部に対向する位置からその左側の可動範囲内で移動する。このとき、プレート部材21の3段目の段差ST3は突当部材22の先端部と当接しない。これにより、印字装置8は、全動作の中で最も高い位置にプラテン13を上昇させる。その際に、一時的にプレート部材21の3段目の段差ST3が突当部材22の先端部に対向するときがある。このとき、ヘッドローラ11aがプラテン13(厳密には、プラテン13に載置された用紙99)に突き当るため、プレート部材21の3段目の段差ST3と突当部材22の先端部との間には隙間Tが形成される。
【0046】
その後、1行分の印字が終了すると、印字装置8は、下流側に行送り動作(すなわち、用紙99を1行分だけ搬送する動作)を行う。このとき、搬送ローラ12が回転することで、下流側に用紙99が搬送される。
【0047】
その後、印字装置8は、印字ヘッド11を左右方向に移動させながら、印字ヘッド11を駆動して印字動作を行う。以後、印字すべき情報が全て印字されるまで、印字動作を繰り返す。そして、印字すべき情報が全て印字されると、印字装置8は、用紙99を通帳挿入排出口4の方向である前方向に搬送して通帳挿入排出口4から自動取引装置1の外部に排出する。
【0048】
その際に、図5及び図6に示すように、印字装置8は、用紙排出時に、印字ヘッド11を右方向に移動させる。このとき、図6に示すように、プレート部材21の2段目の段差ST2を突当部材22の先端部に当接させる。これにより、印字装置8は、全動作の中で最も高い印字時の高さ位置よりプラテン13を若干降下させた位置にする。
【0049】
図10は、このときの状態を示している。すなわち、図10に示すように、印字装置8は、用紙排出時に、用紙99を矢印A12の方向に搬送する際に、プレート部材21の2段目の段差ST2を突当部材22の先端部に当接させる(図6参照)ことで、プラテン13を搬送ガイド14aよりも高い位置(矢印B12参照)に配置する。
【0050】
これにより、印字装置8は、用紙99の搬送の下流側となる搬送ガイド14aの継ぎ目34の高さよりも高い位置に、プラテン13の継ぎ目33を配置する。つまり、このとき、印字装置8は、プラテン13の高さを、下流側の搬送ガイド14aの高さよりも高い位置に設定する。その結果、印字装置8は、印字装置8は、仮に用紙99の先端部分が垂れ下がることがあったとしても、用紙99の先端部分を引っ掛かることなく搬送ガイド14aの継ぎ目34とプラテン13の継ぎ目33の上を通過させることができる。
【0051】
その後、印字装置8は、用紙99を通帳挿入排出口4の方向である前方向に搬送して通帳挿入排出口4から自動取引装置1の外部に排出する。これにより、印字装置8は、一連の処理を終了する。なお、本実施形態では、ホームポジションがプレート部材21の2段目の段差ST2を突当部材22の先端部に当接させた位置に設定されているものとして説明している。しかしながら、ホームポジションがプレート部材21の1段目の段差ST1を突当部材22の先端部に当接させた位置に設定されている場合は、その位置まで印字ヘッド11を右方向に移動させることで一連の処理を終了する。
【0052】
<印字装置の主な特徴>
(1)本実施形態に係る印字装置8は、プラテン13と平行に配置され、かつ、用紙99(印字用媒体)の搬送方向と直交する方向に移動可能な印字ヘッド11と、印字用媒体の厚み方向に移動可能なプラテン13と、印字ヘッド11とプラテン13の動作を制御する制御部CLと、を備えている。制御部CLは、印字ヘッド11の左右方向の位置を制御することで、印字ヘッド11の位置に応じて、プラテン13の高さを少なくとも3段階に変化させる構成になっている。なお、本実施形態では、3段階の高さは、用紙取込時の高さ(図3参照)と、印字時の高さ(図8参照)と、用紙排出時の高さ(図6参照)になっている。
【0053】
このような印字装置8は、印字ヘッド11の位置に応じて、プラテン13の高さを少なくとも3段階に変化させることができる。例えば、図9及び図10に示すように、印字装置8は、用紙取込時と用紙排出時とで搬送ガイド14aに対するプラテン13の高さを変えることができる。このような印字装置8は、仮に用紙99の先端部分が垂れ下がることがあったとしても、用紙99の先端部分が引っ掛かることなく搬送ガイド14aの継ぎ目34とプラテン13の継ぎ目33の上を通過させることができる。そのため、印字装置8は、用紙ジャムの発生を抑制することができる。
【0054】
(2)制御部CLは、印字を行う場合の1段階以上の高さと、好ましくは、用紙取込時と用紙排出時とのように、印字ヘッド11が用紙99の搬送エリアから退避する場合の2段階以上の高さとに、プラテン13の高さを変化させるとよい。これにより印字装置8は、用紙ジャムの発生を抑制することができる。
【0055】
(3)制御部CLは、好ましくは、用紙99の搬送時に、用紙99の進行方向に応じて印字ヘッド11の停止位置を変化させるとともに、搬送ガイド14aに対するプラテン13の相対高さを変化させるとよい。これにより印字装置8は、用紙ジャムの発生を抑制することができる。
【0056】
(4)制御部CLは、好ましくは、用紙99が搬送ガイド14aからプラテン13に向かって移動する場合に、プラテン13の高さを上流側の搬送ガイド14aよりも低くする。また、制御部CLは、用紙99がプラテン13から搬送ガイド14aに向かって移動する場合に、プラテン13の高さを下流側の搬送ガイド14aよりも高くするとよい。
【0057】
このような印字装置8は、図9に示すように、用紙99が搬送ガイド14a上からプラテン13上に搬送されてくる場合に、搬送ガイド14aの継ぎ目34の高さがプラテン13の継ぎ目33の高さよりも高くなる。そのため、印字装置8は、用紙99がプラテン13に引っ掛かることを抑制することができ、用紙ジャムの発生を抑制することができる。
【0058】
また、印字装置8は、図10に示すように、用紙99がプラテン13上から搬送ガイド14a上に搬送されてくる場合に、プラテン13の継ぎ目33の高さが搬送ガイド14aの継ぎ目34の高さよりも高くなる。そのため、この場合も、印字装置8は、用紙99がプラテン13に引っ掛かることを抑制することができ、用紙ジャムの発生を抑制することができる。
【0059】
(5)プレート部材21の段差部ST(当接部位)は、複数段の階段面状の形状を呈する段差部STとして構成されている。制御部CLは、好ましくは、印字ヘッド11の停止位置に応じて突当部材22に対するプレート部材21の段差部ST(当接部位)の当接位置を変化させることで、プラテン13の高さを複数段階に変化させるとよい。このような印字装置8は、プラテン13の高さを複数段階に変化させることができるため、様々な状況に応じてプラテン13の高さを設定することができる。そのため、さらに、効率よく用紙ジャムの発生を抑制することができる。
【0060】
なお、印字装置8は、プレート部材21の段差部STの段差を4つ以上にし、3段階よりも多段階でプラテン13の高さを変化させるようにしてもよい。
【0061】
以上の通り、本実施形態1に係る印字装置8によれば、用紙ジャムの発生を抑制することができる。
【0062】
[実施形態2]
実施形態1の印字装置8のプラテン高さ調節機構20は、印字ヘッド11に設けられたプレート部材21の段差部ST(当接部位)の形状が3段の段差形状を呈している。これに対して、本実施形態2では、プレート部材21の当接部位の形状が変更されたプラテン高さ調節機構20Aを有する印字装置8Aを提供する。
【0063】
以下、図11を参照して、本実施形態2に係る印字装置8Aのプラテン高さ調節機構20Aの構成について説明する。図11は、印字装置8Aのプラテン高さ調節機構20Aの背面図である。
【0064】
図11に示すように、本実施形態2に係るプラテン高さ調節機構20Aは、実施形態1に係るプラテン高さ調節機構20(図6参照)と比較すると、プレート部材21の当接部位が傾斜部STaとして構成されている点で相違している。傾斜部STaは、突当部材22の先端部と当接する当接部位であり、傾斜面状に形成されている。
【0065】
傾斜部STaは、突当部材22の先端部と当接する当接部位であり、傾斜面状に形成されている。傾斜部STaは、第1部位STa1と第2部位STa2と第3部位STa3と第4部位STa4とを含んでいる。第1部位STa1は、実施形態1の段差部STにおける1段目の段差ST1(図6参照)と同じ高さ位置の部位である。第2部位STa2は、実施形態1の段差部STにおける2段目の段差ST2(図6参照)と同じ高さ位置の部位である。第3部位STa3は、実施形態1の段差部STにおける3段目の段差ST3(図6参照)と同じ高さ位置の部位である。第4部位STa4は、第3部位STa3よりも用紙99の厚さTs分だけ下側の高さ位置の部位である。第4部位STa4の位置は、用紙99の厚さTsに応じて変動する。第1部位STa1は、用紙取込時に突当部材22の先端部(上端部)と当接する。第2部位STa2は、用紙排出時に突当部材22の先端部(上端部)と当接する。第3部位STa3から第4部位STa4の間の部位は、印字時に、プラテン13をヘッドローラ11aの方向に押し付けるために使用される。印字時においてプラテン13に載置された用紙99がヘッドローラ11aに突き当たるとき、傾斜部STaにおける突当部材22の先端部(上端部)と当接する部位が第4部位STa4となる。換言すると、印字時においてプラテン13に載置された用紙99がヘッドローラ11aに突き当たるとき、突当部材22の先端部(上端部)が第4部位STa4で傾斜部STaと当接する。このように印字装置8Aは、印字ヘッド11の停止位置に応じて、突当部材22に対するプレート部材21の傾斜部STa(当接部位)の当接位置を変化させることで、プラテン13の高さを非段階的(漸次的)に変化させることができる。
【0066】
印字装置8Aのプラテン高さ調節機構20Aは、傾斜部STaを有しているため、印字ヘッド11の停止位置に応じて、プラテン13の高さを自由に変化させることができる。そのため、印字装置8Aは、使用する用紙99の種類や特性や環境の違いに応じて、プラテン13の高さを変更することができる。
【0067】
例えば、「厚みがあってコシが強い用紙99」や「和紙のように毛羽立った用紙99」等のような引っ掛かり易い性質を有する用紙99を印字用媒体として用いる場合に、図9で示す搬送ガイド14a上からプラテン13上に用紙99が搬送されるときのプラテン13の高さを通常よりも低い位置に設定することで、用紙99の引っ掛かりを抑制して、ジャムの発生を抑制することができる。
【0068】
また、例えば、保守のために清掃用のクリーニング媒体を印字用媒体として用いる場合に、プラテン13の高さを通常よりも高い位置に設定することで、プラテン13の表面を清掃し易くすることができる。
【0069】
これらの設定は、例えば、用紙99の種類に応じてユーザーが印字装置8Aに入力設定するようにしてもよいし、また、例えば、印字装置8Aに設けられた用紙99厚みセンサ(図示せず)によって検知された用紙99の厚みに応じて印字装置8Aに自動的に設定されるようにしてもよい。
【0070】
また、例えば、印字装置8Aは、周囲の温度と湿度を感知して、プラテン13の高さを変更することもできる。例えば、高温多湿時には用紙99が吸湿してコシ(姿勢を維持する特性)がなくなり易い。このような場合に、図9で示す搬送ガイド14a上からプラテン13上に用紙99が搬送されるときのプラテン13の高さを通常よりも低い位置に設定することで、用紙99の引っ掛かりを抑制して、ジャムの発生を抑制することができる。
【0071】
図12は、これらの事項を考慮した印字装置8Aのプラテン高さ調節機構20Aの動作を示している。図12は、印字装置8Aのプラテン高さ調節機構20Aの動作を示すフローチャートである。
【0072】
図12に示すように、印字装置8Aは、まず、用紙の種類を特定し(S105)、次に、周囲の温度及び湿度を感知する(S110)。
【0073】
S110の後、印字装置8Aは、媒体が引っ掛かり易い媒体であるか否かを判定し(S115)、媒体が引っ掛かり易い媒体でない場合(“No”の場合)に、環境が高温多湿であるか否かを判定する(S120)。
【0074】
S115の判定で、媒体が引っ掛かり易い媒体であると判定された場合(“Yes”の場合)、又は、S120の判定で、環境が高温多湿であると判定された場合(“Yes”の場合)に、印字装置8Aは、プラテン13の高さを通常よりも低く設定して(S125)、プラテン13の高さ調整の処理を終了する。
【0075】
S120の判定で、環境が高温多湿でないと判定された場合(“No”の場合)に、印字装置8Aは、媒体がクリーニング用媒体であるか否かを判定する(S130)。
【0076】
S130の判定で、媒体がクリーニング用媒体であると判定された場合(“Yes”の場合)に、印字装置8Aは、プラテン13の高さを通常よりも高く設定して(S135)、プラテン13の高さ調整の処理を終了する。
【0077】
S130の判定で、媒体がクリーニング用媒体でないと判定された場合(“No”の場合)に、印字装置8Aは、プラテン13の高さを通常通りに設定して(S140)、プラテン13の高さ調整の処理を終了する。
【0078】
係る構成において、本実施形態2に係る印字装置8Aは、印字ヘッド11の停止位置に応じて、突当部材22に対するプレート部材21の傾斜部STa(当接部位)の当接位置を変化させることで、非段階的にプラテン13の高さを変えることができる。そのため、様々な種類の用紙99や周囲の環境に適したプラテン13の高さ制御を行うことができる。
【0079】
また、本実施形態2に係る印字装置8Aは、実施形態1に係る印字装置8(図6参照)と比較して、プレート部材21の当接部位を段差部STから傾斜部STaに変更するだけで、他の構成を変更しなくてもよい。このような、本実施形態2に係る印字装置8Aは、制御プログラムを変更するだけで対応パターンを容易に増やすことができる。
【0080】
以上の通り、本実施形態2に係る印字装置8Aによれば、実施形態1に係る印字装置8と同様に、用紙ジャムの発生を抑制することができる。
しかも、本実施形態2に係る印字装置8Aによれば、実施形態1に係る印字装置8に比べて、印字ヘッド11の停止位置に応じて、突当部材22に対するプレート部材21の傾斜部STa(当接部位)の当接位置を変化させることで、プラテン13の高さを非段階的に変化させることができる。
【0081】
なお、本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更や変形を行うことができる。
【0082】
例えば、前記した実施形態は、本発明の要旨を分かり易く説明するために詳細に説明したものである。そのため、本発明は、必ずしも説明した全ての構成要素を備えるものに限定されるものではない。また、本発明は、ある構成要素に他の構成要素を追加したり、一部の構成要素を他の構成要素に変更したりすることができる。また、本発明は、一部の構成要素を削除することもできる。
【0083】
また、例えば、本発明に係る印字装置8は、自動取引装置(ATM)に限らず、ドットインパクト方式の印字を行う様々な機器に適用することができる。
【0084】
また、例えば、前記した実施形態では、印字ヘッド11側にプレート部材21を配置し、プラテン13側に突当部材22を配置している。しかしながら、印字ヘッド11の位置に応じて、プラテン13の高さを変化させるのであれば、印字ヘッド11側に突当部材22を配置し、プラテン13側にプレート部材21を配置するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0085】
1 自動取引装置(ATM)
2 媒体取扱部
2a カード挿入排出口
2b レシート排出口
3 表示操作部
4 通帳挿入排出口
5 紙幣入出金部
6 硬貨入出金部
7 ハンドセット
8,8A 印字装置
11 印字ヘッド
11a ヘッドローラ
12 搬送ローラ
13 プラテン
14a,14b 搬送ガイド
16 スライドシャフト
17 モータプーリ
18 駆動ベルト
20,20A プラテン高さ調節機構
21,21a プレート部材(被当接部材)
22 突当部材
26 平行リンク
27 ベース部材
27a ベース部材回転軸
27b 連結部
28 リンク部材
28a 回転軸
28b プラテン回転軸
29 スプリング
33 継ぎ目
34 継ぎ目
99 用紙(印字用媒体)
CL 制御部
ST 段差部(当接部位)
ST1 1段目の段差
ST2 2段目の段差
ST3 3段目の段差
STa 傾斜部(当接部位)
STa1 第1部位
STa2 第2部位
STa3 第3部位
STa4 第4部位
T 隙間
Ts 厚さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12