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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】入出力基板及び工作機械
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/00 20060101AFI20231219BHJP
   G05B 19/18 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
G01R31/00
G05B19/18 X
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019082260
(22)【出願日】2019-04-23
(65)【公開番号】P2020180805
(43)【公開日】2020-11-05
【審査請求日】2022-04-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】千賀 敬太
【審査官】小川 浩史
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第5621739(US,A)
【文献】特開2003-239798(JP,A)
【文献】特開2011-2377(JP,A)
【文献】特開2006-145527(JP,A)
【文献】特開平8-137824(JP,A)
【文献】特開2012-75032(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/00
G01R 31/26-31/3193
G06F 11/22-11/277
G05B 19/18-19/416
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部装置を接続する入出力基板において、
前記外部装置から入力した信号を制御する為の第一制御素子を有する入力回路又は前記外部装置に出力する信号を制御する為の第二制御素子を有する出力回路と、
前記入力回路又は出力回路を制御する制御回路と
を備え、
前記第一制御素子は、電源側に接続する第一端子と、グランド側に接続する第二端子と、前記外部装置からの信号が入力され、前記第一端子及び前記第二端子間の導通及び非導通を制御する為の第一制御端子とを有し、
前記第二制御素子は、電源側に接続する第三端子と、グランド側に接続する第四端子と、前記制御回路から前記外部装置への信号が入力され、前記第三端子及び前記第四端子間の導通及び非導通を制御するための第二制御端子とを有し、
前記第一端子及び前記第一制御端子間の寄生容量並びに前記第二端子及び前記第一制御端子間の寄生容量への印加電圧が第一電圧から第二電圧に至るまでの時間、または、前記第三端子及び前記第二制御端子間の寄生容量並びに前記第四端子及び前記第二制御端子間の寄生容量への印加電圧が第一電圧から第二電圧に至るまでの時間を測定する測定部と、
該測定部にて測定した時間に基づいて、前記第一制御素子又は第二制御素子が異常か否か判定する判定部と
を備える入出力基板。
【請求項2】
前記判定部は、前記測定部にて測定した時間が所定時間範囲外の場合、前記第一制御素子又は第二制御素子が異常であると判定する
請求項1に記載の入出力基板。
【請求項3】
前記所定時間範囲は、前記測定部による測定を複数回実行して得た複数の時間の平均に基づいて定まる
請求項2に記載の入出力基板。
【請求項4】
前記所定時間範囲は、温度又は湿度を含む環境条件に応じて定まる
請求項2又は3に記載の入出力基板。
【請求項5】
前記外部装置を接続し、前記電源を入れる場合、前記測定部による測定及び前記判定部による判定が行われる
請求項1から4のいずれか一つに記載の入出力基板。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一つに記載の入出力基板と、
機械本体と
を備え、
前記判定部にて前記第一制御素子又は第二制御素子が異常であると判定した場合、異常である旨を報知し、前記機械本体を停止する
工作機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、外部装置に接続する入出力基板及び工作機械に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工作機械の制御装置は、入力回路及び出力回路を有する入出力基板を備える。外部装置は入出力基板に接続する(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5459168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
作業者は、入出力基板の所定の端子に外部装置を接続する必要がある。作業者が誤った端子に外部装置を接続した場合、異常電圧が入出力基板に入力し、入出力基板が破損するおそれがある。
【0005】
本開示は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、電圧を監視する入出力基板及び工作機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る入出力基板は、外部装置を接続する入出力基板において、前記外部装置から入力した信号を制御する為の第一制御素子を有する入力回路又は前記外部装置に出力する信号を制御する為の第二制御素子を有する出力回路と、前記入力回路又は出力回路を制御する制御回路とを備え、前記制御回路は、前記第一制御素子又は第二制御素子への印加電圧が第一電圧から第二電圧に至るまでの時間を測定する測定部と、該測定部にて測定した時間に基づいて、前記第一制御素子又は第二制御素子が異常か否か判定する判定部とを備える。
【0007】
本開示においては、第一制御素子又は第二制御素子への印加電圧が第一電圧から第二電圧に至るまでの時間を測定する。測定した時間に基づいて、第一制御素子又は第二制御素子の寄生容量の変化を求め、第一制御素子又は第二制御素子の印加電圧が異常か否か判定する。
【0008】
本開示に係る入出力基板は、前記判定部は、前記測定部にて測定した時間が所定時間範囲外の場合、前記第一制御素子又は第二制御素子が異常であると判定する。
【0009】
本開示においては、例えば、測定した時間が基準時間よりも短いか又は長い場合、第一制御素子又は第二制御素子の電圧が異常であると判定する。
【0010】
本開示に係る入出力基板は、前記所定時間範囲は、前記測定部による測定を複数回実行して得た複数の時間の平均に基づいて定まる。
【0011】
本開示においては、測定時間の平均に基づいて、所定時間範囲を定め、入出力基板の特性に基づく測定時間のばらつき、又は測定時間への外乱の影響を抑制する。
【0012】
本開示に係る入出力基板は、前記所定時間範囲は、温度又は湿度を含む環境条件に応じて定まる。
【0013】
本開示においては、温度又は湿度を含む環境条件を測定時間に反映し、適切な所定時間範囲を定める。
【0014】
本開示に係る入出力基板は、電源入力時に、前記制御回路は、前記測定部による測定及び前記判定部による判定を行う。
【0015】
本開示においては、異常電圧が入力し易い電源入力時に、第一制御素子又は第二制御素子に異常電圧が発生しているか否かを判定し、入出力基板の破損を防止する。
【0016】
本開示に係る工作機械は、前述の入出力基板と、機械本体とを備え、前記判定部にて前記第一制御素子又は第二制御素子が異常であると判定した場合、異常である旨を報知し、前記機械本体を停止する。
【0017】
本開示においては、第一制御素子又は第二制御素子が異常である旨を作業者に報知し、機械本体を停止する。作業者は、異常の発生によって機械本体が停止したことを容易に認識できる。
【発明の効果】
【0018】
本開示に係る入出力基板及び工作機械にあっては、第一制御素子又は第二制御素子への印加電圧が第一電圧から第二電圧に至るまでの時間を測定する。測定した時間に基づいて、第一制御素子又は第二制御素子の寄生容量の変化を求め、第一制御素子又は第二制御素子の印加電圧が異常か否か判定し、入出力基板の破損を防止する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施の形態1に係る工作機械の略示斜視図である。
図2】工作機械用カバーを略示する斜視図である。
図3】扉を開けた制御盤の背面図である。
図4】第二入出力基板の略示回路図である。
図5】準備処理を説明するフローチャートである。
図6】時間と電圧との関係を示すグラフである。
図7】異常処理を説明するフローチャートである。
図8】実施の形態2に係る基準時間を計測及び格納する準備処理を説明するフローチャートである。
図9】実施の形態3に係る異常処理を説明するフローチャートである。
図10】実施の形態4に係る基準時間を計測及び格納する準備処理を説明するフローチャートである。
図11】時間T0と温度との関係を示すテーブルである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(実施の形態1)
以下、本発明を実施の形態1に係る工作機械を示す図面に基づいて説明する。以下の説明では図に示す上下前後左右を使用する。図1は工作機械100の略示斜視図、図2は工作機械用カバー1を略示する斜視図である。工作機械100は機械本体を備え、該機械本体は基台20、固定台21、Y方向移動装置22、X方向移動装置26、コラム28、Z方向移動装置30、主軸ヘッド32、工具交換装置10、主軸モータ35等を備える。基台20は床面上に固定してある。固定台21は前後方向に長い平面視矩形状の箱形をなし、基台20上に設けてある。固定台21の前部にワーク保持部120が設けてある。固定台21は、Y方向移動装置22を固定している。Y方向移動装置22はY方向駆動モータ(図示略)及びY方向駆動モータが駆動するボールねじ機構(図示略)を備える。
【0021】
Y方向移動装置22のボールねじ機構にX方向移動装置26が設けてある。X方向移動装置26はX方向駆動モータ(図示略)及びX方向駆動モータが駆動するボールねじ機構(図示略)を備える。X方向移動装置26のボールねじ機構にコラム28が設けてある。X方向移動装置26及びY方向移動装置22は、コラム28をX方向(左右方向)及びY方向(前後方向)に移動可能に支持する。
【0022】
Z方向移動装置30はコラム28の前面に設けてある。Z方向移動装置30はZ方向駆動モータ(図示略)及びZ方向駆動モータが駆動するボールねじ機構(図示略)を備える。主軸ヘッド32はZ方向移動装置30に設けてある。コラム28は、Z方向移動装置30を介して主軸ヘッド32をZ方向(上下方向)に移動可能に支持する。主軸モータ35は主軸ヘッド32の上部に設けてある。主軸ヘッド32は、上下を軸方向とした主軸(図示略)を支持する。主軸モータ35は主軸を軸回りに回転する。工具交換装置10は、工具交換モータ12によって駆動し、主軸に装着する工具を交換する。
【0023】
図2に示すように、工作機械100は機械本体の大部分を囲繞する工作機械用カバー1を備える。工作機械用カバー1が基台20の上側に設けてある。工作機械用カバー1は、上下方向に延設してあり、工作機械100の機械本体の前後左右を夫々覆う矩形の前壁5、左壁6、右壁7及び後壁8を備える。また工作機械100の上側を覆い、左右方向及び前後方向に平行な矩形の天井9を備える。後壁8には、工作機械100の動作を制御する制御基板、X方向駆動モータ、Y方向駆動モータ、Z方向駆動モータへの供給電力を調整するアンプ等を有する制御盤80が設けてある。制御盤80は工作機械用制御装置を構成する。
【0024】
前壁5の中央部には縦長矩形の開口51が設けてあり、該開口51の右隣には、作業者が指令を入力するための操作盤54が設けてある。操作盤54は表示部54aを備える。開口51には、縦長矩形の右扉52及び左扉53が左右方向に移動可能に並設してある。
【0025】
図3は、扉83を開けた制御盤80の背面図である。制御盤80は直方体状の筐体81を備える。筐体81は上下に延び、矩形の下面部81a、右面部81b、左面部81c、上面部81d及び前面部81eを備える。下面部81a、右面部81b、左面部81c及び上面部81dの後縁部によって、開口が形成してある。該開口に矩形の扉(図示略)が取り付けてある。
【0026】
筐体81内の下部左側にブレーカ84が設けてある。ブレーカ84は上下に長い直方体状をなし、その上下に入力部及び出力部を夫々有する。ブレーカ84の入力部に電源ケーブルが接続する。ブレーカ84の出力部に電力線(図示略)が接続する。ブレーカ84は電源ケーブル及び電力線を接続するか、又は切断する。電源ケーブルは、筐体81の挿通孔(図示略)を通り、外部電源(図示略)とブレーカ84とを接続する。電力線は後述のアンプ等に接続する。扉の表面に回転式のレバー85が設けてある。レバー85は電源ケーブル及び電力線の切断及び接続を行う。
【0027】
ブレーカ84の上側に主軸モータ35への電力供給を調整する主軸アンプ87が設けてある。前面部81eの上部右側には、X方向駆動モータへの電力供給を調整するX方向アンプ88が設けてある。X方向アンプ88の右側に、Y方向駆動モータへの電力供給を調整するY方向アンプ89が設けてある。Y方向アンプ89の右側に、工具交換モータ12への電力供給を調整する工具交換アンプ90が設けてある。工具交換アンプ90の右側に、Z方向駆動モータへの電力供給を調整するZ方向アンプ86が設けてある。Z方向アンプ86の右側に、200V系の電圧を24V系又は12V系に変換する変圧器91が設けてある。
【0028】
筐体81右内側面には、筐体81内の各種装置間の信号の入出力を行うための第一入出力基板95が設けてある。第一入出力基板95は、24V系又は12V系の電圧を変圧器91から入力し、5V系、10V系又は25V系に変換して使用する。
【0029】
変圧器91の右側に外部装置との入出力を行う為の第二入出力基板94が設けてある。第二入出力基板94は入出力基板を構成する。変圧器91の下方には端子台基板92が設けてある。フレキシブル基板93は端子台基板92と第二入出力基板94を接続する。第二入出力基板94の近傍に温度センサ96が設けてある。温度センサ96に代えて湿度センサを設けてもよく、温度センサ96及び湿度センサの両方を設けてもよい。
【0030】
図4は、第二入出力基板94の略示回路図である。第二入出力基板94は出力回路40、入力回路60、及び制御回路70を備える。出力回路40は抵抗41を備える。抵抗41はプルダウン抵抗である。抵抗41の一端はグランドに接続し、他端は抵抗42aを介して、トランジスタ42のベースに接続する。トランジスタ42のエミッタはグランドに接続する。トランジスタ42のベースとエミッタは、抵抗42bを介して接続する。トランジスタ42は第二制御素子に対応する。
【0031】
トランジスタ42のコレクタは抵抗46bを介してトランジスタ46のベースに接続する。トランジスタ46のエミッタは駆動電源45に接続する。駆動電源45の電圧は例えば24ボルトである。トランジスタ46のベースとエミッタは、抵抗46aを介して接続する。
【0032】
トランジスタ46のコレクタは抵抗48を介してMOSFET47のゲートに接続する。MOSFET47のソースはグランドに接続する。MOSFET47のゲートとグランドは、抵抗47aを介して接続する。MOSFET47のドレインは出力端子49に接続する。出力端子49は外部装置の入力端子に接続する。
【0033】
トランジスタ42のベースとコレクタの間には、寄生容量43aが発生する。トランジスタ42のベースとエミッタの間には、寄生容量43bが発生する。寄生容量43a、43bの電圧はトランジスタ42への印加電圧に対応する。
【0034】
入力回路60はロジック電源61に接続する。ロジック電源61の電圧は駆動電源45の電圧よりも低く、例えば5ボルトである。ロジック電源61は抵抗61aを介してトランジスタ62のコレクタに接続する。抵抗61aはプルアップ抵抗である。トランジスタ62のエミッタはグランドに接続する。トランジスタ62のベースとエミッタは、抵抗62bを介して接続する。トランジスタ62は第一制御素子に対応する。
【0035】
トランジスタ62のベースは抵抗62aを介してツェナーダイオード64の一端に接続する。ツェナーダイオード64の他端は抵抗67を介して入力端子68に接続する。ツェナーダイオード64の順方向は一端から他端への向きである。抵抗67と入力端子68との間の箇所に駆動電源66が抵抗66aを介して接続する。ツェナーダイオード64と抵抗67との間の箇所はコンデンサ65を介してグランドに接続する。入力端子68は外部装置の出力端子に接続する。外部装置から入力端子68に電圧を入力した場合、ツェナーダイオード64のブレークダウンによって、入力電圧は定電圧となる。
【0036】
トランジスタ62のベースとコレクタの間には、寄生容量63aが発生する。トランジスタ62のベースとエミッタの間には、寄生容量63bが発生する。寄生容量63a、63bの電圧はトランジスタ62への印加電圧に対応する。
【0037】
制御回路70は、動作制御部71、計時部72、二つの中継部73a、73b、二つの否定ゲート74a、74bを備える。動作制御部71は、CPU71a及び記憶部71bを備える。記憶部71bは書き換え可能であり、例えばEEPROM、EPROM、フラッシュメモリ又はハードディスクを有する。動作制御部71は計時部72にリセット信号を出力し、計時部72は動作制御部71に計時結果を出力する。中継部73aから計時部72に計時開始信号が入力し、中継部73bから計時部72に計時終了信号が入力する。
【0038】
制御回路70は、ロジック電源75a、抵抗75b、MOSFET75c、出力バッファ76a、コンパレータ76b及びスイッチ76cを備える。MOSFET75cのゲートに動作制御部71から制御信号が入力する。MOSFET75cのドレインにロジック電源75aが接続する。MOSFET75cのソースは抵抗75bを介してスイッチ76cの第一端子761に接続する。
【0039】
第一端子761は、トランジスタ62のコレクタに接続する。スイッチ76cは第二端子762、第三端子763を備え、第二端子762は出力バッファ76aの出力端子に接続する。出力バッファ76aの入力端子は中継部73a及び動作制御部71に接続する。第三端子763はコンパレータ76bの第一入力端子764に接続する。コンパレータ76bの第二入力端子765には閾値電圧Aが入力する。コンパレータ76bの出力端子は中継部73b及び動作制御部71に接続する。コンパレータ76bは第一入力端子764の入力電圧と閾値電圧Aとの差分が所定値以下である場合、信号を出力する。スイッチ76cは第一端子761と、第二端子762又は第三端子763とを接続する。
【0040】
制御回路70は、ロジック電源77a、抵抗77b、MOSFET77c、出力バッファ78a、コンパレータ78b及びスイッチ78cを備える。MOSFET77cのゲートに動作制御部71から制御信号が入力する。MOSFET77cのドレインにロジック電源77aが接続する。MOSFET77cのソースは抵抗77bを介してスイッチ78cの第一端子781に接続する。
【0041】
第一端子781は、抵抗42aを介してトランジスタ42のベースに接続する。スイッチ78cは第二端子782、第三端子783を備え、第二端子782は出力バッファ78aの出力端子に接続する。出力バッファ78aの入力端子は否定ゲート74aの出力端子に接続し、否定ゲート74aの入力端子は動作制御部71及び中継部73aに接続する。
【0042】
第三端子783はコンパレータ78bの第一入力端子784に接続する。コンパレータ78bの第二入力端子785には閾値電圧Bが入力する。コンパレータ78bの出力端子は、否定ゲート74bの入力端子に接続する。コンパレータ78bは第一入力端子784の入力電圧と閾値電圧Bとの差分が所定値以下である場合、信号を出力する。否定ゲート74bの出力端子は中継部73bと動作制御部71に接続する。スイッチ78cは第一端子781と、第二端子782又は第三端子783とを接続する。
【0043】
動作制御部71は寄生容量43a、43b、63a、63bに対応した基準時間を計測し、記憶部71bに格納する準備処理を実行する。以下入力回路60についての準備処理を説明する。図5は、準備処理を説明するフローチャート、図6は、時間と電圧との関係を示すグラフである。図6において、V0は時点t1における寄生容量63a、63bの電圧を示し、V1は閾値電圧を示す。閾値電圧V1は閾値電圧Aに対応する。
【0044】
CPU71aは第一端子761を第二端子762に接続し、出力バッファ76aに接続する(S1)。CPU71aは所定時間が経過したか否か判定する(S2)。所定時間は寄生容量63a、63bの放電が完了するまでの時間であり、図6の時点t0から時点t1までの時間に対応する。図6に示す如く、時点t1における寄生容量63a、63bの電圧はV0である。計時部72の計時結果は動作制御部71に入力する。所定時間は例えば数ミリ秒である。
【0045】
所定時間が経過してない場合(S2:NO)、CPU71aはS2に処理を戻す。所定時間が経過した場合(S2:YES)、CPU71aは第一端子761を第三端子763に接続し、コンパレータ76bに接続する(S3)。所定時間が経過した時点は図6の時点t1に対応する。CPU71aはMOSFET75cをオンし(S4)、計時部72は時点t1からの計時を開始する(S5)。第一端子761を第三端子763に接続するので、第一端子761と第二端子762は断線し、中継部73aを介して計時部72にハイインピーダンス信号が入力し、計時部72は計時を開始する。
【0046】
CPU71aは、コンパレータ76bの入力電圧と閾値電圧V1との差分が所定値以下であるか否か判断する(S6)。差分が所定値以下でない場合(S6:NO)、即ち、コンパレータ76bが信号を出力していない場合、CPU71aはS6に処理を戻す。差分が所定値以下である場合(S6:YES)、即ち、コンパレータ76bが信号を出力した場合、CPU71aは計時を終了する(S7)。計時部72は計時結果を動作制御部71に入力する。計時を終了した時点は、図6の時点t2に対応する。CPU71aは時点t1から時点t2までの時間、即ち時間T0を記憶部71bに格納し(S8)、準備処理を終了する。図6のL0は準備処理での電圧と時間の関係を示すグラフである。
【0047】
CPU71aは出力回路40についても準備処理を実行する。出力回路40については、寄生容量63a、63bの放電及び充電が、寄生容量43a、43bの放電及び充電とは逆になる。否定ゲート74a、74bがあるので、論理は反転し、CPU71aは、出力回路40についても、入力回路60と同じ準備処理を実行することができる。従って、出力回路40についての準備処理の記載は省略する。
【0048】
外部装置を第二入出力基板94に接続し、工作機械100の電源を入れる場合、作業者は異常処理を実行する。図7は、異常処理を説明するフローチャートである。図7において、S11~S17までの処理は図5のS1~S7までの処理と同じなので、その記載を省略する。S17にて計時終了後、CPU71aは時点t1から計時終了時点までの時間T1を記憶部71bに格納し(S18)、時間T1が所定範囲内にあるか否か判定する(S19)。
【0049】
所定範囲は例えば以下の範囲である。図6に示す如く、時点t1よりも後、且つ時点t2よりも前の所定時点を時点t3とし、時点t2よりも後の所定時点を時点t4とする。時点t1から時点t3までの時間を下限とし、時点t1から時点t4までの時間を上限とした範囲が所定範囲である。図6のL1は所定範囲の下限での電圧と時間の関係を示すグラフであり、L2は所定範囲の上限での電圧と時間の関係を示すグラフである。
【0050】
時間T1が所定範囲内にない場合(S19:NO)、CPU71aは異常を報知し(S20)、工作機械100を停止する(S21)。CPU71aは表示部54aに異常を示す情報を表示する。尚、ランプ又はブザーを設け、点灯又は音によって異常を報知してもよい。時間T1が所定範囲内にある場合(S19:YES)、CPU71aは異常処理を終了する。
【0051】
実施の形態1に係る工作機械100にあっては、トランジスタ62又はトランジスタ42への印加電圧が時点t0での電圧(第一電圧)から閾値電圧(第二電圧)に至るまでの時間を測定する。測定した時間に基づいて、トランジスタ62又はトランジスタ42の寄生容量の変化を求め、トランジスタ62又はトランジスタ42が異常か否か判定し、第二入出力基板94の破損を防止する。
【0052】
また測定した時間が基準時間よりも短いか又は長い場合、トランジスタ62又はトランジスタ42が異常であると判定する。
【0053】
異常電圧が入力し易い電源入力時に、トランジスタ62又はトランジスタ42が異常か否かを判定し、入出力基板の破損を防止する。
【0054】
またトランジスタ62又はトランジスタ42が異常である旨を作業者に報知し、機械本体を停止する。作業者は、異常の発生によって機械本体が停止したことを容易に認識できる。
【0055】
(実施の形態2)
以下本発明を実施の形態2に係る工作機械を示す図面に基づいて説明する。実施の形態2の構成の内、実施の形態1と同様な構成については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。図8は、基準時間を計測及び格納する準備処理を説明するフローチャートである。図8のS31~S38は、図5のS1~S8と同じなので、その記載を省略する。尚、記憶部71bは、変数n及び二以上の値kを予め格納している。
【0056】
S38において、時間T0を記憶部71bに格納した後、CPU71aは変数nを一加算し(S39)、変数nが値k以上であるか否か判定する(S40)。変数nが値k以上でない場合(S40:NO)、CPU71aはS31に処理を戻す。CPU71aは、処理を繰り返す都度、S38にて、時間T0を記憶部71bに格納する。即ち、複数の時間T0を記憶部71bに格納する。変数nが値k以上である場合(S40:YES)、CPU71aは複数の時間T0の平均値を演算し、演算した平均値を記憶部71bに格納し(S41)、準備処理を終了する。
【0057】
実施の形態2に係る工作機械100にあっては、測定時間T0の平均に基づいて、所定時間範囲を定め、第二入出力基板94の特性に基づく測定時間のばらつき、又は測定時間への外乱の影響を抑制する。
【0058】
(実施の形態3)
以下本発明を実施の形態3に係る工作機械を示す図面に基づいて説明する。実施の形態3の構成の内、実施の形態1又は2と同様な構成については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。図9は、異常処理を説明するフローチャートである。図9のS51~S58までの処理は、図7のS11~S18までの処理と同じなので、その記載を省略する。
【0059】
S58にて、時間T1を記憶部71bに格納後、CPU71aは変数nを一加算する(S59)。CPU71aは変数nが値k以上であるか否か判定する(S60)。変数nが値k以上でない場合(S60:NO)、CPU71aはS51に処理を戻す。CPU71aは、処理を繰り返す都度、S58にて、時間T1を記憶部71bに格納する。即ち、複数の時間T1を記憶部71bに格納する。
【0060】
変数nが値k以上である場合(S60:YES)、CPU71aは複数の時間T1の平均値を演算し、演算した平均値を記憶部71bに格納する(S61)。CPU71aは平均値が所定範囲内にあるか否か判定する(S62)。
【0061】
平均値が所定範囲内にない場合(S62:NO)、CPU71aは異常を報知し(S63)、工作機械100を停止する(S64)。平均値が所定範囲内にある場合(S62:YES)、CPU71aは異常処理を終了する。
【0062】
実施の形態3に係る工作機械にあっては、異常処理にて時間T1の平均値を使用することによって、異常を誤検出することを抑制できる。
【0063】
(実施の形態4)
以下本発明を実施の形態4に係る工作機械100を示す図面に基づいて説明する。実施の形態4の構成の内、実施の形態1~3と同様な構成については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。図10は、基準時間を計測及び格納する準備処理を説明するフローチャート、図11は、時間T0と温度との関係を示すテーブルである。記憶部71bは時間T0と温度との関係を示すテーブルを格納する。図10のS71~S77は図7のS11~S17と同じであり、その詳細な説明を省略する。
【0064】
S77にて計時終了後、CPU71aは温度センサ96から温度を取得し(S78)、時間T0を取得した温度に対応付けて、記憶部71bのテーブルに格納する(S79)。温度条件を変更して、準備処理を複数回実行することによって、各温度に対応した各時間T0をテーブルに格納することができる。なお、温度センサ96に代えて湿度センサを設けている場合には、S78にて湿度センサから湿度を取得し、取得した湿度に対応付けて、時間T0をテーブルに格納する。また温度センサ96及び湿度センサの両方を設けた場合、取得した温度及び湿度に対応付けて、時間T0をテーブルに格納する。
【0065】
異常処理時、CPU71aは温度センサ96又は湿度センサから温度又は湿度を取得し、取得した温度又は湿度に対応した時間T0を取得して、所定時間範囲を定めることができる。
【0066】
実施の形態4に係る工作機械100にあっては、温度又は湿度を含む環境条件を測定時間に反映し、適切な所定時間範囲を定めることができる。
【0067】
今回開示した実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。各実施例にて記載されている技術的特徴は互いに組み合わせることができ、本発明の範囲は、特許請求の範囲内での全ての変更及び特許請求の範囲と均等の範囲が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0068】
40 出力回路
42 トランジスタ(第二制御素子)
54a 表示部
60 入力回路
62 トランジスタ(第一制御素子)
70 制御回路
71a CPU
71b 記憶部
80 制御盤
94 第二入出力基板(入出力基板)
96 温度センサ
100 工作機械
図1
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図11