(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】ゲーム装置
(51)【国際特許分類】
G06K 7/10 20060101AFI20231219BHJP
A63F 13/20 20140101ALI20231219BHJP
A63F 13/95 20140101ALI20231219BHJP
A63F 13/24 20140101ALI20231219BHJP
【FI】
G06K7/10 168
A63F13/20 A
A63F13/95 A
A63F13/24
G06K7/10 128
G06K7/10 236
G06K7/10 264
(21)【出願番号】P 2019144119
(22)【出願日】2019-08-06
【審査請求日】2022-07-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000132471
【氏名又は名称】株式会社セガ
(74)【代理人】
【識別番号】110002273
【氏名又は名称】弁理士法人インターブレイン
(72)【発明者】
【氏名】前田 博史
【審査官】松平 英
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-125286(JP,A)
【文献】特開2016-107018(JP,A)
【文献】特開2005-184318(JP,A)
【文献】特開2016-012211(JP,A)
【文献】特開2019-049851(JP,A)
【文献】特開2019-128706(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 1/00-5/04
9/24
13/00-13/98
G06K 7/00-7/14
17/00-19/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技媒体から情報を読み取る読取装置を備え、読み取った情報に基づいてゲームの進行を制御するゲーム装置であって、
前記遊技媒体が、第1アンテナを有するタグを含むものであり、
前記読取装置は、
前記遊技媒体のタグから情報を読み取るものであり、
前記遊技媒体を複数重ねて受け入れ可能なスロットを有するホルダと、
前記スロットに収容された前記遊技媒体に向けて電波を放射するとともに前記第1アンテナから送信されたデータを受信するための第2アンテナを有するリーダと、
前記スロットを挟んで前記第2アンテナと対向配置され、前記第2アンテナから放射された電波を反射する反射部材と、
前記第2アンテナと前記反射部材との相対角度を、前記遊技媒体を重ねる方向である一軸方向と異なる方向に変化させる駆動機構と、を備え、
前記駆動機構は、前記一軸方向に延び、前記反射部材を支持する回転軸と、前記回転軸をその軸線周りに回転させるアクチュエータと、を含み、
前記反射部材は、前記回転軸に対して非対称な形状を有することを特徴とするゲーム装置。
【請求項2】
遊技媒体から情報を読み取る読取装置を備え、読み取った情報に基づいてゲームの進行を制御するゲーム装置であって、
前記遊技媒体が、第1アンテナを有するタグを含むものであり、
前記読取装置は、
前記遊技媒体のタグから情報を読み取るものであり、
前記遊技媒体を複数重ねて受け入れ可能なスロットを有するホルダと、
前記スロットに収容された前記遊技媒体に向けて電波を放射するとともに前記第1アンテナから送信されたデータを受信するための第2アンテナを有するリーダと、
前記スロットを挟んで前記第2アンテナと対向配置され、前記第2アンテナから放射された電波を反射する反射部材と、
前記第2アンテナと前記反射部材との相対角度を、前記遊技媒体を重ねる方向である一軸方向と異なる方向に変化させる駆動機構と、を備え、
前記駆動機構は、前記一軸方向に延び、前記反射部材を支持する回転軸と、前記回転軸をその軸線周りに回転させるアクチュエータと、を含み、
前記反射部材は、前記回転軸の回転に伴って前記第2アンテナとの前記一軸方向の対向面積が変化する形状を有することを特徴とするゲーム装置。
【請求項3】
遊技媒体から情報を読み取る読取装置を備え、読み取った情報に基づいてゲームの進行を制御するゲーム装置であって、
前記遊技媒体が、第1アンテナを有するタグを含むものであり、
前記読取装置は、
前記遊技媒体のタグから情報を読み取るものであり、
前記遊技媒体を複数重ねて受け入れ可能なスロットを有するホルダと、
前記スロットに収容された前記遊技媒体に向けて電波を放射するとともに前記第1アンテナから送信されたデータを受信するための第2アンテナを有するリーダと、
前記スロットに対して前記リーダとは反対側に設けられ前記遊技媒体を重ねる方向
である一軸方向に延びた回転軸と、
前記回転軸に支持され、前記第2アンテナから放射された電波を反射する反射部材と、
前記反射部材を前記回転軸を中心に回転駆動させ前記第2アンテナと前記反射部材との相対角度を変化させる駆動機構と、を備え、
前記駆動機構は、前記回転軸をその軸線周りに回転させるアクチュエータと、を含み、
前記反射部材は、前記回転軸に対して非対称な形状を有することを特徴とするゲーム装置。
【請求項4】
遊技媒体から情報を読み取る読取装置を備え、読み取った情報に基づいてゲームの進行を制御するゲーム装置であって、
前記遊技媒体が、第1アンテナを有するタグを含むものであり、
前記読取装置は、
前記遊技媒体のタグから情報を読み取るものであり、
前記遊技媒体を複数重ねて受け入れ可能なスロットを有するホルダと、
前記スロットに収容された前記遊技媒体に向けて電波を放射するとともに前記第1アンテナから送信されたデータを受信するための第2アンテナを有するリーダと、
前記スロットに対して前記リーダとは反対側に設けられ前記遊技媒体を重ねる方向である一軸方向に延びた回転軸と、
前記回転軸に支持され、前記第2アンテナから放射された電波を反射する反射部材と、
前記反射部材を前記回転軸を中心に回転駆動させ前記第2アンテナと前記反射部材との相対角度を変化させる駆動機構と、を備え、
前記駆動機構は、前記回転軸をその軸線周りに回転させるアクチュエータと、を含み、
前記反射部材は、前記回転軸の回転に伴って前記第2アンテナとの前記一軸方向の対向面積が変化する形状を有することを特徴とするゲーム装置。
【請求項5】
前記タグへ向けて送信する電波により前記タグに電力を供給することを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載のゲーム装置。
【請求項6】
前記反射部材が、前記一軸方向に対して垂直な面に沿った反射面を有する反射板からなることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載のゲーム装置。
【請求項7】
前記駆動機構は、
前記反射部材を支持する支持部材と、を含み、
前記アクチュエータは前記一軸方向に対して垂直な方向に前記支持部材を移動させることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載のゲーム装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タグから情報を読み取るタグ読取装置、およびタグから読み取った情報に基づいてゲームの進行を制御するゲーム装置に関する。
【背景技術】
【0002】
アーケードゲームのひとつに、収集したカードを用いて対戦等を行う「コレクタブルカードゲーム(Collectible Card Game)」がある(「トレーディングカードゲーム」ともよばれる)。カードにはキャラクタが対応づけられ、カードの表面にはキャラクタのイラストが描かれることが多い。カードには固有のID(以下、「カードID」とよぶ)が記録されている。ゲーム装置側では、カードIDとキャラクタの情報とが対応づけられて管理されている。プレイヤは、手持ちのカードをゲーム装置に読み込ませることで、カードに対応づけられるキャラクタを使用できる。ゲームの結果によってはゲーム装置において新たなカードが発行され、プレイヤに提供される。
【0003】
従来、カードIDをバーコードで管理する手法が採用されていた。ガードのデザインを損なわないよう、カードの側端縁にバーコードを印刷するものである(例えば特許文献1参照)。しかし、この手法では、ゲーム装置内でバーコードをオンデマンド印刷する難易度が高く、実用に供し難いといった問題があった。そこで、例えばRFID(Radio Frequency Identification)のタグ(以下、「RFタグ」とよぶ)をカードに内蔵させ、カードIDを書き込む手法が提案されている(例えば特許文献2参照)。ゲーム装置にはカードスロットが設けられ、それに隣接するようにリーダが内蔵されている。ゲーム装置の制御部は、そのリーダによりRFタグから読み取った情報に基づいてゲームを進行する。カードスロットは、複数のカードを重ねてカードデッキの態様で受け入れることができる。プレイヤが手持ちのカードをカードデッキとしてスロットに挿入することにより、ゲームの進行過程でカードデッキに対応する複数のキャラクタを出現させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003-10535号公報
【文献】特開2016-107018号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、リーダおよびRFタグにおける電波の受信強度等、電波の状況によってはカードデッキを構成するカードの一部から情報を読み取れない場合が生じうる。すなわち、複数のRFタグが完全に重なった状態ではRFタグのアンテナ間で電波干渉が生じる。それにより、読取感度を低下させる可能性がある。
【0006】
また、ゲームに用いられるような薄いカードには電池が内蔵されない場合がある。そのようなカードから情報を読み取るためには、外部からの電力供給によりRFタグを起動させる必要がある。このような場合、リーダからRFタグへ向けて電波による電力伝送がなされる方式(いわゆるパッシブ方式)が採用される。リーダは、動作電力に達したRFタグと通信できる。しかし、複数のRFタグが完全に重ねられることでRFタグのアンテナ間で電波干渉が生じると、一部のRFタグについて電力不足を生じさせ、読取感度を低下させる可能性がある。このような問題は、ゲーム装置に限らず、タグを複数重ねた状態で情報の読み取りを行う装置については同様に生じうる。
【0007】
本発明は、上記課題認識に基づいて完成された発明であり、その主たる目的は、複数のタグを重ねた状態で情報の読み取りが可能な装置を簡易に実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある態様は、第1アンテナを有するタグから情報を読み取るタグ読取装置である。このタグ読取装置は、タグを複数重ねて受け入れ可能なスロットを有するホルダと、スロットに収容されたタグに向けて電波を放射するとともに第1アンテナから送信されたデータを受信するための第2アンテナを有するリーダと、スロットを挟んで第2アンテナと対向配置され、第2アンテナから放射された電波を反射する反射部材と、第2アンテナと反射部材との相対位置を、タグを重ねる方向である一軸方向と異なる方向に変化させる駆動機構と、を備える。
【0009】
本発明の別の態様も、第1アンテナを有するタグから情報を読み取るタグ読取装置である。このタグ読取装置は、タグを複数重ねて受け入れ可能なスロットを有するホルダと、スロットに収容されたタグに向けて電波を放射するとともに第1アンテナから送信されたデータを受信するための第2アンテナを有するリーダと、スロットに対してリーダとは反対側に設けられた回転軸と、回転軸に支持され、第2アンテナから放射された電波を反射する反射部材と、反射部材を回転軸を中心に回転駆動する駆動機構と、を備える。
【0010】
本発明のさらに別の態様は、カードから情報を読み取る読取装置を備え、読み取った情報に基づいてゲームの進行を制御するゲーム装置である。カードは、第1アンテナを有するタグを含むものである。読取装置は、カードのタグから情報を読み取るものである。この読取装置は、カードを複数重ねて受け入れ可能なスロットを有するホルダと、スロットに収容されたカードに向けて電波を放射するとともに第1アンテナから送信されたデータを受信するための第2アンテナを有するリーダと、スロットを挟んで第2アンテナと対向配置され、第2アンテナから放射された電波を反射する反射部材と、第2アンテナと反射部材との相対位置を、カードを重ねる方向である一軸方向と異なる方向に変化させる駆動機構と、を備える。
【0011】
本発明のさらに別の態様も、カードから情報を読み取る読取装置を備え、読み取った情報に基づいてゲームの進行を制御するゲーム装置である。カードは、第1アンテナを有するタグを含むものである。読取装置は、カードのタグから情報を読み取るものである。この読取装置は、カードを複数重ねて受け入れ可能なスロットを有するホルダと、スロットに収容されたカードに向けて電波を放射するとともに第1アンテナから送信されたデータを受信するための第2アンテナを有するリーダと、スロットに対してリーダとは反対側に設けられた回転軸と、回転軸に支持され、第2アンテナから放射された電波を反射する反射部材と、反射部材を回転軸を中心に回転駆動する駆動機構と、を備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、複数のタグを重ねた状態で情報の読み取りが可能な装置を簡易に実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図3】リーダの電気的構成を表すブロック図である。
【
図6】RFタグの電気的構成を表すブロック図である。
【
図7】読取装置による読取方法を説明するための図である。
【
図8】反射板による効果を説明するための図である。
【
図9】反射板による効果を説明するための図である。
【
図11】読取装置の読取処理を表すフローチャートである。
【
図12】変形例1における読取装置の読取処理を表すフローチャートである。
【
図13】変形例2における反射板の構造および駆動制御を表す図である。
【
図14】変形例3における反射板の構造および駆動制御を表す図である。
【
図15】変形例4における反射板の構造および駆動制御を表す図である。
【
図16】変形例5における反射部材の構造および駆動制御を表す図である。
【
図17】変形例6における反射部材の構造および駆動制御を表す断面図である。
【
図18】変形例7における反射板の構造および駆動制御を表す図である。
【
図19】変形例8,9における反射板の構造を模式的に表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施形態およびその変形例について、ほぼ同一の構成要素については同一の符号を付し、その説明を適宜省略する。
【0015】
本実施形態のアーケードゲーム装置(以下、単に「ゲーム装置」という)は、コレクタブルカードゲームを提供する。カードにはキャラクタが対応づけられている。ゲーム装置は、カードIDと対応づけるようにキャラクタ情報を記憶している。キャラクタ情報には、体力や知力といったキャラクタの属性値が含まれる。ゲーム装置は、プレイヤが収集した複数のカードをカードデッキとして受け入れ、それらのカードIDを一括で読み込む。そして、カードデッキに含まれる全てのカードについてキャラクタ情報を読み取り、ゲームを進行させる。プレイヤは、属性値が高いキャラクタに対応したカードをカードデッキに含めることで、ゲームを優位に進めやすい。
【0016】
ゲーム装置とカードとの通信はRFID方式にて行われる。ゲーム装置に読取装置が設けられ、カードにRFタグが内蔵される。RFタグはICチップとアンテナを含む(詳細後述)。以下、RFタグのアンテナを「タグアンテナ」、読取装置のアンテナを「リーダアンテナ」ともよぶ。タグアンテナが「第1アンテナ」として機能し、リーダアンテナが「第2アンテナ」として機能する。
【0017】
ICチップにはメモリ回路が設けられており、固有のID(カードID)が記憶されている。RFタグへの電力供給は、読取装置からの電波を利用するパッシブ方式が採用される。ICチップには整流回路が設けられており、読取装置からタグアンテナに入力された電波(交流)を直流に変換し、RFタグの全ての回路に電力を供給する。このため、カードデッキに含まれる全てのRFタグに電力を供給できなければ、全てのカードからはカードIDを読み取ることができない。
【0018】
本実施形態では、読取装置がカードデッキの全てのRFタグから情報を読み取れるよう、電波による電力伝送のための構成を工夫している。すなわち、読取装置において、カードデッキを挟んでリーダアンテナと対向する位置に反射板を配置する。反射板は、リーダアンテナから放射された電波を反射する「反射部材」として機能する。読取処理時にその反射板を回転させることでリーダアンテナと反射板との相対位置を変化させ、電波の反射モードを変化させる。それにより、読取処理を終えるまでに結果的に全てのRFタグに作動電力を供給でき、全てのカードからカードIDを読み取りやすくなる。以下、本実施形態の具体例について説明する。
【0019】
図1は、ゲーム装置の外観を表す斜視図である。
ゲーム装置1は、装置本体10およびモニタ12を備える。装置本体10には操作卓14が設けられ、その奥方にモニタ12が立設されている。操作卓14は、装置本体10の手前側に向けてやや下方に傾斜する傾斜面を有する。操作卓14の中央には取付孔16が設けられ、読取装置18が挿入され組み付けられている。読取装置18は、カードデッキを挿入するためのカードスロット20を有する。読取装置18は、カードに内蔵されたRFタグから情報を読み取る「タグ読取装置」として機能する(詳細後述)。
【0020】
操作卓14における読取装置18の左右には、それぞれ操作ボタン22が設けられる。操作ボタン22は、プレイヤがゲームの進行中に選択や決定等の操作入力を行う際に使用される。本実施形態ではプレイヤが一人である場合、左側の操作ボタン22を使用する。プレイヤが二人である場合は、一方のプレイヤが左側の操作ボタン22を操作し、他方のプレイヤが右側の操作ボタン22を操作する。変形例においては、プレイヤに対応させる2つの操作ボタン22の設定を適宜変更してもよい。
【0021】
操作卓14の右下方には、料金受入部24が設けられている。料金受入部24は、ゲーム料金を受け入れるためのスロットであり、具体的にはコイン投入口である。なお、本実施形態ではゲーム料金としてコインを受け付ける例を示したが、電子マネーやポイント等を記録したカードを受け付けてもよい。料金受入部24に投入されたコインは、装置本体10内に設置されたコイン検出機(図示略)により検出される。
【0022】
操作卓14の左下方には、カード払出口26が設けられている。ゲームの結果に応じてプレイヤに新たなカードが提供される場合、装置本体10内で作成されたカードがカード払出口26に払い出される。
【0023】
モニタ12は、本実施形態では液晶ディスプレイからなるが、CRTや有機ELディスプレイであってもよい。モニタ12は、ゲームの演出画像を大画面にて表示させる。操作卓14とモニタ12との境界部には、スピーカー28が設けられている。スピーカー28は、ゲームの音声を出力する。
【0024】
図2は、読取装置18の構成を表す図である。
図2(A)は正面上方からみた斜視図であり、
図2(B)は背面情報からみた斜視図である。本図には、読取装置18にカードデッキが収容された状態が示されている。
読取装置18は、有底筒状のホルダ30を有する。ホルダ30は、一対の側壁32、前壁34、後壁36および底面38を有し、平面視長方形状をなしている。前壁34と後壁36とは互いに平行に設けられている。
【0025】
ホルダ30の内方にカードスロット20が形成され、上方に向けて開口している。カードデッキ40(複数のカード42)は、その長手方向が上下方向となるようにカードスロット20に挿入される。カードスロット20からのカード42の出し入れが容易となるよう、両側壁32の高さがカード42の高さよりも小さく設定されている。本実施形態では、カードスロット20が50枚のカード42を挿入できる大きさに設定されている。
【0026】
前壁34の上端には、上方に向けて前方に傾斜するガイド部44が設けられている。前壁34の両側部からはガイド部44を補強するリブ46が前方に延出している。後壁36の上端には、上方に向けて後方に傾斜するガイド部48が設けられている。後壁36の両側部からはガイド部48を補強するリブ50が後方に延出している。ガイド部44,48によりカードスロット20の入口が広げられ、カード42の挿入を容易にしている。
【0027】
図2(A)に示すように、前壁34の正面には反射装置51が設けられている。反射装置51は、長方形状の回路基板52に反射板54、アクチュエータ56および駆動回路58を実装して構成される。回路基板52がねじ等の固定手段57を介して前壁34に固定されている。反射板54は、長方形状の金属板からなり、その中央に回転軸60を有する。アクチュエータ56は、反射板54を駆動する「駆動機構」であり、本実施形態ではDCモータである。ゲーム装置1の読取制御部(後述)からの指令信号に基づき、駆動回路58がアクチュエータ56を駆動し、反射板54を軸線周りに回転させる。
【0028】
反射板54の軸線方向は、ホルダ30においてカード42を重ねる方向(つまりRFタグを重ねる厚み方向:以下、「一軸方向」ともよぶ)と一致する。反射板54は、一軸方向に垂直な面(カード面に平行な面)に沿った反射面を有する。回転軸60は、回路基板52のほぼ中央(カード42の中心の一軸方向投影位置)に位置する。反射板54は、一軸方向に対して垂直な平面上を回転することになる。
【0029】
図2(B)に示すように、後壁36の背面にはリーダ61が設けられている。リーダ61は、長方形状の回路基板62にリーダ回路64およびリーダアンテナ66を実装して構成される。回路基板62がねじ等の固定手段67を介して後壁36に固定されている。回路基板62は、カードスロット20を挟んで回路基板52と対向配置され、回路基板52と平行に設けられる。
【0030】
リーダアンテナ66は、本実施形態ではダイポールアンテナからなり、直線偏波方式の信号の送受信が可能である。リーダアンテナ66は、反射板54とカードスロット20を挟んで一軸方向に対向配置されている。
【0031】
図3は、リーダ61の電気的構成を表すブロック図である。
リーダ回路64は、発振回路210、制御回路220、変調回路230、送信回路240、受信回路250および復調回路260を備える。発振回路210は、各回路の動作クロックを生成するとともに、RFタグとの更新に必要な搬送波を生成する。制御回路220は、ゲーム装置1の読取制御部132(後述)との通信制御、およびRFタグとの交信制御を行う。変調回路230は、制御回路220から送られるコマンドやデータを搬送波に重畳して変調し、送信回路240へ送る。送信回路240は、変調回路230から送られるコマンドやデータを増幅等してリーダアンテナ66を介して送信する。受信回路250は、RFタグから送信されリーダアンテナ66に入力される搬送波を受信し、ノイズをカットするなどして復調回路260に入力する。復調回路260は、受信回路250から入力されたコマンドやデータを復調して制御回路220へ入力する。
【0032】
図4は、カードの構成を表す図である。
図4(A)はカード単体を例示し、
図4(B)はカードスロット20に挿入されるカードデッキ40を示す。
カード42は、コレクタブルカードゲーム用に作製され、キャラクタが対応づけられる。
図4(A)に示すように、カード42は長方形状をなし、表面にキャラクタ70の形姿が描かれている。カード42を読取装置18に読み込ませることにより、キャラクタ70をゲームに出現させることができる。カード42にはRFタグ72が内蔵されている。RFタグ72は、UHF帯(860~960MHz:一般には920MHz)で通信を行うタグであり、ICチップ74とタグアンテナ76を含む。
【0033】
図4(B)に示すように、カードデッキ40は、複数のカード42をぴったりと重ねた状態で用いられるが、このときRFタグ72のタグアンテナ76も一軸方向に完全に重なる状態となる。
【0034】
図5は、カードの構造を模式的に表す図である。
図5(A)は平面図であり、
図5(B)は
図5(A)のA-A矢視断面図である。
RFタグ72は、平板状の第1基材78上にICチップ74とタグアンテナ76を実装して構成される。ICチップ74とタグアンテナ76との接続体を「インレット80」ともいう。インレット80は、ICチップ74の両側に直線状のアンテナエレメント84を配置して得られ、全体として直線状をなしている。カード42は、RFタグ72の外周を第2基材82で被覆して所定の厚みに成形したものである。基材78,82は、PETフィルム等の樹脂や厚紙などの絶縁性材料からなる。
【0035】
タグアンテナ76は、本実施形態ではダイポールアンテナからなり、一対のアンテナエレメント84により構成される。タグアンテナ76は、リーダアンテナ66と同様に直線偏波方式の信号の送受信が可能である。
【0036】
図6は、RFタグ72の電気的構成を表すブロック図である。
ICチップ74は、整流回路310、復調回路320、変調回路330、制御回路340およびメモリ回路350を備える。整流回路310は、タグアンテナ76に入力された電波(交流)を直流に変換し、RFタグ72の全ての回路に電力を供給する。復調回路320は、タグアンテナ76に入力された搬送波に重畳されたコマンドやデータを信号列に復調して制御回路340へ入力する。制御回路340は、読取装置18との送受信やメモリ回路350に対する読取処理などRFタグ72の全ての動作を制御する。メモリ回路350は、RFタグ72のカードIDを保持する。変調回路330は、制御回路340によってメモリ回路350から読み出されたデータやコマンドで搬送波を変調し、タグアンテナ76を介して送信する。
【0037】
カードIDにはキャラクタ情報が対応づけられているため、ゲーム装置1は、読取装置18によりカードIDを受信できたカード42についてのみキャラクタ情報を特定でき、ゲームの進行に反映できる。キャラクタ情報には、キャラクタの種別や属性(知力、体力等の能力)を特定するための情報が含まれる。キャラクタ情報にはそのほか、プレイヤが過去に行ったゲームの進行情報や、キャラクタの装備を表す情報等を含めてもよい。
【0038】
図7は、読取装置18による読取方法を説明するための図である。
図7(A)は読取装置18の構成を模式的に示す斜視図であり、
図7(B)は縦断面図である。
上述のように、リーダアンテナ66と反射板54とが、カードスロット20を間に挟んで対向配置されている。カードスロット20には、複数のカード42が重ねられてカードデッキ40が構成される。各カード42のタグアンテナ76も一軸方向に重ねられる。
【0039】
このような構成において、各カード42のキャラクタ情報を読み出す際には、リーダ回路64が駆動され、リーダアンテナ66から電波が放射される。この電波により各カード42(RFタグ72)に電力伝送がなされる。十分な電力が得られたカード42は、そのRFタグ72に設定されたカードIDを読取装置18へ向けて返信する。RFタグ72からのデータ伝送は、リーダ61からの搬送波を反射させるバックスキャッタ方式にて行われる。
【0040】
ただし、バックスキャッタ方式のみでは、電波の状況によってはカードデッキを構成する複数のカードの全てから情報を読み取れない場合が生じる。複数のRFタグ72が完全に重なった状態ではタグアンテナ76間で電波干渉が生じ、一部のRFタグ72について電力不足を生じさせる可能性があるためである。
【0041】
そこで、リーダ61からの電波を反射板54で反射させることで、カード42に供給する電波の強度を増加させる。さらに、アクチュエータ56を駆動して反射板54を軸線周りに回転させることで、リーダアンテナ76と反射板54との相対角度を変化させる。このとき、反射板54の回転に伴って反射板54とリーダアンテナ66との一軸方向の対向面積が変化し、反射する電波の伝播モードが変化する。それにより、カードデッキ40の一軸方向において電力が最大となる位置をシフトさせ、全てのカード42に電力を行き渡らせるようにする。
【0042】
図8および
図9は、反射板54による効果を説明するための図である。ここでは、反射板54の角度を変更した場合にリーダ61と各カード42との通信強度がどの程度変化するかを検証した実験結果を示す。
図8は反射板54の回転角度を示し、
図9はそれに対応した通信強度の測定結果を示す。
図8(A)は0度、
図8(B)は20度、
図8(C)は45度、
図8(D)は70度、
図8(E)は90度の場合を示す。
図8(F)は反射板54を設けなかった場合を示す。リーダアンテナ66は実際にはカード42よりも紙面奥側に位置しており、以後の各変形例についても同様である。
図9(A)~(F)は、
図8(A)~(F)にそれぞれ対応する。
図9において、各図の縦軸は、カードデッキ40を構成する各カード42の位置を示す。本実験では、49枚のカード42を重ねてカードデッキ40を構成した。横軸は通信強度を示す。通信強度は、カード42に供給される電力の大きさに対応する。
【0043】
本実験によれば、反射板54を設けるか否かによって通信強度の分布が異なるのはもちろん、反射板54の角度によっても通信強度の分布(供給電力の大きさの分布)が変化することが分かる。言い換えれば、反射板54を回転させることで、全てのカード42に対して作動電力を供給できる可能性が高くなる。すなわち、カードデッキ40を構成する全てのカード42からキャラクタ情報を取得できる可能性が高くなる。
【0044】
図10は、ゲーム装置1の機能ブロック図である。
ゲーム装置1の各構成要素は、CPU(Central Processing Unit)および各種コプロセッサなどの演算器、メモリやストレージといった記憶装置、それらを連結する有線または無線の通信線を含むハードウェアと、記憶装置に格納され、演算器に処理命令を供給するソフトウェアによって実現される。コンピュータプログラムは、デバイスドライバ、オペレーティングシステム、それらの上位層に位置する各種アプリケーションプログラム、また、これらのプログラムに共通機能を提供するライブラリによって構成されてもよい。以下に説明する各ブロックは、ハードウェア単位の構成ではなく、機能単位のブロックを示している。
【0045】
ゲーム装置1は、通信部100、データ処理部102、ユーザインタフェース部104およびデータ格納部106を含む。通信部100は、インターネットを介して図示しないゲームサーバとの通信処理を担当する。ユーザインタフェース部104は、プレイヤからの操作入力を受け付けるほか、画像表示や音声出力など、ユーザインタフェースに関する処理を担当する。データ格納部106は、ゲームプログラム、モニタ12に表示するキャラクタや背景、アイテム等の画像、カード42に印刷されるキャラクタや背景、アイテム等の画像、カード42における各種画像の印刷位置を示す座標等の各種データを格納する。データ処理部102は、通信部100、ユーザインタフェース部104により取得されたデータおよびデータ格納部106に格納されているデータに基づいて各種処理を実行する。データ処理部102は、ユーザインタフェース部104、通信部100およびデータ格納部106のインタフェースとしても機能する。
【0046】
ユーザインタフェース部104は、プレイヤからの入力を受け付ける入力部110と、プレイヤに対して各種情報を提供する出力部120を含む。入力部110は、ID検出部112および操作検出部114を含む。プレイヤは、ゲームを開始するとき、カード42をカードスロット20に挿入する。ID検出部112は、このとき読取装置18がカード42から読み取ったカードIDを検出する。操作検出部114は、操作ボタン22を介して入力されるプレイヤの各種操作を検出する。
【0047】
出力部120は、画面出力部122および音声出力部124を含む。画面出力部122は、モニタ12にゲームの演出画像を表示させる。音声出力部124は、スピーカー28にゲームの音声を出力させる。
【0048】
データ処理部102は、ゲーム実行部130、読取制御部132およびカード処理部134を含む。ゲーム実行部130は、ゲームプログラムにしたがってゲームを実行する。読取制御部132は、読取装置18の反射板54を駆動制御する。カード処理部134は、ゲーム終了時にプレイヤに対して新たなカードを発行する場合、そのカードに記録するキャラクタ情報やカードに印刷する画像情報を印刷装置140に出力する。印刷装置140は、ゲーム装置1に内蔵されている。印刷装置140は、RFタグを内蔵したカードを収容する収容ユニットを備える。印刷装置140は、カード処理部134からのコマンドにしたがってカードに画像を印刷し、カード払出口26に払い出す。
【0049】
図11は、読取装置18の読取処理を表すフローチャートである。
この駆動処理は、ゲームの開始時に実行される。読取制御部132は、読取装置18の駆動回路58に駆動信号を出力する(S10)。それにより、アクチュエータ56(DCモータ)が駆動し、反射板54が回転を開始する。続いて、読取制御部132は、リーダ回路64を起動し、カードデッキ40を構成するカード42から情報を読み取る読取処理を開始する(S12)。このとき、リーダアンテナ66から電波が放射される。各カード42は、その電波による電力で起動し、カードIDを返信する。
【0050】
設定時間(例えば3秒)が経過すると(S14のY)、読取制御部132は、反射板54が回転を停止させ(S16)、読取処理を終了する(S18)。ゲーム実行部130は、この読取処理にて読み取ったカードIDを用いてデータ格納部106を参照することで、プレイヤが保有するカード42の情報(キャラクタ情報等)を取得し、ゲームの進行に反映させる。
【0051】
以上、実施形態に基づいてゲーム装置1を説明した。
本実施形態によれば、読取装置18による読み取り時に反射板54を回転駆動させることで、リーダアンテナ66と反射板54との相対角度を変化させることができる。すなわち、両者の相対位置をカード42の重なり方向と異なる方向(一軸方向に対して垂直成分を有する方向)に変化させることができる。言い換えるとカードの重なり方向である厚み方向に対しズレた方向に変化させることができる。それにより、反射板54で反射した電波をカードデッキ40に供給できるだけでなく、カード42の重なり方向(一軸方向)において供給電力が最大となる位置を変化させることができる。その結果、読取処理を終えるまでに結果的にカードデッキ40に含まれる全てのRFタグ72に電力を供給でき、全てのカード42からカードIDを読み取りやすくなる。このような読取手法が、反射板54を回転させるといった簡易な構造にて実現できる。反射板54を一軸方向に直進駆動するものではないため、省スペースを実現することもできる。
【0052】
なお、本発明は上記実施形態や変形例に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。上記実施形態や変形例に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより種々の発明を形成してもよい。また、上記実施形態や変形例に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。
【0053】
[変形例]
以下、各種の変形例について説明する。
図12は、変形例1における読取装置の読取処理を表すフローチャートである。
上記実施形態では、反射板54を回転駆動するアクチュエータ56としてDCモータを採用し、読取処理においてDCモータを連続駆動する構成を例示した。変形例1では、アクチュエータ56としてステッピングモータを採用し、設定角度ずつ間欠駆動する。その設定角度ごとに読取処理を実行する。この読取処理を反射板54のトータルの回転角度が予め定めるサンプリング角度に達するまで繰り返し実行する。このサンプリング角度は、例えば1/2回転に対応する180度、あるいは1回転に対応する360度とするなど、適宜設定される。サンプリング角度をステッピングモータの駆動ステップ数として管理してもよい。具体的処理は以下のとおりである。
【0054】
読取制御部132は、ゲーム開始時に読取装置18の駆動回路58に駆動信号を出力し、反射板54を設定角度(例えば10度)回転させる(S210)。リーダアンテナ66からは電波が放射される。読取制御部132は、読取装置18により読み取られた情報を取得する(S212)。このとき、サンプリング角度の回転が完了していなければ(S214のN)、S210の処理に戻り、反射板54をさらに設定角度回転させる。サンプリング角度の回転が完了していれば(S214のY)、読取処理を終了する(S216)。なお、反射板54の初期位置(初期角度)を設定しておき、読取終了処理において初期角度に戻す処理を行ってもよい。
【0055】
なお、本変形例では、反射板54を設定角度ごと間欠的に回転させているが、その間欠駆動の周期については、電波が反射するときの反射板54の角度がばらつくように(つまり、反射板54において直線偏波を反射させる領域を変化させるように)適宜設定する。
【0056】
図13は、変形例2における反射板の構造および駆動制御を表す図である。
図13(A)~(C)は反射板の制御過程を示す。
上記実施形態では、反射板54を長方形状とし、その中心に対して点対称な構造とした。また、回転軸60の軸線を反射板54の中心軸に一致させる構成とした。
変形例2では、同じく長方形状の反射板150を採用するが、反射板150の一端部(中心軸からずれた位置)に回転軸60を接続する。これにより図示のように、反射板150を回転させたときに、リーダアンテナ66と反射板150との相対位置(相対角度)を上記実施形態よりも大きく変化させることができる。その結果、複数のカード(RFタグ)の読取精度をより高めることができる可能性がある。
【0057】
図14は、変形例3における反射板の構造および駆動制御を表す図である。
図14(A)~(C)は反射板の制御過程を示す。
変形例3では、三角形状の反射板152を採用する。本変形例では反射板152の内心に回転軸60を接続しているが、重心その他の位置に接続してもよい。反射板152は、回転軸60の軸線に対して非対称な形状を有する。これにより図示のように、反射板152を回転させたときに、リーダアンテナ66と反射板152との相対位置(相対角度)を上記実施形態よりも大きく変化させることができる。その結果、複数のカード(RFタグ)の読取精度をより高めることができる可能性がある。
【0058】
図15は、変形例4における反射板の構造および駆動制御を表す図である。
図15(A)~(C)は反射板の制御過程を示す。
変形例4では、反射板160を一軸方向の軸線周りに回転させるのではなく、一軸方向に垂直な面に沿って移動させる。反射板160を直線駆動する「駆動機構」としてねじ送り機構172が設けられている。ねじ送り機構172は、反射板160を支持する支持部材170と、送りねじを回転させて支持部材170を移動させるアクチュエータ174を含む。アクチュエータ174は、DCモータであってもよいし、ステッピングモータであってもよい。
【0059】
これにより図示のように、反射板160を駆動したときに、リーダアンテナ66と反射板160との相対位置を変化させることができる。その結果、複数のカード(RFタグ)の読取精度を向上させることができる。なお、本変形例では、二等辺三角形状の反射板160を採用するが、その他の多角形状や楕円形状等であってもよい。ただし、内心や重心に対して非対称な形状であることが好ましい。なお、他の変形例においては、ねじ送り機構に代えてリニアモータを採用してもよい。
【0060】
図16は、変形例5における反射部材の構造および駆動制御を表す図である。
図16(A)は反射部材の構造を示す縦断面図である。
図16(B),(C)は反射部材の制御過程を示す。
変形例5では、「反射部材」として第1反射板162および第2反射板164が設けられる。第1反射板162は、長方形状の長尺部材であり、回路基板52に対して固定される。第1反射板162は、一軸方向に垂直な平面上に延び、カード42と平行に設けられている。第2反射板164は、第1反射板162と平行となるよう支持部材170に支持される。支持部材170には雌ねじが形成されている。ねじ送り機構172は、支持部材170に挿通されて雌ねじと螺合する送りねじ175(雄ねじ)と、送りねじ175を回転させて支持部材170を移動させるアクチュエータ174を含む。ねじ送り機構172により支持部材170を駆動することにより、第2反射板164が一軸方向に垂直な平面上を第1反射板162の長手方向に移動する。
【0061】
これにより、第1反射板162が固定の反射部材として機能し、第2反射板164が可動の反射部材として機能する。第2反射板164を駆動したときに、リーダアンテナ66と第2反射板164との相対位置を変化させることができる。その結果、複数のカード(RFタグ)の読取精度を向上させることができる。なお、本変形例では、反射板162,164の形状として長方形状を採用したが、その他の多角形状や楕円形状等であってもよい。ただし、可動側の第2反射板164については、内心や重心に対して非対称な形状であることが好ましい。
【0062】
図17は、変形例6における反射部材の構造および駆動制御を表す断面図である。
図17(A)は反射部材の構造を示し、
図17(B)は反射部材の制御状態を示す。
変形例6では、「反射部材」として反射板182が設けられる。反射板182は、本変形例では長方形状の部材であるが、その他の多角形状や楕円形状等、あるいはトンボの羽状に複数辺がはばたくものであってもよい。
図17(A)に示すように、反射板182は、一軸方向と垂直な方向に延びる回転軸184を有する。回転軸184は、モータ186の出力軸に接続されている。
【0063】
これにより、
図17(B)に示すように、反射板182を回動(揺動)させたときに、リーダアンテナ66と反射板182との相対位置(相対角度)を変化させることができる。その結果、複数のカード(RFタグ)の読取精度を向上させることができる。
【0064】
図18は、変形例7における反射板の構造および駆動制御を表す図である。
図18(A)は反射部材の構造を示す縦断面図である。
図18(B)は反射板の制御状態を示す。
変形例7は、反射板192の三次元形状が変形例4と異なる。反射板192は、平面視長方形状を有するが、カード42の面に対して傾斜する断面形状を有する。具体的には、反射板192の幅方向中央に屈曲部を有し、その中央から幅方向の端縁に向かうほどカード42に近接する形状を有する。反射板192は、支持部材190によって支持される。支持部材190には雌ねじが形成されている。ねじ送り機構172は、支持部材190に挿通されて雌ねじと螺合する送りねじ194(雄ねじ)と、送りねじ194を回転させて支持部材190を移動させるアクチュエータ174を含む。反射板192は、ねじ送り機構172により一軸方向と垂直な方向に駆動される。
【0065】
これにより、反射板192を駆動したときに、リーダアンテナ66と反射板192との相対位置を変化させることができる。その結果、複数のカード(RFタグ)の読取精度を向上させることができる。なお、本変形例では、反射板192を屈曲形状としたが、湾曲形状その他の形状としてもよい。
【0066】
図19は、変形例8,9における反射板の構造を模式的に表す図である。
図19(A)は変形例8を示し、
図19(B)は変形例9を示す。
変形例8では、回路基板52に送風用のファン200が設けられる。本変形例では、ファン200の回転軸の方向をカード42の重なり方向(一軸方向)と一致させている。ファン200の複数の羽根202が、それぞれ反射板204として機能する。羽根202は、金属等の導電性材料から構成されるのが好ましい。羽根202がプラスチック等の絶縁体からなる場合、その表面に電波反射性能をもたせて反射板204としてもよい。例えば、羽根202の表面にメタリック塗装を施したり、アルミ箔を貼り付けるなどして導電性被膜を形成してもよい。あるいは、羽根202の成形の際に導電性フィラーを添加するなどしてもよい。読取装置18に送風用のファンが既存部品として備えられる場合、これを利用することで反射板を簡易に構成できる。ファン200の複数の羽根202は、回転軸を中心に放射状に延び、それぞれが三次元的な曲面を有する。このため、ファン200を駆動すれば、リーダアンテナ66と反射板204との相対位置を一軸方向と異なる方向(一軸方向に対して垂直成分を有する方向)に変化させることができ、上記実施形態と同様の効果が得られる。
【0067】
変形例9は、変形例8におけるファン200の回転軸の方向をカード42の重なり方向(一軸方向)に対してずらしたもの(角度をもたせたもの)である。このような構成としても、ファン200を駆動すれば、リーダアンテナ66と反射板204との相対位置を、一軸方向と異なる方向(一軸方向に対して垂直成分を有する方向)に変化させることができ、上記実施形態と同様の効果が得られる。なお、上記実施形態の構成(
図7参照)についても、反射板54の回転軸の方向を一軸方向に対してずらしてもよい。
【0068】
[その他の変形例]
上記実施形態では、RFタグの電力供給方式として、RFタグが電池を内蔵せず、リーダから電力伝送を行うパッシブ方式を例示した。変形例においては、RFタグがメモリ回路のデータ保持のための電池を内蔵するものの、送受信のための電力はリーダからの電波に依存するセミパッシブ方式を採用してもよい。あるいは、RFタグが送受信のための電力も賄える電池を内蔵するアクティブ方式を採用してもよい。アクティブ方式を採用する場合、電池が消耗していない限り、RFタグにおいて電力不足が生じることはない。また、仮にアンテナ間で電波干渉が生じたとしても、上記実施形態および変形例の構成を採用することで、リーダ側での読取感度の低下を防止又は抑制できる。
【0069】
上記実施形態では、RFタグとリーダとの交信方式を電波方式とし、UHF帯を用いる例を示した。変形例においては、UHF以外のマイクロ波(SHFやEHF)を採用してもよい。また、短波(HF:13.56MHz)を採用することもできる。ただし、UHFを採用するほうが通信速度を高く維持できる(搬送波の周波数が高いため単位時間あたりに送受信できる情報量が多い)、汎用性が高いため量産によりタグの単価を下げることができる、タグをコンパクトにできる等の利点がある。一方、UHFを採用する場合、HFと比較して重ね読みには弱いといった点があるが、この問題は上記実施形態の読取装置により解決できる。言い換えれば、上記実施形態の読取装置の優位性がより顕著に発揮されると言える。
【0070】
上記実施形態では、反射部材として金属板を採用したが、これに限らず、電波を反射できる部材(導電体)であればよい。金属板として鉄、アルミ、銅、金、合金等、導電体であればよく、また、反射部材を板状でなく、ブロック状その他の形状で形成してもよい。
【0071】
上記実施形態では、ゲーム装置においてカードIDとキャラクタの情報とを対応づけて管理した。変形例においては、これらの情報をゲームサーバで管理し、ゲーム装置がゲームサーバとの通信によりこれらの情報を適宜取得してもよい。
【0072】
上記実施形態では、読取装置18の機能としてデータの読取機能を中心に説明したが、読取装置18がいわゆるリーダ/ライタとしてデータの書込機能を備えてよいことはもちろんである。ゲームの結果、プレイヤのキャラクタの属性値が変化した場合、ゲーム終了時に対応するカード42のキャラクタ情報を更新してもよい。その場合、
図6に示したメモリ回路350にキャラクタ情報を保持してもよい。制御回路340は、メモリ回路350に記憶されたキャラクタ情報を更新する。
【0073】
上記実施形態では、RFタグが内蔵される遊技媒体としてゲームカードを例示したが、一軸方向に重ねられるもの、あるいは直列配置されるものであれば、フィギュアや駒のような立体形状の遊技媒体としてもよい。
【0074】
上記実施形態では、カード型のRFタグを例示したが、一軸方向に重ねられるものであって一括読み込みのニーズがあれば、ボタン型、ラベル型、スティック型その他の形状のRFタグとしてもよい。また、RFタグの用途としてゲームカードを例示したが、このほかにも医療用のカルテや診察券、図書カード、会員カード等種々の用途が考えられる。
【0075】
上記実施形態では、RFタグのアンテナとしてダイポールアンテナを例示したが、カード等の薄型タグとして構成する場合はパッチアンテナ等の平面アンテナとしてよい。
【0076】
上記実施形態では、直線偏波方式のアンテナを採用したが、円偏波方式のアンテナを採用してもよい。なお、上記実施形態では、反射板を回転させることで直線偏波を反射させる領域(長さ、面積)を変化させている。このことが、反射する電波のランダム性を高め、電波の強度分布を時間的に変化させているとも考えられる。
【0077】
上記実施形態や変形例では述べなかったが、カードデッキの厚み(重ねられるカードの枚数、RFタグの数でもよい)を検出可能なセンサを設けてもよい。そのセンサにより検出される厚み等に応じて、反射板の駆動時間を変化させてもよい。厚み等が大きい場合には検出対象となるタグが少ないと考えられるため駆動時間を長くする。厚み等が小さい場合には駆動時間を短くする。それにより、効率的な読取処理を実現できる。
【符号の説明】
【0078】
1 ゲーム装置、14 操作卓、16 取付孔、18 読取装置、20 カードスロット、22 操作ボタン、26 カード払出口、30 ホルダ、40 カードデッキ、42 カード、51 反射装置、52 回路基板、54 反射板、56 アクチュエータ、58 駆動回路、60 回転軸、61 リーダ、62 回路基板、64 リーダ回路、66 リーダアンテナ、70 キャラクタ、72 RFタグ、74 ICチップ、76 タグアンテナ、76 リーダアンテナ、84 アンテナエレメント、100 通信部、102 データ処理部、104 ユーザインタフェース部、106 データ格納部、110 入力部、112 ID検出部、114 操作検出部、120 出力部、130 ゲーム実行部、132 読取制御部、134 カード処理部、140 印刷装置、150 反射板、152 反射板、160 反射板、162 第1反射板、162 反射板、164 第2反射板、170 支持部材、172 ねじ送り機構、174 アクチュエータ、182 反射板、184 回転軸、186 モータ、192 反射板。