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特許7404700取引装置、取引プログラム及び情報処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】取引装置、取引プログラム及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/02 20230101AFI20231219BHJP
   G06Q 20/32 20120101ALI20231219BHJP
   G06Q 20/34 20120101ALI20231219BHJP
   G07D 11/60 20190101ALI20231219BHJP
   G07F 19/00 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
G06Q40/02
G06Q20/32 330
G06Q20/34
G07D11/60
G07F19/00
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019144851
(22)【出願日】2019-08-06
(65)【公開番号】P2021026572
(43)【公開日】2021-02-22
【審査請求日】2022-05-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100180275
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 倫太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100161861
【弁理士】
【氏名又は名称】若林 裕介
(72)【発明者】
【氏名】前田 和彦
【審査官】山本 俊介
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-338964(JP,A)
【文献】特開2009-265945(JP,A)
【文献】特開2007-052704(JP,A)
【文献】特開2005-174019(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G07D 1/00-13/00
G07F 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客の携帯端末と近距離通信する近距離通信部と、
前記顧客との取引において挿入された媒体から読み取った自行又は他行の口座情報を用いて前記顧客により選択された取引を行ない、当該取引に係る取引情報と前記口座情報を、近距離通信で、前記携帯端末に搭載される情報処理プログラムに送信して登録させる制御部と
を備え
前記制御部は、前記携帯端末から予約された前記取引に係る取引情報及び暗証番号に関する情報を前記近距離通信部により取得し、予約の段階で暗証番号の入力が省略されている場合、当該取引装置の操作表示部で暗証番号入力を受付けることを特徴とする取引装置。
【請求項2】
前記取引に係る取引情報が、前記顧客との取引において前記顧客により当該取引に係る操作内容であることを特徴とする請求項1に記載の取引装置。
【請求項3】
前記顧客により選択された取引実行後、前記取引情報の登録を選択させる登録選択画面が表示され、前記登録選択画面上で顧客により登録が選択されると、前記近距離通信部が起動し、前記取引に係る取引情報と前記口座情報とが前記携帯端末の前記情報処理プログラムに送信されることを特徴とする請求項1又は2に記載の取引装置。
【請求項4】
コンピュータを、
顧客の携帯端末と近距離通信する近距離通信部と、
前記顧客との取引において挿入された媒体から読み取った自行又は他行の口座情報を用いて前記顧客により選択された取引を行ない、当該取引に係る取引情報と前記口座情報を、近距離通信で、前記携帯端末に搭載される情報処理プログラムに送信して登録させる制御部と
して機能させ
前記制御部は、前記携帯端末から予約された前記取引に係る取引情報及び暗証番号に関する情報を前記近距離通信部により取得し、予約の段階で暗証番号の入力が省略されている場合、当該取引装置の操作表示部で暗証番号入力を受付けることを特徴とする取引プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取引装置、取引プログラム及び情報処理プログラムに関し、例えば、取引予約アプリケーションを搭載した携帯端末を用いて取引を行なう取引装置、当該携帯端末に適用し得るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、ATM(Automatic Teller Machine:現金自動取引装置)で、引き出しや預け入れ等の取引を実施する際、キャシュカードや通帳が必要となる。また、顧客が複数の金融機関を利用している場合もあり、その場合には、金融機関毎のキャッシュカードや通帳が必要であるため、金融機関毎のキャッシュカードや通帳を管理しなければならず、手間がかかってしまう。
【0003】
特許文献1には、複数枚のキャッシュカード(非接触型ICカード)を財布等に入れて所持している場合でも、各キャッシュカードから読み取った口座情報の中から、所定の優先順位に従っていずれかの口座情報を選択して、口座取引を行なうことが開示されている。より具体的には、取引装置は、読み取った複数の口座情報のうち、自行(当該取引装置を管理している金融機関)の口座情報の優先順位を高くし、自行の口座情報を選択して取引することが開示されている。
【0004】
特許文献2には、複数の情報記憶媒体から識別情報を読み取った場合に、情報記録媒体毎の金融機関を案内表示し、取引処理に使用する金融機関を選択させることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2008-46948号公報
【文献】特開2002-32827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
最近では、スマートホン等の携帯端末が普及しており、顧客がキャッシュカードや通帳を所持するよりも、携帯端末を所持している割合の方が高いという傾向がある。携帯端末に搭載するアプリケーションも様々なものがあるが、自行に関するものであり、複数の金融機関に関する情報を一元管理できることが求められている。
【0007】
そこで、携帯端末に搭載したアプリケーションで取引ができ、複数の金融機関に関する情報を一元管理できる取引装置、取引プログラム及び情報処理プログラムが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる課題を解決するために、第1の本発明に係る取引装置は、顧客の携帯端末と近距離通信する近距離通信部と、顧客との取引において挿入された媒体から読み取った自行又は他行の口座情報を用いて前記顧客により選択された取引を行ない、当該取引に係る取引情報と口座情報を、近距離通信で、携帯端末に搭載される情報処理プログラムに送信して登録させる制御部とを備え、制御部は、携帯端末から予約された取引に係る取引情報及び暗証番号に関する情報を近距離通信部により取得し、予約の段階で暗証番号の入力が省略されている場合、当該取引装置の操作表示部で暗証番号入力を受付けることを特徴とする。
【0009】
第2の本発明に係る取引プログラムは、コンピュータを、顧客の携帯端末と近距離通信する近距離通信部と、顧客との取引において挿入された媒体から読み取った自行又は他行の口座情報を用いて前記顧客により選択された取引を行ない、当該取引に係る取引情報と口座情報を、近距離通信で、携帯端末に搭載される情報処理プログラムに送信して登録させる制御部として機能させ、制御部は、携帯端末から予約された取引に係る取引情報及び暗証番号に関する情報を近距離通信部により取得し、予約の段階で暗証番号の入力が省略されている場合、当該取引装置の操作表示部で暗証番号入力を受付けることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、携帯端末に搭載したアプリケーションで取引を行ない、複数の金融機関に関する情報を一元管理できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1の実施形態に係る取引システムの全体構成を示す全体構成図である。
図2】第1の実施形態に係る取引システムを構成する各構成要素の主な内部構成を示すブロック図である。
図3】取引装置の操作表示部に表示される画面遷移図である(その1)。
図4】取引装置の操作表示部に表示される画面遷移図である(その2)。
図5】第1の実施形態に係る取引装置における取引処理のフローチャートである。
図6】第1の実施形態に係る取引予約アプリ上で、今回実施する取引情報を選択する選択操作の一例を説明する画面遷移図である。
図7】第1の実施形態に係る取引予約アプリ上で、取引装置から通帳記帳内容のデータを取り込む操作の一例を説明する画面遷移図である。
図8】第1の実施形態において、取引装置上の操作内容を取引予約アプリに取り込む処理を示す画面遷移図及びフローチャートである(その1)。
図9】第1の実施形態において、取引装置上の操作内容を取引予約アプリに取り込む処理を示す画面遷移図及びフローチャートである(その2)。
図10】第1の実施形態に係る取引予約アプリ上で、取引装置から今回の取引内容のデータを取り込む操作の一例を説明する画面遷移図である。
図11】第1の実施形態に係る取引予約アプリ上で、取引内容の事前登録に係る操作の一例を説明する画面遷移図である。
図12】第2の実施形態に係る取引システムの全体構成を示す全体構成図である。
図13】第2の実施形態のスマホ取引専用装置を用いた取引処理を示す画面遷移図及びフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(A)第1の実施形態
以下では、本発明に係る取引装置、取引プログラム及び情報処理プログラムの第1の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0014】
(A-1)第1の実施形態の構成
[全体構成]
図1は、第1の実施形態に係る取引システムの全体構成を示す全体構成図であり、図2は、取引システムを構成する各構成要素の主な内部構成を示すブロック図である。
【0015】
取引システムNTは、取引装置1と、金融機関等のホストサーバ4(4-1~4-n:nは整数)と、取引装置1とホストサーバ4-1~4-nとの間で情報(電文)を送受信するための通信回線3と、携帯端末2とを有する。
【0016】
顧客は、情報処理プログラムとしての取引予約アプリケーション(以下、「取引予約アプリ」とも呼ぶ。)5が搭載されている携帯端末2を所持している。取引装置1において取引を希望する顧客は、携帯端末2において取引予約アプリ5を起動させて、取引予約アプリ5上で事前登録した取引内容の取引情報や、過去に行なった取引と同じ内容の取引を希望するときには、取引予約アプリ5に保存されている履歴から選択した取引内容の取引情報を、近距離通信で取引装置1に送信して取引を行なう。
【0017】
なお、近距離通信の方式は、特に限定されず、例えば、NFC(Near Field Communication)、BlueTooth(登録商標)等を適用できる。
【0018】
さらに、携帯端末2と取引装置1との間の情報の授受の方法は、近距離通信に限定されない。例えば、近距離通信に代えて、二次元コード等のコードを光学的又は磁気的等の方法/手段を適用してもよい。より具体的には、取引装置1及び/又は携帯端末2にリーダを備え、取引装置1及び/又は携帯端末2が表示/有するコードを、上記リーダを介して取引装置1及び/又は携帯端末2は取得するようにしてもよい。なお、この実施形態では、NFCを用いる場合を想定して説明する。
【0019】
また、今回の取引に係る口座情報や、取引内容や、明細票印字内容や通帳記帳内容等が、近距離通信で取引装置1から携帯端末2に送信されて、取引予約アプリ5に保存される。さらに、過去に行なった自行の取引履歴や他行の取引履歴等も、近距離通信で取得して、取引予約アプリ5に保存できる。このように取引予約アプリ5で保存される過去の取引履歴は、次回、取引装置1で同じ内容の取引を実施する際に、顧客が選択可能な履歴情報として利用できる。
【0020】
[取引装置]
図1に示すように、取引装置1は、その外観構成として、NFCリーダ/ライタとして機能する近距離通信部11、操作表示部12、紙幣入出金部(紙幣入出金口)13、硬貨入出金部(硬貨入出金口)14、通帳入出部(通帳入出口)15、明細票排出部(明細票排出口)16、カード入出部(カード入出口)17を有する。
【0021】
図2において、取引装置1は、主として、取引装置1における各種処理を制御する制御部10と、近距離通信部11と、取引選択メニュー画面や各取引誘導画面等を表示したり、表示画面上で選択ボタンの入力や取引に必要な情報の入力等をしたりする操作表示部12と、通信回線3を通じて情報を送受信する通信部18とを有する。制御部10は、取引プログラム100がインストールされることにより実現されるようにしてもよい。
【0022】
また図1には、取引装置1の変形例として取引装置1Bを示している。取引装置1Bのように、操作表示部12は表示画面上に選択名称を表示してもよく、当該選択名称が選択される場合は、当該選択名称に対応するハードキー等のキー90が使われても良い。より具体的には、例えば、取引選択メニュー画面に選択名称として、出金、入金などが表示され、出金が選択される場合は、当該出金に対応するハードキー90が顧客に押下されても良い。なお、取引装置1Bには、図1の取引装置1の構成要素に加えて、後述するキー90とPINPAD19もある。
【0023】
取引装置1は、例えば、金融機関、駅、空港、コンビニエンスストア、小売店等に設置され、引き出し、預け入れ、残高照会、通帳記帳、振込等の各種取引を行なう。取引装置1は、通信回線3を通じて、自行での自行取引、自行での他行取引、他行での取引を行なうことができる。
【0024】
なお、「自行での取引」とは、取引装置1を管理する金融機関の取引装置1を用いて実施される各種取引をいう。「自行での他行取引」とは、取引装置1を管理する金融機関の取引装置1を用いて実施される他の金融機関における各種取引をいう。「他行での取引」とは、ある金融機関が管理する取引装置1を用いて実施される、他の金融機関における各種取引をいう。
【0025】
取引装置1は、通信回線3を通じて、自行のホストサーバ4-1との間で取引に係る電文の送受信を行なう。
【0026】
また、「自行での他行取引」を行なう場合、(a)取引装置1は、自行のホストサーバ4-1との間で自行用の電文を授受し、その後自行のホストサーバ4-1と他行のホストサーバ4-nとが共同センター等を介して、当該取引に係る電文を送受信して当該取引を行なうようする、(b)または他行の電文仕様に基づいて他行用の電文を作成し、他行のホストサーバ4-nとの間で、取引に係る電文の送受信を行なうようにする、(c)または取引装置1は、自行及び他行の共通の電文仕様に基づいて電文を作成し、取引装置1と自行のホストサーバ4-1との間で電文が授受され、その後自行のホストサーバ4-1と他行のホストサーバ4-nとが共同センター等を介して、当該取引に係る電文を送受信して当該取引を行なうことも可能である。なお、この実施形態では、取引装置1が他行の電文仕様に基づいて他行用の電文を作成して、他行のホストサーバ4-nとの間で情報を送受信する場合を例示する。
【0027】
[携帯端末]
携帯端末2は、例えば、携帯電話機、スマートホン、タブレット端末、ウェラブル端末等に代表される携帯端末である。
【0028】
図2に示すように、携帯端末2は、主として、携帯端末2の各種処理を制御する制御部21、近距離通信部22、入力表示部23、記憶部24を有する。携帯端末2には、情報処理プログラムとしての取引予約アプリ5がインストールされて記憶部24に記憶されている。
【0029】
取引予約アプリ5は、1(すなわち単独)又は複数の金融機関の取引内容を事前に登録又は履歴から選択し、登録又は履歴から選択した取引内容の取引を、取引装置1を通じて行なうアプリケーションプログラムである。
【0030】
取引予約アプリ5には、顧客操作により、1又は複数の金融機関のキャッシュカード情報、すなわち各金融機関に関する口座情報であり、例えば、金融機関番号、店番号、口座番号、口座名義人の名称等の情報が記憶可能であり、取引予約アプリ5の機能プログラム5-1は、「予約取引実行」、「ATMデータ取込」、「ATM操作取込」、「取引予約登録」を有する。
【0031】
「取引予約登録」は、顧客により入力された取引内容を事前に登録する機能プログラムである。
【0032】
「予約取引実行」は、事前に登録した又は過去の取引履歴から選択した取引内容の取引情報を近距離無線で取引装置1に送信し、当該取引装置1において取引を実行させる機能プログラムである。
【0033】
「ATMデータ取込」は、取引装置1から、過去の取引履歴を取り込む機能プログラムである。なお取込可能な取引履歴は、例えば、現取引中に金融機関に関する口座情報をホストサーバ(4-1または4-n)に送信し、ホストサーバ(4-1または4-n)から事前に取得しておく。
【0034】
「ATM操作取込」は、顧客が取引装置1上でキャッシュカード取引(「スマホ取引」以外)のとき、当該取引装置1に入力した取引内容を取り込む機能プログラムである。これにより、今回取引装置1上で行なった取引内容を履歴情報として取引予約アプリ5に保存できる。
【0035】
「ATMデータ取込」や「ATM操作取込」で取り込んだ取引履歴は、次回の取引予約の際に選択可能なものとして利用できる。
【0036】
また、取引予約アプリ5は、携帯端末2の機能と連動させて、例えば、音声読み上げ機能、音声認識機能、文字入力補助機能等を有するようにしてもよい。つまり、例えば、取引予約アプリ5の各機能の選択の仕方や、今回実施する取引内容の選択の仕方やその確認内容や、過去の取引履歴の内容や、取引装置1から取り込んだ情報(例えば、今回の取引操作、記帳データなど)等を音声で出力したり、音声認識機能で受け付けたりするようにしてもよい。これにより、取引装置1に備わるハンドセットを併用することで、視覚障碍者の方でも操作をし易くすることができる。なお、上記ハンドセットは、例えば、操作ボタンを有しても良い。また、上記ハンドセットは、例えば、通話可能なインターホンの機能を有していても良い。
【0037】
[ホストサーバ]
ホストサーバ4(4-1~4-n)は、複数の金融機関のそれぞれのホストサーバである。この実施形態では、ホストサーバ4-1が、自行(取引装置1を管理する金融機関)のものであり、ホストサーバ4-nが、他行(取引装置1を管理する金融機関とは異なる他の金融機関)のものとして説明する。
【0038】
図2に示すように、ホストサーバ4-1~4-nはそれぞれ、主として、ホストサーバ4における各処理を制御するホスト制御部41と、通信回線3を通じて取引に係る情報を送受信する通信部42と、顧客の口座情報(例えば、顧客の名前又は名称、住所、口座番号、店番号、生体認証情報などの情報)や取引履歴などを記憶する顧客データベース43とを有する。
【0039】
なお、上記ホストサーバ4とは別個に若しくは一体としてインターネットバンキングサーバが取引システムNTに備わっても良い。携帯端末2等の端末とインターネットバンキングサーバとが通信回線3を介して電文などを送受することで、ネットバンクでの取引が可能となる。
【0040】
(A-2)第1の実施形態の動作
次に、第1の実施形態の取引処理を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0041】
(A-2-1)取引予約アプリを用いた取引処理
以下では、顧客が、取引装置1において、取引予約アプリ5が搭載された携帯端末2で、事前に登録した取引内容又は取引履歴から選択した取引内容の取引処理を行なう処理動作を説明する。
【0042】
ここでは、取引装置1において、複数の取引のうち「引き出し」取引を行なう場合を例示する。また、取引装置1において、取引予約アプリ5が搭載された携帯端末2を用いて各種処理を「スマホ取引」とも呼んで説明する。
【0043】
図3及び図4は、取引装置1の操作表示部12に表示される画面遷移図である。図3及び図4では、左欄に従来のカード挿入時の画面遷移図を示し、右欄にスマホ取引も対応可能な画面遷移図を示し、両者を比較しながら説明する。
【0044】
[従来のカード挿入時の取引処理]
まず、図3及び図4の左欄に示す、従来のキャッシュカード挿入時の画面遷移図を参照しながら、従来の取引処理(ここでは「引き出し」取引)の流れを説明する。
【0045】
例えば金融機関等において稼働中の取引装置1では、取引選択画面301が操作表示部12に表示される。取引選択画面301上で、顧客により、取引(ここでは、「引き出し」取引)が選択されると、キャッシュカード挿入を促す画面302が操作表示部12に表示される。
【0046】
取引装置1を利用する顧客により、キャッシュカードが挿入されると、取引装置1ではキャッシュカードに記録されているキャッシュカード情報が読み取られる。具体的には、例えばキャッシュカードがICカードであれば、ICチップに格納されているキャッシュカード情報(例えば、金融機関番号、店番号、口座番号、口座名義人の名称等)が読み取られる。又例えば磁気ストライプが付与されたキャッシュカードであれば、磁気ストライプに格納されているキャッシュカード情報が読み取られる。なお、キャッシュカードの種類がICカード若しくは磁気ストライプのいずれであっても、挿入されたキャッシュカードからキャッシュカード情報が読み取られる。
【0047】
その後、暗証番号入力を促す画面303が表示され、当該暗証番号入力画面303上で、顧客により暗証番号が入力され、引き出し金額の入力を促す画面304が表示され、当該引き出し金額入力画面304上で、顧客により引き出し金額が入力される。
【0048】
そうすると、取引装置1は、ホストサーバ4-1との間で電文の送受信を行なう。具体的には、取引装置1では、キャッシュカード情報、暗証番号及び引き出し金額に基づいて取引要求電文が作成され、その取引要求電文がホストサーバ4-1に送信される。取引要求電文を受信したホストサーバ4-1では、所定の取引処理を行ない、取引応答電文が取引装置1に送信される。取引装置1とホストサーバ4-1とが電文通信している間、「処理中」の画面305が操作表示部12に表示される。
【0049】
取引成立電文(応答電文)が取引装置1に送信されると、キャッシュカード、現金の受け取りを促す画面306が操作表示部12に表示され、キャッシュカードがカード入出部17から排出され、現金が、紙幣入出金部13、硬貨入出金部14から排出される。キャッシュカードと現金の受け取りが完了すると、操作完了画面307(例えば、「ありがとうございました。」と表記された画面)が操作表示部12に表示されて、取引が完了する。
【0050】
なお、図3及び図4では表示していないが、必要に応じて、取引内容を印字した明細票が明細票排出部16から排出される。また、引き出しを許可しない場合には、その旨を示す画面が表示されると共に、キャッシュカードの受け取りを促す画面が表示され、キャシュカードが排出される。
【0051】
[スマホ取引による取引処理]
次に、第1の実施形態に係るスマホ取引による取引処理の動作を、図3及び図4の右欄と、図5図7図11とを用いて説明する。
【0052】
<取引予約アプリ上の取引予約登録>
図11は、取引予約アプリ5上で、取引内容の事前登録に係る操作の一例を説明する画面遷移図である。
【0053】
まず、顧客操作により、携帯端末2上で取引予約アプリ5が起動し、選択画面1101が表示される(S501)。選択画面1101上で「取引予約登録」が選択されると、取引選択画面1102が表示され(S502)、各種取引が表示されている取引選択画面1102上で、顧客により、今回登録する取引の種類(ここでは、「引き出し」)が選択される。
【0054】
そして、取引予約アプリ5に事前に登録した、1(単独)又は複数の金融機関の口座情報(すなわち、金融機関の名称、口座番号等)が表示された口座選択画面1103が表示され(S503)、当該口座選択画面1103上で、顧客が希望する口座情報が選択される。
【0055】
ここで、取引予約アプリ5には、1(単独)又は複数の金融機関の口座情報が登録可能である。これらの金融機関の口座情報は、現在まで(過去)に実施した取引内容から、取扱い金融機関の口座情報を抽出して、それを「口座情報」として取引予約アプリ5に保存する。換言すると、取引予約アプリ5は、取引装置1上で実施した取引内容を取り込むことや、取引装置1から過去に実施した取引内容を取り込むことが可能であり、それら取り込んだ各取引内容から、取扱い金融機関の口座情報を保存できる。S503では、取扱い金融機関の口座情報の中から、今回取引を行なう金融機関の口座情報を選択する。
【0056】
その後、暗証番号入力画面1104が表示され(S504)、当該暗証番号入力画面1104上で、顧客により、S503で選択した当該金融機関に届け出ている当該口座の暗証番号が入力される。そして、金額入力画面1105が表示され(S505)、当該金額入力画面1105上で、今回の取引金額(すなわち、引き出し予約する金額)が入力される。
【0057】
さらに、引き出しを予約する明細票の印字発行の要否を選択させる明細票選択画面1106が表示され(S506)、「必要」又は「不要」が選択されると、事前登録が完了し、画面は初期画面(選択画面1101)に戻る。
【0058】
上述したような取引内容を事前登録した後、顧客は、取引装置1において、取引予約アプリ5が搭載されている携帯端末2を用いて取引処理を行なう。
【0059】
図5は、第1の実施形態に係る取引装置1における取引処理のフローチャートである。
【0060】
<S101~S103>
例えば金融機関等において稼働中の取引装置1では、取引選択画面308が操作表示部12に表示される(S101)。取引選択画面308上で、顧客により、取引(ここでは、「引き出し」取引)が選択されると(S102;Yes)、キャッシュカード挿入、又は、スマホ取引のいずれかの選択を促す画面309(以下では、「スマホ取引選択画面」とも呼ぶ。)が操作表示部12に表示される(S103)。なお、取引選択画面308上で取引が選択されない場合(S102;No)、S101に戻る。
【0061】
なお、図3の例では、取引選択画面308上に、顧客に、スマホ取引を選択させるスマホ取引ボタン501が表示されている場合を例示している。これにより、取引種類を選択させる初期画面(取引選択画面)上で、スマホ取引に切り替えて処理することができる。
【0062】
<S104、S111>
スマホ取引選択画面上で、顧客により、スマホ取引ボタン501が選択されると(S104)、取引装置1の近距離通信部11が起動する。そして、取引装置1の近距離通信部11に携帯端末2(図3及び図4では、「スマホ」と表記している。)を翳すことを促す画面312(以下、「スマホタッチ誘導画面」とも呼ぶ。)が、操作表示部12に表示される(S111)。なお、かかる例に限定されずスマホタッチ誘導画面312には、二次元バーコードなどのコードが表示され、近距離通信の代わりにコードを介してデータの授受が行われても良い。
【0063】
なお、図3に示すように、スマホ取引ボタン501が選択された後、自行の取引であるか、あるいは、他行の取引であるか、金融機関を選択させる画面311が表示されるようにしてもよい。後述するように、他行取引を行なう際、取引装置1の制御部10は、他行仕様の電文を自動作成するが、顧客により、どの金融機関(他行)の取引であるかを事前に選択させることで、自行、共通、又は他行の判断や、自行、共通、又は他行電文仕様の選択(準備)など、電文作成に係る負担を軽減できる。
【0064】
また、S104及びS111では、スマホ取引選択画面312上で、スマホ取引ボタン501が選択された後に、近距離通信部11が起動する場合を例示している。しかし、近距離通信部11の起動は、取引装置1に設けられている人感センサや、顧客による操作表示部12の接触等で起動するようにしてもよい。
【0065】
このスマホタッチ誘導画面312が操作表示部12に表示されている間に、顧客は、携帯端末2上で取引予約アプリ5を起動し、今回実施する事前に登録した取引内容の取引情報が呼び出される。
【0066】
<取引予約アプリ上の予約取引実行>
図6は、取引予約アプリ5上で、今回実施する取引情報を選択する選択操作の一例を説明する画面遷移図である。
【0067】
まず、顧客操作により、携帯端末2上で取引予約アプリ5が起動し、取引予約アプリ5で実行可能な機能を選択する選択画面1101が表示される(S511)。
【0068】
取引予約アプリ5の選択画面1101上で「予約取引実行」が選択されると、取引予約アプリ5に、事前登録された取引内容と、過去の取引履歴の取引内容とを含む実行取引選択画面1108が表示され、実行取引選択画面1108上で、今回実行する取引内容が選択される(S512)。
【0069】
ここで、実行取引選択画面1108には、事前登録された取引内容や、取引装置1から取り込んだ過去の取引履歴としての取引内容等が表示される。実行取引選択画面1108には、特定の金融機関の取引内容に限らず、複数の金融機関の取引内容が表示される。つまり、複数の金融機関で行なった取引内容が混在するかたちで表示される。換言すると、今回、顧客が利用する取引装置1から見ると、自行の取引、他行の取引、自行と他行との取引が混在する。実行取引選択画面に表示される各取引の種類は、特に限定されず、引き出し(出金)、預け入れ(入金)、振込等の取引内容が表示される。また、実行取引選択画面1108上で今回の取引内容の選択を簡単にするために、取引予約アプリ5では、例えば、金融機関毎や取引種類毎等、あるいは、取引日の昇順又は降順などのように、ソート(並べ替え)できるようにしてもよい。
【0070】
S512で今回実行する取引内容が選択されると、暗証番号入力画面1104が表示され、金融機関に届け出ている暗証番号が入力され(S513)、今回実行する取引内容の確認画面1109が表示される(S514)。そして、今回実行する取引内容が正しいときに、顧客により、実行ボタンが選択されることにより、今回の実行取引が決まる。
【0071】
ここで、暗証番号については、金融機関の口座番号ごとの暗証番号が取引予約アプリ5に登録可能であってもよい。しかし、セキュリティ向上のために、図6のS513のように、取引毎に、暗証番号を入力するようにする。または、金融機関の口座番号ごとの暗証番号を携帯端末2の記憶部24に記憶できるようにしてもよい。具体的には、例えば、金融機関番号と店番号と口座番号と暗証番号とを対応付けて携帯端末2の記憶部24に記憶し、今回実施する取引情報に係る金融機関番号と店番号と口座番号から、対応する暗証番号が呼び出され、顧客により当該暗証番号の選択(又は確認)がされることで、暗号番号入力としてもよい。
【0072】
このようにして、携帯端末2上で今回の実行取引が決まり、顧客により、携帯端末2が取引装置1の近距離通信部11に翳される。
【0073】
なお、第1の実施形態では、予約取引実行の際に、暗証番号入力画面1104で暗証番号が入力されるが(S513)、かかる例に限定されない。例えば、予約取引実行の段階では、上記暗証番号の入力を省略する場合でもよく、かかる場合、例えば、後述のステップS112の際に又は前後で、取引装置1Bに備わるPINPAD19又は操作表示部12に表示されるソフトキーで暗証番号が入力される。
【0074】
また、第1の実施形態に係る予約取引実行では、特段、ホストサーバ4にアクセスしない場合を例に挙げて説明したが、かかる例に限定されず、例えば、予約取引実行の際に、ホストサーバ4にアクセスしてもよく、さらにホストサーバ4から送信されるコード(例えば、複数の数字から構成)を携帯端末2が受信してもよい。当該コードは、例えば、暗証番号の入力の際又は前後に取引装置1のPINPAD19又はソフトキーで入力され、ホストサーバ4は、取引装置1を介して受信したコードと発行したコードとが一致しているか確認する。また、第1の実施形態に係る予約取引実行において、暗証番号が入力されていれば、ホストサーバ4にアクセスし、本人確認等を行ってもよい。
【0075】
<S112>
携帯端末2を取引装置1の近距離通信部11に翳すことによって、取引予約アプリ5に事前登録されているキャッシュカード情報の内容と、取引予約アプリ5で決定された取引情報としてプログラミングされたデータとを含む情報(データ)が、近距離通信で、取引装置1の近距離通信部11に送信される(S112)。
【0076】
より具体的には、近距離通信で、携帯端末2から取引装置1に送信される情報は、「予約取引実行」であることを示すデータ、キャッシュカード情報に関するデータ、暗証番号のデータ、取引内容を示すデータが含まれる。
【0077】
<S113~S116>
そして、近距離通信部11により受信された情報(データ)は制御部10に与えられ、制御部10が、近距離通信で受信したキャッシュカードデータの内容と、取引予約アプリ5で操作された内容(プログラミングされたデータ)とが、制御部10により解析され、ホストサーバ4-1~4-nに通知する取引電文が自動生成され、ホストサーバ4-1~4-nに電文が通知される(S113~S116)。ホストサーバ4-1~4-nとの間の通信中には、処理中が表記された画面が表示される。
【0078】
ここで、S113~S116の具体的な処理を説明する。制御部10は、近距離通信で受信した情報(データ)を解析して、自行の取引又は他行の取引であるかを判断する(S113)。自行又は他行の判断方法は、受信した取引情報に含まれている金融機関番号、店番号、口座番号等に基づいて判断することができ、より具体的には、例えば「引き出し」取引のとき、引き出す金融機関の金融機関番号、店番号及び口座番号から、自行であるか又は他行であるかを判断できる。
【0079】
自行取引のときには、受信した取引情報に基づいて自行仕様の電文(取引要求電文)を作成し(S114)、作成した電文を自行のホストサーバ4-1に送信して、当該ホストサーバ4-1との間で電文通信を行なう(S116)。
【0080】
他行取引のときには、受信した取引情報に基づいて他行仕様の電文(取引要求電文)を作成し(S115)、当該他行のホストサーバ4-nに電文を送信して、当該他行のホストサーバ4-nとの間で電文通信を行なう(S116)。上述したように、この実施形態では、他行取引の際には、取引装置1が、当該他行のホストサーバ4-nと直接電文を通信する場合を例示する。この場合、取引装置1は、他行の電文仕様にあった電文作成が可能であり、他行取引と判断したとしたときには、当該他行仕様の電文が作成される。
【0081】
<S117、S118>
自行のホストサーバ4-1若しくは他行のホストサーバ4-nから取引成立電文を受信すると、携帯端末2を近距離通信部11に翳すことを促す画面314(スマホタッチ誘導画面)が操作表示部12に表示される(S117)。
【0082】
このスマホタッチ誘導画面314が表示されている間に、顧客により取引予約アプリ5が起動され、携帯端末2を近距離通信部11に翳すことによって、近距離通信にて取引装置1から携帯端末2の取引予約アプリ5に、明細票印字内容、通帳記帳内容が送信される。これら明細票印字内容、通帳記帳内容は、取引予約アプリ5に保存され、あとで内容確認することが可能である。
【0083】
<取引予約アプリ上のATMデータ取込>
図7は、取引予約アプリ5上で、取引装置1から通帳記帳内容のデータを取り込む操作の一例を説明する画面遷移図である。
【0084】
まず、顧客操作により、携帯端末2上で取引予約アプリ5が起動し、選択画面1101が表示される(S521)。選択画面1101上で「ATMデータ取込」が選択されると、記帳データ取込画面1111が表示される(S522)。ここで、図7の記帳データ取込画面1111では、自行で実施した直近の10件の取引の記帳データを取り込む場合を例示しているが、これに限らず、1件(すなわち、今回の取引のみ)としてもよい。記帳データの取り込み件数は、取引予約アプリ5上で設定できるようにしてもよい。
【0085】
そして、図5のS117に示すように、取引装置1の操作表示部12にスマホタッチ誘導画面314が表示された後に、携帯端末2を取引装置1の近距離通信部11に翳すことにより、記帳データが、取引装置1から携帯端末2に送信される。
【0086】
ここで、携帯端末2を取引装置1の近距離通信部11に翳したときに、携帯端末2から取引装置1に送信される情報には、例えば、「ATMデータ取込」であることを示すデータ、記帳データの取り込み件数に関するデータが含まれる。
【0087】
取引装置1は、取引を実施している金融機関(自行又は他行)の取引に関する記帳データを、対応する金融機関のホストサーバ4-1又はホストサーバ4-nに要求して取得する。そして、自行のホストサーバ4-1又はホストサーバ4-nから記帳データが受信されると、近距離通信で、携帯端末2に記帳データを送信する。つまり、例えば、要求された取り込み件数分(例えば、直近10件)の記帳データ(例えば、取引日のデータ、取引種類を示すデータ、取引金額に関するデータ等)が携帯端末2に送信される(S118)。
【0088】
記帳データが受信されると、取引予約アプリ5上に記帳内容表示画面1112が表示され、直近10件の取引の記帳データの内容が表示される(S523)。顧客により確認ボタンが選択されると、初期画面(選択画面)に戻り、取引予約アプリ5上での処理が終了する。
【0089】
<S119、S120>
その後、取引装置1では、現金の受け取りを促す画面315が操作表示部12に表示され、現金が紙幣入出金部13、硬貨入出金部14から排出される(S119)。現金の受け取りが完了すると、操作完了画面316(例えば、「ありがとうございました。」と表記された画面)が操作表示部12に表示されて、取引が完了する(S120)。
【0090】
(A-2-2)取引装置1上の操作内容の取込処理
次に、取引装置1において、顧客が行なった取引に係る操作内容を、取引予約アプリ5に取り込む処理を、図面参照しながら詳細に説明する。
【0091】
図8及び図9は、第1の実施形態において、取引装置1上の操作内容を取引予約アプリ5に取り込む処理を示す画面遷移図及びフローチャートである。
【0092】
以下では、顧客が取引装置1で「(残高)照会」を行なったときに、その取引(すなわち残高照会)の取引内容を、取引予約アプリ5に保存する場合を例示する。なお、取引装置1上で行なう取引種類は残高照会に限定されず、他の取引にも適用できる。
【0093】
<S101~S103>
例えば金融機関等において稼働中の取引装置1では、取引選択画面801が操作表示部12に表示される(S101)。取引選択画面801上で、顧客により、取引(ここでは、「照会」取引)が選択されると(S102;Yes)、キャッシュカード挿入、又は、スマホ取引のいずれかの選択を促すスマホ取引選択画面802が操作表示部12に表示される(S103)。なお、取引選択画面801上で取引が選択されない場合(S102;No)、S101に戻る。
【0094】
<S104、S200~S207>
スマホ取引選択画面802上で、顧客により、スマホ取引ボタン501が選択されず(S104;No)、キャッシュカードが挿入されると(S200)、キャッシュカードに記憶されているキャッシュカード情報が読み取られて、制御部10に与えられる。なお、スマホ取引ボタン501が選択された場合には、図5に例示するような取引種類に応じたスマホ取引が実施される。
【0095】
そして、暗証番号入力画面803が表示され(S201)、暗証番号入力画面803上で顧客により入力された暗証番号が制御部10に与えられる(S202)。
【0096】
制御部10では、挿入されたキャッシュカードのキャッシュカード情報と、入力された暗証番号とに基づいて、自行の取引又は他行の取引であるかを判断する(S203)。
【0097】
自行取引のときには、制御部10は自行仕様の電文(取引要求電文)を作成し(S204)、作成した電文を自行のホストサーバ4-1に送信して、当該ホストサーバ4-1との間で電文通信を行なう(S206)。
【0098】
他行取引のときには、制御部10は他行仕様の電文(取引要求電文)を作成し(S205)、当該他行のホストサーバ4-nに電文を送信して、当該他行のホストサーバ4-nとの間で電文通信を行なう(S206)。なお、振込などの取引の場合、上記他行仕様の電文ではなく、制御部10は、全銀協規定フォーマットで標準指定された形式に従って、電文を作成しても良い。
【0099】
自行のホストサーバ4-1若しくは他行のホストサーバ4-nから取引成立電文が受信されると、残高照会画面805が表示される(S207)。
【0100】
<S208~S211>
その後、今回の取引内容を取引予約アプリ5に登録することを促す取引操作登録画面806が表示され(S208)、今回の取引内容を取引予約アプリ5に登録するか否かを顧客に問い合わせる。
【0101】
ここで、取引操作登録画面806には、顧客が取引予約アプリ5のダウンロードを可能にするため、ダウンロード先のURLが記載された二次元コードが表示されるようにしてもよい。これにより、取引予約アプリ5を簡単にダウンロードできる。
【0102】
取引操作登録画面806上で「登録しない」ボタン504が選択されると(S209:「登録しない」)、処理はS213に移行して、取引処理が完了する。
【0103】
一方、取引操作登録画面806上で「登録する」ボタン503が選択されると(S209:「登録する」)、携帯端末2を近距離通信部11に翳すことを促す画面807(スマホタッチ誘導画面)が操作表示部12に表示される(S210)。
【0104】
このスマホタッチ誘導画面807が表示されている間に、顧客により取引予約アプリ5が起動され、携帯端末2を近距離通信部11に翳すことによって、近距離通信にて取引装置1から携帯端末2の取引予約アプリ5に、今回の取引内容が送信される(S211)。これら取引内容は、取引予約アプリ5に保存され、内容確認することが可能である。
【0105】
<取引予約アプリ上のATM操作取込>
図10は、取引予約アプリ5上で、取引装置1から今回の取引内容のデータを取り込む操作の一例を説明する画面遷移図である。
【0106】
まず、顧客操作により、携帯端末2上で取引予約アプリ5が起動し、選択画面1101が表示される(S531)。選択画面1101上で「ATM操作取込」が選択されると、取引操作登録画面1003が表示される(S532)。
【0107】
そして、取引装置1の操作表示部12にスマホタッチ誘導画面807が表示された後に、携帯端末2を取引装置1の近距離通信部11に翳すことにより、今回の取引内容のデータが、取引装置1から携帯端末2に送信される。
【0108】
ここで、携帯端末2を取引装置1の近距離通信部11に翳したときに、携帯端末2から取引装置1に送信される情報には、例えば、「ATM操作取込」であることを示すデータが含まれる。また、近距離通信で、取引装置1から携帯端末2に送信される情報には、例えば、キャッシュカードデータの内容と、取引装置1で操作した内容とをプログラミングしたデータが含まれる。
【0109】
今回の取引内容のデータが受信されると、取引予約アプリ5上に登録内容確認画面1005が表示され、登録した取引データの内容が表示される(S533)。顧客により確認ボタンが選択されると、初期画面(選択画面)の戻り、取引予約アプリ5上での処理が終了する。
【0110】
<S212~S213>
その後、取引装置1では、キャッシュカードの受け取りを促す画面が操作表示部12に表示され、キャッシュカードが排出される(S212)。キャッシュカードの受け取りが完了すると、操作完了画面(例えば、「ありがとうございました。」と表記された画面)が操作表示部12に表示されて、取引が完了する(S213)。
【0111】
(A-3)第1の実施形態の効果
以上のように、第1の実施形態によれば、取引装置で行なう取引を、携帯端末に搭載された取引予約アプリで行なうことができる。そのため、顧客は、キャッシュカードや通帳を所持することなく、顧客が所持している割合が高い携帯端末(取引予約アプリ)で取引ができる。
【0112】
また、第1の実施形態によれば、取引予約アプリに、取引装置から受信した口座情報や取引内容が保存可能となる。また、従来は、顧客が、1枚又は複数枚のキャッシュカードや、1又は複数の通帳を持ち合わせている必要があるが、この実施形態によれば、その必要がなく、取引予約アプリで一元管理できる。
【0113】
さらに、第1の実施形態によれば、複数の金融機関の取引内容が保存され、前回と同じ取引を実施しようとするときには、過去の取引履歴から、対応の取引内容を選択できるので、簡単に取引内容を事前予約できる。
【0114】
また、第1の実施形態によれば、取引装置は、取引予約アプリが搭載された携帯端末との間で、近距離通信で、取引に係る情報を送受信するので、取引時間の短縮化が可能となる。また、取引装置の操作表示部に表示させる画面も簡略化でき、画面作成に係るコストも抑えることができる。
【0115】
(B)第2の実施形態
次に、本発明に係る取引装置、取引プログラム及び情報処理プログラムの第2の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0116】
(B-1)第2の実施形態の構成
図12は、第2の実施形態に係る取引システムの全体構成を示す全体構成図である。
【0117】
第1の実施形態では、本発明に係る取引装置がATMであり、当該ATMが、通常のキャッシュカードや通帳を用いた取引処理に加えて、スマホ取引対応の処理を行なう場合を例示した。
【0118】
これに対して、第2の実施形態は、本発明に係る取引装置が、スマホ取引専用装置である場合を例示する。
【0119】
スマホ取引専用装置1Aは、ディスプレイ等の表示装置61、近距離通信部11、二次元コードリーダ装置62などを接続ケーブル(例えば、USBケーブル、映像用ケーブル等)で接続可能である。
【0120】
スマホ取引専用装置1Aは、スマホ取引専用の制御装置である。スマホ取引専用装置1Aは、取引プログラム100がインストールされることで構築されるようにしてもよい。従来のATMは、装置規模が大きく、重量もあり、一般的にセキュリティが確保された場所に設置されている。これに対して、スマホ取引専用装置1Aは、装置規模が小型であり、重量も軽く、様々な設置場所に置くことが可能である。例えば、金融機関の店舗の受付カウンタ、小売店舗のレジカウンタ等にも設置可能である。
【0121】
さらに、スマホ取引専用装置1Aは、スマホ取引で現金を用いた取引を行なう場合には、現金(紙幣、硬貨)の入出金処理を行なう現金入出金機60と接続可能としてもよい。
【0122】
換言すると、スマホ取引で現金を使用した取引を行なう場合、スマホ取引専用装置1Aは、現金入出金機60と接続可能であることが好ましい。しかし、例えば自行又は他行の過去の取引内容を取り込む「ATMデータ取込」や、口座振込などのように、現金を使用しない取引の場合、スマホ取引専用装置1Aは、必ずしも、現金入出金機60と接続していなくてもよい。つまり、現金を使用する取引用として利用する、あるいは、現金を使用しない取引用として利用するかなどのように、店舗の運営ニーズに合うようなスマホ取引専用装置1Aの利用形態に応じて、スマホ取引専用装置1Aとその周辺機器の構成を設計可能である。
【0123】
第2の実施形態では、取引予約アプリ5で事前登録した取引内容を二次元コード化して携帯端末2に表示できるようにしても良い。その場合、携帯端末2に表示されている二次元コード等のコードを、コードリーダ装置62で読み取らせて、取引内容を示すデータがスマホ取引専用装置1Aの制御部10Aに与えられるようにしてもよい。つまり、スマホ取引専用装置1Aは、近距離通信あるいはコードで、取引内容のデータが取得でき、データ解析をして、自行のホストサーバ4-1又は他行のホストサーバ4-nと通信可能である。
【0124】
(B-2)第2の実施形態の動作
図13は、第2の実施形態のスマホ取引専用装置1Aを用いた取引処理を示す画面遷移図及びフローチャートである。
【0125】
ここでは、スマホ取引専用装置1Aにおいて、取引予約アプリ5が搭載されている携帯端末2で、「引き出し」取引を行なう場合を例示する。
【0126】
なお、取引予約アプリ5では、顧客により、「引き出し」取引が事前登録されており、取引を行なう際、起動している取引予約アプリ5上で、当該事前登録された「引き出し」取引が「予約取引実行」で選択されているものとする。
【0127】
スマホ取引専用装置1Aの制御を受けて表示装置61には、アイドル待機画面1301が表示される(S301)。図13に例示するアイドル待機画面1301では、近距離通信でのスマホ取引を促しているが、二次元コード等のコードで取引が可能であることも表示してよい。
【0128】
スマホ取引専用装置1Aで取引を行なう顧客は、携帯端末2上で起動した取引予約アプリ5の「予約取引実行」で実行取引を選択して、携帯端末2を近距離通信部11に翳したり、又は、取引内容を二次元コード等にコード化し、携帯端末2に表示されている二次元コード等のコードをコードリーダ装置62に翳したりする。顧客により、携帯端末2が近距離通信部11又はコードリーダ装置62に翳した時点で取引が開始する。
【0129】
近距離通信されたデータ又はコードを復元して得たデータが、スマホ取引専用装置1Aの制御部10Aに受信されると(S302:Yes)、制御部10Aは、データ解析を行なう(S303)。このとき、受信したデータに基づいて、取引の種類、口座情報(金融機関番号、店番号、口座番号、口座名義人の名称等)、取引内容、暗証番号などが解析される。
【0130】
制御部10Aでは、データ解析した口座情報に基づいて、自行の取引又は他行の取引であるかを判断する(S304)。
【0131】
自行取引のときには、制御部10Aにより自行仕様の電文(取引要求電文)が作成され(S305)、作成した電文が自行のホストサーバ4-1に送信されて、当該ホストサーバ4-1との間で電文通信を行なう(S307)。
【0132】
他行取引のときには、制御部10Aにより他行仕様の電文(取引要求電文)が作成され(S306)、当該他行のホストサーバ4-nに電文が送信されて、当該他行のホストサーバ4-nとの間で電文通信を行なう(S307)。
【0133】
スマホ取引専用装置1Aとホストサーバ4-1又はホストサーバ4-nとの間で電文通信中の間、処理中を示す画面1303が表示される。なお、処理中画面1303には、例えば広告表示がされるようにしてもよい。
【0134】
自行のホストサーバ4-1若しくは他行のホストサーバ4-nから取引成立電文が受信されると、スマホ取引専用装置1Aは、現金入出金機60に対して現金排出を指令し、現金入出金機60では、取引金額分の現金が計数されて、現金が排出される(S308)。
【0135】
現金排出と同時/その前後にスマホ取引専用装置1Aの表示装置61には、現金排出画面1305が表示され、スマホ取引専用装置1Aを操作する顧客が現金を受け取るのを待ち合わせる。
【0136】
その後、現金の受け取りを促す画面が表示装置61に表示され、現金の受け取りが完了すると、操作完了画面1307(例えば、「ありがとうございました。」と表記された画面)が表示装置61に表示されて、取引が完了する(S309)。その後、アイドル待機画面が表示される。
【0137】
(B-3)第2の実施形態の効果
以上のように、第2の実施形態によれば、第1の実施形態で説明した効果を奏する。さらに、第2の実施形態によれば、小型化したスマホ取引専用装置とすることで、携帯端末に搭載した取引予約アプリを用いた取引が簡単にできるので、利便性が向上する。
【0138】
(C)他の実施形態
第1及び第2の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されず、例えば、第1及び第2の実施形態に記載の構成要素/処理の全部又は一部とを組み合わせた実施形態にも適用できる。
【0139】
また、第1及び第2の実施形態では、ホストサーバ4に送信する電文は、取引装置1が作成する場合を例に挙げて説明したが、かかる例に限定されず、例えば、携帯端末2の制御部21が電文を作成しても良く、作成された電文は、近距離通信又は画面に表示される二次元バーコード等のコードで取引装置1に取得される。なお、取引装置1にはコードが有する電文を光学的に取得可能なカメラ又はリーダが備わる。
【0140】
また、第1及び第2の実施形態では、引き出し、預け入れなどの取引を行う場合を例に挙げて説明したが、かかる例に限定されず、例えば、支払、又は精算などの取引を行う場合でも良い。より具体的には、取引装置は、スーパーのレジに設置されるセミセルフ機等であり、顧客はセミセルフ機等を利用して携帯端末に例えばA銀行のキャッシュカードの支払取引を登録することが可能となる。
【0141】
また、第1及び第2の実施形態では、金融機関は主に銀行を想定した場合を例に挙げて、説明したが、かかる例に限定されず、例えば、金融機関は、クレジットカード会社やポイントカード会社を想定する場合でも良く、また、かかる場合、取引装置は、POSレジ、またはセミセルフ機等でも良い。
【符号の説明】
【0142】
NT…取引システム、1及び1B…取引装置、1A…スマホ取引専用装置、10及び10A…制御部、100…取引プログラム、11…近距離通信部、12…操作表示部、13…紙幣入出金部、14…硬貨入出金部、15…通帳入出部、16…明細票排出部、17…カード入出部、2…携帯端末、21…制御部、22…近距離通信部、23…入力表示部、24…記憶部、3…通信回線、4(4-1~4-n)…ホストサーバ、5…取引予約アプリケーション、60…現金入出金機、61…表示装置、62…二次元コードリーダ装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13