(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】異物検出装置
(51)【国際特許分類】
H02J 50/60 20160101AFI20231219BHJP
H02J 50/12 20160101ALI20231219BHJP
【FI】
H02J50/60
H02J50/12
(21)【出願番号】P 2019149852
(22)【出願日】2019-08-19
【審査請求日】2022-06-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100133835
【氏名又は名称】河野 努
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(72)【発明者】
【氏名】中尾 悟朗
(72)【発明者】
【氏名】今澤 孝則
【審査官】赤穂 嘉紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-093128(JP,A)
【文献】特開2015-128363(JP,A)
【文献】特開2018-107945(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/00-50/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非接触にて電力が伝送される、送電装置の送信コイルと受電装置の受信コイルとの間に、互いに電磁結合可能に配置される複数の検出コイルと、
前記複数の検出コイルのそれぞれについて、当該検出コイルとともに共振回路を構成する複数のコンデンサと、
前記複数の検出コイルのうちの入力コイルに所定の周波数を持つ交流電力を供給する電力供給回路と、
前記複数の検出コイルのうちの前記入力コイルと異なる出力コイルから、前記複数の検出コイルを介して伝達された前記交流電力の電圧を検出し、検出された電圧に応じて前記送信コイルと前記受信コイルの間に混入した異物を検出する検出回路と、
を有
し、
前記複数の検出コイルのそれぞれは、前記送信コイルの中心軸方向と直交する平面において互いに異なる位置に配置され、前記平面において前記入力コイルと前記出力コイルの位置は異なり、かつ、前記入力コイルに供給された交流電力は、前記複数の検出コイルのうち、前記入力コイル及び前記出力コイルの何れとも異なる1以上の検出コイルを介して前記出力コイルまで伝達される、
異物検出装置。
【請求項2】
前記検出回路は、前記検出された電圧が所定の基準電圧範囲から外れる場合、前記送信コイルと前記受信コイルとの間に混入した異物が有ると判定する、請求項1に記載の異物検出装置。
【請求項3】
前記複数の検出コイルのそれぞれについて、当該検出コイルが前記複数のコンデンサのうちの対応するコンデンサとともに構成する共振回路の共振周波数は、前記送信コイルに供給される交流電力の周波数と異なる、請求項1または2に記載の異物検出装置。
【請求項4】
前記所定の周波数は、前記送信コイルに供給される交流電力の周波数と異なる、請求項1~3の何れか一項に記載の異物検出装置。
【請求項5】
前記複数の検出コイルは、前記送信コイルの
前記中心軸方向から見て、前記送信コイル全体を覆うように配置される、請求項1~4の何れか一項に記載の異物検出装置。
【請求項6】
前記複数の検出コイルのそれぞれの前記送信コイルの
前記中心軸方向から見たサイズは、前記送信コイルの前記中心軸方向から見たサイズよりも小さい、請求項5に記載の異物検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触にて電力が伝送される電力伝送システム内の異物を検出する異物検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、金属の接点などを介さずに、空間を通じて電力を伝送する、いわゆる非接触給電(ワイヤレス給電とも呼ばれる)技術が研究されている。このような非接触給電技術の一つとして、電磁誘導により給電する方式が知られている。電磁誘導により給電する方式では、一次側(送電側あるいは給電側)のコイル(以下、送信コイルと呼ぶ)と二次側(受電側)のコイル(以下、受信コイルと呼ぶ)とが電磁結合することにより、送信コイルから受信コイルへ電力が伝送される。
【0003】
このような非接触給電技術を利用した電力伝送システムにおいて、送信コイルと受信コイルの間に、金属などの異物が入り込んでしまうことがある。このような場合、電力伝送中にその異物が誘導加熱されて発火し、あるいは、異物の発熱に起因して装置が故障することがある。また、このような電力伝送システムでは、電力伝送中に送信コイルと受信コイルとの相対的な位置関係が変動し、その結果として、送信コイルと受信コイル間の結合度が変化することがある。そこで、送信コイルと受信コイル間の結合度が変化する場合でも、送信コイルと受信コイルの間に混入した異物による故障を防止する技術が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。この技術では、非接触給電装置が有する送電装置の送信コイルに供給される交流電力の周波数を所定の周波数領域にわたって変化させても、非接触給電装置が定電圧出力動作しない場合、非接触給電装置は、送信コイルと、受電装置が有する受信コイルとの間に何らかの異物が混入したと判定して、送信コイルへの電力供給を停止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、送信コイルと受信コイルの間に、非常に小さい異物が混入した場合、送電装置から受電装置への電力伝送特性が変化せず、その結果として、送信コイルと受信コイルの間に混入した異物が検出されないことがある。
【0006】
そこで、本発明は、送電側の装置の送信コイルと受電側の装置の受信コイルの間に混入した異物の検出精度を向上できる異物検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一つの形態として、異物検出装置が提供される。この異物検出装置は、非接触にて電力が伝送される、送電装置の送信コイルと受電装置の受信コイルとの間に、互いに電磁結合可能に配置される複数の検出コイルと、複数の検出コイルのそれぞれについて、その検出コイルとともに共振回路を構成する複数のコンデンサと、複数の検出コイルのうちの入力コイルに所定の周波数を持つ交流電力を供給する電力供給回路と、複数の検出コイルのうちの入力コイルと異なる出力コイルから、複数の検出コイルを介して伝達された交流電力の電圧を検出し、検出された電圧に応じて送信コイルと受信コイルの間に混入した異物を検出する検出回路とを有する。
本発明に係る異物検出装置は、このような構成を有することにより、送電側の装置の送信コイルと受電側の装置の受信コイルとの間に混入した異物の検出精度を向上することができる。
【0008】
この異物検出装置において、検出回路は、検出された電圧が所定の基準電圧範囲から外れる場合、送信コイルと受信コイルとの間に混入した異物が有ると判定することが好ましい。
これにより、異物検出装置は、送信コイルと受信コイルの間に混入した異物をより精度良く検出できる。
【0009】
また、この異物検出装置において、複数の検出コイルのそれぞれについて、その検出コイルが複数のコンデンサのうちの対応するコンデンサとともに構成する共振回路の共振周波数は、送信コイルに供給される交流電力の周波数と異なることが好ましい。
これにより、異物検出装置は、送電装置から受電装置へ伝送される電力が、送信コイルと受信コイルの間に混入した異物の検出に影響することを防止して、その異物を精度良く検出できる。
【0010】
あるいは、この異物検出装置において、電力供給回路から供給される交流電力の所定の周波数は、送信コイルに供給される交流電力の周波数と異なることが好ましい。
これにより、異物検出装置は、異物検出用の交流電力が、送電装置から受電装置への電力伝送に影響することを防止できるとともに、送電装置から受電装置へ伝送される電力が、送信コイルと受信コイルの間に混入した異物の検出に影響することを防止して、その異物を精度良く検出できる。
【0011】
さらに、この異物検出装置において、複数の検出コイルは、送信コイルの中心軸方向から見て、送信コイル全体を覆うように配置されることが好ましい。
これにより、この異物検出装置は、送信コイルと受信コイルの間に混入した異物の位置によらず、その異物を精度良く検出できる。
【0012】
この場合において、複数の検出コイルのそれぞれの送信コイルの中心軸方向から見たサイズは、送信コイルのその中心軸方向から見たサイズよりも小さいことが好ましい。
これにより、この異物検出装置は、送信コイルと受信コイルの間に混入した異物が送信コイルよりも小さくても、その異物を精度良く検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一つの実施形態に係る異物検出装置を含む電力伝送システムの概略構成図である。
【
図3】異物検出装置が設けられる基板と送信コイルとの位置関係の一例を示す概略側面断面図である。
【
図4】異物検出装置が有する、複数の検出コイルの配置の一例を示す概略平面図である。
【
図5】電力供給回路の一例を示す回路構成図である。
【
図7】(a)及び(b)は、異物混入の有無による、検出電圧の変化を示すシミュレーション結果の一例を示す図である。
【
図8】(a)及び(b)は、変形例による、異物混入の有無による、検出電圧の変化を示すシミュレーション結果の他の一例を示す図である。
【
図9】(a)及び(b)は、他の変形例による、異物混入の有無による、検出電圧の変化を示すシミュレーション結果のさらに他の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一つの実施形態による異物検出装置を、図を参照しつつ説明する。この異物検出装置は、非接触により電力を伝送する電力伝送システムが有する、送電側の装置(以下、単に送電装置と呼ぶ)の送信コイルと、受電側の装置(以下、単に受電装置と呼ぶ)の受信コイルとの間に配置される基板を有し、その基板上に形成される、互いに電磁結合可能に配置される複数の検出コイルを有する。複数の検出コイルのそれぞれは、送電装置の送信コイルに供給される電力の周波数とは異なり、かつ、送信コイルを含む共振回路(送電側に共振回路が設けられる場合)及び受信コイルを含む共振回路の何れもが共振しない周波数において共振可能となっている。この異物検出装置は、複数の検出コイルの何れか一つに、それら検出コイルが共振する周波数を持つ交流電力を供給し、一方、複数の検出コイルの他の一つから出力される電圧を検出する。送信コイルと受信コイルの間に金属などの導電性を有する異物が混入すると、複数の検出コイルの何れかの共振特性が変化し、その結果として、検出される電圧が変化する。そこで、この異物検出装置は、検出される電圧を監視して、その電圧が、異物が混入していない場合に相当する所定の基準範囲から外れると、送信コイルと受信コイルの間に異物が混入したと判定する。
【0015】
図1は、本発明の一つの実施形態に係る異物検出装置を含む電力伝送システムの概略構成図である。
図1に示されるように、電力伝送システム1は、送電装置2と、受電装置3と、異物検出装置4とを有する。送電装置2と受電装置3とは、非接触給電装置を構成し、送電装置2から受電装置3へ、空間を介して非接触で電力が伝送される。送電装置2は、電力供給回路11と、送信コイル12とを有する。一方、受電装置3は、受信コイル21と、共振コンデンサ22と、受電回路23とを有する。電力伝送システム1は、例えば、いわゆる一次直列二次直列共振コンデンサ方式(SS方式)、または一次直列二次並列共振コンデンサ方式(SP方式)の非接触給電装置とすることができる。あるいは、電力伝送システム1は、一次側の共振を利用せず、二次側において受信コイルと共振コンデンサとが直列共振する方式(NS方式)、または、一次側の共振を利用せず、二次側において受信コイルと共振コンデンサとが並列共振する方式(NP方式)の非接触給電装置であってもよい。
【0016】
先ず、送電装置2について説明する。
電力供給回路11は、交流電力を送信コイル12へ供給する。そのために、電力供給回路11は、例えば、直流電力を供給する直流電源と、直流電源から供給された直流電力を交流電力に変換して送信コイル12へ供給するインバータ回路と、インバータ回路を制御する制御回路とを有する。インバータ回路は、4個のスイッチング素子(例えば、MOSFET)がフルブリッジ状に接続されるフルブリッジインバータであってもよく、あるいは、2個のスイッチング素子がハーフブリッジ状に接続されるハーフブリッジインバータであってもよい。制御回路は、送信コイル12に供給される交流電力の周波数が所定の周波数(例えば、受電装置3の共振回路が共振する周波数)となるように、インバータ回路が有する各スイッチング素子のオン/オフの切り替えを制御する。電力供給回路11は、さらに、直流電源とインバータ回路との間に、DC-DCコンバータを有してもよい。あるいは、電力供給回路11は、直流電源の代わりに、交流電源と接続され、交流電源からの交流電力を整流する整流回路と、整流回路と接続され、整流回路から出力される脈流電力を直流電力に変換する力率改善回路とを有していてもよい。この場合には、制御回路は、例えば、受電装置3が受電する電力の電圧を一定に保つために、力率改善回路を制御して、インバータ回路へ供給される直流電力の電圧を調整してもよい。
【0017】
送信コイル12は、電力供給回路11から供給された交流電力を、空間を介して受電装置3の受信コイル21へ伝送する。なお、送電装置2は、送信コイル12と電力供給回路11のインバータ回路との間に、送信コイル12と直列に接続されるコンデンサを有してもよい。このコンデンサは、直流電力を遮断するためのものであってもよく、あるいは、送信コイル12に供給される交流電力の周波数において送信コイル12とともに共振する共振回路を構成するためのものであってもよい。
【0018】
なお、送電装置2は、受電装置3による受電状況を表す信号を受信する通信器をさらに有してもよい。この場合には、電力供給回路11の制御回路は、受電状況に応じて、送信コイル12に供給される交流電力の周波数を変更するよう、インバータ回路の各スイッチング素子のオン/オフの切り替えタイミングを変更してもよい。
【0019】
さらに、電力供給回路11の制御回路は、異物検出装置4から、送信コイル12と受信コイル21の間に混入した異物が検出されたことを表す信号を受信すると、インバータが有する各スイッチング素子をオフにして、電力供給回路11から送信コイル12への電力供給を停止してもよい。
【0020】
次に、受電装置3について説明する。
受信コイル21は、共振コンデンサ22とともに共振回路を構成し、送電装置2の送信コイル12に流れる交流電流と共振することで、送信コイル12から電力を受信する。そのために、共振コンデンサ22は、受信コイル21と直列に接続されてもよく、あるいは、受信コイル21と並列に接続されてもよい。そして受信コイル21と共振コンデンサ22とにより形成される共振回路から出力される交流電力は、受電回路23へ出力される。なお、受信コイル21の巻き数と、送信コイル12の巻き数は同じでもよく、あるいは、互いに異なっていてもよい。
【0021】
受電回路23は、受信コイル21と共振コンデンサ22とにより形成される共振回路からの交流電力を直流電力に変換して、直流電力を受電回路23と接続される負荷回路(図示せず)へ出力する。そのために、受電回路23は、例えば、共振回路からの交流電力を脈流電力に変換する全波整流回路と、全波整流回路から出力される脈流電力を平滑化して負荷回路へ出力するための平滑コンデンサとを有する。さらに、受電回路23は、負荷回路へ出力される電圧を測定するための電圧計、電圧計により測定された電圧など、受電状況を表す信号を送電装置2へ送信するための通信器、負荷回路と受電回路23との接続または切断を切り替えるためのスイッチング素子、及び、そのスイッチング素子のオン/オフの切り替えを制御する制御回路などを有してもよい。
【0022】
次に、本実施形態による、異物検出装置4について説明する。異物検出装置4は、送電装置2と受電装置3とが、電力伝送可能な位置関係、すなわち、送信コイル12と受信コイル21とが電磁結合可能な位置関係となっている場合における、送信コイル12と受信コイル21の間に配置される。そして異物検出装置4は、送信コイル12と受信コイル21の間に混入した、金属などの導電性を有する異物を検出する。
【0023】
図2は、異物検出装置4の概略構成図である。
図3は、異物検出装置4が設けられる基板と送信コイル12との位置関係の一例を示す概略側面断面図である。さらに、
図4は、異物検出装置4が有する、複数の検出コイルの配置の一例を示す概略平面図である。
【0024】
図2に示されるように、異物検出装置4は、電力供給回路41と、複数の検出コイル42-1~42-n(nは2以上の整数)と、複数のコンデンサ43-1~43-nと、検出回路44とを有する。電力供給回路41、複数の検出コイル42-1~42-n、複数のコンデンサ43-1~43-n、及び、検出回路44は、送信コイル12と受信コイル21とが電磁結合可能な位置関係となっている場合における、送信コイル12と受信コイル21の間に位置する基板45上に設けられる。本実施形態では、基板45は、送電装置2に取り付けられる。そして検出回路44からの異物の検出結果を表す信号は、送電装置2の電力供給回路11へ出力される。
【0025】
図5は、電力供給回路41の一例を示す回路構成図である。電力供給回路41は、例えば、直流電力を供給する直流電源51と、給電コイル52と、コンデンサ53と、インバータ回路54と、インバータ回路54を制御する制御回路55とを有する。
【0026】
給電コイル52は、その一端がコンデンサ53を介してインバータ回路54と接続され、他端が接地される。そして給電コイル52は、複数の検出コイル42-1~42-nの何れかである入力コイル(本実施形態では、検出コイル42-1)と電磁結合可能なように配置され、インバータ回路54から供給された交流電力を入力コイルへ供給する。なお、給電コイル52とコンデンサ53の接続順序は入れ替わってもよい。
【0027】
インバータ回路54は、直流電源51から供給された直流電力を交流電力に変換して給電コイル52へ供給する。この例では、インバータ回路54は、2個のスイッチング素子(例えば、MOSFET)がハーフブリッジ状に接続されるハーフブリッジインバータとして構成されるが、インバータ回路54は、4個のスイッチング素子がフルブリッジ状に接続されるフルブリッジインバータであってもよい。制御回路55は、給電コイル52に供給される交流電力の周波数が所定の周波数となるように、インバータ回路が有する各スイッチング素子のオン/オフの切り替えを制御する。
【0028】
なお、給電コイル52を介して電力供給回路41から入力コイルへ供給される交流電力の周波数は、送電装置2の送信コイル12に供給される交流電力の周波数とは異なり、かつ、送信コイル12を含む共振回路(送電装置2に共振回路が設けられる場合)及び受信コイル21を含む共振回路の何れもが共振しない周波数とすることが好ましい。例えば、電力供給回路41が供給する交流電力の周波数は、送信コイル12に供給される交流電力の周波数(例えば、85kHzまたは150kHz)よりも高い周波数、例えば、ISMバンドに属する、13.56MHz、27.12MHzまたは40.68MHzとすることができる。これにより、電力供給回路41から供給される交流電力が送電装置2から受電装置3への電力伝送に影響することが防止される。またこのように電力供給回路41が供給する交流電力の周波数が設定されることで、異物検出装置4が有する複数の検出コイル42-1~42-nのそれぞれのインダクタンスを相対的に小さくできるので、各検出コイルのサイズを送信コイル12のサイズよりも小さくすることが容易となる。
【0029】
再度
図3及び
図4を参照すると、複数の検出コイル42-1~42-nのそれぞれは、基板45上に設けられる、金属などの導体による配線パターンとして構成される。そして各検出コイル42-iと対応するコンデンサ43-i(i=1,2,...,n)とは互いに接続され、それぞれ、一つの共振回路を構成する。各検出コイルのインダクタンス及び各コンデンサの静電容量は、その検出コイルとコンデンサとにより構成される共振回路の共振周波数が、送信コイル12に供給される交流電力の周波数にて共振しない周波数となるように設定されることが好ましい。これにより、異物検出装置4の各共振回路は、送電装置2から受電装置3へ伝送される交流電力に対して共振しないので、異物検出装置4は、送電装置2から受電装置3へ伝送される交流電力が、異物の検出に影響することを防止できる。さらに、各検出コイルのインダクタンス及び各コンデンサの静電容量は、その検出コイルとコンデンサとにより構成される共振回路の共振周波数が、電力供給回路41から供給される交流電力の周波数にて共振する周波数となるように設定されることが好ましい。これにより、電力供給回路41から供給される交流電力が検出回路44に達するまでの損失が抑制されるので、異物検出装置4は、異物の検出精度が低下することを抑制できる。なお、各共振回路の共振周波数と、電力供給回路41から供給される交流電力の周波数とは、電力供給回路41から供給される交流電力が検出回路44に達する限りにおいて、一致していなくてもよい。
【0030】
また、複数の検出コイル42-1~42-nのそれぞれは、互いに電気的に接触せず、かつ、互いに電磁結合可能なように、基板45上に配置される。例えば、複数の検出コイル42-1~42-nのそれぞれは、その複数の検出コイルのうちの他の何れか一つ以上の検出コイルと直接的に電磁結合可能なように基板45上に配置される。したがって、電力供給回路41から供給された交流電力に対して、各検出コイルが対応するコンデンサとともに共振することで、その交流電力は検出回路44へ伝達される。
【0031】
基板45は、送信コイル12の中心軸方向と基板45の法線方向とが略平行となるように配置される。そして複数の検出コイル42-1~42-nは、送信コイル12をその中心軸方向から見たときに、送信コイル12全体を覆うように配置される。
【0032】
また、
図4において、複数の検出コイル42-1~42-nのうち、実線で示される検出コイルは、受信コイル21と対向する側の基板45の面(以下、便宜上、表面と呼ぶ)に配置されることを表し、一方、複数の検出コイル42-1~42-nのうち、点線で示される検出コイルは、送信コイル12と対向する側の基板45の面(以下、便宜上、裏面と呼ぶ)に配置されることを表す。
【0033】
この例では、複数の検出コイル42-1~42-nは、2次元アレイ状に配置される。そして各検出コイルは、隣接する検出コイル同士が基板45の互いに異なる面に設けられるように配置される。隣接する検出コイル同士は、例えば、基板45の表面の法線方向から見て、互いに少なくとも一部が重なるように配置されることが好ましい。これにより、隣接する検出コイル同士の結合度が高くなり、その結果として、電力供給回路41から供給される交流電力が検出回路44に伝達されるまでの損失が軽減される。
【0034】
なお、
図4に示される例では、複数の検出コイル42-1~42-nのそれぞれは、略円形に形成されているが、各検出コイルの形状は円形に限られず、例えば、楕円形または矩形であってもよい。また、複数の検出コイル42-1~42-nのそれぞれの形状及びサイズは、互いに同一でもよく、あるいは、互いに異なっていてもよい。さらに、送信コイル12の中心軸方向から見た、複数の検出コイル42-1~42-nのそれぞれのサイズは、送信コイル12のサイズよりも小さいことが好ましい。これにより、送信コイル12よりも小さい異物が送信コイル12と受信コイル21の間に混入した場合でも、複数の検出コイル42-1~42-nの何れかが、その異物により影響を受け易くなるので、異物検出装置4は、そのような小さな異物を精度良く検出することができる。
【0035】
検出回路44は、複数の検出コイル42-1~42-nを介して伝達された交流電力の電圧を検出し、検出された電圧に基づいて、送信コイル12と受信コイル21の間に混入した異物を検出する。
【0036】
本実施形態では、送電装置2から受電装置3へ伝送される交流電力は、複数の検出コイル42-1~42-nを介した、電力供給回路41から検出回路44への交流電力の伝達に影響しない。一方、送信コイル12と受信コイル21の間に異物が混入すると、その異物により、複数の検出コイル42-1~42-nの何れかの共振特性が変化し、電力供給回路41から検出回路44への交流電力の伝達に影響する。その結果として、検出回路44にて検出される電圧が変化する。例えば、供給された交流電力により、電流が流れている何れかの検出コイルに金属が近付くと、その電流により検出コイル近傍に生じる磁束により、その金属において渦電流が発生して損失が生じる。また、発生した渦電流による磁束により、検出コイルのインダクタンスが低下する。特に、その金属が磁性体である場合、インダクタンスの変化は小さいにもかかわらず、損失だけが比較的大きくなることがある。これらの結果として、その検出コイルを含む共振回路の共振特性が変化する。そこで、検出回路44は、検出された電圧が所定の基準範囲に含まれるか否か判定し、所定の基準範囲から外れる場合に、送信コイル12と受信コイル21の間に異物が混入したと判定する。なお、所定の基準範囲として、下限値のみが設定されてもよく、あるいは、上限値と下限値の両方が設定されてもよい。下限値のみが設定される場合には、検出された電圧がその下限値よりも低くなる場合に、検出された電圧が所定の基準範囲から外れると判定される。また、上限値と下限値の両方が設定される場合には、検出された電圧がその下限値よりも低くなるか、または、その上限値よりも高くなる場合に、検出された電圧が所定の基準範囲から外れると判定される。なお、この例では、異物検出装置4に含まれる検出回路44は一つであるが、これに限られず、異物検出装置4は、2個以上の検出回路44を有してもよい。例えば、
図4において、複数の検出コイル42-1~42-nのアレイにおける、右上端部及び左下端部は、電力供給回路41から検出回路44への交流電力の伝送経路としての機能がそれほど高くない。そこで、複数の検出コイル42-1~42-nのアレイの右上端及び左下端の何れか若しくは両方に、検出回路44が追加されてもよい。これにより、異物検出装置4が異物を精度良く検出できる範囲がより広くなる。
【0037】
図6は、検出回路44の一例を示す回路構成図である。検出回路44は、受信コイル61及び共振コンデンサ62を有する共振回路63と、ハイパスフィルタ64と、アンプ65と、半波整流回路66と、ローパスフィルタ67と、電圧検出回路68と、判定回路69とを有する。なお、検出回路44の回路構成は、
図6に示されたものに限られず、各検出コイルにより伝達された交流電力の電圧を検出し、検出された電圧が所定の基準範囲から外れるか否かを判定可能な様々な回路の何れかとすることができる。
【0038】
共振回路63は、電力供給回路41から供給され、複数の検出コイル42-1~42-nを介して伝達された交流電力を検出する。そのために、共振回路63の受信コイル61は、複数の検出コイル42-1~42-nのうち、電力供給回路41から交流電力が供給される入力コイル以外の出力コイル(本実施形態では、検出コイル42-n)と直接的に(すなわち、他の検出コイルを介さずに)電磁結合可能に配置される。そして共振回路63は、電力供給回路41から供給された交流電力に対して共振するように、受信コイル61のインダクタンス及び共振コンデンサ62の静電容量は設定される。なお、
図6では、二つの共振コンデンサ62が受信コイル61と並列に接続されることが示されているが、共振回路63が有する共振コンデンサ62の数は二つに限られず、一つまたは三つ以上であってもよい。また、受信コイル61と共振コンデンサ62とは、直列に接続されてもよい。
【0039】
なお、受信コイル61と電磁結合可能な出力コイル(検出コイル42-n)は、電力供給回路41から供給された交流電力が複数の検出コイル42-1~42-nの全てを経由してから受信コイル61に伝達されるよう、電力供給回路41から交流電力が供給される入力コイル(検出コイル42-1)に対して直接的に電磁結合しない検出コイルであることが好ましい。本実施形態では、
図4に示されるように、出力コイルは、入力コイルが位置する側の端部とは反対側の端部に位置する。
【0040】
ハイパスフィルタ64は、共振回路63とアンプ65との間に接続され、共振回路63が受信した交流電力のうち、電力供給回路41から供給される交流電力の周波数未満の周波数を持つノイズ成分を減衰させる。アンプ65は、ハイパスフィルタ64と半波整流回路66との間に接続され、ハイパスフィルタ64から出力された交流電力を増幅する。
【0041】
半波整流回路66は、アンプ65とローパスフィルタ67の間に接続され、アンプ65から出力された、増幅された交流電力を半波整流して脈流電力に変換する。ローパスフィルタ67は、半波整流回路66と電圧検出回路68との間に接続され、半波整流回路66から出力された脈流電力を平滑化して直流電力に変換する。
【0042】
電圧検出回路68は、ローパスフィルタ67と接続され、ローパスフィルタ67から出力された直流電力の電圧を検出する。そして判定回路69は、検出された電圧が所定の基準範囲に含まれるか否か判定する。検出された電圧が所定の基準範囲に含まれる場合、判定回路69は、送信コイル12と受信コイル21の間に異物は無いと判定する。一方、検出された電圧が所定の基準範囲から外れると、判定回路69は、送信コイル12と受信コイル21の間に混入された異物が有ると判定する。そして判定回路69は、異物の検出結果を表す信号を、送電装置2の電力供給回路11へ出力する。なお、電圧検出回路68は、直流電圧を検出するための電圧検出回路の何れかとすることができる。また、判定回路69は、検出された電圧と所定の基準範囲とを比較し、その比較結果に応じた信号を出力可能な様々な回路の何れかとすることができる。
【0043】
図7(a)及び
図7(b)は、異物混入の有無による、検出回路44にて検出される電圧(以下、単に検出電圧と呼ぶことがある)の変化を示すシミュレーション結果の一例を示す図である。このシミュレーションでは、簡単化のために、
図7(a)に示されるように、異物検出装置4が有する検出コイルの数を3個とし(すなわち、n=3)、それら検出コイル42-1~42-3は、電力供給回路41と検出回路44との間に一列に配置されるものとした。また、検出コイル42-1と検出コイル42-3は基板45の表面に配置され、一方、検出コイル42-2は基板45の裏面に配置されるものとした。また、このシミュレーションにおいて、各検出コイルのインダクタンスLを50nHとし、コンデンサ43-1~43-3の静電容量Cを2.755nFとした。また、各検出コイルと対応するコンデンサとにより構成される共振回路の抵抗Rを、それぞれ、0.1Ωとした。すなわち、各共振回路の共振周波数fは、13.56MHzとなる。また、検出コイル42-1と検出コイル42-2間の結合度k
12、及び、検出コイル42-2と検出コイル42-3間の結合度k
23を、それぞれ、0.01とした。また、検出コイル42-1と検出コイル42-3間の結合度k
13を(k
12
2=0.0001)とした。
【0044】
図7(b)において、横軸は、周波数を表し、縦軸は、検出電圧を表す。グラフ701は、送信コイル12と受信コイル21の間に異物が無い場合の検出電圧の周波数特性を表す。グラフ702は、異物の混入により、検出コイル42-1のインダクタンスが10%低下したと仮定した場合の検出電圧の周波数特性を表す。また、グラフ703は、異物の混入のために生じた損失により、検出コイル42-1を含む共振回路の抵抗が3倍になったと仮定した場合の検出電圧の周波数特性を表す。同様に、グラフ704は、異物の混入により、検出コイル42-2のインダクタンスが10%低下したと仮定した場合の検出電圧の周波数特性を表し、グラフ705は、異物の混入のために生じた損失により、検出コイル42-2を含む共振回路の抵抗が3倍になったと仮定した場合の検出電圧の周波数特性を表す。さらに、グラフ706は、異物の混入により、検出コイル42-3のインダクタンスが10%低下したと仮定した場合の検出電圧の周波数特性を表し、グラフ707は、異物の混入のために生じた損失により、検出コイル42-3を含む共振回路の抵抗が3倍になったと仮定した場合の検出電圧の周波数特性を表す。
【0045】
グラフ701~707に示されるように、送信コイル12と受信コイル21の間に異物が混入したと仮定された場合の検出電圧は、そのような異物が無い場合の検出電圧と比較して低下することが分かる。特に、各共振回路の共振周波数(13.56MHz)と等しい周波数を持つ交流電力が電力供給回路41から供給される場合、その電圧変化が顕著となる。
したがって、異物検出装置4は、検出電圧を調べることで、送信コイル12と受信コイル21の間に混入した異物を検出できることが分かる。
【0046】
なお、変形例によれば、異物検出装置4が有する各検出コイルは、基板45の同じ面に設けられてもよい。
【0047】
図8(a)及び
図8(b)は、この変形例による、異物混入の有無による、検出電圧の変化を示すシミュレーション結果の他の一例を示す図である。このシミュレーションでは、
図8(a)に示されるように、異物検出装置4が有する検出コイルの数を3個とし(すなわち、n=3)、それら検出コイル42-1~42-3は、電力供給回路41と検出回路44との間に一列に配置されるものとした。また、全ての検出コイルは基板45の表面に配置されるものとした。さらに、このシミュレーションにおいて、各回路素子のパラメータの値は、
図7(a)及び
図7(b)に示されるシミュレーションで用いたパラメータの値と同じとした。ただし、各検出コイル間の結合度については、
図7(a)及び
図7(b)に示されるシミュレーションにおける結合度の1/2とした。
【0048】
図8(b)において、横軸は、周波数を表し、縦軸は、検出電圧を表す。グラフ801は、送信コイル12と受信コイル21の間に異物が無い場合の検出電圧の周波数特性を表す。グラフ802は、異物の混入により、検出コイル42-1のインダクタンスが10%低下したと仮定した場合の検出電圧の周波数特性を表す。また、グラフ803は、異物の混入のために生じた損失により、検出コイル42-1を含む共振回路の抵抗が3倍になったと仮定した場合の検出電圧の周波数特性を表す。同様に、グラフ804は、異物の混入により、検出コイル42-2のインダクタンスが10%低下したと仮定した場合の検出電圧の周波数特性を表し、グラフ805は、異物の混入のために生じた損失により、検出コイル42-2を含む共振回路の抵抗が3倍になったと仮定した場合の検出電圧の周波数特性を表す。さらに、グラフ806は、異物の混入により、検出コイル42-3のインダクタンスが10%低下したと仮定した場合の検出電圧の周波数特性を表し、グラフ807は、異物の混入のために生じた損失により、検出コイル42-3を含む共振回路の抵抗が3倍になったと仮定した場合の検出電圧の周波数特性を表す。
【0049】
グラフ801~807に示されるように、この変形例においても、送信コイル12と受信コイル21の間に異物が混入したと仮定された場合の検出電圧は、そのような異物が無い場合の検出電圧と比較して低下することが分かる。
したがって、各検出コイルが基板45の同じ面に配置される場合でも、異物検出装置4は、検出電圧を調べることで、送信コイル12と受信コイル21の間に混入した異物を検出できることが分かる。
【0050】
また、異物検出装置4が有する各検出コイルは、より配置密度が高くなるように設けられ、検出コイル間の結合度が高くなってもよい。
【0051】
図9(a)及び
図9(b)は、この変形例による、異物混入の有無による、検出電圧の変化を示すシミュレーション結果のさらに他の一例を示す図である。このシミュレーションでも、
図9(a)に示されるように、異物検出装置4が有する検出コイルの数を3個とし(すなわち、n=3)、それら検出コイル42-1~42-3は、電力供給回路41と検出回路44との間に一列に配置されるものとした。また、
図7(a)に示される例と同様に、検出コイル42-1と検出コイル42-3は基板45の表面に配置され、一方、検出コイル42-2は基板45の裏面に配置されるものとした。ただし、
図7(a)に示される例と比較して、各検出コイル間の重なり度合いが大きいように各検出コイルは配置されるものとした。さらに、このシミュレーションにおいて、各回路素子のパラメータの値は、
図7(a)及び
図7(b)に示されるシミュレーションで用いたパラメータの値と同じとした。ただし、各検出コイル間の結合度については、
図7(a)及び
図7(b)に示されるシミュレーションにおける結合度の10倍とした。
【0052】
図9(b)において、横軸は、周波数を表し、縦軸は、検出電圧を表す。グラフ901は、送信コイル12と受信コイル21の間に異物が無い場合の検出電圧の周波数特性を表す。グラフ902は、異物の混入により、検出コイル42-1のインダクタンスが10%低下したと仮定した場合の検出電圧の周波数特性を表す。また、グラフ903は、異物の混入のために生じた損失により、検出コイル42-1を含む共振回路の抵抗が3倍になったと仮定した場合の検出電圧の周波数特性を表す。
【0053】
グラフ901~903に示されるように、この変形例では、複数の周波数において検出電圧の極値が表れるものの、送信コイル12と受信コイル21の間に異物が混入したと仮定された場合の検出電圧は、そのような異物が無い場合の検出電圧と比較して変化することが分かる。なお、この例に示されるように、各共振回路の共振周波数(13.56MHz)と、電力供給回路41から供給される交流電力の周波数(例えば、13.9MHz)が異なる場合には、異物の混入により、検出電圧が上昇することもある。しかし、上記のように、基準電圧の範囲に上限値が設定されることで、異物検出装置4は、異物の混入により、検出電圧が上昇する場合でも、混入した異物を精度良く検出することができる。
【0054】
以上に説明してきたように、この異物検出装置は、送電装置と受電装置とが送電装置から受電装置へ電力伝送可能な位置関係となる場合に、送信コイルと受信コイルの間に配置される、互いに電磁結合可能な複数の検出コイルを有し、その複数の検出コイルの何れかに供給され、かつ、その複数の検出コイルを伝達された交流電力による電圧を検出回路で検出する。そしてこの異物検出装置は、検出した電圧が所定の基準範囲から外れている場合に、送信コイルと受信コイルの間に異物が混入したと判定する。そのため、この異物検出装置は、送信コイル及び受信コイルよりも小さい異物が混入しても、その異物を精度良く検出することができる。その結果として、この異物検出装置は、異物の検出精度を向上できる。さらに、この異物検出装置は、送電装置から受電装置へ伝送される交流電力とは別個の交流電力を用いて異物を検出するので、送電装置から受電装置への電力伝送に影響されずに異物を検出できる。
【0055】
なお、変形例によれば、異物検出装置4は、受電装置3に取り付けられてもよい。この場合には、受電装置3は、受信コイル21と並列に、受信コイル21の両端を短絡するか否かを切り替えるスイッチング素子(図示せず)と、そのスイッチング素子をオンにするかオフにするかを切り替えるための制御回路(図示せず)をさらに有していてもよい。そして検出回路44からの異物の検出結果を表す信号は、受電装置3の制御回路へ出力され、制御回路は、その信号が、送信コイル12と受信コイル21の間に混入した異物が検出されたことを表している場合、スイッチング素子をオンにして、受信コイル21の両端を短絡する。これにより、送電装置2から受電装置3への電力伝送が中断され、混入した異物による故障の発生が防止される。
【0056】
また、送電装置2と受電装置3とが、互いに通信するための通信器(図示せず)をそれぞれ有している場合、受電装置3の制御回路は、異物検出装置4の検出回路44から受信した信号が、送信コイル12と受信コイル21との間に混入した異物が検出されたことを表している場合、通信器を介して、送電装置2へ電力伝送の停止を指示する信号を送信してもよい。そして送電装置2の電力供給回路11の制御回路は、通信器を介して、電力伝送の停止を指示する信号を受信すると、電力供給回路11から送信コイル12への電力供給を停止してもよい。
【0057】
さらに、送電装置2と受電装置3のそれぞれに、異物検出装置4が取り付けられてもよい。すなわち、送信コイル12と受信コイル21との間に、二つの異物検出装置4が配置されてもよい。
【0058】
また他の変形例によれば、異物検出装置4は、送信コイル12と受信コイル21の間に混入した異物を除去するための除去機構(図示せず)をさらに有していてもよい。この場合、検出回路44は、送信コイル12と受信コイル21の間に混入した異物を検出すると、その除去機構を動作させて、異物を除去してもよい。なお、そのような除去機構は、例えば、送電装置2の筐体の受電装置3と対向する側の面、または、受電装置3の筐体の送電装置2と対向する側の面を拭くワイパー、あるいは、送電装置2と受電装置3の間に空気を吹き出して異物を除去するエアーガンとすることができる。これにより、異物検出装置4は、異物が検出された場合でも、異物の発火及び異物の発熱による送電装置2または受電装置3の故障を防止しつつ、送電装置2から受電装置3への電力伝送の継続を可能とすることができる。
【0059】
このように、当業者は、本発明の範囲内で、実施される形態に合わせて様々な変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0060】
1 電力伝送システム
2 送電装置
11 電力供給回路
12 送信コイル
3 受電装置
21 受信コイル
22 共振コンデンサ
23 受電回路
4 異物検出装置
41 電力供給回路
42-1~42-n 検出コイル
43-1~43-n コンデンサ
44 検出回路
45 基板
51 直流電源
52 給電コイル
53 コンデンサ
54 インバータ回路
55 制御回路
61 受信コイル
62 共振コンデンサ
63 共振回路
64 ハイパスフィルタ
65 アンプ
66 半波整流回路
67 ローパスフィルタ
68 電圧検出回路
69 判定回路