(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】対応提示装置および対応提示方法
(51)【国際特許分類】
G10L 15/22 20060101AFI20231219BHJP
G10L 15/10 20060101ALI20231219BHJP
G06F 3/16 20060101ALI20231219BHJP
G06F 40/274 20200101ALI20231219BHJP
G06F 16/34 20190101ALI20231219BHJP
G06F 16/35 20190101ALI20231219BHJP
【FI】
G10L15/22 460Z
G10L15/10 500T
G06F3/16 650
G06F40/274
G06F16/34
G06F16/35
(21)【出願番号】P 2019155509
(22)【出願日】2019-08-28
【審査請求日】2022-07-13
(31)【優先権主張番号】P 2018235997
(32)【優先日】2018-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】真鍋 章
【審査官】松尾 真人
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-316998(JP,A)
【文献】特開2005-242891(JP,A)
【文献】特開2002-366556(JP,A)
【文献】特開2001-188678(JP,A)
【文献】国際公開第2016/147219(WO,A1)
【文献】特開2012-018518(JP,A)
【文献】松井 元伸,コールセンタのデータ特性を考慮したオペレータ支援システムの提案,マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO)シンポジウム論文集 1997年~2006年版 Ver.1.1 [DVD-ROM],社団法人情報処理学会,2004年07月07日,第2004巻, 第7号,pp.655~658
【文献】森本 由起子,問合せ事例を活用したヘルプデスクオペレータ支援機能の開発,情報処理学会論文誌,社団法人情報処理学会,2003年07月15日,第44巻, 第7号,pp.1731~1739
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 16/00-16/958
G06F 40/274
G06F 3/16
G10L 15/10
G10L 15/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
質問応答記録を音声認識したテキストデータを取得するテキスト取得部と、
過去の質問応答記録の前記テキストデータの要点を予め定められたカテゴリ毎に分類し、前記要点を集約して、
過去の質問応答記録のマスタDBの階層構造データを生成する階層構造データ生成部と、
前記マスタDBを記憶する記憶部と、
現在の質問応答記録の前記テキストデータに対応する前記階層構造データを、前記階層構造データ生成部が分類したカテゴリ毎に表示する表示部と
を備え、
前記階層構造データ生成部は、顧客とオペレータとの会話の前記テキストデータから、カテゴリ毎に前記テキストデータの要点を抽出し、抽出した前記テキストデータの要点と類似する内容を、対応するカテゴリから自動検索し、
前記表示部は、前記テキストデータに対する類似度の高い前記階層構造データを強調表示する対応提示装置。
【請求項2】
前記表示部は、第1のカテゴリの内容を、前記テキストデータに対する類似度の高い順に表示し、前記第1のカテゴリよりも低次の階層である第2のカテゴリの内容を、前記マスタDBに記憶された件数の多い順に並べて表示する
請求項1に記載の対応提示装置。
【請求項3】
前記階層構造データの階層の数を決定する階層決定部を更に備え、
前記階層構造データ生成部は、前記階層決定部の決定した階層の数に応じて、前記階層構造データを生成する
請求項1または2に記載の対応提示装置。
【請求項4】
前記テキスト取得部は、前記テキストデータを修正し、
前記階層構造データ生成部は、修正後の前記テキストデータに基づいて、前記階層構造データを生成し、
前記表示部は、修正後の前記テキストデータに対応する前記階層構造データを、前記階層構造データ生成部が分類したカテゴリ毎に表示する
請求項1から
3のいずれか一項に記載の対応提示装置。
【請求項5】
コンピュータが、質問応答記録を音声認識したテキストデータを取得するステップと、
コンピュータが、過去の質問応答記録の前記テキストデータの要点を予め定められたカテゴリ毎に分類し、前記要点を集約して、
過去の質問応答記録のマスタDBの階層構造データを生成するステップと、
コンピュータが、前記マスタDBを記憶するステップと、
コンピュータが、顧客とオペレータとの会話の前記テキストデータから、カテゴリ毎に前記テキストデータの要点を抽出するステップと、
コンピュータが、抽出した前記テキストデータの要点と類似する内容を、対応するカテゴリから自動検索するステップと、
コンピュータが、現在の質問応答記録の前記テキストデータに対応する前記階層構造データを、前記分類されたカテゴリ毎に表示するステップと、
コンピュータが、前記テキストデータに対する類似度の高い前記階層構造データを強調表示するステップと、
を備える対応提示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対応提示装置および対応提示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コールセンタのオペレータ用の支援システムが知られている(例えば、特許文献1および2参照)。
特許文献1 特開2015-233230号公報
特許文献2 特開2010-224727号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の支援システムでは、対策事例の内容を検索したり、内容をよく読んだりする必要があり、情報への迅速なアクセスが困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の態様においては、過去の質問応答記録のマスタDBを記憶する記憶部と、現在の質問応答記録を音声認識したテキストデータを取得するテキスト取得部と、テキストデータの要点を予め定められたカテゴリ毎に分類し、要点を集約して、マスタDBの階層構造データを生成する階層構造データ生成部と、テキストデータに対応する階層構造データを、階層構造データ生成部が分類したカテゴリ毎に表示する表示部とを備え、表示部は、テキストデータに対する類似度の高い階層構造データを強調表示する対応提示装置を提供する。
【0005】
表示部は、第1のカテゴリの内容を、テキストデータに対する類似度の高い順に表示し、第1のカテゴリよりも低次の階層である第2のカテゴリの内容を、マスタDBに記憶された件数の多い順に並べて表示してよい。
【0006】
対応提示装置は、階層構造データの階層の数を決定する階層決定部を更に備えてよい。階層構造データ生成部は、階層決定部の決定した階層の数に応じて、階層構造データを生成してよい。
【0007】
階層構造データ生成部は、顧客とオペレータとの会話のテキストデータから、状況、原因および対処のカテゴリ毎に、テキストデータの要点を抽出してよい。
【0008】
テキスト取得部は、テキストデータを修正してよい。階層構造データ生成部は、修正後のテキストデータに基づいて、階層構造データを生成してよい。表示部は、修正後のテキストデータに対応する階層構造データを、階層構造データ生成部が分類したカテゴリ毎に表示してよい。
【0009】
本発明の第2の態様においては、過去の質問応答記録のマスタDBを記憶するステップと、現在の質問応答記録を音声認識したテキストデータを取得するステップと、テキストデータの要点を予め定められたカテゴリ毎に分類し、要点を集約して、マスタDBの階層構造データを生成するステップと、テキストデータに対応する階層構造データを、分類されたカテゴリ毎に表示するステップと、テキストデータに対する類似度の高い階層構造データを強調表示するステップと、を備える対応提示方法を提供する。
【0010】
なお、上記の発明の概要は、本発明の特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2B】対応提示装置100による動作のフローチャートの概要を示す。
【
図3】対応提示装置100を用いた顧客応答のフローチャートの概要を示す。
【
図4】テキスト取得部10が音声認識したテキストデータTDの一例を示す。
【
図5A】階層構造データ生成部30によりカテゴリ分類された要点の一例を示す。
【
図5B】階層構造データ生成部30が生成した要約文の一例を示す。
【
図5C】階層構造データ生成部30が生成した集約文の一例を示す。
【
図6】階層構造データ生成部30によるカテゴリ内の情報の集約例を示す。
【
図7】記憶部20に記憶されたマスタDBの一例を示す。
【
図8】テキスト取得部10によって音声認識したテキストデータTDの一例を示す。
【
図9】カテゴリ毎に抽出された集約文の表示例を示す。
【
図10】状況自動検索手順のフローチャートの一例を示す。
【
図11】表示部40による階層構造データHDの表示例を示す。
【
図12】原因自動検索手順のフローチャートの一例を示す。
【
図13】表示部40による階層構造データHDの表示例を示す。
【
図14】対応提示装置100を用いた顧客応答のフローチャートの他の例を示す。
【
図15A】テキスト取得部10によって音声認識したテキストデータTDの一例を示す。
【
図15B】カテゴリ毎に抽出された集約文の表示例を示す。
【
図15C】表示部40による階層構造データHDの表示例を示す。
【
図15D】テキストデータTDの修正方法の一例を示す。
【
図15E】表示部40による階層構造データHDの表示例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0013】
図1は、対応システム200の構成の概要を示す。対応システム200は、顧客210からコールセンタに問い合わせがあった場合に、オペレータの応答を補助するためのシステムである。本例では、対応システム200が一次受付230および二次受付240を有する場合について説明するが、三次受付以上の受付を有してもよい。
【0014】
顧客210は、PSTN(Public Switched Telephone Network)等の公衆交換電話網220、およびPBX(Private Branch eXchange)等の構内交換機225を経由して一次受付230のオペレータにコンタクトする。
【0015】
一次受付230は、オペレータが使用する電話機232および受付用端末234を有する。二次受付240は、オペレータが使用する電話機242および受付用端末244を有する。受付用端末234および受付用端末244は、LAN(Local Area Network)250を介してサーバー機260に接続されている。
【0016】
後述する対応提示装置100は、一次受付230および二次受付240が顧客210に対応するのを補助する。対応提示装置100は、サーバー機260に実装されてよい。サーバー機260は、例えば、パーソナルコンピューターである。サーバー機260で実行された結果が、LAN250等のネットワークを経由して受付用端末234または受付用端末244に表示される。
【0017】
図2Aは、対応提示装置100の構成の概要を示す。対応提示装置100は、テキスト取得部10と、記憶部20と、階層構造データ生成部30と、表示部40と、階層決定部50とを備える。
【0018】
テキスト取得部10は、現在の質問応答記録を音声認識したテキストデータTDを取得する。テキスト取得部10は、入力された音声をテキストデータTDに変換して取得してもよいし、入力されたテキストデータTDを取得してもよい。テキスト取得部10は、取得した現在の質問応答記録のテキストデータTDを階層構造データ生成部30に送信する。質問応答記録とは、顧客210とオペレータとの間の質問や応答等の会話の記録である。
【0019】
現在の質問応答記録とは、オペレータが顧客対応しているリアルタイムの質問応答記録を指す。現在の質問応答記録は、一次受付230の質問応答記録であっても、二次受付240の質問応答記録であってもよい。
【0020】
記憶部20は、過去の質問応答記録のマスタDBを記憶する。過去の質問応答記録とは、以前にオペレータが顧客対応したときの質問応答記録を後述する階層構造データHDとして保存したものである。過去の質問応答記録は、一次受付230の質問応答記録であっても、二次受付240の質問応答記録であってもよい。記憶部20は、記憶したマスタDBを階層構造データ生成部30に送信する。
【0021】
階層構造データ生成部30は、マスタDBの階層構造データHDを生成する。階層構造データ生成部30は、生成した階層構造データHDを表示部40に送信する。また、階層構造データ生成部30は、テキスト取得部10からのテキストデータTDをそのままリアルタイムで表示部40に送信してもよい。なお、階層構造データ生成部30は、テキストデータの要点を予め定められたカテゴリ毎に分類し、分類されたカテゴリ毎に要約文を生成し、要約文を集約した集約文を生成する。詳細については後述する。
【0022】
階層構造データHDは、カテゴリ毎にマスタDBの内容を階層表示したものである。階層構造データHDは、階層構造データ生成部30が生成した集約文を含む。階層構造データ生成部30は、予め定められたカテゴリ毎に要点を分類して階層構造データHDを生成する。本例の階層構造データHDは、3つのカテゴリを有する。例えば、カテゴリには、オペレータが対応している事例の「状況」、「原因」および「対処」を含む。なお、本例のカテゴリ分類は一例であり、カテゴリの数や内容はこれに限定されない。「状況」が「質問」のカテゴリであってよく、「対処」が「回答」のカテゴリであってよい。
【0023】
表示部40は、テキストデータTDに対応する階層構造データHDを表示する。表示部40は、階層構造データ生成部30が分類したカテゴリ毎に階層構造データHDを表示する。例えば、表示部40は、階層構造データHDを容易に把握するため、ツリー状に表示する。表示部40は、テキストデータTDと類似した階層構造データHDを強調表示してよい。例えば、表示部40は、色を付したり、点滅等のアニメーションを付したりすることにより、強調表示する。
【0024】
また、表示部40は、テキスト取得部10が取得したテキストデータTDをそのまま表示してもよい。即ち、表示部40は、顧客210とオペレータとの現在の質問応答記録をリアルタイムで表示してよい。表示部40は、現在の質問応答記録のテキストデータTDと階層構造データHDとの両方を表示してもよい。なお、表示部40は、情報を表示するためのディスプレイを有してもよいし、受付用端末234および受付用端末244等の外部の端末に情報を表示させてもよい。
【0025】
階層決定部50は、階層構造データHDの階層の数を決定する。階層構造データ生成部30は、階層決定部50の決定した階層の数に応じて階層構造データHDを生成する。なお、階層決定部50は、外部からの入力に応じて、階層構造データHDの階層の数を決定してよい。例えば、階層決定部50は、オペレータの指示に応じて階層構造データHDの階層の数を決定する。
【0026】
本例の対応提示装置100は、現在の質問応答記録のテキストデータTDに対応する階層構造データHDを表示する。よって、オペレータは、階層構造データHDから応答の原因や対処の方法を迅速に把握することができる。これにより、対応提示装置100は、オペレータの応答を補助することができる。オペレータは、必要とする情報(例えば、対処)にたどり着きやすくなる。また、対応提示装置100は、二次受付240が応答していたような高度な事例を一次受付230に対応させることができる。よって、経験の浅い一次受付230のオペレータであっても、ある程度専門家やベテランのオペレータと同等の回答を実現することができる。したがって、一次受付230での受付の品質やスピードが向上する。
【0027】
なお、対応提示装置100は、現在の質問応答記録のテキストデータTDを修正することにより、修正後の階層構造データHDを表示してもよい。一例において、テキスト取得部10は、オペレータからの指示に応じて、テキストデータTDを修正する。階層構造データ生成部30は、修正後のテキストデータTDに基づいて、階層構造データHDを生成する。表示部40は、修正後のテキストデータTDに対応する階層構造データHDを、階層構造データ生成部30が分類したカテゴリ毎に表示する。これにより、対応提示装置100は、さらにオペレータの回答の質を向上することができる。
【0028】
図2Bは、対応提示装置100による動作のフローチャートの概要を示す。対応提示装置100は、ステップS10~ステップS16を実行することにより、オペレータの応答を補助する。
【0029】
ステップS10において、記憶部20は、過去の質問応答記録のマスタDBを記憶する。ステップS12において、テキスト取得部10は、現在の質問応答記録を音声認識したテキストデータTDを取得する。ステップS14において、階層構造データ生成部30は、マスタDBの階層構造データHDを生成する。ステップS16において、表示部40は、テキストデータTDに対応する階層構造データHDを表示する。これにより、対応提示装置100は、オペレータに最適な対応方法を階層構造データHDとして提示することができる。
【0030】
図3は、対応提示装置100を用いた顧客応答のフローチャートの概要を示す。ステップS100~ステップS118を実行することにより、顧客210の要求に応答することができる。なお、本例のフローチャートは、顧客応答のフローチャートの一例であり、顧客応答の方法は本例に限定されない。
【0031】
ステップS100において、テキスト取得部10は、オペレータが正しく応対できた事例の記録を音声認識して、テキストデータTDを作成する。テキスト取得部10が取得するテキストデータTDは、一次受付230のオペレータの対応であっても、二次受付240のオペレータの対応であってもよい。テキスト取得部10が取得するテキストデータTDは、一次受付230および二次受付240の両方のオペレータの対応であってもよい。
【0032】
ステップS102において、階層構造データ生成部30は、テキスト取得部10が作成したテキストデータTDから、カテゴリ毎に要点を抽出する。階層構造データ生成部30は、カテゴリ毎に要点を抽出することにより、カテゴリ毎の階層を有する階層構造データHDを生成することができる。例えば、階層構造データ生成部30は、状況、原因および対処のカテゴリ毎に要点を抽出する。これにより、質問応答記録の会話の中から、状況、原因および対処に対応する部分がそれぞれ抽出される。
【0033】
ステップS104において、階層構造データ生成部30は、抽出した情報から、カテゴリ内で類似する内容を要約して、集約する。例えば、階層構造データ生成部30は、カテゴリ内で類似する内容を要約した要約文を生成し、要約文を集約した集約文を生成する。この場合、階層構造データ生成部30は、内容毎の件数を集約度として生成してもよい。ステップS106において、記憶部20は、状況、原因、対処の順番に階層構造データHDをマスタDBとして登録する。
【0034】
ステップS108において、テキスト取得部10は、顧客210とオペレータとの応対記録をリアルタイムに音声認識して、テキストデータTDを作成する。例えば、テキスト取得部10は、一次受付230の応対記録のテキストデータTDを作成する。
【0035】
ステップS110において、階層構造データ生成部30は、作成したテキストデータTDから、状況および原因のカテゴリ毎に要点を抽出する。ステップS112において、階層構造データ生成部30は、抽出した要点と類似する内容を、ステップS106でマスタDBに登録した状況のカテゴリから自動検索する。表示部40は、類似する内容を一次受付230のオペレータの端末に提示する。本明細書において、類似する内容とは、最も類似する内容に限られず、類似度の高いものから順に、複数の内容を指してもよい。次に、抽出した要点の中に「原因」のカテゴリ内容があった場合、ステップS114に進み、抽出した要点の中に「原因」のカテゴリ内容がない場合、ステップS116に進む。
【0036】
ステップS114において、抽出した要点の中に「原因」のカテゴリ内容があった場合、階層構造データ生成部30は、ステップS106でマスタDBに登録した原因のカテゴリから類似する内容を自動検索する。表示部40は、類似する内容を一次受付230のオペレータの端末に表示する。
【0037】
ステップS116は、抽出した要点の中に「原因」のカテゴリ内容がない場合、一次受付230のオペレータが、端末に提示された複数ある原因の内容を参照しながら顧客210と会話することにより、原因を特定する。
【0038】
ステップS118において、一次受付230のオペレータは、端末に提示されている状況および原因に対応する対処の内容を確認して、最適な対処方法を顧客に回答する。このように、対応提示装置100は、現在の質問応答記録のテキストデータTDに対応する階層構造データHDを表示することにより、オペレータの対応を補助することができる。
【0039】
図4は、テキスト取得部10が音声認識したテキストデータTDの一例を示す。本例のテキストデータTDは、
図3のステップS100においてテキスト取得部10にテキストデータ化された音声の一例である。
【0040】
テキスト取得部10は、時系列で現在の質問応答記録をテキストデータ化する。テキスト取得部10は、オペレータや顧客210を区別してテキストデータ化する。テキスト取得部10は、オペレータが正しく応対できた事例の記録を音声認識してよい。本例のテキスト取得部10は、顧客210と一次受付230のオペレータの話の内容を時系列でテキストデータ化している。但し、現在の質問応答記録のテキストデータ化の対象や方法は本例に限られない。
【0041】
図5Aは、階層構造データ生成部30によりカテゴリ分類された要点の一例を示す。本例の要点抽出例は、
図3のステップS102における階層構造データ生成部30の処理の一例である。
【0042】
階層構造データ生成部30は、テキスト取得部10が取得したテキストデータTDから、カテゴリ毎に要点を抽出する。例えば、カテゴリは、状況、原因および対処の3つである。本例の階層構造データ生成部30は、「状況」として「インバーターが停止しました」というテキストを抽出し、「原因」として「配線に触れたんですけど」というテキストを抽出し、「対処」として「配線を手配して交換してください。」というテキストを抽出する。
【0043】
また、階層構造データ生成部30は、任意の方法で、要点を抽出し、カテゴリを分類してよい。例えば、階層構造データ生成部30は、登録したキーワードが出現した場合にカテゴリ抽出するルールベースの手法により、要点の抽出およびカテゴリの分類を実行する。また、階層構造データ生成部30は、分類した正解例を学習させたモデルを利用してカテゴリ抽出してもよい。
【0044】
図5Bは、階層構造データ生成部30が生成した要約文の一例を示す。本例の要点抽出例は、
図3のステップS104における階層構造データ生成部30の処理の一例である。
【0045】
階層構造データ生成部30は、カテゴリ毎に抽出された要点を要約した要約文を生成する。例えば、「状況」について、「インバーターが停止しました」との内容を「インバーターが停止」に要約する。「原因」について、「配線に触れたんですけど」との内容を「配線に触れた」に要約する。「対処」について、「配線を手配して交換してください。」との内容を「配線を手配して交換」に要約する。
【0046】
図5Cは、階層構造データ生成部30が生成した集約文の一例を示す。本例の要点抽出例は、
図3のステップS104における階層構造データ生成部30の処理の一例である。
【0047】
階層構造データ生成部30は、カテゴリ毎に抽出された要点を要約した要約文を生成する。例えば、「状況」について、「インバーターが停止」との内容を「インバータが停止」に集約する。「原因」について、「配線に触れた」との要約文を集約文として用いる場合は変更しなくてよい。「対処」について、「配線を手配して交換」との要約文を集約文として用いる場合は変更しなくてよい。
【0048】
図6は、階層構造データ生成部30によるカテゴリ内の情報の集約例を示す。本例の集約例は、
図3のステップS104における階層構造データ生成部30の処理の一例である。本例では、要約例1~要約例6の6つの要約文から集約例1~集約例6の6つの集約文を生成する場合について説明する。
【0049】
階層構造データ生成部30は、抽出した情報を要約した要約文から、カテゴリ内で類似する内容を集約する。例えば、階層構造データ生成部30は、登録したキーワードが出現した場合に集約するルールベースの手法によって、文章を集約する。また、階層構造データ生成部30は、集約した正解例を学習させたモデルを利用して集約する手法によって、文章を集約してもよい。
【0050】
例えば、「状況」において、類似する内容として、「インバーターが停止」および「停止したインバーター」が含まれている場合、これらを「インバータが停止」に集約する。また、「状況」において、類似する内容として、「配線が焼損」および「コードが焼損」が含まれている場合、これらを「配線が焼損」に集約する。これにより、類似する「状況」の要点を共通の集約文に集約することができる。
【0051】
同様に、「原因」において、集約する内容として、「配線にふれた」および「配線に触った」が含まれている場合、これらを「配線に触れた」に集約する。また、「原因」において、類似する内容として、「長期に渡り利用」および「長期間利用」が含まれている場合、これらを「長期に渡り利用」に集約する。これにより、類似する「原因」の要点を共通の集約文に集約することができる。
【0052】
同様に、「対処」において、類似する内容として、「インバーターを交換」が含まれている場合、「インバータを交換」に集約する。このように、集約する集約文は、予め用意されていてもよい。内容を集約することにより、類似する内容を同一のものとして扱うことができる。なお、本例では、要約文と集約文との違いを明確にするために下線を付しているものの、下線は付さなくてもよい。
【0053】
図7は、記憶部20に記憶されたマスタDBの一例を示す。本例のマスタDBは、
図3のステップS106において記憶部20に記憶されるデータベースの一例である。
【0054】
記憶部20は、状況、原因および対処の順番に階層構造でマスタDBとして登録する。No.1~No.5は、
図6で示した階層構造データHDにそれぞれ対応している。記憶部20は、件数の多い順に番号を付して記憶してよい。また、記憶部20は、カテゴリ毎の件数や、事例毎の件数を記憶してもよい。マスタDBには、
図3のステップS104で集約された集約文が記憶されている。
【0055】
図8は、テキスト取得部10によって音声認識したテキストデータTDの一例を示す。本例のテキストデータTDは、
図3のステップS108においてテキスト取得部10が取得するテキストの一例である。
【0056】
テキスト取得部10は、顧客210と一次受付230の応対記録をリアルタイムに音声認識したテキストデータTDを取得している。テキスト取得部10は、二次受付240の質問応答記録のテキストデータTDをリアルタイムに取得してもよい。
【0057】
表示部40は、表示領域42を表示している。本例の表示部40は、表示画面の左半分に表示領域42を表示しているが、これに限られない。表示部40は、表示領域42を一次受付230のオペレータに表示している。
【0058】
表示領域42は、顧客210と一次受付230との会話を吹き出し形式で表示している。但し、会話の表示形式は、本例に限られない。顧客210と一次受付230の応対は音声認識され、時系列でテキストデータ化されるので、テキストのままデータとして保存してもよいし、画面に表示させてもよい。即ち、顧客210と一次受付230との会話を画面に表示しなくてもよい。本例では、状況および原因に相当するテキストデータTDが取得されているものの、対処に相当するテキストデータTDが取得されていない。
【0059】
図9は、カテゴリ毎に抽出された集約文の表示例を示す。本例の要点抽出例は、
図3のステップS110において表示部40が表示する集約文の一例である。表示部40は、表示領域42に加えて、表示領域44でも情報を表示している。
【0060】
表示領域44は、顧客210と一次受付230との会話の集約文を表示している。表示領域44は、表示領域42の隣に表示されている。本例では、状況および原因に相当するテキストデータTDが取得されているものの、対処に相当するテキストデータTDが取得されていない。そのため、集約文の対処の欄が空白となっている。
【0061】
顧客210と一次受付230との会話の集約文は、階層構造データ生成部30により作成されてよい。例えば、階層構造データ生成部30は、登録したキーワードが出現した場合に抽出するルールベースの手法により集約文を作成する。
【0062】
図10は、状況自動検索手順のフローチャートの一例を示す。本例のフローチャートは、
図3のステップS112において、階層構造データ生成部30が類似する内容を自動検索する処理の一例を示す。本例の対応提示装置100は、「状況」のテキストデータTDと類似する内容を、マスタDBに登録した状況のカテゴリから自動検索する。なお、文章の類似度を算出して自動検索する方式は本例に限定されない。また、本フローチャートは会話が終了するまで継続されてよい。
【0063】
ステップS200において、階層構造データ生成部30は、マスタDBに登録した文章を形態素解析する。階層構造データ生成部30は、マスタDBに登録した文章を全て形態素解析してよい。ステップS202において、階層構造データ生成部30は、形態素解析した単語をベクトルデータ化する。
【0064】
ステップS204において、階層構造データ生成部30は、マスタDBの文章のベクトルデータを算出する。階層構造データ生成部30は、マスタDBの文章毎のベクトルデータを算出する。例えば、階層構造データ生成部30は、同一のカテゴリにN個の文章が存在する場合に、N個のベクトルデータを算出する。本例の階層構造データ生成部30は、N個すべての文章をベクトルデータ化するが、一部の文章をベクトルデータ化してもよい。ステップS200~ステップS204により、過去の質問応答記録についてベクトルデータが算出される。
【0065】
ステップS206において、階層構造データ生成部30は、リアルタイムに音声認識したテキストデータTDを、状況、原因、対処にカテゴリ分類する。階層構造データ生成部30は、「状況」に対応するテキストデータTDがある場合、ステップS208に進む。ステップS208において、階層構造データ生成部30は、リアルタイムに音声認識したテキストデータTDの要約文を生成する。例えば、階層構造データ生成部30は、「状況」に対応するテキストデータTDの要約文を生成する。ステップS210において、要約文を集約した集約文を生成する。ステップS212において、階層構造データ生成部30は、集約文の単語をベクトルデータ化する。
【0066】
ステップS214において、階層構造データ生成部30は、状況にカテゴリ分類された文章のベクトルデータを算出する。ステップS216において、階層構造データ生成部30は、ステップS204で算出した文章毎のベクトルデータと、ステップS214で算出したベクトルデータの類似度を算出する。言い換えると、階層構造データ生成部30は、過去の質問応答記録に対応するマスタDBのベクトルデータと、現在の質問応答記録に対応するテキストデータTDのベクトルデータとの類似度を算出する。ステップS218において、類似度の高いマスタDBに登録されている状況の文章を、一次受付230のオペレータに提示する。類似度の高い文章に限らず、マスタDBに登録されている複数の文章を、類似度の高い順に、一次受付230のオペレータに提示してよい。例えば、階層構造データ生成部30は、Doc2Vecを用いて、類似度を算出する。
【0067】
図11は、表示部40による階層構造データHDの表示例を示す。同図は、
図3のステップS112において、表示部40が表示する画面の一例である。本例の表示部40は、検索した結果を一次受付230のオペレータに提示している。
【0068】
表示部40は、階層構造データ生成部30が算出した類似度の高い階層構造データHDの内容を表示する。本例の表示部40は、抽出した要点(例えば、「状況」のカテゴリ内容)と類似する内容を表示領域44で強調して表示している。階層構造データ生成部30は、状況のテキストデータTDの集約文として、「インバータが停止」を取得している。そのため、表示部40は、マスタDBの「状況」のカテゴリの「インバータが停止」を強調表示する。これにより、一次受付230のオペレータは、表示領域44に表示された階層構造データHDから「インバータが停止」と関連する原因および対処を即座に知ることができる。
【0069】
ここで、表示部40は、表示領域44で表示する内容の優先順位の決定方法を、カテゴリ毎に変更してよい。一例において、表示部40は、第1のカテゴリの内容を、類似度の高い順に表示する。そして、表示部40は、第1のカテゴリよりも低次の階層である第2のカテゴリの内容を件数順に並べて表示してよい。例えば、表示部40は、第1のカテゴリが「状況」であり、第2のカテゴリが「原因」である場合、「状況」よりも低次の階層である「原因」のカテゴリの内容を件数順に並べて表示する。即ち、マスタDBに登録された「配線に触れた」の件数が、「長期に渡り利用」よりも多い場合、「配線に触れた」を「長期に渡り利用」よりも優先的に表示する。優先的に表示するとは、表示領域44において、オペレータに、より認識されやすい位置に表示することを指す。
【0070】
ここで、
図10の状況自動検索手順のフローチャートに沿って、表示部40の動作を説明する。ステップS200~ステップS204で過去の質問応答記録についてベクトルデータが記憶された後に音声認識が開始される。表示領域42には、リアルタイムに音声認識したテキストデータTDが表示され、テキストデータTDがカテゴリ分類される(ステップS206)。そして、表示領域44には、「状況」に対応するテキストデータTDがある場合に集約文が表示される(ステップS208)。さらに、表示領域44には、リアルタイムに認識されたテキストデータTDの類似度が算出されて、マスタDBに登録されている状況の文章の集約文が、類似度の高い順に表示される(ステップS210~ステップS218)。
【0071】
図12は、原因自動検索手順のフローチャートの一例を示す。本例のフローチャートは、
図3のステップS114またはステップS116において、階層構造データ生成部30が類似する内容を自動検索する処理の一例を示す。本例の対応提示装置100は、「原因」のテキストデータTDと類似する内容を、マスタDBに登録した原因のカテゴリから自動検索する。本例では、「原因」のカテゴリに分類された文章のベクトルデータを算出している点で、
図10の場合と相違する。なお、文章の類似度を算出して自動検索する方式は本例に限定されない。また、本フローチャートは会話が終了するまで継続されてよい。
【0072】
ステップS300において、階層構造データ生成部30は、マスタDBに登録した文章を形態素解析する。階層構造データ生成部30は、マスタDBに登録した文章を全て形態素解析してよい。ステップS302において、階層構造データ生成部30は、形態素解析した単語をベクトルデータ化する。
【0073】
ステップS304において、階層構造データ生成部30は、マスタDBの文章のベクトルデータを算出する。階層構造データ生成部30は、マスタDBの文章毎のベクトルデータを算出する。例えば、階層構造データ生成部30は、同一のカテゴリにN個の文章が存在する場合に、N個のベクトルデータを算出する。本例の階層構造データ生成部30は、N個すべての文章をベクトルデータ化するが、一部の文章をベクトルデータ化してもよい。ステップS300~ステップS304により、過去の質問応答記録についてベクトルデータが算出される。
【0074】
ステップS306において、階層構造データ生成部30は、リアルタイムに音声認識したテキストデータTDを、状況、原因、対処にカテゴリ分類する。階層構造データ生成部30は、「原因」に対応するテキストデータTDがある場合、ステップS308に進む。ステップS308において、階層構造データ生成部30は、リアルタイムに音声認識したテキストデータTDの要約文を生成する。例えば、階層構造データ生成部30は、「原因」に対応するテキストデータTDの要約文を生成する。ステップS310において、要約文を集約した集約文を生成する。ステップS312において、階層構造データ生成部30は、集約文の単語をベクトルデータ化する。
【0075】
ステップS314において、階層構造データ生成部30は、原因にカテゴリ分類された文章のベクトルデータを算出する。ステップS316において、階層構造データ生成部30は、ステップS304で算出した文章毎のベクトルデータと、ステップS314で算出したベクトルデータの類似度を算出する。言い換えると、階層構造データ生成部30は、過去の質問応答記録に対応するマスタDBのベクトルデータと、現在の質問応答記録に対応するテキストデータTDのベクトルデータとの類似度を算出する。ステップS318において、類似度の高いマスタDBに登録されている原因の文章を、一次受付230のオペレータに提示する。類似度の高い文章に限らず、マスタDBに登録されている複数の集約文を、類似度の高い順に、一次受付230のオペレータに提示してよい。例えば、階層構造データ生成部30は、Doc2Vecを用いて、類似度を算出する。
【0076】
図13は、表示部40による階層構造データHDの表示例を示す。同図は、
図3のステップS114において、表示部40が表示する画面の一例である。本例の表示部40は、検索した結果を一次受付230のオペレータに提示している。
【0077】
表示部40は、抽出した要点(例えば、「原因」のカテゴリ内容)と類似するマスタDBに登録された内容を表示領域44で強調して表示している。テキスト取得部10は、原因のテキストデータTDとして、「配線をさわりました」を取得している。そのため、表示部40は、マスタDBの「原因」のカテゴリから、「配線をさわりました」に類似する「配線に触れた」を強調表示する。これにより、一次受付230のオペレータは、表示領域44に表示された階層構造データHDから「配線に触れた」と関連する対処を即座に知ることができる。
【0078】
ここで、表示部40は、表示領域44で表示する内容の優先順位の決定方法を、カテゴリ毎に変更してよい。一例において、表示部40は、第1のカテゴリの内容を、類似度の高い順に表示する。そして、表示部40は、第1のカテゴリよりも低次の階層である第2のカテゴリの内容を件数順に並べて表示してよい。例えば、表示部40は、第1のカテゴリが「原因」であり、第2のカテゴリが「対処」である場合、「原因」よりも低次の階層である「対処」のカテゴリの内容を件数順に並べて表示する。即ち、マスタDBに登録された「配線が抜けていないか確認」の件数が、「配線を手配して交換」よりも多い場合、「配線が抜けていないか確認」を「配線を手配して交換」よりも優先的に表示する。
【0079】
ここで、
図12の原因自動検索手順のフローチャートに沿って、表示部40の動作を説明する。ステップS300~ステップS304で過去の質問応答記録についてベクトルデータが記憶された後に音声認識が開始される。表示領域42には、リアルタイムに音声認識したテキストデータTDが表示され、テキストデータTDがカテゴリ分類される(ステップS306)。そして、表示領域44には、「原因」に対応するテキストデータTDがある場合に集約文が表示される(ステップS308)。さらに、表示領域44には、リアルタイムに認識されたテキストデータTDの類似度が算出されて、マスタDBに登録されている状況の文章の集約文が、類似度の高い順に表示される(ステップS310~ステップS318)。
【0080】
なお、階層決定部50は、階層の解像度が粗いと判断した場合、カテゴリの数を増やして、階層の解像度を細かくしてもよい。階層の解像度が粗い場合とは、カテゴリの数が少なく、階層が少ない場合である。階層の解像度を細かくすることにより、よりきめ細かな対処を実現できる。
【0081】
一方、階層決定部50は、階層の解像度が細かいと判断した場合、カテゴリの数を増やして、階層の解像度を粗くしてもよい。階層の解像度が細かい場合とは、カテゴリの数が多く、階層が多い場合である。階層の解像度を粗くすることにより、カテゴリを分類しやすくなる。対応提示装置100は、階層の解像度を適切に設定することにより、よりオペレータが扱いやすい階層構造データHDを表示部40に表示することができる。
【0082】
さらに、階層決定部50は、階層の解像度をカテゴリの内容毎に変更してもよい。一例において、階層決定部50は、件数の多いカテゴリに対応する分類の解像度を上げて、件数の少ないカテゴリに対応する分類の解像度を下げる。例えば、自社が対応できる状況の場合には、階層の解像度を上げて、オペレータが「原因」や「対処」を詳細に検討する。一方、自社で対応できない状況の場合には、「原因」や「対処」を詳細に把握する必要がないので、解像度を下げてよい。階層の解像度は、オペレータによって選択されてよい。但し、階層構造データ生成部30は、事前に階層の解像度に応じた階層構造データHDを生成しておく。
【0083】
対応提示装置100は、一次受付230のオペレータに、受付端末に提示されている状況及び原因に対応する対処の内容を確認し、最適な対処方法を顧客に回答させることができる。原因が抽出されていない場合、対応提示装置100は、端末に提示されている原因の内容を確認し、類推しながら顧客210との会話を進めさせることができる。
【0084】
また、対応提示装置100は、経験の浅い一次受付230のオペレータであっても、ある程度専門家やベテランのオペレータと同等の回答を実現することができる。また、対応提示装置100は、FAQのように1対1で対応した情報のみが表示されている場合と比較して、オペレータにとって即座に対応しやすい情報を表示することができる。したがって、一次受付230での受付の品質やスピードが向上する。
【0085】
図14は、対応提示装置100を用いた顧客応答のフローチャートの他の例を示す。ステップS400~ステップS414を実行することにより、音声を誤認識または誤変換した場合であっても、顧客210の要求に適切に応答することができる。なお、本例のフローチャートは、顧客応答のフローチャートの一例であり、顧客応答の方法は本例に限定されない。
【0086】
ステップS400~ステップS408は、
図3のステップS106~ステップS114に対応する。本例では、
図3の動作フローチャートと相違する点について特に説明する。
【0087】
ステップS410において、テキストデータTDに誤認識または誤変換があるか否かを判断する。本例では、誤認識または誤変換があるか否かをオペレータが判断する。誤認識または誤変換の可能性の高いテキストデータTDを強調表示して、オペレータに知らせてもよい。テキストデータTDに誤認識または誤変換がある場合、ステップS412に進む。
【0088】
ステップS412において、一次受付230の担当者の端末でテキストデータTDの誤認識または誤変換を修正する。例えば、誤変換された同音異義語を正しい文言に変換する。テキストデータTDの修正は、まとめて一括で変換してもよいし、個別に即時修正してもよい。そして、ステップS404に戻り、修正されたテキストデータTDに基づいて、カテゴリ毎に要点を抽出する。
【0089】
一方、テキストデータTDに誤認識または誤変換がない場合、ステップS414に進み、一次受付230のオペレータは、端末に提示されている状況および原因に対応する対処の内容を確認して、最適な対処方法を顧客に回答する。このように、本例の対応提示装置100は、テキストデータTDの誤認識または誤変換を修正できるので、より最適な対処方法を顧客に回答することができる。
【0090】
図15Aは、テキスト取得部10によって音声認識したテキストデータTDの一例を示す。本例のテキストデータTDは、
図14のステップS402においてテキスト取得部10が取得するテキストの一例である。
【0091】
テキスト取得部10は、顧客210と一次受付230の応対記録をリアルタイムに音声認識したテキストデータTDを取得している。しかしながら、テキスト取得部10は、「配線をさわりました」と変換すべきところを、「敗戦をさわりました」と誤変換している。
【0092】
表示領域42は、顧客210と一次受付230との会話を吹き出し形式で表示している。さらに、表示領域42は、誤認識または誤変換を修正するための入力欄を有する。本例の表示領域42には、修正ボタン46および一括修正ボタン48が設けられている。修正ボタン46および一括修正ボタン48については、後述する。
【0093】
図15Bは、カテゴリ毎に抽出された集約文の表示例を示す。本例の要点抽出例は、
図14のステップS404において表示部40が表示する集約文の一例である。表示部40は、表示領域42に加えて、表示領域44でも情報を表示している。
【0094】
表示領域44は、顧客210と一次受付230との会話の集約文を表示している。表示領域44は、表示領域42の隣に表示されている。本例では、状況に相当するテキストデータTDが取得されている。誤認識しなければ、
図9で示したように、原因に相当するテキストデータTDとして、「配線に触れた」が入力されるはずであった。しかしながら、「配線」を「敗戦」と変換したために、原因に相当するテキストデータTDが取得されていない。そのため、集約文の原因の欄が空白となっている。
【0095】
図15Cは、表示部40による階層構造データHDの表示例を示す。本例の表示部40は、検索した結果を一次受付230のオペレータに提示している。
【0096】
表示部40は、抽出した要点(例えば、「状況」のカテゴリ内容)と類似するマスタDBに登録された内容を表示領域44で強調して表示している。そして、表示部40は、テキストデータTDの誤変換がなければ、
図13で示したように、「原因」のカテゴリ内容と類似するマスタDBに登録された内容を表示領域44で強調して表示するはずであった。しかしながら、テキスト取得部10が「配線をさわりました」と変換すべきところを、「敗戦をさわりました」と誤変換しているので、「原因」のカテゴリ内容と類似するマスタDBに登録された内容を強調して表示することができない。
【0097】
図15Dは、テキストデータTDの修正方法の一例を示す。同図は、
図14のステップS412において、表示部40が表示する画面の一例である。本例の一次受付230のオペレータは、表示領域42において、誤変換を修正している。
【0098】
修正ボタン46は、テキストデータTDを個別修正するために用いられる。修正ボタン46は、表示領域42のそれぞれの吹き出しに対応して設けられている。個別修正の場合、修正対象となる吹き出しの文言を修正して、吹き出しの隣に配置された修正ボタン46を押すことにより該当する文言が修正される。例えば、「敗戦をさわりました」を「配線をさわりました」に修正して、修正ボタン46を押すことにより、文言が修正される。
【0099】
一括修正ボタン48は、テキストデータTDを一括修正するために用いられる。一括修正ボタン48は、表示領域42に1つ設けられている。一括修正の場合、変換前の文言と変換後の文言を入力して、一括修正ボタン48を押す。例えば、変換前の文言として「敗戦」を入力し、変換後の文言として「配線」を入力して、一括修正ボタン48を押すことにより、表示領域42に表示されたテキストデータTDが修正される。
【0100】
個別修正および一括修正のいずれを選択するかは、オペレータによって判断されてよい。オペレータは、個別修正および一括修正の両方を状況に応じて使い分けてよい。オペレータは、集約文の原因が抽出されていない場合、顧客対応しながら、誤認識または誤変換の可能性を検討し、リアルタイムでテキストデータTDを修正してよい。
【0101】
図15Eは、表示部40による階層構造データHDの表示例を示す。同図は、修正後の
図14のステップS408において、表示部40が表示する画面の一例である。本例の表示部40は、検索した結果を一次受付230のオペレータに提示している。
【0102】
表示部40は、抽出した要点(例えば、「原因」のカテゴリ内容)と類似するマスタDBに登録された内容を表示領域44で強調して表示している。テキスト取得部10は、原因のテキストデータTDとして、修正後の文言である「配線をさわりました」を取得している。そのため、表示部40は、マスタDBの「原因」のカテゴリから、「配線をさわりました」に類似する「配線に触れた」を強調表示する。これにより、一次受付230のオペレータは、表示領域44に表示された階層構造データHDから「配線に触れた」と関連する対処を即座に知ることができる。
【0103】
このように、対応提示装置100は、テキストデータTDの誤認識または誤変換が発生した場合であっても、修正して、より最適な対処方法を顧客に提示することができる。テキストデータTDの修正履歴は、過去の質問応答記録に関連する情報として、記憶部20のマスタDBに記憶されてもよい。これにより、テキスト取得部10は、テキストデータTDの修正履歴に基づいて、誤認識または誤変換の可能性を低減することができる。
【0104】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0105】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0106】
10・・・テキスト取得部、20・・・記憶部、30・・・階層構造データ生成部、40・・・表示部、42・・・表示領域、44・・・表示領域、46・・・修正ボタン、48・・・一括修正ボタン、50・・・階層決定部、100・・・対応提示装置、200・・・対応システム、210・・・顧客、220・・・公衆交換電話網、225・・・構内交換機、230・・・一次受付、232・・・電話機、234・・・受付用端末、240・・・二次受付、242・・・電話機、244・・・受付用端末、250・・・LAN、260・・・サーバー機