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特許7404717プログラム識別方法、およびロボットシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】プログラム識別方法、およびロボットシステム
(51)【国際特許分類】
   B25J 9/22 20060101AFI20231219BHJP
【FI】
B25J9/22 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019160194
(22)【出願日】2019-09-03
(65)【公開番号】P2021037577
(43)【公開日】2021-03-11
【審査請求日】2022-08-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】加賀 康介
(72)【発明者】
【氏名】鶴野 次郎
(72)【発明者】
【氏名】塚原 直紀
【審査官】樋口 幸太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-060669(JP,A)
【文献】特開2016-000436(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0193406(US,A1)
【文献】特開2014-002713(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 9/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットと、前記ロボットを制御する制御装置と、前記制御装置に接続され、前記ロボットの教示作業を行う端末装置と、を備えるロボットシステムにおいて、前記端末装置に記憶されているアプリケーションプログラムが、所定のアプリケーションプログラムであることを識別するプログラム識別方法であって、
前記制御装置には、前記所定のアプリケーションプログラムに対応するプログラム情報である第1情報が記憶されており、
前記制御装置は、
前記端末装置から前記端末装置に記憶されているアプリケーションプログラムのプログラム情報を取得し、
取得した前記プログラム情報と、前記第1情報と、を比較し、
前記端末装置は表示部を有し、
前記制御装置が、前記端末装置に記憶されているアプリケーションプログラムを前記所定のアプリケーションプログラムではないと識別した場合、
前記制御装置は、前記端末装置に記憶されているアプリケーションプログラムで前記教示作業を実施するか否かを教示作業者に選択させる表示画面を前記表示部に表示するプログラム識別方法。
【請求項2】
前記第1情報は、前記所定のアプリケーションプログラムの名称、ID情報、またはバージョン情報を含む
請求項1に記載のプログラム識別方法。
【請求項3】
ネットワークを介した通信を行って、前記第1情報を更新する工程を有する請求項1または2に記載のプログラム識別方法。
【請求項4】
記制御装置は、前記端末装置に記憶されているアプリケーションプログラムが前記所定のアプリケーションプログラムであるか否かを前記表示部に表示する請求項1からのいずれか一項に記載のプログラム識別方法。
【請求項5】
ロボットと、
前記ロボットを制御する制御装置と、
前記制御装置に接続され、前記ロボットの教示作業を行う端末装置と、を備えるロボットシステムであって、
前記制御装置は、
前記端末装置に記憶されているアプリケーションプログラムに対応するプログラム情報を前記端末装置から取得する取得部と、
所定のアプリケーションプログラムに対応するプログラム情報である第1情報を記憶する記憶部と、
前記取得部によって取得された前記プログラム情報と、前記第1情報と、を比較する識別部と、を有し、
前記端末装置は表示部を有し、
前記制御装置が、前記端末装置に記憶されているアプリケーションプログラムを前記所定のアプリケーションプログラムではないと識別した場合、
前記制御装置は、前記端末装置に記憶されているアプリケーションプログラムで前記教示作業を実施するか否かを教示作業者に選択させる表示画面を前記表示部に表示するロボットシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラム識別方法、およびロボットシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示すように、専用のアプリケーションプログラムが記憶された汎用的な端末装置を、ロボットの動作の教示に用いるシステムが知られていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-130803号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のシステムでは、端末装置に記憶された教示用のアプリケーションプログラムが、推奨されているものか否かを識別することができない。推奨されていないアプリケーションプログラムを教示作業に用いる場合は、当該教示作業を十分に行うことができない可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
プログラム識別方法は、ロボットシステムに接続される端末装置に記憶され、前記ロボットシステムが有するロボットの動作の教示作業に用いるアプリケーションプログラムを識別するプログラム識別方法であって、前記端末装置から前記アプリケーションプログラムに対応するプログラム情報を取得する工程と、前記プログラム情報を、前記ロボットシステムに記憶された第1情報と比較することにより、前記アプリケーションプログラムが前記第1情報に対応する第1アプリケーションプログラムであるか否かを識別する工程と、を有する。
【0006】
上記のプログラム識別方法では、前記第1情報は、前記第1アプリケーションプログラムの名称、ID情報、またはバージョン情報を含むことが好ましい。
【0007】
上記のプログラム識別方法では、ネットワークを介した通信を行って、前記第1情報を更新する工程を有することが好ましい。
【0008】
上記のプログラム識別方法では、前記アプリケーションプログラムが前記第1アプリケーションプログラムではないと識別した場合、前記第1アプリケーションプログラムをダウンロードするか否かを教示作業者に選択させる工程を有することが好ましい。
【0009】
上記のプログラム識別方法では、前記アプリケーションプログラムが前記第1アプリケーションプログラムではないと識別した場合、前記アプリケーションプログラムで前記教示作業を実施するか否かを教示作業者に選択させる工程を有することが好ましい。
【0010】
上記のプログラム識別方法では、前記アプリケーションプログラムが前記第1アプリケーションプログラムであるか否かを識別した結果を、前記端末装置が有する表示部に表示する工程を有することが好ましい。
【0011】
上記のプログラム識別方法では、前記アプリケーションプログラムが前記第1アプリケーションプログラムであるか否かを識別した結果を、前記端末装置から出力される音により報知することが好ましい。
【0012】
ロボットシステムは、ロボットを有し、前記ロボットの動作の教示作業に用いるアプリケーションプログラムが記憶された端末装置が接続されるロボットシステムであって、前記端末装置から前記アプリケーションプログラムに対応するプログラム情報を取得する取得部と、第1アプリケーションプログラムに対応する第1情報を記憶する記憶部と、前記プログラム情報を前記第1情報と比較することにより、前記アプリケーションプログラムが前記第1アプリケーションプログラムであるか否かを識別する識別部と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態1に係るロボットシステムと端末装置の構成の一例を示す概略構成図。
図2】ロボットシステムと端末装置の機能構成の一例を示すブロック図。
図3】保持装置の一例を示す概略構成図。
図4】実施形態1に係るプログラム識別方法を示すフローチャート。
図5】実施形態1に係る表示部が表示する表示画面の一例を示す図。
図6】実施形態1に係る表示部が表示する表示画面の一例を示す図。
図7】実施形態1に係る表示部が表示する表示画面の一例を示す図。
図8】実施形態2に係るプログラム識別方法を示すフローチャート。
図9】変形例に係る表示部が表示する表示画面の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
1.実施形態1
図1は、実施形態1に係るロボットシステム1と端末装置5の構成の一例を示す概略構成図であり、図2は、ロボットシステム1と端末装置5の機能構成の一例を示すブロック図である。まず、実施形態1に係るロボットシステム1の概略構成について説明する。
【0015】
ロボットシステム1は、ロボット2、制御装置3、および保持装置4を備える。ロボットシステム1には、制御装置3にロボット2の動作を教示する際に端末装置5が接続される。端末装置5は、保持装置4に保持されるとともに保持装置4に電気的に接続される。
【0016】
端末装置5は、タブレット型PCやスマートフォン等の端末機器であり、実施形態1では、タブレット型PCである。端末装置5は、端末装置5の動作を制御する制御部51と、記憶部52と、タッチパネル53とを有する。記憶部52には、端末装置5の基本動作を制御するための基本プログラムや、基本プログラム上で動作する様々なアプリケーションプログラムが記憶されている。記憶部52に記憶されているアプリケーションプログラムには、制御装置3に対してロボット2の動作を教示するためのアプリケーションプログラムが含まれる。タッチパネル53は、教示作業者に対して情報を表示する表示部531と、表示部531への接触による入力操作を受け付ける入力受付部532とを有する。なお、図面上では、「アプリケーションプログラム」のことを、単に「プログラム」と表記する場合もある。この場合、「第1アプリケーションプログラム」は、「第1プログラム」と表記される。
【0017】
ロボット2は、例えば、6個の回転関節を備えたアーム21を有する垂直多関節ロボットである。アーム21には、アーム21を駆動する不図示の駆動部が備えられている。ロボット2は、人と共存、協調して作業を行うことができる人共存型ロボットである。このため、ロボット2は、ロボット2と干渉する可能性がある範囲への人の立ち入りが禁止されていない環境においても、作業を行うことができる。なお、ロボット2は、人共存型の6軸ロボットに限定されない。ロボット2は、7個以上の回転関節を備えたアームを有してよく、5個以下の回転関節を備えたアームを有してもよい。また、ロボット2のアームの数は、1つに限定されず、2つのアームを有する双腕ロボットでもよい。また、ロボット2は、人共存型のロボットでなくてもよい。また、ロボット2は、垂直多関節ロボットに限定されず、水平多関節ロボット、直交座標ロボット、円筒型ロボット等の他のロボットであってもよい。直交座標ロボットは、例えば、ガントリロボットである。
【0018】
制御装置3は、制御部31、記憶部32、および通信部33を有する。制御装置3は、図1に示すように、ロボット2とは別体として、ロボット2の外部に配置されている。なお、制御装置3は、ロボット2と一体として、ロボット2の内部に配置されていてもよい。
制御部31は、不図示のCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサーを含んで構成されている。プロセッサーが記憶部32に記憶されている制御プログラムに従って動作することにより、ロボット制御部311、端末装置制御部312、取得部313、識別部314、および報知制御部315の各種機能部が実現される。
【0019】
記憶部32は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、ROM(Read-Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等から構成されている。記憶部32には、上述した制御プログラムの他に、各種データが記憶されている。本実施形態の記憶部32には、教示データ記憶部321およびプログラム情報記憶部322が含まれる。なお、記憶部32は、ロボットシステム1に内蔵されるものに代えて、USB等のデジタル入出力ポート等に接続された外付け型の記憶装置であってもよい。この場合、当該外付け型の記憶装置は、ロボットシステム1を提供するサプライヤー等から提供される。
【0020】
教示データ記憶部321には、教示作業者によって教示された教示データが記憶されている。教示データは、ロボット2の動作を規定するデータであり、教示作業者が端末装置5の入力受付部532を用いて指定した動作の情報が、教示データとして制御装置3に送られて教示データ記憶部321に記憶される。
【0021】
プログラム情報記憶部322には、端末装置5で使用可能な様々な教示用のアプリケーションプログラムのうち、ロボットシステム1に好適なアプリケーションプログラムである第1アプリケーションプログラムのプログラム情報が記憶されている。プログラム情報は、アプリケーションプログラムを表す情報であり、具体的には、アプリケーションプログラムの名称、ID情報、またはバージョン情報等である。これ以降、第1アプリケーションプログラムのプログラム情報は、「第1情報」とも表記される。第1アプリケーションプログラムは、例えば、ロボットシステム1を提供するサプライヤー等が推奨するアプリケーションプログラムである。
【0022】
ロボット制御部311は、教示データ記憶部321に記憶された教示データに従って、ロボット2の動作を制御する。
【0023】
端末装置制御部312は、端末装置5の制御部51に対して信号を出力し、端末装置5の動作を制御する。例えば、端末装置制御部312は、端末装置5にアプリケーションプログラムをダウンロードさせたり、アプリケーションプログラムの実行や終了を行わせたりすることができる。
【0024】
取得部313は、端末装置5から、記憶部52に記憶されている教示用のアプリケーションプログラムのプログラム情報を取得する。
【0025】
識別部314は、取得部313が取得したプログラム情報と、プログラム情報記憶部322に記憶されている第1情報とを比較することで、端末装置5に記憶されている教示用のアプリケーションプログラムが、第1情報に対応する第1アプリケーションプログラムであるか否かを識別する。
【0026】
報知制御部315は、端末装置5の制御部51に対して信号を出力し、端末装置5から教示作業者に対して報知内容を報知させる。本実施形態における報知制御部315は、制御部51に対して表示画面に関する信号を出力し、表示部531に表示させる。以降では、このことを単に「報知制御部315は表示部531に表示させる」と記載する。
【0027】
通信部33は、インターネット等のネットワーク331に接続され、ネットワーク331を介して不図示のサーバー等との間で通信を行う。通信部33は、通信用ASICや通信用プロセッサーなどのハードウェアや、通信用ファームウェアなどにより実現できる。例えば、通信部33は、物理層やデータリンク層の処理として、イーサネット(登録商標)の仕様に従った通信の処理を行う。また、ネットワーク層やトランスポート層の処理として、TCP/IPの仕様に従った通信の処理を行う。
【0028】
通信部33によりロボットシステム1がネットワーク331に接続された際、制御部31は、通信部33にサーバーとの通信を行わせ、サーバーから第1情報に関する最新の情報を取得する。それを基に、制御部31は、プログラム情報記憶部322に記憶されている第1情報が最新の情報であるか否かを判断し、最新ではない場合には、プログラム情報記憶部322に記憶されている第1情報を最新の情報に更新する。
【0029】
図3は、保持装置4の一例を示す概略構成図である。保持装置4は、第1部材41および第2部材42を有する。第1部材41には、ロボット2の動作を停止させる停止スイッチ411が設けられている。端末装置5は、第1部材41に備わる第1保持部412と第2部材42に備わる第2保持部421との間に挟まれるようにして、保持装置4に保持される。第2部材42は、第1保持部412と第2保持部421との距離が可変となるよう、第1部材41に対して相対的に移動する。そのため、保持装置4は、様々なサイズや形状の端末装置5を保持することができる。なお、教示作業者がロボット2に対して直接外力等を与えるダイレクトティーチングを行う場合、保持装置4は、所定の範囲内の力で押下しているときのみ、ロボット2が動作することを可能とするイネーブルスイッチを備えてもよい。
【0030】
図1および図2に示すように、保持装置4と端末装置5とは、USBケーブルやLANケーブル等の接続配線61を介して接続される。また、保持装置4は、第1配線62および第2配線63を介して制御装置3に接続されている。
【0031】
第1配線62は、作業者によって停止スイッチ411が操作された場合に、ロボット2を停止させる停止信号を保持装置4から制御装置3に送信するための送信経路として用いられる。保持装置4と制御装置3が第1配線62を用いて有線接続されているため、無線接続の場合と比較して、停止スイッチ411によりロボット2の動作の停止を実行する際の確実性が高い。第2配線63は、保持装置4を介して接続配線61に接続されており、端末装置5と制御装置3との相互通信のために用いられる。第1配線62による信号の送信経路と、第2配線63による信号の送信経路は、互いに異なる系統である。このため、端末装置5と保持装置4が接続されているか否かに関わらず、保持装置4の停止スイッチ411を用いて、ロボット2に対する停止の指示を実行できる。
【0032】
保持装置4から制御装置3に当該停止信号が送信された際に、制御装置3の報知制御部315が、停止信号が送信されたことを示す情報を端末装置5に送信し、その旨を表示部531に表示させてもよい。これによれば、保持装置4から制御装置3に適切に停止信号が送信されたことを、教示作業者が確認することができる。
【0033】
次に、図4に示すフローチャートに沿って、ロボットシステム1により実行される工程を説明する。
図4は、実施形態1におけるプログラム識別方法を示すフローチャートであり、制御装置3の動作を示している。また、図5図7は、端末装置5の表示部531が表示する表示画面を示す図である。なお、図4の各工程は、すべての工程が必須ではなく、任意のステップを実行することなく、当該任意のステップ以降のステップを実行する場合があってもよい。
【0034】
制御部31は、教示作業者により端末装置5に記憶された教示用のアプリケーションプログラムが実行されたこと、いわゆる、教示用のアプリケーションプログラムが起動されたことを検出すると、図4に示すフローに従って動作を開始する。
【0035】
まず、取得部313は、起動されたアプリケーションプログラムのプログラム情報を端末装置5から取得する(ステップS101)。
【0036】
ステップS101の後、識別部314は、プログラム情報と、プログラム情報記憶部322に記憶されている第1情報とを比較し、これらが一致するか否かを識別する(ステップS102)。
【0037】
プログラム情報と第1情報とが一致した場合(ステップS102:Yes)、報知制御部315は、起動されたアプリケーションプログラム、即ち端末装置5に記憶されたアプリケーションプログラムが、サプライヤー等によって推奨されている第1アプリケーションプログラムであることを報知する(ステップS103)。具体的に、報知制御部315は、図5に示すように、教示作業者が起動したアプリケーションプログラムが、サプライヤー等によって推奨されている第1アプリケーションプログラムであることを表示部531に表示させる。その後、制御部31は、フローを終了する。
【0038】
プログラム情報と第1情報とが一致しなかった場合(ステップS102:No)、報知制御部315は、端末装置5に記憶されたアプリケーションプログラムが、第1アプリケーションプログラムではないことを報知する(ステップS104)。具体的に、報知制御部315は、図6に示すように、教示作業者が起動したアプリケーションプログラムが、サプライヤー等によって推奨されていないことを表示部531に表示させる。
【0039】
ステップS104の後、報知制御部315は、第1アプリケーションプログラムとは異なるアプリケーションプログラムで教示作業を行うか否かを教示作業者に選択させる表示画面を、表示部531に表示させ(ステップS105)、教示作業者による入力を入力受付部532で受け付ける。
【0040】
教示作業者により、第1アプリケーションプログラムと異なるアプリケーションプログラムで教示作業を行う選択がなされた場合(ステップS105:Yes)、制御部31は、フローを終了する。
【0041】
教示作業者により、第1アプリケーションプログラムと異なるアプリケーションプログラムで教示作業を行わない選択がなされた場合(ステップS105:No)、報知制御部315は、第1アプリケーションプログラムを端末装置5にダウンロードするか否かを教示作業者に選択させる表示画面を、図7に示すように表示部531に表示させる(ステップS106)。報知制御部315は、教示作業者による選択操作を入力受付部532で受け付ける。
【0042】
教示作業者によりダウンロードを行う選択がなされた場合(ステップS106:Yes)、端末装置制御部312は、端末装置5の制御部51に対して信号を出力して、起動中のアプリケーションプログラムを終了させ、第1アプリケーションプログラムをダウンロードさせる(ステップS107)。そして、ダウンロードが完了すると、端末装置制御部312は、ダウンロードされた第1アプリケーションプログラムを端末装置5に起動させる。その後、制御部31は、フローを終了する。
【0043】
教示作業者によりダウンロードを行わない選択がなされた場合(ステップS106:No)、制御部31は、推奨されていないアプリケーションプログラムが起動した状態のままでフローを終了する。
【0044】
本実施形態によれば、識別部314により、端末装置5に記憶されているアプリケーションプログラムが、サプライヤー等によって推奨されている第1アプリケーションプログラムであるか否かを識別することができる。このため、推奨されていないアプリケーションプログラムを教示作業に用いることによって、教示作業を十分に実施することができない可能性を低減することができる。
【0045】
本実施形態によれば、第1情報が、第1アプリケーションプログラムの名称、ID情報、またはバージョン情報であることから、アプリケーションプログラムの名称、ID情報、またはバージョン情報を参照して、アプリケーションプログラムを容易に識別することができる。
【0046】
本実施形態によれば、端末装置5に記憶されているアプリケーションプログラムが第1アプリケーションプログラムではないと識別した場合、第1アプリケーションプログラムをダウンロードするか否かを教示作業者に選択させるため、教示作業者が第1アプリケーションプログラムをネットワーク331から探す時間を削減することができる。
【0047】
本実施形態によれば、アプリケーションプログラムが第1アプリケーションプログラムではないと識別した場合、アプリケーションプログラムで教示作業を実施するか否かを教示作業者に選択させるため、教示作業者は、使用するアプリケーションプログラムが、推奨されている第1アプリケーションプログラムではないことを認識したうえで、教示作業を行うことができる。
【0048】
本実施形態によれば、端末装置5に記憶されているアプリケーションプログラムが第1アプリケーションプログラムであるか否かを識別した結果を、端末装置5が有する表示部531に表示するため、教示作業者は、識別結果を視覚的に認識することができる。
【0049】
2.実施形態2
本実施形態では、推奨されている教示用のアプリケーションプログラムに、第1アプリケーションプログラムと第2アプリケーションプログラムの2つが含まれる点において、実施形態1のロボットシステム1と異なる。以下では、実施形態1と同様の構成については、同様の符号を付し、説明を省略する。
【0050】
実施形態2におけるプログラム情報記憶部322には、第1情報と第2情報が記憶されている。第1情報は、第1アプリケーションプログラムのプログラム情報であり、第2情報は、第2アプリケーションプログラムのプログラム情報である。第1アプリケーションプログラムと第2アプリケーションプログラムは、互いに異なるアプリケーションプログラムであるが、いずれも制御装置3に対してロボット2の動作を教示するためのアプリケーションプログラムであり、サプライヤー等によって推奨されているアプリケーションプログラムである。ここで言う第1アプリケーションプログラムと第2アプリケーションプログラムの差異は、例えば、アプリケーションプログラムを用いて教示を行う際の操作の難易度である。つまり、一方のアプリケーションプログラムは上級者用であり、他方のアプリケーションプログラムは初級者用である。この場合、教示作業者は、以下の工程により、自身のレベルに合わせてアプリケーションプログラムを選択することが可能となる。
【0051】
図8は、実施形態2におけるプログラム識別方法を示すフローチャートであり、制御装置3の動作を示している。制御部31は、実施形態1と同様、教示作業者により端末装置5に記憶された教示用のアプリケーションプログラムが起動されたことを検出すると、図8に示すフローに従って動作を開始する。
【0052】
ステップS201では、ステップS101と同様、取得部313が、起動されたアプリケーションプログラムのプログラム情報を端末装置5から取得する。また、ステップS202では、ステップS102と同様、識別部314が、取得したプログラム情報と、プログラム情報記憶部322に記憶されている第1情報とが一致するか否かを識別する。
【0053】
プログラム情報と第1情報とが一致した場合(ステップS202:Yes)、報知制御部315は、端末装置5に記憶されたアプリケーションプログラムが、サプライヤー等によって推奨されている第1アプリケーションプログラムであることを報知する(ステップS203)。
【0054】
ステップS203の後、報知制御部315は、第1アプリケーションプログラムとは難易度が異なる第2アプリケーションプログラムも使用可能であることを報知する不図示の表示画面を表示部531に表示させ、この表示画面内で、第2アプリケーションプログラムを端末装置5にダウンロードするか否かを教示作業者に選択させる(ステップS204)。報知制御部315は、教示作業者による選択操作を入力受付部532で受け付ける。
【0055】
教示作業者によりダウンロードを行う選択がなされた場合(ステップS204:Yes)、端末装置制御部312は、制御部51に対して信号を出力して、起動中の第1アプリケーションプログラムを終了させ、第2アプリケーションプログラムをダウンロードさせる(ステップS205)。そして、ダウンロードが完了すると、端末装置制御部312は、ダウンロードされた第2アプリケーションプログラムを端末装置5に起動させる。その後、制御部31は、フローを終了する。
【0056】
教示作業者によりダウンロードを行わない選択がなされた場合(ステップS204:No)、制御部31は、第1アプリケーションプログラムが起動した状態のままでフローを終了する。
【0057】
プログラム情報と第1情報とが一致しなかった場合(ステップS202:No)、識別部314は、プログラム情報と第2情報とが一致するか否かを識別する(ステップS206)。
【0058】
プログラム情報と第2情報とが一致した場合(ステップS206:Yes)、報知制御部315は、端末装置5に記憶されたアプリケーションプログラムが、サプライヤー等によって推奨されている第2アプリケーションプログラムであることを報知する(ステップS207)。
【0059】
ステップS207の後、報知制御部315は、第2アプリケーションプログラムとは難易度が異なる第1アプリケーションプログラムも使用可能であることを報知する不図示の表示画面を表示部531に表示させ、この表示画面内で、第1アプリケーションプログラムを端末装置5にダウンロードするか否かを教示作業者に選択させる(ステップS208)。報知制御部315は、教示作業者による選択操作を入力受付部532で受け付ける。
【0060】
教示作業者によりダウンロードを行う選択がなされた場合(ステップS208:Yes)、端末装置制御部312は、制御部51に対して信号を出力して、起動中の第2アプリケーションプログラムを終了させ、第1アプリケーションプログラムをダウンロードさせる(ステップS209)。そして、ダウンロードが完了すると、端末装置制御部312は、ダウンロードされた第1アプリケーションプログラムを端末装置5に起動させる。その後、制御部31は、フローを終了する。
【0061】
教示作業者によりダウンロードを行わない選択がなされた場合(ステップS208:No)、第2アプリケーションプログラムが起動した状態のままでフローを終了する。
【0062】
プログラム情報と第2情報とが一致しなかった場合(ステップS206:No)、報知制御部315は、起動されたアプリケーションプログラムが、サプライヤー等によって推奨されているアプリケーションプログラムではないことを報知する不図示の表示画面を表示部531に表示させ、この表示画面内で第1アプリケーションプログラムを端末装置5にダウンロードするか否かを教示作業者に選択させる(ステップS210)。報知制御部315は、教示作業者による選択操作を入力受付部532で受け付ける。
【0063】
教示作業者により第1アプリケーションプログラムのダウンロードを行う選択がなされた場合(ステップS210:Yes)、端末装置制御部312は、制御部51に対して信号を出力して、起動中のアプリケーションプログラムを終了させ、第1アプリケーションプログラムをダウンロードさせる(ステップS211)。そして、ダウンロードが完了すると、端末装置制御部312は、ダウンロードされた第1アプリケーションプログラムを端末装置5に起動させる。その後、制御部31は、フローを終了する。
【0064】
教示作業者により第1アプリケーションプログラムのダウンロードを行わない選択がなされた場合(ステップS210:No)、報知制御部315は、端末装置5に第2アプリケーションプログラムをダウンロードするか否かを教示作業者に選択させる不図示の表示画面を、表示部531に表示させる(ステップS212)。報知制御部315は、教示作業者による選択操作を入力受付部532で受け付ける。
【0065】
教示作業者により第2アプリケーションプログラムのダウンロードを行う選択がなされた場合(ステップS212:Yes)、端末装置制御部312は、制御部51に対して信号を出力して、起動中のアプリケーションプログラムを終了させ、第2アプリケーションプログラムをダウンロードさせる(ステップS213)。そして、ダウンロードが完了すると、端末装置制御部312は、ダウンロードされた第2アプリケーションプログラムを端末装置5に起動させる。その後、制御部31は、フローを終了する。
【0066】
教示作業者により第2アプリケーションプログラムのダウンロードを行わない選択がなされた場合(ステップS212:No)、制御部31は、推奨されていないアプリケーションプログラムが起動した状態のままでフローを終了する。
【0067】
本実施形態によれば、識別部314により、端末装置5に記憶されているアプリケーションプログラムが、第1アプリケーションプログラムまたは第2アプリケーションプログラムであるか否かを識別することができる。また、教示作業者は、サプライヤー等によって推奨されている複数のアプリケーションプログラムの中から、所望のアプリケーションプログラムを適宜選択することができる。
【0068】
3.変形例1
実施形態1、2において、図4および図8に示した動作を、制御装置3の制御部31が実行する形態を示したが、この形態に限定されない。例えば、ロボット2が制御部を備える場合には、ロボット2が上記の動作を行ってもよいし、保持装置4が制御部を備える場合には、保持装置4が上記の動作を行ってもよい。また、第1情報等を記憶する記憶部32についても、制御装置3以外の構成要素に備わっていてもよく、上記の動作を行う制御部とは異なる構成要素に配置されていてもよい。この形態によれば、ロボットシステム1において、各構成の配置を自由に定めることができる。
【0069】
4.変形例2
実施形態1、2において、教示作業者への報知は、端末装置5の表示部531への表示によって行われていたが、ロボットシステム1に表示部を追加して、この表示部で教示作業者への報知を行うようにしてもよい。この形態によれば、ロボットシステム1を用いて、教示作業者に対して視覚的に報知することができる。
【0070】
5.変形例3
実施形態1、2において、教示作業者に対して表示部531により報知する形態を説明したが、報知の形態はこれに限定されない。ロボットシステム1または端末装置5が発光部を備え、発光パターンごとに報知内容を定めておけば、教示作業者に対して光の発光により報知することが可能となる。また、ロボットシステム1または端末装置5が音声出力部を備える場合や、振動部を備える場合には、音声や振動によって報知を行う形態であってもよい。また、複数の手段を用いて同時に報知する形態であってもよい。
【0071】
6.変形例4
実施形態1、2において、取得部313は、アプリケーションプログラムの起動が検出された場合にプログラム情報を取得しているが、取得部313は、端末装置5が接続配線61を介して保持装置4に接続されたことが検出された場合にプログラム情報を取得してもよい。また、取得部313は、端末装置5の入力受付部532において、端末装置5とロボットシステム1を通信可能にする操作を受け付けたことが検出された場合にプログラム情報を取得してもよい。これらの形態によれば、取得部313がプログラム情報を取得するタイミングを、適当に定めることができる。
【0072】
7.変形例5
実施形態2において、上述した第1アプリケーションプログラムと第2アプリケーションプログラムとの差異が、アプリケーションプログラムが作成された時期であってもよい。この形態によれば、作成時期が古いアプリケーションプログラムが端末装置5に記憶されている場合に、教示作業者に対して、新しいアプリケーションプログラムが存在することを報知して、このアプリケーションプログラムの使用を促すことができる。
【0073】
8.変形例6
実施形態2において、端末装置5に第1アプリケーションプログラムと第2アプリケーションプログラムのいずれも記憶されていない場合、ステップS210とステップS212の工程を同時に行ってもよい。すなわち、図9のように、第1アプリケーションプログラムと第2アプリケーションプログラムのいずれかを選択させる表示画面を表示部531に表示させ、教示作業者に選択させる工程であってもよい。この形態によれば、ステップS210以降の工程における教示作業者の処理を低減させることができる。
【0074】
以下に、実施形態から導き出される内容を記載する。
【0075】
プログラム識別方法は、ロボットシステムに接続される端末装置に記憶され、前記ロボットシステムが有するロボットの動作の教示作業に用いるアプリケーションプログラムを識別するプログラム識別方法であって、前記端末装置から前記アプリケーションプログラムに対応するプログラム情報を取得する工程と、前記プログラム情報を、前記ロボットシステムに記憶された第1情報と比較することにより、前記アプリケーションプログラムが前記第1情報に対応する第1アプリケーションプログラムであるか否かを識別する工程と、を有する。
【0076】
この構成によれば、端末装置に記憶されているアプリケーションプログラムが、第1アプリケーションプログラムであるか否かを識別することができる。これにより、例えば、ロボットを提供するサプライヤー等により推奨されていないアプリケーションプログラムを教示作業に用いることによって、教示作業を十分に実施することができない可能性を低減することができる。
【0077】
上記のプログラム識別方法では、前記第1情報は、前記第1アプリケーションプログラムの名称、ID情報、またはバージョン情報を含むことが好ましい。
【0078】
この構成によれば、アプリケーションプログラムの名称、ID情報、またはバージョン情報を参照して、アプリケーションプログラムを容易に識別することができる。
【0079】
上記のプログラム識別方法では、ネットワークを介した通信を行って、前記第1情報を更新する工程を有することが好ましい。
【0080】
この構成によれば、第1アプリケーションプログラムが変更されたとしても、ロボットシステムに記憶された第1情報を最新の情報に更新することができる。
【0081】
上記のプログラム識別方法では、前記アプリケーションプログラムが前記第1アプリケーションプログラムではないと識別した場合、前記第1アプリケーションプログラムをダウンロードするか否かを教示作業者に選択させる工程を有することが好ましい。
【0082】
この構成によれば、教示作業者が第1アプリケーションプログラムをネットワークから探す時間を削減することができる。
【0083】
上記のプログラム識別方法では、前記アプリケーションプログラムが前記第1アプリケーションプログラムではないと識別した場合、前記アプリケーションプログラムで前記教示作業を実施するか否かを教示作業者に選択させる工程を有することが好ましい。
【0084】
この構成によれば、教示作業者が、第1アプリケーションプログラムではないことを認識したうえで、当該アプリケーションプログラムを用いて教示作業を行うことができる。
【0085】
上記のプログラム識別方法では、前記アプリケーションプログラムが前記第1アプリケーションプログラムであるか否かを識別した結果を、前記端末装置が有する表示部に表示する工程を有することが好ましい。
【0086】
この構成によれば、プログラムの識別結果を、教示作業者が視覚的に認識することができる。
【0087】
上記のプログラム識別方法では、前記アプリケーションプログラムが前記第1アプリケーションプログラムであるか否かを識別した結果を、前記端末装置から出力される音により報知してもよい。
【0088】
この構成によれば、プログラムの識別結果を、教示作業者が聴覚的に認識することができる。
【0089】
ロボットシステムは、ロボットを有し、前記ロボットの動作の教示作業に用いるアプリケーションプログラムが記憶された端末装置が接続されるロボットシステムであって、前記端末装置から前記アプリケーションプログラムに対応するプログラム情報を取得する取得部と、第1アプリケーションプログラムに対応する第1情報を記憶する記憶部と、前記プログラム情報を前記第1情報と比較することにより、前記アプリケーションプログラムが前記第1アプリケーションプログラムであるか否かを識別する識別部と、を有する。
【0090】
この構成によれば、端末装置に記憶されているアプリケーションプログラムが、第1アプリケーションプログラムであるか否かを識別することができる。これにより、推奨されていないアプリケーションプログラムを教示作業に用いることによって、教示作業を十分に実施することができない可能性を低減させることができる。
【符号の説明】
【0091】
1…ロボットシステム、2…ロボット、21…アーム、3…制御装置、31…制御部、311…ロボット制御部、312…端末装置制御部、313…取得部、314…識別部、315…報知制御部、32…記憶部、321…教示データ記憶部、322…プログラム情報記憶部、33…通信部、331…ネットワーク、4…保持装置、41…第1部材、411…停止スイッチ、412…第1保持部、42…第2部材、421…第2保持部、5…端末装置、51…制御部、52…記憶部、53…タッチパネル、531…表示部、532…入力受付部、61…接続配線、62…第1配線、63…第2配線。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9