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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】搬送装置、及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 5/06 20060101AFI20231219BHJP
   B65H 9/14 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
B65H5/06 H
B65H5/06 F
B65H9/14
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019161454
(22)【出願日】2019-09-04
(65)【公開番号】P2021038077
(43)【公開日】2021-03-11
【審査請求日】2022-08-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 深也
(72)【発明者】
【氏名】瀬倉 友樹
(72)【発明者】
【氏名】宮内 理和子
(72)【発明者】
【氏名】玉井 宏幸
(72)【発明者】
【氏名】渡部 聡
(72)【発明者】
【氏名】後藤 駿
(72)【発明者】
【氏名】志村 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】皆川 雅人
(72)【発明者】
【氏名】村上 恵
(72)【発明者】
【氏名】蔦田 公敦
(72)【発明者】
【氏名】井上 英治
【審査官】山本 健晴
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-061957(JP,A)
【文献】特開2003-118890(JP,A)
【文献】特開平08-225196(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 5/06
B65H 9/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一搬送ロールと、
前記第一搬送ロールに対する搬送方向上流側の直近に配置され、被搬送材が前記第一搬送ロールに突き当たるように該被搬送材を搬送することで該被搬送材にたるみを形成し該被搬送材から受ける力によって軸方向に移動可能な第二搬送ロールと、
前記第二搬送ロールに対する搬送方向上流側に配置され、前記被搬送材を挟んで搬送し、該被搬送材の搬送方向の長さが予め定められた閾値以上である場合に互いに離間する一対の第三搬送ロールと、
を備え、
前記第三搬送ロールは、
前記被搬送材の搬送方向の長さが予め定められた閾値以上である場合に、前記被搬送材の前端が前記第二搬送ロールを通過した後であって、前記第一搬送ロールが前記被搬送材の搬送を開始する前に離間する
搬送装置。
【請求項2】
前記予め定められた閾値は、前記第一搬送ロールから前記第三搬送ロールまでの経路長である
請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記第三搬送ロールは、
前記長さが前記予め定められた閾値未満である場合に、前記被搬送材を挟む挟み位置に位置した状態を維持する
請求項1又は2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記第三搬送ロールは、
前記被搬送材の搬送方向の長さが予め定められた閾値以上である場合に、
前記被搬送材の前端が前記第二搬送ロールを通過した後であって、前記被搬送材に前記たるみが形成開始される前に離間する
請求項1~3のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記第一搬送ロールと前記第二搬送ロールとの間に配置され、前記被搬送材の前端を検知する検知部と、
前記第三搬送ロールは、
前記被搬送材の搬送方向の長さが予め定められた閾値以上である場合に、
前記検知部が前記被搬送材の前端を検知した後であって、前記被搬送材に前記たるみが形成開始される前に離間する
請求項4に記載の搬送装置。
【請求項6】
前記第三搬送ロールは、
前記被搬送材の搬送方向の長さが予め定められた閾値以上である場合に、離間し、
前記被搬送材に前記たるみが形成完了した後に、前記被搬送材を挟む挟み位置に復帰する
請求項1~5のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項7】
前記第三搬送ロールは、
前記被搬送材の搬送方向の長さが予め定められた閾値以上である場合に、離間し、
前記第一搬送ロールが前記被搬送材の搬送を開始する前に、前記挟み位置に復帰する
請求項6に記載の搬送装置。
【請求項8】
前記被搬送材としての記録媒体を搬送する請求項1~7のいずれか1項に記載の搬送装置と、
前記搬送装置で搬送された記録媒体に画像を形成する画像形成部と、
を備える画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置、及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、給紙トレイから送られてきた用紙をプレレジストロール対を介してレジストロール対に突入させ、プレレジストロール対で余分に送ることで前記用紙にループを形成してスキュー補正を行う用紙搬送装置において、前記スキュー補正を行う際に前記用紙からプレレジストロール対に加わるねじれ応力を解放するため前記プレレジストロール対を中立位置からスラスト方向へ移動させる移動手段と、前記移動手段によって前記中立位置からスラスト方向へ移動したプレレジストロール対を、前記用紙が前記プレレジストロール対を通過した後に中立位置に戻す中立復帰手段と、前記中立復帰手段による中立位置の復帰を行う際に前記プレレジストロール対の回転速度を、前記プレレジストロール対で前記用紙を搬送する際の最も速い回転速度以上にする回転制御手段と、を備えることを特徴とする用紙搬送装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-43048号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、搬送装置としては、第一搬送ロール(例えばレジストロール)に対する搬送方向上流側に配置された第二搬送ロールが、被搬送材が第一搬送ロールに突き当たるように該被搬送材を搬送することで該被搬送材にたるみを形成し、被搬送材のスキューを補正する構成が考えられる。当該構成において、さらに、たるみが形成された被搬送材から受ける力によって、第二搬送ロールが軸方向に移動することで、被搬送材の姿勢を補正する構成が考えられる。
【0005】
当該構成では、第二搬送ロールに対する搬送方向上流側に配置された第三搬送ロールが被搬送材を挟んでいると、被搬送材が拘束されるため、第二搬送ロールが軸方向に移動しにくく、被搬送材の姿勢の不良が生じる場合がある。なお、被搬送材のスキューとは、被搬送材の搬送方向に対して被搬送材が斜めに傾斜した姿勢で搬送される状態をいう。
【0006】
本発明は、第三搬送ロールが常に被搬送材を挟んで搬送する構成に比べ、被搬送材の姿勢の不良を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1態様は、第一搬送ロールと、前記第一搬送ロールに対する搬送方向上流側の直近に配置され、前記被搬送材が前記第一搬送ロールに突き当たるように該被搬送材を搬送することで該被搬送材にたるみを形成し該被搬送材から受ける力によって軸方向に移動可能な第二搬送ロールと、前記第二搬送ロールに対する搬送方向上流側に配置され、前記被搬送材を挟んで搬送し、該被搬送材の搬送方向の長さが予め定められた閾値以上である場合に互いに離間する一対の第三搬送ロールと、を備える搬送装置である。
【0008】
第2態様は、前記予め定められた閾値は、前記第一搬送ロールから前記第三搬送ロールまでの経路長である第1態様に係る搬送装置である。
【0009】
第3態様は、前記第三搬送ロールは、前記長さが前記予め定められた閾値未満である場合に、前記被搬送材を挟む挟み位置に位置した状態を維持する第1態様又は第2態様に係る搬送装置である。
【0010】
第4態様は、前記第三搬送ロールは、前記被搬送材の前端が前記第二搬送ロールを通過した後であって、前記第一搬送ロールが前記被搬送材の搬送を開始する前に離間する第1態様~第3態様のいずれか1つの態様に係る搬送装置である。
【0011】
第5態様は、前記第三搬送ロールは、前記被搬送材の前端が前記第二搬送ロールを通過した後であって、前記被搬送材に前記たるみが形成開始される前に離間する第4態様に係る搬送装置である。
【0012】
第6態様は、前記第一搬送ロールと前記第二搬送ロールとの間に配置され、前記被搬送材の前端を検知する検知部と、前記第三搬送ロールは、前記検知部が前記被搬送材の前端を検知した後であって、前記被搬送材に前記たるみが形成開始される前に離間する第5態様に係る搬送装置である。
【0013】
第7態様は、離間した前記第三搬送ロールは、前記被搬送材に前記たるみが形成完了した後に、前記被搬送材を挟む挟み位置に復帰する第1態様~第6態様のいずれか1つの態様に係る搬送装置である。
【0014】
第8態様は、離間した前記第三搬送ロールは、前記第一搬送ロールが前記被搬送材の搬送を開始する前に、前記挟み位置に復帰する第7態様に係る搬送装置である。
【0015】
第9態様は、第一搬送ロールと、前記第一搬送ロールに対する搬送方向上流側の直近に配置され、前記被搬送材が前記第一搬送ロールに突き当たるように該被搬送材を搬送することで該被搬送材にたるみを形成し該被搬送材から受ける力によって軸方向に移動可能な第二搬送ロールと、前記第二搬送ロールに対する搬送方向上流側の位置に配置され、前記被搬送材を挟んで搬送し、該被搬送材の前端が前記第一搬送ロールに達した状態において該被搬送材の後端が前記位置又は、該位置に対する搬送方向上流側に位置する場合に離間する第三搬送ロールと、を備える搬送装置である。
【0016】
第10態様は、前記被搬送材としての記録媒体を搬送する第1態様~第9態様のいずれか1つの態様に係る搬送装置と、前記搬送装置で搬送された記録媒体に画像を形成する画像形成部と、を備える画像形成装置である。
【発明の効果】
【0017】
第1態様の構成によれば、第三搬送ロールが常に被搬送材を挟んで搬送する構成に比べ、被搬送材の姿勢の不良が抑制される。
【0018】
第2態様の構成によれば、被搬送材の搬送方向の長さが、第一搬送ロールから第三搬送ロールまでの経路長以上である場合に第三搬送ロールが被搬送材を挟んで搬送する構成に比べ、被搬送材の姿勢の不良が抑制される。
【0019】
第3態様の構成によれば、第三搬送ロールが常に離間する構成に比べ、被搬送材の搬送方向の長さが予め定められた閾値未満である場合に、被搬送材の搬送間隔を短くできる。
【0020】
第4態様の構成によれば、第三搬送ロールが、第一搬送ロールが被搬送材の搬送を開始した後に離間する構成に比べ、被搬送材の姿勢の不良が抑制される。
【0021】
第5態様の構成によれば、第三搬送ロールが、被搬送材にたるみが形成された後に、離間する構成に比べ、被搬送材の姿勢の不良が抑制される。
【0022】
第6態様の構成によれば、第三搬送ロールが、検知部が被搬送材の前端を検知する前に離間する構成に比べ、離間タイミングのばらつきが抑制される。
【0023】
第7態様の構成によれば、離間した第三搬送ロールが、被搬送材にたるみが形成完了する前に、挟み位置に復帰する構成に比べ、被搬送材の姿勢の不良が抑制される。
【0024】
第8態様の構成によれば、離間した第三搬送ロールが、第一搬送ロールが被搬送材の搬送を開始した後に、挟み位置に復帰する構成に比べ、被搬送材を搬送する搬送力が高められる。
【0025】
第9態様の構成によれば、第三搬送ロールが常に被搬送材を挟んで搬送する構成に比べ、被搬送材の姿勢の不良が抑制される。
【0026】
第10態様の構成によれば、第三搬送ロールが常に被搬送材を挟んで搬送する搬送装置を備える構成に比べ、画像不良が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本実施形態に係る画像形成装置の構成を示す概略図である。
図2】本実施形態に係る画像形成装置において、記録媒体がスキューした状態を誇張して示す概略図である。
図3】本実施形態に係る画像形成装置において、スキューした記録媒体の前端側にたるみが形成された状態を誇張して示す概略図である。
図4】本実施形態に係る画像形成装置において、スキューした記録媒体の前端側にたるみが形成された状態を誇張して示す側面図である。
図5】本実施形態に係る画像形成装置において、記録媒体のスキューを補正した状態を示す概略図である。
図6図8に示す搬送ロールが離間した状態を示す側面図である。
図7】本実施形態に係るレジストロールに対する搬送方向上流側の直近に配置された搬送ロールを示す斜視図である。
図8図7に示す搬送ロールに対する搬送方向上流側の直近に配置された搬送ロールを示す斜視図である。
図9図8に示す搬送ロールを離間させる離間機構を示す側面図である。
図10図9に示す離間機構において、搬送ロールの離間を開始した状態を示す側面図である。
図11図9に示す離間機構において、搬送ロールを離間させた状態を示す側面図である。
図12】本実施形態に係る制御装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図13】本実施形態に係る制御装置による制御処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、本発明に係る実施形態の一例を図面に基づき説明する。
【0029】
(画像形成装置10)
本実施形態に係る画像形成装置10の構成を説明する。図1は、本実施形態に係る画像形成装置10の構成を示す概略図である。
【0030】
図1に示される画像形成装置10は、記録媒体に画像を形成する画像形成装置の一例である。具体的には、画像形成装置10は、記録媒体Pにトナー像(画像の一例)を形成する電子写真式の画像形成装置である。さらに具体的には、画像形成装置10は、収容部12と、排出部13と、搬送装置15と、画像形成部14と、定着装置16と、離間機構80と、レジセンサ110と、長さセンサ120と、制御装置50と、を備えている。以下、画像形成装置10の各部(収容部12、排出部13、搬送装置15、画像形成部14、定着装置16、離間機構80、レジセンサ110、長さセンサ120、及び制御装置50)について説明する。
【0031】
(収容部12、排出部13及び搬送装置15)
収容部12は、用紙等の記録媒体Pを収容する機能を有している。排出部13は、記録媒体Pが排出される部分である。搬送装置15は、記録媒体Pを搬送する機能を有している。具体的には、搬送装置15は、収容部12から画像形成部14(具体的には後述の二次転写位置T2)、定着装置16、排出部13へ記録媒体Pを搬送する機能を有している。搬送装置15の具体的な構成については、後述する。
【0032】
(画像形成部14)
画像形成部14は、トナー画像(画像の一例)を記録媒体Pに形成する機能を有している。具体的には、画像形成部14は、トナー像形成部22と、転写装置17と、を有している。
【0033】
(トナー像形成部22)
図1に示されるトナー像形成部22は、色ごとにトナー像を形成するように複数備えられている。本実施形態では、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の計4色のトナー像形成部22が設けられている。図1に示す(Y)、(M)、(C)、(K)は、上記各色に対応する構成部分を示している。
【0034】
各色のトナー像形成部22は、用いるトナーを除き同様に構成されているので、各色のトナー像形成部22を代表して、図1ではトナー像形成部22(Y)の各部に符号を付している。
【0035】
各色のトナー像形成部22は、具体的には、一方向(例えば図1における反時計回り方向)に回転する感光体ドラム32(感光体)を有している。さらに、各色のトナー像形成部22は、帯電器23と、露光装置36と、現像装置38と、を有している。
【0036】
各色のトナー像形成部22では、帯電器23が、感光体ドラム32を帯電させる。さらに、露光装置36が、帯電器23によって帯電された感光体ドラム32を露光して、感光体ドラム32に静電潜像を形成する。また、現像装置38が、露光装置36によって感光体ドラム32に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する。
【0037】
(転写装置17)
図1に示される転写装置17は、トナー像形成部22で形成されたトナー像を記録媒体Pに転写する装置である。具体的には、転写装置17は、図1に示されるように、中間転写体としての転写ベルト24と、一次転写ロール26と、二次転写ロール28と、を備えている。
【0038】
転写ベルト24は、複数のロール42に巻き掛けられた環状のベルトで構成されている。この転写ベルト24は、複数のロール42のいずれかが回転駆動することで、一方向(例えば図1における時計回り方向)へ周回する。
【0039】
転写装置17では、一次転写ロール26が、各色の感光体ドラム32のトナー像を、感光体ドラム32と一次転写ロール26との間の一次転写位置T1にて、転写ベルト24に重ねて一次転写する。
【0040】
転写ベルト24に一次転写されたトナー像は、転写ベルト24が周回することで、二次転写ロール28と転写ベルト24との間の二次転写位置T2へ搬送される。そして、二次転写ロール28が、二次転写位置T2へ搬送されるトナー像を記録媒体Pに二次転写する。
【0041】
なお、画像形成部14の構成としては、上記構成に限らない。例えば、画像形成部14の構成としては、転写ベルト24を介さずに、感光体ドラム32から直接、記録媒体Pに転写する構成であってもよい。この場合では、例えば、単色のトナー画像が記録媒体Pに転写される。
【0042】
(定着装置16)
図1に示される定着装置16は、二次転写ロール28によって記録媒体Pに転写されたトナー像を該記録媒体Pに定着する装置である。さらに具体的には、定着装置16は、図1に示されるように、加熱部材としての加熱ロール68と、加圧部材としての加圧ロール69と、を有している。定着装置16では、加熱ロール68及び加圧ロール69によって、記録媒体Pを加熱及び加圧することで、記録媒体Pに形成されたトナー像を該記録媒体Pに定着する。
【0043】
(搬送装置15の具体的な構成)
搬送装置15は、具体的には、図1に示されるように、送出ロール71と、搬送ロール72、73、74と、レジストロール75と、搬送ロール76と、排出ロール77と、を有している。なお、レジストロール75は、第一搬送ロールの一例である。また、搬送ロール74は、第二搬送ロールの一例である。また、搬送ロール73は、第三搬送ロールの一例である。
【0044】
送出ロール71は、収容部12に収容された記録媒体Pを送り出すロールである。搬送ロール72、73、74は、収容部12から送り出された記録媒体Pをレジストロール75へ向けて搬送するロールである。この搬送ロール72、73、74は、搬送方向下流側に向かって、この順で配置されている。具体的には、搬送ロール74は、レジストロール75に対する搬送方向上流側の直近に配置されている。また、搬送ロール73は、搬送ロール74に対する搬送方向上流側の直近に配置されている。さらに、搬送ロール72は、搬送ロール73に対する搬送方向上流側の直近に配置されている。
【0045】
レジストロール75は、二次転写位置T2に記録媒体Pを搬送するロールである。具体的には、レジストロール75は、二次転写位置T2へ転写ベルト24によって搬送されるトナー像の搬送タイミングに合わせて、二次転写位置T2に記録媒体Pを搬送する。さらに具体的には、レジストロール75は、搬送ロール74から搬送された記録媒体Pのスキューを補正しつつ(図2図3図4及び図5参照)、当該トナー像の搬送タイミングに合わせて、当該記録媒体Pを二次転写位置T2に搬送する。
【0046】
なお、レジストロール75による、記録媒体Pのスキューを補正する具体的な動作(以下、スキュー補正動作という)については、後述する。記録媒体Pのスキューとは、図2に誇張して示されるように、搬送方向Xに対して記録媒体Pが斜めに傾斜した姿勢で搬送される状態をいう。なお、図2図3及び図5には、搬送方向Xに沿った適正な姿勢で搬送されている場合の記録媒体Pが破線にて示されている。
【0047】
図1に示される搬送ロール76は、定着装置16から搬送された記録媒体Pを排出ロール77へ搬送するロールである。なお、レジストロール75によって二次転写位置T2へ搬送された記録媒体Pは、二次転写ロール28と転写ベルト24とで定着装置16へ搬送される。さらに、定着装置16に搬送された記録媒体Pは、定着装置16の加熱ロール68と加圧ロール69とで搬送ロール76へ搬送される。したがって、二次転写ロール28及び転写ベルト24と、加熱ロール68及び加圧ロール69とは、記録媒体Pを搬送する搬送装置15の一部を構成しているともいえる。排出ロール77は、搬送ロール76から搬送された記録媒体Pを排出部13へ排出ロールである。
【0048】
本実施形態では、搬送装置15は、各ロールの間に配置された搬送ガイド等の案内部(図示省略)を有している。これにより、記録媒体Pが予め定められた搬送経路にて搬送される。また、前述の各ロールは、一対のロールで構成されており、当該一対のロールの一方が駆動される構成とされている。
【0049】
(搬送ロール74の具体的な構成)
図6及び図7に示されるように、搬送ロール74は、具体的には、駆動ロール741及び従動ロール742の一対のロールで構成されている。駆動ロール741及び従動ロール742の各々は、図7に示されるように、回転軸としてのシャフト741A、742Aと、一対のロール部741B、742Bと、を有している。
【0050】
従動ロール742は、記録媒体Pから受ける力によって軸方向に移動可能とされている。具体的には、従動ロール742は、回転軸としてのシャフト742Aが、軸方向に移動可能に画像形成装置10の装置本体11(図1参照)に支持されている。さらに具体的には、従動ロール742は、スキュー補正動作により後述のように捻じれた記録媒体Pによって押されて、軸方向へ移動する。これにより、記録媒体Pの捻じれが低減される。
【0051】
なお、軸方向へ移動したシャフト742Aが、その軸方向中央742Cが搬送路の幅方向中央の位置に戻るように、シャフト742Aはバネ等の弾性体の弾性力により押され又は引っ張られている。また、従動ロール742は、ロール全体ではなく、一対のロール部742Bがシャフト741Aに対して軸方向に移動する構成であってもよい。
【0052】
(搬送ロール73及び離間機構80の具体的な構成)
図6及び図8に示されるように、搬送ロール73は、具体的には、駆動ロール731及び従動ロール732の一対のロールで構成されている。駆動ロール731及び従動ロール732の各々は、図8に示されるように、回転軸としてのシャフト731A、732Aと、一対のロール部731B、732Bと、を有している。
【0053】
駆動ロール731及び従動ロール732は、記録媒体Pを挟む挟み位置(図4図8及び図9に示す位置)と、互いに離間する離間位置(図6及び図11に示す位置)と、に移動可能とされている。以下、当該挟み位置をニップ位置という。
【0054】
具体的には、従動ロール732の移動により、従動ロール732が駆動ロール731に対して離間可能とされている(図10及び図11参照)。さらに具体的には、従動ロール732は、駆動ロール731に対して離間可能に、回転軸としてのシャフト732A(図8参照)が画像形成装置10の装置本体11(図1参照)に支持されている。
【0055】
駆動ロール731のシャフト731Aの軸方向一端部には、図8に示されるように、ギヤ733が固定されている。駆動ロール731は、ギヤ733を通じて駆動部(図示省略)からの駆動力が伝達されて、矢印RS方向への正転及び矢印RG方向への逆転が可能となっている。駆動ロール731は、矢印RS方向へ正転することで、従動ロール732とで記録媒体Pを搬送する。駆動ロール731が矢印RG方向へ逆転することで、以下に説明する離間機構80の作用により、従動ロール732を駆動ロール731から離間させる。
【0056】
離間機構80は、具体的には、図8及び図9に示されるように、例えば、ワンウェイクラッチ82と、カム84と、を有している。ワンウェイクラッチ82は、駆動ロール731のシャフト731Aの軸方向の一端部及び他端部の各々に設けられている。カム84は、2つのワンウェイクラッチ82の各々の外周に設けられている。換言すれば、カム84は、駆動ロール731のシャフト731Aの軸方向の一端部及び他端部の各々に、ワンウェイクラッチ82を介して設けられている。
【0057】
カム84は、シャフト731Aの中心からの距離が変化するカム面86と、外周方向へ突出する突出部87と、を有している。カム面86は、図9に示されるように、突出部87から駆動ロール731の正転方向(矢印RS方向)に向けて、シャフト731Aの中心からの距離が徐々に長くなるように変化している。
【0058】
ワンウェイクラッチ82は、図9に示されるように、例えば、外輪82Aと内輪82Bとを有している。当該内輪82Bが駆動ロール731のシャフト731Aに固定され、当該外輪82Aがカム84に固定されている。
【0059】
ワンウェイクラッチ82は、駆動ロール731が正転する場合に、カム84に予め定められた負荷が作用すると、カム84に対してシャフト731Aを空転させ、駆動ロール731が逆転する場合に、カム84とシャフト731Aとを一体に回転させる機能を有している。
【0060】
具体的には、駆動ロール731が正転する場合において、以下のように、ワンウェイクラッチ82及びカム84が作用する。
【0061】
すなわち、駆動ロール731が正転すると、内輪82Bと外輪82Aとの間の摩擦力により、カム84とシャフト731Aとが一体に正転し、図9に示されるように、カム84の突出部87が従動ロール732のシャフト732Aに当たる。これにより、カム84に負荷が作用する。また、このとき、カム84のカム面86は、従動ロール732のシャフト732Aに対して非接触となっている。そして、正転する駆動ロール731は、カム84の突出部87が従動ロール732のシャフト732Aに当たった位置でカム84が停止した状態で、カム84に対して空転する。
【0062】
一方、駆動ロール731が逆転する場合においては、以下のように、ワンウェイクラッチ82及びカム84が作用する。
【0063】
すなわち、駆動ロール731が逆転すると、ワンウェイクラッチ82の作用により、カム84とシャフト731Aとが一体に逆転する。カム84が逆転すると、カム面86が従動ロール732のシャフト732Aに接触を開始すると共に、カム面86が、従動ロール732を離間方向(図10の矢印RA方向)へ徐々に押すことで、図11に示されるように、従動ロール732が駆動ロール731から離間する。なお、駆動ロール731は、カム面86において、シャフト731Aの中心からの距離が最も長い部分86Aが従動ロール732のシャフト732Aに接触する位置で停止する。
【0064】
(レジセンサ110)
図4等に示されるレジセンサ110は、記録媒体Pの前端を検知する検知部の一例である。具体的には、レジセンサ110は、記録媒体Pの搬送経路において、搬送ロール74とレジストロール75との間に配置されている。さらに具体的には、レジセンサ110は、搬送ロール74よりもレジストロール75に近い側に配置されている。レジセンサ110は、例えば、透過型の光センサで構成されており、記録媒体Pの前端を検知する。記録媒体Pの前端を検知した信号は、制御装置50の後述のCPU51に送信される。
【0065】
(長さセンサ120)
図1に示される長さセンサ120は、記録媒体Pの前端及び後端を検知する検知部である。具体的には、長さセンサ120は、例えば、記録媒体Pの搬送経路において、搬送ロール72と搬送ロール73との間に配置されている。長さセンサ120は、例えば、透過型の光センサで構成されており、記録媒体Pの前端及び後端を検知する。長さセンサ120が記録媒体Pの前端及び後端を検知した信号は、制御装置50の後述のCPU51に送信される。CPU51は、後述のように、長さセンサ120が記録媒体Pの前端を検知してから後端を検知するまでの検知時間と、記録媒体Pの搬送速度との積によって、記録媒体Pの搬送方向の長さ(以下、搬送方向長さという)を検出する。なお、長さセンサ120は、搬送方向長さが最長の記録媒体Pの前端がレジストロール75に到達するまでに当該記録媒体Pの後端を検知可能な構成とされている。
【0066】
(制御装置50)
制御装置50は、制御部の一例である。制御装置50は、搬送装置15の各ロールを含む画像形成装置10の各部の動作を制御する装置である。図12には、制御装置50のハードウェア構成を示すブロック図が示されている。
【0067】
図12に示されるように、制御装置50は、コンピュータとしての機能を備え、CPU(Central Processing Unit)51、ROM(Read Only Memory)52、RAM(Random Access Memory)53、ストレージ54、及びI/O(Input/Output)部57を有している。制御装置50の各部は、バス59を介して相互に通信可能に接続されている。なお、CPU51は、プロセッサの一例である。
【0068】
CPU51は、中央演算処理ユニットであり、駆動制御プログラムを含む各種プログラムを実行したり、各部の動作を制御したりする。すなわち、CPU51は、ROM52又はストレージ54からプログラムを読み出し、RAM53を作業領域としてプログラムを実行する。CPU51は、ROM52又はストレージ54に記録されているプログラムに従って、画像形成装置10の各部の制御および各種の演算処理を行う。
【0069】
ROM52は、各種プログラムおよび各種データを格納する。RAM53は、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶する。ストレージ54は、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)等により構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラム、および各種データを格納する。I/O部57は、CPU51を画像形成装置10の各部と接続する。
【0070】
制御装置50では、CPU51が、予め定められた搬送速度で記録媒体Pが搬送させる制御を、搬送装置15の各ロールに対して行う。また、CPU51は、レジストロール75及び搬送ロール74が以下のスキュー補正動作を実行するように、スキューを補正する制御(以下、スキュー補正制御という)をレジストロール75及び搬送ロール74に対して行う。
【0071】
当該スキュー補正制御により、レジストロール75が停止した状態で、搬送ロール74が、記録媒体Pの搬送を開始する。記録媒体Pの搬送を開始した搬送ロール74は、例えば、レジセンサ110が記録媒体Pの前端を検知してから予め定められた時間、記録媒体Pを搬送した後、停止する。
【0072】
これにより、搬送ロール74は、図4に示されるように、停止した状態のレジストロール75に記録媒体Pが突き当たるように、記録媒体Pを搬送する。この搬送ロール74は、さらに、図3及び図4に示されるように、記録媒体Pにたるみ(いわゆるループ)が形成された後に停止する。
【0073】
なお、図4には、前端がレジストロール75に突き当たった状態の記録媒体Pが実線で示され、記録媒体Pの前端側に形成されたたるみが二点鎖線で示されている。また、スキューした記録媒体Pにたるみが形成される場合、記録媒体Pの幅方向の一端側で形成されるたるみ量(図3の矢印S1参照)と、当該幅方向の他端側で形成されるたるみ量(図3の矢印S2参照)と、で差が生じる。これにより、記録媒体Pには、捻じれが生じる。なお、記録媒体Pの幅方向とは、記録媒体Pの搬送方向に対して交差する方向(具体的には、直交する方向)である。記録媒体Pの幅方向は、レジストロール75及び搬送ロール74の軸方向に沿った方向ともいえる。
【0074】
また、搬送ロール74の従動ロール742は、スキュー補正動作により後述のように捻じれた記録媒体Pによって押されて、軸方向へ移動する。これにより、記録媒体Pの捻じれが低減される(当該機能を、以下「スラストフリー機能」という)。
【0075】
そして、搬送ロール74が停止した後、レジストロール75が当該記録媒体Pの搬送を開始し、その後に搬送ロール74が記録媒体Pの搬送を再開する。換言すれば、レジストロール75は、搬送ロール74が停止した状態において記録媒体Pを搬送し、搬送ロール74は、レジストロール75が記録媒体Pの搬送を開始してから予め定められた時間が経過した後に、記録媒体Pの搬送を再開する。
【0076】
このように、搬送ロール74は、レジストロール75が記録媒体Pを搬送している状態において停止することで、レジストロール75により搬送される記録媒体Pに搬送抵抗を付与する。そして、搬送ロール74は、レジストロール75が搬送する記録媒体Pに搬送抵抗を付与することで、記録媒体Pに形成されたたるみを解消する。これにより、記録媒体Pのスキューが補正される。
【0077】
なお、搬送ロール74が記録媒体Pの搬送を再開した後、記録媒体Pが二次転写位置T2に到達すると、レジストロール75及び搬送ロール74は、共に(具体的には同時に)停止する。
【0078】
さらに、本実施形態では、CPU51は、記録媒体Pの搬送方向長さが予め定められた閾値以上である場合に、駆動ロール731及び従動ロール732を互いに離間させる制御(以下、離間制御という)を搬送ロール73に対して行う。具体的には、CPU51は、以下のように、記録媒体Pの搬送方向長さを検出し、当該搬送方向長さが、予め定められた閾値以上である場合に離間制御を行う。
【0079】
CPU51は、長さセンサ120から記録媒体Pの前端及び後端を検知した検知情報を取得する。CPU51は、当該検知情報から長さセンサ120が記録媒体Pの前端を検知してから後端を検知するまでの検知時間を算出し、当該検知時間と、記録媒体Pの搬送速度との積によって、記録媒体Pの搬送方向長さを検出する。
【0080】
当該予め定められた閾値は、例えば、レジストロール75から搬送ロール73までの経路長である。経路長は、例えば、150mm以上200mm以下の範囲で設定される。さらに具体的には、経路長は、例えば、160mmに設定される。
【0081】
換言すれば、本実施形態では、記録媒体Pの前端がレジストロール75に達した状態において記録媒体Pの後端が、搬送ロール73の配置位置(具体的にはニップ位置)又は、当該配置位置に対する搬送方向上流側に位置する場合に、離間制御を搬送ロール73に対して行うともいえる。
【0082】
離間制御は、記録媒体Pの前端が搬送ロール74を通過した後であって、レジストロール75が記録媒体Pの搬送を開始する前に行われる。具体的には、離間制御は、記録媒体Pの前端が搬送ロール74を通過した後であって、記録媒体Pにたるみが形成開始される前に行われる。さらに具体的には、離間制御は、レジセンサ110が記録媒体Pの前端を検知した後であって、記録媒体Pにたるみが形成開始される前に行われる。換言すれば、離間制御は、記録媒体Pの前端がレジストロール75に突き当たる前に行われる。
【0083】
さらに、CPU51は、離間した搬送ロール73を記録媒体Pにたるみが形成完了した後に、ニップ位置に復帰させる制御(以下、復帰制御という)を搬送ロール73に対して行う。復帰制御は、レジストロール75が記録媒体Pの搬送を開始する前に搬送ロール73に対して行う。
【0084】
一方、CPU51は、記録媒体Pの搬送方向長さが予め定められた閾値未満である場合に、駆動ロール731及び従動ロール732をニップ位置に位置させた状態を維持する制御(以下、維持制御という)を搬送ロール73に対して行う。
【0085】
(本実施形態に係る作用)
次に、本実施形態の作用について説明する。図13は、制御装置50によって実行される制御処理の流れを示すフローチャートである。
【0086】
本制御処理は、CPU51がROM52又はストレージ54から制御プログラムを読み出して実行することにより行なわれる。本実施形態では、本制御処理は、例えば、CPU51が記録媒体Pに画像を形成する指示を取得した場合に行われる。
【0087】
図13に示されるように、本制御処理が開始されると、CPU51は、まず、前述のように、長さセンサ120が記録媒体Pの前端を検知してから後端を検知するまでの検知時間と、記録媒体Pの搬送速度との積によって、記録媒体Pの搬送方向長さを検出する(ステップS102)。
【0088】
次に、CPU51は、検出した記録媒体Pの搬送方向長さが閾値以上である否かを判断する(ステップS104)。
【0089】
CPU51は、ステップS104にて、検出した記録媒体Pの搬送方向長さが閾値以上であると判断した場合に、駆動ロール731及び従動ロール732を互いに離間させる離間制御を搬送ロール73に対して行う(ステップS106)。これにより、搬送ロール73は、記録媒体Pの搬送方向長さが予め定められた閾値以上である場合に、駆動ロール731及び従動ロール732が互いに離間する。
【0090】
当該予め定められた閾値は、レジストロール75から搬送ロール73までの経路長とされている。したがって、搬送ロール73は、記録媒体Pの搬送方向長さが、レジストロール75から搬送ロール73までの経路長以上である場合に、駆動ロール731及び従動ロール732が互いに離間する。
【0091】
換言すれば、CPU51は、ステップS106において、記録媒体Pの前端がレジストロール75に達した状態において記録媒体Pの後端が、搬送ロール73の配置位置(具体的にはニップ位置)又は、当該配置位置に対する搬送方向上流側に位置する場合に、離間制御を搬送ロール73に対して行うともいえる。
【0092】
これにより、搬送ロール73は、記録媒体Pの前端がレジストロール75に達した状態において記録媒体Pの後端が、搬送ロール73の配置位置又は、当該配置位置に対する搬送方向上流側に位置する場合に、駆動ロール731及び従動ロール732が互いに離間する。
【0093】
CPU51は、具体的には、前述の離間制御を、記録媒体Pの前端が搬送ロール74を通過した後であって、レジストロール75が記録媒体Pの搬送を開始する前に行う。これにより、搬送ロール73は、記録媒体Pの前端が搬送ロール74を通過した後であって、レジストロール75が記録媒体Pの搬送を開始する前に離間する。
【0094】
具体的には、CPU51は、当該離間制御を、記録媒体Pの前端が搬送ロール74を通過した後であって、記録媒体Pにたるみが形成開始される前に行う。これにより、搬送ロール73は、記録媒体Pの前端が搬送ロール74を通過した後であって、記録媒体Pにたるみが形成開始される前に離間する。
【0095】
さらに具体的には、CPU51は、離間制御を、レジセンサ110が記録媒体Pの前端を検知した後であって、記録媒体Pにたるみが形成開始される前に行う。これにより、搬送ロール73は、レジセンサ110が記録媒体Pの前端を検知した後であって、記録媒体Pにたるみが形成開始される前に離間する。
【0096】
次に、CPU51は、離間した搬送ロール73を記録媒体Pにたるみが形成完了した後に、ニップ位置に復帰させる復帰制御を搬送ロール73に対して行う(ステップS108)。これにより、離間した搬送ロール73は、記録媒体Pにたるみが形成完了した後に、ニップ位置に復帰する。
【0097】
具体的には、CPU51は、当該復帰制御を、レジストロール75が記録媒体Pの搬送を開始する前に搬送ロール73に対して行う。これにより、離間した搬送ロール73は、記録媒体Pにたるみが形成完了した後であって、レジストロール75が記録媒体Pの搬送を開始する前にニップ位置に復帰する。
【0098】
CPU51は、ステップS108において、復帰制御を搬送ロール73に対して行った後、本制御処理を終了する。
【0099】
一方、CPU51は、ステップS104にて、検出した記録媒体Pの搬送方向長さが閾値未満であると判断した場合に、駆動ロール731及び従動ロール732をニップ位置に位置させた状態を維持する維持制御を搬送ロール73に対して行う(ステップS110)。
【0100】
これにより、搬送ロール73は、記録媒体Pの搬送方向長さが予め定められた閾値未満である場合に、駆動ロール731及び従動ロール732をニップ位置に位置させた状態を維持する。
【0101】
CPU51は、ステップS110において、維持制御を搬送ロール73に対して行った後、本制御処理を終了する。
【0102】
以上のように、本実施形態では、搬送ロール73は、記録媒体Pの搬送方向長さが予め定められた閾値以上である場合に、駆動ロール731及び従動ロール732が互いに離間する。
【0103】
ここで、搬送ロール73が常に記録媒体Pを挟んで搬送する構成(以下、第1構成という)では、スキュー補正動作により捻じれた記録媒体Pが搬送ロール73によって拘束される場合があるため、搬送ロール73における前述のスラストフリー機能が発揮されにくい場合がある。このため、記録媒体Pの姿勢の不良が生じる場合がある。
【0104】
これに対して、本実施形態では、前述のように、搬送ロール73は、記録媒体Pの搬送方向長さが予め定められた閾値以上である場合に、駆動ロール731及び従動ロール732が互いに離間するので、第1構成に比べ、記録媒体Pの姿勢の不良が抑制される。なお、第1構成は、搬送ロール73が常にニップ位置に位置する構成ともいえる。
【0105】
また、本実施形態では、当該予め定められた閾値は、レジストロール75から搬送ロール73までの経路長とされている。換言すれば、搬送ロール73は、記録媒体Pの搬送方向長さが、レジストロール75から搬送ロール73までの経路長以上である場合に、駆動ロール731及び従動ロール732が互いに離間する。
【0106】
ここで、記録媒体Pの搬送方向長さが、レジストロール75から搬送ロール73までの経路長以上である場合に搬送ロール73が記録媒体Pを挟んで搬送する構成(以下、第2構成という)では、スキュー補正動作により捻じれた記録媒体Pが搬送ロール73によって拘束されるため、搬送ロール73における前述のスラストフリー機能が発揮されにくい。このため、記録媒体Pの姿勢の不良が生じる場合がある。
【0107】
これに対して、本実施形態では、前述のように、搬送ロール73は、記録媒体Pの搬送方向長さが、レジストロール75から搬送ロール73までの経路長以上である場合に、駆動ロール731及び従動ロール732が互いに離間するので、第2構成に比べ、記録媒体Pの姿勢の不良が抑制される。
【0108】
さらに、本実施形態の構成は、前述のように、記録媒体Pの前端がレジストロール75に達した状態において記録媒体Pの後端が、搬送ロール73の配置位置又は、当該配置位置に対する搬送方向上流側に位置する場合に、駆動ロール731及び従動ロール732が互いに離間するともいえる。
【0109】
ここで、記録媒体Pの前端がレジストロール75に達した状態において記録媒体Pの後端が、搬送ロール73の配置位置又は、当該配置位置に対する搬送方向上流側に位置する場合に、搬送ロール73が記録媒体Pを挟んで搬送する構成(以下、第3構成という)では、スキュー補正動作により捻じれた記録媒体Pが搬送ロール73によって拘束されるため、搬送ロール73における前述のスラストフリー機能が発揮されにくい。このため、記録媒体Pの姿勢の不良が生じる場合がある。
【0110】
これに対して、本実施形態では、前述のように、記録媒体Pの前端がレジストロール75に達した状態において記録媒体Pの後端が、搬送ロール73の配置位置又は、当該配置位置に対する搬送方向上流側に位置する場合に、駆動ロール731及び従動ロール732が互いに離間するので、第3構成に比べ、記録媒体Pの姿勢の不良が抑制される。
【0111】
本実施形態では、具体的には、搬送ロール73は、記録媒体Pの前端が搬送ロール74を通過した後であって、レジストロール75が記録媒体Pの搬送を開始する前に離間する。
【0112】
ここで、搬送ロール73が、レジストロール75が記録媒体Pの搬送を開始した後に離間する構成(以下、第4構成という)では、搬送ロール73における前述のスラストフリー機能が発揮される前にレジストロール75が記録媒体Pを搬送することになり、記録媒体Pの姿勢の不良が生じる場合がある。
【0113】
これに対して、本実施形態では、前述のように、搬送ロール73は、記録媒体Pの前端が搬送ロール74を通過した後であって、レジストロール75が記録媒体Pの搬送を開始する前に離間するので、第4構成に比べ、被搬送材の姿勢の不良が抑制される。
【0114】
本実施形態では、さらに具体的には、搬送ロール73は、記録媒体Pの前端が搬送ロール74を通過した後であって、記録媒体Pにたるみが形成開始される前に離間する。
【0115】
ここで、搬送ロール73が、記録媒体Pにたるみが形成された後に離間する構成(以下、第5構成という)では、記録媒体Pにたるみが形成されるまでの間、記録媒体Pが拘束されるため、搬送ロール73における前述のスラストフリー機能が発揮されにくい。このため、記録媒体Pの姿勢の不良が生じる場合がある。
【0116】
これに対して、本実施形態では、搬送ロール73は、記録媒体Pの前端が搬送ロール74を通過した後であって、記録媒体Pにたるみが形成開始される前に離間するので、第5構成に比べ、記録媒体Pの姿勢の不良が抑制される。
【0117】
本実施形態では、より具体的には、搬送ロール73は、レジセンサ110が記録媒体Pの前端を検知した後であって、記録媒体Pにたるみが形成開始される前に離間する。
【0118】
搬送ロール73が、レジセンサ110が記録媒体Pの前端を検知する前に離間する構成(以下、第6構成という)では、レジセンサ110が記録媒体Pの前端を検知した検知タイミングを基準に搬送ロール73を離間させられないため、搬送ロール73が離間する離間タイミングがばらつく場合がある。
【0119】
これに対して、搬送ロール73は、レジセンサ110が記録媒体Pの前端を検知した後であって、記録媒体Pにたるみが形成開始される前に離間する。レジセンサ110が記録媒体Pの前端を検知した検知タイミングを基準に、搬送ロール73を離間させられるため、搬送ロール73の離間タイミングのばらつきが抑制される。
【0120】
また、本実施形態では、離間した搬送ロール73は、記録媒体Pにたるみが形成完了した後に、ニップ位置に復帰する。
【0121】
ここで、離間した搬送ロール73が、記録媒体Pにたるみが形成完了する前に、ニップ位置に復帰する構成(以下、第7構成という)では、記録媒体Pにたるみが形成完了する前に当該記録媒体Pが拘束されるため、搬送ロール73における前述のスラストフリー機能が発揮されにくい。このため、記録媒体Pの姿勢の不良が生じる場合がある。
【0122】
これに対して、本実施形態では、離間した搬送ロール73は、記録媒体Pにたるみが形成完了した後に、ニップ位置に復帰するので、第7構成に比べ、記録媒体Pの姿勢の不良が抑制される。
【0123】
本実施形態では、離間した搬送ロール73は、具体的には、レジストロール75が記録媒体Pの搬送を開始する前にニップ位置に復帰する。
【0124】
ここで、離間した搬送ロール73が、レジストロール75が記録媒体Pの搬送を開始した後にニップ位置に復帰する構成(以下、第8構成という)では、レジストロール75が記録媒体Pの搬送を開始する際に、搬送ロール73によって記録媒体Pを搬送できない。
【0125】
これに対して、本実施形態では、離間した搬送ロール73が、レジストロール75が記録媒体Pの搬送を開始する前にニップ位置に復帰するので、レジストロール75が記録媒体Pの搬送を開始する際に、搬送ロール73によって記録媒体Pを搬送可能となる。これにより、第8構成に比べ、記録媒体Pを搬送する搬送力が高められる。
【0126】
以上のように、本実施形態では、記録媒体Pの姿勢の不良が抑制されるので、記録媒体Pの姿勢の不良に起因する画像不良が抑制される。
【0127】
一方、本実施形態では、搬送ロール73は、記録媒体Pの搬送方向長さが予め定められた閾値未満である場合に、駆動ロール731及び従動ロール732をニップ位置に位置させた状態を維持する。
【0128】
ここで、搬送ロール73が常に離間する構成(以下、第9構成という)では、離間した搬送ロール73をニップ位置に復帰させる復帰動作を行う時間を確保する必要がある。このため、記録媒体Pを複数搬送する場合において、記録媒体Pの搬送間隔を長くする必要があり、記録媒体Pに画像を形成する生産性が低下する場合がある。
【0129】
これに対して、本実施形態では、搬送ロール73は、記録媒体Pの搬送方向長さが予め定められた閾値未満である場合に、駆動ロール731及び従動ロール732をニップ位置に位置させた状態を維持するので、第9構成に比べ、記録媒体Pの搬送方向長さが予め定められた閾値未満である場合に、搬送ロール73の復帰動作の時間を確保する必要がない。このため、第9構成に比べ、記録媒体Pの搬送間隔を短くなり、記録媒体Pに画像を形成する生産性の低下が抑制される。
【0130】
(変形例)
本実施形態では、搬送ロール73は、レジセンサ110が記録媒体Pの前端を検知した後であって、記録媒体Pにたるみが形成開始される前に離間していたが、これに限られない。例えば、搬送ロール73は、記録媒体Pの前端が搬送ロール74を通過した後であって、レジセンサ110が記録媒体Pの前端を検知する前に離間する構成であってもよい。また、例えば、搬送ロール73が、記録媒体Pにたるみが形成された後であって、レジストロール75が記録媒体Pの搬送を開始する前に離間する構成であってもよい。
【0131】
また、本実施形態では、長さセンサ120から記録媒体Pの前端及び後端を検知した検知情報から、長さセンサ120が記録媒体Pの前端を検知してから後端を検知するまでの検知時間を算出し、当該検知時間と、記録媒体Pの搬送速度との積によって、記録媒体Pの搬送方向長さを検出していたが、これに限られない。例えば、収容部12に設けたセンサによって、CPU51が記録媒体Pの搬送方向長さを検知してもよい。また、操作者によって入力された情報(例えばジョブ情報)により、CPU51が記録媒体Pの搬送方向長さの情報を取得する構成であってもよい。
【0132】
本実施形態では、搬送ロール73では、従動ロール732が、駆動ロール731に対して離間する構成とされていたが、これに限られない。例えば、駆動ロール731及び従動ロール732の両方を移動させて、互いに離間させる構成であってもよく、少なくとも一方の移動により、互いに離間させる構成であればよい。
【0133】
また、本実施形態では、駆動ロール731及び従動ロール732を互いに離間させる離間機構として、離間機構80を用いたが、限られない。当該離間機構としては、例えば、ソレノイド等のアクチュエータにより駆動ロール731に対して従動ロール732を離間させる機構などであってもよく、種々の機構を用いることが可能である。
【0134】
本発明は、上記の実施形態に限るものではなく、その主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形、変更、改良が可能である。例えば、上記に示した変形例は、適宜、複数を組み合わせて構成してもよい。
【符号の説明】
【0135】
10 画像形成装置
14 画像形成部
15 搬送装置
73 搬送ロール(第三搬送ロールの一例)
74 搬送ロール(第二搬送ロールの一例)
75 レジストロール(第一搬送ロールの一例)
110 レジセンサ(検知部の一例)
P 記録媒体(被搬送材の一例)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13