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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/78 20060101AFI20231219BHJP
   H01L 29/12 20060101ALI20231219BHJP
   H01L 29/06 20060101ALI20231219BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20231219BHJP
   H01L 29/41 20060101ALI20231219BHJP
   H01L 29/417 20060101ALI20231219BHJP
   H01L 21/3205 20060101ALI20231219BHJP
   H01L 21/768 20060101ALI20231219BHJP
   H01L 23/522 20060101ALI20231219BHJP
   H01L 21/28 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
H01L29/78 652M
H01L29/78 652T
H01L29/78 652N
H01L29/78 652P
H01L29/78 652J
H01L29/78 653A
H01L29/78 658A
H01L29/78 658E
H01L29/78 658H
H01L29/78 652D
H01L29/78 652K
H01L29/44 Y
H01L29/50 M
H01L21/88 T
H01L21/88 Z
H01L21/28 301B
H01L29/06 301M
H01L29/06 301F
H01L29/06 301G
H01L29/06 301V
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019162543
(22)【出願日】2019-09-06
(65)【公開番号】P2021044275
(43)【公開日】2021-03-18
【審査請求日】2022-08-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104190
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 昭徳
(72)【発明者】
【氏名】星 保幸
【審査官】杉山 芳弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-117016(JP,A)
【文献】特開2016-225455(JP,A)
【文献】国際公開第2019/069580(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/039072(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/039071(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/78
H01L 29/12
H01L 29/06
H01L 21/336
H01L 29/41
H01L 29/417
H01L 21/3205
H01L 21/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電型の半導体基板と、
前記半導体基板のおもて面に設けられた、前記半導体基板より低不純物濃度の第1導電型の第1半導体層と、
前記第1半導体層の、前記半導体基板側に対して反対側の表面に設けられた第2導電型の第2半導体層と、
前記第2半導体層の、前記半導体基板側に対して反対側の表面層に選択的に設けられた第1導電型の第1半導体領域と、
前記第2半導体層に接触するゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜の前記第2半導体層と接触する面と反対側の表面に設けられた第1のゲート電極と、
前記第1のゲート電極上に設けられた層間絶縁膜と、
前記第2半導体層および前記第1半導体領域の表面に設けられた第1の第1電極と、
前記半導体基板の裏面に設けられた第2電極と、
を有する、主電流が流れる活性領域と、
前記活性領域の周囲を囲むゲートリング領域と、
前記ゲートリング領域の周囲を囲むリング領域と、
前記リング領域の周囲を囲む終端領域と、
を備え、
前記リング領域は、
前記半導体基板と、
前記第1半導体層と、
前記第2半導体層と、
前記第2半導体層の表面に設けられた第2の第1電極と、
前記第2半導体層に接するように前記第1半導体層の表面に設けられ、前記第2半導体層よりも不純物濃度の高い第2導電型の第3半導体領域と、
を有し、
前記リング領域において、前記第3半導体領域の底面の、前記第2の第1電極と対向する位置に第1導電型または第2導電型の第2半導体領域が設けられていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記リング領域は、
前記第1半導体領域および前記第2半導体層を貫通し、前記第3半導体領域に達する第2のトレンチをさらに有し、
前記第2の第1電極は、前記第2のトレンチの内部に設けられることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第2半導体領域は平面視で四角形状であり、辺の部分にも角部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
第1導電型の半導体基板と、
前記半導体基板のおもて面に設けられた、前記半導体基板より低不純物濃度の第1導電型の第1半導体層と、
前記第1半導体層の、前記半導体基板側に対して反対側の表面に設けられた第2導電型の第2半導体層と、
前記第2半導体層の、前記半導体基板側に対して反対側の表面層に選択的に設けられた第1導電型の第1半導体領域と、
前記第2半導体層に接触するゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜の前記第2半導体層と接触する面と反対側の表面に設けられた第1のゲート電極と、
前記第1のゲート電極上に設けられた層間絶縁膜と、
前記第2半導体層および前記第1半導体領域の表面に設けられた第1の第1電極と、
前記半導体基板の裏面に設けられた第2電極と、
を有する、主電流が流れる活性領域と、
前記活性領域の周囲を囲むゲートリング領域と、
前記ゲートリング領域の周囲を囲むリング領域と、
前記リング領域の周囲を囲む終端領域と、
を備え、
前記リング領域は、
前記半導体基板と、
前記第1半導体層と、
前記第2半導体層と、
前記第2半導体層の表面に設けられた第2の第1電極と、
前記第2半導体層に接するように前記第1半導体層の表面に設けられ、前記第2半導体層よりも不純物濃度の高い第2導電型の第3半導体領域と、
を有し、
前記リング領域において、前記第2の第1電極と対向する位置の、前記第1半導体層と前記第3半導体領域とからなるpn接合にライフタイムキラー領域が設けられていることを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
前記ライフタイムキラー領域の前記第2電極側の面は、前記半導体基板に達していることを特徴とする請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記リング領域は、
前記第1半導体領域および前記第2半導体層を貫通し、前記第3半導体領域に達する第2のトレンチをさらに有し、
前記第2の第1電極は、前記第2のトレンチの内部に設けられることを特徴とする請求項4に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記活性領域は、
前記第1半導体領域および前記第2半導体層を貫通し、前記第1半導体層に達する第1のトレンチと、
前記第1半導体層の内部の、前記第1のトレンチの底部と深さ方向に対向する位置に選択的に設けられた第2導電型の第4半導体領域と、
をさらに有し、
隣り合う前記第1のトレンチ間には前記第3半導体領域が設けられており、
前記第1のゲート電極は、前記第1のトレンチの内部に前記ゲート絶縁膜を介して設けられることを特徴とする請求項1~6のいずれか一つに記載の半導体装置。
【請求項8】
前記リング領域は、
前記第2の第1電極上に選択的に設けられためっき膜をさらに有することを特徴とする請求項1~7のいずれか一つに記載の半導体装置。
【請求項9】
前記活性領域は、
前記第1半導体領域および前記第2半導体層を貫通し、前記第1半導体層に達する第1のトレンチと、
前記第1半導体層の内部の、前記第1のトレンチの底部と深さ方向に対向する位置に選択的に設けられた第2導電型の第4半導体領域と、
をさらに有し、
隣り合う前記第1のトレンチ間には前記第3半導体領域が設けられており、
前記第1のゲート電極は、前記第1のトレンチの内部に前記ゲート絶縁膜を介して設けられ、
前記第2半導体領域の底部は、前記第4半導体領域の底部よりも深いことを特徴とする請求項1~3のいずれか一つに記載の半導体装置。
【請求項10】
前記ゲートリング領域は、
前記半導体基板と、
前記第1半導体層と、
前記第2半導体層と、
前記第3半導体領域と、
前記第2半導体層に接触する第1の絶縁膜と、
前記第1の絶縁膜の前記第2半導体層と接触する面と反対側の表面に設けられた第2のゲート電極と、
前記第2のゲート電極上に設けられたゲート配線電極と、
を有することを特徴とする請求項1~6のいずれか一つに記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高電圧や大電流を制御するパワー半導体装置の構成材料として、シリコン(Si)が用いられている。パワー半導体装置は、バイポーラトランジスタやIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor:絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor:絶縁ゲート型電界効果トランジスタ)など複数種類あり、これらは用途に合わせて使い分けられている。
【0003】
例えば、バイポーラトランジスタやIGBTは、MOSFETに比べて電流密度は高く大電流化が可能であるが、高速にスイッチングさせることができない。具体的には、バイポーラトランジスタは数kHz程度のスイッチング周波数での使用が限界であり、IGBTは数十kHz程度のスイッチング周波数での使用が限界である。一方、パワーMOSFETは、バイポーラトランジスタやIGBTに比べて電流密度が低く大電流化が難しいが、数MHz程度までの高速スイッチング動作が可能である。
【0004】
しかしながら、市場では大電流と高速性とを兼ね備えたパワー半導体装置への要求が強く、IGBTやパワーMOSFETはその改良に力が注がれ、現在ではほぼ材料限界に近いところまで開発が進んでいる。パワー半導体装置の観点からシリコンに代わる半導体材料が検討されており、低オン電圧、高速特性、高温特性に優れた次世代のパワー半導体装置を作製(製造)可能な半導体材料として炭化珪素(SiC)が注目を集めている。
【0005】
炭化珪素は、化学的に非常に安定した半導体材料であり、バンドギャップが3eVと広く、高温でも半導体として極めて安定的に使用することができる。また、炭化珪素は、最大電界強度もシリコンより1桁以上大きいため、オン抵抗を十分に小さくすることができる半導体材料として期待される。このような炭化珪素の特長は、他のシリコンよりバンドギャップが広いワイドバンドギャップ半導体である、例えば窒化ガリウム(GaN)にもあてはまる。このため、ワイドバンドギャップ半導体を用いることにより、半導体装置の高耐圧化を図ることができる。
【0006】
従来の炭化珪素半導体装置の構造について、縦型MOSFETを例に説明する。図22は、従来の炭化珪素半導体装置の構造を示す上面図である。図22に示すように、半導体チップ(縦型MOSFET)1600は、主電流が流れる活性領域1150の外周部に、活性領域1150の周囲を囲んで耐圧を保持するエッジ終端領域1168が設けられている。活性領域1150には、ゲート電極と電気的に接続するゲート電極パッド1100と、ソース電極と電気的に接続するソース電極パッド1104とが設けられている。また、活性領域1150とエッジ終端領域1168の間に、ゲート電極とゲート電極パッド1100とを接続するための配線が形成されるゲートリング領域1160が設けられている。
【0007】
炭化珪素半導体装置の信頼性をさらに向上させるために、半導体チップ1600と同一の半導体基板に、電流センス部、温度センス部(不図示)および過電圧保護部(不図示)等の高機能領域1400を配置している半導体装置が提案されている。高機能構造とする場合、高機能領域1400を安定して形成するために、活性領域1150に、メイン半導体素子の単位セルと離して、かつエッジ終端領域1168に隣接して、高機能領域1400のみを配置した領域が設けられる。活性領域1150は、メイン半導体素子のオン時に主電流が流れる領域である。エッジ終端領域1168は、半導体基板のおもて面側の電界を緩和して耐圧(耐電圧)を保持するための領域である。耐圧とは、素子が誤動作や破壊を起こさない限界の電圧である。
【0008】
電流センス部には、活性領域1150と同構造の電流センス部の活性領域1230および電流検出用の電流センス部パッド1202が設けられる。温度センス部は、ダイオードの温度特性を利用して半導体チップの温度を検出する機能を有する。
【0009】
図23は、従来の炭化珪素半導体装置の構造を示す図22のA-A断面図である。図23は、従来のトレンチ型の炭化珪素半導体装置の構造を示す断面図である。トレンチ型MOSFET1600では、n+型炭化珪素基板1001のおもて面にn型炭化珪素エピタキシャル層1002が堆積される。活性領域1150では、n型炭化珪素エピタキシャル層1002のn+型炭化珪素基板1001側に対して反対側の表面側は、n型高濃度領域1005が設けられている。また、n型高濃度領域1005には、トレンチ1016の底面全体を覆うように第2p+型ベース領域1004が選択的に設けられている。n型高濃度領域1005のn+型炭化珪素基板1001側に対して反対側の表面層には、第1p+型ベース領域1003が選択的に設けられている。
【0010】
また、従来のトレンチ型MOSFET1600の活性領域1150には、さらにp型ベース層1006、n+型ソース領域1007、p++型コンタクト領域1008、ゲート絶縁膜1009、ゲート電極1010、層間絶縁膜1011、ソース電極1012、裏面電極1013、トレンチ1016、ソース電極パッド(不図示)およびドレイン電極パッド(不図示)が設けられている。
【0011】
ソース電極1012は、n+型ソース領域1007、p++型コンタクト領域1008上に順にNiSi電極1015、第1TiN膜1020、第1Ti膜1021、第2TiN膜1022、第2Ti膜1033およびAl合金膜1029が積層されている多層膜である。また、ソース電極1012上部には、めっき膜1014、はんだ1024、外部電極ピン1026、第1保護膜1023および第2保護膜1025が設けられる。
【0012】
また、従来のトレンチ型MOSFET1600のゲートリング領域1160には、第1p+型ベース領域1003、p型ベース層1006、p++型コンタクト領域1008が設けられる。p++型コンタクト領域1008上に絶縁膜1530、ゲート電極1010、層間絶縁膜1011、ゲート配線電極1017および第1保護膜1023が設けられている。
【0013】
また、従来のトレンチ型MOSFET1600のエッジ終端領域1168には、全域にわたってp型ベース層1006、p++型コンタクト領域1008が除去され、のおもて面にエッジ終端領域1168を活性領域1150よりも低くした(ドレイン側に凹ませた)段差が形成され、段差の底面にn型炭化珪素エピタキシャル層1002が露出されている。
【0014】
また、エッジ終端領域1168には、複数のp+型領域(ここでは2つ、第1JTE領域1163、第2JTE領域1165)を隣接して配置したJTE構造が設けられている。また、JTE構造の外側(チップ端部側)にチャネルストッパとして機能するn+型半導体領域1167が設けられている。
【0015】
第1JTE領域1163、第2JTE領域1165は、それぞれ、n型炭化珪素エピタキシャル層1002の、段差の底面に露出する部分に選択的に設けられている。高電圧が印加された際、活性領域1150以外での横方向の高電圧はこの第1JTE領域1163、第2JTE領域1165とn型炭化珪素エピタキシャル層1002との間のpn接合で確保される。
【0016】
また、セル部およびセル部の周囲に配置された外周部を有するn-型エピタキシャル層と、セル部および外周部に跨るように配置され、セル部において、外周部における部分よりも薄くなるように形成された表面絶縁膜とを含み、従来の耐圧特性を犠牲にすることなく、表面金属層の平坦性を向上できる半導体装置が公知である(例えば、下記特許文献1参照)。
【0017】
また、高機能領域の、エッジ終端領域との境界において、半導体基板のおもて面上に、メイン半導体素子のオフ時にエッジ終端領域から高機能領域へ流れ込むホール電流を引き抜く機能を有する引き抜き電極が設けられ、エッジ終端領域での破壊を抑制することができる半導体装置が公知である(例えば、下記特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【文献】特開2014-175314号公報
【文献】国際公開2019/069580号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
上述した従来の半導体装置(図23参照)では、半導体材料としてワイドバンドギャップ半導体を用いているため、半導体材料としてシリコンを用いた場合と比べて、エッジ終端領域1168の幅を1/5倍~1/2倍程度狭くすることができる。かつ、エッジ終端領域1168の厚さを1/2倍以上薄くすることができる。このため、エッジ終端領域1168の幅を狭くしたり、エッジ終端領域1168の厚さを薄くすることで、MOSFETの低オン抵抗(RonA)化が可能である。
【0020】
しかしながら、エッジ終端領域1168の幅を狭くしたり、エッジ終端領域1168の厚さを薄くしたりすることで、MOSFETのオフ時にp型ベース層1006とn型炭化珪素エピタキシャル層1002とのpn接合からチップ端部側へ半導体基板のおもて面に平行な方向(横方向)に伸びる空乏層の容量(pn接合容量)が減少する。このため、MOSFETのスイッチング時(特にMOSFETのオフ時)に例えばサージ等のノイズにより微小時間でドレイン-ソース間電圧が変化(以下、dv/dtサージ)すると、pn接合容量に流れる変位電流が著しく大きくなる。具体的には、pn接合容量の充放電時に流れる変位電流の電流値は、半導体材料としてシリコンを用いる場合の電流値の、エッジ終端領域1168を減少させた体積倍となる。
【0021】
MOSFETのオフ時、ホールに起因する変位電流(以降、ホール電流と略す)は、エッジ終端領域1168から活性領域1150へ向かって流れ、活性領域1150のp++型コンタクト領域1008からソース電極1012へと引き抜かれる。ゲートリング領域1160は、n+型ソース領域1007等が配置されていないことで、活性領域1150の他の部分よりもp++型コンタクト領域1008の面積が多くなっている。このため、特に、ゲートリング領域1160にホール電流が集中するが、ゲートリング領域1160では、ゲート電極1010とp++型コンタクト領域1008との間に絶縁膜1530が配置されていることで、ホール電流が引き抜かれない。このため、ホール電流が活性領域1150の端部のMOSFETに集中することにより、活性領域1150の端部にて素子が破壊に至る虞がある。
【0022】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、エッジ終端領域での破壊を抑制することができる半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
上述した課題を解決し、本発明の目的を達成するため、この発明にかかる半導体装置は、次の特徴を有する。半導体装置は、主電流が流れる活性領域と、前記活性領域の周囲を囲むゲートリング領域と、前記ゲートリング領域の周囲を囲むリング領域と、前記リング領域の周囲を囲む終端領域と、を備える。活性領域は、前記半導体基板のおもて面に設けられた、前記半導体基板より低不純物濃度の第1導電型の第1半導体層と、前記第1半導体層の、前記半導体基板側に対して反対側の表面に設けられた第2導電型の第2半導体層と、前記第2半導体層の、前記半導体基板側に対して反対側の表面層に選択的に設けられた第1導電型の第1半導体領域と、前記第2半導体層に接触するゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜の前記第2半導体層と接触する面と反対側の表面に設けられた第1のゲート電極と、前記第1のゲート電極上に設けられた層間絶縁膜と、前記第2半導体層および前記第1半導体領域の表面に設けられた第1の第1電極と、前記半導体基板の裏面に設けられた第2電極と、を有する。前記リング領域は、前記半導体基板と、前記第1半導体層と、前記第2半導体層と、前記第2半導体層の表面に設けられた第2の第1電極と、前記第2半導体層に接するように前記第1半導体層の表面に設けられ、前記第2半導体層よりも不純物濃度の高い第2導電型の第3半導体領域と、を有する。前記リング領域において、前記第3半導体領域の底面の、前記第2の第1電極と対向する位置に第1導電型または第2導電型の第2半導体領域が設けられている。
【0024】
また、この発明にかかる半導体装置は、上述した発明において、前記リング領域は、前記第1半導体領域および前記第2半導体層を貫通し、前記第3半導体領域に達する第2のトレンチをさらに有し、前記第2の第1電極は、前記第2のトレンチの内部に設けられることを特徴とする。
【0025】
また、この発明にかかる半導体装置は、上述した発明において、前記第2半導体領域は平面視で四角形状であり、辺の部分にも角部が設けられていることを特徴とする。
【0026】
上述した課題を解決し、本発明の目的を達成するため、この発明にかかる半導体装置は、次の特徴を有する。半導体装置は、主電流が流れる活性領域と、前記活性領域の周囲を囲むゲートリング領域と、前記ゲートリング領域の周囲を囲むリング領域と、前記リング領域の周囲を囲む終端領域と、を備える。活性領域は、第1導電型の半導体基板と、前記半導体基板のおもて面に設けられた、前記半導体基板より低不純物濃度の第1導電型の第1半導体層と、前記第1半導体層の、前記半導体基板側に対して反対側の表面に設けられた第2導電型の第2半導体層と、前記第2半導体層の、前記半導体基板側に対して反対側の表面層に選択的に設けられた第1導電型の第1半導体領域と、前記第2半導体層に接触するゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜の前記第2半導体層と接触する面と反対側の表面に設けられた第1のゲート電極と、前記第1のゲート電極上に設けられた層間絶縁膜と、前記第2半導体層および前記第1半導体領域の表面に設けられた第1の第1電極と、前記半導体基板の裏面に設けられた第2電極と、を有する。前記リング領域は、前記半導体基板と、前記第1半導体層と、前記第2半導体層と、前記第2半導体層の表面に設けられた第2の第1電極と、前記第2半導体層に接するように前記第1半導体層の表面に設けられ、前記第2半導体層よりも不純物濃度の高い第2導電型の第3半導体領域と、を有する。前記リング領域において、前記第2の第1電極と対向する位置の、前記第1半導体層と前記第3半導体領域とからなるpn接合にライフタイムキラー領域が設けられている。
【0027】
また、この発明にかかる半導体装置は、上述した発明において、前記ライフタイムキラー領域の前記第2電極側の面は、前記半導体基板に達していることを特徴とする。
【0028】
また、この発明にかかる半導体装置は、上述した発明において、前記リング領域は、前記第1半導体領域および前記第2半導体層を貫通し、前記第3半導体領域に達する第2のトレンチをさらに有し、前記第2の第1電極は、前記第2のトレンチの内部に設けられることを特徴とする。
【0029】
また、この発明にかかる半導体装置は、上述した発明において、前記活性領域は、前記第1半導体領域および前記第2半導体層を貫通し、前記第1半導体層に達する第1のトレンチと、前記第1半導体層の内部の、前記トレンチの底部と深さ方向に対向する位置に選択的に設けられた第2導電型の第4半導体領域と、をさらに有し、隣り合う前記トレンチ間には前記第3半導体領域が設けられており、前記第1のゲート電極は、前記第1のトレンチの内部に前記ゲート絶縁膜を介して設けられることを特徴とする。
【0030】
また、この発明にかかる半導体装置は、上述した発明において、前記リング領域は、前記第2の第1電極上に選択的に設けられためっき膜をさらに有することを特徴とする。
【0031】
また、この発明にかかる半導体装置は、上述した発明において、前記活性領域は、前記第1半導体領域および前記第2半導体層を貫通し、前記第1半導体層に達する第1のトレンチと、前記第1半導体層の内部の、前記第1のトレンチの底部と深さ方向に対向する位置に選択的に設けられた第2導電型の第4半導体領域と、をさらに有し、隣り合う前記第1のトレンチ間には前記第3半導体領域が設けられており、前記第1のゲート電極は、前記第1のトレンチの内部に前記ゲート絶縁膜を介して設けられ、前記第2半導体領域の底部は、前記第4半導体領域の底部よりも深いことを特徴とする。
【0032】
また、この発明にかかる半導体装置は、上述した発明において、前記ゲートリング領域は、前記半導体基板と、前記第1半導体層と、前記第2半導体層と、前記第3半導体領域と、前記第2半導体層に接触する第1の絶縁膜と、前記第1の絶縁膜の前記第2半導体層と接触する面と反対側の表面に設けられた第2のゲート電極と、前記第2のゲート電極上に設けられたゲート配線電極と、を有することを特徴とする。
【0033】
上述した発明によれば、ゲートリング領域とエッジ終端領域との間に、ゲートリング領域を取り囲むようにソースリング領域が設けられている。ソースリング領域には、ソース電極が設けられ、メイン半導体素子のオフ時にエッジ終端領域から活性領域へ流れ込む変位電流を、p型ベース層を介して引き抜く機能を有する。このため、ソースリング領域により、活性領域への電界集中を緩和することができる。また、第2ソース電極と深さ方向に対向する位置にp+型領域またはn+型領域を設けている。p+型領域またはn+型領域に変位電流が流れることで、ソース電極に変位電流をより引き抜きやすくして、活性領域への電界集中をより緩和することができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明にかかる半導体装置によれば、エッジ終端領域での破壊を抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置の構造を示す上面図である。
図2】実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置の構造を示す図1のA-A断面図である。
図3】実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である(その1)。
図4】実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である(その2)。
図5】実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である(その3)。
図6】実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である(その4)。
図7】実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である(その5)。
図8】実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である(その6)。
図9】実施の形態2にかかる炭化珪素半導体装置の構造を示す上面図である。
図10】実施の形態2にかかる炭化珪素半導体装置の構造を示す図9のA-A断面図である。
図11】実施の形態3にかかる炭化珪素半導体装置の構造を示す上面図である。
図12】実施の形態3にかかる炭化珪素半導体装置の構造を示す図11のA-A断面図である。
図13】実施の形態4にかかる炭化珪素半導体装置の構造を示す上面図である。
図14】実施の形態4にかかる炭化珪素半導体装置の構造を示す図13のA-A断面図である。
図15】実施の形態5にかかる炭化珪素半導体装置の構造を示す断面図である。
図16】実施の形態5にかかる炭化珪素半導体装置の構造を示す他の断面図である。
図17】実施の形態5にかかる炭化珪素半導体装置の構造を示す他の平面図である。
図18】実施の形態6にかかる炭化珪素半導体装置の構造を示す断面図である。
図19】実施の形態6にかかる炭化珪素半導体装置の構造を示す他の断面図である。
図20】実施の形態7にかかる炭化珪素半導体装置の構造を示す断面図である。
図21】実施の形態8にかかる炭化珪素半導体装置の構造を示す断面図である。
図22】従来の炭化珪素半導体装置の構造を示す上面図である。
図23】従来の炭化珪素半導体装置の構造を示す図22のA-A断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる半導体装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。本明細書および添付図面においては、nまたはpを冠記した層や領域では、それぞれ電子または正孔が多数キャリアであることを意味する。また、nやpに付す+および-は、それぞれそれが付されていない層や領域よりも高不純物濃度および低不純物濃度であることを意味する。+および-を含めたnやpの表記が同じ場合は近い濃度であることを示し濃度が同等とは限らない。なお、以下の実施の形態の説明および添付図面において、同様の構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、本明細書では、ミラー指数の表記において、“-”はその直後の指数につくバーを意味しており、指数の前に“-”を付けることで負の指数をあらわしている。
【0037】
(実施の形態1)
実施の形態1にかかる半導体装置は、シリコン(Si)よりもバンドギャップが広い半導体(ワイドバンドギャップ半導体とする)を用いて構成される。この実施の形態1にかかる半導体装置の構造について、ワイドバンドギャップ半導体として例えば炭化珪素(SiC)を用いた場合を例に説明する。図1は、実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置の構造を示す上面図である。図1には、半導体基板(半導体チップ)に配置された各素子の電極パッドおよび各領域のレイアウトを示す。
【0038】
図1に示す実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置は、炭化珪素からなる同一の半導体基板に、メイン半導体素子と、メイン半導体素子を保護・制御するための回路部としては例えば電流センス部、温度センス部(不図示)、過電圧保護部(不図示)および演算回路部(不図示)等の高機能部と、を有する。メイン半導体素子は、オン状態で縦方向(半導体基板の深さ方向z)にドリフト電流が流れるトレンチ型MOSFET600であり、隣接して配置された複数の単位セル(機能単位:不図示)で構成され、主動作を行う。
【0039】
メイン半導体素子は、活性領域150の有効領域(MOSゲートとして機能する領域)150aに設けられている。活性領域150の有効領域150aは、メイン半導体素子のオン時に主電流が流れる領域であり、周囲をゲートリング領域160に囲まれている。活性領域150の有効領域150aにおいて、半導体基板のおもて面上には、メイン半導体素子のソース電極12が設けられている。ソース電極12(第1ソース電極12a)は、例えば活性領域150の有効領域150aの略全面を覆う。また、ソース電極12のおもて面上には、例えば矩形状の平面形状を有するソース電極パッド104が設けられている。
【0040】
エッジ終端領域168は、活性領域150とチップ(半導体基板)側面との間の領域であり、半導体基板のおもて面側の電界を緩和して耐圧(耐電圧)を保持するための領域である。エッジ終端領域168には、例えばガードリングや後述する接合終端(JTE:Junction Termination Extension)構造を構成するp型領域や、フィールドプレート、リサーフ等の耐圧構造(不図示)が配置される。耐圧とは、素子が誤動作や破壊を起こさない限界の電圧である。
【0041】
また、活性領域150には、ゲートリング領域160に隣接して、高機能領域400が設けられている。高機能領域400は、例えば略矩形状の平面形状を有する。高機能領域400には、電流センス部、温度センス部(不図示)、過電圧保護部(不図示)および演算回路部(不図示)等の高機能部が設けられている。図1には、高機能部として電流センス部のみを図示するが、高機能領域400に電流センス部以外の他の高機能部が配置されていてもよい。
【0042】
電流センス部は、メイン半導体素子に流れる過電流(OC:Over Current)を検出する機能を有する。電流センス部は、電流センス部の電極パッド202の下(半導体基板の深さ方向z)に設けられ、メイン半導体素子と同一構成の単位セルを電流センス部の活性領域230に数個程度備えた縦型MOSFETである。
【0043】
また、高機能領域400において、半導体基板のおもて面上には、活性領域150とエッジ終端領域168との境界に沿って、かつソース電極12(第1ソース電極12a)およびエッジ終端領域168と離して、メイン半導体素子のゲート電極パッド100、電流センス部の電極パッド202が互いに接して設けられている。これら電極パッドは例えば略矩形状の平面形状を有する。
【0044】
ゲート電極パッド100は、ゲートリング領域160に設けられたゲートランナー(ゲート配線電極、図2参照)を介して、メイン半導体素子のすべての単位セルのゲート電極(図2参照)と電気的に接続されている。ゲートリング領域160は、活性領域150とエッジ終端領域(終端領域)168との間に、活性領域150を取り囲むように設けられている。
【0045】
また、ゲートリング領域160とエッジ終端領域168との間に、ゲートリング領域160を取り囲むようにソースリング領域(リング領域)170が設けられている。ソースリング領域170は、後述するように第2ソース電極12bが設けられ、後述するp型ベース層6を介して、活性領域150の第1ソース電極12aの電位(ソース電位)に固定されている。ソースリング領域170は、メイン半導体素子のオフ時にエッジ終端領域168から活性領域150へ流れ込むホール電流を、p型ベース層6を介して引き抜く機能を有する。ソースリング領域170がゲートリング領域160を取り囲むため、エッジ終端領域168から流れ込むホール電流をp型ベース層6を介して引き抜くことで、活性領域150への影響をなくすことができる。
【0046】
次に、上述した活性領域150、ゲートリング領域160、エッジ終端領域168およびソースリング領域170の断面構造の一例について説明する。図2は、実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置の構造を示す図1のA-A断面図である。メイン半導体素子の隣接する2つの単位セルのみを示し、当該単位セルのチップ(半導体基板)中央部側に隣接するメイン半導体素子の他の単位セルを図示省略する。
【0047】
メイン半導体素子は、半導体基板のおもて面(p型ベース層6側の面)側にトレンチゲート構造のMOSゲートを備えたトレンチ型MOSFET600である。炭化珪素半導体基体は、炭化珪素からなるn+型炭化珪素基板(第1導電型の半導体基板)1上にn型炭化珪素エピタキシャル層(第1導電型の第1半導体層)2およびp型ベース層(第2導電型の第2半導体層)6を順にエピタキシャル成長させてなる。n型高濃度領域5をn型炭化珪素エピタキシャル層2上にエピタキシャル成長させてもよい。
【0048】
活性領域150に、MOSゲートが設けられ、MOSゲートは、p型ベース層6、n+型ソース領域(第1導電型の第1半導体領域)7、p++型コンタクト領域8、トレンチ16、ゲート絶縁膜9および第1ゲート電極10aで構成される。
【0049】
具体的には、トレンチ16は、半導体基板のおもて面から深さ方向zにp型ベース層6を貫通して、後述するn型高濃度領域5(n型高濃度領域5が設けられていない場合は、n型炭化珪素エピタキシャル層2、以下(2)と称する)に達する。深さ方向zとは、半導体基板のおもて面から裏面へ向かう方向である。トレンチ16は、例えば、ストライプ状に配置されている。
【0050】
トレンチ16は、例えば、半導体基板のおもて面側から見てマトリクス状に配置されていてもよい。トレンチ16の内部には、トレンチ16の内壁に沿ってゲート絶縁膜9が設けられ、ゲート絶縁膜9上にトレンチ16の内部に埋め込むように第1ゲート電極10a10が設けられている。1つのトレンチ16内の第1ゲート電極10aと、当該第1ゲート電極10aを挟んで隣り合うメサ領域(隣り合うトレンチ16間の領域)と、でメイン半導体素子の1つの単位セルが構成される。
【0051】
n型炭化珪素エピタキシャル層2のソース側(第1ソース電極12a側)の表面層に、p型ベース層6に接するようにn型領域(以下、n型高濃度領域とする)5が設けられていてもよい。n型高濃度領域5は、キャリアの広がり抵抗を低減させる、いわゆる電流拡散層(Current Spreading Layer:CSL)である。このn型高濃度領域5は、例えば、トレンチ16の内壁を覆うように、基板おもて面(半導体基板のおもて面)に平行な方向に一様に設けられている。
【0052】
n型高濃度領域5は、p型ベース層6との界面から、トレンチ16の底面よりもドレイン側(裏面電極13側)に深い位置に達している。n型高濃度領域5の内部には、第1,2p+型ベース領域3、4がそれぞれ選択的に設けられていてもよい。第1p+型ベース領域3は、隣り合うトレンチ16間(メサ領域)に、第2p+型ベース領域4およびトレンチ16と離して設けられ、かつp型ベース層6に接する。第2p+型ベース領域4は、トレンチ16の底面および底面コーナー部のうち少なくとも底面を覆う。トレンチ16の底面コーナー部とは、トレンチ16の底面と側壁との境界である。
【0053】
第1,2p+型ベース領域3、4とn型高濃度領域5(2)とのpn接合は、トレンチ16の底面よりもドレイン側に深い位置に形成されている。n型高濃度領域5を設けずに、第1,2p+型ベース領域3、4がn型炭化珪素エピタキシャル層2の内部に設けられていてもよい。第1,2p+型ベース領域3、4のドレイン側端部の深さ位置は、第1,2p+型ベース領域3、4とn型高濃度領域5(2)とのpn接合がトレンチ16の底面よりもドレイン側に深い位置にあればよく、設計条件に合わせて種々変更可能である。第1,2p+型ベース領域3、4により、トレンチ16の底面に沿った部分でゲート絶縁膜9に高電界が印加されることを防止することができる。
【0054】
p型ベース層6の内部には、n+型ソース領域7が選択的に設けられている。n+型ソース領域7と接するようにp++型コンタクト領域8が選択的に設けられていてもよい。n+型ソース領域7は、トレンチ16の側壁のゲート絶縁膜9に接し、トレンチ16の側壁のゲート絶縁膜9を介して第1ゲート電極10aに対向する。
【0055】
層間絶縁膜11は、第1ゲート電極10aおよび後述するゲートリング領域160の第2ゲート電極10bを覆うように、半導体基板のおもて面全面に設けられている。すべての第1ゲート電極10aは、ゲートリング領域160の第2ゲート電極10bおよびゲート配線電極17を介してゲート電極パッド100(図1参照)に電気的に接続されている。層間絶縁膜11には、層間絶縁膜11を深さ方向zに貫通して基板おもて面に達するコンタクトホールが開口されている。
【0056】
第1ソース電極(第1の第1電極)12aは、コンタクトホール内において半導体基板(n+型ソース領域7)にオーミック接触し、かつ層間絶縁膜11により第1ゲート電極10aと電気的に絶縁されている。第1ソース電極12aは、n+型ソース領域7上に順にNiSi電極15、第1TiN膜20、第1Ti膜21、第2TiN膜22、第2Ti膜33およびAl合金膜29が積層されている多層膜である。p++型コンタクト領域8が設けられている場合、第1ソース電極12aはp++型コンタクト領域8とオーミック接触する。
【0057】
第1ソース電極12a上に、第1めっき膜(第1のめっき膜)14aおよび第1はんだ(第1のはんだ)24aを介して、第1外部電極ピン(第1の電極ピン)26aの一方の端部が接合されている。このうち、第1めっき膜14aがソース電極パッド104に相当する。第1外部電極ピン26aの他方の端部は、半導体基板のおもて面に対向するように配置された金属バー(不図示)に接合されている。また、第1外部電極ピン26aの他方の端部は、半導体チップを実装したケース(不図示)の外側に露出し、外部装置(不図示)と電気的に接続される。第1ソース電極12aの表面の第1めっき膜14a以外の部分は、第1保護膜23で覆われている。具体的には、第1ソース電極12aを覆うように第1保護膜23が設けられており、第1保護膜23の開口部には、第1めっき膜14aが設けられている。第1はんだ24aを介して第1めっき膜14aの表面に第1外部電極ピン26aが接合されている。第1はんだ24aの領域を制限するために、第1めっき膜14aの表面に第1の第2保護膜25aを設けてもよい。第1,2保護膜23,25は、例えばポリイミド膜である。
【0058】
半導体基板10の裏面に、ドレイン電極となる裏面電極(第2電極)13が設けられている。裏面電極13上には、ドレイン電極パッド(不図示)が設けられている。
【0059】
また、ゲートリング領域160では、炭化珪素半導体基体のp++型コンタクト領域8上に絶縁膜(第1の絶縁膜)530を介して第2ゲート電極10bが設けられている。絶縁膜530により、第2ゲート電極10bはp++型コンタクト領域8と絶縁されている。第2ゲート電極10bは層間絶縁膜11に覆われている。層間絶縁膜11には、層間絶縁膜11を深さ方向zに貫通して第2ゲート電極10bに達するコンタクトホールが開口されている。コンタクトホール内に、ゲート配線電極17が埋め込まれている。ゲート配線電極17は、活性領域150の第1ゲート電極10aをゲート電極パッド100に電気的に接続する。また、層間絶縁膜11およびゲート配線電極17上には、第1保護膜23が設けられている。
【0060】
エッジ終端領域168では、全域にわたってp++型コンタクト領域8およびp型ベース層6が除去され、炭化珪素半導体基体のおもて面にエッジ終端領域168を活性領域150よりも低くした(ドレイン側に凹ませた)段差が形成され、段差の底面にn型炭化珪素エピタキシャル層2が露出されている。また、エッジ終端領域168には、複数のp+型領域(ここでは2つ、第1JTE領域163、第2JTE領域165)を隣接して配置したJTE構造が設けられている。また、JTE構造の外側(チップ端部側)にチャネルストッパーとして機能するn+型ストッパー領域167が設けられている。
【0061】
第1JTE領域163、第2JTE領域165は、それぞれ、n型炭化珪素エピタキシャル層2の、段差の底面に露出する部分に選択的に設けられている。高電圧が印加された際、活性領域150以外での横方向の高耐圧はこの第1JTE領域163、第2JTE領域165とn型炭化珪素エピタキシャル層2との間のpn接合で確保される。
【0062】
また、ソースリング領域170では、炭化珪素半導体基体のp++型コンタクト領域8(p++型コンタクト領域8が設けられていない場合は、p型ベース層6、以下(6)と称する)上に層間絶縁膜11が設けられる。層間絶縁膜11には、層間絶縁膜11を深さ方向zに貫通してp++型コンタクト領域8(6)に達するコンタクトホールが開口されている。コンタクトホール内に、第2ソース電極12bが埋め込まれている。このため、第2ソース電極(第2の第1電極)12bは、第1ソース電極12aと同様に、p++型コンタクト領域8(6)上に設けられている。第2ソース電極12bは、第1ソース電極12aと同様に、NiSi電極15、第1TiN膜20、第1Ti膜21、第2TiN膜22、第2Ti膜33およびAl合金膜29が積層されている多層膜である。半導体基体内部で、活性領域150の下部に設けられたp型領域(p++型コンタクト領域8(6)等)とソースリング領域170の下部に設けられたp型領域が接続されているため、第2ソース電極12bは、第1ソース電極12aと同電位になっている。
【0063】
第2ソース電極12bの表面にめっき膜(第2のめっき膜)14が設けられ、第2めっき膜14b以外の部分は、第1保護膜23で覆われている。具体的には、第2ソース電極12bを覆うように第1保護膜23が設けられており、第1保護膜23の開口部には、第2めっき膜14bが設けられている。第2めっき膜14bと第1保護膜23の一部は、第1の第2保護膜25aで覆われていてもよい。第2めっき膜14bは、第2ソース電極12bの全面に設けられてもよいし、選択的に、例えば、ソースリング領域170のコーナー部の第2ソース電極12bにのみ設けられてもよい。
【0064】
上述したように、ソースリング領域170は、メイン半導体素子のオフ時にエッジ終端領域168から活性領域150へ流れ込むホール電流を、p型ベース層6を介して引き抜く機能を有する。このため、ソースリング領域170により、活性領域150の端部への電流集中を緩和することができる。また、第2ソース電極12b上に第2めっき膜14bを設けることにより、第2ソース電極12bの抵抗を低減し、第2ソース電極12bの破壊耐量を改善することができる。また、活性領域150とエッジ終端領域168とのコーナー部で、ソースリング領域170を外側に膨らませることで、ソースリング領域170の幅を直線部の幅よりも広くし、第2ソース電極12bのコーナー部の幅を直線部の幅よりも広くすることができる(図1の領域S参照)。図1では、1つの隅のみを広くしているが、4つの隅すべてを広くしてもよいし、2つの隅のみを広くしてもよい。これにより、ホール電流をより引き抜きやすくして、活性領域150への電流集中をより緩和することができる。また、第2ソース電極12bが炭化珪素半導体基体(p++型コンタクト領域8、p++型コンタクト領域8が設けられていないときはp型ベース層6)と接触する面積は、第1ソース電極12aが炭化珪素半導体基体(p++型コンタクト領域8、p++型コンタクト領域8が設けられていないときはp型ベース層6)と接触する面積より2倍以上広くすることが好ましい。
【0065】
(実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法)
次に、実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法について説明する。図3図8は、実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。
【0066】
まず、n型の炭化珪素でできたn+型炭化珪素基板1を用意する。そして、このn+型炭化珪素基板1の第1主面上に、n型の不純物、例えば窒素原子(N)をドーピングしながら炭化珪素でできた第1n型炭化珪素エピタキシャル層2aを、例えば30μm程度の厚さまでエピタキシャル成長させる。ここまでの状態が図3に示されている。
【0067】
次に、第1n型炭化珪素エピタキシャル層2aの表面上に、フォトリソグラフィ技術によって所定の開口部を有するイオン注入用マスクを例えば酸化膜で形成する。そして、アルミニウム等のp型の不純物を、酸化膜の開口部に注入し、深さ0.5μm程度の下部第1p+型ベース領域3aおよび第2p+型ベース領域4を形成する。
【0068】
また、隣り合う下部第1p+型ベース領域3aと第2p+型ベース領域4との距離が1.5μm程度となるよう形成する。下部第1p+型ベース領域3aおよび第2p+型ベース領域4の不純物濃度を例えば5×1018/cm3程度に設定する。
【0069】
次に、イオン注入用マスクの一部を除去し、開口部に窒素等のn型の不純物をイオン注入し、第1n型炭化珪素エピタキシャル層2aの表面領域の一部に、例えば深さ0.5μm程度の下部n型高濃度領域5aを形成してもよい。下部n型高濃度領域5aの不純物濃度を例えば1×1017/cm3程度に設定する。ここまでの状態が図4に示されている。
【0070】
次に、第1n型炭化珪素エピタキシャル層2aの表面上に、窒素等のn型の不純物をドーピングした第2n型炭化珪素エピタキシャル層2bを、0.5μm程度の厚さで形成する。第2n型炭化珪素エピタキシャル層2bの不純物濃度が3×1015/cm3程度となるように設定する。以降、第1n型炭化珪素エピタキシャル層2aと第2n型炭化珪素エピタキシャル層2bとを合わせてn型炭化珪素エピタキシャル層2となる。
【0071】
次に、第2n型炭化珪素エピタキシャル層2bの表面上に、フォトリソグラフィによって所定の開口部を有するイオン注入用マスクを例えば酸化膜で形成する。そして、アルミニウム等のp型の不純物を、酸化膜の開口部に注入し、深さ0.5μm程度の上部第1p+型ベース領域3bを、下部第1p+型ベース領域3aに重なるように形成する。下部第1p+型ベース領域3aと上部第1p+型ベース領域3bは連続した領域を形成し、第1p+型ベース領域3となる。上部第1p+型ベース領域3bの不純物濃度を例えば5×1018/cm3程度となるように設定する。
【0072】
次に、イオン注入用マスクの一部を除去し、開口部に窒素等のn型の不純物をイオン注入し、第2炭化珪素エピタキシャル層2bの表面領域の一部に、例えば深さ0.5μm程度の上部n型高濃度領域5bを形成してもよい。上部n型高濃度領域5bの不純物濃度を例えば1×1017/cm3程度に設定する。この上部n型高濃度領域5bと下部n型高濃度領域5aは少なくとも一部が接するように形成され、n型高濃度領域5を形成する。ただし、このn型高濃度領域5が基板全面に形成される場合と、形成されない場合がある。ここまでの状態が図5に示されている。
【0073】
次にn型炭化珪素エピタキシャル層2の表面上に、エピタキシャル成長によりp型ベース層6を1.1μm程度の厚さで形成する。p型ベース層6の不純物濃度は4×1017/cm3程度に設定する。p型ベース層6をエピタキシャル成長により形成した後、p型ベース層6にさらにアルミニウム等のp型の不純物を、イオン注入してもよい。
【0074】
次に、p型ベース層6の表面上に、フォトリソグラフィによって所定の開口部を有するイオン注入用マスクを例えば酸化膜で形成する。この開口部に窒素(N)、リン(P)等のn型の不純物をイオン注入し、p型ベース層6の表面の一部にn+型ソース領域7を形成する。次に、n+型ソース領域7の形成に用いたイオン注入用マスクを除去し、同様の方法で、所定の開口部を有するイオン注入用マスクを形成し、p型ベース層6の表面の一部にリン等のp型の不純物をイオン注入し、p++型コンタクト領域8を形成してもよい。p++型コンタクト領域8の不純物濃度は、p型ベース層6の不純物濃度より高くなるように設定する。ここまでの状態が図6に示されている。
【0075】
次に、1700℃程度の不活性ガス雰囲気で熱処理(アニール)を行い、第1p+型ベース領域3、第2p+型ベース領域4、n+型ソース領域7およびp++型コンタクト領域8の活性化処理を実施する。なお、上述したように1回の熱処理によって各イオン注入領域をまとめて活性化させてもよいし、イオン注入を行うたびに熱処理を行って活性化させてもよい。
【0076】
次に、p型ベース層6の表面上に、フォトリソグラフィによって所定の開口部を有するトレンチ形成用マスクを例えば酸化膜で形成する。次に、ドライエッチングによってp型ベース層6を貫通し、n型高濃度領域5(2)に達するトレンチ16を形成する。トレンチ16の底部はn型高濃度領域5(2)に形成された第2p+型ベース領域4に達してもよい。次に、トレンチ形成用マスクを除去する。ここまでの状態が図7に示されている。
【0077】
次に、n+型ソース領域7の表面と、トレンチ16の底部および側壁と、に沿ってゲート絶縁膜9を形成する。このゲート絶縁膜9は、酸素雰囲気中において1000℃程度の温度の熱酸化によって形成してもよい。また、このゲート絶縁膜9は高温酸化(High Temperature Oxide:HTO)等のような化学反応によって堆積する方法で形成してもよい。
【0078】
次に、ゲート絶縁膜9上に、例えばリン原子がドーピングされた多結晶シリコン層を設ける。この多結晶シリコン層はトレンチ16内を埋めるように形成してもよい。この多結晶シリコン層をフォトリソグラフィによりパターニングし、トレンチ16内部に残すことによって、第1ゲート電極10aを形成する。
【0079】
次に、ゲート絶縁膜9および第1ゲート電極10aを覆うように、例えばリンガラスを1μm程度の厚さで成膜し、層間絶縁膜11を形成する。次に、層間絶縁膜11を覆うように、チタン(Ti)または窒化チタン(TiN)またはチタンと窒化チタンの積層からなるバリアメタルを形成してもよい。層間絶縁膜11およびゲート絶縁膜9をフォトリソグラフィによりパターニングしn+型ソース領域7およびp++型コンタクト領域8を露出させたコンタクトホールを形成する。その後、熱処理(リフロー)を行って層間絶縁膜11を平坦化する。ここまでの状態が図8に示されている。また、層間絶縁膜11にコンタクトホールを形成した後に、チタン(Ti)または窒化チタン(TiN)またはチタンと窒化チタンの積層からなるバリアメタルを形成してもよい。この場合、バリアメタルにもn+型ソース領域7およびp++型コンタクト領域8を露出させるコンタクトホールが設けられる。
【0080】
次に、層間絶縁膜11に設けられたコンタクトホール内および層間絶縁膜11上にNiSi電極15となるとなる導電性の膜を形成する。導電性の膜は、例えばニッケル(Ni)膜である。また、n+型炭化珪素基板1の第2主面上にも、同様にニッケル(Ni)膜を形成する。その後、例えば970℃程度の温度で熱処理を行って、コンタクトホール内部のニッケル膜をシリサイド化してNiSi電極15とする。同時に、第2主面に形成したニッケル膜は、n+型炭化珪素基板1とオーミック接合を形成する裏面電極13となる。その後、未反応のニッケル膜を選択的に除去して、例えばコンタクトホール内にのみNiSi電極15を残す。ソースリング領域170でも同様に第1ゲート電極10aおよびNiSi電極15を形成する。
【0081】
次に、例えばスパッタ法によって、炭化珪素半導体基体のおもて面のNiSi電極15および層間絶縁膜11を覆うように、第1TiN膜20、第1Ti膜21、第2TiN膜22、第2Ti膜33を順に積層し、さらにAl合金膜29を、厚さが例えば、5μm程度になるように形成する。Al合金膜29はAl膜であってもよい。Al合金膜29は、例えば、Al-Si膜またはAl-Si-Cu膜である。この導電性の膜をフォトリソグラフィによりパターニングし、素子全体の活性領域150に残すことによって第1ソース電極12aを形成する。ソースリング領域170でも同様に、第1TiN膜20、第1Ti膜21、第2TiN膜22、第2Ti膜33を順に積層し、さらにAl合金膜29を形成し、第2ソース電極12bを形成する。
【0082】
次に、Al合金膜29上にポリイミド膜を形成した後、フォトリソグラフィおよびエッチングにより当該ポリイミド膜を選択的に除去して、第1保護膜23を形成するとともに、第1保護膜23に開口部を形成する。次に、第1保護膜23の開口部に露出したAl合金膜29上に第1めっき膜14aを形成する。ソースリング領域170でも同様にして第1めっき膜14aおよび第1保護膜23を形成する。
【0083】
次に、第1めっき膜14aと第1保護膜23との境界を覆うように第1の第2保護膜25aを形成する。第1の第2保護膜25aは例えばポリイミド膜である。その後、第1めっき膜14aに第1はんだ24aを介して第1外部電極ピン26aを形成する。
【0084】
以上のようにして、図1に示す半導体装置が完成する。
【0085】
以上、説明したように、実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置によれば、ゲートリング領域とエッジ終端領域との間に、ゲートリング領域を取り囲むようにソースリング領域が設けられている。ソースリング領域には、第2ソース電極が設けられ、メイン半導体素子のオフ時にエッジ終端領域から活性領域へ流れ込むホール電流を、p型ベース層を介して引き抜く機能を有する。このため、ソースリング領域により、活性領域端部への電流集中を緩和することができる。さらには、宇宙線によりアバランシェキャリアが急増してもソースリングでこれを吸収できるため、アバランシェキャリアが活性領域へ及ぶことを阻止して、破壊耐量を改善することができる。また、ソースリング領域の第2ソース電極上にめっき膜を設けることにより、第2ソース電極の抵抗を低減し、第2ソース電極の破壊耐量を改善できる。
【0086】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2にかかる炭化珪素半導体装置の構造について説明する。図9は、実施の形態2にかかる炭化珪素半導体装置の構造を示す上面図である。実施の形態2にかかる炭化珪素半導体装置が実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置と異なる点は、活性領域150の第1ソース電極12aとソースリング領域170の第2ソース電極12bを接続する短絡電極500が設けられている点である。
【0087】
具体的には、ゲートリング領域160に分断領域550を設けて、分断領域550に第2ゲート電極10bおよびゲート配線電極17を設けずに、短絡電極500を設けている。図10は、実施の形態2にかかる炭化珪素半導体装置の構造を示す図9のA-A断面図である。図10は、短絡電極500が設けられている部分の断面である。図10に示すように、ゲートリング領域160では、炭化珪素半導体基体のp++型コンタクト領域8上に絶縁膜530および層間絶縁膜11が設けられ、層間絶縁膜11上に短絡電極500が設けられている。短絡電極500により、第1ソース電極12aと第2ソース電極12bを接続することで、ソースリング領域170が引き抜いたホール電流を第2ソース電極12bから第1ソース電極12aに流すことができ、活性領域150の端部への電流集中をより緩和することができる。
【0088】
短絡電極500は、半導体チップ600に少なくとも1つあればよい。ただし、第1ソース電極12aと第2ソース電極12bとの間の抵抗を少なくするため、図9のように、各辺に1つ以上の短絡電極500を設けることが好ましい。また、分断領域550を設けている部分では、第2ゲート電極10bからゲート電極パッド100への経路が長くなり、抵抗が大きくなる。このため、分断領域550を設けている部分では、MOS構造を構成しないこと、例えば、n+型ソース領域7を設けないことが好ましい。ここで、分断領域550では第2ゲート電極10bおよびゲート配線電極17が形成されていないので、第2ゲート電極12bはリング状とはなっていない。このため、分断領域550を複数設ける場合、第2ゲート電極12bに全て電圧がかかるようにするため、トレンチ16のストライプ方向の対向する2辺の分断領域550の位置をずらすことが好ましい。
【0089】
以上、説明したように、実施の形態2によれば、第1ソース電極と第2ソース電極とを接続する短絡電極を設けることで、ソースリング領域が引き抜いたホール電流を第1ソース電極に流すことができ、活性領域端部への電流集中をより緩和することができる。さらに実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0090】
(実施の形態3)
次に、実施の形態3にかかる炭化珪素半導体装置の構造について説明する。図11は、実施の形態3にかかる炭化珪素半導体装置の構造を示す上面図である。実施の形態3にかかる炭化珪素半導体装置が実施の形態2にかかる炭化珪素半導体装置と異なる点は、活性領域150の第1ソース電極12aとソースリング領域170の第2ソース電極12bを接続する短絡電極500を、分断領域550を設けることなく設けている点である。
【0091】
図12は、実施の形態3にかかる炭化珪素半導体装置の構造を示す図11のA-A断面図である。図12に示すように、ゲートリング領域160の短絡電極500を設ける箇所に、ゲート配線電極17を覆うように第2絶縁膜(第2の絶縁膜)532を設けて、第2絶縁膜532上に短絡電極500を設けている。第2絶縁膜532により、短絡電極500と第2ゲート電極10bとを絶縁している。
【0092】
また、ゲートリング領域160の短絡電極500を設ける箇所にはゲート配線電極17を設けない構成とし、第2ゲート電極10bを覆う層間絶縁膜11上に短絡電極500を設ける形態でもよい。
【0093】
上述した実施の形態2では、短絡電極500によりゲート配線電極17が分断されているため、分断箇所に近い第2ゲート電極10bでは、ゲート電極パッド100への経路が長くなる場合がある。一方、実施の形態3では、少なくとも第2ゲート電極10bが分断されていないため、ゲート電極パッド100への経路が長くなることがない。
【0094】
以上、説明したように、実施の形態3によれば、第1ソース電極と第2ソース電極とを接続する短絡電極を、少なくとも第2ゲート電極を分断することなく設けることで、第2ゲート電極とゲート電極パッドとの経路が長くなることを防止できる。さらに、実施の形態1および実施の形態2と同様の効果を得ることができる。
【0095】
(実施の形態4)
次に、実施の形態4にかかる炭化珪素半導体装置の構造について説明する。図13は、実施の形態4にかかる炭化珪素半導体装置の構造を示す上面図である。実施の形態4にかかる炭化珪素半導体装置が実施の形態2にかかる炭化珪素半導体装置と異なる点は、活性領域150の第1ソース電極12aとソースリング領域170の第2ソース電極12bを接続する短絡電極500を第1外部電極ピン26aおよび第2外部電極ピン26b上に設けている点である。
【0096】
図14は、実施の形態4にかかる炭化珪素半導体装置の構造を示す図13のA-A断面図である。図14に示すように、ソースリング領域170において、めっき膜(第2のめっき膜)14上に第2はんだ(第2のはんだ)24bを介して第2外部電極ピン26a外(第2の電極ピン)26bが接合されている。第2はんだ24bは、第2の第2保護膜25bで囲まれていてもよい。第2外部電極ピン26bの他方の端部を、炭化珪素半導体基体のおもて面に対向するように配置された金属バー540を第2はんだ24bで接続する。この金属バー540が短絡電極500となる。実施の形態4でも実施の形態3と同様にゲート配線電極17が分断されていないため、ゲート電極パッド100への経路が長くなることがない。図13では短絡電極500となる金属バー540を3箇所設けているが、1箇所だけでも構わない。
【0097】
以上、説明したように、実施の形態4によれば、第1ソース電極と第2ソース電極とを接続する短絡電極を、第1、第2外部電極ピン上に設けることで、第2ゲート電極とゲート電極パッドとの経路が長くなることを防止できる。さらに、実施の形態1および実施の形態2と同様の効果を得ることができる。
【0098】
(実施の形態5)
次に、実施の形態5にかかる炭化珪素半導体装置の構造について説明する。図15は、実施の形態5にかかる炭化珪素半導体装置の構造を示す断面図である。上面図は、実施の形態1と同様であるため、記載を省略する。実施の形態5にかかる炭化珪素半導体装置が実施の形態1~4にかかる炭化珪素半導体装置と異なる点は、ソースリング領域170のn型炭化珪素エピタキシャル層2において、第2ソース電極12bと深さ方向に対向する位置に第1p+型ベース領域3を深く形成している点である。この深く形成した部分を、p+型領域(第2導電型の第2半導体領域)30と称する。
【0099】
図15に示すように、p+型領域30は、ソースリング領域170のn型炭化珪素エピタキシャル層2の表面層にリング状に設けられ、第2ソース電極12bの幅よりも広いことが好ましい。少なくとも、層間絶縁膜11に開口したコンタクトホールの幅よりも広いことが好ましい。p+型領域30は、第1p+型ベース領域3を深く形成した部分であるため、第1p+型ベース領域3と同程度の不純物濃度である。また、p+型領域30は、深さがn+型炭化珪素基板1に達しないことが好ましい。
【0100】
+型領域30を設けることで、オフ時にエッジ終端領域168から活性領域150へ流れ込むホール電流が、n型炭化珪素エピタキシャル層2より抵抗の低いp+型領域30に流れ、第2ソース電極12bにホール電流をより引き抜きやすくして、活性領域150への電流集中をより緩和することができる。
【0101】
図16は、実施の形態5にかかる炭化珪素半導体装置の構造を示す他の断面図である。図16に示すように、p+型領域30の代わりにn+型領域(第1導電型の第2半導体領域)31を設けた形態であってもよい。p+型領域30と同様にn+型領域31にホール電流を流れやすくするため、n+型領域31の不純物濃度は、n型炭化珪素エピタキシャル層2の不純物濃度より高い。また、n+型領域31の深さ、幅はp+型領域30と同様でよい。また、n+型領域31の不純物濃度がn型炭化珪素エピタキシャル層2の不純物濃度より高いと、ホール電流はn+型領域31の上部を通過し、第2ソース電極12bにホール電流が流れやすくなるため、n+型領域31の不純物濃度は、n型炭化珪素エピタキシャル層2の不純物濃度より高濃度とする。
【0102】
図17は、実施の形態5にかかる炭化珪素半導体装置の構造を示す他の平面図である。この例では、p+型領域30、第2ソース電極12b、第2めっき膜14bが平面視で四角形状である点は図15と同じであるが、辺の部分にも意図的に角部を設けている点で異なる。具体的には、図17では、p+型領域30、第2ソース電極12b、第2めっき膜14bを凹凸状としている。このように、p+型領域30、第2ソース電極12b、第2めっき膜14bを角部のある閉ループ状とすることで、p+型領域30の径方向の幅が広くなり、かつp+型領域30の角部に電界が集中するので、ホール電流を引き抜きやすくなる、という効果が得られる。また、第2ソース電極12b、第2めっき膜14bは図15と同様の直線状とし、p+型領域30のみ凹凸状としても同様な効果が得られる。なおp+型領域30は、辺の直線部分に角部を含んだ閉ループ形状であればよく、様々な形状をとることができる。例えば、凹凸状だけでなく、ジグザグ状としてもよい。また、p+型領域30をn+型領域31に変更することも可能である。
【0103】
また、実施の形態5にかかる炭化珪素半導体装置では、実施の形態1の第1ソース電極12aと第2ソース電極12bとが短絡電極500で電気的に接続されない形態を示しているが、実施の形態2のように短絡電極500を設けてもよい。この場合、上面図は、図9と同様になる。また、実施の形態3のように、短絡電極500を、分断領域550を設けることなく設けてもよい。この場合、上面図は、図11と同様になる。また、実施の形態4のように、金属バー540(短絡電極)を第1、第2外部電極ピン26a、26b上に設けてもよい。この場合、上面図は、図13と同様になる。
【0104】
以上、説明したように、実施の形態5によれば、第2ソース電極と深さ方向に対向する位置に第1p+型ベース領域を深く形成し、p+型領域を設けている。または、p+型領域と同じ位置にn+型領域を設けている。p+型領域またはn+型領域にホール電流が流れ、第2ソース電極にホール電流をより引き抜きやすくして、活性領域端部への電流集中をより緩和することができる。さらに、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。また、実施の形態2~4と同等の短絡電極を設けることにより、実施の形態2~4と同様の効果を得ることができる。
【0105】
(実施の形態6)
次に、実施の形態6にかかる炭化珪素半導体装置の構造について説明する。図18は、実施の形態6にかかる炭化珪素半導体装置の構造を示す断面図である。上面図は、実施の形態1と同様であるため、記載を省略する。実施の形態6にかかる炭化珪素半導体装置が実施の形態5にかかる炭化珪素半導体装置と異なる点は、ソースリング領域170の第2ソース電極12bが、トレンチ16内に設けられている点である。以下、活性領域150のトレンチ16を第1トレンチ(第1のトレンチ)16aと、ソースリング領域170のトレンチ16を第2トレンチ(第2のトレンチ)16bと称する。
【0106】
図18に示すように、第2トレンチ16bは、層間絶縁膜11、p++型コンタクト領域8、p型ベース層6を貫通して第1p+型ベース領域3に達する。第2トレンチ16b内に、第2ソース電極12bが埋め込まれている。第2ソース電極12bは、実施の形態1と同様に、NiSi電極15、第1TiN膜20、第1Ti膜21、第2TiN膜22、第2Ti膜33およびAl合金膜29が積層されている多層膜である。第2ソース電極12bの一部は、第2トレンチ16の上方から第2の第2保護膜25b側に突出している。
【0107】
第2ソース電極12bの表面に第2めっき膜14bが設けられる。第2ソース電極12bの表面の第2めっき膜14b以外の部分は、第1保護膜23で覆われている。具体的には、第2ソース電極12bを覆うように第1保護膜23が設けられており、第1保護膜23の開口部には、第2めっき膜14bが設けられている。第2めっき膜14bは、第2の第2保護膜25bで囲まれていてもよい。第2めっき膜14bは、第2ソース電極12bの全面に設けられてもよいし、選択的に、例えば、ソースリング領域170のコーナー部の第2ソース電極12bにのみ設けられてもよい。また、実施の形態6の第2ソース電極12bの幅は、実施の形態1~5の第2ソース電極12bの幅と同程度でよい。
【0108】
また、第2トレンチ16bの底部にp+型領域30が設けられていてもよい。p+型領域30は、第2p+型ベース領域4と同様に第2トレンチ16bを保護するとともに、実施の形態5のp+型領域30と同様に第2ソース電極12bにホール電流を引き抜きやすくする。このように、第2トレンチ16b内に第2ソース電極12bを設けることで、p型領域(p++型コンタクト領域8、第1p+型ベース領域3およびp型ベース層6)との接触面積を増やし、コンタクト抵抗を下げることができる。
【0109】
図19は、実施の形態6にかかる炭化珪素半導体装置の構造を示す他の断面図である。図19に示すように、p+型領域30の代わりにn+型領域31を設けた形態であってもよい。p+型領域30と同様にn+型領域31にホール電流を流れやすくするため、例えば、n+型領域31の不純物濃度は、n型炭化珪素エピタキシャル層2の不純物濃度より高い。また、n+型領域31の深さ、幅はp+型領域30と同様でよい。
【0110】
また、実施の形態6にかかる炭化珪素半導体装置では、実施の形態1の第1ソース電極12aと第2ソース電極12bとが短絡電極500で電気的に接続されない形態を示しているが、実施の形態2のように短絡電極500を設けてもよい。この場合、上面図は、図9と同様になる。また、実施の形態3のように、短絡電極500を、分断領域550を設けることなく設けてもよい。この場合、上面図は、図11と同様になる。また、実施の形態4のように、金属バー540(短絡電極)を第1、第2外部電極ピン26a、26b上に設けてもよい。この場合、上面図は、図13と同様になる。
【0111】
以上、説明したように、実施の形態6によれば、第2トレンチ内に第2ソース電極を設けることで、p型領域との接触面積を増やし、コンタクト抵抗を下げることができる。また、第2トレンチ底部にp+型領域またはn+型領域を設けている。p+型領域またはn+型領域にホール電流が流れ、第2ソース電極からホール電流をより引き抜きやすくして、活性領域端部への電流集中をより緩和することができる。さらに、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。また、実施の形態2~4と同等の短絡電極を設けることにより、実施の形態2~4と同様の効果を得ることができる。
【0112】
(実施の形態7)
次に、実施の形態7にかかる炭化珪素半導体装置の構造について説明する。図20は、実施の形態7にかかる炭化珪素半導体装置の構造を示す断面図である。上面図は、実施の形態1と同様であるため、記載を省略する。実施の形態7にかかる炭化珪素半導体装置が実施の形態1~4にかかる炭化珪素半導体装置と異なる点は、ソースリング領域170のn型炭化珪素エピタキシャル層2と第1p+型ベース領域3との界面において、第2ソース電極12bと深さ方向に対向する位置にライフタイムキラー領域32を設けている点である。
【0113】
図20に示すように、ライフタイムキラー領域32は、ソースリング領域170のn型炭化珪素エピタキシャル層2と第1p+型ベース領域3との界面に設けられている。つまり、ライフタイムキラー領域32の第2ソース電極12b側の表面は、第1p+型ベース領域3内に設けられ、ライフタイムキラー領域32のドレイン電極13側の表面は、n型炭化珪素エピタキシャル層2内に設けられる。ライフタイムキラー領域32のドレイン電極13側の表面はn+型炭化珪素基板1に達していてもよい。ライフタイムキラー領域32は、第2ソース電極12bの幅よりも広いことが好ましい。少なくとも、層間絶縁膜11に開口したコンタクトホールの幅よりも広いことが好ましい。
【0114】
ライフタイムキラー領域32は、例えば、電子線やプロトン(H+),ヘリウム(He)、白金(Pt)などを照射することにより、結晶構造にダメージが設けられている領域である。ライフタイムキラー領域32を設けることにより、ソースリング領域170でのキャリアのライフタイムを短くすることができ、エッジ終端領域168から活性領域150へ流れ込むホール電流を減少させることができ、活性領域150への電流集中をより緩和することができる。また、ライフタイムキラー領域32とp+型領域30の両方を設ける形態でもよいし、ライフタイムキラー領域32とn+型領域31の両方を設ける形態でもよい。
【0115】
また、実施の形態7にかかる炭化珪素半導体装置では、実施の形態1の第1ソース電極12aと第2ソース電極12bとが短絡電極500で電気的に接続されない形態を示しているが、実施の形態2のように短絡電極500を設けてもよい。この場合、上面図は、図9と同様になる。また、実施の形態3のように、短絡電極500を、分断領域550を設けることなく設けてもよい。この場合、上面図は、図11と同様になる。また、実施の形態4のように、金属バー540(短絡電極)を第1、第2外部電極ピン26a、26b上に設けてもよい。この場合、上面図は、図13と同様になる。
【0116】
以上、説明したように、実施の形態7によれば、第2ソース電極と深さ方向に対向する位置にライフタイムキラー領域を設けている。ライフタイムキラー領域より、ソースリング領域でのキャリアのライフタイムを短くすることができ、エッジ終端領域から活性領域へ流れ込むホール電流を減少させることができ、活性領域端部への電流集中をより緩和することができる。さらに、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。また、実施の形態2~4と同等の短絡電極を設けることにより、実施の形態2~4と同様の効果を得ることができる。
【0117】
(実施の形態8)
次に、実施の形態8にかかる炭化珪素半導体装置の構造について説明する。図21は、実施の形態8にかかる炭化珪素半導体装置の構造を示す断面図である。上面図は、実施の形態1と同様であるため、記載を省略する。実施の形態8にかかる炭化珪素半導体装置が実施の形態7にかかる炭化珪素半導体装置と異なる点は、ソースリング領域170の第2ソース電極12bが、第2トレンチ16b内に設けられている点である。
【0118】
図21に示すように、第2トレンチ16bは、層間絶縁膜11、p++型コンタクト領域8およびp型ベース層6を貫通して第1p+型ベース領域3に達する。第2トレンチ16b内に、第2ソース電極12bが埋め込まれている。第2ソース電極12bは、実施の形態1と同様に、NiSi電極15、第1TiN膜20、第1Ti膜21、第2TiN膜22、第2Ti膜33およびAl合金膜29が積層されている多層膜である。第2ソース電極12bの一部は、第2トレンチ16bの上方から第2の第2保護膜25b側に突出している。
【0119】
第2ソース電極12bの表面に第2めっき膜14bが設けられる。第2ソース電極12bの表面の第2めっき膜14b以外の部分は、第1保護膜23で覆われている。具体的には、第2ソース電極12bを覆うように第1保護膜23が設けられており、第1保護膜23の開口部には、第2めっき膜14bが設けられている。第2めっき膜14bは、第2の第2保護膜25bで囲まれていてもよい。第2めっき膜14bは、第2ソース電極12bの全面に設けられてもよいし、選択的に、例えば、ソースリング領域170のコーナー部の第2ソース電極12bにのみ設けられてもよい。また、実施の形態8の第2ソース電極12bの幅は、実施の形態1~4の第2ソース電極12bの幅と同程度でよい。
【0120】
図21に示すように、ライフタイムキラー領域32は、ソースリング領域170のn型炭化珪素エピタキシャル層2と第1p+型ベース領域3との界面に設けられている。つまり、ライフタイムキラー領域32の第2ソース電極12b側の表面は、第1p+型ベース領域3内に設けられ、ライフタイムキラー領域32のドレイン電極13側の表面は、n型炭化珪素エピタキシャル層2内に設けられる。ライフタイムキラー領域32のドレイン電極13側の表面はn+型炭化珪素基板1に達していてもよい。ライフタイムキラー領域32は、第2トレンチ16bの幅よりも広いことが好ましい。
【0121】
ライフタイムキラー領域32は、例えば、電子線やプロトン(H+)、ヘリウム(He)や白金(Pt)などを照射することにより、結晶構造にダメージが設けられている領域である。ライフタイムキラー領域32を設けることにより、ソースリング領域170でのキャリアのライフタイムを短くすることができ、エッジ終端領域168から活性領域150へ流れ込むホール電流を減少させることができ、活性領域150への電流集中をより緩和することができる。
【0122】
また、実施の形態8にかかる炭化珪素半導体装置では、実施の形態1の第1ソース電極12aと第2ソース電極12bとが短絡電極500で電気的に接続されない形態を示しているが、実施の形態2のように短絡電極500を設けてもよい。この場合、上面図は、図9と同様になる。また、実施の形態3のように、短絡電極500を、分断領域550を設けることなく設けてもよい。この場合、上面図は、図11と同様になる。また、実施の形態4のように、金属バー540(短絡電極)を第1、第2外部電極ピン26a、26b上に設けてもよい。この場合、上面図は、図13と同様になる。
【0123】
以上、説明したように、実施の形態8によれば、第2トレンチ内に第2ソース電極を設けることで、p型領域との接触面積を増やし、コンタクト抵抗を下げることができる。また、第2トレンチ底部にライフタイムキラー領域を設けている。ライフタイムキラー領域により、ソースリング領域でのキャリアのライフタイムを短くすることができ、エッジ終端領域から活性領域へ流れ込むホール電流を減少させることができ、活性領域端部への電流集中をより緩和することができる。さらに、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。また、実施の形態2~4と同等の短絡電極を設けることにより、実施の形態2~4と同様の効果を得ることができる。
【0124】
以上において本発明は本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であり、上述した各実施の形態において、例えば各部の寸法や不純物濃度等は要求される仕様等に応じて種々設定される。また、上述した各実施の形態では、ワイドバンドギャップ半導体として炭化珪素を用いた場合を例に説明しているが、炭化珪素以外の例えば窒化ガリウム(GaN)などのワイドバンドギャップ半導体にも適用可能である。また、各実施の形態では第1導電型をn型とし、第2導電型をp型としたが、本発明は第1導電型をp型とし、第2導電型をn型としても同様に成り立つ。
【産業上の利用可能性】
【0125】
以上のように、本発明にかかる半導体装置は、インバータなどの電力変換装置や種々の産業用機械などの電源装置や自動車のイグナイタなどに使用されるパワー半導体装置に有用である。
【符号の説明】
【0126】
1、1001 n+型炭化珪素基板
2、1002 n型炭化珪素エピタキシャル層
2a 第1n型炭化珪素エピタキシャル層
2b 第2n型炭化珪素エピタキシャル層
3、1003 第1p+型ベース領域
3a 下部第1p+型ベース領域
3b 上部第1p+型ベース領域
4、1004 第2p+型ベース領域
5、1005 n型高濃度領域
5a 下部n型高濃度領域
5b 上部n型高濃度領域
6、1006 p型ベース層
7、1007 n+型ソース領域
8、1008 p++型コンタクト領域
9、1009 ゲート絶縁膜
10、1010 ゲート電極
10a 第1ゲート電極
10b 第2ゲート電極
11、1011 層間絶縁膜
12、1012 ソース電極
12a 第1ソース電極
12b 第2ソース電極
13、1013 裏面電極
14、1014 めっき膜
14a 第1めっき膜
14b 第2めっき膜
15、1015 NiSi電極
16、1016 トレンチ
16a 第1トレンチ
16b 第2トレンチ
17、1017 ゲート配線電極
20、1020 第1TiN膜
21、1021 第1Ti膜
22、1022 第2TiN膜
23、1023 第1保護膜
24、1024 はんだ
24a 第1はんだ
24b 第2はんだ
25、1025 第2保護膜
25a 第1の第2保護膜
25b 第2の第2保護膜
26、1026 外部電極ピン
26a 第1外部電極ピン
26b 第2外部電極ピン
29、1029 Al合金膜
30 p+型領域
31 n+型領域
32 ライフタイムキラー領域
33、1033 第2Ti膜
34 p型領域
100、1100 ゲート電極パッド
104、1104 ソース電極パッド
150、1150 活性領域
150a 有効領域
160、1160 ゲートリング領域
163、1163 第1JTE領域
165、1165 第2JTE領域
167、1167 n+型ストッパー領域
168、1168 エッジ終端領域
170 ソースリング領域
202、1202 電流センス部の電極パッド
230、1230 電流センス部の活性領域
400、1400 高機能領域
500 短絡電極
530、1530 絶縁膜
532 第2絶縁膜
540 金属バー(短絡電極)
550 分断領域
600、1600 半導体チップ
図1
図2
図3
図4
図5
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図9
図10
図11
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図19
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図23