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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】用紙処理装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B26D 5/20 20060101AFI20231219BHJP
   B65H 37/00 20060101ALI20231219BHJP
   B65H 45/30 20060101ALI20231219BHJP
   B26D 11/00 20060101ALI20231219BHJP
   B26D 7/06 20060101ALI20231219BHJP
   B26D 5/08 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
B26D5/20 C
B65H37/00
B65H45/30
B26D11/00
B26D7/06 Z
B26D5/08 B
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2019170964
(22)【出願日】2019-09-20
(65)【公開番号】P2021045834
(43)【公開日】2021-03-25
【審査請求日】2022-08-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 政行
(72)【発明者】
【氏名】峰 英紀
(72)【発明者】
【氏名】横谷 高広
(72)【発明者】
【氏名】小片 智史
(72)【発明者】
【氏名】吉村 和俊
【審査官】石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-052741(JP,A)
【文献】特開2019-112157(JP,A)
【文献】特開2012-246147(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0016750(US,A1)
【文献】特開2016-023009(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26D 5/20
B65H 37/00
B65H 45/30
B26D 11/00
B26D 7/06
B26D 5/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙に画像を形成する画像形成部と前記画像形成部により画像が形成された用紙に対して後処理を行う用紙処理装置とを備えた画像形成装置であって、
前記用紙処理装置は、
用紙搬送方向において前記画像形成部の下流に配置され、
前記画像形成部により画像が形成された用紙を搬送する用紙搬送部と、
前記用紙搬送部による用紙の搬送と協働して用紙に第1種の処理を施す第1種処理ユニットと、
前記用紙搬送部による用紙の搬送の停止中に用紙に第2種の処理を施す第2種処理ユニットと、
前記用紙搬送部、前記第1種処理ユニット及び前記第2種処理ユニットを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、一の用紙に対する前記第1種処理ユニットの動作状態を、前記第2種の処理の動作に対応して変更する変更制御が可能にされ
前記変更制御による動作状態の変更は、駆動状態から、用紙の搬送に対して従動状態である画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記変更制御にあたって、一の用紙に対する前記第1種の処理の期間中における前記第1種処理ユニットの動作状態を、前記第2種の処理の動作開始時に対応して変更した後、当該第2種の処理の終了後も維持する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第1種処理ユニットは、前記第1種の処理を行う刃物を有し、前記制御部からの制御指令によって当該刃物の回転駆動と、駆動モーターから切り離した回転自由とを切替可能にされている請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
用紙に画像を形成する画像形成部と前記画像形成部により画像が形成された用紙に対して後処理を行う用紙処理装置とを備えた画像形成装置であって、
前記用紙処理装置は、
用紙搬送方向において前記画像形成部の下流に配置され、
前記画像形成部により画像が形成された用紙を搬送する用紙搬送部と、
前記用紙搬送部による用紙の搬送と協働して用紙に第1種の処理を施す第1種処理ユニットと、
前記用紙搬送部による用紙の搬送の停止中に用紙に第2種の処理を施す第2種処理ユニットと、
前記用紙搬送部、前記第1種処理ユニット及び前記第2種処理ユニットを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、一の用紙に対する前記第1種処理ユニットの動作状態を、前記第2種の処理の動作に対応して変更する変更制御が可能にされ
前記制御部は、一の用紙に形成される画像情報を取得し、当該一の用紙につき前記第1種の処理の期間中に前記第2種の処理の動作がある場合に、前記画像情報に基づいて前記変更制御を実行するか否かを判断する画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、用紙上の前記第1種の処理の対象位置と、前記画像情報とに基づいて前記変更制御を実行するか否かを判断する請求項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記画像形成部から搬送される用紙の搬送スピードと同期をとるための同期搬送部を備える、請求項1から請求項5のうちいずれか一に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記同期搬送部は前記画像形成部と前記用紙処理装置の間に配置される、請求項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記用紙搬送部は、前記第1種処理ユニットおよび前記第2種処理ユニットに用紙を搬送するための第1の経路と、長尺紙を迂回させて搬送可能な第2の経路を含む、請求項1から請求項のうちいずれか一に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記第1種処理ユニットは、前記第1種の処理を行う刃物により、用紙搬送方向に用紙に対する後処理を行い、前記第2種処理ユニットは、前記第2種の処理を行う刃物により、用紙搬送方向と直交する方向に用紙に対する後処理を行う、請求項1から請求項のうちいずれか一に記載の画像形成装置。
【請求項10】
用紙を搬送する用紙搬送部と、
前記用紙搬送部による用紙の搬送と協働して用紙に第1種の処理を施す第1種処理ユニットと、
前記用紙搬送部による用紙の搬送の停止中に用紙に第2種の処理を施す第2種処理ユニットと、
前記用紙搬送部、前記第1種処理ユニット及び前記第2種処理ユニットを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、一の用紙に対する前記第1種処理ユニットの動作状態を、前記第2種の処理の動作に対応して、駆動状態から用紙の搬送に対する従動状態に変更する変更制御が可能にされている用紙処理装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記変更制御にあたって、一の用紙に対する前記第1種の処理の期間中における前記第1種処理ユニットの動作状態を、前記第2種の処理の動作開始時に対応して変更した後、当該第2種の処理の終了後も維持する請求項10に記載の用紙処理装置。
【請求項12】
前記第1種処理ユニットは、前記第1種の処理を行う刃物を有し、前記制御部からの制御指令によって当該刃物の回転駆動と、駆動モーターから切り離した回転自由とを切替可能にされている請求項11に記載の用紙処理装置。
【請求項13】
用紙を搬送する用紙搬送部と、
前記用紙搬送部による用紙の搬送と協働して用紙に第1種の処理を施す第1種処理ユニットと、
前記用紙搬送部による用紙の搬送の停止中に用紙に第2種の処理を施す第2種処理ユニットと、
前記用紙搬送部、前記第1種処理ユニット及び前記第2種処理ユニットを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、一の用紙に形成される画像情報に基づき、一の用紙に対する前記第1種処理ユニットの動作状態を、前記第2種の処理の動作に対応して変更する変更制御を実行するか否かを判断する用紙処理装置。
【請求項14】
前記制御部は、用紙上の前記第1種の処理の対象位置と、前記画像情報とに基づいて前記変更制御を実行するか否かを判断する請求項13に記載の用紙処理装置。
【請求項15】
前記第1種処理ユニットは、前記第1種の処理を行う刃物により、用紙搬送方向に用紙に対する後処理を行い、前記第2種処理ユニットは、前記第2種の処理を行う刃物により、用紙搬送方向と直交する方向に用紙に対する後処理を行う、請求項10から請求項14のうちいずれか一に記載の用紙処理装置。
【請求項16】
用紙に画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部により画像が形成された用紙に対して後処理を行う後処理装置としての請求項10から請求項15のうちいずれか一に記載の用紙処理装置と、を備える画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙処理装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置本体により画像が形成された用紙に対して、断裁、ミシン目加工、綴じ加工、折り目加工等の様々な後処理を行う後処理装置(用紙処理装置)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-321000号公報
【文献】特開2008-36838号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、後処理装置においては、用紙を搬送して行う処理ユニットと、用紙の搬送を停止して行う処理ユニットとが混在する場合がある。例えば、用紙搬送方向に断裁する処理と、用紙幅方向に断裁する処理である。
その場合に、時間的、空間的な効率化の関係上、用紙を搬送して行う処理ユニットの処理が行われる搬送区間内に、用紙の搬送を停止して行う処理ユニットの処理位置が配置される場合がある。この場合、用紙の搬送を一旦停止して後者の処理を行う必要がある。
しかしながら、用紙を搬送して行う処理ユニットの処理が行われる搬送区間内において、用紙の一旦停止が入ると、その影響が処理後の成果物(印刷物)に現れ、処理品質が劣化するおそれがある。
【0005】
本発明は以上の従来技術における問題に鑑みてなされたものであって、処理品質を落とさずに効率よく用紙を処理することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの態様の画像形成装置は、
用紙に画像を形成する画像形成部と前記画像形成部により画像が形成された用紙に対して後処理を行う用紙処理装置とを備えた画像形成装置であって、
前記用紙処理装置は、
用紙搬送方向において前記画像形成部の下流に配置され、
前記画像形成部により画像が形成された用紙を搬送する用紙搬送部と、
前記用紙搬送部による用紙の搬送と協働して用紙に第1種の処理を施す第1種処理ユニットと、
前記用紙搬送部による用紙の搬送の停止中に用紙に第2種の処理を施す第2種処理ユニットと、
前記用紙搬送部、前記第1種処理ユニット及び前記第2種処理ユニットを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、一の用紙に対する前記第1種処理ユニットの動作状態を、前記第2種の処理の動作に対応して変更する変更制御が可能にされ
前記変更制御による動作状態の変更は、駆動状態から、用紙の搬送に対して従動状態である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、処理品質を落とさずに効率よく用紙を処理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の内部構成を示す図である。
図2】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の制御構造を示す機能ブロック図である。
図3】本発明の一実施形態に係る用紙処理装置内の主要要素を横から見た模式図である。
図4】本発明の一実施形態に係る用紙処理装置内の主要要素を上から見た模式図である。
図5】本発明の一実施形態に係る用紙処理装置内の主要要素を上から見た模式図であって、図4とは一部異なる。
図6】本発明の一実施形態に係る用紙処理のフローチャートである。
図7図8のタイミングチャートに対応した装置構成を示す模式図である。
図8】本発明の一実施形態に係る用紙処理のタイミングチャートである。
図9図8に係るタイミングチャートが適用される用紙処理例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に本発明の一実施形態につき図面を参照して説明する。以下は本発明の一実施形態であって本発明を限定するものではない。
【0010】
〔画像形成装置の概要〕
本実施形態に係る画像形成装置1は、図1及び図2に示すように、画像形成装置本体100と、リレーユニットRUと、後処理装置(用紙処理装置)200と、フィニッシャーFSと、を備えて構成されている。
【0011】
画像形成装置本体100は、原稿から画像を読み取って得られた画像データ、又は、外部装置から受信した画像データに基づいて、電子写真方式によりカラー画像を形成する。
画像形成装置本体100は、図1及び図2に示すように、操作部11と、表示部12と、原稿読取ユニット13と、画像形成部14と、給紙部15と、画像形成制御部16と、記憶部17と、コントローラーIF(Inter Face)18と、画像処理部19と、を備えて構成されている。
【0012】
操作部(受付手段)11は、表示部12の表示画面上を覆うように形成されたタッチパネルや、数字ボタン、スタートボタン等の各種操作ボタンを備え、ユーザーの操作に基づく操作信号を画像形成制御部16に出力する。
【0013】
表示部(表示手段)12は、LCD(Liquid Crystal Display)により構成され、画像形成制御部16から入力される表示信号の指示に従って各種画面を表示する。
【0014】
原稿読取ユニット13は、ADF(自動原稿給紙装置)、スキャナー等を備え、原稿の画像を読み取って得られた画像データを画像形成制御部16に出力する。
【0015】
画像形成部14は、画像処理部19により画像処理が行われた画像データに基づいて、給紙部15から供給された用紙上に画像を形成する。
画像形成部14は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色に対応する感光体ドラム141Y,141M,141C,141K、中間転写ベルト142、2次転写ローラー143、定着部144、濃度センサー145等を備えて構成されている。
【0016】
感光体ドラム141Yは、一様に帯電された後、イエロー色の画像データに基づいてレーザービームにより走査露光され、静電潜像が形成される。そして、感光体ドラム141Y上の静電潜像にイエロー色のトナーが付着され、現像が行われる。
感光体ドラム141M,141C,141Kについても、扱う色が異なることを除いて、感光体ドラム141Yと同様であるため、説明を省略する。
【0017】
感光体ドラム141Y,141M,141C,141K上に形成された各色のトナー像は、回転する中間転写ベルト142上に逐次転写される(1次転写)。すなわち、中間転写ベルト142上には、4色のトナー像が重ね合わされたカラートナー像が形成される。
中間転写ベルト142上のカラートナー像は、2次転写ローラー143により、用紙上に一括して転写される(2次転写)。
【0018】
定着部144は、カラートナー像が転写された用紙を加熱する加熱ローラー、当該用紙を加圧する加圧ローラーを備え、加熱・加圧によりカラートナー像を用紙に定着させる。
【0019】
給紙部15は、給紙トレイT11~T13を備え、画像形成部14に用紙を供給する。各給紙トレイT11~T13には、給紙トレイごとに予め定められた紙種やサイズの用紙が収納されている。
【0020】
画像形成制御部(制御手段)16は、CPU、ROM、メモリーを備えて構成される。
CPUは、ROMに記憶されている各種処理プログラムを読み出し、当該プログラムに従って、画像形成装置本体100の各部の動作を集中制御する。また、CPUは、出力された用紙に対して後処理を行う場合には、後処理装置200に所定の後処理を実行する指示を出す。
ROMは、不揮発性の半導体メモリー等により構成され、各種処理プログラム、当該プログラムの実行に必要なパラメーターやファイル等を記憶している。
メモリーは、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等により構成され、プログラムや各種画像処理に係る画像データ等の各種データを一時的に記憶する。
【0021】
記憶部17は、プログラムや画像データ等の各種データを記憶するHDD(Hard Disk Drive)、半導体メモリー等の不揮発性の記憶装置である。記憶部17には、プログラム
データや各種設定データ等のデータを画像形成制御部16から読み書き可能に記憶する。
【0022】
コントローラーIF18は、外部装置から入力される画像データを受信する。
【0023】
画像処理部19は、記憶部17に記憶された画像データ、原稿読取ユニット13により原稿から画像を読み取って得られた画像データ、外部装置から入力された画像データに必要な画像処理を行い、画像処理後の画像データを画像形成部14に送信する。画像処理には、階調処理、中間調処理、色変換処理等が含まれる。階調処理は、画像データの各画素の階調値を、用紙上に形成された画像の濃度特性が目標の濃度特性と一致するように補正された階調値に変換する処理である。中間調処理は、誤差拡散処理、組織的ディザ法を用いたスクリーン処理等である。色変換処理は、RGBの各階調値をCMYKの各階調値に変換する処理である。
【0024】
リレーユニットRUは、画像形成装置本体100と後処理装置200との間に設置され、画像形成装置本体100から搬送されてくる用紙の搬送スピードと同期をとる機能を備える。
【0025】
後処理装置200は、リレーユニットRUから出力された用紙に、必要に応じて後処理を行う装置である。後処理としては、例えば、スリッター処理、ドブスリッター処理、CD断裁処理、クリース処理、FD/CDミシン処理等が挙げられる。後処理は必須ではなく、後処理装置200は、画像形成装置本体100から指示された場合のみ実行する。後処理がない場合、後処理装置200は搬送された用紙をそのままフィニッシャーFSに搬
送する。
【0026】
後処理装置200は、図1及び図2に示すように、用紙搬送部210と、後処理ユニットM1~M4と、後処理装置200からパージする用紙を排紙するパージトレイT1と、後処理装置200で名刺/カードのサイズに断裁された用紙を排紙するカードトレイT2と、後処理制御部220と、を備えて構成されている。
【0027】
用紙搬送部210は、リレーユニットRUから搬送された用紙を後処理ユニットM1~M4に搬送し、後処理ユニットM1~M4で後処理が行われた用紙を各種トレイ(パージトレイT1、カードトレイT2)又はフィニッシャーFSに搬送する。
【0028】
用紙搬送部210は、後処理ユニットM1に搬送する用紙の曲がりを補正する曲がり補正機能を有するストレート搬送経路211と、後処理ユニットM1に搬送する長尺紙を迂回させてCD方向(用紙幅方向)の整合を行うCD整合機能を有する長尺ユニット212と、後処理ユニットM1~M4による後処理後に用紙(定型サイズまでの用紙)を反転してフィニッシャーFSに排紙する反転排紙経路213と、用紙をパージトレイT1に排紙する排紙経路と用紙(定型サイズまでの用紙)を反転する反転経路とを兼ねる兼用経路214と、後処理ユニットM1~M4による後処理後に長尺紙を反転する反転経路としての長尺ユニット215と、を備えて構成されている。
【0029】
後処理ユニットM1~M4は、搬送されてきた用紙に後処理を行う。後処理ユニットM1~M4は、用紙の一部がスペース経路(反転排紙経路213、兼用経路214又は長尺ユニット215)内に収容された状態で、後処理を行う。
【0030】
後処理制御部220は、CPU、ROM、メモリーを備えて構成される。
CPUは、ROMに記憶されている各種処理プログラムを読み出し、当該プログラムに従って、後処理装置200の各部の動作を集中制御する。例えば、CPUは、画像形成装置本体100の画像形成制御部16と情報の伝達を行い、操作部11を介して後処理位置の反転の設定が受け付けられた場合、当該設定に基づく後処理を後処理ユニットM1~M4に行わせる。
【0031】
フィニッシャーFSは、画像形成後の用紙に対して、ホチキス留めや紙折り、穴あけ等を行う機能を備えている。
【0032】
〔後処理の割り込み制御〕
次に、後処理装置200においてFD方向(用紙搬送方向)の処理の期間中にCD方向の処理の割り込みがある場合について、図3図9を参照して説明する。
まず、具体的処理例を挙げる。
図3及び図4に示すように、用紙搬送の上流側から後処理ユニットM1~M4が並んでいる。
後処理ユニットM1は、用紙SをFD方向に断裁する処理を行うものであり、CD方向の軸回りに回転する切断刃M1aを有する。
後処理ユニットM2は、用紙にCD方向のミシン目を付ける処理を行うものであり、FD方向の軸回りに回転しCD方向に移動するミシン目刃M2aを有する。
後処理ユニットM3は、用紙SにFD方向のミシン面を付ける処理を行うものであり、CD方向の軸回りに回転するミシン目刃M3aを有する。
なお、回転刃の対向位置には通常、用紙押え用のプーリーが配置される。
後処理ユニットM4は、用紙SをCD方向に断裁する処理を行うものであり、CD方向に延在する刃を有した上側可動刃M4a及び下側固定刃M4bを有する。上側可動刃M4aは上下動する。
図5に示すように後処理ユニットM3は、用紙SをFD方向の2本の切断ラインで切断するドブスリッター処理を行うものであってもよい。
FD方向の処理は、用紙搬送部210による用紙Sの搬送と協働して用紙Sに処理を施すものである。すなわち、第1種の処理である。したがって、後処理ユニットM1及び後処理ユニットM3は、第1種処理ユニットである。
CD方向の処理は、用紙搬送部210による用紙Sの搬送の停止中に用紙Sに処理を施すものである。すなわち、第2種の処理である。したがって、後処理ユニットM2及び後処理ユニットM4は、第1種処理ユニットである。
後処理制御部220は、用紙搬送部210、第1種処理ユニットM1,M3及び第2種処理ユニットM2,M4を制御して、以下のように後処理を制御する。
【0033】
図6に示すように後処理制御部220は、画像形成制御部16から後処理情報及び画像情報を入手する(S1,S2)。
次に後処理制御部220は、上記後処理情報に基づき、FD方向処理(第1種の処理)中にCD方向処理(第2種の処理)が必要になるか否か判断する(S3)。
後処理制御部220は、ステップS3でYesの場合、上記後処理情報及び画像情報に基づき、そのFD方向処理は画像領域内か否か判断する(S4)。これにより後処理制御部220は、用紙S上の第1種の処理の対象位置と、画像情報とに基づいて変更制御を実行するか否かを判断する。ここでのFD方向処理は、CD方向処理により中断されるものに限る。
以上のように後処理制御部220は、一の用紙Sに形成される画像情報を取得し、当該一の用紙Sにつき第1種の処理の期間中に第2種の処理の動作がある場合に、画像情報に基づいて変更制御を実行するか否かを判断する。
【0034】
後処理制御部220は、ステップS4でYesの場合、そのFD方向処理の期間中に、用紙がCD方向処理の位置に来たら、用紙搬送を停止して第2種処理ユニット(M2又はM4)に当該CD方向処理を実行させる。そして、当該CD方向処理中に、当該FD方向処理を担当している第1種処理ユニット(M1又はM3)の動作を停止する(S5)。後処理ユニットM1であれば、切断刃M1aの回転を停止する。後処理ユニットM3であれば、ミシン目刃M3aの回転を停止する。ここで、回転の停止の仕方として、用紙Sの搬送に対して従動状態とすることができる。したがって、用紙搬送を停止とともに一旦停止するが、用紙搬送の再開により刃物(M1a,M3a)は用紙Sに接触、従動して回転を再開する。
【0035】
後処理制御部220は、ステップS3でNo又はステップS4でNoの場合は、同じく、そのFD方向処理の期間中に、用紙がCD方向処理の位置に来たら、用紙搬送を停止して第2種処理ユニット(M2又はM4)に当該CD方向処理を実行させる。しかし、当該CD方向処理中に、当該FD方向処理を担当している第1種処理ユニット(M1又はM3)の動作をそのまま継続させる(S6)。後処理ユニットM1であれば、切断刃M1aの回転を継続する。後処理ユニットM3であれば、ミシン目刃M3aの回転を継続する。
いずれにしても、CD方向の処理の割り込みによるFD方向処理(第1種の処理)の中断がある前は、第1種処理ユニット(M1又はM3)は駆動状態である。
【0036】
後処理制御部220は、以上の条件設定の下、後処理を実行させる(S7)。
図3図4に示した例で具体的に説明する。本例では、ミシン目刃M3aを駆動状態から従動回転に変更制御する場合につき説明する。
図4において用紙S内の実線枠P1は断裁予定ラインを、破線P2はFD方向のミシン目予定ラインを、破線P3はCD方向のミシン目予定ラインを、一点鎖線Iは画像領域を示す。なお、図5において一点鎖線P4はドブスリット予定ラインを示す。
本例では特に後処理ユニットM3(FD方向ミシン目ユニット)の動作に関して説明する。
画像形成装置本体100にて印刷された用紙Sを搬送し、図4のようにFD/CD方向断裁、及び、FD/CD方向ミシン目付けを処理する場合、処理の順番としては以下のようになる。
(1)FD断裁開始→(2)FD方向ミシン目開始→(3)CD方向断裁実施(先端側)→(4)CD方向ミシン目実施→(5)FD方向断裁終了→(6)FD方向ミシン目終了→(7)CD方向断裁実施(後端側)
【0037】
上記処理を詳しく説明すると、まずは(1)用紙Sに対して上流側に配置されたFD方向断裁の後処理ユニットM1により端面の断裁処理を開始する。次に(2)用紙Sの先端がFD方向のミシン目刃M3aの位置に来たときにFD方向ミシン目処理が開始される。この時、用紙Sの突入前にFD方向のミシン目刃M3aの回転を開始し、用紙Sの突入時には用紙搬送速度と同速となるようにミシン目刃M3aの回転制御を行う。次に(3)用紙先端側の断裁位置で用紙Sを一旦停止し、CD方向断裁の後処理ユニットM4によりCD方向の断裁処理を行う。ここで、上記(2)で回転制御したミシン目刃M3aは、事前に駆動モーターからの伝動を切断し、用紙に従動して回転するようにしておく。CD方向断裁処理後は、再び用紙搬送を行い、(4)CD方向のミシン目処理位置で停止させて、CD方向ミシン目付けの後処理ユニットM2によりCD方向のミシン目処理を行い、再び用紙搬送を行い、(5)FD方向断裁と(6)FD方向ミシン目は用紙後端まで実施し終了となり、(7)用紙後端のCD方向断裁位置で用紙を停止し、CD方向断裁の後処理ユニットM4によりCD方向断裁処理を行い、一の用紙Sに対する処理のシーケンスが完了する。
【0038】
以上のシーケンスを実施するために、第1種処理ユニットM1,M3は、後処理制御部220からの制御指令によって刃物(M1a,M3a)の回転駆動と、駆動モーターから切り離した回転自由とを切替可能にされている。刃物(M1a,M3a)の用紙に対する従動は、搬送方向のみで足りる。したがって、刃物(M1a,M3a)の回転軸にワンウェイクラッチを入れておけば、駆動モーターの回転を停止することにより刃物(M1a,M3a)の用紙に対する従動状態を実現できる。
【0039】
以上のように、後処理制御部220は、一の用紙Sに対する第1種の処理の期間中における第1種処理ユニット(M1,M3)の動作状態を、同期間中の第2種の処理の動作に対応して変更する変更制御が可能にされている。操作部(受付手段)11を介してユーザーの操作に基づき、同変更制御を適用するか否かの選択設定が可能とされている。同変更制御を適用する場合も、紙種などの条件付きで適用する選択設定が可能とされていてもよい。
具体的には、同変更制御による動作状態の変更は、駆動状態から、停止状態である。また、停止状態は、用紙の搬送に対して従動状態であることによる一時的な停止であり、ミシン目刃M3aは、用紙Sの搬送停止により回転停止する。
また、後処理制御部220は、同変更制御にあたって、一の用紙Sに対する第1種の処理の期間中における第1種処理ユニットの動作状態を、第2種の処理の動作開始時に対応して変更した後、当該第2種の処理の終了後も維持する。したがって、ミシン目刃M3aは、用紙Sの搬送再開により従動して回転する。
【0040】
図7図8及び図9を参照してさらに具体例を説明する。
図8のタイミングチャートに対応した装置構成が図8に、用紙処理例が図9に示される。用紙搬送方向上流側からFD方向のミシン目付けを行う後処理ユニットM10と、CD方向のミシン目付けを行う後処理ユニットM20とが並んでいる。後処理ユニットM10は、ミシン目刃M10aを有する。後処理ユニットM20は、ミシン目刃M20aを有する。
図7の駆動系、センサー類と、図8の駆動信号、センサー信号とに、対応関係の明示のため共通の符号(M01~M07)を付す。センサーM01,M03,M05,M07は、用紙の通過タイミングを検出する。
図8中にトリガー信号t1~t11を示す。破線で示す凸信号SAは、後処理ユニットM20の処理後に、後処理ユニットM10においてミシン目刃M10aの駆動回転を再開する場合の駆動信号であるが、ここでは実施しない。トリガー信号t3により用紙搬送とともにミシン目刃M10aの駆動を停止すると、ミシン目刃M10aは従動可能な状態で停止する。トリガー信号t6により用紙搬送が再開すると、ミシン目刃M10aも従動により回転を再開する。
【0041】
詳しく説明すると次の通りである。
画像形成装置本体100より印刷された用紙Sを受け入れ、入口センサーM01で用紙Sを検出すると、用紙搬送駆動をONさせて、各搬送ローラーを駆動させることで、後処理装置200内での用紙搬送制御を開始する(t1)。FDタイミングセンサーM03で用紙Sを検出すると、所定時間後にFDミシン目駆動M04をONさせてFDミシン目P01の処理を開始する(t2)。その後、CDタイミングセンサーM05で用紙Sを検出してから、予め設定されたCDミシン目処理を行う位置まで用紙搬送後に用紙搬送駆動をOFFさせて用紙Sを停止させるとともにFDミシン目駆動M04をOFFにした後(t3,t4)、CDミシン目駆動M06をONさせてCDミシン目P02の処理を開始する(t5)。
このCDミシン目処理中は、用紙Sの停止に合わせてFDミシン目駆動もOFFさせているので、ミシン目刃M10aの回転が停止している。
CDミシン目処理が終了したら、用紙搬送駆動M02をONさせ、FDミシン目駆動をOFFのままとして用紙搬送制御を開始すると共にFDミシン目処理を再開する(t6)。FDミシン目処理は、ミシン目刃M10aに接触して用紙Sが搬送されることにより、用紙の搬送を動力として行われる。
その後、FDタイミングセンサーM03で用紙Sの後端を検出すると、所定時間後にFDミシン目駆動M04をOFFさせてFDミシン目P01の処理を終了する(t7)。
その後、CDタイミングセンサーM05で用紙Sの後端を検出してから予め設定されたCDミシン目P03の処理を行う位置まで用紙Sを搬送した後に用紙搬送駆動M02をOFFさせた後(t8)、CDミシン目P03の処理を行い(t9)、終了後に、再度用紙搬送を行い(t10)、出口センサーM07で用紙Sの後端を検出してから所定時間後に用紙搬送駆動M02をOFFして、一の用紙Sに対する一連の処理動作を終了する(t11)。
【0042】
上述したように用紙を搬送して行う処理ユニットの処理が行われる搬送区間内において、用紙の一旦停止が入ると、その影響が処理後の成果物(印刷物)に現れ、処理品質が劣化するおそれがある。
しかし、本実施形態によれば、必要によりFD方向処理の刃の回転を一旦停止するので、処理品質を落とさずに効率よく用紙を処理することができる。
詳しく説明すると以下の通りである。
1枚の用紙に対して複数の処理を並行して行わなければならない場合、例えばFD方向処理中にCD方向処理を行う場合を説明すると、FD方向処理中は刃を回転させた状態で用紙を搬送しながら処理を行う必要があるが、この処理の途中でCD方向処理を行う場合、用紙を停止させる必要がある。
この際にFD方向処理は、用紙の搬送停止により一旦停止するため、FD方向処理の刃の回転は継続してもいいし、停止させても良い。
しかし、それぞれに関して問題がある。刃の回転を停止させた場合、用紙再搬送前までに刃が所定の回転速度まで達しないと用紙断裁の切れ味が鈍り、断面処理がきれいに仕上がらない場合がでたり、一旦停止させることで生産性低下への影響が出たりする。
また刃の回転を継続した場合、図4図5に示したように断裁刃の位置が画像領域内にあると、画像をこすり続けて刃の側面が汚れ、さらにその汚れにより用紙端面を汚してしまう場合がある。
したがって、本実施形態によれば、FD方向処理の刃の回転動作は、他のCD方向の処理ユニットの処理状況や、画像位置と処理位置などに基づき、画像がある位置では刃を停止するなど適切に制御するので、処理品質を落とさずに効率よく用紙を処理することができる。
【0043】
以上の実施形態では、割り込むCD方向の処理及び、割り込まれるFD方向の処理として、主にミシン目付けを例に挙げたが、これに限らず、割り込むCD方向の処理及び割り込まれるFD方向の処理は、断裁、ドブスリット、筋目付け、折り目付けなどであってもよい。
また以上の実施形態では、割り込む処理をCD方向の処理としたが、割り込む処理は、用紙搬送部210による用紙の搬送の停止中に用紙に施す第2種の処理であればよい。例えば、用紙の所定位置に丸孔を開けるパンチング処理は、用紙の搬送を停止して行う必要があるから、用紙搬送部210による用紙の搬送と協働して用紙に施す第1種の処理に対して割り込む処理となり得る。
また以上の実施形態では、割り込まれる処理をFD方向の処理としたが、割り込まれる処理は、用紙搬送部210による用紙の搬送と協働して用紙に施す第1種の処理であればよい。用紙の搬送を停止して行う第2種の処理にとって、割り込む対象となり得るからである。
また以上の実施形態では、駆動状態から従動状態への変更により一旦停止し、用紙搬送再開により従動回転する例を主に説明したが、駆動状態から強制停止により一旦停止した後、駆動を再開してもよい。
【符号の説明】
【0044】
1 画像形成装置
14 画像形成部
100 画像形成装置本体
200 後処理装置(用紙処理装置)
210 用紙搬送部
211 ストレート搬送経路
220 後処理制御部
M1~M4 後処理ユニット
S 用紙
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9