(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】発光装置の製造方法および導光板の製造方法
(51)【国際特許分類】
F21V 8/00 20060101AFI20231219BHJP
G09F 13/18 20060101ALI20231219BHJP
G02B 6/00 20060101ALI20231219BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20231219BHJP
【FI】
F21V8/00 100
F21V8/00 320
F21V8/00 340
G09F13/18 Q
G02B6/00 331
G02B6/00 301
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2019175950
(22)【出願日】2019-09-26
【審査請求日】2022-07-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100155712
【氏名又は名称】村上 尚
(72)【発明者】
【氏名】鬼塚 浩之
(72)【発明者】
【氏名】小野 貴広
(72)【発明者】
【氏名】藤田 純也
(72)【発明者】
【氏名】岸本 潤
【審査官】野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-252906(JP,A)
【文献】国際公開第2018/181853(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/186442(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/00
F21V 8/00
G09F 13/18
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源部と、
端部より入射し内部を導光する光をプリズムにて反射させて光出射面より出射させる複数の導光板と、を備え、
前記複数の導光板は、隣り合う導光板間で前記光出射面の角度が異なると共に、隣り合う導光板同士で端部を突き合わせた状態で連ねて配され、
前記光源部は、前記複数の導光板のうちの端にある始端導光板における、隣の導光板と突き合わせている側とは反対側の端部に配され、
前記複数の導光板における互いに突き合わせている端部の何れか一方の端面が、導光する光の角度を変えて隣の導光板へ入射させる反射機能付傾斜面に形成されている発光装置の製造方法であって、
端面が反射機能付傾斜面に形成された導光板を製造する工程に、
ナノインプリント工法でプリズムが設けられた第1面およびその反対側の光出射面となる第2面とが保護シートで覆われた母板より導光板を所定の形状に切り出す際に、所定の端面が前記第1面と前記第2面との間で所定の傾斜角度を有する傾斜面となるように切り出す切り出し工程と、
前記第1面および第2面を覆う保護シートをマスクに用いて、前記切り出し工程で切り出した所定の傾斜角度を有する前記端面に反射膜を成膜する成膜工程と、を含む発光装置の製造方法。
【請求項2】
前記成膜工程は、反射材料を蒸着させることで反射膜を成膜する請求項1に記載の発光装置の製造方法。
【請求項3】
端面が反射機能付傾斜面に形成された導光板の製造方法であって、
ナノインプリント工法でプリズムが設けられた第1面およびその反対側の光出射面となる第2面とが保護シートで覆われた母板より導光板を所定の形状に切り出す際に、所定の端面が前記第1面と前記第2面との間で所定の傾斜角度を有する傾斜面となるように切り出す切り出し工程と、
前記第1面および第2面を覆う保護シートをマスクに用いて、前記切り出し工程で切り出した所定の傾斜角度を有する前記端面に反射膜を成膜する成膜工程と、を含む導光板の製造方法。
【請求項4】
前記成膜工程は、反射材料を蒸着させることで反射膜を成膜する請求項3に記載の導光板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導光板を用いた発光装置の製造方法および導光板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光源部から出射された光を導光板の端面から入射させ、導光板の裏面に設けられたプリズムにより反射させて導光板の表面から出射させる技術が知られている。そして、カジノ等に設置されるスロットマシンやゲーミングマシン等の遊技機には、このような技術を用いた発光装置が搭載されている。本願出願人も、特許文献1において、遊技機に好適に搭載される発光装置を提案している。
【0003】
また、本願出願人は、発光装置の1つとして、
図16に示すような長尺状の導光板を備えた発光装置100を開発している。このような発光装置100は、例えば遊技機の正面の両サイドに配設され、遊技機の正面に向かって光を出射する。
図16は、遊技機の右側(向かって右側)に設置される従来例の発光装置100の外観図である。
【0004】
ここで、
図17を用いて、発光装置100の内部構造を説明する。
図17は従来例の発光装置100を短手方向に切った断面図である。
図17に示すように、発光装置100は、導光板101と、ケース102と、カバー103と、LED基板104とを備えている。これらの部材は何れも長尺状に形成されている。ケース102は、導光板101の裏面側に配されており、導光板101を支持している。LED基板104は、長手方向に沿って一列に搭載された複数のLED105を有している。複数のLED105は導光板101の長手方向に沿った端面に対向させて配されている。カバー103は、透明材よりなり、ケース102、導光板101およびLED基板104を覆うように被せられている。カバー103の一部は、LED基板104やケース102等が視認され難いように黒塗りされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記発光装置100は、遊技機の正面側は光るが、遊技機の側面側は正面用導光板の端面しか光らない。そのため、側面側も広い幅で光る、よりインパクトのある発光装置の開発が期待されている。側面側も広い幅で光らせることで、より広い角度から視認可能となる。
【0007】
しかしながら、上述したように、導光板は大きな曲率であれば曲げることはできるが、60度や90度等の角度で曲げることはできない。そのため、側面側を正面側同様、広い幅で光らせるには、側面用に導光板を別途配置する必要がある。その場合、正面用と側面用の各導光板それぞれにLED基板が必要となり、ユニットとしてのスペース効率が低下する。また、当然コストもアップする。
【0008】
本発明は、上記の問題点に鑑み、角度の異なる光出射面を複数有しつつも、低コストでスペース効率にも優れた発光装置を、少ない工程数で、かつ安定した品質にて製造可能な発光装置の製造方法および導光板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本開示の一態様に係る発光装置の製造方法は、光源部と、端部より入射し内部を導光する光をプリズムにて反射させて光出射面より出射させる複数の導光板と、を備え、前記複数の導光板は、隣り合う導光板間で前記光出射面の角度が異なると共に、隣り合う導光板同士で端部を突き合わせた状態で連ねて配され、前記光源部は、前記複数の導光板のうちの端にある始端導光板における、隣の導光板と突き合わせている側とは反対側の端部に配され、前記複数の導光板における互いに突き合わせている端部の何れか一方の端面が、導光する光の角度を変えて隣の導光板へ入射させる反射機能付傾斜面に形成されている発光装置の製造方法であって、端面が反射機能付傾斜面に形成された導光板を製造する工程に、ナノインプリント工法でプリズムが設けられた第1面およびその反対側の光出射面となる第2面とが保護シートで覆われた母板より導光板を所定の形状に切り出す際に、所定の端面が前記第1面と前記第2面との間で所定の傾斜角度を有する傾斜面となるように切り出す切り出し工程と、前記第1面および第2面を覆う保護シートをマスクに用いて、前記切り出し工程で切り出した所定の傾斜角度を有する前記端面に反射膜を成膜する成膜工程と、を含む。
【0010】
上記発光装置は、複数の導光板が光出射面の角度が異なる状態で端部を突き合させた状態で連ねて配されている。そして、複数の導光板における互いに突き合わせている端部の何れか一方の端面が、反射機能付傾斜面に形成されている。反射機能付傾斜面は、導光する光の角度を変えて隣の導光板へ入射させる機能を有しており、隣り合う導光板間で光を受け渡すことができる。
【0011】
これにより、連ねて配された、角度の異なる光出射面を構成する複数の導光板を、光源部を共用して光らせる(点灯させる)ことができる。そして、角度の異なる光出射面を構成する複数の導光板それぞれに光源部が必要であった従来構成に比べて、発光装置におけるスペース効率が向上する。また、光源部を共用することで、光源部の数が削減でき、コストも削減できる。
【0012】
そして、上記製造方法によれば、金型での製造が不可能なサイズや形状の導光板でも、反射機能付傾斜面を設けることができる。また、切り出し工程で、切り出しと同時に傾斜面を形成することができるので、別工程で傾斜面を付ける工法に比べて、工程数を削減できる。
【0013】
しかも、必要な端面に反射膜を成膜する成膜工程においては、傷を付けないように母板を覆っている保護シートをマスクとして利用している。これにより、マスキングの手間が必要なくなり、さらに工程数を削減してコストアップを回避できる。そして、保護シートの端部は、導光板と一緒に切り出されているため、切り出した端面と高精度に一致しており、後からマスキングする場合のようなずれは生じない。これにより、マスキングの傾斜面に対する精度不良は発生せず、反射機能が不要なところに蒸着される、あるいは逆に反射機能が必要なところが一部蒸着されないなどの課題も解決することができ、品質を安定化させることができる。
【0014】
本開示の一態様に係る発光装置の製造方法においては、さらに、前記成膜工程は、反射材料を蒸着させることで反射膜を成膜する構成とすることもできる。これにより、反射膜を容易に成膜することができる。
【0015】
本開示の一態様に係る導光板の製造方法は、端面が反射機能付傾斜面に形成された導光板の製造方法であって、ナノインプリント工法でプリズムが設けられた第1面およびその反対側の光出射面となる第2面とが保護シートで覆われた母板より導光板を所定の形状に切り出す際に、所定の端面が前記第1面と前記第2面との間で所定の傾斜角度を有する傾斜面となるように切り出す切り出し工程と、前記第1面および第2面を覆う保護シートをマスクに用いて、前記切り出し工程で切り出した所定の傾斜角度を有する前記端面に反射膜を成膜する成膜工程と、を含む。
【0016】
これによれば、上述したように、少ない工程数で、かつ品質の安定した端面が反射機能付傾斜面に形成された導光板を製造することができる。これにより、上述した角度の異なる光出射面を複数有しつつも、低コストでスペース効率にも優れた発光装置を好適に製造することができる。
【0017】
本開示の一態様に係る導光板の製造方法においては、さらに、前記成膜工程は、反射材料を蒸着させることで反射膜を成膜する構成とすることもできる。これにより、反射膜を容易に成膜することができる。
【発明の効果】
【0018】
本開示の一態様によれば、角度の異なる光出射面を複数有しつつも、低コストでスペース効率にも優れた発光装置を、少ない工程数で、かつ安定した品質にて製造することができる発光装置の製造方法および導光板の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施形態1に係る発光装置を含む電飾装置が搭載された遊技機の外観を示す斜視図である。
【
図3】上記発光装置である右サイド部の構成を示す分解斜視図である。
【
図4】上記右サイド部を短手方向に切った断面図であり、部分拡大図を含む。
【
図5】上記右サイド部の側面図であり、部分拡大図を含み、側面導光板とLED基板のみを示している。
【
図6】上記右サイド部における導光を示す断面図である。
【
図7】上記右サイド部における導光をより詳細に示す断面模式図である。
【
図8】上記右サイド部における側面導光板および正面導光板の点灯状態と消灯状態を示すイメージ図である。
【
図9】本発明の実施形態2に係る発光装置である右サイド部を短手方向に切った断面図であり、部分拡大図を含む。
【
図10】
図9に示す上記右サイド部における導光を示す断面図である。
【
図11】
図9に示す上記右サイド部における導光をより詳細に示す断面模式図である。
【
図12】本発明の実施形態3に係る発光装置である右サイド部における導光を示す断面図であり、部分拡大図を含み、連なる複数の導光板とLED基板のみを示している。
【
図13】本発明の実施形態4に係る発光装置を水平方向に切った断面図であり、部分拡大図を含む。
【
図14】本発明の実施形態5に係る、ナノインプリント工法で導光板にプリズムを設ける工程を示す説明図である。
【
図15】本発明の実施形態5に係る、導光板の切り出し工程、反射膜の成膜工程を説明示す説明図であり、部分拡大図を含む。
【
図16】遊技機の右側に設置される長尺状の導光板を備えた従来例の発光装置の外観図である。
【
図17】
図16に示す従来例の発光装置を短手方向に切った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本開示の一側面に係る実施の形態(以下、「本実施形態」とも表記する)を、図面に基づいて説明する。
【0021】
§1 適用例
まず、
図1~
図4、
図6を用いて、製造される発光装置の一例として遊技機50に搭載される発光装置について説明する。
図1に示すように、発光装置からなる電飾装置1は、例えば、遊技機50の筐体51の正面側の縁に取り付けられる。
図2示すように、電飾装置1は、左サイド部2L、右サイド部2Rおよびトップ部2Tの3つの発光装置から構成される。
【0022】
発光装置である右サイド部2Rは、
図3、
図4に示すように、長尺状に形成された側面導光板D1および正面導光板D2、複数のLED20が搭載されたLED基板12を備えている。LED基板12は、側面導光板D1の後端部側に配され、側面導光板D1に対しその後端部側から光を入射させる。側面導光板D1および正面導光板D2は、遊技機50に取り付けられた状態で表側を向くD1a,D2aが光出射面である。光出射面D1a,D2aの反対面D1b,D2bに、内部を導光する光を光出射面D1a,D2aより出射させるプリズム72(
図14参照)が形成されている。
【0023】
側面導光板D1および正面導光板D2は、端部を突き合わせた状態で90度の角度で連ねて配されている。そして、互いに突き合わせている端部の何れか一方の端面、ここでは側面導光板D1の前端面D1cが反射機能付傾斜面Xに形成されている。反射機能付傾斜面Xは、側面導光板D1内部を導光して前端部に到達した光を正面導光板D2の内部に入射させる機能を有している。
【0024】
このような構成の右サイド部2Rでは、
図6に示すように、側面導光板D1の内部に後端部側から入射したLED20の光が、光出射面D1aと反対面D1bとの間で正反射を繰り返しながら前端部へ進む。その間、反対面D1bに形成されたプリズム72で反射された光が、光出射面D1aから出射される。
図6中、太線矢印にて導光路Lを示す。
【0025】
側面導光板D1の前端部に到達した光は、側面導光板D1の前端面D1cの反射機能付傾斜面Xにて光の進行方向を90度変えられ、正面導光板D2の右端部の右端面D2cから正面導光板D2に入射する。正面導光板D2に入射した光は、正面導光板D2内部を右端部から左端部へ進む。その間、反対面D2bに形成されたプリズム72で反射された光が、光出射面D2aから出射される。
【0026】
このように、右サイド部2Rでは、角度の異なる光出射面D1a,D2aを構成する側面導光板D1および正面導光板D2を、LED基板12を共用して光らせる(点灯させる)ことができる。これにより、角度の異なる光出射面D1a,D2aを構成する側面導光板D1および正面導光板D2それぞれにLED基板12が必要であった従来構成に比べて、ユニットとしてのスペース効率が向上し、コストも削減できる。その結果、角度の異なる光出射面を複数有する、よりインパクトのある発光装置を、低コストかつ優れたスペース効率にて実現することができる。
【0027】
また、サイネージ等に搭載される発光装置や、
図13に示すような、ランタンのような照明器具として用いられる発光装置30も製造することができる。
【0028】
上記した反射機能付傾斜面Xを有する導光板は、
図15に示すように、ナノインプリント工法でプリズムが設けられ面とその他方の面とにラミネート75が張り付けられている母板76を用いる。母板76より導光板Dを所定の形状に切り出す際に、所定の端面が所定の傾斜角度を有する傾斜面となるように切り出す。その後、両面に貼り付けられているラミネート75をマスクに用いて、所定の傾斜角度を有する端面に反射膜22を成膜する。
【0029】
このような工程とすることで、少ない工程数で、かつ安定して反射機能付傾斜面Xを有する導光板を製造することができる。そして、発光装置の製造方法に、このような導光板の製造工程を含むことで、角度の異なる光出射面を複数有しつつも、低コストでスペース効率にも優れた発光装置を、少ない工程数で、かつ安定した品質にて製造することができる。
【0030】
§2 構成例
〔実施形態1〕
本開示の実施の形態について
図1~
図8に基づいて説明すれば、以下のとおりである。本実施形態においては、発光装置の一例として遊技機50に搭載される発光装置について説明する。
【0031】
(1.遊技機の外観)
図1は、本実施形態に係る発光装置を含む電飾装置1が搭載された遊技機50の外観を示す斜視図である。
図1に示すように、電飾装置1は、遊技機50の筐体51の正面側の縁に取り付けられる。
図1の例では、電飾装置1は、正面より見て逆U字状をなし、筐体51の正面側の左右両辺および上辺の3辺に取り付けられている。筐体51の正面側の縁には、電飾装置1を嵌め込むための凹部が設けられており、電飾装置1が該凹部に取り付けられている。なお、本明細書においては、左右方向は遊技機50の正面に向かっての左右方向とする。
【0032】
(2.電飾装置の外観)
図2は、電飾装置1の外観を示す斜視図である。
図2に示すように、電飾装置1は、左サイド部2L、右サイド部2Rおよびトップ部2Tの3つの発光装置を備えている。左サイド部2Lの上端部とトップ部2Tの左端部とが左コーナ部3L下端で接続され、右サイド部2Rの上端部とトップ部2Tの右端部とが右コーナ部3R下端で接続されている。左サイド部2Lおよび右サイド部2Rは、例えば120cm程の長さを有し、下方に向かうにつれて、正面側に付き出すような反りを有している。左サイド部2Lおよび右サイド部2Rは左右対称の構造を有する。トップ部2Tは、遊技機50の幅に見合う程の長さを有し、左コーナ部3L、右コーナ部3Rを含む逆U字形状に形成されている。左サイド部2L、右サイド部2Rおよびトップ部2Tは、長さ、反りの有無、向きに違いはあるが、発光装置として共通する構成を有している。以下においては、右サイド部2Rについて詳細に説明する。
【0033】
(3.右サイド部2Rの構成)
図3は、右サイド部2Rの構成を示す分解斜視図である。
図4は、右サイド部2Rを短手方向に切った断面図であり、部分拡大図を含む。
図3、
図4に示すように、右サイド部2Rは、ケース11、LED基板(光源部)12、基板カバー13、側面導光板(始端導光板、第1導光板)D1、正面導光板(終端導光板、第2導光板)D2、インナーカバー14、アウターカバー15を備えている。これらの部材は何れも長尺状に形成されている。
【0034】
側面導光板D1および正面導光板D2は、何れも透明なポリカーボネートやアクリル樹脂などからなる厚さ2mm程度のプレート状部材である。側面導光板D1および正面導光板D2は、端部より入射し内部を導光する光を後述するプリズム72(
図14参照)にて反射させて光出射面(第2面)D1a,D2aより出射させる。プリズム72は光出射面D1a,D2aの反対面(第1面)D1b,D2bに形成されている。
【0035】
図3、
図4に示すように、ケース11は、短手方向に切った断面がT字状をなし、下方に向かって遊技機50の正面側に付き出すような反りを有している。ケース11における正面を向く面に、正面導光板D2が取り付けられる。正面導光板D2は光出射面D2aを正面に向けて取り付けられる。反りを持つケース11に取り付けることで、正面導光板D2も下方に向かうにつれて正面側に付き出すような反り有した状態となり、光出射面D2aが曲面となる。
【0036】
ケース11における遊技機50の右側面を向く面には、LED基板12、基板カバー13、側面導光板D1が順に配置される。基板カバー13は、LED基板12が外部から視認されないように目隠しする機能を有し、LED基板12と共に複数のネジ16にてケース11に固定される。
【0037】
LED基板12には、光源となる複数のLED20が長手方向に沿って列状に搭載されている。複数のLED20は、LED基板12における後端部に位置しており、これら複数のLED20と、側面導光板D1の反対面D1bの後端部とが対向している。なお、光源としては、LED20のような指向性を有するものを好適に用いることができるが、LED20に限定されるものではない。
【0038】
側面導光板D1は、光出射面D1aを右側面に向けて配されている。詳細には後述するが、左右方向に配された正面導光板D2の長手方向に沿った右端面D2cのある右端部と、前後方向に配された側面導光板D1の長手方向に沿った前端面D1cのある前端部とが90度の角度で突き合わされている。側面導光板D1と正面導光板D2とは端部を突き合わせた状態で連ねて配されている。複数の導光板で光源部であるLED基板12を共用する場合、光の進む方向の下流側に行くほど光は減衰するが、導光板を長尺状として長手方向に沿った端部同士を突き合わせる構成とすることで、光の減衰を抑制して、複数の光出射面を効果的に光らせることができる。
【0039】
これら側面導光板D1および正面導光板D2が、隣り合う導光板間で光出射面の角度が異なると共に、隣り合う導光板同士で端部を突き合わせた状態で連ねて配された複数の導光板に相当する。なお、本実施形態では、側面導光板D1および正面導光板D2の2枚の導光板を備える構成を例示するが、3枚以上の導光板を備える構成も可能であり、これについては、後述する。
【0040】
インナーカバー14は、LED基板12および側面導光板D1の後端部を覆うように配される。インナーカバー14は、LED基板12に搭載されているLED20が直接外部から視認され難いように目隠しする機能を有している。
【0041】
アウターカバー15は、透明材よりなる保護カバーであり、側面導光板D1および正面導光板D2の各光出射面D1a,D2aを外側から覆うように被せられている。図中、参照符号17で示す部材は、右サイド部2Rの上下方向の端部を保護するエンドカバーである。
【0042】
(4.側面導光板D1、正面導光板D2)
図3~
図5を用いて、側面導光板D1および正面導光板D2について説明する。
図5は、右サイド部2Rの側面図であり、部分拡大図を含み、側面導光板D1とLED基板12のみを示している。
【0043】
図3に示したように、ケース11は反りを有し、このようなケース11に取り付けることで、正面側に配される正面導光板D2も下方に向かうにつれて、正面側に付き出すような反った状態となり、光出射面D2aが曲面となる。そして、
図4に示したように、側面側に配される側面導光板D1は、前端面D1cのある前端部を正面導光板D2の右端面D2cのある右端部に突き合わせた状態で配されている。
【0044】
図5に示すように、側面導光板D1における正面導光板D2と突き合される前端面D1cの前端部は、このような突き合わせが可能となるように、正面導光板D2の反りに対応する形状を有している。
【0045】
また、
図5に示すように、LED基板12に搭載された複数のLED20は、側面導光板D1の後端面D1dのある後端部側で、側面導光板D1の反対面D1bと対向するように配設されている。
【0046】
そして、このような反対面D1bから入射するLED光の角度を変えて側面導光板D1の前端部に向けて導光させるために、側面導光板D1の後端面D1dは、反射機能付傾斜面Xに形成されている。反射機能付傾斜面Xは、導光する光の角度を変える機能を有し、光を正反射させる。
【0047】
図4に示すように、側面導光板D1の後端面D1dは、反対面D1bから光出射面D1aに向かって45度の角度で傾斜した傾斜面となっている。この傾斜面に反射膜22が設けられることで、反射機能付傾斜面Xが形成されている。反射膜22は、例えばアルミニウム等の反射材料を蒸着等の製法で成膜することで形成することができる。傾斜面の角度を45度とすることで、反対面D1bから入射するLED20の光の進行方向を90度変えることができる。反射膜22を設けることで、光の減衰を効果的に抑制することができる。
【0048】
そして、
図4に示すように、反射機能付傾斜面Xは、正面導光板D2の右端部と突き合わされている側面導光板D1の前端部の前端面D1cにも形成されている。側面導光板D1の前端面D1cも、反対面D1bから光出射面D1aに向かって45度の角度で傾斜した傾斜面となっており、該傾斜面に反射膜22が形成されている。側面導光板D1の前端面D1cに形成された反射機能付傾斜面Xは、側面導光板D1内部を導光して側面導光板D1の前端部に到達したLED20の光を正面導光板D2の内部に入射させる機能を有している。
【0049】
また、本実施形態では、より好ましい構成として、正面導光板D2の左端面D2dにも反射膜22が形成されている。左端面D2dに形成された反射膜22は、左端面D2dに到達した光を折り返す機能を有する。
【0050】
(5.右サイド部2Rの導光)
図6、
図7を用いて、右サイド部2Rにおける導光について説明する。
図6は、右サイド部2Rにおける導光を示す断面図である。
図7は、右サイド部2Rにおける導光をより詳細に示す断面模式図である。
図6、
図7においては、LED20からの光の導光路Lを太線矢印にて示している。
【0051】
図6に示すように、LED20から出射された光は、側面導光板D1の反対面D1bから入射し、後端面D1dの反射機能付傾斜面Xにて光の進行方向を90度変えられ、側面導光板D1内部を後端部から前端部へ導光する。側面導光板D1の前端部に到達した光は、側面導光板D1の前端面D1cの反射機能付傾斜面Xにて光の進行方向を90度変えられ、正面導光板D2の右端部の右端面D2cから正面導光板D2に入射する。正面導光板D2に入射した光は、正面導光板D2内部を右端部から左端部へ導光する。正面導光板D2の左端部に到達した光は、左端面D2dに形成されている反射膜22にて折り返される。
【0052】
図7に示すように、LED20の光は、側面導光板D1の反対面D1bの反射機能付傾斜面Xにて正反射される。反射機能付傾斜面Xにて正反射された光は、側面導光板D1の内部を、光出射面D1aと反対面D1bとの間で正反射を繰り返しながら前端部へ進む。その間、反対面D1bに形成されたプリズム72に入射した光がプリズム72にて反射され、光出射面D1aより出射し視認される。正面導光板D2内部でも同様で、側面導光板D1の前端面D1cの反射機能付傾斜面Xにて正面導光板D2内部に入射された光は、光出射面D2aと反対面D2bとの間で正反射を繰り返しながら左端部へ進む。その間、反対面D2bに形成されたプリズム72に入射した光がプリズム72にて反射され、光出射面D2aより出射し視認される。
図7にてL
0で示す細線矢印は、正面導光板D2の左端面D2dの反射膜22にて折り返された光である。終端まで到達した光を折り返すことで、LED20の光を有効に利用してより明るい照射が可能となる。
【0053】
図8は、側面導光板D1、正面導光板D2の点灯状態と消灯状態を示すイメージ図である。LED20を点灯すると、プリズム72にて描かれているデザインや図柄が浮かび上がる。
【0054】
(6.効果)
上記構成では、側面導光板D1および正面導光板D2を、端部を突き合わせた状態で90度の角度で連ねて配置し、互いに突き合わせている端部の何れか一方の端面、ここでは前端面D1cが反射機能付傾斜面Xに形成されている。これによれば、反射機能付傾斜面Xにて、側面導光板D1を導光した光を正面導光板D2に入射させることが可能となる。
【0055】
これにより、角度の異なる光出射面D1a,D2aを構成する側面導光板D1および正面導光板D2を、LED基板12を共用して光らせる(点灯させる)ことができる。そして、角度の異なる光出射面D1a,D2aを構成する側面導光板D1および正面導光板D2それぞれにLED基板12が必要であった従来構成に比べて、ユニットとしてのスペース効率が向上する。また、LED基板12の数を削減できるので、コストも削減できる。
【0056】
また、上記構成では、側面導光板D1および正面導光板D2の何れか一方の端面を反射機能付傾斜面Xとするにあたり、後端面D1dにも反射機能付傾斜面Xを有する側面導光板D1側を選択している。したがって、正面導光板D2については、傾斜を付けた端面は必要なく、従来どおりの光出射面D2aに対して直角を成す端面でよい。このように、反射機能付傾斜面Xを設ける導光板と、反射機能付傾斜面Xを設け無い導光板とに分けて製造することで、製造上のコストを削減できる。
【0057】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、
図9~
図11に基づいて説明すれば以下の通りである。なお、説明の便宜上、実施形態1と同じ機能を有する部材には同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0058】
本実施形態においても、発光装置の一例として遊技機50に搭載される発光装置について説明する。実施形態1の発光装置の構成を有する右サイド部2Rでは、側面導光板D1の後端部側の反対面D1bにLED基板12を配置している。そのため、側面導光板D1の後端面D1dに反射機能付傾斜面Xを設ける必要があった。このような構成では、側面導光板D1の後端面D1dに反射機能付傾斜面Xが必要となるが、外部からLED20が直接視認されることを効果的に抑制することができる。
【0059】
これに対し、本実施形態の発光装置の構成を有する右サイド部2R-1では、
図9に示すように、正面導光板D3(始端導光板、第1導光板)の左側にLED基板12が配置されており、正面導光板D3の左端面D3dより光を入射させるようになっている。
図9は、本実施形態の発光装置の構成を有する右サイド部2R-1を短手方向に切った断面図であり、部分拡大図を含む。なお、右サイド部2R-1の外観は右サイド部2Rとほぼ同様である。
【0060】
このような構成とすることで、反射機能付傾斜面Xは、正面導光板D3と側面導光板(終端導光板、第2導光板)D4とが端部を突き合わせている1箇所のみとなるので、反射機能付傾斜面Xでの反射による光損失を低減することができる。また、LED基板12が、電飾装置1(
図1参照)を遊技機50に取り付ける際の取り付け側に位置しているので、基板カバー13およびインナーカバー14が不要となり、部品点数の削減が図れる。
【0061】
図10、
図11を用いて、右サイド部2R-1における導光について説明する。
図10は、右サイド部2R-1における導光を示す断面図である。
図11は、右サイド部2R-1における導光をより詳細に示す断面模式図である。
図10、
図11においては、LED20からの光の導光路Lを太線矢印にて示している。
【0062】
図10に示すように、LED20から出射された光は、正面導光板D3の左端面D3dから入射し、側面導光板D1内部を左端部から右端部へ導光する。正面導光板D3の右端部に到達した光は、側面導光板D4の前端面D4cの反射機能付傾斜面Xにて光の進行方向を90度変えられ、側面導光板D4内部を前端部から後端部へ導光する。導光板D4の後端部に到達した光は、後端面D4dに形成されている反射膜22にて折り返される。
【0063】
図11に示すように、正面導光板D3の左端面D3dから入射した光は、正面導光板D3の内部を、光出射面D3aと反対面D3bとの間で正反射を繰り返しながら右端部へ進む。その間、反対面D3bに形成されたプリズム72にて入射した光がプリズム72にて反射され、光出射面D3aより出射し視認される。側面導光板D4内部でも同様で、側面導光板D4の前端面D4cの反射機能付傾斜面Xにて側面導光板D4の内部に入射された光は、光出射面D4aと反対面D4bとの間で正反射を繰り返しながら後端部へ進む。その間、反対面D4bに形成されたプリズム72に入射した光がプリズム72にて反射され、光出射面D4aより出射し視認される。
【0064】
〔実施形態3〕
本発明の他の実施形態について、
図12に基づいて説明すれば以下の通りである。なお、説明の便宜上、実施形態1、2と同じ機能を有する部材には同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0065】
本実施形態においても、発光装置の一例として遊技機50に搭載される発光装置について説明する。実施形態2の発光装置の構成を有する右サイド部2R-1では、正面導光板D3と側面導光板D4とを備え、互いに端部を突き合わせている部分の一方の端面が反射機能付傾斜面Xに形成されていた。
【0066】
これに対し、本実施形態の発光装置の構成を有する右サイド部2R-2は、
図12に示すように、側面導光板D4の後方に、さらに、正面導光板D5、側面導光板D6、正面導光板D7を備える構成である。
図12は、右サイド部2R-2における導光を示す断面図であり、部分拡大図を含み、連なる複数の導光板D3~D7とLED基板12のみを示している。
【0067】
これら複数の導光板D3~D7は、隣り合う導光板同士で90度の角度を成すように端部が突き合されている。そして、側面導光板D4と正面導光板D5とが互いに突き合わせている端部の何れか一方の端面が反射機能付傾斜面Xに形成されている。
図12の例では、側面導光板D4の端面が反射機能付傾斜面Xに形成されている。同様に、正面導光板D5と側面導光板D6とが互いに突き合わせている端部の何れか一方の端面が反射機能付傾斜面Xに形成されている。同様に、側面導光板D6と正面導光板D7とが互いに突き合わせている端部の何れか一方の端面が反射機能付傾斜面Xに形成されている。
図12の例では、側面導光板D6の前後の両端面が反射機能付傾斜面Xに形成されている。また、より好ましい構成として、連なる複数の導光板D3~D7の終端に位置する正面導光板D7(終端導光板)の右端面に反射膜22が設けられている。
【0068】
このような構成とすることで、5面もの光出射面D3a~D7aを、LED基板12を共用して光らせることができるので、よりインパクトのある電飾が可能となる。なお、ここでは5枚の導光板を備える構成を例示したが、導光板の枚数はこれに限るものではない。
【0069】
〔実施形態4〕
本発明の他の実施形態について、
図13に基づいて説明すれば以下の通りである。なお、説明の便宜上、実施形態1~3と同じ機能を有する部材には同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0070】
本実施形態においては、発光装置の一例としてランタンのような照明器具として使用できる発光装置30について説明する。
図13は、本実施形態に係る発光装置30を水平方向に切った断面図であり、部分拡大図を含む。
図13に示すように、発光装置30は、導光板D10、導光板D11、導光板D12を備える。なお、外観図は示していないがランタンのような照明器具であることから、3枚の導光板D10~D12は長尺状である必要はない。
【0071】
3枚の導光板D10~D12は、隣り合う導光板同士で60度の角度を成すように端部が突き合されている。3枚の導光板D10~D12は、プリズム72が形成されている反対面D10b~D12bを内側に向け、光出射面D10a~D12aを外側に向けて配されている。そして、導光板D10と導光板D11とが互いに突き合わせている端部の何れか一方の端面が反射機能付傾斜面Xに形成されている。
図13の例では、導光板D11の端面が反射機能付傾斜面Xに形成されている。同様に、導光板D11と導光板D12とが互いに突き合わせている端部の何れか一方の端面が反射機能付傾斜面Xに形成されている。
図13の例では、導光板D12の端面が反射機能付傾斜面Xに形成されている。
【0072】
ここで、反射機能付傾斜面Xの傾斜角度は、導光板D10,D11の端面より出射された、導光板D11,D12の反対面D11b,D12bより入射して光を、導光板D11,D12の入射側とは反対側の端部へと導光し得る角度に設定されている。
【0073】
光源部となるLED基板12は、導光板(始端導光板)D10の導光板D11と突き合わせている側とは反対側の端部に配されている。また、より好ましい構成として、連なる3枚の導光板D10~D12の終端に位置する導光板D12(終端導光板)の、導光板D11と突き合わせている側とは反対側の端面に反射膜22が設けられている。
【0074】
このような構成とすることで、低コストで、かつ、スペース効率の優れたランタンのような照明器具を実現できる。なお、ここでは3枚の導光板を備える構成を例示したが、導光板の枚数はこれに限るものではない。
【0075】
〔実施形態5〕
本発明の他の実施形態について、
図14、
図15に基づいて説明すれば以下の通りである。なお、説明の便宜上、実施形態1~4と同じ機能を有する部材には同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0076】
実施形態1~3にて説明した120cm程の長さを有する長尺状の正面又は側面の導光板D1~D7は、プリズム72の反転パターンが底面に形成された金型に、透明材料を流して製造することは困難である。そのため、両面が平面に形成された導光板の母板にナノインプリント工法でプリズム72を設け、その後、所定の形状に切断する工程で製造されている。
【0077】
また、実施形態4にて説明した導光板D11および導光板D12は、サイズ的に許せば射出成形用金型を用いて製造することができる。但し、反射機能付傾斜面Xとして、プリズム72が形成されている反対面D11b(D12b)から光出射面D11a(D11a)にかけて内側に向かって傾斜した傾斜面が必要となる。そのため、金型に傾斜面を形成すれば製造可能であるが、プリズムを配置した大型の導光板は射出成形用金型では製造できない。
【0078】
さらに、反射膜22を成膜するにあたっては、射出成形で製造された導光板ではマスキングなどで反射機能を付加したい箇所のみ露出させる必要がある。この場合、工程数が増加する。また、マスキングの傾斜面に対する精度不良により、反射機能が不要なところに蒸着される、あるいは逆に反射機能が必要なところが一部蒸着されないなどの課題もある。
【0079】
本実施形態では、このような課題を解決し得る、反射機能付傾斜面Xに形成された端面を有する導光板の製造方法について説明する。
【0080】
ます、
図14を用いて、ナノインプリント工法で導光板にプリズム72を設ける工程を説明する。
図14は、ナノインプリント工法で導光板にプリズム72を設ける工程を示す説明図である。
【0081】
図14に示すように、両面が平面に形成された導光板の基材73を、UV硬化樹脂71を間に挟んで、プリズム72の反転パターンが形成されている型70に圧接する。次に、UV光を照射してUV硬化樹脂71を硬化させ、その後、基材73を型70から外す(離型)。これにより、基材73の一方の面(第1面)に、UV硬化樹脂71からなるプリズム72が形成される。続いて、プリズム72が形成された基材73の両面(プリズム72が設けられた面(第1面)およびその反対側の光出射面となる面(第2面))に、ラミネート(保護シート)75が貼り付けられる。これにて、導光板Dの母板76が完成する。母板76は、両面にラミネート75が貼り付けられた状態で、二次工程へ供される。導光板Dは傷がつくことで不良品となるため、母板76の両面は必ずラミネート加工される。
【0082】
両面にラミネートが貼り付けられた母板76は、二次工程である切り出し工程で、所定の形状(外形)に切り出され、個々の導光板Dとなる。その後、必要な端面に反射膜22が成膜される。
【0083】
次に、
図15を用いて、導光板Dの切り出し工程、反射膜22の成膜工程を説明する。
図15は、導光板Dの切り出し工程、反射膜22の成膜工程を説明示す説明図であり、部分拡大図を含む。
【0084】
図15に示すように、両面にラミネート75が貼り付けられた母板76は、切り出し工程で、所定の形状に切断される。その際、直角をなす通常の端面と一緒に、傾斜を有する端面を形成する。切り出し工程で用いる切断装置の刃の角度、あるいは母板76を支持するステージ側の角度を、所定の端面が所定の傾斜角度を有する傾斜面となるよう調整して切り出す。これにより、切り出しと同時に傾斜面を形成することができる。
【0085】
この後、成膜工程にて、導光板Dの必要な端面に、反射膜22を形成する。その際、導光板Dの両面を覆っているラミネート75をマスクとして用いる。つまり、切り出し工程で切り出した所定の傾斜角度を有する端面に、ラミネート75をマスクに利用して反射膜22を成膜する。なお、切り出した直角の端面に反射膜22を成膜する際もラミネート75をマスクとして利用する。成膜には、例えば、反射材料を蒸着させる蒸着法を用いることができる。
【0086】
このように、ラミネート75をマスクとして利用することで、マスキングの手間が必要なくなり、工程数を削減してコストアップを回避できる。また、ラミネート75の端部は、導光板Dと一緒に切り出されているため、切り出した端面と高精度に一致しており、後からマスキングする場合のようなずれは生じない。これにより、マスキングの傾斜面に対する精度不良は発生せず、反射機能が不要なところに蒸着される、あるいは逆に反射機能が必要なところが一部蒸着されないなどの課題も解決することができ、品質を安定化させることができる。
【0087】
そして、発光装置の製造方法に、このような導光板Dの製造工程を含むことで、角度の異なる光出射面を複数有しつつも、低コストでスペース効率にも優れた発光装置を、少ない工程数で、かつ安定した品質にて製造することができる。
【0088】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0089】
2R 右サイド部(発光装置)
11 ケース
12 LED基板
13 基板カバー
14 インナーカバー
15 アウターカバー
20 LED
22 反射膜
30 発光装置
50 遊技機
51 筐体
71 UV硬化樹脂
72 プリズム
75 ラミネート(保護シート)
76 母板
D1 側面導光板(導光板、第1導光板、始端導光板)
D2 正面導光板(導光板、第2導光板、終端導光板)
D3 正面導光板(導光板、第1導光板、始端導光板)
D4 側面導光板(導光板、第2導光板、終端導光板)
D5 正面導光板(導光板)
D6 側面導光板(導光板)
D7 正面導光板(導光板、終端導光板)
D10 導光板(始端導光板)
D11 導光板
D12 導光板(終端導光板)
D1a~D7a、D10a~D12a 光出射面
D1b~D7b、D10b~D12b 反対面
X 反射機能付傾斜面