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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】高耐性包材用積層体
(51)【国際特許分類】
   B32B 15/085 20060101AFI20231219BHJP
   B65D 65/02 20060101ALN20231219BHJP
【FI】
B32B15/085 A
B65D65/02 E
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019185103
(22)【出願日】2019-10-08
(65)【公開番号】P2021017046
(43)【公開日】2021-02-15
【審査請求日】2022-09-21
(31)【優先権主張番号】P 2019132649
(32)【優先日】2019-07-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 徹
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 正樹
(72)【発明者】
【氏名】菅野 雅恵
(72)【発明者】
【氏名】菅谷 幸子
【審査官】松岡 美和
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-104501(JP,A)
【文献】特開平03-202348(JP,A)
【文献】特開2003-051290(JP,A)
【文献】特開2004-074419(JP,A)
【文献】特開2002-093386(JP,A)
【文献】特表2018-500207(JP,A)
【文献】特開2017-112014(JP,A)
【文献】国際公開第96/005055(WO,A1)
【文献】特表2020-521656(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 15/085
B32B 27/32
B65D 65/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表層側から、基材層、アルミ層、接着層、熱可塑性樹脂層の順に積層され、前記接着層が少なくとも酸変性ポリエチレンと低密度ポリエチレンを含み、かつ、アルミ層側に酸変性ポリエチレン層が、熱可塑性樹脂層側に低密度ポリエチレン層が配置された溶融共押出し層であり、基材層、アルミ層、熱可塑性樹脂層とサンドイッチラミネートされており、
前記酸変性ポリエチレン層が、無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレンからなり、前記熱可塑性樹脂層が直鎖状低密度ポリエチレンからなり、
前記接着層における無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレンと低密度ポリエチレンの溶融共押出しの層厚比が、25:75~75:25であることを特徴とする高耐性包材用積層体。
【請求項2】
前記無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレンが、示差走査熱量測定において、90℃~100℃に第1融点ピークを示し、かつ、50℃から低温側に20℃以上連続した第2融点ピークを示す成分を含むことを特徴とする請求項に記載の高耐性包材用積層体。
【請求項3】
前記無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレンの無水マレイン酸グラフト率が0.1wt%以上1.0wt%以下であり、密度が0.88g/cm以上0.90g/cm以下であり、メルトフローレートが8.5以上12.0以下であることを特徴とする請求項またはに記載の高耐性包材用積層体。
【請求項4】
前記無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレンが、示差走査熱量測定において、100℃付近にブロードな第1融点ピークを示し、かつ、110℃~130℃の間に2つのピークが連続した第2融点ピークを示す成分を含むことを特徴とする請求項に記載の高耐性包材用積層体。
【請求項5】
前記無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレンの無水マレイン酸グラフト率が0.1wt%以上1.0wt%以下であり、密度が0.90g/cm以上0.92g/cm以下であり、メルトフローレートが5.5以上7.5以下であることを特徴とする請求項または4に記載の高耐性包材用積層体。
【請求項6】
前記直鎖状低密度ポリエチレンが、密度が0.915g/cm以上0.940g/cm以下であることを特徴とする請求項からのいずれかに記載の高耐性包材用積層体。
【請求項7】
前記低密度ポリエチレンが、密度が0.910g/cm以上0.930g/cm以下であり、メルトフローレートが6.0以上8.5以下であることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の高耐性包材用積層体。
【請求項8】
基材層、アルミ層、接着層、熱可塑性樹脂層の順に積層する積層体の製造方法であって、前記接着層を、アルミ層側に酸変性ポリエチレン層を、熱可塑性樹脂層側に低密度ポリエチレン層をそれぞれ配置して、その層厚比が25:75~75:25となる様に溶融共押出しして形成し、前記基材層、前記アルミ層と前記熱可塑性樹脂層とでサンドイッチラミネートして積層することを特徴とする高耐性包材用積層体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、優れた耐内容物性を有する包材を形成する積層体およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、食品、医薬品等の包装に用いられる包装材料として、内容物の変質や腐敗等を抑制し、それらの機能や性質を保持するために、水蒸気、酸素その他の、内容物を変質させる気体の侵入を遮断するガスバリア性を有する積層体が一般に用いられている。
【0003】
積層体では、耐性包材の用途であっても、接着層を形成する接着剤として一般的にウレタン2液硬化タイプのドライラミネート用接着剤が用いられる。しかし、包装材料により包装される内容物には、アルカリ性物質、香料、界面活性剤、高沸点有機溶媒などを含有するものが多くあり、これらの内容物を包装するとドライラミネート用接着剤層に悪影響を及ぼし、積層体のラミネート強度の低下を招き、剥離が生じることがあった。
【0004】
すなわち、耐内容物性を要する包材の場合、内容物による包装体のデラミネーション(剥離)を防ぐような内容物耐性が求められるが、一般的なドライラミネーションでは、アルミ箔とシーラント層間のラミネート強度が経時的に低下し、その結果デラミネーション(剥離)が引き起こされるという問題があった。
【0005】
このような状況に対応するため、ラミネート加工に使用される接着剤の改良が種々行われており、アルコール耐性のあるものなどが提案されている(例えば特許文献1)。また接着剤として、幅広い種類の透明バリアフィルムやアルミ箔との接着性に優れ、内容物耐性に優れたものとして、無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレンを使った積層体が提案されている。しかし無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレンは押出し加工時のネックインが大きいため、押出し加工性が悪いという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第5915710号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、包材へのアタックが強い内容物用の包材に適用できる積層体を提供することを課題とする。また、積層体に使用される、アルミや幅広い種類の透明バリアフィルムとの接着性に優れた無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレンが、メルトフローレート(以下、MFRと略記する。)が大きく押出し加工時のネックインが大きいため、押出し加工性が悪いという問題を解決することを課題とする。また、接着強度を発現させるために高温での熱処理が必要となるため、積層体にしわが入ってしまうことがあるという問題を解決することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明は、表層側から、基材層、アルミ層、接着層、熱可塑性樹脂層の順に積層され、前記接着層が少なくとも酸変性ポリエチレンと低密度ポリエチレンを含み、かつ、アルミ層側に酸変性ポリエチレン層が、熱可塑性樹脂層側に低密度ポリエチレン層が配置された溶融共押出し層であり、基材層、アルミ層、熱可塑性樹脂層とサンドイッチラミネートされていることを特徴とする高耐性包材用積層体を提供する。
【0009】
上記高耐性包材用積層体によれば、内容物に影響を受けるアルミ層と熱可塑性樹脂層の間の接着層として、酸変性ポリエチレンと低密度ポリエチレンを使用し、アルミ層側に酸変性ポリエチレン層が配置される様にすることで内容物耐性が得られ、また、接着層の熱可塑性樹脂層側に低密度ポリエチレン層を配置することで、溶融共押出し時のネックインを低減することができ、加工性の高い高耐性包材用積層体を得ることができる。
【0010】
上記高耐性包材用積層体において、前記酸変性ポリエチレン層が、無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレンからなり、前記熱可塑性樹脂層が直鎖状低密度ポリエチレンからなるものとすると好ましい。内容物耐性と接着性をより高められ、より加工性の向上が図れる。
【0011】
上記高耐性包材用積層体において、前記無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレンが、示差走査熱量測定において、90℃~100℃に第1融点ピークを示し、かつ、50℃から低温側に20℃以上連続した第2融点ピークを示す成分を含むものとすると好ましい。より低温から接着強度が発現し、熱処理時のしわの発生を抑制することができる。
【0012】
上記高耐性包材用積層体において、前記無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレンの無水マレイン酸グラフト率が0.1wt%以上1.0wt%以下であり、密度が0.88g/cm以上0.90g/cm以下であり、メルトフローレートが8.5以上12.0以下であるものとすると好ましい。接着層の成膜時により平滑性の高い成膜が行える。
【0013】
上記高耐性包材用積層体において、前記無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレンが、示差走査熱量測定において、100℃付近にブロードな第1融点ピークを示し、かつ、110℃~130℃の間に2つのピークが連続した第2融点ピークを示す成分を含むものとすると好ましい。
【0014】
前項の高耐性包材用積層体において、前記無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレンの無水マレイン酸グラフト率が0.1wt%以上1.0wt%以下であり、密度が0.90g/cm以上0.92g/cm以下であり、メルトフローレートが5.5以上7.5以下であるものとすると好ましい。接着層の成膜時により平滑性の高い成膜が行える。
【0015】
上記高耐性包材用積層体において、前記接着層における無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレンと低密度ポリエチレンの溶融共押出しの層厚比が、25:75~75:25であるものとすると好ましい。ネックインを効果的に低減することができると共に高価格の無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレンの使用量を抑制することができる。
【0016】
上記高耐性包材用積層体において、前記直鎖状低密度ポリエチレンが、密度が0.915g/cm以上0.940g/cm以下であるものとすると好ましい。
【0017】
上記高耐性包材用積層体において、前記低密度ポリエチレンが、密度が0.910g/cm以上0.930g/cm以下であり、メルトフローレートが6.0以上8.5以下であるものとすると好ましい。
【0018】
また、本発明は、基材層、アルミ層、接着層、熱可塑性樹脂層の順に積層する積層体の製造方法であって、前記接着層を、アルミ層側に酸変性ポリエチレン層を、熱可塑性樹脂層側に低密度ポリエチレン層をそれぞれ配置して、その層厚比が25:75~75:25となる様に溶融共押出しして形成し、前記基材層、前記アルミ層と前記熱可塑性樹脂層とでサンドイッチラミネートして積層することを特徴とする高耐性包材用積層体の製造方法
である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、内容物耐性が高く、ヘアカラー剤、次亜塩素酸水や香料など包材へのアタックが強い内容物用の包材に適用できる高耐性包材用積層体が得られる。また、接着層を酸変性ポリエチレンと低密度ポリエチレンを含むものとすることで、溶融共押出しラミネート時のネックインを低減することができ、また熱処理時のしわの発生を抑制することもでき、加工性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の高耐性包材用積層体の一形態の断面模式図である。
図2】無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレンのDSC測定例を示す図である。
図3】別の無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレンのDSC測定例を示す図である。
図4図3のDSC測定例を拡大して表示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。なお本発明は以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
【0022】
図1は、本発明の高耐性包材用積層体の一形態の断面模式図である。本実施形態の積層体1は、基材層2、印刷インキ層3、接着剤層4、アルミ層5、酸変性ポリエチレン層である無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレン層6と低密度ポリエチレン層7を含む接着層9、熱可塑性樹脂層である直鎖状低密度ポリエチレン層8が順次積層され、接着された構成である。
【0023】
ここで無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレン層6と低密度ポリエチレン層7は溶融共押出しで積層されている。そして基材層2、印刷インキ層3、接着剤層4、アルミ層5と、直鎖状低密度ポリエチレン層8とでサンドイッチラミネーションにより積層され、接着されている。
【0024】
無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレンは酸変性ポリエチレンの一つとして本発明に好ましく用いられる。無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレンは、ポリエチレンを無水マレイン酸によりグラフト変性したポリエチレンである。そして本発明に使用される無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレンは、図2に示す様に、示差走査熱量測定(DSC測定)を行ったとき、90℃~100℃に第1融点ピークを示し、かつ、50℃から低温側に20℃以上連続した第2融点ピークを示す成分を含むものとすると好ましい。
【0025】
低温側に第2融点ピークを有するものとすることで、低温から接着性が発現するため、熱処理時のしわの発生を抑制することができる。
【0026】
また、本発明に使用される無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレンは、図3およびその一部を拡大した図4に示す様に、示差走査熱量測定(DSC測定)を行ったとき、100℃付近にブロードな第1融点ピークを示し、かつ、110℃~130℃の間に2つのピークが連続した第2融点ピークを示す成分を含むものとしても好ましい。
【0027】
また、無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレンの無水マレイン酸グラフト率は、0.1wt%以上1.0wt%以下であると好ましい。0.1wt%を下回るとラミネート強度の低下につながりやすく、1.0wt%を超えると水分の吸着が多くなり、発泡につながり、コスト高や黄変に原因ともなる。また、押し出し機やダイス金属に吸着しやすくなり、ヤケの原因となるなど加工性が低下する恐れがある。
【0028】
また接着層9における無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレンと低密度ポリエチレンの溶融共押出しの層厚比は、25:75~75:25であるものとすると好ましい。無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレン6の比率が25:75よりも少なくなると、接着性が不安定となる恐れがある。また、低密度ポリエチレン7の比率が75:25よりも少なくなると、ネックインの改善効果が失われる恐れがある。また無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレンの比率が増え過ぎ、その価格が一般の押出し用樹脂に比べ4倍程度高価であるため、コスト面でも不利である。
【0029】
基材層2を形成する樹脂としては、この種の包装材料に通常用いられるポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂等を用いれば良く、例えばポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレン-2、6-ナフタレート、ポリブチレンテレフタレートやこれらの共重合体等のポリエステル系樹脂が挙げられる。
【0030】
印刷インキ層3は必須ではないが、積層体やパウチに情報を表示するために必要な場合などには、特に限定するものではないが、公知のグラビアインキ等により印刷して設けることができる。
【0031】
熱可塑性樹脂層を構成する樹脂としては、例えば、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エポキシ樹脂(EP)、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体、エチレン-メタクリル酸エステル共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-アクリル酸エステル共重合体、及びそれらの金属架橋物等が挙げられる。なかでも、直鎖状低密度ポリエチレンが好ましい。これら熱可塑性樹脂としては、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【実施例
【0032】
以下に実施例により本発明をより具体的に説明する。各実施例および比較例の結果は表1および表2にまとめる。
【0033】
<実施例1>
(積層体)
・基材:ポリエステルフィルム(厚さ12μm、FE2001、フタムラ化学(株)製)・接着剤:主剤(A525、三井化学(株)製)、硬化剤(A52、三井化学(株)製)・アルミ層:アルミ基材(厚さ7μm、1N30、東洋アルミ(株)製)
・接着層
:無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレン(M605、三菱ケミカル(株)製、第1融点ピーク98℃、第2融点ピーク50℃、密度0.88g/cm、MFR10g/cm
:低密度ポリエチレン(LC600A、日本ポリエチレン(株)製、融点106℃、密度0.918g/cm、MFR7.0g/cm
・熱可塑性樹脂層:(直鎖状低密度ポリエチレン、MZ434、タマポリ(株)製、膜厚80μm)
・接着層の無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレンと低密度ポリエチレンを、それぞれ厚さ10μmで溶融共押出しし、基材、接着剤、アルミ層、接着層、熱可塑性樹脂層をサンドイッチラミネートした。
・ネックインの確認
:溶融共押出し時のTダイ幅は360mm(エアギャップ120mm)のものを使用し、押出し後の樹脂幅は303mmであった。参考として、接着層に低密度ポリエチレンを使用せずM605単層とした場合は、押出し後の樹脂幅が253mmとなり、低密度ポリエチレンを溶融共押出しすることでネックインが改善できることが確認された。
・ラミネート後、140℃で15秒間、ヒーターロールに抱かせる様に加熱し、積層体を作製した。
【0034】
(パウチ)
作成した上記の積層体を、端部をシールして3方パウチの形状として、下記の各内容物を充填して保存試験を行った。
・内容物:ヘアカラー1剤
・保存条件:温度50℃、湿度は制御せず。
・保存期間:2週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月の4条件。
【0035】
(評価)
保存後のパウチから、15mm幅で試験サンプルを切り出し、アルミ層と接着層の間の接着強度(JISK7127準拠)を引張速度300m/minで測定した。
・測定器:RTF-1250((株)エー・アンド・ディー製)
【0036】
<実施例2>
・内容物を香料とした以外は、実施例1と同様にサンプル作製および評価を行った。
【0037】
<実施例3>
・内容物を次亜塩素酸塩とした以外は、実施例1と同様にサンプル作製および評価を行った。
【0038】
<実施例4>
接着層を以下の構成とした以外は、実施例1と同様に積層体を作製した。
・接着層
:無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレン(第1融点ピーク108℃、第2融点ピーク122℃、密度0.91g/cm、MFR6.5g/cm
:低密度ポリエチレン(LC600A、日本ポリエチレン(株)製、融点106℃、密度0.918g/cm、MFR7.0g/cm
【0039】
(パウチ)
作成した上記の積層体を、端部をシールして3方パウチの形状として、下記の各内容物を充填して保存試験を行った。
・内容物:アセトン
・保存条件:温度50℃、湿度は制御せず。
・保存期間:1週間。
【0040】
(評価)
・実施例1と同様の方法で評価を行った。
【0041】
<比較例1>
・接着層を通常のドライラミ用接着剤とした以外は実施例1と同様の3方パウチを作製し、ヘアカラー1剤を充填して実施例1と同様に保存、評価を行った。
【0042】
<比較例2>
・接着層を通常のドライラミ用接着剤とした以外は実施例4と同様の3方パウチを作製し、アセトンを充填して実施例4と同様に保存、評価を行った。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】
表1および表2から明らかなように、本発明の積層体では、アタックの強い内容物の保存後も接着強度の低下が見られず、良好な結果であった。一方比較例では接着強度が大きく低下してしまった。
【符号の説明】
【0046】
1・・・積層体
2・・・基材層
3・・・印刷インキ層
4・・・接着剤層
5・・・アルミ層
6・・・無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレン層
7・・・低密度ポリエチレン層
8・・・直鎖状低密度ポリエチレン層
9・・・接着層
図1
図2
図3
図4