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  • 特許-抗菌性フィルム及び抗菌性包材 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】抗菌性フィルム及び抗菌性包材
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/18 20060101AFI20231219BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20231219BHJP
   C09J 201/00 20060101ALI20231219BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20231219BHJP
   A01P 3/00 20060101ALI20231219BHJP
   A01N 25/34 20060101ALI20231219BHJP
   A01N 35/02 20060101ALI20231219BHJP
   A01N 31/02 20060101ALI20231219BHJP
   A01N 31/08 20060101ALI20231219BHJP
   A01N 43/90 20060101ALI20231219BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
B32B27/18 F
B32B27/00 D
C09J201/00
C09J11/06
A01P3/00
A01N25/34 A
A01N35/02
A01N31/02
A01N31/08
A01N43/90 101
B65D65/40 D
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019187058
(22)【出願日】2019-10-10
(65)【公開番号】P2021062503
(43)【公開日】2021-04-22
【審査請求日】2022-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 徹
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼島 菜穂
【審査官】深谷 陽子
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-156789(JP,A)
【文献】特開平11-245343(JP,A)
【文献】特開2017-206466(JP,A)
【文献】特開2002-179509(JP,A)
【文献】特表2018-513811(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00-43/00
C09J 1/00- 5/10、 9/00-201/10
A01P 1/00-23/00
A01N 1/00-65/48
B65D 65/00-79/02、81/18- 81/30
B65D 81/38、85/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基材層の上に、接着剤層及び第2基材層がこの順に積層されてなる抗菌フィルムであって、
上記接着剤層は、熱硬化性樹脂と、1種類又は2種類以上の芳香族アルデヒド化合物からなる抗菌性薬剤Aと、モノテルペン類、テルペノイド、不飽和アルコールから選択した1種類以上の化合物からなる抗菌性薬剤Bとを含み、
上記抗菌性薬剤Aに対する上記抗菌性薬剤Bの濃度比が、99:1以上90:10以下であり、
上記接着剤層は、上記接着剤層を構成する熱硬化性樹脂100質量%に対し、上記抗菌性薬剤A及び上記抗菌性薬剤Bを、1質量%以上15質量%以下含有し、
上記第1基材層及び第2基材層の少なくとも一方は、揮発した上記抗菌性薬剤A及び抗菌性薬剤Bが通過可能な材料からなり、
上記抗菌性薬剤Aがシンナムアルデヒド又はフェニルプロピオンアルデヒドからなり、
上記抗菌性薬剤Bが、リナロール、カルバクロール、1-オクテン-3-オール又はシネオールからなることを特徴とする、抗菌性フィルム。
【請求項2】
上記接着剤層の厚みが1μm以上10μm以下であることを特徴とする、請求項1に記載の抗菌性フィルム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の抗菌性フィルムを、揮発した上記抗菌性薬剤A及び抗菌性薬剤Bが通過可能な材料からなる基材層を内側にしてヒートシールし袋状に加工した抗菌性包材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗菌性フィルム、及びそれを用いた抗菌性包材に関する。
【背景技術】
【0002】
食品が微生物により劣化することを防ぎ、消費期限や賞味期限を延長するための包装材として、抗菌包材が用いられている。
抗菌包材に含まれる抗菌性薬剤が不揮発性の場合、包材と食品が接触する部分でしか抗菌性が発現しないという欠点があった。一方で、抗菌性薬剤が揮発性の場合、薬剤の刺激臭が強いために食品の風味に影響が出たり、薬剤の揮発が早いために抗菌性の持続性が乏しいなどの問題があった。
【0003】
殺菌性を有するイソチオシアン酸エステルを表面吸着させたフィルムが提案されている(特許文献1)。しかしながら殺菌剤として用いるイソチオシアン酸エステルは強い刺激臭を有するため、内包する食品の風味を損なう恐れがある。
またイソチオシアン酸エステルなどの高い揮発性を有する抗菌剤を用いる場合、製造から使用までに揮発によって抗菌剤が失われ、想定した抗菌性が得られないことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平3-151972号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的の一つは、刺激臭が少なく内包する食品などの風味を損なうことのない、空間抗菌性を発現することができる抗菌性フィルムを得ることである。他の目的は、長時間にわたって十分な空間抗菌性を発現する抗菌性フィルムを得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
課題解決のために、本発明の一態様は、第1基材層の上に、接着剤層及び第2基材層がこの順に積層されてなる抗菌フィルムであって、上記接着剤層は、熱硬化性樹脂と、1種類又は2種類以上の芳香族アルデヒド化合物からなる抗菌性薬剤Aと、モノテルペン類、テルペノイド、不飽和アルコールから選択した1種類以上の化合物からなる抗菌性薬剤Bとを含み、上記抗菌性薬剤Aに対する上記抗菌性薬剤Bの濃度比が、99:1以上90:10以下であり、上記接着剤層は、上記接着剤層を構成する熱硬化性樹脂100質量%に対し、上記抗菌性薬剤A及び上記抗菌性薬剤Bを、1質量%以上15質量%以下含有し、上記第1基材層及び第2基材層の少なくとも一方は、揮発した上記抗菌性薬剤A及び抗菌性薬剤Bが通過可能な材料からなることを要旨とする。
【0007】
また、本発明の他の態様は、上記の抗菌性フィルムを、基材層を内側にしてヒートシールし袋状に加工した抗菌性包材である。例えば、抗菌性包材は、上記の抗菌性フィルムを2枚貼り合わせて袋状に構成されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の態様の抗菌性フィルムによれば、内包する食品などの風味を損なうことなく、長時間にわたって十分な空間抗菌性を発現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態にかかる抗菌性フィルムを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
(抗菌性フィルム)
本実施形態の抗菌性フィルムは、図1に示すように、第1基材層1の上に、接着剤層2及び第2基材層3がこの順に積層して構成される。抗菌性フィルムは、接着剤層2に抗菌性薬剤Aと抗菌性薬剤Bの2種を含み、抗菌性薬剤が第1基材層1や第2基材層3の少なくとも一方から徐々に揮発することで抗菌性を発現するものである。本例では、第2基材層3から、揮発した抗菌性薬剤が外部に出て行くものとする。
抗菌性薬剤Aに対する抗菌性薬剤Bの濃度比が99:1以上90:10以下であることを特徴とする。また接着剤層2には固形分に対し1質量%以上15質量%以下の抗菌性薬剤A及び抗菌性薬剤Bを混合してなる。
【0011】
(第1基材層1)
第1基材層1は、優れた機械強度及び優れた耐熱性を有するフィルムであることが好ましい。また、第1基材層1は接着剤層2に含まれる抗菌性薬剤A及び抗菌性薬剤Bの透過性が低い材料からなることが好ましい。
第1基材層1は、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA)から適宜選択される合成樹脂からなり、単層であっても複数積層した構造であっても構わない。
第1基材層1は、良好な加工性及び取扱い性を確保するため、膜厚は10μm~50μmであることが好ましい。必要に応じて、第1基材層1には可塑剤、酸化防止剤、着色剤、充填剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、難燃化剤などの添加剤を含有してもよい。
【0012】
(第2基材層3)
第2基材層3は、ヒートシール性を有し、接着剤層2に含まれる抗菌性薬剤である抗菌性薬剤A及び抗菌性薬剤Bを透過するフィルムであることが好ましい。抗菌性薬剤の透過性は、必要とされる抗菌効果や持続性に応じて適宜選択するとよい。第2基材層3は、例えば、PE、PP、及びエチレン―酢酸ビニル共重合体(EVA)からなり、単層であっても複数層の積層構造を有していてもよい。
第2基材層3は、良好な加工性及び取扱い性を確保するため、膜厚は10μm~100μmであることが好ましい。必要に応じて、第2基材層3には可塑剤、酸化防止剤、着色剤、充填剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、難燃化剤などの添加剤を含有してもよい。
【0013】
(接着剤層2)
接着剤層2は、接着剤と、接着剤に含有された接着剤とを含む。接着剤層の役割は、第1基材層1と第2基材層3とを接着させ、抗菌性薬剤を徐々に放出することである。
【0014】
<接着剤>
接着剤は、例えば、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリエーテル系、アクリル系、エポキシ系、エチレン―酢酸ビニル系、塩化ビニル系、シリコーン系、ゴム系から適宜選択した熱硬化性樹脂からなる。
【0015】
<抗菌性薬剤>
接着剤層2に含まれる抗菌性薬剤として、少なくとも抗菌性薬剤Aと抗菌性薬剤Bとを有する。
接着剤層2の厚みは、1μm以上10μm以下が好ましい。
この範囲の厚みを有することで、十分な抗菌性を発現するための抗菌性薬剤を含みながら、基材層1と基材層2の接着強度を十分に高くしデラミネーションを防ぐことができる。
【0016】
抗菌性薬剤Aは、1種類又は2種類以上の芳香族アルデヒド化合物からなる。で抗菌性薬剤Aの分子量は30以上300以下、好ましくは60以上250以下、より好ましくは100以上230以下である。
抗菌性薬剤Aの好ましい例としては、シンナムアルデヒド、メトキシシンナムアルデヒド、ベンズアルデヒド、メチルベンズアルデヒド(分子量132.16)、アニスアルデヒド(分子量136.15)、ヒドロキシベンズアルデヒド(分子量122.12)、ペリルアルデヒド(分子量150.22)、フェニルプロピオンアルデヒド(分子量134.18)、クミンアルデヒド(分子量148.2)、シクラメンアルデヒド(分子量190.28)である。
【0017】
抗菌性薬剤Aは、これらの抗菌性薬剤例の中から1種、又は複数種を選択することができ、これらの抗菌性薬剤を用いることで、高い抗菌性と持続性を実現することができる。特に少量で高い抗菌効果を発現するシンナムアルデヒドを用いることが好ましい。抗菌性薬剤Aの分子量が30より小さい場合は抗菌性薬剤Aが接着剤層2から揮発しやすいために、抗菌性の持続が困難になる場合があり、一方で分子量が300より大きい場合、接着剤層2から揮発しづらく、想定した抗菌性が得られない場合がある。
【0018】
<抗菌性薬剤B>
抗菌性薬剤Bは、モノテルペン類、テルペノイド、不飽和アルコールから選択される少なくとも1種類の化合物からなる。抗菌性薬剤Bの分子量は、30以上300以下、好ましくは60以上250以下、より好ましくは100以上230以下である。
抗菌性薬剤Bの好ましい例としては、リナロール(分子量154.25)、リモネン(分子量136.23)、ピネン(分子量136.24)、カルバクロール(分子量150.217)、カリオレフィン(分子量204.35)、ファルネセン(分子量204.34)、ファルネソール(分子量222.37)、ヘキセノール(分子量100.16)、1-オクテン-3-オール(分子量128.21)、ネロール(分子量154.25)、ノネノール(分子量142.24)、シネオール(分子量154.25)、シトラール(分子量152.24)である。
【0019】
抗菌性薬剤Bは、これらの抗菌性薬剤例の中から1種、又は複数種を選択することができ、特ににおいを弱める効果が高く、抗菌性も優れたリナロール、カルバクロール、1-オクテン-3-オールのいずれか1種又は複数種を選択することが好ましい。これらの抗菌性薬剤を用いることで、高い抗菌性と持続性を実現することができる他、抗菌性薬剤Aのにおいを弱めることが可能となり、内包する食品などの風味を損なうことを避けることができる。
抗菌性薬剤Bの分子量が30より小さい場合は、抗菌性薬剤Bが接着剤層2から揮発しやすいために、抗菌性の持続が困難である。一方で分子量が300より大きい場合、接着剤層2から揮発しづらく、想定した抗菌性が得られない他、抗菌性薬剤Bのにおいを弱める効果も小さくなる。
【0020】
<抗菌性薬剤の濃度など>
抗菌性薬剤Aに対する抗菌性薬剤Bの濃度比は、99:1以上90:10以下であることが好ましい。
この範囲に調整することで、抗菌性薬剤Aの抗菌性を最大限に発揮しかつにおいも弱めることができる。これより少ない場合は抗菌性薬剤Bが抗菌性薬剤Aのにおいを弱める効果が期待できず、これより多い場合は抗菌性薬剤Bのにおいが強く感じられ、内包する食品への影響が懸念される。
抗菌性薬剤A及び抗菌性薬剤Bは、接着剤を構成する熱硬化性樹脂100質量%に対し1質量%以上15質量%以下で混合することが好ましい。これより少ないと十分な抗菌性を発現することができず、これより多い場合は接着剤が硬化不足になり第1基材層1と第2基材層3の接着強度が落ちるなどの不具合が生じる。
【0021】
(製造方法その他)
本実施形態の抗菌性フィルムは、第1基材層1の上に、抗菌性薬剤A、抗菌性薬剤Bを含む接着剤層2を塗布して接着剤層2を形成し、接着剤層2の上に第2基材層3を形成することで得ることができる。第2基材層3の形成は、ドライラミネートなど周知の方法を用いることができる。
また本実施形態の抗菌性フィルムは、第1基材層1の接着剤層2と相対する面に印刷層やガスバリア層、遮光層などを形成してもよい。
【0022】
(抗菌性包材)
本実施形態の
抗菌性包材は、上記の抗菌性フィルムを用い、第1基材層1が外面、第2基材層3が内面に来るようにヒートシールし製袋される。抗菌性包材は、例えば居、本実施形態の抗菌性フィルムを、第2基材層3が対向する状態で、外周部を貼り合わせて袋状とすることで構成されている。
袋の形態は平袋、三方シール、四方シール、ピラミッド型など適宜選択することができ、別途チャックや蓋材などを設けてもよい。
【実施例
【0023】
次に、本実施形態に基づく実施例について説明する。
なお、以下の%表記は、質量%である。
(実施例1)
ウレタン接着剤(東洋インキ株式会社製TM-320/CAT-13B)を酢酸エチル/アセトン混合溶剤(東洋インキ株式会社製NC401)で固形分比30%に希釈した。
次に、シンナムアルデヒド(富士フイルム和光純薬製)を接着剤の固形分に対し5%添加して混合した。
続いてリナロール(富士フイルム和光純薬製)を接着剤の固形分に対し0.25%となるように添加して混合した。こうしてシンナムアルデヒド及びリナロールの接着剤100%に対する比が5.25%、シンナムアルデヒドとリナロールの濃度比が95:5の組成物を得た。
【0024】
ここで、調液時における接着剤の固形分の質量は、接着剤層における、接着剤を構成する熱可塑性樹脂の質量と、ほぼ同義である。
次に上記で得た組成物を、12μm厚のPETフィルム(東洋紡株式会社製E5100)からなる第1基材層の上に乾燥膜厚5μmとなるよう塗布・乾燥して積層し、第1基材層1上に接着剤層2を形成した。
続けて、接着剤層2の上に30μm厚のPE(フタムラ化学株式会社製LL-XMTD)をラミネートし、実施例1の抗菌性フィルムを得た。
【0025】
(実施例2)
実施例1においてリナロールをカルバクロールに変え、その他は実施例1と同様にして、実施例2の抗菌性フィルムを得た。
(実施例3)
実施例1においてリナロールを1-オクテン-3-オールに変え、その他は実施例1と同様にして、実施例3の抗菌性フィルムを得た。
【0026】
(実施例4)
実施例1においてシンナムアルデヒドをペリルアルデヒド、リナロールをシトラールに変え、その他は実施例1と同様にして、実施例4の抗菌性フィルムを得た。
(実施例5)
実施例1においてシンナムアルデヒドをフェニルプロピオンアルデヒド、リナロールをシネオールに変え、その他は実施例1と同様にして、実施例5の抗菌性フィルムを得た。
【0027】
(比較例1)
実施例1において、シンナムアルデヒドを接着剤の固形分に対し20%添加して混合した。その他は実施例1と同様にして比較例1の抗菌性フィルムを得た。
(比較例2)
実施例1において、シンナムアルデヒドを接着剤の固形分に対し0.5%添加して混合した。次にリナロールを接着剤の固形分に対し0.025%となるように添加して混合した。その他は実施例1と同様にして比較例2の抗菌性フィルムを得た。
(比較例3)
実施例1において、シンナムアルデヒドを接着剤の固形分に対し5%添加して混合した。次にリナロールを接着剤の固形分に対し1%添加して混合した。その他は実施例1と同様にして比較例2の抗菌性フィルムを得た。
【0028】
(評価方法)
(抗菌性)
実施例1~5及び比較例1~3で得た抗菌性フィルムを、第2基材層3同士が対向するように配置して一方の口を残し三方をヒートシールして抗菌性フィルムを袋状にした。
次に、直径5cmの円形の培地に、クロコウジカビ(Aspergillus niger)を1.0×10cfu/mLの濃度で含む胞子液を50μl塗布した寒天培地シャーレを用意し、袋状の抗菌性フィルム中に封入し、口をヒートシールして密封した。これを25℃で3日間培養し、カビの生育状況を目視で「〇(生育なし)」、「△(やや生育あり)」、「×(生育あり)」として評価した。また、3日後に生育状況〇であった場合は継続培養し、その後何日目に生育が認められたかを観察して抗菌持続性の評価とした。
【0029】
(抗菌性フィルムの臭気)
実施例1~5及び比較例1~3で得た抗菌性フィルムの臭気を、「◎(不快臭なし)」、「〇(不快臭ではないがにおいが気になる)」、「△(やや不快臭あり)」、「×(不快臭あり)」として官能評価した。
【0030】
(抗菌性フィルムの密着強度)
実施例1~3及び比較例1~3で得た抗菌性フィルムを15mmの幅及び10cmの長さに切り出した。引張速度を300mm/minに変更したことを除いてJIS K6854-3:1999に準拠して、第1基材層1と第2基材層3とのT字剥離試験を行い、剥離接着強さを測定した。
密着強度を「〇(2N以上)」、「△(1N以上2N未満)」、「×(1N未満)」として評価した。
抗菌性フィルムの評価結果を表1に示す。
ここで、総合評価は、「◎」、「〇」が合格、「△」、「×」は不合格とする。
【0031】
【表1】
【0032】
上記の結果から、実施例1~5により作製した抗菌性フィルムは、抗菌性能、抗菌持続性、臭気、密着強度の全ての評価項目において不快臭を発生することなく、かつ優れた性能を持つ抗菌性フィルムを得ることが明らかになった。
【符号の説明】
【0033】
1 第1基材層
2 接着剤層
3 第2基材層
図1