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特許7404763リードフレーム、リードフレームの製造方法及び半導体装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】リードフレーム、リードフレームの製造方法及び半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/50 20060101AFI20231219BHJP
【FI】
H01L23/50 K
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2019191227
(22)【出願日】2019-10-18
(65)【公開番号】P2021068753
(43)【公開日】2021-04-30
【審査請求日】2022-08-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100141830
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 卓久
(72)【発明者】
【氏名】矢崎 雅樹
(72)【発明者】
【氏名】宮野 和幸
(72)【発明者】
【氏名】田中 康則
(72)【発明者】
【氏名】永田 昌博
【審査官】高橋 優斗
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-022772(JP,A)
【文献】特開2013-058693(JP,A)
【文献】特開2018-133533(JP,A)
【文献】特開2009-099871(JP,A)
【文献】特開昭61-295648(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23F1/00-4/04
H01L23/48
H01L23/50
H05K3/02-3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リードフレームにおいて、
外枠と、
前記外枠の内側に配置されたパッケージ領域と、を備え、
前記外枠は、前記リードフレームの表面である第1面と、前記第1面の反対側に位置し、前記リードフレームの裏面である第2面と、前記第1面から前記第2面に向けて延び、前記外枠の外側を向く側面とを有し、
断面において、前記側面と前記第1面との間に第1面側角部が形成され、前記第2面と前記側面との間に第2面側角部が形成され、前記側面のうち前記第1面側角部と前記第2面側角部との間に中間部が形成され、
断面において、前記第1面側角部、前記第2面側角部及び前記中間部は、それぞれ丸みを帯びている、リードフレーム。
【請求項2】
前記中間部は、断面において外側に向けて突出する突起である、請求項1記載のリードフレーム。
【請求項3】
前記第1面側角部と前記中間部との間には、内側に向けて曲線状に湾曲した第1湾曲部が形成され、前記中間部と前記第2面側角部との間には、内側に向けて曲線状に湾曲した第2湾曲部が形成されている、請求項2記載のリードフレーム。
【請求項4】
断面における前記第1面側角部及び前記第2面側角部の曲率半径は、1μm以上20μm以下であり、前記中間部の曲率半径は、1μm以上40μm以下である、請求項2又は3記載のリードフレーム。
【請求項5】
前記中間部は、断面において、外側に向けて曲線状に膨らんでいる、請求項1記載のリードフレーム。
【請求項6】
断面において、前記第1面側角部及び前記第2面側角部の曲率半径は、2μm以上40μm以下であり、前記中間部の曲率半径は、20μm以上400μm以下である、請求項5記載のリードフレーム。
【請求項7】
前記第2面側角部は、前記第1面側角部よりも内側に引っ込んでおり、前記中間部は、断面において、前記第1面側角部から前記第2面側角部に向かうにつれて、外側から内側に向かう曲線となっている、請求項1記載のリードフレーム。
【請求項8】
断面において、前記第1面側角部の曲率半径は、1μm以上80μm以下であり、前記第2面側角部の曲率半径は、1μm以上40μm以下である、請求項7記載のリードフレーム。
【請求項9】
前記中間部は、断面において、内側に向けて曲線状に凹んでいる、請求項1記載のリードフレーム。
【請求項10】
断面において、前記第1面側角部及び前記第2面側角部の曲率半径は、1μm以上20μm以下であり、前記中間部の曲率半径は、40μm以上200μm以下である、請求項9記載のリードフレーム。
【請求項11】
前記第2面側角部は、前記第1面側角部よりも内側に引っ込んでおり、前記第1面側角部は、前記側面のうち最も外側に位置する、請求項1記載のリードフレーム。
【請求項12】
断面において、前記第1面側角部の曲率半径は、1μm以上20μm以下であり、前記第2面側角部の曲率半径は、1μm以上20μm以下である、請求項11記載のリードフレーム。
【請求項13】
前記外枠のうち外側に位置する部分に、段部が形成されている、請求項1乃至12のいずれか一項記載のリードフレーム。
【請求項14】
リードフレームの製造方法において、
金属基板を準備する工程と、
前記金属基板にエッチングを施すことにより、前記金属基板に、外枠と、前記外枠の内側に配置されたパッケージ領域とを形成する工程であって、前記外枠は、前記リードフレームの表面である第1面と、前記第1面の反対側に位置し、前記リードフレームの裏面である第2面と、前記第1面から前記第2面に向けて延び、前記外枠の外側を向く側面とを有する、工程と、
前記金属基板の前記外枠の前記側面を丸め加工する工程と、を備え、
断面において、前記側面と前記第1面との間に第1面側角部が形成され、前記第2面と前記側面との間に第2面側角部が形成され、前記側面のうち前記第1面側角部と前記第2面側角部との間に中間部が形成され、
断面において、前記第1面側角部、前記第2面側角部及び前記中間部は、それぞれ丸みを帯びている、リードフレームの製造方法。
【請求項15】
前記丸め加工する工程は、前記金属基板を薬液により処理する工程である、請求項14記載のリードフレームの製造方法。
【請求項16】
前記丸め加工する工程は、前記金属基板を電解処理する工程である、請求項14記載のリードフレームの製造方法。
【請求項17】
半導体装置の製造方法において、
請求項1乃至13のいずれか一項記載のリードフレームを準備する工程と、
前記リードフレーム上に半導体素子を搭載する工程と、
前記半導体素子と前記リードフレームとを接続部材により電気的に接続する工程と、
前記リードフレームと、前記半導体素子と、前記接続部材とを封止樹脂により封止する工程と、
前記半導体装置毎に前記リードフレーム及び前記封止樹脂を切断する工程とを備えた、半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、リードフレーム、リードフレームの製造方法及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、基板に実装される半導体装置の小型化及び薄型化が要求されてきている。このような要求に対応すべく、従来、リードフレームを用い、その搭載面に搭載した半導体素子を封止樹脂によって封止するとともに、裏面側にリードの一部分を露出させて構成された、いわゆるQFN(Quad Flat Non-lead)タイプの半導体装置が種々提案されている。
【0003】
しかしながら、従来一般的な構造からなるQFNの場合、端子数が増加するにしたがってパッケージが大きくなるため、実装信頼性を確保することが難しくなるという課題があった。これに対して、多ピン化されたQFNを実現するための技術として、外部端子を2列に配列したパッケージの開発が進められている(例えば特許文献1)。このようなパッケージは、DR-QFN(Dual Row QFN)パッケージともよばれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-19767号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、DR-QFNパッケージを生産するにあたり、チップサイズを変更することなく、リード部の数(ピン数)を増やすことが求められてきている。これに対して、従来、ピン数を増やすために、リードフレームのサイズを大きくする手法がとられてきた。しかしながら、とりわけリードフレームの重量が増加すると、リードフレーム形成後の梱包までの工程や半導体装置を組み立てる工程中の搬送時に、リードフレームの外枠端部と搬送装置とが接触した際、外枠端部の金属が剥離し、不要な金属片となって周囲に飛散してしまうおそれがある。
【0006】
本開示は、搬送時にリードフレームの外枠端部から金属片が発生することを抑えることが可能な、リードフレーム、リードフレームの製造方法及び半導体装置の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示によるリードフレームは、リードフレームにおいて、外枠と、前記外枠の内側に配置されたパッケージ領域と、を備え、前記外枠は、第1面と、前記第1面の反対側に位置する第2面と、前記第1面から前記第2面に向けて延びる側面とを有し、断面において、前記側面と前記第1面との間に第1面側角部が形成され、前記第2面と前記側面との間に第2面側角部が形成され、前記側面のうち前記第1面側角部と前記第2面側角部との間に中間部が形成され、断面において、前記第1面側角部、前記第2面側角部及び前記中間部は、それぞれ丸みを帯びている。
【0008】
本開示によるリードフレームにおいて、前記中間部は、断面において外側に向けて突出する突起であっても良い。
【0009】
本開示によるリードフレームにおいて、前記第1面側角部と前記中間部との間には、内側に向けて曲線状に湾曲した第1湾曲部が形成され、前記中間部と前記第2面側角部との間には、内側に向けて曲線状に湾曲した第2湾曲部が形成されていても良い。
【0010】
本開示によるリードフレームにおいて、断面における前記第1面側角部及び前記第2面側角部の曲率半径は、1μm以上20μm以下であり、前記中間部の曲率半径は、1μm以上40μm以下であっても良い。
【0011】
本開示によるリードフレームにおいて、前記中間部は、断面において、外側に向けて曲線状に膨らんでいても良い。
【0012】
本開示によるリードフレームにおいて、断面において、前記第1面側角部及び前記第2面側角部の曲率半径は、2μm以上40μm以下であり、前記中間部の曲率半径は、20μm以上400μm以下であっても良い。
【0013】
本開示によるリードフレームにおいて、前記第2面側角部は、前記第1面側角部よりも内側に引っ込んでおり、前記中間部は、断面において、前記第1面側角部から前記第2面側角部に向かうにつれて、外側から内側に向かう曲線となっていても良い。
【0014】
本開示によるリードフレームにおいて、断面において、前記第1面側角部の曲率半径は、1μm以上80μm以下であり、前記第2面側角部の曲率半径は、1μm以上40μm以下であっても良い。
【0015】
本開示によるリードフレームにおいて、前記中間部は、断面において、内側に向けて曲線状に凹んでいても良い。
【0016】
本開示によるリードフレームにおいて、断面において、前記第1面側角部及び前記第2面側角部の曲率半径は、1μm以上20μm以下であり、前記中間部の曲率半径は、40μm以上200μm以下であっても良い。
【0017】
本開示によるリードフレームにおいて、前記第2面側角部は、前記第1面側角部よりも内側に引っ込んでおり、前記第1面側角部は、前記側面のうち最も外側に位置しても良い。
【0018】
本開示によるリードフレームにおいて、断面において、前記第1面側角部の曲率半径は、1μm以上20μm以下であり、前記第2面側角部の曲率半径は、1μm以上20μm以下であっても良い。
【0019】
本開示によるリードフレームにおいて、前記外枠のうち外側に位置する部分に、段部が形成されていても良い。
【0020】
本開示によるリードフレームの製造方法は、リードフレームの製造方法において、金属基板を準備する工程と、前記金属基板にエッチングを施すことにより、前記金属基板に、外枠と、前記外枠の内側に配置されたパッケージ領域とを形成する工程であって、前記外枠は、第1面と、前記第1面の反対側に位置する第2面と、前記第1面から前記第2面に向けて延びる側面とを有する、工程と、前記金属基板の前記外枠の前記側面を丸め加工する工程と、を備え、断面において、前記側面と前記第1面との間に第1面側角部が形成され、前記第2面と前記側面との間に第2面側角部が形成され、前記側面のうち前記第1面側角部と前記第2面側角部との間に中間部が形成され、断面において、前記第1面側角部、前記第2面側角部及び前記中間部は、それぞれ丸みを帯びている。
【0021】
本開示によるリードフレームの製造方法において、前記丸め加工する工程は、前記金属基板を薬液により処理する工程であっても良い。
【0022】
本開示によるリードフレームの製造方法において、前記丸め加工する工程は、前記金属基板を電解処理する工程であっても良い。
【0023】
本開示による半導体装置の製造方法は、半導体装置の製造方法において、本開示によるリードフレームを準備する工程と、前記リードフレーム上に半導体素子を搭載する工程と、前記半導体素子と前記リードフレームとを接続部材により電気的に接続する工程と、前記リードフレームと、前記半導体素子と、前記接続部材とを封止樹脂により封止する工程と、前記半導体装置毎に前記リードフレーム及び前記封止樹脂を切断する工程とを備えている。
【発明の効果】
【0024】
本開示によれば、搬送時にリードフレームの外枠端部から金属片が発生することを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、第1の実施の形態によるリードフレームの全体を示す平面図。
図2図2は、第1の実施の形態によるリードフレームの一部を示す拡大平面図(図1のII部拡大図)。
図3図3は、第1の実施の形態によるリードフレームの外枠における断面図(図2のIII-III線断面図)。
図4図4は、第1の実施の形態によるリードフレームのパッケージ領域における断面図(図1のIV-IV線断面図)。
図5図5は、第1の実施の形態による半導体装置を示す平面図。
図6図6は、第1の実施の形態による半導体装置を示す断面図(図5のVI-VI線断面図)。
図7図7(a)-(h)は、第1の実施の形態によるリードフレームの製造方法を示す断面図。
図8図8(a)-(f)は、第1の実施の形態による半導体装置の製造方法を示す断面図。
図9図8(a)-(b)は、リードフレームを搬送している状態を示す図。
図10図10は、第2の実施の形態によるリードフレームの外枠における断面図。
図11図11は、第3の実施の形態によるリードフレームの外枠における断面図。
図12図12(a)-(d)は、第3の実施の形態によるリードフレームの製造方法を示す断面図。
図13図13は、第4の実施の形態によるリードフレームの外枠における断面図。
図14図14は、第5の実施の形態によるリードフレームの外枠における断面図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(第1の実施の形態)
以下、第1の実施の形態について、図1乃至図9を参照して説明する。なお、以下の各図において、同一部分には同一の符号を付しており、一部詳細な説明を省略する場合がある。
【0027】
(リードフレームの構成)
まず、図1乃至図4により、本実施の形態によるリードフレームの概略について説明する。図1乃至図4は、本実施の形態によるリードフレームを示す図である。
【0028】
図1及び図2に示すように、リードフレーム10は、外枠40と、外枠40の内側に配置されたパッケージ領域(単位リードフレーム)10aを含んでいる。
【0029】
この場合、パッケージ領域10aは、多列及び多段に(マトリックス状に)複数配置されている。しかしながら、これに限らずパッケージ領域10aは1つ以上存在していれば良い。なお、パッケージ領域10aは、それぞれ半導体装置20(後述)に対応する領域であり、図1及び図2において仮想線の内側に位置する領域である。また、図1及び図2の仮想線は半導体装置20の外周縁に対応している。
【0030】
外枠40は、平面視で中央がくり抜かれた矩形形状(ロ字形状)を有しており、複数のパッケージ領域10aを取り囲むように配置されている。外枠40は、上記矩形の長辺に対応する第1辺40aと、上記矩形の短辺に対応する第2辺40bとを有している。第1辺40aは、X方向に延びており、第2辺40bは、Y方向に延びている。この場合、第1辺40aの長さLxは、150mm以上300mm以下としても良い。また第2辺40bの長さLyは、20mm以上100mm以下としても良い。この場合、第1辺40aの長さLxは第2辺40bの長さLyよりも長いが、これに限らず、第1辺40aの長さLxが第2辺40bの長さLyよりも短くても良く、第1辺40aの長さLxと第2辺40bの長さLyとが互いに同一であっても良い。また、第1辺40aの幅Wy(Y方向の長さ)及び第2辺40bの幅Wx(X方向の長さ)は、それぞれ3mm以上20mm以下としても良い。
【0031】
ここで、本明細書中、X方向、Y方向とは、リードフレーム10の各辺に平行な二方向であり、X方向とY方向とは互いに直交している。また、Z方向は、X方向及びY方向の両方に対して垂直な方向である。
【0032】
また、本明細書中、「内」、「内側」とは、リードフレーム10の中心方向を向く側をいい、「外」、「外側」とは、リードフレームの中心から離れる側をいう。また、「表面」とは、半導体素子21が搭載される側の面をいい、「裏面」とは、「表面」の反対側の面であって外部の図示しない実装基板に接続される側の面をいう。
【0033】
また、本明細書中、ハーフエッチングとは、被エッチング材料をその厚み方向に途中までエッチングすることをいう。ハーフエッチング後の被エッチング材料の厚みは、ハーフエッチング前の被エッチング材料の厚みの例えば30%以上70%以下、好ましくは40%以上60%以下となる。
【0034】
次に、図3を参照して外枠40の断面形状について説明する。なお、以下において、外枠40の第2辺40bの断面について説明するが、第1辺40aの断面についても略同様である。
【0035】
図3に示すように、外枠40は、第1面41と、第1面41の反対側に位置する第2面42とを有している。このうち第1面41がリードフレーム10の表面(後述する半導体素子21が搭載される側の面)に対応し、第2面42がリードフレーム10の裏面(実装基板側の面)に対応する。また外枠40は、側面43を有している。側面43は、外枠40の外側(パッケージ領域10aの反対側)を向く面であり、第1面41から第2面42に向けてZ方向に延びている。
【0036】
外枠40の断面において、側面43と第1面41との間に第1面側角部44が形成されている。第1面側角部44は、外枠40の表面側周縁部を構成する。また第1面側角部44は、断面において、外側(パッケージ領域10aの反対側)に向けて曲線状に突出するように膨らんでいる。第1面側角部44は断面視で丸みを帯びており、その曲率半径Raは、1μm以上20μm以下となっている。曲率半径Raが1μm以上となっていることにより、後述するように、第1面側角部44が搬送装置90と接触した場合であっても、第1面側角部44から金属片が剥離してしまうことが抑えられ、不要な金属片が周囲に飛散しないようにすることができる。また、曲率半径Raが20μm以下となっていることにより、後述する丸め工程において、必要以上に外枠40が削られて外枠40の肉厚が薄くなりすぎないようにすることができる。
【0037】
また、第2面42と側面43との間には、第2面側角部45が形成されている。第2面側角部45は、外枠40の裏面側周縁部を構成する。また第2面側角部45は、断面において、外側(パッケージ領域10aの反対側)に向けて曲線状に突出するように膨らんでいる。第2面側角部45は断面視で丸みを帯びており、その曲率半径Rbは、1μm以上20μm以下となっている。曲率半径Rbが1μm以上となっていることにより、後述するように、第2面側角部45が搬送装置90と接触した場合であっても、第2面側角部45から金属片が剥離してしまうことが抑えられ、不要な金属片が周囲に飛散しないようにすることができる。また、曲率半径Rbが20μm以下となっていることにより、後述する丸め工程において、必要以上に外枠40が削られて外枠40の肉厚が薄くなりすぎないようにすることができる。
【0038】
また、側面43のうち、第1面側角部44と第2面側角部45との間に中間部(中間角部)46が形成されている。この場合、中間部46は、Z方向に沿う第1面側角部44と第2面側角部45との略中間位置に位置している。また中間部46は、断面において、外側(パッケージ領域10aの反対側)に向けて曲線状に突出する突起である。中間部46は断面視で丸みを帯びており、その曲率半径Rcは、1μm以上40μm以下となっている。なお、中間部46は、Z方向に沿う第1面側角部44と第2面側角部45との中間位置よりも、第1面側角部44側に位置していても良く、第2面側角部45側に位置していても良い。曲率半径Rcが1μm以上となっていることにより、後述するように、中間部46が搬送装置90と接触した場合であっても、中間部46から金属片が剥離してしまうことが抑えられ、不要な金属片が周囲に飛散しないようにすることができる。また、曲率半径Rcが40μm以下となっていることにより、後述する丸め工程において、必要以上に外枠40が削られて外枠40の肉厚が薄くなりすぎないようにすることができる。
【0039】
Z方向に沿う第1面側角部44と中間部46との間には、第1湾曲部47が形成されている。第1湾曲部47は、断面において、内側(パッケージ領域10a側)に向けて曲線状に湾曲している。また、Z方向に沿う中間部46と第2面側角部45との間には、第2湾曲部49が形成されている。第2湾曲部49は、断面において、内側(パッケージ領域10a側)に向けて曲線状に湾曲している。
【0040】
この場合、中間部46の先端は、第1面側角部44及び第2面側角部45の先端よりも外側(パッケージ領域10aの反対側)に向けて突出しているが、これに限らず、第1面側角部44及び第2面側角部45の先端が中間部46の先端よりも外側に向けて突出していても良い。また、中間部46の先端が、第1面側角部44及び第2面側角部45の先端とY方向に同一の位置に存在しても良い。
【0041】
また、図3に示すように、外枠40のうち外側に位置する部分に段部48が形成されている。段部48は、第1面41と第2面42との両方にそれぞれ形成されている。段部48は、後述する丸め工程において、第1面側角部44、第2面側角部45及び中間部46を丸め加工する際に併せて形成される。この段部48において、外枠40は、他の部分よりも肉厚が薄く形成されている。段部48の深さdz(Z方向距離)は0.5μm以上10μm以下としても良い。
【0042】
次に、図2及び図4を参照して各パッケージ領域10aについて説明する。
【0043】
図2に示すように、各パッケージ領域10aは、ダイパッド11と、ダイパッド11周囲に設けられ、半導体素子21と外部回路(図示せず)とを接続する複数の細長い第1リード部12A及び第2リード部12Bとを備えている。複数のパッケージ領域10aは、支持リード(支持部材)13を介して互いに連結されている。この支持リード13は、ダイパッド11と第1リード部12A及び第2リード部12Bとを支持するものであり、X方向及びY方向に沿ってそれぞれ延びている。
【0044】
ダイパッド11は、平面略正方形形状を有しており、その表面には、後述する半導体素子21が搭載される。この場合、ダイパッド11は、ハーフエッチングされておらず、加工前の金属基板(後述する金属基板31)と同一の厚みを有している。ダイパッド11の平面形状は、正方形に限らず、長方形等の多角形としても良い。また、ダイパッド11の四隅には吊りリード14が連結されており、ダイパッド11は、この4本の吊りリード14を介して支持リード13に連結支持されている。
【0045】
各第1リード部12A及び各第2リード部12Bは、後述するようにボンディングワイヤ22を介して半導体素子21に接続されるものであり、ダイパッド11との間に空間を介して配置されている。各第1リード部12A及び各第2リード部12Bは、それぞれ支持リード13又は外枠40から延び出している。
【0046】
各第1リード部12Aと各第2リード部12Bとは、ダイパッド11の周囲に沿って交互に配置されている。この第1リード部12A及び第2リード部12Bの裏面には、それぞれ外部の実装基板(図示せず)に電気的に接続される外部端子17A、17Bが形成されている(図4参照)。各外部端子17A、17Bは、半導体装置20(後述)の製造後に、それぞれ半導体装置20から外方に露出するようになっている。
【0047】
この場合、複数の第1リード部12A及び第2リード部12Bの外部端子17A、17Bは、平面視で複数の列(2列)に沿って配置されている。具体的には、外部端子17A、17Bは、平面視で交互に千鳥状に配置されている。各外部端子17Aはそれぞれダイパッド11側に位置しており、各外部端子17Bはそれぞれ支持リード13又は外枠40側に位置している。
【0048】
図4に示すように、第1リード部12Aは、インナーリード51と、接続リード52と、端子部53とを有している。このうちインナーリード51は、端子部53からダイパッド11側に延びており、その先端部には内部端子15が形成されている。この内部端子15は、後述するようにボンディングワイヤ22を介して半導体素子21に電気的に接続される領域である。接続リード52は、端子部53から支持リード13又は外枠40側に延びており、その基端部は支持リード13又は外枠40に連結されている。なお、端子部53の裏面には、外部端子17Aが形成されている。第1リード部12Aのインナーリード51及び接続リード52は、それぞれ裏面側からハーフエッチングにより薄肉化されている。他方、端子部53は、ハーフエッチングされることなく、ダイパッド11と同一の厚みを有している。
【0049】
第2リード部12Bは、インナーリード61と、端子部63とを有している。このうちインナーリード61は、端子部63からダイパッド11側に延びており、その先端部には内部端子15が形成されている。インナーリード61は、裏面側からハーフエッチングにより薄肉に形成されている。また、端子部63は、ハーフエッチングされることなく、ダイパッド11と同一の厚みを有している。端子部63は、その基端側において支持リード13又は外枠40に連結されている。この端子部63の裏面には、外部端子17Bが形成されている。また、端子部63は、ハーフエッチングされることなく、ダイパッド11と同一の厚みを有している。
【0050】
なお、本実施の形態において、リードフレーム10は、外部端子17A、17Bを2列に配列したDR-QFN(Dual Row QFN)パッケージ用のリードフレームからなっているが、これに限られるものではない。リードフレーム10は、外部端子を1列に配列したQFN(Quad Flat Non-lead)パッケージ用のリードフレームであっても良く、外部端子を3列以上に配置したリードフレームであっても良い。あるいは、リードフレーム10は、少なくとも1対の端子部を含むLED素子用のリードフレームであっても良い。
【0051】
以上説明したリードフレーム10は、全体として銅、銅合金、42合金(Ni42%のFe合金)等の金属から構成されている。また、リードフレーム10の厚みは、製造する半導体装置20の構成にもよるが、80μm以上200μm以下とすることができる。
【0052】
(半導体装置の構成)
次に、図5及び図6により、本実施の形態による半導体装置について説明する。図5及び図6は、本実施の形態による半導体装置(DR-QFN(Dual Row QFN)タイプ)を示す図である。
【0053】
図5及び図6に示すように、半導体装置(半導体パッケージ)20は、ダイパッド11と、ダイパッド11の周囲に配置された複数の第1リード部12A及び複数の第2リード部12Bと、ダイパッド11上に搭載された半導体素子21と、第1リード部12A又は第2リード部12Bと半導体素子21とを電気的に接続する複数のボンディングワイヤ(接続部材)22とを備えている。また、ダイパッド11、第1リード部12A、第2リード部12B、半導体素子21及びボンディングワイヤ22は、封止樹脂23によって樹脂封止されている。
【0054】
このうちダイパッド11、第1リード部12A及び第2リード部12Bは、上述したリードフレーム10から作製されたものである。ダイパッド11、第1リード部12A及び第2リード部12Bの構成は、半導体装置20に含まれない領域を除き、上述した図1乃至図4に示すものと同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0055】
また、半導体素子21としては、従来一般に用いられている各種半導体素子を使用することが可能であり、特に限定されないが、例えば集積回路、大規模集積回路、トランジスタ、サイリスタ、ダイオード等を用いることができる。この半導体素子21は、各々ボンディングワイヤ22が取り付けられる複数の電極21aを有している。また、半導体素子21は、例えばダイボンディングペースト等の接着剤24により、ダイパッド11の表面に固定されている。
【0056】
各ボンディングワイヤ22は、例えば金、銅等の導電性の良い材料からなっている。各ボンディングワイヤ22は、それぞれその一端が半導体素子21の電極21aに接続されるとともに、その他端が各第1リード部12A又は第2リード部12Bの内部端子15にそれぞれ接続されている。なお、内部端子15には、ボンディングワイヤ22と密着性を向上させるめっき部が設けられていても良い。
【0057】
封止樹脂23としては、シリコーン樹脂やエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂、あるいはPPS樹脂等の熱可塑性樹脂を用いることができる。封止樹脂23全体の厚みは、300μm以上1200μm以下程度とすることができる。また、封止樹脂23の一辺(半導体装置20の一辺)は、例えば1mm以上16mm以下することができる。なお、図5において、封止樹脂23のうち、ダイパッド11、第1リード部12A及び第2リード部12Bよりも表面側に位置する部分の表示を省略している。
【0058】
(リードフレームの製造方法)
次に、図1乃至図4に示すリードフレーム10の製造方法について、図7(a)-(h)を用いて説明する。なお、図7(a)-(h)は、リードフレーム10の製造方法を示す断面図であり、外枠40の断面を含む図である。
【0059】
まず図7(a)に示すように、平板状の金属基板31を準備する。この金属基板31としては、銅、銅合金、42合金(Ni42%のFe合金)等の金属からなる基板を使用することができる。なお金属基板31は、その両面に対して脱脂等を行い、洗浄処理を施したものを使用することが好ましい。
【0060】
次に、金属基板31の表裏全体にそれぞれ感光性レジスト32a、33aを塗布し、これを乾燥する(図7(b))。なお感光性レジスト32a、33aとしては、従来公知のものを使用することができる。
【0061】
続いて、この金属基板31に対してフォトマスクを介して露光し、現像することにより、所望の開口部32b、33bを有するエッチング用レジスト層32、33を形成する(図7(c))。
【0062】
次に、エッチング用レジスト層32、33を耐腐蝕膜として金属基板31に腐蝕液でエッチングを施す(図7(d))。これにより、外枠40と、パッケージ領域10a(ダイパッド11、第1リード部12A及び第2リード部12B)の外形が形成される。なお、腐蝕液は、使用する金属基板31の材質に応じて適宜選択することができ、例えば、金属基板31として銅を用いる場合、通常、塩化第二鉄水溶液を使用し、金属基板31の両面からスプレーエッチングを行うことができる。このとき、外枠40の側面43は、第1面41及び第2面42の両面からエッチングが施されることにより、第1面側角部44sと第2面側角部45sと中間部46sとが形成される。第1面側角部44sと第2面側角部45sと中間部46sとは、それぞれ断面において鋭角的に形成される。
【0063】
次に、エッチング用レジスト層32、33を剥離除去し、次いで金属基板31を水洗及び乾燥させる(図7(e)参照)。
【0064】
次に、金属基板31の表面及び裏面をそれぞれ保護層36で覆う(図7(f)参照)。保護層36としては、例えばテープ又はドライフィルム等のマスクを用いることができる。このとき、外枠40の側面43、第1面41の外縁41a及び第2面42の外縁42aは、それぞれ保護層36で覆われることなく、金属基板31が露出する。この保護層36で覆われない外縁41a、42aの幅Waは、例えば2μm以上40μm以下としても良い。
【0065】
続いて、金属基板31を丸め加工することにより、断面において外枠40の側面43の第1面側角部44s、第2面側角部45s及び中間部46sがそれぞれ丸みを帯びるようにする(図7(g)参照)。この丸め加工により、外枠40の側面43の鋭角的な第1面側角部44s、第2面側角部45s及び中間部46s(図7(g)の仮想線参照)がそれぞれ取り除かれ、丸みを帯びた第1面側角部44、第2面側角部45及び中間部46が得られる。
【0066】
この場合、丸め加工する工程は、金属基板31を薬液によって処理する工程(丸めエッチング工程)であっても良い。具体的には、金属基板31を薬液に浸漬し、所定時間(例えば5秒以上60秒)放置した後、金属基板31を薬液から取り出す。これにより、薬液によって外枠40の側面43の鋭角的な第1面側角部44s、第2面側角部45s及び中間部46sが削られ、それぞれ丸みを帯びた第1面側角部44、第2面側角部45及び中間部46が形成される。このような薬液としては、例えば(i)塩酸、塩化第二鉄及び水を含む希塩化液、(ii)過酸化水素水及び硫酸を含む表面粗化液、又は、(iii)硫酸及び無機酸を含む銅マイクロエッチング液等を挙げることができる。
【0067】
この場合、第1面41の外縁41a及び第2面42の外縁42aがそれぞれ保護層36によって覆われていないため、薬液によって外縁41a、42aも腐食され、段部48(図3参照)が形成される。
【0068】
なお、丸め加工する工程は、保護層36で覆われた金属基板31を電解処理する工程であっても良い。この場合、金属基板31及び図示しない電極を例えばリン酸及びクロム酸を含む電解液に浸漬し、金属基板31(プラス側)及び電極(マイナス側)間に直流電流を流すことにより、外枠40の側面43の第1面側角部44s、第2面側角部45s及び中間部46sが削られ、それぞれ丸みを帯びた第1面側角部44、第2面側角部45及び中間部46が得られる。
【0069】
その後、金属基板31を塩酸等により酸洗処理し、次いで酸化防止のための防錆処理を行っても良い。このようにして図1乃至図4に示すリードフレーム10が得られる(図7(h))。
【0070】
(半導体装置の製造方法)
次に、図5及び図6に示す半導体装置20の製造方法について、図8(a)-(f)を用いて説明する。
【0071】
まず、例えば図7(a)-(h)に示す方法により、リードフレーム10を作製する(図8(a))。
【0072】
次に、リードフレーム10のダイパッド11上に、半導体素子21を搭載する。この場合、例えばダイボンディングペースト等の接着剤24を用いて、半導体素子21をダイパッド11上に載置して固定する(ダイアタッチ工程)(図8(b))。
【0073】
次に、半導体素子21の各電極21aと、各第1リード部12A及び第2リード部12Bの内部端子15とを、それぞれボンディングワイヤ(接続部材)22によって互いに電気的に接続する(ワイヤボンディング工程)(図8(c))。
【0074】
次に、リードフレーム10に対して熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂を射出成形又はトランスファ成形することにより、封止樹脂23を形成する(図8(d))。このようにして、リードフレーム10、第1リード部12A、第2リード部12B、半導体素子21及びボンディングワイヤ22を封止する。
【0075】
次に、各半導体素子21間の封止樹脂23をダイシングすることにより、リードフレーム10を各半導体装置20毎に分離する(図8(e))。この際、例えばダイヤモンド砥石からなるブレード38を回転させながら、各半導体装置20間のリードフレーム10及び封止樹脂23を切断しても良い。このとき、外枠40は半導体装置20から離脱する。
【0076】
このようにして、図5及び図6に示す半導体装置20が得られる(図8(f))。
【0077】
ところで、このようにしてリードフレーム10から半導体装置20を作製する間、各加工工程の途中で、リードフレーム10は、搬送装置(キャリア)90によって搬送される(図9(a)参照)。搬送装置90は、L字形状であり、水平部分91と垂直部分92とを有する。搬送装置90は、リードフレーム10の外枠40を保持しながらリードフレーム10を搬送する。このとき、搬送装置90の水平部分91が外枠40の第2面42に接触し、搬送装置90の垂直部分92が外枠40の側面43に接触又は接近する。本実施の形態において、断面において、外枠40の側面43の第1面側角部44、第2面側角部45及び中間部46は、それぞれ丸みを帯びている。これにより、搬送装置90の垂直部分92が外枠40の側面43に接触した際、側面43の特定箇所に力が集中しにくい。この結果、外枠40の側面43から金属片が剥離して離脱することを抑えるとともに、この金属片が周囲に飛散することを抑え、半導体装置20の組立ての歩留まりを向上させることができる。
【0078】
これに対して、比較例として、図9(b)に示すように、仮に外枠40の側面43の第1面側角部44s、第2面側角部45s及び中間部46sがそれぞれ鋭角的となっている場合、搬送装置90の垂直部分92が外枠40の側面43に接触した際、第1面側角部44s、第2面側角部45s及び中間部46sが剥離して、それぞれ不要な金属片となって周囲に離脱しまうおそれがある。
【0079】
また、本実施の形態によれば、第1面側角部44の曲率半径Raは、1μm以上20μm以下となっており、第2面側角部45の曲率半径Rbは、1μm以上20μm以下となっている。また、中間部46の曲率半径Rcは、1μm以上40μm以下となっている。これにより、外枠40の側面43が搬送装置90と接触した場合であっても、外枠40の側面43から金属片が剥離してしまうことが抑えられ、不要な金属片が周囲に飛散しないようにすることができる。また、丸め工程において、必要以上に外枠40が削られて外枠40の肉厚が薄くなりすぎないようにすることができる。
【0080】
また、本実施の形態によれば、外枠40のうち外側に位置する部分に段部48が形成されている。これにより、搬送装置90の水平部分91が外枠40の第2面42に接触したとき、段部48は水平部分91に接触しない。この場合、搬送装置90の水平部分91が第2面側角部45に接触しないため、第2面側角部45から金属片が剥離することが抑えられる。この結果、リードフレーム10の第2面側角部45から不要な金属片が周囲に飛散しないようにすることができる。
【0081】
(第2の実施の形態)
次に、図10を参照して第2の実施の形態について説明する。図10は第2の実施の形態を示す図である。図10に示す第2の実施の形態は、外枠40の側面43の断面形状が異なるものであり、他の構成は上述した第1の実施の形態と略同一である。図10において、図1乃至図9に示す第1の実施の形態と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0082】
図10に示すリードフレーム10Aにおいて、外枠40は、第1面41と、第2面42と、側面43とを有している。第1面41と側面43との間には、第1面側角部44Aが形成されている。第1面側角部44Aは丸みを帯びており、その曲率半径Rdは、2μm以上40μm以下となっている。また、外枠40の第2面42と側面43との間には、第2面側角部45Aが形成されている。第2面側角部45Aは丸みを帯びており、その曲率半径Reは、2μm以上40μm以下となっている。
【0083】
また、側面43のうち、第1面側角部44Aと第2面側角部45Aとの間に中間部(中間湾曲部)46Aが形成されている。この場合、中間部46Aは、Z方向に沿う第1面側角部44Aと第2面側角部45Aとの略中間位置に位置している。また中間部46Aは、断面において、外側(パッケージ領域10aの反対側)に向けて曲線状に膨らんでいる。中間部46Aの曲率半径Rfは、20μm以上400μm以下となっている。なお、中間部46Aは、Z方向に沿う第1面側角部44Aと第2面側角部45Aとの略中間位置よりも、第1面側角部44A側に位置していても良く、第2面側角部45Aに位置していても良い。
【0084】
側面43のうち、第1面側角部44Aと中間部46Aとの間の部分は、外側(パッケージ領域10aの反対側)に向けて連続的に曲線状に湾曲している。また、側面43のうち、中間部46Aと第2面側角部45Aとの間の部分は、外側(パッケージ領域10aの反対側)に向けて連続的に曲線状に湾曲している。
【0085】
なお、図10には示していないが、第1の実施の形態と同様に、外枠40のうち外側に位置する部分に段部が形成されていても良い。
【0086】
図10に示すリードフレーム10Aを作製する場合、金属基板31を丸め加工する工程において、例えば第1の実施の形態の場合よりも長時間薬液処理又は電解処理を行う(図7(g)参照)。これにより、側面43の鋭角的な第1面側角部44s、第2面側角部45s及び中間部46s(図10の仮想線)がそれぞれ削られ、丸みを帯びた第1面側角部44A、第2面側角部45A及び中間部46Aが形成される。
【0087】
本実施の形態によれば、外枠40に丸みを帯びた第1面側角部44A、第2面側角部45A及び中間部46Aが形成されている。これにより、外枠40の側面43が搬送装置90(図9(a)参照)と接触した場合であっても、側面43から金属片が剥離してしまうことが抑えられ、不要な金属片が周囲に飛散しないようにすることができる。
【0088】
(第3の実施の形態)
次に、図11及び図12を参照して第3の実施の形態について説明する。図11及び図12は第3の実施の形態を示す図である。図11及び図12に示す第3の実施の形態は、外枠40の側面43の断面形状が異なるものであり、他の構成は上述した第1の実施の形態と略同一である。図11及び図12において、図1乃至図9に示す第1の実施の形態と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0089】
図11に示すリードフレーム10Bにおいて、外枠40は、第1面41と、第2面42と、側面43とを有している。第1面41と側面43との間に第1面側角部44Bが形成されている。第1面側角部44Bは丸みを帯びており、その曲率半径Rgは、1μm以上80μm以下となっている。また、外枠40の第2面42と側面43との間には、第2面側角部45Bが形成されている。第2面側角部45Bは丸みを帯びており、その曲率半径Rhは、1μm以上40μm以下となっている。この場合、第2面側角部45Bは、第1面側角部44Bよりも内側(パッケージ領域10a側)に引っ込んでいる。すなわち、断面において、第2面側角部45Bは第1面側角部44Bに対してX方向にずれた位置にある。
【0090】
また、側面43のうち、第1面側角部44Bと第2面側角部45Bとの間に中間部(中間湾曲部)46Bが形成されている。この中間部46Bは、断面視で丸みを帯びている。この場合、中間部46Bは、断面において、第1面側角部44Bから第2面側角部45Bに向かうにつれて、外側(パッケージ領域10aの反対側)から内側(パッケージ領域10a側)に向かう曲線となっている。また、側面43のうち、第1面側角部44Bと中間部46Bとの間の部分は、外側(パッケージ領域10aの反対側)に向けて曲線状に湾曲している。さらに、側面43のうち、中間部46Bと第2面側角部45Bとの間の部分は、内側(パッケージ領域10a側)に向けて曲線状に湾曲している。
【0091】
なお、図11には示していないが、第1の実施の形態と同様に、外枠40のうち外側に位置する部分に段部が形成されていても良い。
【0092】
図11に示すリードフレーム10Bを作製する場合、まず第1の実施の形態の場合(図7(a)-(e)参照)と略同様に、外枠40及びパッケージ領域10aの外形が形成された金属基板31をエッチングにより作製する。この場合、外枠40の側面43には、鋭角的な第1面側角部44s、第2面側角部45s及び中間部46sが形成される(図12(a)参照)。
【0093】
次に、金属基板31の表面及び裏面をそれぞれ保護層36で覆う(図12(b)参照)。このとき、外枠40の側面43と、第1面41の外縁41aと、第2面42の外縁42aとは、それぞれ保護層36で覆われることなく、金属基板31が露出する。この場合、保護層36で覆われない第1面41の外縁41aの幅Wbは、保護層36で覆われない第2面42の外縁42aの幅Wcよりも狭い(Wb<Wc)。具体的には、第1面41の外縁41aの幅Wbは、例えば2μm以上10μm以下としても良く、第2面42の外縁42aの幅Wcは、例えば2μm以上20μm以下としても良い。
【0094】
続いて、金属基板31を丸め加工することにより、断面において外枠40の側面43の鋭角的な第1面側角部44s、第2面側角部45s及び中間部46sがそれぞれ丸みを帯びるようにする(図12(c)参照)。この丸め加工により、外枠40の側面43の鋭角的な第1面側角部44s、第2面側角部45s及び中間部46sがそれぞれ削られ、丸みを帯びた第1面側角部44B、第2面側角部45B及び中間部46Bが得られる。
【0095】
この場合、丸め加工する工程は、金属基板31を薬液によって処理する工程(丸めエッチング工程)であっても良く、金属基板31を電解処理する工程であっても良い。
【0096】
その後、金属基板31を塩酸等により酸洗処理し、次いで酸化防止のための防錆処理を行っても良い。その後、金属基板31の表面及び裏面からそれぞれ保護層36を剥離除去することにより、図11に示すリードフレーム10Bが得られる(図12(d)参照)。
【0097】
本実施の形態によれば、断面において、外枠40の側面43の第1面側角部44B、第2面側角部45B及び中間部46Bは、それぞれ丸みを帯びているので、外枠40の側面43が搬送装置90(図9(a)参照)と接触した場合であっても、側面43から金属片が剥離してしまうことが抑えられる。また、第2面側角部45Bが第1面側角部44Bよりも内側(パッケージ領域10a側)に引っ込んでいるので、リードフレーム10Bの搬送時に、第2面側角部45Bは搬送装置90の垂直部分92(図9(a)参照)に接触しない。これにより、とりわけ第2面側角部45Bから金属片が剥離してしまうことが抑えられ、不要な金属片が周囲に飛散しないようにすることができる。
【0098】
(第4の実施の形態)
次に、図13を参照して第4の実施の形態について説明する。図13は第4の実施の形態を示す図である。図13に示す第4の実施の形態は、外枠40の側面43の断面形状が異なるものであり、他の構成は上述した第1の実施の形態と略同一である。図13において、図1乃至図9に示す第1の実施の形態と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0099】
図13に示すリードフレーム10Cにおいて、外枠40は、第1面41と、第2面42と、側面43とを有している。第1面41と側面43との間には、第1面側角部44Cが形成されている。第1面側角部44Cは丸みを帯びており、その曲率半径Riは、1μm以上20μm以下となっている。また、外枠40の第2面42と側面43との間には、第2面側角部45Cが形成されている。第2面側角部45Cは丸みを帯びており、その曲率半径Rjは、1μm以上20μm以下となっている。
【0100】
また、側面43のうち、第1面側角部44Cと第2面側角部45Cとの間に中間部(中間湾曲部)46Cが形成されている。この場合、中間部46Cは、Z方向に沿う第1面側角部44Cと第2面側角部45Cとの略中間位置に位置している。また中間部46Cは、断面において、内側(パッケージ領域10a側)に向けて曲線状に凹んでいる。中間部46Cの曲率半径Rkは、40μm以上200μm以下となっている。なお、中間部46Cは、Z方向に沿う第1面側角部44Cと第2面側角部45Cとの略中間位置よりも、第1面側角部44C側に位置していても良く、第2面側角部45Cに位置していても良い。
【0101】
側面43のうち、第1面側角部44Cと中間部46Cとの間の部分は、内側(パッケージ領域10a側)に向けて連続的に曲線状に湾曲している。また、側面43のうち、中間部46Cと第2面側角部45Cとの間の部分は、内側(パッケージ領域10a側)に向けて連続的に曲線状に湾曲している。
【0102】
なお、図13には示していないが、第1の実施の形態と同様に、外枠40のうち外側に位置する部分に段部が形成されていても良い。
【0103】
図13に示すリードフレーム10Cを作製する場合、金属基板31の外枠40の側面43に、予めエッチングにより第1面側角部44sと第2面側角部45sとを形成する。その後、金属基板31を丸め加工する工程において、例えば第1の実施の形態及び第2の実施の形態の場合よりも長時間薬液処理又は電解処理を行う(図7(g)参照)。これにより、側面43の鋭角的な第1面側角部44s及び第2面側角部45s(図13の仮想線)がそれぞれ削られ、丸みを帯びた第1面側角部44C及び第2面側角部45Cが形成される。
【0104】
本実施の形態によれば、外枠40に丸みを帯びた第1面側角部44C、第2面側角部45C及び中間部46Cが形成されている。これにより、外枠40の側面43が搬送装置90(図9(a)参照)と接触した場合であっても、側面43から金属片が剥離してしまうことが抑えられ、不要な金属片が周囲に飛散しないようにすることができる。
【0105】
(第5の実施の形態)
次に、図14を参照して第5の実施の形態について説明する。図14は第5の実施の形態を示す図である。図14に示す第5の実施の形態は、外枠40の側面43の断面形状が異なるものであり、他の構成は上述した第1の実施の形態と略同一である。図14において、図1乃至図9に示す第1の実施の形態と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0106】
図14に示すリードフレーム10Dにおいて、外枠40は、第1面41と、第2面42と、側面43とを有している。第1面41と側面43との間に第1面側角部44Dが形成されている。第1面側角部44Dは丸みを帯びており、その曲率半径Rlは、1μm以上20μm以下となっている。また、外枠40の第2面42と側面43との間には、第2面側角部45Dが形成されている。第2面側角部45Dは丸みを帯びており、その曲率半径Rmは、1μm以上20μm以下となっている。この場合、第2面側角部45Dは、第1面側角部44Dよりも内側(パッケージ領域10a側)に引っ込んでいる。すなわち、断面において、第2面側角部45Dは第1面側角部44Dに対してX方向にずれた位置にある。
【0107】
また、側面43のうち、第1面側角部44Dと第2面側角部45Dとの間に中間部(中間湾曲部)46Dが形成されている。この中間部46Dは、断面視で丸みを帯びている。この場合、中間部46Dは、断面において、第1面側角部44Dから第2面側角部45Dに向かうにつれて、外側(パッケージ領域10aの反対側)から内側(パッケージ領域10a側)に向かう曲線となっている。また、側面43のうち、第1面側角部44Dと中間部46Dとの間の部分は、中間部46Dから第1面側角部44Dに向けて外側(パッケージ領域10aの反対側)に曲線状に湾曲している。さらに、側面43のうち、中間部46Dと第2面側角部45Dとの間の部分は、中間部46Dから第2面側角部45Dに向けて内側(パッケージ領域10a側)に曲線状に湾曲している。この場合、断面において、第1面側角部44Dは、側面43のうち最も外側(パッケージ領域10aの反対側)に位置している。中間部46D及び第2面側角部45Dは、それぞれ第1面側角部44Dよりも内側(パッケージ領域10a側)位置している。
【0108】
なお、図14には示していないが、第1の実施の形態と同様に、外枠40のうち外側に位置する部分に段部が形成されていても良い。
【0109】
図14に示すリードフレーム10Dを作製する場合、金属基板31の外枠40の側面43に、予めエッチングにより第1面側角部44sと第2面側角部45sとを形成する。その後、第3の実施の形態の場合と略同様に(図12(a)-(d)参照)、金属基板31を丸め加工する工程において、例えば第3の実施の形態の場合よりも長時間薬液処理又は電解処理を行う(図12(c)参照)。これにより、側面43の鋭角的な第1面側角部44s及び第2面側角部45s(図14の仮想線)がそれぞれ削られ、丸みを帯びた第1面側角部44D及び第2面側角部45Dが形成される。
【0110】
本実施の形態によれば、外枠40に丸みを帯びた第1面側角部44D、第2面側角部45D及び中間部46Dが形成されている。これにより、外枠40の側面43が搬送装置90(図9(a)参照)と接触した場合であっても、側面43から金属片が剥離してしまうことが抑えられ、不要な金属片が周囲に飛散しないようにすることができる。また、第1面側角部44Dは、側面43のうち最も外側(パッケージ領域10aの反対側)に位置しているので、リードフレーム10Dの搬送時に、第2面側角部45D及び中間部46Dは搬送装置90の垂直部分92(図9(a)参照)に接触しない。これにより、とりわけ第2面側角部45D及び中間部46Dから金属片が剥離してしまうことが抑えられ、不要な金属片が周囲に飛散しないようにすることができる。
【0111】
なお、上記各実施の形態では、リードフレームの場合を例にとって説明したが、これに限らない。各実施の形態は、例えばリードフレーム以外のエッチングされた金属板にも適用することができる。このような金属板においても、エッチング後に搬送又は梱包される工程で、金属板の端部から金属片が発生することを抑えることができる。
【0112】
上記各実施の形態及び変形例に開示されている複数の構成要素を必要に応じて適宜組合せることも可能である。あるいは、上記各実施の形態及び変形例に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【符号の説明】
【0113】
10 リードフレーム
10a パッケージ領域
11 ダイパッド
12A 第1リード部
12B 第2リード部
20 半導体装置
40 外枠
41 第1面
42 第2面
43 側面
44 第1面側角部
45 第2面側角部
46 中間部
47 第1湾曲部
48 段部
49 第2湾曲部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14