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特許7404769動植物の育成棚用のLED照明シート組合体、動植物の育成棚及び動植物育成工場
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】動植物の育成棚用のLED照明シート組合体、動植物の育成棚及び動植物育成工場
(51)【国際特許分類】
   A01G 7/00 20060101AFI20231219BHJP
   F21V 33/00 20060101ALI20231219BHJP
   F21V 19/00 20060101ALI20231219BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20231219BHJP
   H01L 33/48 20100101ALI20231219BHJP
   H01L 33/00 20100101ALI20231219BHJP
   A01K 1/00 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
A01G7/00 601A
F21V33/00 110
F21V19/00 170
F21V19/00 150
F21S2/00 482
H01L33/48
H01L33/00 L
A01K1/00 C
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019192893
(22)【出願日】2019-10-23
(65)【公開番号】P2020124188
(43)【公開日】2020-08-20
【審査請求日】2022-08-26
(31)【優先権主張番号】P 2019018126
(32)【優先日】2019-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100202304
【弁理士】
【氏名又は名称】塙 和也
(72)【発明者】
【氏名】関戸 雅幸
(72)【発明者】
【氏名】後藤 大介
(72)【発明者】
【氏名】亀川 直人
(72)【発明者】
【氏名】塚田 大
【審査官】中村 圭伸
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-130101(JP,A)
【文献】特開2018-207047(JP,A)
【文献】特開2017-121197(JP,A)
【文献】特開2010-136625(JP,A)
【文献】特許第5503760(JP,B1)
【文献】特開2016-072524(JP,A)
【文献】特開平07-191311(JP,A)
【文献】特開2016-072189(JP,A)
【文献】国際公開第2009/054153(WO,A1)
【文献】特開2013-153691(JP,A)
【文献】特開2018-033356(JP,A)
【文献】特開2018-092821(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0206411(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 7/00
A01G 9/14 - 9/26
A01K 1/00
F21S 2/00
F21V 19/00 - 19/06
F21V 23/00 - 23/06
F21V 33/00
H01L 33/00 - 33/64
H05B 45/00 - 45/59
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体と、
前記支持体に取り付けられるとともに互いに隣接して配置された第1の動植物育成用のLED照明シート及び第2の動植物育成用のLED照明シートとを備え、
前記第1の動植物育成用のLED照明シート及び第2の動植物育成用のLED照明シートは、それぞれ第1の配列方向に沿って多列に配列されるとともに前記第1の配列方向に直交する第2の配列方向に沿って多段に配列された複数のLEDチップを有し、
前記第1の動植物育成用のLED照明シートの一の段に配列され、前記第1の配列方向において最も前記第2の動植物育成用のLED照明シート側に位置するLEDチップを第1LEDチップとし、
前記第1の動植物育成用のLED照明シートの前記一の段に配列され、前記第1LEDチップに最も近接するLEDチップを第2LEDチップとし、
前記第2の動植物育成用のLED照明シートの複数のLEDチップのうち、前記第1の動植物育成用のLED照明シートの前記第1LEDチップに最も近接するLEDチップを第3LEDチップとし、
前記第1LEDチップと前記第2LEDチップとの間の距離をA1とし、
前記第1LEDチップと前記第3LEDチップとの間の距離をB1としたとき、
0.5×A1≦B1≦1.5×A1
という関係を満たし、
前記第1の動植物育成用のLED照明シート及び前記第2の動植物育成用のLED照明シートは、
基板フィルムと、
前記基板フィルムの表面に形成された金属配線部と、
前記金属配線部を覆うように配置された光反射性絶縁保護膜とを更に有し、
前記LEDチップは、前記金属配線部に実装されており、
前記光反射性絶縁保護膜は、白色顔料を含むとともに、波長400nm以上780nm以下における光線反射率が、いずれも65%以上であり、
前記第1の動植物育成用のLED照明シート及び前記第2の動植物育成用のLED照明シートの前記LEDチップは、それぞれ透明保護膜によって覆われており、
前記透明保護膜の厚さは、10μm以上40μm以下である、動植物の育成棚用のLED照明シート組合体。
【請求項2】
前記第3LEDチップと同一の段に配置され、前記第3LEDチップに最も近接するLEDチップを第4LEDチップとし、前記第3LEDチップと前記第4LEDチップとの間の距離をA2としたとき、
0.5×A2≦B1≦1.5×A2
という関係を更に満たす、請求項1記載の動植物の育成棚用のLED照明シート組合体。
【請求項3】
前記第1の動植物育成用のLED照明シート及び前記第2の動植物育成用のLED照明シートの前記LEDチップは、それぞれ前記第1の配列方向に沿って10個以上直列に配置され、このLEDチップの段が前記第2の配列方向に沿って4段以上並列に配置されている、請求項1又は2記載の動植物の育成棚用のLED照明シート組合体。
【請求項4】
前記第1の動植物育成用のLED照明シート及び前記第2の動植物育成用のLED照明シートは、それぞれ基板フィルムと、前記基板フィルムの表面に形成された金属配線部とを備え、前記複数のLEDチップは、前記金属配線部に実装されている、請求項1乃至のいずれか一項記載の動植物の育成棚用のLED照明シート組合体。
【請求項5】
前記第1の動植物育成用のLED照明シート及び前記第2の動植物育成用のLED照明シートは、それぞれ最も厚い部分における厚みが5mm以下である、請求項1乃至のいずれか一項記載の動植物の育成棚用のLED照明シート組合体。
【請求項6】
前記第1の動植物育成用のLED照明シート及び前記第2の動植物育成用のLED照明シートには、前記第1の動植物育成用のLED照明シート及び前記第2の動植物育成用のLED照明シートに電力を供給する制御部が電気的に接続され、前記制御部は、前記第1の動植物育成用のLED照明シート及び前記第2の動植物育成用のLED照明シートに対して外付けで接続されている、請求項1乃至のいずれか一項記載の動植物の育成棚用のLED照明シート組合体。
【請求項7】
前記制御部から前記第1の動植物育成用のLED照明シート及び前記第2の動植物育成用のLED照明シートに定電圧が印加される、請求項記載の動植物の育成棚用のLED照明シート組合体。
【請求項8】
前記制御部は、前記第1の動植物育成用のLED照明シート及び前記第2の動植物育成用のLED照明シートの前記LEDチップの調光を制御可能である、請求項又は記載の動植物の育成棚用のLED照明シート組合体。
【請求項9】
前記第1の動植物育成用のLED照明シート及び前記第2の動植物育成用のLED照明シートは、それぞれリベットにより前記支持体に取り付けられている、請求項1乃至のいずれか一項記載の動植物の育成棚用のLED照明シート組合体。
【請求項10】
前記支持体は、前記第1の動植物育成用のLED照明シートが取り付けられる第1支持体と、前記第2の動植物育成用のLED照明シートが取り付けられる第2支持体とを有する、請求項1乃至のいずれか一項記載の動植物の育成棚用のLED照明シート組合体。
【請求項11】
動植物の育成棚であって、
支柱と、
前記支柱に取り付けられた請求項1乃至10のいずれか一項記載の前記動植物の育成棚用のLED照明シート組合体とを備えた、動植物の育成棚。
【請求項12】
動植物育成用のLED照明シートが、前記LED照明シート組合体の側面側にも更に配置されている、請求項11記載の動植物の育成棚。
【請求項13】
建物と、
前記建物の内部に配置された、請求項11又は12記載の動植物の育成棚とを備えた、動植物育成工場。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、動植物の育成棚用のLED照明シート組合体、動植物の育成棚及び動植物育成工場に関する。
【背景技術】
【0002】
動植物育成工場において用いる照明装置として、従来の蛍光灯や高圧ナトリウムランプ等に替えて、近年、消費電力が少ないLEDを光源とする照明装置の需要が拡大している。
【0003】
LEDを光源とする照明装置を用いた動植物育成工場の一例として、植物の育成棚の棚板に、LEDを光源とする直管型の植物育成灯を複数配置した植物育成装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
フレキシブルタイプの回路基板に複数のLEDチップを配置して面状の光源を形成した動植物育成用のLED照明装置も提案されている(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2008-118957号公報
【文献】特開2013-251230号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示は、動植物を良好な収量で得ることが可能な、動植物の育成棚用のLED照明シート組合体、動植物の育成棚及び動植物育成工場を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施の形態による動植物の育成棚用のLED照明シート組合体は、支持体と、前記支持体に取り付けられるとともに互いに隣接して配置された第1の動植物育成用のLED照明シート及び第2の動植物育成用のLED照明シートとを備え、前記第1の動植物育成用のLED照明シート及び第2の動植物育成用のLED照明シートは、それぞれ第1の配列方向に沿って多列に配列されるとともに前記第1の配列方向に直交する第2の配列方向に沿って多段に配列された複数のLEDチップを有し、前記第1の動植物育成用のLED照明シートの一の段に配列され、前記第1の配列方向において最も前記第2の動植物育成用のLED照明シート側に位置するLEDチップを第1LEDチップとし、前記第1の動植物育成用のLED照明シートの前記一の段に配列され、前記第1LEDチップに最も近接するLEDチップを第2LEDチップとし、前記第2の動植物育成用のLED照明シートの複数のLEDチップのうち、前記第1の動植物育成用のLED照明シートの前記第1LEDチップに最も近接するLEDチップを第3LEDチップとし、前記第1LEDチップと前記第2LEDチップとの間の距離をA1とし、前記第1LEDチップと前記第3LEDチップとの間の距離をB1としたとき、0.5×A1≦B1≦1.5×A1という関係を満たす。
【0008】
本実施の形態による動植物の育成棚用のLED照明シート組合体において、前記第3LEDチップと同一の段に配置され、前記第3LEDチップに最も近接するLEDチップを第4LEDチップとし、前記第3LEDチップと前記第4LEDチップとの間の距離をA2としたとき、0.5×A2≦B1≦1.5×A2という関係を更に満たしてもよい。
【0009】
本実施の形態による動植物の育成棚用のLED照明シート組合体において、前記第1の動植物育成用のLED照明シート及び前記第2の動植物育成用のLED照明シートの前記LEDチップは、それぞれ前記第1の配列方向に沿って10個以上直列に配置され、このLEDチップの段が前記第2の配列方向に沿って4段以上並列に配置されていてもよい。
【0010】
本実施の形態による動植物の育成棚用のLED照明シート組合体において、前記第1の動植物育成用のLED照明シート及び前記第2の動植物育成用のLED照明シートの前記LEDチップは、それぞれ透明保護膜によって覆われていてもよい。
【0011】
本実施の形態による動植物の育成棚用のLED照明シート組合体において、前記第1の動植物育成用のLED照明シート及び前記第2の動植物育成用のLED照明シートは、それぞれ基板フィルムと、前記基板フィルムの表面に形成された金属配線部とを備え、前記複数のLEDチップは、前記金属配線部に実装されていてもよい。
【0012】
本実施の形態による動植物の育成棚用のLED照明シート組合体において、前記第1の動植物育成用のLED照明シート及び前記第2の動植物育成用のLED照明シートは、それぞれ最も厚い部分における厚みが5mm以下であってもよい。
【0013】
本実施の形態による動植物の育成棚用のLED照明シート組合体において、前記第1の動植物育成用のLED照明シート及び前記第2の動植物育成用のLED照明シートには、前記第1の動植物育成用のLED照明シート及び前記第2の動植物育成用のLED照明シートに電力を供給する制御部が電気的に接続され、前記制御部は、前記第1の動植物育成用のLED照明シート及び前記第2の動植物育成用のLED照明シートに対して外付けで接続されていてもよい。
【0014】
本実施の形態による動植物の育成棚用のLED照明シート組合体において、前記制御部から前記第1の動植物育成用のLED照明シート及び前記第2の動植物育成用のLED照明シートに定電圧が印加されてもよい。
【0015】
本実施の形態による動植物の育成棚用のLED照明シート組合体において、前記制御部は、前記第1の動植物育成用のLED照明シート及び前記第2の動植物育成用のLED照明シートの前記LEDチップの調光を制御可能であってもよい。
【0016】
本実施の形態による動植物の育成棚用のLED照明シート組合体において、前記第1の動植物育成用のLED照明シート及び前記第2の動植物育成用のLED照明シートは、それぞれリベットにより前記支持体に取り付けられていてもよい。
【0017】
本実施の形態による動植物の育成棚用のLED照明シート組合体において、前記支持体は、前記第1の動植物育成用のLED照明シートが取り付けられる第1支持体と、前記第2の動植物育成用のLED照明シートが取り付けられる第2支持体とを有していてもよい。
【0018】
本実施の形態による動植物の育成棚は、動植物の育成棚であって、支柱と、前記支柱に取り付けられた本実施の形態による前記動植物の育成棚用のLED照明シート組合体とを備えている。
【0019】
本実施の形態による動植物の育成棚において、動植物育成用のLED照明シートが、前記LED照明シート組合体の側面側にも更に配置されていてもよい。
【0020】
本実施の形態による動植物育成工場は、建物と、前記建物の内部に配置された本実施の形態による前記動植物の育成棚とを備えている。
【発明の効果】
【0021】
本実施の形態によれば、動植物を良好な収量で得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、一実施の形態によるLED照明モジュールを示す概略図である。
図2図2は、一実施の形態によるLED照明シートを示す平面図である。
図3図3(a)-(b)は、LED照明シートの変形例を示す平面図である。
図4図4(a)は、制御部からLED照明シートに定電圧が印加される場合における時間と電圧の関係を示すグラフであり、図4(b)は、比較例としてLED照明シートにパルスが印加される場合における時間と電圧の関係を示すグラフである。
図5図5は、一実施の形態によるLED照明シートを示す断面図(図2のV-V線断面図)である。
図6図6(a)-(h)は、一実施の形態によるLED照明シートの製造方法を示す断面図である。
図7図7は、一実施の形態による植物育成工場を示す概略斜視図である。
図8図8は、一実施の形態による植物の育成棚を示す概略斜視図である。
図9A図9Aは、一実施の形態による植物の育成棚用の棚板を示す底面図である。
図9B図9Bは、一実施の形態による植物の育成棚用の棚板を示す底面図である。
図10A図10Aは、一実施の形態による植物の育成棚用の棚板の変形例を示す底面図である。
図10B図10Bは、一実施の形態による植物の育成棚用の棚板の変形例を示す底面図である。
図11A図11A(a)-(b)は、植物の育成棚の変形例を示す図である。
図11B図11Bは、植物の育成棚の変形例を示す図である。
図12図12(a)は、比較例の植物の育成棚用の棚板を示す斜視図であり、図12(b)は、比較例の植物の育成棚用の棚板を示す底面図である。
図13図13(a)-(f)は、実施例1において、照度の分布を示す図である。
図14図14(a)-(f)は、実施例2において、照度の分布を示す図である。
図15図15(a)-(f)は、比較例において、照度の分布を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本実施の形態による動植物の育成棚用のLED照明シート組合体は、支持体と、前記支持体に取り付けられるとともに互いに隣接して配置された第1LED照明シート及び第2LED照明シートとを備え、前記第1LED照明シート及び第2LED照明シートは、それぞれ第1の配列方向に沿って多列に配列されるとともに前記第1の配列方向に直交する第2の配列方向に沿って多段に配列された複数のLEDチップを有する動植物育成用のLED照明シートである。前記第1LED照明シートの一の段に配列され、前記第1の配列方向において最も前記第2LED照明シート側に位置するLEDチップを第1LEDチップとし、前記第1LED照明シートの前記一の段に配列され、前記第1LEDチップに最も近接するLEDチップを第2LEDチップとし、前記第2LED照明シートの複数のLEDチップのうち、前記第1LED照明シートの前記第1LEDチップに最も近接するLEDチップを第3LEDチップとし、前記第1LEDチップと前記第2LEDチップとの間の距離をA1とし、前記第1LEDチップと前記第3LEDチップとの間の距離をB1としたとき、
0.5×A1≦B1≦1.5×A1
という関係を満たす。
【0024】
本実施の形態による動植物の育成棚用のLED照明シート組合体が備える動植物育成用のLED照明シートは、シート状のLED照明装置なので、複数のLEDが配列された直管型のLEDバーライトに比べて全体の厚みを薄くできる。そのため、動植物育成棚のLED照明シート組合体の上下方向の間隔を狭くして、育成される動植物の動植物育成工場の床面積当たりの収量を向上させることができる。また、LEDチップの厚みがLED直管の厚みよりも小さいので、LED照明シートは、LEDチップが配置されている箇所とLEDチップが配置されていない箇所との間の高低差をLED直管が配置されている箇所とLED直管が配置されていない箇所との間の高低差よりも小さくできる。そのため、LEDチップの側部側の影が発生しにくくなるので、動植物が成長してLED照明シートに近接した場合であっても動植物に照射する光のばらつきを抑制できる。動植物育成用のLED照明装置において、動植物に照射する光のばらつきを抑制することは、育成される動植物の大きさや品質を一定の規格の範囲に収めて不適合品を減らすことになるので、重要である。動植物の育成では、動植物が成長して光合成が活発になる育成後期に動植物に照射される光や熱の制御が重要である。本実施の形態による動植物育成用のLED照明シートは、動植物とLED照明シートが近接しているときに動植物に照射される比較的強い光のばらつきを抑制できる。
【0025】
また、動植物育成用のLED照明シートは、シート状のLED照明装置なので、育成される動植物の収率の低下を抑制しつつ育成される動植物の育成量を増やすことができ、動植物を良好な収量で得られる。動植物育成用のLED照明装置において、単に光量を増やして動植物の育成量を増やそうとしても、その光のばらつきを抑制することができなければ、ばらつきがより大きくなり不適合品が多くなって、かえって収量が低下するおそれがある。一般に、動植物育成工場においては、動植物をより迅速に育成するために、LEDチップから照射される光の照度を高めることが好ましいと考えられる。しかしながら、単にLEDチップから照射される光の照度を増加した場合、面内に複数配置された動植物の育成スピードにばらつきが生じてしまうことが判明した。とりわけ動植物の育成後期の段階で育成のスピードがばらついてしまい、一部の動植物が十分に育成されなかったり、一部の動植物にチップバーンとよばれる育成障害が発生したりする等、かえって生育不良が増加することが判明した。これは、動植物の育成後期の段階では、動植物が上方のLED照明シートに接近するので、LEDチップに近い動植物には光が多量に供給される一方、LEDチップから遠い動植物には光が十分に供給されず、これらの動植物の間で育成スピードに差が生じてしまうためであると考えられる。
【0026】
本実施の形態による動植物の育成棚用のLED照明シート組合体によれば、0.5×A1≦B1≦1.5×A1という関係を満たすので、第1LED照明シートと第2LED照明シートとの間の隙間の近傍において、第1LEDチップと第3LEDチップとの間の距離が、第1LED照明シート及び第2LED照明シートの他のLEDチップ同士の間隔に近づけられている。これにより、第1LED照明シートと第2LED照明シートとの間の隙間の近傍において、LEDチップからの光の照度のばらつきを低減することにより、LED照明シートの下方における光量を均一にしている。この結果、LEDチップからの光の照射量が面内で均等となり、第1LED照明シートと第2LED照明シートとの間の隙間を含む、第1LED照明シート及び第2LED照明シートの全体の下方領域で、光の照射量が不足する場所をなくすことができる。これにより、とりわけ動植物の育成後期における動植物の育成スピードを面内で均一にすることができる。また、LEDチップからの光の照射量が過剰になる場所もなくなるので、動植物にチップバーンとよばれる成長障害が発生することも抑制することができる。
【0027】
本実施の形態による動植物の育成棚、及び動植物育成工場は、上記の本実施の形態による動植物の育成棚用のLED照明シート組合体を備えるので、動植物を良好な収量で得ることができる。
【0028】
以下、図面を参照しながら一実施の形態について具体的に説明する。以下に示す各図は、模式的に示したものである。そのため、各部の大きさ、形状は理解を容易にするために、適宜誇張している。また、技術思想を逸脱しない範囲において適宜変更して実施することが可能である。なお、以下に示す各図において、同一部分には同一の符号を付しており、一部詳細な説明を省略する場合がある。また、本明細書中に記載する各部材の寸法等の数値および材料名は、実施の形態としての一例であり、これに限定されるものではなく、適宜選択して使用することができる。本明細書において、形状や幾何学的条件を特定する用語、例えば平行や直交、垂直等の用語については、厳密に意味するところに加え、実質的に同じ状態も含むものとする。本明細書において、動植物とは、動物及び/又は植物を意味する。なお、以下においては、便宜上、LED照明モジュールによって植物を育成(栽培)する場合を例にとって説明するが、矛盾の生じない範囲で、動物を育成する場合にも適用することができる。
【0029】
まず、本実施の形態による植物の育成棚用のLED照明シート組合体に用いられる植物育成用のLED照明シートを備える、植物育成用のLED照明モジュールについて説明する。
【0030】
(植物育成用のLED照明モジュール)
図1に示す植物育成用のLED照明モジュール10(以下、LED照明モジュール10ともいう)は、後述するように、人工光を用いた植物育成工場90(図7)内に設置され、植物を育成するものである。このようなLED照明モジュール10は、植物育成用のLED照明シート20(以下、LED照明シート20ともいう)と、LED照明シート20に電気的に接続された制御部40とを備えている。
【0031】
図2に示すように、LED照明シート20は、そのシート面の発光面側(使用時に植物方向を向く側)に複数のLEDチップ21が配列されたものである。このような直下型のLED照明シート20を用いることで、LEDチップ21からの照射光がそのまま発光面を通過して直接直下の植物に到達するので、光量を強くして植物の育成の促進を図ることができ、また、シート全体の厚さを薄くしてLEDチップ21の側部側の影を発生しにくくすることができる。なお、図2では、直下型のLED照明シート20の例を示しているが、これに限定されず、導光板等を介在させたエッジライト型のLED照明シートを用いてもよい。エッジライト型のLED照明シートは、発光面からの光量のばらつきを抑制しやすい。図2のLED照明シート20は、フレキシブル配線基板30と、フレキシブル配線基板30上に規則的に配置された複数のLEDチップ21とを備えている。このようなフレキシブル配線基板30を用いることで、シート面の面積が比較的大きいLED照明シート20を得ることができる。一般に、植物育成工場や植物の育成棚では、LED照明シート20は、複数を配列して使用されるが、隣り合うLED照明シート20どうしの位置がばらつくと光量のばらつきが生じて植物の収率が低下するおそれがある。シート面の面積が比較的大きいLED照明シート20は、使用するLED照明シート20の数を減らすことができるので、複数のLED照明シート20の配置による光量のばらつきを抑制することができる。なお、図2では、フレキシブル配線基板30を備えたLED照明シート20の例を示しているが、これに限定されず、リジット配線基板を備えたLED照明シートを用いてもよい。リジット配線基板を備えたLED照明シートは、応力による耐性が高く、破損しにくい。なお、図2において、後述する光反射性絶縁保護膜34及び透明保護膜35の表示を省略している。
【0032】
この場合、LEDチップ21は、フレキシブル配線基板30内で平面視で格子点状に配置されている。すなわちLEDチップ21は、マトリックス状に多段多列に配置されており、直列にM個接続されたLEDチップ21の段RがN段配置されている。例えば図2において、LEDチップ21は、LEDチップ21の第1の配列方向(X方向)に沿って、14個(M=14)直列に接続されている。さらに、この14個のLEDチップ21をもつ段Rが、LEDチップ21の第2の配列方向(Y方向)に沿って、10段(N=10)並列に配置されている。なお、LEDチップ21の配置数はこれに限られるものではない。具体的には、LEDチップ21を、第1の配列方向(X方向)に沿って10個以上14個以下(14≧M≧10)直列に配置し、この段RをLEDチップ21の第2の配列方向(Y方向)に沿って4段以上10段以下(10≧N≧4)並列に配置することが好ましい。LEDチップ21を10個以上直列に配置することにより、LEDチップ21を第1の配列方向(X方向)に沿って短い間隔で配置することができ、LED照明シート20の照度の面内ばらつきを抑えることができ、植物に照射する光のばらつきを抑制することができる。LEDチップ21を14個以下直列に配置することにより、消費電力を削減することができ、植物育成工場90における光熱費等のランニングコストを低減することができる。また、LEDチップ21の段をLEDチップ21の第2の配列方向(Y方向)に4段以上並列に配置することにより、特定のLEDチップ21が破損した場合でも、他の段のLEDチップ21に波及しないようにし、LED照明シート20全体の照度が極端に低下することを抑止することができる。また、LED照明シート20の照度が低下した範囲を限定することで、不適合品が発生するおそれがある範囲を限定し、収率の低下を抑制することができる。また、LED照明シート20が直下型の場合には、設置や清掃のときにLEDチップ21に誤って強く接触して破損するおそれが高まるため、破損時の対策を行っておくことは、リスク管理の観点で重要である。さらに、LEDチップ21の段を10段以下並列に配置することにより、消費電力を削減することができ、植物育成工場90における光熱費等のランニングコストを低減することができる。
【0033】
LED照明シート20は、複数の金属配線部22を有し、複数の金属配線部22は、第1の配列方向(X方向)に沿って配列されている。第1の配列方向(X方向)に沿って配列された複数の金属配線部22は、それぞれLEDチップ21の各段Rに対応している。LEDチップ21は、それぞれX方向に互いに隣接する一対の金属配線部22同士を跨ぐように配置されている。またLEDチップ21の図示しない各端子は、一対の金属配線部22にそれぞれ電気的に接続されている。複数の金属配線部22は、LEDチップ21への給電部を構成しており、複数の金属配線部22に電力が供給されることにより、当該段Rに配置されたLEDチップ21が全て点灯する。なお、複数の金属配線部22は、後述する金属配線部32の一部を構成する。
【0034】
第1の配列方向(X方向)におけるLEDチップ21同士の間隔Pxは、37mm以上50mm以下とすることが好ましい。また、第2の配列方向(Y方向)におけるLEDチップ21同士の間隔Pyは、37mm以上100mm以下とすることが好ましい。LEDチップ21同士の間隔を上記範囲とすることにより、LED照明シート20の輝度を面内で均一にして、植物に照射する光のばらつきを抑制するとともに、LED照明シート20の消費電力を抑えることができる。
【0035】
LED照明シート20のうち最も厚い部分における厚みは、5mm以下とすることが好ましい。このようにLED照明シート20の厚みを薄くすることにより、LED照明シート20を設置する基板(支持体)81(図8)同士の上下方向の間隔を狭くすることができ、これにより各植物の育成棚80(図8)あたりの基板81の数を増やすことができる。この結果、単位面積あたりの植物の収穫量を増やすことができる。また、植物とLED照明シート20が近接しているときに植物に照射される比較的強い光のばらつきをより抑制できる。
【0036】
LEDチップ21の配列は、平面視格子点状に限られるものではなく、図3(a)に示すように、平面視で千鳥状に配置されていても良い。また、LEDチップ21は、LED照明シート20の面内で均一に配置されていなくても良い。例えば、LED照明シート20の周縁部において、LEDチップ21の密度をより高めても良い。具体的には、図3(b)に示すように、LED照明シート20の中央部(図3(b)の下部)でLEDチップ21を格子点状に配置し、LED照明シート20の周縁部(図3(b)の上部)でLEDチップ21を千鳥状に配置しても良い。これにより、LED照明シート20の周縁部におけるLED照明シート20の輝度の低下を抑制し、LED照明シート20の輝度を面内で均一にして、植物に照射する光のばらつきを抑制することができる。
【0037】
LED照明シート20の全体形状は、平面視長方形形状となっているが、LED照明シート20のサイズや平面形状については特に限定されるものではない。LED照明シート20は、サイズや形状の加工の自由度が高いため、この点に関する様々な需要に対しても柔軟に対応することが可能である。また、その可撓性を活かして、フラットな設置面に限らず様々な形状の設置面への取付けが可能である。また、LED照明シート20自体が剛性をもっているため、例えばLED照明シート20をLEDチップ21が外側になる様に円筒状に曲げることによって、設置面がなくとも、LED照明シート20単体で照明として用いることも可能である。
【0038】
図2において、LED照明シート20の第1の配列方向(X方向)の長さLxは、500mm以上700mm以下とすることが好ましく、550mm以上650mm以下とすることが更に好ましい。LED照明シート20の第2の配列方向(Y方向)の長さLyは、300mm以上500mm以下とすることが好ましく、350mm以上450mm以下とすることが更に好ましい。LED照明シート20の大きさを上記範囲とすることにより、LED照明シート20を一般的な植物育成用の基板81(図8)に適合させることができ、基板81のデッドスペースを減らすことができる。また、個々のLED照明シート20の大きさが過度に大きすぎないことにより、特定のLEDチップ21が破損した場合に、他のLEDチップ21に影響が及ぶことを最低限に抑え、植物の育成棚用の棚板(LED照明シート組合体)83(図8)全体の照度が極端に低下することを防止しかつ照度が低下する範囲を限定することができる。
【0039】
次に、制御部40について説明する。図1に示すように、制御部40は、LED照明シート20に電力を供給するとともに、LED照明シート20の発光等を制御するものである。この制御部40は、LED照明シート20上に設けられた第1コネクタ44Aを介してLED照明シート20に対して着脱自在に接続される。すなわち制御部40は、LED照明シート20と別体に構成され、LED照明シート20に対して外付けで接続されるようになっている。すなわち制御部40は、LED照明シート20と一体化されていない。これにより、熱源となる制御部40をLED照明シート20から分離することができ、制御部40からの熱によって植物の生育に影響を及ぼさないようにすることができる。
【0040】
また制御部40は、電力入力部41と、AC/DCコンバーター(ドライバー)42と、PWM制御部43とを有している。このうち電力入力部41には、例えば100V乃至240Vの任意の電圧をもつ交流の電圧が供給される。AC/DCコンバーター42は、100V乃至240Vの交流電圧を定圧(例えば44V)の直流電圧に変換する。PWM制御部43は、AC/DCコンバーター42からの定電圧波形のパルス幅を任意に変化させることにより、LED照明シート20のLEDチップ21の調光を行うものである。すなわちPWM制御部43は、LED照明シート20の調光を制御する調光制御部としての役割も果たす。PWM制御部43から出力される定電圧は、第1コネクタ44Aを介してLED照明シート20に印加される。
【0041】
制御部40のPWM制御部43からLED照明シート20に定電圧が印加されることにより、LED照明シート20に直接整流化されたパルス電圧が印加される場合と異なり、LEDチップ21の調光を行うことが可能となる。すなわち、PWM制御部43は、AC/DCコンバーター42からの直流電圧のデューティー比を適宜変化させることにより、LEDチップ21の照度を任意に制御することができる。例えば、図4(a)に示すように、PWM制御部43は、AC/DCコンバーター42からの定電圧のデューティー比を100%(実線)から50%(点線)に抑えることにより、LEDチップ21の照度を低下させることができる。
【0042】
このようにLEDチップ21の照度を適宜調節することにより、植物の生育ステージに応じてLED照明シート20の照度を調節し、植物の生育の度合いを調整することができる。例えば、植物の葉の小さい生育初期には、LED照明シート20の照度を低くし、植物の葉の大きい生育後期には、LED照明シート20の照度を高くしても良い。あるいは、植物の背丈の低い生育初期には、植物とLEDチップ21との距離が離れているため、LED照明シート20の照度を高くし、植物の背丈の大きい生育後期には、植物とLEDチップ21との距離が近づくため、LED照明シート20の照度を低くしても良い。LED照明シート20の照度調整の他の例としては、高い照度が必要な種類の植物のときは照度を高くし、低い照度でも育成できる種類の植物のときは照度を低くても良い。出荷の時期を早めたいときは照度を高くし、出荷の時期を遅らせたいときは照度を低くしても良い。
【0043】
また、PWM制御部43からLED照明シート20に定電圧が印加されることにより、LED照明シート20からの光の単位時間あたりの積算光量を増加することができる。すなわち、例えば、LED照明シート20に定電圧が印加された場合における積算光量(図4(a)の網掛け部分の面積)を、比較例としてパルスで電圧が印加される場合における積算光量(図4(b)の網掛け部分の面積)よりも大きくすることができる。これにより、LED照明シート20からの光の発光効率を高め、植物の育成効率を向上させることができる。
【0044】
再度図1を参照すると、LED照明シート20には、レギュレータ45が設けられている。この場合、レギュレータ45は、LEDチップ21の各列に対応してそれぞれ設けられており、具体的には、10列のLEDチップ21の列に対応して10個のレギュレータ45が設けられている。このレギュレータ45は、各列の複数のLEDチップ21に流れる電流を一定に保持する役割を果たす。これにより、1つのLEDチップ21が破損した場合でも、他の列のLEDチップ21に過大な電流が流れることを抑え、他の列のLEDチップ21が破損しないようにすることができる。この結果、LED照明シート20全体の照度が極端に低下することを防止することができ、植物に照射する光のばらつきを抑制することができる。また、レギュレータ45は接続する抵抗値により制御する電流量を列ごとに制御可能であり、たとえば、最初の列と最後の列の制御用抵抗値を変化させることで、周辺部の列のみ出力をあげることができる。これにより、通常、LED照明シート20同士を隙間なく敷き詰めることで均一性を確保する狙いがあるが、コストの観点や通気性確保の観点で、LED照明シート20間を5cm~10cm程度あけたとしても、その継ぎ目が消せる効果が期待できる。
【0045】
さらに、LED照明シート20には、第1コネクタ44Aから分岐して電力供給ライン46が設けられている。また、LED照明シート20上には第2コネクタ44Bが設けられている。電力供給ライン46は、当該LED照明シート20のLEDチップ21には電気的に接続されることなく、LED照明シート20と同一の構成をもつ他のLED照明シート200の配線に対して電気的に接続される。すなわち電力供給ライン46は、第2コネクタ44B及び他のLED照明シート200上に設けられた他の第1コネクタ44Aを介して、LED照明シート200の配線に着脱自在に接続される。電力供給ライン46からの電流は、第2コネクタ44B及び他の第1コネクタ44Aを介して、他のLED照明シート200に供給される。これにより、2つのLED照明シート20、200を連結し、これら2つのLED照明シート20、200を1つの制御部40によって同時に制御することができる。1つの制御部40によって複数のLED照明シート20、200を同時に制御することができることによって、熱の発生源である制御部40の数を減らすことができるので、制御部40からの熱による植物の育成のばらつきが発生しにくくなって収量の低下を抑制することができる。
【0046】
(LED照明シートの各部材)
次に、LED照明シート20を構成する各部材について説明する。図5に示すように、LED照明シート20は、フレキシブル配線基板30と、フレキシブル配線基板30上に配置された複数のLEDチップ21とを備えている。このうちフレキシブル配線基板30は、可撓性を有する基板フィルム31と、基板フィルム31の表面(発光面側の面)に形成された金属配線部32とを有している。金属配線部32は、接着剤層33を介して基板フィルム31に積層されている。
【0047】
各LEDチップ21は、金属配線部32に導通可能な態様で実装されている。このLED照明シート20においては、LEDチップ21がフレキシブル配線基板30に実装されていることにより、複数のLEDチップ21を、所望の高い密度で配置することが可能である。
【0048】
LED照明シート20のうち、LEDチップ21、レギュレータ45、第1コネクタ44Aおよび第2コネクタ44Bが設けられている領域及びその周辺領域を除く領域を覆って、光反射性絶縁保護膜34が形成されている。この光反射性絶縁保護膜34は、金属配線部32を覆うように配置されている。光反射性絶縁保護膜34は、LED照明シート20の耐マイグレーション特性の向上に寄与する絶縁機能と、LED照明シート20により作られる光環境の向上に寄与する光反射機能とを兼ね備える層である。この層は、白色顔料を含む絶縁性の樹脂組成物により形成される。前述の金属配線部32と後述の透明保護膜35のみで、耐マイグレーション特性および光反射機能が得られる場合には、光反射性絶縁保護膜34がない構造も可能である。
【0049】
また、光反射性絶縁保護膜34及びLEDチップ21を覆うように、透明保護膜35が形成されている。透明保護膜35は、主としてLED照明シート20の防水性を確保するためにその最表面(最も発光面側に位置する面)に形成される樹脂性の膜である。
【0050】
金属配線部32上には、ハンダ部36が設けられている。各LEDチップ21は、それぞれハンダ部36を介して、金属配線部32に電気的に接続されている。
【0051】
(基板フィルム)
基板フィルム31は、可撓性を有する樹脂フィルムを用いることができる。なお、本明細書中、「可撓性を有する」とは、「曲率半径を少なくとも1m以下、好ましくは50cm、より好ましくは30cm、更に好ましくは10cm、特に好ましくは5cmに曲げることが可能であること」をいう。
【0052】
基板フィルム31の材料としては、耐熱性及び絶縁性が高い熱可塑性樹脂が用いられても良い。このような樹脂として、耐熱性と加熱時の寸法安定性、機械的強度、及び耐久性に優れるポリイミド樹脂(PI)や、ポリエチレンナフタレート(PEN)を用いることができる。中でも、アニール処理等の耐熱性向上処理を施すことによって耐熱性と寸法安定性を向上させたポリエチレンナフタレート(PEN)を好ましく用いることもできる。また、難燃性の無機フィラー等を添加することによって難燃性を向上させたポリエチレンテレフタレート(PET)を用いても良い。
【0053】
基板フィルム31の厚さは、特に限定されないが、放熱経路としてボトルネックとはならないこと、耐熱性及び絶縁性を有するものであること、及び、製造コストのバランスとの観点から、概ね10μm以上500μm以下、好ましくは、50μm以上250μm以下であることが好ましい。また、ロール・トゥ・ロール方式による製造を行う場合の生産性を良好に維持する観点からも上記厚さ範囲内であることが好ましい。
【0054】
(接着剤層)
接着剤層33を形成する接着剤は、公知の樹脂系接着剤を適宜用いることができる。それらの樹脂接着剤のうち、ウレタン系、ポリカーボネート系、シリコーン系、エステル系またはエポキシ系の接着剤等を特に好ましく用いることができる。
【0055】
(金属配線部)
金属配線部32は、基板フィルム31の表面(発光面側の面)に金属箔等の導電性基材によって形成される配線パターンである。この金属配線部32は、基板フィルム31の表面へ接着剤層33を介してドライラミネート法によって形成されることが好ましい。金属配線部32は、上述した複数の金属配線部22を含む。複数の金属配線部22は、第1の金属配線部22Aと、第1の金属配線部22Aから離間して配置された第2の金属配線部22Bとを含む。第1の金属配線部22A及び第2の金属配線部22Bには、LEDチップ21が搭載され、LEDチップ21は、第1の金属配線部22A及び第2の金属配線部22Bに電気的に接続されている。第1の金属配線部22A及び第2の金属配線部22Bに供給される電力によりLEDチップ21が点灯するようになっている。
【0056】
金属配線部32は、放熱性と電気伝導性を高い水準で両立させるものであることが好ましく、例えば銅箔を用いることができる。この場合、LEDチップ21からの放熱性が安定し、電気抵抗の増加を防げるので、LEDチップ21間の発光バラツキが小さくなって安定した発光が可能となる。また、LEDチップ21の寿命も延長される。更に、熱による基板フィルム31等の周辺部材の劣化も防止できるので、LED照明シート20の製品寿命も延長することができる。金属配線部32を形成する金属の例としては、上記の銅の他、アルミニウム、金、銀等の金属を挙げることができる。
【0057】
金属配線部32の厚さは、フレキシブル配線基板30に要求される耐電流の大きさ等に応じて適宜設定すればよい。但し、リフロー方式等によるハンダ加工処理時の基板フィルム31の熱収縮による反りを抑制するためには、金属配線部32の厚さが10μm以上であることが好ましい。一方、金属配線部32の厚さは、50μm以下であることが好ましく、これにより、フレキシブル配線基板30の十分な可撓性を維持することができ、重量増大によるハンドリング性の低下等も抑止することができる。
【0058】
(ハンダ部)
ハンダ部36は、金属配線部32とLEDチップ21との接合を行うものである。このハンダによる接合は、リフロー方式、あるいは、レーザー方式の2方式のいずれかによることができる。
【0059】
(LEDチップ)
LEDチップ21は、P型半導体とN型半導体が接合されたPN接合部での発光を利用した発光素子である。LEDチップ21としては、P型電極及びN型電極をそれぞれ素子の上面及び下面に設けた構造であっても良く、素子の片面にP型電極及びN型電極の双方が設けられた構造であっても良い。
【0060】
また、LEDチップ21としては、発光効率が高いものを選択することが好ましい。具体的には、LEDチップ21として、150lm/W以上の発光効率を有しているものを用いることが好ましく、180lm/W以上の発光効率を有しているものを用いることが更に好ましい。LEDチップ21の発光効率を150lm/W以上に高めることにより、LEDチップ21の実装数(密度)を下げ、LEDチップ21からのジュール熱による発熱を少なくすることができ、LEDチップ21からの熱による植物の育成のばらつきが発生しにくくなって収量の低下を抑制することができる。
【0061】
LED照明シート20は、上述の通り、高い放熱性を発揮することができる金属配線部32に、LEDチップ21を直接実装するものである。これにより、LEDチップ21を高密度で配置した場合においても、LEDチップ21の点灯時に発生する過剰な熱を金属配線部32を通して速やかに拡散し、基板フィルム31を介してLED照明シート20の外部へ十分放熱することができ、LEDチップ21からの熱による植物の育成のばらつきが発生しにくくなって収量の低下を抑制することができる。
【0062】
(光反射性絶縁保護膜)
光反射性絶縁保護膜34は、LEDチップ21が設けられている領域及びその周辺領域を除く領域に形成される層である。この光反射性絶縁保護膜34は、十分な絶縁性を有することにより、フレキシブル配線基板30の耐マイグレーション特性を向上させる所謂レジスト層であり、かつLED照明シート20により作られる光環境の発光輝度の向上に寄与する光反射性を備えた光反射層である。
【0063】
光反射性絶縁保護膜34は、ウレタン系樹脂等をベース樹脂とし、酸化チタン等の無機フィラーからなる白色顔料を更に含有する各種の樹脂組成物により形成することができる。光反射性絶縁保護膜34を形成するために用いる樹脂組成物のベース樹脂としては、ウレタン系樹脂の他、アクリル系ポリウレタン樹脂、ポリエステル系樹脂、フェノール系樹脂等を適宜用いることができる。光反射性絶縁保護膜34を形成する樹脂組成物のベース樹脂としては、透明保護膜35を形成する樹脂組成物と同一または同系の樹脂をベース樹脂とすることがより好ましい。透明保護膜35については、後述するように、アクリル系ポリウレタン樹脂を主たる材料樹脂として用いることが好ましい。これより、透明保護膜35を形成する樹脂組成物のベース樹脂がアクリル系ポリウレタン樹脂である場合には、光反射性絶縁保護膜34を形成するための樹脂組成物のベース樹脂はウレタン系樹脂またはアクリル系ポリウレタン樹脂とすることがより好ましい。
【0064】
光反射性絶縁保護膜34を形成する樹脂組成物に白色顔料として含有させる無機フィラーとしては、酸化チタンの他、アルミナ、硫酸バリウム、マグネシア、チッ化アルミニウム、チッ化ホウ素、チタン酸バリウム、カオリン、タルク、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、シリカ、マイカ粉、粉末ガラス、粉末ニッケル及び粉末アルミニウムから選ばれる少なくとも1種を用いることができる。
【0065】
光反射性絶縁保護膜34の厚さは、5μm以上50μm以下であって、より好ましくは、7μm以上20μm以下である。光反射性絶縁保護膜34の厚さが、5μm未満であると、特に金属配線部32のエッジ部分において、光反射性絶縁保護膜が薄くなり、この金属配線を被覆できずに露出する場合は絶縁性が維持できなくなるリスクが大きくなる。一方、取扱い及び搬送等の際の基板湾曲から光反射性絶縁保護膜34を保持する観点から、光反射性絶縁保護膜34の厚さは、50μm以下であることが好ましい。
【0066】
また、光反射性絶縁保護膜34は、波長400nm以上780nm以下における光線反射率が、いずれも65%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、80%以上であることが更に好ましい。LED照明シート20は、例えば、酸化チタンを、ウレタン系またはアクリル系ポリウレタンのベース樹脂100質量部に対して20質量部以上含有させることで、光反射性絶縁保護膜34の厚さを8μmとする場合における同層の上記光線反射率を75%以上とすることが可能である。
【0067】
(透明保護膜)
透明保護膜35は、LEDチップ21を覆うように、LED照明シート20の最表面に形成されている。透明保護膜35は、防水性と透明性とを有する。透明保護膜35の防水性により、LED照明シート20を植物育成用光源として使用する場合の装置内部への水の侵入を防ぐことができる。LEDチップ21として、例えば150lm/W以上の発光効率を有するような、発光効率が高いものを選択した場合、LED照明シート20において、特定のLEDチップ21が破損した場合の影響が大きくなる。そのためLEDチップ21が可能な限り破損しにくいようにすることは、リスク管理の観点で重要である。
【0068】
透明保護膜35は、アクリル系ポリウレタン樹脂等をベース樹脂とする各種の樹脂組成物により形成することができる。透明保護膜35を形成するために用いる樹脂組成物のベース樹脂としては、アクリル系ポリウレタン樹脂の他、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、フェノール系樹等を適宜用いることができる。透明保護膜35を形成する樹脂組成物のベース樹脂としては、光反射性絶縁保護膜34を形成する樹脂組成物と同一または同系の樹脂をベース樹脂とすることがより好ましい。好ましい具体的な組合せとして、光反射性絶縁保護膜34を形成する樹脂組成物のベース樹脂をウレタン系樹脂とし、透明保護膜35を形成する同樹脂をアクリル系ポリウレタン樹脂とする組合せを挙げることができる。
【0069】
透明保護膜35の厚さは、10μm以上40μm以下であり、好ましくは15μm以上30μm以下であり、より好ましくは20μm以上25μm以下である。透明保護膜35の厚さを上記範囲とすることにより、LED照明シート20の良好な可撓性や薄さ、軽量性、及び植物育成用途において求められる良好な光学特性を維持することができる。また、LED照明シート20に対して植物育成用途に求められる十分な防水性をもたらすことができる。
【0070】
透明保護膜35によるLED照明シート20の耐水性としては、LED照明シート20に対して植物育成用の水を散布した際に、LEDチップ21の劣化を抑制することが可能となる程度であれば特に限定されない。このような耐水性としては、IEC(国際電気標準会議)によって定められている防水・防塵の保護規格でIPX4以上を示すことが好ましい。IPX4以上の防水性は、あらゆる方向からの水の飛沫によってLEDチップ21に対して有害な影響が及ぼされない程度である。具体的には、LED照明シート20の法線方向に対して±180°の全範囲に5分間、10L/分の水量で散水ノズルから散水した際、LEDチップ21に対して有害な影響が及ぼされない程度とされる。
【0071】
(LED照明シートの製造方法)
次に、LED照明シート20の製造方法について、図6(a)-(h)を参照して説明する。
【0072】
まず、基板フィルム31を準備する(図6(a))。次に、基板フィルム31の表面に、金属配線部32の材料となる銅箔等の金属箔32Aを積層する(図6(b))。金属箔32Aは、金属箔32Aを例えばウレタン系接着剤等の接着剤層33によって、基板フィルム31の表面に接着される。あるいは、金属箔32Aは、基板フィルム31の表面に電解メッキ方法や気相製膜法(スパッタリング、イオンプレーティング、電子ビーム蒸着、真空蒸着、化学蒸着等)により、直接形成しても良い。もしくは、金属箔32Aに基板フィルム31を直接溶着して形成しても良い。
【0073】
次に、金属箔32Aの表面に、金属配線部32に要求される形状にパターニングされたエッチングマスク37を形成する(図6(c))。このエッチングマスク37は、金属配線部32となる金属箔32Aの配線パターンに対応する部分がエッチング液によって腐食しないように設けられる。エッチングマスク37を形成する方法は特に限定されず、例えば、フォトレジストまたはドライフィルムを、フォトマスクを通して感光させた後に現像することによって形成しても良く、インクジェットプリンター等の印刷技術により金属箔32Aの表面にエッチングマスクを形成してもよい。
【0074】
次に、エッチングマスク37に覆われていない箇所に位置する金属箔32Aを浸漬液により除去する(図6(d))。これにより、金属箔32Aのうち、金属配線部32となる箇所以外の部分が除去される。
【0075】
その後、アルカリ性の剥離液を使用して、エッチングマスク37を除去する。これにより、エッチングマスク37が金属配線部32の表面から除去される(図6(e))。
【0076】
続いて、金属配線部32上に光反射性絶縁保護膜34を積層形成する(図6(f))。光反射性絶縁保護膜34の形成は、光反射性絶縁保護膜34を構成する材料樹脂組成物を均一に塗工できる塗工手段であれば特に限定されず、例えば、スクリーン印刷、オフセット印刷、ディップコータ、刷毛塗り等の方法を使用することができる。または、光感光性を有する絶縁保護膜材料を全面に塗工し、必要な箇所のみフォトマスクを通して感光させた後に現像することによって光反射性絶縁保護膜34を形成しても良い。
【0077】
次に、金属配線部32上にLEDチップ21、レギュレータ45及びコネクタ44A、44Bを実装する(図6(g))。なお、図6(g)および後述する図6(h)においては、図面を明瞭にするために、レギュレータ45等の図示を省略している。この場合、LEDチップ21は、金属配線部32にハンダ部36を介するハンダ加工によって接合される。このハンダ加工による接合は、リフロー方式、あるいは、レーザー方式によることができ、または導電性樹脂による接合でも良い。
【0078】
次いで、光反射性絶縁保護膜34、LEDチップ21、レギュレータ45及びコネクタ44A、44Bを覆うように透明保護膜35を形成する(図6(h))。この透明保護膜35は、透明樹脂組成物をスプレー処理により吹付けて形成する方法(以下、「スプレーコート法」という)、またはカーテンコート法により形成する方法により行うことが好ましい。スプレーコート法による透明保護膜35の形成は、例えば、アクリル系ポリウレタン樹脂を含むスプレーコート処理用の塗工液を、スプレー塗装機によってフレキシブル配線基板30上の所望の領域に噴霧して塗工膜を形成することにより行うことができる。カーテンコート法による透明保護膜35の形成は、例えば、アクリル系ポリウレタン樹脂を含むカーテンコート処理用の塗工液を、カーテン塗装機によってフレキシブル配線基板30上の所望の領域に滴下して塗工膜を形成することにより行うことができる。
【0079】
なお、LED照明シート20は、上述した方法に限らず、従来公知のLEDチップ用のフレキシブル配線基板や、これにLEDチップを実装してなる各種のLEDモジュールを製造する公知の方法により製造することもできる。
【0080】
(植物育成工場及び植物の育成棚)
図7は、LED照明シート20を用いた植物育成工場90の構成を模式的に示す図である。植物育成工場90は、建物91と、建物91の内部に配置された複数の植物の育成棚80を備えている。
【0081】
図8に示すように、植物の育成棚80は、支柱82と、支柱82に取り付けられた植物の育成棚用の棚板(LED照明シート組合体)83とを備えている。この場合、植物の育成棚80は、複数(4本)の支柱82と、支柱82に沿ってそれぞれ上下方向に間隔を空けて配置された複数の植物の育成棚用の棚板83とを備えている。このうち、植物の育成棚用の棚板83は、基板(支持体)81と、基板81の下面側に取り付けられたLED照明シート20または基板81の下面側に取り付けられたLED照明モジュール10とを有している。最上段の基板81を除く各基板81の上面には、植物PLを栽培するための培地領域が設けられている。最下段の基板81を除く各基板81の下面は、当該基板81の下方に位置する基板81に対して天井面を構成しており、LED照明シート20が並列に配置されている。この場合、制御部40はLED照明シート20から十分に離れた場所に配置される。このため、制御部40に近い位置にある植物PLと遠い位置にある植物PLとで、制御部40からの熱によって生育にばらつきが生じるおそれが少ない。
【0082】
また、図示された例においては、最上段の植物の育成棚用の棚板83は、基板81の側面側に取り付けられた光遮断部84を更に有している。この光遮断部84は、最上段の基板81に取り付けられたLED照明シート20から照射された光のうち、植物の育成棚80の外部へ漏れ出す方向へ進む光を遮断するとともに、植物の育成棚80の内部へ向かって反射させる役割を果たす。また、光遮断部84は、最上段の基板81から、当該基板81の下方に位置する基板81に向けて垂下されている。これにより、植物の育成棚用の棚板83のLED照明シート20の下面に近い位置において、植物の育成棚80の外部へ漏れ出す方向へ進む光を当該育成棚80の内部へ向かって反射させることができ、当該LED照明シート20の下面に近い位置においても、植物の育成棚用の棚板83の照度の面内ばらつきを小さくすることができる。光遮断部84としては、拡散反射率が70%以上90%以下程度のシート状の部材であってもよい。なお、光遮断部84は、図8に示すように、下方に位置する基板81まで達することなく、上下の基板81間に位置する空間の上部側のみを覆うようにしてもよい。この場合、植物の育成棚用の棚板83の通気性を向上させることができる。あるいは、光遮断部84は、図示はしないが下方に位置する基板81まで達していてもよい。この場合、植物の育成棚80の内部へ向かって反射させる光の光量を増加させることができ、育成する植物の収量の向上を図ることができる。また、光遮断部84は、最下段の基板81を除く各基板81に取り付けられていてもよい。本実施の形態は、このような植物の育成棚用の棚板(LED照明シート組合体)83(図8)、植物の育成棚80(図8)、及び植物の育成棚80を備えた植物育成工場90(図7)を提供する。
【0083】
本実施の形態によるLED照明シート20が可撓性と軽量性を有することにより、各基板81の下面へのLED照明シート20の取付けは、従来の直管型の照明装置等による取付けよりも容易に行うことができる。さらに、LED照明シート20が可撓性を有することにより、LED照明シート20を、様々なサイズや形状からなる天井面へ取り付けることができる。この結果、本実施の形態によるLED照明シート20は、様々な植物の育成棚80や植物育成工場90へ適用することができる。
【0084】
また、LED照明シート20は、従来の直管型の照明装置と比較して薄型化されている。これにより、上下方向の基板81の間隔を狭めることができ、各植物の育成棚80に含まれる基板81の数を増やすことができる。この結果、単位面積あたりの植物PLの収穫量を増加することができる。
【0085】
次に、本実施の形態による植物の育成棚用の棚板(LED照明シート組合体)83について、更に詳細に説明する。
【0086】
図8および図9Aに示すように、植物の育成棚用の棚板(LED照明シート組合体)83は、基板(支持体)81と、基板81に取り付けられた第1の植物育成用のLED照明シート20A乃至第6の植物育成用のLED照明シート20F(以下、それぞれ第1LED照明シート20A、第2LED照明シート20B、第3LED照明シート20C、第4LED照明シート20D、第5LED照明シート20E、第6LED照明シート20Fともいう)とを備えている。
【0087】
本実施の形態では、植物の育成棚用の棚板83は、1つの基板81を備えており、当該1つの基板81に第1LED照明シート20A乃至第6LED照明シート20Fが取り付けられている。各LED照明シート20A~20Fが取り付けられる基板81は、ある程度剛性のある板であれば、材質は問わないが、アルミニウムなどの金属板や、木板などであってもよい。さらには、例えば、パロニア(登録商標)を含む樹脂製の板材や、樹脂製の板材をアルミニウムで挟み込んだいわゆるアルミ複合板であってもよい。基板81が樹脂製の板材や、アルミ複合板である場合、基板81の軽量化および薄肉化を図ることができる。
【0088】
また、各LED照明シート20A~20Fは、それぞれ、例えば、接着剤等によって基板81に貼り付けられていてもよい。また、各LED照明シート20A~20Fは、それぞれ、例えば、ビスやリベット、あるいはタッカー等によって基板81に取り付けられていてもよい。例えば、図9Bに示すように、各LED照明シート20A~20Fは、それぞれリベットrにより基板81に取り付けられていてもよい。図9Bに示す例においては、各LED照明シート20A~20Fは、それぞれ4つのリベットrにより基板81に取り付けられている。しかしながら、これに限られず、各LED照明シート20A~20Fを基板81に取り付けるためのリベットrの個数は任意である。各LED照明シート20A~20Fが、それぞれリベットrにより基板81に取り付けられていることにより、各LED照明シート20A~20Fの基板81への取り付けや基板81からの取り外しを容易に行うことができる。このため、各LED照明シート20A~20Fを容易に交換することができるとともに、各LED照明シート20A~20Fの金属配線部32への負荷を低減することができる。
【0089】
また、図9Aに示すように、第1LED照明シート20A及び第2LED照明シート20Bは、第1の配列方向(X方向)に沿って、互いに隣接して配置されている。同様に、第3LED照明シート20C及び第4LED照明シート20D、並びに第5LED照明シート20E及び第6LED照明シート20Fは、それぞれ第1の配列方向(X方向)に沿って、互いに隣接して配置されている。また、第1LED照明シート20A及び第3LED照明シート20Cは、第2の配列方向(Y方向)に沿って、互いに隣接して配置され、第3LED照明シート20C及び第5LED照明シート20Eは、第2の配列方向(Y方向)に沿って、互いに隣接して配置されている。同様に、第2LED照明シート20B及び第4LED照明シート20Dは、第2の配列方向(Y方向)に沿って、互いに隣接して配置され、第4LED照明シート20D及び第6LED照明シート20Fは、第2の配列方向(Y方向)に沿って、互いに隣接して配置されている。第1LED照明シート20A乃至第6LED照明シート20Fは、それぞれ第1の配列方向(X方向)に沿って多列に配列されるとともに第2の配列方向(Y方向)に沿って多段に配列された複数のLEDチップ21を有する、上述したLED照明シート20である。なお、LED照明シート20が第1の配列方向(X方向)に沿って配置される個数は任意であり、例えば、3つ以上のLED照明シート20が、第1の配列方向(X方向)に沿って配置されていてもよい。同様に、LED照明シート20が第2の配列方向(Y方向)に沿って配置される個数は任意であり、例えば、4つ以上のLED照明シート20が、第2の配列方向(Y方向)に沿って配置されていてもよい。
【0090】
本実施の形態において、第1LED照明シート20Aの一の段(例えば、図9Aに示す最上段R1)に配列され、第1の配列方向(X方向)において最も第2LED照明シート側に位置するLEDチップ21を第1LEDチップ21Aとし、第1LED照明シート20Aの当該一の段R1に配列され、第1LEDチップ21Aに最も近接するLEDチップ21を第2LEDチップ21Bとし、第2LED照明シート20Bの複数のLEDチップ21のうち、第1LED照明シート20Aの第1LEDチップ21Aに最も近接するLEDチップ21を第3LEDチップ21Cとし、第1LEDチップ21Aと第2LEDチップ21Bとの間の距離をA1とし、第1LEDチップ21Aと第3LEDチップ21Cとの間の距離をB1としたとき、
0.5×A1≦B1≦1.5×A1
という関係を満たしている。
【0091】
これにより、第1LED照明シート20Aおよび第2LED照明シート20Bを第1の配列方向(X方向)に沿って互いに隣接して配置した場合であっても、植物の育成棚用の棚板83の照度の面内ばらつきを抑えることができる。とりわけ、植物の育成棚用の棚板83のLED照明シート20の下面に近い位置においても、植物の育成棚用の棚板83の照度の面内ばらつきを小さくすることができる。このため、植物が成長し、植物の背丈が大きくなった場合においても、植物に対して均一な照度の光を供給することができる。この結果、植物育成工場90における植物の収量を向上させることができる。なお、「第1LEDチップ21Aと第2LEDチップ21Bとの間の距離A1」とは、第1LEDチップ21A及び第2LEDチップ21Bのそれぞれの中心間の距離を意味し、「第1LEDチップ21Aと第3LEDチップ21Cとの間の距離B1」とは、第1LEDチップ21A及び第3LEDチップ21Cのそれぞれの中心間の距離を意味する。
【0092】
ところで、植物育成工場においては、植物を大きく育てるのみならず、植物の大きさや品質を一定の規格の範囲内に収めることにより、不適合品を減らすことが望まれている。このため、植物育成用の照明装置では、通常の照明装置とは異なり、植物が成長して植物の背丈が大きくなった場合においても、植物に対して均一な照度の光を供給することが望まれている。これに対して本実施の形態では、植物の背丈が小さいときだけではなく、植物の背丈が大きくなった場合においても、植物に対して均一な照度の光を供給することにより、植物を大きく育てるとともに、植物の大きさを均一にすることができる。また、例えば育成される植物が葉物野菜である場合、各々の植物に対してそれぞれ均一な照度の光を供給することにより、各々の植物間において、葉の色のばらつきを抑えることができる。さらに、植物の育成棚用の棚板83の照度の面内ばらつきを抑えることにより、個々の植物において、植物の葉のうちの一部の葉が変色してしまうことを抑制することができる。このため、育成される植物の見た目を良好にし、市場価値の高い植物を育成することができる。
【0093】
また、本実施の形態において、第3LEDチップ21Cと同一の段R2に配置され、第3LEDチップ21Cに最も近接するLEDチップ21を第4LEDチップ21Dとし、第3LEDチップ21Cと第4LEDチップ21Dとの間の距離をA2としたとき、
0.5×A2≦B1≦1.5×A2
という関係を更に満たしている。
【0094】
これにより、植物の育成棚用の棚板83の照度の面内ばらつきを更に抑えることができる。このため、植物が成長し、植物の背丈が大きくなった場合においても、植物に対してより均一な光を供給することができ、植物育成工場90における植物の収量を更に向上させることができる。なお、「第3LEDチップ21Cと第4LEDチップ21Dとの間の距離A2」とは、第3LEDチップ21C及び第4LEDチップ21Dのそれぞれの中心間の距離を意味する。
【0095】
また、第1LED照明シート20Aの一の列(例えば、図9Aに示す最も左側の列C1)に配列され、第2の配列方向(Y方向)において最も第3LED照明シート側に位置するLEDチップ21を第5LEDチップ21Eとし、第1LED照明シート20Aの当該一の列C1に配列され、第5LEDチップ21Eに最も近接するLEDチップ21を第6LEDチップ21Fとし、第3LED照明シート20Cの複数のLEDチップ21のうち、第1LED照明シート20Aの第5LEDチップ21Eに最も近接するLEDチップ21を第7LEDチップ21Gとし、第5LEDチップ21Eと第6LEDチップ21Fとの間の距離をA3とし、第5LEDチップ21Eと第7LEDチップ21Gとの間の距離をB2としたとき、
0.5×A3≦B2≦1.5×A3
という関係を満たしている。
【0096】
これにより、第1LED照明シート20Aおよび第3LED照明シート20Cを第2の配列方向(Y方向)に沿って互いに隣接して配置した場合であっても、植物の育成棚用の棚板83の照度の面内ばらつきを抑えることができる。とりわけ、植物の育成棚用の棚板83のLED照明シート20の下面に近い位置においても、植物の育成棚用の棚板83の照度の面内ばらつきを小さくすることができる。このため、植物が成長し、植物の背丈が大きくなった場合においても、植物に対して均一な光を供給することができ、植物育成工場90における植物の収量を向上させることができる。なお、「第5LEDチップ21Eと第6LEDチップ21Fとの間の距離A3」とは、第5LEDチップ21E及び第6LEDチップ21Fのそれぞれの中心間の距離を意味し、「第5LEDチップ21Eと第7LEDチップ21Gとの間の距離B2」とは、第5LEDチップ21E及び第7LEDチップ21Gのそれぞれの中心間の距離を意味する。
【0097】
また、第7LEDチップ21Gと同一の列C2に配置され、第7LEDチップ21Gに最も近接するLEDチップ21を第8LEDチップ21Hとし、第7LEDチップ21Gと第8LEDチップ21Hとの間の距離をA4としたとき、
0.5×A4≦B2≦1.5×A4
という関係を更に満たしている。
【0098】
これにより、植物の育成棚用の棚板83の照度の面内ばらつきを更に抑えることができる。このため、植物が成長し、植物の背丈が大きくなった場合においても、植物に対してより均一な光を供給することができ、植物育成工場90における植物の収量を更に向上させることができる。なお、「第7LEDチップ21Gと第8LEDチップ21Hとの間の距離A4」とは、第7LEDチップ21G及び第8LEDチップ21Hのそれぞれの中心間の距離を意味する。
【0099】
なお、本実施の形態では、第3LED照明シート20Cの各LEDチップ21及び第4LED照明シート20Dの各LEDチップ21は、それぞれ上述した第1LED照明シート20Aの各LEDチップ21及び第2LED照明シート20Bの各LEDチップ21と同様の配置によって配置されているため、ここでは詳細な説明は省略する。同様に、第5LED照明シート20Eの各LEDチップ21及び第6LED照明シート20Fの各LEDチップ21も、それぞれ上述した第1LED照明シート20Aの各LEDチップ21及び第2LED照明シート20Bの各LEDチップ21と同様の配置によって配置されているため、ここでは詳細な説明は省略する。
【0100】
また、本実施の形態では、第2LED照明シート20Bの各LEDチップ21及び第4LED照明シート20Dの各LEDチップ21は、それぞれ上述した第1LED照明シート20Aの各LEDチップ21及び第3LED照明シート20Cの各LEDチップ21と同様の配置によって配置されているため、ここでは詳細な説明は省略する。同様に、第3LED照明シート20Cの各LEDチップ21及び第5LED照明シート20Eの各LEDチップ21、並びに第4LED照明シート20Dの各LEDチップ21及び第6LED照明シート20Fの各LEDチップ21も、それぞれ上述した第1LED照明シート20Aの各LEDチップ21及び第3LED照明シート20Cの各LEDチップ21と同様の配置によって配置されているため、ここでは詳細な説明は省略する。
【0101】
なお、第1LED照明シート20Aの一の段及び第2LED照明シート20Bの一の段は、平面視で互いに同一直線上に配置されていなくても良い。例えば、図10Aに示すように、第1LED照明シート20Aの段と、第2LED照明シート20Bの段とが、平面視で千鳥状に配置されていても良い。この場合においても、少なくとも距離A1及び距離B1が上述した関係を満たすことにより、植物の育成棚用の棚板83の照度の面内ばらつきを抑えることができる。
【0102】
同様に、第1LED照明シート20Aの一の列及び第3LED照明シート20Cの一の列は、平面視で互いに略同一直線上に配置されていなくても良い。例えば、図10Aに示すように、第1LED照明シート20Aの列と、第3LED照明シート20Cの列とが、平面視で千鳥状に配置されていても良い。この場合においても、少なくとも距離A3及び距離B2が上述した関係を満たすことにより、植物の育成棚用の棚板83の照度の面内ばらつきを抑えることができる。
【0103】
また、本実施の形態では、植物の育成棚用の棚板83が、1つの基板81を備えており、当該1つの基板81に第1LED照明シート20A乃至第6LED照明シート20Fが取り付けられている例について説明したが、これに限られることはない。例えば、図10Bに示すように、基板(支持体)81が、第1LED照明シート20Aが取り付けられる第1基板(第1支持体)81Aと、第2LED照明シート20Bが取り付けられる第2基板(第2支持体)81Bとを有していてもよい。また、この場合、各LED照明シート20A~20Fは、それぞれ、互いに異なる基板81A~81Fに取り付けられていても良い。図示された例においては、基板(支持体)81が、第1基板81A乃至第6基板81Fを有している。この場合、第1LED照明シート20Aが第1基板81Aに取り付けられ、第2LED照明シート20Bが第2基板81Bに取り付けられ、第3LED照明シート20Cが第3基板81Cに取り付けられ、第4LED照明シート20Dが第4基板81Dに取り付けられ、第5LED照明シート20Eが第5基板81Eに取り付けられ、第6LED照明シート20Fが第6基板81Fに取り付けられている。この場合においても、上述した関係を満たすことにより、植物の育成棚用の棚板83の照度の面内ばらつきを抑えることができる。なお、第1基板81A乃至第6基板81Fは、上述した基板81と同様に、例えば、パロニア(登録商標)を含む樹脂製の板材や、樹脂製の板材をアルミニウムで挟み込んだいわゆるアルミ複合板であってもよい。
【0104】
また、図11A(a)-(b)に示すように、LED照明シート20は、基板81の下面だけでなく、基板81の側面側にも配置しても良い。この側面側のLED照明シート20は、上方に位置する基板81から、当該基板81の下方に位置する基板81に向けて垂下されている。この場合、図11A(a)に示すように、LED照明シート20は、下方に位置する基板81まで達していても良い。あるいは、図11A(b)に示すように、LED照明シート20は、下方に位置する基板81まで達することなく、上下の基板81間に位置する空間の上部側のみを覆うようにしても良い。このように、LED照明シート20を、基板81の側面側にもさらに配置することにより、照度が弱くなりやすい基板81の周縁における光量を補い、LED照明シート20の輝度を面内で均一にすることができる。この結果、植物の成長を面内で均一にすることができ、育成する植物の収量の向上を図ることができる。この場合、LED照明シート20は、支柱82に取り付けられていてもよい。
【0105】
さらに、LED照明シート組合体が、基板(支持体)81と、基板81の下面側に取り付けられたLED照明シート20とを有する植物の育成棚用の棚板83である例について説明したが、これに限られることはない。すなわち、LED照明シート組合体において、LED照明シート20が取り付けられる支持体が基板81である例について説明したが、これに限られることはなく、LED照明シート20を支持することができれば、支持体の形状等は問わない。例えば、図11Bに示すように、LED照明シート組合体83Aにおいて、LED照明シート20が取り付けられる支持体が柱状の部材81Gであってもよい。この場合、柱状の部材81Gは、例えばアルミニウムなどの金属、木材、あるいは樹脂からなる部材であってもよい。
【0106】
このように本実施の形態によれば、第1LEDチップ21Aと第2LEDチップ21Bとの間の距離をA1とし、第1LEDチップ21Aと第3LEDチップ21Cとの間の距離をB1としたとき、
0.5×A1≦B1≦1.5×A1
という関係を満たしている。これにより、第1LED照明シート20Aおよび第2LED照明シート20Bを第1の配列方向(X方向)に沿って互いに隣接して配置した場合であっても、植物の育成棚用の棚板83の照度の面内ばらつきを抑えることができる。とりわけ、植物の育成棚用の棚板83のLED照明シート20の下面に近い位置においても、植物の育成棚用の棚板83の照度の面内ばらつきを小さくすることができる。このため、植物が成長し、植物の背丈が大きくなった場合においても、植物に対して均一な照度の光を供給することができる。この結果、植物育成工場90における植物の収量を向上させることができる。
【0107】
また、植物に対して均一な照度の光を供給することにより、植物を大きく育てるとともに、植物の大きさを均一にすることができる。また、例えば育成される植物が葉物野菜である場合、各々の植物に対してそれぞれ均一な照度の光を供給することにより、各々の植物間において、葉の色のばらつきを抑えることができる。さらに、植物の育成棚用の棚板83の照度の面内ばらつきを抑えることにより、個々の植物において、植物の葉のうちの一部の葉が変色してしまうことを抑制することができる。このため、育成される植物の見た目を良好にし、市場価値の高い植物を育成することができる。なお、0.5×A1≦B1≦1.5×A1という関係を満たしていることにより、植物の育成棚用の棚板83の照度の面内ばらつきを抑えることができることは、後述する実施例によって説明する。
【0108】
また、本実施の形態によれば、第3LEDチップ21Cと第4LEDチップ21Dとの間の距離をA2としたとき、
0.5×A2≦B1≦1.5×A2
という関係を更に満たしている。これにより、植物の育成棚用の棚板83の照度の面内ばらつきを更に抑えることができる。このため、植物が成長し、植物の背丈が大きくなった場合においても、植物に対してより均一な光を供給することができ、植物育成工場90における植物の収量を更に向上させることができる。
【0109】
また本実施の形態によれば、LEDチップ21は、10個以上直列に配置され、このLEDチップ21の列が4列以上並列に配置されている。これにより、LEDチップ21を面内で均一に配置するとともに、LEDチップ21の配列を並列化し、LEDチップ21が破損した際のリスクを分散することができる。
【0110】
また本実施の形態によれば、LEDチップ21は、透明保護膜35によって覆われているので、植物の育成時に飛散する水分からLEDチップ21を保護することができる。
【0111】
また本実施の形態によれば、LED照明シート20の最も厚い部分における厚みが5mm以下であるので、植物の育成棚80の上下の基板81間の距離を減らし、基板81の数を増やすことにより、単位面積あたりの植物の収量を増加することができる。
【0112】
また本実施の形態によれば、制御部40は、LED照明シート20に対して外付けで接続されるので、制御部40をLED照明シート20から離し、植物に制御部40からの熱の影響が及ばないようにすることができる。
【0113】
また本実施の形態によれば、制御部40からLED照明シート20に定電圧が印加されるので、LEDチップ21からの単位時間当たりの積算光量を増やし、植物の生育を促進することができる。
【0114】
また本実施の形態によれば、制御部40は、LEDチップ21の調光を制御可能となっているので、植物の生育段階に応じて、LEDチップ21からの光の強度を調整することができる。
【0115】
また本実施の形態によれば、第1LED照明シート20Aおよび第2LED照明シート20Bは、それぞれリベットrにより基板81に取り付けられている。これにより、第1LED照明シート20Aおよび第2LED照明シート20Bの基板81への取り付けや基板81からの取り外しを容易に行うことができる。このため、第1LED照明シート20Aおよび第2LED照明シート20Bを容易に交換することもできるとともに、第1LED照明シート20Aおよび第2LED照明シート20Bの金属配線部32への負荷を低減することができる。
【0116】
[実施例]
次に、図12乃至図15により、本実施の形態における具体的実施例について説明する。
【0117】
(実施例1)
植物の育成棚用の棚板から照射される光の照度をシミュレーションにより算出した。本シミュレーションにおいて、棚板のサイズは1200mm×1200mmに設定した。また、LED照明シートのサイズは560mm×390mmに設定し、6つのLED照明シート(第1LED照明シート乃至第6LED照明シート)が図9Aに示す配置となるように設定した。この際、互いに隣接する各LED照明シート間の距離は、それぞれ0mmとなるように設定した。また、個々のLED照明シートにおいて、複数のLEDチップがX方向に40mmピッチ、Y方向に35mmピッチで、14個の列が10列配列されるように設定した。また、各々のLEDチップの光束は、それぞれ100lmに設定した。さらに、第1LEDチップと第2LEDチップとの間の距離A1(図9A参照)が40mm、第1LEDチップと第3LEDチップとの間の距離B1(図9A参照)が60mmとなるように設定した。さらに、基板のうち、Y方向(図9A参照)に延びる側面側に光遮断部を設けるように設定した。この際、光遮断部の拡散反射率は、50%に設定し、光遮断部のZ方向(図8参照)に沿った長さは、1200mmとなるように設定した。
【0118】
本シミュレーションにおいて、LEDチップからの、Z方向(図8参照)に沿った距離を50mm、100mm、150mm、200mm、250mm、300mmに設定し、それぞれの距離において植物の育成棚用の棚板から照射される光の照度を算出した。
【0119】
(実施例2)
第1LED照明シート及び第2LED照明シート間の距離、第3LED照明シート及び第4LED照明シート間の距離、並びに第5LED照明シート及び第6LED照明シート間の距離が、それぞれX方向において40mm、Y方向において0mmとなるように設定したこと、以外は、実施例1と同様にして、植物の育成棚用の棚板から照射される光の照度をシミュレーションにより算出した。
【0120】
(比較例)
図12(a)に示すような、直管型の照明装置101が棚板102に取り付けられた植物の育成棚用の棚板100において、植物の育成棚用の棚板100から照射される光の照度をシミュレーションにより算出した。この際、図12(b)に示すように、植物の育成棚用の棚板100において、LEDチップ103がX方向に8mmピッチで140個配置された直管型の照明装置101が、Y方向に200mmピッチで6列配置されるように設定した。また、棚板102のサイズは実施例1と同様に設定し、LEDチップ103は、実施例1と同様の光束を有するLEDチップとして設定した。さらに、棚板102に対して実施例1と同様の光遮断部を設けるように設定した。
【0121】
以上の結果を図13乃至図15及び表1に示す。なお、図13は、実施例1において、照度の分布を示す図であり、図13(a)は、LEDチップからの距離が50mmである場合の算出結果を示す図であり、図13(b)はLEDチップからの距離が100mmである場合の算出結果を示す図であり、図13(c)はLEDチップからの距離が150mmである場合の算出結果を示す図であり、図13(d)はLEDチップからの距離が200mmである場合の算出結果を示す図であり、図13(e)はLEDチップからの距離が250mmである場合の算出結果を示す図であり、図13(f)はLEDチップからの距離が300mmである場合の算出結果を示す図である。同様に、図14(a)-(f)は、実施例2において、照度の分布を示す図であり、それぞれLEDチップからの距離が50mm、100mm、150mm、200mm、250mm、300mmである場合の算出結果を示す図であり、図15(a)-(f)は、比較例において、照度の分布を示す図であり、それぞれLEDチップからの距離が50mm、100mm、150mm、200mm、250mm、300mmである場合の算出結果を示す図である。
【0122】
この結果、図13(c)-(f)、図14(c)-(f)及び図15(c)-(f)に示すように、LEDチップからの距離が150mm以上の場合においては、実施例1、2及び比較例の全てにおいて、植物の育成棚用の棚板または植物の育成棚用の棚板の照度の面内ばらつきをそれぞれ小さくすることができた。
【0123】
一方、LEDチップからの距離が100mmの場合においては、比較例において、照度の最大値が67,239(lx)であり、最小値が52,172(lx)であり、平均値が59,561(lx)であった(表1参照)。これに対して、実施例1においては、LEDチップからの距離が100mmときの照度の最大値が64,414(lx)であり、最小値が57,918(lx)であり、平均値が61,593(lx)であった(表1参照)。また、実施例2においては、LEDチップからの距離が100mmときの照度の最大値が63,983(lx)であり、最小値が56,799(lx)であり、平均値が61,362(lx)であった(表1参照)。このように、実施例1、2においては、比較例と比較して、LEDチップからの距離が100mmときの照度の面内ばらつきを抑えることができた。とりわけ、比較例においては、LEDチップからの距離が100mmときの照度のレンジが15,067(lx)であったが、実施例1においては、LEDチップからの距離が100mmときの照度のレンジが6,496(lx)まで低下し、実施例2においては、LEDチップからの距離が100mmときの照度のレンジが7,153(lx)まで低下した。このように、実施例1、2においては、比較例と比較して、LEDチップからの距離が100mmときの照度のレンジを低下させることができた。このため、実施例1、2においては、比較例と比較して、LEDチップからの距離が100mmときの照度の面内ばらつきを効果的に抑制できることが分かった。
【0124】
また、比較例においては、LEDチップからの距離が50mmときの照度の最大値が95,608(lx)であり、最小値が34,686(lx)であり、平均値が62,803(lx)であった(表1参照)。一方、実施例1においては、LEDチップからの距離が50mmときの照度の最大値が67,223(lx)であり、最小値が57,223(lx)であり、平均値が63,827(lx)であった(表1参照)。また、実施例2においては、LEDチップからの距離が50mmときの照度の最大値が67,049(lx)であり、最小値が57,571(lx)であり、平均値が63,844(lx)であった(表1参照)。このように、実施例1、2においては、比較例と比較して、LEDチップからの距離が50mmときの照度の面内ばらつきを抑えることができた。とりわけ、比較例においては、LEDチップからの距離が50mmときの照度のレンジが60,922(lx)であったが、実施例1においては、LEDチップからの距離が50mmときの照度のレンジが10,000(lx)まで低下し、実施例2においては、LEDチップからの距離が50mmときの照度のレンジが9,477(lx)まで低下した。このように、実施例1、2においては、比較例と比較して、LEDチップからの距離が50mmときの照度のレンジを低下させることができた。このため、実施例1、2においては、比較例と比較して、LEDチップからの距離が50mmときの照度の面内ばらつきを効果的に抑制できることが分かった。
【0125】
【表1】
【0126】
このように、本実施の形態によれば、植物の育成棚用の棚板の照度の面内ばらつきを抑えることができる。とりわけ、植物の育成棚用の棚板のLED照明シートの下面に近い位置においても、植物の育成棚用の棚板の照度の面内ばらつきを小さくすることができる。例えば、上記シミュレーションにおいては、LEDチップからの距離が50mmときの照度のレンジを、60,922(lx)(比較例)から、10,000(lx)(実施例1)または9,477(lx)(実施例2)まで低下させることができた。また、上記シミュレーションにおいては、LEDチップからの距離が100mmときの照度のレンジを、15,067(lx)(比較例)から、6,496(lx)(実施例1)または7,153(lx)(実施例2)まで低下させることができた。このように、実施例1、2においては、比較例と比較して、LEDチップからの距離が50mmまたは100mmときの照度のレンジを低下させることができた。このため、植物が成長し、植物の背丈が大きくなった場合においても、植物に対して均一な照度の光を供給することができ、植物の収量を向上させることができる。
【0127】
上記実施の形態および変形例に開示されている複数の構成要素を必要に応じて適宜組合せることも可能である。あるいは、上記実施の形態および変形例に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【符号の説明】
【0128】
10 LED照明モジュール
20 LED照明シート
20A 第1LED照明シート
20B 第2LED照明シート
20C 第3LED照明シート
20D 第4LED照明シート
20E 第5LED照明シート
20F 第6LED照明シート
21 LEDチップ
21A 第1LEDチップ
21B 第2LEDチップ
21C 第3LEDチップ
21D 第4LEDチップ
21E 第5LEDチップ
21F 第6LEDチップ
22 金属配線部
30 フレキシブル配線基板
31 基板フィルム
32 金属配線部
33 接着剤層
34 光反射性絶縁保護膜
35 透明保護膜
36 ハンダ部
40 制御部
41 電力入力部
42 AC/DCコンバーター
43 PWM制御部
44A 第1コネクタ
44B 第2コネクタ
45 レギュレータ
46 電力供給ライン
80 植物の育成棚
81 基板
81A 第1基板
81B 第2基板
81C 第3基板
81D 第4基板
81E 第5基板
81F 第6基板
81G 柱状の部材
82 支柱
83 植物の育成棚用の棚板
83A LED照明シート組合体
84 光遮断部
90 植物育成工場
91 建物
r リベット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図12
図13
図14
図15