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  • 特許-車載通信装置及び車両用通信方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】車載通信装置及び車両用通信方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 69/00 20220101AFI20231219BHJP
【FI】
H04L69/00
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019199093
(22)【出願日】2019-10-31
(65)【公開番号】P2021072569
(43)【公開日】2021-05-06
【審査請求日】2022-06-28
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】咸 元俊
(72)【発明者】
【氏名】萩原 剛志
(72)【発明者】
【氏名】真下 誠
(72)【発明者】
【氏名】小林 伸行
(72)【発明者】
【氏名】川内 偉博
(72)【発明者】
【氏名】泉 達也
(72)【発明者】
【氏名】岩田 章人
(72)【発明者】
【氏名】山本 祐輔
【審査官】中川 幸洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-106584(JP,A)
【文献】特開2009-232193(JP,A)
【文献】特開2003-273867(JP,A)
【文献】特開2012-222611(JP,A)
【文献】特開2006-197176(JP,A)
【文献】特開2019-004215(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 69/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イーサネット(登録商標)に係る所定通信プロトコルにて信号を送受信する車載通信装置であって、
イーサネットフレーム間のインターフレームギャップに挿入される割込データを含む送信データを生成する制御回路と、
該制御回路にて生成された前記送信データを信号に変換して送信する通信回路を有するPHY部と
を備え
前記割込データは、
前記送信データに含まれる前記イーサネットフレームの中継を管理するための情報を含み、該情報は、該イーサネットフレームを、中継装置を介して他の車載通信装置へ中継する際、他のイーサネットフレームよりも先に中継すべきか否かを判断するための優先度を含む
車載通信装置。
【請求項2】
前記割込データは96ビット以下のデータである
請求項1に記載の車載通信装置。
【請求項3】
前記割込データは、
割込開始を示すデータと、誤り検出用のデータとを含む
請求項1又は請求項2に記載の車載通信装置。
【請求項4】
前記所定通信プロトコルは100Base-T1である
請求項1又は請求項2に記載の車載通信装置。
【請求項5】
前記割込データは前記PHY部の状態を示す情報を含む
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の車載通信装置。
【請求項6】
前記イーサネットフレームは、第1アプリケーションプログラムにて生成されたデータと、第2アプリケーションプログラムにて生成されたデータとを含み、
前記割込データは動作中の第1アプリケーションプログラムの死活を示す状態及び第2アプリケーションプログラムの死活を示す情報を含む
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の車載通信装置。
【請求項7】
前記送信データに含まれる前記イーサネットフレームの中継を管理するための情報を含む
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の車載通信装置。
【請求項8】
イーサネット(登録商標)に係る所定通信プロトコルにて信号を送受信する車載通信装置を用いた車両用通信方法であって、
イーサネットフレーム間のインターフレームギャップに挿入される割込データを含む送信データを生成し、前記割込データは、前記送信データに含まれる前記イーサネットフレームの中継を管理するための情報を含み、該情報は、該イーサネットフレームを、中継装置を介して他の車載通信装置へ中継する際、他のイーサネットフレームよりも先に中継すべきか否かを判断するための優先度を含み、
生成された前記送信データを信号に変換して送信する
車両用通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車載通信装置及び車両用通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車載イーサネット(イーサネットは登録商標)が注目されている。イーサネット通信を行う車載通信装置は、ポートを介して信号を送受信するPHY部を備える。100BaseT1(IEEE802.3bw)に準拠したPHY部は、従来のイーサネットと同様、イーサネットフレーム間に96ビットのインターフレームギャップ(IFG:Inter Frame Gap)を設けて信号の送受信を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-196084号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
インターフレームギャップでは情報の送受信は行われず、100Mbpsの帯域を十分に活用できないという問題があった。
【0005】
本開示の目的は、インターフレームギャップ領域を用いて情報を送受信することにより、所定の通信帯域を確保しつつインターフレームギャップを活用した通信を可能にする車載通信装置及び車両用通信方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本態様に係る車載通信装置は、イーサネット(登録商標)に係る所定通信プロトコルにて信号を送受信する車載通信装置であって、イーサネットフレーム間のインターフレームギャップに挿入される割込データを含む送信データを生成する制御回路と、該制御回路にて生成された前記送信データを信号に変換して送信する通信回路を有するPHY部とを備える。
【0007】
本態様に係る車両用通信方法は、イーサネット(登録商標)に係る所定通信プロトコルにて信号を送受信する車載通信装置を用いた車両用通信方法であって、イーサネットフレーム間のインターフレームギャップに挿入される割込データを含む送信データを生成し、生成された前記送信データを信号に変換して送信する。
【0008】
なお、本願は、このような特徴的な処理部を備える車載通信装置として実現することができるだけでなく、上記の通り、かかる特徴的な処理をステップとする車両用通信方法として実現したり、かかるステップをコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現したりすることができる。また、車載通信装置の一部又は全部を実現する半導体集積回路として実現したり、車載通信装置を含むその他のシステムとして実現したりすることができる。
【発明の効果】
【0009】
上記によれば、インターフレームギャップ領域を用いて情報を送受信することにより、所定の通信帯域を確保しつつインターフレームギャップを活用した通信を可能にする車載通信装置及び車両用通信方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は車載通信システムの構成例を示すブロック図である。
図2図2はイーサネットフレーム及び割込情報を示す模式図である。
図3図3はイーサネットフレーム及び割込情報の送信方法を示すフローチャートである。
図4図4はアプリケーションプログラムに係るデータの送信方法を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。また、以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0012】
(1)本態様に係る車載通信装置は、イーサネット(登録商標)に係る所定通信プロトコルにて信号を送受信する車載通信装置であって、イーサネットフレーム間のインターフレームギャップに挿入される割込データを含む送信データを生成する制御回路と、該制御回路にて生成された前記送信データを信号に変換して送信する通信回路を有するPHY部とを備える。
【0013】
本態様によれば、車載通信装置のPHY部はイーサネットに係る所定通信プロトコルにて信号を送受信する。PHY部によって送受信されるイーサネットフレーム間にはインターフレームギャップが設けられている。PHY部は当該インターフレームギャップに割込データを挿入して信号を送信することができる。
従って、インターフレームギャップ領域を用いて情報を送受信することにより、所定の通信帯域を確保しつつインターフレームギャップを活用した通信が可能になる。
【0014】
(2)前記割込データは96ビット以下のデータである構成が好ましい。
【0015】
本態様によれば、PHY部は、インターフレームギャップとして確保される最小の96ビットの領域に、96ビット以下の割込データを挿入して信号を送信することができる。
なお、イーサネットフレームのサイズが最大であるとき、インターフレームギャップ領域は96ビットになるが、イーサネットフレームのサイズが最大で無い場合、より大きなインターフレームギャップが確保される。また、割込データの挿入により、数回、インターフレームギャップが消失したとしても、リンクダウンすること無いため、割込データの挿入によって通信が停止させるおそれは無視できる。
【0016】
(3)前記割込データは、割込開始を示すデータと、誤り検出用のデータとを含む構成が好ましい。
【0017】
本態様によれば、割込データは、割込開始を示すデータと、割込データの本体のデータと、誤り検出用のデータとを含む。送信先の車載通信装置は、割込開始を示すデータによって、割込データを認識することができ、誤り検出用のデータを用いて、割込データの本体のデータの誤りを検知ないし訂正することができる。
【0018】
(4)前記所定通信プロトコルは100Base-T1である構成が好ましい。
【0019】
本態様によれば、車載通信装置は100Base-T1に準拠した通信において、100Mbpsの通信帯域を確保しつつインターフレームギャップを活用した通信が可能である。
【0020】
(5)前記割込データは前記PHY部の状態を示す情報を含む構成が好ましい。
【0021】
本態様によれば、車載通信装置は、PHY部の状態を示す情報を割込データとして送信することができる。
【0022】
(6)前記割込データは動作中のアプリケーションプログラムの状態を示す情報を含む構成が好ましい。
【0023】
本態様によれば、車載通信装置は、動作中のアプリケーションプログラムの状態を示す情報を割込データとして送信することができる。
【0024】
(7)前記送信データに含まれる前記イーサネットフレームの中継を管理するための情報を含む構成が好ましい。
【0025】
本態様によれば、車載通信装置は、イーサネットフレームの中継を管理するための情報を割込データとして送信することができる。例えば、車載通信装置は、当該イーサネットフレームを他の車載通信装置へ中継する際の優先度、つまり他のイーサネットフレームよりも先に中継すべきか否かを判断するための情報を、割込データとして送信することができる。
【0026】
(8)本態様に係る車両用通信方法は、イーサネット(登録商標)に係る所定通信プロトコルにて信号を送受信する車載通信装置を用いた車両用通信方法であって、イーサネットフレーム間のインターフレームギャップに挿入される割込データを含む送信データを生成し、生成された前記送信データを信号に変換して送信する。
【0027】
本態様によれば、態様1同様、インターフレームギャップ領域を用いて情報を送受信することにより、所定の通信帯域を確保しつつインターフレームギャップを活用した通信が可能になる。
【0028】
なお、本願は、このような特徴的な処理部を備える車載通信装置として実現することができるだけでなく、上記の通り、かかる特徴的な処理をステップとする車両用通信方法として実現したり、かかるステップをコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現したりすることができる。また、車載通信装置の一部又は全部を実現する半導体集積回路として実現したり、車載通信装置を含むその他のシステムとして実現したりすることができる。
【0029】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の実施形態に係る車載通信システムを、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0030】
以下、本開示をその実施形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。
図1は車載通信システムの構成例を示すブロック図である。
本実施形態に係る車載通信システムは、車両に搭載される中継装置1と、複数のECU(Electronic Control Unit)2とを備える。複数のECU2は車内通信線によって中継装置1に接続され、車載イーサネットを構成している。なお、車載通信システムは、イーサネット通信と合わせてCAN通信を行う構成であっても良い。
【0031】
中継装置1は、中継処理部10と、複数のポート1aと、各ポート1aを介して信号を送受信する複数のPHY部11とを備える。中継装置1は、100BaseT1(IEEE802.3bw)に準拠した通信を行う車載通信装置であり、例えばスレーブとして機能する。
【0032】
PHY部11は通信回路11aを備える。中継装置1が備える複数のPHY部11の構成は同様であるため、以下では一のPHY部11の構成を説明し、他のPHY部11の詳細な説明は省略する。
【0033】
通信回路11aは、100Base-T1の通信プロトコルに準拠した通信を行うトランシーバとして機能する送信回路及び受信回路を有する。送信回路は、中継処理部10から与えられた送信データを3レベルの信号に変換し、ポート1aへ出力する。当該信号はポート1aを通じて、当該ポート1aに接続されたECU2へ送信される。また、送信回路は、ECU2から送信され、ポート1aに入力された信号を受信データに変換し、変換された受信データを中継処理部10に与える。
【0034】
中継処理部10には複数のECU2が接続されており、送信データ及び受信データを中継するイーサネットスイッチ及びL2スイッチとしての機能を有する。中継処理部10は、例えば図示しないマイコン、記憶部、PHY部11が接続される入出力インタフェース、計時部等を備え、送信データの中継処理を実行する。
【0035】
ECU2は、制御回路20と、ポート2aと、当該ポート2aを介して信号を送受信するPHY部21とを備える。ECU2は、100BaseT1(IEEE802.3bw)に準拠した通信を行う車載通信装置であり、例えばマスタとして機能する。
【0036】
PHY部21は、通信回路21aを備える。通信回路21aは、100Base-T1の通信プロトコルに準拠した通信を行うトランシーバとして機能する送信回路及び受信回路を有する。送信回路は、制御回路20から与えられた送信データを3レベルの信号に変換し、ポート2aへ出力する。当該信号はポート2aに接続された中継装置1を通じて他のECU2へ送信される。また、送信回路は、中継装置1を介して他のECU2から送信され、ポート2aに入力された信号を受信データに変換し、変換された受信データを制御回路20に与える。
制御回路20は、例えば図示しないマイコン、記憶部、PHY部11が接続される入出力インタフェース、計時部等を備える。制御回路20は、イーサネットフレームを有する送信データを生成し、生成した送信データをPHY部21に与えることによって、送信データを送信する。
【0037】
図2はイーサネットフレーム及び割込情報を示す模式図である。図2に示すように、制御回路20は、送信すべきデータを通信単位であるイーサネットフレームとしてPHY部21から送信する。イーサネットフレームは、プリアンブル、送信先、送信元、タイプ、データ、FCS(フレームチェックコード)によって構成される。イーサネットフレームのデータサイズは64から1518バイトである。通信周波数が100Mbpsである場合、一つのイーサネットフレームは5.15μ秒~121μ秒で送信されるデータに相当する。隣り合うイーサネットフレーム間にはインターフレームギャップ(IFG)が設けられる。
インターフレームギャップのサイズは最小12バイトである。最小のインターフレームギャップは0.96μ秒に相当する。通常、インターフレームギャップにおいては情報の送受信が行われない。
【0038】
本実施形態に係る制御回路20は、インターフレームギャップに挿入される割込データを含む送信データを生成する。割込データは、割込開始を示すデータと、割込データの本体であるデータint1、データint2、データint3…と、誤り検出用のデータとを含む。割込データのサイズは96ビット以下である。
そして、制御回路20は、イーサネットフレームのデータをPHY部21に与えた後、インターフレームギャップに挿入されるように割込データをPHY部21に与える。PHY部21は、図2に示すように、割込データがインターフレームギャップに挿入された送信データを送信する。インターフレームギャップのサイズが割込データより小さい場合、PHY部21は割込データの送信後、次のイーサネットフレームを送信までの間、通常のインターフレームギャップと同様、所定の信号を送信する。
【0039】
割込データとしは、任意のデータを挿入することができる。
例えば、制御回路20は、PHY部21の状態を示す情報を割込データとして生成すると良い。
制御回路20は、動作中のアプリケーションプログラムの状態を示す情報(以下、アプリ状態情報と呼ぶ。)を割込データとして生成すると良い。アプリ状態情報は、例えば、アプリケーションが正常に動作しているか否かを示す情報である。
制御回路20は、イーサネットフレームの中継を管理するための情報を割込データとして送信すると良い。例えば、制御回路20は、当該イーサネットフレームを他のECUへ中継する際の優先度、つまり他のイーサネットフレームよりも先に中継すべきか否かを判断するための情報を、割込データとして生成すると良い。
【0040】
なお、上記したECU2の機能は特に限定されるものでは無いが、以下のようなものがある。
認知系のドメインに属するECU2は、例えば、車載カメラ、LIDAR、超音波センサ、ミリ波センサ等のセンサと接続している。当該ECU2は、当該センサから出力された出力値を例えばデジタル変換し、中継装置1を介して判断系ドメインのECU2へ送信する。
判断系のドメインに属するECU2は、例えば、認知系ドメインに属するECU2から送信されたデータを受信する。判断系ドメインのECU2は、受信したデータに基づき、車両の自動運転機能を発揮するためのデータを生成し、又はデータを加工する処理を行う。
判断系ドメインのECU2は、当該生成等したデータを、中継装置1を介して操作系ドメインのECU2へ送信する。
操作系のドメインに属するECU2は、例えば、モータ、エンジン又はブレーキ等のアクチュエータと接続している。操作系のドメインのECU2は、判断系ドメインのECU2から送信されたデータを受信し、受信したデータに基づき当該アクチュエータの動作を制御して、車両の走行、停止又は操舵等の操作を行い、自動運転機能を発揮する。
【0041】
図3はイーサネットフレーム及び割込情報の送信方法を示すフローチャートである。ここでは、ECUの制御回路20が割込データを送信する例を説明する。ECUの制御回路20は、送信すべきデータに基づいてイーサネットフレームデータを生成してPHY部21に与えることにより、イーサネットフレームデータを送信する(ステップS11)。
【0042】
制御回路20は、必要に応じて96ビット以下の割込データを生成する(ステップS12)。例えば上記のように制御回路20は、PHY部21の状態情報、アプリ状態情報、中継管理情報等を含む割込データを生成する。次いで、制御回路20は、生成した割込データをインターフレームギャップに挿入して送信する(ステップS13)。
【0043】
以下、制御回路20は、同様の処理を繰り返し実行することによって、送信データを送信する。
【0044】
受信側のECU2、例えば、中継装置1は、インターフレームギャップに挿入された割込データを抽出し、抽出した割込データを用いて所定の処理を実行する。中継装置1の中継処理部10は、割込開始データに基づいて割込データを受信したデータから抽出することができる。
【0045】
図4はアプリケーションプログラムに係るデータの送信方法を示す模式図である。図4に示す例では、ECU2の制御回路20は、第1アプリと、第2アプリとを動作させている。制御回路20は、第1アプリ及び第2アプリの実行により生成されたデータを、イーサネットフレームの形式でPHY部21から中継装置1へ送信する。ハッチングが付された「F1」、「F2」、「F3」のブロックは、第1アプリにて生成されたデータを示している。白抜きの「F1」、「F2」、「F3」のブロックは、第2アプリにて生成されたデータを示している。
また、制御回路20は、必要に応じて、第1アプリ及び第2アプリの割込情報、例えばアプリケーションの死活を示す情報を割込データとして送信する。ハッチングが付された「int1」、「int2」は第1アプリの割込情報を示し、白抜きの「int1」、「int2」は第2アプリの割込情報を示している。
【0046】
中継処理部10は、第1アプリ及び第2アプリが生成したデータをイーサネットフレームにて受信すると共に、第1アプリ及び第2アプリの割込情報を受信することができる。このように、ECU2は通信帯域を圧迫すること無く、アプリケーションの死活情報等の割込情報を中継装置1へ送信することができる。中継装置1は、常時ECUの死活情報を監視することができる。
【0047】
なお、本実施形態では、主にECU2が割込データを送信する例を説明したが、言うまでも無く中継装置1が送信データを送信する際に、割込データを送信するように構成しても良い。また、一のECUから送信された割込データを、他のECUへ送信する際も、同様にして、インターフレームギャップを用いて割込データを中継すれば良い。
【0048】
このように構成された実施形態によれば、インターフレームギャップ領域を用いて情報を送受信することにより、所定の通信帯域を確保しつつインターフレームギャップを活用した通信が可能になる。
【0049】
中継装置1及びECU2は、インターフレームギャップとして確保される最小の96ビットの領域に、96ビット以下の割込データを挿入して信号を送信することができる。イーサネットフレームの送信を確保しつつ、割込データを送信することができる。
約200m秒、インターフレームギャップが送受信されない状態が続いた場合、インクダウンしてしまうが、数回、連続的にインターフレームギャップが消失しても、通信が停止することは無く、影響は無視できる。なお、制御回路20は、インターフレームギャップの消失を監視し、200m秒未満の所定時間の間、連続的にインターフレームギャップが消失した場合、割込データの送信を一時停止させるように構成すると良い。
【0050】
中継装置1及びECU2は、PHY部21の状態を示す状態情報、アプリ状態情報、中継管理情報等を割込データとして送信することができる。
特に中継管理情報を割込データとして送信する場合、イーサネットフレームの中継ないし送信の優先度を、動的に調整することができる。
【符号の説明】
【0051】
1 中継装置
1a ポート
2 ECU
2a ポート
10 中継処理部
11 PHY部
11a 通信回路
20 制御回路
21 PHY部
21 通信回路
図1
図2
図3
図4