(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】データ管理システム及びデータ管理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 16/178 20190101AFI20231219BHJP
H04L 67/10 20220101ALI20231219BHJP
【FI】
G06F16/178
H04L67/10
(21)【出願番号】P 2019207166
(22)【出願日】2019-11-15
【審査請求日】2022-10-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大下 洋
【審査官】齊藤 貴孝
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-182380(JP,A)
【文献】特開2015-014954(JP,A)
【文献】特開2019-191740(JP,A)
【文献】特開2000-244526(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 16/00-16/958
H04L 67/00-67/75
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークの内側に設けられて前記ネットワークの外側からの接続が制限されている第1装置と、
前記ネットワークの外側に設けられて前記第1装置及び前記ネットワークの外側の端末とそれぞれ接続可能に構成される第2装置と、
前記第1装置と一体又は別体の装置である接続装置と、
を備え、
前記第1装置及び前記第2装置は、
画質を不可逆的に欠損させる加工処理が行われる画像データに関して、前記第1装置が保持する未加工のデータと前記第2装置が保持する加工済みのデータとの間の一貫性を保つ同期制御を行い、
前記接続装置は
、
前記ネットワークの内側の端末からの接続要求を受け付けた場合に、前記第1装置と前記第2装置の間の通信状態、又は、前記第1装置もしくは前記第2装置の稼働状態に
関する複数の条件の組み合わせに応じて、前記ネットワークの内側の端末の接続先として前記第1装置又は前記第2装置のいずれかを選択
し、
前記複数の条件の組み合わせから前記接続先を選択できない場合に、前記加工処理による画質の欠損の度合いが閾値よりも大きい場合には前記第1装置を選択する一方、前記加工処理による画質の欠損の度合いが前記閾値以下である場合には前記第2装置を選択する、
ことを特徴とするデータ管理システム。
【請求項2】
前記接続装置は、前記加工処理による画質の欠損の度合いと共に前記画像データの使用目的を参照して前記ネットワークの内側の端末の接続先を選択することを特徴とする請求項1に記載のデータ管理システム。
【請求項3】
ネットワークの内側に設けられて前記ネットワークの外側からの接続が制限されている第1装置と、
前記ネットワークの外側に設けられて前記第1装置及び前記ネットワークの外側の端末とそれぞれ接続可能に構成される第2装置と、
前記第1装置と一体又は別体の装置である接続装置と、
を備え、
前記第1装置及び前記第2装置は、可逆的に圧縮する加工処理が行われる画像データに関して、前記第1装置が保持する未加工のデータ
と前記第2装置が保持する加工済みのデータとの間の一貫性を保つ同期制御を行い
、
前記接続装置は
、
前記ネットワークの内側の端末からの接続要求を受け付けた場合に、前記第1装置と前記第2装置の間の通信状態、又は、前記第1装置もしくは前記第2装置の稼働状態に関する複数の条件の組み合わせに応じて、前記ネットワークの内側の端末の接続先として前記第1装置又は前記第2装置のいずれかを選択し、
前記複数の条件の組み合わせから前記接続先を選択できない場合に、前記加工処理が行われる前又は行われた後のデータのサイズが閾値よりも大きい場合には前記第1装置を選択する一方、前記サイズが前記閾値以下である場合には前記第2装置を選択する
、
ことを特徴とす
るデータ管理システム。
【請求項4】
前記接続装置は、前記サイズと共に前記通信状態を参照して前記ネットワークの内側の端末の接続先を選択することを特徴とする請求項3に記載のデータ管理システム。
【請求項5】
ネットワークの内側に設けられて前記ネットワークの外側からの接続が制限されている第1装置と、
前記ネットワークの外側に設けられて前記第1装置及び前記ネットワークの外側の端末とそれぞれ接続可能に構成される第2装置と、
前記第1装置と一体又は別体の装置である接続装置と、
を備えるシステムに適用されるデータ管理プログラムであって、
前記第1装置及び前記第2装置に、
画質を不可逆的に欠損させる加工処理が行われる画像データに関して、前記第1装置が保持する未加工のデータと前記第2装置が保持する加工済みのデータとの間の一貫性を保つ同期制御を行わせ、
前記接続装置に、
前記ネットワークの内側の端末からの接続要求を受け付けた場合に、前記第1装置と前記第2装置の間の通信状態、又は、前記第1装置もしくは前記第2装置の稼働状態に
関する複数の条件の組み合わせに応じて、前記ネットワークの内側の端末の接続先として前記第1装置又は前記第2装置のいずれかを選択
させ、
前記複数の条件の組み合わせから前記接続先を選択できない場合に、前記加工処理による画質の欠損の度合いが閾値よりも大きい場合には前記第1装置を選択する一方、前記加工処理による画質の欠損の度合いが前記閾値以下である場合には前記第2装置を選択させる、
ことを特徴とするデータ管理プログラム。
【請求項6】
ネットワークの内側に設けられて前記ネットワークの外側からの接続が制限されている第1装置と、
前記ネットワークの外側に設けられて前記第1装置及び前記ネットワークの外側の端末とそれぞれ接続可能に構成される第2装置と、
前記第1装置と一体又は別体の装置である接続装置と、
を備えるシステムに適用されるデータ管理プログラムであって、
前記第1装置及び前記第2装置に、可逆的に圧縮する加工処理が行われる画像データに関して、前記第1装置が保持する未加工のデータと前記第2装置が保持する加工済みのデータとの間の一貫性を保つ同期制御を行わせ、
前記接続装置に、
前記ネットワークの内側の端末からの接続要求を受け付けた場合に、前記第1装置と前記第2装置の間の通信状態、又は、前記第1装置もしくは前記第2装置の稼働状態に関する複数の条件の組み合わせに応じて、前記ネットワークの内側の端末の接続先として前記第1装置又は前記第2装置のいずれかを選択させ、
前記複数の条件の組み合わせから前記接続先を選択できない場合に、前記加工処理が行われる前又は行われた後のデータのサイズが閾値よりも大きい場合には前記第1装置を選択する一方、前記サイズが前記閾値以下である場合には前記第2装置を選択させる、
ことを特徴とするデータ管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ管理システム及びデータ管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、イントラネット内に設けられた装置であって、イントラネット内のデータ保持手段が保持する第1データと、クラウドシステムを構成する情報処理装置が保持する第2データとを同期させるデータ処理装置が開示されている。
【0003】
特許文献2には、複数の処理からなるワークフローをオンプレミス環境又はクラウド環境に割り振りながら実行するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-014954号公報
【文献】特開2019-040327号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ネットワークの内側に設けられる第1装置が保持するデータと、当該ネットワークの外側に設けられる第2装置が保持するデータの間の一貫性を保つ同期制御を行うデータ管理システムに関して、端末からの接続要求を受け付けた場合、この端末の接続先として第1装置又は第2装置のいずれか一方が選択され得る。例えば、ネットワークの内側の端末を第1装置に、当該ネットワークの外側の端末を第2装置にそれぞれ接続させるという基本方針に沿って運用を行うことが想定される。しかしながら、ネットワークの内側の端末の接続先を常に第1装置に固定してしまうと、データ管理システムの状況に応じた臨機応変な運用がなされない可能性がある。
【0006】
本発明の目的は、ネットワークの内側の端末を該ネットワークの内側に設けられる第1装置に、ネットワークの外側の端末を該ネットワークの外側に設けられる第2装置にそれぞれ接続させる基本方針に沿って運用を行う場合、内側の端末の接続先が常に第1装置に固定される場合と比べて、状況により適した運用を行うことである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、ネットワークの内側に設けられて前記ネットワークの外側からの接続が制限されている第1装置と、前記ネットワークの外側に設けられて前記第1装置及び前記ネットワークの外側の端末とそれぞれ接続可能に構成される第2装置と、前記第1装置と一体又は別体の装置である接続装置と、を備え、前記第1装置及び前記第2装置は、画質を不可逆的に欠損させる加工処理が行われる画像データに関して、前記第1装置が保持する未加工のデータと前記第2装置が保持する加工済みのデータとの間の一貫性を保つ同期制御を行い、前記接続装置は、前記ネットワークの内側の端末からの接続要求を受け付けた場合に、前記第1装置と前記第2装置の間の通信状態、又は、前記第1装置もしくは前記第2装置の稼働状態に関する複数の条件の組み合わせに応じて、前記ネットワークの内側の端末の接続先として前記第1装置又は前記第2装置のいずれかを選択し、前記複数の条件の組み合わせから前記接続先を選択できない場合に、前記加工処理による画質の欠損の度合いが閾値よりも大きい場合には前記第1装置を選択する一方、前記加工処理による画質の欠損の度合いが前記閾値以下である場合には前記第2装置を選択するデータ管理システムである。
【0008】
請求項2に記載の発明は、前記接続装置は、前記加工処理による画質の欠損の度合いと共に前記画像データの使用目的を参照して前記ネットワークの内側の端末の接続先を選択する、請求項1に記載のデータ管理システムである。
請求項3に記載の発明は、ネットワークの内側に設けられて前記ネットワークの外側からの接続が制限されている第1装置と、前記ネットワークの外側に設けられて前記第1装置及び前記ネットワークの外側の端末とそれぞれ接続可能に構成される第2装置と、前記第1装置と一体又は別体の装置である接続装置と、を備え、前記第1装置及び前記第2装置は、可逆的に圧縮する加工処理が行われる画像データに関して、前記第1装置が保持する未加工のデータと前記第2装置が保持する加工済みのデータとの間の一貫性を保つ同期制御を行い、前記接続装置は、前記ネットワークの内側の端末からの接続要求を受け付けた場合に、前記第1装置と前記第2装置の間の通信状態、又は、前記第1装置もしくは前記第2装置の稼働状態に関する複数の条件の組み合わせに応じて、前記ネットワークの内側の端末の接続先として前記第1装置又は前記第2装置のいずれかを選択し、前記複数の条件の組み合わせから前記接続先を選択できない場合に、前記加工処理が行われる前又は行われた後のデータのサイズが閾値よりも大きい場合には前記第1装置を選択する一方、前記サイズが前記閾値以下である場合には前記第2装置を選択するデータ管理システムである。
請求項4に記載の発明は、前記接続装置は、前記サイズと共に前記通信状態を参照して前記ネットワークの内側の端末の接続先を選択する、請求項3に記載のデータ管理システムである。
【0009】
請求項5に記載の発明は、ネットワークの内側に設けられて前記ネットワークの外側からの接続が制限されている第1装置と、前記ネットワークの外側に設けられて前記第1装置及び前記ネットワークの外側の端末とそれぞれ接続可能に構成される第2装置と、前記第1装置と一体又は別体の装置である接続装置と、を備えるシステムに適用されるデータ管理プログラムであって、前記第1装置及び前記第2装置に、画質を不可逆的に欠損させる加工処理が行われる画像データに関して、前記第1装置が保持する未加工のデータと前記第2装置が保持する加工済みのデータとの間の一貫性を保つ同期制御を行わせ、前記接続装置に、前記ネットワークの内側の端末からの接続要求を受け付けた場合に、前記第1装置と前記第2装置の間の通信状態、又は、前記第1装置もしくは前記第2装置の稼働状態に関する複数の条件の組み合わせに応じて、前記ネットワークの内側の端末の接続先として前記第1装置又は前記第2装置のいずれかを選択させ、前記複数の条件の組み合わせから前記接続先を選択できない場合に、前記加工処理による画質の欠損の度合いが閾値よりも大きい場合には前記第1装置を選択する一方、前記加工処理による画質の欠損の度合いが前記閾値以下である場合には前記第2装置を選択させるデータ管理プログラムである。
請求項6に記載の発明は、ネットワークの内側に設けられて前記ネットワークの外側からの接続が制限されている第1装置と、前記ネットワークの外側に設けられて前記第1装置及び前記ネットワークの外側の端末とそれぞれ接続可能に構成される第2装置と、前記第1装置と一体又は別体の装置である接続装置と、を備えるシステムに適用されるデータ管理プログラムであって、前記第1装置及び前記第2装置に、可逆的に圧縮する加工処理が行われる画像データに関して、前記第1装置が保持する未加工のデータと前記第2装置が保持する加工済みのデータとの間の一貫性を保つ同期制御を行わせ、前記接続装置に、前記ネットワークの内側の端末からの接続要求を受け付けた場合に、前記第1装置と前記第2装置の間の通信状態、又は、前記第1装置もしくは前記第2装置の稼働状態に関する複数の条件の組み合わせに応じて、前記ネットワークの内側の端末の接続先として前記第1装置又は前記第2装置のいずれかを選択させ、前記複数の条件の組み合わせから前記接続先を選択できない場合に、前記加工処理が行われる前又は行われた後のデータのサイズが閾値よりも大きい場合には前記第1装置を選択する一方、前記サイズが前記閾値以下である場合には前記第2装置を選択させるデータ管理プログラムである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1,5に記載の発明によれば、ネットワークの内側の端末を該ネットワークの内側に設けられる第1装置に、ネットワークの外側の端末を該ネットワークの外側に設けられる第2装置にそれぞれ接続させる基本方針に沿って運用を行う場合、内側の端末の接続先が常に第1装置に固定される場合と比べて、状況により適した運用が行われる。また、追加の条件を用いない場合と比べて、より適した接続先の選択がなされる。また、ネットワークの内側の端末は、画質の欠損の度合いが閾値よりも大きい画像データにアクセスしやすくなる。
請求項2に記載の発明によれば、画像の欠損の度合いとデータの使用目的との組み合わせにより端末の接続先を選択することができる。
請求項3,6に記載の発明によれば、ネットワークの内側の端末を該ネットワークの内側に設けられる第1装置に、ネットワークの外側の端末を該ネットワークの外側に設けられる第2装置にそれぞれ接続させる基本方針に沿って運用を行う場合、内側の端末の接続先が常に第1装置に固定される場合と比べて、状況により適した運用が行われる。また、追加の条件を用いない場合と比べて、より適した接続先の選択がなされる。また、ネットワークの内側の端末は、第2装置が保持する加工済みのデータを常に解凍する場合と比べて、より短い時間で加工前のデータにアクセスしやすくなる。
請求項4に記載の発明によれば、データのサイズと通信状態との組み合わせにより端末の接続先を選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態におけるデータ管理システムの全体構成図である。
【
図2】
図1に示すオンプレミス側サーバのブロック図である。
【
図3】
図3(a)は、
図2の管理情報DBに含まれるデータ管理テーブルが有するデータ構造の一例を示す図である。
図3(b)は、
図2の管理情報DBに含まれる資源管理テーブルが有するデータ構造の一例を示す図である。
【
図5】
図3の選択規則DBに含まれる基本規則テーブルが有するデータ構造の一例を示す図である。
【
図6】データの同期更新時におけるデータ管理システムの動作を示すフローチャートである。
【
図7】接続先の選択時におけるデータ管理システムの動作を示すフローチャートである。
【
図8】
図3の選択規則DBに含まれる第1の追加規則テーブルが有するデータ構造の一例を示す図である。
【
図9】
図3の選択規則DBに含まれる第2の追加規則テーブルが有するデータ構造の一例を示す図である。
【
図10】
図3の選択規則DBに含まれる第3の追加規則テーブルが有するデータ構造の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明におけるデータ管理システムについて、データ管理プログラムとの関係において好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照しながら説明する。
【0013】
[データ管理システム10の構成]
<全体構成>
図1は、本発明の一実施形態におけるデータ管理システム10の全体構成図である。このデータ管理システム10は、オンプレミス環境12及びクラウド環境14にわたってデータの管理を行う、いわゆる「ハイブリッド型」のデータ管理サービスを提供可能に構成される。管理対象のデータ(以下、「管理データ」ともいう)は、例えば、文書データ、動画像データ、静止画像データ、音声データなどの様々な形式であってもよい。
【0014】
オンプレミス環境12は、インターネットNWから自由にアクセスできないように制限が設けられているネットワーク環境である。一方、クラウド環境14は、不特定のユーザがアクセス可能なネットワーク環境である。つまり、オンプレミス環境12の外側にあるクライアント端末(以下、外側端末16)は、クラウド環境14に直接的にアクセスできる一方、オンプレミス環境12内に直接的にアクセスすることができない。
【0015】
オンプレミス環境12内には、組織内のプライベートネットワークであるイントラネット18(「ネットワーク」に相当)が構築されている。このイントラネット18には、オンプレミス側サーバ20(「第1装置」に相当)と、プロキシサーバ22と、イントラネット18内のクライアント端末(以下、内側端末24)と、接続装置26と、が接続されている。
【0016】
オンプレミス側サーバ20は、オンプレミス環境12内におけるデータの管理に関する統括的な制御を行うコンピュータである。ここで、オンプレミス側サーバ20を単体のコンピュータとして図示しているが、これに代わって、オンプレミス側サーバ20は、分散システムを構築するコンピュータ群であってもよい。
【0017】
プロキシサーバ22は、イントラネット18に接続された各種機器に代わって、クラウド側サーバ30を含む外部装置との通信を行うサーバである。プロキシサーバ22は、オンプレミス環境12の外側からの不正なアクセスを遮断するファイアウォール機能を備えてもよい。
【0018】
内側端末24は、外部装置との間で双方向に通信可能なコンピュータであり、例えば、パーソナルコンピュータ、タブレット、スマートフォン、ウェアラブルデバイスなどから構成される。内側端末24は、入力部による入力機能と出力部による出力機能を組み合わせることで、ユーザインターフェースを実現可能に構成される。
【0019】
接続装置26は、内側端末24からの接続要求を受け付け、状況に適した接続先を選択して接続の誘導を行う装置である。ここでは、接続装置26は、オンプレミス側サーバ20とは別体の装置であるが、これに代わって、オンプレミス側サーバ20と一体の装置であってもよい。
【0020】
一方、クラウド環境14内には、クラウド側サーバ30(「第2装置」に相当)と、接続装置32と、が設けられている。クラウド側サーバ30は、クラウド環境14内におけるデータの管理に関する統括的な制御を行うコンピュータである。ここで、クラウド側サーバ30を単体のコンピュータとして図示しているが、これに代わって、クラウド側サーバ30は、分散システムを構築するコンピュータ群であってもよい。
【0021】
接続装置32は、外側端末16又は内側端末24からの接続要求を受け付け、状況に適した接続先を選択して接続の誘導を行う装置である。ここでは、接続装置32は、クラウド側サーバ30とは別体の装置であるが、これに代わって、クラウド側サーバ30と一体の装置であってもよい。
【0022】
<オンプレミス側サーバ20などの構成>
図2は、
図1に示すオンプレミス側サーバ20のブロック図である。このオンプレミス側サーバ20は、サーバ側通信部40と、サーバ側制御部42と、サーバ側記憶部44と、を含んで構成される。なお、クラウド側サーバ30も、基本的には
図2と同様の構成を有する。
【0023】
サーバ側通信部40は、外部装置に対して電気信号を送受信するための通信インターフェースである。これにより、オンプレミス側サーバ20は、イントラネット18を通じて内側端末24との間で、あるいはインターネットNWを通じてクラウド側サーバ30との間で様々なデータのやり取りが可能である。
【0024】
サーバ側制御部42は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)を含むプロセッサによって構成される。サーバ側制御部42は、サーバ側記憶部44に格納されたデータ管理プログラムを読み出して実行することで、データ管理部46、アクセス管理部48及びデータ処理部50として機能する。
【0025】
サーバ側記憶部44は、非一過性であり、かつ、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体で構成されている。ここで、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、ハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)、ソリッドステートドライブ(SSD:Solid State Drive)を含む記憶装置、あるいは、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM、フラッシュメモリ等の可搬媒体である。本図の例では、サーバ側記憶部44には、管理データ群52が記憶されるとともに、管理データの情報に関するデータベース(以下、「管理情報DB54」という)が構築されている。
【0026】
図3(a)は、
図2の管理情報DB54に含まれる第1管理テーブル56が有するデータ構造の一例を示す図である。この第1管理テーブル56は、管理データの識別情報である「データID」と、管理データの登録時点を示す「登録日時」と、管理データの名称を示す「ファイル名」、管理データへのアクセスが許可されたユーザ名を示す「許可ユーザ」と、管理データの格納場所を示す「格納先」と、オンプレミス側サーバ20がクラウド側サーバ30にアクセスするためのネットワーク情報を示す「アクセス情報」と、クラウド側サーバ30が保持する管理データの処理状態を示す「クラウド処理状態」の間の対応関係を示す情報である。
【0027】
なお、「格納先」は、具体的には、[1]オンプレミス側サーバ20のみに格納される状態を示す「オンプレミス」、[2]クラウド側サーバ30のみに格納される状態を示す「クラウド」、[3]オンプレミス側サーバ20及びクラウド側サーバ30の両方に格納される状態を示す「両方」のうちのいずれかが選択される。
【0028】
図3(b)は、
図2の管理情報DB54に含まれる第2管理テーブル58が有するデータ構造の一例を示す図である。この第2管理テーブル58は、ユーザの識別情報である「ユーザID」と、ユーザの名前を示す「ユーザ名」と、管理データの送信先を示す「メールアドレス」と、ユーザを認証するための「パスワード」と、ユーザの所属を示す「所属グループ」と、ユーザの登録時点を示す「登録日時」の間の対応関係を示す情報である。
【0029】
<接続装置26,32の構成>
図4は、
図1に示す接続装置26のブロック図である。オンプレミス側の接続装置26は、通信部60と、制御部62と、記憶部64と、を含んで構成される。なお、クラウド側の接続装置32も、基本的には
図4と同様の構成を有する。
【0030】
通信部60は、
図2のサーバ側通信部40と同様の構成を有する通信インターフェースである。これにより、接続装置26,32は、外側端末16又は内側端末24からの接続要求を受け付けることができる。
【0031】
制御部62は、CPU、MPU(Micro Processing Unit)を含むプロセッサによって構成される。制御部62は、記憶部64に格納されたデータ管理プログラムを読み出して実行することで、通信状態測定部66、稼働状態確認部68、及び接続先選択部70として機能する。
【0032】
記憶部64は、非一過性であり、かつ、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体で構成されている。本図の例では、記憶部64には、接続先の選択規則に関するデータベース(以下、「選択規則DB72」という)が構築されている。
【0033】
図5は、
図3の選択規則DB72に含まれる基本規則テーブル74が有するデータ構造の一例を示す図である。この基本規則テーブル74は、オンプレミス側サーバ20の稼働状態を示す「オンプレミス状態」と、クラウド側サーバ30の稼働状態を示す「クラウド状態」と、プロキシサーバ22にかかる通信負荷の程度を示す「通信負荷」と、クライアント端末の「接続先」の間の対応関係を示す情報である。
【0034】
なお、「接続先」は、具体的には、[1]オンプレミス側サーバ20のみ接続可能である旨を示す「オンプレミス」、[2]クラウド側サーバ30のみ接続可能である旨を示す「クラウド」、[3]オンプレミス側サーバ20及びクラウド側サーバ30の両方に接続できる旨を示す「両方可」、[4]オンプレミス側サーバ20及びクラウド側サーバ30の両方に接続できない旨を示す「接続不可」、[5]接続先がまだ設定されていない「未設定状態」のうちのいずれかが選択される。
【0035】
[データ管理システム10の動作]
この実施形態におけるデータ管理システム10は、以上のように構成される。続いて、データ管理システム10の各種動作について、主に
図6及び
図7のフローチャートを参照しながら説明する。
【0036】
<第1動作:データの同期更新>
まず、データ管理システム10の第1動作である「データの同期更新」について、
図6のフローチャートを参照しながら説明する。この同期更新は、[1]オンプレミス環境12内のデータ更新分をクラウド環境14内に反映させる更新処理、[2]クラウド環境14内のデータの更新分をオンプレミス環境12内に反映させる更新処理、を同時に行うことで達成される。ここでは、前者の更新処理についてのみ説明する。
図6のステップS1~S4はオンプレミス側サーバ20により、ステップS5はクラウド側サーバ30によりそれぞれ実行される。
【0037】
図6のステップS1において、オンプレミス側サーバ20のサーバ側制御部42(より詳しくは、データ管理部46)は、管理データ群52の更新状態を確認する。具体的には、データ管理部46は、前回の更新時点における第1管理テーブル56と、今回の更新時点における第1管理テーブル56とを比較することで、管理データ群52の更新の有無及び内容を確認する。
【0038】
ステップS2において、オンプレミス側のデータ管理部46は、ステップS1での確認結果を参照し、特定の管理データに関する更新(具体的には、追加又は変更)があったか否かを確認する。特定の管理データの一例として、予め定められた加工が必要とされるデータが挙げられる。特定の管理データの更新がなかった場合(ステップS2:NO)、ステップS3の実行を省略し、後述するステップS4に進む。一方、特定の管理データの更新があった場合(ステップS2:YES)、次のステップS3に進む。
【0039】
ステップS3において、オンプレミス側のデータ処理部50は、特定の管理データに対して所望の加工処理を施す。この加工処理は、クラウド環境14内におけるデータの管理性を考慮した可逆的又は非可逆的なデータ処理である。加工処理の一例として、[1]データを圧縮する圧縮処理、[2]画像データを部分的に切り出すトリム処理、[3]画像データの解像度を変更する解像度変換処理、[4]画像データの階調特性又はチャンネル数を変更する階調変換処理、[5]データの形式を変換するデータ変換処理などが挙げられる。
【0040】
ステップS4において、オンプレミス側のデータ管理部46は、クラウド側サーバ30に対してデータの同期更新を要求する。具体的には、オンプレミス側サーバ20は、更新対象である管理データ及び第1管理テーブル56を含むデータをクラウド側サーバ30に向けて送信する。なお、ステップS3の実行があった場合、元のデータ(以下、「未加工のデータ」ともいう)に代わって、加工処理が施されたデータ(以下、「加工済みのデータ」ともいう)が送信される点に留意する。
【0041】
ステップS5において、クラウド側のサーバ側制御部42(より詳しくは、データ管理部46)は、ステップS4でなされた同期更新の要求に応じて、各種データベースを更新する。具体的には、クラウド側のデータ管理部46は、オンプレミス側サーバ20から受信した管理データを用いて管理データ群52を更新するとともに、オンプレミス側サーバ20から受信した第1管理テーブル56を用いて管理情報DB54の更新を行う。
【0042】
このようにして、データ管理システム10の第1動作が終了する。以下、
図6のフローチャートに示す動作を逐次繰り返すことで、オンプレミス側サーバ20及びクラウド側サーバ30は、互いに保持するデータ間の一貫性を保つ同期制御を行う。この「一貫性を保つ」には、完全に同一であるデータを共有する場合のみならず、実質的に同一であるデータ、あるいは内容が対応するデータを共有する場合も含まれる。「内容が対応するデータ」の例として、オンプレミス側サーバ20が未加工のデータを保持し、クラウド側サーバ30が加工済みのデータを保持する場合が挙げられる。
【0043】
<第2動作:内側端末24との接続>
続いて、データ管理システム10の第2動作である「内側端末24との接続」について、
図7のフローチャートを参照しながら説明する。ステップS11~S16,S18は接続装置26により、ステップS17は接続先のサーバ(つまり、オンプレミス側サーバ20又はクラウド側サーバ30のいずれか一方)によりそれぞれ実行される。
【0044】
図7のステップS11において、オンプレミス側の接続装置26は、オンプレミス環境12内にある内側端末24から、サーバとの接続を要求する接続要求を受け付けたか否かを確認する。この確認に先立ち、ユーザは、内側端末24のユーザインターフェースを介して、ユーザの認証や管理データの指定を含む要求操作を行う。そうすると、内側端末24は、ユーザ名、メールアドレス、パスワード、ファイル名などの接続要求情報を含む要求信号を生成し、この要求信号を接続装置26に向けて送信する。
【0045】
接続装置26が内側端末24からの接続要求をまだ受け付けていない場合(ステップS11:NO)、この接続要求を受け付けるまでステップS11に留まる。一方、接続装置26がこの接続要求を受け付けた場合(ステップS11:YES)、次のステップS12に進む。
【0046】
ステップS12において、制御部62(より詳しくは、通信状態測定部66)は、ステップS11にて接続要求を受け付けた時点における、オンプレミス側サーバ20とクラウド側サーバ30の間の通信状態を測定する。具体的には、通信状態測定部66は、プロキシサーバ22の通信履歴を示す通信ログを解析することで、現在の時間帯における通信負荷を示す指標を算出する。この指標は、例えば、通信データ量、通信頻度又はこれらを組み合わせて算出され得る。
【0047】
ステップS13において、制御部62(より詳しくは、稼働状態確認部68)は、ステップS11にて接続要求を受け付けた時点におけるオンプレミス側サーバ20の稼働状態を確認する。具体的には、稼働状態確認部68は、オンプレミス側サーバ20に対して試験信号を送信し、その応答信号の有無によってオンプレミス側サーバ20が稼働中であるか停止中であるかを検出する。また、稼働状態確認部68は、クラウド側の接続装置32による確認結果を取得することで、クラウド側サーバ30の稼働状態も併せて確認する。
【0048】
ステップS14において、制御部62(より詳しくは、接続先選択部70)は、ステップS12で測定された通信状態と、ステップS13で確認された稼働状態を用いて、接続要求を行った内側端末24の接続先を選択する。具体的には、接続先選択部70は、通信状態又は稼働状態に関する複数の条件の組み合わせから、オンプレミス側サーバ20又はクラウド側サーバ30のいずれかを選択する。
【0049】
図5では、[条件1]オンプレミス側サーバ20が「稼働中」であるか「停止中」であるか、[条件2]クラウド側サーバ30が「稼働中」であるか「停止中」であるか、
[条件3]通信負荷を示す指標が閾値以下(「低い」)であるか、閾値以上(「高い」)であるか、の3つの条件が例示されている。なお、個々の条件や組み合わせの数は、この例に限られない。
【0050】
例えば、接続先選択部70は、選択規則DB72に含まれる基本規則テーブル74を読み出した後、「オンプレミス状態」、「クラウド状態」及び「通信負荷」の組み合わせから接続先を選択する。
図5の例では、オンプレミス側サーバ20及びクラウド側サーバ30の両方が稼働中であって、かつプロキシサーバ22の通信負荷が高い場合、オンプレミス側サーバ20が選択される。
【0051】
ステップS15において、接続先選択部70は、ステップS14での選択により内側端末24の接続先が一意に定まったか否かを確認する。接続先が一意に定まっていない場合(ステップS15:NO)、後述するステップS18に進む。一方、接続先が一意に定まった場合(ステップS15:YES)、次のステップS16に進む。
【0052】
ステップS16において、接続装置26の制御部62は、ステップS14にて特定された接続先に内側端末24を誘導する。接続装置26は、この誘導と併せて、ステップS11で取得した接続要求情報を接続先に向けて送信する。
【0053】
ステップS17において、接続先のサーバ側制御部42(より詳しくは、アクセス管理部48)は、第1管理テーブル56及び第2管理テーブル58と上記した接続要求情報を照合し、ユーザがアクセス権限を有することが確認できた場合に内側端末24との接続を許可する。これにより、内側端末24は、要求対象の管理データにアクセス可能な状態となる。
【0054】
<追加の条件を用いた接続先の選択>
ところで、複数の条件の組み合わせ毎に1つの接続先(「オンプレミス」又は「クラウド」のいずれか一方)が指定される基本規則テーブル74を用いる場合、内側端末24の接続先はこの基本規則テーブル74に従って一意に定められる。しかし、すべての組み合わせが網羅されていない場合や、両方可/接続不可/未設定状態のいずれかである接続先を含む場合、接続先選択部70は、基本規則テーブル74に従って、内側端末24の接続先を一意に定めることができない。
【0055】
そこで、
図7のステップS18において、接続先選択部70は、複数の条件の組み合わせから接続先を選択できない場合に、追加の条件に従って内側端末24の接続先を選択する。以下、この「追加の条件」の具体例について、
図8~
図10を参照しながら詳細に説明する。
【0056】
(第1例:ユーザとの関係性)
ユーザは、業務の性質上、オンプレミス側又はクラウド側のどちらか一方で管理データにアクセスしたいことがある。そこで、内側端末24のユーザ又は該ユーザの所属に関する条件が追加されてもよい。
【0057】
図8は、
図3の選択規則DB72に含まれる第1の追加規則テーブル76が有するデータ構造の一例を示す図である。この追加規則テーブル76は、ユーザ又は該ユーザの所属を示す「ユーザ/所属」と、クライアント端末の「接続先」の間の対応関係を示す情報である。この「所属」は、一例として、部門、部署、チーム、プロジェクト、組織(企業や団体)などが挙げられる。
【0058】
例えば、オンプレミス環境12内で業務を行う割合が多いユーザA,Bには、接続先として「オンプレミス」が選択される一方、オンプレミス環境12外で業務を行う割合が多いユーザCには、接続先として「クラウド」が選択される。また、機密性が相対的に高い管理データを取り扱う部門(例えば、人事部や開発部)には、接続先として「オンプレミス」が選択される一方、機密性が相対的に低い管理データを取り扱う部門(例えば、購買部)には、接続先として「クラウド」が選択される。
【0059】
(第2例:データとの関係性)
管理データの使用目的によって、加工済みのデータを用いても当該目的を達成できる場合がある一方、加工済みのデータを用いると当該目的を達成できない場合もあり得る。そこで、データの種類、データの使用目的、又は加工処理の種類に関する条件が追加されてもよい。
【0060】
例えば、画像データに対して画質を不可逆的に欠損させる加工処理(非可逆圧縮処理、階調変換処理、画像縮小処理など)に関して、接続先選択部70は、加工処理による画質の欠損の度合いが閾値よりも大きい場合にオンプレミス側サーバ20を選択する一方、画質の欠損の度合いが閾値以下である場合にクラウド側サーバ30を選択してもよい。この選択は、
図9に示す追加規則テーブル78に従って行われる。
【0061】
図9は、
図3の選択規則DB72に含まれる第2の追加規則テーブル78が有するデータ構造の一例を示す図である。この追加規則テーブル78は、管理データの種類を示す「データ種類」と、管理データの「使用目的」と、加工処理の種類を示す「加工種類」と、クライアント端末の「接続先」の間の対応関係を示す情報である。
【0062】
本図から理解されるように、文書データを編集する目的であれば接続先として「オンプレミス」が選択される一方、文書データを閲覧する目的であれば接続先として「クラウド」が選択される。また、画像データを取得又は解析する目的であれば、画像倍率の変化の有無にかかわらず、画像縮小処理を施す前の画像データにアクセス可能な接続先として「オンプレミス」が選択される。一方、画像データを閲覧又は印刷する目的であれば、画像倍率の変化量と閾値(例えば、50%)の間の大小関係に応じて、接続先として「オンプレミス」又は「クラウド」のいずれかが選択される。
【0063】
(第3例:解凍場所との関係性)
プラットフォーム業者が提供するクラウドサービスを利用する場合、従量制の課金が発生することがある。そこで、可能な限り利用料を抑えるために、元のデータを圧縮した状態でクラウド側サーバ30に保持させる場合がある。この圧縮済みのデータの利用に先立って、データを復元するために事前に解凍処理が行われる。ところが、データのサイズが大きいほど解凍処理に時間を要する傾向があり、その分だけシステムの応答性を損なう可能性がある。そこで、通信負荷及びデータのサイズに関する条件が追加されてもよい。
【0064】
例えば、データに対して可逆的に圧縮する加工処理(いわゆる、可逆圧縮処理)に関して、接続先選択部70は、加工処理が行われる前又は行われた後のデータのサイズが閾値よりも大きい場合にオンプレミス側サーバ20を選択する一方、データのサイズが閾値以下である場合にクラウド側サーバ30を選択してもよい。この選択は、
図10に示す追加規則テーブル80に従って行われる。
【0065】
図10は、
図3の選択規則DB72に含まれる第3の追加規則テーブル80が有するデータ構造の一例を示す図である。この追加規則テーブル78は、プロキシサーバ22にかかる通信負荷の程度を示す「通信負荷」と、解凍後のデータのサイズを示す「データサイズ」と、クライアント端末の「接続先」の間の対応関係を示す情報である。
【0066】
本図から理解されるように、通信負荷が低い状況であれば、解凍後のデータのサイズにかかわらず「クラウド」が選択されるとともに、データの解凍処理はクラウド側サーバ30によって実行される。一方、通信負荷が高い状況であれば、データのサイズと閾値(例えば、5MB)の間の大小関係に応じて、接続先として「クラウド」又は「オンプレミス」のいずれかが選択される。
【0067】
[この実施形態のまとめ]
以上のように、このデータ管理システム10は、イントラネット18(ネットワーク)の内側に設けられてイントラネット18の外側からの接続が制限されているオンプレミス側サーバ20(第1装置)と、イントラネット18の外側に設けられてオンプレミス側サーバ20及び外側端末16とそれぞれ接続可能に構成されるクラウド側サーバ30(第2装置)と、オンプレミス側サーバ20と一体又は別体の装置である接続装置26,32を備える。
【0068】
そして、オンプレミス側サーバ20及びクラウド側サーバ30は、互いに保持するデータ間の一貫性を保つ同期制御を行い、接続装置26,32は、内側端末24からの接続要求を受け付けた場合に、オンプレミス側サーバ20とクラウド側サーバ30の間の通信状態、又は、オンプレミス側サーバ20もしくはクラウド側サーバ30の稼働状態に応じて、内側端末24の接続先としてオンプレミス側サーバ20又はクラウド側サーバ30のいずれかを選択する。
【0069】
このように、内側端末24からの接続要求を受け付けた場合、上記の通信状態又は上記の稼働状態に応じて、内側端末24の接続先としてオンプレミス側サーバ20又はクラウド側サーバ30のいずれかを選択するので、通信状態又は稼働状態に適した接続先を設定可能となる。これにより、内側端末24をオンプレミス側サーバ20に、外側端末16をクラウド側サーバ30にそれぞれ接続させるという基本方針に沿って運用を行う場合、内側端末24の接続先が常にオンプレミス側サーバ20に固定される場合と比べて、状況により適した運用が行われる。
【0070】
[変形例]
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、この発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。あるいは、技術的に矛盾が生じない範囲で各々の構成を任意に組み合わせてもよい。
【0071】
上記した実施形態における「プロセッサ」は、広義のプロセッサを意味し、汎用的なプロセッサ(CPU又はMPU)のみならず、専用的なプロセッサ(GPU;Graphics Processing Unit、ASIC:Application Specific Integrated Circuit、FPGA:Field Programmable Gate Array、PLD:Programmable Logic Device)を含み得る。
【0072】
上記した実施形態におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサにより行われてもよいし、物理的に離れた位置に設けられた複数のプロセッサが協働して行われてもよい。また、プロセッサの各動作の順序は、
図6,
図7に示すフローチャートの順序のみに限定されるものではなく、必要に応じて適宜変更され得る。
【符号の説明】
【0073】
10 データ管理システム、12 オンプレミス環境、14 クラウド端末、16 外側端末、18 イントラネット(ネットワーク)、20 オンプレミス側サーバ(第1装置)、24 内側端末、26,32 接続装置、30 クラウド側サーバ(第2装置)、56,58 管理テーブル、62 制御部(プロセッサ)、64 記憶部(メモリ)、74 基本規則テーブル、76,78,80 追加規則テーブル、NW インターネット。