(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】ロータの製造方法
(51)【国際特許分類】
H02K 15/02 20060101AFI20231219BHJP
H02K 15/14 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
H02K15/02 K
H02K15/14 A
(21)【出願番号】P 2019207275
(22)【出願日】2019-11-15
【審査請求日】2022-10-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】安立 毅彦
(72)【発明者】
【氏名】河島 孝明
(72)【発明者】
【氏名】郡 智基
(72)【発明者】
【氏名】原 豊
(72)【発明者】
【氏名】杉田 浩彰
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 真梨子
【審査官】服部 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-268858(JP,A)
【文献】特開平05-007970(JP,A)
【文献】特開2012-031969(JP,A)
【文献】特開2010-220340(JP,A)
【文献】特開2006-254625(JP,A)
【文献】特開2013-158818(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 15/02
H02K 15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフト挿入孔を有する環状のロータコアと、第1筒状部分および前記第1筒状部分よりも前記ロータコアの回転軸線方向の一方側および他方側に設けられ回転時に支持される第2筒状部分を有し、前記シャフト挿入孔に挿入された状態で前記ロータコアに固定されている筒状のシャフトと、を備えるロータの製造方法であって、
前記ロータコアと前記シャフトとを準備する準備工程と、
前記シャフトを前記シャフト挿入孔に挿入する挿入工程と、
前記挿入工程の後に、前記シャフトの内部が密閉された状態で、前記シャフトの内部に液体を充填させるとともに前記液体を加圧することによって前記シャフトを前記ロータコアの径方向に膨張させることにより、前記シャフト挿入孔の内周面に前記第1筒状部分の外周面の少なくとも一部を圧接させて、前記シャフトを前記ロータコアに固定する
とともに、前記第2筒状部分の開口部側の直径が前記開口部とは反対側の直径よりも大きくなるように前記第2筒状部分を変形させるロータコア固定工程と、
前記ロータコア固定工程において変形した
前記第2筒状部分の直径が均一になるように前記第2筒状部分の仕上げ加工を行う仕上げ工程と、を備える、ロータの製造方法。
【請求項2】
前記仕上げ工程は、前記第2筒状部分を塑性変形させる塑性加工と、前記第2筒状部分の外周側を切削する切削加工とのいずれかにより、前記第2筒状部分の仕上げ加工を行う工程である、請求項1に記載のロータの製造方法。
【請求項3】
前記第2筒状部分は、軸受部材が配置される軸受部分を含み、
前記仕上げ工程は、前記ロータコア固定工程において変形した前記第2筒状部分の前記軸受部分の仕上げ加工を行う工程である、請求項1または2に記載のロータの製造方法。
【請求項4】
前記第2筒状部分は、前記第1筒状部分の直径よりも小さい直径を有する小径部分を含み、
前記仕上げ工程は、前記ロータコア固定工程において変形した前記第2筒状部分の前記小径部分の仕上げ加工を行う工程である、請求項1~3のいずれか1項に記載のロータの製造方法。
【請求項5】
前記ロータコアには、前記ロータコアの回転軸線方向に延びるように、磁石を配置するための磁石配置孔が形成されており、
前記仕上げ工程は、前記磁石配置孔を塞いだ状態で、前記第2筒状部分の仕上げ加工を行う工程である、請求項4に記載のロータの製造方法。
【請求項6】
前記ロータコア固定工程は、シール部材により前記シャフトの開口部を前記ロータコアの回転軸線方向に押圧することにより、前記シャフトの内部が密閉された状態で、前記シャフトを前記ロータコアに固定する工程であり、
前記仕上げ工程は、前記シール部材による押圧と前記液体による加圧との少なくとも一方によって変形した前記第2筒状部分の仕上げ加工を行う工程である、請求項1~5のいずれか1項に記載のロータの製造方法。
【請求項7】
前記ロータコアには、磁石を配置するための磁石配置孔が形成されており、
前記仕上げ工程よりも後に、前記磁石配置孔に磁石を配置する磁石配置工程をさらに備える、請求項1~6のいずれか1項に記載のロータの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ロータコアのシャフト挿入孔の内周面にシャフトの外周面の少なくとも一部を圧接させてシャフトをロータコアに固定する工程を備えるロータの製造方法が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、パイプ構造を有した中空形状の回転軸(シャフト)と、回転軸が挿入された積層鉄心(ロータコア)と、を備えるモータ用のロータの製造方法が開示されている。この製造方法では、回転軸が積層鉄心の径方向の内側に配置され、回転軸の軸方向の一方側および他方側の一部を外部に露出させた状態で、ハイドロフォーミング成形機の成形型に回転軸が固定される。そして、回転軸の内部全体に液体を注入して内圧を高めるハイドロフォーミング法によって、回転軸を膨張(塑性変形)させることにより、積層鉄心の内周面に回転軸の外周面の少なくとも一部を圧接させて、回転軸が積層鉄心に対して固定される。
【0004】
また、従来、ハイドロフォーミング法が行われる際に、素材管(シャフト)内の加圧用の液体が外部に漏れないように素材管の端部に形成された開口部をシールする方法が知られている(たとえば、特許文献2参照)。
【0005】
上記特許文献2に記載の方法では、素材管の軸方向の端部に管端封止部材(シール部材)を配置した状態で、管端封止部材により素材管の軸方向の端部を加圧して、素材管の軸方向の端部が塑性変形される。これにより、素材管の軸方向の端部と管端封止部材との間の隙間が埋まり、素材管の開口部がシールされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2001-268858号公報
【文献】特開2013-158802号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、ロータでは、一般的に、シャフトは回転時に軸受部材等の支持部材により支持される部分を含む。たとえば、上記特許文献1に記載のロータでは、回転時に軸受部材等の支持部材により支持される部分は、シャフトのうちのロータコアから露出する部分(ロータコアの回転軸線方向の一方側および他方側)に位置する。しかしながら、上記特許文献1に記載のロータの製造方法では、シャフトの内部全体に液体を注入して内圧を高めるハイドロフォーミング法が行われるので、回転時に支持される部分も変形してしまうと考えられる。
【0008】
また、ハイドロフォーミング法が行われる際に、シャフト内の加圧用の液体が外部に漏れないように、上記特許文献1のロータの製造方法に、上記特許文献2に記載されている素材管の端部に形成された開口部をシールする方法を適用することが考えられる。この場合、ハイドロフォーミング法が行われる際には、シャフト内の加圧用の液体が外部に漏れないように、シャフトの回転軸線方向の一方側および他方側の端部(回転時に支持される部分の近傍)がシール部材により加圧(押圧)されて塑性変形される。
【0009】
上記のように、回転時に支持される部分が変形した場合、回転時に支持される部分に配置される軸受部材等の支持部材に対する回転時に支持される部分の組付け精度が低下するので、ロータの回転精度が低下してしまう。このため、従来のロータの製造方法では、ロータコアのシャフト挿入孔の内周面にシャフトの外周面の少なくとも一部を圧接させてシャフトをロータコアに固定する際に、シャフトの回転時に支持される部分が変形することに起因してロータの回転精度が低下してしまうという問題点がある。
【0010】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、シャフトの回転時に支持される部分が変形することに起因してロータの回転精度が低下してしまうのを防止しながら、ロータコアのシャフト挿入孔の内周面にシャフトの外周面の少なくとも一部を圧接させてシャフトをロータコアに固定することが可能なロータの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、この発明の一の局面におけるロータの製造方法は、シャフト挿入孔を有する環状のロータコアと、第1筒状部分および第1筒状部分よりもロータコアの回転軸線方向の一方側および他方側に設けられ回転時に支持される第2筒状部分を有し、シャフト挿入孔に挿入された状態でロータコアに固定されている筒状のシャフトと、を備えるロータの製造方法であって、ロータコアとシャフトとを準備する準備工程と、シャフトをシャフト挿入孔に挿入する挿入工程と、挿入工程の後に、シャフトの内部が密閉された状態で、シャフトの内部に液体を充填させるとともに液体を加圧することによってロータコアの径方向にシャフトを膨張させることにより、シャフト挿入孔の内周面に第1筒状部分の外周面の少なくとも一部を圧接させて、シャフトをロータコアに固定するとともに、第2筒状部分の開口部側の直径が開口部とは反対側の直径よりも大きくなるように第2筒状部分を変形させるロータコア固定工程と、ロータコア固定工程において変形した第2筒状部分の直径が均一になるように第2筒状部分の仕上げ加工を行う仕上げ工程と、を備える。
【0012】
この発明の一の局面におけるロータの製造方法では、上記のように、ロータコアのシャフト挿入孔の内周面にシャフトの第1筒状部分の外周面の少なくとも一部を圧接させて、シャフトをロータコアに固定するロータコア固定工程において変形した第2筒状部分の仕上げ加工を行う仕上げ工程を行う。これにより、ロータコア固定工程において、第2筒状部分が変形した場合でも、ロータコア固定工程の後に、第2筒状部分の仕上げ加工を行うことによって、変形した第2筒状部分の形状が所望の寸法となるように成形されるので、回転時に第2筒状部分を支持する部材に対する第2筒状部分の組付け精度が低下するのを防止することができる。その結果、シャフトの回転時に支持される部分(第2筒状部分)が変形することに起因してロータの回転精度が低下してしまうのを防止しながら、ロータコアのシャフト挿入孔の内周面にシャフトの(第1筒状部分の)外周面の少なくとも一部を圧接させてシャフトをロータコアに固定することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、上記のように、シャフトの回転時に支持される部分が変形することに起因してロータの回転精度が低下してしまうのを防止しながら、ロータコアのシャフト挿入孔の内周面にシャフトの外周面の少なくとも一部を圧接させてシャフトをロータコアに固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】第1実施形態によるロータを備える回転電機の平面図である。
【
図2】
図1の500-500線に沿った断面図である。
【
図3】
図2の600-600線に沿った断面図である。
【
図4】第1実施形態によるロータの回転時における冷却用オイルの流れを説明するための図である。
【
図5】第1実施形態によるロータの製造工程を示すフロー図である。
【
図6】第1実施形態によるロータコアおよびシャフトを準備する準備工程を説明するための図である。
【
図7】第1実施形態によるシャフトをシャフト挿入孔に挿入する挿入工程を説明するための図である。
【
図8】第1実施形態によるシャフトをロータコアに固定するロータコア固定工程におけるハイドロフォーミング成型機を説明するための図である。
【
図9】第1実施形態によるシャフトをロータコアに固定するロータコア固定工程におけるシャフトへの圧力を説明するための図である。
【
図10】第1実施形態によるシャフトをロータコアに固定するロータコア固定工程におけるシャフトの変形を説明するための図である。
【
図11】第1実施形態による第2筒状部分の仕上げ加工を行う仕上げ工程を説明するための図である。
【
図12】第1実施形態による第2筒状部分の仕上げ加工を行う仕上げ工程後のシャフトの状態を説明するための図である。
【
図13】第1実施形態による第1筒状部分にオイル排出孔を形成する孔部形成工程を説明するための図である。
【
図15】第1実施形態によるオイル排出孔の周辺を洗浄する洗浄工程を説明するための図である。
【
図16】第1実施形態によるロータコアに磁石を配置する磁石配置工程を説明するための図である。
【
図17】第1実施形態によるロータコアに磁石を配置する磁石配置工程を説明するための別の図である。
【
図18】第2実施形態によるロータの製造工程を示すフロー図である。
【
図19】第2実施形態による第2筒状部分の仕上げ加工を行う仕上げ工程を説明するための図である。
【
図20】第2実施形態による第2筒状部分の仕上げ加工を行う仕上げ工程後のシャフトの状態を説明するための図である。
【
図21】第2実施形態による第2筒状部分およびオイル排出孔の周辺を洗浄する洗浄工程を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
[第1実施形態]
(ロータの構造)
図1~
図4を参照して、第1実施形態によるロータ100の構造について説明する。なお、以下の説明では、ロータ100が備えるロータコア10(
図1参照)の回転軸線方向、径方向および周方向を、それぞれ、Z方向、R方向およびC方向とする。また、回転軸線方向(Z方向)の一方側および他方側を、それぞれ、Z1側およびZ2側とする。また、径方向(R方向)の内側(一方側)および外側(他方側)を、それぞれ、R1側およびR2側とする。
【0017】
図1に示すように、ロータ100は、ステータ110と共に、回転電機120の一部を構成する。回転電機120は、たとえば、モータ、ジェネレータ、または、モータ兼ジェネレータである。ステータ110は、ロータ100のR2側に、ステータ110の内周面110aとロータ100の外周面100aとがR方向に対向するように配置されている。すなわち、ロータ100は、インナーロータ型の回転電機120の一部を構成する。
【0018】
ステータ110は、ステータコア111と、コイル112と、を備えている。ステータコア111は、円環状のバックヨーク113と、バックヨーク113からR1側に突出する複数のティース114と、C方向に隣り合うティース114同士の間に形成される複数のスロット115と、を含む。コイル112は、ステータコア111に巻回されるように、複数のスロット115内に配置されている。また、
図2に示すように、コイル112は、複数のスロット115からZ1側およびZ2側に突出したコイルエンド部112a(
図2参照)を含む。
【0019】
図1に示すように、ロータ100は、ロータコア10と、シャフト20と、軸受部材30と、を備えている。ロータコア10、シャフト20および軸受部材30は、Z方向から見て、各々、中心軸が回転軸線Aと一致する円環形状を有する。
【0020】
図2に示すように、ロータコア10は、ロータコア本体部11と、磁石12と、を備えている。ロータコア10は、R方向から見て、ステータコア111とオーバラップするように配置されている。ロータコア本体部11は、複数の電磁鋼板11aがロータコア10のZ方向に積層されることにより形成されている。電磁鋼板11aは、たとえば、珪素鋼により構成されている。ロータコア本体部11の中央部(R1側)には、ロータコア本体部11をZ方向に貫通するように、シャフト挿入孔13が形成されている。シャフト挿入孔13は、直径D3を有する。また、ロータコア本体部11の外縁部(R2側)には、Z方向に延びるように、磁石配置孔14が形成されている。磁石12は、磁石配置孔14の内部において、熱硬化性樹脂15によりロータコア本体部11に固定されている。
図3に示すように、磁石配置孔14は、環状に並ぶように複数形成されている。
【0021】
図2に示すように、シャフト20は、円筒形状(中空形状)を有しており、Z方向に延びるように形成されている。シャフト20は、たとえば、炭素鋼により構成されている。シャフト20は、シャフト20の外周面20aとシャフト挿入孔13の内周面13aとが対向するように、ロータコア10のシャフト挿入孔13に挿通(挿入)されている。そして、シャフト20は、シャフト挿入孔13の内周面13aに固定されている。すなわち、シャフト20は、シャフト挿入孔13に挿通(挿入)された状態でロータコア10に固定され、ロータコア10の回転軸として機能する。
【0022】
第1実施形態では、シャフト20は、シャフト20の内部20bが密閉された状態で、シャフト20の内部20bに液体51を充填させるとともに液体51を加圧することによってシャフト20をR方向に膨張させることにより、シャフト挿入孔13の内周面13aに第1筒状部分21の外周面21dの少なくとも一部を圧接させて(すなわち、ハイドロフォーミングによって)、ロータコア10に固定されている。具体的には、シャフト20は、第1筒状部分21と、第2筒状部分22と、を含む。第1筒状部分21は、直径D1を有する。直径D1は、シャフト挿入孔13の直径D3と略等しい。第1筒状部分21の少なくとも一部(部分21a)は、ハイドロフォーミングによって、シャフト挿入孔13の内周面13aに圧接されている。すなわち、第1筒状部分21は、シャフト挿入孔13の内周面13aに圧接されている部分21aと、シャフト挿入孔13の内周面13aに圧接されていない部分21bと、を含む。第2筒状部分22は、第1筒状部分21よりもロータコア10のZ1側およびZ2側に設けられている。第2筒状部分22は、第1筒状部分21の直径D1よりも小さい直径D2を有する。これにより、第1筒状部分21の外周面21dと第2筒状部分22の外周面22aとの間には、段差部23が形成されている。第2筒状部分22は、軸受部材30が配置される(直径D2を有する)軸受部分22bを含む。そして、第2筒状部分22の軸受部分22bには、軸受部材30が配置されている。すなわち、第2筒状部分22は、シャフト20の回転時に軸受部材30により支持される。なお、軸受部分22bは、特許請求の範囲の「小径部分」の一例である。
【0023】
軸受部材30は、第2筒状部分22の外周面22aに接触するとともに、第2筒状部分22の外周面22aをR2側からC方向に取り囲むように、第2筒状部分22の軸受部分22bに配置されている。そして、軸受部材30は、シャフト20およびロータコア10を、回転軸線Aを中心軸として回転可能に支持している。なお、ロータ100では、軸受部材30は、段差部23のZ方向と直交する面23aと接触している。
【0024】
ここで、ロータ100では、シャフト20には、オイル排出孔20cが形成されている。具体的には、第1筒状部分21のシャフト挿入孔13の内周面13aに圧接されていない部分21b(R2側から見て、シャフト20のロータコア10のZ方向の端面10aから突出して露出する部分)には、部分21bにおいて第1筒状部分21の内周面21cに対して直交する方向(R方向)に沿ってオイル排出孔20cが形成されている。オイル排出孔20cは、シャフト20の内部20bを流通する冷却用オイル41をシャフト20の外部にR方向に沿って排出させることによってコイル112のコイルエンド部112aを冷却するための貫通孔である。すなわち、オイル排出孔20cは、コイルエンド部112aの冷却用の液体(冷却用オイル41)をシャフト20の外部に排出させるための貫通孔である。冷却用オイル41は、たとえば、ATF(Automatic Transmission Fluid)である。
【0025】
図3に示すように、オイル排出孔20cは、Z1側の部分21bと、Z2側の部分21bとに、それぞれ、複数形成されている。ロータ100では、オイル排出孔20cは、C方向において、磁石配置孔14とは異なる位置に形成されている。
【0026】
図4に示すように、回転電機120が使用される際には、シャフト20の内部20bに冷却用オイル41を供給するためのオイル供給部42が配置された状態で、ロータ100が、回転軸線Aを中心軸として、ステータ110に対して回転する。そして、オイル供給部42によりシャフト20の内部20bに供給された冷却用オイル41は、第1筒状部分21の内周面21cを伝って流れる。第1筒状部分21は、ロータコア10(のシャフト挿入孔13の内周面13a)に圧接されているので、冷却用オイル41が第1筒状部分21の内周面21cを伝って流れることにより、第1筒状部分21を介して、ロータコア10が冷却される。そして、第1筒状部分21の内周面21cを伝って流れた冷却用オイル41がオイル排出孔20cに到達すると、ロータ100の回転による遠心力により、冷却用オイル41がオイル排出孔20cからシャフト20の外部にR方向に沿って排出される。そして、シャフト20の外部にR方向に沿って排出された冷却用オイル41がコイル112のコイルエンド部112aに到達して、コイル112のコイルエンド部112aが冷却される。
【0027】
(ロータの製造方法)
次に、
図5~
図17を参照して、第1実施形態によるロータ100の製造方法について説明する。なお、
図5には、ロータ100の製造工程に関するフロー図を示している。
【0028】
まず、ステップS1において、ロータコア10とシャフト20とが準備される(準備工程)。具体的には、
図6に示すように、内径D31を有するとともにC方向に並ぶように磁石配置孔14が形成された円環形状の電磁鋼板11aがZ方向に沿って積層されることによって、内径D31を有するシャフト挿入孔13と、複数の磁石配置孔14と、を含む環状(円環形状)のロータコア10が準備される。また、直径D11を有する円筒形状のパイプ部材(図示しない)のZ1側Z2側が絞り加工されるによって、直径D11を有する第1筒状部分21と、直径D21を有する第2筒状部分22、とを含む筒状(円筒形状)のシャフト20が準備される。
【0029】
次に、ステップS2において、シャフト20がシャフト挿入孔13に挿入される(挿入工程)。具体的には、
図7に示すように、ロータコア10の中心軸とシャフト20の中心軸とが一致した状態で、成型機(図示しない)に固定されたロータコア10に対してシャフト20がZ方向に移動されることによって、ロータコア10のシャフト挿入孔13にシャフト20が挿入される。
【0030】
次に、ステップS3において、シャフト20がロータコア10に固定される(ロータコア固定工程)。詳細には、
図8~
図10に示すように、シャフト20の内部20bが密閉された状態で、シャフト20の内部20bに液体51を充填させるとともに液体51を加圧することによってシャフト20を膨張させることにより、シャフト20をR方向に膨張させることにより、シャフト挿入孔13の内周面13aに第1筒状部分21の少なくとも一部(部分21a(
図2参照))を圧接させて(すなわち、ハイドロフォーミングによって)、シャフト20がロータコア10に固定される。
【0031】
具体的には、
図8に示すように、シール部材52aと液体供給部52bと押圧部52cとを備えたハイドロフォーミング成型機52が、ロータ100に対して配置される。シール部材52aは、シャフト20の開口部20dを塞ぐように、シャフト20に対して配置される。また、押圧部52cは、ロータコア10の端面10aおよび第2筒状部分22の段差部23の面23aと接触するように配置される。そして、シール部材52aによりシャフト20の開口部20dが押圧されることによってシャフト20の内部20bがシール部材52aにより密閉された状態で、液体供給部52bにより、シャフト20の内部20bに液体51が注入される。そして、
図9に示すように、シール部材52aによりシャフト20の内部20bが密閉されるとともに、押圧部52cにより、ロータコア10の端面10aがZ方向に押圧された状態で、シャフト20の内部20bに注入された液体51が加圧されることによって、液体51の内圧(たとえば約200MPa)によりシャフト20が膨張する。これにより、膨張した第1筒状部分21の一部(部分21a)が、シャフト挿入孔13の内周面13aに圧接される。なお、ロータコア固定工程(S3)が行われた後、ハイドロフォーミング成型機52は、ロータ100から取り除かれる。
【0032】
ここで、ハイドロフォーミングによって、シャフト挿入孔13の内周面13aに圧接される第1筒状部分21だけでなく、第2筒状部分22も膨張する。また、上述したように、ハイドロフォーミングを行う際に、シャフト20の内部20bを密閉するために、シール部材52aによりシャフト20の開口部20d(第2筒状部分22のZ方向の端部)が押圧されるので、第2筒状部分22に対して、シール部材52aの荷重が掛かる。なお、シール部材52aの荷重は、径方向(R方向)の外側(R2側)かつ回転軸線方向(Z方向)の内側(開口部20dとは反対側)に掛かる。このため、
図11に示すように、第2筒状部分22は、ロータコア固定工程(S3)において、シール部材52aによる押圧と液体による加圧との少なくとも一方によって変形する。すなわち、第2筒状部分22は、ハイドロフォーミングを行う前の直径D21(
図7参照)よりも大きい直径D22(第2筒状部分22の直径のZ方向における平均値)を有するとともに、開口部20d側の直径D22bが開口部20dとは反対側の直径D22aよりも相対的に大きな状態に変形する。なお、
図9に示すように、ハイドロフォーミングを行う際には、第2筒状部分22の径方向(R方向)の外側(R2側)に、ハイドロフォーミングによる変形分を見込んだ金型隙Gが設けられた状態で、押圧部52cが配置される。しかしながら、ハイドロフォーミングの高圧により、押圧部52cも弾性変形するので、第2筒状部分22の所望の寸法(直径D2(
図2参照))に対する変寸(変形寸法)をゼロとすることは難しい。
【0033】
次に、ステップS4において、ロータコア固定工程(S3)において変形した第2筒状部分22の仕上げ加工が行われる(仕上げ工程)。すなわち、仕上げ工程(S4)において、ロータコア固定工程(S3)において変形した第2筒状部分22の軸受部分22bの仕上げ加工が行われる。
【0034】
なお、第1実施形態では、仕上げ工程(S4)は、第2筒状部分22を塑性変形させる塑性加工により行われる。具体的には、
図11に示すように、塑性加工により、第2筒状部分22が外周側(R2側)から押圧される。塑性加工として、たとえば、転造が用いられる。そして、
図12に示すように、塑性加工により、第2筒状部分22が直径D2を有する状態に成形される。
【0035】
次に、ステップS5において、オイル排出孔20cが第1筒状部分21に形成される(孔部形成工程)。具体的には、
図13および
図14に示すように、C方向において、磁石配置孔14に対応する位置に、磁石配置孔14を塞ぐための塞ぎ部材61が配置される。そして、C方向における塞ぎ部材61が配置されていない部分に、オイル排出孔20cを形成するための孔開け工具62(たとえば、ドリル)が配置される。そして、孔開け工具62によって、R2側から、第1筒状部分21にオイル排出孔20cが形成される。したがって、オイル排出孔20cは、C方向において、磁石配置孔14とは異なる位置に形成される。
【0036】
次に、ステップS6において、オイル排出孔20cの周辺が洗浄される(洗浄工程)。具体的には、
図15に示すように、孔部形成工程(S5)と同様に、塞ぎ部材61により、ロータコア10の磁石配置孔14を塞いだ状態で、オイル排出孔20cの周辺が洗浄される。洗浄工程(S6)では、液体を用いない乾式洗浄により、オイル排出孔20cの周辺が洗浄される。乾式洗浄として、たとえば、ドライアイス洗浄が用いられる。これにより、孔部形成工程(S5)において生じた切り屑が除去される。なお、洗浄工程(S6)が行われた後、塞ぎ部材61は、ロータコア10から取り除かれる。
【0037】
次に、ステップS7において、磁石配置孔14に磁石12が配置される(磁石配置工程)。すなわち、第1実施形態では、仕上げ工程(S4)よりも後に、磁石配置工程(S7)が行われる。具体的には、
図16に示すように、ロータコア10の端面10aをZ方向に押圧するように、ロータコア押圧部材70が配置される。ロータコア押圧部材70には、Z方向から見て、ロータコア10の磁石配置孔14に対応する位置に、磁石挿入孔71が形成されている。そして、ロータコア押圧部材70により、ロータコア10の端面10aがZ方向に押圧された状態で、ロータコア10の磁石配置孔14にZ方向から磁石12が挿入される。そして、
図18に示すように、磁石配置孔14に磁石12が挿入された状態で、樹脂注入装置(図示しない)により、磁石配置孔14の内周面と磁石12との間(隙間)に接着剤としての熱硬化性樹脂15が溶融された状態で注入(圧送)される。そして、熱硬化性樹脂15が所定の温度(硬化温度)まで加熱され硬化することによって、ロータコア10に対して磁石12が固定される。なお、磁石配置工程(S7)が行われた後、ロータコア押圧部材70は、ロータコア10から取り除かれる。
【0038】
ロータ100の製造方法では、上記のように、磁石配置工程(S7)は、ロータコア10の端面10aがZ方向に押圧された状態で行われる。これにより、ロータコア固定工程(S3)において、ハイドロフォーミングによる加圧によって、ロータコア10のZ方向への変形が生じた場合でも、ロータコア10のZ方向への変形を抑制しながら、磁石配置孔14に磁石12を配置することができる。その結果、ロータコア10のZ方向への変形を抑制しながら、ロータコア10の磁石配置孔14へ磁石12を挿入することができるので、ロータコア10のZ方向への変形に起因して磁石配置孔14に磁石12を挿入しにくくなるのを防止することができる。また、ロータコア10のZ方向への変形を抑制(電磁鋼板11a同士に隙間が生じるのを抑制)しながら、磁石配置孔14に熱硬化性樹脂15を注入(圧送)することができるので、ロータコア10のZ方向への変形に起因して熱硬化性樹脂15が磁石配置孔14から漏れてしまうのを防止することができる。
【0039】
そして、ステップS8において、第2筒状部分22に軸受部材30が配置される(軸受配置工程)。具体的には、
図2に示すように、軸受部材30が第2筒状部分22の外周面22aおよび段差部23のZ方向と直交する面23aと接触するように、軸受部材30が第2筒状部分22の軸受部分22bに配置される。
【0040】
[第2実施形態]
次に、
図18~21を参照して、第2実施形態によるロータ200の製造方法について説明する。第2実施形態のロータ200の製造方法では、塑性加工により第2筒状部分22の仕上げ加工が行われる第1実施形態の製造方法と異なり、切削加工により第2筒状部分222の仕上げ加工が行われる。なお、
図18には、ロータ200の製造工程に関するフロー図を示している。
【0041】
図18に示すように、ステップS1~S3、S5、S7およびS8については、第1実施形態によるロータ100の製造方法と同一の工程が実施される。
【0042】
ステップS204において、第1実施形態の製造方法と同様に、ロータコア固定工程(S3)において変形した第2筒状部分222の仕上げ加工が行われる(仕上げ工程)。そして、第2実施形態では、第1実施形態の製造方法と異なり、仕上げ工程(S4)は、第2筒状部分222の外周側(R2側)を切削する切削加工により行われる。具体的には、
図19に示すように、切削加工により、第2筒状部分222の外周側(R2側)が切削される。そして、
図20に示すように、切削加工により、第2筒状部分222が直径D2を有する状態に成形される。なお、本願明細書において、「切削加工」とは、研削加工を含む広義の切削加工を意味する。なお、仕上げ工程(S204)は、ロータコア10の磁石配置孔14を塞いだ状態で行われる。
【0043】
また、ステップS206において、第2筒状部分22およびオイル排出孔20cの周辺が洗浄される(洗浄工程)。具体的には、
図21に示すように、仕上げ工程(S204)と同様に、塞ぎ部材61により、ロータコア10の磁石配置孔14を塞いだ状態で、第2筒状部分22およびオイル排出孔20cの周辺が洗浄される。これにより、孔部形成工程(S5)および仕上げ工程(S204)において生じた切り屑が除去される。なお、洗浄工程(S206)では、液体を用いない乾式洗浄により、第2筒状部分222およびオイル排出孔20cの周辺が洗浄される。
【0044】
[実施形態の効果]
上記第1および第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0045】
上記第1および第2実施形態では、上記のように、ロータコア(10)のシャフト挿入孔(13の)内周面(13a)にシャフト(20、220)の第1筒状部分(21)の外周面(21d)の少なくとも一部を圧接させて、シャフト(20、220)をロータコア(10)に固定するロータコア固定工程(S3)において変形した第2筒状部分(22、222)の仕上げ加工を行う仕上げ工程(S4、S204)を行う。これにより、ロータコア固定工程(S3)において、第2筒状部分(22、222)が変形した場合でも、ロータコア固定工程(S3)の後に、第2筒状部分(22、222)の仕上げ加工を行うことによって、変形した第2筒状部分(22、222)の形状が所望の寸法となるように成形されるので、回転時に第2筒状部分(22、222)を支持する部材(軸受部材(30))に対する第2筒状部分(22、222)の組付け精度が低下するのを防止することができる。その結果、シャフト(20、220)の回転時に支持される部分(第2筒状部分(22、222))が変形することに起因してロータ(100、200)の回転精度が低下してしまうのを防止しながら、ロータコア(10)のシャフト挿入孔(13)の内周面(13a)にシャフト(20、220)の(第1筒状部分(21)の)外周面(21d)の少なくとも一部を圧接させてシャフト(20、220)をロータコア(10)に固定することができる。
【0046】
また、上記第1および第2実施形態では、上記のように、仕上げ工程(S4、S204)は、第2筒状部分(22、222)を塑性変形させる塑性加工と、第2筒状部分(22、222)の外周側(R2側)を切削する切削加工とのいずれかにより、第2筒状部分(22、222)の仕上げ加工を行う工程である。このように構成すれば、塑性加工または切削加工により、第2筒状部分(22、222)の仕上げ加工を容易に行うことができる。
【0047】
また、上記第1および第2実施形態では、上記のように、第2筒状部分(22、222)は、軸受部材(30)が配置される軸受部分(22b)(小径部分)を含み、仕上げ工程(S4、S204)は、ロータコア固定工程(S3)において変形した第2筒状部分(22、222)の軸受部分(22b)(小径部分)の仕上げ加工を行う工程である。このように構成すれば、回転時に第2筒状部分(22、222)を支持する軸受部材(30)に対する第2筒状部分(22、222)の軸受部分(22b)(小径部分)の組付け精度が低下するのを防止することができるので、シャフト(20、220)の回転時に支持される部分(第2筒状部分(22、222))が変形することに起因してロータ(100、200)の回転精度が低下してしまうのを確実に防止することができる。
【0048】
また、上記第1および第2実施形態では、上記のように、第2筒状部分(22、222)は、第1筒状部分(21)の直径(D1)よりも小さい直径(D2)を有する軸受部分(22b)(小径部分)を含み、仕上げ工程(S4、S204)は、ロータコア固定工程(S3)において変形した第2筒状部分22の軸受部分(22b)(小径部分)の仕上げ加工を行う工程である。このように構成すれば、第2筒状部分(22、222)の軸受部分(22b)(小径部分)の直径(D2)が第1筒状部分(21)の直径(D1)よりも小さい分、ハイドロフォーミングによって加圧される際に、第2筒状部分(22、222)の軸受部分(22b)(小径部分)に生じる周方向応力を、第1筒状部分(21)に生じる周方向応力よりも小さくすることができる。その結果、ロータコア固定工程(S3)において、第2筒状部分(22、222)の軸受部分(22b)(小径部分)の変形量が比較的小さくなるので、仕上げ工程(S4、S204)の作業量を減少させることができる。
【0049】
また、上記第2実施形態では、上記のように、ロータコア(10)ロータコアのシャフト挿入孔の内周面にシャフトの外周面の少なくとも一部を圧接させて(10)の回転軸線方向(Z方向)に延びるように、磁石(12)を配置するための磁石配置孔(14)が形成されており、仕上げ工程(S204)は、磁石配置孔(14)を塞いだ状態で、第2筒状部分(222)の仕上げ加工を行う工程である。このように構成すれば、切削加工により第2筒状部分(222)の仕上げ加工を行う際に生じた切り屑がロータコア(10)の磁石配置孔(14)に侵入してしまうのを防止することができる。
【0050】
また、上記第1および第2実施形態では、上記のように、ロータコア固定工程(S3)は、シール部材(52a)によりシャフト(20、220)の開口部(20d)をロータコア(10)の回転軸線方向(Z方向)に押圧することにより、シャフト(20、220)の内部(20b)が密閉された状態で、シャフト(20、220)をロータコア(10)に固定する工程であり、仕上げ工程(S4、S204)は、シール部材(52a)による押圧と液体による加圧との少なくとも一方によって変形した第2筒状部分(22)の仕上げ加工を行う工程である。このように構成すれば、ロータコア固定工程(S3)においてシャフト(20、220)の内部(20b)を密閉するためのシール部材(52a)による押圧または液体による加圧によって第2筒状部分(22、222)が変形する場合でも、シャフト(20、220)の回転時に支持される部分(第2筒状部分(22、222))が変形することに起因してロータ(100、200)の回転精度が低下してしまうのを防止することができる。
【0051】
また、上記第1および第2実施形態では、上記のように、ロータコア(10)には、磁石(12)を配置するための磁石配置孔(14)が形成されており、仕上げ工程(S4、S204)よりも後に、磁石配置孔(14)に磁石(12)を配置する磁石配置工程(S7)をさらに備える。このように構成すれば、ロータコア(10)に磁石(12)が配置されることによってロータコア(10)の重量が増加する前に、第2筒状部分(22、222)の仕上げ加工を行うことができる。その結果、ロータコア(10)に磁石(12)が配置された後に第2筒状部分(22、222)の仕上げ加工が行われる場合と比較して、第2筒状部分(22、222)の仕上げ加工を行う際のロータコア(10)の重量が軽くなるので、ロータコア(10)のハンドリングを容易に行うことができるとともに、作業効率を向上させることができる。
【0052】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0053】
たとえば、上記第1および第2実施形態では、第2筒状部分22、222の仕上げ加工を行う仕上げ工程(S4、S204)よりも後に、磁石配置孔14に磁石12を配置する磁石配置工程(S7)が行われる例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第2筒状部分の仕上げ加工を行う仕上げ工程よりも前に、磁石配置孔に磁石を配置する磁石配置工程が行われてもよい。
【0054】
また、上記第2実施形態では、液体を用いない乾式洗浄により、第2筒状部分22およびオイル排出孔20cの周辺を洗浄する洗浄工程(S206)が行われる例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、液体を用いる湿式洗浄により、第2筒状部分およびオイル排出孔の周辺を洗浄する洗浄工程が行われてもよい。
【0055】
また、上記第2実施形態では、第2筒状部分22の仕上げ加工を行う仕上げ工程(S204)は、ロータコア10の磁石配置孔14を塞いだ状態で行われる例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第2筒状部分の仕上げ加工を行う仕上げ工程は、ロータコアの磁石配置孔を塞がれていない状態で行われてもよい。
【0056】
また、上記第1および第2実施形態では、第2筒状部分22、222は、第1筒状部分21の直径D1よりも小さい直径D2を有するように構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第2筒状部分は、第1筒状部分の直径よりも大きい直径を有するように構成してもよいし、第1筒状部分の直径と略等しい直径を有するように構成してもよい。
【0057】
また、上記第1および第2実施形態では、第2筒状部分22、222は、第1筒状部分21よりもロータコア10の回転軸線方向(Z方向)の一方側(Z1側)および他方側(Z2側)に設けられている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第2筒状部分は、第1筒状部分よりもロータコアの回転軸線方向の一方側または他方側のいずれかのみに設けられてもよい。
【0058】
また、上記第1および第2実施形態では、軸受部材30を、段差部23の回転軸線方向(Z方向)と直交する面23aと接触するように構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、軸受部材を、段差部の回転軸線方向と直交する面と接触しないように構成してもよい。
【符号の説明】
【0059】
10 ロータコア
12 磁石
13 シャフト挿入孔
13a (シャフト挿入孔の)内周面
14 磁石配置孔
20、220 シャフト
20b (シャフトの)内部
20d (シャフトの)開口部
21 第1筒状部分
21d (第1筒状部分の)外周面
22、222 第2筒状部分
22b (第2筒状部分の)軸受部分((第2筒状部分の)小径部分)
30 軸受部材
51 液体
52a シール部材
100、200 ロータ
D1 (第1筒状部分の)直径
D2 (第2筒状部分の)直径