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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】画像読取装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20231219BHJP
【FI】
H04N1/00 127B
H04N1/00 L
H04N1/00 127A
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019213384
(22)【出願日】2019-11-26
(65)【公開番号】P2021087064
(43)【公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-10-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 純
【審査官】花田 尚樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-011582(JP,A)
【文献】特開2014-030182(JP,A)
【文献】特開2003-060833(JP,A)
【文献】特開2010-283801(JP,A)
【文献】特開2012-034298(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
読取デバイスと、
ユーザインタフェースと、
通信インタフェースと、
コントローラと、
を備える画像読取装置において、
前記コントローラは、
画像データの送信先を識別する第1の送信先識別情報の入力を受け付ける識別情報受付処理と、
前記識別情報受付処理にて前記第1の送信先識別情報が受け付けられた状態で、前記ユーザインタフェースを介して、前記読取デバイスに原稿を読み取らせる第1のスキャン指示が入力された場合に、前記読取デバイスに原稿の読み取りを行わせる読取処理と、
前記読取処理によって読み取られた前記原稿の画像データを、前記識別情報受付処理にて受け付けられた前記第1の送信先識別情報と関連付けて所定の記憶領域に記憶する記憶処理と、
を実行し、
前記通信インタフェースは、
前記読取デバイスに原稿を読み取らせる第2のスキャン指示を、前記画像読取装置と接続される情報処理装置から特定のプロトコルで受信することが可能であり、前記特定のプロトコルは、前記情報処理装置のオペレーティングシステムに組み込まれた汎用の読取プログラムで用いられるプロトコルであり、前記第2のスキャン指示は、前記情報処理装置に記憶されたアプリケーションプログラムから前記汎用の読取プログラムに入力された指示に応じて前記情報処理装置から出力されるものであり、前記第2のスキャン指示には、画像データの送信先を識別する第2の送信先識別情報が含まれ、
さらに前記コントローラは、前記情報処理装置からの前記第2のスキャン指示を受信した場合に、
前記第2のスキャン指示に含まれる前記第2の送信先識別情報に対応する前記第1の送信先識別情報に関連付けられた画像データを前記所定の記憶領域から読み出す読出し処理と、
前記読出し処理にて読み出された前記画像データを、前記通信インタフェースを介して前記情報処理装置に送信する送信処理と、
を実行し、
前記通信インタフェースはさらに、
前記第2のスキャン指示を、前記情報処理装置から前記特定のプロトコル以外のプロトコルでも受信することが可能であり、
前記コントローラは、
前記第2のスキャン指示を前記特定のプロトコルで受信した場合に、前記読出し処理および前記送信処理を実行し、
前記第2のスキャン指示を前記特定のプロトコル以外の前記プロトコルで受信した場合に、前記読出し処理および前記送信処理を実行せず、前記読取デバイスに原稿の読み取りを行わせ、読み取られた前記原稿の画像データを、前記通信インタフェースを介して前記情報処理装置に送信する、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
請求項1に記載する画像読取装置において、
前記コントローラは、前記情報処理装置からの前記第2のスキャン指示を受信した場合に、
前記第2のスキャン指示に含まれる前記第2の送信先識別情報に対応する前記第1の送信先識別情報に関連付けられた画像データが前記所定の記憶領域に記憶されていない場合、前記読取デバイスに原稿の読み取りを行わせ、読み取られた前記原稿の画像データを、前記通信インタフェースを介して前記情報処理装置に送信する、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載する画像読取装置において、
前記第1の送信先識別情報には、ユーザを特定するユーザ特定情報が含まれ、さらに前記ユーザ特定情報には、ユーザの認証に用いる認証情報が含まれ、
前記識別情報受付処理では、
入力された前記ユーザ特定情報に含まれる前記認証情報を用いてユーザの認証を行い、ユーザの認証に成功した場合に、前記第1の送信先識別情報が受け付けられる、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1つに記載する画像読取装置において、
前記第1の送信先識別情報には、ユーザを特定するユーザ特定情報が含まれ、
前記所定の記憶領域は、前記通信インタフェースを介して接続される外部デバイスにあり、前記外部デバイスには、ユーザごとの記憶領域が設けられており、
前記記憶処理では、
前記画像データを、前記ユーザ特定情報にて特定されたユーザに対応する前記記憶領域に記憶する、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項5】
請求項1から請求項3のいずれか1つに記載する画像読取装置において、
前記記憶処理では、
前記画像データを、前記所定の記憶領域として前記画像読取装置が備えるメモリに記憶する、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1つに記載する画像読取装置において、
前記第1のスキャン指示には、第1種の前記第1のスキャン指示と、前記第1種とは異なる第2種の前記第1のスキャン指示とがあり、
前記コントローラは、
前記第1種の前記第1のスキャン指示を受け付けたことによって前記読取処理を実行した場合、前記記憶処理を実行し、
前記第2種の前記第1のスキャン指示を受け付けたことによって前記読取処理を実行した場合、前記読取処理によって読み取られた前記原稿の画像データを、ユーザによって指定された記憶領域に記憶する、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1つに記載する画像読取装置において、
前記コントローラは、
前記読出し処理にて前記画像データを読み出したことに応じて、前記画像データを前記所定の記憶領域から削除する第1削除処理を実行する、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1つに記載する画像読取装置において、
前記コントローラは、
前記記憶処理にて記憶された前記画像データが、記憶されたタイミングから所定時間が経過しても前記所定の記憶領域に記憶されている場合に、前記画像データを前記所定の記憶領域から削除する第2削除処理を実行する、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか1つに記載する画像読取装置において、
前記第1の送信先識別情報の入力が前記第1のスキャン指示の入力を兼ねており、
前記コントローラは、
前記第1の送信先識別情報の入力を受け付けたことに応じて、前記読取処理を実行する、
ことを特徴とする画像読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像読取装置と情報処理装置とを備える読取システムの技術であって、画像読取装置へのユーザの操作に基づいて、画像読取装置が原稿を読み取って画像データを生成し、その画像データをユーザの指定した情報処理装置に自動的に送信するプッシュスキャン機能が知られている。プッシュスキャン機能をサポートする情報処理装置では、スキャナドライバが起動されており、そのスキャナドライバが画像読取装置から送信される画像データを受信し、指定された記憶先にその画像データを記憶する。プッシュスキャン機能を開示した文献としては、例えば特許文献1に、パスワードを用いた疑似的なプッシュスキャン技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-007677号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、スキャナドライバを利用せず、オペレーティングシステム(OS)に標準に組み込まれている汎用の読取プログラムによって画像読取装置を制御する技術が実用化されている。この技術では、OSが画像読取装置とOS標準の読取プログラムとの関連付けを行い、以後、その画像読取装置に対する指示を受け付けた場合に、スキャナドライバを用いずに、OS標準の読取プログラムによる制御が可能になる。
【0005】
しかしながら、OS標準の読取プログラムは、前述したプッシュスキャン機能をサポートしていない。OS標準の読取プログラムから読み取りを指示する場合、ユーザは、画像読取装置に移動して原稿をセットした後、情報処理装置に戻って読み取りの実行指示を入力し、再び画像読取装置に移動して原稿を回収することになる。そのため、移動の手間が多く、改善の余地がある。
【0006】
本明細書は、情報処理装置からのOS標準の読取プログラムによるスキャンジョブを受信可能な画像読取装置であって、ユーザの手間を軽減した疑似プッシュスキャン技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題の解決を目的としてなされた画像読取装置は、読取デバイスと、ユーザインタフェースと、通信インタフェースと、コントローラと、を備え、前記コントローラは、画像データの送信先を識別する第1の送信先識別情報の入力を受け付ける識別情報受付処理と、前記識別情報受付処理にて前記第1の送信先識別情報が受け付けられた状態で、前記ユーザインタフェースを介して、前記読取デバイスに原稿を読み取らせる第1のスキャン指示が入力された場合に、前記読取デバイスに原稿の読み取りを行わせる読取処理と、前記読取処理によって読み取られた前記原稿の画像データを、前記識別情報受付処理にて受け付けられた前記第1の送信先識別情報と関連付けて所定の記憶領域に記憶する記憶処理と、を実行し、前記通信インタフェースは、前記読取デバイスに原稿を読み取らせる第2のスキャン指示を、前記画像読取装置と接続される情報処理装置から特定のプロトコルで受信することが可能であり、前記特定のプロトコルは、前記情報処理装置のオペレーティングシステムに組み込まれた汎用の読取プログラムで用いられるプロトコルであり、前記第2のスキャン指示には、画像データの送信先を識別する第2の送信先識別情報が含まれ、さらに前記コントローラは、前記情報処理装置からの前記第2のスキャン指示を受信した場合に、前記第2のスキャン指示に含まれる前記第2の送信先識別情報に対応する前記第1の送信先識別情報に関連付けられた画像データを前記所定の記憶領域から読み出す読出し処理と、前記読出し処理にて読み出された前記画像データを、前記通信インタフェースを介して前記情報処理装置に送信する送信処理と、を実行する、ことを特徴としている。
【0008】
情報処理装置に組み込まれた汎用の読取プログラムを介して入力されたスキャン指示に基づいて、本明細書に開示される画像読取装置にて読み取りを行わせてその読み取り結果を取得する場合、ユーザは先に画像読取装置まで移動して第1のスキャン指示を入力し、画像読取装置に画像を読み取らせる。そして、画像読取装置は、その読み取り結果の画像データを所定の記憶領域に第1の送信先識別情報と関連付けて記憶しておく。その後、ユーザは、情報処理装置にて汎用の読取プログラムを介して第2のスキャン指示を入力する。画像読取装置は、情報処理装置への第2のスキャン指示に基づいて、予め読み取らせておいた画像データを所定の記憶領域から読み出し、その画像データを情報処理装置に送信する。この手順によれば、ユーザが画像読取装置まで1回の往復で情報処理装置にて読み取り結果の画像データを取得することになるため、ユーザの移動の手間を軽減できる。
【0009】
上記装置の機能を実現するための制御方法、コンピュータプログラム、および当該コンピュータプログラムを格納するコンピュータにて読取可能な記憶媒体も、新規で有用である。
【発明の効果】
【0010】
本明細書に開示される技術によれば、情報処理装置からのOS標準の読取プログラムによるスキャンジョブを受信可能な画像読取装置であって、ユーザの手間を軽減した疑似プッシュスキャン技術が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施の形態にかかる複合機を含むスキャンシステムの電気的構成を示すブロック図である。
図2】実施の形態にかかるスキャンジョブの実行手順を示すシーケンス図である。
図3】実施の形態にかかるスキャン保存処理の手順を示すフローチャートである。
図4】実施の形態にかかる画像データ出力処理の手順を示すフローチャートである。
図5】応用形態にかかる画像データ出力処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本実施の形態にかかる画像読取装置について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は、画像読取装置としての複合機を含み、その複合機とパーソナルコンピュータ(以下、「PC」とする)とサーバとを備えるスキャンシステムを開示するものである。
【0013】
本形態のスキャンシステム100は、図1に示すように、複合機1がPC2およびサーバ3と通信可能に接続されているシステムである。複合機およびPCは1台に限らず複数台であってもよい。また、スキャンシステム100には、他のデバイスが接続されていてもよい。複合機1は、画像読取装置の一例である。PC2は、情報処理装置の一例である。サーバ3は、外部デバイスの一例である。
【0014】
本形態の複合機1は、CPU11およびメモリ12を含むコントローラ10を備えている。さらに、複合機1は、入力デバイス13と、表示デバイス14と、通信インタフェース(以下、「通信IF」とする)15と、読取デバイス16と、印刷デバイス17と、を備え、これらがコントローラ10に電気的に接続されている。なお、コントローラ10は、複合機1の制御に利用されるハードウェアやソフトウェアを纏めた総称であって、実際に複合機1に存在する単一のハードウェアを表すとは限らない。
【0015】
CPU11は、メモリ12から読み出したプログラムに従って、また、ユーザの操作に基づいて、各種の処理を実行する。メモリ12は、例えば、ROM、RAM、不揮発性メモリであり、本明細書では、メモリの詳細を区別しない。メモリ12は、各種の処理が実行される際の作業領域として、あるいは、データを一時的に記憶する記憶領域として利用される。また、メモリ12は、各種のプログラムや画像データ等のデータや各種設定を記憶する領域として利用される。
【0016】
入力デバイス13は、ユーザによる入力操作を受け付けるデバイスであり、例えば各種のボタンやスイッチによって構成される。また、表示デバイス14は、各種の情報を表示するデバイスであり、例えば液晶パネルによって構成される。また、入力デバイス13および表示デバイス14は、タッチパネルのような表示機能と入力機能との両方を備えたデバイスであってもよい。入力デバイス13および表示デバイス14は、ユーザインタフェースの一例である。
【0017】
通信IF15は、PC2やサーバ3等の外部装置との通信を行うためのハードウェアを含む。通信IF15の通信方式は、無線でも有線でもよく、また、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、USB、LAN等、任意の方式でよい。また、複数の方式をサポートしていてもよく、PC2との通信方式とサーバ3との通信方式とは、同じであっても異なっていてもよい。
【0018】
読取デバイス16は、原稿の画像を読み取って、画像データを取得するための構成を含む。複合機1の読取デバイス16は、カラー原稿を読み取ってカラー画像データを取得するカラーイメージスキャナであっても良いし、モノクロ画像データのみを取得するモノクロイメージスキャナであっても良い。
【0019】
印刷デバイス17は、用紙に画像を形成するための構成を含む。印刷デバイス17は、インクジェット方式プリンタ、電子写真方式プリンタなど、任意の印刷方式のデバイスでよい。また、印刷デバイス17は、カラー画像の形成が可能なデバイスであっても良いし、モノクロ画像のみを形成するデバイスであっても良い。
【0020】
本形態のPC2は、CPU21とおよびメモリ22を含むコントローラ20を備え、複合機1に接続可能なものである。さらに、PC2は、入力デバイス23と、表示デバイス24と、通信IF25とを備え、これらがコントローラ20に電気的に接続されている。なお、コントローラ20についても、PC2の制御に利用されるハードウェアやソフトウェアを纏めた総称であって、実際にPC2に存在する単一のハードウェアを表すとは限らない。
【0021】
CPU21は、メモリ22から読み出したプログラムに従って、また、ユーザの操作に基づいて、各種の処理を実行する。メモリ22は、例えば、各種の処理が実行される際の作業領域として、あるいは、データを一時的に記憶する記憶領域として利用される。また、メモリ22は、各種のプログラムや画像データ等のデータや各種設定を記憶する領域として利用される。例えば、メモリ22には、オペレーティングシステム(OS)221や、読取画像を編集するアプリケーションプログラム(画像編集アプリ)223が記憶される。画像編集アプリ223は、スキャナへの読取指示の入力を受け付け、指定されたスキャナ(本形態では複合機1)に対して、その読取指示を送信する。また、スキャナで読み取った画像データを表示する機能を有していてもよい。
【0022】
入力デバイス23は、ユーザによる入力操作を受け付けるデバイスであり、例えばキーボードやマウスによって構成される。また、表示デバイス24は、各種の情報を表示するデバイスであり、例えば液晶モニタによって構成される。また、入力デバイス23および表示デバイス24は、タッチパネルのような表示機能と入力機能との両方を備えたデバイスであってもよい。
【0023】
通信IF25は、複合機1等の外部装置との通信を行うためのハードウェアを含む。通信IF25の通信方式は、無線でも有線でもよく、複合機1と同様に、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、USB、LAN等、任意の規格の方式でよい。
【0024】
サーバ3は、登録されたユーザごとに記憶領域を割り当て、各記憶領域に様々なデータを記憶することが可能なストレージサーバである。サーバ3は、複合機1が接続されるLANに存在するものであってもよいし、インターネットを介して接続されるクラウドサーバであってもよい。サーバ3にも当然、CPU、メモリ、通信IFが存在するが、図示を省略している。
【0025】
近年、情報処理装置から画像読取装置に読取命令を送信する技術として、情報処理装置にスキャナドライバをインストールすることなく、汎用の読取プログラムを含むOSを備え、汎用の読取プログラムによるOSの読取機能を用いて読取指示を入力するドライバレス読取技術が普及している。本形態のPC2は、図1に示したように、汎用の読取プログラム222を含むOS221がメモリ22に記憶されている。OS221は、例えば、Windows(登録商標)、macOS(登録商標)、Linux(登録商標)である。汎用の読取プログラム222は、読み取りに関する各種の処理を実行する汎用のプログラムであり、複数のベンダから提供される複数種のスキャナに対応するプログラムである。汎用の読取プログラム222は、例えば、AirPrint(登録商標)である。
【0026】
汎用の読取プログラム222にて読み取りを実行させる装置は、OS221に登録されている必要がある。PC2は、新たな装置のOS221への登録指示を受け付けた場合、接続可能な装置を探索する探索要求を出力し、さらに、探索要求に応答した装置に対して能力等を問い合わせる問い合わせ信号を出力する。問い合わせ信号に正しく応答した装置のみがOS221に登録される。汎用の読取プログラム222による各種のコマンドは、IPP(Internet Printing Protocolの略)を用いて出力される。IPPは、特定のプロトコルの一例である。
【0027】
複合機1がOS221に登録されている場合、例えば、画像編集アプリ223は、汎用の読取プログラム222を介して複合機1に対して読み取りを指示する読取指示を受け付けることができる。そして、画像編集アプリ223は、その読取指示を受け付けると、その読取指示に基づくスキャンジョブを汎用の読取プログラム222に入力する。そして、汎用の読取プログラム222は、IPPによってそのスキャンジョブをPC2から複合機1に送信する。
【0028】
汎用の読取プログラム222は、プッシュスキャン機能をサポートしていない。そこで、本形態のスキャンシステム100では、プッシュスキャン機能をサポートしていない汎用の読取プログラム222を用いながらもプッシュスキャン相当(疑似プッシュスキャン)の画像の読み取りおよび画像データの送信の実行手順を実現する。
【0029】
図2は、本形態のスキャンシステム100において、汎用の読取プログラム222に入力されたスキャンジョブについて、画像の読み取りおよび画像データの送信の実行手順を示すシーケンス図である。なお、シーケンス図中の各処理は、基本的に、各プログラムに記述された命令に従ったCPU(複合機1であればCPU11、PC2であればCPU21、サーバ3であればサーバ3のCPU)の処理を示す。CPUによる処理は、OSのAPIを用いたハードウェア制御も含む。本明細書では、OSの記載を省略して各プログラムの動作を説明する。
【0030】
本形態では、スキャンジョブを実行する手順について、複合機1が原稿の画像を読み取る第1のフェーズと、読み取られた画像データをPC2に取り込む第2のフェーズと、に分けられる。
【0031】
始めに、第1のフェーズの手順について説明する。第1のフェーズでは先ず、複合機1において、ユーザによってユーザ情報が入力される(処理(A))。入力されるユーザ情報は、例えば複合機1にログインするためのユーザIDおよびパスワードが該当する。ユーザ情報が入力されると、複合機1はそのユーザ情報に基づいてユーザの認証を行う。そして、ユーザの認証が成功したことを条件として、スキャン指示等の入力を受け付け可能にする。ユーザ情報は、第1の送信先識別情報の一例である。なお、ユーザ情報の入力方法には、入力デバイス13を介した操作によるユーザ情報の入力や、NFC等の無線通信によるユーザ情報の入力がある。また、パスワードの入力およびユーザの認証は必須ではなく、例えば予めユーザを登録しておき、表示デバイス14に登録ユーザの一覧を表示させ、表示される登録ユーザの一覧から選択させてもよい。処理(A)は、識別情報受付処理の一例である。
【0032】
ユーザ情報が入力された後、複合機1は、スキャン指示の入力を受け付ける(処理(B))。複合機1が受け付けるスキャン指示は、第1のスキャン指示の一例である。複合機1には、汎用の読取プログラム222からのスキャンジョブに対応するための第1のモードと、通常のスキャン動作を行うための第2のモードと、があり、入力デバイス13への操作によってモードの切り替えが可能である。図2は、第1のモードの動作を示しており、処理(B)にて受け付けられるスキャン指示は、第1のモードで受け付けられるスキャン指示である。第1のモードで受け付けられるスキャン指示は、第1種の第1のスキャン指示の一例である。
【0033】
第1のモードでスキャン指示の入力を受け付けると、複合機1は、ユーザによってセットされた原稿のスキャンを開始し、そのスキャンに基づく画像データを生成する(処理(C))。原稿のセットは、ユーザ情報を入力する前でも、ユーザ情報を入力した後であってスキャン指示を入力する前でもよい。また、複合機1がスキャン指示の入力後に原稿のセットを待つ構成であれば、スキャン指示の入力後であってもよい。処理(C)は、読取処理の一例である。
【0034】
原稿のスキャンが完了し、画像データの生成が完了した後、複合機1は、その画像データをサーバ3に送信する(処理(D))。画像データの送信の際、入力されたユーザ情報が画像データに関連付けて送信される。入力されたユーザ情報と送信されるユーザ情報とは、必ずしも一致する必要はなく、送信されるユーザ情報は、入力されたユーザ情報に基づく情報であってもよい。画像データに関連付けられるユーザ情報は、第1の送信先識別情報の一例である。
【0035】
サーバ3は、複合機1から画像データを受信すると、その画像データに関連付けられたユーザ情報に基づいて、そのユーザに割り当てられた記憶領域に、その画像データを保存する(処理(E))。画像データの保存が完了した場合、サーバ3は、複合機1に対してその完了を通知する。これにより、複合機1によって読み取られた画像データが、一旦、サーバ3に記憶され、第1のフェーズが終了する。なお、ユーザに割り当てられた記憶領域が無ければ、新たに記憶領域を割り当ててもよいし、画像データを保存せずにエラーとしてもよい。また、サーバ3は、画像データとユーザ情報との関連付けを記憶するデータベースを有してもよい。この場合、画像データとユーザ情報との関連付けがデータベースによって管理されるため、ユーザごとの記憶領域を割り当てる必要はない。処理(E)は、記憶処理の一例である。
【0036】
なお、図2には示されていないが、第2のモードでスキャン指示の入力を受け付けた場合、複合機1は、原稿のスキャンを開始し、読み取った画像データをユーザにより指定された記憶領域に記憶する。指定される記憶領域は、複合機1のメモリ12に存在してもよいし、外部デバイスに存在してもよい。第2のモードで受け付けられるスキャン指示は、第2種の第1のスキャン指示の一例である。
【0037】
次に、第2のフェーズの手順について説明する。第2のフェーズでは先ず、PC2において、ユーザ情報の入力をOS221を介して受け付ける(処理(F))。PC2が受け付けるユーザ情報と、処理(A)の複合機が受け付けるユーザ情報とは、同じユーザを特定できる情報であればよく、PC2が受け付けるユーザ情報と複合機1が受け付けるユーザ情報との関連付けを記憶するものがあれば、必ずしも同じフォーマットである必要はない。ユーザ情報が入力されると、PC2はそのユーザ情報に基づいて認証を行う。そして、認証が成功したことを条件として、スキャン指示等の入力を受け付け可能にする。
【0038】
ユーザ情報が入力された後、PC2は、複合機1に読み取りを実行させる指示であるスキャン指示を画像編集アプリ223を介して受け付け、スキャン指示を受け付けるとスキャンジョブがOS221を介して画像編集アプリ223から汎用の読取プログラム222に入力される(処理(G))。
【0039】
スキャンジョブが汎用の読取プログラム222に入力されると、PC2は、汎用の読取プログラム222によってそのスキャンジョブ用のコマンドを生成し、そのコマンドを含むスキャン指示をIPPによって複合機1に送信する(処理(H))。スキャン指示には、処理(F)で受け付けたユーザ情報が含まれる。スキャン指示に含まれるユーザ情報は、第2の送信先識別情報の一例である。PC2から送信されるスキャン指示は、第2のスキャン指示の一例である。
【0040】
複合機1は、PC2からのスキャン指示を受信すると、サーバ3に対して画像データの有無を示す情報の送信を要求する画像データ確認指示を送信する(処理(I))。画像データ確認指示には、スキャン指示に含まれるユーザ情報が含まれる。
【0041】
サーバ3は、複合機1からの画像データ確認指示を受信すると、画像データ確認指示に含まれるユーザ情報によって示されるユーザの、画像データの有無を示す画像有無情報を複合機1に応答する(処理(J))。すなわち、画像データ確認指示に含まれるユーザ情報に関連付けられた画像データが保存されている場合、サーバ3は、画像有無情報として画像データの有りを示す情報を応答する。画像データが保存されている場合、画像有無情報には、その画像データのファイル名も含まれる。複数の画像データが保存されている場合、各画像データのファイル名が全て含まれる。一方、画像データ確認指示に含まれるユーザ情報に関連付けられた画像データが保存されていない場合、サーバ3は、画像有無情報として画像データの無しを示す情報を応答する。この場合、画像有無情報にファイル名は含まれない。
【0042】
複合機1は、画像有無情報として画像データの有りを示す情報を受信した場合、サーバ3に対して画像データの送信を要求する画像データ送信指示を送信する(処理(K))。画像データ送信指示には、画像有無情報に含まれるファイル名が少なくとも1つ含まれる。なお、本形態では、画像有無情報に含まれるファイル名の画像データの全ての送信を要求する。また、画像有無情報に含まれる複数のファイル名の中から、送信対象を選択してもよい。この場合、選択されたファイル名のみが画像データ送信指示に含まれる。処理(K)は、読出し処理の一例である。
【0043】
サーバ3は、画像データ送信要求に含まれるファイル名に対応する画像データ、すなわち処理(F)で受け付けたユーザ情報に対応する画像データを読み出し、その画像データを複合機1に送信する(処理(L))。
【0044】
画像データを受信した複合機1は、受信した画像データをPC2に送信する(処理(M))。処理(M)は、送信処理の一例である。これにより、PC2は、複合機1によって読み取られた原稿の画像データを取得できる。すなわち、先に原稿が読み取られていた場合、複合機1は原稿の読み取りを行わず、先に読み取られた画像データを取得してPC2に送信することで、PC2からのスキャン指示に対応する。
【0045】
また、複合機1は、PC2への画像データの送信が完了すると、画像データの削除を指示する削除指示をサーバ3に送信する(処理(N))。削除指示には、PC2に送信した画像データのファイル名が含まれる。削除指示を受信したサーバ3は、削除指示に含まれるファイル名に対応する画像データをメモリから削除する(処理(O))。画像データの削除が完了した場合、サーバ3は、複合機1に対してその完了を通知する。これにより、複合機1によって事前に読み取られた画像データを、PC2で受け取れることになり、第2のフェーズが終了する。処理(N)は、第1削除処理の一例である。
【0046】
一方、複合機1は、画像有無情報として画像データの無しを示す情報を受信した場合、ユーザによってセットされた原稿のスキャンを開始し、そのスキャンに基づく原稿の画像データを生成する(処理(P))。すなわち、先に原稿が読み取られていなかった場合、原稿がセットされた状態でのプルスキャンのスキャン指示として複合機1を動作させる。そして、複合機1は、生成した画像データをPC2に送信する(処理(Q))。これにより、複合機1によって読み取られた画像データを、PC2で受け取れることになり、第2のフェーズが終了する。
【0047】
なお、画像有無情報として画像データの無しを示す情報を受信するケースでは、複合機1がPC2から離れていると、ユーザは、PC2にスキャン指示を入力する前に原稿を複合機1にセットしに行く必要があり、さらにPC2にてスキャン指示を入力した後にその原稿を複合機1まで取りに行く必要がある。すなわち、ユーザは複合機1に2回出向く必要がある。一方、画像有無情報として画像データの有りを示す情報を受信するケースでは、ユーザは第1のフェーズで複合機1に出向く必要があるが、原稿を読み取らせた後、その原稿を持ち帰ってPC2にスキャン指示を入力すればよいため、第2のフェーズでは複合機1に出向く必要がない。つまり、ユーザは複合機1に1回出向くだけで済む。
【0048】
また、画像有無情報として画像データの無しを示す情報を受信するケースにて、複合機1がPC2のすぐ近傍にある場合は、上記の2回出向く移動の負荷はなくなる、あるいは低減される。そして、複合機1に原稿をセットするだけで、すなわちユーザ情報の入力(処理(A))および複合機1へのスキャン指示の入力(処理(B))をすることなく、PC2にてスキャン指示の入力(処理(G))をすればよく、使い勝手がよい。
【0049】
続いて、図2に示したスキャンジョブの実行手順のうち、複合機1で実行される手順の詳細を、第1のフェーズで実行されるスキャン保存処理と、第2のフェーズで実行される画像データ出力処理と、に分けて説明する。スキャナ保存処理も画像データ出力処理もCPU11によって実行される。
【0050】
始めに、スキャン保存処理について、図3のフローチャートを参照しつつ説明する。スキャン保存処理は、ユーザ情報が入力デバイス13から入力されたことを契機に実行される処理である。
【0051】
スキャン保存処理では、CPU11は先ず、入力されたユーザ情報に基づいて、ユーザの認証を行う(S001)。ユーザの認証は、例えば、あらかじめ登録されているユーザIDとパスワードとの組み合わせと、入力されたユーザ情報に含まれるユーザIDとパスワードとの組み合わせを照合することによって行われる。また、ユーザの認証は、複合機1に記憶されている情報に基づいて行ってもよいし、認証サーバ等の外部装置に行わせてもよい。
【0052】
S001の後、CPU11は、ユーザの認証に成功したか否かを判断する(S002)。そして、ユーザの認証に失敗した場合(S002:NO)、CPU11は、スキャン保存処理を終了する。一方、ユーザの認証に成功した場合(S002:YES)、CPU11は、入力デバイス13を介したスキャン指示の入力を許可し、ユーザの操作によるスキャン指示の入力を受け付ける(S003)。
【0053】
複合機1がユーザの操作によって受け付けるスキャン指示には、前述したスキャンジョブの実行手順に従った読み取りを行う指示である第1種のスキャン指示と、前述したスキャンジョブの実行手順と異なる通常のスキャン指示を行う処理である第2種のスキャン指示とがある。つまり、第1種のスキャン指示は、処理(B)に示したスキャン指示である。スキャン指示が第1種か第2種かの判別は、例えば、それぞれ専用の入力ボタンを用意し、入力したボタンの種類によって行ってもよいし、スキャン指示の入力前に第1種か第2種かの選択を受け付けてもよい。
【0054】
スキャン指示の入力を受け付けると、CPU11は、原稿台にセットされている原稿の読み取りを、入力デバイス13を介して設定されたパラメータに従って、読取デバイス16に行わせる(S101)。S101は読取処理の一例である。原稿台に原稿がセットされていない場合には、原稿がセットされるのを待って読み取りを開始してもよいし、エラーとして中止してもよい。そして、CPU11は、読取デバイス16から読み取り結果を取得し、画像データを生成する(S102)。
【0055】
画像データの生成が完了すると、CPU11は、入力されたスキャン指示が第1種か否かを判断する(S103)。第1種のスキャン指示の場合(S103:YES)、CPU11は、S102にて生成した画像データを、あらかじめ入力されたユーザ情報とともにサーバ3に送信する(S104)。S104は、記憶処理の一例である。画像データを受信したサーバ3は、画像データを保存した後、完了通知を複合機1に送信することから、複合機1は、その完了通知を受信する。
【0056】
S104の後、CPU11は、完了通知の受信からタイムアウトとなる所定時間が経過したか否かを判断する(S111)。所定時間が経過していない場合(S111:NO)、CPU11は所定時間の経過を待つ。所定時間が経過した場合(S111:YES)、CPU11は、画像データ確認指示を、S104で送信したユーザ情報および画像データのファイル名とともにサーバ3に送信する(S112)。画像データ確認指示を受信したサーバ3は、確認対象の画像データ、すなわち確認指示とともに送信されたユーザ情報と関連付けられた画像データであって確認指示とともに送信されたファイル名の画像データが、保存されているか否かを示す応答通知を複合機1に送信することから、複合機1は、その応答通知を受信する。
【0057】
応答通知の受信後、CPU11は、その応答通知に基づいて、S104にて送信した画像データがサーバ3に有るか否かを判断する(S113)。画像データがサーバ3に有る場合(S113:YES)、CPU11は、画像データの削除指示を、S104で送信したユーザ情報および画像データのファイル名とともにサーバ3に送信する(S114)。S114は、第2削除処理の一例である。画像データの削除指示を受信したサーバ3は、削除対象の画像データ、すなわち削除指示とともに送信されたユーザ情報と関連付けられた画像データであって削除指示とともに送信されたファイル名の画像データをメモリから削除し、画像データの削除完了を示す削除通知を複合機1に送信することから、複合機1は、その削除通知を受信する。所定時間が経過してもサーバ3に残されている画像データは読み出される可能性が低いことから、その画像データを削除することでサーバ3のメモリの負荷を軽減できる。削除通知の受信後、あるいは画像データがサーバ3に無い場合(S113:NO)、スキャン保存処理を終了する。
【0058】
一方、第2種のスキャン指示の場合(S103:NO)、CPU11は、入力デバイス13を介してユーザによってあらかじめ指定された保存先にあるいはユーザによって保存先の指定を受けてその保存先に画像データを送信する(S121)。この場合、ユーザ情報の送信は不要である。S121の後、スキャン保存処理を終了する。
【0059】
続いて、画像データ出力処理について、図4のフローチャートを参照しつつ説明する。画像データ出力処理は、スキャン指示を通信IF25を介して受信したことを契機に実行される処理である。なお、複合機1はスキャン指示とともにユーザ情報も受信する。受信するスキャン指示は、例えば処理(H)に示したPC2から送信されるスキャン指示である。以下の説明では、PC2から送信されたスキャン指示を受信したものとして説明する。
【0060】
画像データ出力処理では、CPU11は先ず、画像データ確認指示を、受信したユーザ情報とともにサーバ3に送信する(S201)。画像データ確認指示を受信したサーバ3は、確認指示とともに送信されたユーザ情報と関連付けられた画像データが保存されているか否かを示す応答通知を複合機1に送信することから、複合機1は、その応答通知を受信する。画像データが有る場合には、その画像データのファイル名も応答通知とともに複合機1に送られる。
【0061】
CPU11は、その応答通知に基づいて、S201にて送信したユーザ情報に関連付けられた画像データがサーバ3に有るか否かを判断する(S202)。画像データがサーバ3に有る場合(S202:YES)、CPU11は、画像データ送信指示を、応答通知とともに受信したファイル名とともにサーバ3に送信する(S211)。画像データ送信指示を受信したサーバ3は、画像データ送信指示とともに送信されたファイル名の画像データを複合機1に送信することから、複合機1は、その画像データを受信することによってその画像データを取得する(S212)。S211およびS212は、読出し処理の一例である。
【0062】
画像データの取得後、CPU11は、スキャン指示の送信元であるPC2にその画像データを送信する(S213)。S213は、送信処理の一例である。PC2は、その画像データを受信することによって、先に読み取られた画像データを取得する。そして、PC2は、画像データの受信完了を示す受信通知を複合機1に送信することから、複合機1は、その受信通知を受信する。
【0063】
受信通知の受信後、CPU11は、画像データの削除指示を、S211で送信したファイル名とともにサーバ3に送信する(S214)。S214は、第1削除処理の一例である。画像データの削除指示を受信したサーバ3は、削除指示とともに送信されたファイル名の画像データをメモリから削除し、画像データの削除完了を示す削除通知を複合機1に送信することから、複合機1は、その削除通知を受信する。削除通知の受信後、画像データ出力処理を終了する。
【0064】
一方、画像データがサーバ3に無い場合(S202:NO)、CPU11は、原稿台にセットされている原稿の読み取りを、受信したスキャン指示に含まれるパラメータに従って、読取デバイス16に行わせる(S221)。原稿台に原稿がセットされていない場合には、原稿がセットされるのを待って読み取りを開始してもよいし、エラーとして中止してもよい。そして、CPU11は、読取デバイス16から読み取り結果を取得し、画像データを生成する(S222)。
【0065】
画像データの生成が完了すると、CPU11は、生成された画像データをスキャン指示の送信元であるPC2に送信する(S223)。画像データを受信したPC2は、画像データを受信した後、受信通知を複合機1に送信することから、複合機1は、その受信通知を受信する。受信通知の受信後、画像データ出力処理を終了する。
【0066】
なお、複合機1が受信するスキャン指示は、汎用の読取プログラム222に入力されたスキャン指示に限るものではなく、複合機1用のスキャナドライバに入力されたスキャン指示の場合もある。前述した画像データ出力処理では、PC2から受信したスキャン指示が、汎用の読取プログラム222に入力されたものか、スキャナドライバに入力されたものかを区別していないが、スキャナドライバではプッシュスキャンが可能であるため、図2に示した手順を踏む必要性が低い。そのため、受信したスキャン指示が汎用の読取プログラム222に入力されたものか否かによって処理を分けてもよい。
【0067】
図5は、画像データ出力処理の応用形態として、受信したスキャン指示の種類を区別した場合の手順を示している。図5に示す処理中、図4と同じ処理については同じ符号を付している。
【0068】
応用形態の画像データ出力処理では、CPU11は先ず、スキャン指示を受信した際のプロトコルがIPPであったか否かを判断する(S200)。汎用の読取プログラム222に入力されたスキャン指示であればIPPによって送信される。そこで、受信したスキャン指示の種類を区別するため、プロトコルを判断する。
【0069】
プロトコルがIPPであった場合(S200:YES)、すなわち汎用の読取プログラム222に入力されたスキャン指示であった場合、CPU11は、図4に示した画像データ出力処理と同様に、画像データ確認指示を、受信したユーザ情報とともにサーバ3に送信し(S201)、画像データがサーバ3に有るか否かを判断する(S202)。
【0070】
画像データがサーバ3に有る場合(S202:YES)、CPU11は、画像データ送信指示を、応答通知とともに受信したファイル名とともにサーバ3に送信し(S211)、画像データをサーバ3から取得し(S212)、取得した画像データをスキャン指示の送信元に送信する(S213)。その後、CPU11は、画像データの削除指示をサーバ3に送信し(S214)、画像データ出力処理を終了する。
【0071】
一方、画像データがサーバ3に無い場合(S202:NO)、あるいはプロトコルがIPPでなかった場合(S200:NO)、すなわちスキャナドライバに入力されたスキャン指示であった場合、CPU11は、原稿の読み取りを読取デバイス16に行わせ(S221)、画像データを生成し(S222)、生成した画像データをスキャン指示の送信元に送信する(S223)。これにより、スキャナドライバからのスキャン指示を受け付けた場合、従来と同様の動作可能になる。
【0072】
本形態の手順によれば、汎用の読取プログラム222がスキャンジョブを受け付ける場合であっても、ユーザは先に複合機1まで移動してスキャン指示を入力して画像を読み取らせ、複合機1はその読み取り結果となる画像データをそのユーザのユーザ情報と関連付けてサーバ3に記憶させる。その後、ユーザは原稿と共にPC2に戻り、PC2にて複合機1に対するスキャン指示を入力することで、PC2は予め読み取らせておいた画像データを複合機1を介してサーバ3から取得することになる。この手順によれば、ユーザは複合機1まで1回の往復で読み取り結果を取得することになるため、ユーザの移動の手間を軽減した疑似プッシュスキャンを実現できる。また、PC2にはプッシュスキャンを実現可能とする専用の読取アプリを設ける必要がない。
【0073】
なお、本実施の形態は単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能である。例えば画像読取装置は、画像読み取り機能を有していればよく、複合機に限らず、例えば、スキャナ等の読み取り専用装置であってもよい。また、スキャンジョブを入力する情報処理装置は、PCに限らず、例えば、スマートフォン等のモバイル装置であってもよい。
【0074】
また、実施の形態では、画像データの送信先を識別する情報としてユーザ情報を複合機1にて受け付けているが、複合機1が送信先を識別するために受け付ける情報はユーザ情報に限るものではない。例えばIPアドレス等のデバイスを識別するための情報であってもよい。ただし、ユーザ情報であればユーザの認証結果に基づいてスキャン指示を受け付けることができ、画像データの安全性が向上する。
【0075】
また、実施の形態では、読み取った画像データをサーバ3に保存しているが、画像データの送信先はサーバ3のような外部デバイスに限るものではない。例えば複合機1のメモリ12であってもよいし、複合機1に装着されているフラッシュメモリであってもよい。ただし、外部デバイスを保存先とすることで、複合機1のメモリ12に負荷を掛けずに済む。また、ユーザごとの管理が可能なサーバ3を送信先にすることで、画像データの安全性を担保できる。一方、複合機1のメモリ12に保存する場合、通信の負荷を掛けずに済むため、例えば通信不能に伴うリスクが少ない。
【0076】
また、実施の形態では、読み取った画像データをどのユーザであってもサーバ3に保存しているが、ユーザごとに保存先のデバイスを指定できてもよい。この場合、複合機1は、ユーザ情報と保存先とを関連付けて記憶しておき、第1のフェーズにおいて、画像データをユーザ情報に関連付けられた保存先に保存する。そして、第2のフェーズにおいて、画像データをユーザ情報に関連付けられた保存先から取得する。この場合、画像データの保存先が分散され、保存先のメモリの負荷を軽減できる。
【0077】
また、実施の形態では、画像データをサーバ3から読み出す前に、画像データの有無を確認し、サーバ3に存在する画像データのファイル名を取得しているが、ファイル名のやり取りを行わず、複合機1にてサーバ3に送信した履歴情報を保存しておき、この履歴情報に基づきこの画像データの有無の判断をしてもよい。
【0078】
また、実施の形態では、スキャン保存処理において画像データごとにタイムアウトを管理しているが、例えばS104の後はスキャン保存処理を終了し、別途、サーバ3あるいは複合機1において、全ての画像データのタイムアウトを管理するタイムアウト管理処理を定期的に実行してもよい。このタイムアウト管理処理では、各画像データの登録日時を記憶し、その登録日時から所定時間経過している画像データがあればその画像データを削除する。
【0079】
また、実施の形態では、サーバ3から複合機1に画像データが送信された場合、その画像データを削除しているが、削除せずにサーバ3に残し、ユーザからの削除指示の入力あるいはタイムアウトを待って削除してもよい。画像データを即時には削除せずに残しておくことで、何回もその画像データを読み出すことができる。一方で、実施の形態のように画像データを即時に削除することで、画像データの安全性が確保されるとともにサーバ3のメモリの負荷を軽減できる。
【0080】
また、実施の形態では、第1のフェーズにおいてスキャン指示が入力されたことを契機に原稿のスキャンを開始しているが、例えばユーザ情報が入力され、ユーザ認証が成功したことを契機に原稿のスキャンを開始してもよい。すなわち、ユーザ情報の入力がスキャン指示の入力を兼ねていてもよい。この場合、図3に示したスキャン保存処理のS003を省略すればよい。ユーザ情報の入力がスキャン指示の入力を兼ねることでユーザの操作の手間を省くことができる。
【0081】
また、実施の形態に開示されている任意のフローチャートにおいて、任意の複数のステップにおける複数の処理は、処理内容に矛盾が生じない範囲で、任意に実行順序を変更できる、または並列に実行できる。
【0082】
また、実施の形態に開示されている処理は、単一のCPU、複数のCPU、ASICなどのハードウェア、またはそれらの組み合わせで実行されてもよい。また、実施の形態に開示されている処理は、その処理を実行するためのプログラムを記録した記録媒体、または方法等の種々の態様で実現することができる。
【符号の説明】
【0083】
1 複合機
2 PC
3 サーバ
図1
図2
図3
図4
図5