(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】車載表示装置、車載表示システム、車載表示装置の制御方法、及び車載表示装置の制御プログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/09 20060101AFI20231219BHJP
G09G 5/00 20060101ALI20231219BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
G08G1/09 H
G09G5/00 555D
G09G5/00 550C
G09G5/00 510D
G08G1/16 A
(21)【出願番号】P 2019215989
(22)【出願日】2019-11-29
【審査請求日】2022-09-30
(73)【特許権者】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中野 栄治
【審査官】白石 剛史
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-351977(JP,A)
【文献】特開2008-149786(JP,A)
【文献】特開2019-087100(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/09
G09G 5/00
G09G 5/377
G08G 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される車載表示装置であって、
情報の送受信を行う通信部と、
前記車両の前方を撮影する撮影部と、
前記通信部で受信した映像及び前記撮影部で撮影された映像を表示可能な表示部と、
前記車両の前方を走行する前方車両の高さ位置と前記車両において前記撮影部が搭載される高さ位置との差分を検出可能な検出部と、
前記撮影部で撮影された自車両映像を前記表示部に表示し、前記車両の前方を走行する前方車両が存在する場合に前記前方車両に対して車両前方を撮影した前方映像を前記車両に送信するように要求元として要求し、前記通信部により前記前方映像を受信した場合に前記前方映像を前記自車両映像に合成して前記表示部に表示する表示モードと、前記要求の要求元となる要求元車両に対して前記自車両映像を前記前方映像として送信、又は、前方車両に対して前記前方映像を前記要求元車両に送信するように要求する通信モードと、を行う制御部と
、を備え、
前記制御部は、前記前方車両が存在しない場合又は前記前方車両が存在するが前記検出部で検出された差分が所定の差分閾値以上である場合には所定の基準を満たすと判定し、前記要求の要求元となる要求元車両に対して前記自車両映像を前記前方映像として送信し、前記差分が前記差分閾値未満である場合には前記所定の基準を満たさないと判定し、前記前方車両に対して前記前方映像を前記要求元車両に送信するように要求する、
ことを特徴とする車載表示装置。
【請求項2】
前記検出部は、前記車両と前記前方車両との車間距離を更に検出可能であり、
前記制御部は、前記差分が所定の差分閾値以上である場合、かつ、前記車間距離が所定の車間閾値以上である場合には前記所定の基準を満たすと判定し、他の場合には前記所定の基準を満たさないと判定する
請求項
1に記載の車載表示装置。
【請求項3】
前記検出部は、前記車両の走行速度を更に検出可能であり、
前記制御部は、前記差分が所定の差分閾値以上である場合、前記車間距離が所定の車間閾値以上である場合、かつ、前記走行速度が所定の速度範囲内である場合には前記所定の基準を満たすと判定し、他の場合には前記所定の基準を満たさないと判定する
請求項
2に記載の車載表示装置。
【請求項4】
情報の送受信を行う第1通信部と、
第1車両の前方を撮影する第1撮影部と、前記第1通信部で受信した映像及び前記第1撮影部で撮影された映像を表示可能な第1表示部と、前記第1撮影部で撮影された自車両映像を前記第1表示部に表示し、前記
第1車両の前方を走行する前方車両が存在する場合に前記前方車両に対して車両前方を撮影した前方映像を前記
第1車両に送信するように要求元として要求し、前記第1通信部により前記前方映像を受信した場合に前記前方映像を前記自車両映像に合成して前記第1表示部に表示する第1制御部と、を有する第1車載表示装置と、
情報の送受信を行う第2通信部と、
第2車両の前方を撮影する第2撮影部と、前記第2通信部で受信した映像及び前記第2撮影部で撮影された映像を表示可能な第2表示部と、前記要求の要求元となる要求元車両に対して前記第2撮影部で撮影された自車両映像を前記前方映像として送信、又は、前方車両に対して前記前方映像を前記要求元車両に送信するように要求する第2制御部と、を有する第2車載表示装置と
を備え
、
前記第2車載表示装置は、前記第2車両の前方を走行する前方車両の高さ位置と前記第2車両において前記第2撮影部が搭載される高さ位置との差分を検出可能な検出部を更に備え、
前記第2制御部は、前記前方車両が存在しない場合又は前記前方車両が存在するが前記検出部で検出された差分が所定の差分閾値以上である場合には所定の基準を満たすと判定し、前記要求の要求元となる要求元車両に対して前記自車両映像を前記前方映像として送信し、前記差分が前記差分閾値未満である場合には前記所定の基準を満たさないと判定し、前記前方車両に対して前記前方映像を前記要求元車両に送信するように要求する、
車載表示システム。
【請求項5】
車両に搭載され、情報の送受信を行う通信部と、前記車両の前方を撮影する撮影部と、前記通信部で受信した映像及び前記撮影部で撮影された映像を表示可能な表示部と、を備える車載表示装置の制御方法であって、
前記撮影部で撮影された自車両映像を前記表示部に表示することと、
前記車両の前方を走行する前方車両の高さ位置と前記車両において前記撮影部が搭載される高さ位置との差分を検出することと、
前記車両の前方を走行する前方車両が存在する場合に前記前方車両に対して車両前方を撮影した前方映像を前記車両に送信するように要求元として要求し、前記通信部により前記前方映像を受信した場合に前記前方映像を前記自車両映像に合成して前記表示部に表示することと、
前記前方車両が存在しない場合又は前記前方車両が存在するが検出された差分が所定の差分閾値以上である場合には、所定の基準を満たすと判定して前記要求の要求元となる要求元車両に対して前記自車両映像を前記前方映像として送信
し、
前記差分が前記差分閾値未満である場合には、前記所定の基準を満たさないと判定して前方車両に対して前記前方映像を前記要求元車両に送信するように要求することと
を含む車載表示装置の制御方法。
【請求項6】
車両に搭載され、情報の送受信を行う通信部と、前記車両の前方を撮影する撮影部と、前記通信部で受信した映像及び前記撮影部で撮影された映像を表示可能な表示部と、を備える車載表示装置の制御プログラムであって、
前記撮影部で撮影された自車両映像を前記表示部に表示する処理と、
前記車両の前方を走行する前方車両の高さ位置と前記車両において前記撮影部が搭載される高さ位置との差分を検出する処理と、
前記車両の前方を走行する前方車両が存在する場合に前記前方車両に対して車両前方を撮影した前方映像を前記車両に送信するように要求元として要求し、前記通信部により前記前方映像を受信した場合に前記前方映像を前記自車両映像に合成して前記表示部に表示する処理と、
前記前方車両が存在しない場合又は前記前方車両が存在するが検出された差分が所定の差分閾値以上である場合には、所定の基準を満たすと判定して前記要求の要求元となる要求元車両に対して前記自車両映像を前記前方映像として送信
し、
前記差分が前記差分閾値未満である場合には、前記所定の基準を満たさないと判定して前方車両に対して前記前方映像を前記要求元車両に送信するように要求する処理と
をコンピュータに実行させる車載表示装置の制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載表示装置、車載表示システム、車載表示装置の制御方法、及び車載表示装置の制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両を運転する際、自車の直前に前方車両が存在するような場合、その前方車両により前方の視界が遮られ、車両前方の視認性が低下する状況が生じることがある。例えば、大型トラックや大型バス等、車高の高い車両の後ろを走行する場合には、車両前方の視認性が低下することで、信号機の存在に気付くのが遅れてしまったり、路肩に停車している車両等に気付くのが遅れてしまったり、停車車両の影から飛び出してくるものなどに気付くのが遅れてしまったりするといった問題が生じる。これに対して、特許文献1に記載の技術では、自車の直前に位置する前方車両に搭載されたカメラの撮影映像を自車内の表示部に表示させるようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術では、複数台の車両が繋がって走行している場合、自車の前方の車両に対して更に前方に車高の高い車両が存在することがある。この場合、自車の前方の車両が撮影した映像を取得しても、車両前方の視認性が依然として改善されない状態となる。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、車両前方の視認性を向上させることが可能な車載表示装置、車載表示システム、車載表示装置の制御方法、及び車載表示装置の制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る車載表示装置は、車両に搭載される車載表示装置であって、情報の送受信を行う通信部と、前記車両の前方を撮影する撮影部と、前記通信部で受信した映像及び前記撮影部で撮影された映像を表示可能な表示部と、前記撮影部で撮影された自車両映像を前記表示部に表示し、前記車両の前方を走行する前方車両が存在する場合に前記前方車両に対して車両前方を撮影した前方映像を前記車両に送信するように要求元として要求し、前記通信部により前記前方映像を受信した場合に前記前方映像を前記自車両映像に合成して前記表示部に表示する表示モードと、前記要求の要求元となる要求元車両に対して前記自車両映像を前記前方映像として送信、又は、前方車両に対して前記前方映像を前記要求元車両に送信するように要求する通信モードと、を行う制御部とを備える。
【0007】
本発明に係る車載表示システムは、情報の送受信を行う第1通信部と、車両の前方を撮影する第1撮影部と、前記第1通信部で受信した映像及び前記第1撮影部で撮影された映像を表示可能な第1表示部と、前記第1撮影部で撮影された自車両映像を前記第1表示部に表示し、前記車両の前方を走行する前方車両が存在する場合に前記前方車両に対して車両前方を撮影した前方映像を前記車両に送信するように要求元として要求し、前記第1通信部により前記前方映像を受信した場合に前記前方映像を前記自車両映像に合成して前記第1表示部に表示する第1制御部と、を有する第1車載表示装置と、情報の送受信を行う第2通信部と、車両の前方を撮影する第2撮影部と、前記第2通信部で受信した映像及び前記第2撮影部で撮影された映像を表示可能な第2表示部と、前記要求の要求元となる要求元車両に対して前記第2撮影部で撮影された自車両映像を前記前方映像として送信、又は、前方車両に対して前記前方映像を前記要求元車両に送信するように要求する第2制御部と、を有する第2車載表示装置とを備える。
【0008】
本発明に係る車載表示装置の制御方法は、車両に搭載され、情報の送受信を行う通信部と、前記車両の前方を撮影する撮影部と、前記通信部で受信した映像及び前記撮影部で撮影された映像を表示可能な表示部と、を備える車載表示装置の制御方法であって、前記撮影部で撮影された自車両映像を前記表示部に表示することと、前記車両の前方を走行する前方車両が存在する場合に前記前方車両に対して車両前方を撮影した前方映像を前記車両に送信するように要求元として要求し、前記通信部により前記前方映像を受信した場合に前記前方映像を前記自車両映像に合成して前記表示部に表示することと、前記要求の要求元となる要求元車両に対して前記自車両映像を前記前方映像として送信、又は、前方車両に対して前記前方映像を前記要求元車両に送信するように要求することとを含む。
【0009】
本発明に係る車載表示装置の制御プログラムは、車両に搭載され、情報の送受信を行う通信部と、前記車両の前方を撮影する撮影部と、前記通信部で受信した映像及び前記撮影部で撮影された映像を表示可能な表示部と、を備える車載表示装置の制御プログラムであって、前記撮影部で撮影された自車両映像を前記表示部に表示する処理と、前記車両の前方を走行する前方車両が存在する場合に前記前方車両に対して車両前方を撮影した前方映像を前記車両に送信するように要求元として要求し、前記通信部により前記前方映像を受信した場合に前記前方映像を前記自車両映像に合成して前記表示部に表示する処理と、前記要求の要求元となる要求元車両に対して前記自車両映像を前記前方映像として送信、又は、前方車両に対して前記前方映像を前記要求元車両に送信するように要求する処理とをコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、車両前方の視認性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る車載表示システムの一例を示す模式図である。
【
図2】
図2は、車載表示装置の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、記憶部に記憶される識別情報及び位置情報の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、検出部が高さ差分、車間距離及び自車両走行速度を検出する場合における所定の基準を示す表である。
【
図5】
図5は、表示部に表示される映像の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、本実施形態に係る車載表示システムの他の例を示す模式図である。
【
図7】
図7は、表示部に表示される映像の他の例を示す図である。
【
図8】
図8は、本実施形態に係る車載表示方法の一例を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、本実施形態に係る車載表示方法の一例を示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、第2実施形態に係る車載表示システムの一例を示す模式図である。
【
図15】
図15は、表示部に表示される映像の一例を示す図である。
【
図16】
図16は、本実施形態に係る車載表示方法の一例を示すフローチャートである。
【
図17】
図17は、本実施形態に係る車載表示方法の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る車載表示装置、車載表示システム、車載表示装置の制御方法、及び車載表示装置の制御プログラムの実施形態を図面に基づいて説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0013】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る車載表示システムSYSの一例を示す模式図である。車載表示システムSYSは、複数の車載表示装置100を有する。車載表示装置100は、車両ごとに設けられる。本実施形態においては、例えば一列に走行する車両A1、車両A2及び車両A3にそれぞれ車載表示装置100が設けられる。各車載表示装置100は、例えば同様の構成となっている。なお、各車載表示装置100を区別する場合、車両A1に搭載される車載表示装置100を車載表示装置101と表記し、車両A2に搭載される車載表示装置100を車載表示装置102と表記し、車両A3に搭載される車載表示装置100を車載表示装置103と表記する。
【0014】
図2は、車載表示装置100の一例を示す図である。
図2に示すように、車載表示装置100は、通信部1、撮影部2、画像処理部3、検出部4、表示部5、記憶部6、GPS(Global Positioning System)アンテナ7、操作部8、及び制御部9を有する。
【0015】
なお、各車載表示装置100を区別する場合、車載表示装置101の構成は、通信部11、撮影部12、画像処理部13、検出部14、表示部15、記憶部16、GPSアンテナ17、操作部18、及び制御部19と表記する。また、車載表示装置102の構成は、通信部21、撮影部22、画像処理部23、検出部24、表示部25、記憶部26、GPSアンテナ27、操作部28、及び制御部29と表記する。また、車載表示装置103の構成は、通信部31、撮影部32、画像処理部33、検出部34、表示部35、記憶部36、GPSアンテナ37、操作部38、及び制御部39と表記する。
【0016】
通信部1は、情報の送受信を行う。通信部1により、車載表示装置101、102、103の間でそれぞれ情報の送受信が可能となる。通信部1により送受信される情報としては、例えば後述する撮影部2で撮影される映像、当該映像(後述する前方映像を含む)を送信する旨の要求、当該要求に対する返信等が挙げられる。また、通信部1により送受信される情報として、当該通信部1が搭載される車両(以下、「自車両」と表記する場合がある)の前方及び後方を含む周辺の車両を識別するための識別情報、当該自車両の周辺の車両の位置情報等が挙げられる。
【0017】
撮影部2は、当該撮影部2が搭載される自車両A1、A2、A3の前方を撮影する。以下、撮影部2が自車両A1、A2、A3の前方を撮影した映像を「自車両映像」と表記する場合がある。撮影部2は、例えば車載カメラであり、車両A1、A2、A3の前部に取り付けられる。撮影部2が取り付けられる高さ位置は、記憶部6に記憶される。
【0018】
画像処理部3は、通信部1により受信した映像、撮影部2により撮影された映像等を合成する。また、画像処理部3は、撮影部2により撮影された映像に基づいて、搭載される車両の前方の車両である前方車両の有無、前方車両との車間距離、前方車両の高さ等を測定可能である。
【0019】
検出部4は、車両A1、A2、A3のそれぞれにおいて撮影部2が設けられる高さ位置と、当該車両A1、A2、A3に対する前方車両の高さとの差分(以下、「高さ差分」と表記する)を検出する。また、検出部4は、自車両と前方車両との車間距離、及び自車両の走行速度を検出することができる。検出部4は、例えばミリ波レーダ、LIDAR(Light Detection and Ranging)センサ、加速度センサ等が用いられる。検出部4は、画像処理部3における処理結果を用いて高さ差分、車間距離、走行速度を検出してもよい。検出部4は、例えば撮影部2に内蔵されている。なお、検出部4が撮影部2とは別個に設けられてもよい。この場合、前方車両との距離と検出部4から前方車両の頂点までの仰角と、検出部4の位置とに基づいて、前方車両の車高を求めることができる。
【0020】
表示部5は、撮影部2で撮影された映像、画像処理部3で生成された映像等を表示可能である。
【0021】
記憶部6は、撮影部2で撮影された映像、通信部1を介して取得した前方車両の撮影部2での映像(以下、「前方映像」と表記する)を記憶する。また、記憶部6は、車両に搭載され、情報の送受信を行う通信部1と、車両の前方を撮影する撮影部2と、通信部1で受信した映像及び撮影部2で撮影された映像を表示可能な表示部5と、を備える車載表示装置の制御プログラムであって、撮影部2で撮影された自車両映像を表示部5に表示する処理と、車両の前方を走行する前方車両が存在する場合に前方車両に対して当該前方車両の撮影部2の前方を撮影した前方映像を車両に送信するように要求元として要求し、通信部1により前方映像を受信した場合に前方映像を自車両映像に合成して表示部5に表示する処理と、要求の要求元となる要求元車両に対して自車両映像を前方映像として送信、又は、前方車両に対して前方映像を要求元車両に送信するように要求する処理とをコンピュータに実行させる車載表示装置100の制御プログラムを記憶する。
【0022】
また、記憶部6は、自車両の識別情報及び位置情報と、通信部1で受信した自車両の周辺の車両の識別情報及び位置情報とを記憶する。
図3は、記憶部6に記憶される識別情報及び位置情報の一例を示す図である。
図3に示すように、記憶部6には、自車両及び周辺の車両について、識別情報(ID_A1、ID_A2、ID_A3、ID_A4)と位置情報(P_A1、P_A2、P_A3、P_A4)とが対応付けて記憶される。なお、
図3では、車両A1が自車両である場合を例に挙げて示している。通信部1で受信した自車両及び周辺の車両の位置情報が変化する場合、記憶部6は、変化後の位置情報を上書きして記憶する。
【0023】
また、
図2に示すGPSアンテナ7は、自車両の位置及び車速を測定する。検出部4は、GPSアンテナ7の検出結果に基づいて自車両の走行速度、前方車両の位置情報等を検出してもよい。操作部8は、表示部5の設定等の操作を行う。
【0024】
制御部9は、表示部5における表示を制御する(表示モード)。表示モードにおいて、制御部9は、撮影部2で撮影された自車両映像を表示部5に表示する。制御部9は、前方車両が存在する場合に、前方車両に対して、当該前方車両の撮影部2の前方を撮影した前方映像を自車両に送信するように要求元車両として要求する。制御部9は、通信部1により前方映像を受信した場合に前方映像を自車両映像に合成して表示部5に表示する。なお、制御部9は、前方車両が存在するか否かについては、例えば撮影部2の映像、検出部4の検出結果等に基づいて判定を行ってもよいし、ドライバーが判断して操作部8に入力する構成として、入力結果に基づいて判定を行ってもよい。
【0025】
また、制御部9は、車両の後方を走行する後方車両のうち上記要求の要求元となる要求元車両に映像を送信する(送信モード)。送信モードにおいて、制御部9は、後方車両から自車両映像又は前方映像を送信するように要求された場合に、前方車両が存在するか否かを確認する。前方車両が存在する場合、制御部9は、検出部4の検出結果が所定の基準を満たすか否かを判定する。前方車両が存在しない場合、又は、前方車両が存在するが検出部4の検出結果が所定の基準を満たす場合、制御部9は、自車両映像に有効である旨のフラグを付与し、後方車両のうち上記要求の要求元となる要求元車両に対して当該自車両映像を送信する。また、検出部4の検出結果が所定の基準を満たさない場合、制御部9は、前方車両に対して前方映像を要求元車両に送信するように要求する。また、制御部9は、通信部1により前方映像を受信できなかった場合、後方車両に対して要求が無効である旨の返信を送信する。
【0026】
以下、所定の基準について説明する。本実施形態において、検出部4は、少なくとも上記の高さ差分を検出する。また、検出部4は、上記の車間距離及び自車両走行速度を検出することができる。
【0027】
検出部4が高さ差分のみを検出する場合、制御部9は、高さ差分が所定の差分閾値以上である場合には所定の基準を満たすと判定し、高さ差分が差分閾値未満である場合には所定の基準を満たさないと判定する。
【0028】
また、検出部4が高さ差分及び車間距離を検出する場合、制御部9は、高さ差分が所定の差分閾値以上である場合、かつ、車間距離が所定の車間閾値以上である場合には所定の基準を満たすと判定し、他の場合には所定の基準を満たさないと判定する。
【0029】
また、検出部4が高さ差分、車間距離及び自車両走行速度を検出する場合、制御部9は、高さ差分が所定の差分閾値以上である場合、車間距離が所定の車間閾値以上である場合、かつ、走行速度が所定の速度範囲内である場合には所定の基準を満たすと判定し、他の場合には所定の基準を満たさないと判定する。
【0030】
図4は、検出部4が高さ差分、車間距離及び自車両走行速度を検出する場合における所定の基準を示す表である。検出部4による検出結果において、例えば高さ差分が大きく、車間距離が大きく、自車両走行速度が遅いほど、自車両映像において前方車両の影響が小さくなる。
図4に示す高さ差分の値は、自車両の撮影部2の高さより前方車両の高さが低い場合を正とする値である。
【0031】
このため、
図4に示すように、自車両走行速度がV1(例えば、30km/h)以下の場合において、高さ差分がH1(例えば、100cm)以上であれば、車間距離がL1(例えば、10m)以上の場合に所定の基準を満たすとすることができる。また、高さ差分がH2(例えば、50cm)以上、H1未満であれば、車間距離がL2(例えば、15m)以上の場合に所定の基準を満たすとすることができる。更に、高さ差分がH2未満であれば、車間距離がL3(例えば、20m)以上の場合に所定の基準を満たすとすることができる。ここで、自車両と前方車両との車間距離が離れていれば、自車両の撮影部2の高さより前方車両の高さが高い場合でも前方車両の影響が小さくなる。したがって、高さ差分がH2未満となる場合の具体的な値については、自車両の撮影部2の高さより前方車両の高さが高い場合の値、つまり、負の値を含めることができる。
【0032】
また、自車両走行速度がV1より大きくV2(例えば、60km/h)以下の場合において、高さ差分がH1以上であれば、車間距離がL2以上の場合に所定の基準を満たすとすることができる。また、高さ差分がH2以上、H1未満であれば、車間距離がL3以上の場合に所定の基準を満たすとすることができる。更に、高さ差分がH2未満であれば、車間距離がL4(例えば、30m)以上の場合に所定の基準を満たすとすることができる。
【0033】
また、自車両走行速度がV2より大きくV3(例えば、90km/h)以下の場合において、高さ差分がH1以上であれば、車間距離がL3以上の場合に所定の基準を満たすとすることができる。また、高さ差分がH2以上、H1未満であれば、車間距離がL4以上の場合に所定の基準を満たすとすることができる。更に、高さ差分がH2未満であれば、車間距離がL5(例えば、40m)以上の場合に所定の基準を満たすとすることができる。
【0034】
また、自車両走行速度がV3より大きい場合において、高さ差分がH1以上であれば、車間距離がL4以上の場合に所定の基準を満たすとすることができる。また、高さ差分がH2以上、H1未満であれば、車間距離がL5以上の場合に所定の基準を満たすとすることができる。更に、高さ差分がH2未満であれば、車間距離がL6(例えば、60m)以上の場合に所定の基準を満たすとすることができる。
【0035】
なお、上記の高さ差分、車間距離及び自車両走行速度の値については、一例であり、他の値であってもよい。例えば、一般道路と高速道路とで値が異なってもよい。また、上り坂、下り坂等、傾斜状況に応じて値が異なってもよい。
【0036】
上記の検出結果は、自車両と前方車両との車間距離及び自車両走行速度に応じて変化する。このため、車両を走行中、例えば前方映像を送信している間などに車間距離及び自車両走行速度が変化する場合がある。このような場合、後方車両に送信する映像に対して無効のフラグを付与することにより、後方車両において合成に使用されることを抑制できる。
【0037】
[車載表示方法]
次に、本実施形態に係る車載表示方法について説明する。各車両A1、A2、A3の車載表示装置100は、通信部1により自車両の周辺の車両(例えば、車両A1、A2、A3等)についての識別情報及び位置情報を取得する。取得された識別情報及び位置情報は、記憶部6に記憶される。この状態で、例えば車両A1において、車載表示装置101は、撮影部12により撮影された映像を表示部15に表示する表示モードを行う。
図5は、表示部15に表示される映像の一例を示す図である。車両A1の表示部15には、
図5の映像M1に示すように、前方車両である車両A2の映像MA2が表示されている。車両A2は車高が高いトラックであり、車両A1の前方が見えにくくなっている。
【0038】
このように車両A1の前方に前方車両が存在する場合、車両A1の制御部19は、前方車両である車両A2に対して当該車両A2の撮影部22の前方を撮影した前方映像を自車両である車両A1に送信するように要求元として要求する。この場合、車両A1は、要求元車両となる。車両A1は、当該要求と共に、自車の識別情報(ID_A1:
図3参照)を要求元車両の識別情報として車両A2に送信する。
【0039】
一方、車両A2から見た場合、車両A1は、車両A2の後方を走行する後方車両である。車両A2の車載表示装置102は、車両A2に対して後方車両である車両A1から映像を送信する旨の要求及び要求元車両の識別情報の送信があった場合、当該車両A1に前方映像を送信する送信モードを行う。送信モードにおいて、制御部29は、車両A1から上記要求が行われた場合に、前方車両が存在するか否かを判断する。ここでは、車両A2の前方に車両A3が存在する。制御部29は、上記同様、検出部24の検出結果、操作部28の入力結果等に基づいて、前方車両の有無を判断することができる。前方車両が存在する場合、制御部29は、検出部24の検出結果が所定の基準を満たすか否かを判定する。
【0040】
前方車両が存在しない場合、又は、検出部24の検出結果が所定の基準を満たす場合、制御部29は、要求元車両である車両A1に対して、要求が有効である旨の返信を送信する。また、制御部29は、車両A2で撮影された映像に有効である旨のフラグを付与し、車両A1に対して自車両映像として送信する。本実施形態において、車両A2の前方には車両A3が走行している。車両A3は、車両A2と同様に車高が高いトラックである。車両A3の車高は、車両A2の撮影部12の高さ位置よりも高い。この場合、高さ差分Hは、H<H2と判断される。また、車両A2と車両A3との車間距離Lは、車両1台分未満の距離であり、L<L1と判断される。このため、制御部29では、検出部24における検出結果が所定の基準を満たさないと判断される。
【0041】
図5の合成映像M2は、検出部24における検出結果が所定の基準を満たさないと判断された場合、つまり、自車両映像M1に対して車両A2の前方を撮影した前方映像M4の一部を重畳した映像である。この場合、車両A1においては合成映像M2が生成される。合成映像M2には、車両A3の映像MA3が表示された状態であるため、車両A1の前方の視界が改善されない。
【0042】
そこで、検出部24の検出結果が所定の基準を満たさない場合、制御部29は、後方の車両A1に対して、要求が無効である旨の返信を送信する。また、制御部29は、車両A2の前方車両である車両A3に対して、当該車両A3の前方を撮影した前方映像を要求元車両である車両A1に送信するように要求する。この場合、車両A2は、当該要求と共に、自車両である車両A2の識別情報(ID_A2)と、要求元車両である車両A1の識別情報(ID_A1)とを車両A3に送信する。
【0043】
車両A3から見た場合、車両A2は、車両A3の後方を走行する後方車両である。車両A3の車載表示装置103は、車両A3に対して後方車両である車両A2から映像を送信する旨の要求があった場合、要求元車両である車両A1に自車両映像を送信する送信モードを行う。このように、車載表示装置100を搭載する車両が前後に並んで走行する場合、後方の車両から前方の車両に対して、前方映像を送信する旨の要求が順に行われる。
【0044】
要求を受けた車両A3の車載表示装置103は、車両A2の車載表示装置102と同様の処理を行う。本実施形態において、車両A3の前方には車両が走行していない。つまり、車両A3には前方車両が存在しない。このため、制御部39は、後方の車両A1及び車両A2に対して、要求が有効である旨の返信を送信する。また、制御部39は、撮影部32で撮影された自車両映像に対して有効である旨のフラグを付与し、要求元車両である車両A1に送信する。車両A3の自車両映像は、車両A1から見た場合には前方映像となる。
【0045】
車両A1の制御部19は、車両A3から送信される前方映像が通信部11で受信された場合、当該前方映像を自車両映像M1に合成した合成映像を表示部15に表示する。
図5には、合成映像M3の一例が示されている。
図5に示すように、合成映像M3には、車両A3の前方を撮影した前方映像M5の一部が自車両映像M1に重畳された状態で生成される。このように、
図5の合成映像M3では、前方に前方車両が存在しない状態の前方映像M5が自車両映像M1に重畳された状態で生成される。このため、表示部15に表示される車両A1の前方の視界が改善される。
【0046】
なお、検出部34の検出結果が所定の基準を満たさない場合、制御部39は、車両A1及び車両A2に対して、要求が無効である旨の返信を送信する。また、制御部39は、車両A3の前方に他の前方車両が存在する場合、当該前方車両の前方を撮影した前方映像を要求元車両である車両A1に送信するように要求する。この場合、車両A3は、当該要求と共に、自車両である車両A3の識別情報(ID_A3)と、要求元車両である車両A1の識別情報(ID_A1)とを前方車両に送信する。
【0047】
図6は、本実施形態に係る車載表示システムSYSの他の例を示す模式図である。
図6に示す例では、車載表示システムSYSにおいて、車両A3の前方に他の車両A4が存在する場合について示している。なお、
図6において、車両A3と車両A4との間の高さ差分HについてはH>H1であり、車間距離LについてはL>L1であるとする。
【0048】
図6に示す場合において、車両A2から前方映像を送信するように要求を受けた場合、車両A3の車載表示装置103の制御部39は、前方車両の有無を判断する。車両A3の前方には車両A4が存在する。したがって、制御部39は、検出部34の検出結果が所定の基準を満たすか否かを判定する。
【0049】
図6に示す例において、車両A3と車両A4との高さ差分HはH>H1であり、車間距離LはL>L1である。このため、制御部39では、検出部34における検出結果が所定の基準を満たすと判断される。このため、制御部39は、撮影部32で撮影された自車両映像に対して有効である旨のフラグを付与し、要求元車両である車両A1に送信する。
【0050】
車両A1の制御部19は、車両A3から送信される前方映像が通信部11で受信された場合、当該前方映像を自車両映像M1に合成した合成映像を表示部15に表示する。
図7は、表示部15に表示される映像の他の例を示す図である。
図7には、合成映像M3の一例が示されている。
図7に示すように、合成映像M6には、車両A3の前方を撮影した前方映像M7の一部が自車両映像M1に重畳された状態で生成される。
【0051】
図7に示す合成映像M6では、検出部34の検出結果が所定の基準を満たす場合の前方映像M7が自車両映像M1に重畳された状態で生成される。このため、表示部15に表示される車両A1の前方の視界が改善される。
【0052】
このように、本実施形態では、車両A3の前方に車両が存在しない場合、又は、検出部24、34の検出結果が所定の基準を満たす場合に、前方映像を後方の要求元車両に送信する。このため、表示部15に表示される車両A1の前方の視界が改善され、前方に視認性が向上する。
【0053】
図8及び
図9は、本実施形態に係る車載表示方法の一例を示すフローチャートである。
図8は表示モードの一例を示し、
図9は送信モードの一例を示す。以下、表示モードを行う車両が車両A1であり、送信モードを行う車両が車両A2である場合を例に挙げて説明する。
【0054】
まず、
図8に示すように、車載表示装置100の制御部9は、通信部1により自車両の周辺の車両(例えば、車両A1、A2、A3等)についての識別情報及び位置情報を取得する(ステップS100)。取得した識別情報及び位置情報は、記憶部6に記憶する。この状態で、表示モードを行う場合、車両A1の車載表示装置101の制御部19は、車両A1の前方に車両が存在するか否かを判定する(ステップS101)。制御部19は、当該判断については、例えば撮影部12の映像、検出部14の検出結果等に基づいて判定を行ってもよいし、ドライバーが判断して操作部18に入力する構成として、入力結果に基づいて判定を行ってもよい。
【0055】
前方に前方車両が存在しない場合(ステップS101のNo)、制御部19は、車両A1の撮影部12で撮影される自車両映像を表示部15に表示し(ステップS102)、当該自車両映像を記憶部16に記憶させる(ステップS103)。これにより、表示モードを完了する。
【0056】
一方、前方に前方車両である車両A2が存在する場合、制御部19は、車両A2に対して前方映像を要求元車両である車両A1に送信する旨の要求を通信部11から送信させる(ステップS104)。制御部19は、通信部11において、要求が無効である旨の車両A2からの返信を受信した場合(ステップS105のYes)、ステップS102以降の処理を行う。また、制御部19は、通信部11において要求が無効である旨の返信を受信しない場合(ステップS105のNo)、通信部11において有効な前方映像を受信したか否かを判定する(ステップS106)。ステップS106において、有効な前方映像を受信しなかった場合(ステップS106のNo)、ステップS102以降の処理を行う。また、ステップS106において、有効な前方映像を受信した場合(ステップS106のYes)、画像処理部13は、自車両映像と受信した前方映像とを合成した合成映像を生成し、表示部15に合成映像を表示する(ステップS107)。また、制御部19は、自車両映像及び前方映像を記憶部16に記憶する(ステップS108)。
【0057】
次に、
図9に示すように、送信モードを行う場合、車両A2の車載表示装置102の制御部29は、後方の車両A1から映像送信の要求があるか否かを判定する(ステップS201)。ステップS201において、後方の車両A1からの映像送信の要求が無い場合(ステップS201のNo)、制御部29は、ステップS201の処理を繰り返し行う。また、ステップS201において、後方の車両A1から映像送信の要求があった場合(ステップS201のYes)、制御部29は、撮影部22の映像、検出部24の検出結果等を解析し(ステップS202)、前方車両が存在するか否かの判断を行う(ステップS203)。なお、ステップS203において、制御部29は、例えばドライバーの操作部28への入力に基づいて判定を行ってもよい。ステップS203において前方に車両が存在しないと判断される場合(ステップS203のNo)、以下のステップS204からステップS207を飛ばして、後述のステップS208以降の処理を行う。また、ステップS203において前方に車両が存在すると判断される場合(ステップS203のYes)、制御部29は、検出部24の検出結果を取得する。本実施形態において、検出部24の検出結果として、高さ差分の取得(ステップS204)、車間距離の取得(ステップS205)及び自車両走行速度の取得(ステップS206)を行う。制御部29は、取得した検出部24の検出結果が所定の基準を満たすか否かを判定する(ステップS207)。
【0058】
ステップS207において所定の基準を満たす場合(ステップS207のYes)、又は、上記のステップS203において前方車両が存在しない場合(ステップS203のNo)、後方の車両A1に対して、要求に対応する映像を送信可能である旨の返信を送信すると共に(ステップS208)、有効のフラグを付した自車両映像を送信する(ステップS209)。一方、ステップS207において、所定の基準を満たさない場合(ステップS207のNo)、制御部29は、後方の車両A1に対して、要求が無効である旨の返信を送信する(ステップS210)。また、制御部29は、前方車両である車両A3に対して、前方映像を要求元車両である車両A1に送信する旨の要求を通信部21から送信させる(ステップS211)。なお、ステップS211が行われた場合、車両A2の前方の車両A3において、ステップS201からステップS211と同様の処理が行われる。
【0059】
以上のように、本実施形態に係る車載表示装置100は、車両に搭載される車載表示装置100であって、情報の送受信を行う通信部1と、車両の前方を撮影する撮影部2と、通信部1で受信した映像及び撮影部2で撮影された映像を表示可能な表示部5と、撮影部2で撮影された自車両映像を表示部5に表示し、車両の前方を走行する前方車両が存在する場合に前方車両に対して当該前方車両の撮影部2の前方を撮影した前方映像を車両に送信するように要求元として要求し、通信部1により前方映像を受信した場合に前方映像を自車両映像に合成して表示部5に表示する表示モードと、要求の要求元となる要求元車両に対して自車両映像を前方映像として送信、又は、前方車両に対して前方映像を要求元車両に送信するように要求する通信モードと、を行う制御部9とを備える。
【0060】
本実施形態に係る車載表示システムSYSは、情報の送受信を行う通信部11と、車両の前方を撮影する撮影部12と、通信部11で受信した映像及び撮影部12で撮影された映像を表示可能な表示部15と、撮影部12で撮影された自車両映像を表示部15に表示し、車両の前方を走行する前方車両が存在する場合に前方車両に対して当該前方車両の撮影部12の前方を撮影した前方映像を車両に送信するように要求元として要求し、通信部11により前方映像を受信した場合に前方映像を自車両映像に合成して表示部15に表示する制御部19と、を有する車載表示装置101と、情報の送受信を行う通信部21と、車両の前方を撮影する撮影部22と、通信部21で受信した映像及び撮影部22で撮影された映像を表示可能な表示部25と、要求の要求元となる要求元車両に対して自車両映像を送信、又は、前方車両に対して前方映像を要求元車両に送信するように要求する制御部29と、を有する車載表示装置102とを備える。
【0061】
本実施形態に係る車載表示装置の制御方法は、車両に搭載され、情報の送受信を行う通信部1と、車両の前方を撮影する撮影部2と、通信部1で受信した映像及び撮影部2で撮影された映像を表示可能な表示部5と、を備える車載表示装置の制御方法であって、撮影部2で撮影された自車両映像を表示部5に表示することと、車両の前方を走行する前方車両が存在する場合に前方車両に対して当該前方車両の撮影部2の前方を撮影した前方映像を車両に送信するように要求元として要求し、通信部1により前方映像を受信した場合に前方映像を自車両映像に合成して表示部5に表示することと、要求の要求元となる要求元車両に対して自車両映像を送信し、前方車両に対して前方映像を要求元車両に送信するように要求することとを含む。
【0062】
本実施形態に係る車載表示装置の制御プログラムは、車両に搭載され、情報の送受信を行う通信部1と、車両の前方を撮影する撮影部2と、通信部1で受信した映像及び撮影部2で撮影された映像を表示可能な表示部5と、を備える車載表示装置の制御方法であって、撮影部2で撮影された自車両映像を表示部5に表示する処理と、車両の前方を走行する前方車両が存在する場合に前方車両に対して当該前方車両の撮影部2の前方を撮影した前方映像を車両に送信するように要求元として要求し、通信部1により前方映像を受信した場合に前方映像を自車両映像に合成して表示部5に表示する処理と、要求の要求元となる要求元車両に対して自車両映像を送信し、前方車両に対して前方映像を要求元車両に送信するように要求する処理とをコンピュータに実行させる。
【0063】
本実施形態によれば、後方の車両A1、A2から要求を受けた前方の車両A2、A3において、それぞれ前方車両が存在しない場合又は検出部24、34の検出結果が所定の基準を満たす場合の映像を後方の要求元車両に送信する。このため、自車両映像に対して、前方車両が存在しない状態又は前方車両が存在するが自車両前方の視界をある程度確保できる状態の前方映像を合成することができる。したがって、表示部15に表示される車両A1の前方の視界が改善される。これにより、車両前方の視認性を向上させることが可能となる。
【0064】
本実施形態に係る車載表示装置100において、制御部9は、検出部4で検出された高さ差分が所定の差分閾値以上である場合には所定の基準を満たすと判定し、高さ差分が差分閾値未満である場合には所定の基準を満たさないと判定する。これにより、前方車両の車高に基づいて所定の基準を満たすか否かを迅速に判定することができる。
【0065】
本実施形態に係る車載表示装置100において、検出部4は、車両と前方車両との車間距離を更に検出可能であり、制御部9は、高さ差分が所定の差分閾値以上である場合、かつ、車間距離が所定の車間閾値以上である場合には所定の基準を満たすと判定し、他の場合には所定の基準を満たさないと判定する。これにより、前方車両の車高及び前方車両との車間距離に基づいて、所定の基準を満たすか否かをバランスよく判定することができる。
【0066】
本実施形態に係る車載表示装置100において、検出部4は、車両の走行速度を更に検出可能であり、制御部9は、高さ差分が所定の差分閾値以上である場合、車間距離が所定の車間閾値以上である場合、かつ、走行速度が所定の速度範囲内である場合には所定の基準を満たすと判定し、他の場合には所定の基準を満たさないと判定する。これにより、所定の基準を満たすか否かを厳密に判定することができる。
【0067】
[第2実施形態]
図10は、第2実施形態に係る車載表示システムSYS2の一例を示す模式図である。車載表示システムSYS2は、主として、制御部9における送信モードの処理の内容が第1実施形態とは異なっており、各構成については第1実施形態と同様である。したがって、本実施形態では、第1実施形態と同様の名称及び符号を付して各構成を説明する(
図2参照)。つまり、車載表示装置100は、通信部1、撮影部2、画像処理部3、検出部4、表示部5、記憶部6、GPSアンテナ7、操作部8、及び制御部9を有する。また、各車載表示装置100を区別する場合、第1実施形態と同様、車載表示装置101の構成は、通信部11、撮影部12、画像処理部13、検出部14、表示部15、記憶部16、GPSアンテナ17、操作部18、及び制御部19と表記する。また、車載表示装置102の構成は、通信部21、撮影部22、画像処理部23、検出部24、表示部25、記憶部26、GPSアンテナ27、操作部28、及び制御部29と表記する。また、車載表示装置103の構成は、通信部31、撮影部32、画像処理部33、検出部34、表示部35、記憶部36、GPSアンテナ37、操作部38、及び制御部39と表記する。なお、以下に説明する制御部9の機能を、第1実施形態に係る車載表示システムSYS及び車載表示装置100が有してもよい。
【0068】
本実施形態では、
図10に示すように、車両A3の前方に他の車両A4又は車両A5が存在する場合について説明する。つまり、車両A3の前方に車両A4が存在する場合と、車両A3の前方に車両A5が存在する場合とについて説明する。
【0069】
本実施形態において、制御部9は、表示部5における表示を制御する(表示モード)。表示モードにおいて、制御部9は、第1実施形態と同様、撮影部2で撮影された自車両映像を表示部5に表示する。制御部9は、前方車両が存在する場合に、前方車両に対して、当該前方車両の撮影部2の前方を撮影した前方映像を自車両に送信するように要求元車両として要求する。制御部9は、通信部1により前方映像を受信した場合に前方映像を自車両映像に合成して表示部5に表示する。なお、制御部9は、前方車両が存在するか否かについては、例えば撮影部2の映像、検出部4の検出結果等に基づいて判定を行ってもよいし、ドライバーが判断して操作部8に入力する構成として、入力結果に基づいて判定を行ってもよい。
【0070】
制御部9は、車両の後方を走行する後方車両のうち上記要求の要求元となる要求元車両に映像を送信する(送信モード)。送信モードにおいて、制御部9は、後方車両から自車両映像又は前方映像を送信するように要求された場合に、前方車両が存在するか否かを確認する。前方車両が存在する場合、制御部9は、自車両映像における前方車両の映像の占有比率を算出する。制御部9は、当該占有比率が所定の基準を満たす場合には、後方車両のうち上記要求の要求元となる要求元車両に対して自車両映像を送信する。また、制御部9は、占有比率が所定の基準を満たさない場合には、前方車両に対して前方映像を要求元車両に送信するように要求する。
【0071】
以下、所定の基準について説明する。本実施形態において、占有比率は、例えば、自車両映像のうち水平方向に3分割した中央部の映像に対して前方車両の映像が占める面積比率とすることができる。
図11及び
図12は、自車両映像の一例を示す図である。
図11は、車両A3の前方に他の車両A4が存在する場合の例を示す。
図12は、車両A3の前方に他の車両A5が存在する場合の例を示す。
【0072】
図11には、車両A3に対して車両A4の車間距離が異なる場合の自車両映像M21、M22、M23が示されている。自車両映像M21は、最も車間距離が長い場合の例である。自車両映像M23は、最も車間距離が短い場合の例である。自車両映像M22は、車間距離が上記2種類の場合(自車両映像M21、M23)の間の長さである場合の例である。
【0073】
図11に示すように、自車両映像M21、M22、M23では、それぞれ、3つに分割された領域D1、D2、D3のうち、水平方向の中央部の領域D2に車両A4の映像が存在している。領域D2の面積S1に対する車両A4の映像の面積S2、S3、S4の比率(面積比率)は、自車両と車両A4との車間距離が短いほど、大きくなる。例えば、車両A4のような車高が低い自家用車等の普通自動車等において、車間距離が長い自車両映像M21の場合には5%程度、車間距離が中程度の自車両映像M22の場合には15%程度、車間距離が短い自車両映像M23の場合には35%程度となる。
【0074】
図12には、車両A3に対して車両A5の車間距離が異なる場合の自車両映像M24、M25、M26が示されている。自車両映像M24は、最も車間距離が長い場合の例である。自車両映像M25は、最も車間距離が短い場合の例である。自車両映像M26は、車間距離が上記2種類の場合(自車両映像M24、M25)の間の長さである場合の例である。
【0075】
図12に示すように、領域D2の面積S1に対する車両A5の映像の面積S5、S6、S7の比率(面積比率)は、車両A4の場合と同様に、自車両と車両A5との車間距離が短いほど、大きくなる。例えば、車両A5のような車高が低いトラック等の大型車等において、車間距離が長い自車両映像M24の場合には10%程度、車間距離が中程度の自車両映像M25の場合には30%程度、車間距離が短い自車両映像M26の場合には70%程度と、車両A4の2倍程度の値となる。
【0076】
制御部9は、このように取得される面積比率が、例えば40%以下の場合には、所定の基準を満たすと判断することができる。一方、面積比率が40%を超える場合には、所定の基準を満たさないと判断することができる。なお、上記の閾値としての40%の値は一例であり、他の値であってもよい。例えば、車種により閾値を変更してもよい。また、前方車両の縦横比率に応じて閾値を変更してもよい。また、自車走行速度に応じて閾値を変更してもよい。また、上り坂、下り坂等、傾斜状況に応じて閾値を変更してもよい。
【0077】
また、本実施形態において、占有比率は、例えば、自車両映像に対して前方車両の映像が鉛直方向に占める高さ比率とすることができる。
図13及び
図14は、自車両映像の一例を示す図である。
図13は、車両A3の前方に他の車両A4が存在する場合の例を示す。
図14は、車両A3の前方に他の車両A5が存在する場合の例を示す。
【0078】
図13に示すように、自車両映像M31、M32、M33において、当該自車両映像M31、M32、M33の鉛直方向の高さT1に対する車両A4の映像の高さT2、T3、T4の比率(高さ比率)は、自車両と車両A4との車間距離が短いほど、大きくなる。例えば、車両A4のような車高が低い自家用車等の普通自動車等において、車間距離が長い自車両映像M31の場合には17%程度、車間距離が中程度の自車両映像M32の場合には26%程度、車間距離が短い自車両映像M33の場合には36%程度となる。
【0079】
また、
図14に示すように、自車両映像M34、M35、M36において、当該自車両映像M34、M35、M36の鉛直方向の高さT1に対する車両A5の映像の高さT5、T6、T7の比率(高さ比率)は、自車両と車両A5との車間距離が短いほど、大きくなる。例えば、車両A5のような車高が低いトラック等の大型車等において、車間距離が長い自車両映像M34の場合には30%程度、車間距離が中程度の自車両映像M35の場合には53%程度、車間距離が短い自車両映像M36の場合には80%程度と、車両A4の2倍程度の値となる。
【0080】
制御部9は、このように取得される高さ比率が、例えば50%以下の場合には、所定の基準を満たすと判断することができる。一方、高さ比率が50%を超える場合には、所定の基準を満たさないと判断することができる。なお、上記の閾値としての50%の値は一例であり、他の値であってもよい。例えば、上記同様、車種により閾値を変更してもよい。また、前方車両の縦横比率に応じて閾値を変更してもよい。また、自車走行速度に応じて閾値を変更してもよい。また、上り坂、下り坂等、傾斜状況に応じて閾値を変更してもよい。
【0081】
図11から
図14に示すように、自車両映像における前方車両の映像の占有比率は、自車両と前方車両との車間距離に応じて変化する。このため、車両を走行中、例えば前方映像を送信している間などに占有比率が変化する場合がある。このような場合、後方車両に送信する映像に対して無効のフラグを付与することにより、後方車両において合成に使用されることを抑制できる。
【0082】
また、本実施形態において、記憶部6は、車両に搭載され、情報の送受信を行う通信部1と、車両の前方を撮影する撮影部2と、通信部1で受信した映像及び撮影部2で撮影された映像を表示可能な表示部5と、を備える車載表示装置100の制御プログラムであって、撮影部2で撮影された自車両映像を表示部5に表示する処理と、前方車両が存在する場合に前方車両に対して車両前方を撮影した前方映像を車両に送信するように要求元として要求し、通信部1により前方映像を受信した場合に前方映像を自車両映像に合成して表示部5に表示する処理と、前方車両が存在しない場合又は前方車両が存在するが自車両映像における前方車両の映像の占有比率が所定の基準を満たす場合には要求の要求元となる要求元車両に対して自車両映像を前方映像として送信し、占有比率が所定の基準を満たさない場合には前方車両に対して前方映像を要求元車両に送信するように要求する処理とをコンピュータに実行させる車載表示装置100の制御プログラムが、第1実施形態に記載の記憶部6に記憶されてもよい。
【0083】
次に、本実施形態に係る車載表示方法について説明する。第1実施形態と同様、各車両A1、A2、A3の車載表示装置100は、通信部1により自車両の周辺の車両(例えば、車両A1、A2、A3等)についての識別情報及び位置情報を取得する。取得された識別情報及び位置情報は、記憶部6に記憶される。この状態で、例えば車両A1において、車載表示装置101は、撮影部12により撮影された映像を表示部15に表示する表示モードを行う。
図15は、表示部15に表示される映像の一例を示す図である。車両A1の表示部15には、
図15の映像M41に示すように、前方車両である車両A2の映像MA2が表示されている。第1実施形態と同様、車両A2は車高が高いトラックであり、車両A1の前方が見えにくくなっている。
【0084】
このように車両A1の前方に前方車両が存在する場合、車両A1の制御部19は、前方車両である車両A2に対して当該車両A2の撮影部22の前方を撮影した前方映像を自車両である車両A1に送信するように要求元として要求する。この場合、車両A1は、要求元車両となる。車両A1は、当該要求と共に、自車の識別情報(ID_A1:
図3参照)を要求元車両の識別情報として車両A2に送信する。
【0085】
車両A2の車載表示装置102は、車両A2に対して後方車両である車両A1から映像を送信する旨の要求及び要求元車両の識別情報の送信があった場合、当該車両A1に自車両映像又は前方映像を送信する送信モードを行う。送信モードにおいて、制御部29は、車両A1から上記要求が行われた場合に、前方車両が存在するか否かを判断する。ここでは、車両A2の前方に車両A3が存在する。制御部29は、上記同様、検出部24の検出結果、操作部28の入力結果等に基づいて、前方車両の有無を判断することができる。
【0086】
前方車両が存在しない場合、又は、制御部29による占有比率の算出結果が所定の基準を満たす場合、制御部29は、要求元車両である車両A1に対して、要求が有効である旨の返信を送信する。また、制御部29は、車両A2で撮影された映像に有効である旨のフラグを付与し、車両A1に対して、自車両映像として送信する。
【0087】
また、前方車両が存在する場合、制御部29は、自車両映像における前方車両の映像の占有比率を算出する。制御部29は、当該占有比率が所定の基準を満たす場合には、要求元車両である車両A1に対して自車両映像を送信する。また、制御部29は、占有比率が所定の基準を満たさない場合には、後方の車両A1に対して、要求が無効である旨の返信を送信する。また、制御部29は、前方車両である車両A3に対して前方映像を要求元車両である車両A1に送信するように要求する。この場合、車両A2は、当該要求と共に、自車両である車両A2の識別情報(ID_A2)と、要求元車両である車両A1の識別情報(ID_A1)とを車両A3に送信する。
【0088】
本実施形態では、車両A2の前方には車両A3が走行している。車両A3は、車両A2と同様に車高が高いトラックである。また、車両A2と車両A3との車間距離は、車両1台分未満の距離であり、車間距離が短いと判断される。この場合、制御部29では、自車両映像に示す前方車両の映像の占有比率が所定の基準を満たさないと判断される。
【0089】
図15の合成映像M42は、自車両映像M1に対して車両A2の前方を撮影した前方映像M45の一部を重畳した映像である。この場合、車両A1においては合成映像M42が生成される。合成映像M42には、車両A3の映像MA3が表示されるため、車両A1の前方の視界が改善されない。
【0090】
そこで、上記の占有比率が所定の基準を満たさない場合、制御部29は、車両A2の前方車両である車両A3に対して、当該車両A3の前方を撮影した前方映像を要求元車両である車両A1に送信するように要求する。
【0091】
車両A3の車載表示装置103は、車両A3に対して後方車両である車両A2から映像を送信する旨の要求があった場合、要求元車両である車両A1に自車両映像又は前方映像を送信する送信モードを行う。このように、車載表示装置100を搭載する車両が前後に並んで走行する場合、後方の車両から前方の車両に対して、前方映像を送信する旨の要求が順に行われる。
【0092】
要求を受けた車両A3の車載表示装置103は、車両A2の車載表示装置102と同様の処理を行う。本実施形態において、車両A3の前方に車両A4が走行している場合、制御部39は、自車両映像における前方車両の映像の占有比率を算出する。車両A4は、車両A1と同様に車高が低い自家用車等の普通自動車である。この場合、車両A3と車両A4との車間距離が短くても、自車両映像に示す前方車両の映像の占有比率が所定の閾値よりも大きくならない。この場合、制御部39では、自車両映像に示す前方車両の映像の占有比率が所定の基準を満たすと判断される。
【0093】
また、本実施形態において、車両A3の前方に車両A5が走行している場合、制御部39は、車両A4の場合と同様に、自車両映像における前方車両の映像の占有比率を算出する。車両A5は、車両A2、A3と同様に車高が高いトラック等の大型自動車である。この場合、車両A3と車両A5との車間距離が短いと、自車両映像に示す前方車両の映像の占有比率が所定の閾値よりも大きくなる。一方、このような大型自動車であっても、車両A3と車両A5との車間距離が長いと、自車両映像に示す前方車両の映像の占有比率が所定の閾値よりも小さくなる。この場合、制御部39では、自車両映像に示す前方車両の映像の占有比率が所定の基準を満たすと判断される。
【0094】
自車両映像に示す前方車両の映像の占有比率が所定の基準を満たすと判断される場合、制御部39は、後方の車両A1及び車両A2に対して、要求が有効である旨の返信を送信する。また、制御部39は、撮影部32で撮影された自車両映像に対して有効である旨のフラグを付与し、要求元車両である車両A1に送信する。なお、自車両映像を要求元車両である車両A1に送信する場合、車両A2から送信された識別情報と、記憶部36に記憶される位置情報とに基づいて車両A2との位置関係を把握することができる。車載表示装置102において、通信部21は、当該自車両映像を前方映像として受信する。
【0095】
車両A1の制御部19は、車両A3から送信される前方映像が通信部11で受信された場合、当該前方映像を自車両映像M1に合成した合成映像を表示部15に表示する。
図15には、合成映像M43の一例が示されている。
図15に示すように、合成映像M43には、車両A3の前方を撮影した前方映像M46の一部が自車両映像M1に重畳された状態で生成される。前方映像M46には、車両A4の映像MA4が含まれている。合成映像M43は、占有比率について所定の基準を満たす前方映像M46が自車両映像M1に重畳された状態で生成される。このため、表示部15に表示される車両A1の前方の視界が改善される。
【0096】
また、
図15には、合成映像M44の一例が示されている。
図15に示すように、合成映像M44には、車両A3の前方を撮影した前方映像M47の一部が自車両映像M1に重畳された状態で生成される。前方映像M47には、車両A5の映像MA5が含まれている。合成映像M44は、占有比率について所定の基準を満たす前方映像M47が自車両映像M1に重畳された状態で生成される。このため、表示部15に表示される車両A1の前方の視界が改善される。
【0097】
このように、本実施形態では、車両A3の前方に車両が存在しない場合、又は、制御部39による占有比率の算出結果が所定の基準を満たす場合に、前方映像を後方の車両に送信する。このため、表示部15に表示される車両A1の前方の視界が改善され、前方に視認性が向上する。
【0098】
なお、制御部39による占有比率の算出結果が所定の基準を満たさない場合、制御部39は、後方の車両A1及び車両A2に対して、要求が無効である旨の返信を送信する。また、制御部39は、車両A3の前方に他の前方車両が存在する場合、当該前方車両の前方を撮影した前方映像を要求元車両である車両A1に送信するように要求する。この場合、車両A3は、当該要求と共に、自車両である車両A3の識別情報(ID_A3)と、要求元車両である車両A1の識別情報(ID_A1)とを前方車両に送信する。
【0099】
図16及び
図17は、本実施形態に係る車載表示方法の一例を示すフローチャートである。
図16は表示モードの一例を示し、
図17は送信モードの一例を示す。以下、表示モードを行う車両が車両A1であり、送信モードを行う車両が車両A2である場合を例に挙げて説明する。
【0100】
まず、
図16に示すように、車載表示装置100の制御部9は、通信部1により自車両の周辺の車両(例えば、車両A1、A2、A3等)についての識別情報及び位置情報を取得する(ステップS300)。取得した識別情報及び位置情報は、記憶部6に記憶する。この状態で、表示モードを行う場合、第1実施形態と同様に、車両A1の車載表示装置101の制御部19は、車両A1の前方に車両が存在するか否かを判定する(ステップS301)。前方車両が存在しない場合(ステップS301のNo)、制御部19は、車両A1の撮影部12で撮影される自車両映像を表示部15に表示し(ステップS302)、当該自車両映像を記憶部16に記憶させる(ステップS303)。これにより、表示モードを完了する。
【0101】
一方、前方に前方車両である車両A2が存在する場合、制御部19は、車両A2に対して前方映像を要求元車両である車両A1に送信する旨の要求を通信部11から送信させる(ステップS304)。制御部19は、通信部11において、要求が無効である旨の車両A2からの返信を受信した場合(ステップS305のYes)、ステップS302以降の処理を行う。また、制御部19は、通信部11において要求が無効である旨の返信を受信しない場合(ステップS305のNo)、通信部11において有効な前方映像を受信したか否かを判定する(ステップS306)。ステップS306において、有効な前方映像を受信しなかった場合(ステップS306のNo)、ステップS302以降の処理を行う。また、ステップS306において、有効な前方映像を受信した場合(ステップS306のYes)、画像処理部13は、自車両映像と受信した前方映像とを合成した合成映像を生成し、表示部15に合成映像を表示する(ステップS307)。また、制御部19は、自車両映像及び前方映像を記憶部16に記憶する(ステップS308)。
【0102】
次に、
図17に示すように、送信モードを行う場合、車両A2の車載表示装置102の制御部29は、後方の車両A1から映像送信の要求があるか否かを判定する(ステップS401)。ステップS401において、後方の車両A1からの映像送信の要求が無い場合(ステップS401のNo)、制御部29は、ステップS401の処理を繰り返し行う。また、ステップS401において、後方の車両A1から映像送信の要求があった場合(ステップS401のYes)、制御部29は、撮影部22の映像、検出部24の検出結果等を解析し(ステップS402)、前方車両が存在するか否かの判断を行う(ステップS403)。なお、ステップS403において、制御部29は、例えばドライバーの操作部28への入力に基づいて判定を行ってもよい。ステップS403において前方に車両が存在しないと判断される場合(ステップS403のNo)、以下のステップS404からステップS406を飛ばして、後述のステップS407以降の処理を行う。また、ステップS403において前方に車両が存在すると判断される場合(ステップS403のYes)、制御部29は、自車両映像を解析処理し(ステップS404)、自車両映像において前方車両の映像が占める占有比率を求める(ステップS405)。制御部29は、求めた占有比率が所定の基準を満たすか否かを判定する(ステップS406)。
【0103】
ステップS406において所定の基準を満たす場合(ステップS406のYes)、又は、上記のステップS403において前方車両が存在しない場合(ステップS403のNo)、後方の車両A1に対して、要求に対応する映像を送信可能である旨の返信を送信すると共に(ステップS407)、有効のフラグを付した自車両映像を送信する(ステップS408)。一方、ステップS406において、所定の基準を満たさない場合(ステップS406のNo)、制御部29は、後方の車両A1に対して、要求が無効である旨の返信を送信する(ステップS409)。また、制御部29は、前方車両である車両A3に対して、前方映像を要求元車両である車両A1に送信する旨の要求を通信部21から送信させる(ステップS410)。なお、ステップS410が行われた場合、車両A2の前方の車両A3において、ステップS401からステップS410と同様の処理が行われる。
【0104】
以上のように、本実施形態に係る車載表示装置100は、車両に搭載される車載表示装置100であって、情報の送受信を行う通信部1と、車両の前方を撮影する撮影部2と、通信部1で受信した映像及び撮影部2で撮影された映像を表示可能な表示部5と、撮影部2で撮影された自車両映像を表示部5に表示し、車両の前方を走行する前方車両が存在する場合に前方車両に対して車両前方を撮影した前方映像を車両に送信するように要求元として要求し、通信部1により前方映像を受信した場合に前方映像を自車両映像に合成して表示部5に表示する表示モードと、前方車両が存在しない場合又は前方車両が存在するが自車両映像における前方車両の映像の占有比率が所定の基準を満たす場合には要求の要求元となる要求元車両に対して自車両映像を前方映像として送信し、占有比率が所定の基準を満たさない場合には前方車両に対して前方映像を要求元車両に送信するように要求する通信モードと、を行う制御部9とを備える。
【0105】
本実施形態に係る車載表示システムSYSは、情報の送受信を行う通信部11と、車両の前方を撮影する撮影部12と、通信部11で受信した映像及び撮影部12で撮影された映像を表示可能な表示部15と、車両の前方を走行する前方車両の高さ位置と車両において撮影部12が搭載される高さ位置との差分を検出可能な検出部と、撮影部12で撮影された自車両映像を表示部15に表示し、前方車両が存在する場合に前方車両に対して当該前方車両の撮影部12で撮影された前方映像を車両に送信するように要求元として要求し、通信部11により前方映像を受信した場合に前方映像を自車両映像に合成して表示部15に表示する制御部19と、を有する車載表示装置101と、情報の送受信を行う通信部21と、車両の前方を撮影する撮影部22と、通信部21で受信した映像及び撮影部22で撮影された映像を表示可能な表示部25と、前方車両が存在しない場合又は前方車両が存在するが撮影部22で撮影された自車両映像における前方車両の映像の占有比率が所定の基準を満たす場合には要求の要求元となる要求元車両に対して自車両映像を前方映像として送信し、占有比率が所定の基準を満たさない場合には前方車両に対して前方映像を要求元車両に送信するように要求する制御部29と、を有する車載表示装置102とを備える。
【0106】
本実施形態に係る車載表示装置の制御方法は、車両に搭載され、情報の送受信を行う通信部1と、車両の前方を撮影する撮影部2と、通信部1で受信した映像及び撮影部2で撮影された映像を表示可能な表示部5と、を備える車載表示装置100の制御方法であって、撮影部2で撮影された自車両映像を表示部5に表示することと、前方車両が存在する場合に前方車両に対して車両前方を撮影した前方映像を車両に送信するように要求元として要求し、通信部1により前方映像を受信した場合に前方映像を自車両映像に合成して表示部5に表示することと、前方車両が存在しない場合又は前方車両が存在するが自車両映像における前方車両の映像の占有比率が所定の基準を満たす場合には要求の要求元となる要求元車両に対して自車両映像を前方映像として送信し、占有比率が所定の基準を満たさない場合には前方車両に対して前方映像を要求元車両に送信するように要求することとを含む。
【0107】
本実施形態に係る車載表示装置の制御プログラムは、車両に搭載され、情報の送受信を行う通信部1と、車両の前方を撮影する撮影部2と、通信部1で受信した映像及び撮影部2で撮影された映像を表示可能な表示部5と、を備える車載表示装置100の制御プログラムであって、撮影部2で撮影された自車両映像を表示部5に表示する処理と、前方車両が存在する場合に前方車両に対して車両前方を撮影した前方映像を車両に送信するように要求元として要求し、通信部1により前方映像を受信した場合に前方映像を自車両映像に合成して表示部5に表示する処理と、前方車両が存在しない場合又は前方車両が存在するが自車両映像における前方車両の映像の占有比率が所定の基準を満たす場合には要求の要求元となる要求元車両に対して自車両映像を前方映像として送信し、占有比率が所定の基準を満たさない場合には前方車両に対して前方映像を要求元車両に送信するように要求する処理とをコンピュータに実行させる。
【0108】
本実施形態によれば、後方の車両A1、A2から要求を受けた前方の車両A2、A3において、それぞれ前方車両が存在しない場合又は自車両映像における前方車両の映像の占有比率が所定の基準を満たす場合の映像を後方の要求元車両に送信する。このため、自車両映像に対して、前方車両が存在しない状態又は前方車両が存在するが自車両前方の視界をある程度確保できる状態の前方映像を合成することができる。したがって、表示部15に表示される車両A1の前方の視界が改善される。これにより、車両前方の視認性を向上させることが可能となる。
【0109】
本実施形態に係る車載表示装置100において、占有比率は、自車両映像のうち水平方向に3分割した中央部の映像に対して前方車両の映像が占める面積比率とすることができる。また、占有比率は、自車両映像に対して前方車両の映像が鉛直方向に占める高さ比率とすることができる。これにより、自車両前方の視界をある程度確保できる状態か否かを高精度に判定することができる。
【0110】
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。例えば、上記各実施形態では、車載表示装置100を搭載する車両が前後に並んで走行する場合、後方の車両の車載表示装置100から前方の車両の車載表示装置100に対して、前方映像を送信する旨の要求が順に行われる場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、後方の車両の車載表示装置100から前方の複数の車両の車載表示装置100に対して、前方映像を送信する旨の要求を並列に送信してもよい。また、前方の複数の車両の車載表示装置100から当該要求を送信した後方の車両の車載表示装置100に対して並列で前方映像を送信してもよい。この場合、複数の前方映像を並列で受信した後方の車両の車載表示装置100において、複数の映像がそれぞれ有効か否かの判断を行ってもよい。
【0111】
また、上記各実施形態において、車載表示システムSYS、SYS2は、各車載表示装置100が表示モード及び送信モードの両方を行う構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、一の車載表示装置が表示モードを行い、他の車載表示モードが送信モードを行う構成であってもよい。
【符号の説明】
【0112】
A1,A2,A3,A4,A5…車両、D1,D2,D3…領域、H…差分、L…車間距離、SYS,SYS2…車載表示システム、1,11,21,31…通信部、2,12,22,32…撮影部、3,13,23,33…画像処理部、4,14,24,34…検出部、5,15,25,35…表示部、6,16,26,36…記憶部、7…GPSアンテナ、8,18,28…操作部、9,19,29,39…制御部、100,101,102,103…車載表示装置