IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ TDK株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】コイル装置
(51)【国際特許分類】
   H01F 27/29 20060101AFI20231219BHJP
   H01F 27/28 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
H01F27/29 G
H01F27/29 125
H01F27/28 128
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019216222
(22)【出願日】2019-11-29
(65)【公開番号】P2021086969
(43)【公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-08-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001494
【氏名又は名称】前田・鈴木国際特許弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】染谷 秀平
(72)【発明者】
【氏名】常盤 葵
(72)【発明者】
【氏名】占部 大輔
【審査官】井上 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-139379(JP,A)
【文献】特開2007-258201(JP,A)
【文献】特開2019-009286(JP,A)
【文献】特開2018-056399(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 27/29
H01F 27/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性体で構成され、鍔部を有する巻芯部と、
前記巻芯部に巻回してあるワイヤと、
前記鍔部の外面の一部に取り付けられる端子具と、を有するコイル装置であって、
前記端子具が、
前記鍔部の外面に密着している密着部と、
前記密着部と一体に成形してあり、前記鍔部から離れて突出している突出板部とを有し、
前記突出板部は、前記ワイヤのリード端が接続されるワイヤ接続面と、前記ワイヤ接続面の反対面に位置して外部回路に接続される主実装面とを有し、
前記ワイヤのリード端が接続される位置で、前記主実装面に垂直な方向で、前記突出板部と前記鍔部との間の隙間距離が、前記突出板部の厚みの2倍以上であるコイル装置。
【請求項2】
前記突出板部は、
前記密着部に連続して前記鍔部から飛び出している基部と、
前記基部の先端側で折り返して曲げられる先端折曲部と、を有し、
前記ワイヤのリード端は、前記先端折曲部と前記基部との間に挟まれる請求項1に記載のコイル装置。
【請求項3】
前記先端折曲部の表面と裏面に、前記ワイヤ接続面および前記主実装面がそれぞれ形成してある請求項2に記載のコイル装置。
【請求項4】
前記先端折曲部に対応する前記基部の表面と裏面に、前記ワイヤ接続面および前記主実装面がそれぞれ形成してある請求項2に記載のコイル装置。
【請求項5】
前記密着部の外面の一部には、前記主実装面と面一、または前記主実装面よりも内側に位置する副実装面が形成してある請求項1~4のいずれかに記載のコイル装置。
【請求項6】
前記主実装面と反対側に位置する前記鍔部の外面には、板状部材が接合してある請求項1~のいずれかに記載のコイル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、巻線型のコイル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
巻線型のコイル装置としては、たとえば下記の特許文献1に示すコイル装置が知られている。特許文献1に示す従来の巻線型のコイル装置では、金属端子が、磁性体コアの鍔部に接着剤などで取り付けられ、金属端子の実装面から引き込まれた位置で、コイルを構成するワイヤの端部が接続されている。
【0003】
しかしながら、このような従来の構成のコイル装置を、電源用途に用いる場合には、金属端子の実装面とワイヤ端部の接続部とが離れているため、直流抵抗の増大が課題となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-56399号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、その目的は、直流抵抗が低く、電源用途にも用いることが可能なコイル装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係るコイル装置は、
磁性体で構成され、鍔部を有する巻芯部と、
前記巻芯部に巻回してあるワイヤと、
前記鍔部の外面の一部に取り付けられる端子具と、を有するコイル装置であって、
前記端子具が、
前記鍔部の外面に密着している密着部と、
前記密着部と一体に成形してあり、前記鍔部から離れて突出している突出板部とを有し、
前記突出板部は、前記ワイヤのリード端が接続されるワイヤ接続面と、前記ワイヤ接合面の反対面に位置して外部回路に接続される主実装面とを有する。
【0007】
本発明のコイル装置では、外部回路に接続される主実装面と、ワイヤのリード端が接続されるワイヤ接続面とが、突出板部の相互に反対側に位置する面に形成してある。そのため、ワイヤ接続面と主実装面とが、突出板部のほぼ厚みのみで近接し、ワイヤのリード端の接続部から外部回路へと至る端子具の直流抵抗を極端に下げることが可能になり、コイル装置の全体としての直流抵抗も極端に小さくすることができる。そのため、本発明のコイル装置は、電源用途に好ましく用いることができる。
【0008】
また、本発明のコイル装置を信号系用途に用いる場合でも、挿入損失(IL/インサーションロス)の増大を抑制することが可能となり、信号系用途にも好ましく用いることができる。
【0009】
好ましくは、前記突出板部は、
前記密着部に連続して前記鍔部から飛び出している基部と、
前記基部の先端側で折り返して曲げられる先端折曲部と、を有し、
前記ワイヤのリード端は、前記先端折曲部と前記基部との間に挟まれる。
【0010】
ワイヤのリード端を先端折曲部と基部との間に挟み込むことで、リード端の端子具への接続作業が容易になる。
【0011】
前記先端折曲部の表面と裏面に、前記ワイヤ接合面および前記主実装面がそれぞれ形成してあっても良い。あるいは、前記先端折曲部に対応する前記基部の表面と裏面に、前記ワイヤ接合面および前記主実装面がそれぞれ形成してあってもよい。あるいは、突出板部には、先端折曲部が無くても良い。
【0012】
好ましくは、前記密着部の外面の一部には、前記主実装面と面一、または前記主実装面よりも内側に位置する副実装面が形成してある。このように構成することで、コイル装置の実装強度が向上すると共に、コイル装置を安定して回路基板などに実装することが容易になる。
【0013】
好ましくは、前記ワイヤのリード端が接続される位置で、前記実装面に垂直な方向で、前記突出板部と前記鍔部との間の隙間距離が、前記突出板部の厚みの2倍以上である。このように構成することで、たとえばレーザ溶接などにより、ワイヤのリード端を突出板部に容易に接合することが可能である。また、回路基板などの熱変形応力などが鍔部に伝達し難くなり、回路基板などへのコイル装置の接合強度が向上する。
【0014】
前記実装面と反対側に位置する前記鍔部の外面には、板状部材が接合してあってもよい。板状部材は、磁性体部材であってもよく、非磁性体部材でもよい。また、板状部材は、樹脂を塗布して形成してある部材でもよい。これらの板状部材は、平坦面を有することが好ましい。平坦面には、ピックアップ用吸着部材が着脱自在に吸着可能であり、ハンドリング性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1A図1Aは本発明の一実施形態に係るコイル装置の斜視図である。
図1B図1B図1Aに示すコイル装置の側面図である。
図1C図1C図1Aに示すコイル装置の正面図である。
図1D図1D図1Aに示すコイル装置の底面図である。
図2図2図1Aに示すコイル装置のドラム型コアの斜視図である。
図3図3図1Aに示すコイル装置の端子金具の斜視図である。
図4A図4Aは本発明の他の実施形態に係るコイル装置の斜視図である。
図4B図4B図4Aの変形例に係るコイル装置の斜視図である。
図5図3図4Aに示すコイル装置の端子金具の斜視図である。
図6A図6Aは本発明のさらに他の実施形態に係るコイル装置で用いる端子金具の斜視図である。
図6B図6Bは本発明のさらに他の実施形態に係るコイル装置で用いる端子金具の斜視図である。
図6C図6Cは本発明のさらに他の実施形態に係るコイル装置で用いる端子金具の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
【0017】
第1実施形態
図1Aに示す本発明の一実施形態に係るコイル装置10は、たとえば巻線型のコモンモードフィルタなどとして用いられるが、その用途は、特に限定されず、たとえばバラン、デュアルインダクタなどとしても用いることができる。
【0018】
コイル装置10は、ドラムコア20と、ドラムコア20の巻芯部22に巻回されたコイル部40と、ドラムコア20の上部に配置される平板部材30と、を有する。なお、コイル装置10の説明では、コイル装置10を実装する主実装面と平行な面内にありドラムコア20の巻芯部22の巻軸と平行な方向をX軸、X軸と同じく主実装面と平行な面内にありX軸と垂直な方向をY軸方向、主実装面の法線方向をZ軸方向とする。
【0019】
図2に示すように、ドラムコア20は、X軸方向に延びる棒状の巻芯部22と、巻芯部22の両端に備えられる一対のコア端部としての第1鍔部24および第2鍔部26と、を有する。第1鍔部24と第2鍔部26とは、略同じ形状を有し、これらは、X軸方向に関して所定の間隔を空けて、互いに略平行になるように巻芯部22に具備してある。
【0020】
巻芯部22は、一対の鍔部24,26において互いに向かい合うそれぞれの面の略中央部に接続しており、一対の鍔部24,26に一体化している。巻芯部22の横断面形状は、本実施形態では矩形であるが、円形でも良く、その断面形状は特に限定されない。
【0021】
ドラムコア20のZ軸方向の上端部には、図1Aに示す板状部材30が接着してあることが好ましい。板状部材30は、第1鍔部24の反実装側コア面24bと、第2鍔部26の反実装側コア面26bとを掛け渡すように、これらの反実装側コア面に接合してあることが好ましい。
【0022】
図2に示すように、第1鍔部24は、本実施形態では、全体として直方体で構成され、直方体のY軸方向の両側下部に、矩形の切り欠き24c3が形成してある。第1鍔部24は、Z軸方向の下面である実装側コア面24aと、その反対側の反実装側コア面24bと、X軸方向の外端面24cと、巻芯部22の方向を向いている内面24dと、Y軸方向の相互に反対側に位置する一対の側面24e,24eと、を有している。
【0023】
外端面24cのY軸方向の両側下方には、それぞれ外端面24cよりもX軸方向の内側(コア20の中心側)に凹んでいる端子取付面24c1がそれぞれ形成してある。それぞれの端子取付面24c1のY軸方向の中央には、端子絶縁凸部24c2が形成してあり、図1Aに示すように取り付けられる第1端子(端子具)51と第2端子(端子具)52とを絶縁している。図2に示すそれぞれの端子取付面24c1には、図3に示す第1端子51の端子本体51aの外端面密着部51a1の内面と、第2端子52の端子本体52aの外端面密着部52a1の内面が取り付けられ、必要に応じて接着される。
【0024】
図2に示す外端面24cに対して端子取付面24c1がX軸方向の内側に引き込まれている段差深さは、図3に示す第1端子51または第2端子52の板厚程度が好ましいが、それよりも浅くてもよく、深くてもよい。図3に示す第1端子51の形状と、第2端子52の形状とは、相互に線対称な形状である。
【0025】
第1端子51は、導電性端子板などで構成され、たとえば金属板などの一枚の導電性板材から折曲成形してある端子本体51aと突出板部51bとを有する。端子本体51aは、図2に示す鍔部24の外端面24cに形成してある片側の端子取付面24c1に接着剤などで取り付けられる略L字形状の外端面密着部51a1を有する。端子本体51aは、さらに、外端面密着部51a1のZ軸方向の下端からX軸方向に折り曲げて成形してある矩形板状の実装側密着部51a2を有する。
【0026】
図3に示す端子本体51aの外端面密着部51a1は、図2に示す鍔部24の端子取付面24c1に接着剤などで固定され、図3に示す実装側密着部51a2は、図2に示す実装側コア面24aに所定の隙間(隙間0でもよい)で密着する。図2に示す実装側コア面24aに密着する面と反対側に位置する実装側密着部51a2の外面は、副実装面51a3となっている。副実装面51a3の役割に関しては、後述する。
【0027】
図3に示す端子本体51aの実装側密着部51a2には、図2に示す鍔部24の下端で、鍔部24の実装側コア面24aからY軸方向の外側に突出する図3に示す突出板部51bが一体に成形してある。突出板部51bは、端子本体51aの実装側密着部51a2と面一にY軸方向の外側に伸びる基部51cと、基部51cの先端から折り返して曲げられている先端折曲部51dとを有する。
【0028】
本実施形態では、基部51cの先端部で、先端折曲片51dがZ軸方向の上側に折り返すように曲げてあり、先端折曲部51dの反対側に位置する基部51cの外面が、主実装面51c1となり、先端折曲片51dが位置する基部51cの内面が継線面(ワイヤ接続面)51c2となる。図1Cに示すように、基部51cの継線面51c2と先端折曲部51dとの間に、図1Bに示すコイル部40を構成する一方の第1ワイヤ41の一方の引出部のリード端41aが挟まれてカシメられる。カシメられた後は、ハンダ付けまたはレーザ溶接などにより端子51とワイヤ41のリード端41aとを接続してもよい。
【0029】
本実施形態では、図1Cに示すように、第1端子51の主実装面51c1と副実装面51a3とは、面一の外面となり、主として、主実装面51c1が外部回路基板(図示省略)の回路パターンに接続されるが、副実装面51a3も同時に接続されてもよい。外部回路基板(図示省略)の回路パターンへの接続方法は、特に限定されないが、たとえばハンダ接合が例示される。
【0030】
第2端子52も、第1端子51と同様に、導電性端子板などで構成され、たとえば金属板などの一枚の導電性板材から折曲成形してある端子本体52aと突出板部52bとを有する。端子本体52aは、図2に示す鍔部24の外端面24cに形成してある他方の端子取付面24c1に接着剤などで取り付けられる略L字形状の外端面密着部52a1を有する。端子本体52aは、さらに、外端面密着部52a1のZ軸方向の下端からX軸方向に折り曲げて成形してある矩形板状の実装側密着部52a2を有する。
【0031】
図3に示す端子本体52aの外端面密着部52a1は、図2に示す鍔部24の端子取付面24c1に接着剤などで固定され、図3に示す実装側密着部52a2は、図2に示す実装側コア面24aに所定の隙間(隙間0でもよい)で密着する。図2に示す実装側コア面24aに密着する面と反対側に位置する実装側密着部52a2の外面は、副実装面52a3となっている。副実装面52a3の役割は、副実装面51a3と同様である。
【0032】
図3に示す端子本体52aの実装側密着部52a2には、図2に示す鍔部24の下端で、鍔部24の実装側コア面24aからY軸方向の外側に突出する図3に示す突出板部52bが一体に成形してある。突出板部52bは、端子本体52aの実装側密着部52a2と面一にY軸方向の外側に伸びる基部52cと、基部52cの先端から折り返して曲げられている先端折曲部52dとを有する。
【0033】
本実施形態では、基部52cの先端部で、先端折曲片52dがZ軸方向の上側に折り返すように曲げてあり、先端折曲部52dの反対側に位置する基部52cの外面が、主実装面52c1となり、先端折曲片52dが位置する基部52cの内面が継線面(ワイヤ接続面)52c2となる。図1Cに示すように、基部52cの継線面52c2と先端折曲部52dとの間に、図1Bに示すコイル部40を構成する他方の第2ワイヤ42の一方の引出部であるリード端42aが挟まれてカシメられる。カシメられた後は、レーザ溶接またはハンダ付けなどにより端子52とワイヤ42のリード端42aとを接続してもよい。
【0034】
本実施形態では、図1Cに示すように、第2端子52の主実装面52c1と副実装面52a3とは、面一の外面となり、主として、主実装面52c1が外部回路基板(図示省略)の回路パターンに接続されるが、副実装面52a3も同時に接続されてもよい。外部回路基板(図示省略)の回路パターンへの接続方法は、特に限定されないが、たとえばハンダ接合が例示される。
【0035】
本実施形態では、第2鍔部26は、第1鍔部24と同様な構成を有するが、必ずしも同じではなくてもよい。本実施形態では、第2鍔部26は、図2に示すように、全体として直方体で構成され、直方体のY軸方向の両側下部に、矩形の切り欠き26c3が形成してある。第2鍔部26は、Z軸方向の下面である実装側コア面26aと、その反対側の反実装側コア面26bと、X軸方向の外端面26cと、巻芯部22の方向を向いている内面26dと、Y軸方向の相互に反対側に位置する一対の側面26e,26eと、を有している。
【0036】
外端面26cのY軸方向の両側下方には、それぞれ外端面26cよりもX軸方向の内側(コア20の中心側)に凹んでいる端子取付面26c1がそれぞれ形成してある。それぞれの端子取付面26c1のY軸方向の中央には、端子絶縁凸部(図示省略/端子絶縁凸部24c2に対応)が形成してあり、図3に示すX軸に沿って奥側の第1端子51と第2端子52とを絶縁している。図2に示すそれぞれの端子取付面26c1には、図3に示す第1端子51の端子本体51aの外端面密着部51a1の内面と、第2端子52の端子本体52aの外端面密着部52a1の内面が取り付けられ、必要に応じて接着される。
【0037】
図2に示す第2鍔部26に対する図3に示すX軸に沿って奥側の第1端子51と第2端子52との取り付け構造は、前述した図2に示す第1鍔部24に対する第1端子51と第2端子52との取り付け構造と同様なので、その詳細な説明は、省略する。
【0038】
図1Cに示すように、第1ワイヤ41の一方の引出部のリード端41aは、第1端子51の継線面51c2に接合してあり、第2ワイヤ42の一方の引出部のリード端42aは、第2端子52の継線面52c2に接合してある。また第1ワイヤ41の他方の引出部のリード端41bは、図3に示すX軸方向の奥側の第2端子52の継線面52c2に接合してあり、図1Cに示す第2ワイヤ42の他方の引出部のリード端42bは、図3に示すX軸方向の奥側の第1端子51の継線面51c2に接合してある。これらの接合のための手段としては、特に限定されず、レーザ溶接、ハンダ付けなどが好ましいが、これに限らず、溶接、抵抗溶接、超音波溶接、カシメ止め、熱圧着、熱融着などが例示される。
【0039】
図1A図1Bおよび図1Dに示すように、ドラムコア20の巻芯部22には、コイル部40が形成されている。コイル部40は、本実施形態では、2本のワイヤ41,42により構成される。ワイヤ41,42は、たとえば被覆導線で構成してあり、良導体(たとえば銅線)からなる芯材を絶縁性の被覆膜で覆った構成を有しており、巻芯部22に、たとえば2層構造で巻回されている。本実施形態では、各ワイヤ41,42における導体部分の横断面積は同一である。
【0040】
本実施形態では、第1ワイヤ41と第2ワイヤ42とは、巻芯部22に通常のバイファイラ巻きされるが、巻芯部22の巻軸方向に沿って所定の位置でクロス部が形成されてもよい。
【0041】
コイル装置10の製造では、まず、図3に示すそれぞれ一対の端子51および52を図2に示すドラムコア20に取り付ける。各端子51および52の外端面密着部51a1,52a1の内面のみが、端子取付面24c1または26c1に各々接着されることが好ましい。各端子51および52の実装側密着部51a2,52a2は、各鍔部24,26の実装側コア面24a,26aには、接着されないことが好ましい。図示しない外部回路基板の振動が直接に各鍔部24,26の実装側コア面24a,26aに伝達しないようにするためである。
【0042】
このようにして製造された端子51および52付きのドラム型のドラムコア20と平板部材30とワイヤ41,42とを準備する。ドラムコア20は、磁性体で構成され、たとえば、比較的透磁率の高い磁性材料、たとえばNi-Zn系フェライトや、Mn-Zn系フェライト、あるいは金属磁性体などで構成してある磁性粉体を、成型および焼結することにより作製される。好ましくは、平板部材30も、ドラムコア20と同じまたは異なる磁性材料で構成されるが、平板部材30は、必ずしも磁性材料で構成する必要はない。
【0043】
端子51および52は、たとえばリン青銅、タフピッチ鋼、純銅、真鍮、銀、金、あるいは金属系の合金でハンダ接合性があるものなどの金属端子で構成される。端子51および52の厚みは、特に限定されないが、好ましくは50~300μmである。
【0044】
ワイヤ41および42としては、たとえば、銅(Cu)などの良導体からなる芯材を、イミド変成ポリウレタンなどからなる絶縁材で覆い、さらに最表面をポリエステルなどの薄い樹脂膜で覆ったものを用いることができる。準備された端子51および52を設置したドラムコア20およびワイヤ41~42は、巻線機にセットされ、ワイヤ41~42が、所定の順序でドラムコア20の巻芯部22に巻回される。各ワイヤ41および42の線径は、特に限定されないが、好ましくは10~300μmである。
【0045】
本実施形態では、第1ワイヤ41と第2ワイヤ42とのバイファイラ巻きを行っている。巻回されたワイヤ41,42のワイヤ端である引出部のリード端41a,42a,41b,42bは、図3に示す所定の端子51および52の継線面51c2または52c2に先端折曲片51dまたは52dがカシメられた後に接続される。
【0046】
巻芯部22へのワイヤ41および42の巻回作業の後に、平板部材30を鍔部24,26の反実装側コア面24b,26bに接合する。接合のための手段としては、特に限定されないが、たとえば接着による方法が例示される。
【0047】
本実施形態に係るコイル装置10では、コイル部40から第1端子51の継線面51c2に至る第1ワイヤ41の一方の引出部41aのワイヤ長さと、コイル部40から第2端子52の継線面52c2に至る第2ワイヤ42の一方の引出部42aのワイヤ長さと、が略同じであることが好ましいが、異なっていてもよい。また好ましくは、コイル部40における第1ワイヤ41の巻回数と第2ワイヤ42の巻回数とが同じである。このように構成することで、モード変換特性がさらに向上する。
【0048】
本実施形態のコイル装置10では、図1Cに示すように、端子51(52)の主実装面51c1(52c1)と、ワイヤ41(42)のリード端41a(42a)が接続されるワイヤ接続面である継線面51c2(52c2)とが、基部51c(52c)の相互に反対側に位置する面に形成してある。そのため、継線面51c2(52c2)と主実装面51c1(52c2)とが、突出板部51b(52b)の基部51c(52c)のほぼ厚みのみで近接し、ワイヤ41(42)のリード端41a(42a)の接続部から外部回路基板(図示省略)へと至る端子51(52)の直流抵抗を極端に下げることが可能になる。そのため、コイル装置10の全体としての直流抵抗も極端に小さくすることができる。
【0049】
その結果、本実施形態のコイル装置10は、電源用途にも好ましく用いることができる。また、本実施形態のコイル装置10を信号系用途に用いる場合でも、挿入損失(IR/インサーションロス)の増大を抑制することが可能となり、たとえば100MHz以上の高周波の信号系用途にも好ましく用いることができる。
【0050】
また本実施形態では、金属板からなる端子51(52)の密着部の一部が、ドラムコア20の鍔部24(26)の一部(実装側コア面24a,26a以外)で接着することで、外部回路基板からの振動や熱変形力などが直接にドラムコアに伝達し難くなる。その結果、コイル装置10の外部回路基板への接続強度が向上する。
【0051】
また本実施形態では、図3に示すように、突出板部51b(52b)は、端子本体51a(52a)の実装側密着部51a2(52a2)に連続して図2に示す鍔部24(26)から飛び出している図3に示す基部51b(52b)を有する。また、図3に示すように、突出板部51b(52b)は、基部51b(52b)の先端側で折り返して曲げられる先端折曲部51d(52d)も有する。そして、図1Cに示すように、ワイヤ41(42)のリード端41a(42a/41bまたは42bも同様)は、基部51b(52b)と先端折曲部51d(52d)との間に挟まれてカシメられる。このように、ワイヤ41(42)のリード端41a(42a)を基部51b(52b)と先端折曲部51d(52d)との間に挟み込むことで、リード端41a(42a)の各端子51(52)への接続作業が容易になる。
【0052】
さらに本実施形態では、各端子51(52)の実装側密着部51a2(52a2)の外面には、主実装面51c1(52c2)と面一、または主実装面51c1(52c2)よりも内側に位置する副実装面51a3(52a3)が形成してある。このように構成することで、コイル装置10の実装強度が向上すると共に、コイル装置10を安定して回路基板(図示省略)などに実装することが容易になる。
【0053】
また本実施形態では、図1Cに示すように、ワイヤ41(42)のリード端41a(42a)が接続される位置で、主実装面51c1(52c1)に垂直なZ軸方向で、突出板部51b(52b)の先端折曲部51d(52d)と鍔部24(26)との間の隙間距離Z1が、突出板部51b(52b)の厚みの2倍以上である。このように構成することで、たとえばレーザ溶接あるいはハンダ付けなどにより、ワイヤ41(42)のリード端41a(42a)を突出板部51b(52b)に容易に接合することが可能である。また、回路基板(図示省略)などの熱変形応力などが鍔部に伝達し難くなり、回路基板などへのコイル装置10の接合強度が向上する。
【0054】
また本実施形態では、図1Aに示すように、第1鍔部24の反実装側コア面24bと第2鍔部26の反実装側コア面26bとに掛け渡される平板部材30をさらに有する。平板部材30を磁性体で構成することにより、磁性体で構成されるドラムコア20と組み合わされて閉磁路回路を構成することが可能になり、コイル装置20の磁気特性が向上する。
【0055】
なお、板状部材30は、非磁性体部材でもよい。また、板状部材30は、樹脂を塗布して形成してある部材でもよい。これらの板状部材30は、平坦面を有することが好ましい。平坦面には、ピックアップ用吸着部材が着脱自在に吸着可能であり、ハンドリング性が向上する。
【0056】
第2実施形態
本発明の第2実施形態に係るコイル装置は、以下の点が相違するのみであり、その他の構成は、前述した第1実施形態と同様であり、同様な作用効果を奏し、重複する部分の説明は省略する。また、図面において、第1実施形態と共通する部材には、共通する符号を付してある。
【0057】
図4Aおよび図5に示すように、この実施形態のコイル装置110は、図1A図3に示す第1実施形態のコイル装置10の第1端子51および第2端子52が、それぞれ第1端子151および第2端子152に置き換わっている。
【0058】
図5に示す第1端子151は、導電性端子板などで構成され、たとえば金属板などの一枚の導電性板材から折曲成形してある端子本体151aと突出板部151bとを有する。端子本体151aは、図2に示す鍔部24の外端面24cに形成してある片側の端子取付面24c1に接着剤などで取り付けられる外端面密着部151a1を有する。端子本体151aは、さらに、外端面密着部151a1のZ軸方向の下端からX軸方向に折り曲げて成形してある矩形板状の実装側密着部151a2を有する。
【0059】
図5に示す端子本体151aの外端面密着部151a1は、図2に示す鍔部24の端子取付面24c1に接着剤などで固定され、図5に示す実装側密着部151a2は、図2に示す実装側コア面24aに所定の隙間(隙間0でもよい)で密着する。図2に示す実装側コア面24aに密着する面と反対側に位置する図5に示す実装側密着部151a2の外面は、副実装面151a3となっている。副実装面151a3の役割に関しては、後述する。
【0060】
図5に示す端子本体151aの端面密着部151a1のY軸方向の外側端には、図2に示す鍔部24の側面24eの下部に密着する側面密着部151a4(図5参照)が一体的に形成してある。図5に示すように、側面密着部151a4のZ軸に沿って下方には、図2に示す鍔部24の側面24eからZ軸に沿って下方に突出する突出板部151bが端子本体151aと一体に形成してある。
【0061】
突出板部151bは、端子本体151aの側面密着部151a4と面一にZ軸に沿って下方に伸びる第1基部151eと、第1基部151eのZ軸に沿って下端からY軸に沿って内側に折り曲げて一体成形してある第2基部151cと、第2基部の先端から折り返して曲げられている先端折曲部151dとを有する。
【0062】
本実施形態では、第2基部151cの先端部で、先端折曲片151dがY軸方向の外側に折り返すように曲げてあり、先端折曲部151dの反対側に位置する第2基部151cの外面が、主実装面151c1となり、先端折曲片151dが位置する第2基部151cの内面が継線面(ワイヤ接続面)151c2となる。図4Aに示すように、第2基部151cの継線面151c2と先端折曲部151dとの間に、コイル部40を構成する一方の第1ワイヤ41の一方のリード端41aが挟まれてカシメられる。カシメられた後は、ハンダ付けまたはレーザ溶接などにより端子151とワイヤ41のリード端41aとを接続してもよい。
【0063】
本実施形態では、第1端子151の主実装面151c1は、副実装面151a3よりもZ軸に沿って所定距離Z2で下方に飛び出している。所定距離Z2は、好ましくは0よりも大きく、第1端子151を構成する板材の厚みの4倍以下(さらに好ましくは2倍以下)程度である。本実施形態では、主として、主実装面151c1が外部回路基板(図示省略)の回路パターンに接続されるが、副実装面151a3も同時に接続されてもよい。外部回路基板(図示省略)の回路パターンへの接続方法は、特に限定されないが、たとえばハンダ接合が例示される。
【0064】
図5に示す第2端子152も、第1端子151と同様に、導電性端子板などで構成され、たとえば金属板などの一枚の導電性板材から折曲成形してある端子本体152aと突出板部152bとを有する。端子本体152aは、図2に示す鍔部24の外端面24cに形成してある他方の片側の端子取付面24c1に接着剤などで取り付けられる外端面密着部152a1を有する。端子本体152aは、さらに、外端面密着部152a1のZ軸方向の下端からX軸方向に折り曲げて成形してある矩形板状の実装側密着部152a2を有する。
【0065】
図5に示す端子本体152aの外端面密着部151a1は、図2に示す鍔部24の端子取付面24c1に接着剤などで固定され、図5に示す実装側密着部152a2は、図2に示す実装側コア面24aに所定の隙間(隙間0でもよい)で密着する。図2に示す実装側コア面24aに密着する面と反対側に位置する図5に示す実装側密着部152a2の外面は、副実装面152a3となっている。副実装面152a3の役割は、副実装面151a3と同様である。
【0066】
図5に示す端子本体152aの端面密着部152a1のY軸方向の外側端には、図2に示す鍔部24の側面24eの下部に密着する側面密着部152a4(図5参照)が一体的に形成してある。図5に示すように、側面密着部152a4のZ軸に沿って下方には、図2に示す鍔部24の側面24eからZ軸に沿って下方に突出する突出板部152bが端子本体152aと一体に形成してある。
【0067】
突出板部152bは、端子本体152aの側面密着部152a4と面一にZ軸に沿って下方に伸びる第1基部152eと、第1基部152eのZ軸に沿って下端からY軸に沿って内側に折り曲げて一体成形してある第2基部152cと、第2基部152cの先端から折り返して曲げられている先端折曲部152dとを有する。
【0068】
本実施形態では、第2基部152cの先端部で、先端折曲片152dがY軸方向の外側に折り返すように曲げてあり、先端折曲部152dの反対側に位置する第2基部152cの外面が、主実装面152c1となり、先端折曲片1512が位置する第2基部152cの内面が継線面(ワイヤ接続面)152c2となる。図4Aに示すように、第2基部152cの継線面152c2と先端折曲部152dとの間に、コイル部40を構成する他方の第2ワイヤ42の一方のリード端42aが挟まれてカシメられる。カシメられた後は、ハンダ付けまたはレーザ溶接などにより端子152とワイヤ42のリード端42aとを接続してもよい。
【0069】
本実施形態では、第2端子152の主実装面152c1は、副実装面152a3よりもZ軸に沿って所定距離Z2で下方に飛び出している。本実施形態では、主として、主実装面152c1が外部回路基板(図示省略)の回路パターンに接続されるが、副実装面151a3も同時に接続されてもよい。外部回路基板(図示省略)の回路パターンへの接続方法は、特に限定されないが、たとえばハンダ接合が例示される。
【0070】
本実施形態のコイル装置110でも、第1実施形態のコイル装置10と同様な作用効果を奏する。また、特に、このコイル装置110では、端子151(152)の主実装面151cが形成してある第2基部151c(152c)と密着部151a4(152a4)とが、板バネ状の支持体である第1基部151e(152e)により一体的に連結してある。そのため、主実装面151cに接続される外部回路基板(図示省略)が外力や熱変形などにより撓んだり振動したとしても、第1期部151e(152e)が変形することで変形(力)や振動を吸収し、コイル装置110を有効に保護することができる。
【0071】
第3実施形態
本発明の第3実施形態に係るコイル装置は、以下の点が相違するのみであり、その他の構成は、前述した第2実施形態と同様であり、同様な作用効果を奏し、重複する部分の説明は省略する。また、図面において、第1実施形態および第2実施形態と共通する部材には、共通する符号を付してある。
【0072】
図4Bに示すように、この実施形態のコイル装置110αは、図4Aに示す第1端子151および第2端子152が、それぞれ第1端子151αおよび第2端子152αに置き換わっている。
【0073】
図4Bに示す第1端子151αは、導電性端子板などで構成され、たとえば金属板などの一枚の導電性板材から折曲成形してある端子本体151aと突出板部151bとを有する。端子本体151aは、鍔部24の外端面24cに形成してある片側の端子取付面に接着剤などで取り付けられる外端面密着部151a1を有する。端子本体151aは、さらに、外端面密着部151a1のZ軸方向の下端からX軸方向に折り曲げて成形してある矩形板状の実装側密着部151a2を有する。
【0074】
本実施形態では、図5に示す側面密着部151a4が形成されずに、図4Bに示すように、外端面密着部151a1のY軸方向の外側からZ軸方向の下方に向けて、突出する突出板部151bが端子本体151aと一体に形成してある。
【0075】
突出板部151bは、端子本体151aの外端面密着部151a1と面一にZ軸に沿って下方に伸びる第1基部151eと、第1基部151eのZ軸に沿って下端からX軸に沿って内側に折り曲げて一体成形してある第2基部151cと、第2基部の先端から折り返して曲げられている先端折曲部151dとを有する。
【0076】
本実施形態では、第2基部151cの先端部で、先端折曲片151dがX軸方向の外側に折り返すように曲げてあり、先端折曲部151dの反対側に位置する第2基部151cの外面が、主実装面151c1となり、先端折曲片151dが位置する第2基部151cの内面が継線面(ワイヤ接続面)151c2となる。図4Bに示すように、第2基部151cの継線面151c2と先端折曲部151dとの間に、コイル部40を構成する一方の第1ワイヤ41の一方のリード端41aが挟まれてカシメられる。カシメられた後は、ハンダ付けまたはレーザ溶接などにより端子151とワイヤ41のリード端41aとを接続してもよい。
【0077】
図4Bに示す第2端子152αも、第1端子151αと同様に、導電性端子板などで構成され、たとえば金属板などの一枚の導電性板材から折曲成形してある端子本体152aと突出板部152bとを有する。第2端子152αの構成は、Z軸およびX軸を基準として、第1端子151αに対して線対称な構成を有する。すなわち、第1端子151αの端子本体152a、外端面密着部152a1、実装側捕密着部152a2、副実装面152a3、突出板部152b、第2基部152c、主実装面152c1、継線面152c2、先端折曲部152dが、それぞれ、第2端子152αの端子本体151a、外端面密着部151a1、実装側捕密着部151a2、副実装面151a3、突出板部151b、第2基部151c、主実装面151c1、継線面151c2、先端折曲部151dに対応し、それらの重複する説明は省略する。
【0078】
本実施形態のコイル装置110αでも、第2実施形態のコイル装置110と同様な作用効果を奏する。
【0079】
第4実施形態
本発明の第4実施形態に係るコイル装置は、以下の点が相違するのみであり、その他の構成は、前述した第1実施形態または第2実施形態または第3実施形態と同様であり、同様な作用効果を奏し、重複する部分の説明は省略する。また、図面において、第1実施形態~第3実施形態と共通する部材には、共通する符号を付してある。
【0080】
図6Aに示すように、この実施形態のコイル装置に用いられる第1端子251は、図3に示す第1端子51の変形例であり、以下のように構成されている。
【0081】
第1端子251は、導電性端子板などで構成され、たとえば金属板などの一枚の導電性板材から折曲成形してある端子本体251aと突出板部251bとを有する。端子本体251aは、図2に示す鍔部24の外端面24cに形成してある片側の端子取付面24c1に接着剤などで取り付けられる略L字形状の外端面密着部251a1を有する。端子本体251aは、さらに、外端面密着部251a1のZ軸方向の下端からX軸方向に折り曲げて成形してある矩形板状の実装側密着部251a2を有する。
【0082】
図6Aに示す端子本体251aの外端面密着部251a1は、図2に示す鍔部24の端子取付面24c1に接着剤などで固定され、図6Aに示す実装側密着部251a2は、図2に示す実装側コア面24aに所定の隙間(隙間0でもよい)で密着する。図2に示す実装側コア面24aに密着する面と反対側に位置する実装側密着部251a2の外面は、副実装面251a3となっている。副実装面251a3の役割は、図3に示す副実装面51a3と同様である。
【0083】
図6Aに示す端子本体251aの実装側密着部251a2には、図2に示す鍔部24の下端で、鍔部24の実装側コア面24aからY軸方向の外側に突出する図6Aに示す突出板部251bが一体に成形してある。突出板部251bは、端子本体251aの実装側密着部251a2と面一にY軸方向の外側に伸びる基部251cと、基部251cの先端からZ軸に沿って下側に折り返して曲げられている先端折曲部251dとを有する。
【0084】
本実施形態では、基部251cの先端部で、先端折曲片51dがZ軸方向の下側に折り返すように曲げてあり、基部251cと反対側に位置する先端折曲部251dの外面が、主実装面251d1となり、基端部251cが位置する先端折曲片251dの内面が継線面(ワイヤ接続面)251d2となる。先端折曲部251dの継線面251d2と基部251cとの間に、コイル部40を構成する一方の第1ワイヤ41の一方のリード端41aが挟まれてカシメられる。カシメられた後は、ハンダ付けまたはレーザ溶接などにより端子251とワイヤ41のリード端41aとを接続してもよい。
【0085】
本実施形態では、第1端子251の主実装面251d1が副実装面251a3よりもZ軸に沿って下方に突出していおり、主として、主実装面251d1が外部回路基板(図示省略)の回路パターンに接続されるが、副実装面251a3も同時に接続されてもよい。外部回路基板(図示省略)の回路パターンへの接続方法は、特に限定されないが、たとえばハンダ接合が例示される。
【0086】
本実施形態では、第1端子251の先端折曲部251dの表面と裏面に、ワイヤ接合面となる継線面251d2および主実装面251d1がそれぞれ形成してある。
【0087】
なお、この実施形態のコイル装置に用いられる第2端子は、X軸およびZ軸に対して、第1端子251と対称形状であり、対称である以外は、同じ構成を有する。
【0088】
本実施形態の第1端子251の変形例として、図6Bに示す第1端子251αが例示される。この実施形態の第1端子251αでは、実装側密着部251a2と基部251cとの間に、段差部253が一体に形成してあり、基部251cの上面を実装側密着部251a2の上面よりもZ軸に沿って高くなるようにしてある。その結果、先端折曲部251dの主実装面251d1が副実装面251a3と面一に近づくようにしてある。
【0089】
図6Cは、図3に示す第1端子51のさらに変形例を示し、この変形例では、突出板部51bには、図3に示す先端折曲部51dが形成されず、第1ワイヤのリード端41aは、基部51cの継線面51C2に直接にレーザ溶接やハンダ付けあるいは熱融着などで接続される。
【0090】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
【0091】
たとえば、上述した実施形態では、第1鍔部24と第2鍔部26とを同じ構成にしたが、これらを異なる構成にしてもよい。また、図2に示すドラムコア20の鍔部24または26のY軸に沿って両側下方にそれぞれ形成される切り欠き24c3のY軸方向の幅は、大きくてもよい。たとえば両側の切り欠き24c3は、Y軸方向に繋がっていてもよい。その場合には、図2に示すドラムコア20の各鍔部24(26)の実装側コア面24a(26a)は、切り欠き24c3(26c3)の底面と面一となる。
【0092】
また、上述した各実施形態では、第1ワイヤ41と第2ワイヤ42の複数のワイヤをドラムコア20の巻芯部22に巻回してあるが、本発明では、単数のワイヤ、たとえば第1ワイヤ41のみをドラムコア20の巻芯部22に巻回してもよい。その場合には、第1ワイヤ41の両端の引出部41a,41bは、それぞれの鍔部24,26に装着してある第1端子51,51α,151,151α,251または251αのいずれかに接続されることになる。ただし、第1ワイヤ41の一方の引出部41aは、鍔部24に装着してある第1端子に接続され、他方の引出部41bは、鍔部26に装着してある第2端子に接続されてもよい。
【0093】
また、上述した実施形態では、双方の鍔部24および26にそれぞれ装着してある第1端子と第2端子とは、相互に絶縁されているが、単数のワイヤ、たとえば第1ワイヤ41のみをドラムコア20の巻芯部22に巻回する場合には、同じ鍔部24または26に装着してある第1端子と第2端子とは、電気的に接続されていてもよい。すなわち、同じ鍔部24または26に装着してある第1端子と第2端子とは、一枚の金属板から一体的に形成してあってもよい。
【符号の説明】
【0094】
10,110,110α… コイル装置
20… ドラムコア
22… 巻芯部
24… 第1鍔部
24a… 実装側コア面
24b… 反実装側コア面
24c… 外端面
24c1… 端子取付面
24c2… 端子絶縁凸部
24c3… 切り欠き
24d… 内面
24e… 側面
26… 第2鍔部
26a… 実装側コア面
26b… 反実装側コア面
26c… 外端面
26c1… 端子取付面
26c3… 切り欠き
26d… 内面
26e… 側面
30… 平板部材
40… コイル部
41… 第1ワイヤ
41a… 一方の引出部(リード端)
41b… 他方の引出部(リード端)
42… 第2ワイヤ
42a… 一方の引出部(リード端)
42b… 他方の引出部(リード端)
51,51α,151,151α,251,251α… 第1端子(端子具)
51a,151a,251a… 端子本体
51a1,151a1,251a1… 外端面密着部
51a2,151a2,251a2… 実装側密着部
51a3,151a3,251a3… 副実装面
151a4… 側面密着部
51b,151b,251b… 突出板部
51c,251c… 基部
51c1,151c1,251d1… 主実装面
51c2,151c2,251d2… 継線面(ワイヤ接続面)
151c… 第2基部
51d,151d,251d… 先端折曲部
151e… 第1基部
253… 段差部
52,152,152α… 第2端子(端子具)
52a,152a… 端子本体
52a1,152a1… 外端面密着部
52a2,152a2… 実装側密着部
52a3,152a3… 副実装面
152a4… 側面密着部
52b,152b… 突出板部
52c… 基部
52c1,152c1… 主実装面
52c2,152c2… 継線面(ワイヤ接続面)
152c… 第2基部
52d,152d… 先端折曲部
152e… 第1基部
図1A
図1B
図1C
図1D
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図6C