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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】情報処理装置、及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 5/30 20060101AFI20231219BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20231219BHJP
   G03G 15/01 20060101ALI20231219BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20231219BHJP
   G06F 3/12 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
B41J5/30 Z
B41J29/38 204
G03G15/01 Z
G03G21/00 370
G06F3/12 344
G06F3/12 308
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019216236
(22)【出願日】2019-11-29
(65)【公開番号】P2021084377
(43)【公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-10-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】劉 博
(72)【発明者】
【氏名】山口 慧
(72)【発明者】
【氏名】菊本 尚
(72)【発明者】
【氏名】田島 真吾
(72)【発明者】
【氏名】野口 大介
(72)【発明者】
【氏名】河部 匡剛
(72)【発明者】
【氏名】石川 将吾
【審査官】牧島 元
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-198917(JP,A)
【文献】特開2019-138991(JP,A)
【文献】特開2016-107490(JP,A)
【文献】特開2015-168224(JP,A)
【文献】特開2008-000902(JP,A)
【文献】特開2008-114565(JP,A)
【文献】特開2000-168202(JP,A)
【文献】特開2019-171666(JP,A)
【文献】特開2006-235933(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0085665(US,A1)
【文献】特開2011-133985(JP,A)
【文献】特開2014-194642(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 5/30
B41J 29/38
G03G 15/01
G03G 21/00
G06F 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
個別に作成されたデータを統合するようにデータの割り付けが行われた統合データ、及び前記統合データにおけるデータの割り付け構成を表す構成情報を取得し、
取得した前記構成情報に基づいて、前記統合データデータの割り付け構成が同じになる複数のデータ群に区分し、
区分した各々の前記データ群における属性値を用いて、前記統合データの属性値を推定する
情報処理装置。
【請求項2】
前記個別に作成されたデータは画像データであり、
前記プロセッサは、前記個別に作成された画像データを統合するようにページの面付けが行われた統合画像データ、及び前記統合画像データにおける画像の面付け構成を表す構成情報を取得し、
取得した前記構成情報に基づいて、前記統合画像データ画像の面付け構成が同じになる複数の画像データ群に区分し、
区分した各々の前記画像データ群における属性値を用いて、前記統合画像データの属性値を推定する
請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記画像データ群における属性値として、画像データをビットマップ形式で表されたラスタ画像データに変換する場合における単位時間あたりの変換ページ数を表す値を前記画像データ群毎に推定し、
推定した各々の前記画像データ群における前記単位時間あたりの変換ページ数を表す値を用いて、前記統合画像データによって表される画像全体を記録媒体に形成する場合における前記単位時間あたりの変換ページ数を、前記統合画像データの属性値として推定する
請求項2記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、前記画像データ群によって構成されるページのうち、予め設定されたページ数分に対応する画像データを用いて、前記画像データ群における前記単位時間あたりの変換ページ数を表す値を推定する
請求項3記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記画像データ群における属性値として、前記画像データ群によって構成されるページの1ページあたりの色材消費量を前記画像データ群毎に推定し、
推定した各々の前記画像データ群における1ページあたりの色材消費量と、前記構成情報から得られる各々の前記画像データ群によって構成される画像のページ数から、前記統合画像データによって表される画像全体を記録媒体に形成する場合に消費する色材消費量を、前記統合画像データの属性値として推定する
請求項2記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、前記画像データ群によって構成されるページのうち、予め設定されたページ数分に対応する画像データを用いて、前記画像データ群における1ページあたりの色材消費量を推定する
請求項5記載の情報処理装置。
【請求項7】
コンピュータに、
個別に作成されたデータを統合するようにデータの割り付けが行われた統合データ、及び前記統合データにおけるデータの割り付け構成を表す構成情報を取得し、
取得した前記構成情報に基づいて、前記統合データデータの割り付け構成が同じになる複数のデータ群に区分し、
区分した各々の前記データ群における属性値を用いて、前記統合データの属性値を推定する処理を実行させるための情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、画像形成装置における印刷におけるトナーの消費量を予測する印刷制御装置であって、前記画像形成装置での印刷が指示された印刷ジョブを画像データに展開する展開手段と、前記展開手段により展開して得られた画像データを解析し、印刷におけるトナーの消費量を予測する予測手段と、前記予測手段で予測されたトナーの消費量に基づく前記印刷ジョブで消費するトナーの消費量と、当該印刷ジョブに含まれる各ページのトナーの消費量と、を出力する出力手段とを備える印刷制御装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-282947号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
個別に作成されたデータを統合してデータの割り付けを行い、各々のデータを統合した統合データに対して処理を行うことがある。
【0005】
情報処理装置でこうした統合データの処理を行う場合、予め統合データの属性値を推定し、推定した属性値を参考にして、処理が支障なく行われるように情報処理装置の動作を規定する設定値を設定したり、ユーザに注意喚起したりすることがある。
【0006】
しかしながら、従来の情報処理装置では、例えば統合データの先頭ページというように統合データの先頭部分に着目し、着目したデータの属性値を用いて統合データ全体の属性値を推定していた。
【0007】
この場合、統合データは複数のデータが割り付けられて構成されるため、統合データに着目したデータと異なる割り付けの構成が含まれると、着目したデータの属性値から推定した統合データの属性値と実際の統合データの属性値との誤差が大きくなることがある。
【0008】
本発明は、個別に作成されたデータを統合してデータの割り付けを行った統合データを処理する場合に、統合データの先頭から部分的に取り出したデータを用いて統合データ全体の属性値を推定する場合と比較して、統合データ全体の属性値を精度よく推定することができる情報処理装置、及び情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1態様に係る情報処理装置は、プロセッサを備え、前記プロセッサは、個別に作成されたデータを統合するようにデータの割り付けが行われた統合データ、及び前記統合データにおけるデータの割り付け構成を表す構成情報を取得し、取得した前記構成情報に基づいて、前記統合データからデータの割り付け構成が同じになるデータ群を特定し、特定した各々の前記データ群における属性値を用いて、前記統合データの属性値を推定する。
【0010】
第2態様に係る情報処理装置は、第1態様に係る情報処理装置において、前記個別に作成されたデータは画像データであり、前記プロセッサは、前記個別に作成された画像データを統合するようにページの面付けが行われた統合画像データ、及び前記統合画像データにおける画像の面付け構成を表す構成情報を取得し、取得した前記構成情報に基づいて、前記統合画像データから画像の面付け構成が同じになる画像データ群を特定し、特定した各々の前記画像データ群における属性値を用いて、前記統合画像データの属性値を推定する。
【0011】
第3態様に係る情報処理装置は、第2態様に係る情報処理装置において、前記プロセッサは、前記画像データ群における属性値として、画像データをビットマップ形式で表されたラスタ画像データに変換する場合における単位時間あたりの変換ページ数を表す値を前記画像データ群毎に推定し、推定した各々の前記画像データ群における前記単位時間あたりの変換ページ数を表す値を用いて、前記統合画像データによって表される画像全体を記録媒体に形成する場合における前記単位時間あたりの変換ページ数を、前記統合画像データの属性値として推定する。
【0012】
第4態様に係る情報処理装置は、第3態様に係る情報処理装置において、前記プロセッサは、前記画像データ群によって構成されるページのうち、予め設定されたページ数分に対応する画像データを用いて、前記画像データ群における前記単位時間あたりの変換ページ数を表す値を推定する。
【0013】
第5態様に係る情報処理装置は、第2態様に係る情報処理装置において、前記プロセッサは、前記画像データ群における属性値として、前記画像データ群によって構成されるページの1ページあたりの色材消費量を前記画像データ群毎に推定し、推定した各々の前記画像データ群における1ページあたりの色材消費量と、前記構成情報から得られる各々の前記画像データ群によって構成される画像のページ数から、前記統合画像データによって表される画像全体を記録媒体に形成する場合に消費する色材消費量を、前記統合画像データの属性値として推定する。
【0014】
第6態様に係る情報処理装置は、第5態様に係る情報処理装置において、前記プロセッサは、前記画像データ群によって構成されるページのうち、予め設定されたページ数分に対応する画像データを用いて、前記画像データ群における1ページあたりの色材消費量を推定する。
【0015】
第7態様に係る情報処理プログラムは、コンピュータに、個別に作成されたデータを統合するようにデータの割り付けが行われた統合データ、及び前記統合データにおけるデータの割り付け構成を表す構成情報を取得し、取得した前記構成情報に基づいて、前記統合データからデータの割り付け構成が同じになるデータ群を特定し、特定した各々の前記データ群における属性値を用いて、前記統合データの属性値を推定する処理を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0016】
第1態様、及び第7態様によれば、個別に作成されたデータを統合してデータの割り付けを行った統合データを処理する場合に、統合データの先頭から部分的に取り出したデータを用いて統合データ全体の属性値を推定する場合と比較して、統合データ全体の属性値を精度よく推定することができる、という効果を有する。
【0017】
第2態様によれば、個別に作成された画像データを統合して画像データの面付けを行った統合画像データを処理する場合に、統合画像データの先頭から部分的に取り出した画像データを用いて統合画像データ全体の属性値を推定する場合と比較して、統合画像データ全体の属性値を精度よく推定することができる、という効果を有する。
【0018】
第3態様によれば、統合画像データの先頭から部分的に取り出した画像データを用いて統合画像データ全体における単位時間あたりの変換ページ数を推定する場合と比較して、情報処理装置の処理速度に画像データからラスタ画像データへの変換速度が追い付かないことによって発生する事象を抑制することができる、という効果を有する。
【0019】
第4態様によれば、各々の画像データ群の先頭ページだけから、各々の画像データ群における単位時間あたりの変換ページ数を表す値を推定する場合と比較して、統合画像データ全体における単位時間あたりの変換ページ数を精度よく推定することができる、という効果を有する。
【0020】
第5態様によれば、統合画像データの先頭から部分的に取り出した画像データを用いて、統合画像データによって表される画像全体を記録媒体に形成する場合に消費する色材消費量を推定する場合と比較して、統合画像データによって表される画像の形成中に色材が不足することによって発生する事象を抑制することができる、という効果を有する。
【0021】
第6態様によれば、各々の画像データ群の先頭ページだけから、各々の画像データ群における1ページあたりの色材消費量を推定する場合と比較して、統合画像データ全体における1ページあたりの色材消費量を精度よく推定することができる、という効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】情報処理システムの構成例を示す図である。
図2】情報処理システムにおける情報の流れの一例を示したシーケンス図である。
図3】画像データにおける面付け構成の一例を示す図である。
図4】画像データにおける面付け構成の他の一例を示す図である。
図5】構成情報テーブルの一例を示す図である。
図6】構成情報テーブルの他の一例を示す図である。
図7】サーバにおける電気系統の要部構成例を示す図である。
図8】画像形成装置における電気系統の要部構成例を示す図である。
図9】面付け処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図10】第1実施形態に係る画像形成処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図11】第2実施形態に係る画像形成処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、同じ構成要素及び同じ処理には全図面を通して同じ符合を付与し、重複する説明を省略する。
【0024】
<第1実施形態>
図1は、本実施の形態に係る情報処理システム1の構成例を示す図であり、図2は、情報処理システム1における情報の流れの一例を示したシーケンス図である。
【0025】
個別に作成されたデータを予め定められた構成に割り付けることで生成した統合データの処理を行うものであれば、情報処理システム1で取り扱うデータの種類に制約はないが、以降では一例として、画像データの処理を例にして情報処理システム1の説明を行う。
データの割り付けとは、個別に作成されたデータを所定のルールやユーザの指示に基づいて、ユーザが所望するデータ配列や構成となるように配置したり、データの加工を行ったりすることを指している。また、画像データにおけるデータの割り付け処理の一例としては、例えば面付け処理などが該当する。面付け処理とは、所定のルールやユーザの指示、若しくは予め定められた設定等に従って、個別に作成された複数の画像データを記録媒体上に並べて配置する処理である。
【0026】
図1に示すように、情報処理システム1はユーザ端末10、サーバ20、及び画像形成装置30を含み、ユーザ端末10、サーバ20、及び画像形成装置30はそれぞれ通信回線2に接続されている。
【0027】
ユーザ端末10は、ユーザが画像データを生成するための情報機器であり、ユーザ端末10は、ユーザによって指定された画像データをサーバ20に送信する(図2:F1参照)。画像データとは、画像形成装置30で用紙等の記録媒体への形成対象となる画像を表すデータのことであり、画像データには画像に限らず例えば文字等が含まれてもよく、更に、画像や文字のレイアウト情報等が含まれる。
【0028】
記録媒体への形成対象となる画像データは1つのデータとして生成されることもあるが、例えば複数のユーザが分担して画像データを生成し、最終的に各々のユーザが生成した各々の画像データを統合したり、あるユーザが複数の画像データを生成し、それら複数の画像データを統合したりすることで統合した画像データを生成し、そのような統合した画像データを画像形成装置30で記録媒体に形成することがある。したがって、情報処理システム1には複数のユーザ端末10が含まれることがあるが、1台のユーザ端末10を各々のユーザがシェアしてそれぞれ画像データを生成してもよいため、情報処理システム1に含まれるユーザ端末10の台数に制約はない。以降では、統合したデータを「統合データ」といい、特にデータが画像データである場合には、統合した画像データを「統合画像データ」ということにする。
【0029】
なお、通信回線2で用いられる通信プロトコルに制約はなく、通信回線2は有線回線であっても無線回線であってもよく、有線回線と無線回線が混在した回線であってもよい。更に、通信回線2は専用回線であっても、インターネットのように不特定多数のユーザと回線を共有する公衆回線であってもよい。
【0030】
サーバ20は、ユーザ端末10から受け付けた複数の画像データを統合して、統合画像データを生成する。画像データが本や冊子を構成するデータである場合、サーバ20は、製本工程で記録媒体の折り加工が行われた後、画像データが目的とする順番に並ぶように各々の画像データを記録媒体に配置する。また、サーバ20は本や冊子を構成する場合以外でも、1つの記録媒体面に異なる複数の画像データを配置して画像形成装置30に印刷を行わせる場合がある。例えばサーバ20は、記録媒体を効率的に使用するため、できるだけ記録媒体の余白が少なくなるように異なる複数の画像データを記録媒体上に配置して、画像形成装置30に印刷を行わせ、画像の印刷後にそれぞれの画像データに対応する印刷物が得られるように記録媒体を裁断する制御を行うこともあり得る。また、サーバ20は、記録媒体の裁断を行わずに、1つの記録媒体面に、複数の画像データに基づく画像が印刷された印刷物を得るようにしてもよい。このようにページ毎に画像データを記録媒体に配置する作業は、サーバ20によって実行される画像データの統合は面付け処理の一例である。
【0031】
図3は、サーバ20で実行される面付け処理の一例を示す図であり、例えば1000ページから成る画像データAと、2000ページから成る画像データBと、500ページから成る画像データCを面付けする例を示している。具体的には、図3は、統合画像データの1ページから500ページまでは1ページあたり2ページ分の画像データAを配置したページが並び、501ページから1500ページまでは1ページあたり2ページ分の画像データBを配置したページが並び、1501ページから1750ページまでは1ページあたり2ページ分の画像データCを配置したページが並ぶように面付けを行った例を示している。
【0032】
なお、図3に示した画像データの面付けは一例であり、面付けによる画像データの配置位置は予め設定された面付け情報に従う。面付け情報で指定される画像データの配置に制約はなく、サーバ20はユーザが指示した並び、またはサーバ20に予め設定されている並びとなるように画像データを配置する。
【0033】
例えば、サーバ20は図4に示すような面付け処理を行ってもよい。図4は、統合画像データの1ページから1000ページまでは1ページに画像データAと画像データBをそれぞれ配置したページが並び、1001ページから1250ページまでは1ページあたり2ページ分の画像データBを配置したページが並び、1251ページから1750ページまでは1ページに画像データBと画像データCをそれぞれ配置したページが並ぶように面付けを行った例を示している。
【0034】
更に、サーバ20は、面付けした統合画像データにおける画像の面付け構成を表す構成情報を生成する。
【0035】
図5は、構成情報を管理する構成情報テーブル4の一例を示す図である。図5に示すように、構成情報テーブル4は、構成区分、面付け数、構成内容、先頭ページ、及び終了ページを含み、構成情報テーブル4の行方向に統合画像データを構成する各々の構成情報が管理されている。
【0036】
構成区分は、統合画像データにおいて同じ面付け構成を有するページを識別するための識別子である。1つの構成区分は、面付け構成が同じになる画像データ群を構成する。面付け数は、対応する構成区分での1ページあたりの画像データの配置数を表す。構成内容は、各ページに配置される画像データの種類を表す。先頭ページは、統合画像データにおいて、対応する構成区分が開始する先頭のページ番号を表し、終了ページは、対応する構成区分が終了するページ番号を表す。
【0037】
例えば図3に示したように、統合画像データの1ページから500ページまで1ページあたり2ページ分の画像データAが配置されるように面付けが行われた場合、図5の構成情報テーブル4の構成区分には、例えば「構成A」という識別子が設定される。統合画像データでは1ページあたり2ページ分の画像データAが配置されるため、面付け数には“2”が設定され、構成Aの各ページに配置される2ページ分の画像データの種類は共に画像データAであるため、構成内容には「画像データA+画像データA」が設定される。また、構成Aの画像データ群は、統合画像データの1ページから500ページを構成することから、先頭ページには“1”、終了ページには“500”がそれぞれ設定される。
【0038】
同様に、構成Bには、統合画像データの501ページから1500ページまで1ページあたり2ページ分の画像データBを配置した面付けに対応する構成情報が設定され、構成Cには、1501ページから1750ページまで1ページあたり2ページ分の画像データCを配置した面付けに対応する構成情報が設定される。
【0039】
なお、図6は、図4に示したような面付け処理が行われた場合の構成情報テーブル4の一例を示す図である。
【0040】
統合画像データの1ページから1000ページまで、1ページに画像データAと画像データBが配置されるように面付けが行われた場合、図6の構成情報テーブル4の構成区分には、例えば「構成A」という識別子が設定される。統合画像データでは1ページに画像データAと画像データBがそれぞれ配置されるため、面付け数には“2”が設定され、構成Aの各ページに配置される画像データの種類は画像データAと画像データBであるため、構成内容には「画像データA+画像データB」が設定される。また、構成Aの画像データ群は、統合画像データの1ページから1000ページを構成することから、先頭ページには“1”、終了ページには“1000”がそれぞれ設定される。
【0041】
同様に、構成Bには、統合画像データの1001ページから1250ページまで1ページあたり2ページ分の画像データBを配置した面付けに対応する構成情報が設定され、構成Cには、1251ページから1750ページまで1ページに画像データBと画像データCをそれぞれ配置した面付けに対応する構成情報が設定される。こうした構成情報テーブル4は統合画像データ毎に生成される。
【0042】
サーバ20は、生成した統合画像データと統合画像データにおける面付け構成を表す構成情報を含む統合画像情報を、画像形成装置30に送信する(図2:F2参照)。
【0043】
画像形成装置30は、サーバ20から受け付けた統合画像情報に含まれる統合画像データによって表される画像を、構成情報で指定された面付け内容に従い記録媒体に形成する画像形成処理を行う。画像形成装置30で用いられる記録媒体の種類に制約はなく、例えばA4やA3等の個別の大きさに予め裁断されたカット紙であっても、ロール状に巻きつけられた切れ目のない連続紙であってもよいが、ここでは一例として、画像形成装置30は連続紙に画像を形成するものとする。
【0044】
なお、画像形成装置30は、統合画像データによって表される画像を記録媒体に形成する前に、統合画像データを構成する構成区分毎の画像データ群における属性値を用いて、統合画像データの属性値を推定する。
【0045】
属性値とは、データの特徴を表す値であり、データ自体の特徴だけでなく、画像形成装置30で当該データを処理する場合の処理を特徴付ける値も含まれる。
【0046】
例えば、統合画像データはページ記述言語で記述されているため、画像形成装置30は、統合画像データをビットマップ形式で表されたラスタ画像データに変換してから画像の形成を行う。このようにページ記述言語で記載された統合画像データによって表される画像を、画像形成装置30が記録媒体に形成できるように画素の集合情報、すなわち、ビットマップ形式に変換することを「ラスタライズ」というが、統合画像データをラスタ画像データに変換する場合における単位時間あたりの変換ページ数を表す値は、統合画像データの内容によって変化する。したがって、ラスタライズによる単位時間あたりの変換データ量(以降、「ラスタライズ性能」という)は、統合画像データの属性値の一例であり、例えば単位時間あたりの変換ページ数を表す値、単位時間当たりの変換画像面数を表す値、及び単位時間当たりの変換データ容量を表す値などが属性値の例として挙げられる。なお、ラスタライズ性能を、単位時間に転送できるラスタ画像データの転送データ量(転送速度ともいう)で定義しても、単位時間あたりのラスタ画像データへの変換データ量と転送速度を考慮して算出したデータ量で定義してもよい。
【0047】
本実施の形態では、ラスタライズ性能の単位として[ページ/分]を用いる例について説明するが、ラスタライズ性能の表示形態はこれに限らず、例えば1ページ分の画像をラスタライズするのに要する時間([時間/ページ])で表したり、特に、連続紙に画像を形成する場合には、ラスタ画像データへの変換能力を、1分間に画像を形成することができる連続紙の長さ([m/分])で表したりすることがある。
【0048】
なお、ラスタライズ性能の推定を例とした統合画像データの属性値の推定方法については、後ほど詳細に説明する。
【0049】
画像形成装置30は、推定した統合画像データの属性値に基づいて、画像形成装置30の動作を規定する設定値の設定や、画像形成処理に関するユーザへの注意喚起を行い、統合画像データによって表される画像がユーザの指定通りに効率よく連続紙に形成されるようにする。
【0050】
次に、サーバ20における電気系統の要部構成例について説明する。
【0051】
図7は、サーバ20における電気系統の要部構成例を示す図である。サーバ20は例えばコンピュータ40を用いて構成される。
【0052】
コンピュータ40は、情報処理プログラムに従って予め規定されたサーバ20の処理を実行するプロセッサの一例であるCPU(Central Processing Unit)41、コンピュータ40をサーバ20として機能させる情報処理プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)42、CPU41の一時的な作業領域として使用されるRAM(Random Access Memory)43、不揮発性メモリ44、及び入出力インターフェース(I/O)45を備える。そして、CPU41、ROM42、RAM43、不揮発性メモリ44、及びI/O45がバス46を介して各々接続されている。
【0053】
不揮発性メモリ44は、不揮発性メモリ44に供給される電力が遮断されても、記憶した情報が維持される記憶装置の一例であり、例えば半導体メモリが用いられるがハードディスクを用いてもよい。なお、サーバ20が生成する構成情報テーブル4はRAM43に記憶しても、不揮発性メモリ44に記憶してもどちらでもよい。
【0054】
一方、I/O45には、例えば通信ユニット47、入力ユニット48、及び表示ユニット49が接続される。
【0055】
通信ユニット47は通信回線2に接続され、ユーザ端末10及び画像形成装置30との間でデータ通信を行う通信プロトコルを備える。通信回線2には、ユーザ端末10及び画像形成装置30以外の図示しない外部装置が接続される場合があり、通信ユニット47はこうした図示しない外部装置との間でデータ通信を行う通信プロトコルも備える。
【0056】
入力ユニット48は、ユーザの指示を受け付けてCPU41に通知する装置であり、例えばボタン、タッチパネル、キーボード、及びマウス等が用いられる。音声によって指示を受け付ける場合には、入力ユニット48としてマイクが用いられることがある。
【0057】
表示ユニット49は、CPU41によって処理された情報を視覚的に表示する装置の一例であり、例えば液晶ディスプレイ及び有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等が用いられる。
【0058】
I/O45に接続されるユニットは一例であり、必要に応じて図7に示したユニット以外のユニットが接続されることは言うまでもない。
【0059】
なお、ユーザ端末10についても、図7に示したサーバ20における電気系統の要部構成例と同じ構成が用いられる。ただし、この場合、ROM42にはコンピュータ40をユーザ端末10として機能させるユーザ端末プログラムが記憶されることになる。
【0060】
一方、図8は、画像形成装置30における電気系統の要部構成例を示す図である。画像形成装置30は例えばコンピュータ50を用いて構成される。
【0061】
コンピュータ50は、画像形成プログラムに従って予め規定された画像形成装置30の処理を実行するプロセッサの一例であるCPU51、コンピュータ50を画像形成装置30として機能させる画像形成プログラムを記憶するROM52、CPU51の一時的な作業領域として使用されるRAM53、不揮発性メモリ54、及びI/O55を備える。そして、CPU51、ROM52、RAM53、不揮発性メモリ54、及びI/O55がバス56を介して各々接続されている。
【0062】
I/O55には、例えば通信ユニット57、操作ユニット58、画像形成ユニット59が接続される。
【0063】
通信ユニット57はサーバ20の通信ユニット47と同じく、通信回線2に接続され、通信回線2に接続する他の装置との間でデータ通信を行う通信プロトコルを備える。
【0064】
操作ユニット58は、ユーザに画像形成装置30とのインターフェースを提供する。具体的には、操作ユニット58には入力ユニット58A及び表示ユニット58Bが含まれる。
【0065】
入力ユニット58Aは、ユーザの指示を受け付けてCPU51に通知する装置であり、例えばボタン、タッチパネル、及びポインティングデバイス等が用いられる。音声によって指示を受け付ける場合には、入力ユニット58Aとしてマイクが用いられることがある。
【0066】
表示ユニット58Bは、CPU51によって処理された情報を視覚的に表示する装置の一例であり、例えば液晶ディスプレイ及び有機ELディスプレイ等が用いられる。
【0067】
なお、表示ユニット58Bには入力ユニット58Aの一例であるタッチパネルが重ねて取り付けられており、例えば表示ユニット58Bに表示された画面のボタンが押下されると、押下された位置の情報がタッチパネルに入力され、押下された位置に表示されたボタンに対応する処理がCPU51によって実行される。
【0068】
次に、サーバ20における面付け処理の動作について説明する。
【0069】
図9は、サーバ20が起動した場合に、サーバ20のCPU41によって実行される面付け処理の流れの一例を示すフローチャートである。面付け処理を規定するサーバプログラムは、例えばサーバ20のROM42に予め記憶されている。サーバ20のCPU41は、ROM42に記憶されるサーバプログラムを読み込み、面付け処理を実行する。なお、サーバ20の不揮発性メモリ44には予め面付け情報が記憶されているものとする。
【0070】
ステップS10において、CPU41は、ユーザ端末10から同じ統合画像データを構成するすべての画像データを受け付けたか否かを判定する。
【0071】
画像データには、例えば画像データが含まれる統合画像データの識別子、対応する面付け情報、統合画像データの分割数、及び画像データの識別子等、面付けに必要な情報が含まれる。したがって、CPU41は、例えば同じ統合画像データの識別子を含む画像データが、統合画像データの分割数で表される数だけ揃った場合に、同じ統合画像データを構成するすべての画像データを受け付けたと判定すればよい。例えば統合画像データの分割数が“3”であれば、同じ統合画像データの識別子を含む画像データを3種類受け付けた場合に、同じ統合画像データを構成するすべての画像データを受け付けたと判定する。
【0072】
同じ統合画像データを構成するすべての画像データを受け付けていない場合には、ステップS50に移行する。
【0073】
ステップS50において、CPU41は、サーバ20の操作者から面付け処理の終了指示を受け付けているか否かを判定する。面付け処理の終了指示を受け付けていない場合にはステップS10に移行して、ユーザ端末10から同じ統合画像データを構成するすべての画像データを受け付けたか否かを再度判定する。
【0074】
ユーザ端末10から同じ統合画像データを構成するすべての画像データを受け付けるまで、ステップS10とステップS50の判定処理を繰り返し実行し、ステップS10の判定処理において、ユーザ端末10から同じ統合画像データを構成するすべての画像データを受け付けたと判定された場合にはステップS20に移行する。
【0075】
ステップS20において、CPU41は、統合画像データに対応する面付け情報に従って、各々の画像データを組み合わせて配置した統合画像データを生成する。
【0076】
ステップS30において、CPU41は、ステップS20で生成した統合画像データの面付け構成を表す構成情報を生成し、構成情報テーブル4で管理する。
【0077】
ステップS40において、CPU41は、ステップS20で生成した統合画像データとステップS30で生成した構成情報を含む統合画像情報を、通信ユニット47を介して画像形成装置30に送信する。これにより、統合画像データによって表される画像を対象とした画像形成処理が画像形成装置30で実行されることになる。
【0078】
ステップS50において、CPU41は既に説明したように、サーバ20の操作者から面付け処理の終了指示を受け付けているか否かを判定し、面付け処理の終了指示を受け付けていない場合にはステップS10に移行して、別の統合画像データを構成する画像データを受け付ける。一方、面付け処理の終了指示を受け付けた場合には、図9に示す面付け処理を終了する。
【0079】
これに対して、図10は、サーバ20から統合画像情報を受け付けた場合に、画像形成装置30のCPU51によって実行される画像形成処理の流れの一例を示すフローチャートである。画像形成処理を規定する情報処理プログラムは、例えば画像形成装置30のROM52に予め記憶されている。画像形成装置30のCPU51は、ROM52に記憶される情報処理プログラムを読み込み、画像形成処理を実行する。
【0080】
ステップS100において、CPU51は、受け付けた統合画像情報に含まれる構成情報を参照して、統合画像データを構成する各画像データ群の区切りを示す区切り情報を取得する。具体的には、CPU51は構成情報の先頭ページを参照して、統合画像データにおいて面付け構成が変化する各々の構成区分における先頭ページのページ番号を区切り情報として取得する。
【0081】
ステップS110において、CPU51は、ステップS100で取得した区切り情報に基づいて、受け付けた統合画像情報に含まれる統合画像データから画像の面付け構成が同じになる画像データ群を特定し、統合画像データを画像データ群の構成区分に従った構成単位に区切る。統合画像情報に含まれる構成情報が図5図6に示した構成情報テーブル4に従う場合、統合画像データは構成A、構成B、及び構成Cの3つの構成に区切られることになる。
【0082】
ステップS120において、CPU51は、区切り情報に基づいてステップS110で統合画像データを区切ることで生成した構成から、何れか1つの構成を選択する。説明の便宜上、ステップS120で選択した構成を「選択構成」ということにする。
【0083】
ステップS130において、CPU51は、選択構成の画像データ群をラスタライズするのに要するラスタライズ性能を推定する。具体的には、CPU51は、選択構成の画像データ群によって構成されるページのうち、予め設定されたページ数分に対応する画像データを実際にラスタライズして、選択構成の画像データ群のラスタライズ性能を推定する。例えば、予め設定されたページ数(以降「設定ページ数」という)が1ページに設定されていれば、CPU51は、選択構成の画像データ群によって構成されるページの先頭ページに対応する画像データをラスタライズして、1ページ分の画像データをラスタライズするのに要する時間を取得し、当該取得した時間から1分間にラスタ画像データに変換できるページ数を算出してラスタライズ性能を推定する。
【0084】
設定ページ数は、例えば画像形成装置30の不揮発性メモリ54に予め記憶されており、画像形成装置30の管理者等により修正可能となっている。設定ページ数が大きくなるにつれて実際にラスタライズされるページ数が増加するため、選択構成の画像データ群に対するラスタライズ性能の推定精度が高くなる一方、ラスタライズ性能の推定に要する推定時間は長くなる。したがって、設定ページ数には、ラスタライズ性能の推定精度とラスタライズ性能の推定時間との兼ね合いを考慮した値が設定される。
【0085】
上記では一例として、選択構成の画像データ群によって構成されるページの先頭ページから設定ページ数分の画像データをラスタライズして、選択構成の画像データ群に対するラスタライズ性能を推定した。しかしながら、必ずしも画像データ群の先頭ページからラスタライズする必要はなく、選択構成の画像データ群によって構成されるページの途中から設定ページ数分の画像データのラスタライズを開始してもよい。選択構成の画像データ群に対するラスタライズ性能を推定するためにラスタライズを開始する開始ページも不揮発性メモリ54に予め記憶されており、画像形成装置30の管理者等により修正可能となっている。
【0086】
このようにして選択構成の画像データ群に対するラスタライズ性能を推定した後、ステップS140において、CPU51は、ステップS110で統合画像データを区切ることで生成した構成のうち、まだステップS120で選択していない未選択の構成が存在するか否かを判定する。未選択の構成が存在する場合にはステップS120に移行し、CPU51はステップS120で未選択の構成の中から何れか1つの構成を選択して、選択構成を更新する。すなわち、未選択の構成がなくなるまでステップS120~ステップS140の処理を繰り返し実行することで、統合画像データを構成する各々の画像データ群に対してラスタライズ性能が推定されることになる。
【0087】
すなわち、統合画像情報に含まれる構成情報が図5に示した構成情報テーブル4に従う場合、構成Aの画像データ群に対するラスタライズ性能R5aa、構成Bの画像データ群に対するラスタライズ性能R5bb、及び構成Cの画像データ群に対するラスタライズ性能R5ccが推定される。また、統合画像情報に含まれる構成情報が図6に示した構成情報テーブル4に従う場合、構成Aの画像データ群に対するラスタライズ性能R6ab、構成Bの画像データ群に対するラスタライズ性能R6bb、及び構成Cの画像データ群に対するラスタライズ性能R6bcが推定される。
【0088】
ステップS140の判定処理で、ステップS110で統合画像データを区切ることで生成した構成のうち、まだステップS120で選択していない未選択の構成は存在しないと判定された場合、ステップS150に移行する。
【0089】
ステップS150において、CPU51は、ステップS130で推定した統合画像データを構成する各画像データ群のラスタライズ性能を用いて、統合画像データ全体のラスタライズ性能(以降、「統合ラスタライズ性能」という)を推定する。推定した統合ラスタライズ性能にあわせて連続紙の搬送速度等、画像形成装置30の動作を規定する設定値の設定が行われることになるが、統合画像データを構成する各画像データ群のラスタライズ性能のうち、最も大きい値を統合ラスタライズ性能として推定した場合、最も大きい値のラスタライズ性能が対応付けられた画像データ群以外の画像データ群では、連続紙の搬送速度にラスタ画像データへの変換が間にあわなくなる。この場合、RAM53に設けられた、ラスタ画像データを画像形成ユニット59に転送する格納領域が空になることで、画像形成ユニット59が連続紙に形成するラスタ画像データがなくなり連続紙に白紙個所が現れる、いわゆる「間欠印刷」が発生する。
【0090】
したがって、CPU51は、統合画像データを構成する各画像データ群のラスタライズ性能のうち、最も小さい値を統合ラスタライズ性能とする。これにより、間欠印刷を起こさない統合ラスタライズ性能が得られる。
【0091】
統合画像情報に含まれる構成情報が図5に示した構成情報テーブル4に従う場合、統合ラスタライズ性能は、Min(R5aa,R5bb,R5cc)で表される。また、統合画像情報に含まれる構成情報が図6に示した構成情報テーブル4に従う場合、統合ラスタライズ性能は、Min(R6ab,R6bb,R6bc)で表される。関数Minは、かっこ内のカンマで区切られた複数の値のうち、最も小さい値を選択する関数である。
【0092】
なお、画像形成装置30で用いられる記録媒体がカット紙の場合、各画像データ群のラスタライズ性能のうち最も大きい値を統合ラスタライズ性能としても、ラスタ画像データが生成されるまでカット紙の搬送を停止することから間欠印刷は発生しない。その代わりに、各画像データ群のラスタライズ性能のうち最も小さい値を統合ラスタライズ性能とした場合と比較して、単位時間あたりの画像形成枚数が低下し、画像形成効率が低下することになる。
【0093】
ステップS160において、CPU51は、ステップS150で推定した統合ラスタライズ性能に応じた連続紙の搬送速度を設定する等、統合ラスタライズ性能に適した動作が行われるように画像形成装置30の動作を規定する設定値を設定して画像形成準備を行う。
【0094】
ステップS170において、CPU51は、ステップS160で設定した設定値に従って画像形成ユニット59を制御して、統合画像データで表される画像を連続紙に形成し、図10に示す画像形成処理を終了する。
【0095】
図10のステップS130では、設定ページ数分に対応する画像データを実際にラスタライズして、画像データ群毎のラスタライズ性能を推定したが、予め設定された時間(例えば1秒)に亘って画像データ群のラスタライズを行い、画像データ群毎のラスタライズ性能を推定してもよい。
【0096】
なお、CPU51は、ステップS150で推定した統合ラスタライズ性能を表示ユニット58Bに表示して、外部に通知するようにしてもよい。
【0097】
このように第1実施形態に係る画像形成装置30によれば、統合画像データから同じ面付け構成を有する画像データ群を特定し、特定した画像データ群毎に、例えばラスタライズ性能のような画像データ群の属性値を推定する。その上で、画像形成装置30は、各々の画像データ群の属性値を用いて、統合画像データの属性値を推定する。
【0098】
したがって、統合画像データにおける構成の変化を考慮せずに、統合画像データの先頭から部分的に取り出した画像データを用いて統合画像データ全体の属性値を推定する場合と比較して、統合画像データの属性値が精度よく推定されることになる。
【0099】
<第2実施形態>
第1実施形態では、統合画像データの属性値としてラスタライズ性能を推定する例について説明したが、第2実施形態では、統合画像データの属性値として統合画像データによって表される画像全体を記録媒体に形成する場合に消費する色材消費量を推定する。
【0100】
色材とは、記録媒体に付着して画像を指定された色で形成するために用いられる材料のことであり、カラーの画像を形成する画像形成装置30では、例えばイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びブラック(K)のトナーやインクが色材として用いられる。
【0101】
なお、第2実施形態における情報処理システム1の構成例、情報処理システム1における情報の流れ、サーバ20における電気系統の要部構成例、画像形成装置30における電気系統の要部構成例、及びサーバ20のCPU41によって実行される面付け処理は、それぞれ図1図2図7図8、及び図9と同じであるため説明を省略する。
【0102】
図11は、サーバ20から統合画像情報を受け付けた場合に、画像形成装置30のCPU51によって実行される画像形成処理の流れの一例を示すフローチャートである。図11に示す画像形成処理が図10に示した第1実施形態に係る画像形成処理と異なる点は、ステップS130及びステップS150がそれぞれステップS130A及びステップS150Aに置き換えられ、ステップS162~ステップS168の処理が新たに追加された点である。その他の処理は図10に示した第1実施形態に係る画像形成処理の処理と同じであるため、以下では、図10に示した第1実施形態に係る画像形成処理と異なる処理について説明する。
【0103】
ステップS120で何れか1つの画像データ群に対応する構成が選択された後、ステップS130Aが実行される。
【0104】
ステップS130Aにおいて、CPU51は、選択構成の画像データ群によって構成されるページのうち、設定ページ数分に対応する画像データを実際にラスタライズし、得られたラスタ画像データから1ページあたりの色材消費量を色材毎に推定する。例えば設定ページ数が3ページに設定されていれば、CPU51は、選択構成の画像データ群によって構成されるページの先頭ページから3ページ分の画像データをラスタライズし、YMCK毎に設定された各々の画像の画素値から各ページの色材消費量を色材毎に算出する。その上で、CPU51は、例えば各ページの色材消費量の平均値を色材毎に算出して、選択構成の画像データ群によって構成される画像1ページあたりの色材消費量を推定する。
【0105】
ここでは一例として、各ページの色材消費量の平均値を、選択構成の画像データ群によって構成される画像1ページあたりの色材消費量としたが、色材消費量の最大値や最小値といった他の統計量を用いて、選択構成の画像データ群によって構成される画像1ページあたりの色材消費量を推定してもよい。
【0106】
また、図10のステップS130の処理で説明したように、必ずしも選択構成の画像データ群によって構成されるページの先頭ページからラスタライズする必要はなく、選択構成の画像データ群によって構成されるページの途中から設定ページ数分の画像データのラスタライズを開始して、選択構成の画像データ群によって構成される画像1ページあたりの色材消費量を推定してもよい。
【0107】
未選択の構成がなくなるまでステップS120~ステップS140の処理を繰り返し実行することで、統合画像データを構成する各々の画像データ群に対して、1ページあたりの色材消費量が色材毎に推定されることになる。
【0108】
統合画像情報に含まれる構成情報が図5に示した構成情報テーブル4に従う場合、構成Aの画像データ群に対するそれぞれ1ページあたりのシアン色材の色材消費量C5aa、マゼンタ色材の色材消費量M5aa、イエロー色材の色材消費量Y5aa、及びブラック色材の色材消費量K5aaと、構成Bの画像データ群に対するそれぞれ1ページあたりのシアン色材の色材消費量C5bb、マゼンタ色材の色材消費量M5bb、イエロー色材の色材消費量Y5bb、及びブラック色材の色材消費量K5bbと、構成Cの画像データ群に対するそれぞれ1ページあたりのシアン色材の色材消費量C5cc、マゼンタ色材の色材消費量M5cc、イエロー色材の色材消費量Y5cc、及びブラック色材の色材消費量K5ccが推定される。また、統合画像情報に含まれる構成情報が図6に示した構成情報テーブル4に従う場合、構成Aの画像データ群に対するそれぞれ1ページあたりのシアン色材の色材消費量C6ab、マゼンタ色材の色材消費量M6ab、イエロー色材の色材消費量Y6ab、及びブラック色材の色材消費量K6abと、構成Bの画像データ群に対するそれぞれ1ページあたりのシアン色材の色材消費量C6bb、マゼンタ色材の色材消費量M6bb、イエロー色材の色材消費量Y6bb、及びブラック色材の色材消費量K6bbと、構成Cの画像データ群に対するそれぞれ1ページあたりのシアン色材の色材消費量C6bc、マゼンタ色材の色材消費量M6bc、イエロー色材の色材消費量Y6bc、及びブラック色材の色材消費量K6bcが推定される。
【0109】
ステップS140の判定処理で、ステップS110で統合画像データを区切ることで生成した構成のうち、まだステップS120で選択していない未選択の構成は存在しないと判定された場合、ステップS150Aに移行する。
【0110】
ステップS150Aにおいて、CPU51は、ステップS130Aで推定した各画像データ群における1ページあたりの色材毎の色材消費量を用いて、統合画像データによって表される画像全体を連続紙に形成する場合に消費する色材消費量(以降、「統合色材消費量」という)を色材毎に推定する。
【0111】
具体的には、CPU51は、統合画像データを構成する各画像データ群における1ページあたりの色材毎の色材消費量に、当該色材消費量の推定対象となっている画像データ群によって構成される画像のページ数を乗じることで得られる色材毎の色材消費量(以降「画像データ群における色材消費量」という)を算出する。その上で、CPU51は、統合画像データを構成する各画像データ群における色材消費量を色材毎に加算することで、統合色材消費量を色材毎に推定する。
【0112】
統合画像情報に含まれる構成情報が図5に示した構成情報テーブル4に従う場合、色材毎の統合色材消費量は(1)式によって推定される。
【0113】
【数1】
【0114】
ここで、Cはシアン色材の統合色材消費量、Mはマゼンタ色材の統合色材消費量、Yはイエロー色材の統合色材消費量、及びKはブラック色材の統合色材消費量を表す。
【0115】
また、統合画像情報に含まれる構成情報が図6に示した構成情報テーブル4に従う場合、色材毎の統合色材消費量は(2)式によって推定される。
【0116】
【数2】
【0117】
(1)式または(2)式に示した色材毎の統合色材消費量は、統合画像データによって表される画像全体を連続紙に形成する場合に画像形成装置30で消費する色材消費量の推定値となる。
【0118】
ステップS162において、CPU51は、画像形成装置30に備えられている色材毎の色材容量を画像形成ユニット59から取得する。
【0119】
ステップS164において、ステップS162で取得した色材容量と、ステップS150Aで推定した統合色材消費量を色材毎に比較する。少なくとも1つの色材の色材容量が統合色材消費量未満である場合、統合画像データによって表される画像の形成中に色材が不足してしまい、例えば色材が補充されるまで画像の形成が停止することがある。したがって、CPU51は、少なくとも1つの色材の色材容量が統合色材消費量未満であるか否か、すなわち、少なくとも1つの色材が不足するか否かを判定する。少なくとも1つの色材が不足する場合にはステップS166に移行する。
【0120】
ステップS166において、CPU51は、不足する色材の補充を行うように注意喚起する警告を表示ユニット58Bに表示する。CPU51は、この警告を音声で行ってもよい。色材の補充には、色材が入っている容器に色材を追加する形態の他、色材が不足している容器を色材の入った新品の容器に交換する形態も含まれる。
【0121】
ステップS168において、CPU51は、不足する色材の補充が完了したか否かを判定する。色材の補充が完了していない場合には、ステップS168の判定処理を繰り返し実行して、不足する色材の補充状況を監視する。一方、不足する色材の補充が完了した場合にはステップS170に移行し、CPU51は、統合画像データによって表される画像の形成を開始するように画像形成ユニット59を制御する。
【0122】
また、ステップS164の判定処理で何れの色材も不足していないと判定された場合には、色材の補充を行う必要はないためステップS170に移行し、CPU51は、統合画像データによって表される画像の形成を開始するように画像形成ユニット59を制御する。以上により、図11に示す画像形成処理を終了する。
【0123】
このように第2実施形態に係る画像形成装置30によれば、統合画像データから同じ面付け構成を有する画像データ群を特定し、特定した画像データ群毎に、例えば1ページあたりの色材消費量といった画像データ群の属性値を推定する。その上で、画像形成装置30は、各々の画像データ群における1ページあたりの色材消費量と、各々の画像データ群によって構成される画像のページ数から、統合画像データによって表される画像全体を連続紙に形成する場合に画像形成装置30で消費される色材消費量を色材毎に推定する。
【0124】
第1実施形態及び第2実施形態では、サーバ20で面付け処理を行う形態について説明したが、画像形成装置30で面付け処理を実行してもよい。この場合、ユーザ端末10は画像データを画像形成装置30に送信すればよいため、サーバ20が不要となる。逆に、画像形成装置30で実行される画像形成処理における統合画像データの属性値の推定を、サーバ20で実行してもよい。具体的には、例えば図10に示した第1実施形態に係る画像形成処理のステップS150までの処理と、図11に示した第2実施形態に係る画像形成処理のステップS150Aまでの処理をサーバ20で実行してもよい。
【0125】
また、統合画像データの属性値を、面付け構成が同じ画像データ群の属性値から推定する手法は画像形成装置30だけでなく、個別に作成されたデータを統合するようにデータの割り付けが行われた統合データを処理する情報処理装置にも適用される。この場合、情報処理装置は、統合データ及び統合データの構成情報を取得して、構成情報に基づき、統合データからデータの割り付け構成が同じになるデータ群を特定し、各々のデータ群における属性値を用いて統合データの属性値を推定すればよい。
【0126】
以上、実施の形態を用いて本発明について説明したが、本発明は実施の形態に記載の範囲には限定されない。本発明の要旨を逸脱しない範囲で実施の形態に多様な変更または改良を加えることができ、当該変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。例えば、本発明の要旨を逸脱しない範囲で処理の順序を変更してもよい。
【0127】
また、実施の形態では、一例として面付け処理及び画像形成処理をソフトウェアで実現する形態について説明したが、図9図11に示したフローチャートと同等の処理を、例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、またはPLD(Programmable Logic Device)に実装し、ハードウェアで処理させるようにしてもよい。この場合、各々の処理をソフトウェアで実現した場合と比較して、処理の高速化が図られる。
【0128】
このように、サーバ20のCPU41及び画像形成装置30のCPU51を例えばASIC、FPGA、PLD、GPU(Graphics Processing Unit)、及びFPU(Floating Point Unit)といった特定の処理に特化した専用のプロセッサに置き換えてもよい。
【0129】
実施の形態におけるサーバ20のCPU41及び画像形成装置30のCPU51の動作は、それぞれ1つのCPU41及びCPU51によって実現される形態の他、それぞれ複数のCPU41及びCPU51によって実現されてもよい。更に、実施の形態におけるサーバ20のCPU41及び画像形成装置30のCPU51の動作は、それぞれ物理的に離れた位置に存在するコンピュータ40におけるCPU41の協働、及びそれぞれ物理的に離れた位置に存在するコンピュータ50におけるCPU51の協働によって実現されるものであってもよい。
【0130】
また、上述した実施の形態では、ROM42及びROM52にプログラムがインストールされている形態について説明したが、これに限定されるものではない。実施の形態に係る各プログラムは、コンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記録された形態で提供することも可能である。例えば、各プログラムを、CD(Compact Disc)-ROM、またはDVD(Digital Versatile Disc)-ROM等の光ディスクに記録した形態で提供してもよい。また、実施の形態に係る各プログラムをUSB(Universal Serial Bus)メモリやメモリカード等の可搬型の半導体メモリに記録した形態で提供してもよい。
【0131】
更に、サーバ20及び画像形成装置30は、通信回線2に接続される外部装置からそれぞれ通信ユニット47及び通信ユニット57を経由してプログラムを取得するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0132】
1 情報処理システム、2 通信回線、4 構成情報テーブル、10 ユーザ端末、20 サーバ、30 画像形成装置、40(50) コンピュータ、41(51) CPU、42(52) ROM、43(53) RAM、44(54) 不揮発性メモリ、45(55) I/O、46(56) バス、47(57) 通信ユニット、48(58A) 入力ユニット、49(58B) 表示ユニット、58 操作ユニット、59 画像形成ユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11