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特許7404826インク補給容器セット、インク補給容器、および、その梱包体
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】インク補給容器セット、インク補給容器、および、その梱包体
(51)【国際特許分類】
   B65D 77/20 20060101AFI20231219BHJP
   B41J 2/175 20060101ALI20231219BHJP
   B65D 77/00 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
B65D77/20 E
B41J2/175 133
B65D77/00 C
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019216443
(22)【出願日】2019-11-29
(65)【公開番号】P2021084675
(43)【公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-10-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】工藤 幸治
(72)【発明者】
【氏名】川手 寛之
【審査官】杉田 剛謙
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-118453(JP,A)
【文献】特開2017-077901(JP,A)
【文献】特開2017-222152(JP,A)
【文献】特開2018-062372(JP,A)
【文献】特開昭63-022356(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0123510(KR,A)
【文献】中国実用新案第206142116(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 77/00-77/40
B65D 39/00-55/16
B41J 2/175
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インク補給容器セットであって、
インクが収容される容器本体と、前記容器本体に設けられ、前記容器本体から前記
インクを流出させる出口を有する出口ポートと、前記出口を封止する封止部材であって、
外力が加えられたときに前記出口の封止を開放するように構成されている封止部材と、を
備えるインク補給容器と、
前記出口ポートに着脱可能に取り付けられるインク出口部材であって、前記出口の
封止が開放された前記出口ポートに連通し、前記インク補給容器から前記インクを流出さ
せるノズルを有するインク出口部材と、
を備え
前記インク出口部材は、前記ノズルに連通する内部空間を有し、内壁面に第1ネジ
部が設けられた筒状の接続部を有し、
前記出口ポートの外周側面には、前記第1ネジ部に螺合する第2ネジ部が設けられ
ており、
前記インク出口部材は、前記接続部の内部において、前記出口ポートが接続される
方に向かって突起し、前記第1ネジ部と前記第2ネジ部とを螺号させたときに前記出口ポ
ート内に進入する長さを有する突起部を有し、
前記封止部材は、前記第1ネジ部と前記第2ネジ部とを螺号させたときに前記突起
部から受ける前記外力によって、前記出口の封止を開放する貫通孔が形成され、
前記インク出口部材は、前記ノズルと前記接続部との間に設けられ、前記インク出
口部材が前記出口ポートに取り付けられた状態で、前記出口の周縁部に対向する位置に配
置される天壁を有し、
前記突起部は、前記天壁から突起しており、
前記インク出口部材が前記出口ポートに取り付けられた状態で、前記天壁と前記出
口の周縁部とに挟まれる、パッキン部材をさらに備え、
前記突起部は、前記天壁と前記出口の周縁部とに挟まれて圧縮される前の状態にお
ける前記パッキン部材の厚み以下の長さを有している、インク補給容器セット。
【請求項2】
インク補給容器セットであって、
インクが収容される容器本体と、前記容器本体に設けられ、前記容器本体から前記
インクを流出させる出口を有する出口ポートと、前記出口を封止する封止部材であって、
外力が加えられたときに前記出口の封止を開放するように構成されている封止部材と、を
備えるインク補給容器と、
前記出口ポートに着脱可能に取り付けられるインク出口部材であって、前記出口の
封止が開放された前記出口ポートに連通し、前記インク補給容器から前記インクを流出さ
せるノズルを有するインク出口部材と、
を備え、
前記出口ポートは、前記出口の周縁の端面に前記出口の外周に沿った外周溝部が設
けられている、インク補給容器セット。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のインク補給容器セットであって、
前記出口ポートの内壁面には、前記出口から前記容器本体に向かって延びている内
壁溝部が設けられている、インク補給容器セット。
【請求項4】
インク補給容器セットであって、
インクが収容される容器本体と、前記容器本体に設けられ、前記容器本体から前記
インクを流出させる出口を有する出口ポートと、前記出口を封止する封止部材であって、
外力が加えられたときに前記出口の封止を開放するように構成されている封止部材と、を
備えるインク補給容器と、
前記出口ポートに着脱可能に取り付けられるインク出口部材であって、前記出口の
封止が開放された前記出口ポートに連通し、前記インク補給容器から前記インクを流出さ
せるノズルを有するインク出口部材と、
を備え、
前記出口ポートの内壁面には、前記出口から前記容器本体に向かって延びている内
壁溝部が設けられている、インク補給容器セット。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のインク補給容器セットであって、
らに、前記インク出口部材に着脱可能に取り付けられて、前記ノズルを封止するキャップ
部材を備える、インク補給容器セット。
【請求項6】
インク補給容器であって、
インクが収容される容器本体と、
前記容器本体に設けられ、前記容器本体から前記インクを流出させる出口を有する
出口ポートと、
前記出口ポートの外周側面に設けられ、前記出口ポートに取り付けられるインク出
口部材の内壁面に設けられている第1ネジ部に螺合する第2ネジ部と、
前記出口を封止する封止部材であって、外力が加えられたときに前記出口の封止を
開放するように構成されている封止部材と、を備え、
前記出口ポートは、前記出口の周縁の端面に前記出口の外周に沿った外周溝部が設
けられている、インク補給容器。
【請求項7】
請求項6に記載のインク補給容器であって、前記出口ポートの内壁面には、前記出
口から前記容器本体に向かって延びている内壁溝部が設けられている、インク補給容器。
【請求項8】
請求項7に記載のインク補給容器であって、前記内壁溝部の一端は、前記外周溝部
に連結されている、インク補給容器。
【請求項9】
インク補給容器であって、
インクが収容される容器本体と、
前記容器本体に設けられ、前記容器本体から前記インクを流出させる出口を有する
出口ポートと、
前記出口ポートの外周側面に設けられ、前記出口ポートに取り付けられるインク出
口部材の内壁面に設けられている第1ネジ部に螺合する第2ネジ部と、
前記出口を封止する封止部材であって、外力が加えられたときに前記出口の封止を
開放するように構成されている封止部材と、 を備え、
前記出口ポートの内壁面には、前記出口から前記容器本体に向かって延びている内
壁溝部が設けられている、インク補給容器。
【請求項10】
請求項6から請求項9のいずれか一項に記載のインク補給容器であって、
前記封止部材は、前記出口ポートから離れる方向への予め定められた大きさ以上の
前記外力を受けたときに前記出口ポートから剥離して前記出口の封止を開放するように、
前記出口の周縁に結合されているフィルム部材を含む、インク補給容器。
【請求項11】
請求項6から請求項9のいずれか一項に記載のインク補給容器であって、
前記封止部材は、ネジ式によって前記出口ポートに着脱可能に装着され、前記外力
による回転によって前記出口ポートから取り外されることにより、前記出口の封止を開放
する蓋部材を含む、インク補給容器。
【請求項12】
梱包体であって、
請求項6から請求項11のいずれか一項に記載のインク補給容器と、
前記インク出口部材を含まない状態で、前記インク補給容器を収容する梱包部材と
、 を備える、梱包体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、インク補給容器セット、インク補給容器、および、その梱包体に関する。
【背景技術】
【0002】
インク補給容器セットとしては、例えば、下記の特許文献1に、インクジェット式プリンターにおいて、インクタンクに対するインクの補給に用いられるボトルセットが開示されている。特許文献1のボトルセットは、インクを収容するインク収容部を構成する容器本体の先端に、インクを流出させるノズルを有するインク出口部材が取り付けられた構成を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-020787号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されているようなインク補給容器セットは、通常、容器本体に収容されている補給用のインクが無くなったときには、インク出口部材と容器本体とを含むインク補給容器セット全体が廃棄されることが多く、多数の部材が廃棄対象となっていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の技術の一形態は、インク補給容器セットであって、インクが収容される容器本体と、前記容器本体に設けられ、前記容器本体から前記インクを流出させる出口を有する出口ポートと、前記出口を封止する封止部材であって、外力が加えられたときに前記出口の封止を開放するように構成されている封止部材と、を備えるインク補給容器と、前記出口ポートに着脱可能に取り付けられるインク出口部材であって、前記出口の封止が開放された前記出口ポートに連通し、前記インク補給容器から前記インクを流出させるノズルを有するインク出口部材と、を備える、インク補給容器セットとして提供される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】液体噴射装置の構成を示す概略斜視図。
図2】第1実施形態のインク補給容器セットを示す概略側面図。
図3】第1実施形態のインク補給容器セットを示す概略断面図。
図4A】インク補給容器へのインク出口部材の取り付けを説明するための第1の概略図。
図4B】インク補給容器へのインク出口部材の取り付けを説明するための第2の概略図。
図5】第1実施形態における出口ポートの先端を示す概略斜視図。
図6】第1実施形態におけるインク補給容器の梱包体を示す概略図。
図7】第2実施形態における出口ポートの先端を示す概略斜視図。
図8】第3実施形態のインク補給容器セットを示す概略側面図。
図9】第3実施形態のインク補給容器セットを示す概略断面図。
図10】第3実施形態のインク出口部材を示す概略側面図。
図11】第3実施形態のインク出口部材を示す概略断面図。
図12】第3実施形態のインク出口部材を示す概略斜視図。
図13A】第3実施形態のインク出口部材の出口ポートへの取り付け過程を示す第1の概略図。
図13B】第3実施形態のインク出口部材の出口ポートへの取り付け過程を示す第2の概略図。
図13C】第3実施形態のインク出口部材の出口ポートへの取り付け過程を示す第3の概略図。
図14】第3実施形態における封止部材の接合状態を示す概略断面図。
図15】第4実施形態におけるインク補給容器セットの構成を示す模式図。
図16】第5実施形態の液体供給ユニットと第5実施形態のインク補給容器とを示す概略斜視図。
図17】第5実施形態のインク出口部材を示す概略斜視図。
図18】第5実施形態のインク出口部材の概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
1.第1実施形態:
図1は、液体噴射装置10の構成を示す概略斜視図である。液体噴射装置10は、いわゆるインクジェット式のプリンターとして構成されている。液体噴射装置10は、図示しない媒体に対して、インクを吐出することによって、印刷用紙などの媒体上に画像を形成する。液体噴射装置10で消費されるインクは、後述するインク補給容器セットをユーザーが用いることによって補給される。
【0008】
液体噴射装置10は、複数のインクタンク11を備える。インクタンク11には、液体噴射装置10において消費されるインクが貯留されている。各インクタンク11には、それぞれ異なる色のインクが収容されている。液体噴射装置10で用いられる色インクとしては、例えば、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックなどがある。各インクタンク11には、インクの補給を受け入れる注入口12が設けられている。注入口12は通常はキャップ12cによって気密に封止されており、インクが補給される際にはそのキャップ12cが取り外されて開放される。
【0009】
なお、液体噴射装置10が備えるインクタンク11の数は特に限定されることはない。他の実施形態では、液体噴射装置10は1つのインクタンク11のみを備える構成であってもよいし、2以上の任意の数のインクタンク11を備える構成であってもよい。また、インクタンク11に収容されるインクの色は、上述したものに限られない。インクとしては、例えば、特色インクが採用されてもよい。
【0010】
液体噴射装置10は、略直方体状の外装体であるハウジング13を備える。ハウジング13の前面には、ヒンジ機構14によって上下方向に回動して開閉するカバー部材15が設けられている。上述したインクタンク11は、そのカバー部材15上に一列に配列されている。カバー部材15が閉じられているときには、各インクタンク11は、縦横が反転した姿勢でハウジング13内に収納された状態となる。カバー部材15が開かれたときには、各インクタンク11は、カバー部材15とともに、ヒンジ機構14を支点として回動する。これによって、図示されているように、ハウジング13の前方において、注入口12がインクタンク11の上端において上方に向かって開口する状態で幅方向に一列に配列された状態となる。なお、液体噴射装置10は、ヒンジ機構14を支点として各インクタンク11が回動可能になっている構成を有していなくてもよい。液体噴射装置10では、各インクタンク11は、液体噴射装置10の前面において一列に配列された状態で固定的に設置されていてもよい。
【0011】
図1に示されるように、ハウジング13の前面には、さらに、印刷画像が形成された媒体が排出される排出口16と、ユーザーの操作を受け付けるボタンやタッチパネルを含む操作部17と、が設けられている。ハウジング13内には、主走査方向PDに往復移動するキャリッジ20と、キャリッジ20の下面に設けられている液体噴射ヘッド21と、キャリッジ20と各インクタンク11とを接続するインク供給チューブ23と、が収容されている。
【0012】
キャリッジ20は、ハウジング13内に設けられた図示しない駆動機構によって媒体の搬送路上において往復移動する。キャリッジ20の駆動機構としては、駆動モーターや、当該駆動モーターに接続されているプーリー、キャリッジ20が連結され、プーリーに巻き掛けられている無端ベルトなどが含まれる。インク供給チューブ23は、可撓性を有しており、キャリッジ20の往復移動に追従する。
【0013】
キャリッジ20内部には、インク供給チューブ23と液体噴射ヘッド21とを接続する図示しないインク流路や、インクを一時的に貯留する貯留部が設けられている。液体噴射ヘッド21は、インク供給チューブ23を通じてインクタンク11から供給されるインクを、キャリッジ20の下方において副走査方向SDに搬送されていく媒体に向かって噴射する。液体噴射ヘッド21は、例えばピエゾ素子によって圧力を印加するなど、公知の方法によって、液体を、液体噴射ヘッド21の下面に設けられている図示しないノズルから噴射する。
【0014】
液体噴射装置10は、さらに、ハウジング13内に、制御ユニット30を備えている。制御ユニット30は、液体噴射装置10の各構成部の駆動を制御する。制御ユニット30は、少なくとも、中央処理装置と、主記憶装置と、を備えるマイクロコンピューターによって構成される。制御ユニット30は、中央処理装置が主記憶装置に種々の指令やプログラムを読み込んで実行することによって液体噴射装置10を制御するための種々の機能を発揮する。制御ユニット30の機能の少なくとも一部は、ハードウェア回路によって構成されてもよい。制御ユニット30は、印刷処理を実行する機能のほか、例えば、インクタンク11におけるインク切れを検出した場合に、ユーザーに報知してインクの補給を促す機能を有する。
【0015】
図2図6を適宜、参照して、第1実施形態におけるインク補給容器セット40Aの構成を説明する。まず、図2および図3を参照する。図2は、インク補給容器セット40Aを構成するインク補給容器50Aと、インク出口部材60Aと、キャップ部材70と、それぞれ分離して示す概略側面図である。図2では、インク補給容器50A、インク出口部材60A、および、キャップ部材70の中心軸CXを図示してある。図3は、図2に示す中心軸CXを通る3-3切断におけるインク補給容器50A、インク出口部材60A、および、キャップ部材70の概略断面図である。なお、図2および図3では、インク補給容器50Aは、封止部材55Aによって出口52が封止された未使用の状態が示されている。
【0016】
インク補給容器セット40Aは、その構成部品として、インク補給容器50Aと、インク出口部材60Aと、キャップ部材70と、を備える。インク補給容器50Aは、液体噴射装置10に補給されるインクIKを収容する容器本体51と、容器本体51からインクIKを流出させる出口52を有する出口ポート53と、を備える。容器本体51と出口ポート53とは、樹脂材料の射出成形により一部材として一体的に作製される。容器本体51および出口ポート53を構成する樹脂材料としては、例えば、ポリプロピレンを採用することができる。
【0017】
容器本体51は、インク補給容器50Aの本体部を構成する中空部位である。第1実施形態では、容器本体51は、中心軸方向における一端が閉塞され、他端が開口している円筒状の構成を有する。容器本体51は、そうした円筒状の構成に限定されることはない。他の実施形態では、容器本体51は、例えば、多角筒状に構成されていてもよい。また、容器本体51は、例えば、直方体形状や多面体形状の中空部位、あるいは、曲面を有する壁部に囲まれた中空部位として構成されていてもよい。
【0018】
第1実施形態では、容器本体51の壁部は、ユーザーの外力によって弾性的に変形するように構成されている。これにより、ユーザーは、インクタンク11へのインクIKの補給の際には、容器本体51を圧搾してインクIKを押し出すことができる。他の実施形態では、容器本体51の壁部は、ユーザーの圧搾によってほとんど変形しない剛性を有していてもよい。
【0019】
出口ポート53は、容器本体51の開口を通じて容器本体51の内部空間に連通している管状の部位である。第1実施形態では、出口ポート53は、容器本体51から突出する円筒状の部位として構成されている。出口ポート53の先端には、上述した出口52が開口している。第1実施形態では、出口ポート53の中心軸は、容器本体51の中心軸上に位置している。他の実施形態では、出口ポート53の中心軸は、容器本体51の中心軸からずれた位置に位置していてもよい。出口ポート53の外周側面には、後述するインク出口部材60Aの第1ネジ部67に螺合する第2ネジ部54が設けられている。
【0020】
容器本体51は、さらに、出口52を気密に封止する封止部材55Aを備えている。封止部材55Aは、外力が加えられたときに出口52の封止を開放し、出口52からのインクの流出を可能にするように構成されている。封止部材55Aは、例えば、アルミニウム箔の表面に溶着層が形成されたフィルム部材によって構成される。封止部材55Aは、出口ポート53から離れる方向への予め定められた大きさ以上の外力を受けたときに出口ポート53から剥離するように、出口52の周縁に接合されている。封止部材55Aは、例えば、熱溶着によって出口ポート53に接合されている。封止部材55Aは、出口ポート53の先端面に接合される。封止部材55Aは、出口ポート53の側面に接合されてもよい。
【0021】
後述するように、封止部材55Aは、出口ポート53にインク出口部材60Aが取り付けられる前に、ユーザーによって出口ポート53から取り外される。容器本体51が出口ポート53の出口52を気密に封止している状態は、インク補給容器50Aが工場出荷時のままである未使用の状態であることを意味している。
【0022】
図3に示すように、第1実施形態では、出口ポート53における出口52の周縁の端面には、出口52の外周に沿った外周溝部56が設けられている。外周溝部56の詳細については後述する。
【0023】
インク出口部材60Aは、インク補給容器50Aの出口ポート53に着脱可能に取り付けられて、スパウトとして機能する部材である。インク出口部材60Aは、インク補給容器セット40Aの使用を開始するときに、ユーザーによってインク補給容器50Aに取り付けられる。インク出口部材60Aは、例えば、ポリプロピレン等の樹脂材料の射出成形によって作製される。インク出口部材60Aは、筒状の部材として構成されており、ノズル61と、キャップ取付部64と、接続部66と、天壁68と、を有する。
【0024】
ノズル61は、インク出口部材60Aの先端部を構成する管状の部位である。第1実施形態では、ノズル61は、キャップ取付部64に接続される後端側から先端側に向かって縮径している円筒状の部位として構成されている。ノズル61は、後端側から先端側に縮径しているテーパー状の部位として構成されているとしてもよい。ノズル61の先端には、インクIKが流出するノズル口62が開口している。液体噴射装置10へのインクIKの補給の際には、ノズル61の先端が、インクタンク11の注入口12内に挿入される。
【0025】
図2に示すように、ノズル61の外周側面には、中心軸CXから離れる方向に延び出ている板状部位63が設けられている。液体噴射装置10へのインクIKの補給の際には、板状部位63の先端側の端面がインクタンク11の注入口12の周縁部に当接することにより、注入口12に対するインク出口部材60Aの位置決めがなされる。これによって、インクタンク11にインクIKを補給する際のインク補給容器50Aおよびインク出口部材60Aの姿勢を安定させることができる。なお、他の実施形態では、板状部位63は省略されてもよい。
【0026】
キャップ取付部64は、中心軸CXに直交する径方向における寸法がノズル61より大きい円筒状の部位として構成されている。キャップ取付部64の外周側面には、後述するキャップ部材70における第3ネジ部72が螺合する第4ネジ部65が設けられている。
【0027】
接続部66は、インク出口部材60Aを出口ポート53に固定するための部位である。接続部66は、キャップ取付部64より後端に位置し、出口ポート53が収納される内部空間を有する筒状の部位として構成されている。接続部66は、径方向における寸法が、キャップ取付部64より大きい。また、接続部66の内径は、出口ポート53の外径よりも大きい。接続部66の内周壁面には、上述した出口ポート53の外周側面の第2ネジ部54に螺合する第1ネジ部67が設けられている。
【0028】
天壁68は、ノズル61と接続部66との間に設けられており、キャップ取付部64と接続部66とを連結する壁部である。天壁68は、インク出口部材60Aが出口ポート53に取り付けられたときに、出口ポート53の出口52の周縁と対向する位置に配置される。本明細書において、2つの対象物が「対向する」と言うときは、それら2つの対象物同士が直接的に面し合う状態と、それら2つの対象物同士が、他の物体を挟んで面し合う状態の両方を含む。インク出口部材60Aにおいて、天壁68は、キャップ取付部64とともに、ノズル61と接続部66との接続を中継する中継部として機能する。
【0029】
キャップ部材70は、インク出口部材60Aに着脱可能に取り付けられて、インク出口部材60Aのノズル61を封止する部材である。キャップ部材70は、例えばポリプロピレンなどの樹脂材料の射出成形によって作製される。キャップ部材70は、一端が閉塞され、他端が開口している筒状の部材として構成されている。上述したように、キャップ部材70の内周面には、インク出口部材60Aのキャップ取付部64に設けられた第4ネジ部65に螺合する第3ネジ部72が形成されている。キャップ部材70の内部には、キャップ部材70の端面から中心軸CXに沿って柱状に突起している栓部73が設けられている。栓部73は、キャップ部材70がインク出口部材60Aに取り付けられたときに、インク出口部材60Aのノズル口62内に挿入されてノズル口62を気密に封止する。
【0030】
図4Aおよび図4Bを参照して、インク補給容器50Aへのインク出口部材60Aの取り付け、および、インク出口部材60Aへのキャップ部材70の取り付けを説明する。図4Aを参照する。インク補給容器セット40Aの使用を開始するときには、ユーザーは、まず、インクIKが収容され、封止部材55Aによって出口ポート53の出口52が気密に封止されている未使用状態のインク補給容器50Aにインク出口部材60Aを取り付ける。インク補給容器50Aへのインク出口部材60Aの取り付けの際には、ユーザーによって、封止部材55Aが出口ポート53から剥離されることにより、出口52の封止が開放され、容器本体51のインクIKが出口52から流出可能な状態にされる。
【0031】
出口52の封止が開放された後、インク出口部材60Aの接続部66における第1ネジ部67を、出口ポート53の第2ネジ部54に螺号させることにより、図4Bに示すように、インク補給容器50Aにインク出口部材60Aが取り付けられる。なお、インク補給容器50Aへのインク出口部材60Aの取り付けの際には、インク出口部材60Aには、キャップ部材70が装着され、ノズル口62が封止された状態にされていることが望ましい。これにより、インク補給容器50Aへのインク出口部材60Aの取り付けの際に、インク補給容器50AのインクIKが誤って、ノズル口62からこぼれてしまうことを抑制できる。また、インク出口部材60Aが使用履歴のあるものであり、ノズル口62の周縁にインクIKが付着していたとしても、ノズル61がキャップ部材70によって覆われていれば、そのノズル口62周縁のインクIKが、ユーザーの手に付着することを抑制できる。
【0032】
ユーザーは、インクタンク11にインクIKを補給する際には、キャップ部材70をインク出口部材60Aから取り外し、ノズル口62が開放された状態のノズル61をインクタンク11の注入口12に挿入する。インクIKの補給が完了した場合には、ユーザーは、再び、キャップ部材70をインク出口部材60Aに装着する。これにより、容器本体51内に残っているインクIKがノズル口62からこぼれることや、ノズル口62の周縁に付着したインクIKによる汚損の発生を抑制することができる。また、キャップ部材70によって、インク補給容器50Aの内部空間が気密に保持されるため、インクIKの長期保存が可能になる。
【0033】
ここで、インク補給容器セット40Aのインク補給容器50Aは、収容しているインクIKがなくなったときには廃棄対象となる。これに対して、インク出口部材60Aやキャップ部材70は、新たに準備された未使用状態のインク補給容器50Aに取り付けて使用することができ、廃棄することなく、繰り返しの再利用が可能である。このように、インク補給容器セット40Aによれば、インク出口部材60Aやキャップ部材70の再利用が可能であり、インクIKの補給完了後に廃棄される材料を低減させることができる。よって、液体噴射装置10の運転コストの低減が可能である。
【0034】
図5を参照して、インク補給容器50Aの出口ポート53に設けられている外周溝部56について説明する。図5は、インク補給容器50Aの出口ポート53の先端を示す概略斜視図である。上述したように、出口ポート53における出口52の周縁の端面には、出口52の外周に沿った外周溝部56が設けられている。第1実施形態では、外周溝部56は、出口52を囲む円環状の溝として形成されている。図4Aを参照して説明したように、インク補給容器50Aの使用が開始される際には、出口ポート53から封止部材55Aが剥離される。出口52の周縁に外周溝部56が設けられていれば、封止部材55Aを剥離するときに、封止部材55Aの出口52に対向していた面に付着していたインクIKが出口ポート53の方に垂れていったとしても、外周溝部56にそのインクIKを貯留させることができる。また、封止部材55Aを剥離するときの勢いでインク補給容器50Aが揺れ、インク補給容器50Aの内部からインクIKが飛び出して出口52の周縁に付着しても、そのインクIKが出口ポート53の外周側面に垂れることを、外周溝部56によって抑制することができる。よって、外周溝部56を有することにより、ノズル口62から流出したインクIKによる汚損を抑制することができる。また、封止部材55Aが剥離されてインク出口部材60Aが取り付けられた後、使用途中で保管されているインク補給容器50Aにおいては、インク出口部材60Aが、再利用などのために出口ポート53から取り外される場合がある。こうした場合でも、インク出口部材60Aの内側や出口52周縁に付着しているインクIKを外周溝部56によって捕捉できるため、出口ポート53の外周側面に、そうしたインクIKが垂れ落ちることを抑制することができる。
【0035】
なお、他の実施形態では、外周溝部56は、出口52を環状に囲んでいなくてもよい。外周溝部56は、例えば、出口52の周りに出口52に沿って配列された複数の溝部によって構成されていてもよい。
【0036】
図6を参照して、未使用状態のインク補給容器50Aの市場での流通方法について説明する。図6は、未使用状態のインク補給容器50Aが梱包された梱包体80を示す概略図である。上記のように、未使用状態のインク補給容器50Aは、出口52が封止部材55Aによって気密に封止されているため、インク出口部材60Aやキャップ部材70とは別に、インク補給容器50A単体で市場に流通させることができる。第1実施形態では、インク補給容器50Aは、インク出口部材60Aやキャップ部材70が含まれない状態で梱包部材81によって梱包された梱包体80として工場から出荷され、市場に流通される。梱包部材81は、ポリエチレンなどの樹脂フィルムで構成された袋部材によって構成される。なお、梱包部材81は、そうした袋状の部材に限定されることはない。他の実施形態では、梱包部材81は、例えば、インク補給容器50Aを覆うように巻かれるフィルムや紙、布であってもよいし、インク補給容器50Aが収容される紙箱であってもよい。インク補給容器50Aを梱包部材81によって覆っておくことにより、インク補給容器50Aの損傷を抑制でき、インク補給容器50Aから封止部材55Aが剥離してしまうことを抑制できる。
【0037】
上記のように、梱包部材81には、インク出口部材60Aやキャップ部材70が含まれない。そのため、梱包部材81の小型化や使用材料の低減が可能であり、インク補給容器50Aを梱包部材81から取り出すとによって生じる廃棄物の量を低減できる。また、梱包体80を小型・軽量化できるため、梱包体80の輸送コストの低減も可能である。さらに、梱包体80にインク出口部材60Aやキャップ部材70を含めない状態でインク補給容器50Aを市場に流通させることにより、ユーザーにインク出口部材60Aやキャップ部材70の再利用を促すことができる。よって、インク補給容器セット40Aの使用によって、インク出口部材60Aやキャップ部材70が廃棄物として廃棄されることを抑制できる。
【0038】
以上のように、第1実施形態のインク補給容器セット40Aによれば、封止部材55Aによって出口52が気密に封止されているインク補給容器50Aを備えていることにより、インク補給容器セット40Aの使用によって生じる廃棄物の低減が可能である。
【0039】
2.第2実施形態:
図7は、第2実施形態のインク補給容器セット40Bが備えるインク補給容器50Bにおける出口ポート53の先端を示す概略斜視図である。図7では、便宜上、封止部材55Aを破線で図示してある。第2実施形態におけるインク補給容器セット40Bの構成は、インク補給容器50Bにおける出口ポート53の内壁面に内壁溝57が設けられている点以外は、第1実施形態のインク補給容器セット40Aの構成とほぼ同じである。
【0040】
第2実施形態のインク補給容器セット40Bは、第1実施形態のインク補給容器セット40Aと同様に、液体噴射装置10に対するインクIKの補給に用いられる。第2実施形態のインク補給容器セット40Bでは、第1実施形態と同様に、未使用状態のインク補給容器50Bの出口52は、封止部材55Aによって気密に封止されている。液体噴射装置10に対するインクIKの補給の際には、封止部材55Aを出口ポート53から剥離して、出口ポート53に、第1実施形態で説明したインク出口部材60Aが取り付けられる。また、第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、未使用状態のインク補給容器50Bは、梱包部材81によって梱包された梱包体80として市場に流通する。
【0041】
第2実施形態では、インク補給容器50Bの出口ポート53において、出口52を囲む内壁面には、出口52から容器本体51に向かって延びている内壁溝57が設けられている。第2実施形態では、内壁溝57は、その一端が、外周溝部56に連結されている。内壁溝57を有することにより、外周溝部56で貯留されたインクや、出口52の周囲の内壁面に付着したインクを、容器本体51の方へと誘導することができる。よって、封止部材55Aによる出口52の封止が開放された後のインク補給容器50Bから外部にインクが垂れてこぼれることを抑制することができる。また、封止部材55Aが剥離されてインク出口部材60Aが取り付けられた後、使用途中で保管されているインク補給容器50Aにおいては、外周溝部56に捕捉されたインクIKを、内壁溝57を通じてインク補給容器50Bの内部へと誘導させることができる。そのため、インク出口部材60Aを、例えば再利用などのために出口ポート53から取り外したときに、外周溝部56から出口ポート53の外周側面へとインクIKが垂れ落ちることを抑制できる。なお、内壁溝57は、出口ポート53に、複数本設けられていてもよいし、1本のみが設けられていてもよい。また、他の実施形態では、内壁溝57は、外周溝部56に接続されていなくてもよい。この場合でも、上述したように、出口52の周囲の内壁面に付着したインクを、容器本体51の方へと誘導することができる。
【0042】
以上のように、第2実施形態のインク補給容器セット40Bによれば、インク補給容器50Bの出口ポート53に設けられた内壁溝57によって、封止部材55Aによる出口52の封止が開放された後に、インク補給容器50Bの外にインクが垂れ落ちることを抑制できる。その他に、第2実施形態のインク補給容器セット40Bによれば、第1実施形態で説明したのと同様な種々の作用効果を奏することができる。
【0043】
3.第3実施形態:
図8は、第3実施形態におけるインク補給容器セット40Cの構成を示す概略側面図である。図8では、キャップ部材70が装着されたインク出口部材60Cと、封止部材55Cによって出口52が気密に封止されているインク補給容器50Cとが分離して配列された状態で図示されている。図8には、キャップ部材70、インク出口部材60C、および、インク補給容器50Cのそれぞれの中心軸CXが図示されている。図9は、図8に示す中心軸CXを通る9-9切断におけるインク補給容器セット40Cの概略断面図である。
【0044】
第3実施形態のインク補給容器セット40Cの構成は、以下に説明する点以外は、第2実施形態のインク補給容器セット40Bの構成とほぼ同じである。以下で参照する各図には、第1実施形態および第2実施形態で説明したのと同じ、または、対応する構成部に、同じ符号、または、末尾にアルファベットを付した符号を付してある。
【0045】
第3実施形態のインク補給容器セット40Cは、第2実施形態のインク補給容器セット40Bと同様に、液体噴射装置10に対するインクIKの補給に用いられる。また、第3実施形態においても、第2実施形態と同様に、未使用状態のインク補給容器50Cは、第1実施形態で説明した梱包部材81によって梱包された梱包体80として市場に流通する。
【0046】
第3実施形態のインク補給容器50Cでは、封止部材55Cは、インク出口部材60Cの取り付けの際にインク出口部材60Cの後述する突起部90から受ける外力によって貫通孔が形成される程度の強度を有する材料によって構成される。インク補給容器50Cでは、封止部材55Cにそうした貫通孔が形成されたときに、出口52の封止が開放される。封止部材55Cは、例えば、樹脂性のフィルム部材によって構成される。封止部材55Cは、第1実施形態で説明したのと同様に、例えば熱溶着によって、出口52の周縁に接合されている。詳細は後述するが、封止部材55Cは、外周溝部56の外側の領域に接合されている。第3実施形態では、封止部材55Cは、ユーザーが引っ張ったときに、出口ポート53から剥離しない程度の接合強度で出口52の周縁に接合されていることが望ましい。これによって、ユーザーが誤って封止部材55Cを剥離してインク補給容器50CからインクIKがこぼれてしまうことを抑制できる。
【0047】
図10図12を参照して、第3実施形態のインク出口部材60Cの構成を説明する。図10は、中心軸CXに直交する径方向に見たときのインク出口部材60Cの概略側面図である。図11は、図10に示す中心軸CXを通る11-11切断におけるインク出口部材60Cの概略断面図である。図12は、インク出口部材60Cを後端側から見たときの概略斜視図である。
【0048】
図11および図12に示すように、インク出口部材60Cの内部には、突起部90が設けられている。突起部90は、接続部66の内部において、インク出口部材60Cの内壁面からインク出口部材60Cの後端側、つまり、インク補給容器50Cの出口ポート53が接続される方に向かって突起している。第3実施形態では、突起部90は、天壁68から突起している。なお、他の実施形態では、突起部90は、キャップ取付部64の内壁面から接続部66の内部に向かって斜めに突起していてもよい。あるいは、突起部90は、ノズル61の後端部から接続部66の内部に向かって突起していてもよい。
【0049】
突起部90は、インク出口部材60Cの接続部66に設けられている第1ネジ部67とインク補給容器50Cの出口ポート53に設けられている第2ネジ部54とを螺号させたときに出口ポート53内に進入する長さを有している。詳細は後述するが、突起部90の先端部は、インク出口部材60Cがインク補給容器50Cに取り付けられる過程において封止部材55Cに到達して封止部材55Cを貫通することにより、封止部材55Cによる出口52の封止を開放する。第3実施形態では、図12に示すように、突起部90の先端部は、封止部材55Cを突き破りやすいように、鋭利な角度で尖っている。なお、突起部90の長さを調整することにより、インク出口部材60Cがインク補給容器50Cに取り付けられる過程において突起部90が封止部材55Cに到達して貫通孔を形成するタイミングを調整することが可能である。
【0050】
接続部66の内部には、パッキン部材92が配置されている。図9図11では、便宜上、パッキン部材92の表面には網点ハッチングを付し、パッキン部材92の断面には斜線ハッチングを付してある。パッキン部材92は、環状に形成されており、例えばゴムなどの樹脂性の弾性体によって構成されている。パッキン部材92は、接続部66の内壁面に沿って配置されており、天壁68に固定されている。後述するように、パッキン部材92は、インク出口部材60Cがインク補給容器50Cの出口ポート53に取り付けられたときに、天壁68と出口52の周縁部とに挟まれて圧縮される。パッキン部材92を有することにより、インク出口部材60Cがインク補給容器50Cに取り付けられたときに、パッキン部材92がシール部として機能し、インク出口部材60Cとインク補給容器50Cとの境界からインクIKが漏れ出すことが抑制される。
【0051】
第3実施形態では、上述した突起部90は、パッキン部材92に囲まれた領域内に設けられている。より具体的には、突起部90は、パッキン部材92の内周面に隣り合う位置に形成されている。これにより、突起部90をパッキン部材92によって保護させることができる。第3実施形態では、突起部90は、図11に示すように、圧縮されていない状態におけるパッキン部材92の厚みとほぼ同じ長さを有している。この理由については後述する。
【0052】
図13A図13Cを参照して、インク補給容器50Cの出口ポート53に対するインク出口部材60Cの取り付け過程を説明する。まず、図13Aおよび図13Bを参照する。インク補給容器50Cの出口ポート53にインク出口部材60Cの接続部66をかぶせ、インク出口部材60Cを中心軸CX周りに回転させて、接続部66の第1ネジ部67を出口ポート53の第2ネジ部54に螺号させていく。すると、パッキン部材92が天壁68と出口52の周縁部とに挟まれ、突起部90の先端が封止部材55Cに到達する。さらに、第1ネジ部67と第2ネジ部54とを螺号させていくと、パッキン部材92は次第に圧縮されて、突起部90の先端は、封止部材55C上において円弧を描くように移動し、封止部材55Cを切り裂いて貫通孔を形成していく。
【0053】
上記のように、第3実施形態では、突起部90は、図11に示すように、圧縮されていない状態におけるパッキン部材92の厚みとほぼ同じ長さを有している。そのため、突起部90の先端が封止部材55Cに到達するときには、パッキン部材92が圧縮され始めて、パッキン部材92によるシール性が発現し始める。よって、突起部90によって封止部材55Cに貫通孔が形成された直後に、インク補給容器50Cとインク出口部材60Cとの境界からインクが漏洩してしまうことを抑制できる。なお、他の実施形態では、突起部90は、圧縮されていない状態におけるパッキン部材92の厚みより短く構成されていてもよい。こうした構成であれば、突起部90の先端が封止部材55Cに到達するタイミングよりも、パッキン部材92が圧縮され始めるタイミングを早めることができる。よって、突起部90によって封止部材55Cに貫通孔が形成された直後におけるパッキン部材92によるシール性を高めることができる。
【0054】
図13Bおよび図13Cでは、封止部材55Cを破線で示すことによって、出口52の封止が開放されたことが模式的に示されている。図13Bおよび図13Cに示すように、第1ネジ部67と第2ネジ部54との螺号が進むほど、パッキン部材92は圧縮され、天壁68と出口52の周縁部との間の気密性が高められる。また、突起部90がより深く出口52内に挿入されるとともに、突起部90によって形成される封止部材55Cの貫通孔である裂け目が広がり、出口52を通じてインクIKがインク出口部材60C内に流出しやすくなる。
【0055】
図14を参照して、第3実施形態の封止部材55Cの接合状態を説明する。図14は、封止部材55Cが接合されている出口ポート53の先端部分を示す概略断面図である。図14では、出口ポート53に接合されていない封止部材55Cの未接合部位PPが出口ポート53から離れてめくれている状態が破線で模式的に示されている。
【0056】
第3実施形態のインク補給容器50Cの出口ポート53には、第3実施形態で説明した外周溝部56および内壁溝57が設けられている。上述したように、封止部材55Cは、出口ポート53の先端面における外周溝部56の外側の部位に接合されている。そのため、インクIKは、出口ポート53の先端面における外周溝部56の内周側の部位と封止部材55Cとの隙間を通じて、外周溝部56に到達することができる。これにより、インク出口部材60Cの突起部90によって貫通孔が形成されて出口52の封止が開放された後に、出口52の周縁に残っている封止部材55Cに付着したインクIKを、封止部材55Cの表面を伝って外周溝部56内へと流入させることができる。このように、封止部材55Cに付着して残留しているインクIKを外周溝部56によって捕捉することができるため、インク出口部材60Cをインク補給容器50Cから取り外したときに、そうしたインクIKが周囲に分散することを抑制できる。
【0057】
なお、他の実施形態では、封止部材55Cは、外周溝部56の内周側の部位にも接合されていてもよい。こうした構成であっても、ユーザーが、封止部材55Cを出口ポート53から剥離させたときに、インクIKが出口52から出口ポート53の外周側面へと垂れていくことを外周溝部56によって抑制できる。
【0058】
以上のように、第3実施形態のインク補給容器セット40Cによれば、インク出口部材60Cに突起部90が設けられていることによって、封止部材55Cを出口ポート53から剥離させなくても、出口52の封止を開放させることができる。よって、ユーザーが、封止部材55Cを剥離する手間や廃棄する手間なくなり、効率的である。また、封止部材55Cによる出口52の封止を開放する際に、ユーザーの手にインクIKが付着することを抑制できる。その他に、第3実施形態のインク補給容器セット40Cによれば、上記の各実施形態で説明したのと同様な種々の作用効果を奏することができる。
【0059】
4.第4実施形態:
図15は、第4実施形態のインク補給容器セット40Dの構成を示す模式図である。第4実施形態のインク補給容器セット40Dは、蓋部材によって構成された封止部材55Dを有するインク補給容器50Dを備えている点以外は、第2実施形態のインク補給容器セット40Bの構成とほぼ同じである。なお、図15では、図示は省略されているが、第4実施形態のインク補給容器セット40Dは、キャップ部材70を備えている。また、第4実施形態においても、第1実施形態と同様に、未使用状態のインク補給容器50Dは、梱包部材81によって梱包された梱包体80として市場に流通する。
【0060】
第4実施形態の封止部材55Dは、インク補給容器50Dの出口ポート53を内部に収納できる凹状の中空部材として構成されている。封止部材55Dは、例えば、ポリプロピレンなどの樹脂材料の射出成形によって作製される。封止部材55Dの内壁面には、出口ポート53の第2ネジ部54に螺合するネジ部55sが設けられており、封止部材55Dはネジ式により、着脱が可能な状態で出口ポート53に取り付けられる。インクタンク11へのインクの補給の際には、ユーザーは、封止部材55Dに外力を加えて回転させて、封止部材55Dを出口ポート53から取り外すことにより、出口52の封止を開放し、出口ポート53にインク出口部材60Aを取り付ける。
【0061】
第4実施形態のインク補給容器セット40Dによれば、封止部材55Dが、出口ポート53にネジ式で着脱可能に構成された蓋部材として構成されているため、出口52の封止の開放が容易化される。また、封止部材55Dを再び出口ポート53に取り付けて、出口52を封止することも可能である。その他に、第4実施形態のインク補給容器セット40Dによれば、上記の各実施形態で説明した種々の効果を奏することができる。
【0062】
5.第5実施形態:
図16図18を参照して第5実施形態を説明する。以下では、図16図18には、上記の各実施形態で説明したのと同じ、または、対応する構成部に、同じ符号、または、末尾にアルファベットを付した符号を付してある。
【0063】
図16は、第5実施形態の液体噴射装置が備える液体供給ユニット100と第5実施形態のインク補給容器セット40Eと、を示す概略斜視図である。図16には、液体供給ユニット100が備える1つのインクタンク11に対して、インク補給容器セット40Eを用いてインクの補給を行っている様子が模式的に示されている。
【0064】
第5実施形態の液体噴射装置の構成は、液体供給ユニット100を備えている点以外は、第1実施形態で説明した液体噴射装置10の構成とほぼ同じである。液体供給ユニット100は、複数のインクタンク11を備えており、液体噴射装置の液体噴射ヘッド21にインクを供給する。液体供給ユニット100は、複数のインクタンク11を収納する筐体101を備える。筐体101の前面には、ユーザーが各インクタンク11におけるインクレベル、つまり、インクの液面位置を視認するための窓部102が設けられている。
【0065】
また、筐体101は、ヒンジ機構103により開閉する蓋部材101cと、後述する注入口12を封止するキャップ12cが設けられているキャップレバーと、を備える。液体供給ユニット100では、蓋部材101cを開き、キャップレバーを回転させてキャップ12cを開いたときに、各インクタンク11の一部位を構成する導管111が露出するように構成されている。導管111は、インクタンク11に対して補給されるインクが流入するインク流路を構成する。各導管111の周囲には、インク補給容器セット40Eが備えるインク出口部材60Eの接続を受け入れるアダプター112が配置されている。アダプター112には、導管111が挿通される略円筒状の貫通孔が形成されている。導管111は、その貫通孔の中心において上方に向かって延びている。第5実施形態では、アダプター112の貫通孔と導管111とによってインクの補給を受け入れる注入口12が構成されている。インクタンク11に対するインクの補給の際には、インク出口部材60Eのノズル61が、注入口12の貫通孔に挿入され、注入口12の導管111がノズル61内に挿入される。アダプター112には、さらに、注入口12の周囲にインク出口部材60Eの後述する凸部69が挿入される一対の凹部115がインクタンク11ごとに設けられている。各凹部115は、注入口12を構成している貫通孔に連結されている。インク出口部材60Eの先端部は、その中心軸CXに沿って、注入口12および凹部115に挿入される。一対の凹部115は、インク出口部材60Eの挿入方向に沿って見たときに、円形の開口形状を有する注入口12を中心とする径方向に点対称な形態となるように設けられており、それぞれが矩形状の開口形状を有する。
【0066】
第5実施形態のインク補給容器セット40Eは、インク補給容器50Eと、インク出口部材60Eと、を備える。また、図示は省略されているが、インク補給容器セット40Eは、さらに、第1実施形態で説明したキャップ部材70を備えている。インク補給容器セット40Eでのインクの補給は、図16に示しように、インク出口部材60Eをインク補給容器50Eに取り付け、インク出口部材60Eの先端部をアダプター112の注入口12および凹部115に挿入させることによって行われる。インク出口部材60Eがアダプター112に接続されている状態では、インク補給容器50Cはアダプター112上で自立する。
【0067】
図17は、第5実施形態のインク出口部材60Eを示す概略斜視図である。図18は、図17に示す中心軸CXを通る18-18切断におけるインク出口部材60Eの概略断面図である。第5実施形態のインク出口部材60Eの構成は、以下に説明する点以外は、第3実施形態のインク出口部材60Cとほぼ同じである。
【0068】
図17に示すように、インク出口部材60Eでは、ノズル61の側面に、中心軸CXに沿って延びている一対の凸部69が設けられている。一対の凸部69は、中心軸CXを挟んで互いに対向する位置に設けられている。この凸部69の外周形状は、上述した液体供給ユニット100のアダプター112に設けられている凹部115の開口形状に対応する形状を有している。インク出口部材60Eのノズル61および凸部69が、注入口12および凹部115に挿入されると、インク出口部材60Eがアダプター112に固定されるため、インクタンク11に対するインクの補給を安定した姿勢で行うことができる。
【0069】
図17に示すように、インク出口部材60Eでは、接続部66の外周には、キャップ部材70の第3ネジ部72に螺合する第4ネジ部65が設けられている。インク出口部材60Eでは、接続部66が、キャップ部材70を取り付けるためのキャップ取付部64としても機能する。
【0070】
図18には、インク補給容器50Eにインク出口部材60Eが取り付けられた状態が図示されている。第5実施形態のインク補給容器50Eは、第3実施形態で説明したインク補給容器50Cと同様な構成を有しており、未使用状態では、出口52が封止部材55Cによって封止されている。インク出口部材60Eの内部には、第3実施形態で説明したのと同様な突起部90およびパッキン部材92が配置されている。インク出口部材60Eがインク補給容器50Eの出口ポート53に取り付けられたときには、突起部90によって、封止部材55Cに貫通孔が形成され、封止部材55Cによる封止が開放される。なお、図18では、封止部材55Cを破線で図示することにより、その封止が開放された状態であることを模式的に示している。
【0071】
図18に示すように、インク出口部材60Eでは、ノズル61内に弾性変形によって開閉する弁部材120が配置されていている。弁部材120は、ノズル口62を閉塞するように配置されている。弁部材120は、保持部材122によって下方から支持されることによりノズル61内に固定されている。弁部材120は、通常は気密に閉じられているスリット121を有する。弁部材120のスリット121は、図16に示す導管111の挿入を受け入れる。弁部材120のスリット121に導管111が挿入されると、容器本体51のインクIKが導管111の注入口12へと流入する。なお、導管111には、注入口12に連通するインク流路に加えて、インクタンク11の空気を容器本体51へと導入する空気流路がインク流路に並列に設けられている。インク補給容器セット40Eによる液体供給ユニット100へのインクの補給の際には、注入口12を通じて容器本体51からインクタンク11へとインクIKが流入し、同時に、インクタンク11の空気が、導管111の空気流路を通じて容器本体51へと流入する。
【0072】
第5実施形態のインク補給容器セット40Eによれば、アダプター112の凹部115へのインク出口部材60Eの接続により、インクタンク11に対して安定した姿勢でインクIKの補給を行うことができる。また、インクの補給の際には、ユーザーが容器本体51の圧搾を行わなくとも、上記のように、インクタンク11とインク補給容器50Cとの間で、導管111を通じてインクIKと空気とが交換される。よって、ユーザーが容器本体51を過度に圧搾して、インク補給容器50Cが劣化することが抑制される。その他に、第5実施形態のインク補給容器セット40Eによれば、上記の各実施形態で説明した種々の作用効果を奏することができる。
【0073】
6.他の実施形態:
上記の各実施形態で説明した種々の構成は、例えば、以下のように改変することが可能である。以下に説明する他の実施形態はいずれも、上記の各実施形態と同様に、本開示の技術を実施するための形態の一例として位置づけられる。
【0074】
・他の実施形態1:
上記の各実施形態のインク補給容器セット40A,40B,40C,40Dでは、キャップ部材70は省略されてもよい。この場合には、インク出口部材60A,60Cにおいて、キャップ取付部64は省略されてもよい。
【0075】
・他の実施形態2:
上記の各実施形態において、インク出口部材60A,60Cは、ネジ式以外の方法によって、インク補給容器50A,50B,50C,50Dの出口ポート53に取付けられてもよい。インク出口部材60A,60Cは、例えば、気密に嵌合する状態で出口ポート53に取り付けられるのみでもよい。
【0076】
・他の実施形態3:
上記の各実施形態において、出口ポート53の先端面には、外周溝部56が形成されていなくてもよい。また、出口ポート53には、外周溝部56が設けられることなく、内壁溝57のみが設けられていてもよい。
【0077】
・他の実施形態4:
上記の各実施形態のインク補給容器50A,50B,50C,50Dは、梱包部材81によって梱包されることなく工場から出荷されて市場に流通されてもよい。
【0078】
・他の実施形態5:
上記第3実施形態において、封止部材55Cは、突起部90に押圧されたときに、出口52の周縁から剥がれて、出口52の封止を開放するように構成されていてもよい。
【0079】
・他の実施形態6:
上記の各実施形態のインク補給容器セット40A,40B,40C,40Dは、プリンター以外のインクの補給に用いられてもよい。本開示において「インク」とは一般的な水性インクおよび油性インク並びに染料インク、顔料インク、ジェルインク、ホットメルトインク等の各種の液体状組成物を包含する。
【0080】
7.形態例:
本開示の技術は、上述の各実施形態や実施例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態によって実現することができる。例えば、本開示の技術は以下の形態として実現可能である。以下に記載する各形態中の技術的特徴に対応する上記の各実施形態中の技術的特徴は、本開示の技術が達成すべき課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、本開示の技術が奏すべき効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中において必須であると説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【0081】
(1)第1の形態は、インク補給容器セットであって、インクが収容される容器本体と、前記容器本体に設けられ、前記容器本体から前記インクを流出させる出口を有する出口ポートと、前記出口を封止する封止部材であって、外力が加えられたときに前記出口の封止を開放するように構成されている封止部材と、を備えるインク補給容器と、前記出口ポートに着脱可能に取り付けられるインク出口部材であって、前記出口の封止が開放された前記出口ポートに連通し、前記インク補給容器から前記インクを流出させるノズルを有するインク出口部材と、を備える、インク補給容器セットとして提供される。
この形態のインク補給容器セットによれば、封止部材によってインクが密封されている新しいインク補給容器に交換する場合に、インク出口部材を、交換後のインク補給容器に対して再利用することができる。よって、インク出口部材がインク補給容器とともに廃棄されることを抑制でき、廃棄物の増加を抑制できる。
【0082】
(2)上記形態のインク補給容器セットにおいて、インク出口部材は、前記ノズルに連通する内部空間を有し、内壁面に第1ネジ部が設けられた筒状の接続部を有し、前記出口ポートの外周側面には、前記第1ネジ部に螺合する第2ネジ部が設けられており、前記インク出口部材は、前記接続部の内部において、前記出口ポートが接続される方に向かって突起し、前記第1ネジ部と前記第2ネジ部とを螺号させたときに前記出口ポート内に進入する長さを有する突起部を有し、前記封止部材は、前記第1ネジ部と前記第2ネジ部とを螺号させたときに前記突起部から受ける前記外力によって、前記出口の封止を開放する貫通孔が形成されてよい。
この形態のインク補給容器セットによれば、インク補給容器の出口ポートにインク出口部材を取り付けるとき、インク出口部材の突起部によって、封止部材に貫通孔が形成され、出口ポートの出口からのインクの流出が可能な状態にすることができる。よって、ユーザーが封止部材を出口ポートから取り外す手間をなくすことができる。
【0083】
(3)上記形態のインク補給容器セットにおいて、前記インク出口部材は、前記ノズルと前記接続部との間に設けられ、前記インク出口部材が前記出口ポートに取り付けられた状態で、前記出口の周縁部に対向する位置に配置される天壁を有し、前記突起部は、前記天壁から突起しており、前記インク出口部材が前記出口ポートに取り付けられた状態で、前記天壁と前記出口の周縁部とに挟まれる、パッキン部材をさらに備えてよい。
この形態のインク補給容器セットによれば、突起部によって封止部材に貫通孔が形成された後に、パッキン部材をシール部として機能させることができるため、インク補給容器とインク出口部材との境界からインクが漏れ出すことを抑制することができる。
【0084】
(4)上記形態のインク補給容器セットにおいて、前記突起部は、前記天壁と前記出口の周縁部とに挟まれて圧縮される前の状態における前記パッキン部材の厚み以下の長さを有していてよい。
この形態のインク補給容器セットによれば、突起部が封止部材に到達するときには、パッキン部材が圧縮された状態にすることができる。よって、突起部によって封止部材に貫通孔が形成された直後に、インクが漏洩してしまうことを抑制できる。
【0085】
(5)上記形態のインク補給容器セットにおいて、前記出口ポートは、前記出口の周縁の端面に前記出口の外周に沿った外周溝部が設けられてよい。
この形態のインク補給容器セットによれば、外周溝部にインクを捕捉させることができるため、出口ポートの外周側面にインクが垂れ落ちることを抑制できる。
【0086】
(6)上記形態のインク補給容器セットにおいて、前記出口ポートの内壁面には、前記出口から前記容器本体に向かって延びている内壁溝部が設けられてよい。
この形態のインク補給容器セットによれば、内壁溝部によって、出口ポートにおける出口付近の内壁面に付着したインクを容器本体の方へと誘導することができる。よって、出口ポートの出口からインクがこぼれ出すことを抑制することができる。
【0087】
(7)上記形態のインク補給容器セットは、さらに、前記インク出口部材に着脱可能に取り付けられて、前記ノズルを封止するキャップ部材を備えてよい。
この形態のインク補給容器セットによれば、キャップ部材によってノズルからのインクの漏洩を抑制できる。
【0088】
(8)第2の形態は、インク補給容器であって、インクが収容される容器本体と、前記容器本体に設けられ、前記容器本体から前記インクを流出させる出口を有する出口ポートと、前記出口ポートの外周側面に設けられ、前記出口ポートに取り付けられるインク出口部材の内壁面に設けられている第1ネジ部に螺合する第2ネジ部と、前記出口を封止する封止部材であって、外力が加えられたときに前記出口の封止を開放するように構成されている封止部材と、を備える、インク補給容器として提供される。
この形態のインク補給容器によれば、封止部材によって出口が封止されているため、インク出口部材とは別個に市場に流通させることができる。また、この形態のインク補給容器によれば、使用履歴があるインク出口部材の取り付けが可能である。よって、インク出口部材が廃棄されることを抑制でき、インクの補給に伴って発生する廃棄物を低減させることができる。
【0089】
(9)上記形態のインク補給容器において、前記封止部材は、前記出口ポートから離れる方向への予め定められた大きさ以上の前記外力を受けたときに前記出口ポートから剥離して前記出口の封止を開放するように、前記出口の周縁に接合されているフィルム部材を含んでよい。
この形態のインク補給容器によれば、フィルム部材の剥離により、簡易に出口ポートの出口を開放させることができる。
【0090】
(10)上記形態のインク補給容器において、前記封止部材は、ネジ式によって前記出口ポートに着脱可能に装着され、前記外力による回転によって前記出口ポートから取り外されることにより、前記出口の封止を開放する蓋部材を含んでよい。
この形態のインク補給容器によれば、蓋部材を回転させて取り外すことにより、簡易に出口ポートの出口を開放させることができる。よって、封止部材を取り外すときの勢いによって、容器本体が振られて、出口からインクがこぼれてしまうことを抑制できる。また、フィルム部材の上に蓋部材が装着されている場合には、フィルム部材が蓋部材によって保護されるため、フィルム部材の剥離や破れなどの損傷が抑制され、フィルム部材の剥離や損傷に起因するインク漏れの発生が抑制される。
【0091】
(11)上記形態のインク補給容器において、前記出口ポートは、前記出口の周縁の端面に前記出口の外周に沿った外周溝部が設けられてよい。
この形態のインク補給容器によれば、外周溝部にインクを捕捉させることができるため、出口ポートの外周側面にインクが垂れ落ちることを抑制できる。
【0092】
(12)上記形態のインク補給容器において、前記出口ポートの内壁面には、前記出口から前記容器本体に向かって延びている内壁溝部が設けられてよい。
この形態のインク補給容器によれば、内壁溝部によって、出口ポートにおける出口付近の内壁面に付着したインクを容器本体の方へと誘導することができる。よって、出口ポートの出口からインクがこぼれ出すことを抑制することができる。
【0093】
(13)第3の形態は、梱包体であって、上記形態のインク補給容器と、前記インク出口部材を含まない状態で、前記インク補給容器を収容する梱包部材と、を備える、梱包体として提供される。
この形態の梱包体によれば、インク出口部材を含まない分だけ、小型化・軽量化されるため、インク補給容器の輸送コストを節約できる。また、インク出口部材を含まない分だけ、梱包部材を小さくすることができるため、インク補給容器の梱包を解いた後の廃棄物を低減できる。
【0094】
8.その他:
本開示の技術は、インク補給容器セットやインク補給容器、梱包体以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、インク出口部材や、インクの補給方法、インク補給容器の梱包方法、インク補給容器の流通方法等の形態で実現することもできる。本開示におけるインク補給容器セットやインク補給容器、梱包体は、新品の液体噴射装置に同梱されてもよい。本開示における「インク補給」には、液体噴射装置におけるインクが消費された後のインクタンクにインクを供給する行為が含まれるほか、新品の液体噴射装置における空のインクタンクに初めてインクを供給する行為も含まれる。
【符号の説明】
【0095】
10…液体噴射装置、11…インクタンク、12…注入口、12c…キャップ、13…ハウジング、14…ヒンジ機構、15…カバー部材、16…排出口、17…操作部、20…キャリッジ、21…液体噴射ヘッド、23…インク供給チューブ、30…制御ユニット、40A…インク補給容器セット、40B…インク補給容器セット、40C…インク補給容器セット、40D…インク補給容器セット、40E…インク補給容器セット、50A…インク補給容器、50B…インク補給容器、50C…インク補給容器、50D…インク補給容器、50E…インク補給容器、51…容器本体、52…出口、53…出口ポート、54…第2ネジ部、55A…封止部材、55C…封止部材、55D…封止部材、55s…ネジ部、56…外周溝部、57…内壁溝、60A…インク出口部材、60C…インク出口部材、60E…インク出口部材、61…ノズル、62…ノズル口、63…板状部位、64…キャップ取付部、65…第4ネジ部、66…接続部、67…第1ネジ部、68…天壁、69…凸部、70…キャップ部材、72…第3ネジ部、73…栓部、80…梱包体、81…梱包部材、90…突起部、92…パッキン部材、100…液体供給ユニット、101…筐体、101c…蓋部材、102…窓部、103…ヒンジ機構、111…導管、112…アダプター、115…凹部、120…弁部材、121…スリット、122…保持部材、CX…中心軸、IK…インク、PD…主走査方向、PP…未接合部位、SD…副走査方向
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図13C
図14
図15
図16
図17
図18