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特許7404832バックインボックス用外箱、およびそれを使用したバックインボックス
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  • 特許-バックインボックス用外箱、およびそれを使用したバックインボックス 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】バックインボックス用外箱、およびそれを使用したバックインボックス
(51)【国際特許分類】
   B65D 77/06 20060101AFI20231219BHJP
【FI】
B65D77/06 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019218683
(22)【出願日】2019-12-03
(65)【公開番号】P2021088377
(43)【公開日】2021-06-10
【審査請求日】2022-11-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 徹
(72)【発明者】
【氏名】網代 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】青木 剛
【審査官】吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-171374(JP,A)
【文献】特開2016-222333(JP,A)
【文献】特開2017-47967(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 77/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
注出口を有し可撓性のある合成樹脂フィルムを主体とした内袋を収納するバックインボックス用外箱において、
前面の下部に、前記内袋の注出口を露出する注出用開口部を設け、
該注出用開口部の上部に、切り取り用破断線と罫線によって形成し、箱の外側から内部へ手を挿入して内袋を下方へ押圧することができる押圧用開口部を備え、
該押圧用開口部の切り取り用破断線に並行して、切り取り用破断線の上側に衝撃吸収罫線を設けたことを特徴とするバックインボックス用外箱。
【請求項2】
切り取り用破断線に並行して設ける切り取り用破断線上側の衝撃吸収罫線を、切り取り用破断線に対して約5mmの間隔で設けたことを特徴とする請求項1に記載のバックインボックス用外箱。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のバックインボックス用外箱を使用したことを特徴とするバックインボックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外箱の中に、柔軟な収納部と収納部の一端に注出口を融着してなる内袋を納めた、バックインボックスに使用する外箱に関する。
【背景技術】
【0002】
食品や非食品の液体の内容物に使用されるバックインボックスの液体収納容器は、果汁飲料、ジュース、お茶、コーヒー、乳飲料、スープ等の液体飲料、日本酒、焼酎等の酒類など食品の他、現像液、インキ、塗料、オイル、消毒液、液体肥料、殺菌剤、殺虫剤など、多くの用途に用いられている。この液体収納容器の内、特に容量や重量の大きな容器に使用する外箱は、荷重に耐えうるように、紙の段ボールを主体にした箱を使用している。内袋としては、ブロー成形した柔軟性のある薄肉容器や、真空成形や圧空成形で成形したシート二枚の周囲を融着した容器や、フィルムの周囲をシールした包装袋などが使用されて来た。その内袋の一端には内容物を注出、あるいは充填、止栓する為の注出口が融着、あるいは成形されている。さらに、該注出口に嵌合して開閉可能とするキャップが合わせて使用されている。
【0003】
バックインボックス用外箱は、例えば、特許文献1では、底板と底板を介して対向する一対の側板と蓋板がそれぞれ連設され、該側板と直交する側面が、底板と一対の側板それぞれに連設する接着片を残して開放されている主体部を備え、開放された側面それぞれは、前記主体部とは別部材の側面閉鎖部材により閉鎖されて平面方形の箱体を構成し、側面閉鎖部材は前記一対の側面間の内法寸法に相当する幅寸法を備え、該側面閉鎖部材の上縁には蓋片が連設され、また、垂直側縁には一対の側板方向に延びる接着片が連設され、内に注出口付き内袋を収納してなるバッグインボックス用外装箱であって、
前記主体部は耐水紙から構成され、前記一対の側面閉鎖部材は段ボールシートから構成されていることを特徴とする、バッグインボックス用外装箱としている。
そして、前記蓋板には、注出口を表出させる取り出し口が設けることを提案している。
【0004】
さらに、特許文献2では、注出口を有する合成樹脂製フィルムによる内袋を外箱の内部に収容してなるバックインボックスにおいて、外箱の前面の下部に内袋の注出口を露出する注出用開口部を設けると共に、該注出用開口部の上部に、外箱の内部へ手を挿入して内袋を下方へ押圧することができる押圧用開口部を備えたことを特徴とするバックインボックスを提案している。
その請求項2では、前記注出用開口部及び前記押圧用開口部は外箱に設けられたミシン目によって形成することを提案している。
【0005】
このようなバックインボックスに使用される外箱の一面に、注出口を表出させる取り出し口、あるいは注出用開口部を設け、さらに、この注出用開口部の上部に、外箱の内部へ手を挿入して内袋を下方へ押圧することができる押圧用開口部を設けるのに、ミシン目加工によって、開口できるようにしているのが一般的である。
このようなミシン目などの切り取り用破断線は、表裏突き抜けた切断部分と、未切断部分が交互に設けられている為、落下など、外部からの衝撃に対して非常に弱く、容易に破断し、上記開口部が未使用時に露出してしまうなどの問題が生じていた。
特に、搬送等や倉庫などに保管する時に、内容物を入れたバックインボックスを、パレットや台車等に積み上げた状態で、ポリプロピレンバンド(PPバンド)などの梱包用結束バンドで結束することが、一般的である。
図3-2に、複数のバックインボックスを梱包用結束バンド4で結束した従来の形態例の状態を、斜視図とその部分拡大図で示した。
この時に、結束する力や歪が上記切り取り用破断線2221近傍に掛かって、図3-2に示すように、梱包用結束バンド4によって、バックインボックス用外箱2の角が内側に押し込められて、上記ミシン目などの切り取り用破断線2221部分が破断し、内袋などが露出したりするなどの問題があった。
【0006】
切り取り用破断線部分を破断し難くする方法も考えられる。しかし、切り取り用破断線のミシン目の繋ぎ長さを3mmから4mmへと長く変更して、容易に破断し難くすると、破断させるのに、かなり大きな力が必要になって、開けにくくなるだけでなく、外箱の段ボールからカスが出やすくなるなどの問題が発生していた。
【0007】
さらに、バックインボックス用外箱2の高さを高くして、輸送中の振動を吸収する方法も考えられる。
しかし、バックインボックス用外箱2の高さを5mm高くしただけで、輸送中にバックインボックス内で内袋が上下に振動して暴れ、内袋にピンホールが発生したりするなどの弊害が生じていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2003-285827号公報
【文献】実用新案登録第3133460号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、内容物を入れたバックインボックスを、パレットや台車等に積み上げた状態で、搬送用等に梱包用のロープやPPバンド等で縛るなどしても、注出用開口部の切り取り用破断線が破断して、開口したりしないようなバックインボックス用外箱を得ることが本発明の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、注出口を有し可撓性のある合成樹脂フィルムを主体とした内袋を収納するバックインボックス用外箱において、
前面の下部に、前記内袋の注出口を露出する注出用開口部を設け、
該注出用開口部の上部に、切り取り用破断線と罫線によって形成し、箱の外側から内部へ手を挿入して内袋を下方へ押圧することができる押圧用開口部を備え、
該押圧用開口部の切り取り用破断線に並行して、切り取り用破断線の上側に衝撃吸収罫線を設けたことを特徴とするバックインボックス用外箱である。
【発明の効果】
【0011】
本発明のバックインボックス用外箱は、押圧用開口部の切り取り用破断線に並行して、切り取り用破断線の上側に衝撃吸収罫線を設けているので、パレットや台車等に積み上げた状態で、梱包用テープやロープ等で縛るなどしても、衝撃吸収罫線によって、縛ることによって生じる歪を吸収し、容易に破断したりしない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態例におけるバックインボックスの容器で、外箱内にフレキシブル性のある液体用包装袋を収めた状態を示す外観図と、前面板の注出用開口部を開口し、内部の包装袋の注出口を外側に飛び出させ、内容物を注出可能とした状態を示す外観図である。
図2】バックインボックスの外箱と、注出口を有する内袋容器と、を示す外観斜視図である。
図3】本発明の実施形態例と従来の形態例において、梱包用結束バンドで、複数のバックインボックスを結束した状態を示す斜視図と、その部分拡大図である。
図4図1のA部断面の拡大図と、押圧用開口部の使用状況を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明のバックインボックス用外箱の実施形態例について、図を用いて詳細に説明する。
図1-1は本発明の実施形態例におけるバックインボックス1の容器で、その外観斜視図である。
本発明のバックインボックス用外箱2は、底板21と、底板を介して対向する一対の側面板25と、前記一対の側面板に連結した上面板24と、を有している。
また、該一対の側面板25と、底板21と上面板24、それぞれに連結する折り込み片からなり該底板21と側面板25と上面板24とに直交する前面22と後面23とを形成している。
上記バックインボックス用外箱2には、注出口を有し、可撓性のある合成樹脂フィルムを主体とした内袋を収納し、バックインボックスを形成している。
【0014】
バックインボックス用外箱には、前面22の下部に前記内袋の注出口を露出する注出用開口部221を設けている。
さらに、該注出用開口部の上部には、上方の罫線と、該罫線の両端から下方に垂下し、舌状となって注出用開口部に接続した開口部を形成する切り取り用破断線によって形成された押圧用開口部222を備えている。
押圧用開口部222は、箱の外側から内部へ手を挿入して内袋を下方へ押圧することができる開口部である。
該押圧用開口部222の切り取り用破断線2221に並行して、切り取り用破断線の上側に、外側から見て山折りになる衝撃吸収罫線2222を設けている。
【0015】
図1-2は本発明の実施形態例におけるバックインボックス1の容器で、前面22の注出用開口部221を、切り取り用破断線2221によって開口し、内袋3の注出口31を外側に飛び出させ、内容物を注出可能とした状態を示す外観図である。
切り取り用破断線2221は、ビク刃などで、貫通した切断部分と、未切断部分とが交互に切り取り用破断線2221に沿って加工されているミシン目といわれているものである。しかし、ミシン目の他に、半切れ線、シングルジッパー線、あるいは、レーザー光で部分的に破断し易く加工した線状の脆弱部による切り取り用破断線であってもかまわなく、特に上記1種類のものに限定されるものではない。
【0016】
図2はバックインボックス用外箱2と、注出口を有する内袋3と、を示す外観斜視図である。
この図のように、バックインボックス用外箱2は、後面23側を予めホットメルト接着剤や粘着テープ等で閉じておいて、閉じていない前面22側から、注出口31を上方に向けて内袋3を挿入する。
もちろん、前面22の注出用開口部221は、切り取り用破断線2221によって閉じた状態で梱包される。
【0017】
図3-1は、本発明の実施形態例を、梱包用結束バンド4で、複数のバックインボックス1を結束した状態を示す斜視図と、その部分拡大図である。
梱包用結束バンド4で、複数のバックインボックス1を結束すると、バックインボックス用外箱2の角部が内側に押し込められる。
その押し込められる角部近傍には、切り取り用破断線2221によって形成された注出用開口部221や押圧用開口部222があって、部分拡大図に示すように、この切り取り用
破断線2221に、押し込められたことによる歪が発生してくる。
しかし、本発明では、切り取り用破断線2221の上側に並行して、衝撃吸収罫線2222が設けられている。
【0018】
図4-1は、図1のA断面における拡大断面図である。
衝撃吸収罫線2222は、予め、折り込められる形状に変形されているので、図3-2に示した梱包用結束バンド4による歪は、衝撃吸収罫線2222がより折れて変形する方向に向かい、切り取り用破断線2221の破断を防ぐことができる。
この歪を吸収するには、バックインボックス用外箱2の衝撃吸収罫線2222の、切り取り用破断線2221と並行する間隔Bは、5mm以上が好ましい。
5mm未満の場合、封緘テープと切り取り用破断線2221とが干渉して開けづらくなる問題がある。
【0019】
なお、押圧用開口部222は、内袋3に充填されている内容物が、注出されて少なくなってきた場合に、使用する開口部である。
すなわち、図4-2に示すように、押圧開口部222から手を挿入し、内袋3の注出口31から離れた部分を押圧することによって、注出口31近傍に内容物を寄せ、確実に内容物を注出可能にする為の開口部である。
【0020】
本発明のバックインボックス用外箱は、主に段ボールなどを使用した箱である。内容物の重さや搬送条件等によって、段ボールの強度や厚みを調整する。
また、バックインボックス用外箱の液垂れによる劣化対策として、ロジン系サイズ剤で耐水性を付与させた耐水ノーコートボール紙とパルプボード紙を耐水接着剤を用いて貼合した積層紙からなる耐水紙を使用しても良い。ここで、パルプボード紙としては耐水チップボール紙、耐水接着剤としては酢酸ビニル樹脂系の接着剤を使用できる。
段ボールシートは、AB段ボールシート、あるいは強化段ボールシートが好ましく使用でき、具体的には、例えば、Kライナ210g/m/強化中芯180g/m/Kライナ2100g/mの構成からなるAB段ボールシートなどが使用できる。
更に、容量が少ない場合には、段ボールの代わりに、厚紙を使用しても良い。
厚紙の場合、基材の紙は、坪量を200g/mから800g/mの板紙で、表面に印刷する場合には、片面が白いコートマニラ、コートボール、アイボリーなどを用いることができる。
さらに、容器の側面の胴部合わせ部分や底部をヒートシール、あるいは接着剤等で接着することができる。ヒートシールにするには、少なくとも裏面に15μm~80μmのポリエチレンフィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体、あるいはポリプロピレンフィルムなどのシール適性に優れた熱可塑性フィルムを貼り合せた積層シートが使用される。
糊付けやホットメルト接着剤で固定させる場合には、紙単体でもかまわない。
【0021】
本発明のバックインボックス用の内袋に用いるフィルムには、内容物を保存する為のバリア性や、内容物を充填する時の条件などによって決定する。
例えば、外側から延伸ポリエチレンテレフタレート/ポリアミド樹脂フィルム/シーラントなどの構成が考えられる。
具体的には、2軸延伸ポリアミド/ポリエチレン/無機酸化物蒸着ポリエチレンテレフタレート/低密度ポリエチレン、
2軸延伸ポリエチレンテレフタレート/接着剤/ポリアミド/接着剤/エチレン酢酸ビニル共重合体鹸化物/低密度ポリエチレン、
2軸延伸ポリエチレンテレフタレート/接着樹脂/ポリアミド/接着剤/低密度ポリエチレン、2軸延伸ポリプロピレン/接着剤/ポリアミド/接着剤/低密度ポリエチレン、
などの一般的な構成が考えられる。なお、高温で充填する場合や、レトルト食材などの内
容物の場合には、シーラント層を低密度ポリエチレンの代わりに無延伸ポリプロピレンを使用することが望ましい。
これらのフィルムは、通常のドライラミネーション機、エクストルーダーラミネート機などで貼り合わせるなどして製造することができる。
もちろん、内容物によっては、ポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルムの単体フィルムであってもかまわない。
【0022】
底面に中間フィルムを使用して、容量を大きくしても良い。容量を大きくする場合の中間フィルムとしては、前面フィルムや背面フィルムと同じ構成であってもかまわない。ただ、折り畳んで使用するため、前面フィルムや背面フィルムよりも軟らかさが必要なので、表層の2軸延伸フィルムなどを薄くすることが好ましい。
特に、表面層同士が融着しないよう、表層には2軸延伸フィルムを使用する。
【0023】
なお、内袋には、上記フィルムから形成される包装袋ではなく、ブロー成形によって、注出口も一体で成形した柔軟性の高い容器であってもかまわない。さらに、真空成形や圧空成形などによって成形したシートを合わせて融着した容器であってもかまわない。
【0024】
注出口は、射出成形で製造する。開閉可能にコックを付けても良いし、キャップを添付しても良い。
内袋に融着する融着部には、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂や、エチレン・プロピレン共重合体などの融着可能な樹脂を使用することが望ましい。。
注出先が吸引可能であれば、その吸引アダプタに合わせた形状とすることもできる。
【0025】
本発明のバックインボックス用外箱は、以上のようなもので、プラスチックである内袋に対して、その注出口を容易に露出させて、注出可能とするだけでなく、複数のバックインボックスを結束用バンドで結束しても、注出用開口部221周縁の切り取り用破断線に並行した衝撃吸収罫線によって、結束用バンドによる歪を吸収し、切り取り用破断線が輸送の振動等によって破断させにくくしている。
特に、外形を抜くプレス工程で、切り取り用破断線に並行した衝撃吸収罫線を加工するだけなので、工程が増えず、汎用生産ラインを使用できるので、生産性も高く、価格も変わらずに対応できるなど、本発明のメリットは大きい。
【符号の説明】
【0026】
1・・・・・・・・・バックインボックス
2・・・・・・・・・バックインボックス用外箱
21・・・・・・・・底板
22・・・・・・・・前面
221・・・・・・・注出用開口部
222・・・・・・・押圧用開口部
2221・・・・・・切り取り用破断線
2222・・・・・・衝撃吸収罫線
23・・・・・・・・後面
24・・・・・・・・上面板
25・・・・・・・・側面板
3・・・・・・・・・内袋
31・・・・・・・・注出口
4・・・・・・・・・梱包用結束バンド
B・・・・・・・・・衝撃吸収罫線と切り取り用破断線の間隔
図1
図2
図3
図4