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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】半導体装置及び半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/12 20060101AFI20231219BHJP
   H01L 21/607 20060101ALI20231219BHJP
   H01L 25/07 20060101ALN20231219BHJP
   H01L 25/18 20230101ALN20231219BHJP
   H01L 23/50 20060101ALN20231219BHJP
   H01L 23/29 20060101ALN20231219BHJP
   H01L 23/31 20060101ALN20231219BHJP
【FI】
H01L23/12 W
H01L21/607 A
H01L25/04 C
H01L23/50 K
H01L23/30 R
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019221210
(22)【出願日】2019-12-06
(65)【公開番号】P2021093388
(43)【公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-11-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002918
【氏名又は名称】弁理士法人扶桑国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小川 裕貴
【審査官】河合 俊英
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-043882(JP,A)
【文献】米国特許第06522555(US,B2)
【文献】特開2013-187511(JP,A)
【文献】特開2016-039302(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/12
H01L 21/607
H01L 25/07
H01L 23/50
H01L 23/29
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1おもて面を備える放熱板と、前記第1おもて面に固着された第2裏面と第2おもて面とを備え、樹脂を含む樹脂基板と、前記第2おもて面に固着された第3裏面と第3おもて面とを備える回路パターンと、を有する絶縁回路基板と、
前記第3おもて面に超音波接合により接合されたリードフレームと、
を有し、
前記回路パターンの少なくとも対向する一対の側部が前記樹脂基板によりそれぞれ支持されている半導体装置。
【請求項2】
前記回路パターンは、前記第3裏面が前記樹脂基板の前記第2おもて面よりも下位に位置して接合されている、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記回路パターンは、前記第3おもて面が前記樹脂基板の前記第2おもて面と同じ位置、または、前記第2おもて面よりも下位に位置して接合されている、
請求項に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記回路パターンの側部は、完全硬化されている前記樹脂基板が半硬化状態の際に前記樹脂基板の前記第2おもて面が前記回路パターンで押圧されて生成された突起状の拘束凸部により支持されている、
請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記回路パターンが間隙を空けて複数設けられている場合、
前記間隙に前記半硬化状態の際に前記樹脂基板から生成された前記拘束凸部が連なって構成される結合拘束凸部が形成されている、
請求項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記回路パターンの前記第3裏面の対向する一対の縁部に、前記樹脂基板の前記第2おもて面に入り込む突起状の突起部が形成されている、
請求項1乃至のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項7】
前記回路パターンは、前記第3おもて面が前記第2おもて面よりも下位に位置して接合されている、
請求項3または6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記回路パターンの前記第3おもて面の前記突起部に対向する縁部に曲面形状のダレが形成されている、
請求項に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記樹脂は、フェノール樹脂、エポキシ樹脂またはメラミン樹脂のいずれかである、
請求項1乃至8のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項10】
放熱板、回路パターン及びリードフレームを用意する用意工程と、
半硬化状態の熱硬化性樹脂を含む半硬化基板を成形する半硬化基板成形工程と、
前記放熱板の第1おもて面に前記半硬化基板を配置し、前記半硬化基板の第2おもて面に前記回路パターンを配置して、前記回路パターンを前記第1おもて面に向けて押圧しながら前記半硬化基板を加熱して、前記半硬化基板を硬化させ、前記回路パターンが前記回路パターンの少なくとも対向する一対の側部をそれぞれ支持するように固着された樹脂基板を製造する樹脂基板製造工程と、
前記回路パターンの第3おもて面に前記リードフレーム超音波接合により接合する接合工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記半硬化基板成形工程では、液状の熱硬化性樹脂と粉末状の無機物フィラーとを混合し、加熱して、粉末状の半硬化原料を形成する工程を含む、
請求項10に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記半硬化基板成形工程では、前記半硬化原料を所定の金型内に充填し、前記金型内の前記半硬化原料を押圧して前記半硬化基板を成形する工程を含む、
請求項11に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置は、半導体チップと制御IC(Integrated Circuit)とを含んでいる。半導体チップは、パワーデバイスのスイッチング素子が用いられる。スイッチング素子は、例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、パワーMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)である。制御ICは、当該半導体チップの駆動制御を行う。このような半導体装置は、半導体チップが設置された基板と当該基板を収納するケースとケース内を封止する封止樹脂とを含む。ケースは、配線部材と制御端子とがインサート成形されている。配線部材と半導体チップの主電極とはボンディングワイヤにより電気的に接続される。また、制御端子も制御ICとボンディングワイヤにより電気的に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-146704号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記の半導体装置を製造するために、次のような工程が行われる。まず、ケースに対して配線部材及び制御端子を一体成形するための成形工程が行われる。また、当該ケースに基板を接着する接着工程が行われる。さらに、半導体チップが設けられた回路パターンと、ケースに一体成形された配線部材とをボンディングワイヤにより電気的に接続するボンディング工程も行われる。このように、半導体装置を製造するにあたって、多くの工程並びに部材が必要となり製造コストが嵩んでいる。特に、ボンディング工程では、次のような理由により、当該工程に時間を要する。半導体装置の電力容量の増加に伴い、電流量も増加する。このため、ボンディングワイヤの本数も増加させなくてはならない。これに伴って、ボンディング工程に従来よりも時間が掛かってしまう。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、製造コストが削減され、特性改善が行われた半導体装置及び半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一観点によれば、第1おもて面を備える放熱板と、前記第1おもて面に固着された第2裏面と第2おもて面とを備え、樹脂を含む樹脂基板と、前記第2おもて面に固着された第3裏面と第3おもて面とを備える回路パターンと、を有する絶縁回路基板と、前記第3おもて面に超音波接合により接合されたリードフレームと、を有し、前記回路パターンの少なくとも対向する一対の側部が前記樹脂基板によりそれぞれ支持されている半導体装置が提供される。
【0007】
また、本発明の一観点によれば、放熱板、回路パターン及びリードフレームを用意する用意工程と、半硬化状態の熱硬化性樹脂を含む半硬化基板を成形する半硬化基板成形工程と、前記放熱板の第1おもて面に前記半硬化基板を配置し、前記半硬化基板の第2おもて面に前記回路パターンを配置して、前記回路パターンを前記第1おもて面に向けて押圧しながら前記半硬化基板を加熱して、前記半硬化基板を硬化させ、前記回路パターンが前記回路パターンの少なくとも対向する一対の側部をそれぞれ支持するように固着された樹脂基板を製造する樹脂基板製造工程と、前記回路パターンの第3おもて面に前記リードフレーム超音波接合により接合する接合工程と、を有する半導体装置の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0008】
開示の技術によれば、製造コストを削減し、特性改善を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態の半導体装置の外観を説明する図である。
図2】実施の形態の半導体装置の側断面図である。
図3】実施の形態の半導体装置の平面断面図である。
図4】実施の形態の半導体装置の製造方法を示すフローチャート(その1)である。
図5】実施の形態の半導体装置の製造方法を示すフローチャート(その2)である。
図6】実施の形態の半導体装置の製造方法に含まれる外部接続端子の接合工程を説明するための図である。
図7】実施の形態の半導体装置の製造方法の半導体チップ、電子部品の接合工程並びにボンディングワイヤによる接続工程を説明するための図である。
図8】実施の形態の半導体装置の製造方法に含まれる封止工程を説明するための図である。
図9】実施の形態の半硬化状態の半硬化基板への回路パターンの接合を説明する図(その1)である。
図10】実施の形態の半硬化状態の半硬化基板への回路パターンの接合を説明する図(その2)である。
図11】実施の形態の半硬化状態の半硬化基板への回路パターンの接合を説明する図(その3)である。
図12】実施の形態の半硬化状態の半硬化基板への回路パターンの接合を説明する図(その4)である。
図13】実施の形態の半硬化状態の半硬化基板への回路パターンの接合を説明する図(その5)である。
図14】実施の形態の半導体装置の別の絶縁回路基板を示す図(その1)である。
図15】実施の形態の半導体装置の別の絶縁回路基板を示す図(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、実施の形態について説明する。なお、以下の説明において、「おもて面」及び「上面」とは、図2の半導体装置10において、上側を向いた面を表す。同様に、「上」とは、図2の半導体装置10において、上側の方向を表す。「裏面」及び「下面」とは、図2の半導体装置10において、下側を向いた面を表す。同様に、「下」とは、図2の半導体装置10において、下側の方向を表す。必要に応じて他の図面でも同様の方向性を意味する。「おもて面」、「上面」、「上」、「裏面」、「下面」、「下」、「側面」は、相対的な位置関係を特定する便宜的な表現に過ぎず、本発明の技術的思想を限定するものではない。例えば、「上」及び「下」は、必ずしも地面に対する鉛直方向を意味しない。つまり、「上」及び「下」の方向は、重力方向に限定されない。
【0011】
実施の形態における半導体装置について、図1図3を用いて説明する。図1は、実施の形態の半導体装置の外観を説明する図である。なお、図1(A)は半導体装置10の(図1(B)の上側または下側から見た)側面図であり、図1(B)は半導体装置10の平面図である。図2は、実施の形態の半導体装置の側断面図である。また、図3は、実施の形態の半導体装置の平面断面図である。なお、図2は、図3の一点鎖線X-Xにおける断面図であって、図3は、図2の一点鎖線X-Xにおける断面図である。また、図3図1(B)の平面図に対応するものである。
【0012】
まず、半導体装置10は、図1に示されるように、封止部材60により部品全体が封止されて立体形状を成している。なお、半導体装置10の封止部材60は、立体形状でありながら角部に曲率を持たせてもよい。また、半導体装置10は、封止部材60の長辺の両側面から、複数の制御端子30及び複数の外部接続端子40がそれぞれ延出している。なお、本実施の形態において、制御端子及び外部接続端子を特に区別しない場合には、制御端子30及び外部接続端子40として説明する。
【0013】
このような半導体装置10は、図2及び図3に示されるような部品が封止部材60により封止されている。すなわち、半導体装置10は、6組の第1半導体チップ21a及び第2半導体チップ21bと絶縁回路基板22と制御端子30(制御端子31~33を含む)と外部接続端子40(外部接続端子41a~41dを含む)と電子部品50とを有する。また、半導体装置10では、制御端子30、電子部品50、第1半導体チップ21a、第2半導体チップ21b、外部接続端子40との間が適宜ボンディングワイヤ26により電気的に接続されている。なお、図3では、電子部品50と接続されるボンディングワイヤの図示を省略している。そして、半導体装置10はこのような部品が封止部材60により封止されている。なお、ボンディングワイヤ26は、導電性に優れたアルミニウムや銅等の金属、または、少なくともこれらの一種を含む合金等により構成されている。また、これらの径は、100μm以上、1mm以下であることが好ましい。
【0014】
第1半導体チップ21aは、例えば、IGBT、パワーMOSFET等のスイッチング素子を含んでいる。第1半導体チップ21aがIGBTである場合には、裏面に主電極としてコレクタ電極を、おもて面に、ゲート電極及び主電極としてエミッタ電極をそれぞれ備えている。第1半導体チップ21aがパワーMOSFETである場合には、裏面に主電極としてドレイン電極を、おもて面に、ゲート電極及び主電極としてソース電極をそれぞれ備えている。上記の第1半導体チップ21aは、その裏面が絶縁回路基板22の回路パターン24a,24b,24c,24d上にはんだ(図示を省略)により接合されている。第2半導体チップ21bは、例えば、SBD(Schottky Barrier Diode)やPiN(P-intrinsic-N)ダイオード等のFWD(Free Wheeling Diode)を含んでいる。このような第2半導体チップ21bは、裏面に主電極として出力電極(カソード電極)を、おもて面に主電極として入力電極(アノード電極)をそれぞれ備えている。上記の第2半導体チップ21bは、その裏面が回路パターン24a,24b,24c,24d上にはんだ(図示を省略)により接合されている。なお、第1半導体チップ21a及び第2半導体チップ21bに代えて、IGBTとFWDの機能を合わせ持つRC(Reverse-Conducting)-IGBTを用いてもよい。また、図3では、6組の第1半導体チップ21a及び第2半導体チップ21bが設けられている場合を示しているに過ぎない。6組に限らず、半導体装置10の仕様等に応じた組数を設けることができる。
【0015】
絶縁回路基板22は、樹脂基板23と回路パターン24a,24b,24c,24dと放熱板25とを有している。樹脂基板23は、エポキシ樹脂、ポリイミド、または、ポリテトラフルオロエチレンのいずれかの樹脂を含む。さらに、樹脂基板23は、これらの樹脂に加えて無機物フィラーを含有していてもよい。なお、樹脂基板23の厚さは、0.09mm以上、0.15mm以下であることが好ましい。
【0016】
回路パターン24a,24b,24c,24dは、樹脂基板23のおもて面に形成されている。回路パターン24a,24b,24c,24dの少なくとも対向する一対の側部が樹脂基板23によりそれぞれ支持されている。回路パターン24a,24b,24c,24dの樹脂基板23のおもて面に対する形成の詳細については後述する。このような回路パターン24a,24b,24c,24dは、導電性に優れた金属により構成されている。このような金属は、例えば、銅あるいは銅合金である。なお、図2及び図3の回路パターン24a,24b,24c,24dの形状は一例である。回路パターン24a,24b,24c,24dは、樹脂基板23のおもて面に形成された導電性の板または箔をエッチングして生成される。または、回路パターン24a,24b,24c,24dは、導電性の板を樹脂基板23のおもて面に貼り合わせて形成される。なお、回路パターン24a,24b,24c,24dの厚さは、0.10mm以上、1.00mm以下が好ましく、また、0.20mm以上、0.50mm以下であることがより好ましい。また、回路パターン24a,24b,24c,24dは、図2及び図3に示されるように、絶縁回路基板22の主面の素子領域22aに形成されている。回路パターン24a,24b,24c,24dは、第1半導体チップ21a及び第2半導体チップ21bがそれぞれはんだ(図示を省略)により接合されている。なお、回路パターン24a,24b,24c,24dの形状、配置位置及び個数、第1半導体チップ21a及び第2半導体チップ21bの配置位置は一例であり、図2及び図3に限らず、設計、仕様等により適宜設定される。なお、以下では、場合により、回路パターン24a,24b,24c,24dを特に区別しない場合には、回路パターン24として説明することがある。
【0017】
放熱板25は、樹脂基板23の裏面に形成されている。このような放熱板25は、熱伝導性に優れた金属により構成されている。このような金属は、例えば、アルミニウム、鉄、銀、銅、または、少なくともこれらの一種を含む合金である。また、放熱板25の表面に、耐食性を向上させるために、例えば、ニッケル等の材料をめっき処理等により形成してもよい。ニッケルの他の材料として、ニッケル-リン合金、ニッケル-ボロン合金等がある。さらに、この放熱板25の裏面に冷却器(図示を省略)をはんだまたは銀ロウ等を介して取り付けてもよい。これにより、半導体装置10の放熱性をさらに向上させることができる。この場合の冷却器は、熱伝導に優れた金属により構成される。このような金属は、例えば、アルミニウム、鉄、銀、銅、または、少なくともこれらの一種を含む合金等である。また、冷却器として、フィン、または、複数のフィンから構成されるヒートシンク並びに水冷による冷却装置等を適用することができる。また、放熱板25は、このような冷却器と一体化されてもよい。この場合も、上記で挙げた熱伝導に優れた金属により構成される。また、冷却器に対して、上記と同様に、耐食性を向上させるための材料を冷却器の表面に形成してもよい。なお、放熱板25の厚さは、好ましくは、0.1mm以上、2.0mm以下である。
【0018】
配線部材である複数の外部接続端子40が、一端部が絶縁回路基板22の図3中右側に設けられ、他端部は半導体装置10の図3中右側の側面から外側に延伸している。複数の外部接続端子40のうち外部接続端子41b,41a,41c,41dは、絶縁回路基板22の回路パターン24a,24b,24c,24dにそれぞれ接合されている。また、外部接続端子41aは、接合部41a1と連係部41a2と端子部41a3とを備えている。接合部41a1は絶縁回路基板22のおもて面に対して平行を成して、回路パターン24bに接合されている。連係部41a2は、傾斜を成して接合部41a1と端子部41a3とを一体的に接続している。端子部41a3は、連係部41a2の傾斜に応じて絶縁回路基板22のおもて面から離間すると共に当該おもて面に対して平行に絶縁回路基板22から外部に延伸している。なお、図示を省略するものの、外部接続端子41b,41c,41dについても外部接続端子41aと同様の構成を成している。なお、配線部材は、外部接続端子40に限らない。配線部材は、半導体装置10内の部品間を電気的に接続するものである。例えば、配線部材は、第1半導体チップ21a並びに第2半導体チップ21bと回路パターン24a,24b,24c,24d間とを接続する。また、配線部材は、回路パターン24a,24b,24c,24d同士を接続する。さらに、配線部材は、回路パターン24a,24b,24c,24dと外部接続端子40とを電気的に接続する。このような配線部材は、リードフレーム、ボンディングリボンまたはボンディングワイヤである。
【0019】
複数の制御端子30(制御端子31,32,33を含む)は、封止部材60の制御領域30aに設けられている。制御領域30aは、絶縁回路基板22の複数の外部接続端子40が接合されている一方の側部に対向する他方の側部に隣接する領域である。この制御領域30aは、絶縁回路基板22のおもて面よりも高位に位置している。制御端子30は半導体装置10の図3中左側の側面から外側に延伸している。複数の制御端子30は、さらに、制御配線部34を含む。制御配線部34は制御領域30aに配置されている。また、制御配線部34には電子部品50がはんだ(図示を省略)を介して設けられている。制御配線部34は、制御端子30の側面から外側に延伸している部分と同じ高さに位置している。制御配線部34は、外部接続端子40の回路パターン24a,24b,24c,24dに接合された箇所より高位に位置している。また、制御端子30と、外部接続端子41a,41b,41c,41dの端子部41a3(外部接続端子41b,41c,41dの端子部は図示を省略)とは同じ高さに位置している。
【0020】
このような複数の外部接続端子40及び制御端子30(制御端子31,32,33を含む)は、導電性に優れた金属により構成されている。このような金属は、例えば、銅あるいは銅合金である。さらに、複数の外部接続端子40及び制御端子30(制御端子31,32,33を含む)の表面をニッケルあるいはニッケル合金等の金属で被覆されていてもよい。
【0021】
電子部品50は、はんだ(図示を省略)を介して、制御配線部34に接合されている。電子部品50は、半導体装置10が所望の機能を果たすために、必要な個数が設けられる。また、そのような機能を果たすために、電子部品50として、制御IC、サーミスタ、コンデンサ、抵抗等が適宜用いられる。封止部材60は、上記で説明した部品を封止している。このような封止部材60は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、マレイミド樹脂等の熱硬化性樹脂と熱硬化性樹脂に含有される充填剤とを含んでいる。封止部材60の一例として、充填剤が含有されたエポキシ樹脂がある。充填剤は、無機物フィラーが用いられる。無機物フィラーの例として、酸化シリコン、酸化アルミニウム、窒化ホウ素または窒化アルミニウムがある。
【0022】
次に、このような半導体装置10の製造方法について図4図8を用いて説明する。図4及び図5は、実施の形態の半導体装置の製造方法を示すフローチャートである。図6は、実施の形態の半導体装置の製造方法に含まれる外部接続端子の接合工程を説明するための図である。図7は、実施の形態の半導体装置の製造方法の半導体チップ、電子部品の接合工程並びにボンディングワイヤによる接続工程を説明するための図である。そして、図8は、実施の形態の半導体装置の製造方法に含まれる封止工程を説明するための図である。なお、図6図8は、図3における一点鎖線X-Xの位置に対応する断面図である。
【0023】
まず、樹脂基板の原料、金属パターン、放熱板25、第1半導体チップ21a、第2半導体チップ21b、複数の制御端子30と複数の外部接続端子40とがタイバーで連なったリードフレーム(図示を省略)、電子部品50等の半導体装置10の構成部品を用意する(ステップS1)。なお、金属パターンは、回路パターン24に対応するものである。金属パターンは、金属板から切り取られて形成される。また、金属パターンは、後述するように、半硬化基板上に設けた金属板をエッチングすることで形成される。または、金属パターンは金属板から打ち抜きにより形成される。金属板から打ち抜かれて形成された金属パターンは、バリ、ダレが生成されている。なお、バリまたはダレの少なくとも一方は必要により金属パターンに対する後処理により除去されてもよい。次いで、樹脂基板の原料を用いて、半硬化状態の半硬化基板を成形する(ステップS2)。ここで、さらに、ステップS2の詳細(ステップS2a~S2d)について説明する。
【0024】
まず、熱硬化性樹脂である液状樹脂(Aステージ)と当該液状樹脂と混合する無機物フィラーとを用意する(ステップS2a)。ここで用いられる樹脂は、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂等がある。また、無機物フィラーには、離型剤として、シリカフィラー等が用いられる。無機物フィラーとして、ハロゲン系、アンチモン系、水酸化金属系等の難燃剤を配合することなく、シリカフィラーを用いることで、高い難燃性を保つことができる。次いで、この液状樹脂に無機物フィラーを90%以上混合する。無機物フィラーが混合された液状樹脂を加熱し半硬化した半硬化原料(Bステージ)を生成する(ステップS2b)。なお、この際の加熱、加温時間は、タクトタイムにより適宜設定し、樹脂の触媒種に依存する。例えば、加熱温度は、100℃以上、200℃以下である。次いで、半硬化状態の半硬化原料を粉末化する(ステップS2c)。次いで、粉末化された半硬化原料を所定の金型にそれぞれ充填してプレスして、当該金型を分離する。これにより、半硬化状態の平板状の半硬化基板が成形される(ステップS2d)。以上により、半硬化状態の半硬化基板の成形が完了する。なお、ステップS1,S2は、以下のステップS3の前に完了していればよく、ステップS1,S2の順序は逆であっても、同時であってもよい。
【0025】
次いで、このようにして成形された半硬化基板を放熱板25上にセットする(ステップS3)。半硬化基板の平面視のサイズは放熱板25の平面視のサイズと略同一である。次いで、半硬化基板に対して金属パターンをパンチングにより積層し、さらに、金属パターンを所定のプレス機により放熱板25に向けて加圧する。これにより、金属パターンはその下部が半硬化基板に埋設される。このようにして、半硬化基板に金属パターンが接合される(ステップS4)。なお、この際の加圧に応じて、金属パターンの半硬化基板に対する埋設深さを異ならせることができる。次いで、このようにして金属パターンが接合された半硬化基板を放熱板25と共に加熱する。これにより、金属パターンが埋設された半硬化基板が硬化して、回路パターン24が固着された樹脂基板23が製造される(ステップS5)。したがって、放熱板25、樹脂基板23、回路パターン24を備える絶縁回路基板22が得られる。なお、この際の加熱温度は、120℃以上、180℃以下である。または、ステップS5より後の工程でアフターキュアを行い、半硬化基板が完全硬化されてもよい。
【0026】
次いで、リードフレームに含まれる制御端子30(図6では制御端子31,32,33を表示)の制御配線部34が制御領域30aに位置する。同時に、リードフレームに含まれる外部接続端子41a(外部接続端子41b,41c,41dも同様)の接合部41a1(外部接続端子41b,41c,41dの接合部は図示を省略)が絶縁回路基板22の回路パターン24b(回路パターン24a,24c,24dも同様)に位置する。なお、この際、制御端子30及び制御配線部34は、絶縁回路基板22の主面よりも高位にある制御領域30aに維持されるように所定の治具等(図示を省略)が用いられる。そして、図6に示されるように、絶縁回路基板22の回路パターン24bにセットしたリードフレームに含まれる外部接続端子41aの接合部41a1に対して(矢印方向に)超音波接合により接合する。同様に、絶縁回路基板22の回路パターン24a,24c,24dにセットしたリードフレームに含まれる外部接続端子41b,41c,41dも同様に超音波接合により接合する(ステップS6)。なお、この際の超音波接合は、例えば、周波数は20KHz以上、80KHz以下、接合荷重は20N以上、150N以下、発振時間は50msec以上、500msec以下である。既述の通り、回路パターン24は、その下部が樹脂基板23に埋設されている。このため、樹脂基板23上の回路パターン24a,24b,24c,24dに対して超音波接合を行っても、回路パターン24a,24b,24c,24dが樹脂基板23から剥離することなく確実に超音波振動を伝導することができ、外部接続端子40を安定して接合することができる。
【0027】
次いで、図7に示されるように、第1半導体チップ21a及び第2半導体チップ21bを回路パターン24aにそれぞれはんだを介して接合する。同様に、第1半導体チップ21a及び第2半導体チップ21bを回路パターン24b,24c,24dにそれぞれはんだを介して接合する。また、電子部品50を制御配線部34にはんだを介して接合する(ステップS7)。次いで、図7に示されるように、制御端子30、電子部品50、第1半導体チップ21a、第2半導体チップ21b、外部接続端子40(図7では、外部接続端子41a)との間を適宜ボンディングワイヤ26で電気的に接続する(ステップS8)。
【0028】
次いで、このように構成された図7に示されたものを成形金型80の上部金型81及び下部金型82で挟み込む。すると、図8に示されるように、上部金型81及び下部金型82で構成されるキャビティ84に、絶縁回路基板22とリードフレームの複数の制御端子30と複数の外部接続端子40とが収納される。そして、下部金型82の流路83から封止部材60の原料を注入して、キャビティ84内を充填する。これにより、絶縁回路基板22とリードフレームの複数の制御端子30と複数の外部接続端子40とが封止部材60により封止される。この際、絶縁回路基板22は外部接続端子41a,41b,41c,41dにより絶縁回路基板22が水平に維持されて封止される。成形後に、上部金型81及び下部金型82を分離し、半導体装置10を取り出す。最後に、封止部材60のバリや、リードフレームのタイバー、半導体装置10から延出した部分等の不要箇所を除去する。すると、図1図3に示した半導体装置10が得られる(ステップS9)。
【0029】
次に、上記の半導体装置の製造方法を示すフローチャートにおけるステップS5にて製造された、回路パターン24が接合された樹脂基板23について図9図13を用いて説明する。図9図13は、実施の形態の半硬化状態の半硬化基板への回路パターンの接合を説明する図である。なお、図9図13は、図2の断面図に対応する回路パターン24が接合された樹脂基板23を表している。また、図9図13は、回路パターン24が接合された樹脂基板23のみを表している。放熱板25の記載は省略している。
【0030】
図9は、回路パターン24が接合された樹脂基板23を表している。上記フローチャートのステップS1で、金属板から切り取って、断面が矩形状である金属パターンを用意する。金属パターンが半硬化基板に接合されて(ステップS4)、ステップS5を経ることで、回路パターン24が接合された樹脂基板23が得られる。図9(A)~(C)は、いずれも、回路パターン24のおもて面が樹脂基板23から露出し、裏面が樹脂基板23に埋まり込んでいる。すなわち、図9(A)~(C)は、回路パターン24の裏面が樹脂基板23のおもて面よりも下位に位置する場合を示している。なお、ここで上位、下位とは、樹脂基板23の裏面からおもて面に向かった方向、おもて面から裏面に向かった方向をそれぞれ意味する。樹脂基板23の裏面からおもて面に遠い方を上位、樹脂基板23のおもて面から裏面に近い方を下位と表す。このように図9のいずれの場合も、回路パターン24の側部が樹脂基板23により支持されている。このため、上記のフローチャートのステップS6で外部接続端子40を回路パターン24に超音波接合を行う際に、回路パターン24は樹脂基板23から剥離することが防止される。外部接続端子40を通じて回路パターン24に確実に超音波振動が伝わり、外部接続端子40を回路パターン24に適切に接合することができる。
【0031】
また、図9(A)は、回路パターン24のおもて面が樹脂基板23のおもて面よりも上位に位置する場合を示している。図9(B)は、回路パターン24のおもて面が樹脂基板23のおもて面と同一平面を成す場合を示している。さらに、図9(C)は、回路パターン24のおもて面が樹脂基板23のおもて面よりも下位に位置する場合を示している。図9(A)は、回路パターン24のおもて面が樹脂基板23のおもて面から突出している。このため、後工程で回路パターン24に配線部材を接合する際に、接合用のツールが入り込み易く、簡便に外部接続端子40を接合することができる。一方で、図9(B),(C)の方が図9(A)に比べて、回路パターン24の側部が樹脂基板23に接する面積が増加している。このため、図9(B),(C)の方が図9(A)よりもより確実に外部接続端子40を回路パターン24に接合することができる。
【0032】
但し、図9(B),(C)の場合には、金属パターンを半硬化基板に接合する際に、金属パターンのおもて面に半硬化基板の材質が付着してしまう可能性がある。金属パターンのおもて面に付着した状態で樹脂基板23が製造されると、回路パターン24のおもて面の接合面積が減少してしまう。また、この状態で回路パターン24に対して外部接続端子40を接合する際に電気的不良が生じてしまうおそれがある。このため、図9(B),(C)では、回路パターン24のおもて面の付着物の除去工程を要する。
【0033】
また、図9(C)の場合には、回路パターン24のおもて面が樹脂基板23のおもて面よりも下位にある。隣接する回路パターン24が別途あれば、それらの回路パターン24の間の沿面距離を維持することができるようになる。一方、回路パターン24の裏面と樹脂基板23との裏面との距離が近すぎると、例えば、樹脂基板23の裏面の放熱板25との絶縁性を保てなくなる場合がある。したがって、回路パターン24のおもて面と樹脂基板23のおもて面との距離、回路パターン24の裏面と樹脂基板23との裏面との距離は、この絶縁性が保てる程度に適切に設定される必要がある。
【0034】
図10も、図9と同様に、断面が矩形状である回路パターン24が接合された樹脂基板23を表している。但し、図10は、ステップS4において金属パターンを半硬化基板に押圧した際に金属パターンの側部を覆う拘束凸部が生成され、その状態で回路パターン24が接合された樹脂基板23が製造されている場合である。図10(A)~(D)は、いずれも、回路パターン24のおもて面が樹脂基板23から露出し、裏面が樹脂基板23に接し、側部が樹脂基板23の拘束凸部23a及び結合拘束凸部23bで覆われている。なお、平面視で、回路パターン24の全ての側部が、樹脂基板23の拘束凸部23a及び結合拘束凸部23bで全て覆われていてもよく、また、一部が覆われていても構わない。少なくとも対向する一対の側部に拘束凸部23a及び結合拘束凸部23bがあればよい。また、断面視で、回路パターン24の裏面側からおもて面側に向かって、全ての側部が覆われていてもよく、また、途中まで覆われていてもよい。なお、この場合、対向する一対の側部は、上記のフローチャートのステップS6で外部接続端子40を回路パターン24に超音波接合を行う際に、超音波の振動方向に対向することが好ましい。超音波の振動方向に拘束凸部23a及び結合拘束凸部23bがあることで、確実に超音波振動が伝わり、外部接続端子40を回路パターン24に適切に接合することができる。
【0035】
図10(A)は、回路パターン24の裏面と樹脂基板23のおもて面とが同一平面である。さらに、回路パターン24の側部が拘束凸部23aにより支持されている場合を示している。図10(B)も、図10(A)と同様である。但し、図10(B)では、隣接する回路パターン24の間隙の拘束凸部が互いに結合した結合拘束凸部23bが形成されている場合を示している。図10(C)は、図10(A)の場合に対して、さらに、回路パターン24の裏面が樹脂基板23のおもて面よりも下位に位置している場合を示している。このため、図10(C)では、回路パターン24は、樹脂基板23のおもて面よりも下位に位置した裏面と拘束凸部23aで覆われた側部とにより、樹脂基板23に支持されている。図10(D)は、図10(B)の場合に対して、さらに、回路パターン24の裏面が樹脂基板23のおもて面よりも下位に位置している場合を示している。このため、図10(D)では、回路パターン24は、樹脂基板23のおもて面よりも下位に位置した裏面と拘束凸部23a及び結合拘束凸部23bで覆われた側部とにより、樹脂基板23に支持されている。ここで上位、下位とは、樹脂基板23の裏面からおもて面に向かった方向、おもて面から裏面に向かった方向をそれぞれ意味する。樹脂基板23の裏面からおもて面に遠い方を上位、樹脂基板23のおもて面から裏面に近い方を下位と表す。
【0036】
この場合も、図9の場合と同様に、上記のフローチャートのステップS6で外部接続端子40を回路パターン24に超音波接合を行う際に、回路パターン24は樹脂基板23から剥離することが防止される。外部接続端子40を通じて回路パターン24に確実に超音波振動が伝わり、外部接続端子40を回路パターン24に適切に接合することができる。また、図10(C),(D)の方が図10(A),(B)に比べて、回路パターン24の側部が樹脂基板23に接する面積が増加している。このため、図10(C),(D)の方が図10(A),(B)よりもより確実に外部接続端子40を回路パターン24に接合することができる。
【0037】
図11では、上記フローチャートのステップS1で金属板から打ち抜かれた金属パターンが半硬化基板に接合されて(ステップS4)、ステップS5を経ることで、回路パターン24が接合された樹脂基板23が得られる場合を示している。このような回路パターン24は、その裏面の対向する一対の縁部に突起状の突起部(バリ241)が形成され、そのバリ241に対向するおもて面の縁部に曲面形状のダレ242が形成されている。また、回路パターン24はバリ241がある裏面側を樹脂基板23のおもて面に設けている。なお、この場合、対向する一対の縁部は、上記のフローチャートのステップS6で外部接続端子40を回路パターン24に超音波接合を行う際に、超音波の振動方向に対向することが好ましい。
【0038】
図11(A)~(D)は、いずれも、回路パターン24のおもて面が樹脂基板23から露出し、裏面が樹脂基板23に接し、バリ241が樹脂基板23に埋まり込んでいる。すなわち、図11(A)~(D)は、回路パターン24のバリ241が樹脂基板23のおもて面よりも下位に位置する場合を示している。なお、ここで上位、下位とは、樹脂基板23の裏面からおもて面に向かった方向、おもて面から裏面に向かった方向をそれぞれ意味する。樹脂基板23の裏面からおもて面に遠い方を上位、樹脂基板23のおもて面から裏面に近い方を下位と表す。
【0039】
図11(A)は、回路パターン24の裏面が樹脂基板23のおもて面と同一平面に位置しており、回路パターン24のバリ241が樹脂基板23のおもて面に入り込んでいる場合を示している。図11(B)は、図11(A)からさらに、回路パターン24の裏面が樹脂基板23のおもて面よりも下位に位置する場合を示している。図11(C)は、図11(B)からさらに、回路パターン24のおもて面が樹脂基板23のおもて面と同一平面になっている場合を示している。また、図11(D)は、図11(C)からさらに、回路パターン24のおもて面が樹脂基板23のおもて面よりも下位に位置する場合を示している。さらに、図11(D)の場合は、回路パターン24のダレ242が樹脂基板23により覆われて回路パターン24の中心部側に押圧されている。このため、回路パターン24は樹脂基板23に対して強固に固定されている。
【0040】
この場合も、図9の場合と同様に、上記のフローチャートのステップS6で外部接続端子40を回路パターン24に超音波接合を行う際に、回路パターン24は樹脂基板23から剥離することが防止される。外部接続端子40を通じて回路パターン24に確実に超音波振動が伝わり、外部接続端子40を回路パターン24に適切に接合することができる。特に、図11の場合は、回路パターン24のバリ241が樹脂基板23に入り込んでいるため、回路パターン24は図9,10の場合よりも樹脂基板23により強固に接合される。また、図11(A),(B)は、回路パターン24のおもて面が樹脂基板23のおもて面から突出している。このため、後工程で回路パターン24に配線部材を接合する際に、接合用のツールが入り込み易く、簡便に外部接続端子40を接合することができる。一方で、図11(C),(D)の方が図11(A),(B)に比べて、回路パターン24の側部が樹脂基板23に接する面積が増加している。このため、図11(C),(D)の方が図11(A),(B)よりもより確実に外部接続端子40を回路パターン24に接合することができる。
【0041】
図12は、図11と同様に、上記フローチャートのステップS1で金属板から打ち抜かれた金属パターンが半硬化基板に接合されて(ステップS4)、ステップS5を経ることで、回路パターン24が接合された樹脂基板23が得られる場合を示している。このような回路パターン24は、その裏面の対向する一対の縁部に突起状の突起部(バリ241)が形成され、そのバリ241に対向するおもて面の縁部のダレ242が除去されておもて面は略平面状となっている。また、回路パターン24はバリ241がある裏面側を樹脂基板23のおもて面に設けている。
【0042】
図12(A)~(D)は、いずれも、回路パターン24のおもて面が樹脂基板23から露出し、裏面が樹脂基板23に接し、バリ241が樹脂基板23に埋まり込んでいる。すなわち、図12(A)~(D)は、回路パターン24のバリ241が樹脂基板23のおもて面よりも下位に位置する場合を示している。なお、ここで上位、下位とは、樹脂基板23の裏面からおもて面に向かった方向、おもて面から裏面に向かった方向をそれぞれ意味する。樹脂基板23の裏面からおもて面に遠い方を上位、樹脂基板23のおもて面から裏面に近い方を下位と表す。
【0043】
図12(A)は、図11(A)と同様に、回路パターン24の裏面が樹脂基板23のおもて面と同一平面に位置しており、回路パターン24のバリ241が樹脂基板23のおもて面に入り込んでいる場合を示している。図12(B)は、図11(B)と同様に、図12(A)からさらに、回路パターン24の裏面が樹脂基板23のおもて面よりも下位に位置する場合を示している。図12(C)は、図12(B)からさらに、回路パターン24のおもて面が樹脂基板23のおもて面と同一平面になっている場合を示している。また、図12(D)は、図12(C)からさらに、回路パターン24のおもて面が樹脂基板23のおもて面よりも下位に位置する場合を示している。
【0044】
この場合も、図9の場合と同様に、上記のフローチャートのステップS6で外部接続端子40を回路パターン24に超音波接合を行う際に、回路パターン24は樹脂基板23から剥離することが防止される。外部接続端子40を通じて回路パターン24に確実に超音波振動が伝わり、外部接続端子40を回路パターン24に適切に接合することができる。特に、図12の場合は、回路パターン24のバリ241が樹脂基板23に入り込んでいるため、回路パターン24は図9,10の場合よりも樹脂基板23により強固に接合される。また、図12(A),(B)は、回路パターン24のおもて面が樹脂基板23のおもて面から突出している。このため、後工程で回路パターン24に配線部材を接合する際に、接合用のツールが入り込み易く、簡便に外部接続端子40を接合することができる。一方で、図12(C),(D)の方が図12(A),(B)に比べて、回路パターン24の側部が樹脂基板23に接する面積が増加している。このため、図12(C),(D)の方が図12(A),(B)よりもより確実に外部接続端子40を回路パターン24に接合することができる。
【0045】
図13では、図10の場合に対して図11,12の回路パターン24を適用したものである。すなわち、図13は、上記フローチャートのステップS1で金属板から打ち抜かれた金属パターンが半硬化基板に接合されて(ステップS4)、ステップS5を経ることで、回路パターン24が接合された樹脂基板23が得られる場合を示している。図13(A),(C)の回路パターン24は、その裏面の対向する一対の縁部に突起状のバリ241が形成され、そのバリ241に対向するおもて面の縁部に曲面形状のダレ242が形成されている。一方、図13(B),(D)は、回路パターン24のおもて面の縁部のダレ242が除去されておもて面は略平面状となっている。また、回路パターン24はバリ241がある裏面側を樹脂基板23のおもて面に設けている。
【0046】
図13(A)~(D)は、いずれも、回路パターン24のおもて面が樹脂基板23から露出し、裏面が樹脂基板23に接し、側部が樹脂基板23の拘束凸部23aで覆われて、バリ241が樹脂基板23に埋まり込んでいる。すなわち、図13(A)~(D)は、回路パターン24のバリ241が樹脂基板23のおもて面よりも下位に位置する場合を示している。
【0047】
図13(A)は、図11の回路パターン24の裏面と樹脂基板23のおもて面とが同一平面であって、回路パターン24の側部が拘束凸部23aにより支持されている場合を示している。図13(B)は、図12の回路パターン24の裏面と樹脂基板23のおもて面とが同一平面であって、回路パターン24の側部が拘束凸部23aにより支持されている場合を示している。図13(C)は、図13(A)の場合に対して、さらに、回路パターン24の裏面が樹脂基板23のおもて面よりも下位に位置している場合を示している。図13(D)は、図13(B)の場合に対して、さらに、回路パターン24の裏面が樹脂基板23のおもて面よりも下位に位置している場合を示している。
【0048】
この場合も、図9の場合と同様に、上記のフローチャートのステップS6で外部接続端子40を回路パターン24に超音波接合を行う際に、回路パターン24は樹脂基板23から剥離することが防止される。外部接続端子40を通じて回路パターン24に確実に超音波振動が伝わり、外部接続端子40を回路パターン24に適切に接合することができる。特に、図13の場合は、回路パターン24のバリ241が樹脂基板23に入り込んでいるため、回路パターン24は図9,10の場合よりも樹脂基板23により強固に接合される。また、図13(C),(D)の方が図13(A),(B)に比べて、回路パターン24の側部が樹脂基板23に接する面積が増加している。このため、図13(C),(D)の方が図13(A),(B)よりもより確実に外部接続端子40を回路パターン24に接合することができる。さらには、図13(C)の、回路パターン24はダレ242が樹脂基板23により覆われており、他の図13(A),(B),(D)よりもより確実に外部接続端子40を回路パターン24に接合することができる。
【0049】
このように半導体装置10の絶縁回路基板22に形成される回路パターン24のうち、少なくとも、外部接続端子40が超音波接合されるものが、樹脂基板23に対して接合されて、少なくとも対向する一対の側面が支持されることが好ましい。そのような絶縁回路基板22の別の例について、図14及び図15を用いて説明する。図14及び図15は、実施の形態の半導体装置の別の絶縁回路基板を示す図である。なお、図14及び図15では、半導体装置10のうち絶縁回路基板22と外部接続端子41aとを示している。
【0050】
例えば、図14に示されるように、厚さが略等しい回路パターン24a,24bが樹脂基板23に取り付けられている。このうち、外部接続端子41aが接合される回路パターン24bが樹脂基板23に接合されて、一対の側面が支持されている。一方、第1半導体チップ21a及び第2半導体チップ21bが接合されている回路パターン24aはその裏面が樹脂基板23のおもて面と略同一面で固着され、側面が支持されていない。この場合は、回路パターン24bのおもて面は、回路パターン24aのおもて面よりも下位に位置する。また、回路パターン24bの裏面は、回路パターン24aの裏面よりも下位に位置する。すなわち、回路パターン24aの下の樹脂基板23の厚さが厚い。そのため、半導体チップ21a,21bの発熱による応力を緩和することができる。
【0051】
また、図15に示されるように、厚さが異なる回路パターン24a,24bが樹脂基板23に取り付けられている。回路パターン24aは回路パターン24bよりも薄く加工されている。このうち、外部接続端子41aが接合される回路パターン24bが樹脂基板23に接合されて、一対の側面が支持されている。一方、第1半導体チップ21a及び第2半導体チップ21bが接合されている回路パターン24aはその裏面が樹脂基板23のおもて面と略同一面で固着され、側面が支持されていない。この場合は、回路パターン24bのおもて面と回路パターン24aのおもて面とは略等しい高さに位置している。また、回路パターン24bの裏面は、回路パターン24aの裏面よりも下位に位置する。すなわち、回路パターン24aの下の樹脂基板23の厚さが厚い。そのため、半導体チップ21a,21bの発熱による応力を緩和することができる。
【0052】
上記の半導体装置10は、おもて面を備える放熱板25と、当該おもて面に固着された裏面とおもて面とを備え、樹脂を含む樹脂基板23と、当該おもて面に固着された裏面とおもて面とを備える回路パターン24と、を有する絶縁回路基板22を有する。半導体装置10は、おもて面に接合された第1,第2半導体チップ21a,21bまたは外部接続端子40の少なくともいずれか一方を有し、回路パターン24の少なくとも対向する一対の側部が樹脂基板23によりそれぞれ支持されている。なお、この場合、対向する一対の側部は、上記のフローチャートのステップS6で外部接続端子40を回路パターン24に超音波接合を行う際に、超音波の振動方向に対向していることが好ましい。このような半導体装置10では、回路パターン24に外部接続端子40を超音波接合により接合する際に回路パターン24は樹脂基板23により支持されているため、樹脂基板23から剥離することがない。このため、外部接続端子40からの超音波が回路パターン24に伝わり、確実に接合することができる。そして、このように回路パターン24に外部接続端子40を直接接合している。このため、これらの間をボンディングワイヤにより接合する場合と比較すると、電気抵抗を低減することができる。また、半導体装置10は、絶縁回路基板22を用いている。このため、半導体装置10は、第1半導体チップ21a及び第2半導体チップ21bからの発熱を効率よく放熱板25から放熱することができ、温度上昇を抑制することができる。また、制御端子30に含まれる制御配線部34が配置された制御領域30aは、絶縁回路基板22の素子領域22aに対して高位に位置している。このため、各領域で発生するノイズによる影響を抑制することができ、半導体装置10が安定して駆動することができる。したがって、半導体装置10の特性改善を図ることができる。そして、半導体装置10は、制御端子30及び外部接続端子40等を一体成形したケースを用いていない。このため、このようなケースを成形する工程とケースに絶縁回路基板22を接着する工程とが不要となる。したがって、半導体装置10の製造工程が簡略化され、製造コストを削減することができる。
【符号の説明】
【0053】
10 半導体装置
21a 第1半導体チップ
21b 第2半導体チップ
22 絶縁回路基板
22a 素子領域
23 樹脂基板
23a 拘束凸部
23b 結合拘束凸部
24,24a,24b,24c,24d 回路パターン
25 放熱板
26 ボンディングワイヤ
30,31,32,33 制御端子
30a 制御領域
34 制御配線部
40,41a,41b,41c,41d 外部接続端子
41a1 接合部
41a2 連係部
41a3 端子部
50 電子部品
60 封止部材
80 成形金型
81 上部金型
82 下部金型
83 流路
84 キャビティ
241 バリ
242 ダレ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15