(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】RF通信装置
(51)【国際特許分類】
G06K 7/10 20060101AFI20231219BHJP
【FI】
G06K7/10 252
(21)【出願番号】P 2019222350
(22)【出願日】2019-12-09
【審査請求日】2022-08-04
(73)【特許権者】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 明広
【審査官】小林 紀和
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-054175(JP,A)
【文献】特開2009-098876(JP,A)
【文献】特開2011-060231(JP,A)
【文献】特開2005-178964(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
RF通信装置であって、
電波を送受信することによってRFタグと無線通信を実行可能なRF通信部と、
複数の発光色で点灯可能な発光表示部と、
周囲に存在する複数個のRFタグに対して電波を送信して、各RFタグに記録された情報を読み取るための読取処理を前記RF通信部に実行させる読取制御部と、
前記読取処理の開始後に、単位時間当たりに読み取られたRFタグの数である読取速度を計測する速度計測部と、
計測された前記読取速度に応じて、前記発光表示部を異なる発光色で点灯させる、発光制御部と、
を備える、RF通信装置。
【請求項2】
筐体をさらに備え、
前記発光表示部は、前記筐体のうち、前記読取処理の実行中においてユーザから視認可能な範囲に露出するように備えられる、請求項1に記載のRF通信装置。
【請求項3】
前記発光制御部は、前記読取速度が特定の閾値以下である場合には前記発光表示部を第1の発光色で点灯させ、前記読取速度が前記特定の閾値より高い場合には前記発光表示部を前記第1の発光色とは異なる第2の発光色で点灯させ、
前記特定の閾値は、ユーザの指示に従って設定される、請求項1又は2に記載のRF通信装置。
【請求項4】
前記発光制御部は、前記読取速度が特定の閾値以下である場合には前記発光表示部を第1の発光色で点灯させ、前記読取速度が前記特定の閾値より高い場合には前記発光表示部を前記第1の発光色とは異なる第2の発光色で点灯させ、
前記第1の発光色及び前記第2の発光色は、それぞれ、前記発光表示部が点灯可能な前記複数の発光色のうちからユーザの指示に従って選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載のRF通信装置。
【請求項5】
前記発光制御部は、
前記発光表示部を、特定の点灯期間の間点灯させ、
前記特定の点灯期間は、ユーザの指示に従って設定される、請求項1から4のいずれか一項に記載のRF通信装置。
【請求項6】
前記発光制御部は、前記読取速度がゼロである場合には前記発光表示部を点灯させない、請求項1から5のいずれか一項に記載のRF通信装置。
【請求項7】
前記発光制御部は、さらに、前記読取速度がゼロである期間が特定の非読取期間に亘って継続する場合、前記読取速度がゼロでない場合とは異なる特定態様で前記発光表示部を点灯させる、請求項1から6のいずれか一項に記載のRF通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、RF通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電波を送受信することによって、周囲のRFタグと無線通信を行うRF通信装置が開示されている。この種のRF通信装置では、周囲のRFタグに記録された情報を読み取るための読取処理を実行可能である。特許文献1の技術では、RF通信装置は、1ラウンドの電波の送受信当たりに読み取られたRFタグの数を計測し、計測された数に応じて、音声出力部から、周波数(即ち音の高さ)及び出力回数が異なる報知音を出力する。これにより、作業者であるユーザに、読み取られたRFタグの数を把握させ、作業の進捗状況を把握させることを図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、ユーザは、報知音の周波数(即ち音の高さ)や出力回数が変わった場合に、読み取られたRFタグの数が変わったことを把握することはできる。即ち、ユーザは、音の高さや出力回数の変化に基づいて、読み取られたRFタグの数が変わったことを相対的に把握することができるに過ぎない。ユーザは、報知音の周波数及び出力回数に基づいて、読み取られたRFタグの数を絶対的に把握することは困難である。また、RFタグの読み取りが行われる現場(例えば、物流の現場等)の周辺雑音により、ユーザが報知音を正しく聴取することが難しい場合もある。
【0005】
本明細書では、ユーザが読取処理の進捗を適切に把握することができるRF通信装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書で開示するRF通信装置は、電波を送受信することによってRFタグと無線通信を実行可能なRF通信部と、複数の発光色で点灯可能な発光表示部と、周囲に存在する複数個のRFタグに対して電波を送信して、各RFタグに記録された情報を読み取るための読取処理を前記RF通信部に実行させる読取制御部と、前記読取処理の開始後に、単位時間当たりに読み取られたRFタグの数である読取速度を計測する速度計測部と、計測された前記読取速度に応じて、前記発光表示部を異なる発光色で点灯させる、発光制御部と、を備える。
【0007】
上記の構成によると、RFタグの読取作業を行うユーザは、発光表示部の表示色を見ることで、読取速度を絶対的に把握することができる。また、発光表示部の点灯は、周囲の雑音の影響を受けるおそれもない。従って、上記の構成によると、ユーザが、読取処理の進捗を適切に把握することができる。
【0008】
前記RF通信装置は、筐体をさらに備えてもよい。前記発光表示部は、前記筐体のうち、前記読取処理の実行中においてユーザから視認可能な範囲に露出するように備えられてもよい。
【0009】
この構成によると、読取処理の実行中に、ユーザは筐体の方を見れば発光表示部の表示色を無理なく視認することができる。ユーザは、読取処理の実行中に適切に読取速度を把握することができる。
【0010】
前記発光制御部は、前記読取速度が特定の閾値以下である場合には前記発光表示部を第1の発光色で点灯させ、前記読取速度が前記特定の閾値より高い場合には前記発光表示部を前記第1の発光色とは異なる第2の発光色で点灯させてもよい。前記特定の閾値は、ユーザの指示に従って設定されてもよい。
【0011】
この構成によると、読取速度に応じた発光色の変化の基準となる特定の閾値をユーザが設定することができる。そのため、ユーザは、自身が読取作業を行う環境(例えば周囲のRFタグの総数等)に応じて、特定の閾値を適切な値に設定しておくことができる。特定の閾値を適切な値に設定しておくことにより、ユーザは、読取処理の進捗をより適切に把握し得る。
【0012】
前記発光制御部は、前記読取速度が特定の閾値以下である場合には前記発光表示部を第1の発光色で点灯させ、前記読取速度が前記特定の閾値より高い場合には前記発光表示部を前記第1の発光色とは異なる第2の発光色で点灯させてもよい。前記第1の発光色及び前記第2の発光色は、それぞれ、前記発光表示部が点灯可能な前記複数の発光色のうちからユーザの指示に従って選択されてもよい。
【0013】
この構成によると、読取速度の範囲毎の発光色をユーザが設定することができる。そのため、ユーザは、読取速度の範囲毎に自身が把握しやすい色を発光色として設定しておくことができる。その結果、ユーザは、読取処理の進捗をより適切に把握し得る。
【0014】
前記発光制御部は、前記発光表示部を、特定の点灯期間の間点灯させてもよい。前記特定の点灯期間は、ユーザの指示に従って設定されてもよい。
【0015】
この構成によると、発光表示部を点灯させる期間である特定の点灯期間をユーザが設定することができる。点灯期間を長く設定すると、複数個のRFタグが続けて読み取られた場合に、点灯状態が連続しやすい。その場合、ユーザには、発光表示部が連続して点灯しているように視認される。発光表示部が連続して点灯していれば、特に読取処理の序盤の読み取り数が多い期間において、ユーザが連続的に多くのRFタグの読み取りが行われていることを直感しやすくなる。反対に、点灯期間を短く設定すると、発光表示部が間欠的に点灯しているように視認される。発光表示部が間欠的に点灯していれば、特に読取処理の終盤の読み取り数が少なくなる期間において、ユーザが、RFタグを1個ずつ読み取られていることを直感しやすくなる。ユーザは、自身の作業環境や作業傾向に応じて、適切な特定の点灯期間を設定しておくことができる。その結果、ユーザは、読取処理の進捗をより適切に把握し得る。
【0016】
前記発光制御部は、前記読取速度がゼロである場合には前記発光表示部を点灯させないようにしてもよい。
【0017】
この構成によると、読取速度がゼロ(即ち、単位時間当たりに読み取られたRFタグの数がゼロ)である場合には発光表示部が点灯しない。ユーザは、点灯しない発光表示部を見ることで、RFタグが読み取られていないことを把握することができる。RFタグが読み取られない状況は、読取処理の終盤に発生しやすい。そのため、点灯しない発光表示部を見ることで、ユーザは、読取処理が終盤に入ったことを認識し得る。従って、この構成によると、ユーザは、読取処理の進捗をより適切に把握し得る。
【0018】
前記発光制御部は、さらに、前記読取速度がゼロである期間が特定の非読取期間に亘って継続する場合、前記読取速度がゼロでない場合とは異なる発光色で前記発光表示部を点灯させてもよい。
【0019】
この構成によると、読取速度がゼロである期間(即ち、単位時間当たりに読み取られたRFタグの数がゼロである期間)が特定の非読取期間に亘って継続すると、発光表示部が、読取速度がゼロでない場合とは異なる特定態様で点灯する。ユーザは、特定態様で点灯する発光表示部を見ることで、RFタグが読み取られていない期間が継続していることを把握することができる。RFタグが読み取られない期間が継続する状況は、読取処理の終盤に発生しやすく、とくに、周囲に読取可能なRFタグがもはや存在しない場合に発生しやすい。そのため、ユーザは、特定態様で点灯している発光表示部を見ることで、周囲に読取可能なRFタグが存在しない可能性が高いことを認識し得る。その場合、ユーザは、読取処理を行う場所を変えたり、読取作業を終了したりすることができる。従って、この構成によると、ユーザは、読取処理の進捗をより適切に把握し得る。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図2】通信システムの構成を表すブロック図を示す。
【
図5】RF通信装置の制御部が実行する発光制御処理のフローチャートを示す。
【
図6】RF通信装置の制御部が実行する非読取報知処理のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(第1実施例)
(システムの構成;
図1、
図2)
図1、
図2に示す通信システム2は、RF(Radio Frequency)通信装置10を用いて、周囲に存在する多数個のRFタグ100a,100b,100c等との間で、電波(若しくは電磁場)を用いた無線通信(以下「RF通信」と呼ぶ場合がある)を行い、RFタグ100a,100b,100c等のデータを非接触で読み書きするためのシステムである。この通信システム2では、RF通信装置10は、RFタグ100a,100b,100c等とのRF通信の結果をBluetooth(登録商標)通信によって端末装置50に送信する。以下ではBluetoothのことを「BT」と呼ぶ場合がある。
【0022】
図1、
図2に示す通信システム2は、RF通信装置10と、端末装置50と、多数個のRFタグ100a,100b,100c等と、を備える。
図1、
図2の例では3個のRFタグ100a,100b,100cのみを図示しているが、実際には、RF通信装置10の周囲にはこの他にも多数(例えば数千~数万個)のRFタグが存在する。以下、RFタグ100a,100b,100c等を区別せず総称する場合、単に「RFタグ100」と呼ぶ場合がある。
【0023】
(RF通信装置の構成;
図1、
図2)
図1、
図2に示すRF通信装置10は、周囲に存在する多数個のRFタグ100との間で、電波を用いた無線通信(即ちRF通信)を行うための通信装置である。上記の通り、本実施例のRF通信装置10は、電波を放射及び受信することでRF通信を行ういわゆる電波方式を採用する通信装置である。RF通信装置10は、作業者が携帯可能な可搬式の装置である。
【0024】
図1に示すように、RF通信装置10の筐体11は、本体部11aと、把持部11bと、収容部11cと、を有する。本体部11aは、RF通信装置10の本体部分を構成するケース部である。本体部11aには、RF通信装置10の大部分の構成要素が備えられている。把持部11bは、本体部11aの下面に設けられたグリップ状部材である。作業者であるユーザは、把持部11bを握ることによってRF通信装置10を把持することができる。収容部11cは、本体部11aの上端部と連結されて設けられた部材であり、RF通信を実行するためのRF通信部20を収容するための部材である。収容部11cは、本体部11aの下面側に延びるように設けられている。
【0025】
図2に示すように、RF通信装置10は、様々な構成要素を備えている。具体的には、RF通信装置10は、側面操作ボタン12aと、把持部操作ボタン12bと、発光表示部14と、スピーカ16と、振動部18と、RF通信部20と、BTインターフェース22と、制御部24と、メモリ30と、を備えている。以下では、インターフェースのことを「I/F」と記載する。これらの構成要素のうち、側面操作ボタン12aと、発光表示部14と、スピーカ16と、振動部18と、BTインターフェース22と、制御部24と、メモリ30は、本体部11aに備えられる。把持部操作ボタン12bは把持部11bに備えられる。RF通信部20は収容部11cに備えられる。以下、各構成要素について説明する。
【0026】
側面操作ボタン12aは、本体部11aの両側面に操作可能な態様で設けられる(
図1参照)。ユーザは、側面操作ボタン12aを押すことによって様々な指示(例えばRFタグの読み取り指示)を入力することができる。
【0027】
把持部操作ボタン12bは、把持部11bのうち、把持部11bを握ったユーザが人差し指で操作可能な位置に設けられる(
図1参照)。ユーザは、把持部操作ボタン12bを押すことによっても、様々な指示(例えばRFタグの読み取り指示)を入力することができる。即ち、本実施例のRF通信装置10は、いわゆるガンタイプ型装置として利用可能である。なお、以下では、側面操作ボタン12aと把持部操作ボタン12bとを総称して単に「操作ボタン12」と呼ぶ場合がある。
【0028】
発光表示部14は、複数色に発光可能なLEDを内蔵した発光部である。発光表示部14は、例えば、青、赤、黄、緑、黄緑、橙、紫、青、白等の発光色で発光可能である。変形例では、発光表示部14は、複数色に発光可能であれば、LED以外の発光体(例えば電球等)を内蔵していてもよい。発光表示部14は、本体部11aの後端部(収容部11cとは反対側の端部)に、外部から視認可能な態様で設けられる(
図1参照)。RF通信装置10を使用する(例えば、RFタグの読取作業を行う)ユーザが把持部11bを握ると、本体部11aの後端部がユーザ側を向く。即ち、発光表示部14は、RF通信装置10の使用中(例えばRFタグの読取作業の実行中)においてユーザから視認可能な位置に露出して設けられている。ユーザは、RF通信装置10の使用中(例えばRFタグの読取作業の実行中)、発光表示部14を無理なく視認することができる。
【0029】
スピーカ16は、様々な音声を出力可能な音声出力部である。例えば、スピーカ16は、RFタグが読み取られている場合に、制御部24の指示に従って、RFタグの読み取りを報知する報知音(例えばブザー音、ピープ音、クリック音等)を出力することができる。スピーカ16は、本体部11a内に収容されている。
【0030】
振動部18は、例えば、モータ(図示しない)を内蔵し、報知用の細かい振動を発生させるための駆動部である。例えば、振動部18は、RFタグが読み取られている場合に、制御部24の指示に従って、RFタグの読み取りを報知する振動を発生させることができる。振動部18も、本体部11a内に収容されている。
【0031】
RF通信部20は、所定の通信範囲内(例えば半径5m圏内)に存在するRFタグ100との間で電波を媒介とする無線通信(RF通信)を実行するための通信部である。本実施例のRF通信部20は、公知のRF通信モジュールであり、図示しない送信回路と受信回路とアンテナとを備えている。本実施例では、RF通信部20は、収容部11cに収容されている(
図1参照)。RF通信が実行される際には、RF通信部20は、電波を外側方向(即ち、把持部11bとは反対側方向)に向けて出力する。
【0032】
BTI/F22は、端末装置50との間で、BT通信リンクを用いたBT通信(Bluetooth通信)を実行するためのインターフェースである。
【0033】
制御部24は、メモリ30に記憶されているプログラム(即ち、OSプログラム32、発光制御アプリアプリケーションプログラム34(以下「発光制御アプリ34」と呼ぶ)等)に従って、後述の発光制御処理(
図5参照)、非読取報知処理(
図6参照)等の様々な処理を実行する。
【0034】
メモリ30は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等によって構成される。メモリ30は、OSプログラム32と、発光制御アプリ34と、パラメータテーブル36と、発光色管理テーブル38と、を記憶している。また、メモリ30は、制御部24が様々な処理を実行することに伴って生成される様々な情報を一時的に記憶するための記憶領域(図示省略)も備えている。
【0035】
OSプログラム32は、制御部24が基本的な処理を実行するためのプログラムを含む。OSプログラム32は、RF通信装置10の出荷時点でメモリ30に記憶されている。
【0036】
発光制御アプリ34は、RF通信装置10のベンダによって提供され、RF通信装置10がRFタグの読取処理を実行する際における発光表示部14の発光態様を制御するためのアプリケーションプログラムである。
【0037】
図3はパラメータテーブル36の一例を示す。
図3に示されるように、パラメータテーブル36には、後述の発光制御処理(
図5参照)が実行される際の設定情報150a~150cが含まれている。設定情報150a~150cは、それぞれ、設定対象のパラメータと具体的な設定値とが対応付けられた情報である。
【0038】
設定情報150aは、現在ユーザによって設定されている速度閾値Sthを示す。速度閾値Sthとは、発光制御処理において、発光表示部14の発光色を変化させる基準となる閾値である。本実施例では、発光制御処理において、制御部24は、過去1秒間当たりに読み取られたRFタグの数である読取速度V[個/秒]が、速度閾値Sth、速度閾値Sthの2倍値(2Sth)、及び、速度閾値Sthの3倍値(3Sth)をそれぞれ超える場合に、発光表示部14の発光色を変化させる。
図3の例では、速度閾値Sthが200[個/秒]に設定されている。
【0039】
設定情報150bは、現在ユーザによって設定されている点灯期間tlを示す。本実施例では、発光制御処理において、制御部24は、RFタグが読み取られると、発光表示部14を所定の発光色で点灯させる(
図5のS20参照)。その後続いてRFタグが読み取られることなく点灯期間tlが経過すると、制御部24は、発光表示部14を消灯させる(
図5のS10で
YES、S12参照)。即ち、点灯期間tlは、一度点灯させた発光表示部14を消灯させるためのタイムアウト期間と言い換えることができる。
図3の例では、点灯期間tlは0.5[秒]に設定されている。
【0040】
設定情報150cは、現在ユーザによって設定されている非読取期間tnを示す。本実施例では、発光制御処理の開始後において、RFタグが読み取られない状態が所定の非読取期間tn以上継続すると、制御部24は、発光表示部14を、RFタグが読み取られている場合におけるいずれの発光色とも異なる発光色で発光させる(
図5のS14でNO、
図6のS32でYES参照)。即ち、非読取期間tnは、RFタグが読み取られない状態が相当程度経過している(即ち、周囲に未読のRFタグが存在していない)ことを報知させるためのタイムアウト期間と言い換えることができる。
図3の例では、非読取期間tnは10[秒]に設定されている。
【0041】
上記の速度閾値Sth、点灯期間tl、及び、非読取期間tnは、読取作業の開始前にユーザが設定可能である。パラメータテーブル36には、設定された速度閾値Sth、点灯期間tl、及び、非読取期間tnの各値を含む設定情報150a~150cが記憶される。また、ユーザは、任意のタイミングで、設定した速度閾値Sth、点灯期間tl、及び、非読取期間tnを変更することもできる。その場合、パラメータテーブル36に含まれる設定情報150a~150cが更新される。
【0042】
図4は発光色管理テーブル38の一例を示す。
図4に示されるように、発光色管理テーブル38には、後述の発光制御処理(
図5参照)における条件ごとの発光表示部14の発光色に関する発光色情報160a~160eが含まれている。発光色情報160a~160eは、それぞれ、発光表示部14を点灯させるべき条件と点灯の際の発光色とが対応付けられた情報である。
【0043】
発光色情報160aは、読取速度Vが、1以上速度閾値Sth以下である場合のために設定されている発光色を示す。
図4の例では、発光色は青に設定されている。例えば、速度閾値Sthが200[個/秒]である場合に、読取速度V[個/秒]が1以上200以下であると、制御部24は発光表示部14を青色に点灯させる。
【0044】
発光色情報160bは、読取速度Vが、速度閾値Sthより高く、速度閾値の2倍値2Sth以下である場合のために設定されている発光色を示す。
図4の例では、発光色は緑に設定されている。そのため、速度閾値Sthが200[個/秒]である場合に、読取速度V[個/秒]が200より高く400以下であると、制御部24は発光表示部14を緑色に点灯させる。
【0045】
発光色情報160cは、読取速度Vが、速度閾値の2倍値2Sthより高く、速度閾値の3倍値3Sth以下である場合のために設定されている発光色を示す。
図4の例では、発光色は黄に設定されている。そのため、速度閾値Sthが200[個/秒]である場合に、読取速度V[個/秒]が400より高く600以下であると、制御部24は発光表示部14を黄色に点灯させる。
【0046】
発光色情報160dは、読取速度Vが、速度閾値の3倍値3Sthより高い場合のために設定されている発光色を示す。
図4の例では、発光色は赤に設定されている。そのため、速度閾値Sthが200[個/秒]である場合に、読取速度Vが600より高いと、制御部24は、発光表示部14を赤色に点灯させる。
【0047】
発光色情報160eは、RFタグが読み取られないまま所定の非読取期間tnが経過した場合のために設定されている発光色を示す。
図4の例では、発光色は白に設定されている。そのため、非読取期間tnが10[秒]である場合に、RFタグが読み取られないまま10秒以上が経過すると、制御部24は、発光表示部14を白色に点灯させる。
【0048】
上記の各条件における発光色は、読取作業の開始前にユーザが設定可能である。発光色管理テーブル38には、設定された発光色を含む発光色情報160a~160eが記憶される。また、ユーザは、任意のタイミングで、設定した発光色を変更することもできる。その場合、発光色管理テーブル38内の発光色情報160a~160eが更新される。
【0049】
(端末装置50の構成;
図1、
図2)
図1、
図2に示す端末装置50は、RF通信装置10とBT通信を実行することにより、RF通信装置10から、RF通信装置10が実行したRF通信の結果(具体的には読取作業の結果)を受信するための端末装置である。端末装置50は、例えば、タブレット端末、スマートフォン、PDA等の可搬型端末である。
図2に示すように、端末装置50は、BTI/F52と、タッチパネル54と、制御部60と、メモリ62とを備える。
【0050】
BTI/F52は、RF通信装置10との間でBT通信(Bluetooth通信)を実行するためのインターフェースである。
【0051】
タッチパネル54は、様々な情報を表示するための表示部として機能するとともに、様々な指示を端末装置50に入力するための操作部としても機能する。
【0052】
制御部60は、メモリ62に記憶されているプログラム(図示省略)に従って様々な処理を実行する。メモリ62は、ROM、RAM等によって構成される。メモリ62は、様々なプログラムを記憶しているとともに、制御部60が処理を実行することに伴って生成される様々な情報を一時的に記憶するための記憶領域(図示省略)も備えている。
【0053】
(RFタグ100の構成;
図1、
図2)
図1、
図2に示されるRFタグ100は、いずれも公知のパッシブ形式のRFタグである。RFタグのことをRFIDタグ、無線タグ等と呼んでもよい。RFタグ100は、いずれも、図示しないアンテナ、制御回路、メモリ等を備えている。RFタグ100のメモリには、そのRFタグ100に固有のユニークID(識別情報。例えばシリアル番号等)が記憶されている。また、RFタグ100のメモリには、そのRFタグ100のモデル名(機種名と呼んでもよい)も記憶されている。ユニークIDとモデル名とを併せて「タグID」と呼んでもよい。タグIDは、当該RFタグ100の出荷時点において既にメモリに記憶されている。さらに、RFタグ100のメモリには、RF通信装置10によって読み取り可能なタグ情報が記憶される。これらのタグ情報は、RFタグ100の利用開始後に、他の装置によってメモリに書き込まれる。タグ情報は、例えばRFタグ100が付される物品の品質管理情報等を含む。
【0054】
(読取作業の概要)
制御部24が実行する処理(
図5、
図6)の内容を説明する前に、本実施例の通信システム2を利用して、RF通信装置10の周囲に存在する多数個のRFタグ100に記録された情報を読み取る読取作業の概要について説明しておく。
【0055】
読取作業を行うユーザは、RF通信装置10の把持部11bを把持した上で、操作ボタン12に所定の読取開始操作を入力する。その場合、RF通信装置10の制御部24は、所定の読取処理を開始する。
【0056】
読取処理では、まず、制御部24は、RF通信部20に電波を出力させる。この際、ユーザは、RF通信部20が収容されている収容部11cを、RFタグ100が存在していると思われる方向に向けておくことが好ましい。周囲に存在するRFタグ100は、RF通信部20が出力する電波を受信することができる。各RFタグ100は、電波を受信すると、受信した電波を電力に代えて、自身のメモリに記録された情報(即ちタグID及びタグ情報)を含む反射波を出力する。RF通信部20は、RFタグ100が出力した反射波を受信すると、反射波に含まれる情報を抽出し、制御部24に供給する。これにより、制御部24は、RFタグ100から、当該RFタグ100に記録された情報を取得する。
【0057】
制御部24は、RFタグ100から取得された情報(以下では「対象情報」と呼ぶ場合がある)が、既にメモリ30の一時記憶領域内に「読み取り済み情報」として記憶されているか否かを判断する。対象情報と同じ情報が既にメモリ30の一時記憶領域内に「読み取り済み情報」として記憶されていると判断される場合、制御部24は、対象情報を新たに記憶しない。一方、対象情報がメモリ30の一時記憶領域内に記憶されていないと判断される場合、制御部24は、取得された対象情報を、新たに「読み取り済み情報」としてメモリ30に記憶させる。この際、制御部24は、この時点の時刻(即ち、RFタグ100から情報が取得された時刻)を、対象情報に対応付けてメモリ30に記憶させる。対象情報が新たにメモリ30の一時記憶領域内に記憶されることで、当該RFタグ100の読み取りが完了する。即ち、本実施例において、「RFタグ100を読み取る」こととは、当該RFタグ100から取得された情報がメモリ30の一時記憶領域に新たに記憶されることである、と言い換えてもよい。また、制御部24は、過去1秒間当たりに読み取られたRFタグ(即ち、情報が新たに取得されたRFタグ)の数(即ち読取速度V)も計測する。そして、制御部24は、読み取られたタグID及びタグ情報を、BT通信リンクを介して端末装置50に送信する。端末装置50は、RF通信装置10から受信されたタグID及びタグ情報に関する情報をタッチパネル54に表示させる。
【0058】
制御部24は、RF通信部20に電波を複数回出力させ、上述の各処理を複数サイクル実行させる。一度情報が読み取られたRFタグ100(読取済みのRFタグ100)であっても、RFタグ100は、電波を受信すると、メモリに記録された情報を含む反射波を出力する。上記の通り、制御部24が、取得された情報が「読み取り済み情報」であるか否かを判断する。即ち、制御部24は、取得された情報に基づいて、RFタグ100が読み取り済みであるか未読み取りであるかを判断している。そのため、上述の各処理が複数サイクル実行される場合、最初の数サイクルの間は、周囲には未読み取りのRFタグ100が多く存在するため、1回のサイクルで多数の情報(タグID及びタグ情報)が新たに取得される(即ち読み取られる)。サイクルを重ねると、未読み取りのRFタグ100(即ち、読み取り済み情報がメモリ30に記憶されていないRFタグ100)の数が減っていくため、1回のサイクルで新たに読み取られる情報(タグID及びタグ情報)の数も減っていく。最終的にRF通信装置10の周囲に未読み取りのRFタグ100が存在しなくなると、ユーザは、すべてのRFタグ100の読み取りが完了したと判断し、操作ボタン12に所定の読取終了操作を入力する。その場合、制御部24は、読取処理を終了する。端末装置50は、読取処理の結果に関する情報をタッチパネル54に表示させる。以上の一連の処理がすべて完了することで、1回の読取作業が終了する。
【0059】
(読取処理の実行に伴って制御部24が実行する処理;
図5、
図6)
続いて、RF通信装置10の制御部24が、上記の読取処理を実行することに伴って実行する発光制御処理(
図5)及び非読取報知処理(
図6)について説明する。発光制御処理(
図5)及び非読取報知処理(
図6)は、ともに、読取作業中における発光表示部14の発光態様を制御するための処理である。
【0060】
(発光制御処理;
図5)
上記の通り、読取作業を行うユーザが操作ボタン12に所定の読取開始操作を入力すると、制御部24は、所定の読取処理を開始する。そして、制御部24は、読取処理が開始されたことをトリガとして、
図5の発光制御処理も開始する。即ち、読取作業の実行中、制御部24は、読取処理と、
図5の発光制御処理とを並行して実行する。
【0061】
S10では、制御部24は、この時点でカウント中の点灯タイマが、予め設定された点灯期間tl(
図3の例では0.5[秒])以上に到達したか否かを判断する。発光制御処理の開始時点では、発光表示部14の点灯及び点灯タイマのカウントは行われていないため、発光制御処理の開始後のS10では、制御部24はNOと判断し、S12をスキップしてS14に進む。
【0062】
二度目以降のS10において、カウント中の点灯タイマが点灯期間tl未満(即ち、発光表示部14の点灯後、点灯期間tlが未経過)の場合、制御部24はS10でNOと判断してS14に進む。一方、二度目以降のS10において、カウント中の点灯タイマが点灯期間tl以上(即ち、発光表示部14の点灯後、点灯期間tlが経過済み)の場合、制御部24はS10でYESと判断してS12に進む。S12では、制御部24は、点灯中の発光表示部14を消灯し、その後S14に進む。
【0063】
S14では、制御部24は、RFタグ100の読み取りに新たに成功したか否かを判断する。この時点で、
図5の発光制御処理と並行して実行されている読取処理において、新たにRFタグ100の読み取りに成功した(即ち、RFタグ100から新たに情報を取得した)場合には、制御部24は、S14でYESと判断し、S16に進む。一方、この時点で、読取処理においてRFタグ100の読み取りが行われなかった(即ち、いずれのRFタグ100からも新たに情報を取得しなかった)場合、制御部24は、S14でNOと判断し、S22に進む。
【0064】
S22では、制御部24は、
図6の非読取報知処理を開始する。S22で非読取報知処理を開始すると、制御部24は、S10の判断に戻る。非読取報知処理の内容は、後で
図6を参照して詳しく説明する。
【0065】
S16では、制御部24は、カウント中の点灯タイマをリセットするとともに、新たに点灯タイマのカウントを開始する。
【0066】
続くS18では、制御部24は、過去1秒間当たりに読み取られたRFタグ100の数である読取速度Vを計測する。具体的には、S18では、制御部24は、メモリ30を参照して、過去1秒間の時刻に対応付けられている読取済みIDの数をカウントすることで、読取速度Vを計測する。
【0067】
続くS20では、制御部24は、S18で計測された読取速度Vに応じた発光色で発光表示部14を点灯させる。具体的には、S20では、まず、制御部24は、パラメータテーブル36(
図3)を参照して、設定されている速度閾値Sthを特定する。次いで制御部24は、発光色管理テーブル38を参照して、S18で計測された読取速度Vが、1位以上Sth以下、Sthより高く2Sth以下、2Sthより高く3Sth以下、3Sthより高い、のうちのどの条件に当てはまるのかを特定する。そして、制御部24は、特定された条件に対応して設定されている発光色で発光表示部14を点灯させる。
【0068】
S20の処理の具体例を説明する。例えば、メモリ30に、
図3のパラメータテーブル36及び
図4の発光色管理テーブル38が記憶されている例を想定する。この場合、速度閾値Sthは200[個/秒]に設定されている(
図3)。S18で計測された読取速度Vが500[個/秒]であった場合、読取速度Vは、「2Sth(400)より高く3Sth(600)以下」の範囲に当てはまる。そのため、S20では、制御部24は、発光表示部14を黄色に点灯させる。
【0069】
S20を終えると、制御部24は、S10の判断に戻る。以降、制御部24は、並行して実行されている読取処理が終了するまで、S10~S20、S22の各処理を繰り返し実行する。
【0070】
(非読取報知処理;
図6)
次いで、
図6を参照して、上記
図5のS22で開始される非読取報知処理の内容を説明する。上記の通り、読取処理において新たにRFタグ100の読み取りが行われなかったことをトリガとして(
図5のS14でNO、S22)、制御部S24は、
図6の非読取報知処理を開始する。非読取報知処理が開始されると、制御部24は、
図5の発光制御処理と
図6の非読取報知処理を並行して実行することになる。
【0071】
S30では、制御部24は、新たに非読取タイマのカウントを開始する。次いで、制御部24は、S32、S34の監視を開始する。
【0072】
S32では、制御部24は、カウント中の非読取タイマが、予め設定された非読取期間tn(
図3の例では10[秒])に到達することを監視する。そして、S34では、制御部24は、RFタグ100の読み取りに新たに成功することを監視する。
【0073】
カウント中の非読取タイマが、非読取期間tnに到達する前に、読取処理においてRFタグ100が新たに読み取られる場合、制御部24は、S34でYESと判断し、この時点で
図6の非読取処理を終了する。
【0074】
一方、読取処理においてRFタグ100が新たに読み取られることなく、S30でカウントが開始された非読取タイマが非読取期間tnに到達した場合(即ち、非読取期間tn(例えば10秒)を経過した場合)、制御部24は、S32でYESと判断し、S40に進む。
【0075】
S40では、制御部24は、発光色管理テーブル38を参照し、発光表示部14を、非読取期間tnが経過した場合のために設定されている特定の発光色で点灯させる。
図4の例によると、S40では、制御部24は、発光表示部14を白色に点灯させる。S40を終えると、制御部24は、
図6の非読取報知処理を終了する。なお、特定の発光色で点灯している発光表示部14は、所定期間の経過後に自動消灯してもよいし、ユーザが消灯操作を入力した場合に消灯してもよい。
【0076】
以上、本実施例の通信システム2の構成及び動作について説明した。上記の通り、本実施例では、制御部24は、計測された読取速度Vに応じた発光色で発光表示部14を点灯させる(
図5のS20)。この際の発光色は、予め設定された速度閾値Sthに基づいて区切られた速度の範囲によって予め定められている。従って、本実施例の構成によると、RFタグ100の読取作業を行うユーザは、RF通信装置10の発光表示部14の表示色を見ることで、現在の読取速度Vの範囲を絶対的に把握することができる。また、発光表示部14の点灯は、周囲の雑音の影響を受けるおそれもない。従って、上記の構成によると、ユーザは、実行中の読取処理の進捗を適切に把握することができる。
【0077】
また、本実施例では、発光表示部14は、本体部11aの後端部(収容部11cとは反対側の端部)に、外部から視認可能な態様で設けられる(
図1参照)。RF通信装置10を使用する(例えば、RFタグの読取作業を行う)ユーザが把持部11bを握ると、本体部11aの後端部がユーザ側を向く。即ち、発光表示部14は、RF通信装置10の使用中(例えばRFタグの読取作業の実行中)においてユーザから視認可能な位置に露出して設けられている。ユーザは、RF通信装置10の使用中(例えばRFタグの読取作業の実行中)、RF通信装置10の方を向けば、発光表示部14を無理なく視認することができる。ユーザは、読取処理の実行中に適切に読取速度Vを把握することができる。
【0078】
また、本実施例では、
図3、
図4、
図5のS20に示すように、制御部24は、ユーザが設定した速度閾値Sthに従って、読取速度Vが、1位以上Sth以下、Sthより高く2Sth以下、2Sthより高く3Sth以下、3Sthより高い、のうちのどの条件に当てはまるのかに応じて、発光表示部14を異なる発光色で点灯させる。本実施例では、読取速度Vに応じた発光色の変化の基準となる速度閾値Sthをユーザが設定することができる。そのため、ユーザは、自身が読取作業を行う環境(周囲のRFタグ100の総数等)に応じて、速度閾値Sthを適切な値に設定しておくことができる。速度閾値Sthを適切な値に設定しておくことにより、ユーザは、読取処理の進捗をより適切に把握し得る。
【0079】
また、
図4に示すように、本実施例では、各条件における発光表示部14の発光色もユーザが設定することができる。そのため、ユーザは、読取速度Vの範囲毎に自身が把握しやすい色を発光色として設定しておくことができる。ユーザは、読取処理の進捗をより適切に把握し得る。
【0080】
また、本実施例では、制御部24は、発光表示部14を、設定済の点灯期間tlの間点灯させる。点灯期間tl(
図3の例では0.5[秒])は、ユーザが予め設定することができる。点灯期間tlを長く設定すると、一度点灯した発光表示部14がすぐに消灯されにくくなるため、複数個のRFタグ100が続けて読み取られた場合に、発光表示部14の点灯状態が連続しやすい。その場合、ユーザには、発光表示部14が連続して点灯しているように視認される。発光表示部14が連続して点灯していれば、特に読取処理の序盤の読み取り数が多い期間において、ユーザが、連続的に多くのRFタグ100の読み取りが行われていることを直感しやすくなる。反対に、点灯期間tlを短く設定すると、一度点灯した発光表示部14がすぐに消灯されやすいため、発光表示部14が間欠的に点灯しているように視認される。発光表示部が間欠的に点灯していれば、特に読取処理の終盤の読み取り数が少なくなる期間において、ユーザが、RFタグ100が1個ずつ読み取られていることを直感しやすくなる。ユーザは、自身の作業環境や作業傾向に応じて、適切な点灯期間tlを設定しておくことができる。その結果、ユーザは、読取処理の進捗をより適切に把握し得る。
【0081】
本実施例では、制御部24は、RFタグ100が読み取られていない場合(即ち、読取速度Vがゼロである場合)には発光表示部14を点灯させない(
図5のS14でNO)。そのため、読取速度Vがゼロ(即ち、過去1秒間に読み取られたRFタグ100の数がゼロ)である場合には発光表示部14が点灯しない。ユーザは、点灯しない発光表示部14を見ることで、RFタグ100が読み取られていないことを把握することができる。RFタグ100が読み取られない状況は、読取処理の終盤に発生しやすい。そのため、点灯しない発光表示部14を見ることで、ユーザは、読取処理が終盤に入ったことを認識し得る。従って、本実施例によると、ユーザは、読取処理の進捗をより適切に把握し得る。
【0082】
本実施例では、制御部24は、RFタグ100が読み取られていない期間(即ち、読取速度がゼロである期間)が非読取期間tnに亘って継続する場合(
図6のS32でYES)、RFタグ100が読み取られている間とは異なる特定の発光色で発光表示部14を点灯させる(S40)。ユーザは、特定の発光色で点灯する発光表示部14を見ることで、RFタグ100が読み取られていない期間が継続していることを把握することができる。RFタグ100が読み取られない期間が継続する状況は、読取処理の終盤に発生しやすく、とくに、周囲に読取可能なRFタグ100がもはや存在しない場合に発生しやすい。そのため、ユーザは、特定の発光色で点灯している発光表示部14を見ることで、周囲に読取可能なRFタグ100が存在しない可能性が高いことを認識し得る。その場合、ユーザは、読取処理を行う場所を変えたり、読取作業を終了したりすることができる。従って、この構成によると、ユーザは、読取処理の進捗をより適切に把握し得る。
【0083】
本実施例と請求項の記載の対応関係を説明しておく。1秒間が「単位時間」の一例である。速度閾値Sthが、「特定の閾値」の一例である。
図4の例における青色、緑色が、それぞれ「第1の発光色」「第2の発光色」の一例である。点灯期間tlが「特定の点灯期間」の一例である。非読取期間tnが「特定の非読取期間」の一例である。
図4の例における白色が「特定態様」の一例である。
【0084】
以上、本明細書で開示する技術の具体例を説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。上記の実施例の変形例を以下に列挙する。
【0085】
(変形例1)発光表示部14の配置位置は、外部からユーザが視認可能な範囲に露出して設けられていれば、本体部11aの後端部(
図1)に限られず、RF通信装置10の任意の位置に設けられていてもよい。
【0086】
(変形例2)上記の実施例では、速度閾値Sth、及び、読取速度Vの各範囲に対応する発光色は、ユーザが設定可能である。これに限られず、速度閾値Sthと、読取速度Vの各範囲に対応する発光色とのうちの少なくとも一方は、既定値であってユーザが変更不可能であってもよい。
【0087】
(変形例3)上記の実施例では、RFタグ100が読み取られていない場合(即ち、読取速度Vがゼロである場合)には発光表示部14を点灯させない(
図5のS14でNO)。変形例では、制御部24は、読取速度Vがゼロである場合に、発光表示部14を、RFタグ100が読み取られている場合とは異なる発光色で点灯させるようにしてもよい。
【0088】
(変形例4)制御部24は、RFタグ100が読み取られていない場合(
図4のS14でNO)に、非読取報知処理を開始させなくてもよい。即ち、
図6の非読取報知処理が省略されてもよい。
【0089】
(変形例5)上記の実施例では、RF通信装置10は表示部を備えておらず、読取作業の結果等は端末装置50のタッチパネル54に表示させている。これに限られず、RF通信装置10が表示部を備えていてもよい。読取作業の結果等の情報は、RF通信装置10の表示部に表示されてもよい。
【0090】
(変形例6)
図1に示すように、上記の実施例では、RF通信装置10は、把持部11b及び把持部操作ボタン12bを備えるガンタイプ型装置である。これに限られず、RF通信装置10は、ガンタイプ型以外の装置であってもよい。例えば、RF通信装置10は、タブレット型、ハンディターミナル型等の装置であってもよい。これらの変形例でも、読取処理の実行中に視認可能な範囲に発光表示部14が備えられていることが好ましい。
【0091】
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの1つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0092】
2:通信システム
10:RF通信装置
11:筐体
11a:本体部
11b:把持部
11c:収容部
12a:側面操作ボタン
12b:把持部操作ボタン
14:発光表示部
16:スピーカ
18:振動部
20:RF通信部
22:BTI/F
24:制御部
30:メモリ
32:OSプログラム
34:発光制御アプリ
36:パラメータテーブル
38:発光色管理テーブル
50:端末装置
54:タッチパネル
60:制御部
62:メモリ
100a、100b、100c、100d:RFタグ
150a、150b、150c:設定情報
160a、160b、160c、160d:発光色情報