(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】液体収容装置、及び液体吐出装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/175 20060101AFI20231219BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
B41J2/175 133
B41J2/175 115
B41J2/175 169
B41J2/01 301
(21)【出願番号】P 2019228030
(22)【出願日】2019-12-18
【審査請求日】2022-11-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】奥村 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】落合 俊之
【審査官】小野 郁磨
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-069705(JP,A)
【文献】特開2014-032413(JP,A)
【文献】特開2019-181713(JP,A)
【文献】特開2019-202464(JP,A)
【文献】特開2019-018367(JP,A)
【文献】米国特許第05742306(US,A)
【文献】中国実用新案第206357819(CN,U)
【文献】特開2019-181834(JP,A)
【文献】特開2019-123169(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
補充容器から液体を注入可能な注入口が設けられた液体収容容器と、前記液体収容容器が収納される筐体と、前記注入口を封止するキャップが設けられ回動可能なキャップレバーとを有する液体収容装置であって、
前記液体収容容器は、前記注入口が設けられた上面と、前記上面に対して第1方向に位置し前記液体を視認可能とする視認面と、を有し、
前記筐体は、前記上面を保護し回動可能なカバーと、前記カバーと前記上面との間に配置される係合部と、前記視認面を露出する開口が設けられた視認部と、前記視認部に対して前記第1方向と反対方向に配置される壁部とを有し、
前記キャップレバーは、前記係合部に係合される被係合部と、前記被係合部から前記第1方向と交差する第2方向に延在する本体部とを有し、
前記本体部の前記カバーに対向配置される面は平坦であり、且つ、前記本体部の前記第2方向の端は、前記壁部の前記第1方向と反対方向の端から離間
し、
前記壁部は、前記第1方向と反対方向に向かうに従って空間が形成されるように前記第2方向と反対方向に傾斜する傾斜面を有し、
前記傾斜面の前記第1方向と反対方向の端に、前記壁部の前記第1方向と反対方向の端が設けられることを特徴とする液体収容装置。
【請求項2】
前記壁部は、前記第2方向に張り出す第1部分と、前記第1部分に対して前記第1方向と反対方向に位置し前記第2方向と反対方向に凹む第2部分とを有し、
前記第2部分の前記第1方向と反対方向の端に、前記壁部の前記第1方向と反対方向の端が設けられることを特徴とする請求項1に記載の液体収容装置。
【請求項3】
前記本体部の前記第2方向の端は、前記壁部の前記第1方向と反対方向の端から前記第2方向に張り出すことを特徴とする請求項1~
2のいずれか1項に記載の液体収容装置。
【請求項4】
前記本体部の前記第2方向の端は、前記第1方向に曲がっていることを特徴とする請求項
3に記載の液体収容装置。
【請求項5】
前記被係合部は、前記第2方向と反対方向に向かうに従って前記第1方向に曲がり、前記第2方向と反対方向の端が前記係合部に係合されることを特徴とする請求項
4に記載の液体収容装置。
【請求項6】
液体を吐出する液体吐出部と、
前記液体が収容される請求項
5に記載の液体収容装置と、
を備えることを特徴とする液体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体収容装置、及び当該液体収容装置を備える液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、液体を補充可能な液体収容ユニット(液体収容装置)と、液体収容装置から供給される液体を噴射して媒体に画像を印刷する液体噴射部(液体吐出部)とを備える液体噴射装置(液体吐出装置)が知られている(例えば、特許文献1)。
特許文献1に記載の液体収容装置は、液体を収容する液体収容部(液体収容容器)と、液体収容容器を収容するケース部(筐体)と、液体を液体収容容器に注入するための注入口と、注入口を開閉する栓部材(キャップレバー)とを備えている。キャップレバーは鉛直方向上向きに張り出す把持部を備えている。
特許文献1に記載の液体収容装置では、ユーザーが、把持部を把持し、キャップレバーを開き、液体を液体収容容器に注入する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の液体収容装置では、鉛直方向上向きに張り出す把持部がキャップレバーに設けられ、ユーザーが把持部を把持しキャップレバーを開閉するので、注入口の周辺に余分な空間が必要となり、液体収容装置の鉛直方向(高さ方向)の寸法を短くし、液体収容装置の高さ方向において液体収容装置の小型化が難しいという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
液体収容装置は、補充容器から液体を注入可能な注入口が設けられた液体収容容器と、前記液体収容容器が収納される筐体と、前記注入口を封止するキャップが設けられ回動可能なキャップレバーとを有する液体収容装置であって、前記液体収容容器は、前記注入口が設けられた上面と、前記上面に対して第1方向に位置し前記液体を視認可能とする視認面と、を有し、前記筐体は、前記上面を保護し回動可能なカバーと、前記カバーと前記上面との間に配置される係合部と、前記視認面を露出する開口が設けられた視認部と、前記視認部に対して前記第1方向と反対方向に配置される壁部とを有し、前記キャップレバーは、前記係合部に係合される被係合部と、前記被係合部から前記第1方向と交差する第2方向に延在する本体部とを有し、前記本体部の前記カバーに対向配置される面は平坦であり、且つ、前記本体部の前記第2方向の端は、前記壁部の前記第1方向と反対方向の端から離間する。
【0006】
液体吐出装置は、液体を吐出する液体吐出部と、前記液体が収容される上記液体収容装置と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図13】実施形態1に係る液体収容装置の要部断面図。
【
図14】カバーが開状態にありキャップレバーが閉状態にある場合の液体収容装置の状態を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
1.実施形態1
1.1記録装置の概要
図1~
図3は、実施形態1に係る記録装置1の斜視図である。
図1では、スキャナー部10が装置本体2に対して閉じられた状態が図示されている。
図2及び
図3では、スキャナー部10が装置本体2に対して開かれた状態が図示されている。
最初に、
図1~
図3を参照し、本実施形態に係る記録装置1の概要を説明する。なお、記録装置1は、本願における液体吐出装置の一例である。
【0009】
図1~
図3に示すように、本実施形態に係る記録装置1は、直方体状をなす装置本体2と、装置本体2の上部に取り付けられるスキャナー部10とを有し、水平面に設置されている。
以降の説明では、直方体状をなす装置本体2の長手方向(幅方向)をX方向とし、装置本体2の短手方向(奥行方向)をY方向とし、装置本体2の高さ方向をZ方向とする。また、方向を示す矢印の先端側を+方向とし、方向を示す矢印の基端側を-方向とする。X方向とY方向とがなす面(XY平面)は水平面であり、-Z方向は重力方向である。
なお、-Z方向は、本願における第1方向の一例である。+Z方向は、本願における第1方向と反対方向の一例である。+Y方向は、本願における第2方向の一例である。-Y方向は、本願における第2方向と反対方向の一例である。
【0010】
スキャナー部10は、装置本体2の上部に配置され、装置本体2に対して回動可能に取り付けられている(
図1、
図2参照)。スキャナー部10では、原稿が載置され原稿を読み取るスキャナーハウジング11と原稿カバー12とが順に積層されている。
原稿カバー12はスキャナーハウジング11を保護するカバーであり、
図1に二点鎖線で図示されるようにスキャナーハウジング11に対して回動可能である。さらに、原稿カバー12の+Y方向の端には表示部15が取り付けられている。
【0011】
図1に実線と二点鎖線とで示されるように、表示部15は、原稿カバー12と一緒にスキャナーハウジング11に対して回動可能であり、且つ、原稿カバー12に対してチルト可能である。すなわち、表示部15は、スキャナー部10の端に取り付けられ、スキャナー部10と一緒に回動可能であり、且つ、チルト可能である。
表示部15は、タッチパネル機能を有する液晶表示モジュールで構成される。表示部15は、記録装置1の操作を案内する機構(表示する機能)と、記録装置1に対する各種設定を行う機能とを有する。ユーザーは、視認しやすい位置に表示部15をチルトさせ、表示部15に表示される画像を参照しつつ記録装置1における各種操作を実施することができる。さらに、ユーザーは、タッチしやすい位置に表示部15をチルトさせ、表示部15を介して記録装置1の各種設定を行うことができる。
【0012】
さらに、表示部15をスキャナー部10と一緒に回動させ、表示部15が取り付けられたスキャナー部10を装置本体2に対して開くことで、液体を補充容器90から液体収容装置3(液体収容容器40)に補充することができる(
図3参照)。
【0013】
装置本体2の内部には、記録部20が配置されている。記録部20は、液体を用いて媒体(図示省略)に画像を記録可能に構成されている。記録部20は、キャリッジ21と、キャリッジ21に搭載され媒体に液体を吐出する記録ヘッド22と、記録ヘッド22に液体を供給するためのチューブ23とを有している(
図1参照)。
なお、記録ヘッド22は、本願における液体吐出部の一例である。
記録ヘッド22に供給される液体は、液体収容装置3に収容されている。記録ヘッド22と液体収容装置3とは、チューブ23によって接続されている。
このように、液体吐出装置の一例である記録装置1は、液体を吐出する記録ヘッド22(液体吐出部)と、液体が収容される液体収容装置3とを備える。
【0014】
キャリッジ21は、ガイド軸(図示省略)によって支持され、媒体が搬送される搬送方向と交差する媒体の幅方向に移動可能である。本実施形態では、媒体の幅方向は+X方向または-X方向であり、媒体の搬送方向は+Y方向である。
記録ヘッド22は、キャリッジ21と一緒に媒体の幅方向に移動可能である。記録ヘッド22は、共通液室(図示省略)、圧力発生室(図示省略)、圧電素子(図示省略)、及びノズル(図示省略)などを有し、媒体に対して液体を吐出する。
本実施形態に係る記録装置1は、記録ヘッド22が媒体の幅方向に移動しながら液体を媒体に吐出する動作と、媒体が搬送方向に搬送される動作とを交互に繰り返すことによって、媒体に所望の画像を記録する。
【0015】
1.2液体収容装置の概要
図4は、本実施形態に係る液体収容装置3の斜視図である。
図5は、液体収容容器40の斜視図である。
図6は、キャップレバー50の斜視図である。
図7~
図12は、X方向とY方向とZ方向とのうちのいずれかの方向から見た場合のキャップレバー50の平面図である。
図13は、
図4のA-A線に沿った断面図であり、本実施形態に係る液体収容装置3の要部断面図である。
なお、
図4では、液体収容装置3の構成要素である筐体30及び液体収容容器40が図示され、液体収容装置3の構成要素であるキャップレバー50の図示が省略されている。
図5では、キャップレバー50が二点鎖線で図示されている。
図7は、+Z方向側から見たキャップレバー50の上面図である。
図8は、-Z方向側から見たキャップレバー50の底面図である。
図9は、+Y方向側から見たキャップレバー50の正面図である。
図10は、-Y方向側から見たキャップレバー50の背面図である。
図11は、+X方向側から見たキャップレバー50の右側面図である。
図12は、-X方向側から見たキャップレバー50の左側面図である。
【0016】
図4及び
図5に示すように、液体収容装置3は、補充容器90から液体を注入可能な注入口41が設けられた液体収容容器40と、液体収容容器40が収納される筐体30と、注入口41を封止(密閉)するキャップ54が設けられ回動可能なキャップレバー50とを有する。
筐体30の中には、六つの液体収容容器40が収容されている。六つの液体収容容器40は、色材として黒色の顔料を含むブラックの液体が収容される液体収容容器40K1と、色材として黒色の染料を含むブラックの液体が収容される液体収容容器40K2と、色材として灰色の染料を含むグレーの液体が収容される液体収容容器40GRと、色材としてシアン色の顔料を含むシアンの液体が収容される液体収容容器40Cと、色材としてマゼンタ色の顔料を含むマゼンタの液体が収容される液体収容容器40Mと、色材として黄色の顔料を含むイエローの液体が収容される液体収容容器40Yとで構成される。
液体収容容器40K1と、液体収容容器40K2と、液体収容容器40GRと、液体収容容器40Cと、液体収容容器40Mと、液体収容容器40Yとは、+X方向に順に配置される。
【0017】
なお、筐体30の中に収容される液体収容容器40の数は、六つに限定されず、六つよりも少なくてもよく、六つよりも多くてもよい。液体収容容器40に収容される液体に含まれる色材は、顔料であってもよく、染料であってもよい。さらに、液体収容容器40に収容される液体は、色材が含まれない液体であってもよい。
【0018】
色材として黒色の顔料を含むブラックの液体は滲みにくく、例えば、文字やマーカーなどの記録に好適である。色材として黒色の染料を含むブラックの液体は、色の再現性が良く、例えば、写真などの記録に好適である。
このため、色材として黒色の顔料を含むブラックの液体は、モノクロの印刷やマーカーなどの印刷に使用される。色材として黒色の染料を含むブラックの液体は、写真などの印刷に使用される。さらに、色材として灰色の染料を含むグレーの液体を使用して白と黒との間の中間色を記録すると、色の再現性が向上するので、色材として灰色の染料を含むグレーの液体は写真などの印刷に使用される。
【0019】
液体収容容器40の上面(+Z方向側の面)42には、補充容器90から液体を注入可能な注入口41と、大気が導入可能な大気導入口45とが設けられている。さらに、液体収容容器40は、上面42に対して-Z方向に位置し、+Y方向に張り出した視認面43を有する。視認面43には、液体が空状態にあることを周知する目盛り44aや、液体が満状態にあることを周知する目盛り44bなどの目盛り部44が設けられている。
液体収容容器40は、半透明または透明な材料で構成され、外部から液体収容容器40に収容される液体を確認することができる。ユーザーは、視認面43を介して、液体収容容器40に収容される液体の状態を把握する。
このように、液体収容容器40は、注入口41が設けられた上面42と、上面42に対して-Z方向に位置し液体を視認可能とする視認面43とを有する。
【0020】
筐体30は、液体収容容器40の上面42を保護するカバー31と、カバー31と上面42との間に配置されるカバー係合部33及びキャップレバー係合部32と、視認面43を露出する開口35が設けられた視認部34と、視認部34に対して+Z方向に配置される壁部36とを有する。ユーザーは、筐体30の視認部34を介して液体収容容器40の視認面43を視認することによって、液体収容容器40に収容される液体の残量を把握することができる。
壁部36は、+Z方向に向かうに従って-Y方向に傾斜する傾斜面37を有している。傾斜面37の+Z方向の端に、壁部36の+Z方向の端38が設けられている。
なお、壁部36の+Z方向の端38(傾斜面37の+Z方向の端38)は、本願における壁部の第1方向と反対方向の端の一例であり、以降、壁部36の第1方向と反対方向の端38と称す。
【0021】
壁部36と、液体収容容器40とは、Y方向において重なる位置に設けられている。また、
図1に示すように、スキャナー部10が閉じられた状態において、壁部36と、表示部15とは、Y方向において重なる位置に設けられている。言い換えると、壁部36は、Y方向において、表示部15と液体収容容器40との間に挟まれる位置に設けられている。
【0022】
筐体30の+X方向の側面(装置本体2の+X方向の側面)には、切り欠き部8が設けられている。切り欠き部8のY方向における長さは、カバー31のY方向における長さと略同一である。また、切り欠き部8は、カバー31の閉状態において、カバー31とZ方向における高さが略同一となるように形成されている。このように切り欠き部8を設けることにより、
図3に示すように、最も+X方向に位置する液体収容容器40Yに液体を補充する際、液体容器90を差し込む空間を確保することができる。なお、切り欠き部8は、カバー31の開状態において、後述するキャップレバー50のカバー31に対向配置される面と、Z方向における高さが略同一となるように形成されても良い。
【0023】
カバー係合部33は、キャップレバー係合部32に対して+Z方向に位置する。カバー31の一方の端がカバー係合部33に係合されることによって、カバー係合部33を回動軸として、カバー31が回動可能になる。詳しくは、カバー31は、カバー係合部33を回動軸として、
図4に実線で図示される開状態と、
図4に二点鎖線で図示される閉状態とに回動可能になる。
カバー31を開状態にすると、液体収容容器40が露出され、液体を補充容器90から液体収容容器40に補充することができる。カバー31を閉状態にすると、液体収容容器40がカバー31によって保護された状態になる。カバー31が閉状態にある場合、カバー31はXY平面(水平面)に平行に配置される。
なお、キャップレバー係合部32は、本願における係合部の一例である。
【0024】
図6~
図12に示すように、キャップレバー50は、-Y方向に位置する被係合部51と、+Y方向に位置する本体部52とを有する。本体部52は、被係合部51から+Y方向に延在する。
被係合部51は、-Y方向に向かうに従って-Z方向に曲がり、被係合部51の-Y方向の端51aが筐体30のキャップレバー係合部32に係合される。被係合部51が-Y方向の端51aが筐体30のキャップレバー係合部32に係合されることによって、キャップレバー係合部32を回動軸として、キャップレバー50が回動可能になる。
このように、キャップレバー50は、キャップレバー係合部32に係合される被係合部51と、被係合部51から+Y方向に延在する本体部52とを有する。
【0025】
図2では、液体収容容器40K1,401K2,40GR,40C,40Mの注入口41が密閉される位置にキャップレバー50が配置され、液体収容容器40Yの注入口41が開かれる位置にキャップレバー50が配置されている。
図2に示すように、キャップレバー50は、キャップレバー係合部32を回動軸として、液体収容容器40の注入口41を密閉する閉状態と、液体収容容器40の注入口41を開く開状態とに回動可能になる。
図3に示すように、キャップレバー50を開状態にすると、液体収容容器40の注入口41が開かれ、液体を補充容器90から液体収容容器40に補充することができる。また、キャップレバー50が閉状態にある場合、キャップレバー50はXY平面(水平面)に平行に配置される。
【0026】
図6~
図12に戻って、キャップレバー50の本体部52は、+Z方向側に配置される面56と、+Y方向側の端53とを有する。キャップレバー50の本体部52の面56は、平坦である。キャップレバー50が閉状態にある場合、キャップレバー50の本体部52の面56は、XY平面(水平面)に平行に配置される。カバー31及びキャップレバー50が閉状態にある場合、キャップレバー50の本体部52の面56は、カバー31に対向配置される。
このように、キャップレバー50の本体部52の面56は、カバー31に対向配置され、本願における本体部のカバーに対向配置される面の一例である。また、キャップレバー50の本体部52の+Y方向側の端53は、本願における本体部の第2方向の端の一例であり、以降、本体部52の第2方向の端53と称す。
【0027】
キャップレバー50の本体部52には、本体部52を貫く孔58が設けられている。キャップ54は、本体部52の孔58に嵌め込まれ、本体部に固定されている。キャップ54が孔58に嵌め込まれた状態において、キャップ54は面56と反対側の面に配置され、キャップ54の+Z方向側の端は面56から張り出さない。
キャップレバー50が閉状態にある場合、キャップ54は本体部52の面56に対して-Z方向に配置される。さらに、被係合部51は、-Y方向に向かうに従って-Z方向に曲がるので、キャップレバー50が閉状態にある場合、被係合部51は本体部52の面56に対して-Z方向に配置される。
このように、キャップレバー50が閉状態にある場合、キャップ54及び被係合部51は、本体部52の面56に対して-Z方向に配置され、本体部52の面56に対して+Z方向に張り出さないので、本体部52の面56に対して+Z方向に張り出す場合と比べて、液体収容装置3の高さ方向の寸法(Z方向の寸法)を短くし、液体収容装置3の高さ方向(Z方向)において液体収容装置3をコンパクトにすることができる。
【0028】
図13では、カバー31及びキャップレバー50が閉状態にある状態が図示されている。
図13に示すように、カバー31及びキャップレバー50が閉状態にある場合、本体部52の面56はカバー31に対して対向配置される。
仮に、本体部52の面56から+Z方向に張り出す構成要素が設けられる場合、例えば、把持することが可能な摘みが本体部52の面56から張り出して設けられる場合、キャップレバー50をカバー31の近くに配置することが難しくなり、本体部52の面56から+Z方向に張り出す構成要素が、当該構成要素が液体収容装置3の高さ方向の寸法を短くすることを阻害する障害物となり、液体収容装置3の高さ方向において液体収容装置3をコンパクトにすることが難しくなる。
本実施形態では、カバー31に対して対向配置される面56は平坦であり、加えて、本体部52の面56から+Z方向に張り出す構成要素が設けられていないので、キャップレバー50をカバー31の近くに配置し、液体収容装置3の高さ方向の寸法を短くし、液体収容装置3の高さ方向において液体収容装置3をコンパクトにすることができる。
【0029】
本体部52の面56に対向配置されるカバー31の面39は平坦である。さらに、カバー31の面39には、面39から張り出す凸部39aが設けられている。
カバー31及びキャップレバー50が閉状態にある場合、カバー31の凸部39aは本体部52の面56に線接触し、カバー31とキャップレバー50とが一定間隔に配置され、カバー31の面39と本体部52の面56とが水平面に沿って配置される。カバー31に凸部39aを設けることによって、キャップレバー50を閉め忘れた際、カバー31を閉状態にすることにより、キャップレバー50も確実に閉状態にすることができる。また、カバー31に凸部39aを設けることによって、輸送時等の振動により発生し得るキャップレバー50の浮き上がりを抑制することができる。
【0030】
図14は、
図13に対応する図であり、カバー31が開状態にありキャップレバー50が閉状態にある場合の液体収容装置3の状態が模式的に図示される断面図である。なお、
図14では、カバー31の図示が省略されている。
液体収容容器40に収容される液体の残量が少なくなり、補充容器90から液体を液体収容容器40に補充する場合、ユーザーは、最初にカバー31を閉状態から開状態にし、次にキャップレバー50を閉状態から開状態にし、液体収容容器40の注入口41を密閉された状態から開かれた状態にし、補充容器90の先端(注入口)を液体収容容器40の注入口41の中に差し込み、液体を補充容器90から液体収容容器40に補充する。
図14では、補充容器90から液体を液体収容容器40に補充するために、ユーザーがキャップレバー50を閉状態から開状態にする場合の状態が図示されている。
【0031】
図14に示すように、筐体30における壁部36は、Z方向に沿って配置される本体36aと、本体36aから+Z方向に延在する傾斜面37とを有する。
図14では、本体36aが細い実線で図示され、傾斜面37が太い実線で図示されている。
本体36aは、壁部36の+Y方向に張り出した部分である。傾斜面37は、+Z方向に向かうに従って-Y方向に傾斜する。すなわち、壁部36において、+Z方向に向かうに従って-Y方向に傾斜する面が、傾斜面37である。傾斜面37の+Z方向側の端が、壁部36の第1方向と反対方向の端38である。すなわち、傾斜面37の+Z方向の端に、壁部36の第1方向と反対方向の端38が設けられる。
【0032】
キャップレバー50における本体部52の第2方向の端53は、筐体30における壁部36の第1方向と反対方向の端38に対して+Z方向に位置し、壁部36の第1方向と反対方向の端38から離間する。さらに、本体部52の第2方向の端53は、壁部36の第1方向と反対方向の端38から+Y方向に張り出す。
【0033】
また、本体部52の第2方向の端53は、壁部36の本体36aから+Y方向に張り出さず、Y方向において壁部36の本体36aと壁部36の第1方向と反対方向の端38との間に、本体部52の第2方向の端53が配置される。
本体部52の第2方向の端53が壁部36の本体36aから+Y方向に張り出さないと、本体部52の第2方向の端53が壁部36の本体36aから+Y方向に張り出す場合と比べて、液体収容装置3のY方向の寸法(奥行の方向)を短くし、液体収容装置3の奥行方向において液体収容装置3をコンパクトにすることができる。
【0034】
壁部36の第1方向と反対方向の端38を基準とした場合、壁部36の傾斜面37は+Y方向に向かうに従って-Z方向に傾斜する。その結果、+Y方向に向かうに従って、壁部36がキャップレバー50の本体部52から離間し、壁部36と本体部52との間の隙間が広くなる。
また、壁部36に傾斜面37を設けると、壁部36に傾斜面37を設けない場合と比べて、キャップレバー50に対して+Y方向側に広い空間を形成することができる。
【0035】
キャップレバー50に対して+Y方向側に形成される広い空間を利用して、ユーザーはキャップレバー50に対して+Y方向側から指Hを侵入させ、指Hを本体部52の第2方向の端53に接触させる。+Y方向に向かうに従って壁部36と本体部52との間の隙間が広くなっているので、ユーザーは、指Hが壁部36(筐体30)に接触することなく、指Hを本体部52の第2方向の端53に接触させることができる。続いて、ユーザーは、図中に矢印で示される方向の力Fを本体部52の第2方向の端53に作用させ、キャップレバー50を回動し、キャップレバー50を閉状態から開状態にする。
【0036】
力Fが作用する本体部52の第2方向の端53は、キャップレバー50を回動させる力が作用する作用点になる。キャップレバー50を支持するキャップレバー係合部32は、キャップレバー50を回動させる場合の支点となる。
本実施形態では、キャップレバー50を回動させる力が作用する作用点(本体部52の第2方向の端53)は、キャップレバー50を回動させる場合の支点(キャップレバー係合部32)から最も離れているので、てこの原理によって、ユーザーは小さな力で容易にキャップレバー50を回動し、キャップレバー50を開閉することができる。その結果、液体収容装置3の利便性が向上する。
【0037】
さらに、キャップレバー50を回動し、キャップレバー50を開閉する際、指Hが筐体30に接触しないので、筐体30に余分な力が作用せず、余分な力に起因する不具合(例えば、筐体30の変形)が生じにくい。その結果、液体収容装置3の信頼性が高められる。
【0038】
キャップレバー50に対して+Y方向側に形成される空間、すなわち、キャップレバー50に対して横方向(Y方向)に形成される空間を利用してキャップレバー50を開閉するので、キャップレバー50に対して高さ方向(Z方向)に形成される空間を利用してキャップレバー50を開閉する場合と比べて、高さ方向の空間を狭くしてもキャップレバー50の開閉に悪影響が生じにくくなり、液体収容装置3の高さ方向の寸法を短くし、液体収容装置3の高さ方向において液体収容装置3をコンパクトにすることができる。
【0039】
以上述べたように、本実施形態に係る液体収容装置3は、液体収容容器40が、注入口41が設けられた上面42と液体を視認可能とする視認面43とを有し、筐体30が、回動可能なカバー31とキャップレバー係合部32と視認部34と壁部36とを有し、キャップレバー50が、キャップレバー係合部32に係合される被係合部51と本体部52とを有し、本体部52のカバー31に対向配置される面56が平坦であり、且つ、本体部52の第2方向の端53が壁部36の第1方向と反対方向の端38から離間する構成を有する。
かかる構成を有すると、液体収容装置3の高さ方向の寸法を短くし、液体収容装置3の高さ方向において液体収容装置3をコンパクトにすることができる。
【0040】
さらに、本実施形態に係る液体収容装置3は、+Z方向に向かうに従って-Y方向に傾斜する傾斜面37を有し、傾斜面37の第1方向と反対方向の端に、壁部36の第1方向と反対方向の端38が設けられる構成を有する。加えて、本実施形態に係る液体収容装置3は、本体部52の第2方向の端53が、壁部36の第1方向と反対方向の端38から+Y方向に張り出す構成を有する。
かかる構成を有すると、液体を補充容器90から液体収容容器40に補充する場合、ユーザーは容易にキャップレバー50を開閉することができ、余分な力に起因する不具合(例えば、筐体30の変形)が生じにくくなり、液体収容装置3の利便性や液体収容装置3の信頼性が向上する。
【0041】
2.実施形態2
以下、
図15を参照し、実施形態1との相違点を中心に、実施形態2の液体収容装置3Aの概要を説明する。また、実施形態1と同一の構成については、同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
本実施形態の液体収容装置3Aと実施形態1の液体収容装置3とでは、キャップレバーの形状が異なり、他の構成は同じである。
【0042】
図15に示すように、本実施形態の液体収容装置3Aは、キャップレバー50Aと、実施形態1の筐体30と、実施形態1の液体収容容器40とを有する。
キャップレバー50Aは、キャップレバー係合部32に係合される被係合部51と、被係合部51から+Y方向に延在する本体部52Aとを有する。本体部52Aは、被係合部51から+Y方向に延在する部分52A1と、部分52A1から-Z方向に屈曲する部分52A2とを有する。部分52A2の-Z方向の端が、本体部52Aの第2方向の端53である。
このように、本実施形態では、キャップレバー50Aの本体部52Aの第2方向の端53が-Z方向に曲がっている。
【0043】
かかる構成を有すると、ユーザーは、指Hをキャップレバー50Aに対して+Y方向側から侵入させ、指Hが壁部36に接触にしない状態で、指Hを本体部52Aの部分52A2に接触させ、図中に矢印で示される方向の力Fを本体部52Aの部分52A2に作用させ、キャップレバー50Aを回動し、キャップレバー50Aを開閉することができる。キャップレバー50Aを回動させる力が作用する作用点(本体部52Aの部分52A2)は、キャップレバー50Aを回動させる場合の支点(キャップレバー係合部32)から最も離れているので、てこの原理によって、ユーザーは小さな力で容易にキャップレバー50Aを開閉することができ、液体収容装置3Aの利便性が高められる。加えて、液体収容装置3Aの信頼性が高められ、液体収容装置3Aの高さ方向において液体収容装置3Aをコンパクトにすることができるという実施形態1と同じ効果を得ることができる。
【0044】
3.実施形態3
以下、
図16を参照し、実施形態1との相違点を中心に、実施形態3の液体収容装置3Bの概要を説明する。また、実施形態1と同一の構成については、同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
本実施形態の液体収容装置3Bと実施形態1の液体収容装置3とでは、壁部36Bの形状が異なり、他の構成は同じである。
【0045】
図16に示すように、本実施形態の液体収容装置3Bは、実施形態1のキャップレバー50と、筐体30Bと、実施形態1の液体収容容器40とを有する。
筐体30Bにおいて、壁部36Bは、+Y方向に張り出す第1部分36B1と、第1部分36B1に対して+Z方向に位置し-Y方向に凹む第2部分36B2とを有する。
図16では、第1部分36B1及び第2部分36B2が太い実線で図示されている。-Y方向に凹む第2部分36B2は、第1部分36B1から離間し、+Z方向に位置する。第2部分36B2の+Z方向の端に、壁部36Bの第1方向と反対方向の端38が設けられる。
第1部分36B1と、第1部分36B1から+Z方向に位置する第2部分36B2とを設けると、第1部分36B1と第2部分36B2との間に、第2部分36B2に対して-Z方向に凹む第3部分36B3が形成される。
その結果、キャップレバー50に対して+Y方向側に広い空間が形成される。
【0046】
キャップレバー50に対して+Y方向側に形成される広い空間を利用して、ユーザーはキャップレバー50に対して+Y方向側から指Hを侵入させ、指Hを本体部52の第2方向の端53に接触させる。キャップレバー50に対して+Y方向側に広い空間が形成されているので、ユーザーは、指Hが壁部36B(筐体30B)に接触することなく、指Hを本体部52の第2方向の端53に接触させることができる。続いて、ユーザーは、図中に矢印で示される方向の力Fを本体部52の第2方向の端53に作用させ、キャップレバー50を回動し、キャップレバー50を閉状態から開状態にする。
その結果、液体を補充容器90から液体収容容器40に補充する場合、ユーザーはキャップレバー50を開閉しやすくなり、液体収容装置3Bの利便性が高められるという実施形態1と同様の効果が得られる。
【0047】
さらに、キャップレバー50を回動し、キャップレバー50を開閉する際、指Hが筐体30Bに接触しないので、筐体30Bに余分な力が作用せず、余分な力に起因する不具合(例えば、筐体30Bの変形)が生じにくい。その結果、液体収容装置3Bの信頼性が高められる。
加えて、液体収容装置3Bの高さ方向において液体収容装置3Bをコンパクトにすることができるという実施形態1と同じ効果を得ることができる。
【0048】
4.実施形態4
実施形態1~実施形態3と同一の構成については、同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
図17に示すように、実施形態4の液体収容装置3Cは、実施形態2のキャップレバー50Aと、実施形態3の筐体30Bと、実施形態1の液体収容容器40とを有する。
かかる構成によっても、ユーザーは、指Hをキャップレバー50Aに対して+Y方向側から侵入させ、指Hが壁部36Bに接触にしない状態で、指Hを本体部52Aの部分52A2に接触させ、図中に矢印で示される方向の力Fを本体部52Aに作用させ、キャップレバー50Aを回動し、キャップレバー50Aを閉状態から開状態にすることができる。
その結果、補充容器90から液体を液体収容容器40に補充する場合、ユーザーはキャップレバー50Aを開閉しやすくなり、液体収容装置3Cの利便性が高められ、加えて、液体収容装置3Cの信頼性が高められ、液体収容装置3Cの高さ方向において液体収容装置3Cをコンパクトにすることができるという実施形態1~実施形態3と同じ効果を得ることができる。
【0049】
5.実施形態5
上述した実施形態では、傾斜面37を有する壁部36、または第1部分36B1と第2部分36B2と有する壁部36Bは、筐体30に設けられていた。傾斜面37を壁部36、または第1部分36B1と第2部分36B2と有する壁部36Bは、筐体30に設けるのではなく、液体収容容器40に設ける構成であってもよい。
例えば、液体収容容器40に対して+Y方向側から指Hが侵入することを阻害する構成要素(例えば、実施形態1の壁部36)が筐体30に設けられていなく、傾斜面37を有する壁部36、または第1部分36B1と第2部分36B2と有する壁部36Bが、液体収容容器40に設けられると、液体収容装置の利便性が高められ、液体収容装置の信頼性が高められ、液体収容装置の高さ方向において液体収容装置をコンパクトにすることができるという実施形態1~実施形態4と同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0050】
1…記録装置、3…液体収容装置、8…切り欠き部、30…筐体、31…カバー、32…キャップレバー係合部、33…カバー係合部、34…視認部、35…開口、36…壁部、37…傾斜面、38…第1方向と反対方向の端、40…液体収容容器、41…注入口、42…上面、43…視認面、44…目盛り部、50…キャップレバー、51…被係合部、52…本体部、53…第2方向の端、54…キャップ、56…カバーに対向配置される面、58…孔、90…補充容器。