(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】粒状物の検出方法及び該方法に使用する光学式選別機
(51)【国際特許分類】
B07C 5/342 20060101AFI20231219BHJP
【FI】
B07C5/342
(21)【出願番号】P 2019228610
(22)【出願日】2019-12-18
【審査請求日】2022-10-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000001812
【氏名又は名称】株式会社サタケ
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100158702
【氏名又は名称】岡野 卓也
(72)【発明者】
【氏名】檜田 康平
(72)【発明者】
【氏名】高山 篤
【審査官】松江川 宗
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/076786(WO,A1)
【文献】特開平03-249981(JP,A)
【文献】特開2009-034647(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B07C 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被選別物を流下させるために前後方向に傾斜して配置した所定幅を有するシュートと、
前記被選別物を直線状に延在する検出位置において検出する光学検出手段と、
前記光学検出手段による検出結果に基づいて前記被選別物を選別除去するエジェクター手段と、を備える光学式選別機であって、
扁平な形状を有する被選別物の側部を検出する前記光学式選別機における被選別物の検出方法において、
前記扁平な形状を有する被選別物は米粒であり、
前記シュートには、複数の突条壁によって長手方向に形成される複数の平行な縦溝が設けられ、
前記被選別物
である米粒を、前記縦溝内において略平坦な面が前記突条壁に当接し、側部が前記シュートの前記前後方向へ向く状態で前記シュートの表面上を流下させることで、前記検出位置において前記光学検出手段が前記被選別物の前記側部
であって前記米粒の背筋に残存する糠を検出することを特徴とする光学式選別機における被選別物の検出方法。
【請求項2】
被選別物を流下させるために前後方向に傾斜して配置した所定幅を有するシュートと、
前記被選別物を直線状に延在する検出位置において検出する光学検出手段と、
前記光学検出手段による検出結果に基づいて前記被選別物を選別除去するエジェクター手段と、を備える光学式選別機において、
前記シュートには、複数の突条壁によって長手方向に形成される複数の平行な縦溝が設けられ、
扁平な形状を有する被選別物
である米粒が前記シュートの表面上を流下するに際し、前記縦溝内において前記被選別物の略平坦な面が前記突条壁に当接し、前記被選別物の側部が前記シュートの前記前後方向へ向く状態で前記シュートの表面上を流下する構成とすることで、前記光学検出手段が前記検出位置において前記被選別物の前記側部
であって前記米粒の背筋に残存する糠を検出可能とすることを特徴とする光学式選別機。
【請求項3】
前記シュートを、前記前後方向に傾斜して配置した傾斜面内において上下方向に対し所定角度傾斜した構成とする請求項
2記載の光学式選別機。
【請求項4】
前記シュートに設けられる縦溝を、前記シュートの長手方向に直交する断面が略U字形状とする請求項
3記載の光学式選別機。
【請求項5】
前記シュートの前記前後方向の傾斜角度、及び前記シュートの前記傾斜面内における前記上下方向に対する傾斜角度を変更可能とする請求項
3又は4記載の光学式選別機。
【請求項6】
前記シュートは、前記前後方向に傾斜して配置した傾斜面内において上下方向に向けて配置されており、
前記シュートに設けられる縦溝を、前記シュートの長手方向に直交する断面が前記シュートの幅方向に非対称な形状とする請求項
2記載の光学式選別機。
【請求項7】
被選別物を流下させるために前後方向に傾斜して配置した所定幅を有するシュートと、
前記被選別物を直線状に延在する検出位置において検出する光学検出手段と、
前記光学検出手段による検出結果に基づいて前記被選別物を選別除去するエジェクター手段と、を備える光学式選別機において、
前記シュートには、複数の突条壁によって長手方向に形成される複数の平行な縦溝が設けられ、
前記シュートを、前記前後方向に傾斜して配置した傾斜面内において上下方向に対し所定角度傾斜した構成とし、
前記シュートに設けられる縦溝を、前記シュートの長手方向に直交する断面が略U字形状とし、
扁平な形状を有する被選別物が前記シュートの表面上を流下するに際し、前記縦溝内において前記被選別物の略平坦な面が前記突条壁に当接し、前記被選別物の側部が前記シュートの前記前後方向へ向く状態で前記シュートの表面上を流下する構成とすることで、前記光学検出手段が前記検出位置において前記被選別物の前記側部を検出可能とすることを特徴とする光学式選別機。
【請求項8】
前記シュートの前記前後方向の傾斜角度、及び前記シュートの前記傾斜面内における前記上下方向に対する傾斜角度を変更可能とする請求項7記載の光学式選別機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穀粒や樹脂ペレット等の粒状物を色彩等に基づいて選別する光学式選別機に関し、扁平な形状を有する粒状物の側部を検出することができる前記光学式選別機における粒状物の検出方法、及び該方法に使用する光学式選別機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、米や小麦等の穀粒、樹脂ペレット、コーヒー豆、その他の粒状物からなる原料を色彩等により良品と不良品に選別したり、原料に混入する異物を色彩等により除去したりする光学式選別機が知られている。(特許文献1,2参照。)。
【0003】
特許文献1,2に記載された光学式選別機は、傾斜状に配置され粒状物を流下させるシュートと、該シュートの下端から落下する前記粒状物を検出し、該検出結果に基づいて前記粒状物を良品と不良品に選別する光学選別部と、を備える。
【0004】
前記光学選別部は、前記シュートの下端から落下する粒状物の落下奇跡の前後に配設される一対の光学検出装置を有し、前記シュートの表面上を幅方向に広がる状態で連続状に自然流下した後、前記シュートの下端から所定の軌跡に沿って自由落下する粒状物を前記落下軌跡の前方及び後方から検出する。
【0005】
ところで、米粒、特に長粒種の場合、搗精に際し、背部にある背筋の糠が除去しきれずに残存することがある。
ところが、米粒は扁平な形状を有し、前記光学式選別機において比較的平坦な両側面を前記シュートの前後方向に向けて前記シュートの表面上を流下するため、前記光学検出装置は、前記米粒の両側面のみを検出することとなり、前記背筋に残存する糠を検出できない問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2009-50760号公報
【文献】特開2011-92814号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、扁平な形状を有する被選別物の側部を検出することができる光学式選別機における被選別物の検出方法、及び該方法に使用する光学式選別機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明は、
被選別物を流下させるために前後方向に傾斜して配置した所定幅を有するシュートと、
前記被選別物を直線状に延在する検出位置において検出する光学検出手段と、
前記光学検出手段による検出結果に基づいて前記被選別物を選別除去するエジェクター手段と、を備える光学式選別機であって、
扁平な形状を有する被選別物の側部を検出する前記光学式選別機における被選別物の検出方法において、
前記シュートには、複数の突条壁によって長手方向に形成される複数の平行な縦溝が設けられ、
扁平な形状を有する前記被選別物を、前記縦溝内において略平坦な面が前記突条壁に当接し、側部が前記シュートの前記前後方向へ向く状態で前記シュートの表面上を流下させることで、前記検出位置において前記光学検出手段が前記被選別物の前記側部を検出することを特徴とする。
【0009】
本発明は、
前記扁平な形状を有する被選別物が米粒であり、
前記検出位置において前記光学検出手段が前記米粒の背筋に残存する糠を検出する。
【0010】
また、上記目的を達成するため、本発明は、
被選別物を流下させるために前後方向に傾斜して配置した所定幅を有するシュートと、
前記被選別物を直線状に延在する検出位置において検出する光学検出手段と、
前記光学検出手段による検出結果に基づいて前記被選別物を選別除去するエジェクター手段と、を備える光学式選別機において、
前記シュートには、複数の突条壁によって長手方向に形成される複数の平行な縦溝が設けられ、
扁平な形状を有する被選別物が前記シュートの表面上を流下するに際し、前記縦溝内において前記被選別物の略平坦な面が前記突条壁に当接し、前記被選別物の側部が前記シュートの前記前後方向へ向く状態で前記シュートの表面上を流下する構成とすることで、前記光学検出手段が前記検出位置において前記被選別物の前記側部を検出可能とすることを特徴とする。
本発明は、
前記扁平な形状を有する被選別物が米粒であり、
前記光学検出手段が前記検出位置において前記米粒の背筋に残存する糠を検出可能とする。
【0011】
本発明は、
前記シュートを、前記前後方向に傾斜して配置した傾斜面内において上下方向に対し所定角度(5度以上50度以下、好ましくは35度)傾斜した構成とすることが好ましい。
【0012】
本発明は、
前記シュートに設けられる縦溝を、前記シュートの長手方向に直交する断面が略U字形状とすることが好ましい。
【0013】
本発明は、
前記シュートの前記前後方向の傾斜角度、及び前記シュートの前記傾斜面内における前記上下方向に対する傾斜角度を変更可能とすることが好ましい。
【0014】
本発明は、
前記シュートが、前記前後方向に傾斜して配置した傾斜面内において上下方向に向けて配置されており、
前記シュートに設けられる縦溝を、前記シュートの長手方向に直交する断面が前記シュートの幅方向に非対称な形状とすることが好ましい。
【0015】
本発明は、
前記シュートに設けられる縦溝を、前記シュートの長手方向に直交する断面が略ノコ歯形状とすることが好ましい。
【0016】
上記目的を達成するため、本発明は、
被選別物を流下させるために前後方向に傾斜して配置した所定幅を有するシュートと、
前記被選別物を直線状に延在する検出位置において検出する光学検出手段と、
前記光学検出手段による検出結果に基づいて前記被選別物を選別除去するエジェクター手段と、を備える光学式選別機において、
前記シュートには、複数の突条壁によって長手方向に形成される複数の平行な縦溝が設けられ、
前記シュートを、前記前後方向に傾斜して配置した傾斜面内において上下方向に対し所定角度傾斜した構成とし、
前記シュートに設けられる縦溝を、前記シュートの長手方向に直交する断面が略U字形状とし、
扁平な形状を有する被選別物が前記シュートの表面上を流下するに際し、前記縦溝内において前記被選別物の略平坦な面が前記突条壁に当接し、前記被選別物の側部が前記シュートの前記前後方向へ向く状態で前記シュートの表面上を流下する構成とすることで、前記光学検出手段が前記検出位置において前記被選別物の前記側部を検出可能とすることを特徴とする。
本発明は、
前記シュートの前記前後方向の傾斜角度、及び前記シュートの前記傾斜面内における前記上下方向に対する傾斜角度を変更可能とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の光学式選別機における被選別物の検出方法は、扁平な形状を有する前記被選別物を、前記縦溝内において略平坦な面が前記突条壁に当接し、側部が前記シュートの前記前後方向へ向く状態で前記シュートの表面上を流下させることで、前記検出位置において前記光学検出手段が前記被選別物の前記側部を検出する。
したがって、本発明の光学式選別機における被選別物の検出方法によれば、扁平な形状を有する被選別物の側部を検出することができる。
【0018】
本発明の光学式選別機における被選別物の検出方法は、前記扁平な形状を有する被選別物が米粒であるので、前記米粒の背筋に残存する糠を検出することができる。
【0019】
本発明の光学式選別機は、扁平な形状を有する被選別物が前記シュートの表面上を流下するに際し、前記縦溝内において前記被選別物の略平坦な面が前記突条壁に当接し、前記被選別物の側部が前記シュートの前記前後方向へ向く状態で前記シュートの表面上を流下する構成とすることで、前記光学検出手段が前記検出位置において前記被選別物の前記側部を検出可能とする。
したがって、本発明の光学式選別機を使用すれば、扁平な形状を有する被選別物の側部を検出することができる。
本発明の光学式選別機を使用すれば、前記扁平な形状を有する被選別物が米粒であるので、前記米粒の背筋に残存する糠を検出することができる。
本発明の光学式選別機で検出された背筋に糠が残存する米粒は、精米機で再搗精することにより、歩留まりの低下を防ぐことができる。
【0020】
本発明の光学式選別機は、前記シュートを、前記前後方向に傾斜して配置した傾斜面内において上下方向に対し所定角度傾斜した構成とすることで、扁平な形状を有する前記被選別物を、前記縦溝内において略平坦な面が前記突条壁に当接し、側部が前記シュートの前記前後方向へ向く状態で前記シュートの表面上を流下させることができる。
【0021】
また、本発明の光学式選別機は、前記シュートに設けられる縦溝を、前記シュートの長手方向に直交する断面が略U字形状とすることで、前記扁平な形状を有する前記被選別物を、前記縦溝内において略平坦な面が前記略U字形状の断面を形成する前記突条壁に当接し、側部が前記シュートの前記前後方向へ向く状態で前記シュートの表面上を流下させることができる。
【0022】
本発明の光学式選別機は、前記シュートの前記前後方向の傾斜角度、及び前記シュートの前記傾斜面内における前記上下方向に対する傾斜角度を変更可能とすることで、前記シュートの前記傾斜面内における前記上下方向に対する傾斜角度の変更にともない変化する前記シュートの表面上を流下する被選別物の流下速度を、前記シュートの前記前後方向の傾斜角度の変更により調整することができる。
【0023】
本発明の光学式選別機は、前記シュートが、前記前後方向に傾斜して配置した傾斜面内において上下方向に向けて配置されており、前記シュートに設けられる縦溝を、前記シュートの長手方向に直交する断面が前記シュートの幅方向に非対称な形状とすることで、扁平な形状を有する前記被選別物を、前記縦溝内において略平坦な面が前記非対称な形状の断面を形成する前記突条壁に当接し、側部が前記シュートの前記前後方向へ向く状態で前記シュートの表面上を流下させることができる。
【0024】
本発明の光学式選別機は、前記シュートに設けられる縦溝を、前記シュートの長手方向に直交する断面が略ノコ歯形状とすることでも、前記扁平な形状を有する被選別物を、前記縦溝内において略平坦な面が前記略ノコ歯形状の断面を形成する前記突条壁に当接し、側部が前記シュートの前記前後方向へ向く状態で前記シュートの表面上を流下させることができる。
【0025】
本発明の光学式選別機は、扁平な形状を有する被選別物が前記シュートの表面上を流下するに際し、前記縦溝内において前記被選別物の略平坦な面が前記突条壁に当接し、前記被選別物の側部が前記シュートの前記前後方向へ向く状態で前記シュートの表面上を流下する構成とすることで、前記光学検出手段が前記検出位置において前記被選別物の前記側部を検出可能とする。
したがって、本発明の光学式選別機を使用すれば、扁平な形状を有する被選別物の側部を検出することができる。
本発明の光学式選別機は、前記シュートを、前記前後方向に傾斜して配置した傾斜面内において上下方向に対し所定角度傾斜した構成とすることで、扁平な形状を有する前記被選別物を、前記縦溝内において略平坦な面が前記突条壁に当接し、側部が前記シュートの前記前後方向へ向く状態で前記シュートの表面上を流下させることができる。
また、本発明の光学式選別機は、前記シュートに設けられる縦溝を、前記シュートの長手方向に直交する断面が略U字形状とすることで、前記扁平な形状を有する前記被選別物を、前記縦溝内において略平坦な面が前記略U字形状の断面を形成する前記突条壁に当接し、側部が前記シュートの前記前後方向へ向く状態で前記シュートの表面上を流下させることができる。
本発明の光学式選別機は、前記シュートの前記前後方向の傾斜角度、及び前記シュートの前記傾斜面内における前記上下方向に対する傾斜角度を変更可能とすることで、前記シュートの前記傾斜面内における前記上下方向に対する傾斜角度の変更にともない変化する前記シュートの表面上を流下する被選別物の流下速度を、前記シュートの前記前後方向の傾斜角度の変更により調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図4】実施例1においてシュートを正面から見た説明図。
【
図5】実施例1においてシュートを側面から見た説明図。
【
図6】実施例1においてシュートを下端側から見た説明図。
【
図7】実施例1において検出位置で検出される米粒の様子の説明図。
【
図8】実施例2においてシュートを下端側から見た説明図。
【
図9】実施例2において検出位置で検出される米粒の様子の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
<光学式選別機>
図1は光学式選別機の一例であって概略側断面図を示す。
図1に示す光学式選別機1は、原料となる粒状物を供給する粒状物供給部2、傾斜状に配置されて前記粒状物を流下させるシュート3、前記シュート3の下端から落下する粒状物を検出し、該検出結果に基づいて良品と不良品に選別する光学選別部4、前記光学選別部4で選別された粒状物を良品と不良品に分けて排出する排出ホッパ5を備える。
【0028】
前記粒状物供給部2は、図示しない原料タンクと、前記原料タンクに貯留する粒状物を前記シュート3に供給する振動フィーダ21を備える。
【0029】
前記シュート3は、所定幅を有して前記振動フィーダ21の先端側下方位置に、該シュート3の流下面に対し前後方向に傾斜した状態で配置され、前記振動フィーダ21から供給される粒状物を自然流下させる。
【0030】
前記光学選別部4は、前記シュート3の下端から落下する粒状物の落下軌跡の前後に配設される一対の光学検出装置41a,41b、前記光学検出装置41a,41bの撮像信号に基づいて前記粒状物を良品と不良品に判別する判別装置42、前記判別装置42の判別結果に基づいて前記不良品を除去し前記粒状物を良品と不良品に選別するエジェクター装置を備える。
【0031】
前記排出ホッパ5は、前記エジェクター装置により選別された粒状物を良品と不良品に分別して排出する良品排出路51及び不良品排出路52を備える。
【0032】
前記光学式選別機1において、前記粒状物供給部2の原料タンクに貯留される粒状物は、前記振動フィーダ21により前記シュート3に連続して供給され、該シュート3の表面上を幅方向に広がる状態で連続状に自然流下した後、当該シュートの下端から所定の軌跡に沿って自由落下する。
【0033】
前記シュート3の下端から落下する粒状物は、前記光学選別部4において、一対の前記光学検出装置41a,41bにおける撮像手段により撮像され、前記判別装置42において前記撮像手段の撮像信号における光量や色成分等の信号レベルがしきい値と比較されて良品と不良品のいずれかに判別され、前記判別装置42から送られる除去信号に基づいて前記エジェクター装置におけるエアの噴射により不良品が前記所定の軌跡から除去され、良品と不良品に選別される。
【0034】
そして、前記良品に選別された粒状物は前記排出ホッパ5の良品排出路51、前記不良品に選別された粒状物は前記排出ホッパ5の不良品排出路52からそれぞれ排出される。
【0035】
図2は光学検出装置の説明図を示す。
前記光学検出装置41a,41bは、前記シュート3の下端から幅方向に広がる状態で自由落下する粒状物に対応できるCCD等のラインセンサやエリアセンサを内蔵し、近赤外線(NIR)、可視光又は紫外線等の波長域の光を受光可能とするCCDカメラ等の撮像手段411a,411bと、前記粒状物の落下軌跡上において前記幅方向に直線状に延在する検出位置Oを照明するLED光源や蛍光灯等の照明手段412a,412bと、前記検出位置Oにおいて前記撮像手段411a,411bにより前記粒状物を撮像する際の背景となるバックグラウンドとを備える。
【0036】
ここでは、一対の前記光学検出装置41a,41bは、上部がヒンジにより開閉可能に連結される一対のカバー44a,44b内に配設されてカメラユニット45を構成している。
また、前記シュート3は、前記カメラユニット45に対し一体に取り付け可能となっている。
【0037】
前記エジェクター装置は、前記光学検出装置41a,41bと同様に、前記シュート3の下端から幅方向に広がる状態で自由落下する粒状物に対応できるものであって、前記幅方向に形成される複数のノズル孔から選択的にエアを噴射することができるエジェクターノズル43と、前記判別装置42から送られる除去信号に基づいて前記エジェクターノズル43からエアを噴射させる図示しないエジェクター駆動装置を備える。
前記エジェクターノズル43は、前記カメラユニット45に一体に取り付けることができる。
【0038】
<米粒>
図3は扁平な形状を有する粒状物の一例としての米粒の説明図であって、(a)は米粒の正面図、(b)は米粒の平面図、(c)は米粒の右側面を示す。
図3(a)において、米粒8は、胚芽部8aのある左側が腹部8b、右側が背部8c、下側が基部8d、上側が頭部8eと呼ばれ、前記基部8dと前記頭部8eを結ぶ長手方向に細長く、前記長手方向に直交する方向に扁平な略楕円球形状をなしている。また、
図3(b)に示すように、前記米粒8は、上側及び下側の略平坦な面が側面8fと呼ばれ、前記長手方向に直交する横断面が扁平な略楕円形状をなしている。さらに、
図3(c)に示すように、前記米粒8には、背部8cの中央に背筋8gと呼ばれる筋状の凹みが存在する。
前記背筋の存在は、米粒の長粒種において顕著であり、搗精に際し、往々にして前記背筋の糠が除去しきれず、糠線(ブランストリーク)8hとして残存する。
【0039】
[実施例1]
図4は実施例1の光学式選別機においてシュートを正面から見た説明図を示す。
図5は
図4のシュートを側面から見た説明図を示す。
図6は
図4のシュートを下端側から見た拡大説明図を示す。
図7は検出位置で検出される米粒の様子の拡大説明図を示す。
図4及び
図5に示すように、実施例1の光学式選別機は、前記シュート3を、該シュート3の流下面に対し前後方向に所定角度、
図5に示す例では60度、傾斜して配置した傾斜板6上の傾斜面内において、水平方向に直交する上下方向に対し所定角度β(5度以上50度以下、好ましくは35度)回転させて傾斜状に設けた構成とする。
【0040】
また、前記シュート3には、複数の突条壁32によって長手方向に形成される複数の平行な縦溝31が設けられており、
図6に示す例では、前記縦溝31は、前記シュート3の長手方向に直交する断面が略U字形状に形成されている。
なお、実施例1の光学式選別機の基本構成は、
図1及び
図2で説明したとおりであり、ここでの説明は省略する。
【0041】
実施例1の光学式選別機において、シュート3の表面上を流下する米粒8は、
図6に示すように、前記縦溝31内において前記米粒8の略平坦な側面8fが前記略U字形状の断面を形成する前記突条壁32に当接し、前記米粒8の側部(腹部8b及び背部8c)が前記シュート3の前記前後方向へ向く状態で前記シュート3の表面上を流下する。
【0042】
そして、前記シュート3の下端から落下する米粒8は、
図7に示すように、直線状に延在する前記検出位置Oにおいて前記米粒8の側部が前記米粒8の落下軌跡の前後に配設される一対の前記光学検出装置41a,41bへ向く状態で落下する。
【0043】
したがって、実施例1の光学式選別機によれば、前記光学検出装置41a,41bのセンサが前記検出位置Oにおいて前記米粒8の前記側部を検出することが可能となり、前記米粒8の背筋8gに残存する糠線8hを検出することができる。
【0044】
ここで、
図4及び
図5に示すように、実施例1の光学式選別機において、前記シュート3は前記カメラユニット45に対し一体に取り付けられており、前記カメラユニット45とともに前記シュート3の前記前後方向の傾斜角度及び前記上下方向に対する傾斜角度を変更できるように構成されている。
【0045】
したがって、実施例1の光学式選別機によれば、前記シュート3の前記上下方向に対する傾斜角度βの変更にともない変化する前記シュート3の表面上を流下する米粒の流下速度を、前記シュート3の前記前後方向の傾斜角度の変更により調整することができる。
【0046】
なお、
図6に示す例では、前記シュート3に設けられる前記縦溝31を、前記シュート3の長手方向に直交する断面が略U字形状としたが、これに限定されるものでなく、前記縦溝31内において前記米粒8の略平坦な側面8fが前記縦溝31を形成する前記突条壁32に当接し、前記米粒8の側部が前記シュート3の前記前後方向へ向く状態で前記シュート3の表面上を流下するのであれば、前記シュート3の長手方向に直交する断面を他の形状とすることもできる。
【0047】
図4及び
図5に示す例では、前記シュート3の上端は水平なものとし、振動フィーダ21から前記シュート3への粒状物の供給を容易なものとしたが、必ずしも水平である必要はなく、シュート3の長手方向に直交するものでもよい。
また、前記シュート3の下端は前記シュートの長手方向に直交するものとしたが、カメラユニット45の位置等を適宜調整することで水平なものとすることもできる。
【0048】
[実施例2]
図8は実施例2の光学式選別機においてシュートを下端側から見た拡大説明図を示す。
図9は検出位置で検出される米粒の様子の拡大説明図を示す。
実施例2の光学式選別機は、実施例1の光学式選別機において、前記シュート3を、該シュート3の流下面に対し前記前後方向に所定角度傾斜して配置した傾斜板6上の傾斜面内において、水平方向に直交する上下方向に向けて配置した構成とする。
【0049】
また、前記シュート3には、複数の突条壁32によって長手方向に形成される複数の平行な縦溝31が設けられており、
図8に示す例では、前記縦溝31は、前記シュート3の長手方向に直交する断面が前記シュート3の幅方向に不規則に変化する非対称な形状とされている。
なお、実施例2の光学式選別機の基本構成も、
図1及び
図2で説明したとおりであり、ここでの説明は省略する。
【0050】
実施例2の光学式選別機において、シュート3の表面上を流下する米粒8は、
図8に示すように、前記縦溝31内において前記米粒8の略平坦な側面8fが前記非対称な形状の断面を形成する前記突条壁32に当接し、前記米粒8の側部(腹部8b及び背部8c)が前記シュート3の前記前後方向へ向く状態で前記シュート3の表面上を流下する。
【0051】
そして、前記シュート3の下端から落下する米粒8は、
図9に示すように、直線状に延在する前記検出位置Oにおいて前記米粒8の側部が前記米粒8の落下軌跡の前後に配設される一対の前記光学検出装置41a,41bへ向く状態で落下する。
【0052】
したがって、実施例2の光学式選別機によっても、前記光学検出装置41a,41bのセンサが前記検出位置Oにおいて前記米粒8の前記側部を検出することが可能となり、前記米粒8の背筋8gに残存する糠線8hを検出することができる。
【0053】
なお、
図8に示す例では、前記シュート3に設けられる前記縦溝31を、前記シュート3の長手方向に直交する断面が前記シュート3の幅方向に不規則に変化する非対称な形状としたが、これに限定されるものでなく、前記縦溝31内において米粒8の略平坦な側面8fが前記縦溝31を形成する前記突条壁32に当接し、前記米粒8の側部が前記シュート3の前記前後方向へ向く状態で前記シュート3の表面上を流下するのであれば、例えば略ノコ歯形状のように前記シュート3の幅方向に規則的に変化する非対称な形状とすることもできる。
【0054】
上記本発明の実施の形態では、粒状物として米粒を例として説明したが、扁平な形状を有する他の粒状物についても同様に側部を検出することができる。
【0055】
また、上記本発明の実施の形態では、シュートの下端から落下する粒状物を光学検出装置41a,41bにより検出することとしたが、シュートの流下面に対し該シュートの長手方向に直交して設けられるスリットを介して前記シュートの表面上を流下する粒状物を検出することもできる。
【0056】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものでなく、発明の範囲を逸脱しない限りにおいて構成を適宜変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、扁平な形状を有する被選別物の側部、特に米粒の場合には背筋に残存する糠線を検出することができるため、きわめて有用である。
【符号の説明】
【0058】
1 光学式選別機
2 粒状物供給部
21 振動フィーダ
3 シュート
31 縦溝
32 突条壁
4 光学選別部
41a,41b 光学検出装置
411a,411b 撮像手段
412a,412b 照明手段
42 判別装置
43 エジェクターノズル
5 排出ホッパ
51 良品排出路
52 不良品排出路
6 傾斜板
8 米粒
8a 胚芽部
8b 腹部
8c 背部
8d 基部
8e 頭部
8f 側面
8g 背筋
8h 糠線(ブランストリーク)