(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】シート積載装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B65H 1/14 20060101AFI20231219BHJP
B65H 3/52 20060101ALI20231219BHJP
B65H 11/00 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
B65H1/14 310C
B65H3/52 330
B65H11/00 A
(21)【出願番号】P 2019231525
(22)【出願日】2019-12-23
【審査請求日】2022-11-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117651
【氏名又は名称】高垣 泰志
(72)【発明者】
【氏名】藤嶋 辰巳
【審査官】田村 佳孝
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-006607(JP,A)
【文献】特開2015-059041(JP,A)
【文献】特開2016-108079(JP,A)
【文献】特開2019-182556(JP,A)
【文献】特開平11-189343(JP,A)
【文献】特開平10-045262(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 1/14
B65H 3/52
B65H 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを積載するシート積載部と、
前記シート積載部に積載されるシートの先端部を支持し、シートの先端部を押し上げるシート押上板と、
前記シート積載部に積載されたシートの先端部の上端に当接してシートを給紙する給紙ローラーと、
前記給紙ローラーに当接し、前記給紙ローラーによって複数枚のシートが給紙される場合に前記複数枚のシートのうちから最上部に位置する1枚のシートを分離して下流側に送り出す分離ローラーと、
前記給紙ローラーがシートの先端部の上端に当接する位置の上流側において前記シート押上板の上面に設けられる突起部と、
前記突起部の上方位置において昇降動作可能に設けられ、前記給紙ローラーによってシートが給紙される際に下降して前記突起部に積載されているシートに当接するローラー部材と、
を備え
、
前記ローラー部材は、給紙方向と直交する方向の幅寸法が前記突起部の幅よりも大きいことを特徴とするシート積載装置。
【請求項2】
シートを積載するシート積載部と、
前記シート積載部に積載されるシートの先端部を支持し、シートの先端部を押し上げるシート押上板と、
前記シート積載部に積載されたシートの先端部の上端に当接してシートを給紙する給紙ローラーと、
前記給紙ローラーに当接し、前記給紙ローラーによって複数枚のシートが給紙される場合に前記複数枚のシートのうちから最上部に位置する1枚のシートを分離して下流側に送り出す分離ローラーと、
前記給紙ローラーがシートの先端部の上端に当接する位置の上流側において前記シート押上板の上面に設けられる突起部と、
前記突起部の上方位置において昇降動作可能に設けられ、前記給紙ローラーによってシートが給紙される際に下降して前記突起部に積載されているシートに当接するローラー部材と、
を備え
、
前記突起部の上面には、前記ローラー部材の外形に対応する凹部が形成されることを特徴とするシート積載装置。
【請求項3】
前記突起部は、シートの先端部に屈曲部を形成することを特徴とする請求項1
又は2に記載のシート積載装置。
【請求項4】
前記突起部は、前記給紙ローラーがシートの先端部の上端に当接する位置の上流側に設けられることを特徴とする請求項1
乃至2のいずれかに記載のシート積載装置。
【請求項5】
前記突起部は、給紙方向と直交する方向の幅寸法がシートの幅よりも小さいことを特徴とする請求項1乃至
4のいずれかに記載のシート積載装置。
【請求項6】
前記突起部の幅寸法は、最小サイズのシートの幅寸法の30%以下であることを特徴とする請求項
5に記載のシート積載装置。
【請求項7】
前記突起部は、前記シート押上板の上面においてシートの幅の略中央の位置に設けられることを特徴とする請求項1乃至
6のいずれかに記載のシート積載装置。
【請求項8】
前記突起部は、前記シート押上板の上面からの高さが0.7mm以上であることを特徴とする請求項1乃至
7のいずれかに記載のシート積載装置。
【請求項9】
前記突起部は、給紙方向の上流側から下流側に向かって高さが漸次高くなる傾斜部を有することを特徴とする請求項1乃至
8のいずれかに記載のシート積載装置。
【請求項10】
請求項1乃至
9のいずれかに記載のシート積載装置を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
前記シート積載装置は、手差しトレイとして設けられることを特徴とする請求項
10に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷用紙などのシートを積載して画像形成装置に1枚ずつシートを供給するシート積載装置、及び、そのシート積載装置を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
MFP(Multifunction Peripherals)などの画像形成装置は、積載されるシートからシートを1枚ずつ取り出して給紙するシート積載装置を備えている。このようなシート積載装置は、例えば手差しトレイとして画像形成装置の側面に設けられている。
【0003】
シート積載装置は、シート積載部に積載された複数枚のシートの束から最上面に位置する1枚のシートだけを分離して給紙する給紙機構を備えている。この給紙機構は、例えば給紙ローラーと分離ローラーとによって構成される。給紙ローラーは、シートの束の先端位置で最上面のシートに当接し、所定方向に回転することでシートを搬送路の下流側へ送り出す。分離ローラーは、給紙ローラーと対を成すローラーであり、給紙ローラーの表面に当接して従動することにより、給紙ローラーによって複数枚のシートが送り出された場合に最上面にある1枚目のシートと2枚目以降のシートとを分離する。
【0004】
分離ローラーは、外周面にゴムなどの弾性部材が設けられ、回転軸にはトルクリミッターが設けられている。2枚目以降のシートが給紙ローラーと分離ローラーとのニップ部を通過しようとすると、分離ローラーに作用するトルクが所定値以下となり、分離ローラーは回転せずに2枚目以降のシートが下流側に進行することを防止する。このとき、分離ローラーには応力が作用した状態となるため、弾性エネルギーを蓄積した状態となる。そして最上面にある1枚目のシートの後端部が給紙ローラーと分離ローラーとのニップ部を通過すると、給紙ローラーの回転が停止されるため、分離ローラーに蓄積された弾性エネルギーが解放される。
【0005】
分離ローラーに蓄積された弾性エネルギーが解放されると、分離ローラーは弾性変形又は弾性変位した状態から元の状態に戻る。このとき、分離ローラーで堰き止められているシートを給紙方向上流側に押し戻す力が作用し、シートがシート積載部において後退する現象が発生する。以下、この現象を「キックバック現象」という。
【0006】
キックバック現象は、1枚のシートを給紙する度に発生する。キックバック現象1回当たりのシートの後退量は僅かであるが、シートの積載状態などに応じて変化する。例えば連続給紙時に比較的大きな後退量のキックバック現象が発生すると、次に給紙されるシートの先端が給紙ローラーに当接しない位置まで後退してしまい、給紙ミスが発生することがある。キックバック現象によるシートの後退量は、シートの重量が軽いほど大きくなり、同一の紙種であればシートサイズが小さいほど大きくなる。そのため、特にサイズの小さいシートを連続給紙する場合に、給紙ミスが発生し易いという問題がある。
【0007】
従来、キックバック現象を抑制して給紙ミスを低減するためのいくつかの手法が提案されている(例えば、特許文献1,2,3)。
【0008】
特許文献1の従来技術は、シート積載部にシートが積載されると、そのシートサイズに応じてシート積載面から上方に突出させてシートの後端部に当接する後端規制板を設けることにより、キックバック現象によるシートの後退を抑制している。
【0009】
特許文献2の従来技術は、シート積載部がシートの後端部を持ち上げるように回動可能であり、シートの給紙が行われる度に、シート積載部を回動させてシートの後端部を持ち上げることにより、キックバック現象によって後退したシートを先端側に戻すことができるように構成されている。
【0010】
特許文献3の従来技術は、シート積載部に段差部を設け、シートの後端部が後退することをその段差部で規制するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】特開2015-174707号公報
【文献】特開2003-276861号公報
【文献】特開平10-338363号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、特許文献1の従来技術では、複数のシートサイズに対応できる構成を実現しようとすると、各シートサイズに応じた位置に後端規制板を出没可能に設ける必要があり、後端規制板の数が多くなってしまうという問題がある。
【0013】
また、特許文献2の従来技術では、シート積載部を回動させるための駆動機構を設ける必要があり、構造が複雑化すると共に、1枚のシートが給紙される度にシート積載部が回動するため、連続給紙時に大きな騒音が発生するという問題がある。
【0014】
さらに、特許文献3の従来技術は、シート束の厚みが段差部よりも小さい場合にはシートの後退を抑制することができるものの、シート束の厚みが段差部よりも大きい場合には上層部のシートが段差部を超えて後退してしまうという問題がある。
【0015】
そこで本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、従来よりも簡単な構成でキックバック現象によるシートの後退を抑制し、給紙ミスの発生を低減できるようにしたシート積載装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するため、請求項1に係る発明は、シート積載装置であって、シートを積載するシート積載部と、前記シート積載部に積載されるシートの先端部を支持し、シートの先端部を押し上げるシート押上板と、前記シート積載部に積載されたシートの先端部の上端に当接してシートを給紙する給紙ローラーと、前記給紙ローラーに当接し、前記給紙ローラーによって複数枚のシートが給紙される場合に前記複数枚のシートのうちから最上部に位置する1枚のシートを分離して下流側に送り出す分離ローラーと、前記給紙ローラーがシートの先端部の上端に当接する位置の上流側において前記シート押上板の上面に設けられる突起部と、前記突起部の上方位置において昇降動作可能に設けられ、前記給紙ローラーによってシートが給紙される際に下降して前記突起部に積載されているシートに当接するローラー部材と、を備え、前記ローラー部材は、給紙方向と直交する方向の幅寸法が前記突起部の幅よりも大きいことを特徴とする構成である。
請求項2に係る発明は、シート積載装置であって、シートを積載するシート積載部と、前記シート積載部に積載されるシートの先端部を支持し、シートの先端部を押し上げるシート押上板と、前記シート積載部に積載されたシートの先端部の上端に当接してシートを給紙する給紙ローラーと、前記給紙ローラーに当接し、前記給紙ローラーによって複数枚のシートが給紙される場合に前記複数枚のシートのうちから最上部に位置する1枚のシートを分離して下流側に送り出す分離ローラーと、前記給紙ローラーがシートの先端部の上端に当接する位置の上流側において前記シート押上板の上面に設けられる突起部と、前記突起部の上方位置において昇降動作可能に設けられ、前記給紙ローラーによってシートが給紙される際に下降して前記突起部に積載されているシートに当接するローラー部材と、を備え、前記突起部の上面には、前記ローラー部材の外形に対応する凹部が形成されることを特徴とする構成である。
【0017】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2のシート積載装置において、前記突起部は、シートの先端部に屈曲部を形成することを特徴とする構成である。
【0018】
請求項4に係る発明は、請求項1乃至3のいずれかのシート積載装置において、前記突起部は、前記給紙ローラーがシートの先端部の上端に当接する位置の上流側に設けられることを特徴とする構成である。
【0019】
請求項5に係る発明は、請求項1乃至4のいずれかのシート積載装置において、前記突起部は、給紙方向と直交する方向の幅寸法がシートの幅よりも小さいことを特徴とする構成である。
【0020】
請求項6に係る発明は、請求項5のシート積載装置において、前記突起部の幅寸法は、最小サイズのシートの幅寸法の30%以下であることを特徴とする構成である。
【0021】
請求項7に係る発明は、請求項1乃至6のいずれかのシート積載装置において、前記突起部は、前記シート押上板の上面においてシートの幅の略中央の位置に設けられることを特徴とする構成である。
【0022】
請求項8に係る発明は、請求項1乃至7のいずれかのシート積載装置において、前記突起部は、前記シート押上板の上面からの高さが0.7mm以上であることを特徴とする構成である。
【0023】
請求項9に係る発明は、請求項1乃至8のいずれかのシート積載装置において、前記突起部は、給紙方向の上流側から下流側に向かって高さが漸次高くなる傾斜部を有することを特徴とする構成である。
【0027】
請求項10に係る発明は、画像形成装置であって、請求項1乃至9のいずれかに記載のシート積載装置を備えることを特徴とする構成である。
【0028】
請求項11に係る発明は、請求項10の画像形成装置において、前記シート積載装置は、手差しトレイとして設けられることを特徴とする構成である。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、シート押上板の上面に設けられる突起部がシートを折り曲げて屈曲を形成する。突起部によって形成されるシートの屈曲部が抵抗となり、キックバック現象によってシートが後退することを抑制する。それ故、従来よりも簡単な構成でキックバック現象によるシートの後退を抑制し、給紙ミスの発生を低減することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図2】シート積載装置を拡大して示す斜視図である。
【
図4】シート押上板のYZ平面を拡大して示す図である。
【
図5】シート押上板のXZ平面を拡大して示す図である。
【
図6】シートの給紙動作が行われるときのシート積載装置のYZ平面を示す図である。
【
図7】給紙動作が可能な状態のシート押上板の近傍領域のYZ平面を拡大して示す図である。
【
図8】シートが積載された状態の突起部の近傍領域のXZ平面を拡大して示す図である。
【
図9】幅寸法の異なるシートを積載した場合のシート積載装置を例示する図である。
【
図10】同一の紙種で異なるサイズのシート後退量と突起部の高さ寸法との関係を表したグラフである。
【
図11】突起部の上面形状に関する他の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明に関する好ましい実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、以下に説明する実施形態において互いに共通する要素には同一符号を付しており、それらについての重複する説明は省略する。
【0032】
図1は、本発明の一実施形態における画像形成装置1の一構成例を示す図である。
図1に示すXYZ三次元座標系は、XY平面を水平面とし、Z軸方向を鉛直方向とする座標系であり、他の図に示す座標系と共通する座標系である。
図1に示す画像形成装置1は、例えばMFP(Multifunction Peripherals)によって構成され、スキャン機能、プリント機能、コピー機能などの複数の機能を備えている。
【0033】
画像形成装置1は、装置本体1aの中央に画像形成部2を有し、画像形成部2の下部に複数の給紙カセット3を有している。複数の給紙カセット3のそれぞれには印刷用紙などのシートの束が収容される。各給紙カセット3は、画像形成装置1においてプリント機能やコピー機能に基づく印刷ジョブが実行されるとき、画像形成部2に対してシートを1枚ずつ給紙する。画像形成部2は、印刷対象となる画像データに基づき各給紙カセット3から給紙されるシートに対して画像形成を行い、上部のシート排出部4に対して印刷したシートを出力する。
【0034】
また、画像形成装置1は、装置本体1aの上部に原稿読取部5を有し、原稿読取部5の更に上部に原稿を自動搬送する自動原稿搬送部(ADF)6を有している。自動原稿搬送部6には原稿読取部5の読み取り対象となる原稿を積載するための原稿載置部7が設けられている。自動原稿搬送部6は、原稿載置部7にセットされる原稿を1枚ずつ取り出して原稿読取部5による所定の原稿読取位置へ自動搬送する。原稿読取部5は、自動原稿搬送部6によって搬送される原稿が原稿読取位置を通過する際に原稿の画像を光学的に読み取り、画像データを生成する。
【0035】
また、画像形成装置1は、装置本体1aの上部正面側に操作パネル8を有している。操作パネル8は、画像形成装置1を使用しようとするユーザーのためのユーザーインタフェースであり、カラー液晶ディスプレイなどで構成される表示部と、タッチパネルキーなどで構成される操作部とを有している。操作パネル8は、ユーザーが操作可能な各種の操作画面を表示し、ユーザーによる操作を受け付ける。
【0036】
さらに、画像形成装置1は、装置本体1aの側面側に、シート積載装置9が設けられている。このシート積載装置9は、例えば、印刷のためのシートであって、複数の給紙カセット3に収容されていないシートをセットするための手差しトレイ10として設けられる。シート積載装置9は、装置本体1aの側面の水平軸周りに回動可能であり、ユーザーによって使用されないときには装置本体1aの側面と同一面内に収容可能である。例えば、給紙カセット3に収容されていないシートを使用して印刷を行いたい場合、ユーザーは、シート積載装置9を水平軸周りに回動させることにより、
図1に示すように装置本体1aの側面においてシート積載装置9が開放され、シート積載装置9を利用してシートを給紙させることができる。
【0037】
シート積載装置9は、給紙カセット3と同様、画像形成装置1においてプリント機能やコピー機能に基づく印刷ジョブが実行されるとき、画像形成部2に対してシートを1枚ずつ給紙することができる。この場合、画像形成部2は、印刷対象となる画像データに基づきシート積載装置9から給紙されるシートに対して画像形成を行い、上部のシート排出部4に印刷したシートを排出する。
【0038】
図2は、シート積載装置9を拡大して示す斜視図である。シート積載装置9は、装置本体1aの側面の水平軸周りに回動可能なシート積載部11を備えている。シート積載装置9は、このシート積載部11の上面にシートを積載する。シート積載部11は、その上面に、シート束の左右側面を規制する一対の規制板13が設けられる。一対の規制板13は、シート積載部11の上面においてX方向に形成されたガイド溝14に沿って移動可能であり、シート積載部11に積載されるシートのサイズ(幅寸法)に応じた位置にセットすることができる。また、一対の規制板13は、ガイド溝14の中央位置を基準に互い離間又は接近するように連動しており、シート積載部11に積載されるシートがシート積載部11の中央位置に配置されるようにシートの左右側面の位置を規制する。
【0039】
また、シート積載部11は、シートのサイズを自動検知するための複数のサイズ検知センサー15,16を有している。これらサイズ検知センサー15,16は、シート積載部11の上面に出没可能であり、積載されるシートの重さによってシート積載部11の内側に没入する。そして複数のサイズ検知センサー15,16のうちのシート積載部11の内側に没入したセンサーの位置及び数に応じてシートのサイズを検知することができる。
【0040】
また、シート積載装置9は、シート積載部11の奥側(装置本体1aの内側)にシートの先端を差し込むためのシート差込口20を有している。シート積載装置9は、そのシート差込口20の内側にシート押上板21と補助ローラー40とを備えている。シート押上板21は、シート差込口20の底面として配置されており、シート積載部11に積載されるシートの先端部を支持する。すなわち、シート押上板21は、シート差込口20に差し込まれるシートの先端の下面を支持する。このシート押上板21の幅方向(X方向)の中央部には、シート押上板21の上面から突出する突起部22が設けられる。補助ローラー40は、その突起部22の上方位置に設けられ、シートが給紙されるときのピックアップ動作を補助するローラー部材である。尚、本実施形態では、突起部22の上方位置に補助ローラー40が設けられる構成例を説明するが、シート積載装置9は補助ローラー40を備えていないものであっても構わない。ユーザーは、このようなシート差込口20に対してシートの先端を差し込むことより、シートをシート積載装置9にセットすることができる。
【0041】
図3は、シート積載装置9の構造を示す断面図である。シート積載装置9は、装置本体1aの内側に、上述したシート押上板21及び補助ローラー40に加え、給紙ローラー31と分離ローラー32とを備えている。
【0042】
シート押上板21は、装置本体1aの側面近傍に設けられている水平方向(X方向)の回動軸23周りに回動可能である。シート押上板21の下面側にはシート押上板21を昇降させるための駆動機構24が設けており、駆動機構24が駆動されることによってシート押上板21は回動軸23周り回動し、シート積載装置9に積載されたシートの先端部を押し上げることができる。例えば、ユーザーによってシート積載装置9に積載したシートを使用することが指定された印刷ジョブが実行されるとき、駆動機構24がシート押上板21を押し上げることにより、シート積載装置9に積載されたシートを給紙可能な状態となる。
【0043】
給紙ローラー31は、シート押上板21の先端(Y方向端部)の上方位置に設けられ、シート押上板21によって押し上げられるシートの先端の上面に当接する。例えば、給紙ローラー31は、水平方向に保持される円筒状ローラーの外周面において最下点に近い部分をシートの先端の上面に当接させる。そして給紙ローラー31は、所定方向(時計回り方向)に回転駆動されることにより、シートを下流側の搬送路33に向けて送り出す。シート積載装置9に複数枚のシートから成るシート束がセットされている場合、給紙ローラー31による給紙動作が行われると、シート束の最上面にある1枚のシートだけでなく、2枚目以降のシートも同時に下流側へ送り出されることがある。
【0044】
分離ローラー32は、給紙ローラー31と対を成すローラーであり、給紙ローラー31の最下点から所定方向(時計回り方向)に所定角度回転した位置で給紙ローラー31の表面と接触している。分離ローラー32は、外周面にゴムなどの弾性部材が設けられおり、その弾性部材が給紙ローラー31の表面と接触している。分離ローラー32は、給紙ローラー31が回転することに伴って従動回転するように構成される。ただし、分離ローラー32の回転軸には、トルクリミッターが設けられており、分離ローラー32に作用するトルクが所定値以下であるときには回転せず、分離ローラー32に作用するトルクが所定値を超えた場合に従動回転する。この分離ローラー32は、給紙ローラー31によって給紙される複数枚のシートが送り出された場合に最上面にある1枚目のシートと2枚目以降のシートとを分離し、2枚目以降のシートが下流側の搬送路33へ送り出されることを規制する。2枚目以降のシートが給紙ローラーと分離ローラーとのニップ部を通過しようとすると、分離ローラー32は、トルクリミッターによる抵抗を2枚目以降のシートに付与し、2枚目以降のシートがニップ部を通過することを阻止する。これにより、最上面の1枚目のシートだけを下流側の搬送路33へ供給することができる。
【0045】
補助ローラー40は、給紙ローラー31よりも上流側(-Y方向側)に配置されている。補助ローラー40は、その外周面に弾性部材が設けられ、弾性部材の摩擦力によってシートの給紙動作を補助する。この補助ローラー40は、その軸部がアーム部材によって支持されており、そのアーム部材が回動することにより上下方向に昇降動作可能である。例えば、補助ローラー40は、給紙ローラー31による給紙が行われるときに下降し、シートの上面に当接した状態となる。この補助ローラー40は、例えば厚紙などのように比較的大きな給送力を必要とするシートが適切に給紙されるように給紙ローラー31による給紙動作を補助する。そのため、補助ローラー40は、給紙ローラー31と同一の駆動源又は別の駆動源によって給紙ローラー31と同時に所定方向(時計回り方向)に回転駆動される。
【0046】
図4は、シート押上板21のYZ平面を拡大して示す図である。シート押上板21の上面には、上述のように突起部22が設けられる。この突起部22は、
図3に示すように給紙方向(Y方向)に向かって漸次高さが高くなるように構成される。つまり、突起部22は、給紙方向の上流側(-Y方向側)から下流側(+Y方向側)に向かって高さが漸次高くなる傾斜部22aを有している。また、突起部22は、上流側の先端部に段差部22bを有している。この段差部22bは、シート押上板21の先端部よりも下流側に設けられる。具体的には、突起部22の先端は、
図3に示すように給紙ローラー31の最下点の上流側に設けられる。
【0047】
図5は、シート押上板21のXZ平面を拡大して示す図である。シート押上板21は、X方向の幅寸法がシート差込口20の幅寸法と同程度として形成される。突起部22は、
図5に示すようにシート押上板21の上面においてシート押上板21の中央位置に設けられる。一方、シート積載装置9に積載されるシートは、シートのサイズにかかわらず、シートの幅方向(X方向)の中央がシート押上板21の中央に一致するように積載される。したがって、突起部22は、シート押上板21の正面においてシートの幅の略中央位置に設けられている。そして突起部22は、シート押上板21の上面から所定高さHで上方に突出し、X方向の幅寸法がL1として設けられる。
【0048】
また、突起部22の上方には、補助ローラー40が設けられている。補助ローラー40も、シート積載装置9に積載されるシートの幅方向の中央位置に設けられている。補助ローラー40の幅寸法は、L2である。本実施形態のシート積載装置9における、突起部22の幅寸法L1と、補助ローラー40の幅寸法L2との関係は、L1<L2である。
【0049】
次に、シート積載装置9にシートが積載された状態について説明する。
図6は、シート19が積載されて給紙動作が行われるときのシート積載装置9のYZ平面を示す図である。シート積載装置9のシート積載部11に積載されるシート19は、その先端がシート差込口20に差し込まれる。これにより、シート19の先端がシート押上板21の先端位置まで進入した状態にセットされる。突起部22の上流側は緩やかな傾斜部22aとなっているため、シート19がシート差込口20に差し込まれるときに、突起部22が障害となることはなく、シート19をスムーズに差し込むことができる。つまり、突起部22の傾斜部22aは、ユーザーがシート積載装置9にシート19を積載するときの作業性を向上させる効果を発揮する。そしてユーザーによって印刷ジョブの実行開始が指示されると、
図6に示すように、シート押上板21がシート19の先端部を押し上げ、シート19の先端部の上面が給紙ローラー31と接触する状態となる。またこのとき、補助ローラー40が下降し、補助ローラー40の外周面が突起部22の上方位置でシート19の上面と接触する状態となる。このように給紙ローラー31及び補助ローラー40がシート19の上面に接触することにより、シート積載装置9による給紙動作が可能な状態となる。
【0050】
図7は、給紙動作が可能な状態でのシート押上板21の近傍領域のYZ平面を拡大して示す図である。
図7に示すように、シート押上板21によって支持されるシート19の先端部は、突起部22の下流側に折れ曲がった屈曲部19aを生じさせる。この屈曲部19aは、給紙ローラー31と接触する位置の上流側近傍位置に形成される。シート19の先端部において給紙ローラー31と接触する位置の上流側近傍位置にシート19が折れ曲がった屈曲部19aが形成されることにより、キックバック現象によるシート19の後退を抑制することができる。
【0051】
給紙ローラー31が給紙動作を開始し、複数枚のシートを給紙ローラー31と分離ローラー32とのニップ部へ搬送すると、上述したように分離ローラー32が2枚目以降のシートが下流側の搬送路33へ搬送されることを防止する。このとき、分離ローラー32は弾性変形又は弾性変位した状態となり、弾性エネルギーを蓄積した状態となる。そして最上面にある1枚目のシートの後端部が給紙ローラーと分離ローラーとのニップ部を通過すると、給紙ローラーの回転が停止されるため、分離ローラーに蓄積された弾性エネルギーが解放され、シート19を後退させるキックバック現象が発生する。
【0052】
一方、シート19にはキックバック現象による力が作用する点よりも後方側(給紙方向の上流側)に屈曲部19aが形成されており、シート19の先端部が後退するためには、その屈曲部19aによる傾斜を乗り越えなければならないため、シート19の先端部が平坦な状態に載置されている場合と比較すると、シート19の先端部が後退し難い構成となっている。つまり、突起部22によって形成されるシート19の先端部の屈曲部19aは、シート19の後退を妨げる一種の抵抗として機能するのである。このようにシート積載装置9は、シート押上板21の上面に突出する突起部22を設けることで、シート19の先端部に屈曲部19aを形成し、その屈曲部19aをシート19が後退するときの抵抗とすることで、キックバック現象が生じた場合のシート19の後退量を低減することが可能であり、連続給紙時における給紙ミスの発生を未然に防止することができる。
【0053】
また、突起部22はシート押上板21の上面に形成されているため、シート19の屈曲部19aを、キックバック現象による力が作用する点の近傍位置に形成することができる。そのため、キックバック現象が生じたときに後退するシート19の先端部が屈曲部19aとの間においてシート19を湾曲させてしまう現象を生じ難くすることができるという利点がある。
【0054】
これに対し、例えば突起部22がシート積載部11の上面に形成されている場合、シート19の先端部と屈曲部19aとの間にシート19の平坦部が広く形成されることになる。そのような場合、キックバック現象によってシート19の先端部を後退させる力が作用すると、シート19は、平坦部を湾曲させることによってシート19の先端部を後退させてしまうことになり、その後に給紙ミスが発生する可能性がある。このようなシート19の湾曲によってシート19の先端部が後退することを防止するためには、上述のように突起部22をシート押上板21の上面に形成し、屈曲部19aを、キックバック現象による力が作用する点の近傍位置に形成できるようにすることが好ましい。
【0055】
図8は、シート19が積載された状態の突起部22の近傍領域のXZ平面を拡大して示す図である。
図8(a)に示すように、本実施形態のシート積載装置9は、シート押上板21の上面に形成した突起部22の幅寸法L1が補助ローラー40の幅寸法L2よりも小さいため、補助ローラー40が下降してシート19を突起部22に押し付けたとき、突起部22の左右両端部からシート19が垂れ下がるように湾曲し、突起部22の両端部に屈曲部19bを形成する。この屈曲部19bは、上述したY方向に沿って形成される屈曲部19aと同様に、シート19が後退するとき、シート19に対して更なる抵抗を付与する。
【0056】
これに対し、突起部22の幅寸法L1が補助ローラー40の幅寸法L2よりも大きくなると、シート19が垂れ下がる傾向は小さくなる。
図8(b)は、突起部22の幅寸法L1が補助ローラー40の幅寸法L2よりも大きい場合を示している。この場合、補助ローラー40が下降してシート19を突起部22に押し付けると、
図8(b)に示すように補助ローラー40の左右両端部でシート19が浮き上がる現象が生じる。そのため、
図8(a)に示すような屈曲部19bが生じ難く、シート19が後退するときに有効な抵抗を付与することができない可能性がある。そこで、本実施形態のシート積載装置9は、
図8(a)に示すように、突起部22の幅寸法L1を補助ローラー40の幅寸法L2よりも小さくすることで、シート19に屈曲部19bを生じさせ、シート19が後退するときにシート19に対して有効な抵抗を付与できるようにしている。
【0057】
このような屈曲部19bは、突起部22の先端部においてY方向に沿って形成される屈曲部19a(
図7参照)による抵抗を更に大きくするものである。そのため、突起部22の左右両端部にシート19が垂れ下がる屈曲部19bを形成することにより、より一層、シート19の後退を防ぐことができるようになる。
【0058】
次に、突起部22の幅寸法とシート19の幅寸法について説明する。
図9は、幅寸法の異なるシート19を積載した場合のシート積載装置9を例示する図である。
図9(a)はシートサイズが比較的大きく、シート19の幅寸法L3が大きい場合を示している。
図9(a)に示すように、シート19の幅寸法L3が大きい場合、シート19の幅寸法L3に対して突起部22の幅寸法L1が占める割合は、小さくなる。この場合、突起部22の左右両端部からシート19が垂れ下がり易くなる。そのため、突起部22の左右両端部に上述した屈曲部19bが形成され易く、キックバック現象によってシート19が後退するとき、そのシート19に抵抗を付与することができる。
【0059】
これに対し、
図9(b)はシートサイズが比較的小さく、シート19の幅寸法L3が小さい場合を示している。
図9(a)に示すように、シート19の幅寸法L3が大きい場合、シート19の幅寸法L3に対して突起部22の幅寸法L1が占める割合は、大きくなる。この場合、突起部22の左右両端部からシート19が垂れ下がり難くなるため、屈曲部19bの屈曲量が小さくなる。それ故、キックバック現象によってシート19が後退するとき、そのシート19に対して付与することができる抵抗が小さくなる。
【0060】
つまり、シート19の幅寸法L3に対する突起部22の幅寸法L1の割合が大きくなる程、屈曲部19bの屈曲量が小さくなるため、シート19が後退するときの抵抗力が弱くなるのである。例えば、突起部22の幅寸法L1が50mmである場合、A4サイズのシート19をSEF(Short Edge Feed)態様でシート積載部11に積載すると、シート19の幅寸法L3に対する突起部22の幅寸法L1の割合Rは、R=L1/L3=50/297≒0.17となる。また、シート積載装置9において給紙可能なシート19の最小サイズがA6サイズのSEF(Short Edge Feed)態様であるとすると、その場合の割合Rは、R=50/105≒0.48となる。この割合Rは、シート19が後退するときの抵抗力を表すため、好ましくは30%以下とすることが好ましい。つまり、突起部22の幅寸法L1は、シート積載装置9によって給紙される最小サイズのシート19の幅寸法の30%以下であることが好ましい。仮に、上述のようシート積載装置9において給紙可能なシート19の最小サイズがA6サイズのSEF(Short Edge Feed)態様であるとすると、突起部22の幅寸法L1は約30mm以下とすることが好ましい。これにより、シート積載装置9において給紙可能なシートサイズのうち、どのようなサイズのシート19が給紙される場合であっても、突起部22の左右両端部からシート19が垂れ下がる有効な屈曲部19bを形成することが可能であり、キックバック現象が生じたときにシート19の後退を良好に防ぐことができるようになる。
【0061】
次に突起部22の高さ寸法H(
図5参照)について説明する。キックバック現象が生じたときのシート19の後退量は、シートの重量が大きいほど小さくなる。すなわち、同一の紙種であれば、シート19のサイズが大きいほど後退量が小さくなる。
図10は、同一の紙種で異なるサイズのシート後退量と突起部22の高さ寸法Hとの関係を表したグラフである。尚、
図10に示すシート19の坪量は、68g/m2である。
【0062】
例えば、シート押上板21に突起部22が形成されていない場合(図中の黒丸)、キックバック現象が生じると、A4サイズのシート19が0.7mm後退し、A5サイズのシート19が1.0mm後退し、A6サイズのシート19が1.5mm後退する。1回のキックバック現象でシート19が1.0mm以上後退すると、後続のシート19で給紙ミスが発生し易くなる。そのため、突起部22が形成されていない場合には、連続給紙時にA5サイズ及びA6サイズのシート19で給紙ミスが発生する可能性がある。
【0063】
また、シート押上板21に突起部22が形成されており、シート押上板21の上面から高さ寸法Hが0.4mmである場合(図中の二重丸)、キックバック現象が生じると、A4サイズのシート19が0.5mm後退し、A5サイズのシート19が0.8mm後退し、A6サイズのシート19が1.2mm後退する。したがって、突起部22の高さ寸法Hが0.4mmである場合には、連続給紙時にA6サイズのシート19で給紙ミスが発生する可能性がある。
【0064】
これに対し、シート押上板21に突起部22が形成されており、シート押上板21の上面から高さ寸法Hが0.7mmである場合(図中の四角)、キックバック現象が生じると、A4サイズのシート19が0.3mm後退し、A5サイズのシート19が0.4mm後退し、A6サイズのシート19が0.9mm後退する。したがって、突起部22の高さ寸法Hが0.7mmである場合には、連続給紙時に給紙ミスが発生する可能性がない。同様に、突起部22の高さ寸法Hが1.0mmである場合(図中の三角)、或いは、突起部22の高さ寸法Hが1.5mmである場合も、連続給紙時に給紙ミスが発生する可能性がない。
【0065】
上記検証結果によれば、突起部22は、シート押上板21の上面からの高さ寸法Hが0.7mm以上であれば、キックバック現象によるシート19の後退量を低減することが可能であり、連続給紙時にシート19の給紙ミスが発生することを抑制することができる。つまり、突起部22の高さ寸法Hは、0.7mm以上とすることが好ましい。
【0066】
次に、突起部22の上面形状に関するいくつかのバリエーションについて説明する。
図11は、突起部22の上面形状に関する他の一例を示す図である。
図11の例では、突起部22の上面に、補助ローラー40の外形に対応する凹部22cを形成している。この場合、
図11に示すように補助ローラー40が下降すると、補助ローラー40がシート19を凹部22cに押し付ける。これにより、シート19に対して複数の屈曲部19aを形成することができ、シート19の保持力を増加させることができる。その結果、キックバック現象によるシート19の後退をより効果的に抑制することができる。
【0067】
図12は、
図11に示した凹部22cの変形例を示す図である。例えば、
図12(a)に示すように、凹部22cは、凹部22cの底部から給紙方向下流側をなだらかな斜面として形成しても良い。この場合、シート19の屈曲部19aは、突起部22の頂上部22dで生じることになる。また
図12(b)に示すように、凹部22cは、給紙方向上流側をなだらかな斜面として形成しても良い。
【0068】
以上のように、本実施形態のシート積載装置9は、給紙ローラー31がシート19の先端部の上端に当接する位置の上流側においてシート押上板21の上面に突起部22を設けた構成である。この突起部22は、シート19が積載されると、シート19の先端部にシート19が折れ曲がった屈曲部19aを形成させることができる。そのため、給紙ローラー31による給紙によって1枚のシート19の後端部が給紙ローラー31と分離ローラー32とのニップ部を通過したときにキックバック現象が生じたとしても、突起部22によって生じたシート19の屈曲部19aがシート19の先端部の後退を抑制することができ、連続給紙時における給紙ミスの発生を低減することが可能である。
【0069】
また、本シート押上板21の上面に状蹴られる突起部22は、シート19のサイズにかかわらず、キックバック現象によってシート19の先端部が後退することを抑制することができるため、従来よりも構成が簡単であり、低コストで実現することができるという利点がある。更に、突起部22は可動部を有しないため、騒音の発生源となることもない。
【0070】
以上、本発明に関する好ましい実施形態について説明した。しかし、本発明は、上記実施形態において説明した内容のものに限られるものではなく、種々の変形例が適用可能である。
【0071】
例えば上記実施形態では、シート押上板21の上面に設けられる突起部22がシート19の幅方向の略中央の位置に設けられることを説明した。しかし、これに限られるものではなく、例えば、突起部22の幅寸法L1はシート19の幅寸法L3と同一寸法に形成されるのであっても良いし、またシート押上板21の幅寸法と同一寸法に形成されるものであっても構わない。そのような場合であっても、突起部22は、給紙方向下流側にシート19の屈曲部19aを形成することができるため、その屈曲部19aによってシート19の後退を抑制することが可能である。
【0072】
また、上記実施形態では、シート積載装置9が画像形成装置1の装置本体1aの側面に手差しトレイ10として設けられる場合を例示した。しかし、上述した突起部22の構造は、手差しトレイ10に限られず、例えば自動原稿搬送部6の原稿載置部7にも適用可能である。そのため、上述したシート積載装置9は、自動原稿搬送部6の原稿載置部7として画像形成装置1に搭載されるものであっても構わない。
【0073】
また、上記実施形態では、画像形成装置1がMFPによって構成される場合を例示した。しかし、画像形成装置1はMFPに限られるものではない。例えば、画像形成装置1は、プリント機能のみを備えた装置であっても構わない。
【符号の説明】
【0074】
1 画像形成装置
9 シート積載装置
10 手差しトレイ
11 シート積載部
19 シート
19a,19b 屈曲部
21 シート押上板
22 突起部
22a 傾斜部
22c 凹部
31 給紙ローラー
32 分離ローラー
40 補助ローラー(ローラー部材)