IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 住友ゴム工業株式会社の特許一覧

特許7404863導電性ゴム組成物、導電性ゴムローラ、画像形成装置
<>
  • 特許-導電性ゴム組成物、導電性ゴムローラ、画像形成装置 図1
  • 特許-導電性ゴム組成物、導電性ゴムローラ、画像形成装置 図2
  • 特許-導電性ゴム組成物、導電性ゴムローラ、画像形成装置 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】導電性ゴム組成物、導電性ゴムローラ、画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   C08L 21/00 20060101AFI20231219BHJP
   C08L 71/02 20060101ALI20231219BHJP
   C08K 5/42 20060101ALI20231219BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20231219BHJP
   F16C 13/00 20060101ALI20231219BHJP
   G03G 15/16 20060101ALN20231219BHJP
【FI】
C08L21/00
C08L71/02
C08K5/42
G03G15/00 551
F16C13/00 A
G03G15/16 103
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019233776
(22)【出願日】2019-12-25
(65)【公開番号】P2021102678
(43)【公開日】2021-07-15
【審査請求日】2022-10-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125184
【弁理士】
【氏名又は名称】二口 治
(74)【代理人】
【識別番号】100188488
【弁理士】
【氏名又は名称】原谷 英之
(72)【発明者】
【氏名】寺田 傑
(72)【発明者】
【氏名】松谷 雄一朗
【審査官】尾立 信広
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-163825(JP,A)
【文献】特開2004-354723(JP,A)
【文献】特開2006-105374(JP,A)
【文献】特開2004-204968(JP,A)
【文献】国際公開第2018/124130(WO,A1)
【文献】特開2012-036289(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00-101/14
C08K 3/00-13/08
C08G 65/00-67/04
F16C 13/00-15/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)基材ゴム、(B)アルキレンオキサイド-フェニルグリシジルエーテル共重合体、および、(C)イオン導電剤を含有し、
前記(B)アルキレンオキサイド-フェニルグリシジルエーテル共重合体の含有量が、前記(A)基材ゴム100質量部に対して、7質量部~40質量部であり、
前記(C)イオン導電剤の含有量が、前記(A)基材ゴム100質量部に対して、0.3質量部~5.0質量部であることを特徴とする導電性ゴム組成物。
【請求項2】
前記(A)基材ゴムが、アクリロニトリルブタジエンゴムおよび/またはエチレンプロピレンジエンゴムを含有する請求項1に記載の導電性ゴム組成物。
【請求項3】
前記(A)基材ゴムは、前記アクリロニトリルブタジエンゴムの含有率が30質量%~99.5質量%であり、前記エチレンプロピレンジエンゴムの含有率が0.5質量%~70質量%である請求項2に記載の導電性ゴム組成物。
【請求項4】
前記(C)イオン導電剤が、有機化合物の金属塩である請求項1~3のいずれか一項に記載の導電性ゴム組成物。
【請求項5】
前記(C)イオン導電剤を構成する有機化合物が、フルオロ基およびスルホニル基を有するものである請求項4に記載の導電性ゴム組成物。
【請求項6】
さらに(D)発泡剤を含有する請求項1~5のいずれか一項に記載の導電性ゴム組成物。
【請求項7】
前記(D)発泡剤の含有量が、前記(A)基材ゴム100質量部に対して、1.0質量部~15質量部である請求項6に記載の導電性ゴム組成物。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の導電性ゴム組成物から形成されていることを特徴とする導電性ゴムローラ。
【請求項9】
転写ローラとして使用されるものである請求項8に記載の導電性ゴムローラ。
【請求項10】
請求項8または9に記載の導電性ゴムローラを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性ゴム組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置においては、帯電ローラ、現像ローラ、転写ローラ、トナー供給ローラ等の導電性ゴムローラが使用されている。これらの導電性ゴムローラは、その用途に応じて、電気抵抗等の導電性、低硬度、低圧縮永久ひずみ、通電耐久性(連続通電時の抵抗上昇値の低さ)、非汚染性等の種々の性能が要求される。
【0003】
ここで、導電性ゴムローラを画像形成装置の転写ローラとして用いる場合には、通電耐久性が重要となる。通電耐久性が悪いと転写電圧のコントロールが困難となり、抵抗上昇を抑えるために、装置の機構が複雑になる。そのため、通電耐久性に優れた導電性ゴムローラの開発が要求されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、導電性を有する芯金と、該芯金の表面側に少なくとも1層以上の導電性弾性層を備えた導電性ゴムローラであって、上記導電性弾性層は、非塩素・非臭素系のポリマーを主成分とし、フルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩を含有したポリマー組成物を用いて形成されてなり、上記非塩素・非臭素系のポリマーとして、ポリエーテル含有ポリマーあるいは/及びシアン基を有するポリマーの内の少なくとも一種以上を含んでいる導電性ゴムローラが記載されている(特許文献1(請求項1)参照)。
【0005】
また、特許文献2には、結合アクリロニトリル量が25%以下のNBRと、EPDMとポリエチレンオキサイド-ポリプロピレンオキサイド-アリルグリシジルエーテル共重合体(PO-EO-AGE共重合体)からなるブレンドゴムに、フルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩を配合したゴム組成物に、化学発泡剤を添加して発泡させてなる導電性発泡ロールが記載されている(特許文献2(請求項1)参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2004-163825号公報
【文献】特開2004-354723号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来、通電耐久性を改善した導電性ゴムローラが提案されているが、より優れた通電耐久性を有する導電性ゴムローラが求められている。本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、通電耐久性に優れた導電性ゴムローラを形成し得る導電性ゴム組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決することができた本発明の導電性ゴム組成物は、(A)基材ゴム、(B)アルキレンオキサイド-フェニルグリシジルエーテル共重合体、および、(C)イオン導電剤を含有することを特徴とする。前記導電性ゴム組成物を用いて導電性ゴムローラを形成すれば、通電耐久性に優れた導電性ゴムローラが得られる。導電性ゴムローラに電圧を印加すると、(C)イオン導電剤が相手電極側に分極するため、電気抵抗値が上昇すると考えられる。しかし、導電性ゴム組成物に(B)アルキレンオキサイド-フェニルグリシジルエーテル共重合体を配合すると、この共重合体が有するフェニル基の作用によって、(C)イオン導電剤の分極が抑制され、通電による電気抵抗値の上昇が抑制されると考えられる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の導電性ゴム組成物を用いれば、通電耐久性に優れた導電性ゴムローラが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の導電性ゴムローラの一例を示す斜視図である。
図2】カラー用画像形成装置の一例の模式的概略図である。
図3】導電性ゴムローラの電気抵抗値の測定方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[導電性ゴム組成物]
本発明の導電性ゴム組成物は、(A)基材ゴム、(B)アルキレンオキサイド-フェニルグリシジルエーテル共重合体、および、(C)イオン導電剤を含有することを特徴とする。ゴム組成物にイオン導電剤を配合することで、得られるゴムローラにイオン導電性を付与することができる。このような導電性ゴムローラに繰り返し通電を行うと、イオン導電剤が相手電極側に分極してしまい、導電性ゴムローラの電気抵抗値が上昇する。しかしながら、ゴム組成物にアルキレンオキサイド-フェニルグリシジルエーテル共重合体を配合することで、イオン導電剤の分極を抑制し、電気抵抗値の上昇を抑制できる。
【0012】
(A)基材ゴム
前記(A)基材ゴムは特に限定されず、従来導電性ゴムローラに使用されるものが好適に使用できる。前記(A)基材ゴムとしては、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、エピクロルヒドリンゴム、アクリルゴム、ブチルゴム、シリコンゴム等が挙げられる。これらのゴム成分は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0013】
(NBR)
前記NBRとしては、アクリロニトリルとブタジエンとを、乳化重合法等の種々の重合法によって共重合させて合成され、なおかつ架橋性を有する種々のNBRが、いずれも使用可能である。
【0014】
NBRとしては、アクリロニトリル含有量が24質量%以下である低ニトリルNBR、25質量%~30質量%である中ニトリルNBR、31質量%~35質量%である中高ニトリルNBR、36質量%~42質量%である高ニトリルNBR、43質量%以上である極高ニトリルNBRが、いずれも使用可能である。
【0015】
前記NBRのアクリロニトリル含有量は、36質量%以下が好ましく、より好ましくは31質量%以下、さらに好ましくは24質量%以下である。アクリロニトリル含有量が36質量%以下であれば、得られる導電性ゴムローラの電気抵抗値の環境依存性が小さくなる。前記アクリロニトリル含有量は、15質量%以上が好ましい。
【0016】
またNBRとしては、伸展油を加えて柔軟性を調整した油展タイプのものと、加えない非油展タイプのものとがあるが、非油展タイプのNBRが好ましい。
【0017】
前記(A)基材ゴムがアクリロニトリルブタジエンゴムを含有する場合、前記(A)基材ゴム中の前記アクリロニトリルブタジエンゴムの含有率は、30質量%以上が好ましく、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上であり、99.5質量%以下が好ましく、より好ましくは90質量%以下、さらに好ましくは80質量%以下である。前記アクリロニトリルブタジエンゴムの含有率が30質量%以上であれば導電性ゴムローラの導電性がより良好となり、99.5質量%以下であれば他種ゴムとのブレンドによりNBR単体では実現しにくい電気抵抗の環境依存性や耐オゾン性の改良などを実現できる。
【0018】
(EPDM)
前記EPDMとしては、エチレンとプロピレンに少量のジエン成分を加えることで、主鎖中に二重結合を導入した種々のEPDMがいずれも使用可能である。前記EPDMとしては、ジエン成分の種類や量の違いによる様々な製品が提供されている。代表的な第3成分としては、例えばエチリデンノルボルネン(ENB)、1,4-ヘキサジエン(1,4-HD)、ジシクロペンタジエン(DCP)等が挙げられ、エチリデンノルボルネンが好ましい。
【0019】
前記EPDMは、エチレン成分の含有率が、40質量%以上が好ましく、より好ましくは45質量%以上、さらに好ましくは50質量%以上であり、70質量%以下が好ましく、より好ましくは65質量%以下、さらに好ましくは60質量%以下である。エチレン成分の含有率が40質量%以上であれば導電性ゴムローラとして必要な最小限の機械物性は確保でき、70質量%以下であればエチレン部位の結晶化による圧縮永久歪や電気抵抗の環境依存性の悪化を抑制できる。
【0020】
前記EPDMは、ジエン成分の含有率が、5質量%以上が好ましく、より好ましくは7質量%以上、さらに好ましくは8質量%以上であり、15質量%以下が好ましく、より好ましくは13質量%以下、さらに好ましくは11質量%以下である。ジエン成分の含有率が5質量%以上であればNBR等の他のジエン系ゴムとの共架橋性がより良好となり、15質量%以下であればロール加工性やスコーチ性がより良好となる。
【0021】
またEPDMとしては、伸展油を加えて柔軟性を調整した油展タイプのものと、加えない非油展タイプのものとがあるが、非油展タイプのEPDMが好ましい。
【0022】
前記(A)基材ゴムがエチレンプロピレンジエンゴムを含有する場合、前記(A)基材ゴム中の前記エチレンプロピレンジエンゴムの含有率は、0.5質量%以上が好ましく、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上であり、70質量%以下が好ましく、より好ましくは40質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下である。前記エチレンプロピレンジエンゴムの含有率が0.5質量%以上であれば耐オゾン性がより良好となり、70質量%以下であれば導電性ゴムローラの導電性がより良好となる。
【0023】
(SBR)
前記SBRとしては、スチレンとブタジエンとを、乳化重合法、溶液重合法等の種々の重合法によって共重合させて合成され、なおかつ架橋性を有する種々のSBRが、いずれも使用可能である。SBRとしては、スチレン含量によって分類される高スチレンタイプ、中スチレンタイプ、および低スチレンタイプのSBRが、いずれも使用可能である。またSBRとしては、伸展油を加えて柔軟性を調整した油展タイプのものと、加えない非油展タイプのものとがあるが、非油展タイプのSBRが好ましい。
【0024】
(CR)
前記CRとしては、クロロプレンを乳化重合させて合成され、架橋性を有する種々のCRが、いずれも使用可能である。CRは、クロロプレンを乳化重合させる際に用いる分子量調整剤の種類によって、硫黄変性タイプと非硫黄変性タイプとに分類される。またCRとしては、クロロプレンと他の共重合成分との共重合体を用いてもよい。かかる他の共重合成分としては、例えば2,3-ジクロロ-1,3-ブタジエン、1-クロロ-1,3-ブタジエン、スチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、イソプレン、ブタジエン、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、およびメタクリル酸エステル等の1種または2種以上が挙げられる。CRとしては、伸展油を加えて柔軟性を調整した油展タイプのものと、加えない非油展タイプのものとがあるが、非油展タイプのCRが好ましい。
【0025】
(エピクロルヒドリンゴム)
エピクロルヒドリンゴムとしては、繰り返し単位としてエピクロルヒドリンを含む種々の重合体が使用可能である。エピクロルヒドリンゴムとしては、たとえば、エピクロルヒドリン単独重合体、エピクロルヒドリン-エチレンオキサイド二元共重合体(ECO)、エピクロルヒドリン-プロピレンオキサイド二元共重合体、エピクロルヒドリン-アリルグリシジルエーテル二元共重合体、エピクロルヒドリン-エチレンオキサイド-アリルグリシジルエーテル三元共重合体(GECO)、エピクロルヒドリン-プロピレンオキサイド-アリルグリシジルエーテル三元共重合体、エピクロルヒドリン-エチレンオキサイド-プロピレンオキサイド-アリルグリシジルエーテル四元共重合体等の1種または2種以上が挙げられる。
【0026】
前記(A)基材ゴムは、アクリロニトリルブタジエンゴムおよび/またはエチレンプロピレンジエンゴムを含有することが好ましい。この場合、前記(A)基材ゴム中のアクリロニトリルブタジエンゴムおよびエチレンプロピレンジエンゴムの合計含有率は、30.5質量%以上が好ましく、より好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上であり、(A)基材ゴムとしてアクリロニトリルブタジエンゴムおよびエチレンプロピレンジエンゴムのみを含有することも好ましい。
【0027】
前記(A)基材ゴム中のアクリロニトリルブタジエンゴムとエチレンプロピレンジエンゴムとの質量比(NBR/EPDM)は、60/40以上が好ましく、より好ましくは67/33以上、さらに好ましくは70/30以上であり、99.5/0.5以下が好ましく、より好ましくは90/10以下、さらに好ましくは80/20以下である。前記質量比が60/40以上であれば導電性ゴムローラの導電性がより良好となり、99.5/0.5以下であれば導電性ゴムローラの耐オゾン性がより良好となる。
【0028】
(B)アルキレンオキサイド-フェニルグリシジルエーテル共重合体
前記(B)アルキレンオキサイド-フェニルグリシジルエーテル共重合体は、式(1)で表されるランダム共重合体である。前記(B)アルキレンオキサイド-フェニルグリシジルエーテル共重合体は、前記導電性ゴム組成物の成形体の通電耐久性を高める。前記(B)アルキレンオキサイド-フェニルグリシジルエーテル共重合体が有するフェニル基の作用によって、(C)イオン導電剤の分極が抑制され、通電によってゴム成形物の電気抵抗値の上昇が抑制されると考えられる。
【0029】
【化1】
[式(1)中、Aはアルキレン基を表す。m1およびn1は、それぞれ独立して1以上の整数を表す。なお、m1が2以上の整数である場合、複数存在するAは同一でも異なっていてもよい。また、各構造単位の配列順序はランダムである。]
【0030】
式(1)中のAで示されるアルキレン基としては、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基等が挙げられる。
【0031】
前記式(1)で表されるランダム共重合体は、アルキレンオキサイドに由来する構造単位(AO)とフェニルグリシジルエーテルに由来する構造単位(PhGE)との質量比(AO:PhGE)が、70:30以上が好ましく、より好ましくは80:20以上であり、99.5:0.5以下が好ましく、より好ましくは99:1である。
【0032】
前記(B)アルキレンオキサイド-フェニルグリシジルエーテル共重合体は、式(2)で表されるエチレンオキサイド-プロピレンオキサイド-フェニルグリシジルエーテルランダム共重合体が好ましい。
【0033】
【化2】
[式(2)中、l2、m2およびn2は、それぞれ独立して1以上の整数を表す。なお、各構造単位の配列順序はランダムである。]
【0034】
前記式(2)で表されるランダム共重合体は、エチレンオキサイドに由来する構造単位(EO)とフェニルグリシジルエーテルに由来する構造単位(PhGE)との質量比(EO:PhGE)が、70:30以上が好ましく、より好ましくは80:20以上であり、99.5:0.5以下が好ましく、より好ましくは99:1である。また、前記式(2)で表されるランダム共重合体中のプロピレンオキサイドに由来する構造単位(PO)の含有率は30質量%以下が好ましく、より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。
【0035】
前記(B)アルキレンオキサイド-フェニルグリシジルエーテル共重合体の重量平均分子量は、4,000以上が好ましく、より好ましくは10,000以上であり、10,000,000以下が好ましく、より好ましくは1,000,000以下、さらに好ましくは200,000以下である。
【0036】
前記(B)アルキレンオキサイド-フェニルグリシジルエーテル共重合体の分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)は、5以下が好ましく、より好ましくは3以下、さらに好ましくは2以下である。前記分子量分布の下限は1である。
【0037】
前記(B)アルキレンオキサイド-フェニルグリシジルエーテル共重合体の含有量は、前記(A)基材ゴム100質量部に対して、7質量部以上が好ましく、より好ましくは12質量部以上、さらに好ましくは15質量部以上であり、40質量部以下が好ましく、より好ましくは35質量部以下、さらに好ましくは25質量部以下である。前記(B)アルキレンオキサイド-フェニルグリシジルエーテル共重合体の含有量が7質量部以上であれば導電性ゴムローラの通電上昇をより抑制でき、40質量部以下であれば導電性ゴムローラの抵抗値が低くなりすぎることを防止できる。
【0038】
(C)イオン導電剤
前記(C)イオン導電剤は、ゴム組成物にイオン導電性を付与する化合物である。前記(C)イオン導電剤としては、第4級アンモニウム塩、カルボン酸の金属塩、カルボン酸無水物もしくはエステル類等のカルボン酸誘導体、芳香族系化合物の縮合体、有機金属錯体、金属塩、キレート化合物、モノアゾ金属錯体、アセチルアセトン金属錯体、ヒドロキシカルボン酸金属錯体、ポリカルボン酸金属錯体、ポリオール金属錯体等が挙げられる。前記(C)イオン導電剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0039】
前記(C)イオン導電剤は特に限定されないが、有機化合物の金属塩が好ましい。前記(C)イオン導電剤は、イオン導電剤を構成する有機化合物は、フルオロ基(-F)およびスルホニル基(-S(=O)2-)を有するものが好ましく、ビスフルオロアルキルスルホニルイミドの塩、トリス(フルオロアルキルスルホニル)メタンの塩、フルオロアルキルスルホン酸の塩等が好ましい。前記金属塩を構成する金属イオンとしては、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属イオン、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム等の2A族の金属イオン、その他の金属イオンが挙げられる。前記金属イオンとしては、アルカリ金属イオンが好ましく、リチウムイオン、カリウムイオンがより好ましい。
【0040】
前記(C)イオン導電剤としては、LiOSO2CF3、LiOSO237、LiOSO249、LiN(CF3SO22、LiN(C49SO22、LiC(CF3SO23、LiCH(CF3SO22、KOSO2CF3、KOSO237、KOSO249、KN(CF3SO22、KN(C49SO22、KC(CF3SO23、KCH(CF3SO22が特に好ましい。
【0041】
前記(C)イオン導電剤の含有量は、前記(A)基材ゴム100質量部に対して、0.3質量部以上が好ましく、より好ましくは0.5質量部以上、さらに好ましくは0.7質量部以上であり、5.0質量部以下が好ましく、より好ましくは3.0質量部以下、さらに好ましくは2.0質量部以下である。前記(C)イオン導電剤の含有量が、0.3質量部以上であれば導電性ゴムローラの導電性がより良好となり、転写ローラに適した導電性を確保でき、5.0質量部以下であれば導電性ゴムローラの電気抵抗値が低くなりすぎることを防止できる。
【0042】
(D)発泡剤
前記導電性ゴム組成物は、さらに(D)発泡剤を含有してもよい。導電性ゴム組成物が、(D)発泡剤を配合することで、多孔質構造を有する導電性ゴムローラを作製できる。
【0043】
前記(D)発泡剤としては、加熱によって分解してガスを発生する種々の化合物が使用可能である。前記(D)発泡剤としては、4,4’-オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)(OBSH)、アゾジカルボンアミド(ADCA)、N,N-ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DPT)等が挙げられる。
【0044】
前記(D)発泡剤の含有量は、前記(A)基材ゴム100質量部に対して、1.0質量部以上が好ましく、より好ましくは2.0質量部以上、さらに好ましくは2.5質量部以上である。前記(D)発泡剤の含有量が1.0質量部以上であれば多孔質構造を有する導電性ゴムローラを作製できる。前記(D)発泡剤の含有量は、15質量部以下が好ましく、より好ましくは12質量部以下、さらに好ましくは9質量部以下である。前記(D)発泡剤の含有量が多すぎると発泡倍率が低下する傾向がある。
【0045】
発泡助剤
前記導電性ゴム組成物は、発泡助剤を含有してもよい。発泡助剤としては、組み合わせる発泡剤の分解温度を引き下げて、当該発泡剤の分解を促進する働きをする種々の化合物が使用可能である。例えば、前記(D)発泡剤としてOBSHやADCAを用いる場合、発泡助剤としては、尿素(H2NCONH2)系発泡助剤が好ましい。
【0046】
前記発泡助剤の使用量は、前記(A)基材ゴム100質量部に対して2.5質量部以下が好ましい。なお発泡助剤の配合割合の下限は0質量部である。
【0047】
架橋剤
前記導電性ゴム組成物は、(A)基材ゴムを架橋させるための架橋剤を含有する。前記架橋剤としては、例えば、硫黄系架橋剤、チオウレア系架橋剤、トリアジン誘導体系架橋剤、過酸化物架橋剤、各種モノマー等の1種または2種以上が挙げられる。前記架橋剤としては、硫黄系架橋剤が好ましい。
【0048】
前記硫黄系架橋剤としては、硫黄、有機含硫黄化合物等が挙げられる。前記硫黄としては、粉末硫黄、オイル処理粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、分散性硫黄等が挙げられる。前記有機含硫黄化合物としては、テトラメチルチウラムジスルフィド、N,N-ジチオビスモルホリン等が挙げられる。前記架橋剤としては、硫黄が好ましい。
【0049】
前記架橋剤の使用量は、(A)基材ゴム100質量部に対して、0.5質量部以上が好ましく、2.0質量部以下が好ましい。
【0050】
架橋促進剤
前記導電性ゴム組成物は、架橋促進剤を含有してもよい。前記架橋促進剤としては、無機促進剤、有機促進剤のいずれも使用できる。前記無機促進剤としては、消石灰、マグネシア(MgO)、リサージ(PbO)等が挙げられる。前記有機促進剤としては、たとえば、チアゾール系促進剤、チウラム系促進剤、スルフェンアミド系促進剤、ジチオカルバミン酸塩系促進剤等が挙げられる。架橋促進剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。前記硫黄系架橋剤と組み合わせる架橋促進剤としては、チアゾール系促進剤とチウラム系促進剤を併用するのが好ましい。
【0051】
前記チアゾール系促進剤としては、2-メルカプトベンゾチアゾール、ジ-2-ベンゾチアゾリルジスルフィド、2-メルカプトベンゾチアゾールの亜鉛塩、2-メルカプトベンゾチアゾールのシクロヘキシルアミン塩、2-(N,N-ジエチルチオカルバモイルチオ)ベンゾチアゾール、2-(4’-モルホリノジチオ)ベンゾチアゾール等が挙げられ、ジ-2-ベンゾチアゾリルジスルフィドが好ましい。
【0052】
前記チウラム系促進剤としては、テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、テトラキス(2-エチルヘキシル)チウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド等が挙げられ、テトラメチルチウラムモノスルフィドが好ましい。
【0053】
前記チアゾール系促進剤の使用量は、前記(A)基材ゴム100質量部に対して0.5質量部以上、2.0質量部以下が好ましい。前記チウラム系促進剤の使用量は、前記(A)基材ゴム100質量部に対して0.5質量部以上、2.0質量部以下が好ましい。
【0054】
他の成分
前記導電性ゴム組成物は、さらに必要に応じて、各種の添加剤を配合してもよい。添加剤としては、充填剤、劣化防止剤、可塑剤、加工助剤、スコーチ防止剤、滑剤、顔料、帯電防止剤、難燃剤、中和剤、造核剤、共架橋剤等が挙げられる。
【0055】
前記充填剤としては、酸化亜鉛、シリカ、カーボンブラック、クレー、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム等が挙げられる。充填剤を配合することにより、導電性ゴムローラの機械的強度等を向上できる。
【0056】
前記劣化防止剤としては、各種の老化防止剤や酸化防止剤等が挙げられる。老化防止剤としては、ジエチルジチオカルバミン酸ニッケル、ジブチルジチオカルバミン酸ニッケル等が挙げられる。
【0057】
前記可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、トリクレジルホスフェート等の各種可塑剤や、極性ワックス等の各種ワックス等が挙げられる。前記加工助剤としては、ステアリン酸亜鉛等の脂肪酸金属塩等が挙げられる。
【0058】
前記導電性ゴム組成物は、(A)基材ゴム、(B)アルキレンオキサイド-フェニルグリシジルエーテル共重合体、および、(C)イオン導電剤、ならびに必要に応じて他の原料を配合し、ニーダー等で混練することで調製できる。
【0059】
[導電性ゴムローラ]
本発明の導電性ゴムローラは、前記導電性ゴム組成物から形成されていることを特徴とする。本発明の導電性ゴムローラは、前記導電性ゴム組成物から形成されており、電気抵抗値の通電上昇が低いため、画像形成装置の転写ローラに好適に使用できる。図1は、本発明の導電性ゴムローラの一例を示す斜視図である。導電性ゴムローラ1は、前記導電性ゴム組成物の架橋物からなり、円筒状に形成されている。前記導電性ゴムローラ1の中心の通孔には金属製シャフト2が挿通されて固定されている。
【0060】
導電性ゴムローラ1は、中実構造でもよいし、多孔質構造でもよい。また、導電性ゴムローラ1は、外周面や内周面に、ローラの抵抗調整層、表面保護層等を配置してもよい。
【0061】
金属製シャフト2は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼等の金属によって形成される。前記金属製シャフト2は、例えば、導電性を有する接着剤を介して、導電性ゴムローラ1と電気的に接合されるとともに機械的に固定されるか、または通孔の内径よりも外径の大きいものを通孔に圧入することで、導電性ゴムローラ1と電気的に接合されるとともに機械的に固定される。あるいは、この両方を併用して、金属製シャフト2を導電性ゴムローラ1に電気的に接合し、機械的に固定してもよい。
【0062】
前記導電性ゴムローラ1を製造するには、まず、調製した導電性ゴム組成物を、押出機を用いて筒状に押出成形し、次いで、所定の長さにカットして加硫缶内で加圧、加熱してゴムを架橋させる。また、発泡剤を配合している場合には、架橋するとともに、発泡させる。次いで、架橋(および発泡)させた筒状体を、オーブン等を用いて加熱して二次架橋させ、冷却したのち、所定の外径となるように、導電性ゴムローラの外周面を研磨する。研磨方法としては、乾式トラバース研磨等の種々の研磨方法が採用可能である。
【0063】
前記金属製シャフト2は、筒状体のカット後から研磨後までの任意の時点で、通孔に挿通して固定できる。ただし、カット後、まず通孔に金属製シャフト2を挿通した状態で二次架橋、および研磨をするのが好ましい。これにより、二次架橋時の膨張収縮による導電性ゴムローラ1の反りや変形を抑制できる。また、金属製シャフト2を中心として回転させながら研磨することで、当該研磨の作業性を向上し、なおかつ外周面のフレを抑制できる。
【0064】
前記金属製シャフト2は、通孔の内径よりも外径の大きいものを通孔に圧入するか、あるいは導電性を有する熱硬化性接着剤を介して、二次架橋前の筒状体の通孔に挿通すればよい。前者の場合は、金属製シャフト2の圧入と同時に導電性ゴムローラ1との電気的な接合と機械的な固定が完了する。 また後者の場合は、オーブン中での加熱によって筒状体が二次架橋されるのと同時に熱硬化性接着剤が硬化して、金属製シャフト2が導電性ゴムローラ1に電気的に接合されるとともに、機械的に固定される。また、前述したようにこの両方を併用して、金属製シャフト2を導電性ゴムローラ1に電気的に接合し、機械的に固定してもよい。
【0065】
[画像形成装置]
本発明の画像形成装置は、前記導電性ゴムローラを備えたことを特徴とする。前記導電性ゴムローラは、前記導電性ゴム組成物から形成されており、電気抵抗値の通電上昇が低い。そのため、前記導電性ゴムローラを画像形成装置の転写ローラとして使用することで、転写ローラの電気抵抗値の上昇が抑制され、長期にわたって安定して良好な画像を形成できる。
【0066】
図2を参照して、カラー用画像形成装置の一例を説明する。図2は、本発明のカラー用画像形成装置の一例の模式的概略図である。図2に示したカラー用画像形成装置10は、転写ロール1a,1b、帯電ロール11、感光体12、中間転写ベルト13、定着ロール14、4色のトナー15(15a、15b、15c、15d)、鏡16を備えている。そして、前記転写ロール1aおよび1bとして、本発明の導電性ゴムローラが使用されている。
【0067】
このカラー用画像形成装置10によって画像が形成される場合、まず、感光体12が図中の矢印の方向に回転し、帯電ローラ11によって感光体12が帯電された後に、鏡16を介してレーザー17が感光体12の非画像部を露光して除電され、画線部に相当する部分が帯電した状態になる。次に、トナー15aが感光体12上に供給されて、帯電画線部にトナー15aが付着し1色目の画像が形成される。このトナー画像は一次転写ローラ1aに電界がかけられることにより中間転写ベルト13上へ転写される。同様にして、感光体12上に形成されたトナー15b~15dの各色の画像が中間転写ベルト13上に転写され、中間転写ベルト13上に4色のトナー15(15a~15d)からなるフルカラー画像が一旦形成される。このフルカラー画像は二次転写ローラ1bに電界がかけられることにより被転写体(通常は紙)18上へ転写され、所定の温度に加熱されている定着ローラ14を通過することで被転写体18の表面へ定着される。
【実施例
【0068】
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明は、下記実施例によって限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲の変更、実施の態様は、いずれも本発明の範囲内に含まれる。
【0069】
[評価方法]
(1)電気抵抗値
図3に示すように、金属製シャフト2が挿通された導電性ゴムローラ1を軸支し、これを金属製円筒3の上方に、導電性ゴムローラ1と金属製円筒3とが当接するように配置した。前記金属製シャフト2と金属製円筒3との間に、直流電源4および抵抗5を直列に接続して、電気抵抗値の計測回路を作製した。なお、直流電源4は-側を金属製シャフト2、+側を抵抗5に接続した。
前記金属製シャフト2の両端部にそれぞれ500gfの荷重Fをかけて導電性ゴムローラ1を金属製円筒3に押圧し、金属製シャフト2と金属製円筒3との間に電圧E(1000V)を印加した。電圧をかけたまま、金属製円筒3を回転させることで間接的に導電性ゴムローラ1を回転させて、抵抗5(内部抵抗r:1kΩ)にかかる電圧Vを計測した。測定条件は温度23±1℃、相対湿度55±1%とした。測定は32回行い、平均値を算出した。
導電性ゴムローラ1の電気抵抗値Rを、次式(1)より求めた。
0=r×E/V (1)
[R0:導電性ゴムローラ1の電気抵抗値、r:抵抗5の内部抵抗値、E:印加電圧、V:検出電圧]
【0070】
(2)通電上昇率
導電性ゴムローラに対して、温度23±1℃、相対湿度55±1%の環境下で、2000Vの電圧を連続的に1時間印加した。電圧印加後の導電性ゴムローラについて電気抵抗値を測定した。電圧印加前の導電性ゴムローラの電気抵抗値(R0)と電圧印加後の導電性ゴムローラの電気抵抗値(R1)との比(R1/R0)を求め、これを抵抗上昇率(通電上昇率)とした。
【0071】
(3)硬度
温度23℃、相対湿度55%の環境中で、金属製シャフトの両端部にそれぞれ1kgfの荷重をかけ、デュロメータを用いて導電性ゴムローラのゴム表面の硬度を測定した。デュロメータは、導電性ゴムローラNo.1~7はJIS-A型、導電性ゴムローラNo.8~10はAsker-C型を用いた。
【0072】
[導電性ゴムローラの製造]
表1、2に示した配合となるように、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、エチレンオキサイド-プロピレンオキサイド-フェニルグリシジルエーテル共重合体(EO-PO-PhGE)共重合体、イオン導電剤、その他各種配合剤を配合し、ニーダーを用いて、20℃で10分間混練して導電性ゴム組成物を調製した。
【0073】
得られた導電性ゴム組成物を単軸押出機に供給して50℃でチューブ状に押し出して予備成形した後、生ゴムチューブを所定寸法に裁断して予備成形体を得た。この予備成形体を加圧水蒸気式加硫缶に投入し、160℃で、15分間~70分間架橋して架橋ゴムチューブを得た。
【0074】
この架橋ゴムチューブに金属製のシャフトを挿入し、オーブン中で160℃に加熱した後、ゴム表面を研磨し、外径等の寸法を調整して導電性ゴムローラを作製した。得られた導電性ゴムローラについて、電気抵抗値、通電上昇率を測定し、結果を表1、2に示した。
【0075】
【表1】
【0076】
【表2】
【0077】
表1、2で使用した原料は下記のとおりである。
NBR:日本ゼオン社製、Nipol(登録商標)DN401LL(アクリロニトリルブタジエンゴム(アクリロニトリル含有量:18.0質量%))
EPDM:住友化学社製、エスプレン(登録商標)505A(エチレンプロピレンジエンゴム(ジエン成分:5-エチリデン-2-ノルボルネン、エチレン成分:50質量%、ジエン成分:9.5質量%))
EO-PO-PhGF共重合体:エチレンオキサイド-プロピレンオキサイド-フェニルグリシジルエーテルランダム共重合体(EOとPhGEとの質量比(EO:PhGE);80:20~99:1、POの含有率;10質量%以下、10,000~200,000、分子量分布:2以下)
EO-PO-AGE共重合体:日本ゼオン社製、ZSN8030(エチレンオキサイド-プロピレンオキサイド-アリルグリシジルエーテル共重合体)
EO-PO共重合体:明成化学工業社製、アルコックスEP1010N(エチレンオキサイド-プロピレンオキサイドランダム共重合体(重量平均分子量:10万))
イオン導電剤:リチウムビストリフルオロメタンスルホニルイミド
無機充填剤:白石カルシウム社製、軽質炭酸カルシウム
架橋剤:鶴見化学工業社製、硫黄
架橋促進剤No.1:大内新興化学社製、ノクセラー(登録商標)DM-P(ジ-2-ベンゾチアゾリルジスルフィド)
架橋促進剤No.2:大内新興化学社製、ノクセラーTS(テトラメチルチウラムモノスルフィド)
発泡剤:永和化成工業社製、ビニホール(登録商標)AC#3(アゾジカルボンアミド)
発泡助剤:永和化成工業社製、セルペースト(登録商標)101(尿素)
【0078】
導電性ゴムローラNo.1~5および8は、(A)基材ゴム、(B)アルキレンオキサイド-フェニルグリシジルエーテル共重合体、および、(C)イオン導電剤を含有する導電性ゴム組成物から形成されている。これらの導電性ゴムローラNo.1~5および8は、いずれも電気抵抗値が低く、かつ、通電上昇率が低かった。
【0079】
導電性ゴムローラNo.6および9は、EO-PO-AGE共重合体を含有する導電性ゴム組成物から形成されている。これらの導電性ゴムローラNo.6および9は、電気抵抗値は低いが、通電上昇率が高かった。
導電性ゴムローラNo.7および10は、EO-PO共重合体を含有する導電性ゴム組成物から形成されている。これらの導電性ゴムローラNo.7および10は、電気抵抗値が高かった。
【符号の説明】
【0080】
1:導電性ゴムローラ、2:金属製シャフト、3:金属製円筒、4:直流電源、5:抵抗、F:荷重
図1
図2
図3