IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本電気株式会社の特許一覧

特許7404874監視システム、監視方法、及び、監視プログラム
<>
  • 特許-監視システム、監視方法、及び、監視プログラム 図1
  • 特許-監視システム、監視方法、及び、監視プログラム 図2
  • 特許-監視システム、監視方法、及び、監視プログラム 図3
  • 特許-監視システム、監視方法、及び、監視プログラム 図4
  • 特許-監視システム、監視方法、及び、監視プログラム 図5
  • 特許-監視システム、監視方法、及び、監視プログラム 図6
  • 特許-監視システム、監視方法、及び、監視プログラム 図7
  • 特許-監視システム、監視方法、及び、監視プログラム 図8
  • 特許-監視システム、監視方法、及び、監視プログラム 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】監視システム、監視方法、及び、監視プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 7/18 20060101AFI20231219BHJP
   H04N 5/77 20060101ALI20231219BHJP
   G08B 25/00 20060101ALI20231219BHJP
   G08B 13/196 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
H04N7/18 D
H04N7/18 K
H04N5/77
G08B25/00 510M
G08B13/196
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020000292
(22)【出願日】2020-01-06
(65)【公開番号】P2021111797
(43)【公開日】2021-08-02
【審査請求日】2022-12-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】徳永 昌也
【審査官】秦野 孝一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-071788(JP,A)
【文献】特開2010-124023(JP,A)
【文献】特開2003-317168(JP,A)
【文献】特開2011-253547(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 7/18
H04N 5/77
G08B 23/00-31/00
G08B 13/00-15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体が第1感知領域内に侵入したことを感知可能に構成されたセンサと、
前記第1感知領域を撮影可能に構成された撮像部と、
前記センサによって前記第1感知領域内に前記物体が侵入したことが感知された場合、前記撮像部によって前記第1感知領域を撮影させる制御部と、
前記撮像部による撮影結果から前記第1感知領域内に侵入した前記物体が人であるか否かを解析する画像解析部と、
を備え
前記センサは、さらに、前記物体が第2感知領域内に侵入したことを感知可能に構成され、
前記撮像部は、さらに、前記第2感知領域を撮影可能に構成され、
前記制御部は、前記センサによって前記第1及び前記第2感知領域の何れかに前記物体が侵入したことが感知された場合、前記撮像部によって前記第1及び前記第2感知領域のうち前記物体が侵入した感知領域を撮影させるように構成され、
前記画像解析部は、前記撮像部による撮影結果から前記第1及び前記第2感知領域の何れかに侵入した前記物体が人であるか否かを解析するように構成され、
前記制御部は、前記画像解析部によって人と解析された前記物体が前記第1及び前記第2感知領域外に移動した場合、前記物体が移動した後の前記第1及び前記第2感知領域の何れかを前記撮像部によって撮影させたうえで、その撮影画像を、前記画像解析部によって人と解析された前記物体を含む撮影画像が格納される記憶部とは異なる記憶部に記憶させる、
監視システム。
【請求項2】
前記撮像部は、
前記第1感知領域を撮影可能に構成された第1カメラと、
前記第2感知領域を撮影可能に構成された第2カメラと、
を有し、
前記制御部は、前記センサによって前記第1及び前記第2感知領域の何れかに前記物体が侵入したことが感知された場合、前記第1及び前記第2カメラの何れかを起動することによって前記第1及び前記第2感知領域のうち前記物体が侵入した感知領域を撮影させる、
請求項に記載の監視システム。
【請求項3】
前記撮像部は、
撮影方向を調整可能に構成されたカメラを有し、
前記制御部は、前記センサによって前記第1及び前記第2感知領域の何れかに前記物体が侵入したことが感知された場合、前記カメラの撮影方向を調整することにより、当該カメラによって前記第1及び前記第2感知領域のうち前記物体が侵入した感知領域を撮影させる、
請求項に記載の監視システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記画像解析部によって前記第1及び前記第2感知領域内の何れかに侵入した前記物体が人ではないと解析された場合、前記撮像部による撮影を停止させる、
請求項1~3の何れか一項に記載の監視システム。
【請求項5】
前記画像解析部によって人と解析された前記物体を含む撮影画像が格納される記憶部をさらに備えた、
請求項1~4の何れか一項に記載の監視システム。
【請求項6】
センサによって第1感知領域内に物体が侵入したことが感知された場合、撮像部によって前記第1感知領域を撮影するステップと、
前記センサによって第2感知領域内に物体が侵入したことが感知された場合、前記撮像部によって前記第2感知領域を撮影するステップと、
画像解析部によって、前記撮像部による撮影結果から前記第1感知領域及び前記第2感知領域の何れかに侵入した前記物体が人であるか否かを解析するステップと、
前記画像解析部によって人と解析された前記物体が前記第1及び前記第2感知領域外に移動した場合、前記物体が移動した後の前記第1及び前記第2感知領域の何れかを前記撮像部によって撮影させたうえで、その撮影画像を、前記画像解析部によって人と解析された前記物体を含む撮影画像が格納される記憶部とは異なる記憶部に記憶させるステップと、
を備えた、監視方法。
【請求項7】
センサによって第1感知領域内に物体が侵入したことが感知された場合、撮像部によって前記第1感知領域を撮影する処理と、
前記センサによって第2感知領域内に物体が侵入したことが感知された場合、前記撮像部によって前記第2感知領域を撮影する処理と、
画像解析部によって、前記撮像部による撮影結果から前記第1感知領域及び前記第2感知領域の何れかに侵入した前記物体が人であるか否かを解析する処理と、
前記画像解析部によって人と解析された前記物体が前記第1及び前記第2感知領域外に移動した場合、前記物体が移動した後の前記第1及び前記第2感知領域の何れかを前記撮像部によって撮影させたうえで、その撮影画像を、前記画像解析部によって人と解析された前記物体を含む撮影画像が格納される記憶部とは異なる記憶部に記憶させる処理と、
をコンピュータに実行させる監視プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視システム、監視方法、及び、監視プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
防犯用途で人の存在を特定して監視する監視システムの開発が進められている。例えば、特許文献1には、複数台の人感センサによって異常が認識された場合にのみ、カメラ等を用いて異常場面を記録することが記載されている。しかしながら、特許文献1の構成では、人感センサの感知範囲内に侵入した物体が人であるか否かの判定を行うことができない、という課題があった。
【0003】
このような課題に対する解決策は、例えば特許文献2及び特許文献3に開示されている。特許文献2及び特許文献3には、カメラ等によって撮影された画像を画像解析することによって人を検知することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-5893号公報
【文献】特許第5230793号公報
【文献】特許第5583531号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、関連技術の構成では、移動する物体の撮影画像を解析し続ける必要があるため、解析データを記憶するための記憶容量が増大したり、画像解析に用いられるCPUが高スペック化したりして、コストが増大してしまう、という課題があった。
【0006】
本開示の目的は、上述した課題を解決する監視システム、監視方法、及び、監視プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施の形態によれば、監視システムは、物体が第1感知領域内に侵入したことを感知可能に構成されたセンサと、前記第1感知領域を撮影可能に構成された撮像部と、前記センサによって前記第1感知領域内に前記物体が侵入したことが感知された場合、前記撮像部によって前記第1感知領域を撮影させる制御部と、前記撮像部による撮影結果から前記第1感知領域内に侵入した前記物体が人であるか否かを解析する画像解析部と、を備える。
【0008】
一実施の形態によれば、監視方法は、センサによって第1感知領域内に物体が侵入したことが感知された場合、撮像部によって前記第1感知領域を撮影するステップと、前記画像解析部によって、前記撮像部による撮影結果から前記第1感知領域内に侵入した前記物体が人であるか否かを解析するステップと、を備える。
【0009】
一実施の形態によれば、監視プログラムは、センサによって第1感知領域内に物体が侵入したことが感知された場合、撮像部によって前記第1感知領域を撮影する処理と、前記画像解析部によって、前記撮像部による撮影結果から前記第1感知領域内に侵入した前記物体が人であるか否かを解析する処理と、をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0010】
前記一実施の形態によれば、低コストで精度良く人を検出することが可能な監視システム、監視方法、及び、監視プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施の形態1に係る監視システムの構成例を示すブロック図である。
図2図1に示す監視システムに設けられたセンサの感知範囲を示す概念図である。
図3図1に示す監視システムに設けられた撮像部の撮影範囲を示す概念図である。
図4図1に示す監視システムの通常動作前の前処理の一例を示すフローチャートである。
図5図1に示す監視システムの動作の一例を示すフローチャートである。
図6図1に示す監視システムの動作の他の例を示すフローチャートである。
図7】実施の形態2に係る監視システムの構成例を示すブロック図である。
図8図7に示す監視システムの動作の一例を示すフローチャートである。
図9図7に示す監視システムの動作の他の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について説明する。なお、図面は簡略的なものであるから、この図面の記載を根拠として実施の形態の技術的範囲を狭く解釈してはならない。また、同一の要素には、同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0013】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明する。ただし、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、応用例、詳細説明、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。
【0014】
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(動作ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数等(個数、数値、量、範囲等を含む)についても同様である。
【0015】
<実施の形態1>
図1は、実施の形態1に係る監視システム1の構成例を示すブロック図である。
本実施の形態に係る監視システム1は、例えば、コンビニエンスストアやスーパーマーケット等において、防犯用途で人を特定して監視するシステムである。
【0016】
ここで、本実施の形態に係る監視システム1は、センサによって所定の感知領域内に物体が侵入したことが感知された場合に、撮像部を用いて当該所定の感知領域を撮影し、その撮影画像に基づいて当該所定の感知領域内に侵入した物体が人か否かを画像解析する。ここで、本実施の形態に係る監視システム1は、画像解析によって、所定の感知領域内に侵入した物体が人であるか否かを精度良く検出することができる。また、本実施の形態に係る監視システム1は、例えば所定の感知領域内に物体が侵入していない場合には、撮像部による撮影を停止させているため、解析データのサイズを抑制することができる。これは、解析データを記憶するための記憶容量の増大の抑制、及び、画像解析に用いられるCPUの高スペック化の抑制につながる。つまり、本実施の形態に係る監視システム1は、低コストで精度良く人を検出することができる。以下、具体的に説明する。
【0017】
図1に示すように、監視システム1は、センサ11と、撮像部12と、画像解析部13と、制御部14と、を少なくとも備える。
【0018】
センサ11は、物体TGが所定の感知領域内に侵入したか否かを感知する。
図2は、センサ11の感知領域を示す概念図である。図2の例では、センサ11が、4つの感知領域A1~A4を感知可能に構成されている。以下、各感知領域の外周辺を感知軸とも称す。センサ11は、例えば、物体TGが感知領域の外側から内側に向かって感知軸を横切った場合に、物体TGが感知領域内に侵入したことを感知する。その後、センサ11は、物体TGが感知領域内に侵入している期間中、物体TGが感知領域内に侵入していることを感知し続ける。
【0019】
ここで、センサ11は、複数の感知領域のうち何れの感知領域に物体TGが侵入したのかを感知可能に構成されている。図2の例では、センサ11が、4つ感知領域A1~A4のうち何れの感知領域に物体TGが侵入したのかを感知可能に構成されている。物体TGが感知領域に侵入したことを示す情報(物体TGがどの感知領域に侵入したのかを示す情報を含む)は、センサ11から制御部14に送信される。
【0020】
センサ11は、感知領域内に侵入していた物体TGが感知領域から退出した場合(具体的には、物体TGが感知領域の内側から外側に向かって感知軸を横切った場合)、物体TGの感知を停止させる。物体TGが感知領域から退出したことを示す情報は、センサ11から制御部14に送信される。
【0021】
撮像部12は、センサ11の感知領域を撮影可能に構成されている。撮像部12は、例えば、センサ11によって感知される複数の感知領域のそれぞれを撮影可能な複数のカメラを有する。或いは、撮像部12は、例えば、撮影方向を変更可能な一つ又は複数のカメラを有していても良い。
【0022】
図3は、撮像部12の撮影領域を示す概念図である。図3の例では、撮像部12が、センサ11によって感知される4つの感知領域A1~A4のそれぞれを撮影可能な4つのカメラ12_1~12_4を有している。なお、撮像部12の撮影領域は、例えば監視システム1の通常動作前の前処理によって、センサ11の感知領域と一致するように調整される。
【0023】
撮像部12は、制御部14からの指示に基づいて、センサ11によって物体TGの侵入が感知された感知領域の撮影を開始したり、センサ11によって物体TGの退出が感知された感知領域の撮影を停止したりする。撮像部12による撮影画像は、撮像部12内の記憶領域に録画されたり、図示しない記憶部に記憶されたりする。
【0024】
画像解析部13は、撮像部12による撮影画像から物体TGが人であるか否かを解析する。なお、画像解析部13は、物体TGが人であるか否かだけでなく、物体TGが人である場合の人数及びその正確な位置を解析可能に構成されても良い。画像解析部13による解析結果は、制御部14に送信される。
【0025】
制御部14は、監視システム1の各構成要素の動作を制御する。
具体的には、制御部14は、撮像部12に、センサ11によって物体TGの侵入が感知された感知領域の撮影を開始させたり、センサ11によって物体TGの退出が感知された感知領域の撮影を停止させたりする。また、制御部14は、感知領域内に進入した物体TGが人であると画像解析部13によって解析された場合、画像解析部13に対して、当該人の数及びその正確な位置を解析させたりもする。さらに、制御部14は、感知領域内に侵入した物体TGが人ではないと画像解析部13によって解析された場合、撮像部12に感知領域の撮影を停止させたりもする。
【0026】
なお、制御部14は、監視システム1の通常動作前の前処理として、センサ11の感知領域と、撮像部12の撮影領域と、を一致させる処理も行う。例えば、制御部14は、前処理として、センサ11の感知範囲のマップ情報と、撮像部12の撮影領域のマップ情報と、をそれぞれ作成又は取得するとともに、2つのマップ情報間の紐付けを行う。それにより、制御部14は、センサ11の感知領域と、撮像部12の撮影領域と、を一致させることができる。
【0027】
図2及び図3を参照すると、例えば、センサ11によって物体TGが感知領域A1に侵入したことが感知された場合、制御部14は、撮像部12に対して感知領域A1を撮影するように指示する。それにより、撮像部12は、カメラ12_1を用いて感知領域A1の撮影を開始する。
【0028】
(フローチャートの一例)
図4及び図5は、監視システム1の動作の一例を示すフローチャートである。なお、図4には、監視システム1による通常動作前の前処理の一例が示されており、図5には、監視システム1による前処理後の通常動作の一例が示されている。
【0029】
まず、監視システム1は、通常動作前の前処理を行う。具体的には、制御部14は、センサ11の感知範囲のマップ情報と、撮像部12の撮影領域のマップ情報と、をそれぞれ作成又は取得するとともに、2つのマップ情報間の紐付けを行う(図4のステップS101→S102→S103)。それにより、制御部14は、センサ11の感知領域と、撮像部12の撮影領域と、を一致させる。
【0030】
なお、本例では、図2及び図3の場合と同様に、センサ11が感知領域A1~A4を感知可能に構成され、かつ、撮像部12を構成するカメラ12_1~12_4がそれぞれ感知領域A1~A4を撮影可能に構成されているものとする。
【0031】
その後、監視システム1は、通常動作に移行する。
具体的には、まず、センサ11は、感知領域A1~A4の何れかに物体TGが侵入したことを感知すると、当該物体TGが侵入した感知領域の情報を制御部14に送信する(図5のステップS201)。
【0032】
制御部14は、撮像部12に対して、センサ11によって物体TGの侵入が感知された感知領域を撮影するように指示する(ステップS202)。撮像部12は、制御部14からの指示に基づいて、指定された感知領域の撮影を行う(ステップS203)。
【0033】
例えば、センサ11によって物体TGが感知領域A1に侵入したことが感知された場合、制御部14は、撮像部12に対して感知領域A1を撮影するように指示する。それにより、撮像部12は、カメラ12_1を用いて感知領域A1の撮影を行う。
【0034】
画像解析部13は、撮像部12による撮影画像から物体TGが人であるか否かを解析する(ステップS204)。
【0035】
例えば、感知領域に侵入した物体TGが人ではないと画像解析部13によって解析された場合(ステップS204のNO)、制御部14は、撮像部12に対して感知領域の撮影の停止を指示する(ステップS205)。それにより、撮像部12は、感知領域の撮影を停止する(ステップS206)。
【0036】
それに対し、感知領域に侵入した物体TGが人であると画像解析部13によって解析された場合(ステップS204のYES)、画像解析部13は、さらに、当該人の数、及び、その正確な位置を解析する(ステップS207)。その後、制御部14は、画像解析部13による画像解析を停止させ、画像解析部13による画像解析からセンサ11による人物検知に切り替える(ステップS208)。つまり、制御部14は、人であることが特定された物体TGをセンサ11によって感知させ続ける。
【0037】
その後、センサ11によって物体TG(人)が感知領域から退出したことが感知されると(ステップS209)、制御部14は、撮像部12に対して感知領域の撮影の停止を指示する(ステップS210)。それにより、撮像部12は、これまでの撮影画像を記録したうえで、感知領域の撮影を停止する(ステップ211)。
【0038】
このように、監視システム1は、センサ11によって所定の感知領域内に物体が侵入したことが感知された場合に、撮像部12を用いて当該所定の感知領域を撮影し、その撮影画像に基づいて当該所定の感知領域内に侵入した物体が人か否かを画像解析する。ここで、監視システム1は、画像解析部13を用いることで、所定の感知領域内に侵入した物体が人であるか否かを精度良く検出することができる。また、監視システム1は、所定の感知領域内に物体が侵入していない場合、さらには所定の感知領域内に侵入した物体が人ではない場合、撮像部12による撮影を停止させるため、解析データのサイズを抑制することができる。これは、解析データを記憶するための記憶容量の増大の抑制、及び、画像解析に用いられるCPUの高スペック化の抑制につながる。つまり、監視システム1は、低コストで精度良く人を検出することができる。
【0039】
なお、監視システム1の動作は、図5に示すフローチャートの一例に限られない。以下、監視システム1の動作の他の例について説明する。
【0040】
(フローチャートの変形例)
図6は、監視システム1の動作の他の例を示すフローチャートである。
なお、監視システム1による通常動作前の前処理については、図4に示したとおりであるため、その説明を省略する。また、監視システム1による通常動作のうち、ステップS301~S307の処理については、図5のステップS201~S207の処理と同様であるため、その説明を省略する。
【0041】
ステップS304の処理において、感知領域に侵入した物体TGが人であると画像解析部13によって解析された場合(ステップS304のYES)、画像解析部13は、さらに、当該人の数、及び、その正確な位置を解析する(ステップS307)。その後、制御部14は、撮像部12による撮影を継続させるだけでなく、画像解析部13による画像解析を継続させる(ステップS308)。ここで、監視システム1は、センサ11の代わりに(或いはセンサ11とともに)、画像解析部13の画像解析によって、人である物体TGが感知領域内に存在しているか否かを判断する。そして、画像解析部13によって物体TG(人)が感知領域から退出したことが検出されると(ステップS309)、制御部14は、撮像部12に対して感知領域の撮影の停止を指示する(ステップS310)。それにより、撮像部12は、これまでの撮影画像を記録したうえで、感知領域の撮影を停止する(ステップ311)。
【0042】
このように、監視システム1は、図5に示すフローチャートの一例に限られず、例えば図6に示すフローチャートの他の例に従って処理を進めてもよい。
【0043】
<実施の形態2>
ところで、コンビニエンスストアやスーパーマーケット等では、防犯用途で人を特定して監視するだけでなく、マーケティング用途で商品の在庫などを特定して管理することも求められている。ここで、マーケティング用途で商品の在庫などを特定して管理する場合には、個人情報保護の観点から、人を写さずに商品棚に陳列されている商品を撮影し、その撮影画像に基づいて商品の在庫などを解析する必要がある。
【0044】
しかしながら、監視システム1による撮影画像は、人が写り込んでいるため、マーケティング用途で商品の在庫などを特定して管理するのには不向きである。そこで、発明者は、防犯用途で人を特定して監視するだけでなく、マーケティング用途で商品の在庫などを特定して管理することが可能な監視システム2を見いだした。
【0045】
図7は、実施の形態2に係る監視システム2の構成例を示すブロック図である。
監視システム2は、監視システム1と比較して、防犯用ストレージ21と、在庫用ストレージ22と、在庫管理用ストレージ23と、をさらに備える。なお、監視システム2では、画像解析部13が、撮像部12による撮影画像を解析することにより、感知領域内に侵入した物体TGが人であるか否かを判定するだけでなく、撮影画像に写っている所定の商品の物理的な在庫を特定可能に構成されている。
【0046】
防犯用ストレージ21には、画像解析部13の画像解析によって人であると判定された物体TGが撮影された撮影画像(即ち、実施の形態1に係る監視システム1による撮影画像に相当する撮影画像)が格納される。
【0047】
在庫用ストレージ22には、画像解析部13の画像解析によって人であると判定された物体TGが退出した後の(即ち、人が写り込んでいない)感知領域の撮影画像が格納される。ここで、感知領域は、例えばコンビニエンスストアの店内における所定の商品が陳列された商品棚を含む領域である。なお、在庫用ストレージ22には、物体TGが侵入する前の(即ち、人が写り込んでいない)感知領域の撮影画像がさらに格納されてもよい。
【0048】
在庫管理用ストレージ23には、画像解析部13による画像解析によって特定された所定の商品の物理的な在庫情報(数値データ)が格納される。なお、在庫管理用ストレージ23には、画像解析部13による画像解析によって特定された複数種類の商品のそれぞれの物理的な在庫情報(数値データ)が格納されてもよい。
【0049】
監視システム2のその他の構成については、監視システム1の場合と同様であるため、その説明を省略する。
【0050】
(フローチャートの一例)
図8は、監視システム2の動作の一例を示すフローチャートである。なお、監視システム2による通常動作前の前処理については、図4に示した処理と同様であるため、その説明を省略する。また、監視システム2による通常動作のうち、ステップS401~S409の処理については、図5のステップS201~S209の処理と同様であるため、その説明を省略する。
【0051】
なお、本例では、監視システム2が、コンビニエンスストアの店内において、防犯用途で人を特定して監視するだけでなく、マーケティング用途で所定の商品の在庫などを特定して管理するものとする。
【0052】
ステップS409の処理において、センサ11によって物体TG(人)が感知領域から退出したことが感知されると、制御部14は、撮像部12に対して物体TG(人)が退出した後の感知領域の撮影を指示する(ステップS410)。それにより、撮像部12は、これまでの撮影画像を防犯用ストレージ21に送信するとともに(ステップS411)、人が退出した後の感知領域を撮影して在庫用ストレージ22に送信した後、感知領域の撮影を停止する(ステップS413)。
【0053】
防犯用ストレージ21及び在庫用ストレージ22には、撮像部12によって撮影された人の写っている撮影画像、及び、人が退出した後の商品が写っている撮影画像がそれぞれ格納される(ステップS412、S416)。
【0054】
また、画像解析部13は、人が退出した後の感知領域を撮影した画像を解析することで、撮影画像に写っている所定の商品の物理的な在庫を特定する(ステップS414)。所定の商品の物理的な在庫の情報は、在庫管理用ストレージ23に格納される(ステップS415)。
【0055】
なお、画像解析部13は、人が退出した後の感知領域を撮影した画像を解析するだけでなく、人が侵入する前の感知領域を撮影した画像をさらに解析することで、撮影画像に写っている所定の商品の物理的な在庫の増減を特定しても良い。
【0056】
このように、監視システム2は、まず、監視システム1と同等程度の効果を奏することができる。即ち、監視システム2は、低コストで精度良く人を検出することができる。さらに、監視システム2は、防犯用途で人を特定して監視するだけなく、人が写っていない撮影画像を解析することによって、個人情報を保護しつつ、マーケティング用途で商品の在庫などを特定して管理することができる。ここで、撮像部12は、防犯用途のカメラと、マーケティング用途のカメラと、を別々に備える必要がないため、低コスト化を実現することができる。
【0057】
例えば、監視システム2は、商品棚に陳列された所定の商品の在庫が設定数よりも少ないことを検出した場合、店員に対して当該所定の商品の補充が必要である旨の情報を出力するようにしても良い。
【0058】
また、例えば、監視システム2によって特定された商品の物理的な在庫の情報と、コンビニエンスストアのストアコンピュータ等から算出された商品の論理的な在庫の情報と、を比較することにより、商品の盗難(万引き)の可能性を検知することが可能である。
【0059】
なお、監視システム2の動作は、図8に示すフローチャートの一例に限られない。以下、監視システム2の動作の他の例について説明する。
【0060】
(フローチャートの変形例)
図9は、監視システム2の動作の他の例を示すフローチャートである。
なお、監視システム2による通常動作前の前処理については、図4に示したとおりであるため、その説明を省略する。また、監視システム2による通常動作のうち、ステップS501~S508の処理については、ステップS301~S308の処理と同様であるため、その説明を省略する。
【0061】
ステップS504の処理において、感知領域に侵入した物体TGが人であると画像解析部13によって解析された場合(ステップS504のYES)、画像解析部13は、さらに、当該人の数、及び、その正確な位置を解析する(ステップS507)。その後、制御部14は、撮像部12による撮影を継続させるだけでなく、画像解析部13による画像解析を継続させる(ステップS508)。ここで、監視システム2は、センサ11の代わりに(或いはセンサ11とともに)、画像解析部13の画像解析によって、人である物体TGが感知領域内に存在しているか否かを判断する。
【0062】
画像解析部13によって物体TG(人)が感知領域から退出したことが検出されると(ステップS509)、制御部14は、撮像部12に対して物体TG(人)が退出した後の感知領域の撮影を指示する(ステップS510)。それにより、撮像部12は、これまでの撮影画像を防犯用ストレージ21に送信するとともに(ステップS511)、人が退出した後の感知領域を撮影して在庫用ストレージ22に送信した後、感知領域の撮影を停止する(ステップS513)。ステップS511~S516の処理については、ステップS411~S416の処理と同様であるため、その説明を省略する。
【0063】
このように、監視システム2は、図8に示すフローチャートの一例に限られず、例えば図9に示すフローチャートの他の例に従って処理を進めてもよい。
【0064】
以上、図面を参照して、本開示の実施の形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等が可能である。
【0065】
本実施の形態では、センサ11が4つの感知領域A1~A4を感知可能に構成され、かつ、撮像部12が4つの感知領域A1~A4のそれぞれを撮影可能な4つのカメラ12_1~12_4を有する場合を例に説明したが、これに限られない。センサ11は、任意の数の感知領域を感知可能な構成に適宜変更可能である。また、それに伴って、撮像部12は、任意の数の感知領域のそれぞれを撮影可能な任意の数のカメラを備えても良い。
【0066】
また、本実施の形態では、物体TGの数が1つである場合を例に説明したが、これに限られない。物体TGの数は2つ以上であっても良い。即ち、センサ11は、ある物体TGが感知領域内に侵入したことを感知するととともに、別の物体TGが感知領域内に進入したことを感知することができるように構成されている。また、撮像部12は、感知領域内に進入したある物体TGの撮影を行うとともに、感知領域内に進入した別の物体TGの撮影を行うことができるように構成されている。画像解析部13は、撮像部12によって撮影されたある物体TGが人であるか否かの判定を行うとともに、撮像部12によって撮影された別の物体TGが人であるか否かの判定を行うことができるように構成されている。
【0067】
さらに、上記実施の形態では、本開示をハードウェアの構成として説明したが、本開示は、これに限定されるものではない。本開示は、監視システム1,2による監視処理を、CPU(Central Processing Unit)にコンピュータプログラムを実行させることにより実現することが可能である。
【0068】
また、上述したプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体は、例えば、磁気記録媒体、光磁気記録媒体、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリを含む。磁気記録媒体は、例えば、フレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブなどである。光磁気記録媒体は、例えば光磁気ディスクなどである。半導体メモリは、例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory)などである。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0069】
上記の実施の形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0070】
(付記1)
物体が第1感知領域内に侵入したことを感知可能に構成されたセンサと、
前記第1感知領域を撮影可能に構成された撮像部と、
前記センサによって前記第1感知領域内に前記物体が侵入したことが感知された場合、前記撮像部によって前記第1感知領域を撮影させる制御部と、
前記撮像部による撮影結果から前記第1感知領域内に侵入した前記物体が人であるか否かを解析する画像解析部と、
を備えた、監視システム。
【0071】
(付記2)
前記制御部は、前記画像解析部によって前記第1感知領域内に侵入した前記物体が人ではないと解析された場合、前記撮像部による撮影を停止させる、
付記1に記載の監視システム。
【0072】
(付記3)
前記制御部は、前記画像解析部によって人と解析された前記物体が前記第1感知領域外に移動した場合、前記撮像部による撮影を停止させる付記1又は2に記載の監視システム。
【0073】
(付記4)
前記制御部は、前記画像解析部によって人と解析された前記物体が前記第1感知領域外に移動した場合、前記物体が移動した後の前記第1感知領域を前記撮像部によって撮影させたうえで、その撮影画像を、前記画像解析部によって人と解析された前記物体を含む撮影画像が格納される記憶部とは異なる記憶部に記憶させる、
付記1~3の何れか一項に記載の監視システム。
【0074】
(付記5)
前記センサは、さらに、前記物体が第2感知領域内に侵入したことを感知可能に構成され、
前記撮像部は、さらに、前記第2感知領域を撮影可能に構成され、
前記制御部は、前記センサによって前記第1及び前記第2感知領域の何れかに前記物体が侵入したことが感知された場合、前記撮像部によって前記第1及び前記第2感知領域のうち前記物体が侵入した感知領域を撮影させるように構成され、
前記画像解析部は、前記撮像部による撮影結果から前記第1及び前記第2感知領域の何れかに侵入した前記物体が人であるか否かを解析するように解析するように構成されている、
付記1に記載の監視システム。
【0075】
(付記6)
前記撮像部は、
前記第1感知領域を撮影可能に構成された第1カメラと、
前記第2感知領域を撮影可能に構成された第2カメラと、
を有し、
前記制御部は、前記センサによって前記第1及び前記第2感知領域の何れかに前記物体が侵入したことが感知された場合、前記第1及び前記第2カメラの何れかを起動することによって前記第1及び前記第2感知領域のうち前記物体が侵入した感知領域を撮影させる、
付記5に記載の監視システム。
【0076】
(付記7)
前記撮像部は、
撮影方向を調整可能に構成されたカメラを有し、
前記制御部は、前記センサによって前記第1及び前記第2感知領域の何れかに前記物体が侵入したことが感知された場合、前記カメラの撮影方向を調整することにより、当該カメラによって前記第1及び前記第2感知領域のうち前記物体が侵入した感知領域を撮影させる、
付記5に記載の監視システム。
【0077】
(付記8)
前記制御部は、前記画像解析部によって前記第1及び前記第2感知領域内の何れかに侵入した前記物体が人ではないと解析された場合、前記撮像部による撮影を停止させる、
付記5~7の何れか一項に記載の監視システム。
【0078】
(付記9)
前記制御部は、前記画像解析部によって人と解析された前記物体が前記第1及び前記第2感知領域外に移動した場合、前記撮像部による撮影を停止させる付記5~8の何れか一項に記載の監視システム。
【0079】
(付記10)
前記制御部は、前記画像解析部によって人と解析された前記物体が前記第1及び前記第2感知領域外に移動した場合、前記物体が移動した後の前記第1及び前記第2感知領域の何れかを前記撮像部によって撮影させたうえで、その撮影画像を、前記画像解析部によって人と解析された前記物体を含む撮影画像が格納される記憶部とは異なる記憶部に記憶させる、
付記5~9の何れか一項に記載の監視システム。
【0080】
(付記11)
前記画像解析部によって人と解析された前記物体を含む撮影画像が格納される記憶部をさらに備えた、
付記1~10の何れか一項に記載の監視システム。
【0081】
(付記12)
センサによって第1感知領域内に物体が侵入したことが感知された場合、撮像部によって前記第1感知領域を撮影するステップと、
画像解析部によって、前記撮像部による撮影結果から前記第1感知領域内に侵入した前記物体が人であるか否かを解析するステップと、
を備えた、監視方法。
【0082】
(付記13)
センサによって第1感知領域内に物体が侵入したことが感知された場合、撮像部によって前記第1感知領域を撮影する処理と、
画像解析部によって、前記撮像部による撮影結果から前記第1感知領域内に侵入した前記物体が人であるか否かを解析する処理と、
をコンピュータに実行させる監視プログラム。
【符号の説明】
【0083】
1 監視システム
2 監視システム
11 センサ
12 撮像部
12_1~12_4 カメラ
13 画像解析部
14 制御部
21 防犯用ストレージ
22 在庫用ストレージ
23 在庫管理用ストレージ
A1~A4 感知領域
TG 物体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9