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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】通信切替装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/00 20060101AFI20231219BHJP
   G05B 19/042 20060101ALI20231219BHJP
   G05B 19/048 20060101ALI20231219BHJP
   G05B 19/05 20060101ALI20231219BHJP
   H01M 8/04 20160101ALN20231219BHJP
   H01M 8/12 20160101ALN20231219BHJP
【FI】
G06F3/00 A
G05B19/042
G05B19/048
G05B19/05 L
H01M8/04 Z
H01M8/12 101
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020008670
(22)【出願日】2020-01-22
(65)【公開番号】P2021117552
(43)【公開日】2021-08-10
【審査請求日】2022-11-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】弁理士法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】年代 伸次
(72)【発明者】
【氏名】上治 勝
(72)【発明者】
【氏名】澤井 貴文
【審査官】田中 啓介
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-245852(JP,A)
【文献】特開2011-023269(JP,A)
【文献】特開2018-177212(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B19/04-19/05
G06F3/00、3/18
G06F11/07、11/28-11/36
G06F13/10-13/14
G06F13/38-13/42
H01M8/04-8/0668
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1モード設定用ポートと第1通信ポートとを有する第1制御装置を搭載する第1基板と、第2モード設定用ポートと第2通信ポートとを有する第2制御装置を搭載する第2基板とを備えるシステムの前記第1基板に搭載され、前記第1制御装置および前記第2制御装置に対する外部機器との通信接続を切り替える通信切替装置であって、
前記外部機器が接続される外部接続コネクタと、
前記外部接続コネクタに接続された前記外部機器との通信を司る通信コントローラと、
前記第1制御装置の前記第1通信ポートと前記通信コントローラとを継断する第1スイッチ部と、第1短絡部材の着脱により回路を短絡または開放する第1短絡部材接続コネクタ部とを有し、当該回路の短絡と開放とにより前記第1スイッチの状態と前記第1モード設定用ポートの状態とを切り替える第1切替回路と、
前記第2制御装置の前記第2通信ポートと前記通信コントローラとを継断する第2スイッチ部と、第2短絡部材の着脱により回路を短絡または開放する第2短絡部材接続コネクタ部とを有し、当該回路の短絡と開放とにより前記第2スイッチの状態と前記第2モード設定用ポートの状態とを切り替える第2切替回路と、
を備え
前記第1通信ポートは、前記第1制御装置のソフトウエアを書き換えるための第1ソフト書き換え用通信ポートを含み、
前記第2通信ポートは、前記第2制御装置のソフトウエアを書き換えるための第2ソフト書き換え用通信ポートを含み、
前記第1切替回路は、前記第1ソフト書き換え用通信ポートと前記通信コントローラとの接続を遮断すると共に前記第1モード設定用ポートにソフトウエアの書き込みを有効としない信号を出力する状態と、前記第1ソフト書き換え用通信ポートと前記通信コントローラとを接続すると共に前記第1モード設定用ポートにソフトウエアの書き込みを有効とする信号を出力する状態とを切り替え、
前記第2切替回路は、前記第2ソフト書き換え用通信ポートと前記通信コントローラとの接続を遮断すると共に前記第2モード設定用ポートにソフトウエアの書き込みを有効としない信号を出力する状態と、前記第2ソフト書き換え用通信ポートと前記通信コントローラとを接続すると共に前記第2モード設定用ポートにソフトウエアの書き込みを有効とする信号を出力する状態とを切り替える、
通信切替装置。
【請求項2】
請求項に記載の通信切替装置であって、
前記第1通信ポートは、更に、前記第1制御装置を監視するためのモニタ用通信ポートを含み、
前記第1切替回路は、前記第1ソフト書き換え用通信ポートと前記通信コントローラとの接続を遮断して前記モニタ用通信ポートと前記通信コントローラとを接続すると共に前記第1モード設定用ポートにソフトウエアの書き込みを有効としない信号を出力する状態と、前記第1ソフト書き換え用通信ポートと前記通信コントローラとを接続して前記モニタ用通信ポートと前記通信コントローラとの接続を遮断すると共に前記第1モード設定用ポートにソフトウエアの書き込みを有効とする信号を出力する状態と、前記第1ソフト書き換え用通信ポートと前記通信コントローラとの接続を遮断して前記モニタ用通信ポートと前記通信コントローラとの接続を遮断すると共に前記第1モード設定用ポートにソフトウエアの書き込みを有効としない信号を出力する状態とを切り替える、
通信切替装置。
【請求項3】
請求項またはに記載の通信切替装置であって、
前記第2ソフト書き換え用通信ポートは、前記第2モード設定用ポートにソフトウエアの書き込みを有効としない信号が出力された状態において前記第2制御装置を監視するためのポートと兼用され、
前記第2切替回路は、前記第2ソフト書き換え用通信ポートと前記通信コントローラとの接続を遮断すると共に前記第2モード設定用ポートにソフトウエアの書き込みを有効としない信号を出力する状態と、前記第2ソフト書き換え用通信ポートと前記通信コントローラとを接続すると共に前記第2モード設定用ポートにソフトウエアの書き込みを有効とする信号を出力する状態と、前記第2ソフト書き換え用通信ポートと前記通信コントローラとを接続すると共に前記第2モード設定用ポートにソフトウエアの書き込みを有効としない信号を出力する状態とを切り替える、
通信切替装置。
【請求項4】
請求項1ないしいずれか1項に記載の通信切替装置であって、
直流電力を発電する発電装置と、前記発電装置により発電された直流電力を変換する電力変換装置と、前記発電装置を運転制御する制御用マイクロコンピュータを搭載する制御基板と、前記電力変換装置を駆動制御する電力変換用マイクロコンピュータを搭載する電力変換基板とを備える発電システムに搭載され、
前記第1基板は、前記制御基板であり、
前記第2基板は、前記電力変換基板であり、
前記第1制御装置は、前記制御用マイクロコンピュータであり、
前記第2制御装置は、前記電力変換用マイクロコンピュータである、
通信切替装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信切替装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、燃料電池を制御する制御装置にパソコン(外部機器)を接続するためのPC接続口を備えた燃料電池システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-27236号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、制御装置を備えるシステムでは、必要に応じて制御装置のメンテナンス(例えば、ソフトウエアの書き換え等)が行なわれる場合がある。しかしながら、システムに複数の制御装置を備える場合、各制御装置のメンテナンスを行なうために、外部機器(パソコン)を接続するためのインターフェース回路を制御装置ごとに設けるものとすると、装置が複雑化すると共に高コスト化を招く。一方、メンテナンスの頻度が低い一部の制御装置との接続のためのインタフェース回路を外付けすることも考えられる。しかしながら、単一の筐体に複数の構成部品や複数の制御装置を搭載するシステムにおいては、搭載スペースの制約から、当該一部の制御装置にインタフェース回路を接続するための接続口を外部からアクセスしやすい位置に配置することができない場合が生じる。この場合、当該接続口にアクセスするために他の構成部品を一旦、取り外す必要があり、メンテナンス性が悪化してしまう。
【0005】
本発明の通信切替装置は、複数の制御装置を備えるシステムにおいて、各制御装置のメンテナンス性をより向上させることを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の通信切替装置は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明の通信切替装置は、
第1モード設定用ポートと第1通信ポートとを有する第1制御装置を搭載する第1基板と、第2モード設定用ポートと第2通信ポートとを有する第2制御装置を搭載する第2基板とを備えるシステムの前記第1基板に搭載され、前記第1制御装置および前記第2制御装置に対する外部機器との通信接続を切り替える通信切替装置であって、
前記外部機器が接続される外部接続コネクタと、
前記外部接続コネクタに接続された前記外部機器との通信を司る通信コントローラと、
前記第1制御装置の前記第1通信ポートと前記通信コントローラとを継断する第1スイッチ部と、第1短絡部材の着脱により回路を短絡または開放する第1短絡部材接続コネクタ部とを有し、当該回路の短絡と開放とにより前記第1スイッチの状態と前記第1モード設定用ポートの状態とを切り替える第1切替回路と、
前記第2制御装置の前記第2通信ポートと前記通信コントローラとを継断する第2スイッチ部と、第2短絡部材の着脱により回路を短絡または開放する第2短絡部材接続コネクタ部とを有し、当該回路の短絡と開放とにより前記第2スイッチの状態と前記第2モード設定用ポートの状態とを切り替える第2切替回路と、
を備えることを要旨とする。
【0008】
この本発明の通信切替装置は、外部機器が接続される外部接続コネクタと、外部接続コネクタに接続された外部機器との通信を司る通信コントローラと、第1切替回路と、第2切替回路とを備える。第1切替回路は、第1制御装置の第1通信ポートと通信コントローラとを継断する第1スイッチ部と、第1短絡部材の着脱により回路を短絡または開放する第1短絡部材接続コネクタ部とを有し、当該回路の短絡と開放とにより第1スイッチ部の状態と第1モード設定用ポートの状態とを切り替える。第2切替回路は、第2制御装置の第2通信ポートと通信コントローラとを継断する第2スイッチ部と、第2短絡部材の着脱により回路を短絡または開放する第2短絡部材接続コネクタ部とを有し、当該回路の短絡と開放とにより第2スイッチ部の状態と第2モード設定用ポートの状態とを切り替える。これにより、作業者は外部機器を外部接続コネクタに接続すると共に第1制御装置および第2制御装置のうちメンテナンス対象の制御装置に対応する切替回路の短絡部材接続コネクタ部に対して短絡部材を装着あるいは取り外すことにより、メンテナンス対象の制御装置のモード設定をメンテナンス用のモードに設定して外部機器による当該制御装置のメンテナンスを行なうことができる。この結果、各制御装置のメンテナンス性をより向上させることができる。また、各制御装置のメンテナンスのために、制御装置ごとに外部接続コネクタと通信コントローラとを備えるものに比して、装置をより簡素なものとすることができる。
【0009】
こうした本発明の通信切替装置において、前記第1通信ポートは、前記第1制御装置のソフトウエアを書き換えるための第1ソフト書き換え用通信ポートを含み、前記第2通信ポートは、前記第2制御装置のソフトウエアを書き換えるための第2ソフト書き換え用通信ポートを含み、前記第1切替回路は、前記第1ソフト書き換え用通信ポートと前記通信コントローラとの接続を遮断すると共に前記第1モード設定用ポートにソフトウエアの書き込みを有効としない信号を出力する状態と、前記第1ソフト書き換え用通信ポートと前記通信コントローラとを接続すると共に前記第1モード設定用ポートにソフトウエアの書き込みを有効とする信号を出力する状態とを切り替え、前記第2切替回路は、前記第2ソフト書き換え用通信ポートと前記通信コントローラとの接続を遮断すると共に前記第2モード設定用ポートにソフトウエアの書き込みを有効としない信号を出力する状態と、前記第2ソフト書き換え用通信ポートと前記通信コントローラとを接続すると共に前記第2モード設定用ポートにソフトウエアの書き込みを有効とする信号を出力する状態とを切り替えるものとしてもよい。こうすれば、外部機器を外部接続コネクタに接続すると共に第1短絡部材を装着または取り外しするだけで、当該外部機器により第1制御装置のソフトウエアの書き換えを行なうことができ、外部機器を外部接続コネクタに接続すると共に第2短絡部材を装着または取り外しするだけで、当該外部機器により第2制御装置のソフトウエアの書き換えを行なうことができる。
【0010】
この態様の本発明の通信切替装置において、前記第1通信ポートは、更に、前記第1制御装置を監視するためのモニタ用通信ポートを含み、前記第1切替回路は、前記第1ソフト書き換え用通信ポートと前記通信コントローラとの接続を遮断して前記モニタ用通信ポートと前記通信コントローラとを接続すると共に前記第1モード設定用ポートにソフトウエアの書き込みを有効としない信号を出力する状態と、前記第1ソフト書き換え用通信ポートと前記通信コントローラとを接続して前記モニタ用通信ポートと前記通信コントローラとの接続を遮断すると共に前記第1モード設定用ポートにソフトウエアの書き込みを有効とする信号を出力する状態と、前記第1ソフト書き換え用通信ポートと前記通信コントローラとの接続を遮断して前記モニタ用通信ポートと前記通信コントローラとの接続を遮断すると共に前記第1モード設定用ポートにソフトウエアの書き込みを有効としない信号を出力する状態とを切り替えるものとしてもよい。こうすれば、外部機器によりモニタ用通信ポートを介して第1制御装置と通信することで、第1制御装置を監視することもできる。
【0011】
さらにこれらの態様の本発明の通信切替装置において、前記第2切替回路は、前記第2ソフト書き換え用通信ポートと前記通信コントローラとの接続を遮断すると共に前記第2モード設定用ポートにソフトウエアの書き込みを有効としない信号を出力する状態と、前記第2ソフト書き換え用通信ポートと前記通信コントローラとを接続すると共に前記第2モード設定用ポートにソフトウエアの書き込みを有効とする信号を出力する状態と、前記第2ソフト書き換え用通信ポートと前記通信コントローラとを接続すると共に前記第2モード設定用ポートにソフトウエアの書き込みを有効としない信号を出力する状態とを切り替えるものとしてもよい。こうすれば、外部機器により第2ソフト書き換え用通信ポートを介して第2制御装置と通信することで、第2制御装置を監視することもできる。
【0012】
また、本発明の通信切替装置において、直流電力を発電する発電装置と、前記発電装置により発電された直流電力を変換する電力変換装置と、前記発電装置を運転制御する制御用マイクロコンピュータを搭載する制御基板と、前記電力変換装置を駆動制御する電力変換用マイクロコンピュータを搭載する電力変換基板とを備える発電システムに搭載され、前記第1基板は、前記制御基板であり、前記第2基板は、前記電力変換基板であり、前記第1制御装置は、前記制御用マイクロコンピュータであり、前記第2制御装置は、前記電力変換用マイクロコンピュータであるものとしてもよい。通信切替装置は、第1基板、すなわち制御用マイクロコンピュータを搭載する制御基板に搭載される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施形態の燃料電池システムの概略構成図である。
図2】燃料電池システムの外観斜視図である。
図3】制御基板の概略構成図である。
図4】メンテナンス作業の手順を示すフローチャートである。
図5】制御基板マイコンのソフトウエアを書き換える際の制御基板の回路状態を示す説明図である。
図6】インバータ基板マイコンのソフトウエアを書き換える際の制御基板の回路状態を示す説明図である。
図7】インバータ基板マイコンのモニタ通信を行なう際の制御基板の回路状態を示す説明図である。
図8】制御基板マイコンのモニタ通信を行なう際の制御基板の回路状態を示す説明図である。
図9】他の実施形態に係る制御基板の概略構成図である。
図10】他の実施形態のメンテナンス作業の手順を示すフローチャートである。
図11】制御基板マイコンのソフトウエアを書き換える際の制御基板の回路状態を示す説明図である。
図12】インバータ基板マイコンのソフトウエアを書き換える際の制御基板の回路状態を示す説明図である。
図13】インバータ基板マイコンのモニタ通信を行なう際の制御基板の回路状態を示す説明図である。
図14】制御基板マイコンのモニタ通信を行なう際の制御基板の回路状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。
【0015】
図1は本実施形態の燃料電池システムの概略構成図であり、図2は燃料電池システム10の外観斜視図であり、図3は制御基板の概略構成図である。本実施形態の燃料電池システム10は、電力系統1と連系して負荷に電力を供給するものであり、図示するように、燃料電池11と、パワーコンディショナ20と、システム全体を制御する制御基板マイクロコンピュータ(以下、制御基板マイコンという)31を含む制御基板30とを備える。本実施形態では、燃料電池システム10は、更に、燃料電池11の発電に伴って生じる排熱を利用して沸かしたお湯を蓄える貯湯タンク17(図2参照)を備える。これらの構成部品は、単一の筐体10hに収容されている。
【0016】
燃料電池11は、水素を含む燃料ガスと酸素を含む酸化剤ガスとにより電気化学反応により発電する固体酸化物形燃料電池スタックとして構成されるものであり、図2に示すように、筐体10hの上部に配置されている。燃料電池システム10は、燃料電池11の運転に必要な補機として、原料ガス(例えば都市ガスやLPガス)を燃料ガスに改質すると共に燃料ガスを燃料電池11に供給する改質器や、改質に必要な改質水を蓄える水タンク、水タンク内の改質水を改質器へ供給する水ポンプ、酸素を含むエアを燃料電池に供給するエアブロワなどを備える。
【0017】
パワーコンディショナ20は、燃料電池11により発電された直流電力を交流電力に変換すると共に電力系統1と連系して負荷に電力を供給するものであり、図2に示すように、筐体10hにおける側面部に配置されている。パワーコンディショナ20は、インバータ基板21と電源基板29とを備える。
【0018】
インバータ基板21は、燃料電池11により発電された直流電力を所定電圧の直流電力に変換するDC/DCコンバータ22と、変換された所定電圧の直流電力を交流電力に変換するインバータ23と、インバータ23の出力端子と電力系統1の電線との継断を行なうリレー24と、DC/DCコンバータ22やインバータ23,リレー24とを制御するインバータ基板マイクロコンピュータ(以下、インバータ基板マイコンという)25とを有する。インバータ基板マイコン25には、燃料電池11の出力電圧(スタック電圧)を検出する図示しない電圧センサや燃料電池11の出力電流(スタック電流)を検出する図示しない電流センサなどからの検出信号が入力されている。また、インバータ基板マイコン25からは、DC/DCコンバータ22のスイッチング素子やインバータ23のスイッチング素子、リレー24などへの駆動信号が出力されている。
【0019】
インバータ基板マイコン25は、ソフト書き換えモードポートy1と、ソフト書き換え用通信ポートy2とを備える。インバータ基板マイコン25は、ソフト書き換えモードポートy1にローレベル信号が入力されているときには動作モードがソフト書き換えモードとなり、外部機器としてのメンテナンス用パーソナルコンピュータ(以下、メンテナンス用PCという)100によるソフト書き換え用通信ポートy2を介した通信によりインバータ基板マイコン25のソフトウエアの書き換えが可能となる。一方、ソフト書き換えモードポートy1にハイレベル信号が入力されているときには動作モードがモニタ通信モードとなり、メンテナンス用PC100によるソフト書き換え用通信ポートy2を介した通信によりインバータ基板マイコン25の状態やインバータ基板マイコン25に入力される各種センサの状態をモニタするモニタ通信が可能となる。
【0020】
電源基板29は、燃料電池11からの直流電力や電力系統1からの交流電力を変換して、燃料電池システム10が備える補機やインバータ基板マイコン25、制御基板マイコン31の動作に必要な所定電圧の直流電力を供給するものである。
【0021】
制御基板30は、燃料電池システム10全体の制御を司るものであり、図2に示すように、筐体10hにおける前面部に配置されている。制御基板30は、図3に示すように、制御基板マイコン31と、外部機器としてのメンテナンス用PC100が接続されるUSB (Universal Serial Bus)端子32と、USB端子32に接続されたメンテナンス用PC100との間でUSBによる通信を行なうためのUSBコントローラ33(USBデバイスコントローラ)と、第1切替回路40と、第2切替回路50とを備える。
【0022】
制御基板マイコン31は、ソフト書き換えモードポートx1と、ソフト書き換え用通信ポートx2と、モニタ用通信ポートx3とを備える。制御基板マイコン31は、ソフト書き換えモードポートx1にローレベル信号が入力されているときには動作モードがソフト書き換えモードとなり、メンテナンス用PC100によるソフト書き換え用通信ポートx2を介した通信により制御基板マイコン31のソフトウエアの書き換えが可能となる。一方、ソフト書き換えモードポートx1にハイレベル信号が入力されているときには動作モードがモニタ通信モードとなり、メンテナンス用PC100によるモニタ用通信ポートx3を介した通信により制御基板マイコン31の状態や制御基板マイコン31に接続される各種補機や各種センサの状態をモニタするモニタ通信が可能となる。
【0023】
第1および第2切替回路40,50は、USBコントローラ33を介したメンテナンス用PC100と制御基板マイコン31との通信接続とUSBコントローラ33を介したメンテナンス用PC100とインバータ基板マイコン25との通信接続とを切り替えるためのものである。
【0024】
第1切替回路40は、1-2ショートピンP12の挿入により端子間が短絡する第1および第2端子41a,41bと3-4ショートピンP34の挿入により端子間が短絡する第3および第4端子41c,41dとを有する第1ショートピンコネクタ41と、制御基板マイコン31のソフト書き換え用通信ポートx2に接続されゲート端子へのハイレベル信号の入力により閉成するスイッチ42aとモニタ用通信ポートx3に接続されゲート端子へのハイレベル信号の入力により閉成するスイッチ42bとを含む第1スイッチ部42とを備える。第1端子41aは、電圧源Vccに接続されており、第2端子41bは、抵抗43を介してグランドに接続されると共にスイッチ42aのゲート端子に接続されている。第3端子41cは、抵抗44を介して電圧源Vccに接続されると共にスイッチ42bのゲート端子に接続され、且つ、制御基板マイコン31のソフト書き換えモードポートx1に接続されており、第4端子41dは、グランドに接続されている。
【0025】
第2切替回路50は、1-2ショートピンP12の挿入により端子間が短絡する第1および第2端子51a,51bと3-4ショートピンP34の挿入により端子間が短絡する第3および第4端子51c,51dとを有する第2ショートピンコネクタ51と、インバータ基板マイコン25のソフト書き換え用通信ポートy2とUSBコントローラ33とに接続されゲート端子へのハイレベル信号の入力により閉成するスイッチ52aと第1スイッチ部42(スイッチ42a,42b)とUSBコントローラ33とに接続されゲート端子へのハイレベル信号の入力により閉成するスイッチ52bとを含む第2スイッチ部52とを備える。第1端子51aは、電圧源Vccに接続されており、第2端子51bは、抵抗53を介してグランドに接続されると共にインバータ(論理否定回路)56を介してインバータ基板マイコン25のソフト書き換えモードポートy1に接続されている。第3端子51cは、抵抗54を介して電圧源Vccに接続されると共にインバータ(論理否定回路)55を介してスイッチ52aのゲート端子に接続され、且つ、スイッチ52bのゲート端子に接続されており、第4端子51dは、グランドに接続されている。
【0026】
ここで、本実施形態の通信切替装置は、USB端子32とUSBコントローラ33と第1および第2切替回路40,50とが相当する。
【0027】
次に、こうして構成された燃料電池システム10において、作業者がメンテナンス用PC100を用いて制御基板マイコン31やインバータ基板マイコン25のメンテナンスを行なう際の手順について説明する。なお、メンテナンス用PC100には、制御基板マイコン31やインバータ基板マイコン25をメンテナンスするための専用のアプリケーションがインストールされているものとする。図4は、メンテナンス作業の手順を示すフローチャートである。
【0028】
メンテナンス作業は、制御基板マイコン31のソフトウエアの書き換えを実施する場合(S100の「YES」)、まず、図5に示すように、1-2ショートピンP12を第1ショートピンコネクタ41の第1端子41aと第2端子41bとに挿入して当該端子間を短絡させると共に3-4ショートピンP34を第1ショートピンコネクタ41の第3端子41cと第4端子41dとに挿入して当該端子間を短絡させて(S110)、メンテナンス用PC100をUSB端子32に接続する(S120)。次に、燃料電池システム10の電源をオンする(S130)。これにより、図5に示すように、制御基板マイコン31のソフト書き換えモードポートx1にローレベル信号が入力され、制御基板マイコン31の動作モードがソフト書き換えモードとなる。同時に、第1スイッチ部42のスイッチ42aのゲート端子にハイレベル信号が入力されて当該スイッチ42aが閉成されると共に第2スイッチ部52のスイッチ52bのゲート端子にハイレベル信号が入力されて当該スイッチ42bが閉成されるため、USBコントローラ33と制御基板マイコン31のソフト書き換え用通信ポートx2とが接続される。なお、第1スイッチ部42のスイッチ42bのゲート端子と第2スイッチ部52のスイッチ52aのゲート端子には、いずれもローレベル信号が入力されるため、スイッチ42b,52aは開放され、USBコントローラ33と制御基板マイコン31のモニタ用通信ポートx3との接続とUSBコントローラ33とインバータ基板マイコン25との接続は切り離される。これにより、メンテナンス用PC100は、ソフト書き換え用通信ポートx2を介して制御基板マイコン31と通信可能に接続される。そして、メンテナンス用PC100の対応するアプリケーションを起動して制御基板マイコン31のソフトウエアの書き換えを実行して(S140)、完了する。
【0029】
制御基板マイコン31のソフトウエアの書き換えではなく(S100の「NO」)、インバータ基板マイコン25のソフトウエアの書き換えを実施する場合(S150の「YES」)、まず、図6に示すように、1-2ショートピンP12を第2ショートピンコネクタ51の第1端子51aと第2端子51bとに挿入して当該端子間を短絡させると共に3-4ショートピンP34を第2ショートピンコネクタ51の第3端子51cと第4端子51dとに挿入して当該端子間を短絡させて(S160)、メンテナンス用PC100をUSB端子32に接続する(S170)。次に、燃料電池システム10の電源をオンする(S180)。これにより、図6に示すように、インバータ基板マイコン25のソフト書き換えモードポートy1にローレベル信号が入力され、インバータ基板マイコン25の動作モードがソフト書き換えモードとなる。同時に、第2スイッチ部52のスイッチ52aのゲート端子にハイレベル信号が入力されて当該スイッチ52aが閉成されるため、USBコントローラ33とインバータ基板マイコン25のソフト書き換え用通信ポートy2とが接続される。なお、第1スイッチ部42のスイッチ42bのゲート端子には、ハイレベル信号が入力されるため、当該スイッチ42bは閉成されるが、当該スイッチ42bとUSBコントローラ33との間に介在する第2スイッチ部52のスイッチ52bのゲート端子には、ローレベル信号が入力されるため、当該スイッチ52aは開放され、USBコントローラ33と制御基板マイコン31との接続は切り離される。これにより、メンテナンス用PC100は、ソフト書き換え用通信ポートy2を介してインバータ基板マイコン25と通信可能に接続される。そして、メンテナンス用PC100の対応するアプリケーションを起動してインバータ基板マイコン25のソフトウエアの書き換えを実行して(S190)、完了する。
【0030】
インバータ基板マイコン25のソフトウエアの書き換えではなく(S150の「NO」)、インバータ基板マイコン25のモニタ通信を実施する場合(S200の「YES」)、まず、図7に示すように、3-4ショートピンP34を第2ショートピンコネクタ51の第3端子51cと第4端子51dとに挿入して当該端子間を短絡させて(S210)、メンテナンス用PC100をUSB端子32に接続する(S220)。次に、燃料電池システム10の電源をオンする(S230)。これにより、図7に示すように、インバータ基板マイコン25のソフト書き換えモードポートy1にハイレベル信号が入力されるため、インバータ基板マイコン25の動作モードがモニタ通信モードとなる。同時に、第2スイッチ部52のスイッチ52aのゲート端子にハイレベル信号が入力されて当該スイッチ52aが閉成されるため、USBコントローラ33とインバータ基板マイコン25のソフト書き換え用通信ポートy2とが接続される。これにより、メンテナンス用PC100は、ソフト書き換え用通信ポートy2を介してインバータ基板マイコン25と通信可能に接続される。そして、メンテナンス用PC100の対応するアプリケーションを起動してインバータ基板マイコン25のモニタ通信を実施して(S240)、完了する。
【0031】
インバータ基板マイコン25のモニタ通信ではなく、制御基板マイコン31のモニタ通信を実施する場合(S200の「NO」)、まず、図8に示すように、第1ショートピンコネクタ41および第2ショートピンコネクタ51のいずれにもショートピンを挿入することなく、メンテナンス用PC100をUSB端子32に接続する(S250)。次に、燃料電池システム10の電源をオンする(S260)。これにより、図8に示すように、制御基板マイコン31のソフト書き換えモードポートx1にハイレベル信号が入力されるため、制御基板マイコン31の動作モードがモニタ通信モードとなる。同時に、第1スイッチ部42のスイッチ42bのゲート端子にハイレベル信号が入力されて当該スイッチ42bが閉成されると共に第2スイッチ部52のスイッチ52bのゲート端子にハイレベル信号が入力されて当該スイッチ52bが閉成されるため、USBコントローラ33と制御基板マイコン31のモニタ用通信ポートx3とが接続される。これにより、メンテナンス用PC100は、モニタ用通信ポートx3を介して制御基板マイコン31と通信可能に接続される。そして、メンテナンス用PC100の対応するアプリケーションを起動して制御基板マイコン31のモニタ通信を実施して(S270)、完了する。
【0032】
以上説明した本実施形態の通信切替装置では、第1切替回路40は、制御基板マイコン31とUSBコントローラ33とを継断する第1スイッチ部42と、ショートピンの着脱により回路を短絡または開放する第1ショートピンコネクタ41とを有し、当該回路の短絡と開放ととにより第1スイッチ部42の状態とソフト書き換えモードポートx1の状態とを切り替える。第2切替回路50は、インバータ基板マイコン25とUSBコントローラ33とを継断する第2スイッチ部52と、ショートピンの着脱により回路を短絡または開放する第2ショートピンコネクタ51とを有し、当該回路の短絡と開放とにより第2スイッチ部52の状態とソフト書き換えモードポートy1の状態とを切り替える。これにより、メンテナンス用PC100をUSB端子32に接続すると共に制御基板マイコン31およびインバータ基板マイコン25のうちメンテナンス対象のマイコンに対応する切替回路のショートピンコネクタに対してショートピンを装着あるいは取り外すことにより、メンテナンス対象のマイコンのモード設定をメンテナンス用のモードに設定してメンテナンス用PC100による当該マイコンのメンテナンスを行なうことができる。この結果、各マイコンのメンテナンス性をより向上させることができる。また、各マイコンのメンテナンスのために、マイコンごとにUSB端子32とUSBコントローラ33とを設けるものに比して、装置をより簡素なものとすることができる。
【0033】
また、本実施形態の通信切替装置では、制御基板マイコン31にソフト書き換え用通信ポートx2とモニタ用通信ポートx3とを設け、第1切替回路40は、ショートピンの着脱によって、ソフト書き換え用通信ポートx2とUSBコントローラ33とを接続してモニタ用通信ポートx3とUSBコントローラ33との接続を遮断すると共にソフト書き換えモードポートx1に制御基板マイコン31のソフトウエアの書き込みを有効とする信号(ローレベル信号)を出力する状態と、ソフト書き換え用通信ポートx2とUSBコントローラ33との接続を遮断してモニタ用通信ポートx3とUSBコントローラ33とを接続すると共にソフト書き換えモードポートx1に制御基板マイコン31のソフトウエアの書き込みを有効としない信号(ハイレベル信号)を出力する状態と、ソフト書き換え用通信ポートx2とUSBコントローラ33との接続を遮断してモニタ用通信ポートx3とUSBコントローラ33との接続を遮断すると共にソフト書き換えモードポートx1に制御基板マイコン31のソフトウエアの書き込みを有効としない信号(ハイレベル信号)を出力する状態と、を切り替える。これにより、メンテナンス用PC100を用いてソフト書き換え用通信ポートx2を介した通信により制御基板マイコン31のソフトウエアの書き換えを行なうことができると共に、モニタ用通信ポートx3を介した通信により制御基板マイコン31のモニタ通信を行なうことができる。
【0034】
さらに、本実施形態の通信切替装置では、インバータ基板マイコン25にソフト書き換え用通信ポートy2を設け、第2切替回路50は、ショートピンの着脱によって、ソフト書き換え用通信ポートy2とUSBコントローラ33とを接続すると共にソフト書き換えモードポートy1にインバータ基板25のソフトウエアの書き込みを有効とする信号(ローレベル信号)を出力する状態と、ソフト書き換え用通信ポートy2とUSBコントローラ33とを接続すると共にソフト書き換えモードポートy1にインバータ基板25のソフトウエアの書き込みを有効としない信号(ハイレベル信号)を出力する状態と、ソフト書き換え用通信ポートy2とUSBコントローラ33との接続を遮断すると共にソフト書き換えモードポートy1にインバータ基板25のソフトウエアの書き込みを有効としない信号(ハイレベル信号)を出力する状態と、を切り替える。これにより、メンテナンス用PC100を用いてソフト書き換え用通信ポートy2を介した通信によりインバータ基板マイコン25のソフトウエアの書き換えとモニタ通信とを行なうことができる。
【0035】
上述した実施形態では、第1切替回路40は、制御基板マイコン31のソフト書き換え用通信ポートx2に接続されるスイッチ42aとモニタ用通信ポートx3に接続されるスイッチ42bとが1-2ショートピンP12および3-4ショートピンP34の着脱によって選択的に開閉するよう構成され、第2切替回路50は、USBコントローラ33とスイッチ42a,42bとの間に介在し、インバータ基板マイコン25とUSBコントローラ33とを通信接続する場合に制御基板マイコン31をUSBコントローラ33から切り離すためのスイッチ52bを備えるものとした。しかし、スイッチ52bを備えない構成を採用することもできる。図9は、他の実施形態に係る制御基板の概略構成図である。なお、他の実施形態の構成のうち本実施形態と同一の構成については同一の符号を付し、その詳細な説明は重複するから省略する。
【0036】
他の実施形態に係る制御基板130は、図9に示すように、制御基板マイコン31と、USB端子32と、USBコントローラ33と、第1および第2切替回路140,150とを備える。第1切替回路140は、第1および第2端子41a,41bと第3および第4端子41c,41dとを有する第1ショートピンコネクタ41と、2つのスイッチ42a,42bを有する第1スイッチ部42とを備える点で第1切替回路40と共通し、第4端子41dに代えて第2端子41bがインバータ145(論理否定回路)を介して制御基板マイコン31のソフト書き換えモードポートx1に接続されている点で本実施形態の第1切替回路40と異なる。一方、第2切替回路150は、第1および第2端子51a,51bと第3および第4端子51c,51dとを有する第2ショートピンコネクタ51を備える点で第2切替回路50と共通し、第2スイッチ部152が単一のスイッチ152aを備え、第3端子51cがスイッチ152aのゲート端子に接続されると共に抵抗154を介してグランドに接続され、第4端子51dが電圧源Vccに接続されている点と、第1スイッチ部42とUSBコントローラ33との間にスイッチが介在しない点(第1スイッチ部42とUSBコントローラ33とが直接に接続されている点)で本実施形態の第2切替回路50と異なる。
【0037】
図10は、他の実施形態のメンテナンス作業の手順を示すフローチャートである。なお、図10のフローチャートの各ステップのうち前述した図4のフローチャートと同一のステップについては、同一のステップ番号を付した。
【0038】
他の実施形態において、メンテナンス作業は以下のようにして行なわれる。すなわち、制御基板マイコン31のソフトウエアの書き換えを実施する場合(S100の「YES」)、まず、図11に示すように、1-2ショートピンP12を第1ショートピンコネクタ41の第1端子41aと第2端子41bとに挿入して当該端子間を短絡させると共に3-4ショートピンP34を第1ショートピンコネクタ41の第3端子41cと第4端子41dとに挿入して当該端子間を短絡させて(S110)、メンテナンス用PC100をUSB端子32に接続する(S120)。次に、燃料電池システム10の電源をオンする(S130)。これにより、図11に示すように、制御基板マイコン31のソフト書き換えモードポートx1にローレベル信号が入力され、制御基板マイコン31の動作モードがソフト書き換えモードとなる。同時に、第1スイッチ部42のスイッチ42aのゲート端子にハイレベル信号が入力されて当該スイッチ42aが閉成されるため、USBコントローラ33と制御基板マイコン31のソフト書き換え用通信ポートx2とが接続される。なお、第1スイッチ部42のスイッチ42bのゲート端子と第2スイッチ部152のスイッチ152aのゲート端子には、いずれもローレベル信号が入力されるため、スイッチ42b,152aは開放され、USBコントローラ33と制御基板マイコン31のモニタ用通信ポートx3との接続とUSBコントローラ33とインバータ基板マイコン25との接続は切り離される。これにより、メンテナンス用PC100は、ソフト書き換え用通信ポートx2を介して制御基板マイコン31と通信可能に接続される。そして、メンテナンス用PC100の対応するアプリケーションを起動して制御基板マイコン31のソフトウエアの書き換えを実施して(S140)、完了する。
【0039】
制御基板マイコン31のソフトウエアの書き換えではなく(S100の「NO」)、インバータ基板マイコン25のソフトウエアの書き換えを実施する場合(S150の「YES」)、まず、図12に示すように、3-4ショートピンP34を第1ショートピンコネクタ41の第3端子41cと第4端子41dとに挿入して当該端子間を短絡させ、且つ、1-2ショートピンP12を第2ショートピンコネクタ51の第1端子51aと第2端子51bとに挿入して当該端子間を短絡させると共に3-4ショートピンP34を第2ショートピンコネクタ51の第3端子51cと第4端子51dとに挿入して当該端子間を短絡させて(S160B)、メンテナンス用PC100をUSB端子32に接続する(S170)。次に、燃料電池システム10の電源をオンする(S180)。これにより、図12に示すように、インバータ基板マイコン25のソフト書き換えモードポートy1にローレベル信号が入力されるため、インバータ基板マイコン25の動作モードがソフト書き換えモードとなる。同時に、第2スイッチ部152のスイッチ152aのゲート端子にハイレベル信号が入力されて当該スイッチ152aが閉成されため、USBコントローラ33とインバータ基板マイコン25のソフト書き換え用通信ポートy2とが接続される。なお、第1スイッチ部42の2つのスイッチ42a,42bのゲート端子には、いずれも、ローレベル信号が入力されるため、当該2つのスイッチ42a,42bはいずれも開放され、USBコントローラ33と制御基板マイコン31との接続は切り離される。これにより、メンテナンス用PC100は、ソフト書き換え用通信ポートy2を介してインバータ基板マイコン25と通信可能に接続される。そして、メンテナンス用PC100の対応するアプリケーションを起動してインバータ基板マイコン25のソフトウエアの書き換えを実施して(S190)、完了する。
【0040】
インバータ基板マイコン25のソフトウエアの書き換えではなく(S150の「NO」)、インバータ基板マイコン25のモニタ通信を実施する場合(S200の「YES」)、まず、図13に示すように、3-4ショートピンP34を第1ショートピンコネクタ41の第3端子41cと第4端子41dとに挿入して当該端子間を短絡させると共に、3-4ショートピンP34を第2ショートピンコネクタ51の第3端子51cと第4端子51dとに挿入して当該端子間を短絡させて(S210B)、メンテナンス用PC100をUSB端子32に接続する(S220)。次に、燃料電池システム10の電源をオンする(S230)。これにより、図13に示すように、インバータ基板マイコン25のソフト書き換えモードポートy1にハイレベル信号が入力されるため、インバータ基板マイコン25の動作モードがモニタ通信モードとなる。同時に、第2スイッチ部152のスイッチ152aのゲート端子にハイレベル信号が入力されて当該スイッチ152aが閉成されるため、USBコントローラ33とインバータ基板マイコン25のソフト書き換え用通信ポートy2とが接続される。これにより、メンテナンス用PC100は、ソフト書き換え用通信ポートy2を介してインバータ基板マイコン25と通信可能に接続される。そして、メンテナンス用PC100の対応するアプリケーションを起動してインバータ基板マイコン25のモニタ通信を実施して(S240)、完了する。
【0041】
インバータ基板マイコン25のモニタ通信ではなく、制御基板マイコン31のモニタ通信を実施する場合(S200の「NO」)、まず、図14に示すように、第1ショートピンコネクタ41および第2ショートピンコネクタ51のいずれにもショートピンを挿入することなく、メンテナンス用PC100をUSB端子32に接続する(S250)。次に、燃料電池システム10の電源をオンする(S260)。これにより、図14に示すように、制御基板マイコン31のソフト書き換えモードポートx1にハイレベル信号が入力されるため、制御基板マイコン31の動作モードがモニタ通信モードとなる。同時に、第1スイッチ部42のスイッチ42bのゲート端子にハイレベル信号が入力されて当該スイッチ42bが閉成されるため、USBコントローラ33と制御基板マイコン31のモニタ用通信ポートx3とが接続される。これにより、メンテナンス用PC100は、モニタ用通信ポートx3を介して制御基板マイコン31と通信可能に接続される。そして、メンテナンス用PC100の対応するアプリケーションを起動して制御基板マイコン31のモニタ通信を実施して(S270)、完了する。
【0042】
上述した実施形態では、制御基板マイコン31は、メンテナンスの用途ごとに異なる複数の通信ポート(ソフト書き換え用通信ポートx2,モニタ用通信ポートx3)を備えるものとした。しかし、制御基板マイコン31は、インバータ基板マイコン25と同様に、メンテナンス用の単一の通信ポートを備え、制御基板マイコン31の動作モードがソフト書き換えモードとなるようにソフト書き換えモードポートx1の状態を切り替えることで、当該単一の通信ポートを介してソフトウエアの書き換えが実行され、制御基板マイコン31の動作モードがモニタ通信モードとなるようにソフト書き換えモードポートx1の状態を切り替えることで、当該単一の通信ポートを介してモニタ通信が実行されてもよい。
【0043】
上述した実施形態では、インバータ基板マイコン25は、ソフト書き換えモードポートy1の状態を切り替えることで、ソフト書き換え用通信ポートy2を介してメンテナンス用PC100と通信することによりソフトウエアの書き換えとモニタ通信とを実行可能に構成されるものとした。しかし、インバータ基板マイコン25は、制御基板マイコン31と同様に、それぞれメンテナンスの用途の異なる複数の通信ポート(ソフトウエアの書き換えが可能なソフト書き換え用通信ポートやモニタ通信が可能なモニタ用通信ポート)を備え、用途ごとに異なる通信ポートを介してメンテナンス用PC100と通信可能に構成されてもよい。また、インバータ基板マイコン25のメンテナンスとして、ソフトウエアの書き換えとモニタ通信とを実行可能としたが、モニタ通信は実行しないものとしてもよい。
【0044】
上述した実施形態は、本発明の通信切替装置を、燃料電池システム10に適用するものとしたが、複数の制御装置(マイコン)を備えるシステムであれば、如何なるシステムに適用するものとしてもよい。
【0045】
実施形態の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施形態では、ソフト書き換えモードポートx1が「第1モード設定用ポート」に相当し、ソフト書き換え用通信ポートx2とモニタ用通信ポートx3とが「第1通信ポート」に相当し、制御基板マイコン31が「第1制御装置」に相当し、ソフト書き換えモードポートy1が「第2モード設定用ポート」に相当し、ソフト書き換え用通信ポートy2が「第2通信ポート」に相当し、インバータ基板マイコン25が「第2制御装置」に相当し、USB端子32が「外部接続コネクタ」に相当し、USBコントローラ33が「通信コントローラ」に相当し、第1スイッチ部42が「第1スイッチ部」に相当し、第1ショートピンコネクタ41が「第1短絡部材接続コネクタ部」に相当し、第1切替回路40,140が「第1切替回路」に相当し、第2スイッチ部52,152が「第2スイッチ部」に相当し、第2ショートピンコネクタ51が「第2短絡部材接続コネクタ部」に相当し、第2切替回路50,150が「第2切替回路」に相当する。また、燃料電池11が「発電装置」に相当し、DC/DCコンバータ22とインバータ23とが「電力変換装置」に相当し、制御基板30が「制御基板」に相当し、インバータ基板21が「電力変換基板」に相当し、制御基板マイコン31が「制御用マイクロコンピュータ」に相当し、インバータ基板マイコン25が「電力変換用マイクロコンピュータ」に相当する。
【0046】
なお、実施形態の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施形態が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施形態は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
【0047】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、通信切替装置の製造産業などに利用可能である。
【符号の説明】
【0049】
1 電力系統、10 燃料電池システム、10h 筐体、11 燃料電池(FC)、12 貯湯タンク、20 パワーコンディショナ、21 インバータ基板、22 DC/DCコンバータ、23 インバータ、24 リレー、25 インバータ基板マイクロコンピュータ(インバータ基板マイコン)、29 電源基板、30 制御基板、31 制御基板マイクロコンピュータ(制御基板マイコン)、32 USB端子、33 USBコントローラ、40,140 第1切替回路、41 第1ショートピンコネクタ、41a 第1端子、41b 第2端子、41c 第3端子、41d 第4端子、42 第1スイッチ部、41a,41b スイッチ、43,44 抵抗、50,150 第2切替回路、51 第2ショートピンコネクタ、51a 第1端子、51b 第2端子、51c 第3端子、51d 第4端子、52,152 第2スイッチ部、52a,52b,152a スイッチ、53,54,154 抵抗、55,56,145 インバータ(論理否定回路)、100 メンテナンス用パーソナルコンピュータ(メンテナンス用PC)、x1 ソフト書き換えモードポート、x2 ソフト書き換え用通信ポート、x3 モニタ用通信ポート、y1 ソフト書き換えモードポート、y2 ソフト書き換え用通信ポート、Vcc 電圧源、P12,1-2ショートピン、P34 3-4ショートピン。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14