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特許7404891プロジェクターの制御方法及びプロジェクター
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】プロジェクターの制御方法及びプロジェクター
(51)【国際特許分類】
   G09G 5/00 20060101AFI20231219BHJP
   G03B 21/00 20060101ALI20231219BHJP
   G09G 5/26 20060101ALI20231219BHJP
   G09G 5/22 20060101ALI20231219BHJP
   H04N 5/74 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
G09G5/00 510B
G03B21/00 D
G09G5/00 550C
G09G5/26 650Z
G09G5/26 G
G09G5/22 630M
G09G5/22 630D
G09G5/22 630G
H04N5/74 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020011414
(22)【出願日】2020-01-28
(65)【公開番号】P2021117389
(43)【公開日】2021-08-10
【審査請求日】2022-09-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】塚越 真一
【審査官】西島 篤宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-022044(JP,A)
【文献】特開2005-208823(JP,A)
【文献】特開2008-236595(JP,A)
【文献】特開2012-141809(JP,A)
【文献】特開2002-123350(JP,A)
【文献】特開2007-065542(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 5/00 - 5/42
G03B 21/00
H04N 5/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
焦点距離及び投写範囲を調整する光学系と、第1受信装置と、前記第1受信装置と異なる位置に配置される第2受信装置と、を備えたプロジェクターの制御方法であって、
パスワードの入力フィールドを含む画像をスクリーンに投写し、
センサーによって、前記光学系の設定に基づき前記画像の前記焦点距離及び前記投写範囲を検出し、
前記第1受信装置と、前記プロジェクターから前記スクリーンに向かう方向において前記第1受信装置と異なる位置に配置される前記第2受信装置との少なくとも何れかによって、リモコンから送信される電磁波である制御信号を受信し、
前記制御信号から前記入力フィールドに入力する前記パスワードの文字を決定し、
前記焦点距離及び前記投写範囲に基づき算出される前記スクリーンにおける投写面のサイズと、前記制御信号から判定される前記リモコンの位置との組み合わせに応じて、前記入力フィールドにおける基準サイズより小さなサイズを有する前記文字である縮小文字を投写し、
前記基準サイズを有する記号と前記縮小文字とを投写する、
プロジェクターの制御方法。
【請求項2】
前記投写面のサイズが閾値を超え、前記リモコンの位置が前記第1受信装置及び前記第2受信装置の中間位置を基準として前記スクリーン側である場合において、前記縮小文字を投写する、請求項1に記載のプロジェクターの制御方法。
【請求項3】
前記投写面のサイズに応じて前記縮小文字のサイズを変更する請求項1又は2に記載のプロジェクターの制御方法。
【請求項4】
前記リモコンの位置は、前記第1受信装置及び前記第2受信装置のそれぞれにより受信される前記制御信号の電界強度から判定される、請求項1乃至3の何れか1項に記載のプロジェクターの制御方法。
【請求項5】
前記文字の確定に応じて前記縮小文字を消去する、請求項1乃至の何れか1項に記載のプロジェクターの制御方法。
【請求項6】
焦点距離及び投写範囲を調整する光学系を有し、パスワードの入力フィールドを含む画像をスクリーンに投写する投写装置と、
前記光学系の設定から前記画像の前記焦点距離及び前記投写範囲を検出するセンサーと、
第1受信装置と、
前記投写装置から前記スクリーンに向かう方向において前記第1受信装置と異なる位置に配置される第2受信装置と、
リモコンから送信される電磁波であり、前記第1受信装置及び前記第2受信装置の少なくとも何れかによって受信される制御信号から、前記入力フィールドに入力する前記パスワードの文字を決定する制御回路であって、前記焦点距離及び前記投写範囲から算出される前記スクリーンにおける投写面のサイズと、前記制御信号から判定される前記リモコンの位置との組み合わせに応じて、前記入力フィールドにおける基準サイズより小さなサイズを有する前記文字である縮小文字と前記基準サイズを有する記号とを投写するように前記投写装置を制御する制御回路と、
を備えるプロジェクター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクターの制御方法及びプロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、画面に表示する表示情報の元となるソース情報を解析して入力エリアを判別し、キーボードによって入力エリアに入力されるパスワード等の情報が見え難くなるようにソース情報を加工する装置を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-53899号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術をプロジェクターに適用すると、比較的大きなスクリーンに画一的にパスワード等の情報が表示されるため、パスワードの秘匿性が低下する場合がある。一方、パスワードを完全に隠すと、パスワード入力における操作性が低下する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様は、焦点距離及び投写範囲を調整する光学系と、第1受信装置と、前記第1受信装置と異なる位置に配置される第2受信装置と、を備えたプロジェクターの制御方法であって、パスワードの入力フィールドを含む画像をスクリーンに投写し、センサーによって、前記光学系の設定に基づき前記画像の前記焦点距離及び前記投写範囲を検出し、前記第1受信装置と、前記プロジェクターから前記スクリーンに向かう方向において前記第1受信装置と異なる位置に配置される前記第2受信装置との少なくとも何れかによって、リモコンから送信される電磁波である制御信号を受信し、前記制御信号から前記入力フィールドに入力する前記パスワードの文字を決定し、前記焦点距離及び前記投写範囲に基づき算出される前記スクリーンにおける投写面のサイズと、前記制御信号から判定される前記リモコンの位置との組み合わせに応じて、前記入力フィールドにおける基準サイズより小さなサイズを有する前記文字である縮小文字を投写することを含むプロジェクターの制御方法である。
【0006】
他の一態様は、焦点距離及び投写範囲を調整する光学系を有し、パスワードの入力フィールドを含む画像をスクリーンに投写する投写装置と、前記光学系の設定から前記画像の前記焦点距離及び前記投写範囲を検出するセンサーと、第1受信装置と、前記投写装置から前記スクリーンに向かう方向において前記第1受信装置と異なる位置に配置される第2受信装置と、リモコンから送信される電磁波であり、前記第1受信装置及び前記第2受信装置の少なくとも何れかによって受信される制御信号から、前記入力フィールドに入力する前記パスワードの文字を決定する制御回路であって、前記焦点距離及び前記投写範囲から算出される前記スクリーンにおける投写面のサイズと、前記制御信号から判定される前記リモコンの位置との組み合わせに応じて、前記入力フィールドにおける基準サイズより小さなサイズを有する前記文字である縮小文字を投写するように前記投写装置を制御する制御回路と、を備えるプロジェクターである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態に係るプロジェクターを説明する斜視図。
図2】実施形態に係るプロジェクターの基本構成を説明するブロック図。
図3】光学系の基本構成を説明するブロック図。
図4】入力画面の一例を説明する図。
図5】縮小文字の一例を説明する図。
図6】縮小文字の他の例を説明する図。
図7】入力画面の他の例を説明する図。
図8】実施形態に係るプロジェクターの制御方法を説明するフローチャート。
図9】入力画面の他の例を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1に示すように、実施形態に係る表示システム1は、例えば、プロジェクター10と、リモコン50とを備える。プロジェクター10は、画像DをスクリーンCに投写する。リモコン50は、例えばユーザーの操作に応じて、電磁波である制御信号を送信する。プロジェクター10は、リモコン50から送信される制御信号により制御される。スクリーンCとして、ロールスクリーンやホワイトボード等の平面が採用可能である。
【0009】
プロジェクター10は、筐体11、第1受信装置21、第2受信装置22、入力装置23及び投写装置40を備える。筐体11は、例えば、概略として直方体の形状を有する。筐体11は、プロジェクター10の部品を内側に収容するケースである。第1受信装置21及び第2受信装置22のそれぞれは、リモコン50から送信される制御信号を受信する受信機である。
【0010】
入力装置23は、ユーザーの操作を受け付ける入力機器である。入力装置23として、例えば、プッシュボタン、タッチセンサー、キーボード、ポインティングデバイス等、種々の入力装置が採用可能である。投写装置40は、画像Dを表す光を前方に射出することにより画像DをスクリーンCに投写する。図1では、投写装置40として、筐体11から光を外部に射出する部分を図示する。
【0011】
第1受信装置21は、筐体11の前部に配置される。第2受信装置22は、筐体11の後部に配置される。即ち、第2受信装置22は、投写装置40からスクリーンCに向かう方向において第1受信装置21と異なる位置に配置される。投写装置40からスクリーンCに向かう方向は、例えば、図1において一点鎖線で示す、画像Dを表す光の光軸に沿う方向である。例えば、第1受信装置21は、前方を向くように配置され、第2受信装置22は、後方を向くように配置される。入力装置23は、筐体11の外部に露出されるように筐体11に配置される。
【0012】
図2に示すように、リモコン50は、操作部51、制御部52及び送信装置53を備える。操作部51は、ユーザーの操作を受け付ける入力機器である。操作部51は、例えば、ボタンやタッチセンサー等の複数のスイッチを含む。操作部51は、例えば、ボタン、ボタンの組み合わせ、ボタンの押下時間等の操作パターンに応じて、ユーザーの各種操作を識別する。ユーザーの操作に応じた操作信号を制御部52に出力する。
【0013】
制御部52は、操作部51から入力される操作信号に応じた制御信号を送信するように送信装置53を制御する集積回路である。制御部52は、操作信号に対応する制御信号を生成し、送信装置53に出力する。送信装置53は、制御部52の制御に応じて、電磁波である制御信号をプロジェクター10に送信する。送信装置53により送信される電磁波は、例えば赤外線である。
【0014】
プロジェクター10は、映像信号インターフェイス(I/F)24、制御回路30、画像生成回路35及びセンサー45を更に備える。映像信号I/F24は、例えば、図示しない他の装置との間の通信リンクを介して映像信号を入力され、制御回路30に出力する。通信リンクは、有線又は無線を問わず、有線及び無線の組み合わせであってもよい。映像信号I/F24は、例えば、無線により信号を受信するアンテナ、信号を伝送するケーブルのプラグが差し込まれるレセプタクル、信号を処理する通信回路等を含み得る。
【0015】
制御回路30は、処理回路31及び記憶装置32を備える。処理回路31は、プロジェクター10の動作に必要な演算を処理する、コンピューターの処理装置を構成する。処理回路31は、例えば、記憶装置32に記憶される制御プログラムを実行することにより、実施形態に記載された各機能を実現する。処理回路31の少なくとも一部を構成する処理装置として、例えば、中央演算処理装置(CPU)、デジタルシグナルプロセッサー(DSP)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、特定用途向け集積回路(ASIC)等の論理演算回路を採用可能である。処理回路31は、一体のハードウェアから構成されてもよく、別個の複数のハードウェアから構成されてもよい。
【0016】
記憶装置32は、プロジェクター10の動作に必要な一連の処理を示す制御プログラムや各種データを記憶する、コンピューターにより読み取り可能な記憶媒体である。記憶装置32として、例えば半導体メモリーを採用可能である。記憶装置32は、不揮発性の補助記憶装置に限るものでなく、CPUに内蔵されるレジスターやキャッシュメモリー等の揮発性の主記憶装置を含み得る。記憶装置32は、一体のハードウェアから構成されてもよく、別個の複数のハードウェアから構成されてもよい。
【0017】
画像生成回路35は、処理回路31の制御に応じて、スクリーンCに投写する画像Dを示す画像信号を生成し、投写装置40に出力する。画像生成回路35は、制御回路30の制御プログラムにより生成されるコンピューターグラフィックスを示す画像信号を生成してもよく、映像信号I/F24を介して外部装置から入力される映像信号から画像信号を生成してもよい。画像生成回路35は、逐次生成する画像信号を投写装置40に出力する。画像生成回路35は、レンダリングエンジン、グラフィックスメモリー等を有する。画像生成回路35は、制御回路30の一部を構成する回路として機能してもよい。
【0018】
投写装置40は、光源41、光変調装置42及び光学系43を備える。光源41は、例えば、放電灯、固体光源等の発光素子を含む。光変調装置42は、複数の画素を有する液晶ライトバルブ等のライトバルブを含む。光変調装置42は、光源41から発せられた光を変調する。光学系43は、光変調装置42により変調される光の焦点距離E及び投写範囲Fを調整し、画像DとしてスクリーンCに投写する。
【0019】
図3に示すように、光学系43は、フォーカスレンズ81及びズームレンズ82を含む投写レンズ80と、フォーカス調整機構83と、ズーム調整機構84とを備える。フォーカス調整機構83は、フォーカスレンズ81を画像Dの光軸に沿って駆動することにより画像Dの焦点距離Eを調整する。本実施形態において焦点距離Eは、投写レンズ80とスクリーンCとの間の距離である投写距離とみなされ得る。フォーカス調整機構83は、例えば、制御回路30から出力される駆動信号に応じて駆動するモーターと、モーターの駆動をフォーカスレンズ81に伝達するギアとを備える。フォーカス調整機構83は、ユーザーにより直接的に操作されることにより手動でフォーカスレンズ81を駆動する構成を有してもよい。
【0020】
ズーム調整機構84は、ズームレンズ82を画像Dの光軸に沿って駆動することにより画像Dの投写範囲Fを調整する。本実施形態において投写範囲Fは、投写される画像Dのズーム倍率に相当する。ズーム調整機構84は、例えば、制御回路30から出力される駆動信号に応じて駆動するモーターと、モーターの駆動をズームレンズ82に伝達するギアとを備える。ズーム調整機構84は、ユーザーにより直接的に操作されることにより手動でズームレンズ82を駆動する構成を有してもよい。
【0021】
センサー45は、光学系43の設定から画像Dの焦点距離E及び投写範囲Fを検出する。センサー45は、例えば、フォーカス調整機構83の基準位置からの変位に基づいて焦点距離Eを検出するフォーカス検出器46と、ズーム調整機構84の基準位置からの変位に基づいて投写範囲Fを検出するズーム検出器47とを備える。フォーカス検出器46及びズーム検出器47のそれぞれは、例えば可変抵抗により安価に構成可能である。センサー45は、エンコーダー等の他の検出器を用いて焦点距離E及び投写範囲Fを検出してもよく、制御回路30の駆動信号に基づいて焦点距離E及び投写範囲Fを検出してもよい。
【0022】
制御回路30は、センサー45により検出される焦点距離E及び投写範囲Fから、スクリーンCにおける投写面のサイズを算出する。投写面は、投写される画像DがスクリーンC上に占める範囲を意味する。投写面のサイズは、例えば、制御回路30において予め互いに関連付けられた焦点距離E及び投写範囲Fから算出可能である。
【0023】
制御回路30は、第1受信装置21及び第2受信装置22の少なくとも何れかによって受信される制御信号から、リモコン50の位置を判定する。本実施形態において判定されるリモコン50の位置は、プロジェクター10の位置を基準として、スクリーンC側であるか否かを意味する。より詳細には、プロジェクター10の位置は、例えば、第1受信装置21及び第2受信装置22の中間位置と定義される。制御回路30は、例えば、第1受信装置21及び第2受信装置22のそれぞれにより受信される制御信号の電界強度からリモコン50の位置を判定する。
【0024】
例えば、第1受信装置21に受信される制御信号の電界強度が、第2受信装置22に受信される制御信号の電界強度より高い場合、リモコン50の位置はプロジェクター10の前方であると判定される。一方、第2受信装置22に受信される制御信号の電界強度が、第1受信装置21に受信される制御信号の電界強度より高い場合、リモコン50の位置はプロジェクター10の後方であると判定される。第1受信装置21及び第2受信装置22のそれぞれにより受信される制御信号の電界強度が同程度である場合、スクリーンCにより反射した制御信号が第1受信装置21に受信されたとみなすことができる。このため、リモコン50の位置はプロジェクター10の後方であると判定される。或いは、第1受信装置21及び第2受信装置22のそれぞれにより受信される制御信号の電界強度が同程度である場合、リモコン50の位置は、プロジェクター10の側方であると判定されてもよい。
【0025】
図4は、パスワードの入力のための、プロジェクター10が投写する画像Dの一例を示す図である。図4に示すように、制御回路30は、リモコン50又は入力装置23に対するユーザーの操作に応じて、パスワードの入力フィールド61を含む入力画面60を生成する。投写装置40は、制御回路30の制御に応じて、入力画面60を含む画像DをスクリーンCに投写する。制御回路30は、第1受信装置21及び第2受信装置22の少なくとも何れかによって受信される制御信号から、入力フィールド61に入力するパスワードの文字を決定する。即ち、ユーザーは、リモコン50を用いてパスワードの文字を入力フィールド61に入力することができる。
【0026】
なお、図4に示す例では、入力フィールド61における基準サイズを有する記号62と、基準サイズより小さなサイズを有する縮小文字63とが投写される。記号62は、パスワードの文字を秘匿することにより、パスワード入力中であることを意味する。即ち、記号62の投写は、ユーザー以外の人に、入力フィールド61においてパスワード入力が行われていることを知らせることができる。記号62は、例えばアスタリスク(*)である。
【0027】
図5は、入力フィールド61に表示される基準文字64および縮小文字の一例を示す図である。図5に示すように、縮小文字63は、例えば、基準サイズを有する基準文字64を縮小した文字である。例えば、画像Dの解像度がフルHD、即ち1920×1080である場合、基準サイズは、縦横各数十画素程度とすることができる。図5に示す例において、基準文字64の画素数は24×24、縮小文字63の画素数は5×7である。例えば、フルHDの画像Dが、100インチ程度の対角線を有する投写面に投写される場合、5×7の画素数を有する縮小文字63の高さは、7mm程度である。この場合、数mの距離から縮小文字63を視認することが困難となる。なお、このような縮小文字63の高さは、例えば15インチの液晶ディスプレイにおいて約1mmであり、近距離であっても視認困難である。
【0028】
投写面のサイズが閾値を超え、入力フィールド61に基準サイズの文字がパスワードとして入力される場合、文字をユーザー以外の人に視認される可能性が高い。また、リモコン50の位置がプロジェクター10の前方、即ちスクリーンC側に位置する場合、ユーザーがスクリーンCの近くに存在すると仮定できる。ユーザーがスクリーンCの近くに存在するのであれば、スクリーンCに投写される縮小文字63がユーザーに視認される可能性は高いと仮定できる。ユーザーが縮小文字63を視認可能であれば、リモコン50により入力される文字を確認できるため、パスワード入力における操作性を向上できる。
【0029】
制御回路30は、スクリーンCにおける投写面のサイズと、リモコン50の位置との組み合わせに応じて、入力フィールド61における基準サイズより小さなサイズを有する文字である縮小文字63を投写するように投写装置40を制御する。より詳細には、制御回路30は、投写面のサイズが閾値を超え、リモコン50の位置がプロジェクター10の位置を基準としてスクリーンC側である場合において、縮小文字63を投写するように投写装置40を制御する。このように、限定的な状況で縮小文字63を投写するため、プロジェクター10は、パスワードの秘匿性の低下を抑制しつつ、パスワード入力における操作性を向上することができる。
【0030】
図4に示す例では、パスワードを構成する文字のうち既に入力された1文字が、1組の記号62及び縮小文字63により表現される。これにより、ユーザーが既に入力したパスワードの文字数とパスワードの文字とを確認しながらパスワードを入力できる。このため、パスワード入力における操作性が向上される。1組の記号62及び縮小文字63は、互いに隣接する領域に配置されてもよく、図5に示す縮小文字63及び基準文字64のように、互いに重畳する領域に配置されてもよい。
【0031】
図6に示すように、縮小文字63は、コントラストや配色が調整されることにより、基準文字64より低い視認性を有してもよい。縮小文字63は、スクリーンCの近くに存在するユーザーのみに視認される程度の視認性を有することにより、パスワードの秘匿性の低下を更に抑制できる。
【0032】
図7に示すように、縮小文字63は、未確定の文字に関して選択的に投写するようにしてもよい。図7の2つの記号62のうち、始めの記号62は、既に確定された文字を意味する。このように、制御回路30は、入力中且つ未確定の文字に関して、文字が確定されるまで記号62と縮小文字63とを投写し、文字の確定に応じて縮小文字63を消去するようにしてもよい。これにより、パスワードの秘匿性の低下を更に抑制できる。
【0033】
以下、図8のフローチャートを参照して、プロジェクター10の制御方法として、プロ
ジェクター10が行う、パスワードの入力処理の動作の一例を説明する。図8に示す一連
の処理は、例えば、リモコン50又は入力装置23に対するユーザーの特定の操作に応じ
て開始され、一定の周期で繰り返し実行される。

【0034】
先ず、ステップS1において、制御回路30は、パスワードの入力画面60を含む画像DをスクリーンCに投写するように投写装置40を制御する。ステップS2において、制御回路30は、センサー45により検出される焦点距離E及び投写範囲Fを取得する。ステップS3において、制御回路30は、ステップS2で取得される焦点距離E及び投写範囲Fから、スクリーンCにおける投写面のサイズを算出する。
【0035】
ステップS4において、制御回路30は、ステップS3で算出される投写面のサイズが閾値を超えるか否かを判定する。閾値は、例えば、投写面の対角線が100インチとなるサイズである。閾値は、画像Dの解像度、焦点距離E等に応じて変更され得る。制御回路30は、投写面のサイズが閾値を超える場合、ステップS5に処理を進め、投写面のサイズが閾値を超えない場合、処理を終了する。
【0036】
ステップS5において、第1受信装置21と第2受信装置22との少なくとも何れかは、リモコン50から送信される制御信号を受信する。制御回路30は、ステップS5で受信される制御信号から、入力フィールド61に入力するパスワードの文字を決定する。ステップS6において、制御回路30は、ステップS5で受信される制御信号から、リモコン50の位置を判定する。即ち、制御回路30は、第1受信装置21に受信される制御信号の電界強度と、第2受信装置22に受信される制御信号の電界強度とを比較することにより、リモコン50の位置を判定する。
【0037】
ステップS7において、制御回路30は、ステップS6で判定されるリモコン50の位置がプロジェクター10の前方であるか否かを判定する。制御回路30は、リモコン50の位置がプロジェクター10の前方である場合、ステップS8に処理を進め、リモコン50の位置がプロジェクター10の前方でない場合、処理を終了する。
【0038】
ステップS8において、制御回路30は、入力フィールド61における基準サイズより小さなサイズを有する文字である縮小文字63を投写するように投写装置40を制御する。縮小文字63は、例えば、ステップS5で受信される制御信号により決定される文字である。
【0039】
一般的に、プロジェクター10に用いられるリモコン50の操作部51は、キーボード
等の入力装置に比べて少ないボタンを有する。このようなリモコン50を用いて英数字を
含むパスワードを入力する場合、ユーザーは、同一のボタンを複数回押すことにより文字
を選択する必要がある。図7に示す例において、1組の記号62及び縮小文字63は、「
*a」のように表示される。この場合、a,b,cの3種の文字が割り当てられるリモコ
ン50のボタンが押される毎に、記号62及び縮小文字63は、「*a」、「*b」、「*
c」のように順に変更される。プロジェクター10によれば、パスワード入力中において
、文字の確定まで縮小文字63が投写されることにより、パスワード入力における操作性
が向上される。このため、操作部51により入力される文字の種類が増加される。
【0040】
以上のように実施形態を説明したが、本発明はこれらの開示に限定されるものではない。各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成に置換されてよく、また、本発明の技術的範囲内において、各実施形態における任意の構成が省略されたり追加されたりしてもよい。このように、これらの開示から当業者には様々な代替の実施形態が明らかになる。
【0041】
例えば、既に述べた実施形態において、制御回路30は、図8のステップS4の処理として、投写面のサイズと焦点距離Eとの組み合わせに応じて、ステップS5に処理を進めるか否かを判定するようにしてもよい。例えば、投写面のサイズが閾値以下であっても、投写距離が十分離れている場合、ユーザー以外の人がプロジェクター10の前方に存在する可能性が高い。よって、制御回路30は、例えば、ステップS4において焦点距離Eが所定値を超える場合、処理を終了するようにしてもよい。
【0042】
制御回路30は、投写面のサイズに応じて縮小文字63のサイズを変更してもよい。例えば、制御回路30は、閾値を超える投写面のサイズの増加に応じて、画像Dにおけるサイズが縮小される縮小文字63を投写してもよい。これにより、パスワードの文字をユーザー以外の人に視認される可能性を低減し、パスワードの秘匿性の低下を更に抑制することができる。或いは、制御回路30は、投写面のサイズと焦点距離Eとの組み合わせに応じて縮小文字63のサイズを変更するようにしてもよい。縮小文字63の画素数の最小値は、例えばパスワードの文字が数字に限定される場合において、3×5である。
【0043】
図9に示すように、1組をなす記号62及び縮小文字63は、互いに隣接して配置されなくてもよい。また、縮小文字63は、入力フィールド61内に表示される必要はなく、画像D内に表示されていればよい。或いは、制御回路30は、入力中且つ未確定の文字に関して、文字が確定されるまで基準文字64を投写し、文字の確定に応じて基準文字64を消去して縮小文字63を投写するようにしてもよい。
【0044】
その他、上述の各構成を相互に応用した構成等、本発明は以上に記載しない様々な実施形態を含むことは勿論である。本発明の技術的範囲は、上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0045】
1…表示システム、10…プロジェクター、11…筐体、21…第1受信装置、22…第2受信装置、23…入力装置、24…映像信号I/F、30…制御回路、31…処理回路、32…記憶装置、35…画像生成回路、40…投写装置、41…光源、42…光変調装置、43…光学系、45…センサー、46…フォーカス検出器、47…ズーム検出器、50…リモコン、51…操作部、52…制御部、53…送信装置、60…入力画面、61…入力フィールド、62…記号、63…縮小文字、64…基準文字、80…投写レンズ、81…フォーカスレンズ、82…ズームレンズ、83…フォーカス調整機構、84…ズーム調整機構。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9