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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】箔転写装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 41/00 20060101AFI20231219BHJP
   B41F 16/00 20060101ALI20231219BHJP
   G03G 15/24 20060101ALI20231219BHJP
   B65H 20/00 20060101ALI20231219BHJP
   B41J 15/04 20060101ALI20231219BHJP
   B44C 1/17 20060101ALI20231219BHJP
   G03G 9/08 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
B65H41/00 A
B41F16/00 J
G03G15/24
B65H20/00 Z
B41J15/04
B44C1/17 B
B44C1/17 H
G03G9/08 391
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020012595
(22)【出願日】2020-01-29
(65)【公開番号】P2021116185
(43)【公開日】2021-08-10
【審査請求日】2022-11-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116034
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 啓輔
(74)【代理人】
【識別番号】100144624
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 達也
(72)【発明者】
【氏名】森 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】酒井 亮輔
(72)【発明者】
【氏名】大平 彩花
(72)【発明者】
【氏名】山本 智也
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-121709(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 41/00
B41F 16/00
G03G 15/24
B65H 20/00
B41J 15/04
B44C 1/17
G03G 9/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
箔を含む転写層を上に向けた箔フィルムの上にシートを重ねて、前記シートに前記転写層を転写する箔転写装置であって、
前記箔フィルムが巻回される供給リールと、
前記箔フィルムを巻き取るための巻取リールと、
前記箔フィルムを加熱する加熱部材と、
前記加熱部材との間で前記箔フィルムおよび前記シートを挟む加圧部材と、
前記加熱部材と前記加圧部材の間を通過した前記箔フィルムの進行方向を、前記シートの搬送方向とは異なる方向に変更することで、前記箔フィルムを前記シートから剥離させる剥離部材と、
前記加熱部材と前記剥離部材の間に位置する前記箔フィルムに向けて送風する第1ファンと、
開口を有する筐体本体と、
前記開口を通して前記筐体本体に着脱可能な箔転写用フィルムカートリッジと、を備え
前記箔転写用フィルムカートリッジは、前記供給リールおよび前記巻取リールを備えることを特徴とする箔転写装置。
【請求項2】
前記第1ファンは、前記箔フィルムの前記シートと重なる面に向けて送風することを特徴とする請求項1に記載の箔転写装置。
【請求項3】
前記開口は、上向きであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の箔転写装置。
【請求項4】
前記開口を開閉するカバーを備え、
前記カバーは、前記第1ファンを備えることを特徴とする請求項に記載の箔転写装置。
【請求項5】
前記カバーは、側面に吸気口を有し、
前記第1ファンは、前記吸気口から吸い込んだ空気を、前記筐体本体に向けて送風することを特徴とする請求項に記載の箔転写装置。
【請求項6】
箔を含む転写層を上に向けた箔フィルムの上にシートを重ねて、前記シートに前記転写層を転写する箔転写装置であって、
前記箔フィルムが巻回される供給リールと、
前記箔フィルムを巻き取るための巻取リールと、
前記箔フィルムを加熱する加熱部材と、
前記加熱部材との間で前記箔フィルムおよび前記シートを挟む加圧部材と、
前記加熱部材と前記加圧部材の間を通過した前記箔フィルムの進行方向を、前記シートの搬送方向とは異なる方向に変更することで、前記箔フィルムを前記シートから剥離させる剥離部材と、
前記加熱部材と前記剥離部材の間に位置する前記箔フィルムに向けて送風する第1ファンと、を備え、
前記第1ファンは、前記シートの搬送方向において、前記加熱部材よりも上流に配置されることを特徴とする箔転写装置。
【請求項7】
箔を含む転写層を上に向けた箔フィルムの上にシートを重ねて、前記シートに前記転写層を転写する箔転写装置であって、
前記箔フィルムが巻回される供給リールと、
前記箔フィルムを巻き取るための巻取リールと、
前記箔フィルムを加熱する加熱部材と、
前記加熱部材との間で前記箔フィルムおよび前記シートを挟む加圧部材と、
前記加熱部材と前記加圧部材の間を通過した前記箔フィルムの進行方向を、前記シートの搬送方向とは異なる方向に変更することで、前記箔フィルムを前記シートから剥離させる剥離部材と、
前記加熱部材と前記剥離部材の間に位置する前記箔フィルムに向けて送風する第1ファンと、
前記第1ファンから排出される空気を案内する第1ダクトであって、空気の排出口が前記箔フィルムの幅方向の一端から他端にわたって形成される第1ダクトと、を備えることを特徴とする箔転写装置。
【請求項8】
箔を含む転写層を上に向けた箔フィルムの上にシートを重ねて、前記シートに前記転写層を転写する箔転写装置であって、
前記箔フィルムが巻回される供給リールと、
前記箔フィルムを巻き取るための巻取リールと、
前記箔フィルムを加熱する加熱部材と、
前記加熱部材との間で前記箔フィルムおよび前記シートを挟む加圧部材と、
前記加熱部材と前記加圧部材の間を通過した前記箔フィルムの進行方向を、前記シートの搬送方向とは異なる方向に変更することで、前記箔フィルムを前記シートから剥離させる剥離部材と、
前記加熱部材と前記剥離部材の間に位置する前記箔フィルムに向けて送風する第1ファンと、
前記加熱部材と前記剥離部材の間に位置する前記箔フィルム周りの空気を、外部に排出する第2ファンと、を備えることを特徴とする箔転写装置。
【請求項9】
前記第2ファンは、軸流ファンであることを特徴とする請求項に記載の箔転写装置。
【請求項10】
電源基板と、
前記電源基板周りの空気を前記第2ファンに案内する第2ダクトと、を備えることを特徴とする請求項または請求項に記載の箔転写装置。
【請求項11】
前記加熱部材の温度を検知する第1温度検知部材を備え、
前記第1温度検知部材は、前記加熱部材と前記剥離部材の間に位置する箔フィルムの面直方向から見て、前記箔フィルムと重なる位置であって、かつ、前記箔フィルムに対して前記シートとは反対側に配置されることを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の箔転写装置。
【請求項12】
前記第1温度検知部材は、サーモスタットであることを特徴とする請求項11に記載の箔転写装置。
【請求項13】
前記供給リールおよび前記巻取リールを備え、第1箔フィルムが前記供給リールに巻回された第1箔転写用フィルムカートリッジと、前記供給リールおよび前記巻取リールを備え、第2箔フィルムが前記供給リールに巻回された第2箔転写用フィルムカートリッジとが、選択的に着脱可能な筐体本体を備え、
前記第1箔転写用フィルムカートリッジが前記筐体本体に装着されたときの前記第1箔フィルムの幅方向の位置は、前記第2箔転写用フィルムカートリッジが前記筐体本体に装着されたときの前記第2箔フィルムの幅方向の位置と異なり、
前記第1温度検知部材は、
前記第1箔転写用フィルムカートリッジが前記筐体本体に装着されたときに、前記加熱部材と前記剥離部材の間に位置する第1箔フィルムの面直方向から見て、前記第1箔フィルムと重なり、かつ、前記第2箔転写用フィルムカートリッジが前記筐体本体に装着されたときに、前記加熱部材と前記剥離部材の間に位置する第2箔フィルムの面直方向から見て、前記第2箔フィルムと重なる位置に、配置されることを特徴とする請求項11または請求項12に記載の箔転写装置。
【請求項14】
箔を含む転写層を上に向けた箔フィルムの上にシートを重ねて、前記シートに前記転写層を転写する箔転写装置であって、
前記箔フィルムが巻回される供給リールと、
前記箔フィルムを巻き取るための巻取リールと、
前記箔フィルムを加熱する加熱部材と、
前記加熱部材との間で前記箔フィルムおよび前記シートを挟む加圧部材と、
前記加熱部材と前記加圧部材の間を通過した前記箔フィルムの進行方向を、前記シートの搬送方向とは異なる方向に変更することで、前記箔フィルムを前記シートから剥離させる剥離部材と、
前記加熱部材と前記剥離部材の間に位置する前記箔フィルムに向けて送風する第1ファンと、
前記加熱部材の温度を検知する第2温度検知部材と、を備え、
前記第2温度検知部材は、前記シートの搬送方向において、前記加熱部材および前記加圧部材の上流に配置されることを特徴とする箔転写装置。
【請求項15】
前記第2温度検知部材は、前記加熱部材への通電を制御するための温度を検知するサーミスタであることを特徴とする請求項14に記載の箔転写装置。
【請求項16】
前記第2温度検知部材は、
前記箔フィルムの幅方向において第1位置に配置される第1サーミスタと、
前記幅方向において前記第1位置とは異なる第2位置に配置される第2サーミスタと、を有することを特徴とする請求項14または請求項15に記載の箔転写装置。
【請求項17】
前記加熱部材は、加熱ローラであり、
シート上に形成されたトナー像の上に前記転写層を転写させることを特徴とする請求項1から請求項16のいずれか1項に記載の箔転写装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートに箔を転写する箔転写装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、箔転写装置として、箔を有する箔フィルムを、トナー像が形成されたシートに重ね、加熱することにより、トナー像に箔を転写するものが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開昭61-252190号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、箔転写装置において、重ねた状態のシートおよび箔フィルムを加熱した後、シートから箔フィルムを剥がす際に、箔フィルム等の温度が高いと、シートからの箔フィルムの剥離性が悪くなり、箔をシートに良好に転写できないという問題が生じる。
【0005】
そこで、本発明は、シートからの箔フィルムの剥離性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明に係る箔転写装置は、箔を含む転写層を上に向けた箔フィルムの上にシートを重ねて、前記シートに前記転写層を転写する箔転写装置であって、前記箔フィルムが巻回される供給リールと、前記箔フィルムを巻き取るための巻取リールと、前記箔フィルムを加熱する加熱部材と、前記加熱部材との間で前記箔フィルムおよび前記シートを挟む加圧部材と、前記加熱部材と前記加圧部材の間を通過した前記箔フィルムの進行方向を、前記シートの搬送方向とは異なる方向に変更することで、前記箔フィルムを前記シートから剥離させる剥離部材と、前記加熱部材と前記剥離部材の間に位置する前記箔フィルムに向けて送風する第1ファンと、を備える。
【0007】
この構成によれば、加熱部材と剥離部材の間に位置する、箔フィルムおよびシート(シートに転写された転写層を含む)を第1ファンからの送風によって冷却するので、シートからの箔フィルムの剥離性を向上させることができる。
【0008】
また、前記第1ファンは、前記箔フィルムの前記シートと重なる面に向けて送風するように構成されていてもよい。
【0009】
この構成によれば、供給リールと巻取リールの間に、第1ファンまたは送風用のダクトなどを配置するための送風用のスペースを確保する必要がない。
【0010】
なお、このような各リール間に送風用のスペースの確保が不要な構成の場合には、前記箔転写装置は、開口を有する筐体本体と、前記開口を通して前記筐体本体に着脱可能な箔転写用フィルムカートリッジと、を備え、前記箔転写用フィルムカートリッジは、前記供給リールおよび前記巻取リールを備えていてもよい。
【0011】
これによれば、各リール間に送風用のスペースの確保が必要ないので、各リール間を必要以上に空ける必要がなく、箔転写用フィルムカートリッジが大型化するのを抑制することができる。
【0012】
また、前記開口は、上向きであってもよい。
【0013】
これによれば、箔転写用フィルムカートリッジを筐体本体の上から着脱することができる。
【0014】
また、前記箔転写装置は、前記開口を開閉するカバーを備え、前記カバーは、前記第1ファンを備えていてもよい。
【0015】
これによれば、例えば筐体本体が第1ファンを備える構成と比べ、筐体本体を小型化することができる。
【0016】
また、前記カバーは、側面に吸気口を有し、前記第1ファンは、前記吸気口から吸い込んだ空気を、前記筐体本体に向けて送風するように構成されていてもよい。
【0017】
これによれば、例えばカバーの上面に吸気口を設ける構成と比べ、カバー上面に付着した液体が筐体本体内に流れ込むのを抑制することができる。
【0018】
また、前記第1ファンは、前記シートの搬送方向において、前記加熱部材よりも上流に配置されていてもよい。
【0019】
これによれば、箔転写装置のシート排出口をユーザ側に向けて配置した場合には、第1ファンがユーザから離れた位置に配置されるので、静音性を向上させることができる。
【0020】
また、前記箔転写装置は、前記第1ファンから排出される空気を案内する第1ダクトであって、空気の排出口が前記箔フィルムの幅方向の一端から他端にわたって形成される第1ダクトを備えていてもよい。
【0021】
これによれば、箔フィルムおよびシートの幅方向の一端から他端にわたって空気を当てることができるので、箔フィルムおよびシートを効率よく冷却することができる。
【0022】
また、前記加熱部材と前記剥離部材の間に位置する前記箔フィルム周りの空気を、外部に排出する第2ファンを備えていてもよい。
【0023】
これによれば、加熱部材と剥離部材の間に位置する、箔フィルムおよびシートを効率良く冷却することができる。
【0024】
また、前記第2ファンは、軸流ファンであってもよい。
【0025】
これによれば、例えばシロッコファンなどに比べ、風量を大きくすることができるので、箔フィルムおよびシートをより効率良く冷却することができる。
【0026】
また、前記箔転写装置は、電源基板と、前記電源基板周りの空気を前記第2ファンに案内する第2ダクトと、を備えていてもよい。
【0027】
これによれば、電源基板を冷却することができる。
【0028】
また、前記箔転写装置は、前記加熱部材の温度を検知する第1温度検知部材を備え、前記第1温度検知部材は、前記加熱部材と前記剥離部材の間に位置する箔フィルムの面直方向から見て、前記箔フィルムと重なる位置であって、かつ、前記箔フィルムに対して前記シートとは反対側に配置されていてもよい。
【0029】
これによれば、第1温度検知部材が第1ファンからの風の影響を受けるのを抑制することができる。
【0030】
また、前記第1温度検知部材は、サーモスタットであってもよい。
【0031】
加熱部材と剥離部材の間の空間は、加熱部材で加熱されたシートの熱の影響も受けるため、加熱部材よりも上流の空間に比べて温度が高くなりやすい。このように温度が高くなりやすい位置にサーモスタットを設けることで、迅速にサーモスタットを作動させることができる。
【0032】
また、前記箔転写装置は、前記供給リールおよび前記巻取リールを備え、第1箔フィルムが前記供給リールに巻回された第1箔転写用フィルムカートリッジと、前記供給リールおよび前記巻取リールを備え、第2箔フィルムが前記供給リールに巻回された第2箔転写用フィルムカートリッジとが、選択的に着脱可能な筐体本体を備え、前記第1箔転写用フィルムカートリッジが前記筐体本体に装着されたときの前記第1箔フィルムの幅方向の位置は、前記第2箔転写用フィルムカートリッジが前記筐体本体に装着されたときの前記第2箔フィルムの幅方向の位置と異なり、前記第1温度検知部材は、前記第1箔転写用フィルムカートリッジが前記筐体本体に装着されたときに、前記加熱部材と前記剥離部材の間に位置する第1箔フィルムの面直方向から見て、前記第1箔フィルムと重なり、かつ、前記第2箔転写用フィルムカートリッジが前記筐体本体に装着されたときに、前記加熱部材と前記剥離部材の間に位置する第2箔フィルムの面直方向から見て、前記第2箔フィルムと重なる位置に、配置されていてもよい。
【0033】
これによれば、第1箔転写用フィルムカートリッジおよび第2箔転写用フィルムカートリッジのいずれが筐体本体に装着された場合であっても、第1温度検知部材が風の影響を受けるのを抑制することができる。
【0034】
また、前記箔転写装置は、前記加熱部材の温度を検知する第2温度検知部材を備え、前記第2温度検知部材は、前記シートの搬送方向において、前記加熱部材および前記加圧部材の上流に配置されていてもよい。
【0035】
これによれば、加熱部材と剥離部材の間に位置するシートまたは箔フィルムに当たった風が第2温度検知部材に向けて移動しようとしても、加熱部材および加圧部材で遮られるので、第2温度検知部材が風の影響を受けるのを抑制することができる。
【0036】
また、前記第2温度検知部材は、前記加熱部材への通電を制御するための温度を検知するサーミスタであってもよい。
【0037】
これによれば、サーミスタが、加熱部材で加熱されたシートの熱の影響を受けるのを抑制することができる。
【0038】
また、前記第2温度検知部材は、前記箔フィルムの幅方向において第1位置に配置される第1サーミスタと、前記幅方向において前記第1位置とは異なる第2位置に配置される第2サーミスタと、を有していてもよい。
【0039】
これによれば、加熱部材の幅方向で異なる部位を第1サーミスタと第2サーミスタとで検知することができる。また、2つのサーミスタが、加熱部材で加熱されたシートの熱の影響を受けるのを抑制することができる。
【0040】
また、前記加熱部材は、加熱ローラであり、前記箔転写装置は、シート上に形成されたトナー像の上に前記転写層を転写させる装置であってもよい。
【発明の効果】
【0041】
本発明によれば、シートからの箔フィルムの剥離性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】本発明の一実施形態に係る箔転写装置を示す図(a)と、箔フィルムの構成を示す断面図(b)である。
図2】箔転写装置のカバーを開けた状態を示す図である。
図3】フィルムユニットを示す分解斜視図である。
図4】箔フィルムの幅や位置が異なる3種類の箔転写用フィルムカートリッジを示す斜視図(a)~(c)である。
図5】温度検知部材と箔フィルムの関係を示す図である。
図6】箔転写装置を示す斜視図である。
図7】第1ダクトを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本発明の一実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。以下の説明において、方向は、図1(a)に示す方向で説明する。すなわち、図1(a)の右側を「前」とし、図1(a)の左側を「後」とし、図1(a)の紙面手前側を「左」とし、図1(a)の紙面奥側を「右」とする。また、図1(a)の上下を「上下」とする。
【0044】
図1(a)に示すように、箔転写装置1は、例えばレーザプリンタ等の画像形成装置によってシートS上に形成されたトナー像の上にアルミニウム等の箔を有する転写層を転写するための装置である。箔転写装置1は、筐体2と、シートトレイ3と、シート搬送部10と、フィルム供給部30と、転写部50とを備えている。
【0045】
筐体2は、樹脂などからなり、筐体本体21と、カバー22とを備えている。筐体本体21は、上部に開口21A(図2参照)を有している。開口21Aは、筐体本体21に後述するフィルムユニットFUを着脱するための開口である。開口21Aは、上向きとなっている。カバー22は、開口21Aを開閉するための部材である。カバー22の後端部は、筐体本体21に回動可能に支持されている。
【0046】
シートトレイ3は、用紙、OHPフィルム等のシートSが載置されるトレイである。シートトレイ3は、筐体2の後部に設けられている。なお、シートSは、トナー像が形成された面を下向きにしてシートトレイ3上に載置される。
【0047】
シート搬送部10は、シート供給機構11と、シート排出機構12とを備えている。シート供給機構11は、シートトレイ3上のシートSを一枚ずつ転写部50に向けて搬送する機構である。シート供給機構11は、ピックアップローラと搬送ローラを備えている。
【0048】
シート排出機構12は、転写部50を通過したシートSを筐体2の外部に排出する機構である。シート排出機構12は、複数の搬送ローラを備えている。
【0049】
フィルム供給部30は、シート供給機構11から搬送されたシートSに重ねるように箔フィルムFを供給する部分である。フィルム供給部30は、フィルムユニットFUと、モータ等の駆動源80を備えている。
【0050】
フィルムユニットFUは、図2に示すように、筐体本体21に上から着脱可能となっている。フィルムユニットFUは、供給リール31と、巻取リール35と、第1案内軸41と、剥離部材の一例としての第2案内軸42と、第3案内軸43とを備えている。フィルムユニットFUの供給リール31には、箔フィルムFが巻回されている。
【0051】
図1(b)に示すように、箔フィルムFは、支持層F1と、被支持層F2とを有する。支持層F1は、高分子材料からなるテープ状の透明な基材であり、被支持層F2を支持している。
【0052】
被支持層F2は、剥離層F21と、転写層F22と、接着層F23とを有する。剥離層F21は、支持層F1から転写層F22を剥離しやすくするための層であり、支持層F1と転写層F22との間に配置されている。剥離層F21は、支持層F1から剥離しやすい透明な材料、例えばワックス系樹脂を含んでいる。
【0053】
転写層F22は、トナー像に転写される層であり、箔を含んでいる。箔とは、金、銀、銅、アルミニウム等の金属であって薄く延された金属である。また、転写層F22は、金色、銀色、赤色などの着色材料と、熱可塑性樹脂とを含む。転写層F22は、剥離層F21と接着層F23との間に配置されている。
【0054】
接着層F23は、転写層F22をトナー像に接着しやすくするための層である。接着層F23は、後述する転写部50によって加熱されたトナー像に付着しやすい材料、例えば塩化ビニル系樹脂やアクリル系樹脂を含んでいる。
【0055】
図1(a)に示すように、供給リール31は、樹脂などからなり、箔フィルムFが巻回される供給軸部31Aを有している。箔フィルムFは、転写層F22を含む被支持層F2が供給軸部31Aに接触するようにして、供給軸部31Aに巻回されている。すなわち、箔フィルムFは、支持層F1を外側、被支持層F2(転写層F22)を内側にして、供給リール31に巻回されている。これにより、供給軸部31Aに巻かれたロール状の箔フィルムFのうち最も外側に位置する部分において、支持層F1が被支持層F2の外側に位置している。
【0056】
巻取リール35は、樹脂などからなり、箔フィルムFを巻き取るための巻取軸部35Aを有している。箔フィルムFは、転写層F22を含む被支持層F2が巻取軸部35Aに接触するようにして、巻取軸部35Aに巻回されている。すなわち、箔フィルムFは、支持層F1を外側、被支持層F2(転写層F22)を内側にして、巻取リール35に巻回される。これにより、巻取軸部35Aに巻かれたロール状の箔フィルムFのうち最も外側に位置する部分において、支持層F1が被支持層F2の外側に位置している。
【0057】
なお、図1(a)等においては、便宜上、供給リール31および巻取リール35の両方に箔フィルムFが最大に巻回された状態を図示することとする。実際には、フィルムユニットFUが新品の状態においては、供給リール31に巻回されたロール状の箔フィルムFの径は最大となっており、巻取リール35には箔フィルムFが巻回されていない、もしくは、巻取リール35に巻回されたロール状の箔フィルムFの径は最小となっている。また、フィルムユニットFUの寿命時(箔フィルムFを使い切ったとき)においては、巻取リール35に巻回されたロール状の箔フィルムFの径は最大となり、供給リール31には箔フィルムFが巻回されていない、もしくは、供給リール31に巻回されたロール状の箔フィルムFの径は最小となる。
【0058】
第1案内軸41、第2案内軸42および第3案内軸43は、箔フィルムFの進行方向を変更するための軸である。第1案内軸41、第2案内軸42および第3案内軸43は、SUS(ステンレス鋼)などからなっている。
【0059】
第1案内軸41は、シートSの搬送方向において、転写部50の上流に位置する。第1案内軸41は、供給リール31から引き出される箔フィルムFの進行方向を、シートSの搬送方向と略平行となるように変更する。第1案内軸41は、箔フィルムFの支持層F1に接触している。
【0060】
このような第1案内軸41によって案内される箔フィルムFは、被支持層F2(図1(b)参照)を上に向けた状態で、転写部50に向けて搬送される。また、シートSは、被支持層F2が上に向いた状態の箔フィルムFの上に重ねられて、箔フィルムFとともに転写部50に向けて搬送される。
【0061】
第2案内軸42は、シートSの搬送方向において、転写部50の下流に位置する。第2案内軸42は、転写部50、詳しくは後述する加圧ローラ51と加熱ローラ61の間を通過した箔フィルムFの進行方向をシートSの搬送方向とは異なる方向に変更することで、箔フィルムFをシートSから剥離させている。第2案内軸42は、箔フィルムFの支持層F1に接触している。
【0062】
第3案内軸43は、シートSから箔フィルムFを剥離させるときの箔フィルムFの角度(以下、「剥離角度」ともいう。)を規定している。ここで、剥離角度は、箔フィルムFのうち、第1案内軸41と第2案内軸42の間で張架される部分と、第2案内軸42と第3案内軸43の間で張架される部分とのなす角である。第3案内軸43は、第2案内軸42で案内された箔フィルムFの進行方向を変更して巻取リール35に案内している。第3案内軸43は、箔フィルムFの被支持層F2(接着層F23)に接触している。
【0063】
フィルムユニットFUを箔転写装置1に装着した状態において、巻取リール35は、筐体2に設けられた駆動源80によって図示反時計回りに回転駆動される。巻取リール35が回転すると、供給リール31に巻回された箔フィルムFが引き出され、引き出された箔フィルムFが各案内軸41~43で案内されて巻取リール35に巻き取られていく。詳しくは、箔転写中において、後述する加圧ローラ51と加熱ローラ61によって箔フィルムFが送り出されることで、供給リール31から箔フィルムFが引き出される。そして、加圧ローラ51と加熱ローラ61から送り出された箔フィルムFが、巻取リール35に巻き取られていく。
【0064】
転写部50は、シートSと箔フィルムFを重ねた状態で加熱および加圧することで、シートSに形成されたトナー像の上に転写層F22を転写するための部分である。転写部50は、加圧部材の一例としての加圧ローラ51と、加熱部材の一例としての加熱ローラ61とを備えている。転写部50は、加圧ローラ51と加熱ローラ61のニップ部において、シートSと箔フィルムFを重ねて加熱および加圧する。
【0065】
加圧ローラ51は、円筒状の芯金の周囲をシリコンゴムからなるゴム層で被覆したローラである。加圧ローラ51は、箔フィルムFの上側に配置され、シートSの裏面(トナー像が形成された面である表面と反対側の面)と接触可能となっている。
【0066】
加圧ローラ51は、両端部がカバー22に回転可能に支持されている。加圧ローラ51は、加熱ローラ61との間でシートSおよび箔フィルムFを挟み、駆動源80によって回転駆動されることで加熱ローラ61を従動回転させる。
【0067】
加熱ローラ61は、円筒状に形成された金属管の内部にヒータを配置したローラであり、箔フィルムFおよびシートSを加熱している。加熱ローラ61は、箔フィルムFの下側に配置され、箔フィルムFと接触している。
【0068】
なお、本実施形態では、加熱ローラ61を箔フィルムFに対して接触・離間させるための接離機構70によって加熱ローラ61を移動させている。接離機構70は、シートSの搬送方向において、供給リール31と巻取リール35の間に配置されている。接離機構70は、カバー22を閉じている状態においては、シートSが転写部50に供給されるタイミングに合わせて加熱ローラ61を、箔フィルムFに接触する接触位置に移動させている。また、接離機構70は、カバー22が開けられた場合や、転写部50においてシートSに箔転写を行わない場合には、加熱ローラ61を、箔フィルムFから離間する離間位置に位置させている。
【0069】
このように構成された箔転写装置1では、シートSの表面を下向きにしてシートトレイ3に載置されたシートSが、シート供給機構11により一枚ずつ転写部50に向けて搬送される。シートSは、転写部50のシート搬送方向における上流側で、供給リール31から供給された箔フィルムFと重ねられ、シートSのトナー像と箔フィルムFが接触した状態で転写部50に搬送される。
【0070】
転写部50においては、シートSと箔フィルムFが加圧ローラ51と加熱ローラ61の間のニップ部を通過する際に、加熱ローラ61と加圧ローラ51により加熱および加圧され、トナー像の上に箔(被支持層F2)が転写される。
【0071】
箔が転写された後、シートSと箔フィルムFは密着した状態で第2案内軸42まで搬送される。シートSと箔フィルムFが第2案内軸42を通過すると、箔フィルムFの搬送方向がシートSの搬送方向と異なる方向に変わるため、シートSから箔フィルムFが剥離、すなわち、トナー像に接着した被支持層F2が、箔フィルムFの支持層F1から剥離される。
【0072】
シートSから剥離され、シートS上のトナー像に接着した被支持層F2から剥離した支持層F1を含む箔フィルムFは、巻取リール35に巻き取られていく。一方、箔フィルムFが剥離されたシートSは、シート排出機構12によって、箔が転写された表面を下に向けた状態で、筐体2の外部に排出される。
【0073】
以下、図3および図4を参照して、フィルムユニットFUについて説明する。
図3に示すように、フィルムユニットFUは、樹脂などからなるホルダ100と、ホルダ100に着脱可能な箔転写用フィルムカートリッジFCとを備えている。箔転写用フィルムカートリッジFCは、前述した供給リール31および巻取リール35と、供給ケース32とを備えている。箔転写用フィルムカートリッジFCは、ホルダ100に取り付けられた状態で、筐体本体21の開口21Aを通して筐体本体21に着脱可能となっている。
【0074】
供給リール31(詳しくは、供給ケース32)および巻取リール35は、ホルダ100に対して、供給リール31の軸方向に直交する方向に着脱可能となっている。
【0075】
供給ケース32は、供給リール31を収容する中空のケースである。供給ケース32は、樹脂などからなり、略円筒状の外周壁32Aと、外周壁32Aの両端に設けられる略円板状の2つの側壁32Bとを有する。供給リール31は、供給ケース32の各側壁32Bに回転可能に支持されている。
【0076】
外周壁32Aには、3つの凹部32Dが供給リール31の軸方向に並んで形成されており、識別子としての係合片P1,P2,P3が各凹部32Dに固定可能である。
各側壁32Bは、供給リール31の軸方向から見て長尺状の係合部32Cを有している。各係合部32Cは、後述するホルダ100の着脱ガイドGによってガイドされる部位であり、角丸長方形状に形成されている。
【0077】
ホルダ100は、ベースフレーム110と、ベースフレーム110に回動可能(移動可能)に支持される規制フレーム120とを有している。
ベースフレーム110は、前述した第1案内軸41と第2案内軸42を回転可能に支持している。また、ベースフレーム110は、第1保持部111と、第2保持部112と、2つの連結部113と、2つの取手114とを有している。
規制フレーム120は、第3案内軸43を回転可能に支持している。
【0078】
第1保持部111は、供給ケース32を保持する部位である。第1保持部111は、供給ケース32を介して供給リール31を保持している。
第1保持部111の両側壁111Bは、供給ケース32の着脱時に供給ケース32を所定方向にガイドする着脱ガイドGを有している。
また、両側壁111Bの外側には、ボス111Cが設けられている。各ボス111Cは、フィルムユニットFUの筐体本体21への着脱時において、筐体本体21に形成された第1ガイドGD1(図2参照)でガイドされる部位である。
【0079】
第2保持部112は、巻取リール35を保持する部位である。詳しくは、第2保持部112は、規制フレーム120とともに、中空のケースを構成しており、中空のケース内に巻取リール35を収容している。なお、巻取リール35の巻取軸部35Aは、第2保持部112および規制フレーム120から軸方向に突出して、筐体本体21に形成された第2ガイドGD2(図2参照)でガイドされるようになっている。
【0080】
2つの連結部113は、第1保持部111と第2保持部112とを連結する部位である。各連結部113は、供給リール31の軸方向に間隔を開けて配置されている。
このように連結部113が形成されることで、ホルダ100は、供給リール31の軸方向に直交する直交方向に貫通する貫通穴100Aを有する。これにより、前述した接離機構70によって移動する加熱ローラ61が、貫通穴100Aを通って、箔フィルムFに対して接触・離間可能となっている。
【0081】
各取手114は、各連結部113の上に配置されている。各取手114は、ホルダ100のうち巻取リール35の軸方向両端にそれぞれ配置されている。
【0082】
ホルダ100には、箔フィルムFの幅と位置が異なる箔転写用フィルムカートリッジFCを装着することが可能である。例えば、ホルダ100には、図4に示す、第1箔転写用フィルムカートリッジFC1、第2箔転写用フィルムカートリッジFC2、または、第3箔転写用フィルムカートリッジFC3を装着可能である。
【0083】
図4(a)に示すように、幅がH1である第1箔フィルムF10を有し、第1箔フィルムF10が第1箔フィルムF10の幅方向の片側に寄せられて配置された第1箔転写用フィルムカートリッジFC1が装着されたフィルムユニットFUを第1フィルムユニットFU1と呼ぶ。第1フィルムユニットFU1は、箔転写装置1に装着された状態において、第1箔フィルムF10が加熱ローラ61の一端側に偏って配置されるように第1箔フィルムF10を保持している。なお、幅H1は、箔転写装置1で使用可能なシートSのうち最大幅のシートSの幅よりも小さい幅であり、一例として、110mm(後述する幅H3の半分の大きさ)である。
【0084】
第1フィルムユニットFU1では、外周壁32Aに形成された3つの凹部32Dのうち、中央の凹部32Dと、左右片側の凹部32Dに係合片P1,P2が固定されており、左右片側のもう一方の凹部32Dには係合片が固定されていない。
【0085】
図4(b)に示すように、幅がH2である第2箔フィルムF20を有し、第2箔フィルムF20が中央に寄せられて配置された第2箔転写用フィルムカートリッジFC2が装着されたフィルムユニットFUを第2フィルムユニットFU2と呼ぶ。第2フィルムユニットFU2は、箔転写装置1に装着された状態において、第2箔フィルムF20が加熱ローラ61の軸方向の中央に位置するように第2箔フィルムF20を保持している。なお、幅H2は、箔転写装置1で使用可能なシートSのうち最大幅のシートSの幅よりも小さい幅であり、一例として、110mm(後述する幅H3の半分の大きさ)である。
【0086】
第2フィルムユニットFU2では、外周壁32Aに形成された3つの凹部32Dのうち、左右両側の2つの凹部32Dには係合片P1,P3が固定されており、中央の凹部32Dには係合片が固定されていない。
【0087】
図4(c)に示すように、幅がH3である第3箔フィルムF30を有する第3箔転写用フィルムカートリッジFC3が装着されたフィルムユニットFUを第3フィルムユニットFU3と呼ぶ。第3フィルムユニットFU3は、箔転写装置1に装着された状態において、第3箔フィルムF30が加熱ローラ61の一端部から他端部にわたって配置されるように第3箔フィルムF30を保持している。なお、幅H3は、フィルムユニットFUに配置可能な箔フィルムFの最大幅、言い換えると箔転写装置1で使用可能なシートSのうち最大幅のシートSの幅よりも大きな幅であり、一例として、220mmである。
【0088】
第3フィルムユニットFU3では、外周壁32Aに形成された3つの凹部32Dのすべてに係合片P1,P2,P3が固定されている。
【0089】
筐体本体21には、前述した各フィルムユニットFU1~FU3が選択的に着脱可能となっている。なお、箔転写装置1は、係合片P1~P3に対応した3つのセンサを備えており、3つのセンサから出力される信号の組み合わせによって、フィルムユニットFUの種類を判別している。
【0090】
図1(a)および図5に示すように、箔転写装置1は、加熱ローラ61の温度を検知する第1温度検知部材SE1および第2温度検知部材SE2を有している。
【0091】
第1温度検知部材SE1は、加熱ローラ61の温度が所定値以上になった場合に加熱ローラ61への通電を遮断するサーモスタットであり、シートSの搬送方向において、加熱ローラ61および加圧ローラ51の下流に配置されている。第1温度検知部材SE1は、加熱ローラ61と第2案内軸42の間に位置する箔フィルムFの面直方向から見て、箔フィルムFと重なる位置であって、かつ、箔フィルムFに対してシートSとは反対側に配置されている(図1(a)参照)。
【0092】
言い換えると、第1温度検知部材SE1は、加熱ローラ61と第2案内軸42の間に位置する箔フィルムFの面直方向に投影したときに箔フィルムFと重なる位置であって、加熱ローラ61と第2案内軸42の間に位置する箔フィルムFの下に配置されている。ここで、面直方向とは、加熱ローラ61と第2案内軸42の間に位置する箔フィルムFの面に対して直交する方向をいう。
【0093】
第1箔転写用フィルムカートリッジFC1が筐体本体21に装着されたときの第1箔フィルムF10の幅方向の位置は、第2箔転写用フィルムカートリッジFC2が筐体本体21に装着されたときの第2箔フィルムF20の幅方向の位置と異なっている。詳しくは、第1箔転写用フィルムカートリッジFC1が筐体本体21に装着されたときの第1箔フィルムF10のうち幅方向の中央CL(所定位置)に対して幅方向の一方に配置される第1部位F11は、第2箔転写用フィルムカートリッジFC2が筐体本体21に装着されたときの第2箔フィルムF20の幅方向の範囲の外に位置する。また、第1箔転写用フィルムカートリッジFC1が筐体本体21に装着されたときの第1箔フィルムF10のうち幅方向の中央CL(所定位置)に対して幅方向の他方に配置される第2部位F12(ハッチングで図示)は、第2箔転写用フィルムカートリッジFC2が筐体本体21に装着されたときの第2箔フィルムF20の幅方向の範囲内に位置する。
【0094】
第1温度検知部材SE1は、第1箔転写用フィルムカートリッジFC1が筐体本体21に装着されたときにおいて、面直方向から見て、第1箔フィルムF10の第2部位F12と重なる位置に配置されている。つまり、第1温度検知部材SE1は、第1箔転写用フィルムカートリッジFC1が筐体本体21に装着されたときに、加熱ローラ61と第2案内軸42の間に位置する第1箔フィルムF10の面直方向から見て、第1箔フィルムF10と重なり、かつ、第2箔転写用フィルムカートリッジFC2が筐体本体21に装着されたときに、加熱ローラ61と第2案内軸42の間に位置する第2箔フィルムF20の面直方向から見て、第2箔フィルムF20と重なる位置に配置されている。なお、このような位置に配置される第1温度検知部材SE1は、第3箔転写用フィルムカートリッジFC3が筐体本体21に装着されたときにも、加熱ローラ61と第2案内軸42の間に位置する第3箔フィルムF30の面直方向から見て、第3箔フィルムF30と重なる(図示略)。
【0095】
第2温度検知部材SE2は、加熱ローラ61への通電を制御するための温度を検知する、第1サーミスタSE21、第2サーミスタSE22および第3サーミスタSE23を有している。第1サーミスタSE21、第2サーミスタSE22および第3サーミスタSE23は、シートSの搬送方向において、加熱ローラ61および加圧ローラ51の上流に配置されている。
【0096】
第1サーミスタSE21は、箔フィルムFの幅方向において第1位置に配置されている。第2サーミスタSE22は、幅方向において第1位置とは異なる第2位置に配置されている。第3サーミスタSE23は、幅方向において第1位置および第2位置とは異なる第3位置に配置されている。
【0097】
詳しくは、第1サーミスタSE21は、加熱ローラ61の軸方向の一端側に配置されている。第2サーミスタSE22は、加熱ローラ61の軸方向の中央に配置されている。第3サーミスタSE23は、加熱ローラ61の軸方向の他端側に配置されている。
【0098】
図1(a)に示すように、箔転写装置1は、第1ファン91と、第1ダクトD1と、電源基板EBと、第2ファン92と、第2ダクトD2とをさらに備えている。詳しくは、カバー22は、第1ファン91と、第1ダクトD1とを備えている。また、筐体本体21は、電源基板EBと、第2ファン92と、第2ダクトD2とを備えている。
【0099】
第1ファン91は、シロッコファンであり、加熱ローラ61と第2案内軸42の間に位置する箔フィルムFに向けて送風するためのファンである。第1ファン91は、シートSの搬送方向において、加熱ローラ61よりも上流に配置されている。
【0100】
第1ファン91は、箔フィルムFよりも上に配置されている。第1ファン91は、第1ダクトD1内に配置されている。
【0101】
第1ダクトD1は、箔フィルムFよりも上に配置されており、第1ファン91から排出される空気を、加熱ローラ61と第2案内軸42の間に位置する箔フィルムFのシートSと重なる面に向けて案内するダクトである。つまり、第1ファン91は、箔フィルムFのシートSと重なる面に向けて送風可能となっている。第1ダクトD1は、第1ファン91からシートSの搬送方向下流に向けて延びている。第1ダクトD1は、加圧ローラ51の上に配置されている。
【0102】
第1ダクトD1は、シートSの搬送方向の下流端に、空気の排出口D11を有している。排出口D11は、シートSの搬送方向において加熱ローラ61と第2案内軸42の間に配置され、箔フィルムFの上面に対向している。
【0103】
図6に示すように、カバー22は、側面22Aに吸気口22Bを有している。吸気口22Bは、例えば複数のスリットからなる。第1ファン91は、吸気口22Bから吸い込んだ空気を、第1ダクトD1(図1(a)参照)を介してカバー22から筐体本体21に向けて送風する。
【0104】
図7に示すように、第1ダクトD1は、カバー22の吸気口22Bに向けて開口する吸気口D12を有している。吸気口D12は、カバー22の側面22Aと第1ファン91の間に配置されている。第1ダクトD1の前述した排出口D11は、箔フィルムF、詳しくは第3箔フィルムF30の幅方向の一端から他端にわたって形成されている。つまり、排出口D11は、箔転写装置1で使用可能な箔フィルムFのうち最も幅広の箔フィルムF(第3箔フィルムF30)の幅方向の一端から他端にわたって形成されている。第1ダクトD1の断面積は、吸気口D12から排出口D11に向かうにつれて徐々に大きくなっている。
【0105】
図1(a)に示すように、電源基板EBは、加熱ローラ61内のヒータや駆動源80などに電力を供給するための電子部品を搭載する基板である。電源基板EBは、供給リール31に対して後方かつ下方に配置されている。
【0106】
第2ファン92は、軸流ファンであり、加熱ローラ61と第2案内軸42の間に位置する箔フィルムF周りの空気を、外部に排出する。言い換えると、第2ファン92は、第1ファン91から、加熱ローラ61と第2案内軸42の間の箔フィルムFに送風された空気を、外部に排出する。
【0107】
第2ファン92は、供給リール31および接離機構70の下に配置されている。第2ファン92は、シートSの搬送方向において、供給リール31の供給軸部31Aと巻取リール35の巻取軸部35Aとの間に配置されている。
【0108】
軸流ファンである第2ファン92の軸92Aは、供給リール31と巻取リール35の間に向けて延びている。第2ファン92は、第2ダクトD2内に配置されている。なお、軸92Aは、加熱ローラ61と第2案内軸42との間に向けるのが好ましい。
【0109】
第2ダクトD2は、電源基板EB周りの空気を第2ファン92に案内するダクトである。第2ダクトD2は、第1吸気孔D21と、複数の第2吸気孔D22と、複数の排気孔D23とを有している。
【0110】
第1吸気孔D21は、電源基板EBと第2ファン92の間に配置されている。第1吸気孔D21は、電源基板EBに向けて開口している。
【0111】
各第2吸気孔D22は、第2ファン92の軸方向において接離機構70と第2ファン92との間に配置されている。各第2吸気孔D22は、供給リール31と巻取リール35の間に向けて開口している。
【0112】
各排気孔D23は、第2ファン92と筐体本体21の下面との間に配置されている。各排気孔D23は、筐体本体21の下面に向けて開口している。なお、筐体本体21の下面には、複数の孔や開口がある。そのため、排気孔D23から排出された空気は、筐体本体21の外部に排出される。
【0113】
次に、箔転写装置1の作用効果について説明する。
図1(a)に示すように、箔転写装置1による箔転写を行う際には、第1ファン91および第2ファン92が駆動される。第1ファン91は、筐体2の外部の空気を、カバー22の吸気口22Bから第1ダクトD1内に吸い込み、第1ダクトD1の排出口D11から、加熱ローラ61と第2案内軸42の間の箔フィルムFに向けて送風する。
【0114】
これにより、第2案内軸42において、シートSから箔フィルムFを剥離する際に、箔フィルムFおよびシートS(シートSに転写された転写層F22を含む)が外部の空気によって冷却され、剥離性が向上される。箔フィルムFおよびシートSに対して上から吹き付けられた風は、箔フィルムFおよびシートSの幅方向外側の隙間を通って下に流れていく。
【0115】
これにより、第1ファン91から送風される風は、加熱ローラ61と第2案内軸42の間の箔フィルムFの下に配置された第1温度検知部材SE1の幅方向外側を通って下に流れていく。そのため、第1温度検知部材SE1は、風の影響を受けることなく、加熱ローラ61の温度を精度良く検出することができる。
【0116】
なお、加熱ローラ61と第2案内軸42の間に位置するシートSまたは箔フィルムFに当たった風は、第2温度検知部材SE2に向けて移動しようとしても、加熱ローラ61および加圧ローラ51で遮られる。そのため、第2温度検知部材SE2が風の影響を受けるのを抑制することができる。
【0117】
箔フィルムFおよびシートSを冷却した風は、第2ファン92の吸引力により供給リール31と巻取リール35の間、詳しくは接離機構70と巻取リール35の間の隙間や接離機構70と筐体本体21との隙間などを通って第2ダクトD2内に吸い込まれる。一方、電源基板EB周りの空気も、第2ダクトD2内に吸い込まれる。第2ダクトD2内に吸い込まれた空気は、第2ダクトD2の排気孔D23と筐体本体21の下面の孔等を通って筐体2の外部へ排出される。
【0118】
以上によれば、本実施形態において以下のような効果を得ることができる。
加熱ローラ61と第2案内軸42の間に位置する箔フィルムFおよびシートSを第1ファン91からの送風によって冷却するので、シートSからの箔フィルムFの剥離性を向上させることができる。
【0119】
第1ファン91が、箔フィルムFのシートSと重なる面に向けて送風するので、供給リール31と巻取リール35の間に、第1ファン91または送風用のダクトなどを配置するための送風用のスペースを確保する必要がない。そのため、供給リール31と巻取リール35の間を必要以上に空ける必要がなく、フィルムユニットFUが大型化するのを抑制することができる。
【0120】
フィルムユニットFUを着脱するための開口21Aを上向きにしたので、フィルムユニットFUを筐体本体21の上から着脱することができる。ここで、例えばフィルムユニットを水平方向に着脱する構造では、着脱の際に、重力に逆らってフィルムユニットの姿勢を維持する必要がある。これに対し、フィルムユニットFUを筐体本体21の上から着脱する場合には、重力に逆らってフィルムユニットの姿勢を維持する必要がないので、着脱作業を容易に行うことができる。また、例えばフィルムユニットを水平方向に着脱する構造では、着脱の際に、重力によってフィルムユニットが規定の姿勢から傾いた姿勢に変化しやすいため、フィルムユニットが筐体本体内の部材と干渉しやすい。これに対し、フィルムユニットFUを筐体本体21の上から着脱する場合には、重力によってフィルムユニットFUが規定の姿勢から傾いた姿勢に変化しにくいので、フィルムユニットFUが筐体本体21内の部材と干渉するのを抑制することができる。
【0121】
カバー22が第1ファン91を備えるので、例えば筐体本体が第1ファンを備える構成と比べ、筐体本体21を小型化することができる。
【0122】
吸気口22Bをカバー22の側面22Aに設けたので、例えば吸気口をカバーの上面に設ける構成と比べ、カバー22の上面に付着した液体が筐体本体21内に流れ込むのを抑制することができる。
【0123】
第1ファン91がシートSの搬送方向において加熱ローラ61よりも上流に配置されることで、例えば箔転写装置1のシートSの排出口をユーザ側に向けて配置した場合には、第1ファン91がユーザから離れた位置に配置されるので、静音性を向上させることができる。
【0124】
第1ダクトD1の排出口D11が箔フィルムFの幅方向の一端から他端にわたって形成されることで、箔フィルムFおよびシートSの幅方向の一端から他端にわたって空気を当てることができるので、箔フィルムFおよびシートSを効率よく冷却することができる。
【0125】
加熱ローラ61と第2案内軸42の間に位置する箔フィルムF周りの空気を、外部に排出する第2ファン92を設けたので、加熱ローラ61と第2案内軸42の間に位置する、箔フィルムFおよびシートSを効率良く冷却することができる。
【0126】
第1ファン91をシロッコファンとすることで、第1ファン91の軸方向から吸い込んだ空気を径方向に吐き出すことができるので、カバー22の側面22Aに形成した吸気口22Bから第1ダクトD1内に吸い込んだ空気を、シートSの搬送方向下流に向けて良好に吐き出すことができる。
【0127】
第2ファン92を軸流ファンとすることで、例えば第2ファンをシロッコファンとする構造に比べ、風量を大きくすることができるので、箔フィルムFおよびシートSをより効率良く冷却することができる。
【0128】
電源基板EB周りの空気を第2ファン92に案内する第2ダクトD2を設けたので、電源基板EBを冷却することができる。
【0129】
第1温度検知部材SE1が、加熱ローラ61と第2案内軸42の間に位置する箔フィルムFの面直方向から見て、箔フィルムFと重なる位置であって、かつ、箔フィルムFに対してシートSとは反対側に配置されるので、第1温度検知部材SE1が第1ファン91からの風の影響を受けるのを抑制することができる。
【0130】
加熱ローラ61と第2案内軸42の間の空間は、加熱ローラ61で加熱されたシートS等の熱の影響も受けるため、加熱ローラ61よりも上流の空間に比べて温度が高くなりやすい。このように温度が高くなりやすい位置にサーモスタット(第1温度検知部材SE1)を設けることで、迅速にサーモスタットを作動させることができる。
【0131】
どのような種類の箔転写用フィルムカートリッジFCが筐体本体21に装着された場合であっても、第1温度検知部材SE1が、箔フィルムFの面直方向から見て箔フィルムFと重なるので、箔転写用フィルムカートリッジFCの種類に関わらず、第1温度検知部材SE1が風の影響を受けるのを抑制することができる。
【0132】
各サーミスタSE21~SE23が、シートSの搬送方向において、加熱ローラ61および加圧ローラ51の上流に配置されることで、加熱ローラ61と第2案内軸42の間に位置するシートSまたは箔フィルムFに当たった風が各サーミスタSE21~SE23に向けて移動しようとしても、加熱ローラ61および加圧ローラ51で遮られるので、各サーミスタSE21~SE23が風の影響を受けるのを抑制することができる。
【0133】
各サーミスタSE21~SE23をそれぞれ幅方向で異なる位置に配置したので、加熱ローラ61の幅方向で異なる部位を各サーミスタSE21~SE23で検知することができる。
【0134】
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、以下に例示するように様々な形態で利用できる。
【0135】
前記実施形態では、箔転写装置として、シート上に形成されたトナー像の上に転写層を転写するものを例示したが、本発明はこれに限定されず、箔転写装置は、シートに転写層を転写するものであればどのようなものであってもよい。例えば、箔転写装置は、加熱部材としてサーマルヘッドを備える構成であってもよい。
【0136】
前記実施形態では、第1ファン91が箔フィルムFのシートSと重なる面に向けて送風したが、本発明はこれに限定されず、例えば、箔フィルムのシートとは反対側の面に向けて送風してもよいし、箔フィルムの幅方向に沿って送風してもよい。
【0137】
前記実施形態では、箔転写用フィルムカートリッジFCをホルダ100を介して筐体本体21に着脱可能としたが、本発明はこれに限定されず、例えば、箔転写用フィルムカートリッジが筐体本体に直接着脱可能となっていてもよい。
【0138】
前記実施形態では、第1ファン91をカバー22に設け、第2ファン92を筐体本体21に設けたが、本発明はこれに限定されず、第1ファンおよび第2ファンの位置は、筐体内のどの位置に配置してもよい。
【0139】
前記実施形態では、第1ファン91をシロッコファン、第2ファン92を軸流ファンとしたが、本発明はこれに限定されず、第1ファンおよび第2ファンはどのようなファンであってもよい。
【0140】
前記実施形態では、第1ダクトD1および第2ダクトD2を設けたが、本発明はこれに限定されず、ダクトは必ずしも必要ではない。
【0141】
前記実施形態では、第1温度検知部材SE1をサーモスタット、第2温度検知部材SE2をサーミスタとしたが、本発明はこれに限定されず、例えば、第1温度検知部材をサーミスタ、第2温度検知部材をサーモスタットとしてもよい。
【0142】
前記実施形態では、剥離部材として軸状の部材(第2案内軸42)を例示したが、本発明はこれに限定されず、剥離部材は、例えば板状のブレードであってもよい。
【0143】
前記実施形態では、加圧部材として加圧ローラ51を例示したが、本発明はこれに限定されず、加圧部材は、例えば、ベルトとパッドとを備えるものであってもよい。
【0144】
前記実施形態では、箔フィルムFを4層で構成したが、本発明はこれに限定されず、箔フィルムは、転写層と支持層を有していれば、層の数はいくつであってもよい。
【0145】
前記した実施形態および変形例で説明した各要素を、任意に組み合わせて実施してもよい。
【符号の説明】
【0146】
1 箔転写装置
31 供給リール
35 巻取リール
42 第2案内軸
51 加圧ローラ
61 加熱ローラ
91 第1ファン
F 箔フィルム
F22 転写層
S シート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7